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潟上市産業振興促進計画
平成 27 年4月1日作成
秋田県潟上市
1.計画策定の趣旨
(1)はじめに
近年の世界経済のグローバル化の進展、また、TPP交渉参加なども背景に日本経
済は厳しい競争環境の中にあります。
潟上市は、秋田市とともに県内で唯一の区域区分をもつ秋田都市計画区域に指定さ
れ、これまで県都秋田市のベッドタウンとして発展してきましたが、近年は秋田市等
からの移住・転入も減少傾向にあり、平成 22 年国勢調査では初めて人口減に転じまし
た。この現象は今後も継続すると予想されており、既に農村集落周辺での著しい人口
減少に対しては、コミュニティの維持に対する懸念も出てきています。
潟上市の今後の持続的発展には、製造業を中心とした産業振興による人口の定着化
を推進する企業等の誘致・誘導の推進等が求められます。本市の持つ様々な特性を活
かしながら、内外の環境の変化に積極的に対応して産業の振興を図るため、本市とし
て目指すべき産業振興の方向性等を掲げる事を目的に、本計画を策定するものです。
(2)市の概況
①位置と地勢
潟上市は、秋田県のほぼ中央の沿岸部に位置しており、東は井川町と、南は秋田市
と、西は男鹿市と、北は八郎湖を挟んで大潟村と接しています。
東部は南北に縦走する国道7号の周辺に小高い丘陵(女川層)が多数連なっており、
出羽丘陵に続いています。中央部及び北部は、秋田平野の北辺部として八郎湖に向か
って広大な田園地帯が広がっており肥沃な穀倉地帯となっています。西部は県内有数
の3本の砂丘群が連なっているほか、日本海に面した沿岸部は秋田市から続く海岸砂
丘となっており、秋田県の保健保安林に指定されています。砂丘群の間は集落や畑地、
樹園地として活用されています。
潟上市は、秋田自動車道、日本海沿岸東北自動車道等高速交通体系が整備され、ま
た秋田空港から車で 30 分程度の距離にあるなど、首都圏へのアクセス性も高まってい
ます。また、県都秋田市に隣接したベッドタウンという都市的な特性と広大な田園風
景に代表される豊かな自然環境を併せ持っており、こうした恵まれた地勢を活かした、
魅力あるまちづくりが期待される地域です。
②地域の沿革
明治22年の市町村制の施行(明治の大合併)により、旧来の村を合併した地方自
治体として天王村、大久保村、豊川村、飯田川村が誕生しました。その後、天王村(昭
1
和 26 年町制施行)は他市町村との合併の動きはありませんでした。昭和町は、昭和 17
年に大久保町、飯田川町(昭和 10 年に町制施行)
、豊川村の合併により誕生しました
が、昭和 25 年に昭和町(旧大久保地区)、飯田川町、豊川村に分町・分村し、その後
昭和 30 年に金足村の一部、昭和 31 年に豊川村と合併し、合併前の形になりました。
飯田川町は、昭和 25 年に昭和町から分町してからは、他市町村との合併の動きはあり
ませんでした。
平成に入り、市町村合併特例法の改正を機に合併機運が高まり、ごみ処理の一部事
務組合を構成していた天王町、昭和町、飯田川町が約1年半の合併協議を経て、平成
17 年3月 22 日に合併し、潟上市が誕生しました。
③人口
・総人口
平成 22 年国勢調査で 34,442 人。その前の調査(H17)までは人口が増え続けてい
ましたが、初めて人口減少(△3.8%)へと転じました。今後も漸減していくものと見
込まれます。
・生産年齢人口
平成 22 年国勢調査で 21,285 人。全人口に占める割合 61.8%は、県都秋田市に迫る
県内第2位。県内他の市町村よりは緩やかではあるものの、今後は徐々に低下してい
くことが見込まれています。
・人口動態
出生数が減り死亡数が増えるいわゆる「自然減」の状態が続いており、減少率が大
きくなる傾向にあります。人数にして毎年 200 人以上が減少していますが、今後もこ
うした傾向は続くものと見込まれます。
また、市外への転出者は微減していますが、本市への転入者も同様に微減傾向にあ
り、総体的には社会動態に大きな変化はありません。社会増となる年度もあるものの、
それを上回る自然減により総人口自体は減少しています。
・高齢化率
平成 26 年7月1日現在(平成 26 年度老人月間関係資料・秋田県長寿社会課)、秋田
県の高齢化率は 32.4%、前年度比 1.0%上昇しています。潟上市においては 29.2%で、
県内 25 市町村中 24 位であり、県都秋田市に次ぎ年齢層が若いものとはなっています
が、前年度との比較では県平均の上昇率を超える 1.1%の上昇となっており、着実に高
齢化の波は押し寄せています。今後も秋田県内においては低い高齢化率であると見込
まれるものの、国立社会保障・人口問題研究所の推計(2013 年3月)によると 2040
年には 43.7%となっており、その数値は上昇の一途であると見込まれます。
(3)産業構造
少子高齢化の進行の中、県内経済の低迷等により、産業の担い手となる若年労働者
や中高年齢者の県内就職は厳しい状況にあります。
2
潟上市の就業者数は、人口減と比例し減少傾向にあります。国勢調査(H22)によ
りますと、第1次産業従事者割合は 6.7%、第2次産業従事者割合は 27.4%と、それぞ
れ減少傾向にあり、特に第1次就業者の割合は 20 年前と比較し、半減しています。
一方、第3次産業従事者割合は 65.9%にまで増加しており、特にサービス業・金融不
動産業・公務が大きく増加し、産業構造のソフト化・サービス化が顕著となっていま
す。
総生産額も同様に第1次産業、第2次産業が減少する一方、第3次産業は増加して
います。総生産額の構成比(H23 年度秋田県勢要覧)をみると、各産業の比率が秋田
県全体の構成比とほぼ同様であり、秋田県の平均的な産業構成となっています。
(4)地域の雇用動向
潟上市の完全失業率(H22 国勢調査)は 10.1%で前回(H17 国勢調査)より 1.8%
上昇し、県内で2番目に高いものとなっています。これまでの長期間にわたる経済低
迷や生産拠点の海外移転等に伴う産業空洞化による雇用機会の減少の他、特に若年層
が多い本市では、彼らの仕事への価値観や就業意識の変化も相まって完全失業者が多
く発生しているものと考えられます。
市内にはショッピングモールが開設され、相次いで店舗が進出していることや現政
権による経済対策などにより、今後は、一定の雇用を期待できる環境にはなりつつあ
るものの、市域全体から見ると業種や職種はまだ限られていることから、本市の産業
構造の特徴を活かした企業の立地促進が必要です。
(5)市の将来ビジョン(目指すべき方向性)
地域の経済が活力を高め、市民の豊かな生活を支えていくためには、生きがいを持
って働くことができる力強い産業の振興を図ることが重要です。
そのため、既存企業においては融資斡旋、経営指導・相談、企業間の情報交換の機
会の拡充などにより、経営基盤の強化を図ります。また、設備投資に係る奨励・優遇
措置等の支援策によって企業の誘致を進め、雇用創出を図り地域の活性化へとつなげ
ます。
2.計画の対象とする地区
潟上市(旧天王町の区域に限る)
3.計画期間
平成 27 年4月1日から平成 32 年3月 31 日まで
4.対象地区の産業の振興の基本的方針
(1)潟上市の産業の現状
・地域の特色
3
本市内の道路網については、国道 7 号、101 号、285 号や秋田自動車道、日本海沿岸東北
自動車道などの幹線道路と、これら幹線道路へ接続される生活道路で構成されています。
高速交通体系が整備されており、昭和男鹿半島 I.C.から空港まで 30 分圏内にあるなど首都
圏へのアクセス性は高いものがあります。幹線道路は、秋田市に向かう南北の道路が中心
となっており、秋田市への通勤・通学等による人・モノの流れに沿ったものとなっていま
す。今後は、地域内において人的交流及び産業物流をより強固に結び、公共施設利用のた
めのスムーズなアクセスを保障する安全性と利便性に富み、かつ体系的にネットワーク化
された道路網の整備が課題です。
鉄道については、東日本旅客鉄道の奥羽本線と男鹿線が走り、市内には6つの駅があり
ます。地域住民の通勤、通学や観光客等の足として重要な役割を果たしています。
観光面では、道の駅にも指定されている「天王グリーンランド」「ブルーメッセあきた」
また、水中写真家・中村征夫氏の写真ギャラリー「ブルーホール」の3つの施設を核とし
ています。特に「天王グリーンランド」内にある県内公共温泉では最大級の「天王温泉く
らら」、加工場も備えた直売施設「食菜館くらら」、日本サッカー協会公認サッカー場「フ
ットボールセンター」は、市民はもとより市外からの訪問客で連日賑わいを見せています。
しかし、男鹿市、秋田市に挟まれた地理的条件や高速道のICが至近距離にあることが、
かえって災いし、大型宿泊施設もないため、日帰り型、通過型の傾向が色濃く見られます。
工業については、若年層の定住促進や就業機会の創出の役割を担っておりますが、世界
同時不況の影響を発端に、平成 20 年度以降は事業所の閉鎖、雇用調整が続くなど厳さが続
いています。市内事業所は小規模の企業が多く、全体としては付加価値が低く、事業拡大
や新分野への進出といった意欲的な企業は少ない現状にあります。
企業誘致については、若年労働力の市外流出に歯止めをかけるとともに、地域の活性化
を図ること等を目的に、
「潟上市工場等設置奨励条例」により製造業に限らず、運輸業やサ
ービス業など幅広い業種をその対象とし、昭和工業団地を中心に、誘致に努めてきました
が、その動きは決して活発とはいえません。県等の関係機関と連携した誘致活動の展開な
ど企業立地の推進による雇用機会の拡大を図っていく必要があります。
・本市産業の動向
地域の産業別就労人口比率は、
平成 22 年度では第1次産業が 6.7%、第2次産業が 27.4%、
第3次産業が 65.9%で、平成 17 年と比較して第1次産業は微減ですが、第2次産業は 2.8
ポイント減少しています。第3次産業が 4.6 ポイント上昇していることから、製造業等の就
労人口の落ち込みが特に大きく現れています。
4
(参考)産業別就労人口の推移
単位:人
平成17年度
平成22年度
増減
(17~22年)
第1次産業(構成比)
1,308 (7.8%)
1,035 (6.7%)
△273(△1.1%)
第2次産業(構成比)
5,034(30.2%)
4,243(27.4%)
△791(△2.8%)
第3次産業(構成比)
10,231(61.3%)
10,195(65.9%)
△36(4.6%)
(参考・潟上市人口)
35,814
34,442
△1,372
資料:国勢調査
域内総生産額は、平成 23 年度 73,782 百万円で、そのうち第 1 次産業が 2,061 百万円、
第 2 次産業が 13,020 百万円、第 3 次産業が 58,701 百万円で、平成 18 年度の総生産額と比
較すると 5.5%減少しています。
特に第2次産業は減少が大きく、45.4%も減少しています。
(参考)生産額の推移
単位:百万円
平成18年度
平成23年度
増減
(18~23年)
総生産額
78,074
73,782
△4,292
(うち第1次産業)
2,402
2,061
△341
(うち第2次産業)
23,847
13,020
△10,827
(うち第3次産業)
51,825
58,701
6,876
資料:秋田県勢要覧
農業生産構造は、農業粗生産・農業就業者数・経営耕地面積・農家数において、いずれ
も減少してきており、経営耕地面積のうち水田の構成比は依然高く、稲作依存の生産構造
となっています。転作作物については、地域によって取り組みに違いがあるものの、集落
営農組織による高品質大豆等の生産や、県で推奨する「えだまめ日本一産地」事業が推進
されています。一方、水田の不作付け地の拡大も懸念されていることから、未利用地の再
生に取り組む農家の支援など、その防止に向けた取り組みを進めています。
5
(参考)農業粗生産額・農業就業者数・経営耕地面積・農家数等の推移
平成17年
潟上市
農業粗生産額(千万円)
平成22年
秋田県
潟上市
374
18,610
農業就業者数(人)
1,335
91,068
1,309
59,971
経営耕地面積(ha)
3,079
128,812
3,015
150,200
2,923
89,311
2,859
130,800
94.9%
69.3%
94.8%
90.1%
田
(構
成
比)
畑
(構
99
成
比)
樹園地
(構
成
(構
比)
業
成
比)
第1種兼業
(構
成
比)
第2種兼業
(構
成
3.2%
7.1%
56
農家数(戸)
専
9,168
比)
2,210
※
秋田県
374
105
14,940
11,900
3.5%
51
8.2%
2,520
1.8%
1.7%
1.7%
1.7%
1,374
61,259
996
59,971
198
8,182
234
9,193
14.4%
13.4%
17.9%
19.4%
147
7,983
11.2%
16.9%
229
10,259
16.7%
16.7%
932
41,884
615
30,122
67.8%
68.4%
47.0%
63.7%
1就業者当り(千万円)
0.28
0.20
0.29
0.25
1ha当り(千万円)
0.12
0.14
0.12
0.10
1戸当り(千万円)
0.27
0.30
0.38
0.25
※平成17年値
資料:農林業センサス
工業については、地域経済の要として重要な役割を担っていますが、事業所数・従業者
数・製造品出荷額が年々減少してきています。第3次産業の比率が高まっていることから、
今後もこの傾向は続くものと見込まれます。
6
(参考)事業所数・従業者数・製造品出荷額等の推移
平成20年
平成21年
平成22年
平成24年
増減
(20~24年)
事業所数
45
42
42
32
△13
従業者数
1,766
1,600
1,578
1,227
△539
製造品出荷額等(万円)
3,475,677
2,543,382
2,690,447
2,382,967
△1,092,710
1事業所当り(万円)
77,237
60,557
64,058
74,468
△2,769
1従業者当り(百万円)
1,968
1,590
1,705
1,942
△26
資料:工業統計
(平成23年度は実施せず)
商業については、郊外型の大規模小売店やディスカウントショップ等の増加に加え、ネ
ット販売の普及等により小売業の店舗数は減少しています。今後も本市の小売業の厳しい
状況は続くものと見込まれます。
(参考)小売業の商店数・従業者数・年間販売額の推移
平成14年
平成16年
平成19年
平成24年
増
減
(14~24年)
商店数
331
315
286
195
△136
従業者数
1,547
1,545
1,492
1,052
△495
年間販売額(百万円)
18,817
18,709
19,074
15,596
△3,221
1商店当り(百万円)
57
59
67
80
23
1従業者当り(百万円)
12
12
13
15
3
資料:商業統計(平成24年度は経済センサス)
(2)潟上市の産業振興を図る上での課題
a)農業の振興
本市の農業生産構造等は、農業粗生産・農業就業者数・経営耕地面積・農家数において、
いずれも減少してきており、経営耕地面積のうち水田の構成比は依然高く、稲作依存の生
産構造となっています。しかし、米を取り巻く状況は年々厳しさを増している状況であり、
秋田県産米の市場シェアは低下し、米の生産数量目標も減少していることから、ブランド
米生産の定着・拡大を図り「売れる米づくり」を推進する必要があります。その一方で、
農業従事者の高齢化が進み、認定農業者も高齢化傾向にあり、若い担い手の確保や集落営
農組織の法人化への誘導等が課題となっています。
転作作物については、大豆並びに枝豆を地域重点作物と位置付け、農業機械や共同利用
施設の効率的利用の整備拡充を進めながら、団地化による高品質大豆の生産を図るため先
7
進技術の積極的な普及・定着に努めるとともに、枝豆の生産及び産地育成を推進していく
必要があります。
そしてこれらを支える、農業生産基盤については、引き続き基盤整備事業を推進し、農
地の利用集積を促進することも課題となっています。
さらに、農村と都市住民との交流に対するニーズや市民の「食」に対する安心・安全志
向が高まっている中で、
「食菜館くらら」を核とした、農産物の生産・加工・販売等6次産
業化に向けた取り組みの支援や地域の特色を生かした農産物の生産振興、学校給食等に地
元で取れた農産物を利用するなどの地産地消や食育推進運動と連携した取り組みが必要と
なっています。
b)林業の振興
本市の日本海側に帯状に広がる松林は、県有地で保健保安林に指定されており、海岸の
防風林、飛砂防備林として住宅や農作物を守る重要な役割を果たしています。近年、砂浜
の浸食が顕著に見られ、保安林に被害を及ぼすようになりました。海岸部における松くい
虫の被害は縮小傾向にあるものの、昭和・飯田川地区では被害が拡大傾向にあり、引き続
き、新たな植林や松くい虫の被害を受けやすい松林等を守るための適切な維持管理と駆除
対策に努める必要があります。
c)水産業の振興
八郎湖では内水面漁業が行われておりますが、ワカサギやシラウオを中心に淡水魚が水
揚げされ、佃煮加工用として供給されています。平成 17 年度から平成 21 年度の 5 年間の
漁獲量について比較すると、平成 20 年度と平成 18 年度では、約 30%の変動があるなど、
一定しておりません。
内水面漁業については、ワカサギ卵の放流事業を実施するとともに、ワカサギ、シラウ
オ漁は漁獲期間や操業時間を制限するなど資源保護にも努めています。一方、八郎湖では
ブラックバス(オオクチバス)による在来種への食害や、繁殖による生態系への影響が危
惧されているほか、八郎湖の富栄養化による「アオコ」の大量発生は、ワカサギ、シラウ
オ漁へ影響を与えており、水質対策などが課題となっています。
また、本市沿岸で行われている海面漁業の漁獲量は大幅な増減はあるものの、販売額は
ほぼ横ばいで推移しています。魚種別では、アジ、ブリ類、ハタハタの順位が高くなって
いますが、回遊性の高い魚が多いことから、気候条件や海流などの状況により、漁獲量に
影響を与えています。
本市ではクルマエビやガザミの種苗放流への支援を行っているほか、漁業者等によるマ
ダイやヒラメの稚魚放流やトラフグの標識放流など、関連機関との連携により、資源管理
型漁業を推進しています。しかし、近年の消費者の魚離れによる魚価の低迷、燃油の高騰、
漁業従事者の高齢化などにより漁業経営は厳しい状況にあります。また、老朽化した漁港
施設の改修や、港内堆砂の浚渫、水産資源の生育環境の保全、プレジャーボートの不法係
留なども課題となっています。
8
今後も、資源管理を行いながら、生産性の高い漁業を進める「つくり育てる漁業」を推
進するとともに、魚価の安定と販路の拡大に努めるとともに、計画的に漁業環境の整備を
進める必要があります。
d)商工業の振興
本市の小売業は、郊外型の大型小売店やディスカウントショップ等の増加に加え、ネッ
ト販売の普及等による購買動向の変化の波に押され、今後も厳しい状況は続くものと考え
られ、マーケティング力の強化も必要となっております。
大型店等との差別化を図るため、消費者ニーズを捉えたきめ細かなサービスや地場産
品・特産品の開発・販売、6次産業化に向けた取り組みへの支援を含め、独自の経営戦略
の推進や、消費者を引きつける独創的・個性的な起業(ベンチャービジネス)への支援、
各種制度の情報提供等も必要となっています。
工業については、若年層の定住促進や就業機会の充実などの地域経済の要として重要な
役割を担っていますが、事業所数・従業者数・製造品出荷額等が年々減少してきています。
さらには、世界同時不況の影響を受け、平成 20 年以降は事業所の閉鎖、雇用調整が続くな
ど、現状は厳しいものとなっています。今後は、農・商・工それぞれの経営資源を有効活
用し、相乗効果が発揮できるような新たな取り組みについても模索し、関係団体と連携し
ながら「元気印企業」の育成を図っていく必要があります。
企業誘致については、秋田県では、新エネルギー分野の誘致活動を積極的に取り組む方
針を打ち出しており、新たな事業の掘り起こしや異業種の交流・連携を促進するとともに、
秋田市に隣接する立地性及び高速交通体系の優位性を活かして昭和工業団地等への企業誘
致活動を推進する必要があります。
e)観光の振興
本市の主な観光地は、「天王グリーンランド」「天王温泉くらら」「ブルーメッセあきた」
に加え、平成 21 年度からは新たに「ブルーホール」が加わりました。「天王グリーンラン
ド」と「ブルーメッセあきた」については、
「道の駅」としての役割を果たしながら、多く
の方々から親しまれています。一方で、高速交通体系の整備により利便性は向上したもの
の、県都秋田市や男鹿市への通過型観光地となる傾向にあります。今後、裾野が広く、経
済波及効果の大きい観光産業を育成・発展させるためには、本市の自然環境や文化・歴史
的資源の見直しや、天王グリーンランド内の「食菜館くらら」を活用した地場産品・特産
品開発、新たな観光スポットの発掘など、観光資源の整備を促進するとともに、観光客が
長時間滞在できるような企画を検討する必要があります。
また、観光イベント等として「天王グリーンランドまつり」「八郎まつり」「飯田川鷺舞
まつり」、さらに統人行事「東湖八坂神社祭」などの伝統行事が開催されていますが、これ
らの観光イベント等を時代のニーズにあった内容を取り入れながら、それぞれの地域住民
のみならず、市民及び観光客に愛されるまつりとして継承されるような取り組みが必要と
なっています。
9
f)新事業の創出
産業については、国際化や産地間競争に対応できる農業の再構築、高度技術に立脚した
工業の付加価値化のほか、特産品開発など新たな産業の育成や、消費者ニーズに対応した
商業サービス機能の充実を図る必要があります。
具体的には「食菜館くらら」を核とした、本市の農林水産物等の資源を活用した新しい
地場産業の開発促進、また、地場産業の活性化や雇用の確保に向けた産業の振興を図るた
め、新規産業の創出や雇用拡大の奨励、地域の経営資源を活用し、地域住民が主体となっ
て問題に取り組むコミュニティビジネスの振興など起業の支援に努めなければなりません。
また、新産業の創出には大学をはじめとする研究機関等との産学官連携や、異業種交流
による新たな発想が必要であることから、本市においては連携協定を締結している秋田県
立大学を核とした産学官連携を促進し、企業独自の創意と工夫に満ちた新たな技術の確立
と育成を目指すとともに、潟上発の新たな産業の創出を目指していく必要があります。
5.産業の振興の対象とする事業が属する業種
製造業
6.事業の振興のために推進しようとする取組・関係団体との役割分担
(1)潟上市の取り組み
市工場等設置奨励条例及び同条例施行規則に基づき、市内工業団地に工場等を新設及
び増設する際に企業等に対する雇用奨励金の交付並びに固定資産税の減免等の優遇措置
をとり、地域外企業誘致を積極的に行います。
また、地域内の企業においても設備投資及び雇用促進が図られるよう、
「租税特別措置」
の活用が見込まれる企業等に積極的に周知を図るほか、ホームページ等による情報発信
に努めます。
一方、市内企業の多くは中小企業で経営基盤が不安定なため、市中小企業振興融資あ
っせんに関する条例に基づき、事業資金を必要とする市内企業に対し融資のあっせんを
図り経営基盤の安定及び円滑な事業展開ができるよう努めます。
(2)関係団体の取り組み
①秋田県
潟上市や関係団体等と協力し、半島振興対策実施地域において、工業用機械等の取得
等にかかる特別償却制度の周知等を徹底し、事業者の設備投資を促進します。
また、県では企業立地促進法に基づき、5つの基本計画を策定しており、本市におい
ては、
「電子・輸送関連」
・「資源リサイクル・医療」・「食品」の産業集積地域となってお
ります。こうした産業集積地域においては、企業立地促進法に基づく「企業立地計画」
10
または「事業高度化計画」について県の承認を受けた場合以下のような支援措置を行う
こととしています。
○課税の特例(特別償却制度)
○低利融資制度(日本政策金融公庫の低利融資制度)
○不動産取得税・固定資産税の減免
(半島振興対策実施地域における県税の不均一課税に関する条例等)
○工場立地法の特例(緑地等の面積規制緩和)
また、県では企業誘致に関する優遇制度・支援制度(あきたリッチプラン)として「あ
きた企業立地促進助成事業補助金」・「あきた企業チャレンジ応援事業補助金」により、
工場立地に対する補助並びに雇用に対する補助を行うとともに、固定資産税の減免等を
行い企業の誘致を図ります。
②潟上市商工会
資金繰りに苦慮する事業者への対応として、早期の相談支援ができるよう巡回を徹底
するとともに、国・県・市町村の融資制度を活用し、事業者の資金繰りの安定化を図っ
ています。
また、昨今の厳しい雇用情勢に伴い、緊急的な経済・雇用対策の一環として県内製造
業等を離職した方が起業を目指す場合、起業に要する経費の一部を「起業支援補助金」
として助成しています。
(3)県・市・関係団体の連携した取り組み
県が主催し、首都圏及び近畿圏等で開催する企業立地説明会「あきたリッチセミナー」
に参加し、多くの企業に対して立地環境や誘致施策をPRするとともに、業界の動向や今
後の事業展開などについて情報収集を行います。
また、誘致済企業に対しても訪問を積極的に行い、増設・雇用資金繰り等の経営に関す
る相談及び誘致済み企業の関連企業の誘致に向けての情報収集を行います。
さらに、定期的に「潟上市企業懇話会」を開催し、行政と市内企業との関連施策等の情
報の共有を図ります。
7.計画の目標
①計画期間中に行われる新規設備投資件数
2件
②当該新規設備投資による新規雇用者数
30 名
11
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