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八丈町基本構想・基本計画(平成28年~32年)

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八丈町基本構想・基本計画(平成28年~32年)
八丈町基本構想・基本計画
平成
年∼
年
(西暦
年∼
年)
東京 都 八 丈 町
発 刊 の こ と ば
八丈町では、基本構想(平成23年∼32年)をもとに、後期基本計画(平成28年∼32年)を策
定し、ここに発刊の運びとなりました。
基本構想が策定されてから5年が経ち、この間に新庁舎、汚泥再生処理センター及び一般廃
棄物処理施設の建設、
南原スポーツ公園野球場や八丈プラザ公園などのハード面の整備に加え、
坂上地域保育園の運用開始による子育て支援サービスの向上、次世代を担う子どもたちの学力
向上や豊かな心を育むことを目指した小中一貫型教育の推進、若い世代の夢や希望を叶える婚
活事業の支援などに取り組んでまいりました。
また、平成26年12月に「まち・ひと・しごと創生法案」が成立したことを受け、人口減少問
題の克服のために八丈町においても地方版まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定いたしまし
た。
地方の活性化、地方への新しい人の流れが求められるなか、本基本構想・計画では、住みよ
い環境を確保し、将来にわたり活力ある八丈町であるために、前期基本計画の施策を検証しな
がら、現実性に乏しいものは検討及び見直しを行い、早急に取り組まなければならないものを
新たに追加いたしました。掲載された施策につきましては、住民の皆さまの支援と協力のもと
に、国、東京都をはじめ各関係機関の指導・助言をいただきながら、創意工夫を重ね、一つひ
とつ実現に向けて取り組んでいく所存でおります。
そのためには、住民の皆さまと協働し、まちづくりに参加していただくことが、ぜひとも必
要となりますので、ご理解ご協力をお願いいたします。
最後に、後期基本計画の策定に関して、ご尽力をいただきました八丈町総合開発審議会委員
ほか多くの関係者の方々に心より御礼申し上げます。
平成28年3月
八丈町長 山 下 奉 也
八丈町基本構想・基本計画
八丈町基本計画
はじめに …………………………………………………………………………………………… 1
第1部 基本計画の考え方 ……………………………………………………………………… 2
第1 計画の性格 ……………………………………………………………………………… 2
第2 計画の期間 ……………………………………………………………………………… 2
第3 基本計画 ………………………………………………………………………………… 2
第4 基礎指標 ………………………………………………………………………………… 3
第2部 基本計画の内容 ………………………………………………………………………… 6
第1 みどり豊かな町(都市基盤像)………………………………………………………… 6
1.土地利用 ……………………………………………………………………………… 6
2.空港・港湾 …………………………………………………………………………… 8
3.道路・交通 …………………………………………………………………………… 13
4.水 道………………………………………………………………………………… 18
5.生活排水処理 ………………………………………………………………………… 20
6.公 園………………………………………………………………………………… 21
7.住 宅………………………………………………………………………………… 23
8.景 観………………………………………………………………………………… 25
9.電気・通信 …………………………………………………………………………… 26
10.自然エネルギー ……………………………………………………………………… 27
11.防犯・防災…………………………………………………………………………… 28
第2 あたたかい町(生活像)
………………………………………………………………… 34
1.社会福祉……………………………………………………………………………… 34
2.医療・保健 …………………………………………………………………………… 41
3.環境・衛生 …………………………………………………………………………… 44
4.消費生活……………………………………………………………………………… 45
第3 文化の香り高い町(文化、教育像)…………………………………………………… 47
1.学校教育……………………………………………………………………………… 47
2.社会教育……………………………………………………………………………… 52
3.コミュニティ活動 …………………………………………………………………… 56
4.文化の振興 …………………………………………………………………………… 57
第4 いきいきとした町(産業像)
…………………………………………………………… 60
1.農 業………………………………………………………………………………… 60
2.林 業………………………………………………………………………………… 62
3.水産業………………………………………………………………………………… 64
4.観光産業……………………………………………………………………………… 67
5.商工業・建設業 ……………………………………………………………………… 70
6.新産業………………………………………………………………………………… 71
第5 明るい町(行財政と機構)
……………………………………………………………… 73
1.行 政………………………………………………………………………………… 73
2.財 政………………………………………………………………………………… 74
3.機 構………………………………………………………………………………… 74
(付 録)
八丈町基本構想(平成23年∼32年)
………………………………………………………… 77
八丈町基本計画
はじめに
平成23年3月に策定した八丈町基本構想は、
「地方の時代」の到来を切り開く、八丈町の進
むべき方向を提示しました。そして八丈町の限りない発展と、明るく平和な町の実現を願って
定められた町民憲章に基づき、平成23年から32年までの町づくりの基本方向を、
○クリーンアイランドを目指す町
○海洋を活かす町
○住民が主役の町
○歴史と文化を生かす町
の4本の柱として掲げています。
基本構想は、従来からの施策に加え、住民の声を重視しながら、八丈町総合開発審議会にお
ける手づくりの作業で策定されてきました。住民のエネルギーはいまや町全体の活性化を促す
原動力であり、まちづくりへの主体的参加が肝要です。
前期基本計画の5年間においては、地域主権改革・地方分権改革の推進による義務付け・枠
付けの廃止と権限移譲が進み、基礎自治体の自由度・裁量権を高めるとともに、自己決定と自
己責任による自治体運営を求める方向に進んでおり、基礎自治体としての行財政基盤の確立が
一層必要となりました。また、東日本大震災や伊豆大島土砂災害の発生などにより、防災、減
災に関する住民意識は更に高揚しました。さらに、まち・ひと・しごと創生法案の流れを受け、
人口減少問題への対応と地域活性は重要な課題です。
このような当町をとりまく状況を踏まえ、住民、事業者、行政が今後の5年間における目指
すべき方向とその実現のための方策を共有し、共通の目標に向かって力を合わせてこの困難な
状況に立ち向かい、私たちのまちを私たちの手で良くしていくための指針として、本後期基本
計画を策定しました。
施策ごとにその重要性、緊急性、実現可能性による優先順位に留意し、着実に実施していく
ことが求められます。また、それぞれの施策の進捗及び達成状況、あるいは情勢の変化による
計画の修正についても、町民への報告を適宜行いながら、計画の実現化を誠実に推進しなけれ
ばなりません。
─ 1 ─
第1部 基本計画の考え方
第1 計画の性格
この計画は基本構想の実現を図るため、重点的に推進する施策を明らかにし、総合的な行
政目標にするとともに町民の努力目標にするものです。町が主体となって行う施策・事業
については、総合性と計画性をもち、国・都に対しては提案的性格を、民間活動に対して
は誘導的な役割を併せ持つものとします。
基本計画の実施に当たっては、実施計画を策定し、修正・補正を行うなど、弾力的な運用
を行います。
なお、社会、経済情勢および行財政制度の変更など、重大な情勢変化に対しては、この計
画の改訂を行うものとします。
第2 計画の期間
基本構想の期間、2011年(平成23年)から2020年(平成32年)までを2分して、前期基
本計画を2011年(平成23年)から2015年(平成27年)まで5か年、
後期基本計画を2016年(平
成28年)から2020年(平成32年)まで5か年とし、この計画は後期基本計画とします。
第3 基本計画
この計画は、構想の目標を推進・実現していくための諸施策を体系的にまとめ、
「基本目標」
「現状と課題」
「今後の方向」
「主要施策」として構成しています。
⑴ 基本目標
事業項目(土地利用、水道、住宅など)ごとに、総括的基本目標の設定を行っています。
⑵ 現状と課題
八丈町における現状と直面する課題を把握し、問題点の設定を行っています。
⑶ 今後の方向
基本目標と課題を踏まえて、今後進めていくべき具体的な方針を整理しています。
⑷ 主要施策
具体的な事業について取りまとめを行っています。また、主要施策の中でも、優先して
取り組む事業については、青字で表示してあります。
─ 2 ─
第4 基礎指標
⑴ 人口構造
平成27年1月1日現在
年 齢 階 層
1 100歳以上 6
〈男〉
3,926人
3,995人
113
90∼94
84
229
315
80∼84
292
75∼79
295
70∼74
306
401
65∼69
395
60∼64
255
50∼54
226
254
45∼49
170
144
902
12%
124
10∼14
149
5∼9
157
128
0∼4
0
18%
64
15∼19
154
200
127
20∼24
136
1,430
173
25∼29
64
34%
197
30∼34
124
2,723
254
35∼39
187
24%
188
40∼44
234
1,918
349
238
271
12%
372
55∼59
293
948
201
85∼89
178
400
〈女〉
36
8 95∼99
29
(人)
階層人口 構成比
0
─ 3 ─
200
400
(人)
⑵ 就業人口(15歳以上)
223
そ
の
他
1,009
公
務
232
医療・福祉
473
教育、
学習支援
146
サービス業
621
第 三 次 産 業
運輸・通信
4,231
卸・小
売
115
(人)
製
造
漁業・水産
605
総数
第二次産業
建
設
農業・林業
第一次産業
平成22年国勢調査
分 類
不 能
394
318
91
4
⑶ 主要産業別生産額
(単位:千円)
農林業
水産業
加工業
観光業
平成22年
7,554,439
平成23年
7,120,131
7,120,13
平成24年
7,326,95
7,326,959
平成25年
7,404,45
7,404,454
7,062,12
7,062,126
平成26年
0
200
400
─ 4 ─
600
800
(百万円)
気 象 概 要
主要気象
八丈島
東 京
小笠原・父島
備 考
年平均気温 (℃)
17.8
16.3
23.2
那覇 23.1
最寒月平均気温(℃)
1月 10.1
1月 6.1
2月 17.9
那覇 17.0
日最高気温の
最暖月平均値 (℃)
8月 29.3
8月 31.1
7月 30.0
大阪 33.4
日最低気温の
最寒月平均値 (℃)
1,2月 7.5
1月 2.5
2月 15.3
年降水量 (mm)
3,202.4
1,528.8
1,292.5
屋久島 4,477.2
尾鷲 3,848.8
年日照時間 (時間)
1,398.5
1,881.3
2,038.5
潮岬 2,201.2
山形新庄 1,320.0
年平均湿度 (%)
80
62
77
軽井沢 80
年強風日数(10m/s以上)
134.3
22.1
24.5
室戸岬 253.7
年強風日数(15m/s以上)
22.4
0.4
2.3
室戸岬 108.2
(注) ①1981∼2010年の30年間の平均
②八丈島測候所:北緯33°
06′ 東経139°47′ 標高79.2m
③年強風日数において、10m/s以上の日数は15m/s以上の日数を含む。
─ 5 ─
第2部 基本計画の内容
第1 みどり豊かな町(都市基盤像)
自然と調和した生活のなかで、島がもたらす豊かな恵みを、訪れる人々とともに分かち
合いながら、住んでよい、働いてよい、訪れてよい町 ― 活力に満ちたまちづくりを
目指します。
そのためには、適切な土地利用、水、交通体系、公園、住宅、電気・通信、自然エネル
ギーの有効利用を確立するとともに、バリアフリー化を進め、災害に強く、犯罪のない、
自然景観に配慮の行き届いた住みよいまちづくりが必要です。
1.土地利用
自然との調和と共生のなかで、地域の特性を多角的な観点から検証し、バランスの
とれた土地利用計画を検討していきます。
〔現状と課題〕
島内の土地利用は、限りある土地をより一層有効活用する視点に立ち、現状の形態を踏
まえたうえで、恵まれた自然環境を保存する地域と、地域の特性を生かした開発地域とを
区分することが必要です。
坂下地域は、居住地域と耕作地域、商業地域などが混在しています。自然的土地利用と
都市的土地利用とのバランスをとりながら計画的な土地利用を誘導していくことが必要で
す。また、平坦地の少ない坂上地域は、土地利用の形態もほぼ固定化しています。2008
年(平成20年)から三原山の自然公園区域に整備が進められている新たな道路に併せて、
自然環境を保護しながら、エコツーリズムの空間としての土地利用を検討する必要があり
ます。
属島の八丈小島は、1969年(昭和44年)6月の全住民離島から無人島となり、今では
磯釣りやダイビングに絶好の場所となっています。一時は住民の離島によって放置された
ヤギが繁殖し、自然破壊がみられましたが、捕獲や駆除に取り組んだことで元の自然が回
復しつつあります。近年においては、クロアシアホウドリの飛来が確認され、保全と活用
に向けた調査を進めています。
八丈支庁管内にある鳥島は、1979年(昭和54年)の八丈町議会において、漁業者から
提出された「鳥島を八丈町に包含する請願書」が全員一致で採択されました。現在でも近
海漁業の避難港としての整備などが求められています。
─ 6 ─
〔今後の方向〕
本島の持つ自然的、社会的特性と住民のニーズに配慮しながら、自然との調和と共生の
なかで、地域の特性を生かし、バランスのとれた開発を行うための土地利用計画を検討し
なければなりません。
坂下地域は市街地形成などを基盤とした計画、坂上地域は樫立・中之郷地域と三原山の
自然公園区域とを結ぶ新しい道路の整備など「エコツーリズム」の空間としての計画、ま
た、景観に恵まれた永郷地区および八丈富士の自然公園区域は、新たな居住空間の創造と
の視点からの計画などを策定していきます。
八丈小島は、釣りやデイキャンプなど観光資源として、また学術調査場所として、上陸
の機会が増える可能性があるため、船着場を整備することを検討します。
〔主要施策〕
◎ 八丈町土地利用計画の策定
・土地利用に係わる協議の場を設け、土地利用計画の策定に向け検討する
◎ 八丈小島に飛来するクロアシアホウドリの調査
○ ゾーニングの推進
「市街地ゾーン」
市街地(商業・工業・住宅・公共)として利用する地域
「コミュニティゾーン」
コミュニティ施設、公園施設などを整備し、コミュニティ活動の拠点とする地域
「農林業ゾーン」
農林業の振興を図る地域
「自然保護ゾーン」
自然保護、資源の回復に努める地域
「マリンゾーン」
海洋資源の保護、海洋レジャー施設などの整備を行う地域
「文化・芸能ゾーン」
伝統・文化を守り、保存していく地域
○ 鳥島の活用
・兵庫湾を避難港として位置づけ、修復整備を関係機関に要望する
○ 八丈小島の活用
・船着場を整備することを検討する
─ 7 ─
2.空港・港湾
伊豆諸島、小笠原諸島航路の拠点基地(HUB)として、大型航空機、大型船舶の
運航が快適で安心できる質の高い航路の実現を目指します。
〔現状と課題〕
空路は1982年(昭和57年)のB737型ジェット機就航以降、2004年(平成16年)9月に
2,000メートル滑走路が完成、翌2005年(平成17年)10月からはA320型ジェット機が就
航し、貨物のコンテナ積載が可能となり輸送力の増強や利便性の向上が図られました。し
かし、
2009年(平成21年)10月からは搭乗率の低迷から減便を余儀なくされ、羽田空港(東
京国際空港)との直行便3便体制となっています。
また、八丈島を拠点としたヘリコミューターは伊豆諸島の島々を結び、特に交通機関の
少ない青ヶ島や御蔵島への住民や観光客の足として重要な役割を果たしています。
空路は産業振興や生活路線としての役割が大きく、路線の維持確保は重要な課題となっ
ています。また、空港ターミナルビルは、構造強度的に問題ないものの、設備の老朽化が
進んでおり、バリアフリー化や外国人来島者に対応するなど、現代のニーズや規模に合っ
た増改築を早急に実施する必要があります。
海路は1978年(昭和53年)から貨客船として海上輸送を担ってきた「すとれちあ丸」
が2002年(平成14年)6月に老朽化のため廃船となり、
代替船として「さるびあ丸」や「か
めりあ丸」が就航、2014年(平成26年)6月からはバリアフリーに対応した新船スーパー
エコシップ「橘丸」が就航し、旧船に比べ貨物積載量も増加しました。
港湾施設は、主要港湾である三根・神湊港(底土港)のほか、一島二港主義の原則のも
とに大賀郷・八重根港も岸壁や周辺環境整備が進み、5,000トン級の船舶が接岸できるま
でになりました。また、2014年(平成26年)7月には、交流施設を備えた神湊港(底土)
船客待合所が完成し、高齢者などの利便性の向上や貨物運搬と歩行者の動線が確保されま
した。
また、趣味の多様化によるヨットやクルーザーの普及とともに、島外からの一時寄港な
どの新しい需要に対しても、
外洋拠点としてマリーナの整備など積極的な対応が必要です。
航空機など
型 式
旅
客
定
員
B737−800
A320
シコルスキー S76C+
166人/ 167人
166人
9人 ※ヘリコミ
─ 8 ─
船舶
船 名
旅 客 定 員
コンテナ積載数
総トン数
34個
5,681トン
沿海区域(御蔵島まで)1,000人
橘 丸
近海区域(八丈島まで) 596人
空港の施設状況
①種別・等級 第3種空港 C級
②空 港 名 東京都八丈島空港
③所 在 地 東京都八丈島八丈町大賀郷
④位 置 北緯33度06分54秒 東経139度47分09秒 標高91.7m
⑤設置管理者 東京都
⑥供 用 開 始 昭和37年5月1日
⑦対 象 機 種 B-737型機・A320型機
⑧政 令 指 定 昭和33年12月25日
⑨告 示 面 積 763,241㎡
⑩運 用 時 間 午前8時∼午後6時
基 本 施 設
滑 走 路
延 長
幅 員
SIWL
舗 装 厚
空
2,000m
45m
24t
30cm
保
安
無
延 長
幅 員
誘 導 路
2,120m
150m
延 長
幅 員
85m
23m
エ プ ロ ン
15,300㎡
B-737型用
3バース
線
施
設
計器着陸施設(ILS)
無指向性無線標識(NDB)
空港対空通信施設(A/G)
リモート空港対空通信施設(RAG)
超短波全方向性式無線標識(VOR)
距離情報提供装置(DEM)
附 帯 施 設
無 線 施 設
航
着 陸 帯
ターミナルビル
駐 車 場
1棟
3,975.44㎡
(鉄骨・鉄筋コンク
リート造 3階建)
20,300㎡
(225台)
附 帯 施 設
航 空 灯 火
進入角指示灯 8基
風向灯 2基
進入路指示灯 11基
簡易式進入灯(中光度含む)
7箇所
エプロン灯 4基
─ 9 ─
東京・八丈島間航空路の沿革
1953年(昭和28年) 青木航空が就航する。
(不定期便)
1954年(昭和29年) 青木航空のセスナ機が就航する。
(不定期便)
1955年(昭和30年) 日本ヘリコプター輸送㈱の双発機(11人乗り)が週2回就航する。
1956年(昭和31年) 青木航空が日本遊覧航空と社名を変更する。
日本ヘリコプター輸送㈱の双発機が週4回就航する。
1957年(昭和32年) 日本ヘリコプター輸送㈱が全日本空輸㈱(以下「全日空」という)
と社名を変更する。
1958年(昭和33年) 八丈島空港(第三種空港)設置許可。
1959年(昭和34年) 日本遊覧航空のヘロン機(15人乗り)が就航し、
初めてスチュワー
デスが乗るようになる。
1960年(昭和35年) 全日空DC3型機(30人乗り)が週2回就航する。日本遊覧航
空のヘロン機が名古屋へ就航する。
1961年(昭和36年) 日本遊覧航空が藤田航空と社名を変更する。
1962年(昭和37年) 八丈島空港供用開始。
1963年(昭和38年) 藤田航空のヘロン機が八丈富士に激突し、19名が死亡する。
藤田航空と全日空が合併し、八丈空路は全日空の運航となる。フ
レンドシップ機(40人乗り)が就航する。
1969年(昭和44年) YS11型機(64人乗り)が就航する。
1972年(昭和47年) 滑走路が1,200mから1,500mに延長され供用開始。
1973年(昭和48年) 名古屋便定期路線開始。
1982年(昭和57年) 滑走路が1,500mから1,800mに延長され供用開始。
B737型ジェット機(126人乗り)が就航する。
ターミナルビル供用開始。
1985年(昭和60年) 名古屋便定期路線休航となる。
1988年(昭和63年) YS11型機を全日空からエアーニッポンに路線移管される。
1989年(平成元年) B737型機を全日空からエアーニッポンに路線移管される。
1993年(平成5年) ヘリコミューター運航開始。
2000年(平成12年) B737−400型機(170人乗り)が八丈島専用機として就航する。
2004年(平成16年) 滑走路が1,800mから2,000mに延長され、9月供用開始。
2005年(平成17年) 八丈空路をエアーニッポンを含む全日空グループが運航する。
A320型ジェット機(166人乗り)が10月から就航する。
八丈島=大島便が10月から定期路線として開設。
2009年(平成21年) 大島経由便が廃止。
─ 10 ─
2012年(平成24年)
B737−800型ジェット機(166人乗り)が10月から就航する。
港湾の整備状況
区 分
種 別
管理者
岸 壁
対象船舶
船客待合所
神 湊
地 方
東京都
310m
5,000t
809.67㎡
八重根
地 方
東京都
230m
5,000t
240.45㎡
区 分
輸送管施設
照明施設
駐車場
荷捌用地
神 湊
一式
NH250w4基
1,914㎡
11,270㎡
八重根
―
HF400w3基
―
―
〔今後の方向〕
(空 港)
「路線の確保など」
路線を維持確保するため、需要喚起を図りながら、運航会社や関係機関に要望していき
ます。
「航空貨物需要への対応」
貨物輸送の大半は船便に依存していますが、郵便小包や宅配便の増加に加えて、花き園
芸品や生鮮食料品などの航空貨物も増加しています。船便欠航時の対策にとどまらず、平
時の輸送においても貨物専用便などの運航を要望していきます。
「臨時便の開拓」
1985年(昭和60年)11月、中部地方からの足として利用されていた名古屋便が廃止と
なりました。現在、国内には97か所の空港があります。観光客や交流人口の増加を図る
ため、実績のある名古屋など、地方空港とを結ぶ臨時便就航の実現に向けた取り組みを行
います。
(港 湾)
「全天候型港湾の整備促進」
大型船が寄港でき、かつ定期船の就航率が高い港を目指して、湾内のしゅんせつを行い
ます。また、定期船の利用客が、船客待合所と定期船乗船口の動線において、荒天時でも
快適に利用できるよう方策を検討します。
「船旅クルーズへの対応」
団塊世代の退職ともあいまって、高級視されていた船旅が注目されています。海外ク
ルーズだけでなく、豪華客船での短期間の近海クルーズも魅力が増しており、伊豆諸島、
小笠原諸島を周遊する豪華客船の寄港を、港湾整備と歩調をあわせて促進します。
─ 11 ─
「外洋型マリーナの整備」
レジャー船舶の寄港に向けた外洋拠点としてのマリーナ施設を既存の港湾施設と併設し
て整備できるよう検討します。
「貨物輸送の改善」
島内貨物移出入の大部分を受け持つ船便輸送の質・量・迅速化に向けて改善策を検討し
ます。
「東京・小笠原諸島航路の経由地としての活用」
小笠原親善訪問として行われている小笠原航路船便の年1回寄港を増便し、定期的に就
航させ、利用者の利便性を向上させます。
〔主要施策〕
(空 港)
◎ 就航率の向上および路線の確保など
・羽田=八丈島路線の維持確保
・空港施設整備事業の推進(着陸帯の拡充、計器着陸用施設、航空機旋回場所)
・航空運賃低廉化への方策検討
◎ 航空輸送需要への対応
・羽田空港の空き時間を利用した貨物専用便の就航の推進
・運賃対策(生活物資の補助)見直しの検討
◎ 空港ターミナルビル増改築の推進
○ 臨時便の開拓
・名古屋など、地方空港とを結ぶ臨時便就航の推進
○ 自家用小型機による空港の利用促進
・自家用小型機専用の駐機場の整備
(港 湾)
◎ 全天候型港湾の整備促進
・湾内のしゅんせつ
・荒天時でも、定期船の利用客が乗下船する際、快適に利用できる方策の検討
・駐車場の拡充整備の促進
◎ 貨物輸送便の改善
・コンテナの質、量の向上促進
・積載能力の増強、輸送管理の改善
◎ 船旅クルーズへの対応
─ 12 ─
・船旅の質の向上、豪華客船の寄港に対応した港湾施設の整備促進(伊豆諸島、小笠原
諸島周遊)
・洞輪沢漁港を利用した渡船の検討
○ 外洋型マリーナの整備
・漁港、商港の有効利用
・附帯施設の整備
○ 東京∼小笠原諸島航路の経由地としての活用対策
・小笠原航路船便の寄港回数の増便
3.道路・交通
住民の快適な生活を守り、緊急時にも対応できる、車と歩行者にやさしい「みち」
をつくります。
〔現状と課題〕
(道 路)
交通機能だけではなく、公共的空間として市街地と調和のとれた道路づくりが求められ
ているなか、通行の安全を図るため行われている一般都道の線形拡幅改良事業は、八丈島
の新しい道路景観となっています。
八丈島を循環する幹線道路として永郷道路・登龍道路の整備や市街地の歩道設置も着実
に進められていますが、
所有者不明により一部未整備となっており、
その対策が必要となっ
ています。これらの幹線道路を補完する生活道路・農道・林道・登山道も整備され、街路
樹や草花の植栽により景観づくりをしています。一方、道路舗装などに伴い排水量が増加
したことで多雨時には排水溝からあふれ、近隣の屋敷や農地などに被害をもたらすことも
あり、道路整備に併せて浸透桝などの整備を進める必要があります。
(交 通)
八丈島内の自動車やミニバイクは、生活に欠かせない個人の足として、また、観光シー
ズンにはレンタカーとして需要が増加してきました。
町営バスで運行する路線は、高齢者の通院や社会参加への手段、高校生の通学方法とし
て公共性が高く、重要な役割を果たしていますが、貸切観光バス利用者数は増加している
ものの、一般乗合バス利用者数の著しい減少が課題となっています。また、かつての離島
ブームに賑わいをみせた定期観光バスも利用者の減少から2010年(平成22年)3月、廃
止となりました。不採算経営のつづく町営バスは、経営改善のため路線の見直し、減車、
─ 13 ─
人員削減が行われ、経費節減に取り組んでいますが、超高齢社会を迎えるなか、運転免許
証を自主返納する高齢者も増えている現状にあり、収支だけで判断できない問題を抱えて
います。
タクシーは、
町営バスとともに公共的交通手段として重要な役割を果たしてきましたが、
観光客の低迷、来島者の移動手段の多様化などの影響を受け利用者が減少しています。
町道の現況(1級、2級は除く)
地域名
長
規格改良済延長
未改良延長
舗 装 延 長
実延長面積
規格改良済面積
未改良面積
舗 装 面 積
142,437
40,461
101,975
50,328
433,019
208,971
224,047
240,145
80,684
32,869
47,814
36,079
311,347
181,861
129,485
183,844
56,245
8,418
47,827
18,410
153,251
36,004
117,246
69,094
44,418
9,352
35,066
14,920
137,895
44,898
92,997
63,962
65,640
7,090
58,549
14,761
158,114
34,366
123,747
59,413
389,424
98,190
291,231
134,498
1,193,626
506,100
687,522
616,458
実
延
三 根
大賀郷
樫 立
中之郷
末 吉
合 計
平成27年3月現在
(単位:延長m 面積㎡)
自動車の台数
舗 装 率
(%)
路線本数
(本)
55.4
365
59.0
186
45.0
144
46.3
110
37.5
141
51.6
946
平成27年4月1日現在
10,000
8,344
8,288
8,370
8,325
8,000
8,178
〈平成27年普及率〉
世帯当
普通車
6,000
軽自動車
2,000
0
1.86台
二輪車
4,000
人口当
1.05台
原 付
平成23年
平成24年
平成25年
平成26年
─ 14 ─
平成27年
町営バスの運行
区 分
総
数
一般乗合
貸切観光
平成22年度
平成23年度
平成24年度
平成25年度
平成26年度
走行距離(km)
146,090
149,926
158,898
155,776
149,728
輸 送 人 員(人)
115,194
119,864
114,588
110,714
104,498
収入金額
(千円)
40,959
52,530
60,322
54,014
45,952
走行距離(km)
127,821
123,099
125,434
125,417
128,286
輸 送 人 員(人)
96,680
96,267
89,114
84,898
84,419
収入金額
(千円)
15,087
14,516
14,026
13,626
13,761
走行距離(km)
18,269
26,827
33,464
30,359
21,442
輸 送 人 員(人)
18,514
23,597
25,474
25,816
20,079
収入金額
(千円)
25,872
38,014
46,296
40,388
32,199
〔今後の方向〕
(道 路)
「主要幹線道路(都道)の整備」
主要幹線道路には、歩道・植樹帯などを設置するとともに、水道・電気・電話線などの
共同溝の敷設を検討していきます。
2009年(平成21年)
、都道に編入された八重根護神線沿線には官公庁や商店も多く、自
動車や歩行者の通行量が最も多い道路であるため、事業の早期着手に向けて都と連携して
取り組みます。
「幹線道路(町道)の整備」
都道を補完する島の動脈であり、駐車場・排水施設などを備えた道路の整備を図ります。
樫立・中之郷地域と三原山の自然公園区域とを結ぶ新しい道路の整備を推進します。
「生活道路の整備」
幹線道路へつながる日常生活に密着した道路として、計画的に整備し通行の安全を図り
ます。
「自転車走行空間の整備」
自然の中で、健康づくりに適し、観光需要にも対応できる自転車走行空間の整備を進め
ます。
「人にやさしい道路の整備」
主要な道路には、できるだけ歩道や植樹帯を設置し、歩行者と自動車の双方に安全かつ
快適な「人にやさしいみち」として整備を進めます。
(交通)
「町営バスの役割」
─ 15 ─
不採算経営が続いているなか、公共交通機関としての町営バスのあり方を検討します。
特に民間事業者へのバス事業の移譲(全部、一部)について、検討します。 また、自家用車などを持たない住民への対応、観光シーズンの貸切バスや来島者の移動
手段としての対策を検討します。
「タクシーの役割」
観光客が利用しやすい施策を積極的に進めることが求められています。バスの及ばない
時間帯、地区を埋め、島内交通網の未整備な部分をカバーする企画の検討が、業界共同で
なされることが期待されます。
「交通マナーの徹底」
安全運転の励行、観光客へのもてなしの心遣いなど、すべての運転者に対し、思いやり
と優しさが求められています。
〔主要施策〕
(道 路)
◎ 主要幹線道路の整備
・八重根護神線の早期完成
・歩道、植樹帯の整備
・坂上地域の都道の拡充と三原山の自然公園区域とを結ぶ新しい道路整備
・水道、電気、電話線などの共同溝敷設の検討
◎ 交通安全施設の整備
・ガードレールなどの計画的整備
◎ 幹線道路の整備
・新規道路の計画的整備
◎ 生活道路の整備
・道路整備計画の推進
◎ 人にやさしい道路の整備
・歩道の設置とバリアフリー化の推進
・街路樹の整備
◎ 道路からの排水処理を目的とした河川・排水路の整備
○ 自転車走行空間の整備
(交通)
◎ バスの役割
・デマンドバスの検討
─ 16 ─
・利用しやすい路線バス編成の検討
・民間事業者へのバス事業の移譲(全部、一部)の検討
◎ タクシーの役割
・乗り合いタクシー、福祉タクシー、軽自動車タクシーの検討
・観光客が利用しやすい環境づくり(車いす対応、大型車の導入など)の検討
・町営バス交通をカバーする企画の検討
・町営バスとの役割分担の検討
◎ 交通マナーの徹底
・自転車の安全な乗り方教室の開催や指導
・八丈町交通安全対策協議会や関係機関との協力体制を確立
・効果的な交通安全運動の推進
道路(町道)の整備計画
事 業 年 度
平成28年度
∼
平成32年度
路 線 名
施工延長(m)
補助事業
樫立中之郷線
1,337
都
中道伊郷名線
600
都
山坪越富士山線
1,050
都
ねぎばな水壷線
900
都
丹沢ケ沢川城羅線
450
都
新道東里線
200
都
阿ら島砂こう屋敷線
90
都
西見山黒金土3号線
650
都
1,100
都
100
都
50
都
藍ケ江線
護神向里線
九蔵金土3号線
交通安全施設整備計画
事 業 年 度
事 業 名
事 業 量
平成28年度
∼
平成32年度
ガードレール
1,000m
カーブミラー
50基
─ 17 ─
備 考
4.水 道
水需要の減少に対応できる合理的な事業経営に努め、災害時でも病院、避難所、防
災拠点へ給水を確保する重要配水路線を整備するとともに、老朽化した管路、施設の
統廃合を考慮した効率的な更新を行い、安全で快適な水の供給に努めます。
〔現状と課題〕
水需要の増加に伴い整備された浄水場などの施設は、更新時期を迎えており、また、地
震に備えた施設や管路の耐震化も課題となっています。しかし、人口減少により水道料金
収入が減り、財源不足が深刻な状況です。
施設の更新については、人口減少や使用水量の減少を考慮し、施設の統廃合や縮小を検
討していきます。災害対策では、水道施設の耐震化とともに、病院や避難所など重要施設
への管路の耐震化を進めます。
安全安心な水を供給するため、維持管理の簡素化などの施設改善や、専門技術者の育成
と技術の継承も重要な課題です。
事業種別給水の状況
平成27年4月現在
項 目
給 水 区 上 水 道 事 業
域
三
根
・
大
賀
簡 易 水 道 事 業
郷
樫 立 ・ 中 之 郷 ・ 末 吉
計 画 給 水 人 口(人)
9,300
2,630
計画1日最大給水量(㎥)
7,500
2,100
水道給水状況
区 分
平成22年
平成23年
平成24年
平成25年
平成26年
給 水 人 口(人)
8,051
8,154
7,947
7,857
7,714
給 水 量(㎥)
1,345,067
1,296,121
1,301,938
1,271,569
1,210,249
料 金(千円)
304,186
296,567
298,938
292,224
282,891
給 水 普 及 率(%)
99
99
99
99
99
1人1日当り給水量(㍑)
458
435
449
443
430
─ 18 ─
平成27年4月現在
区 分
総 数
坂下地区
坂上地区
導 水 管(m)
22,060
9,767
12,293
送 水 管(m)
32,544
20,873
11,671
配 水 管(m)
176,006
134,456
41,550
浄 水 場(箇所)
9
7
2
取 水 ポ ン プ(台)
14
14
0
送 水 ポ ン プ(台)
19
13
6
配 水 ポ ン プ(台)
11
11
0
配 水 池(箇所)
15
10
5
〔今後の方向〕
坂下地区水道事業は、管路の老朽化が進むなか、耐震性の低い管が多く残存しているた
め、配水区域の再編と併せて効率的な更新を行います。浄水場などの設備については設置
後20年を超過したものが多く、故障が多く能力低下が顕著となっているため、計画的な
更新を行います。
坂上地区簡易水道事業は、簡易水道事業統合計画に基づき平成28年度に坂下地区水道
事業と統合することで事業の効率化を図ります。
坂下地区同様に老朽化が進んでいる管路を耐震性能に優れた管路への更新を進めるとと
もに、年間を通して安定した給水を行うために良質水源の開拓や取水施設の改良を推進し
ます。
また、水道維持管理経費などを踏まえた適正な料金設定や、環境・エネルギー対策にお
いて、水源からの高低差を利用した水力発電の導入について検討します。
〔主要施策〕
◎ 快適で災害に強い水道を目指した施設整備
・老朽管の耐震管への更新
・老朽化が著しい大川浄水場の更新
・大川水源の安定取水を図るための取水施設改良
・老朽化が進む坂下地区の主力施設である護神山配水池の更新と配水区域の再編
◎ 水質保全のための管理体制の強化
・濁度管理、導電率計の設置、機器などの更新
─ 19 ─
5.生活排水処理
自然環境の保全と生活環境の向上を図るため、合併処理浄化槽の普及や適性管理の
啓発に積極的に取り組みます。
〔現状と課題〕
現在、生活雑排水は住宅の新築や単独処理浄化槽などからの転換で、増加傾向にある合
併処理浄化槽にて処理されていますが、未だ従来からの敷地内処理をされているものも存
在します。し尿・浄化槽汚泥などの一般廃棄物は、平成24年度より供用開始された汚泥
再生処理センターへ収集運搬され、堆肥化されています。
町は合併処理浄化槽設置整備事業により昭和63年度から平成23年度までに合併処理浄
化槽476基を整備し、平成24年度からは市町村設置管理事業へ事業転換を行い、平成26年
度までに137基を整備しました。
八丈島の生活環境保全、公共用水の水質保全や海洋資源の保護などを図るために、更に
生活排水処理率を向上させることが課題となっています。
八丈町合併処理浄化槽設置実績および計画値
年度
20
21
22
人槽
23
24
25
26
27
28
実 績
29
30
31
32
計 画
5人槽
21
18
11
19
46
28
31
43
43
43
43
35
35
6∼7人槽
4
2
3
4
10
5
4
5
5
5
5
4
4
8∼10人槽
1
0
0
2
2
2
1
2
2
2
2
1
1
11∼20人槽
0
0
1
0
1
1
1
0
0
0
0
0
0
21∼30人槽
1
0
1
0
1
1
1
0
0
0
0
0
0
31∼50人槽
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
計
27
20
16
25
60
39
38
50
50
50
50
40
40
〔今後の方向〕
合併処理浄化槽の普及に向けては、合併処理浄化槽使用料をはじめ、設置者は多額の経
費を負担するため、生活排水処理への理解を得ながら取り組みます。
また、合併処理浄化槽の設置はしたものの、適正な維持管理がされていない物件も見受
けられるため、積極的に啓発を行っていくことで、生活排水処理率の向上を目指します。
〔主要施策〕
◎ 生活排水の適正処理を図るためのPR活動
◎ 合併処理浄化槽の普及促進
─ 20 ─
○ 汚泥再生処理センターの運用
6.公 園
だれもが気軽に行ける憩いの場として、住民の健康増進と健全なレクリエーション
の促進を図り、公園の整備を積極的に推進して、快適な生活環境を創造することを目
指します。
〔現状と課題〕
八丈島は、1964年(昭和39年)7月、国立公園に編入され自然公園法による土地利用
への制限が設けられましたが、1984年(昭和59年)5月、住民の住環境や生産性を高め
る地域の必要性から普通地域が拡大され、規制が緩和されました。
都立八丈植物公園は、1962年(昭和37年)
「熱帯植生生態園」として開園し、現在では
ビジターセンターや大型温室、展望台、児童遊園地が整備されたほか、隣接地には多目的
広場として大賀郷園地も開園しています。温暖な自然特性を生かしながら、八丈島をはじ
め世界の亜熱帯・熱帯植物を広く紹介することにより、野鳥や植物に親しみ理解する場を
提供しています。今後は、本島独自の資源である「光るキノコ」などを更に有効活用し、
住民や観光客が一層楽しむことのできる公園として整備していくことが望まれています。
南原スポーツ公園は、2007年(平成19年)に天然芝のサッカー場、2012年(平成24年)
に人工芝の野球場、芝生公園、ジョギングコースを兼ね備えたスポーツ公園として整備し
ました。
今後は、サッカー場や野球場などの活用を図るため、スポーツ交流や合宿に対応できる、
屋内運動場などの施設整備を検討する必要があります。
また、島民と島を訪れる人たちとのコミュニケーションを深めるイベントができる施設
など、多様なニーズに対応する公園整備が求められています。
自然公園地域地区別指定面積(小島を含む)
区 分
特 別
保護区
第 一 種 第 二 種 第 三 種
普通地域
特別地域 特別地域 特別地域
面積
(ha)
20
341
476
4,644
比率
(%)
0.3
5.1
7.1
69.5
─ 21 ─
計
公園区域
外 地 域
合 計
1,199
6,680
582
7,262
18
100
都市公園などの面積
施 設 名
管理者
面 積
東京都立八丈植物公園
東京都
224,068㎡
底
地
東京都
987㎡
散歩、休息、遊戯
場
東京都
13,145㎡
野営、炊事、休息
地
東京都
8,600㎡
地
東京都
12,232㎡
地
東京都
1,851㎡
地
東京都
48,448㎡
散歩、休息、遊戯
護 神 山 公 園( 護 神 山 緑 地 )
八丈町
12,438㎡
都市計画緑地、散歩、休息
底
園
八丈町
14,720㎡
都市計画公園、散歩、休息
南 原 ス ポ ー ツ 公 園
八丈町
59,797㎡
都市公園、サッカー場、野球場
八
園
八丈町
26,016㎡
園
八丈町
15,000㎡
土
底
土
南
野
原
大
潟
登
浦
賀
園
園
郷
土
丈
営
園
龍
大
和
園
海
プ
泉
園
浜
ラ
親
ザ
水
公
公
公
備 考
散歩、休息、遊戯、鑑賞
散歩、休息
散歩、休息、遊戯
散歩、休息
都市公園、散歩、休息、遊戯、野営、
炊事
散歩、休息
神
湊
児
童
遊
園
地
八丈町
1,447㎡
散歩、休息、遊戯
稲
葉
児
童
遊
園
地
八丈町
2,221㎡
散歩、休息、遊戯
八 重 根 児 童 遊 園 地
八丈町
818㎡
散歩、休息、遊戯
大
里
児
童
遊
園
地
八丈町
730㎡
散歩、休息、遊戯
樫
立
児
童
遊
園
地
八丈町
968㎡
散歩、休息、遊戯
〔今後の方向〕
都立八丈植物公園は、文化・コミュニティゾーンの場として、施設の充実を図るととも
に、隣接する大賀郷園地や多目的広場も含め、有効なPRによる利用促進を進めます。
南原スポーツ公園は、雨天時の対策、島外からの合宿なども視野に入れた多目的屋内運
動場の施設整備を進めます。
また、公園の維持管理を含めた運営計画を策定するとともに、コミュニケーションを深
めるイベントができる施設の整備を検討します。
〔主要施策〕
◎ 都立八丈植物公園の整備促進
・住民などの文化・コミュニティゾーンとして整備促進
・八丈島特有の花木の植栽、特にフェニックスロベレニーの群生林を整備し、これに寄
生する「光るキノコ」の観光利用の充実
◎ 公園運営計画の策定
◎ 公園の案内・サインの充実
─ 22 ─
◎ キャンプ施設の充実と利用促進
◎ 多目的屋内運動場の整備
○ 公園内に「ドッグ・ラン場」や「スケートボード場」設置の検討
○ 「浜遊び」や「イベント」のため、乙千代ヶ浜、ヤケンガ浜、大潟浦園地など施設整
備促進
・雨天時にも使用できる施設の検討
7.住 宅
自然環境との共生を図り、災害に強いゆとりある居住空間を確保します。
〔現状と課題〕
少子・高齢化社会を迎え、ゆとりある住宅環境を実現していくことが望まれています。
良質な住宅を確保するため、老朽化している既存町営住宅の建替えや長寿命化に取り組む
必要があります。
また、高齢者にも住みやすいバリアフリー住宅や子育て世帯が定着するような新しい住
宅を供給していかなければなりません。さらには、都会から移住してくるI・Uターン者
対策として住宅の提供や情報発信に取り組みます。
人口減少化にともない空き家が増加しており、危険建物の対策や有効的な活用方法を図
るため、全島的な状況を把握することが課題となっています。
町営住宅の現況
平成27年度(単位:戸)
構 造 別 戸 数 内 訳
地 域 別
三
大 樫
中 末
木造平屋
簡易耐火
耐 火
戸 数 計
根
0
20
183
203
賀 郷
0
0
116
116
立
17
8
0
25
之 郷
25
8
15
48
吉
6
0
23
29
48
36
337
421
計
─ 23 ─
民有家屋棟数
区 分
総 数
個 人 所 有
法 人 所 有
総 数
木 造
木造以外
5,613棟
4,144棟
1,469棟
(97.1㎡)
(80.9㎡)
5,049棟
(86.3㎡)
3,971棟
(80.6㎡)
564棟
(196.0㎡)
173棟
(88.8㎡)
(142.7㎡)
1,078棟
備 考
( )内は1棟あたり
の平均床面積
(107.7㎡)
391棟
(237.6㎡)
〔今後の方向〕
「町営住宅の長寿命化」
町営住宅を安全で快適な住まいとして維持するため、建替え計画、長寿命化に関する計
画などを策定し、良好な住宅ストックの形成と確保を推進するとともに、維持管理に必要
な経費の縮減を図ります。
「住宅設計指針の策定」
まち並みづくりや風土にあった建築方法などについて独自の設計指針を研究、策定しま
す。
「空き家・移住定住対策」
防災面、防犯面、衛生面で地域住民の生活環境への深刻な影響を与えていることのない
よう、また、空き家の積極的な活用について取り組みます。
移住希望者が利用できる移住体験住宅を整備することや、空き家を含めた移住定住に関
する情報発信を推進します。
〔主要施策〕
◎ 町営住宅の管理・利用
・町営住宅の長寿命化
・年齢、世帯構成にあわせた多様な町営住宅を建設し、弾力的利用を図る
・I・Uターン者に対する情報発信
◎ 空き家状況の把握と、積極的な活用
◎ 防災面、防犯面、衛生面に問題のある空き家住宅への対応
◎ 空き家バンクなどの検討と情報発信の充実
○ 住宅設計指針の策定
・災害に強く、高齢者などに考慮した建物の建築
・住宅のデザイン、カラーの整合性の検討
・防風林対策、白アリ防除対策
─ 24 ─
町営住宅建設計画
全
体
計
(単位:戸)
画
現
有
425
状
況
平 成 28 年 ∼ 32 年
建
替
421
廃
止
32
建
設
計
画
36
※ 現有状況は、平成26年度末
8.景 観
八丈島らしさのなかで、まもる景観とつくる景観に配慮したまち並みをつくります。
〔現状と課題〕
島内は、市街地の道路沿いにケンチャヤシが植栽され、都市計画道路では全区間統一し
たビロウヤシが八丈島らしい印象を与えています。景観はその「まち」の個性でもあり、
それぞれの「まち」の個性的な方法で行われなければなりません。
現在、都道216号線(三根地域から坂上地域)は歩道の設置が進められ、従来のまち並
みから新しい八丈島の景観が創出されようとしています。一方で、大里地区に代表される
玉石垣や坂上地域の自然石垣などは保存すべき景観として、その対策を検討していかなけ
ればなりません。
観光地「八丈島」として、また快適な生活環境の条件として景観からのまちづくりを主
張していく取り組みが必要です。
〔今後の方向〕
「景観からのまちづくり」
八丈島らしさの自然的景観のなかで、
「まもる」景観と「つくる」景観を柱に、景観条
例を策定していく必要があります。
「歴史的建造物、巨樹、古木、花木などの保存と利用」
大里地区や坂上地域の玉石垣、島の景観を特徴づける生け垣や石垣は、地区住民の意見
を聞きながら保存方法を検討していきます。
高倉や古民家などの歴史的建造物、巨樹、古木、花木などは、文化財として保存し、周
辺環境と合わせて活用します。
〔主要施策〕
◎ 景観からのまちづくり
・景観条例の策定
─ 25 ─
・花・緑化の推進
・玉石垣、自然石垣、生け垣の保存・普及検討会の設置
・水辺の創出
・廃屋の整理
・電柱類の地中化の検討
◎ 歴史的建造物、巨樹、古木、花木などの保存と利用
・ふるさと村の活用
・古民家の再生活用
9.電気・通信
文化的な生活を継続的に営むために、自然エネルギーを利用した電気の安定供給の
確立と、災害時にも途絶することのない通信設備の確保に努めます。
〔現状と課題〕
(電 気)
電力は、内燃力発電を中心に、最低限の需要を担う地熱発電と合わせて供給され、家庭
と産業の需要に効率よく応じられる体制が整備されています。
地球環境にやさしいエネルギーのあり方が全国的に模索されるなか、先駆的な島として
地熱発電の推進が望まれています。加えて、地域のエネルギーを地域でまかなう「エネル
ギーの地産地消」の観点からも、新たな自然エネルギーの実用化に向けた可能性を検討す
ることも必要です。
(通 信)
日進月歩で進展する情報通信技術(ICT)のなかで、島内においてもパソコンや携帯
電話などを利用した情報収集や情報交換、インターネットによる物品売買も定着していま
す。2007年(平成19年)には新たな海底光ケーブル(三浦∼八丈島)が敷設され、大容
量の高速通信回線の増強と通信ライフラインの安定供給が図られました。
しかし、今後さらに高度化する通信手段への対応や、携帯電話の不感地域解消のため、
引き続き通信設備の整備を関係機関に要望していかなければなりません。
〔今後の方向〕
「電力の新しい活用」
一般家庭においてハイブリッド自動車、電気自動車や電気アシスト自転車の普及率が高
まっています。庁用車のハイブリッド化や電気自動車の試験的導入、観光客を対象とした
─ 26 ─
電気アシスト自転車など、クリーンアイランドに向けた取り組みを検討します。
「公衆用通信環境の拡充」
携帯電話網が普及してきたとはいえ、島内ではサービス提供していない通信事業者もあ
り、とりわけ海外の通信事業者では、日本国内で使用できないものが多数です。外国人旅
行者が増加しているなか、八丈島の情報がさらに広まることも期待できるため、公衆用通
信環境の拡充を推進し、利便性の向上を図ります。
「防災対策」
災害時には、避難所開設や災害対策上の情報の収集・交換・伝達をはじめ住民の安否確
認など、平常時とは比較にならない電力供給や通信需要が予想されます。また不測の事態
も想定しておかなければなりません。
電力供給や通信網について、非常時のシステム構築を図るとともに、施設の防災対策に
ついて万全を期するよう関係機関に要望し、連携体制を整備します。
〔主要施策〕
◎ 電力の新たな活用の検討
・庁用車のハイブリッド車、電気自動車(EV)への転換
◎ 情報・通信システムの構築
・情報通信ネットワークシステムの検討
・公衆無線LAN整備の推進
・携帯電話の不感地域解消対策の推進
・サービス未提供携帯電話関連企業の積極的誘致
◎ 安定した電力供給のための施設整備促進
◎ 自然エネルギー開発の推進
○ 定期船内の公衆無線LAN整備の要望
10.自然エネルギー
地域経済活性化、エネルギーの自立、地球環境にやさしい島の実現を目指し、地域
の財産である自然エネルギーの研究、調査を進めます。
〔現状と課題〕
全国離島で初めての地熱発電所が1999年(平成11年)3月に運用を開始し、内燃力発
電の燃料削減が図られています。
2014年(平成26年)4月より「八丈町地域再生可能エネルギー基本条例」が施行され
─ 27 ─
ました。この条例では、地域に存在する自然エネルギー資源が島民の財産であることを前
提に、資源の活用による地域経済の活性化をはじめ、地球環境負荷の低減やエネルギーの
自立に向けて取り組むという理念を宣言しています。
この理念の下、実績のある地熱の更なる活用のほか、地域に存在する様々な自然エネル
ギーの活用が求められています。
〔今後の方向〕
全世界で現状の化石燃料によるエネルギー依存型社会から再生可能エネルギー型社会へ
の転換が進められています。
地球環境負荷の低減はもとより、自然エネルギーの活用による地域経済の活性化やエネ
ルギーの自立といった観点を含めて、八丈島の特性を生かした地熱発電の利用推進を主軸
とするとともに、他の自然エネルギーの調査、研究も進めていきます。
〔主要施策〕
◎ 地熱の利用促進
◎ 地熱以外の再生可能エネルギーの調査、研究
◎ 自然エネルギーの利活用に関するロードマップの作成
11.防犯・防災
住民の誰もが犯罪や災害などの危険から、安心安全な生活を確保できるように、防犯・
防災体制をより、強固なものにします。
そのために、町は関係機関との連携の強化を図るとともに、地域住民活動も促進支
援します。また、住民自らの安全意識の向上に努めます。
⑴ 防 犯
〔現状と課題〕
情報化社会など社会情勢が大きく変化したことにより、多種多様な犯罪が発生してい
ます。防犯活動を推進し、
犯罪のない明るいまちづくりに取り組まなければなりません。
─ 28 ─
犯罪の発生件数の推移
40
少年事案
取り扱い件数
37
5
0
28
2
27
1
26
平成23年
平成24年
平成25年
平成26年
28
30
グラフの上の
数字は総数
0
20
10
0
平成22年
〔今後の方向〕
町は、住民・地域・警察と連携して、防犯活動を推進し、犯罪の発生抑止に努め安全
活動に取り組みます。特に青少年対策として、八丈町青少年問題協議会、八丈町青少年
対策地域委員会および八丈町防犯協会などと連携して、
健全育成活動を進めます。また、
夜間の犯罪や事故抑止策の一環として街路灯の設置を進めます。
〔主要施策〕
◎ 各関係団体と連携した防犯体制の強化(八丈町青少年対策連絡会)
◎ 八丈島防犯協会活動の推進
◎ 八丈町青少年対策地域委員会活動の推進
◎ 街路灯の設置促進
◎ 地域内の連絡、連携による防犯意識の向上
街路灯の設置状況
区 分
柱 の 種 類
鉄 柱
東電柱
三 根
127
425
大賀郷
120
樫 立
電 気 の 種 類
LED
53
589
16
277
23
330
10
22
107
7
136
中之郷
40
173
17
229
1
230
末 吉
33
78
9
118
2
120
342
1,060
109
1,402
29
計
─ 29 ─
水銀灯
合 計
蛍光灯
合
NTT柱
605
80
420
136
80
1,511
⑵ 防 災
〔現状と課題〕
町では、家屋の崩壊など大きな被害を受けた1975年(昭和50年)10月5日の「台風
13号」を機に、
「八丈町台風及び地震等の災害予防に関する条例」を制定し、防災対策
を強化しました。
2000年(平成12年)の三宅島の噴火、2011年(平成23年)の東日本大震災、2013年(平
成25年)の大雨による伊豆大島の大規模土砂災害など、これまでの防災体制を見直さ
ざるを得ないような災害が、全国的に続いています。
これらの災害の経験から、大規模災害の初期においては、行政の手が十分に行き届か
ない「公助の限界」が明らかとなってきています。自分の命は自分で守る「自助」
、地
域や身近にいる人同士が助け合って取り組む「共助」が、被害軽減の大きな力になりま
す。災害の発生を防ぐことはできませんが、被害を軽減させることは可能であり、住民
一人ひとりが、防災への関心を高め、地域の防災力を高めていくことが重要です。
〔今後の方向〕
災害に対して実効性のある対応が可能となるよう、地域防災計画の充実を図り、住民
が安心して暮らすことができる、また観光客などが安心して訪れることができる、災害
に強いまちづくりを進めます。
大規模な災害が起こったとき、被害を軽減させるためには、
「自助」
「共助」
「公助」
がうまく連携することが重要になります。防災訓練などを通じて、
要支援者の避難など、
地域コミュニティによる「共助」の機能強化や、防災関係機関との連携が図れるよう対
策を進めていきます。
避難所となる各施設の安全性の向上を図り、非常用食糧などの管理や、円滑に避難所
が運営できるよう体制整備に取り組みます。
〔主要施策〕
◎ 地域防災計画の内容の充実
・地域自主防災組織の整備
・防災訓練の充実
・災害時の行政、事業所、住民との連携の確立
・高齢者や障害者などの災害弱者救出体制の強化
・防災マニュアル・防災マップの充実および避難所案内表示板などの整備
◎ 防災行政無線による情報の伝達・収集の迅速化
・情報伝達システムの整備拡充
─ 30 ─
・行政防災無線更新の検討
◎ 非常用の食料、水、燃料などの備蓄、防災倉庫の建設
◎ 東京都ならびに他の地方公共団体との相互応援協定
◎ 過去の災害から得られた教訓の伝承
◎ 坂上地域に災害時拠点の整備検討(本庁舎のサブ拠点)
⑶ 消 防
〔現状と課題〕
通信体制の強化を図るため、
消防救急無線のデジタル化工事を行っており、
2016年(平
成28年)に完成し運用開始する予定です。火災防御活動および災害活動時における初
動態勢については、消防職員や団員の連携のもと確立されつつありますが、近年におけ
る消防団員数の減少が懸念されています。2013年(平成25年)より、消防団活動を支
援するための機能別消防団員制度を発足させ、火災や災害時の消防団活動を補完し、消
防活動の充実を図っています。
防火水槽については計画的に整備をしているものの、用地の確保が課題となっていま
す。
非常備消防の現況
平成27年4月現在
団 本 部
三
根
大 賀 郷
樫
立
中 之 郷
末
吉
計
団 長
1
1
副
団
長
2
2
分
団
長
1
1
1
1
1
5
副分団長
1
1
1
1
1
5
部 長
1
7
6
4
5
4
27
班 長
1
20
19
10
12
7
69
団 員
14
40
28
18
27
10
137
5
8
8
5
9
35
19
74
63
42
51
32
281
20
85
75
45
60
45
330
機能別団員
計
定 数
─ 31 ─
消防水利施設の現況
平成21年4月現在
区 分
三 根
大 賀 郷
樫 立
中 之 郷
末 吉
40㎥以上
65
63
21
23
19
40㎥未満
4
14
1
4
2
計
69
77
22
27
21
消 火 栓
6
7
1
6
詰 所
1
1
1
1
分 所
1
器 具 置 場
1
防火水槽
1
1
災害発生状況(平成26年中)
火
災
発
件
焼
羅
災
世
数
8件
失
403㎡
帯
5棟
消防出動状況(平成26年中)
種 別
回 数
出動人員
備 考
火 災
8
341
建物火災 5件、林野火災 1件、その他 2件
捜 索
3
86
警 防 訓 練
44
1,394
操法訓練、夏季訓練、空港消火救難訓練ほか
警 戒
33
1,739
定期巡回、年末年始夜警、花火警戒ほか
そ の 他
27
483
計
115
4,043
行方不明者捜索など
幹部会ほか
救急活動状況
年 別
総 数
水 難
交 通
一般負傷
加 害
急 病
そ の 他
平成22年
423
2
17
52
3
288
61
平成23年
443
1
13
68
3
296
62
平成24年
411
6
12
75
4
264
50
平成25年
471
4
20
75
8
298
66
平成26年
425
1
25
60
0
267
72
〔今後の方向〕
消防職員および消防団員に対する教育訓練を継続し、人材の育成を図ります。また、
消防団員の増強を図り、機能別消防団員を十分に活用し、住民の生命、身体、財産を保
護することに万全を期さなければなりません。
─ 32 ─
〔主要施策〕
◎ 消防組織の充実(団員の確保など)
◎ 消防施設、資機材の充実
◎ 救急救命士の養成
◎ 消防職員の資質向上のための研修、訓練の実施
◎ 民間救急技能者の養成
・自動体外式除細動器(AED)などの実技講習会開催
・民間施設へのAED設置の普及促進
◎ 住宅火災警報器・消火機器の設置促進
◎ 防火対象物に対しての消防法令設置基準に基づく消防設備などの設置促進
◎ 特定防火対象物への立ち入り調査の強化
◎ 防火水槽の計画的整備
常備・非常備消防施設整備計画
名 称
計画目標
現有数量
H28 ∼H32
整備計画
備 考
消防ポンプ自動車
7
7
2
大賀郷分団、三根分団
救
車
2
2
1
平成30年度消防本部
小 型 動 力 ポ ン プ
2
3
槽
312
220
防
急
火
水
器
具
置
き
場
1
1
照
明
電
源
車
3
2
線
40
40
消
防
無
─ 33 ─
15
1
毎年度3基設置
坂上分団
第2 あたたかい町(生活像)
ふれあい、支え合う、優しさあふれる町として、町民が人権を尊重し合い、住み慣れた
地域で暮らし続けることができるよう、バリアフリーの考え方を基本としたまちづくりを
推進します。
八丈町社会福祉協議会が作成した「第2次みつわ計画」とともに、
誰もが生きがいを持っ
て安心して生活のできる社会の実現を目標に、保健・福祉・医療との連携を強化し、福祉
の向上を目指します。
1.社会福祉
すべての町民が年齢や性別、障害の有無にかかわりなく、互いに尊重し合い、生き
生きと暮らすことのできる福祉のまちづくりを充実させていきます。
⑴ 児童福祉
〔現状と課題〕
出生数の減少、核家族化、地域の関係の希薄化、女性の就労率向上による保育ニーズ
の増大など、子どもを取り巻く環境は大きく変化し、保育園、子ども家庭支援センター
および放課後児童クラブの果たす役割は、更に大きいものとなっています。また、ひと
り親家庭や、核家族化による子育ての孤立感、子育て力の低下などで育児に不安を抱え
ている家庭が少なくありません。育児疲れやその他さまざまな不安や悩みなどを、身近
に相談できる相手がいないことも原因のひとつと考え、
「八丈町子ども・子育て支援計画」
では、
“みんなで子育て・島育て”を基本理念とし、安心して子どもを産み育て、子ど
もと親が一緒に成長するための環境を整備し、妊娠期から子育て期までの切れ目のない
支援を目指したさまざまな事業を展開していきます。
保育所の状況
(平成27年8月1日現在)
名 称
建設年度
施設
面積
(㎡)
敷地
面積
(㎡)
措置
児童数
(名)
定 数
(名)
保育士
(名)
調理員
(名)
む つ み 保 育 園
昭和60
639.20
2515.78
49
100
6
1
むつみ第二保育園
平成14
813.35
3417.28
70
100
7
1
若 草 保 育 園
昭和52
709.04
2108.66
71
120
6
2
あおぞら保育園
平成23
977.26
2967.45
35
102
7
2
─ 34 ─
〔今後の方向〕
未来を担う子どもたちが健やかに成長できるよう、子どもと家庭を地域や社会全体で
見守り、応援する“みんなで子育て・島育て”の環境づくりを進めます。子ども家庭支
援センターの周知・啓発に努め、来所しやすい環境整備と各種相談体制の強化により、
不安や悩みに対する迅速・適切な対応を今後も続けます。また、支援が必要な家庭には
他機関とも連携し、必要な助言・指導・支援などを行います。
〔主要施策〕
◎ 保育施設の充実
◎ 子育て支援の強化
・児童相談体制の強化
・妊婦相談、育児相談
・要保護児童、要支援家庭への多様なニーズに対応した指導・支援
◎ 八丈町子ども・子育て支援計画に基づく保育環境整備
◎ 放課後児童クラブの放課後児童支援員配置(都知事認定)
◎ 他機関との連携強化
・子育て支援にかかわる関係機関とのネットワーク強化
◎ 子育て情報の発信・充実
・妊娠期から子育て期までの必要な行政手続きや、さまざまな子育て情報などの発信
と内容の充実
⑵ 高齢者福祉
〔現状と課題〕
人口減少に伴い高齢化率も上昇し、要支援・要介護認定者も増加傾向にあります。全
国的に介護サービス利用者、介護給付費は増加しており、介護予防事業の見直しによる
介護給付費上昇の抑制を図るなど、介護保険制度を維持していかなければなりません。
高齢者の増加に比例し、
一人暮らし高齢者や高齢者のみの世帯が増えている状況にあり、
高齢者が地域の中で孤立することがないよう、関係機関と地域住民の協力による連携強
化が重要となります。
また、国は認知症施策の推進を掲げており、認知症初期集中支援チームや、認知症地
域支援推進委員を2018年(平成30年)4月までに地域包括支援センターなどに原則配
置することとなっていますが、配置するには医療系職員などが必要であり、人材の確保
が重要な課題となります。介護職員についても、全国的に不足しており、介護職員初任
者研修を定期的に実施し、島内外から介護職員の確保に努める必要があります。
─ 35 ─
要支援・要介護認定者数
平成27年4月現在
地区別
三 根
大 賀 郷
樫 立
中 之 郷
末 吉
住所地特例
計
人 数
214
269
43
44
35
7
612
介護保険・老人福祉事業の現況と従業員数調
施
設
数
定
員
介
護
支
援
専
門
員
平成27年4月現在
特別養護老人ホーム
1
100
1
養護老人ホーム
1
40
居宅介護支援事業所
2
-
短期入所施設
1
20
9
(5)
(3)
通所介護(予防)事業所
4
63
16
(5)
(7)
訪問介護事業所
(基準該当事業所を含む)
2
-
41
(17)
(24)
訪問入浴事業所
1
-
9
(1)
(5)
福祉用具貸与・販売事業所
1
-
1
-
地域密着型認知症対応型
通所介護事業所
3
34
計
17
-
看 護 師
そ
の
他
合
計
(Aの
うちB
を除く、
初任者
研修・ヘ
ルパー
2級修
了者)
51
(22)
(16)
4
17
73
7
(4)
(2)
1
10
18
2
10
1
2
12
3
18
37
2
43
1
17
6
6
全
数
A
介護予防支援事業所
(地域包括支援センター)
介護職員
(Aの
うち介
護福祉
士)B
8
2
11
7
1
3
21
(6)
(9)
1
12
34
154
(60)
(66)
18
70
253
※従業員数には、非常勤職員などを含む。
シルバー人材センター会員数及び年齢構成
区 分
会員数(人)
60∼69歳
70∼79歳
平成27年4月現在
80歳以上
計
男
女
男
女
男
女
男
女
計
63
41
68
66
21
22
152
129
281
─ 36 ─
八丈町の高齢者の推移予測(65歳以上)
平成27年4月現在
(人)
3,500
75歳以上
3,000
2,914
2,922
2,928
2,950
1,511
1,517
1,522
1,539
1,689
1,403
1,405
1,406
1,411
1,086
2,775
65∼74歳
2,500
2,000
1,500
1,000
500
0
平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成32年度 平成37年度
〔今後の方向〕
介護保険法の改正により、要支援者に対する介護予防給付(訪問介護・通所介護)に
ついては、平成29年度に地域支援事業に移行します。多様な主体による柔軟な取り組み
により、効果的かつ効率的にサービスを提供できるように努めます。
新たな地域支援事業では、従来の介護予防事業を見直し、一次予防と二次予防事業対
象者を区別しない、人と人のつながりを通じた通いの場などが、継続的に機能するための
地域づくりが求められます。島内にある資源を活用した要支援者への自立支援など、高齢
者が健康でいきいきとした生活を継続することができるよう、地域住民、関係機関と連携
し検討します。
〔主要施策〕
◎ 介護保険制度のあり方
・保険者と事業者を含む関係機関との連携強化
・介護サービスの促進、充実
◎ 新しい介護予防・日常生活支援総合事業の検討
・予防重視型システムの構築
◎ 高齢者生きがい対策、介護予防施策
・老人クラブ活動への支援、地域との交流促進
・シルバー人材センターの活用
◎ 介護従事者の育成、確保
◎ 高齢者に対する活動
・老人クラブ、社会福祉協議会などによるボランティア組織づくりの促進
─ 37 ─
・認知症サポーター講座の実施
・見守りネットワークの構築
◎ 認知症施策の推進
⑶ 障害者福祉
〔現状と課題〕
八丈町には、障害者の通所施設として、主に心身障害者(児)向けの「ちょんこめ作
業所」と、主に精神障害者向けの「フェニックス」
「相談支援のびのび」があります。
各施設とも、多くのボランティアの協力を得ながら、それぞれの活動を通して生活機能
の向上と社会参加・復帰の促進に努めています。
また、心身障害者(児)のグループホームと精神障害者のグループホームがあります。
これらの施設は自立した生活に向けての日常生活訓練の場であり、今後もこれらの施設
が充実した支援を行えるよう安定した運営を継続するため、引き続き支援をしていく必
要があります。
障害者の高齢化が進み生活スタイルの変化が現れており、その対応が求められていま
す。
〔今後の方向〕
ノーマライゼーションの理念のもと、さまざまな障害に対応できる地域づくりと、障
害者の社会参加、平等を目指して、不利益を受けずに生きがいを持った地域生活を送る
ことができるよう支援します。
介護保険サービスと連携するなど、利用者の高齢化に対応し、住み慣れた八丈島で生
活を続けられるよう支援していきます。
〔主要施策〕
◎ 相談支援体制の充実
◎ 権利擁護の推進
・虐待防止
・差別禁止
・成年後見制度の利用促進
◎ 障害者や障害者支援制度の理解促進
◎ 就労支援
◎ 障害者支援を担う人材育成
◎ 災害時の避難体制の確立や避難所の確保、周知
─ 38 ─
◎ 在宅生活者への支援
・ホームヘルプサービスの推進と継続
◎ 通所施設の運営支援
◎ グループホームの運営支援
◎ 他地域グループとの交流の継続
◎ バリアフリー化の推進
⑷ 生活保護
〔現状と課題〕
生活保護は、さまざまな原因にもとづく生活困窮者になされる経済的援助です。
八丈町での生活保護の実態は、人口構成の高齢化にともない受給世帯が高齢者単独世
帯の比率が高いことと、傷病などでの収入の減により医療費負担の関係から保護を受給
している人が多いことです。被保護世帯177世帯、216人(平成27年4月1日現在)で
保護率は人口比2.83%、東京都や島しょ平均と比較すると高い比率を示しています。
(参考)保護率 東京都2.19% 島しょ 2.07%
〔今後の方向〕
生活保護法適用者に対しては、経済的な援助ばかりでなく、自らが生活を自立するよ
う就労などに努力を求める指導、支援を行っていくことが肝要です。
〔主要施策〕
◎ 生活に困窮している人を自立させるための援助や指導の実施
⑸ 国民健康保険
〔現状と課題〕
国民健康保険は、医療保険制度の中で地域保険として町民の医療保険上不可欠な事業
であり、平成27年3月31日現在、町民の2,160世帯(49.05%)
、3,447人(44.44%)が加
入しています。
八丈町国保は、加入者は年々減少しているものの、年齢構成において高齢者割合の増
加による医療費負担を受け、構造的に極めて厳しい状況にあります。
─ 39 ─
被保険者医療費給付状況
(単位:千円)
年 度
費用額
保険者負担分
一部負担金
他法負担金
平成21年度
916,459
664,207
221,914
30,338
平成22年度
1,019,155
736,255
249,391
33,509
平成23年度
921,169
668,260
221,513
31,396
平成24年度
1,008,469
732,061
244,045
32,363
平成25年度
1,003,941
731,136
243,855
28,950
医療費費用額内訳(島内・島外、受診区分別)
(単位:千円)
平成24年度
3,077
8,828
34,753
67,610
13,404
37,279
13,316
1,759
入 院
入 院 外
79,165
84,439
歯 科
調 剤
327,838
337,001
(島内)合計 530,434
食事療法
柔道整復
そ の 他
(島外)合計 478,035
平成25年度
2,230
7,944
45,639
60,090
14,607
41,510
9,393
2,719
入 院
入 院 外
75,003
歯 科
81,687
349,072
314,047
調 剤
食事療法
柔道整復
そ の 他
(島内) 合計504,953
(島外) 合計498,988
〔今後の方向〕
今後も加入者は年々減少していくものの、高齢者の人口割合の増加による医療負担費
の増加傾向が見込まれます。給付と負担の公平化を図るための医療保険制度の抜本的改
革に期待しながら、滞納処分など収納率向上による収納増および病気予防に着目した健
康増進事業を推進し医療費減を図ります。
─ 40 ─
また、2018年(平成30年)に予定されている市町村国保の都道府県化など医療制度
のあり方について、今後とも社会情勢や国の動向を十分注視しつつ、適宜適正な事業運
営に努めます。
〔主要施策〕
◎ 国民健康保険制度健全化のため、都道府県移管を見据えつつ制度改善・強化の要望
◎ 国民健康保険税の適正な賦課、並びに収納の確保、特に滞納者への徴収の強化と資
格証明書の発行
◎ 医療費の実態について周知を図り、適正受診および健康管理の必要性について意識
の高揚を促すため、医療費通知を継続実施
◎ レセプト点検による適正給付、多受診などの調査、指導
・広報などによる多受診の防止PR
◎ 特定健診・特定保健指導のPR
2.医療・保健
疾病の予防、地域医療の充実を図り、町民一人ひとりの健康を守り、健やかな暮ら
しのできるまちづくりを進めます。
〔現状と課題〕
母子保健事業には、妊産婦健診をはじめ乳児、1歳6か月児、3歳児健診や歯科健診(1
歳児、1歳6か月児、2歳児、3歳児、4歳児)などの健診事業があり、このほかにも両
親学級、産婦と新生児の訪問などを実施しています。
健康増進事業としては、生活習慣病予防に着目した特定健康診査や特定保健指導、がん
検診、骨粗しょう症検診などの実施、健康教育、健康相談、機能訓練なども継続して行っ
ています。また、65歳以上の方に対しては、介護保険法における地域支援事業(介護予
防事業)として、介護予防に資する事業を実施してきました。これらの乳幼児から高齢者
までの健康に関する事業は、八丈町保健福祉センターで行っており、住民にとって健康づ
くりの拠点となっています。
また、栄養摂取に関する知識の普及、地産地消の推奨などを掲げた八丈町食育推進計画
に基づき、食育の推進を行っています。
母子保健事業では、母子の健康管理や相談、疾病の予防策、各種感染症対策の内容の充
実および既存事業の更なる強化を図り、より広く精度の高い保健事業へと昇華させる必要
があります。
─ 41 ─
健康推進事業では、
壮年期からの健康管理と健康保持のための施策を実施していますが、
住民一人ひとりの健康管理に対する自覚、認識が必要であり、そのために住民の健康管理
意識の更なる向上と、予防に対する正しい知識の普及を行っていかなければなりません。
介護予防事業は、地域支援事業制度の改正により、事業内容を見直さなければなりませ
ん。健康寿命の延命化を推進するため、これまで取り組んできた事業以上の効果が期待で
きる事業を模索し、実施する必要があります。
医療面では、町立八丈病院が町の医療の中心的役割を果たし、民間の医療機関とともに
住民の健康維持に努めています。今後も高度化、多様化する医療需要に応えるため、質の
高い医療体制を積極的に整備しなければなりません。そのためには、医師やコメディカル
(助産師・看護師・医療技術職)の確保・定着が最大の課題となっています。
医療機関等の施設状況
種 別
平成27年4月現在
施 設 数
種 別
施 設 数
病 院
1
保 健 所
1
診 療 所 2
歯科診療所
6
6
薬 局
3
10
歯科技工所
1
施 術 所
(あんまマッサージ、指
圧、針、柔道整復)
医薬品特例販売店
─ 42 ─
町立病院施設等の状況
名 称
所
在
地
国民健康保険町立八丈病院(S41. 5. 1 /H10. 4. 1新築)
東京都八丈島八丈町三根26番地11
敷 地 面 積
13,276.60㎡
建 築 構 造
病 院 本 館 RC造 2F 1棟 4,361.53㎡
および
設 備 棟 RC造 1F 1棟 述 床 面 積
45.17㎡
医師住宅A RC造 2F 1棟 706.30㎡
医師住宅B RC造 2F 1棟 166.02㎡
看護師宿舎 RC造 2F 1棟 166.02㎡
感染症病舎 RC造 1F 1棟 198.70㎡
計 5,643.74㎡
病 院 区 分
一般病院 救急指定(昭和55年3月7日)
診 療 科 目
内科・外科・産婦人科・小児科
臨 時 診 療
整形外科・耳鼻咽喉科・皮膚科・精神神経科・内分泌内科・糖尿病内科
消火器内科・循環器内科・神経内科・腎臓内科・泌尿器科・眼科
病
床
職
数
一般52床 感染症2床 計54床
員
医師・助産師・看護師
その他の医療従事者(診療放射線技師・理学療法士・薬剤師・臨床検査技師
・衛生検査技師・臨床工学技士・社会福祉士)
その他の職員(事務員・管理栄養士・調理員)
主な医療機
CTスキャナー、再圧タンク、人工透析装置、X線TV、電子内視鏡、
など
超音波診断装置、生化学自動分析装置、自家発電装置
〔今後の方向〕
母子保健事業は、健診や訪問・相談の実施体制強化を図ることで疾病や児童虐待早期発
見の精度向上と早期支援につなげ、母子のこころとからだの健康管理を行います。
健康増進事業では、がん検診および健康診査の受診勧奨を進めながら、運動や栄養改善
の指導や食育の推進などをとおして、介護予防を含めた町民の自発的な健康づくりを促進
するよう啓発します。
精神保健事業は、保健所や関係機関と連携を取り、協力を得ながら精神障害者の社会復
帰を導くため相談業務の充実を図ります。
感染症対策事業については、医療機関と連携し住民の安全を守るために予防対策に取り
組みます。
町立八丈病院は、医療・福祉・保健など、関係機関と連携を図りながら、住民が健康で
安心して暮らすことができる信頼される病院を目指して事業を進めています。一方、医師
やコメディカル(助産師・看護師・医療技術職)は病院にとって正に生命線であり、その
確保・定着に最大限の努力が必要です。また、病院経営を取り巻く環境は一層厳しい状況
─ 43 ─
であり、臨時診療科の見直しや病床利用率の向上など、経営改善に向けた取り組みを積極
的に実施していかなければなりません。
〔主要施策〕
◎ 母子保健の充実・強化
◎ がん検診の受診率の向上
◎ 保健・相談業務の充実
◎ 食生活の改善や健康づくり事業の充実
・グループリーダーの育成
・生活改善教室の実施と充実
・
「食育」の推進
◎ 感染症対策の推進
◎ 経営改善に向けた施策の検討
◎ 高度医療、専門医療の提供
◎ 医療スタッフの確保・定着
◎ 救急患者の移送態勢の迅速化
3.環境・衛生
快適で健康な生活を守るため、汚染物質の抑制と廃棄物の資源化を進め、生活環境
の向上に努めます。
〔現状と課題〕
クリーンアイランド構想の実現に向けて、廃棄物の排出抑制(減量化)
・再資源化を推
進していますが、資源ごみ(ペットボトル、ダンボール類)の再資源化は都市部と比較し
て処理コストがかかるため、より八丈町に適した廃棄物の処理方法の検討が必要となって
います。
また、廃棄物処理の中核となる八丈町クリーンセンターは、稼動から18年以上が経過
し設備の老朽化により維持管理費が増大しています。将来にわたって安定したごみ処理を
推進するために、2024年(平成36年)の供用開始を目指した新クリーンセンターの建設
を計画しました。
近年、外来種・移入種であるヤンバルトサカヤスデ、アズマヒキガエルの島内での分布
が確認されています。住民と連携した薬剤の配布や発生源対策を推進し、外来生物による
生態系・生活環境(健康被害など)に係る影響を減じていますが根絶は困難な状況です。
─ 44 ─
ごみ収集状況
(単位:トン)
(t)
5,000
4,129
4,012
4,000
可燃性ごみ
3,860
3,000
3,165
3,217
325
320
3,238 3,292
3,226
不燃性ごみ
3,303
2,000
1,000
0
472
482
347
295
293
266
250
平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年 平成23年 平成24年 平成25年 平成26年
〔今後の方向〕
廃棄物の排出抑制(減量化)を推進するとともに、管理型最終処分場の延命化を図りま
す。
また、老朽化した八丈町クリーンセンターは建替えに向け、用地の選定、測量、地質調
査などに取り組みます。
外来生物については、引き続き住民と連携し対策を推進すると同時に、生物多様性の保
全を図ります。
〔主要施策〕
◎ ゴミの排出抑制(減量化)の推進とゴミの有料化の検討
◎ 一般廃棄物処理手数料(清掃手数料)の見直し
◎ ヤンバルトサカヤスデ、アズマヒキガエル、不快害虫対策の強化
◎ 新八丈町クリーンセンターの用地選定、測量、地質調査など
◎ 町営墓地の運用
4.消費生活
本島での消費生活は、住民の暮らしを守る物資の流通と価格の安定が求められてい
ます。今後も消費生活が豊かに推移されるなか、
「かしこい消費者」の育成と合わせて、
急増する悪徳商法から住民を守る施策を進めます。
〔現状と課題〕
八丈町における消費物資のほとんどは、移入品に依存しています。物価は移送費用など
─ 45 ─
から、本土と比較して相対的に物価高であり、特に、燃油については、本土と比べて1リッ
トル当たりの単価は高く、慢性的な状況が続いています。国の補助制度があるものの十分
とは言えず、本土と離島との格差を考慮し、価格抑制を実現するための、更なる国レベル
の施策が必要です。
近年においては、インターネットの利便性が向上し、それによる物品の売買が普及し、
本島の消費生活も大きく変化しています。今後もその利用は一層進むと予想されますが、
消費トラブルや悪徳商法による被害が急増するなかで、住民を被害から守るための情報提
供や啓発など、積極的な対策を進めなくてはなりません。
また、地元の地場産業振興をより発展させるため、
「地産地消」の流通形態を進めてい
くことも必要です。
〔今後の方向〕
消費者の利益を守り、消費生活の安定と向上を図るため、消費者の立場に立った積極的
な活動を進めながら、消費者にも自主的な努力を強く求めていきます。また、高齢化が進
むなか、悪徳商法に狙われやすい高齢者を守る施策に取り組んでいきます。
〔主要施策〕
◎ 指定生活物資に対する都の海上運賃補助の継続、拡大の要請
◎ 物流センターの最大限利用を推進
◎ 流通機構、輸送体系の改善
◎ 悪徳商法に対する啓発
◎ 消費生活を見直し、物を大切にする心の育成
◎ 生活必需物資の島内外格差是正のための調査
◎ 島内産野菜・魚介類など地産地消の啓発
─ 46 ─
第3 文化の香り高い町(文化、教育像)
国際化、情報化、少子高齢化、価値観の多様化など、社会情勢や環境は大きく変化し、
島の将来を担う子どもたちを取り巻く社会も、急速な変化を遂げています。地域の持つ特
性を活かし、思いやりのある人、社会に貢献しようとする人、個性と創造力豊かな人へと
育むことが大切です。
八丈島には、高齢者から子どもまでの文化やスポーツに係わる団体があり、誰もが生涯
学習活動に参加し、活動できる環境を整えていく必要があります。また、伝統文化を継承
し発展させていくため、文化活動の拠点となる多目的ホール「おじゃれ」の運営や、公民
館、歴史民俗資料館のあり方を検討し、活発な文化活動などができる環境を整備しなけれ
ばなりません。
自ら参加し、自ら学習できる生涯学習社会の実現を目指して、文化の香り高いまちづく
りを目指します。
法律の改正により、すべての地方公共団体で「総合教育会議」を設置することが定めら
れました。八丈町においても町長と教育委員会が、教育行政の大綱や重点的に講ずべき施
策などについて協議・調整を行い、両者が方向性を共有し、一致して執行にあたります。
1. 学校教育
知性、感性、道徳心や体力をはぐくみ、人間性豊かに成長することを目標に、互い
の人格を尊重し、思いやりのある人、社会の一員として社会に貢献しようとする人、
自ら学び考え行動する個性と創造力豊かな人への育成に向けた教育活動を行います。
そして、家庭、学校、地域のそれぞれが連携するとともに、責任を果たし、すべて
の町民が教育に参加することを目指します。
⑴ 義務教育
〔現状と課題〕
町立小・中学校では、
「思いやりのある人、社会に貢献しようとする人、個性と創造
力豊かな人」を育むという理念のもと、変化の激しいこれからの社会を生きるために、
確かな学力、豊かな人間性、健康・体力の知・徳・体を育むことを目指しています。平
成30年度には、学力の確実な定着や、学級・学校不適応による問題行動などの防止を
図ることを目的とし、小中一貫型教育校の開設を計画しており、9年間を通した教育施
設・教育内容・指導組織の一体化したカリキュラムを作成することが課題です。各学校
が、地域に根ざした特色ある計画的・継続的な一貫教育を推進していくことが求められ
─ 47 ─
ています。
また、不登校の問題では、学校における多様な対応に加え、臨床心理士などの効果的
な活用や、関係機関が情報交換を綿密に行う支援体制を構築することが必要です。
児童・生徒・学級数
(小学校)
平成27年5月現在
学 年
1年
2年
校
30
26
31
三 根 小 学 校 知 的 障 害 学 級
1
1
2
15
29
25
学校名
三
大
根
賀
小
郷
学
小
学
校
3年 4年
大賀郷小学校 肢体不自由学級
原
小
学
校
計
22
6年
計
学級数
34
29
182
6
4
1
127
6
1
1
(5)
(1)
20
16
1
大賀郷小学校 情緒障害学級
三
32
5年
(1) (1) (3)
3
15
9
12
10
11
60
6
49
71
67
67
64
56
374
20
※情緒障害学級は、
( )書き内数
(中学校)
平成27年5月現在
学 年
1年
2年
3年
計
学級数
校
39
25
26
90
3
富 士 中 学 校 情 緒 障 害 学 級
0
(1)
(4)
(5)
(1)
校
19
14
15
48
3
大賀郷中学校 知的障害学級
0
0
1
1
1
大賀郷中学校肢体不自由学級
0
0
0
0
0
14
9
16
39
3
72
48
58
178
10
学校名
富
大
三
士
賀
原
中
郷
学
中
中
計
学
学
校
─ 48 ─
学校施設の現況
平成27年4月現在
建物 教室数(室)
校地面積(㎡)
付属建物(㎡)
学校名
建物構造
面積
(㎡) 普通 特別 建物敷地 運動場 その他
三 根 小 学 校 RC造3階建 3,980
9
13
6,946
9,102 2,067 体育館RC1,088
大賀郷小学校 RC造3階建
2,645
7
10
5,553
5,798
体育館RC 790
三 原 小 学 校 RC造2階建
2,179
6
9
3,539
2,436
体育館RC 695
富 士 中 学 校 RC造2階建
2,226
3
13
6,474
17,378
体育館RC 743
大賀郷中学校 RC造2階建
2,071
5
8
9,942
6,800
体育館RC 848
三 原 中 学 校 RC造2階建
2,239
3
10
6,135
8,739
体育館RC 800
15,340
33
63
38,589
50,253
合 計
2,067
〔今後の方向〕
教育委員会で策定した「教育目標及び基本方針」に基づき、児童・生徒の基礎・基本
の確実な習得と学習意欲の向上を図るために、個に応じた授業、習熟の程度に合わせた
少人数指導の授業を実施します。
また、2018年(平成30年)4月より、三根、大賀郷、坂上の各地域において一貫型
教育を実施し、学習指導では、学習意欲の向上、学習習慣の定着を目指すとともに、生
活指導では、
「中1ギャップ」の緩和、学習規律・生活規律の定着、自己肯定感の向上
に取り組みます。
特別な支援を必要とする児童・生徒については、一人ひとりに合った対応を行う必要
があり、特別支援教育の充実を図ります。
いじめ問題については、いじめ防止基本方針などに基づき、学校・教育委員会・関係
機関・地域住民・保護者・児童・生徒が一丸となり、
「いじめは絶対にしない、させない、
許さない」という強い姿勢で、いじめのない学校教育の実現をめざします。児童・生徒
の多様な問題に対応するため、教育相談体制を整え、スクールカウンセラーとの連携を
強化し、互いに認め合い、共に学ぶ学校づくりを進めます。
〔主要施策〕
◎ Uターン給付型の新型奨学金制度の創設
◎ 人権教育の推進
・全体計画・年間指導計画に基づいた指導の充実
◎ いじめ、不登校問題対策の強化
◎ 教育相談体制の充実
◎ 非行防止や犯罪から身を守る教育の推進
・セーフティ教室などの防犯教育の推進
─ 49 ─
◎ 基礎・基本的な学力の向上
・個別指導、習熟度別・少人数指導など指導体制の充実
・授業改善推進プランを作成し、指導と評価の一体化
◎ 学校間の連携教育の推進
・9年間を見通した小・中学校の一貫型教育
・保育園、小学校、中学校、高等学校の連携推進
◎ 豊かな個性、社会性の育成
・学校外の連携・協力の推進
・特色ある教育活動の推進
◎ 特別支援教育の推進
・特別支援教育の体制整備および内容の充実
・就学・教育相談の充実
・保育園、小学校、中学校、高等学校との連携(支援体制の確立)
・
「ちょんこめ作業所」との交流
◎ 情報教育の推進
・情報教育設備の充実
・他地域学校との交流の推進
◎ 国際理解教育の充実
・外国人語学教師活用の検討
・自国の文化・歴史の学習
◎ 伝統・文化理解教育の推進
◎ 学校給食の改善・充実
・給食センターの施設整備
・島の食材を使った献立の推進
・食中毒など事故防止対策の推進
◎ 開かれた学校づくり
・情報公開・公開授業などの推進
◎ 教職員の資質能力の向上
・指導計画の作成および点検
・校内外における研修の充実
◎ 教育施設・設備の推進
・老朽施設の補修および改築
─ 50 ─
学校施設整備計画
校舎など
事業年度
平成28年度
∼
平成32年度
事 業 名
事 業 量
大賀郷中学校校庭整備(芝生化)事業
校庭6,800㎡ 他
大賀郷小学校プール改築工事
プール25m×10m 他
三原小・中学校渡り廊下設置工事
2m×25m
大賀郷中学校エレベーター設置工事
地上2階
備 考
(階段昇降機)
⑵ 高等学校教育
〔現状と課題〕
八丈町の中学校卒業者の多くが八丈高等学校へ進学し、高校卒業と同時に進学・就職
のため生徒は島を離れることとなります。多様な生徒一人ひとりに実社会に対応できる
自主性、社会性を育成する教育が求められています。花き園芸が盛んである島でありな
がら、園芸科に入学する生徒が少なく、年度によってはいない状況です。
〔今後の方向〕
八丈島の最高学府として、教職員が一致協力した指導体制の下、学習・学校行事、部
活動の両立と、生徒一人ひとりの個性や豊かな感性を一層伸ばし、生活力を身に付ける
ことが重要です。学校運営連絡協議会や小中高連絡協議会を通し、町立学校・地域と連
携して取り組んでいきます。また、島外からの離島留学受け入れを促進します。
〔主要施策〕
◎ 生涯をたくましく生きる人材の育成
◎ 生命を大切にし、人権尊重の精神を身につけた人材の育成
◎ 何事にも意欲的に取り組むことができる人材の育成
◎ 地域に唯一の高等学校として、地域の多様な要請に対応できる学校づくり
◎ 地域教育の先導的役割を担い、家庭や地域に開かれ、かつ、信頼される学校づくり
◎ 島外からの離島留学受け入れ
・園芸科への離島留学受け入れ
─ 51 ─
2.社会教育
生涯学習社会の充実を図るためには、少子高齢化、核家族化、情報化などの背景を
考慮して進めなければなりません。生涯にわたって学び続けるための生涯学習社会づ
くりを目指します。
〔現状と課題〕
八丈町では、婦人会、老人クラブ、文化団体、スポーツ団体など各種団体において、様々
な活動が活発に行われています。2013年(平成25年)には、多目的ホール「おじゃれ」
が開館し、新たな文化活動場所として、コンサート、各種発表会、映画会、イベントに利
用されています。今後は、更なる有効活用を検討することが必要です。
また、生涯を通じてその健康や体力に応じたスポーツ活動などを振興していく必要があ
るため、体育協会、スポーツクラブと連携し、各種スポーツの指導者を育成することが重
要です。
社会教育の状況
学級名
婦人学級
英会話教室
平成26年度
地 域
学 級
講師数
学習時間
実施内容
三 根
郷土芸能保存研修会・太鼓教室・
大賀郷
生花教室・茶道教室・手芸教室・
樫 立
5
23
年166時間
ガーデニング教室・体育レクリ
中之郷
エーション・料理教室・合唱教室・
末 吉
着付け教室
八丈町
18
2
年634時間
英会話(生徒137人)
図書館利用状況
入館者数
貸出冊数
開館日数
(人)
(冊)
(日)
平成22年度
17,356
30,069
272
平成23年度
18,596
30,567
273
平成24年度
16,800
30,051
278
平成25年度
15,594
29,089
279
平成26年度
14,774
28,362
278
年 度
─ 52 ─
備 考
10月 電算システム更新
3月 八丈町子供読書活動推
進計画策定
社会教育施設現況
平成27年4月現在
施設名
竣工年月日
施設面積(㎡)
構 造
収容人員(人)
備 考
三 根公民館
昭47.2.28
560.20
RC造2階建
120
5室ほか
大賀郷公民館
昭60.3.25
745.90
RC造2階建
130
4室ほか
樫 立公民館
昭51.3.31
590.04
RC造2階建
120
4室ほか
中之郷公民館
昭49.3.30
563.98
RC造2階建
120
4室ほか
末 吉公民館
昭54.3.10
614.00
RC造2階建
120
4室ほか
多目的ホール「おじゃれ」施設概要
1階席 可動席292席(前迫上40席)
車椅子席4席
客席
2階席 固定席158席(回転可能席24席)
親子観覧席8席 合計 462席
面積平土間時 260㎡
舞台
272㎡(反射板セット時内法:間口16.5m×奥行き9.6m)
ホワイエ
280㎡(階段含む)
裏方周辺
室名
広さ
化粧前
機能
控室1
21㎡
10
着替えブース ユニットバス付
控室2
21㎡
10
着替えブース ユニットバス付
控室3
21㎡
10
着替えブース ユニットバス付
14㎡
7
着替えブース ユニットバス付
控室ボランティア室
兼着替えブース
その他機能
ピアノ庫(2台)
、楽屋事務室、楽屋トイレ、湯沸室、洗濯室
搬入口周辺
搬入口
大型トラック横付け可能(9m×4.6mの屋根付駐車スペース有り)
搬入デッキ
床面より +800mm
─ 53 ─
社会体育施設現況
平成27年4月現在
施 設 名
完成年度
富士グラウンド
平成元年度
面 積
構 造
12,521㎡ 内野:混合土
概 要
バックネット・ファール
外野:ロングパイル ポ ー ル・ ダ ッ グ ア ウ ト・
人工芝
スコアボード・メインス
タンド・防球ネット
富士ゲートボール場
平成2年度
4,483㎡ 砂入り人工芝
富 士 運 動 場
平成2年度
15,849㎡ クレー
夜間照明
三 原 運 動 場
平成5年度
12,199㎡ クレー
夜間照明
ボ ウ リ ン グ 場
昭和46年度
347㎡
休憩所・駐車場
4レーン
(平成16年度町へ移管)
体
育
館
昭和46年度
(平成16年度町へ移管)
テ ニ ス コ ー ト
平成7年度
599㎡
砂入り人工芝
1,368㎡ 全天候透水型舗装
コート425㎡
コート2面
(平成16年度町へ移管)
樫立屋内運動場
平成3年度
650㎡ 体育館
(平成19年度所管替)
樫 立 運 動 場 (平成19年度所管替) 4,450㎡ クレー
中之郷屋内運動場
昭和62年度
650㎡ 体育館
(平成19年度所管替)
中 之 郷 運 動 場 (平成19年度所管替) 5,557㎡ クレー
末吉屋内運動場
平成4年度
650㎡ 体育館
(平成25年度所管替)
末 吉 運 動 場 (平成25年度所管替) 4,425㎡ クレー
南原スポーツ公園
平成19年度
19,200㎡ 天然芝(野芝)
夜間照明
サッカーコート(105m×
68m、2面)管理棟(平
サ ッ カ ー 場
屋建、面積315.9㎡)
南原スポーツ公園
野
球
平成23年度
11,750㎡ ロングパイル人工芝 両翼92m、中堅116m
場
─ 54 ─
スポーツ・文化活動の状況
平成26年4月現在
区 分
野
活 動 状 況
球
軟式リーグ/ 10チーム・OB/6チーム・早朝/6チーム
小学生/3チーム・中学生/3チーム
バ レ ー ボ ー ル
一般/7チーム
サ
ー
一般/6チーム・小学生/3チーム・中学生/3チーム
バスケットボール
一般/5チーム・小学生/2チーム(ミニバスケット)
卓
球
一般/ 83人・児童/ 31人
武
道
柔道/ 62人・剣道/ 75人
ス
一般/ 50人
ン
一般/ 608人
ッ
テ
マ
カ
ニ
ラ
ソ
ゲ ー ト ボ ー ル
島内各地域愛好者/ 120人
伝
伝統芸能、八丈太鼓/8団体
統
芸
能
日本舞踊、ストリート・ヒップホップダンス、フラダンス、フラメンコ、
舞
踊
音
楽
コーラス、バンド、日本民謡、吹奏楽、ピアノ/8団体
道
俳句、華道/3団体
育
生涯学習講座、野外活動、社会教育、演劇、地域子ども活動/6団体
他
語学、健康体操/3団体
華 ・
社
そ
茶
会
教
の
クラシックバレエ、民俗芸能、/ 10団体
サマーコンサート
年1回実施
八丈島民大学講座
年2回実施
文化フェステバル
16団体/約400人
〔今後の方針〕
公民館、図書館、体育施設などの施設の整備を進め、町・学校・家庭・地域の連携のも
と、住民一人ひとりが自ら積極的に学び、自己の向上を図る学習機会を提供します。また、
生涯学習にかかわる人材を養成し、指導者の育成に努めます。
〔主要施策〕
◎ 町立図書館の整備と活用内容の充実
・第2次八丈町子供読書活動推進計画の策定
・町の情報センターとしての検討
◎ 公民館活動の積極的推進
◎ 青少年委員、スポーツ推進委員と連携した事業の検討
◎ 社会教育振興のため、学校施設などの積極的開放
◎ ボランティア活動のための人材育成
◎ 南原スポーツ公園の整備促進
─ 55 ─
◎ 多目的屋内運動場の整備
◎ 三根公民館建設
◎ 体験型学習施設の整備
◎ 都道拡幅に伴う大賀郷公民館の改修
◎ 中之郷公民館建設計画の推進
3.コミュニティ活動
地域の特性や住民の自治機能の向上を図り、住民の自発的、主体的なコミュニティ
活動を支援し、拠点施設を整備して利用の活性化を図っていきます。
〔現状と課題〕
近年の少子化と人口減少などにより、
各地域で活発に行われてきたコミュニティ活動は、
衰退していく傾向が見られ、
住民の地域社会の一員としての意識や連帯感が薄れています。
このようななかで、各世代の協力や交流を通して地域コミュニティの活性化が重要となっ
てきています。
〔今後の方向〕
各地域において独自のイベントや行事が行われており、より一層の豊かな地域コミュニ
ティづくりには、行政と住民が連携・協力しながら活動を進めていくことが大切です。今
後も、積極的に若者の活力を活かし、経験豊富な高齢者や団塊の世代、定住外国人の国際
性などを生かしてコミュニティ活動の拠点となる施設の整備や、人材の育成・確保に努め
ます。
〔主要施策〕
◎ コミュニティ活動の拠点となる施設などの整備充実
・コミュニティセンターや公民館などの施設整備
◎ 地域に伝わる芸能、風習、方言などの保護伝承活動の推進
・イベント、講習会などの開催
◎ 住民と定住外国人の相互理解の推進
・相互交流会などの開催
◎ 世代間交流によるコミュニティ活動の推進
─ 56 ─
4.文化の振興
文化遺産の保存、伝統文化の継承とともに、活発な文化活動を推進するため、その
環境整備に努めます。
〔現状と課題〕
八丈島には、古い歴史と文化・伝統があり、各所に有形無形の文化的遺産として残され
てきました。なかでも黄八丈・民謡・太鼓・樫立踊りなどは、私達の生活に溶け込んでお
り、その保存と後継者の育成が求められています。
また、奈良時代以前の古い言語とも言われ、消滅の危機にあるとされる八丈語(島こと
ば)については、調査、記録、継承、普及の活動を更に推進します。青少年世代ではほと
んど島ことばが話されなくなっている現在、島ことばを話せる方の力を生かし、方言に接
する機会を増やすために、学校教育、生涯学習の中で取り組んでいく必要があります。
歴史民俗資料館は八丈島の歴史と文化に立脚した、新しいまちづくりの象徴として整備
する必要があります。耐震診断において危険であるとされた結果を踏まえ、新たな資料館
をどのようにしていくかが喫緊の課題です。
歴史民俗資料館入館者の状況
年 度
総 数(人)
一 般(人)
団体客数(人)
平成22年度
12,031
9,718
2,313
平成23年度
12,920
9,114
3,806
平成24年度
14,291
9,734
4,557
平成25年度
11,813
8,297
3,516
平成26年度
11,401
8,550
2,851
歴史民俗資料館の現況
1.名 称 八丈島歴史民俗資料館
国登録有形文化財指定 平成18年3月15日
2.所 在 地 八丈町大賀郷1186番地
3.開設年月日 昭和50年5月1日
4.敷 地 面 積 4,200㎡
5.施 設 面 積 木造平屋建2棟 62.82㎡
─ 57 ─
歴史民俗資料館展示品の状況
種 別
数 量(点)
考
古
関
係
345
民
俗
関
係
1,000
歴
史
関
係
50
他
105
そ
の
計
備 考
土器、石器類
農耕具、漁具、生活用具、信仰資料
源為朝鎧、古文書、古地図
写真、パネル、その他
1,500
指定文化財
区 分
国指定文化財
都指定文化財
種 別
数 量(点)
内 容
天然記念物
6
ヘゴ自生北限地帯、アカコッコほか
登録有形文化財
1
八丈島歴史民俗資料館
無形民俗文化財
3
八丈節、樫立場踊り、手踊り
有形文化財
11
彫刻品、工芸品ほか
有形民俗文化財
4
八丈島民政資料ほか
有形民俗資料
3
八丈島甘藷由来碑ほか
史 跡
3
梅辻規清の墓、八重根メットウ井戸ほか
旧 跡
3
島役所跡ほか
町指定文化財
48
四耳壷ほか
〔今後の方向〕
文化財保護のためには、より多くの住民に文化財を知ってもらうことが必要です。歴史
民俗資料館や、図書館を情報収集と学習の拠点として利用できるように整備を進めます。
また、流人文化の象徴でもある大里地区の玉石垣の保存は、住民の理解と協力を得ながら
修繕を行います。
郷土芸能などの保存・保護については、後継者の育成に努め、文化活動の推進と拠点と
なる施設の整備を図っていきます。
島ことばについては、学校教育、生涯学習の中で、調査、記録、継承、普及の活動を推
進します。また、その活動を活かしていくための関係者ネットワークづくりや、
「島こと
ばの日」などを定め、方言イベントの開催、講演会などの施策を推進していきます。
〔主要施策〕
◎ 八丈町歴史文化基本構想の策定
◎ 文化活動における施設の整備と後継者の育成
◎ 文化財などの修繕、保護、保存の推進
・文化財などの計画的修繕、周辺の整備
─ 58 ─
・文化財のデータベース化の推進
・伝統芸能の保存(DVD化)の推進
◎ 文化財の公開(観光、学校教育、生涯学習に利用)
・文化財ボランティアガイドの育成
◎ 八丈島誌の改訂
◎ 歴史民俗資料館の整備充実
◎ 図書館の整備充実
◎ 島ことばの調査、記録、継承、普及の推進
・島ことばの辞書、文法書の作成、DVD記録資料の製作
・学校教育でのカリキュラムにそった学習活動の推進
・基礎講座や講演会の開催
・関係諸団体との連携、ネットワークづくり
◎ 新たな文化活動の推進
○ 古文書の保存、研究
─ 59 ─
第4 いきいきとした町(産業像)
あたたかで、みどり豊かな、文化の香り高い町づくりには、産業の振興が重要な基礎とな
ります。島内経済の安定的な成長のためには、各産業の調和のとれた伸長と、業種間の連
携協力の態勢を整え人材交流を推進するとともに、有能な人材を育成することが重要です。
さらに、伊豆諸島の他の島々、小笠原諸島とも緊密な連携をとりながら、共有する諸問題
へ対応していくことが肝要です。
1.農 業
活力ある八丈島の農業を継続するため、新たな農業従事者の確保と育成を重点施策
とし、農地の有効利用、災害に強い生産施設の整備や経済効率の高い品目の導入など
農業基盤の充実を図ります。
また、島内野菜の特産地化や地産地消の推進、新たな畜産の形態などさまざまな施
策を検討して農業の振興に努めます。
〔現状と課題〕
2013年(平成25年)の八丈町農業の総生産額は、約18.1億円です。そのうちフェニック
ス・ロベレニーを中心とした花き園芸は約15億円で農業全体の約84%を占めています。
引き続く不況の影響や価格の低迷などにより生産額は減少傾向にありますが、増産体制の
ための施設整備や作付面積の規模拡大により生産額は大きな減少には至っていない状況で
す。しかし、農業従事者の高齢化と、それに伴う耕作放棄地の増加は深刻な問題となって
おり、新規就業者の確保・育成に向けた新たな施策に早急に取り組まなければなりません。
野菜としては、島外に販路を拡大してきた「あしたば」が、健康食品としても注目を浴
び、加工用にも大きな需要が生まれ、生産の拡大が図られています。その他の野菜および
果樹は、学校給食や商店との取り引きはあるものの、大部分が島内の自給用にとどまって
おり、量産化による島外出荷も含め積極的な活用を検討する必要があります。
生産基盤の整備については、災害に強い施設整備、農地の集約、遊休農地の活用、農道
の整備などがさらに求められています。また、海上輸送や空輸便による、更なる輸送能力
の充実や迅速化に対処しなければなりません。
─ 60 ─
花き生産販売高
平成25年
種 別
販売高(千円)
観 葉 鉢 物
253,924
球 根 出 荷
4,100
切 花・切 葉
1,269,106
合 計
1,527,130
家畜飼育状況
年 別
種 別
牛
平成20
平成21
平成22
平成23
平成24
平成25
年度
年度
年度
年度
年度
年度
乳 用 牛
68
45
36
36
38
36
肉 用 牛
67
93
85
73
45
72
148
119
98
103
80
105
1,292
1,330
1,293
990
997
1,060
ヤ ギ
鶏
※平成22年までは12月末現在、平成23年度からは1月末現在
〔今後の方向〕
本島の農業振興を図るうえで後継者の育成が最大の課題となっています。2008年(平
成20年)に開始した八丈町農業担い手育成研修センターの充実や、I・Uターンなどに
よる就農希望者を受け入れるための施策を、積極的に進めていかなければなりません。
花き園芸においては、耕作放棄地の解消への取り組み、優良品種の選定導入、栽培技術
の向上、共撰共販体制の確立、輸送方法の改善などを図るとともに、災害に強い生産施設
の整備を推進し生産基盤の強化を進める必要があります。また、農業従事者の相互交流、
情報の収集や発信を積極的に行い消費者の需要動向を的確に把握した農業経営に向けて支
援しなければなりません。
野菜については、住民や観光客に新鮮な産品の供給を図るため、島内販売ルートの整備、
確立を図る必要があります。
また、ふれあい牧場を中心とした牧場の管理能力の強化を図り、畜産業を維持しながら、
和牛繁殖を中心に取り組み、安定した畜産経営を進めていきます。
〔主要施策〕
◎ 農業生産基盤と施設の充実
・農業後継者の確保・育成の推進
・島しょ農協の基盤強化
・優良品種の選定導入の推進および農業者への指導体制の充実
・経営構造対策事業など基盤整備の推進
─ 61 ─
・共撰共販の品種拡大、事業促進のための補助制度の充実
・農業従事者の相互交流、情報の収集や発信への支援
・視察、研修などの実施
・耕作放棄地の有効利用の推進
◎ 八丈高等学校園芸科卒業生の農業担い手育成研修センター受け入れ、就農に向けた支
援体制の強化
◎ 島内農産物を使用した新製品開発や、ブランド化の推進
◎ 島内産品の販売ルートの整備
・朝市など販売ルートの検討
・学校給食への積極的な活用
・野菜、果樹の量産化による島外出荷の検討
◎ 農業従事者の知識の集積
・新規参入者の促進、指導・援助
・専門機関と連携した指導体制の整備
◎ 再生可能エネルギーを有効利用した農業の推進
◎ 優良牛の育成、経営の合理化
◎ 空輸便によるコンテナ輸送に対応した規格化の研究
2.林 業
自然林の保護のみならず、有用樹種の導入、積極的な林道の整備を行い、森林浴な
どが経験できる山林の有効利用を図ります。
〔現状と課題〕
八丈町の山林は、開発の及ばない原生林ではスダジイ、タブ(マダミ)を主体とした照
葉樹林を形成しており、
多くの部分はオオバヤシャブシなどの二次林で構成されています。
かつてこれらの樹木は薪炭用として利用されてきましたが、薪炭需要の減少により、ほと
んどの山林でそのまま放置されているのが現状です。しかし現在は、薪炭の利用方法が多
様化しているなか、利用法についての調査、研究も必要です。
生産活動としては、薪炭およびシイタケ栽培などが行われている程度にとどまっていま
す。わずかにあるスギ、ヒノキは未利用部分が多い状況です。
林道の整備に伴い、観光面など多目的な利用法を検討する必要があります。
─ 62 ─
森林の所有形態
平成25年4月現在
面 積
国 有 林
25 ha
民 有 林
公有林
(うち町有林)
私有林
698 ha
(593 ha)
3,241 ha
蓄積(民有林)
合 計
3,964 ha
林産物生産状況
560 千㎥
平成25年1∼12月
木炭(t)
シイタケ(生)(kg)
計
生 産 量
3.2
600
―
金 額 (千円)
806
※
806
※シイタケ生産は、ほとんどが自家消費のため生産額として計上していない。
林道の現況
平成25年4月現在
路 線 名
管理主体
富士環状林道
東京都
9,540
4.0
405
東 山 林 道
〃
3,757
4.0
154
三 原 林 道
〃
13,485
3.6∼4.0
662
こん沢林道
〃
7,474
3.6∼4.0
298
富士縦断林道
〃
1,802
3.6∼4.0
148
三郷田林道
〃
2,644
4.0
84
鴨 川 林 道
八丈町
3,180
4.0
137
大 里 林 道
〃
399
4.0
30
計
延 長(m)
幅 員(m)
利用区域(ha)
42,281
1,918
〔今後の方向〕
自然林などを有効利用した森林浴や、レクリエーションなどができる場の拡充を図ると
ともに、水源林としての効用を再認識し、自然林としての保護に努めます。
近年、各地で土砂災害が発生しています。密集した樹木は育ちが悪く、風雨により倒木
などの被害を受けやすくなるほか、光が差し込まずに草が生えなくなり、雨によって地面
が侵食され、土砂災害が起きやすくなります。間伐や植林など、計画的な環境整備を検討
します。
これらの実現のために積極的に林道整備を進めていきます。
〔主要施策〕
◎ 林道整備事業の推進
─ 63 ─
・既設林道の維持、補修
◎ 森林浴やレクリエーションなどの場としての整備
◎ 自然条件を勘案した新規有用樹種の導入、環境整備
◎ 既存森林の有効な保育管理
3.水産業
漁協の経営基盤の強化、後継者育成、資源管理型漁業および栽培漁業を推進すると
ともに、未利用資源の製品開発、魚食の普及に努め、販路の拡充を図ります。
〔現状と課題〕
本島の水産業は、水産資源の減少や魚価の低迷、漁業者の高齢化により、漁獲高は減少
傾向にあり、漁業者の経営環境は厳しい状況にあります。そのようななか、浮き魚礁の設
置による漁場造成により、収益性の高い漁業の確立を進めています。
漁協女性部においては、未利用資源の製品開発を積極的に行っており、生産額は年々増
加しています。今後も需要に即した製品開発や、量産化の体制整備を進める必要がありま
す。今後、更に発展して行くためには、加工場の運用、人材育成、後継者問題などが課題
となっています。
安定性のある漁業生産を図るため、漁協の経営基盤の強化を図るとともに、資源管理型
漁業、栽培漁業、後継者育成など施策の推進が求められています。
また、島外市場への出荷については、輸送コストが高く採算が取れない状況であり、漁
協、農協、商業者、水産加工業者などが連携して、島内外販売ルートの拡充を図る必要が
あります。海上輸送や空輸便による輸送能力の増強も求められています。
漁獲金額
(単位:千円)
名 称
平成22年
平成23年
平成24年
平成25年
平成26年
八丈島漁業協同組合
967,368
897,077
879,303
1,023,072
940,640
─ 64 ─
漁港の状況
漁 港 名
神
湊
漁
漁 港 種 別
管 理 者
港
第
4
種
東
京
都
八 重 根 漁 港
第
4
種
東
京
都
中 之 郷 漁 港
第
1
種
東
京
都
洞 輪 沢 漁 港
第
1
種
東
京
都
出
港
第
1
種
八
丈
町
ナ ズ マ ド 漁 港
第
1
種
八
丈
町
鼻
漁
漁獲量
種類
年
(単位:㎏)
トビウオ ムロアジ 鰹・カジキ
(流刺網)(棒受網)
など
底 魚
など
テングサ トコブシ
など
など
その他
計
(曳縄) (一本釣) (採藻) (採貝)
平成22年
303,015
229,873
582,058
419,491
11
268
6,774
1,541,490
平成23年
323,872
203,405
322,961
475,621
652
70
2,301
1,328,882
平成24年
232,651
148,736
250,074
490,769
143
90
4,690
1,127,153
平成25年
266,700
166,207
256,374
615,672
602
244
1,495
1,307,294
平成26年
260,724
128,986
86,875
578,422
0
380
4,689
1,060,076
漁船数の状況
平成25年12月現在
トン数別
3t未満
隻 数
47
3t∼ 10t未満 10t∼ 20t未満
71
16
─ 65 ─
20t以上
合 計
0
134
主要漁港関連施設の状況
漁港名
神 湊 漁 港
施 設 名
規 模
製氷・貯氷・冷凍・冷蔵施設
製氷20t/日 貯氷400t 冷凍168.6㎡ 冷蔵121.28㎡
船
設
320馬力1台 ウインチ2基 電動ウインチ2基
中之郷漁港
揚
場
油
施
設
軽油タンク110㎘ 2基
漁
具
倉
庫
鉄骨造(240㎡)
設
27MHz 40MHz 無線装置
報
連
絡
施
製 氷・ 冷 凍・ 冷 蔵 施 設
製氷8t/日 貯氷210t 冷凍27.7㎡ 冷蔵86.6㎡
船
設
130馬力1台 ウインチ2基
設
軽油タンク100㎘ 2基
揚
給
場
施
油
施
漁船漁業用作業保管施設
鉄筋コンクリート造2階建(240㎡)
天 草 処 理 保 管 施 設
鉄骨ALC造平屋建(213㎡)
漁業用資材保管・集会施設
鉄筋コンクリート平屋建(40㎡)
情
設
27MHz 40MHz 中継鉄塔
庫
貯氷7t 冷蔵23t 飼料室11.26㎡
設
80馬力1台 ウインチ1基
設
軽油タンク20㎘ 1基
報
連
冷
洞輪沢漁港
施
給
情
八重根漁港
平成27年4月現在
船
給
絡
施
蔵
揚
場
油
施
施
天 草 処 理 保 管 施 設
鉄骨造平屋建(204㎡)
〔今後の方向〕
漁協の経営基盤の安定を促進しながら、漁業担い手の確保、栽培漁業、漁家の経営安定
のため島内外販売ルートの拡充、未利用資源の製品開発や魚食の普及事業を推進していき
ます。
また、ダイビング、釣りなどの海洋レジャー人口が増加しており、観光業と連携して経
営の多角化を図る必要があります。
〔主要施策〕
◎ 漁業協同組合の経営基盤の強化
◎ 魚介類の栽培漁業の促進
・トコブシの海上および陸上養殖の促進
◎ 浮き魚礁の設置
◎ 新規参入者および漁業後継者育成のための施策の支援
◎ 未利用資源の製品開発や魚食普及の推進
◎ 海産物のブランド化の推進
◎ 体験型観光と連携した体験漁業の推進
◎ 「みなとまちづくり」の一環とした漁港の有効利用
─ 66 ─
4.観光産業
巨大都市東京の保養地として、訪れる人たちを「もてなしの心」をもって迎え、体
験できる、観光できる、活動できる、滞在できる、さまざまな楽しみ方のできる「や
すらぎの島・八丈島」を目標として自然との調和を図りながら、観光需要に即応した
施策を進めます。
〔現状と課題〕
八丈島の来島者数は減少傾向にあり、11万人を割り込み10万5千人台と危機的状況と
なっています。その要因としては、
団体客の減少や航空運賃の値上げなどが考えられます。
また、宿泊施設など観光産業関連事業者の高齢化および後継者不足が重要課題となってい
ます。
八丈町の観光産業を活性化するためには、島民一体となって「もてなしの心」で取り組
むことが求められています。多様化する観光客の需要に即して、Wi-Fi(公衆無線L
AN)の充実やSNS(ソーシャルネットワークサービス)を駆使した情報発信、広報宣
伝活動の促進が必要です。
宿泊施設の状況
平成26年1月現在
区 分
収
容
人
ホテル
民宿・ペンション
キャンプ場
合 計
556
1,699
80
2,335
員
観光消費額の推計
年 別
平成22年
平成23年
平成24年
平成25年
平成26年
81,498
78,297
82,917
84,343
78,150
2.4
2.4
2.6
2.6
2.6
宿 泊 料
1,707,773
1,519,709
1,658,277
1,510,916
1,405,011
食 事 代
623,767
598,733
645,053
651,812
604,763
みやげ代
403,948
388,207
411,230
417,492
386,974
遊 覧 費
629,338
604,115
650,178
657,575
610,175
そ の 他
626,843
601,591
647,686
655,290
608,135
3,991,669
3,712,355
4,012,424
3,893,085
3,615,058
観光客数(人) 実 人 員
平均滞在日数(日)
消費額
内訳
(千円)
合 計
(注)ホテル、民宿、ペンション、縁故者宅、日帰り客について、1人1日当り消費額を算出
して推計したものである。
─ 67 ─
海空路別来島数の推移
(空路便)
10,000(万人)
16
15
142,325 142,740
14
131,308
13 134,434
126,215 125,616
132,997
114,872 116,979
12
118,716
11
114,503
10
110,026 108,826
95,379 97,214
93,989
101,237
9
92,790
89,729
8
88,372
7
H7 8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
14,992
16,966 15,519 16,282 17,077 17,087 16,634
(船便)
5,0000
40,000
35,525
32,340 33,059 32,242
30,000
31,342 31,511 30,710
31,999
31,124
24,745
20,000
19,962
16,740 16,167
10,000
0
H7 8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
平成26年月別来島者数
(人)
海路
16,634人
20,000
17,488
空路
88,372人
15,000
10,000
8,302 7,653
7,576
5,667
10,105
9,344
9,213
7,519
8,359
7,720
6,060
5,000
0
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
─ 68 ─
グラフの上の
数字は総数
〔今後の方向〕
通年観光地としての発展、リピーターの増加や来島者の滞在日数の延長を図るために、
自然を生かす観光資源の整備開発、滞在型観光、スポーツ交流など交流促進、二次交通の
充実など、滞在の利便性を高める効率的な施策を着実に進めていく必要があります。
また、2020年(平成32年)に開催される東京オリンピック・パラリンピックを見据え、
訪日外国人旅行者の招致に取り組みます。
〔主要施策〕
◎ 訪日外国人旅行者の招致
◎ 旅行会社、航空会社、海運会社とのタイアップによる旅行商品の企画
・地元発信型の体験型観光メニューの企画・開発および運用
◎ 観光客への「もてなしの心」の啓発
◎ 光るキノコの島外展示および広報活動
◎ 観光イベントの充実
◎ 散策路の整備
◎ 観光サインの充実
◎ 観光業と農業・漁業・商工業との連携
◎ ふれあい牧場の活用
◎ 観光パンフレットの多言語化
◎ スポーツ合宿誘致
◎ 二次交通の充実
◎ Wi-Fi(公衆無線LAN)の充実
◎ おじゃれホール活用(MICE誘致)
※MICE(会議・研修・セミナーなど)
○ 自然遺産の調査、拡充 ○ 海洋レジャー施設の整備
・小型船舶の係留場所、ダイビングスポットなどの整備推進
○ 八丈小島の利用
・船着場の整備促進
─ 69 ─
5.商工業・建設業
商工業・建設業の経営基盤の強化を図り、活気あるまちづくりを進めます。
〔現状と課題〕
商店の経営環境は、自助努力により販売力の強化を図っているものの島内人口の減少や
島外からの通信販売などにより経営環境は厳しい状況にあります。
加工業などにおいても、市場を地元や土産品に依存する割合が高く、観光客が減少して
いるなか、新たな販路の拡大や特産品の開発が求められています。
公共事業費が今後大幅に増加することは考えにくく、建設業はますます厳しい経営環境
に置かれています。
しかし、雇用の確保、社会資本の整備、地域経済の活性化において建設業は重要な役割
を果たしており、経営基盤の強化を図るための取り組みが必要となっています。
産業別事業所数
平成24年東京都統計年鑑
事 業 所
農林・水産業
従 事 者 数
2
9
建設業
54
644
製造業
34
200
108
597
5
47
不動産業
21
40
運輸・郵便業
26
223
電気・ガス・熱供給・水道業
3
27
情報・通信業
2
10
12
34
176
610
生活関連サービス、娯楽業
62
162
教育、学習支援業
13
24
医療、福祉
21
266
8
48
28
117
卸・小売業
金融・保険業
学術研究、専門技術サービス業
宿泊、飲食業
複合サービス事業
サービス業(他に分類されないもの)
─ 70 ─
黄八丈生産状況
年 別
(単位:千円)
くさや類
黄八丈
焼酎
農畜産物
計
平成22年
128,097
84,752
237,520
233,555
683,924
平成23年
117,812
78,402
204,973
183,743
584,930
平成24年
113,567
68,308
205,880
192,900
580,655
平成25年
110,747
69,520
215,300
270,000
665,567
平成26年
92,194
67,425
206,280
296,319
662,218
〔今後の方向〕
活気あるまちづくりを促進するためには、商工業の発展が不可欠であり、生活者などの
ニーズに対応した商業機能の強化を図らなければなりません。商工会を中心に総合的な経
営指導の強化を促進し、経営者の協力を得ながら、流通体系の見直し、経営の合理化・近
代化を推進して生産性の拡大を図っていく必要があります。新たな特産物の開発を進める
とともに、市場の拡充に取り組みます。
さらに、第2次産業のなかでも、就業率の高い建設業の経営基盤を強化し、雇用の確保
を図る必要があります。また、建設業以外の新たな事業分野進出の可能性についても検討
しなければなりません。
〔主要施策〕
◎ 商工業・建設業の経営基盤強化の推進
・流通体系の見直し、経営の合理化・近代化の推進
・安定した輸送の確保、輸送コストの削減
・黄八丈の技術保存、原材料の確保を図り生産の拡大を推進
・黄八丈会館などを活用した黄八丈担い手の育成(染元や織り子の養成)
・商品の付加価値を高める研究を進め、新製品の開発、ブランド化、販路の拡充の推進
◎ 物流センターの整備および利用拡大
◎ 建設業の新たな事業分野進出の検討
○ 焼酎の島内産原料確保の促進
6.新産業
〔今後の方向〕
自然エネルギー、海洋資源を生かした新しい産業分野の開発に努めます。そのための人
材育成や起業支援の仕組みづくりに取り組みます。
また、新たな分野の事業者誘致に努めます。
─ 71 ─
〔主要施策〕
◎ 海洋水の調査、研究
◎ 起業支援の仕組みづくりの検討および人材育成
◎ 異業種間の連携(交流活動)の推進
◎ 地熱発電を利用した産業創出の検討
─ 72 ─
第5 明るい町(行財政と機構)
構想実現のために
町政の基本は、住民の行政需要を先取りして、施策に取り入れることにあります。歴史や自
然条件に恵まれた八丈町においては、住民と町政の深いかかわり合いを背景に、すべての機関
が総力をあげ、最大の効率を発揮することにより、構想の実現のために行財政・機構を生き生
きとしたものにしていかなければなりません。
1.行 政
地方分権の進展に伴い、地方公共団体は自らの責任・判断に基づいた行政の運営が求め
られています。
役所の論理ではなく、住民の視線に立ち、地域ニーズを的確に把握するとともに、限り
ある予算や人員を効率的に活用し、住民の満足度の向上を目指すことも必要不可欠です。
高度情報化、少子高齢化、廃棄物などの環境問題の深刻化、国際化の進展、価値観の多
様化など、私達を取り巻く社会環境は目まぐるしく変化しています。地域の抱える行政課
題は、人口減少克服、観光や産業の振興、雇用の創出など、これまで以上に幅広く複雑化
しています。
こうしたなか、町は自らの存在を明確にするとともに、住民と議会と行政が一体となっ
て将来の展望を描き、魅力あるまちづくりの実現に向けて取り組みます。
(地方創生)
少子高齢化・人口減少などの課題に対し、国民が夢や希望を持ち、潤いのある豊かな生
活を安心して営むことができる地域社会の形成を進めるため、
「まち・ひと・しごと創生法」
が制定されました。八丈町においても、地域特性を踏まえた「人口ビジョン」と「総合戦
略」を策定し、これに基づく施策を推進していきます。
(行政改革)
行政改革の目的は社会構造の変化に対応しながら、住民にとって真に必要なサービスを
最小の経費、最良の形で提供していくため、組織、制度、施策、運営方法などを見直すも
のです。
─ 73 ─
町における行政改革は、①効率的な行政組織 ②地方分権の推進 ③財政構造の見直し
④高度情報機器による業務の見直し ⑤少子高齢化への重点施策など 社会経済環境の変
化に柔軟かつ弾力的に対応し、住民生活の利便性の向上を図ります。
(人材育成)
地方行政を担う職員の育成は、新時代を生き抜き、更に飛躍を目指すために、最大の命
題と言えます。人口減少や少子高齢化という構造的課題に加え、経済・雇用情勢など厳し
い課題への対応が求められるなか、職員の意識改革と確固たる倫理観の保持を図るととも
に、専門的知識と職務遂行能力を向上させるための研修などを実施します。
(情報化対策)
情報通信技術(ICT)の発展は、離島にもさまざまな変化をもたらし、地域社会や日
常生活に大きな影響を与えています。情報化社会においては、今後も通信インフラの整備
に力を入れるとともに、情報発信や情報通信技術の活用による住民サービスの向上に努め
ていかなくてはなりません。
また、地域の魅力を伝えるための手段として積極的に活用することで、移住・定住希望
者の増加につなげていきます。
2.財 政
日本全国で、人口減少への対応が強化され、各自治体の差別化が始まっています。
独自の施策で、
「夢と希望が持てる安心して暮らしやすい八丈町」を目指すためには、
少ない財源を有効に活用していかなければなりません。
(効率的な財政運営)
人口減少、少子高齢化など、町を取り巻く環境は厳しさを増していきますが、町税など
の自主財源の確保に努めるとともに、安定した住民サービスを行うため、既存、新規にか
かわらず、すべての施策を検証し、必要な見直しを図りながら効率的な財政運営を進めま
す。
3.機 構
情報が町から住民へ、提案が住民から町へ、迅速かつ的確に周知・反映される組織づく
りに努めます。
─ 74 ─
(国、都、東京都島嶼町村一部事務組合、
(財)東京都島しょ振興公社、他市町村との連携)
国・都との緊密な連携を図るとともに、他市町村ならびに伊豆諸島・小笠原諸島・島嶼
町村一部事務組合と(財)東京都島しょ振興公社を含めて連携を図りながら、八丈町の独
自性など、個性あるまちづくりに取り組みます。
また、広域行政を視野にいれた東京諸島が一体となって取り組む施策も検討します。
(審議会、協議会などの活性化)
審議会、協議会などの活性化を図るため、専門的知識や豊かな経験をもつ多彩な人材を
登用し、多角的な調査研究を行います。
(町民参加)
広報・広聴活動を通じて、情報が行政から町民へ、提案が町民から行政へ、迅速かつ的
確に周知・反映され、コミュニティ活動などの町民の自主的な活動の輪が次々と広がって
いくような町民の町政参加を推進します。
(機構の改革)
高度化、多様化する行政需要に的確に対応し、施策、事業を効率的に進めるため、組織
機構の適正化を図るとともに、組織の活性化に努めます。
各課にまたがる事業については、調整機能を強めるとともに、職員によるプロジェクト
方式を採用するなど弾力的な組織運営に取り組みます。
─ 75 ─
八丈町基本構想(平成23年∼32年)
平成23年3月
東京都 八丈町
─ 77 ─
八丈町基本構想(平成23年∼32年)
はじめに
「地方の時代」
。この言葉が叫ばれ始めたのは1980年代のことでした。それは、右肩上がり
の高度成長にかげりが見え始め、環境破壊、資源浪費、人間疎外などさまざまな歪みが顕在化
する中で、経済成長が必ずしも生活の豊かさにつながっていないことへの反省から、新たな社
会システムの模索が始まった時代でした。
さらに、近年の国が行政権を中央から地方へ移行しようとする試みや国民の社会システムを
抜本的に変革して、我が国の未来を切り開こうとする方向性は、本格的な「地方の時代」の実
現に向かう流れの一つと受け止めるべきでしょう。
今、八丈町は人口減少と少子高齢化という大問題に直面しています。これは町の未来を設計
する上で、その根幹をゆるがす極めて重大な問題です。人口減少にどうやって歯止めをかける
のか、また、減少した人口に見合った町作りをどう進めるのかが問われています。しかも、こ
れは決してこの町特有のものではなく、全国の地方自治体の大半が共有する普遍的な課題でも
あります。したがって、私たちは我が国全体の未来をかけて、この人口減少問題の解決に取り
組まなければならないことを認識すべきです。
八丈島は海路に加え航空路の利便性をも全国離島の中でいち早く獲得しました。またネット
通信環境の整備も先行させ、情報化社会への対応を実現してきました。島内のインフラ整備も
進み、この島の暮らしには都会との格差があまり感じられません。だからこそ、これから八丈
町は、この島独自の風土に即して、この島独自の歴史と文化に立脚した社会の仕組みを作り上
げていくことが大きな課題となってきているのです。
クリーンアイランドを目指す町
海洋を活かす町
住民が主役の町
2000年(平成12年)策定の前基本構想で掲げたこの3つの指標は、今なお町の基本的方向
としてその意義を保っています。そしてこれに加え、本格的な「地方の時代」の到来を八丈町
から切り開いていくために、この構想においてはさらに次の指標を設定します。
歴史と文化を生かす町
八丈島の豊かな歴史と文化を守り、それを新たな文化の創造へと発展させることによって、
この町の未来を作り上げていくための本構想は、
以上の4つの指標を根底におくものとします。
─ 79 ─
第1 基本構想の性格
1.基本構想の目的
この基本構想は、八丈町の将来の目標および目標達成のための基本的方向を明らかにす
ることによって、総合的・計画的な行政の運営をはかるとともに、住民生活の将来の希望
と努力目標を示すことを目的とします。
2.基本構想の目標年
この基本構想は2020年(平成32年)を目標年とします。
第2 まちづくりの理念
1.町民憲章の精神
この基本構想は、町民憲章の精神に基づき、住民の積極的な参画と創造的な英知の結集
により、のびゆく未来に向けて、島に暮らす人々の幸福の実現を目標とするものです。
町 民 憲 章
青い海原に囲まれた緑の島山の美しい自然と、古い歴史に恵まれたわたしたちは、こ
の八丈島に住むことを誇りとし、八丈町の限りない発展と、明るく平和な町づくりをす
すめることを願い、町民ひとりひとりの道しるべとして、この町民憲章を定めます。
わたしたち八丈町民は
○ 郷土を愛し、環境をととのえ、みどり豊かな町をつくりましょう。
○ お年寄りを大切にし、子供たちが健やかに育つ、あたたかい町をつくりましょう。
○ 伝統をとうとび、教養を深め、文化の香り高い町をつくりましょう。
○ はたらくことを喜び、産業の発展につくし、いきいきとした町をつくりましょう。
○ きまりを守り、互いに助け合い、人情味あふれる明るい町をつくりましょう。
2.人 口
八丈町の人口は、第二次大戦後の引き揚げ者などの流入によって、1950年(昭和25年)
に13,359人のピークに達しました。しかし、その後次第に減少し始め、1989年(平成元年)
に1万人の大台を割り、その後1993年(平成5年)からしばらく約9,400人前後で推移し
てきました。そして、21世紀に入ってからまたも減少が始まり、2004年(平成15年)に
は9千人を割って、2008年(平成20年)に8,400人台にまで落ち込み、今後もさらにその
傾向が続くものと予測されています。
─ 80 ─
この基本構想では、今後その施策を積極的に推進することによって、人口減少の流れに
歯止めをかけることを目指します。その結果として2020年(平成32年)における八丈町
の定住人口は8,000人台を維持するものと想定します。
なお、八丈町開発計画の基礎となる人口規模は、この定住人口のほか、観光などによる
滞在人口を含めて考慮しなければなりません。これは、交通機関の整備および観光施設の
改善により、1日最大3,000人、平均1,000人と想定します。
3.
八丈島の特性
東京から南へ287キロメートルに位置し、
古くから「鳥も通わぬ」と歌われてきた八丈島。
約100キロメートルの幅で流れる黒潮の存在も、長い間、本土との往来を妨げてきました。
宇喜多秀家に代表される「流人の島」としての歴史の背景には、この本土からの隔絶性が
存在しています。しかしこの孤立した島にあっても、
そこに住む人々の意識は、
それを「隔
絶性」としてではなく、むしろはるか遠くに位置する太平洋の島々へとつながる架け橋と
してとらえ、小笠原、鳥島、南大東島等々の南洋諸島開発に乗り出していったのでした。
ひょうたん形をした八丈島の地形は地質が全く異なる二つの火山によって複合的に形成
されています。世界でも珍しいこの島の構造は、産業や文化の多様性にも大きく影響を与
えてきました。そしてこれらの山や海から与えられる多くの恵みによって、農、漁業は八
丈島経済の根幹を支えてきました。特に八丈島の花き園芸は、戦後国内の一大産地を形成
しました。フェニックスロベレニー切り葉を主要な産品としながら、常に新品種の導入と
先進的な技術の開発に取り組み、
花き園芸をこの島の最大の地場産業に育て上げたのです。
周囲を海に囲まれたこの島において、自然は、時に強風や豪雨、あるいは干ばつという
極めて厳しい姿を見せることもあります。特に台風の通路に位置することで、暴風や塩害
によって農作物が大打撃を受けて飢饉に陥った記録も残っています。島に住む私たちは、
この自然による試練を克服しながら生活していかなければなりません。さらに、万全を期
さなくてはならないのは噴火や地震、津波への備えです。火山噴火によって大きな被害を
繰り返してきている大島や三宅島、そして青ヶ島と同じ富士火山帯に属する八丈島にとっ
て、火山活動への対策は極めて重要です。
近年、この島ではその地理的孤立性の克服に多大の努力が重ねられてきました。空港、
港湾建設には早くから取り組み、その結果、現在は全国離島の中でも有数の2,000メート
ルの滑走路を持つ第3種空港、そして5,000トン級船舶の接岸を可能とする大型商港が整
備され、ジェット旅客機、大型貨客船の毎日就航により首都東京とのアクセスは、離島で
あるハンディキャップの大半を解消しています。また、海底ケーブルの敷設等により通信
手段も格段の発展を遂げて本土との情報格差をなくし、さらに光回線でのブロードバンド
環境も整備され、住民の暮らしを向上させ、産業発展の基盤を築いています。
─ 81 ─
温暖多雨の気候に恵まれ、スダジイ、ヤブニッケイ、ヒサカキなどの常緑樹に覆われた
八丈富士と三原山は一年中紅葉せず、みずみずしい緑を保っています。樹陰に繁るシダ類
は、ジュラ紀の地球を彷彿させるヘゴシダの群生をはじめとして、本土に例を見ないほど
に多種多様です。その中に、夜間ほんのりと淡い光を放つキノコ類は、発光植物の宝庫と
してのこの島にしか見られない景観でしょう。また、その樹間に暴風を避けるように開墾
された畑地に、フェニックスロベレニーやアシタバが栽培され、恵まれた気温、雨量によっ
て青々と繁っています。季節の折々には、濃い緑を背景にオオシマザクラが一面を覆い、
ヤブツバキやガクアジサイがほころび、道端のツワブキの鮮やかな黄色が目に飛び込みま
す。八丈島を囲む海は、トビウオ、カツオ、底魚など新鮮な魚介類の恵みを届けてくれま
す。広大な海原は、太陽の光を時には青く時には紅色に映し、自然の変化の豊かさを楽し
ませてくれるでしょう。夜空に目を転ずれば、
星座を識別できないほどに無数の星が輝き、
どこまでも澄み切ったこの島の空気を実感させてくれます。
4.まちづくりの基本方向
歴史と文化を生かす町
八丈太鼓や黄八丈に限らず、この島の各地に残る遺跡、伝承されてきた歴史、そして有
形無形の文化はすべて私たちのかけがえのない財産です。
町はこの貴重な財産に光を当て、
掘り起こすことによって島の発展に生かしていかなくてはなりません。
2009年(平成21年)の国連教育科学文化機関(ユネスコ)の発表によれば、世界で2,400
の言語が消滅の危機にあり、日本では、アイヌ語や南西諸島の各方言にならんで八丈島の
方言がその中に含まれるのだそうです。八丈島方言は日本の三大方言の1つとも言われ、
万葉集が編纂された頃の関東・東北地方で話されていた言語と同じ文法構造をもった学術
的にもきわめて貴重な言語とされています。
また八丈島は、その位置や海流などの地理的条件から、漂流者の開拓によって歴史が始
まった「漂着文化」であると言われ、八十八重姫(やそやえひめ)の始祖伝説、秦の始皇
帝から遣わされた除福伝説、丹那婆(たなば)伝説など、いずれも興味は尽きません。ま
たこれに加えて、
多くの流人たちが作り上げた価値の高い文化も決して少なくありません。
これらの歴史と文化を探求すればするほど、島の貴重な財産としての価値がいっそう高
まり、これを生かすことが、必ず「地方の時代」における島の発展につながるはずです。
クリーンアイランドを目指す町
地球温暖化がいよいよ深刻さを増し、かつてなかったような大災害の要因になっていま
す。化石燃料に頼ってきたこれまでのエネルギー需給構造の根本的転換は、全人類に差し
迫った課題です。そのなかで、八丈島の、時には過酷なほどに大きな被害をもたらす強大
な自然エネルギーは、技術革新によって今やこの島に無限の恩恵をもたらす可能性を秘め
─ 82 ─
ています。すでに稼働している地熱発電に加え、風力、水力、潮力、太陽熱等の再生可能
なエネルギーの利用を、今後も他地域に先駆けて推進することが必要です。
さらに、都会では得ることのできないこの島の豊かな自然、美しい景観を、都会に住む
人々にも広く開放し、疲れた体と心を癒すことができる島の実現に町を挙げて取り組むこ
とが求められています。すでに始まった空き缶や段ボール等のリサイクルや廃食用油の燃
料化など、廃棄物の資源化を徹底し、八丈島の美しい自然環境を守り育てなくてはなりま
せん。
海洋を生かす町
日本の国土は世界第61位の約38万km²にすぎません。しかし領海と排他的経済水域を合
わせた面積は約485万km²を占め、世界で第9位となります。しかもそのなかで、八丈島
よりはるか南方、緯度では台湾より南に位置する沖の鳥島、経度では北海道より東に位置
する南鳥島まで、その水域の大半が東京都に属しているのです。八丈島の先人たちは古く
からこの広大な太平洋の領域に雄飛し、私たちに豊かな恵みを与え続けてきました。そし
て今、この水域が、漁業資源や船舶の交通路としてだけでなく、貴重な鉱物やエネルギー
資源を供給する場として期待されており、八丈町の未来も、その開発と利用を進めていく
中でどれだけ重要な位置を占めることができるかにかかっています。
また、引き続きこの島で暮らす人々に不可欠の漁業資源の確保に努めるとともに、これ
からはマリンレジャーの推進により、海洋の活用をさらに推し進め、島の経済の活性化に
つなげていく必要があります。
住民が主役の町
高齢化の進む八丈島で福祉の向上はいよいよ重大な課題になっています。国の介護保険
制度の仕組みが揺れ動いている中で、この町における高齢者サービスは、住民自らが立案・
行動して充実させていかなければならないでしょう。そのためにも、またすべての町の施
策を住民主体で進めていくためにも不可欠のものとして、住民が主役となり、町はそれを
補佐し支えていくという行政システムを確立すべきです。
八丈島には住民が中心となって町の重要課題を担ってきた歴史があります。古くは暴力
団進出を阻んだ1972年(昭和47年)の住民運動。近くは航空運賃の引き上げを食い止め
るために旅客増に取り組んだ2005年(平成17年)の「プラス1万人運動」
。それだけでなく、
文化、福祉、環境等の様々な分野における公的活動に対しても住民は活発に参加してきま
した。こうした八丈町における住民の主体的な活動は、これからの町づくりにおいても、
その中心に位置づけられなくてはなりません。
町は新庁舎の建設に併せて、情報技術(ICT)を最大限活用して町政の現状と課題を常
に周知し、住民からの提案、要望の声に即応できる機構を整えていく必要があります。そ
の上で、住民の自主的なコミュニティ活動を積極的に町政に生かしながら、住民が中心に
─ 83 ─
なり、住民の力に基づき、住民の願いを実現する、住民主役の町づくりを進めることが求
められています。
第3 施策の大綱
八丈町は「歴史と文化を生かす町」
「クリーンアイランドを目指す町」
「海洋を生かす町」
「住
民が主役の町」という四つの基本方向に町づくりの目標を据え、町民憲章に沿って次の未来像
を設定します。
○ みどり豊かな町 (都市基盤像)
○ あたたかい町 (生活像)
○ 文化の香り高い町(文化・教育像)
○ いきいきとした町(産業像)
○ 明るい町 (行財政と機構)
1 みどり豊かな町(都市基盤像)
八丈島は、黒潮暖流の影響を受けた海洋性気候を呈し、独特な気候、風土、歴史、文化
が息づいています。八丈島に住む私たちは、
豊かな自然環境を背景に、
「ほうべい」
「おじゃ
りやれ」の心をはぐくみ、長い歴史をかけて築き上げた温かい社会環境の中で生活してき
ました。
八丈島は、離島という特殊事情があり、多様な価値観と発展の可能性を内包しています。
産業を見ても一万人足らずの人口にもかかわらず、花き園芸、酪農、アシタバ、漁業、ク
サヤ加工、黄八丈、焼酎、観光関連業など歴史的にも内容的にも豊かで、かつ多様性に満
ちています。しかしながら、最近の社会情勢の大きな変動の中で、抜本的な対策が求めら
れています。八丈島の特性に立脚し、自然環境を大切に守り、クリーンアイランドを念頭
に、生活文化、教育、社会福祉、産業等の基盤整備を、強力に推し進め、自然と調和した
みどり豊かな町をつくらなくてはなりません。
⑴ 土地利用
土地利用面からこの10年間で実現した主な諸施設を見てみると、坂下地域では、火
葬場、グループホーム、空港滑走路、都市計画道路、坂上地域では、三原小学校、足湯、
えこ・あぐりまーと、黄八丈会館、末吉公会堂などがあります。農業分野においては、
災害に強い「鉄骨ハウス」などの建設が大きく進み、園芸生産の発展が期待されます。
また、アシタバは従来永郷地区の山林で焼畑栽培が行われていましたが、最近は坂下や
坂上地域でも遊休農地を利用した栽培が行われ、生産者の増加が見られます。
─ 84 ─
八丈町の土地利用については、現在規制がないために混在した状態にありますが、自
然環境を保護する地域、三根、大賀郷中心の商業地域、坂上方面の農業地域などのゆる
やかなゾーニングが必要です。
坂上地域については、黄八丈生産の古い歴史がある集落を保全しつつ、地熱、温泉、
風力、あるいは太陽熱などの新しい「クリーンエネルギー」の開発活用の地域性をさら
に発展させ、樫立、中之郷、末吉地域と三原山の自然公園区域とを結ぶ新しい道路の建
設など「エコツーリズム」の空間としての土地利用を検討する必要があります。また、
永郷地域および八丈富士の自然公園区域は、
豊かな自然を求める新たな居住者が増加し、
自然と共生する集落の形成が見られます。海岸が近く、
景観に恵まれたこれらの地域は、
さらに開発が進むものと思われ、自然公園法や他の土地関係法との適合性を十分検討し
た上で、新たな居住空間を創造するという視点から土地利用の将来像を描く必要があり
ます。
一般廃棄物管理型最終処分場や汚泥再生処理センターなどの衛生施設は、自然環境に
負荷をかけないよう配慮しながら、自区域内処理を早急に実現しなくてはなりません。
2009年(平成21年)に旧焼却場跡地に建設が決定された汚泥再生処理センターは、
リゾー
トライフの発展にも配慮して、地元住民の理解を基に公害のない施設の運営に努める必
要があります。
⑵ 空港・港湾
本土と本島を結ぶ航路は八丈島の生命線であり、空港・港湾は、住民の暮らしを支え
る基本的施設です。
国、都によってこれまでに施設整備が進められ、本土との往来にかかる時間は大幅に
短縮されました。八丈島空港の開港、滑走路を1,800mから2,000mへ延長、ジェット機
の4便就航と次々に空路事情は変化しました。しかしその後、観光客や人口の減少によ
り搭乗率が低下し、大島経由便の導入と撤退を経て、ついに2009年(平成21年)10月
からは直行便3便体制となりました。こうした変化は、住民、観光客の利便性を奪うだ
けでなく貨物の輸送にも影響を及ぼし、
運輸会社の撤退にまで波及しています。今後は、
これ以上の減便を食いとめ、さらに無線誘導設備の導入などによる就航率の高い安定し
た航空路の確保を求めて、引き続き国や都に働きかけていかなくてはなりません。
八丈島の厳しい自然条件と社会環境の変化に対応して、海路もまた質の高い全天候型
施設として整備されなければなりません。現在、海路については台風や低気圧の通過で
たびたび欠航を余儀なくされていますが、着岸の安定化を図るため数ヵ年計画で底土港
桟橋の延長工事が進められているところです。最近はたびたび大型豪華客船が寄港する
ようになり、その着岸を可能にする港の必要性も出てきています。財政面では困難な点
もありますが、港の整備や新しい貨客船の新造も視野にいれるべきでしょう。
─ 85 ─
また、大島から青ヶ島までをヘリコプターで結ぶアイランドシャトルの就航により、
離島間の交通は飛躍的に改善し欠航が多い海路の不便さを補っています。しかし、経営
的には苦しい状況が続いており、今後さらに安定した航路として発展させるためには、
伊豆諸島一丸となって国や都にさらに支援を仰ぐべきです。
不定期に就航している東京以外の都市と八丈島を結ぶチャーター便についても、ひき
つづき誘致活動を続けるべきであり、将来的には定期空路の新設へとつないでほしいも
のです。さらに、
「海洋を活かす町」として発信するには、ヨットの係留所整備などを
含めたマリーナ構想についても具体的な検討を始めるべきです。
このように、
近隣の島々
との航路を充実させることは、広域行政への環境整備、経済圏の拡大のために益々重要
になっています。
⑶ 道路・交通
島内の交通需要の変化に対応した道路整備計画が行政に求められてきた中、道路の整
備は進んでいますが、幅員が十分でない箇所、通学路でありながら歩道が確保されてい
ないために危険な箇所もあり、引き続き幹線道路の整備が必要です。街路樹、歩道、景
観などにも十分配慮し、生活道路、観光産業道路の機能を発揮させるとともに、自然災
害への安全対策を考慮して整備を進めなければなりません。またユニバーサルデザイン
に基づいた交通体系の確立のため、ノンステップバスの導入、縁石の改良や電線の地中
化等、既存道路の整備に併せ、新規道路の整備においても積極的に取り組まなくてはな
りません。
島内交通については、町営の路線バス、観光バスと民営のタクシー、レンタカー、マ
イクロバスなどがあります。町営バスについては、その採算性を確保するための企業努
力が求められる一方で、八丈町における唯一の公共交通機関として、生活、福祉などの
住民サービスにおける利便性の向上を図らなくてはなりません。さらに、観光ルートの
多様化を求めて、町営バスと民間との役割分担を明確にしなければなりません。
⑷ 水道
住民に快適な日常生活を保障し、地域産業の発展を進めるために、給水事業がいかに
重要であるかは言うまでもありません。八丈島が誇れる資源の一つに豊かな水資源があ
ります。
「水は産業の母」と言われるように、豊かな水資源のある所には活力に満ちた
居住空間が形成されます。
しかしながら、八丈町水道事業は、現在極めて厳しい経営状況に陥っています。もと
もと給水区域が広範囲に分散して費用対効果が低い上に、人口減、大型ホテルの撤退な
どで事業収益が低下しており、その一方で、水質向上に必要な浄化設備の整備費も増大
しています。そのため、近年の水道事業会計は赤字が深刻化しており、早急な改善が求
められています。現在の水道料金体系は、一般家庭の負担を軽減するために使用量が増
─ 86 ─
えるに従って単価が上がる累進制をとっていますが、そのことによって高負担に耐え切
れない大口利用事業者の離反も起きており、ますますの経営悪化に繋がっています。今
後はこうした料金制度や給水区域の見直しにも検討を加えながら、住民に対する理解と
協力の下に、水道会計の健全化に全力を挙げなくてはなりません。
その上で、町は住宅地域の拡大など、将来に向けて起こりうる需要の増大に対応した
水資源を確保し、天候不順時にも水不足を起こさない貯水能力の維持に努める必要があ
ります。また、水質汚染防止のために大賀郷浄水場の設置などを行ってきましたが、今
後もさらに水質管理を徹底し、常に安全な水を全島、全住民に供給しなくてはなりませ
ん。特に、八丈島の大自然の恵む「おいしい水」を供給するために、良質の水源を確保
するとともに、浄水技術の向上にも努めなくてはなりません。さらに、地震の被害を受
けやすい水道管の耐震性の向上にも努める必要があります。
⑸ 生活排水処理
公衆衛生の向上と環境保全、水道水源の確保のために、し尿と生活雑排水の適正処理
が求められている中で、
八丈町は2004年(平成16年)に「八丈町生活排水処理基本計画」
を策定しました。この計画では、公共下水道による集合処理ではなく、合併処理浄化槽
と汚泥再生処理センターに基づく個別処理で行うことになっており、この方法をとるこ
とによって住民負担は少なくなるとされています。地元住民との合意もえられ、汚泥再
生処理センターは永郷地区に建設され、2012年(平成24年)4月から供用開始する事
が決定しました。
汚泥再生処理センターは、し尿、浄化槽汚泥の他に、生ごみ等の有機性廃棄物も併せ
て処理するとともに、
循環型社会形成を目的とした資源化設備をあわせもった施設です。
設備としては、水処理施設のほか、生ごみや汚泥等の有機性廃棄物を堆肥化する設備及
びその附帯設備から構成されています。
ところでこのシステムは、合併処理浄化槽設置とセットになっていますが、その普及
率は2009年(平成21年)4月現在で30.9%にしか達していません。生活雑排水を側溝や
水路、敷地内にそのまま流している地域もあり、早急な対策が必要です。現在、町では
合併処理浄化槽の設置に対する補助を行っていますが、この制度を知っている人は半数
以下で、制度の必要を感じない人もいるともいわれ、このままこれを普及していくこと
は容易でないものと見込まれます。
したがって、今後の浄化槽設置はこれまでの個人設置型から市町村設置型への転換、
あるいは行政による保守管理体制の新設などの制度見直しも検討しながら、汚泥再生処
理センターの建設にあわせた合併処理浄化槽の普及に積極的に取り組んでいく必要があ
ります。
⑹ 公園
─ 87 ─
富士箱根伊豆国立公園に含まれる八丈島は、美しい海岸や複雑な山並みの景観も含め
て島全体が自然公園であると捉えられます。都八丈支庁が提起した
「エイトブルー構想」
のエコミュージアムの理念も基本的には「島まるごと自然公園」から発想しています。
八丈島の自然の特徴は、山野の植生が多様性に富み、温帯、亜熱帯の植物が混在して独
特な生態系をつくっていることにあります。
こうした島の植生を凝縮したかたちで見ることができるのが都立植物公園です。広大
な敷地は、目的別にゾーン分けがなされており、それぞれの楽しみ方ができます。また、
今後は、ロベレニーなどに「光るキノコ」を無数に寄生させ観光客を誘致するなど、八
丈独自の資源として活用を図るとともに、住民や観光客に有効に利用してもらうよう
PRに力をいれる必要があります。
このほか、大賀郷園地はグランドゴルフやフットサルに、南原スポーツ公園は本格的
なサッカー場として利用されています。さらに国体に向けて野球場を建設中ですが、い
ずれも今後はスポーツイベントや交流の場としてますます利用価値が高まっていくと思
われます。三根地域には、田園空間整備事業により、親水公園や体験農園が整備され小
学生の稲作体験などに利用されているほか、観光客にも憩いの場を提供しています。永
郷地区の大越園地はアロエの群生地として知られていますが、観光スポットとして注目
されるためには十分な維持管理が必要です。
また、夏季シーズンの「浜遊び」は島の自然に溶け込んだ独特のレクリエーションと
して人気があります。島民と島を訪れる人とが、雄大な海と美しい夕日を眺めながらコ
ミュニケーションを深めるこの「浜遊び」を、今後も島の文化として定着させることが
必要です。そのために、雨の多い島の気象条件を考慮した屋根つきの東屋の設置、排水
施設の整備など、より使いやすく安全な海浜公園の整備が必要です。
⑺ 住宅
住民の定住化を図る上で住宅の建設は重要です。とりわけ若年層の定住化、島外から
の移住者受け入れによって町の活性化を図るために、町営住宅の賃貸条件における規制
などを見直し、住民の多様な需要に対応した住宅政策を進めなくてはなりません。
ここ数年建設された町営住宅には質的な向上も見られ、利用者に一定の満足感を与え
ています。民間賃貸住宅の供給不足が常態化している中で、人口流出を食い止めるため
にも、よりいっそう質の高い町営住宅の建設が重要です。とりわけ高齢化の進むこの町
にあって、医療や福祉の諸設備をあわせた高齢者用住宅建設の必要性が浮かび上がって
います。こうした需要に応え、町は、八丈島の気象、風土、景観を考慮した、災害に強
く、バリアフリー化が施され、居住者に安全で快適な生活を提供できる住宅を建設して
いくことが望まれます。
坂上地域に建設された一戸建住宅においては、若年層の定住化、島外からの移住者受
─ 88 ─
け入れにより、少子化対策や地域の活性化に寄与しており、今後も多様な住宅需要への
対応と過疎化の進む地域への振興策として、集合住宅だけではなく一戸建住宅の建設に
ついても進めなければなりません。
⑻ 景観
都道の拡幅事業の推進や都市計画道路の完成で、八丈町の市街地の景観は大きく変わ
りつつあります。ケンチャヤシやビロー並木の景観は、観葉植物の生産を誇る八丈島に
ふさわしく、より近代的で南国らしさがアピールされた町並みが形成されていると言え
るでしょう。
町は、住民生活に潤いを与え、島外からの来訪者を魅了する美しい景観の重要性を認
識し、住民の創意工夫を生かしながら、魅力ある景観づくりに取り組んでいかなくては
なりません。各種の公共事業を実施するに当たっても、電柱の地中化を取り入れ、景観
保持に十分配慮する必要があり、そのための予算措置を講じるべきです。
大里地区や坂上における規則正しく積まれた美しい玉石垣は、歴史的、文化財的価値
からも、永久に保存すべき景観です。しかし、この景観を所有者個人の努力で保存、継
承するには限界があり、手入れ、保存、復元等のために調査を進め、財政支援すること
が行政に求められています。さらに玉石の散逸を防ぐ手立てを講ずる必要もあります。
生け垣や石垣も島の景観を特徴づけるものです。新しく布設する場合だけでなく、ブ
ロック塀やコンクリート塀を施工し直す場合などにも、指定地区を設けた上で工事費を
一部負担するような施策も打ち出し、緑豊かな生垣や自然石を利用した石垣を残してい
く必要があると思います。
⑼ 電気・通信
電力の十分な供給は、住民の文化的生活を保障し、産業の生産力を高めるために欠か
せない要件です。とりわけ、電気自動車の普及が進みつつある中で、今後も増大が見込
まれる電力需要に対応しなくてはなりません。既存の火力、
自然エネルギー発電の維持、
管理に努めるとともに、クリーンアイランドを目指すためにも再生可能な自然エネル
ギーの利用促進にもつながる電力供給施設の整備を求めていくことが必要です。
情報通信技術の高度化が進む中、大容量の高速通信回線が増強され、インターネット
の利便性が向上し、それによる購入、販売等の利用者も増えています。とりわけ、携帯
電話は複数の電話会社がサービスを提供するようになり、島内の利用可能エリアも広
がって、島民、来島者の通信手段として必要不可欠となりました。しかし、島内の一部
には未だに電波が届かない地域が残っており、住民や観光客に不便を強いているだけで
なく、事故が起きた時の迅速な処置を妨げるものとなっており、早急な改善が望まれて
います。
町は、今後とも情報僻地とならないよう日々高度化する通信手段の導入に積極的に取
─ 89 ─
り組み、災害時にも安定して利用できる電気、通信設備の確保にも努めなくてはなりま
せん。
⑽ 自然エネルギー
八丈島の電力供給のすべては東京電力が行っており、地熱・風力・火力による発電の
うち火力発電がそのほとんどを占めています。中之郷地域には、地熱発電所があり、そ
の余熱を利用した温室団地がつくられ、さらに温室の収穫物を展示販売する場所として
「えこ・あぐりまーと」がつくられています。しかし地熱も稼動していない井戸があり、
風力発電も自然条件によって停止することがあるなど、自然エネルギーの利用は容易で
はないのが現状です。気候の変動が激しい八丈島では、安定した電力を確保することが
なにより重要であり、現時点では気候の影響を受けにくい火力発電が主力となっていま
す。
町が温泉施設の建設(4つの温泉と1つの足湯)を進めたことは、独自に自然エネル
ギー利用を実現させたものとして注目されます。地熱、風力などとともに、これら自然
エネルギーの利用は、住民だけでなく観光客にも好評で、島を訪れる多くの人々に安ら
ぎと癒しを与え、今や八丈島になくてはならない観光資源となっています。
クリーンアイランドを標榜する八丈島にあっては、自然環境を保全しCO2排出を抑
制する自然エネルギーを、これからはもっと積極的に取り入れる努力が必要であり、新
たな自然エネルギーの開発が求められます。太陽光発電と波力発電は有望だと考えられ
ますが、太陽光発電の電池パネルは価格が高く、塩や風に弱いため離島には向かないと
いわれ、島での普及は進んでいません。しかし、飛躍的な技術革新により離島でも利用
可能なパネルの開発が期待されます。同じように無尽蔵に存在する波力・潮力について
は、まだ開発・実験の段階です。今後、波力・潮力発電について、先進地の動向を参考
にしながら具体的な導入方法を検討する必要があります。
⑾ 防犯 防災
犯罪や災害を防止し、住民の生命、財産を守ることは自治体に課せられた大きな責務
です。町は関係機関との密接な連携のもとに防犯、防災対策を講じ、住民の安全な生活
を確保しなければなりません。
犯罪のない明るい町を作っていくために、町は住民の防犯意識の向上と地域における
防犯体制の強化を図らなくてはなりません。また、災害の発生を未然に防ぐ施策に万全
を期すとともに、災害の発生時には被害を最小限にとどめるための防災設備と組織体制
を整備し、非常用の食料、水、燃料などの備蓄、供給、簡易トイレの設営や受け入れ施
設の選定、傷病者、高齢者への対応等の確立に努めなくてはなりません。
さらに、八丈町庁舎が防災本部としての機能を十分に発揮できるよう、施設の整備、
組織系統を確立しなければなりません。
─ 90 ─
消防団は、住民の生命、安全を守る活動を担う組織として、必要な訓練、組織の育成
を重ねながら各地域の防災の中心となり、町との連携による組織的な活動が期待されま
す。
防犯、防災に関する知識の啓蒙活動は、年齢に関係なく住民すべてに進めなければな
りません。
2 あたたかい町(生活像)
八丈町は人口減少が慢性的に続いており、特に青壮年層が減ったことが少子化にもつな
がり、同時に高齢化も著しく進んでいます。そのため町は、子育て支援を充実するととも
に、子どもを生み育てやすい環境を整備し若者の定住を促進しなくてはなりません。また
介護予防や健康づくりの強化、生きがい対策を支援することにより、元気な高齢者を増や
し、これまでの人生経験を地域活動に活かすことによって町の活性化につなげることが重
要です。
情け島と言われてきた八丈島ですが、時代の変化とともに、その人情が薄れてきたとの
指摘もあります。そうだとすれば、社会教育・学校教育を通して、人を思いやり、ともに
支えあう心を育てる施策に取り組む必要があります。
町は、この「ともに支え合う心」を福祉・医療・保健・環境・教育などすべての施策の
基本とし、個性の違う人間同士がお互いに尊重し合い、助け合いながら生きるあたたかい
町を実現しなくてはなりません。
⑴ 社会福祉
八丈町の高齢化率(65歳を超える高齢者の全人口に占める比率)は、2009年(平成
21年)8月現在で31%を超え、今後も加速度的に高まるものと予想されます。町は介
護保険制度の改正を踏まえながら、的確な介護保険事業計画を策定しなくてはなりませ
ん。とりわけ介護度の高い高齢者の増加により特別養護老人ホーム入所待機者が増大し
ている中で、施設介護と在宅介護の双方におけるサービスの多様化と充実、効率的運用
が重要であり、そのための事業計画の策定が急務です。制度の概要・サービスの利用方
法を町民にしっかりと伝えるとともに、地域内の社会福祉団体と連携しながら事業計画
の策定を進め、地域特性に合わせた多様で柔軟なサービスを提供し、高齢者が元気に生
きがいを持って安心して暮らせる社会を目指すべきです。
また少子化が進む中で、子どもを地域の宝として、学校・地域・家庭の連携による地
域ぐるみの子育て環境の整備を図り、町民が安心して子どもを生み育てる社会を目指す
ことも求められます。
障害のある人が住み慣れた地域で安心して暮らし続けるためには、障害の特性やニー
ズに応じたきめ細かなサービスの提供が必要であり、障害のある人の地域生活を支え、
─ 91 ─
就業を含めた社会参加を進めていくために、障害者のために身近な相談支援・情報提供
などの体制の充実が必要です。
これらの施策を推進するにあたっては、町は、都の福祉行政とも連携しながら、社会
福祉団体・ボランティア団体だけでなく、住民がともに支えあう心で支援体制を整え、
地域の福祉を向上させなくてはなりません。
⑵ 医療・保健
町は、住民すべてが、安心して適切な医療サービスを受けられる環境づくりを進め、
住民一人一人が、生涯にわたって健康でいきいきと暮らせる町を目指さなくてはなりま
せん。
平成16年度から実施された医師の臨床研修制度は、地方の医師不足の一因となって
います。町立八丈病院においても例外でなく、医師の確保・定着が近年重要課題となっ
ています。町立八丈病院に勤務している医師にとって、時間外や、休日の救急患者への
対応や、
地域を離れられないことが大きなストレスになっている現状があります。町は、
代診派遣制度の充実等により、医師が定着できる改善策を進めるとともに、住民に対し
ては、医師の離島における勤務の困難性をしっかりと伝え、その中で、献身的に医療に
従事する医師の労苦に対して、住民の十分な理解を促すことも必要です。
また、医師だけではなく、コメディカル(看護師・医療技術職)の確保に努め、質の
高い医療体制を整備しなければなりません。
町は、高齢化社会に対応して在宅医療の充実が求められている中で、医療と福祉の社
会資源(福祉に活用される全ての資源)を充実させ、地域連携システムを構築していか
なくてはなりません。
また、新型インフルエンザなどの感染症対策のため、あらかじめ対応策を検討し、国・
都・関係機関と連携し住民の安全を図ることも課題となっています。
住民の健康管理意識の向上と自主的な健康づくりに取り組む指針となる「けんこう宣
言八丈21」を推進し、健康寿命の延伸と生活の質の向上を目指さなくてはなりません。
特に、健康の基礎となる食生活に重点をおき、八丈町食育推進計画に基づき具体的施策
を展開しながら食育を推進しなければなりません。
八丈町の少子高齢化の現状を踏まえ、
安心して生み育てることができる母子保健事業、
成人に対しては介護予防と生活習慣病予防、高齢者に対する健康増進事業の充実など、
人生の各期に応じたきめ細かな保健サービスの提供に努め、住民の健康づくりを支援し
ていくことも重要です。
⑶ 環境・衛生
環境問題は、いまや人類全体で取り組むべき地球規模の課題になっています。経済活
動の拡大や、生活様式の変化による環境破壊が、人類の生存を脅かす問題として緊急の
─ 92 ─
解決を迫っています。
町は、
住民の健康で快適な生活を守り、
都会から訪れる人々にも潤いを与える「クリー
ンアイランド」を目指していくために、住民の環境意識の高揚に努めながら、環境汚染
を防止しなくてはなりません。
住民の日常生活の中で排出されるゴミ及びし尿は、迅速かつ適正な収集処理が絶えず
求められます。町は、処理過程での衛生管理を徹底するとともに、有害物質の発生を食
い止める責務を負っています。
八丈町は1997年(平成9年)にゴミ焼却場(八丈町クリーンセンター)を開設し、
廃棄物処理の適正化を前進させました。また、ごみ焼却灰の処理施設である一般廃棄物
管理型最終処分場の建設も実現を急がなくてはなりません。
し尿などの終末処理は、汚泥再生処理センターの建設が2012年(平成24年)の稼動
に向かって進んでおり、今後は一般家庭の浄化槽を含めた生活排水処理計画が課題と
なってきます。また、伐採樹木などをチップ化し、堆肥としてリサイクルする事業も民
間企業の運用が始まっており、今後の成果が期待されるところです。また、各家庭や事
業所から排出される多様なゴミについても、その減量、再資源化を推進するとともに、
一方で、処理負担の公平化についても検討することが必要です。
さらに島内に点在する墓地の整理統合・墓地公園の整備について、新たな墓地需要を
見通しながら検討していかなければなりません。
⑷ 消費生活
最近の原油価格高騰により、物資の輸送費は高止まりで推移し、都会と比較して消費
者物価は割高になっています。住民の消費生活の安定と充実のために、輸送コストの軽
減に有効な施策を実施して、離島における消費者価格を抑制することは町の重要な責務
です。
一方で、食に対する安全・安心への意識が高まる中、地産地消を推進し地元産の農水
産物を使った新しい加工品の開発・販売ルートを開拓し、地域の活性化につなげていか
なくてはなりません。また、地元の生産者を支えていくために住民が積極的に地元産品
の消費に向かうよう、住民の理解と協力を促す施策も必要です。
さらに、消費トラブルや悪徳商法による被害が急増する中で、住民を被害から守るた
めの対策も必要です。インターネット取引の増大、販売形態や契約方法の多様化等のな
かで、とりわけ増加する高齢者をねらった犯罪を防ぐために、住民の注意を喚起し、悪
徳商法等を見抜く目を養う施策をすすめなくてはなりません。
町は、消費者の利益を守り消費生活の安定と向上を図るため、関係機関(消費者庁等)
と連携しながら、情報提供・啓発・相談・消費者教育の充実を推進していくことが求め
られています。
─ 93 ─
3 文化の香り高い町(文化、教育像)
情報化、国際化が急速に進む時代にあって、幅広い知識と柔軟な思考力を持った国際性
豊かな人材を育成することは八丈町の責務です。
また、少子化が進む中で、島の将来を担う大切な子供たちを町ぐるみで育てるために、
町は、学校教育に必要な施設・設備の整備を進め、学力の向上とともに、支えあう心・自
立できる力を育てることが重要です。
社会教育においては、住民が生涯学習活動に参加し、活動を通して生きがい・健康づく
りを進める環境を整え、
地域社会の自主的なコミュニティ活動を支援することが必要です。
さらに、八丈固有の伝統文化・文化遺産を保存・継承し、新たな文化の創造を促すため
に、住民が文化に親しみ、活発な文化活動ができる環境を整備しなければなりません。
町は生涯学習社会の実現を目指して、学校教育、社会教育の振興に努め、文化の香り高
い町づくりを進めなくてはなりません。
⑴ 学校教育
都立八丈高校を卒業した大多数の生徒は、卒業と同時に進学・就職のため島を離れて
いく宿命をもっています。それまでに、すべての子供たちが必要な生活力を身につけて
旅立ちのときを迎えられるように、町は、学校・家庭・地域の連携を進めながら、学校
の教育力の向上を図る必要があります。そのことによって子供たちの学力と生活習慣の
向上を図り、主体的に考え、行動し、自立できる能力と情操豊かな人間性を備えた「生
きる力」を育てなくてはなりません。
町は、少子化が進行する中でも教育効果を向上させていくために、今後も学校の適正
配置に留意しながら、それと連動して、小中・中高一貫教育の取り組みを検討していく
必要があります。
また、平成23年度より始まる小学校の英語必修化への対応も急務です。そのための
補助要員として、定住外国人の登用も視野に入れながら、外国語教育の向上を図る必要
があります。
不登校・いじめ・暴力など子供の問題行動には、子供の不安な心理状況や環境等が大
きく影響しています。したがって、子供の一人一人の個性を大切にした教育を目指し、
子供の悩み等を解消する教育相談体制・環境の改善や、支援体制・障害児教育体制を学
校・家庭・地域が連携して強化することが求められています。
⑵ 社会教育
生涯学習社会への場を整備することによって、住民が自ら積極的に学び、自己の充実
や生活の向上を図る学習機会を提供していくことは八丈町の重要な課題になっていま
す。近年、少子高齢化・核家族化・価値観の多様化等を背景にして、地域における人間
関係の希薄化が指摘されており、その解決のためにも、家庭・地域の教育力を向上させ
─ 94 ─
ることが必要です。
一方で、八丈町で増加している定住外国人の中に日本語・日本文化を学ぼうとする人
も増えています。これらの人たちを地域社会の一員として受け入れていくためにも、そ
のニーズに応え、支援してくことが町に求められています。
町は、公民館や図書館などの施設を整備充実させるとともに、学校施設の住民への開
放を促し、併せて、自主的に学習活動を進める団体を積極的に育成・支援し、指導者の
育成にも力を注ぐ必要があります。
また、
時代にあった生涯学習社会の実現に向けて、
町、
学校、家庭、地域の連帯・協力体制を確立し、新しいネットワーク(人と人・組織と組
織等)を構築していかなくてはなりません。
⑶ コミュニティ活動
八丈町の各地域においてこれまで活発に進められてきた住民の自発的、主体的なコ
ミュニティ活動は、少子化と人口減少が進み、価値観が多様化するにつれて、次第に衰
退していく傾向が見られます。そのことによって地域社会における連帯感が希薄化し、
地域が本来持っている相互扶助の機能の低下も危惧されています。
とりわけ、
地域コミュ
ニティへの若者の参加が少なくなってきていることは、島の次代を担う人材を育ててい
く上でも重大な問題です。
こうした現状を打開していくために、町は積極的に若者の活力を生かし、若者が活躍
できる場を提供することによって、地域コミュニティの活性化を図らなくてはなりませ
ん。それは、若者の男女交流の機会にもなり、人口問題の改善につながる可能性も秘め
ています。さらに、そこでは団塊世代の経験や定住外国人の国際性などを生かし、とも
に支えあいながら活動できる場を目指すことが必要です。
また、災害・防犯・冠婚葬祭にも対応できるコミュニティづくりを推進し、活動拠点
となる施設の整備や、活動の核となる人材の育成・確保に努め、地域が一体となった活
動を支援することによって、住民の自治機能の向上を図っていく必要があります。
⑷ 文化の振興
古い歴史と伝統は、八丈島の誇りです。各所に残されている有形無形の文化的遺産を
大切に保存し、人々に伝え、後世に継承していくことは、島に住む私たち全ての義務で
もあります。それと同時に地域に根ざした新たな文化の創造についても、積極的に促進
していかなくてはなりません。
中でも、黄八丈、八丈島の民謡(ショメ節、春山節、八丈太鼓)
、樫立踊り(場踊り、
手踊り)などは、八丈島にとって価値の高いものになっています。町は、地域の中でこ
れをさらに振興させるとともに、
島の内外に紹介する取り組みを強化すべきです。また、
大里地区にある島役所跡の周囲に作られている玉石垣は、流人文化の象徴として、その
文化的価値は高いものがあります。したがって町には、大里地区の玉石垣を中心とした
─ 95 ─
町並みが損なわれることのないように、住民の理解と協力を得て、長く保存していく責
務があります。
また、日本の三大方言の一つとされる貴重な八丈島方言(島言葉)を保存することも
重要です。しかし、若者の間では日常会話としてあまり用いられることがなくなり、消
滅の危機にあるこの言葉の保存・継承は、至難の業といえます。したがって、これを成
功に導くには、住民や関係機関と連携しながら、周到な計画を立てて着実に対策を進め
ることが不可欠です。
豊かな知識への願いは、多くの住民が抱いており、それぞれの多様な価値観に基づく
文化的活動が求められています。町は、住民のニーズを的確に把握し、文化活動の活発
な展開を可能とするために、その環境を整備していく必要があります。
4 いきいきとした町(産業像)
産業を振興して地域経済を活性化していくことは、八丈町の最も重大な課題です。世界
経済の構造的変化と、地球的規模での気候変動の影響を免れられない状況の中で、八丈町
は時代の変化に対応した産業の育成、支援に積極的に取り組み、雇用を拡大して町の人口
減少を食いとめるとともに、住民の所得を安定させ、福祉の向上と文化の興隆につなげて
いかなければなりません。
町は、各産業の自立と自由競争を尊重しつつ、産業間の連携と情報交換を促し、人材交
流を推進するとともに、重要な産業分野には重点的に投資し、有効な施策を打たなければ
なりません。とりわけ高齢化によって継続が難しくなっている伝統産業や、発展の可能性
を秘めた新産業の支援には町の命運をかけて取り組む必要があります。また、情報技術
(ICT)革命や先端技術の進歩等による産業構造の激変に対応する施策を急ぐべきであり、
そのために、有能な人材を島内から見出し、島外から呼び寄せて育成し、適材適所に活用
することが重要です。
「海洋を生かす町」として、海洋資源を幅広く有効利用する視点を
基礎にしながら、産業基盤の確立を図り、働くことに喜びのあるいきいきとした町をつく
らなくてはなりません。
⑴ 農 業
八丈島の農業は、現在、自然的条件を生かすことにより、花き園芸を基軸にした産地
形成を推進しています。農業の基盤は土地と人材です。八丈島における農業従事者の高
齢化は急速に進展しており、10年後には基幹的農業従事者のうち約6割が70歳以上の
高齢者となることが予想されています。また、農業者の高齢化に伴う耕作放棄地の増加
も懸念され、活力ある八丈島の農業を継続するためには、次のような施策に早急に取り
組む必要があります。
今後の重点施策としては、新たな農業従事者の確保と育成を図るため、八丈町農業担
─ 96 ─
い手育成研修センターの充実と島外からの新規参入者を受け入れる新たな方策を積極的
に模索していかなければなりません。また、補助事業による農道や灌がい施設など農業
基盤の整備を促進するとともに、農業委員会などが中心となって農地の賃貸借による担
い手への農地の利用集積を進めて、優良な農地の遊休化を防止する必要があります。さ
らに、気象災害に強い生産施設を計画的に整備して生産基盤の拡充を図ることで、品質
並びに労働生産性を向上させて「儲かる農業」を実践しなければなりません。
花き園芸は、鉢物類を中心に景気動向に左右されやすく、今後ますます消費者の需要
動向を的確に把握した農業経営をしていかなければ生き残れません。個々の農家が栽培
技術の向上に努めるだけでなく、将来を見越した優良品種の選定導入、生産者団体や後
継者組織の活動強化による情報の収集や発信を積極的に推進することが必要です。
野菜栽培については、島内販売ルートを充実させて住民や観光客に新鮮な野菜の安定
供給を目指すべきです。また、地産地消を進めるために、学校給食を中心に島内産野菜
の積極的な活用を検討しなければなりません。八丈島特産のアシタバ、八丈オクラ、島
トウガラシなどの野菜は、量産化による特産地化を図る必要があります。これらの品目
については、遊休農地の解消のための事業を積極的に活用して栽培面積の拡大を図ると
ともに、共販体制の確立や加工品の開発による高付加価値化により島外出荷を推進しな
ければなりません。
畜産については、草生改良などにより飼料の自給率を向上させるとともに、飼養技術
の改善によって生産性の向上と経営の安定を図らなければなりません。かつて隆盛を
誇ったこの島の酪農は、現在一部の生産者によって辛うじて存続しています。これまで
の外国産飼料に依拠してきた酪農は全国的にも行き詰まっており、放牧酪農への回帰が
始まりつつあります。この島においても、増加している耕作放棄地の有効利用のために
も、放牧酪農の可能性を積極的に探るべきでしょう。同時に、酪農で培った技術や知識
を応用して、和牛繁殖を推進することもこれからの課題です。
⑵ 林 業
八丈島の山林の面積は島内面積の約6割を占めていますが、強風や火山性土壌という
悪条件のため、杉、檜などの建築用樹種の植林面積は極めて少なく、榊の生産に一部で
利用されてはいるものの、その利用度は極めて低い現状にあります。また、かつては盛
んだった木炭の生産は生活環境の変化によって衰退し、山林はジャングル化しようとし
ています。
しかし現在は、木炭の利用方法が多様化している中、その利用方法を研究して需要拡
大を図らなければなりません。
また、山林の持つ涵養林としての効用や、自然林としての緑の効用を大切にしながら、
さらに園芸樹木や、亜熱帯果樹などの有用樹種を導入し転換植栽を行うなど山林の有効
─ 97 ─
利用を行い、林道整備にも積極的に取り組まなければなりません。また、観光業などと
連携し、森林浴や自然散策などのグリーンツーリズムの場として拡充を図ることも必要
です。
⑶ 水産業
日本の遠洋漁業が大幅な縮小を余儀なくされたことと、燃油の高騰による漁業生産の
縮小により、伊豆諸島の近海は、東京都及び近県の水産物の供給源として益々重要視さ
れています。しかしながら、水産資源の減少や魚価の低迷、漁業生産者の高齢化により、
漁獲量は年々減少傾向となっていることも事実です。
八丈島近海は、複雑な海底地形や海流から、好漁場が形成される反面、海水温度の上
昇や黒潮の流れの変動により漁獲量は大きな影響を受けるため、これらの気候変動によ
る資源の変化に対応した漁業への転換が必要です。技術開発、施設の改善を進め、同時
に新たな販路の開拓にも取り組みながら、将来に向けての水産資源の維持、回復を図っ
ていくことが急務となっています。
漁業資源を拡大していくためには、人為的な手法を施すことが不可欠であり、資源環
境を保全するとともに、船舶の安全水域等の港湾環境を整備していくことも重要です。
一方、資源を利用する側である漁業者においても、資源管理型漁業、漁場管理、ブラン
ド化の推進を図るとともに漁業協同組合の経営基盤を強化し、水産業の発展を図らなけ
ればなりません。
また、漁業後継者育成のため、新規就業者の幅広い雇用方法の導入や住宅対策が必要
です。さらに、未利用資源の製品開発、地産地消、魚食普及を推進するとともに、漁協
女性部、水産加工業、観光業等との連携による販路拡充を図る必要があります。
⑷ 観光業
八丈島の産業総生産額において観光関連産業の占める比率は最大であり、観光は町の
基幹産業として全住民の仕事や生活に大きく関わっています。
しかしながら、この島の観光はバブル期には隆盛を極めたものの、その後は観光客数
の減少傾向が長期に続いてきており、町の観光行政は今、抜本的な見直しを迫られてい
ます。島の最大の観光イベントであるフリージアまつりの背景にあったフリージア生産
が衰退する中で、島の産業のこのような構造的変化に対応した観光の立て直しを模索す
るとともに、埋没している観光資源の発掘、開発にも力を注ぎながら、需要の変化に即
応できる受入体制を築いていかなくてはなりません。
「もてなしの心」をもってこの島を訪れる一人一人を温かく迎え、さまざまな楽しみ
方ができる「やすらぎの島・八丈島」を実現することによって、東京諸島における八丈
島の観光地としての存在感を示し、安定した観光産業を確立しなければなりません。
温泉、海洋などを生かした観光資源を整備し、地場産業の振興と連動しながら、継続
─ 98 ─
的な開発を進めなければなりません。なかでも、豊かな自然と共生し、自然を素材とす
る観光資源の開発が重要性を増しており、自然と調和して施設の拡充が求められていま
す。
近年、八丈島の観光需要に変化が起きており、八丈島独特の文化の体験やスポーツ交
流等の来島者が増えています。それに伴い雨天時に使用できる室内運動場や文化ホール
などを整備し、通年観光地としての発展、滞在日数の延長を図ることが必要です。
また、温泉源を利用した多目的施設の整備、マリンレジャー施設の充実、そしてキャ
ンプ場の整備などを行い、楽しさのあふれる八丈島を目指さなければなりません。さら
に、有効な広報宣伝を繰り広げて観光市場の拡大を図るとともに、多様な宿泊施設の整
備とサービスの向上、情報システムの確立、新たな空路や海路の開拓、島内交通の利便
性向上にも取り組む必要があります。
⑸ 商工業・建設業
商業の発展は、住民の豊かな消費生活を創り出すだけでなく、活気ある町づくりを促
進します。八丈町は市場規模が小さいため、商店の専門化、大型化には限界があります。
また、島内人口の減少に加え、島外からの通信販売などによる影響もあり、商店の経営
環境は厳しくなっています。町は、総合的な経営指導の強化を促進しながら、安定した
輸送の確保、輸送コストの削減など、商業における共通課題を解決するための施策を進
めなければなりません。一方で、食の安全が叫ばれる中、商店と生産者の連携など、島
内産商品の質・量における充実を意識した、新たな流通体系の構築についても検討する
必要があります。
工業は、八丈島において第一次産業に付加価値を与え、消費を拡大することに貢献し
ています。伝統産業である黄八丈を始め、酒造、水産加工など、加工業を中心とする八
丈島の工業は、市場を地元や土産品に依存する割合が高くなっています。従って、はん
用性の高い産品を開発するとともに、島外へ販売する流通経路を確立して販路の拡大を
図ることが求められています。また、
原材料として地元の産物の利用を促進するために、
第一次産業とのより密接な信頼関係を築く必要があります。さらに、八丈島の新たな特
産物の開発に積極的に取り組まなければなりません。
建設業は、国土の保全、産業、生活基盤の整備においてその中核を担っています。し
かしながら、今日、建設需要の大半を占める公共事業の縮小が避けられない状況にあり
ます。この島において、雇用確保、地域経済の活性化においても建設業の果たす役割は
極めて大きいため、町は、機械、技術、人材の他の産業への転用、新たな事業への参入
などを促進し、建設業の経営基盤を強化するための施策について積極的に取り組まなけ
ればなりません。八丈町に質の高い社会資本を蓄積していくために、社会情勢の変化に
対応した建設業の健全な発展を促進することが重要です。
─ 99 ─
⑹ 新産業
急速に進む少子高齢化や人口減少は、この島のすべての産業に構造的変化をもたらし
ています。また地球的な規模で進む気候変動も、とりわけ一次産業に大きな影響を与え
てきました。そのため既存の産業も経営形態の抜本的変革を迫られていますが、新たな
産業を興し、育てていくこともこの町の重要な課題となっています。
経済のグローバル化の負の効果として、我が国の食料自給率低下や、食の安全への脅
威が重大問題化している中で、この島を取り囲む海洋の豊かな資源や、温暖多雨の気候
が恵む農産品に対する需要の拡大には大きな可能性が期待できます。八丈町は、農林水
産業や商工業、建設、運輸、観光、サービスなどのすべての分野において、新たな事業
を起業し発展させうる客観的な条件は整っています。
2004年(平成16年)八丈島は全国離島の中でもいち早くブロードバンド環境を実現し、
離島であることによる情報格差は大きく軽減されました。しかし、産業面でのインター
ネットの利用は未だに十分とは言えず、むしろ、情報通信技術(ICT)がもたらした時
代の変化に後れをとっています。
したがって今この町に求められているのは、こうしたICTや先端技術の利用を積極的
に促進することであり、同時に、新産業を興して生き生きとした町を作る人材の育成や、
新たな起業を支援するシステムづくりなどの主体的な条件を整えていくことに他なりま
せん。
5 明るい町(行財政と機構)
地方自治体は、少子高齢化に伴う人口の減少、社会経済のグローバル化や地方分権の進
展、住民の価値観・意識の多様化などにより、新たな行政政策を求められています。一方、
不況による国の税収の落ち込みは、地方交付税の削減など、八丈町の財政の制約を招いて
います。
町は、このような社会経済状況の変化に柔軟に対応しながら、本構想が描く「明るい町」
像を実現していくために、限られた資源・人材を可能な限り有効に使い最小の経費で最大
の効果をあげる行政を推進しなければなりません。さらに、住民が求める行政サービスを
最良の形で提供できる行政を目指さなければなりません。また、将来にわたって持続的に
行政サービスの水準を向上させて、町を発展させるために、既存の行政、財政、機構・組
織のシステムを不断に見直し改善する努力を惜しんではなりません。
住民主役の町づくりを組織的計画的に推し進めるために、町政を推進する原動力として
住民の町政参加を積極的に展開し、住民と行政が一体となって地域の発展に取り組む明る
い町をつくらなくてはなりません。
⑴ 行政
─ 100 ─
自治体は、地方分権の進展により、
「自己決定、自己責任」の原則により行財政を運
営していくことが求められています。
町は、今後の行財政の運営や事業の実施にあたり、民間の経営理念や手法をできる限
り取り入れて、必要性や費用対効果を検討し評価するとともに、コスト削減に努め、効
率の悪い運営方法や効果が少ないと判断される事業については、抜本的な見直しを行わ
なければなりません。その見直しを進める上で、町が行う各事業を行政内部だけで評価
するのではなく、学識経験をもつ住民で構成する住民主体の調査点検システムを構築す
ることによって、より客観的で信頼性ある評価を行うことが重要です。
また、町が保有している財源、財産、人材、情報等を行政経営の資源としてとらえ、
最大限に活用し、住民に質の高い行政サービスを提供していくとともに、行政システム
の電子化を推進して事務の効率化を図り、情報提供や申請・届出の手続きについて情報
通信技術(ICT)を積極的に活用して、サービスの迅速化や利便性をより一層向上させ
る電子自治体の構築を目指す必要があります。
2012年(平成24年)に完成予定の新庁舎においては、防災の拠点施設はもとより、
住民が利用しやすい、住民のためにある施設にするため、ワンストップサービスの導入
など、住民の視点に立ってサービス全般の見直しや窓口の改善、行政手続きの簡素化を
進め、便利で分かりやすく、満足度の高い行政サービスの提供に努力すべきです。
⑵ 財政
町は、健全財政を確保していくため、その目安となる財政指標を設定し、計画的な財
政運営を図らなければなりません。さらに、企業会計的な手法を用いた分析結果や行政
評価、成果重視、施策の優先度などを予算編成に反映し、質の高い住民本位の財政運営
に努めなければなりません。そのためには、町税等の滞納対策の強化に取り組み、悪質
な滞納者については、法的措置を講じ、収納率の向上を図る必要があります。また、住
民負担の公平性及び受益者負担の適正化の観点から、生活排水関連などの使用料、手数
料、公共料金等の見直しを行うべきです。さらに、公有財産の有効利用を図り、活用で
きないものについては、売却、譲渡等を含めた処分の検討を進めるなどして自主財源の
確保と拡充に努めなければなりません。
また、限られた財源を効率的に活用できるよう、職員のコスト意識を高め、数値目標
の設定等により、全庁的にICT関連経費、内部関連経費などの経費削減と合理化に努め
なければなりません。
さらに、公共事業については、財政計画に基づく適正な事業規模での実施及びコスト
縮減に努めるとともに、情報公開により、入札・契約等のより一層の透明性、競争性、
公平性の確保が必要です。
公営企業については、独立採算の原則を堅持し、住民に対する安定した業務体制の効
─ 101 ─
率化を図り、サービスの維持・向上に留意しながら事業の見直しを通じて一層の経営健
全化に努める必要があります。国民健康保険、介護保険などの各事業特別会計について
も、経営健全化に向けて取り組まなければなりません。
⑶ 機構
町は、機構・組織や人事管理制度を見直すことで、職場の活性化と職員の能力開発を
図り、住民の高い信頼を得られる組織づくりを進めなければなりません。また、組織の
使命や課題の達成に向けて、簡素で効率的かつ機動的な組織・機構の整備を図る必要が
あります。さらに、職員一人一人の資質の向上と意識改革に努め、過去の前例や固定観
念にとらわれない柔軟な思考と行動力をもって、多様な住民のニーズに迅速で的確に対
応できる人材を育成する体制を構築しなければなりません。とりわけ地方分権で中央か
ら委譲されるべき高度な業務にも耐えうる能力・資質の向上が求められており、そのた
めの実効性ある研修制度の構築が急務になっています。
財政状況の悪化、少子高齢化や過疎化の急速な伸展などは、行政を取り巻く環境を大
きく変化させています。地域での人と人との結びつきが希薄になっていく中で、行政の
サービス水準を行政だけで維持していくことは、年々困難な状況になってきています。
町は、住民と積極的に情報の共有を図り、説明責任を果たすとともに、住民と行政がそ
れぞれの役割と責任を認識して協働することで、町政の質の向上を推進していかなけれ
ばなりません。
さらに、複雑化する事業の実施マニュアルを整備することによって、町職員がより効
率的、組織的に業務を遂行できる体制を整えていくことも重要です。
また、町の設置する審議会、協議会などに、住民から専門的知識や豊かな経験をもつ
多彩な人材を幅広く登用し、町の施策をあらゆる視点から検討できる協議機関へと再編
する必要があります。
─ 102 ─
八丈町総合開発審議会委員名簿
会 長 岡 野 広 輝 (都市基盤部会)
職務代理者 磯 崎 光 宏 (都市基盤部会)
岩 崎 由 美 (都市基盤部会会長)
三 井 幾 雄 (都市基盤部会副会長)
高 松 哲 (都市基盤部会)
沖 山 恵 子 (生活・文化部会会長)
浅 沼 拓 仁 (生活・文化部会副会長)
山 本 忠 志 (生活・文化部会)
山 下 崇 (生活・文化部会)
奥 山 玉 恵 (生活・文化部会)
奥 山 秀 人 (生活・文化部会)
山 本 晃 義 (産業部会会長)
山 下 巧 (産業部会副会長)
佐々木 光 貴 (産業部会)
山 下 ミヤ子 (産業部会)
沖 山 雅 史 (産業部会)
沖 山 慶 孝 (産業部会)
村 山 眞理子 (産業部会)
(順不同・敬称略)
─ 103 ─
八丈町基本構想・基本計画
(平成28年∼32年)
平成28年3月 印刷・発行
発 行/八丈町
編 集/八丈町企画財政課企画情報係
東京都八丈島八丈町大賀郷2551番地2
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