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二探針ピエゾ駆動ホルダーを用いた導電性接着剤中の
日本金属学会誌 第 70 巻 第 4 号(2006)384388 二探針ピエゾ駆動ホルダーを用いた導電性接着剤中の 金属微粒子の電気的評価 川 本 直 幸1, 村 上 恭 和1 金 槿 銖2 菅 沼 克 昭2 進 藤 大 輔1 1東北大学多元物質科学研究所 2大阪大学産業科学研究所 J. Japan Inst. Metals, Vol. 70, No. 4 (2006), pp. 384 388 2006 The Japan Institute of Metals Advanced Transmission Electron Microscopy on Silver Based Conductive Adhesive Naoyuki Kawamoto1, , Yasukazu Murakami1, Daisuke Shindo1, Keunsoo Kim2 and Katsuaki Suganuma2 1Institute 2The of Multidisciplinary Research for Advanced Materials, Tohoku University, Sendai 9808577 Institute of Scientific and Industrial Research, Osaka University, Ibaraki 5670047 Microstructure of a recently developed silverbased conductive adhesive, which is expected as a substitute for conventional soldering, has been studied by advanced transmission electron microscopy (TEM). Energyfiltered TEM has revealed the feature of dispersion of silver particles. Conductivity between neighbored particles is evaluated inside the electron microscope by using two microprobes that can be operated independently. The results shed light on the development of the silverbased conductive adhesive. (Received December 5, 2005; Accepted February 16, 2006) Keywords: transmission electron microscopy, silverbased conductive paste, leadfree soldering, packaging materials 最初の導電性ペーストの開発はおよそ 40 年以上前に遡 1. は じ め に り,これまでに様々な金属粒子を用いたペーストが考案され てきたが,現在はとりわけ Ag エポキシ系のペーストが優 近年,環境保護や資源節約を目的とした Pb フリーはんだ れた材料として関心を集めている.その背景としては,まず の開発が積極的に行われている1,2) .しかしながら, 280 ° C Ag が電気抵抗率の低い良導体であることが挙げられる.Ag 以上で電子部品の内部接続などに用いる高温はんだの場合は, は酸化膜が薄く比較的電気抵抗が低い.また,Ag の酸化物 Pb 含有量が 85 以上の Pb Sn 合金が使われているが,代 である Ag2O は,熱力学的に大気中でも 150° C 近傍で Ag に 替材料の開発が遅れている.鉛フリー高温はんだとして提案 還元する特徴を持っているため,フィラーとして適している. されてきた合金は,Au 系,Bi 系合金などがあるが,Au系 Agエポキシ系導電性接着剤に用いられるバインダーは,エ 合金は高価であり,Bi系合金は,脆性が高いなどの問題点 ポキシ主剤の他に,硬化剤,還元剤,カップリング剤などが が多く新しい代替技術が望まれている.このような背景から, 添加されている.硬化処理前は,フィラーがペースト状のバ Pb フリー高温はんだに代わる材料として,金属粒子を含ん インダーの中で独立して分散し,電気は流れないが,硬化処 だ導電性ペーストが注目されていて3,4) ,現在,高温での耐 理後には,バインダーが硬化,収縮するため,フィラーが接 久性等の向上を目指した基礎研究が行われている5).一方導 触し導電性が得られる.Agエポキシ系導電性接着剤の硬化 電性ペーストには,より低温域での利用に対する期待もあ 処理は,一般的に 150 ° C で行われるが,バインター剤の改 る.例えば携帯情報機器の薄型化は電子回路基板の実装温度 良により硬化温度を 150 ° C 以下にすることも可能である. に制約を与えており,今後,200° C 以上の熱源を必要とする 更に,将来の技術として Ag のナノ粒子化や印刷技術(イン はんだ付けそのものが敬遠される事態も考えられるが,これ クジェット方式)などを利用した新しい電子回路基板作製技 に対して導電性ペーストは 150 ° C 以下での硬化が可能であ 術に関する基礎研究が現在精力的に行われている6). り,小型携帯情報機器の開発に不可欠な材料としても注目を 集めているのである. ところで導電性 Ag ペーストの研究開発では,硬化した ペースト内で Ag 粒子がどのような形態で分散し,どのよう な導電経路を形成しているかという点が重要な評価のポイン 東北大学大学院生(Graduate Student, Tohoku University) トとなる.この問題に対しては,これまで 2 次元系のモデ 第 4 号 二探針ピエゾ駆動ホルダーを用いた導電性接着剤中の金属微粒子の電気的評価 385 ルを使ったコンピュータシミュレーション( Ag 粒子に対す TEM 観察に用いた.先に述べた通り, TEM 観察用の薄膜 る パ ー コ レ ー シ ョ ン の 解 析 )7) や SEM ( Scanning Electron 試料は FIB 法で作製し,膜厚がほぼ 100 nm 程度となるよ Microscopy )を用いた組織観察6,8) により研究が行われてき うに調整した.FIB 加工には JEM9310FIB を用いた.FIB た.しかしながら,Ag 粒子のナノサイズ化や精密形態制御 法で薄膜化した試料の SIM (Scanning Ion Microscopy)像を が 進 む 中 , よ り 高 分 解 能 で の 直 接 観 察 が 可 能 な TEM Fig. 1 ( a )に示すが,イオン照射に伴う 2 次電子発生効率が ( Transmission Electron Microscopy )による評価の重要性が 異なる Ag とエポキシ樹脂にはコントラスに大きな違いがあ 高まってきている.一方,このような導電性ペーストの評価 り,Ag 粒子の分散に関する大まかな情報は,FIB 加工の過 では,TEM で明らかにした微細構造と電気的性質の相関を 程でも(同時観察が可能な SIM 像から)得ることができる. 明らかにすることが研究意義として極めて重要である.しか TEM 観察は,オメガ型エネルギーフィルターを搭載した し,異なる物質から成る複合材料に対して,その複雑な微細 JEM 2010 Q を用いて,加速電圧 200 kV の条件で行った. 構造の TEM 観察と,局所的な導電性の評価を同時に行える この電子顕微鏡はプラズモン散乱に起因する電子回折図形や ような技術は未だに確立されていない. 明視野像のバックグラウンドを除去でき,鮮明な画像データ 本研究の目的は,以下の二点である.まずは,現在利用さ を得るのに極めて有効である9).バックグラウンドを除去し れている標準的な Ag ペーストを集束イオンビーム( FIB: た電子回折図形や明視野像は,イメージングプレート Focused Ion Beam)法で薄膜化し,硬化後の Ag 粒子の組織 (FDLURV)を用いてディジタル画像として記録した. 的特徴を TEM 観察により明らかにする.更に,TEM 内で 一方,本研究では Ag 粒子の分散状態と局所的な導電性の 導電性を評価できる新型の試料ホルダーを用いて,Ag 粒子 関係を考察するために,TEM 内で探針を駆動できる新型ホ の分散状態と局所的な導電性との関係を評価検討する. ルダーを開発した.この新型ホルダーは,最近著者ら (川本,村上,進藤)が精力的に行っているナノスケールでの 2. 実 験 方 法 磁束分布解析10,11)や構造評価12)に,第三の因子である導電性 の評価を加えた先端材料の多元的評価実現のために開発した 本 研 究 で は , 典 型 的 な 導 電 性 Ag ペ ー ス ト で あ る 73 もので,本研究では導電性ペーストに対する試験的な利用を 株 FA massAgエポキシ樹脂系(藤倉化成 705A)を,Cu 行った.このホルダーの最大の特徴は,TEM のポールピー 基板上において 150° C で 30 分間保持し,硬化させたものを ス内という極めて狭い空間で,二本の探針を独立に駆動でき Fig. 1 (a) Scanning ion microscope image of 73 massAgepoxy conductive adhesive. (b), (c) Transmission electron microscope images of 73 massAgepoxy conductive adhesive. (d), (e) Electron diffraction patterns obtained from the epoxy and the Ag particle indicated by A and B in (c), respectively. 386 日 本 金 属 学 会 誌(2006) 第 70 巻 るという点である.二本の探針は,マイクロメータによる粗 し,このような傾斜の効果を考慮しても明らかに Ag 粒子は 動とピエゾ素子による微動が可能であり,通常 FIB で加工 水平方向に伸びた細長い形態をしていることが指摘でき,こ する幅 10 mm 程度の領域内であれば,ほぼ全ての二点間の の点は後述する無傾斜状態で得た TEM 写真からも明らかで 抵抗評価が可能である(以後,この新型ホルダーを二探針ピ ある.導電性ペーストに注目した場合,異方性の少ない球状 エゾ駆動ホルダーと呼ぶ).なお,これまでにも透過電子顕 の Ag 粒子を用いるより,フレーク状(鱗状)などの形態的異 微鏡内で一本の探針を駆動できるホルダーを使い,単原子鎖 方性の強い粒子を用いた方が抵抗率を低くできるという報告 の量子化されたコンダクタンスの測定13,14)や局所領域への磁 がある7).本研究で用いた導電性 Ag ペーストも,このよう 場印加15) で優れた成果が報告されているが,複数の探針を な形態的異方性の強い Ag 粒子を用いていることがわかる. 独立三次元駆動する試みは今回が初めてである. Fig. 1 ( b )には, FIB 法で薄膜化した導電性 Ag ペースト なお,本研究では局所領域の抵抗測定を行う探針として, の明視野像を示す.薄膜化の過程で生じた亀裂が同図の左側 市販されている PtIr 製の STM(Scanning Tunneling Micro- に見られるが,全体的にほぼ均一な厚さを持つ試料が作製さ scopy)用探針を採用した.この PtIr 製探針は,同様に市販 れていることが,エポキシ部分のコントラストの一様性から されている W 製の探針と比べて酸化しにくく,抵抗測定の 明白である. Fig. 1 ( c )は同試料の別の領域を観察したもの 実験に適している.しかしながら,購入したままの PtIr 製 であるが,A 点(エポキシ部分),B 点(Ag 粒子部分)付近か 探針は Fig. 2 (a )に示すように針先が太く,サブナノスケー ら得た電子回折図形をそれぞれ Fig. 1(d), Fig. 1(e)に示す. ルの抵抗測定には不向きである.この問題を解決するため Fig. 1 ( d )ではアモルファス構造に特有のハローパターンが に,我々は FIB を用いて Pt Ir 製探針の針先を先鋭化し 観察される.一方 Fig. 1(e)では, FCC 構造を持つ Ag の基 た.その結果を Fig. 2(b)に示す.この実験では,いわば円 本反射(111 反射,200 反射など)が,それぞれ逆格子の原点 錐状の針先を尖った四角錐状の形態に加工しているが,針先 を中心とする同心円上に幾つか観察されるが,円上での反射 の径を 50 nm 以下にまですることが可能である.この先鋭 間の距離は一様でなく,単結晶の回折図形としては説明でき 化した探針を薄膜化した試料に接触後,定電流(10 nA)の印 ない.他の Ag 粒子からも同様の特徴を持つ電子回折図形が 加に伴う電圧降下の測定により,局所領域の抵抗を評価し 観察されている.即ち電子回折の実験から,この導電性 Ag た.電気的な計測には Keithley 社製の微小電流源(2182 型) ペーストを構成する Ag 粒子が多結晶体であることが示され と電圧測定器( 6487 型)を用いた.これらの装置と二探針ピ た. エゾ駆動ホルダーを組み合わせで評価できる抵抗値は,現在 上述した通り, Ag 粒子は形態的な異方性が強く, Fig. のところ 1~ 107 Q のレンジであるが,絶縁抵抗器等を利用 1(b)からも,全体的には細長い Ag 粒子が水平方向に揃って することでより広範な抵抗を測定することも可能である. いる傾向が見てとれる.これら Ag 粒子の分散の様子は,硬 化前に薄く引き延ばした導電性ペーストの塗布面に粒子の長 結 果 と 考 察 3. 3.1 導電性 Ag ペーストの微細構造評価 手方向が含まれるような関係になっている.なお,細長い Ag 粒子の長軸の長さはおよそ 1 mm から十数 mm ,短軸の 長さは数百 nm から約 1.5 mm と広く分布していた.これに Fig. 1 ( a ) は , FIB 加 工 し た 導 電 性 Ag ペ ー ス ト 薄 膜 の 対して Ag の結晶方位に関しては特筆すべき異方性は確認さ SIM 像である.なお Fig. 1 ( a )の SIM 像は, FIB 装置中で れず,実際に広領域から得られる電子回折図形には集合組織 試料を入射ビームに対して約 30° 傾斜させて観察しているた を表す回折強度の偏りは見られなかった. め(傾斜軸は水平方向),同図で黒く見える Ag 粒子が実際の なお,今回作製した薄膜試料には,TEM 像で確認できる 縮尺よりも垂直方向に縮小された構図となっている.しか Ag 粒子は約 90 個存在した. TEM 像で見る限り,他の Ag Fig. 2 (a) Scanning ion microscope image of a commercial PtIr probe. (b) Scanning ion microscope image of a PtIr probe, the tip of which is sharpened by focused ion beam. 4 第 号 二探針ピエゾ駆動ホルダーを用いた導電性接着剤中の金属微粒子の電気的評価 387 粒子と接触している粒子の割合は全体の約 3 割であり,そ した探針自身のコントラストの変化,或いは探針を接触させ の他の粒子は孤立していた(エポキシによって他の粒子と隔 たことで湾曲する試料の回折コントラストの変化で確認でき 離されていた).導電性ペーストの研究開発では,粒子の充 る他,抵抗測定器を用いた電気的検査によっても確認でき 填率や形態,或いは樹脂の硬化に関する条件が粒子間の物理 る.なお,先鋭化した PtIr 探針は柔軟性に富んでおり,同 的接触による伝導経路の形成にどのような影響を及ぼすかを じく市販されている W 探針よりも比較的破損しにくい. 詳しく評価することが必要となってくる.しかしながら, Fig. 4(a), (b), (c)は,それぞれ欠損の無い Ag 粒子(粒子 TEM 像を見る限りでは,実際に接触しているかどうか判定 A),形態的な欠損を含んだ Ag 粒子(粒子 B),および TEM が難しいものや,接触しているものの酸化膜やエポキシの残 観察では電気的に接触しているか判別不能な粒子 B と粒子 骸によって電気的な接続が達成されていないものなど,複雑 C 間の電気抵抗測定の実例を示す.試作したホルダー自身の な状態を正確に評価することができない.そこで次節では, 評価・改良を進めている現段階では,電気的な計測に用いる 新技術として開発した二端子ピエゾ駆動ホルダーを,導電性 ホルダーの導線が必要以上に長いこと,また PtIr 探針の接 ペーストの解析に応用した例を述べる. 触抵抗などにより,システムの内部抵抗値(試料を挟まずに 3.2 二探針ピエゾ駆動ホルダーを用いた微細構造と導電性 の同時評価 探針同士を接触させた時の抵抗値)が数十 Q 程度と大きい. 一方,一度探針を試料に接触させると比較的安定した計測が 可能で,印加電流が 10 nA という条件下で測定された抵抗 二 探 針 ピ エ ゾ 駆 動 ホ ル ダ ー で は Pt Ir 等 の 金 属 探 針 を 値の揺らぎは約± 3 Q であった.このような実験条件で, TEM 内で三次元的に駆動することができ,マイクロメータ Fig. 4(a)の粒子 A の両端に探針を接触させて測定を行った を利用した広い駆動範囲の確保とピエゾ素子を用いた探針位 ところ,抵抗値の揺らぎの範囲内で,内部抵抗値からの有意 置の微調整により,TEM 観察をしながら注目する粒子一個 な変化(抵抗の上昇)は見られなかった.形態的な欠損を含む 一個の導電性,或いは隣接する粒子間の導電性をその場で評 粒子 B に関しても同様の結果であった.即ち,現時点では 価できる.透過電子顕微鏡内で二本の探針を試料に近づけ 装置の内部抵抗が高いため,Ag 粒子の抵抗値そのものを求 て,物理的に接触させる過程を Fig. 3 に示す. Fig. 3 ( a )に めることはできない( Ag の抵抗率と薄膜化後の粒子のサイ は,接触前の二本の PtIr 探針と導電性ペースト薄膜が示さ ズから試算すると,個々の Ag 粒子の抵抗値は 1 ~ 2 Q 程 れている.この実験では, Fig. 3 ( b )に示すように,まず探 度).しかしながら,探針間の領域に導通があるかどうかの 針 1 を注目する Ag 粒子の一点に接触させた後,探針 2 を同 検証は十分可能であり,Ag ペーストの研究開発で注目され じ Ag 粒子の別の場所に接触させ(Fig. 3(c)),電気抵抗の測 る,隣接した粒子間の導電性評価を効果的に実施できる.例 定を行った.探針が試料に接触したかどうかは,細長く加工 えば,TEM による組織観察では電気的な接触があるか判断 Fig. 3 sive. Transmission electron microscope images showing the approach of PtIr probes to a thinfoiled Agepoxy conductive adhe- Fig. 4 Resistivity measurements for (a) an isolated Ag particle, (b) an isolated Ag particle with defects and (c) two neighborhood Ag particles. 388 日 本 金 属 学 会 誌(2006) 第 70 巻 できない Fig. 4(c)の粒子 BC 間に対しては,抵抗値が 107 本研究の一部は,科学研究費補助金(基盤研究( A ),若手 Q 以上となり,両者が電気的に絶縁されていることが明らか 研究(B)), NEDO 事業「高温鉛はんだ代替技術開発プロジ となった.上記の手法により,注目する粒子の集合体が,硬 ェクト」,新産業創造物質基盤技術研究センター「材料基盤 化したペースト内で大きな導電経路となっているかどうかを 研究プロジエクト(ハード材料)」の支援の下で行われた.ま TEM 内で直接検証できるようになった.なお, TEM 観察 株 た,本稿で紹介した二探針ピエゾ駆動ホルダーは日本電子 では試料を薄膜化する必要があるために,Ag 粒子の接触を との共同研究を通して開発しているものである. 二次元的に解析することになる.しかしながら,硬化した Ag ペーストを異なる方向から薄膜化したり,ミクロトーム 文 献 を利用した連続切片の観察技術を利用するなどして13) , Ag 粒子のネットワークをより三次元的に考察することは可能と 思われる. 4. ま と め 本研究では, Pb フリー高温はんだの代替材料として期待 される導電性 Ag ペーストを FIB 法で薄膜化し,Ag 粒子の 形態や分散状態に関する詳細な TEM 観察を行った.その結 果,細長い Ag 粒子の長手方向がペースト塗布面内に配向す る傾向が確認された.一方 TEM 観察の範囲では,今回作製 した薄膜試料で,隣接する粒子と接触している Ag 粒子の割 合がほぼ 3 割と見積もられた.しかし,このような組織観 察のみでは,凝集する粒子が電気的にも一体になっているか どうかを判定することは難しい.そこで,微細構造と導電性 を多元的に評価できる新しい手法として,二探針ピエゾ駆動 ホルダーを用いた実験を行い,個々の Ag 粒子が高品位の良 導体であること,TEM 観察のレベルでは物理的に接触して いると思われる凝集体でも電気的には絶縁されているケース があることなどの情報を得ることができた.今後,測定シス テムの定量性を高めると同時に,電極と導電性 Ag ペースト の接合に関する問題など,微細構造と導電性の同時評価が不 可欠な様々な問題を評価して行きたいと考えている. 1) K. Suganuma, T. Murata, H. Noguchi and Y. Toyoda: J. Mater. Res. 15(2000) 884891. 2) I. Shohji, T. Nakamura, F. Mori and S. Fujiuchi: Mater. Trans. 43(2002) 17971801. 3) J. H. Constable, T. Kache, H. Teichmann, S. M äuhle and M. A. Gaynes: IEEE Trans. Comp. Packag. Technol. 22(1999) 191. 4) D. Lu and C. P. Wong: IEEE Trans. Comp. Packag. Technol. 23(2000) 620. 5) M. Yamashita and K. Suganuma: J. Mater. Sci. Lett. 22(2003) 1311. 6) K. S. Kim, M. Hatamura, S. Yamaguchi and K. Suganuma: Proc. 3rd International IEEE Conference on Polymers and Adhesives in Microelectronics and Photonics (Polytronics 2003), (Montreux, Switzerland, 2003) pp. 369374. 7) K. Suganuma: Kokomadekita Doudensei Secchakuzaigijyutsu, (Kougyouchousakai, Tokyo, 2004) pp. 1529. 8) M. Yamashita and K. Suganuma: J. Electron. Mater. 31(1999) 551. 9) Y. Murakami and D Shindo: Mater. Trans. 40(1999) 1092 1097. 10) Y. Murakami and D Shindo: Mater. Trans. 46(2005) 743755. 11) N. Kawamoto, Y. Murakami, D Shindo, S. Fujieda, A. Fujita and K. Fukamichi: Mater. Trans. 46(2005) 17641767. 12) D. Shindo and K. Hiraga: HighResolution Electron Microscopy for Materials Science, (SpringerVerlag, Tokyo, 1998) pp. 41 165. 13) H. Ohnishi, Y. Kondo and K. Takayanagi: Nature. 395(1998) 780783. 14) T. Kizuka: Phys. Rev. Lett. 81(1998) 44484451. 15) D. Shindo, Y.G. Park, Y. Gao and H. S. Park: J. Appl. Phys. 95(2004) 65216526.