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英 語
1
Lesson 5
題材名
Stevie Wonder - The Power of Music(学校図書 Book 3)
(第3学年・10時間)
2
題材の目標
○スティービー・ワンダーについて彼の人生を踏まえて感じたことを、まとまりのある文で書くこ
とができる。「書くこと」(イ)
・スティービーワンダーの人生についての感想をグループで発表して、友達と簡単な意見交換をす
ることができる 。「話すこと」(イ)
・関係代名詞の主格を用いた文を理解できる。
3
評価規準
ア
コミュニケーショ イ
表現の能力
ウ
理解の能力
言語や文化につい
ての知識・理解
ンへの関心・意欲・態度
(言語活動への取り組み)
エ
(正確さ)
(正確さ)
( 言語についての知識)
①本文の読み取りに必 ①教科書本文で自分が ①スティービーワンダ ①関係代名詞(主格)
本 要なスティービーワン 大切だと思う部分に線 ーについての文を正確 の構造・意味を理解し
ダーに関する情報を得 を引いて、その文に自 に読み深めることがで ている。
課 て、スティービーワン 分 の 感 想 を "I
think きる。
ダーについての感想を ~."のような文を使っ
の 書こうとしている。
て表現することができ
友達とスティービー る。
評 ワンダーの人生の感想 (適切さ)
を発表し簡単な意見交 ②スティービー・ワン
( 文化についての理解)
価 換をする言語活動に取 ダ ー に つ い て の 感 想
②教科書本文を読んで
規
り組んでいる。
が、聞き手に正しく伝
黒人の人種差別につい
( コミュニケーションの継続)
わるよう、まとまりの
て理解している。
②相手の話に関心を持 ある文で書くことがで
準 って、メモを取りなが きる。
ら聞こうとしている。
4
指導と評価の計画
時
主な学習活動
間
学習活動における
評価方法等
具体の評価規準
○今後の本文の読み取りに
○今後の本文の読み取り
○活動の様子の観察
必要なスティービーワンダ
に必要なスティービーワ
○ワークシート
ーに関する情報を得て、ス
ンダーに関する情報を得
<Aとする具体例>
ティービーワンダーについ
て、スティービーワンダ
既習事項を適切に使用し、さら
ての感想を書く。
1
ーについての感想を書こ
に自分の感想を詳しくまとまり
うとしている。 (意欲)
のある文章を書くことができ
る。
(例)
○今後の本文の読み取り
・彼はどんな人か
に必要なスティービーワ
<Cの生徒への手だて>
・マーティンルーサーキ
ンダーに関する情報を得
感想を表す形容詞などを生徒に
ングとの関係について
て、スティービーワンダ
ヒントカード示したり、書き出
ーについての感想を英語
しの文で I think ~を与え書け
で書くことができる。
るように支援する。
(表現)
○本文を読みながら関係代
○ 関 係 代 名 詞 ( who)を 含
○ワークシート
本
名 詞 ( who) を 含 む 文 を 理
む文の構造を理解したか
<Aとする具体例>
時
解する。関係代名詞を含む
どうかを、本文に関わる
スティービーワンダーの事柄を
文を理解するために本文に
英文和訳の問題ではかる 。 関係代名詞を用いて書き表すこ
関わるワークシートに取り
2
(言語)
とができる。
組む。
<Cの生徒への手だて>
教科書本文を利用して作ら
日本語にできない生徒にはつま
れた関係代名詞の文を用い
づいている箇所を把握した上で
てTF問題を行う。
板書やノートシートを参考にさ
ペアで本文に関わる関係代
せ支援をおこなう。
名詞を含む文の並びかえ問
題を行い、できた生徒はそ
の文をワークシートに書き
入れる。
3
○ Part A の教科書本文の
○ Part A のスティービ
○活動の様子の観察
内容を細かいところの意味
ーワンダーについての文
○ワークシート
についての注意を聞いて理
を正確に読み深めること
<Aとする具体例>
解し音読する。
ができる 。(理解)
大切だと思う部分をさらに見つ
け、それについての自分の感想
○ Part A の本文で自分が
○ Part A の本文で自分
も付け加えて、まとまりを持っ
大切だと思う文章に線を引
が 大 切 だ と 思 う 部 分 (例
て表現している。
いて、その文に自分の感想
He
<Cの生徒への手だて>
を付け加える。
eyesight.)に線を引いて、
本文中の大切な部分を示し、そ
そ の 文 に 自 分 の 感 想 を "I
れに対する感想を考えさせる。
soon
think ~
lost
his
."のような文を さらに支援が必要な場合には、
使って表現することがで
感想を表す表現を例示し、それ
きる。
を使って書かせる。
(表現)
○本文を読みながら関係代
○ 関 係 代 名 詞 ( that)を 含
○ワークシート
名 詞 ( which) を 含 む 文 を
む文の構造を理解したか
<Aとする具体例>
4
理解する。関係代名詞を含
どうかを、本文に関わる
む文を理解するために本文
英文和訳の問題ではかる 。 関係代名詞を用いて書き表すこ
に関わるワークシートに取
(言語)
スティービーワンダーの事柄を
とができる。
り組む。
教科書本文を利用して作ら
<Cの生徒への手だて>
れた関係代名詞の文を用い
日本語にできない生徒にはつま
てTF問題を行う。
づいている箇所を把握した上で
ペアで本文に関わる関係代
板書やワークシートを参考にさ
名詞を含む文の並びかえ問
せ支援をおこなう。
題を行い、できた生徒はそ
の文をワークシートに書き
入れる。
5
○ Part B の教科書本文の
○ Part
内容を細かいところの意味
ーワンダーについての文
○ワークシート
についての注意を聞き音読
を正確に読み深めること
<Aとする具体例>
する。
ができる 。(理解)
大切だと思う部分をさらに見つ
Bのスティービ
○活動の様子の観察
け、それについての自分の感想
○ Part B の本文で自分が
○ Part B の本文で自分
も付け加えて、全体としてまと
大切だと思う文章に線を引
が 大 切 だ と 思 う 部 分 (例
まりを持って表現している。
いて、その文に自分の感想
He
<Cの生徒への手だて>
を付け加える。
others
decided
to
who
help
have
本文中の大切な部分を示し、そ
difficulties.)に 線 を 引 い
れに対する感想を考えさせる。
て、その文に自分の感想
さらに支援が必要な場合には、
を "I think ~
."のよう 感想を表す表現を例示し、それ
な文を使って表現するこ
を使って書かせる。
とができる 。(表現)
○本文を読みながら関係代
○ 関 係 代 名 詞 ( that)を 含
○ワークシート
名 詞 ( that) を 含 む 文 を 理
む文の構造を理解したか
<Aとする具体例>
解する。関係代名詞を含む
どうかを、本文に関わる
スティービーワンダーの事柄を
文を理解するために本文に
英文和訳の問題ではかる 。 関係代名詞を用いて書き表すこ
関わるワークシートに取り
6
(言語)
とができる。
組む。
<Cの生徒への手だて>
教科書本文を利用して作ら
教科書本文を参考にさせ、自分
れた関係代名詞の文を用い
のことについて書けるようにヒ
てTF問題を行う。
ントカードを利用して個別指導
ペアで本文に関わる関係代
を行う。
名詞を含む文の並びかえ問
題を行い、できた生徒はそ
の文をワークシートに書き
入れる。
○ Part C・D の教科書本文
○ Part C・ D のスティー
○活動の様子の観察
の内容を細かいところの意
ビーワンダーについての
○ワークシート
味についての注意を聞き音
文を正確に読み深めるこ
<Aとする具体例>
読する。
とができる 。
( 理解 ) 大切だと思う部分をさらに見つ
け、それについての自分の感想
7
○教科書本文を読んで、ア
○教科書本文を読んで黒
も付け加えて、全体としてまと
フリカで行われた人種差別
人の人種差別について理
まりを持って表現している。
政策について知る。
解している 。(文化)
<Cの生徒への手だて>
本文中の大切な部分を示し、そ
○ Part C・D の本文で自分
○ Part C・D の本文で自
れに対する感想を考えさせる。
が大切だと思う文章に線を
分が大切だと思う部分 (例
さらに支援が必要な場合には、
引いて、その文に自分の感
:This world was made for
感想を表す表現を例示し、それ
想を付け加える。
all men, all people, all
を使って書かせる。
babies, all children, all
colors, all races.)に線を
引いて、その文に自分の
感想を "I think ~."のよ
うな文を付け加えて表現
することができる。
(表現)
8
○スティービー・ワンダー
○まとまりを持てるよう
○ワークシート
についての感想を、今まで
な表現を付け加えながら 、 <Aとする具体例>
書いてきた自分の文をもと
スティービー・ワンダー
スティービー・ワンダーについ
にして、まとまりのある文
の人生についての感想を
ての感想を関係代名詞などの言
で書く。
書くことができる。
語材料を用いてまとまりを持っ
(表現)
て書くことができる。
<Cの生徒への手だて>
自分が今までに書いてきた文を
利用し、まとまりのある文を書
くのに必要な接続詞などをヒン
トカードで示し 、取り組ませる。
9
○スティービーワンダーの
○スティービー・ワンダ
○活動の様子の観察
人生についての感想を、グ
ーの人生についての感想
<Aとする具体例>
ループ内で発表する。
を、 read and look up で
自分の原稿をほとんど見ない
すらすらと聞き手に伝え
で、きれいな発音で相手にわか
ることができる。
りやすく話している
(表現)
○相手の話に関心を持っ
<Cの生徒への手だて>
てメモを取りながら、聞
自信を持って伝えることができ
こうとしている。
るように、ALTに発音しそれ
(関心)
に repeat して繰り返し練習さ
○友達とスティービーワ
せたり、わからない単語に仮名
○発表された感想について、 ンダーの人生の感想を発
をふって読めるようにさせる。
グループ内の友達と簡単な
表し簡単な意見交換をす
英語で意見交換する。
る言語活動に取り組んで
いる 。(意欲)
10
○ P48, 49 の Activities に
○主格の関係代名詞の文
○確認テスト
取り組み、 Lesson5 のまと
の構造を理解している。
<Aとする具体例>
めを行う。
( 言語) 関係代名詞と既習事項を用いて
自分のことを表すことができる
○主格の関係代名詞につい
<Cの生徒への手だて>
ての確認問題を行う。
今までのワークシートを振り返
らせ、必要に応じてヒントを与
える。
5
指導と評価の実際
(1)ねらい
教科書本文を理解し、関係代名詞(who)の文構造を理解することができる。
(2)準備
教科書、ワークシート、センテンスカード、
(3)展開
学
1
習
活
動
warming up
時間
2
指
導
上
の
留
意
点
・
支
援
評価項目
・ 英語の授業の雰囲気をつくるようにする。
2 導入
(1)スティービーワン
・簡単な問題に答えることでスティービーワンダーについて思
ダーのピクチャーカード
い出させる。
を見ながら、前時で学習
したスティービーワンダ
ーのことについての
Who is he? What is
his job?などの質問に答
18
える。
(2)スティービーワン
・ALTとJTEや生徒とのやりとりを通して本文理解を英語
ダーの教科書本文の内容
で行わせる。
を英語でやりとりをしな
がら理解する。
本文の内容を読む中で関
・文構造の理解のために、本文をもとにして作ったセンテンス
係代名詞( who)を含む
カードを黒板にはり練習を行わせる。
文が出てきたときに、文
・関係代名詞の例を口頭練習する際にどのような意味なのかを
を取り出して他の関係代
考えるように指示し、ALTの後に続いて言わせるようにする
名詞を含む文を例にして
ことでより理解を深めさせる。
文の構造を理解する。
その後ALTの後に続い
て例文の練習を行う。
(3)関係代名詞の文の
・センテンスカードを用いて先行詞を明らかにしたり who 以
構造の説明を聞く。
下の文が先行詞を説明していることがわかるように矢印等を板
書して下位の生徒の理解の手助けとする。
3 活動
15
(1)関係代名詞を含む
・TF問題を解く際に、問題を解くヒントとして教科書を見て
本文の内容に関わる問題
もよいという指示を出すことで、取り組みやすくさせる。
をALTが読む文を聞き
・TF問題に取り組んだ後、問題文をセンテンスカードで示し
TF問題に取り組む。
ながら答えを確認し、関係代名詞の文の構造についての説明を
加えることで 、関係代名詞の文の構造を理解させるようにする 。
・本時の最終的な確認問題につなげるために、日本語での意味
を考えさせながら、答え合わせを行う。
(2)ペアで本文に関わ
・並べ替え問題を行う時間を2分間に設定することで、集中し
る関係代名詞を含む文の
て問題に取り組ませるようにさせる。
並びかえ問題を行い、で
・センテンスカードで答えを確認して、時間内にできなかった
きた生徒はその文をワー
生徒の理解の手助けとする。
クシートに書き入れる。
・課題がすべて終わったペアについては、まだ終わっていない
ペアに教えるよう、指示をする。
4、まとめ
15
(1)関係代名詞を含む
文を理解するために本文
○関係代名詞(who)を含む文の構造を理解したかどうかを 、
に関わる文を英語から日
本文に関わる英文和訳の問題ではかる。
本語にする。
(言語・文化についての知識・理解)
・ワークシート
<Aの生徒への手だて>
・スティービーワンダーの事柄を関係代名詞を用いて書き表す
ことができる。
<Cの生徒への手だて>
日本語にできない生徒には、つまづいている箇所を把握した
上でヒントカードを参考にさせる。
・ ALT は机間巡視を行い、日本語にできていない生徒にヒン
トカードを与える。
・ JTE は机間巡視を行いながら、ヒントカードを用いてもな
お日本語にできない生徒について、関係代名詞の文構造を詳し
く解説して、理解の支援を行う。
(2)書き終わった生徒
・課題が早くできあがった生徒への発展的な課題として与え
は関係代名詞を使った文
る。
で自分ことに関する表現
をワークシートにできる
だけ考えて書く。
6
評価の実践例
(1)評価実践例
2年生
その1
In Your Words 夏休みの予定
(TOTAL ENGLISH Book2 p.28)
言語活動 "Summer Vacation(夢の夏休み)を書こう "
<活動の手順>
①以下の会話文のBの部分に自由に文を入れて、自分の理想の夏休みの予定について
の会話文を完成させる。
②ペアで練習する。
③ALTと発表を行う。
A : Are you going to go anywhere during summer vacation?
B : Yes, I am.
A : Where are you going to go?
B : ①(
② I think that (
).
) is (
).
A : What are you going to do there?
B : ③(
④(
).
). ←1文以上文を付け加える。(評価する)
A : That's great.
<評価規準>
・自分の言った文に対して、文を付け足してまとまりをもたせることができる。
・未来を表す be going to を正確に使用することができる。
(表現の能力)
(言語・文化についての知識・理解)
上記のような授業を行う前に、英語部会で、どのように評価するのかを検討した。そして、今回の
授業では「表現の能力」の評価に焦点をしぼり、授業内で抽出生徒を複数の教員で評価した。
評価のポイントとして、事前に以下のことを確認した。
・1文付け足すことができ、まとまりがある場合には B と評価する 。(④の部分を書くことがで
き、③と④の文に関連性がある)
・1文以上付け足すことができ、まとまりがある場合には A と評価する。
・文を付け加えたときのスペルミスは、文法的に正しく、その文が運用されていれば規準を満た
していると考える。
<例1>
評価: C
評価の理由:
1文付け足すことはできている
が、③と④の文の関連性がない。
③で海で泳ぐことについて書い
てあるが、④では買い物につい
て書いてある。2つの文のまと
まりがないため、規準を満たし
ているとは言えない。
<例2>
評価: B
評価の理由:
1文付け足すことができ、③と④
の関連性があるため、規準を満た
している。③で買い物について書
いてあり、④では、その買い物に
ついての自分の意見が書かれてい
る。
<例3>
評価: A
評価の理由:
1文以上付け足すことができ、全
体としてまとまりがある。
授業者が行った評価(例1~3)について 、「信頼性・客観性のある評価」を追究するために、授業
を参観した英語教員で再度評価について検討した。その結果、いくつか課題が見えてきた。
1つ目は 、「評価規準が適切であるかどうか」ということである。評価を行うためにはもちろん評
価規準が必要である。本校英語科では、授業以前にも評価をするポイントの打ち合わせを行った。し
かし、それらをもとに実際に評価をしてみると、教員によってAと判断したり、Bと判断したりと、
評価に違いが表れてしまった。この理由を検討してみたところ、評価規準にまだあいまいさがあった
ということになった。したがって評価規準をより具体的に、そしてより分かりやすくすることで、さ
らに「信頼性・客観性のある評価」に近づけるのではないかと考える。
2つ目は 、「表現の能力」をどのようにとらえるか、ということである。ある作品について評価を
行った。全体としてまとまりがあって1文以上付け足している作品であり 、「その文の中には文法的
なミスはあるものの内容としては理解可能である」というものである。この評価についても意見が分
かれた。すなわち、表現の能力を①「言語・文化についての知識・理解」がしっかりできていること
が前提で、その上に「表現の能力が成り立っている」と考えるのか、②「言語・文化についての知識
・理解」と「表現の能力」は別の物であり、今回の授業でねらいとする“未来形”の文法事項のとこ
ろのみ正確であれば、他の間違いは問わない、とする考えである。
【表現の能力】の観点のとらえ方
①
②
表現の能力
言語・文化について
言語・文化についての知識・理解
表現の能力
の知識・理解
①の考え方では 、「言語・文化についての知識・理解」の観点において、文法的な間違いは容認す
ることができず、したがって「表現の能力」の評価もBとなる。しかし②の考え方では、今回見るべ
き「言語・文化についての知識・理解」は“未来形”の文であるので、他の文の文法的な間違いは評
価対象とせず、結果として評価はAとなる。
(2)評価実践例
その2
「言語・文化に関する知識・理解」の評価として 、〔 ask( tell)+ 人 + to~ 〕の構文を理解する
授業を行った。評価規準は「 ask(tell)+ 人 + to~ の構文を理解できる(言語・文化に関する知識
・理解)」というものであった。文構造についての使い方を導入したあと 、それを用いた活動を行い、
ワークシートに取り組むという流れで授業を行った 。ワークシートを終えた生徒への発展問題として 、
あるクラスでは①「構文を使ってできるだけ文を作りなさい」という指示をして、あるクラスでは②
「構文を使って文の前後を考えたスキットを作りなさい 。」という指示をした。
結果として、①の指示を与えた学級の生徒は、正確な英文を数多く書いている(例①参照)。一方②
は、この構文を用いた文の量は少ないが、使用場面を考えて、文のまとまりを考えながら書いている
(例②参照)。
例①〔構文を使って、できるだけ文を作りなさい〕という指示に対する生徒の作品例
学習した構文を用いて文
法的に正確な文章を4文
書いている。
例②〔構文を使って文の前後を考えたスキットを作りなさい 。〕
という指示に対する生徒の作品例
学習した構文について
は1文しか書かれていな
い。しかし、前後の文を
考えたスキットになって
いる。使用場面をとらえ
た文章構成を考えた上で、
学習した構文が使われて
いる。
学習した文は2文し
か書かれていないが、
使用場面が明確で、そ
れぞれの文がまとまり
を持っている。また、
既習事項も多く用いら
れている。
以上のような作品を「言語・文化についての知識・理解」の観点から評価するとき、例①と例②の
作品の内容に違いがあり、それぞれについてどう判断するべきかを考えることが必要になった。
そこで「言語・文化についての知識・理解」について 、〔十分満足できる姿(A)〕とはどういう姿
であるかを英語部会で検討した 。例①では 、学習した表現を用いて 、英文を4文書いている 。しかし、
この1時間の授業において、書いた文の量だけでAやBの評価をすることはできないと考える。なぜ
なら、この1時間で正確に文を書けたことが 、「文の構造を確実に理解した」とは判断できないから
である。どの時間で評価をしても正確に文を書けたときに 、「文の構造を確実に理解した」と判断す
べきだと考えられるからである。
例②については、例①と違い、使用場面を考え、文の流れの中で今回学習した表現を用いて書いて
いる。しかし、この作品を評価しようとするとき、前後の流れを考えたこのスキットは 、「表現の能
力」として判断されることになり 、「言語・文化についての知識・理解」とは異なる評価になってし
まう。もちろん 、
「 表現の能力 」として考えるならば〔 十分満足できる姿(A)〕もあるだろう 。だが 、
「 言語・文化についての知識・理解 」の評価を考えたとき 、この時間では確かに正確に書けているが 、
大切なのはこの構文を常に正確に書けることであるので、この1時間の授業だけでは〔十分満足でき
る姿(A)〕は判断できないということになる。
以上のことから 、「言語・文化についての知識・理解」の評価をするときに、その1時間の授業の
みでAやBの評価をすることは不可能であり、毎時間の積み重ねを評価して、最終的に「文の構造が
定着した」と判断されるべきであると考えた。すなわち、そのことが「言語・文化についての知識・
理解」の評価における〔十分満足できる姿(A)〕であるということが言えると考察した。
(3)評価方法について
評価方法としては、いかに評価情報を入手するかである。それをいかに四つの評価の観点(評価規
準)を通して考えていくかが大切である。
具体的に評価を行っていくためにはペーパーテスト、観察、インタビュー、スピーチ、学習ノート、
ワークシート、レポートや作品、パフォーマンス、ポートフォリオ、自己評価・相互評価、質問紙な
どを工夫して評価方法の改善を図っていくことが必要である。評価方法の改善にあたっては、年間指
導計画の中に評価規準を位置づけるとともに具体的な評価方法を明示し、生徒の学習状況を見取るた
めの評価情報を収集できるよう工夫したい。
【評価情報収集とその解釈例】
①定期テストについて
・定期テストの項目を観点別に分けて問題を設定するようにした。
観点を見て、教師側から生徒にどの部分が弱いのか、生徒側から何が弱いのかがはっきりと
する。
・表現力の問題として次のように工夫も行った。
授業の中で、生徒が体験した学校行事について言語活動を行った後、英語で感想を書く課題を
出し、定期テストに出題するようにした。
(例)関心・意欲・態度と表現の能力(書くことができる)
合唱コンクールの思い出を書いてください。
10 文以上です。基本的に1行1点です 。(意欲点)
内容点として正確さがあるものを Excellent(A), very good(B), good(C)
でテストとは別に評価したいと思います 。(表現点)
このように「関心・意欲・態度」の評価と「表現の能力」の評価を関連づけて行うことができる。
また、こうすることで生徒は自分で書いたことを覚えなければならない必然性が生まれ表現力を広げ
ることができるようになる。表現力の能力の評価は基本的にALTとともに行うことにする。それは
複数の目で生徒の学習状況を見取り、評価に客観性をもたせられるからである。
②インタビューテストについて
生徒にいきなりインタビューテストをしてもできない。定期テストと同様に、生徒が体験した学校
行事などについて言語活動を行い十分練習をさせた後、インタビューテストを行うことにした。
・ALTとの個別のテストとする。
・設定時間は授業中に行い、1人3分を目安とする。
・できるだけ学期に1回行うようにする。
・評価についてはALTとの打ち合わせを密に行い、ABCの三段階で判定する。
これを行うことで生徒はALT主導のインタビューテストではなく、自分の言いたいことを整理し
準備をして行うことができるようになる。このような積み重ねを行うことで話す力を向上させる。
7、観点別学習状況の評価から評定への総括の改善
評価の観点ごとに設定された評価規準についてABCの評価を行う 。そして 、1つの観点に対して 、
2つの評価規準を設定していく場合( 例えば表現の能力は①「 正確さ」、②「 適切さ 」)には 、
「 AA 」
をA 、「BB」をB 、「CC」をCとする。その中間的な段階(AB・BAという組み合わせ)は、
課の目標や評価した内容などに応じて重み付けをして総括する。
・授業の記録:授業への取り組みの様子(各課における評価シート)
・定期テスト:各テストにおける各観点に該当する素点をもとにABCの3段階評
価を行う。
【1学期の評価シート】において 、「コミュニケーションへの関心・意欲・態度」の評価は、各時
間の授業において規準を満たしているとされる(おおむね満足できる姿(B)である)評価の積み重ね
が、最終的に〔十分満足できる姿(A)〕であると考え点数化した。それは「関心・意欲・態度」につ
いては、情意的な面(積極的な取り組みなど)について1時間だけで判断することはできず、また言語
活動などへの取り組みも継続して評価しなければならず、1時間の授業では 、〔十分満足できる姿
(A)〕と判断することが困難なためである。
また 、「言語・文化についての知識・理解」の評価も同様に、1時間で正確に文を書けたことが、
「 文の構造を確実に理解した」とは判断できない。どの時間で評価をしても正確に文を書けたときに 、
「文の構造を確実に理解した」と判断すべきだと考えられるため、1時間の中で〔十分満足できる姿
(A)〕を判断することは困難である 。そのため各時間の授業において規準を満たしているとされる(お
おむね満足できる姿(B)である)評価の積み重ねが、最終的に〔十分満足できる姿(A)〕であると考
える。さらに課の最後に確認テストを行い、その結果も含めて、その課の最終的な評価をした。
「表現の能力」と「理解の能力」については、毎時間の評価を継続して蓄積していくこともでき、
1時間の中で生徒の作った作品などから〔十分満足できる姿(A)〕であると判断し、多様な評価方法
が考えられる。
【授業の記録】の中での観点別評価、定期テストにおける観点別評価、およびその他の課題等にお
ける観点別評価を総括して、各学期の最終的な観点別評価をする。その観点別評価の組み合わせによ
って、評定を決定する。
評価表1
評価表2
各課のレッスンごと(1時間)の評価には生徒の学習状況の変容を記録する必要がある。しかしす
べて記録することはできないので目標の到達を見取るだけの情報を把握するようにし規準を十分満足
している場合や到達していない生徒を記録していくようにする。授業内観察においては、上の表の小
計については、A=3、B=2、C=1の点数を設定した。これは点数によって評価を決定するので
はなく、記録しておいて誤差があった場合に参考としていくようにした。最終的な観点別評価はAA
AA→A、ABBB→Bというような毎時間評価してきた蓄積のデータにより決定するものとした。
各課におけるコミュニケーションへの関心・意欲・態度の評価については1時間でAという姿を見取
れないため1時間1時間の評価の積み重ねにより常にBに到達している生徒をAとした。それを学期
ごとの評価の総括としてまとめた。定期テストについては、各観点別に素点をABCの評価をして記
入する。また、授業内で見取る観点についてはこれまでの研究で明らかになったことに基づきいろい
ろな観点の組み合わせにより評価のデータを取っていくようにした。最終的な評定はABCの組み合
わせでの観点の組み合わせによって行った。
Fly UP