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36事例 - 中小企業庁

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36事例 - 中小企業庁
資料 2
中小企業に過度の負担となっている
取引慣行事例(36事例)について
• 平成21年1月27日
• 弁護士 高橋善樹
【事例1】過度な値下げ交渉
買いたたき
取引段階:単価決定時
12月24日資料の事例番号:11
数社から見積もりを出させた上で、その中で最低の価格を出したところの数字を他社に示
し、受注できないかと強引に迫ってくる場合。
<検討課題>
・ 運用基準に「給付に対して通常支払われる対価に比し著しく低い下請代金の額を定める
こと」についての具体的な例示の追加を検討してはどうか。
・ 例えば、他社の見積価格が適切でない等の事情が認められる場合は、価格として不当な
ものであると言えるのではないか。具体的には、 「親事業者から頼まれて他の事業者が低い
価格を提示した見積価格」や「実際に発注予定のない下請事業者からの見積価格」、「裏付
けのない見積価格」等の列挙を検討してはどうか。
・ 下請代金の額の決定に係る証拠書類、経緯等について5条書類等の記載事項の追加を
検討してはどうか。
○テキストP128 5(1)
(1)法第4条第1項第5号で禁止されている買いたたきとは,「下請事業者の給付の内容と同種又は類似の内容の給付に対し通常支払われる対価に比し著
しく低い下請代金の額を不当に定めること」である。
「通常支払われる対価」とは,当該給付と同種又は類似の給付について当該下請事業者の属する取引地域において一般に支払われる対価(以下「通
常の対価」という。)をいう。ただし,通常の対価を把握することができないか又は困難である給付については,例えば,当該給付が従前の給付と同
種又は類似のものである場合には,従前の給付に係る単価で計算された対価を通常の対価として取り扱う。
買いたたきに該当するか否かは,下請代金の額の決定に当たり下請事業者と十分な協議が行われたかどうか等対価の決定方法,差別的であるかどう
か等の決定内容,通常の対価と当該給付に支払われる対価との乖離状況及び当該給付に必要な原材料等の価格動向等を勘案して総合的に判断する。
○テキストP114 下請代金支払遅延等防止法第5条の書類又は電磁的記録の作成及び保存に関する規則
第1条 下請代金支払遅延等防止法(以下「法」という。)第5条の書類又は電磁的記録には,次に掲げる事項を明確に記載し又は記録しなければならない。
五 下請代金の額及び支払期日並びにその額に変更があった場合は増減額及びその理由
1
【事例2】 円未満の価格交渉
買いたたき
取引段階:単価決定時
12月24日資料の事例番号:13
バネ業界では、部品1個あたりの単価で取引が行われるため、1個数円の場合が多く、熱
処理費用等の必要経費を積み上げても単価ベースでは数銭単位にしかならず、価格交渉の
際に認めてもらいにくい。
<検討課題>
・ 1円未満の単価の増減であっても対価の決定に当たっては双方で十分な協議を行い、具
体的にどのような方法で明確化するか(3条書面における単価の記載方法等)について検討
を行った上で、運用基準の買いたたきの事例に追加することができるのではないか。
2
【事例3】 海外の安価な価格との競争
買いたたき
取引段階:単価決定時
12月24日資料の事例番号:14
以前は、日本で生産する発注業者に対して見積りを出すと、「そんな値段では中国製と勝
負にならないので、もっと安くしろ」といって買いたたかれた。しかしながら、最近は、発注業
者自身、主要な生産拠点は中国等海外に移しており、求めに応じて見積もりを出すと、同時
に中国メーカーからとった非常に安い見積り額を示しながら「この値段で発注を受けられない
か」と言ってくる。受注する側としては、赤字覚悟で受け入れるか、中国メーカーに受注をとら
れるか、非常に難しい選択を迫られることになる。
<検討課題>
・ 海外製品と比較するためには、品質、為替、物流コスト、その他のリスク等も含めて比較
の基準が同様であることが重要。適切でない情報を示して下請事業者に値下げを迫ったも
のといえるか検討してはどうか。また、見積りに基づく要請自体は問題ないが、「要請」の名
の下に実質的に受入を「強要」していないかを検討してはどうか。
・ このため、運用基準において、「参考資料として適切でない」価格を用いて値下げを強要
する行為は、事例1「過度な値下げ交渉」と同様に違反事例として例示することを検討しては
どうか。
テキストP128 5(1)
(1)法第4条第1項第5号で禁止されている買いたたきとは,「下請事業者の給付の内容と同種又は類似の内容の給付に対し通常支払われる対価
に比し著しく低い下請代金の額を不当に定めること」である。
「通常支払われる対価」とは,当該給付と同種又は類似の給付について当該下請事業者の属する取引地域において一般に支払われる対価(
以下「通常の対価」という。)をいう。ただし,通常の対価を把握することができないか又は困難である給付については,例えば,当該給付
が従前の給付と同種又は類似のものである場合には,従前の給付に係る単価で計算された対価を通常の対価として取り扱う。
3
【事例4】値下げの強要
買いたたき
取引段階:単価決定時
12月24日資料の事例番号:12
値下げ要請を行う一方で、親事業者が下請事業者に対して 財務諸表を提出させ、それらを
分析し、「利益率が高いので値下げに応じられるはず」と、値下げの強要とも映る通知を行って
いる。
<検討課題>
・ 親事業者の値下げ交渉材料は自らが調達すべきであり、 合理的な理由を欠く、親事業者に
有利な材料を当然に下請事業者から提出させることは、問題ではないか。
・ さらに、非公開会社の財務諸表を親事業者が発注停止や取引終了をほのめかして提出を求
さら
非 開会社 財務諸表を親事業者が発注停止や
終 を
めか
提出を求
めることは、独占禁止法上の優越的地位の濫用に該当するおそれがある可能性があるのでは
ないか。
・ 合理的な理由を伴わない下請代金の額の引き下げ要請について、運用基準の中に追加する
ことを検討してはどうか。
○テキストP128 5 (2)エ
(2) 次のような方法で下請代金の額を定めることは,買いたたきに該当するおそれがある。
エ 合理的な理由がないにもかかわらず特定の下請事業者を差別して取り扱い,他の下請事業者より低い下請代金の額を定めること。
4
【事例5】一律、一定比率の値下げ
取引段階:単価決定時
買いたたき
親事業者から、定期的に一律に一定比率の価格低減を一方的に求められた。取引の継続の
ために受け入れてはいるが、経営的には大変厳しい対応を強いられている。
<検討課題>
・ 運用基準における 「一律に一定比率」とは、例えば、複数の部品を一括して発注する場合、
部品毎のコストの差異にかかわらず、一律、全部品に対して一定比率を引き下げるような場合
を指すのか等について、分かりやすい説明を運用基準に追加してはどうか。
・ また、一律の価格低減について、「要請」という形をとっているものの、事実上強制していると
認められる場合は、買いたたきに該当する余地があるのではないか。具体的な事例(例えば、
価格決定に係るやり取りが一切ない。意見を述べる機会が与えられていない等)を記載しては
どうか。
・ さらに、下請代金の額の決定に係る証拠書類、主要な経緯等について、5条書類に追加する
ことを検討してはどうか。
○テキストP128 5 (2)イ
(2) 次のような方法で下請代金の額を定めることは,買いたたきに該当するおそれがある。
イ 一律に一定比率で単価を引き下げて下請代金の額を定めること。
類似事例が記載されているGL:素形材、自動車、産業機械、情報機器、情報サービス、広告
5
【事例6】原材料コストの価格転嫁
取引段階:単価決定時
買いたたき
原材料や燃料費等が上昇しているにもかかわらず、それらのコスト増額分を価格に上乗せす
ることを認めてもらえない。
<検討課題>
・ 原材料等コストが大幅に増加しているにもかかわらず、「値上げを認めない」という対応が「買
いたたき」に該当するケースを運用基準に追加することを検討してはどうか。
・ なお、「下請取引適正化推進講習会テキスト」56頁の想定される違反行為事例②のcは、「下
請代金を不当に据え置くことによる買いたたき」が想定される違反行為事例として挙げられてい
るが、「親事業者が、下請事業者に対して、使用することを指定した原材料」であること、「親事業
者は、下請事業者と十分に協議することなく、一方的に」という限定が付されており、それ以外の
扱いについては言及されていない。このため、それ以外の場合についても具体的に記述するこ
とはできないか。
○テキストP56【想定される違反行為事例】② c
②下請代金を不当に据え置くことによる買いたたき
c 親事業者が、下請事業者に対して、使用することを指定した原材料の価格が高騰していることが明らかな状況において、下請事業者
から、従来の単価のままでは対応できないとして単価の引き上げを求めたにもかかわらず、親事業者は、下請事業者と十分に協議す
ることなく、一方的に、従来通りの単価を据え置く場合
○テキストP128 (2)
(2) 次のような方法で下請代金を定めることは、買いたたきに該当するおそれがある。
類似事例が記載されているGL:素形材、自動車、産業機械、繊維、情報機器、住宅建材
6
【事例7】小口配送の実施に係る価格転嫁
取引段階:単価決定時
買いたたき
親事業者から、これまで週一回で納入していた製品を毎日納品するよう求められた。小口配
送により配送頻度が大幅に増加し、運送費用等の費用がかさむため、従来の配送頻度の場合
の下請単価より高い単価の見積を提出したが認めてくれなかった。
<検討課題>
・ 配送頻度のように単価を構成する要素のうち重要なものが変更される場合には、十分な協議
を行って単価を決めなければ買いたたきにつながるおそれがあるが、見積り価格(通常の対価)
を大幅に下回るという場合の金額に関する「大幅」を示す具体的事例の追加を検討してはどうか。
○テキストP128
5−5 親事業者は、従来、週一回であった配送を毎日に変更するよう下請事業者に申し入れた。下請事業者は、配送頻度が大幅に増加し、
これに伴って1回当たりの配送量が小口化した場合は、運送費等の費用がかさむため従来の配送頻度の場合の下請単価より高い単価にな
るとしてこの単価で見積書を提出した。しかし、親事業者は、下請事業者と十分な協議をすることなく、一方的に、通常の対価相当と認
められる下請事業者の見積価格を大幅に下回る単価で下請代金の額を定めた。
類似事例が記載されている他のGL:素形材、自動車、産業機械、繊維、情報機器、住宅建材
7
【事例8】見積り時と発注時の数量が異なる場合
取引段階:単価決定時
買いたたき
加工賃の値決めに際し、親事業者に対して大量発注を前提に見積書を提出したにもかかわ
らず、実際にはその見積価格を少量発注の加工賃として定められたため、当該加工賃は通常
の対価を大幅に下回るものとなった。
<検討課題>
・ 見積りの前提となった条件が量的に大幅に減少し、下請事業者からの申しが出があったにも
関わらず、協議に応じなかった場合は、買いたたきに該当するおそれがあることを運用基準に
追加してはどうか。
・ 一定量のボリュームによってスケールメリットが働くことを前提に見積もっていたものが大幅
に変更されるケースにおいて、その規模は業種、発注内容によってかなり違うことからガイドライ
ンにおいて業種毎に検討してはどうか。
○テキストP128 5(2)ア
(2) 次のような方法で下請代金の額を定めることは、買いたたきに該当するおそれがある。
ア 多量の発注をすることを前提として下請事業者に見積りをさせ、その見積価格の単価を少量の発注しかしない場合の単価として下
請代金の額を定めること。
○テキストP128
5−1 親事業者は、単価の決定に当たって、下請事業者に1個、5個及び10個製作する場合の見積書を提出させた上、10個製作する
場合の単価(この単価は1個製作する場合の通常の対価を大幅に下回るものであった。)で1個発注した。
類似事例が記載されているGL:素形材、自動車、産業機械、繊維
8
【事例9】生産中止部品等の長期無償保管
取引段階:単価決定時
不当な経済上の利益提供要請
取引先から生産中止になった商品の部品や金型を長期にわたり保管することを求められ
ているが、保管費用は自社負担となっている。
<検討課題>
・ 生産中止部品や金型の所有権の有無に関わらず、生産を終了した商品の金型等につい
て、下請事業者が保管を求められるのであれば、応分の負担をすることを求めることを検討し
てはどうか
てはどうか。
・ また、生産中止後、単発に当該物品を発注した場合、保管費用を考慮した下請代金を設
定するか、別途保管費用を支払わなければ、不当な経済上の利益提供に該当する可能性が
あるので事例に追加してはどうか。
・ さらに、こうした取扱いを明確にするために、5条書類に金型等の所有権、金型保管費用の
負担を追加することを検討してはどうか。
類似事例が記載されているGL:素形材、自動車、産業機械、情報サービス、住宅建材
9
【事例10】技術力等が適正に評価されない価格設定 取引段階:単価決定時
下請代金法上の関連規定なし
ある自動車部品鋳造メーカーは、自動車のモデルチェンジに当たって、鋳造部品の性能向
上のため、軽量化を実現した。この軽量化実現には高度な鍛造技術が求められたが、取引価
格の決定が鋳物の重量ベースであったため、鋳造品の取引価格は軽量化後に67%減少し
た。軽量化実現のために、高度な技術を導入したにもかかわらず、製品価格に転嫁されない。
<検討課題>
・ 本取引慣行は、素形材産業の鋳造、鍛造及びテレビCMの絵コンテ(著名な画家が描いた
絵
絵コンテであっても、付加価値等を一切考慮せず、1枚あたりの対価が一律に決まっている。)
あ
も 付加価値等を 切考慮 ず 枚あたり 対価が 律 決ま
る )
等に固有の取引慣行であることから、研究開発費等を適切に下請代金に反映させるようガイ
ドラインの中に明記し、技術開発コストや付加価値を適切に評価した値決めに向け、業界とし
て改善に向けて取り組むべき課題ではないか。
類似事例が記載されているGL:素形材、自動車、情報サービス
10
【事例11】環境規制コストに係る価格転嫁
取引段階:単価決定時
買いたたき
契約時の価格交渉において、廃棄物処理規制等の強化等により、環境対策に掛かる費用
が増えているため、親事業者に対して管理費用の増加分を発注単価に上乗せするよう求め
たが、認められなかった。
<検討課題>
・ 本事例のような場合は、親事業者と下請事業者が協議によりその負担を決めることが重
要であり、価格交渉において増額分全てを下請事業者に負担させることは、買いたたきのお
それがある
それがあるのではないか。
はな か
・ このため、買いたたきの運用基準の違反行為事例に、例えば、「契約時の価格交渉にお
いて、一定程度の環境対策コストを下請代金に含めるよう交渉したにもかかわらず、一切認
めてくれない」場合を追加することを検討してはどうか。
類似事例が記載されているGL:素形材、自動車、情報機器、住宅建材
11
【事例12】 一方的な納期設定
受領拒否、買いたたき
取引段階:発注時
12月24日資料の事例番号:1
納品期日は発注日から2ヵ月後であっても、実際にはその間に発注者側での検査が入るため、
実際の納品日は発注者側での検査期間を考慮したものにしなければならない。そのため、受注
者側での生産に使える時間は制約される。(たとえ発注者側から要請がなくとも行うのが一般的
な)受注者側の自主検査の期間や原材料調達に要する期間も考慮すれば、昼夜フル生産をす
るか、発注を見越して受注者側が在庫を持たざるを得ない。特に最近は発注者側の検査期間
が長くなる傾向にあり受注者側の負担が大きくなっている。
<検討課題>
・ 納期が下請事業者の都合を無視して一方的に決められたような場合は、納期に間に合わな
かったとしても納期遅延とはならず、「遅延」を理由とした受領拒否は、「下請事業者の責めに帰
すべき理由がない」受領拒否に該当するのではないか。
・ 運用基準の中で、「事情を考慮しない」で「一方的」に納期を決めるとはどういうことかを具体
的に記載することを検討してはどうか。
・ また、昼夜フル生産することに伴う追加コストを一切認めない場合は「買いたたき」に該当す
る可能性があることから、運用基準の中で具体的な事例として記載することを検討してはどうか。
○テキストP123 1 (2) (ウ)
イ 下請事業者の給付が3条書面に明記された納期に行われない場合
なお,次のような場合には,納期遅れを理由として受領を拒むことは認められない。
(ウ) 納期が下請事業者の事情を考慮しないで一方的に決定されたものである場合
○テキスト P128 5 (2)ウ
(2) 次のような方法で下請代金の額を定めることは,買いたたきに該当するおそれがある。
ウ 親事業者の予算単価のみを基準として,一方的に通常の対価より低い単価で下請代金の額を定めること。
12
【事例13】曖昧発注
不当なやり直し
取引段階:発注時
12月24日資料の事例番号:7
システム開発構築にかかる委託事業を受託し作業を進めていたが、その過程において当
初の委託内容にない追加的な作業を行うこととなった。発注元の担当者からは、口頭では追
加的にかかった費用は負担する旨の説明はあったが、成果物を納入した後、支払の段階に
なって、追加的な作業分については、追加発注には当たらないとされ、追加費用は認められ
なかった。
<検討課題>
・ 親事業者が作業内容を追加した場合、その時点において、当該作業が当初の仕様の範
囲内であることが親事業者、下請事業者双方において確認されない限り、後に当初の仕様
囲内である
とが親事業者、下請事業者双方にお て確認されな 限り、後に当初の仕様
の範囲内に含まれると主張することは、許されないと解釈すべきである。本事例の追加作業
は、有償とすべきであり、無償でやり直しを求めることは、不当なやり直しに該当するのでは
ないか。
・ このため、運用基準の不当なやり直しに該当するおそれのある行為として事例を追加して
はどうか。
・ 同様の問題が発生する業界において、ひな形を作成するなどして、GLに記載すべきでは
ないか
○テキストP131 8(2),(4)
(2)「下請事業者の給付の内容を変更させること」とは,給付の受領前に,3条書面に記載されている委託内容を変更し,当初の委託内容と
は異なる作業を行わせることである。また,「受領後に給付をやり直させること」とは,給付の受領後に,給付に関して追加的な作業を
行わせることである。こうした給付内容の変更ややり直しによって,下請事業者がそれまでに行った作業が無駄になり,あるいは下請事
業者にとって当初の委託内容にはない追加的な作業が必要となった場合に,親事業者がその費用を負担しないことは「下請事業者の利益
を不当に害」することとなるものである。
(4) 情報成果物作成委託においては,親事業者の価値判断等により評価される部分があり,事前に委託内容として給付を充足する十分条件を明確に3
条書面に記載することが不可能な場合がある。このような場合には,親事業者がやり直し等をさせるに至った経緯等を踏まえ,やり直し等の費用につい
て下請事業者と十分な協議をした上で合理的な負担割合を決定し,当該割合を負担すれば,やり直し等をさせることは下請法上問題とならない。ただ
し,親事業者が一方的に負担割合を決定することにより下請事業者に不当に不利益を与える場合には,「不当なやり直し」等に該当する。
13
【事例14】発注書面の不交付
取引段階:発注時
書面の交付義務
テレビコマーシャルの制作委託において、発注時に給付の内容や下請代金等が決まらず、
実際の下請事業者との取引過程で給付内容や下請代金が確定するため、親事業者が発注
の際に発注書面を交付してくれなかった。
<検討課題>
・ 親事業者は、発注時には直ちに書面を交付しなければならないが、「その内容が定まられ
ないことにつき正当な理由がある場合」は、発注時に決定された内容を記載した当初書面を
交付し、定まらなかった事項は、それらが決定された時点で補充書面として交付することとさ
れている。この「判断基準」を具体的に例示することを検討できないか。
・ 業界固有の事情等により、 「その内容が定まられないことにつき正当な理由」がある場合
は、なぜ契約時に内容が定められないのか、補充書面を円滑に交付するための方策につい
て、業界として検討し、改善に向けて取り組むべき課題ではないか。
○テキストP122 2 (2)
(2) 「その内容が定められないことについて正当な理由がある」とは、取引の性質上、製造委託等をした時点では必要記載事項の内容について決定する
ことができないと客観的に認められる理由がある場合であり、次のような場合はこれに該当する。このような場合であっても、親事業者は、
特定事項がある場合には、特定事項の内容が定められない理由及び特定事項の内容を定めることとなる予定期日を当初書面に記載する必要が
ある。また、これらの特定事項については、下請事業者と十分な協議をした上で、速やかに定めなくてはならず、定めた後は、「直ちに」、
当該特定事項を記載した補充書面を下請事業者に交付しなければならない。
○ 放送番組の作成委託において、タイトル、放送時間、コンセプトについては決まっているが、委託した時点では、放送番組の具体的な内
容については決定できず、「下請代金の額」が定まっていない場合
類似事例が記載されているGL:素形材、繊維、情報機器、住宅建材、広告
14
【事例15】サンプル品の取扱い
取引段階:発注時
不当な経済上の利益提供
衣服製造卸業者が、下請業者に対して仕様、規格等を指示してサンプル製品の製造・加工
を委託したが、サンプル製品の代金を支払わなかった。
<検討課題>
・ サンプル品、試作品であっても、仕様、規格等を指示して製造を委託すれば、下請代金法
の「製造委託」に該当する。
・ 運用基準の不当な経済上の利益提供に該当するおそれのある行為として、例えば、「親
事業者が下請業者に対して、仕様、規格等を指示し、無償でサンプル製品、試作品を製造さ
せること。」として事例追加してはどうか。
・ また、サンプル品の取扱いについて、業界固有の親下間での齟齬が生じやすい取引慣行
があるのならば、業界として検討を行い、ガイドラインの中で解決策を模索してはどうか。
類似事例が記載されているGL:繊維
15
【事例16】価格、数量が未定のままの発注
取引段階:発注時
書面の交付義務
鋳物や繊維業などでは、長年の慣行で発注書がなく、電話や口頭で発注して単価も決めず
に作業を開始しているような場合があるが、条件が曖昧なため、後から数量不足・超過等が
生じることがある。
<検討課題>
・ 親事業者は、発注時には直ちに書面を交付しなければならないが、「その内容が定まら
れないことにつき正当な理由がある場合」は、発注時に決定された内容を記載した当初書面
を交付し、定まらなかった事項は、それらが決定された時点で補充書面として交付することと
されている。この「正当な理由」に該当するか否かの判断基準を具体的に例示することを検
。
」 該 す
否
準を具体
す
を検
討できないか。
・ このため、業界固有の事情等により、 発注時に価格や数量が内容が定められない場合
は、その理由や補充書面を円滑に交付するための方策について、業界として検討し、改善に
向けて取り組むべき課題ではないか。
○テキストP122 2 (2)
(2) 「その内容が定められないことについて正当な理由がある」とは、取引の性質上、製造委託等をした時点では必要記載事項の内容について決定する
ことができないと客観的に認められる理由がある場合であり、次のような場合はこれに該当する。このような場合であっても、親事業者は、
特定事項がある場合には、特定事項の内容が定められない理由及び特定事項の内容を定めることとなる予定期日を当初書面に記載する必要が
ある。また、これらの特定事項については、下請事業者と十分な協議をした上で、速やかに定めなくてはならず、定めた後は、「直ちに」、
当該特定事項を記載した補充書面を下請事業者に交付しなければならない。
類似事例が記載されているGL:素形材、産業機械、繊維、情報機器、情報サービス、広告、住宅建材
16
【事例17】 検査方法の突然の変更
受領拒否、返品、不当なやり直し、3条書面
取引段階:受領・検収時
12月24日資料の事例番号:4
納入時における検査の基準は従来から変更がないにもかかわらず、発注者側の検査方法が従来の
方法(目視)から精度の高い方法(光学顕微鏡による検査)に変更された結果、実質的に検査基準が厳
しくなった。取引維持のために従来から自主検査を行っているが、光学顕微鏡による検査に対応するこ
とができなくなった。
<検討課題>
・製造委託は、仕様、規格等を指定して製造を委託するものであり、契約の趣旨に従った製品か否かは、
当初の仕様に基づく検査基準、方法に基づいて行うものでなければならない。検査基準や方法を変えて
しまえば、当初の仕様に合格していた商品が不合格となってしまい、下請事業者に不意打ちとなるから
である このため 運用基準の中で検査基準の恣意的な厳格化について具体化 明確化することを検
である。このため、運用基準の中で検査基準の恣意的な厳格化について具体化、明確化することを検
討してはどうか。
・検査方法や検査基準等、発注者側の受入検査の内容等について、3条書面記載事項へ追加すること
を検討してはどうか。
○テキストP123 1 (2)ア(ア),(ィ)
ア ∼なお,次のような場合には委託内容と異なること又は瑕疵等があることを理由として受領を拒むことは認められない。
(ア) 3条書面に委託内容が明確に記載されておらず,又は検査基準が明確でない等のため,下請事業者の給付の内容が委託内容と異なる
ことが明らかでない場合
(イ) 検査基準を恣意的に厳しくして,委託内容と異なる又は瑕疵等があるとする場合
○テキストP127 4 (2)ア、イ
なお,次のような場合には委託内容と異なること又は瑕疵等があることを理由として下請事業者にその給付に係るものを引き取らせること
は認められない。
ア 3条書面に委託内容が明確に記載されておらず,又は検査基準が明確でない等のため,下請事業者の給付の内容が委託内容と異なること
が明らかでない場合
イ 検査基準を恣意的に厳しくして,委託内容と異なる又は瑕疵等があるとする場合
○テキストP132 「不当なやり直しに係る想定される違反行為事例」
8-5 親事業者が下請事業者に対して金型の製造を委託しているところ、従来の基準では合格していた金型について、検査基準を一方的に
変更し、下請事業者に無償でやり直しを求める場合
17
【事例18】合理性のない賠償請求等
減額
取引段階:受領・検収時
12月24日資料の事例番号:8、9
(18-1)単価1円のエンジン用ボルトを100万本受注生産しエンジン・メーカーである発注者
側に納品し、下請代金として100万円受け取ったが、納品後2ヶ月後に当該ボルトが使用され
ているエンジンにリコールが出て完成車1万台が回収された。
エンジンを分解し原因を調査したところ、ボルトに一因があることが判明した。
本リコールに関して、完成車の回収費用、エンジン解体費用、原因究明費用、その他費用
(クライアントへのお詫び、販売店への補償等)を要しており、受注者側にも責任の一端があ
るとして、応分の負担として、5,000万円を発注者側に支払うよう請求があった。
(18-2)納品時に荷崩れのため商品に破損が生じ、相応の代価弁償をすることになった。し
かしながら商品現物は発注者側(荷主)が持ち帰り商品の破損状況が確認できず しかも処
かしながら商品現物は発注者側(荷主)が持ち帰り商品の破損状況が確認できず、しかも処
分されてしまったという状況で一方的な弁償代金の請求があった。
<検討課題>
・ 損害賠償の請求自体は、下請代金法上の問題ではない。しかし、不良品による損害発生
及び相当因果関係のある損害の範囲を超えて、下請代金から控除することは、理由がない
部分について、減額に該当することになる。
・ このため、運用基準において、上記事例に対応した「下請事業者の責めに帰すべき理由」
がある減額に関する基準を明確にするとともに、賠償請求の「算出根拠」の明確化を図ること
を検討してはどうか。
○(参考)テキストP130 7 (2)
他方、親事業者と下請事業者との間で、負担額及びその算出根拠、使途、提供の条件等について明確になっていない「経済上の利益」の
提供等下請事業者の利益との関係が明らかでない場合、親事業者の決算対策等を理由とした協賛金等の要請等下請事業者の直接の利益とな
らない場合は、法第4条第2項第3号に該当する。
18
【事例19】 合理性に欠けた契約
減額
取引段階:受領・検収時
12月24日資料の事例番号:10
A社(ネジ・メーカー)はB社(自動車組立メーカー)と継続的な取引をしており、不良が発生
した場合に要した回収費用等の負担について、予め基本契約の中で、「原因の所在にかか
わらず要した費用の10%を負担する」と取り決めている。例えば材料に問題があるときなど、
自社に責任がない場合であっても、10%分の負担をしなければならない。
<検討課題>
・ 下請代金法の解釈においては、下請代金からの控除が許されるのは、実際に仕様違い
や瑕疵がある場合、相当因果関係がある損害額の限度であると解釈すべきと考えられる。
また、下請代金から控除しなくても、別途支払わせれば、減額に該当すると解釈すること
ができるものと考えられる。
・ このため、事例18「合理性のない賠償請求等」と同様に減額の基準を明確にするとともに、
賠償請求の「算出根拠」の明確化を検討してはどうか。例えば、原因の特定方法、額の確定
方法などについて、運用基準の中に事例を追加することを検討してはどうか。
・ なお、公正取引委員会の「製造物責任法の施行に伴う下請法上の留意点について」の中
に製造物責任(損害賠償責任)の有無・負担割合に関する事項として、同様の事例が記載さ
れており、下請代金法又は独占禁止法上問題となるおそれのある行為として指摘されている。
○「製造物責任法の施行に伴う下請法上の留意点について」(平成7年6月8日)
第3 1 製造物責任(損害賠償責任)の有無・負担割合等に関する事項
(留意事項)
ア 親事業者が販売した製品に欠陥があり、親事業者が被害者に損害賠償責任を負う場合に、被害の原因が下請事業者の製造した部品にあ
ることが明らかでないにもかかわらず、下請事業者に対して一方的な負担金を割り当て、下請代金から当該負担金を差し引いたり、支払
わせたりすること。
19
【事例20】 仕様が不明確
不当なやり直し
取引段階:受領・検収時
12月24日資料の事例番号:5
金型の発注があり納入期日までに仕様通りの金型を納品した。その後、発注側の
検査で不具合があったとして改めて正常品を納品するように指示がある一方、正常
品が納品されるまでの間、無償で先に納品した金型(不良品)で生産するとして返品
がなされなかった。
<検討課題>
・ 「不当なやり直し」に関し、「給付の内容が委託内容と異なること又は瑕疵等がある
こと」を具体的に書くよう、運用基準において例示の追加を検討してはどうか。
○テキストP131 8(3)ア
なお,次の場合には,親事業者が費用の全額を負担することなく,下請事業者の給付の内容が委託内容と異なること又は瑕疵等があ
ることを理由として給付内容の変更又はやり直しを要請することは認められない。
ア 下請事業者の給付の受領前に,下請事業者から委託内容を明確にするよう求めがあったにもかかわらず親事業者が正当な理由なく
様を明確にせず,下請事業者に継続して作業を行わせ,その後,給付の内容が委託内容と異なるとする場合
20
【事例21】 やり直しと支払遅延
支払遅延、不当なやり直し
取引段階:受領・検収時
12月24日資料の事例番号:6
金型の発注があり仕様通りの金型を納品したところ、発注側が検査した結果「不具合」が
あったとして返品されると同時に一部仕様の変更指示があり、改めて納品期日が設定され
た。修正分について追加費用を認めたものの、全体の代金支払は先延ばしになった。
<検討課題>
・ やり直しと同時に仕様変更を求めることにより、支払遅延を回避しようとすることは不当
な対応であると考えられる 仕様変更が親事業者の都合によるものである場合は 支払が
な対応であると考えられる。仕様変更が親事業者の都合によるものである場合は、支払が
遅れる不利益を下請事業者に課すことはできないのではないか。
・ このため、運用基準の支払遅延に該当するおそれがある行為として、事例を追加しては
どうか。
21
【事例22】 機械的な検査基準の当てはめ
受領拒否、返品、不当なやり直し
取引段階:受領・検収時
12月24日資料の事例番号:2
自動車部品用バネについて、実際に使用する部品組立メーカー(A社)ではなく、部品総合
メーカー(B社:実質的には商社)から発注があり、バネ・メーカー(C社)が受注生産した。C
社がB社に納入し、検査を受けた結果、機能上支障がないと思われるのにA社が作成した部
品図面上の性能基準に達しなかったため、機械的に不良品とされ、無償で再納入するようB
社から命じられた。
他方、後日、品不足から直接A社からC社に発注することになった際に、C社からの提案で
技術的に話した結果、A社が当初図面上で設定した性能基準が最良でないことが判明し、B
社経由での取引であれば不良品とされた部品が正常品として納品されるようになった。
<検討課題>
・ 商社と下請事業者との間の検査基準が実際に使用する者が示す基準に比べて、著しく乖
離している場合は、それによって実際には不良品といえない物を不良品と判断し、返品、受
領拒否、やり直しを行うことがあり得ることから、検査基準について三者で十分協議すること
が重要ではないか。
・ 運用基準の受領拒否、返品、不当なやり直しに該当するおそれのある行為として、例えば、
「新たに商社が介在することになり、発注者の検査では良品とされていた物が商社の検査で
は不良品として扱われてしまった」場合を追加を検討してはどうか。
22
【事例23】 過剰な品質の要求
受領拒否、3条書面
取引段階:受領・検収時
12月24日資料の事例番号:3
コンセント・プラグのゴム・カバーについて、物性上問題がないにもかかわらず、表面上傷や色
むら、シミ等があれば全て返品され、正常品を無償で納入しなければならない(安全・保安等に関
係する重要な部位に使用する部品でないにもかかわらず、同様の精度を要求し、単価は相対的
に極めて安くおさえられているような場合も含む。)。
<検討課題>
・ 性能基準とは無関係な部分を含め、給付内容について十分な話し合いを行い3条書面に書き
込む事が重要である。また、業界として特徴が有る場合は、給付内容の明確化の方法について
検討し、ガイドライン等で定めることは考えられないか。
23
【事例24】事後の状況変化に伴う受領拒否
取引段階:受領・検収時
受領拒否、支払遅延、3条書面
タオル卸売者が、下請事業者にタオルの製造を委託し、下請事業者は受注したタオルの製
造を完了した。下請事業者が発注時に定めた納期に納入しようとしたところ、親事業者は在
庫調整や販売不振を理由として、当初発注した数量の一部しか受領せず、残りは在庫の増
減に応じて必要な日時に必要な量だけ納入させた。
<検討課題>
・ 「下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに、下請事業者の給付の受領を拒むこと」
「下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに 下請事業者の給付の受領を拒むこと」
は、下請代金法の受領拒否に該当するおそれがある。さらに、本事例においては、下請代金
の支払いが、当初納品日から60日を超える場合は、支払遅延にも該当するおそれがある。
・ 3条書面の納期等の記載不備により、こうした事態が生じていることが考えられることから、
運用基準に具体的事例の追加を検討できないか。また、業界固有の取引慣行の存在により
曖昧さが生じている場合は、業界として検討を行い、ガイドラインの中で解決策を模索しては
どうか。
類似事例が記載されているGL:素形材、自動車、繊維、情報機器、情報サービス
24
【事例25】納期の一方的な変更
取引段階:受領・検収時
受領拒否、不当な給付内容の変更
染色加工の委託に際し、発注書面に納期を記載しているにもかかわらず、親事業者は発
注時に定めた納期に製品を受領せず、納期経過後に「出荷指示書」により必要な数量を納
入させた。
<検討課題>
・ 「下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに、下請事業者の給付の受領を拒むこと」
は 下請代金法の受領拒否に該当するおそれがある。
は、下請代金法の受領拒否に該当するおそれがある。
・ また、運用基準の「不当な給付内容の変更」に該当するおそれのある行為として、「親事
業者の一方的な都合により納期を変更する」場合を事例追加してはどうか。
・ 3条書面の納期等の記載不備により、こうした事態が生じていることが考えられるが、業界
固有の取引慣行の存在により曖昧さが生じている場合は、業界として検討を行い、ガイドラ
インの中で解決策を模索してはどうか。
○テキストP132
8−1 親事業者が、下請事業者に部品の製造を委託し、これを受けて下請事業者が既に原材料等を調達しているにもかかわらず、輸出向け製
品の売行きが悪く製品在庫が急増したという理由で、下請事業者が要した費用を支払うことなく、発注した部品の一部の発注を取り消す場合
類似事例が記載されているGL:素形材、繊維、情報機器
25
【事例26】受注後の配送頻度の変更
取引段階:支払時
不当な給付内容の変更、書面交付義務
受注の際には週1回とされていた配送が、受注後、親事業者からの要請により、毎日の配
達に変更された。小口配送により配送頻度が大幅に増加し、運賃等の費用が増加したため、
親事業者に対して、単価の引き上げを求めたが、認められなかった。
<検討課題>
・ 発注後は小口配送にした結果、大幅なコストアップとなるようなケースは、下請事業者に
不利益な内容の給付に変更するものであることから、不当な給付内容の変更として事例を追
加することを検討してはどうか。
・ 運用基準において、「当初の委託内容と異なる作業を要請することが新たな製造委託等
「 初
請
が
造
をしたと認められる場合」は、「3条書面を改めて交付」することとしているが、変更の程度に
関する記載がなされていないため、当初結んだ委託契約の給付内容をどの程度変更したら、
3条書面を変更しなければならないかが明らかになるよう運用基準に変更の程度を具体的に
記載することはできないか。
○テキストP132 8(5)
当初の委託内容と異なる作業を要請することが新たな製造委託等をしたと認められる場合には、委託内容、下請代金の額等の必要記載事項を
記載した3条書面を改めて交付する必要がある。
(参考)○テキストP128
5−5 親事業者は、従来、週一回であった配送を毎日に変更するよう下請事業者に申し入れた。下請事業者は、配送頻度が大幅に増加し、こ
れに伴って1回当たりの配送量が小口化した場合は、運送費等の費用がかさむため従来の配送頻度の場合の下請単価より高い単価になるとして
この単価で見積書を提出した。しかし、親事業者は、下請事業者と十分な協議をすることなく、一方的に、通常の対価相当と認められる下請
事業者の見積価格を大幅に下回る単価で下請代金の額を定めた。
類似事例が記載されているGL:素形材、繊維、情報機器、住宅建材
26
【事例27】検収遅れに伴う支払遅延
取引段階:支払時
支払遅延
金型の製造委託では、製造途中で、親事業者から設計変更(給付内容の変更)が頻繁に
あり、また、サンプル品あるいは金型を最初に受領してから検収終了まで数回にわたる金型
の修正が必要になるため、親事業者による検収に時間がかかり、支払遅延になることがある。
メーカーによってはいつまでも検収を延ばすところがあり、納入期日から2ヶ月位は平気で伸
びることがある。
<検討課題>
・ 修正という形をとっていても、実質的には親事業者の都合による仕様変更に該当するよう
修正という形をと ていても 実質的には親事業者の都合による仕様変更に該当するよう
な場合は、通常のやり直しに必要な期間を超えて、支払が遅れる不利益を一方的に下請事
業者に課すことは支払遅延になるのではないか。
・ さらに、親事業者が物品等を受け取って、それが委託内容の水準に達しているか否かを
下請事業者と双方で確認するような場合が想定されるが、業界固有の取引慣行の存在によ
り、こうした検収の遅れが生じている場合は、業界として原因究明等を行い、ガイドラインの
中で解決策を模索してはどうか。
○テキストP125
2−1 親事業者は、毎月末日納入締切、翌月末日支払とする支払制度を採っていたが、検査完了をもって納入があったものとみなし、当月
末日までに納入されたものであっても検査完了が翌月となった場合には翌月に納入があったものとして計上していたため、一部の給付に対
する下請代金の支払が、下請事業者の給付を受領してから60日を超えて支払われていた。
類似事例が記載されているGL:素形材、自動車、繊維、情報機器、情報サービス
27
【事例28】分割納品に伴う支払遅延
取引段階:支払時
支払遅延
委託事業者が、受託事業者に発注し量産させた製品を一括納入させず、何度かに分割し
て納入させる場合、代金の支払いが発注した製品が全て納入されるまで行われず、受領か
ら60日を超えることがある。
<検討課題>
・ 物品等の受領日が「支払期日」の起算点であり、物品等の給付の受領日から60日を超え
た場合は「支払遅延」に該当することから、分割納品及びこれに係る支払については、3条書
面においてその旨明確に記載するとともに、運用基準で明確にするよう検討すべきではない
か。
・ 本事例は、検収遅延の場合と同様に、分割納品が完納した後に下請代金を支払っても良
いと誤解している親事業者がいるために生じていることが想定されることから、支払遅延に
該当する」旨をガイドラインに記載してはどうか。また、アンケート調査の結果、他業種におい
てもこうした事例が見受けられる場合は、それぞれガイドラインに追加してはどうか。
○テキストP125
2−2 親事業者は、一部の材料について、緊急時の受注に対応するためとして、常に一定量を納入させこれを倉庫に保管し、同社が使用し
た分についてのみ、下請代金の額として支払の対象とする使用高払方式を採っていたため、納入されたものの一部について支払遅延が生じ
ていた。
類似事例が記載されているGL:素形材、自動車、住宅建材
28
【事例29】未使用有償支給材と下請代金の相殺
取引段階:支払時
有償支給原材料等の対価の早期決済
当月支払われた熱加工費が、来月加工するための有償支給材料の代金の支払いと相殺さ
れ、入金がゼロまたはユーザーへの支払いが発生するという場合がある。
<検討課題>
・ 下請事業者の責めに帰すべき理由がないにも関わらず、有償支給原材料等を用いる給
付に対する下請代金の支払よりも早い時期に当該支給材の対価を相殺することは、有償支
給原材料等の対価の早期決済の禁止に違反することとなる。
・ 現行の運用基準には、「有償支給原材料等の対価の早期決裁」に関する記載がないこと
現行の運用基準には 「有償支給原材料等の対価の早期決裁 に関する記載がないこと
から、分かりやすい解説や違反事例等を新たに記載すべきではないか。
類似事例が記載されているGL:素形材、自動車、繊維、情報機器
29
【事例30】説明のない減額
取引段階:支払時
減額
顧客からのキャンセルや市況変化等を理由に、納品した広告の一部が不要になったとして、
親事業者により当初の下請代金を合理的な説明がなされないまま減額された。
<検討課題>
・ 下請事業者の責めに帰すべき理由がないにも関わらず下請代金を減額した場合は、減
額禁止に違反することとなる。
・ このため、本件のような事例は違反である旨、運用基準の中に「下請事業者の責めに帰
すべき理由 の具体例や 具体的説明を記載するとともに 「責めに帰すべき理由 によ て
すべき理由」の具体例や、具体的説明を記載するとともに、「責めに帰すべき理由」によって
減額する場合にあっても、その「理由」や「算定根拠」についても親事業者から下請事業者に
明らかにすべき旨を記載することを検討できないか。
類似事例が記載されているGL:広告、住宅建材
30
【事例31】商社が間に入る取引
トンネル会社規制等
取引段階:その他
12月24日資料の事例番号:15
自動車部品用バネについて、実際に使用する部品組立メーカー(A社:資本金5億円)ではなく、
部品を総合的に扱う中小流通商社(B社:資本金500万円(注))からA社での需要を見込んでの発
注があり、バネ・メーカー(C社:資本金2,000万円)が受注生産した。しかし、当初見込んだだけの
需要がなく、これを理由にB社は当初発注した量の半数の受領を拒否した。
(注)B社は資本金等においてA社と親子関係にはない。
<検討課題>
・ トンネル会社の形態については、様々な形があり得ることから、実質的な親事業者との関係性
の判断基準及び規制のあり方などについて見直してはどうか。
・ また、下請代金法の適用を意図的に外す行為については、その規制のあり方を検討してはど
うか。
○テキストP14
カ トンネル会社の規制(第2条第9項)
「直接下請事業者に委託をすれば本法の対象となる場合に,資本金が3億円(又は5千万円)以下の子会社(いわゆるトンネル会社)等を設
立し,この子会社が発注者となって委託を行い,本法の規制を免れる」というような脱法的行為を封ずるために,次に掲げる2つの要件を共
に充足しているときは,その子会社等が親事業者とみなされ,本法が適用される。
(ア) 親会社から役員の任免,業務の執行又は存立について支配を受けている場合(例えば,親会社の議決権が過半数の場合,常勤役員の過
半数が親会社の関係者である場合又は実質的に役員の任免が親会社に支配されている場合。)。
(イ) 親会社からの下請取引の全部又は相当部分について再委託する場合(例えば,親会社から受けた委託の額又は量の50%以上を再委託し
ている場合。)。
31
【事例32】海外企業との取引
親事業者の定義、買いたたき
取引段階:その他
12月24日資料の事例番号:16
従来は、海外子会社からの発注も含めて本社ないし国内の事業所の購買部門でまとめて
取引を行い、下請代金法ないし独禁法を遵守する形での取引になっていたが、海外子会社か
らの発注については、当該海外子会社の購買部門が担当するように変更がなされたところ、
物の流れ等実態は何ら変わらないにもかかわらず、形式的には海外企業との取引になること
から、下請代金法等が遵守されない取引になってしまった。その結果、例えば、下請代金法
の買いたたきに当たるような行為が横行している。
<検討課題>
・ グローバルな取引が増える中にあって、外国の法令に基づき設立された「外国法人」につ
いて、親事業者としてどのような場合には下請代金法を適用し得るかを検討してはどうか。
32
【事例33】技術等の無償提供
取引段階:その他
不当な経済上の利益の提供要請
金型の製造を受託し、金型を製造し納入したが、納入後、親事業者からの要求により金型
の図面・設計データを無償で提供させられた。
<検討課題>
・ 図面等の提供が当初契約の中に含まれていない場合は、不当な経済上の利益提供の禁
止の違反となるおそれがある。
・ 図面等の提供を発注書面に記載し、その対価を支払えば、不当な経済上の利益提供の禁
等 提供を発 書
記載 、そ
価を支払
、
経済
提供
止に該当しないこととなるが、例えば、従前の金型代金100万円であったものを、金型90万
円と図面代10万円の合計100万円とされてしまえば、問題がないことになってしまうのかな
ど、実質的な判断基準を示すことを検討すべきではないか。
○テキストP131
7−5 親事業者が、下請事業者に金型の製造を委託しているところ、外国で製造した方が金型の製造単価が安いことから、下請事業者が作
成した金型の図面、加工データ等を外国の事業者に渡して、当該金型を製造させるため、下請事業者が作成した図面、加工データ等を対価
を支払わず、提出させる場合
類似事例が記載されているGL:素形材、自動車、情報機器、広告
33
【事例34】一方的な取引停止
取引段階:その他
下請代金法の関連規定なし
精密機械部品製造の下請として、長年にわたり製品を納入していたが、ある日突然、親事
業者から一方的に取引の打ち切りを通告されて、仕事がなくなり困っている。
<検討課題>
・ 下請取引は、特定企業への依存度が高く、長期にわたり取引を継続している場合が多いこ
とから、急な取引停止は下請事業者にとって大きな影響を及ぼすこととなる。
・ 継続
継続的な契約が終了する場合は、期間の定めのある場合は、期間の満了、約定解約権が
契約 終 す 場
、期間 定
あ 場
、期間
、約定解約権
ある場合は、約定解除権の行使により、債務不履行がある場合は、法定解除により終了する
ものであるが、その他、当事者間の合意で契約を終了できる。
・ これまで継続的な取引の停止に関する紛争に係る裁判が複数提起されているが、統一的
な判決は下されていない。
・ 以上を踏まえ、例えば、基本契約書の中に取引停止に係る「予告期間」、「取引停止の理
由」の告知を明記することを業種別ガイドラインに記載するなどして下請取引におけるスタン
ダード化を図るような取組みを検討してみてはどうか。
○下請中小企業振興法(振興基準)
第2 親事業者の発注分野の明確化及び発注方法の改善に関する事項
7) 取引停止の予告
親事業者は、継続的な取引関係を有する下請事業者との取引を停止し、又は大幅に取引を減少しようとする場合には、下請事業者の経
営に著しい影響を与えないよう配慮し、相当の猶予期間をもって予告するものとする。
34
【事例35】繁忙期の派遣要請
取引段階:その他
不当な経済上の利益の提供要請
大規模小売業者が、衣服製造卸業者から無償で派遣させた従業員に、棚卸、棚替え、社
内事務等の納入商品の販売促進とは直接関係ない業務をさせた。
<検討課題>
・ 下請事業者に提供させる「経済上の利益」が、下請事業者にとっても販売促進等に繋がり、
直接又は間接の利益となるような場合は、直ちに問題とはならないが、「下請事業者の利益
を不当に害」する場合は、違反となるおそれがある(大規模小売に関しては、PB商品の製造
委託は下請代金法の対象となるが、それ以外は独禁法の優越的地位の濫用の適用を受け
る )
る。)。
・ 基本契約書の内容や範囲(受託業務の内容)が曖昧に記載されていることから、こうした事
態が生じていることが考えられることから、3条書面の記載も視野に入れ曖昧さが生じる理由
について業界として検討し、ガイドラインの中で解決策を模索してはどうか。
○テキストP131
7−3 親事業者が、自らが貨物自動車運送事業の免許を有し、顧客から商品の配送を請け負っている大規模小売事業者であるところ、荷物の
配送を委託している下請事業者に対して、店舗の営業の手伝いのために従業員の派遣を行わせる場合
○「大規模小売業者による納入業者との取引における特定の不公正な取引方法」(平成17年5月13日公正取引委員会告示11号)
(納入業者の従業員等の不当使用等)
7 大規模小売業者が、次の号のいずれかに該当する場合を除き、自己等の業務に従事させるため、納入業者にその従業員等を派遣させ、又
はこれに代えて自己等が雇用する従業員等の人件費を納入業者に負担させること。
一 あらかじめ納入業者の同意を得て、その従業員等を当該納入業者の納入に係る商品の販売業務(その従業員等が大規模小売業者の店舗に
常駐している場合にあっては、当該商品の販売業務及び棚卸業務)のみに従事させる場合(その従業員等が有する販売に関する技術又は能力
が当該業務に有効に活用されることにより、当該納入業者の直接の利益となる場合に限る。)
類似事例が記載されているGL:繊維、情報機器
35
【事例36】システム、専用帳票等の使用様要請
取引段階:その他
購入・利用強制
親事業者が取引の際に、インターネットを利用して発注していることから、親事業者から指
定するインターネット接続事業者の利用や、専用の帳票の買い取りを要求された。
<検討課題>
・ 「正当な理由がある場合を除き、自己の指定する物を強制して」購入又は利用をさせた場
合、法令違反となるおそれがある。
・ 運用基準には、下請取引関係を利用して事実上強制的に迫っている事例は記載されてい
るものの 「正当な理由がある場合」が記載されていないことから 具体的な事例を追加する
るものの、「正当な理由がある場合」が記載されていないことから、具体的な事例を追加する
ことや、違反事例の中に本件(EDIの利用強制や専用帳票の購入強制)のようなケースを追
加することを検討してはどうか。
○テキストP130
6−5 親事業者は、物品の製造委託をする際に、3条書面に代えて、インターネットのウェッブサイトを利用した方法としたところ、下請事
業者に対して、既に契約しているインターネット接続サービス提供事業者によっても受発注が可能であるにもかかわらず、自ら指定するイン
ターネット接続サービス提供事業者と契約しなければ、今後、製造委託をしない旨を示唆し、既に契約しているインターネット接続サービス
提供事業者との契約を解除させ、当該事業者と契約させた。
類似事例が記載されているGL:繊維、情報機器
36
資料2(参考資料)
中小企業に過度の負担となっている取引慣行
事例について(関連ガイドラインからの抜粋)
GL引用事案の引用箇所について
事例番号/事例の概要
素形材
自動車
5.一律、一定比率の値下げ
○P13
○P26
○P8
6.原材料コストの価格転嫁
○P11
○P22
○P24
○P10
○P23
○P3
7.小口配送の実施に係る価格転嫁
○P9
○P20
○P26
○P10
○P24
○P3
8.見積り時と発注時の数量が異なる場合
○P10
○P35
○P8
○P10
9.生産中止部品等の長期無償保管
○P17
○P17
○P19
10.技術力等が適正に評価されない価格
設定
○P29
○P30
11.環境規制コストに係る価格転嫁
○P11
○P23
14.発注書面の不交付
○P6
産業機械
繊維
情報機器
情報サービス
広告
○P23
○P28
○P19
○P34
○P30
○P4
○P3
○P10
○P14
○P6
○P14
○P6
○P4
16 価格 数量が未定のままの発注
16.価格、数量が未定のままの発注
○P6
○P4
○P11
○P22
24.事後の状況変化に伴う受領拒否
○P14
○P5
○P15
○P29
○P19
○P5
○P15
26.受注後の配送頻度の変更
○P9
○P10
○P24
27.検収遅れに伴う支払遅延
○P15
○P38
○P6
○P17
28.分割納品に伴う支払遅延
○P15
○P38
29.未使用有償支給材と下請代金の相殺
○P21
○P41
○P7
○P38
○P24
○P32
○P24
○P12
○P21
30.説明のない減額
33.技術等の無償提供
○P22
○P 29
15.サンプル品の取扱い
25.納期の一方的な変更
住宅
○P25
○P19
○P44
○P27
○P17
○P30
34.事前通告のない、一方的に取引打ち
切り
35.繁忙期の派遣要請
36.システム、専用帳票等の使用要請
○P27
○P27
○P23
○P25
1
5.一定一律低減要請
○素形材P13
・定期的に、取引先の期末に併せて、親事業者の利益確保を目的とした一方的な価格見直しの要請がある。【鋳造、鍛造、非鉄金属、
鋳物、熱処理】
○自動車P26
・一方的な原価低減率の提示 定期的に原価低減を要求される。
○産機P8
・量産を前提とした最低発注量を決め、それに対する価格決定をしたにもかかわらず、実際には最低発注量を大幅に下回る量しか発注されず、価格は当初決
定した価格(量産価格)のまま発注依頼が行われる。
○広告P18
・一律に一定比率で単価を引き下げて下請代金の額を定めること。
○情報サP28
・決算対策のために発注単価を一律に引き下げた場合
個別の発注内容の違いを考慮することなく、すべての発注内容について一律に一定比率で引き下げた単価で発注を行った場合は、買いたたきとして下請法
違反となるおそれがある。
○情報機器P23
・当社は取引している下請事業者も多く、製造委託をしている品目が数千点もあり、各下請事業者と個別に品目ごとに単価改定交渉を行うことは事務処理上
も大変なため、単価改定に際しては一律に従前単価の○○%引きという方式を取っているが、買いたたきに該当するか。
2
6.原材料コストの価格転嫁
○素形材P11
・燃料価格高騰に伴い、運送コストが従前想定して金額を上回ったため、燃料費高騰分を運送コストとして取引先に請求・交渉を持ちかけているが、全く無視
されている。【熱処理、金属プレス】
○自動車P22
・原材料等の価格が上昇しても転嫁を認めてもらえない。
○産機P21
・原価見積は、見積基準(何を○○万台発注した場合は、設備費、人件費、材料費がいくら必要などの親事業者とサプライヤー間の共通的見積基準)によっ
て決定するが、生産台数実績が生産台数見積を大幅に下回ったとしてもそのコスト上昇分は見てもらえない。生産実績が価格決定の際の生産量見積からプ
ラスでもマイナスでもぶれた場合には適正な単価に改定するような取引慣行を確立すべき。
○住宅P3
・実際の発注量が単価見積時の数量より減少した場合や、設定変更のためにコストアップした場合でも、当初の見積単価を上げてもらえない。
○情報機器P23
・製品単価の決定に当たり、当社(下請事業者)の提出した見積書は無視されて、親事業者の言い値で発注されてしまいます。問題ないのでしょうか。
○繊維P10
繊維
・(付随業務による費用増を考慮しない買いたたき)
衣類製造卸業者は、縫製業者に衣服の製造・加工を委託し、製造させているところ、従来、衣服製造卸業者が作業していた衣服の値札作り、値札とスペア付
け、包装掛け等の作業を縫製業者に要請した。これにより、縫製業者は人員を手配するなど、費用が増加したので、代金の引き上げを要請したが、衣服卸業
者は、かかる費用増を十分顧慮することなく、一方的に通常の対価を大幅に下回る下請け代金の額を定めた。
3
7.小口配送の実施に係る価格転嫁
○素形材P9
・下請事業者が、親事業者の各ラインに直接納めるケースが多くなっている。運送時間が倉庫納品より多くなり、輸送車や人員の手配などによってコスト
アップになっている。【金属プレス】
・ユーザーの小口配送要求が加速しているが、その上乗せコストは認められない。【鋳造】
・ジャストインタイム方式で納品が小口化しているが、そのための増加コストは認めてもらえない。特に四国なので、本州への配送の場合はコスト負荷が高
い。【鍛造】
・取引先の製造工場変更に伴い、遠方地、あるいは一部の部品のみ別の場所へ納品を要請された場合、それに要する追加的な運賃コストについては負担
されない。【非鉄金属鋳物】
○自動車P20
・ジャストインタイム生産方式による納品の小口化や遠隔地への納品に際して、配送コストの増加を認めてもらえない。
○産機P23
・現状においては、一般的に、部品納品時の物流費は、部品サプライヤーの管理費コストの一部として契約時の部品取引単価に含まれていると解釈されて
おり、部品サプライヤーが納品に係る輸送費を物流業者に支払うのが一般的商慣習となっている。しかし、アッセンブリメーカーの拠点工場が新たに地方
に増設される場合やJIT方式に代表される分割納入によって1日に数回納品を求められるような場合については、必ずしも物流費コストをすべてアッセンブ
リメーカーから徴収できているとは言えなくなってきており、このような場合は、アッセンブリメーカーが部品サプライヤーと協議し、従来の管理コスト見合い
以外で補償するような取引慣行が定着することが望まれる。
○住宅P3
・配送コストを親事業者が支払うべきか、下請事業者が支払うべきかが曖昧になっている。
○情報機器P24
・当初の見積りで納期を発注日の2週間後としていたものの、急遽客先の要求により納入計画が変更となったため、下請事業者に発注日から1週間後に納
入するよう申し入れた。当社としては当初の下請単価のまま発注したいが、問題ないか。
○繊維P10
・小売業者は、衣服製造業者に自社ブランド名を付した衣料品の製造を委託するに当たり、従来、週1回であった配送頻度を毎日に変更するよう要請し、
衣服製造業者において運送費用等の費用がかさんだ。しかしながら、小売業者は、衣服製造業者と十分協議することなく、また、かかる費用増を十分考慮
することなく、一方的に通常の対価を大幅に下回る下請代金の額を定めた。
4
8.見積り時と発注時の数量が異なる場合
○素形材P10
・最初に約束した月産数、ロット数をもとに納品回数、ワンロット生産数を考え見積りをするが、ロット数が守られない。半分以下になった場合でも、当初見
積りと同じような額になるため、コストアップになる。【金属プレス】
・量に見合って単価を低く見積ったものの、実際の発注が見積量と一桁違うケースがある。その場合でも単価は上げてもらえない。【鍛造】
○自動車P35
・見積作成時に提示された納入数量等が減少しても価格の改定がされず、実質的なコスト増になってしまっている。
○産機P8
・量産を前提とした最低発注量を決め、それに対する価格決定をしたにもかかわらず、実際には最低発注量を大幅に下回る量しか発注されず、価格は当
初決定した価格(量産価格)のまま発注依頼が行われる。
○繊維P10
・生地製造業者は、染色業者に生地の染色加工を委託しているところ、加工費の値決めに際し、染色業者に大ロットを前提として見積書を出させたにもか
かわらず、実際には、その見積価格を小ロットの発注における加工賃として定めたため、当該加工賃は通常の対価を大幅に下回るものとなった。
9.生産中止部品等の長期無償保管
○素形材P17
・あるダイカストメーカーは、2,000個弱保有する金型のうち、量産終了後も追加発注に対応するために保管し続けている金型が1/3弱を占めている。こうし
た金型は量産が終了しているため注文もほとんどなく、利益につながらないものであるが取引先から継続保管を求められている(中には20年以上前に製
造された金型もある)ため、廃棄やユーザーへの返却ができない。ダイカスト用金型は大型の物が多く、金型保管のために倉庫を借りて保管する企業も
多いが、無料で保管を引き受けているケースがほとんどである。金型保管コストは、金型を保管する土地・建物コストのほか、火災保険料、メンテナンス作
業費用、遠方倉庫に保管する場合の金型輸送費等、多岐にわたる。【ダイカスト】
○自動車P17
・取引先から金型の継続保管を長期(10年以上)に要求されるが、保管費用は自社負担となっている。
○産機P17
・アッセンブリメーカーが新規に部品調達を行う場合、発注部品の仕様によっては部品サプライヤーが専用品・専用設備親事業者に金型の処分依頼をし
てもなかなか認められず、保管にかかる費用も支払われない。
鋳造、鍛造、プレス成形等に必要な金型・木型等の「型」はその典型的な例であり、製品製造段階のみならず試作段階のものも含め、ほとんど部品サプラ
イヤーが保管しているのが実態である。
○住宅P23
・金型が長期使用により劣化しても補修費用は支払われず、品質維持は要求されるため、金型補修費用は下請事業者が負担をしなければならない。
○情サP34
・受領し終えた情報成果物の記録データなどを、下請事業者に保存させる。
5
10.技術力等が適正に評価されない価格設定
○素形材P29
・ある自動車部品鋳造メーカーは、自動車のモデルチェンジに当たって、鋳造部品の性能向上のため、軽量化(5.8kg→4.1kg)を実現。この軽量化実現のた
め、鋳物の薄肉化や中空化などのより高度な鋳造技術が求められるが、取引価格の決定が鋳物の重量ベースであったため、鋳造部品の取引価格は軽量
化後に67%に減少してしまった。【鋳造】
○自動車P30
・重量取引が依然として存在する。
・軽量化実現のため、高度な技術を導入したにもかかわらず、製品価格に転嫁されない。
○情報サP29
・情報成果物作成委託において給付の内容に知的財産権が含まれている場合、当該知的財産権の対価について、下請事業者と十分に協議することなく、
一方的に通常支払われる対価より著しく低い額を定めることは買いたたきに該当する。
11.環境規制コスに係る価格転嫁
○素形材P11
・環境対策にかかる費用が、廃棄物処理規制の強化により上昇傾向にあるが、これについての製品価格への転嫁はユーザーの理解が得られない。【鋳
造】
○自動車P23
・自原材料等の値上りや、環境保護等のための規制強化に伴うコスト増が委託事業者に認められず、一方的に従来の価格での納入を求められることがあ
る。
○住宅P3
・環境対策にかかる費用は廃棄物処理規制の強化により上昇傾向にあるが、製品価格への転嫁については理解が得られない。
○情報機器P30
・取引先から、「廃棄物処理規制の強化等により、環境対策に掛かる費用が増えているので、管理費用の増加分を上乗せして欲しい。」と相談を受け、協力
して対応策やコスト分担を検討しています。
6
14.発注書面の不交付
○素形材P6
・同業の特定業種間で、長年の慣行で発注書がなく、電話で発注して単価も決めずに作業開始している。条件が曖昧なため、後から数量不足・超過等が生
じる。【鋳造】
・長期取引の場合には電話で発注を受け、注文書を送ってこない例があった。【鋳造】
○住宅P6
・長年の取引慣行では発注書が作成されず、口頭で発注され単価も決めずに作業を開始している。そのため契約内容が曖昧になり、後から数量不足・超
過等が生じる。
・長期の取引を行っている親事業者との場合では、電話で発注を受けるだけで発注書が送られてこない例があった。
○広告P14
・広告業界における下請事業者との委託取引では、グラフィック制作やCM制作など、発注時に給付の内容や下請代金の額等が決まらず、下請事業者と
の取引過程の中で給付の内容や下請代金の額が確定していくことがありますが、このような場合には、広告会社は、当初書面や補充書面の交付のタイミ
ング等には十分注意する必要があります。
○情報通信P10
・当社は前例のない試作品の製造委託において、発注日までに下請代金の額を定めることができなかったので、下請代金の額はブランクとし、正当な理由
とその決定予定期日を記載して発注した。しかし、下請事業者が注文品の製作にかかった費用の計算を怠り、下請代金の額を決定できなかったため、納
期までに補充書面を交付できなかったが、この場合も下請法上、問題があるか。
期
補充書面を交付
な
、
場合
請法 、問題 あ
。
○繊維P
・靴下卸業者は、靴下製造業者に靴下の製造を委託するに当たり、取引条件等の通知は担当者が口頭で行った。
15.サンプル品の取扱い
○繊維P4
・衣服製造卸業者は、ニット製品製造業者に仕様、規格等を指示してサンプル製品の製造・加工を委託するにあたり、下請代金の額等を記載した書面を交
付しなかった。
7
16.価格、数量が未定のままの発注
○素形材P6
・同業の特定業種間で、長年の慣行で発注書がなく、電話で発注して単価も決めずに作業開始している。条件が曖昧なため、後から数量不足・超過等が生
じる。【鋳造】
・長調期取引の場合には電話で発注を受け、注文書を送ってこない例があった。【鋳造】
○産機P7
・受注時に注文書はあるが、価格が決定されていない。値決めは依頼された製品ができた後になる。また、見積数量と注文数に大きな差がある。
○住宅P6
・長年の取引慣行では発注書が作成されず、口頭で発注され単価も決めずに作業を開始している。そのため契約内容が曖昧になり、後から数量不足・超過
等が生じる。
○広告P14
・広告業界における下請事業者との委託取引では、グラフィック制作やCM制作など、発注時に給付の内容や下請代金の額等が決まらず、下請事業者との
取引過程の中で給付の内容や下請代金の額が確定していくことがありますが、このような場合には、広告会社は、当初書面や補充書面の交付のタイミング
等には十分注意する必要があります。
○繊維P4
・靴下卸業者は、靴下製造業者に靴下の製造を委託するに当たり、取引条件等の通知は担当者が口頭で行った。
靴 卸業者 、靴 製造業者 靴
製造を委託す
り、取 条件等 通
担 者
頭 行
。
○情報サP22
・ユーザが仕様を確定せず、発注書面に記載すべき内容が確定しない場合の書面の記載方法
最終ユーザの仕様が確定せず、委託した時点では、発注書面に記載すべき委託内容を決定することができない場合の書面の記載方法
○情報機器P11
・発注時には単価を記載していない注文書を交付しているが問題ないか。
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24.事後の状況変化に伴う受領拒否
○素形材P14
・発注書に指定された納品日に発注元に電話をかけたところ、「担当者不在で今日は受け取れない」と言われた。交渉したが結局受け取ってもらえなかった。
【金型】
・受け取り場所がいっぱいであることを理由に、納入予定期日に受領してもらえない。【鋳造】
○自動車P38
・ある製品の発注を受け、委託事業者に当該製品を納入しようとしたところ、例えば「急遽担当者が休暇を取ってしまい、受領できない」などとして受託事業
者が納入拒否にあうことがある。
○情報通信P15
・発注書面に指定された納期に指定納品場所に持ち込んだところ、「今日は受け取れない」といわれた。この親事業者の対応は問題になるか。
○情報サP29
・ユーザからのキャンセルを理由として、発注の取り消し(契約解除)をして、給付の目的物を受領しない場合は受領拒否に該当することになる。
○繊維P5
・タオル業者は、タオル製造業者にタオルの製造を委託し、これを受けてタオル製造業者が既に受注したタオルの製造を完了しているにもかかわらず、自社
の製品在庫が増加したことを理由として、発注時に定めた納期に、発注したタオルの一部しか受領せず、残りは在庫の増減に応じて必要な日時に必要な量
だけ納入させた。
け納入さ
。
25.納期の一方的な変更
○素形材P19
・生産計画の変更等により、発注時には例えば1,000個納入だったのものが、500個納入したところで納入止めとなり、発注が取り消されることがある。【鋳造】
○通信機器P15
・下請事業者とは、当初、発注日の1週間後を納期としていたが、急遽計画が変更となり、下請事業者に発注日から2日後に納入するように申し入れた。下
請事業者からは、従業員の都合がつかないことを理由に断られたが、客先の都合であるため再度要請した。下請事業者は従業員を残業させて間に合わせ
ようと努めたが期日までに間に合わなかったので、納期遅れを理由として受取を拒否したが問題ないか。
○繊維P5
・産地問屋は、綿織物製造業者に綿織物の製造を委託し、これを受けて綿織物製造業者が既に受注した綿織物の製造を完了しているにもかかわらず、自
社製品の売れ行き不振を理由として、発注を取り消した。
9
26.受注後の配送頻度の変更
○素形材P9
・下請事業者が、親事業者の各ラインに直接納めるケースが多くなっている。運送時間が倉庫納品より多くなり、輸送車や人員の手配などによってコスト
アップになっている。【金属プレス】
・ユーザーの小口配送要求が加速しているが、その上乗せコストは認められない。【鋳造】
・ジャストインタイム方式で納品が小口化しているが、そのための増加コストは認めてもらえない。特に四国なので、本州への配送の場合はコスト負荷が高
い。【鍛造】
・取引先の製造工場変更に伴い、遠方地、あるいは一部の部品のみ別の場所へ納品を要請された場合、それに要する追加的な運賃コストについては負担
されない。【非鉄金属鋳物】
○住宅P24
・親事業者の小口配送要求が増えているが、配送にかかる費用は認められない。
○情報通信P24
・当社は、従来、週1回であった配送を毎日に変更するよう下請事業者に申し入れた。下請事業者は、小口配送により配送頻度が大幅に増加し、運送費等
の費用がかさむため、従来の配送頻度の場合の下請単価より高い単価になるとして見積書を再度提出してきた。当社としては、単価据え置きで交渉したい
が問題ないか。
○繊維P10
・小売業者は、衣服製造業者に自社ブランド名を付した衣料品の製造を委託するに当たり、従来、週1回であった配送頻度を毎日に変更するよう要請し、
売業者 、衣服製造業者 自社 ラ
名を付
衣料品 製造を委託す
り、従来、週 回 あ
送頻度を毎
変更す
う要請 、
衣服製造業者において運送費用等の費用がかさんだ。しかしながら、小売業者は、衣服製造業者と十分協議することなく、また、かかる費用増を十分考慮
することなく、一方的に通常の対価を大幅に下回る下請代金の額を定めた。
10
27.検収遅れに伴う支払遅延
○素形材P15
・金型において、途中で改造が入ると大半が検収上がりにならない。メーカーによってはいつまでも検収を延ばすところがあり、納入期日から2ヶ月位は平気
で伸びる。【金型】
・設計変更が確定しなければ検収が上がらず支払が発生しない。金型引渡し後2年間支払がないケースもある。【金型】
○自動車P38
・ジャストインタイム方式対応のため、分割納入しているが、分割検収を行ってもらえず、実質的な支払い期間が長期となる。
○情報サP32
・受領後に情報成果物の検査の期間が60日を超える場合に、検査終了後に問題がないことが判明した上で下請代金を支払うことについて
○通信機器P17
・月末検収締切・翌月末支払制度では、当月内に納品されたとしても、検査が当月内に完了しなければ翌月以降の検収・支払
対象分と扱われて支払遅延が生じるため、この制度を採ることは問題があるのではないか。
○繊維P6
・衣服製造業者は、縫製業者に衣服の縫製加工を委託するあたり、月末納品締切翌月末支払の支払条件で下請代金を支払っているところ、受領後の
検査完了をもって納品があったものとみなし、当月末日までに受領したものであっても納品があったものとみなし、当月末日までに受領したものであっても検
査完了が翌月となった場合には翌月に納品があったものとして計上していたため、一部のした下請代金が支払期日を経過して支払われていた。
28.分割納品に伴う支払遅延
○素形材P14
・農機メーカーに納入しているが分納検収が認められない。すなわち、メーカーに要請されて数回に分けて納入する製品について、全部が納入されないと検
収が上がらず、代金が支払われない。【鍛造】
・取引先からジャストインタイム方式による納入の指示があるため、分割納品となるが、検収は、あくまで発注オーダーの完納後となる。【熱処理】
○自動車P38
・ジャストインタイム方式対応のため、分割納入しているが、分割検収を行ってもらえず、実質的な支払い期間が長期となる。
○住宅P24
・親事業者の要請により、数回に分けて納入する製品について、全て納入されないと代金が支払われない。
11
29.未使用有償支給材と下請代金の相殺
○素形材P21
・業界的には有償支給が一番の問題であると言われる。熱処理代は5∼10%と言われ、締め直前に翌月の有償材料が入ってくると、一ヶ月分の熱処理加
工費がその決済で飛んでしまい、ひと月何をしたかわからない状態になる。【熱処理】
・有償支給は自動車など大手ユーザーに多いが、材料支給が当月、熱加工製品の納品が翌月のような場合がある。また、当月支払われた熱加工費が、
来月加工するものの材料費の支払で相殺されて入金がゼロまたはユーザーへの支払が発生するというケースもある。【熱処理】
・支給材ロット数が当月の注文量より大きい場合、発注先に要請しても支給材ロットを小さくできず、注文量に見合った原材料の支給が行われず、早期決
済になる部品がある。【金属プレス】
○自動車P41
・材料支給が当月、製品の納品が翌月のような場合がある。また、当月支払われた加工費が、来月加工するものの材料費の支払で相殺されて入金がゼ
ロまたはユーザーへの支払が発生するというケースもある。
○繊維P12
・衣服製造卸業者は、ニット製品製造業者に繊維製品の製造を委託するに当たり、製造に必要な原料を有償支給しいるとこる、衣服製造卸業者が原料の
決済条件を当該原材料を用いて製造する製品の下請代金の支払期日を考慮せずに定めたことにより、ニット製品製造業者が原料代を支払う日が下請代
金の支払期日より先になった。
○通信機器Pp21
・下請事業者に材料を無償支給しているが、下請事業者で加工ミスがあり、材料が使用不能になった。この場合、下請代金より使用不能となった材料の
請事業者 材料を無償支給
、 請事業者
あり、材料 使用不能 な
。
場合、 請代
り使用不能 な
材料
代金を控除してもよいか。また、有償支給の場合はどうか。
30.説明のない減額
○住宅P17
・支払いを依頼した際に、無いものは払えないと言われて支払いを拒否されることがある。
○広告P25
・親事業者(広告会社)の客先からのキャンセル、市況変化等により不要品となったことを理由に下請代金の額から差し引くこと。
12
33.技術等の無償提供
○素形材P19
・金型納品後に、発注書面の給付内容に金型図面の提供の項目がないにも関わらず、取引先から金型図面の無償提供の要求があった。【金型】
○自動車P44
・発注者が見積又は工程管理等と称して、図面や技術情報等の提出を求め、その提出した図面やノウハウを活用して、他の企業が製品を製造してい
る。
○広告P30
・CM制作やグラフィック制作などの情報成果物の作成に関し、下請事業者に発生する知的財産権について、下請事業者への発注内容の目的である
使用の範囲を超えた二次利用等を親事業者(広告会社)に無償で譲渡・使用許諾をさせることは、「不当な経済上の利益の提供要請」に該当し、下請
法違反となりますので、外注担当者等は、そのような行為を行わないよう注意する必要があります。
○通信機器P27
・当社は下請事業者に金型の製造委託をし、金型を受領した。金型を受領した後に金型の図面・設計データを提出してもらう必要が生じた場合、下請
事業者に無償で提出してもらうことは問題があるか?
35.繁忙期の派遣要請
○通信機器P27
・下請事業者に対して、トラックで当社に納品する途中、近くにある別会社に立ち寄って当社への納入品を積込み、一緒に搬入してほしいと要請した。
下請事業者の了解も得ているが、何か問題となるか。
○繊維P27
・大規模小売業者は、衣服製造卸業者から無償で派遣させた従業員に、棚卸、棚替え、社内事務等の納入商品販売促進とは直接関係ない業務をさ
せた。
36.情報システム、専用帳票等の使用要請
○通信機器P25
・当社は、取引の際に、インターネットを利用して発注しているが、下請事業者に対し、当社が指定するインターネット接続業者を利用させることは、利
用強制となるのか。
○繊維P23
・衣服製造卸業者は、縫製業者に衣服の縫製加工を委託し、受領した衣服を大規模小売業者に販売しているところ、大規模小売業者から要請を受け
た衣服製造業者の外注・購買担当者が、縫製業者に対して大規模小売業者の新店舗開設時に、当該小売店から商品を購入するよう要請し、購入を
余儀なくされた。
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