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第10章 展示会

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第10章 展示会
第10章
展示会
1. 基本計画 ··········································································································· 108
2. 収支計画 ··········································································································· 109
3. 開催趣意書······································································································· 111
4. 出展案内書······································································································· 111
5. 出展者募集······································································································· 111
6. 出展者説明会 ·································································································· 112
7. 運営マニュアル································································································ 112
8. 保険 ···················································································································· 113
9. 設営 ···················································································································· 113
10. 当日運営と事後処理 ······················································································ 114
第10章
展示会
国際会議での展示は、企業が出展料を支払って展示する「商業展示」と、主催者がパネルや制作物を会場内に展
示(ディスプレイ)して、会議内容やテーマをアピールする「テーマ展示」と、会議プログラムの一環として行う「学術展
示」(ポスターセッション等)がある。会議の学術プログラムと展示会を同時開催することで、参加者が企業の製品紹介
や産業技術の内容を知ることができ利便性が高い。また出展する企業も世界中からトップレベルの会議参加者が一堂
に集まることで、広告効果と経済効果が高い。商業展示は国際会議会計と別会計で行われ、独立採算制をとることが
多い。
1
基本計画
基本計画では、国際会議参加者の利便性を考慮し、会場ロケーション、展示規模、展示面積、展示内容、出展料
金、収支計画、準備スケジュール等を策定し、展示内容の充実と参加者と出展企業の利便性の高い計画を作ることが
大切である。展示会の場合は、会議参加者数の増減による座席数変更等とは異なり、実施直前や当日に計画を変更
し展示規模等を変更することは費用的にもまた資材等の準備も大変困難であるので、慎重に計画を策定する必要が
ある。
(1)
組織
展示実行委員会等の組織を立ち上げ、準備にあたり会議組織委員会等のメンバーから企業出身の研究者や関連
する団体からの委員を募り、出展企業等の勧誘に力を発揮できそうなメンバーから人選をするとよいだろう。商業展示
の場合、専門的な知識と経験が必要なため、委員会は出展料の決定や出展企業への協力等を除く展示事務局業務
をPCOや展示専門会社に委託することが多い。
(2)
展示規模
展示規模を決定する小間等の基礎ユニット(間口、奥行き、高さ)を決める。一番普及している国際的な基準では、
間口(3m)奥行き(3m)高さ2.1m程度が多い。展示面積と出展企業数を勘案し、出展小間数等を決める。出展の可能
性のある企業や組織団体等の数値を予測し目標を定めることは非常に大切である。この小間数は今後の具体的な計
画を立てるにあたり、すべての基本になる重要な数値である。
(3)
準備スケジュール
展示会の場合は会議と異なり、出展募集用の案内発行と出展説明会が大きな山となる。会議で配布されるサーキュ
ラーのスケジュールと連動し、展示会開催告知、募集告知、展示会出展企業リスト等を広報する。出展する企業にとっ
ては、参加者へ広く告知されることは最大の動機付けとなる。
(4)
ロケーション
展示会場は、会議会場からのアクセスがよいことが必要である。会議の合間に会議参加者が気軽に立ち寄れること
が、展示会入場者の動員に繋がる。展示規模にもよるが、床面積は、3,000平方メートル以上あれば標準的なブース
(3m×3m、9平方メートル)で100小間以上がとれ、展示スペース、休憩スペース、媒体等の広報スペース等のゾーニ
ングも適正にとれ、展示会としての体裁がとれる規模である。近年は5,000平方メートルから10,000平方メートルを超え
るスペースの利用も珍しくないので、慎重な会場選定が必要である。
(5)
会議プログラムとの連動
国際会議併設展示会の場合、会議プログラムとの連動を意識して参加者が来場し易いプログラムを組むことが大切
である。プログラム委員会等との調整を図り、会議の休憩時間やコーヒーブレイク等のスケジュールに併せて各社へ展
示ブース内のデモンストレーション等の企画を勧め、参加者へアピールする時間を設定すれば双方にとってメリットが
ある。
- 108 -
第10章
2
展示会
収支計画
展示可能な面積と展示規模ですべて収支計画が決定される。多くの会議に付設された商業展示会では、小間(出
展サイズ)が3m×3m(面積9平方メートル)のユニットで設営される場合が多い。このサイズは一般的な展示見本市で
のサイズと同規模である。このサイズで計算し、展示会場での有効面積を割り出し、総展示経費を総小間数で割った
数値をベースに出展料を算出する。これには予定または希望する企業や団体の数と、どの程度の規模で参加出展を
お願いするか等細かく数値を捕らえた計画を策定しなければ、事業として成り立たない恐れがある。募集、展示計画、
会場や出展者との専門的なやりとり、広告等全般的には専門知識と経験が必要であり、この点で不安のある場合は、P
COや展示専門会社への委託が望ましい。
(1)
小間サイズ(面積・価格)の設定
近年の展示会見本市では、3m×3mの大きさが主であるが出展者数や会場面積の都合で入りきれない場合、1.8m
×1.8mや1.8m×0.9m等の小さなサイズもある。書籍の出展やパンフレットのみの展示、専門誌等のメディアが出展す
る場合、展示物の内容や展示物その物の都合もあり、こういった小さめの小間を用意し出展者の選択肢を広げる工夫
も必要である。また価格設定の工夫も展示会の出展内容を充実させるためには必要である。
(2)
事務局費用
展示会では、出展者や会場との打ち合わせの中で電気容量、重量、火気、衛生、保険等に関連する消防法や食品
衛生法、災害時の緊急避難等、幅の広い専門的な知識と経験を必要とするため、事務局業務一般はPCOや展示専
門会社に委託し、展示委員会では出展企業への協力や対外的な渉外活動に専念することで結果的にはコスト削減に
も繋がる場合が多い。
(3)
小間販売と広報費用
通常の展示見本市で一番掛かってしまう経費が出展促進費用と来場者促進費用である。会議に関連する各種団体
に主催者側からアプローチし、出展等の協力をお願いし出展プロモーションに掛かる費用を削減することが可能であ
る。また、会議参加者への広報告知を会議サーキュラーやポスター等を利用して効果的な広報活動を実施すること
で、促進費用の抑制につながる。結果的には適正な出展料と優良な来場者(会議参加者)を集めることにより、出展企
業は目的を達成することができる。
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第10章
展示会
【参考資料】 付設展示会
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第10章
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展示会
開催趣意書
国際会議開催趣意書と同様に、展示会を行うことがタイムリーで出展者にとっては世界中の専門家が集まる絶好の
場所である、ということを全面に押し出し会議主催者が展示委員会を設置し全面的に協力するという意思表示を明確
に記載する。展示委員会メンバーはもとより、協力する団体、後援をいただく官公庁・各種団体を多く取り付け、学際的
な会議と同時開催で最新の産業技術等を展示し、ビジネスチャンスを創りだすことが重要である。
4
出展案内書
出展案内書は出展のためのルールブックであり、出展する際の詳細な情報が必要である。展示会の場合には規制
される項目が数多くある。それらの項目については使用する会場での規制事項を消防法や食品衛生法等にのっとりル
ール化し、また使用する材料等も環境基準に準じた素材を使用する旨等、細かく記載する。仮設電話や電気容量、サ
イン、備品等のオーダーシート(申込書)をつけ、事務局が一括管理することで規制や届出を容易にする。
(1)
申込書
出展する小間数や出展物について記載できる項目を設け、規模と内容が把握できるようにする。それにより、会場全
体へどのように配置するか、危険物や音の規制に引っかからないか等を事務局で判断する。特に一小間の場合には
並列に設置し各社の小間で展示会場を埋めればいいが、複数の小間出展の場合、偶数小間や奇数小間等の組み合
わせを、まるでジグソーパズルのように会場全体に広げなければならないため、効率良く設置するには熟練を要する。
(2)
各種申込書
・ 仮設電話(電話回線、ISDN回線等)
・ 器具備品(テーブル椅子等)
・ 電気容量
その他、映像、受付スタッフ、商談通訳、ケータリング等出展者にとって自力で手配確保することが難しいもの等、利
便性を考えた申込書が必要である。特に海外から出展する場合には、出展物の受け取りや細かな手配が発生するた
め、事務局が一括して窓口になることで利便性が増す。
(3)
搬入搬出
大規模な展示会の場合、出展者数も数百を超えその設営準備には数日かかることもあるため、詳細なスケジュール
を記載する。基礎的な工事期間、小間の装飾をする時間、出展物を搬入し開梱し調整やディスプレイをする時間等で
ある。また、終了後の撤去する場合も同様で、各出展者が争って搬出することのないように精緻な搬出スケジュールも
いれる。
(4)
規制規約
規制対象項目は、電気、水、火気、衛生、重量、匂い、騒音、高さ等多岐にわたる。会場からの制限事項と展示委
員会での制限事項を独自に作成し、定量化した上で出展者に伝える。また、会場内での商品販売行為、迷惑行為、
出展企業の特性等を判断し禁止行為のガイドラインを予め決定しておくとよい。盗難や破損についても、会場内全体
のセキュリティーと小間内との区別をはっきりして、主催者と出展者との責任範囲も明確にする。
5
出展者募集
組織委員会に展示だけを担当する展示委員会を設置し、基本計画から関わってもらう。一般的な展示見本市とは異
なり、国際会議に関係する企業や団体、公的機関、研究所等に対して集中して出展要請を行う。基本的には商業展
示といっても、一般に行われる展示見本市とは異なり、会議参加者と出展企業等の双方の利便性を重視し、その分野
- 111 -
第10章
展示会
での最先端技術や最新の商品を会議会場で見られることに最大のメリットがある。
(1)
小間
企業や団体の場合、3m×3mの基礎的な小間で出展しても、展示物やパネル等があるため小間内が充実するが、
雑誌社等は展示物に限りがあるのであまり大きな小間は必要としない。また会場に入りきれないような大規模な施設や
プラント等では出展物として運べないため、パンフレットやパネルだけの展示物となる。そういった出展者用には小さめ
の小間を用意することで、幅広い内容の充実した展示会となる。
6
出展者説明会
概ね半年から三ヶ月前になると展示会の予定小間も完売し、会場内のレイアウトも決定する。そのタイミングで出展
者に対する説明会を実施する。ここでは、出展に関する規約や規制条項、また会議全体の説明等を行い出展者が安
心して最後の準備と出展計画を遂行できるようにする。一般的な展示見本市では、レイアウトをするのに説明会の場で
抽選等の方法を用いて小間レイアウトを決定することがあるが、国際会議の付設展示会では主催者の都合により会場
内のゾーニングと小間割(レイアウト)を行うことが多い。
併せて会議登録者数、招待講演者や個別テーマ等の情報を出展者に提供する。
7
運営マニュアル
・ 開催概要
・ 会議プログラム
・ 運営体制図
・ 展示レイアウト
・ 会場レイアウト
・ 出展者リスト
・ 搬入搬出スケジュール
・ 出展内容
・ 展示会期間中の日別スケジュール
・ 警備体制
・ 車両規制
・ 消防体制
・ 各種規制
等で構成される。
展示会の開会式は、組織委員会から会長や関係団体の代表等を集め、国際会議とは別にテープカット等のセレモ
ニーを行う。
国際会議組織委員会のポリシーにもよるが、会議参加者だけの入場とするか一般の入場を可とするかによっては、
運営方法が多少異なる。また運営にたずさわるスタッフの人数や体制にも違いがでてくる。一般が入場する場合には、
会場外での誘導サインや入場方法についての案内が必要となってくる。また、会議参加者とのすみ分けや時間的な差
を設置することで、出展者・会議参加者・一般来場者のお互いの利便性が確保できる。
(1)
運営組織
展示委員会を中心に事務局を置き、実際にはPCOや展示専門会社のスタッフが事務局運営にあたることが多い。
組織上は各専門の会社がワーキングスタッフとなって運営にあたる。
事務局
PCO又は展示専門会社
施工
展示施工会社
警備
警備会社
電気
電気設備会社
水
水道設備会社
通信
NTT等通信設備会社
機器備品
リース、レンタル会社
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第10章
展示会
その他に、消防法にのっとり会場設営やレイアウトがなされているかの消防査察、催事申請で所轄警察への申請、
食品がからめば食品衛生法にのっとり保健所への申請等、数多くの書類申請が必要であり、申請先が査察に来場す
る場合にはそれに対応しなければならない。
(2)
国際会議プログラムとの連動
会議プログラムとの連動で会議参加者が展示会場へ足を運び易いようにスケジュールを組み、また会議参加者が参
加・滞留しやすいようにコーヒーブレイク等を展示会場で行うような工夫も必要である。逆に出展者にとって会議参加者
との接点の機会を増やすためには、会議の公式行事であるレセプション等に一社一名が無料で参加できる等の特典
を与えることも工夫の一つである。
8
保険
展示会に関係する保険は二通りあり、一つは展示会会場での事故で主催者が責任をもって講じるべき責任保険で
ある。これは、展示会場内において制作物や工作物の破損・落下等で、参加者に怪我等の損害を与えた場合にかけ
ておいたほうが、リスクが回避できる保険である。もう一方は、出展物に関する保険である。これらは原則的には出展者
自らが責任をもって自社の出展物に対して相応の保険をかけるべきもので、主催者は関与しない。最大の理由は、出
展物の査定と保険担保が莫大になる恐れがあるからである。最先端技術等の場合、その査定をすることは難しく、保険
会社でもなす術がないことがある。
主催者として講じるべき出展者向けの保険としては、会場全体のセキュリティーである。保険というよりは、安全管理
であり出展物によっては昼夜問わず24時間のガードマンを確保することがよい。但し盗難は除く。
(1)
一般傷害保険
現在、展示会保険等固有の商品は該当がなくその都度の設計を行い、規模や最大担保、免責条件を保険会社と双
方で相談しながら作り上げていくのが実情である。担保範囲、会場参加人数・記名無記名等の条件で大きく異なる。一
般傷害から食中毒等幅広く可能性を考えリスク回避が必要である。
(2)
その他の保険
主に盗難や破損が対象である。出展物の査定不可能な物も多く保険料が高くなるので、出展者自身で保険をかけ
る。保険とは異なるが、会場内で写真撮影、録音等工業所有権や知的所有権についても禁止事項にする等の細心の
注意が必要である。また大規模な展示会の場合には、海外からの出展物について便宜を図るために一時保税指定の
手続き等がある。主催者は直接関与しないが、出展者が持ち込む商品見本や展示品の携行品一時持ち込みに関す
る扱い・カルネ通関等の制度(ATA条約)もある。
9
設営
広い会場内に当初の計画通りのレイアウトを引くために、図面に合わせて区画をマーキングするところから設営が始
まる。基本レイアウトから電気配線等の基礎的な設営から始まり、出展者が各々趣向をこらした小間(ブース)を作り始
める。次に出展物の搬入作業が始まり、最後に出展物を配置しコンピューターや機械の動作確認やセッティングを行
う。これらの作業が順序よく整然と実施されるには、計画的な設営スケジュールと設営作業の適確な監督が必要であ
る。どれひとつとっても順序が変わったり、時間変更があったりするとすべての作業手順が遅くなる。限られた時間内で
手際よく効率的に行わなければならない。
(1)
基礎設営
レイアウトに沿って全体が作られていき、それに従って電気配線、通信回線等が手順通り設置されていく。各小間に
よって最初に提出された申込書と異なることがあるため細心の注意が必要である。各出展者からオーダーされたディス
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第10章
展示会
プレイ会社や運送会社が各々資材や機材を搬入し、基礎設営されたレイアウトの指定小間にブースが立っていく。
(2)
商品搬入
会場には各地から運ばれた出展物満載のトラック等が続々と横付けされ、装飾されつつある小間内に、次々に出展
物が運ばれていく。各社の担当者は内容を確認しながら開梱し、組み立て等を行う。パネルやパンフレットを壁やテー
ブルに設置し、機械等の立ち上げや調整を行う。必要な電気、通信、テーブルや椅子の数量や内容を確認する。
(3)
装飾
小間内に出展物がほぼ出揃い、計画通りの小間内装飾が完成し展示会のオープンを待つ。会議参加者への説明
や配布する資料をチェックし、いつでも迎えられるような体制まで整える。出展者によってはブース内にコーヒー等のケ
ータリングをオーダーし、参加者へのサービスを行うところもある。また、説明員を配置しデモンストレーション等の最後
のリハーサルを行うのもこの時間帯である。
10
当日運営と事後処理
展示会の開場時間から一時間前に、開場し出展者を入れて準備を行う。出展者は最後の準備と参加者受け入れの
準備を入念に行う。事務局では、全出展者の準備状況を確認し、会議事務局との連絡調整の中で、出展者ガイドブッ
クや出展者リスト等を用意し参加者受け入れの準備を行う。また、会期中は参加者の誘導と出展者からの各種のリクエ
ストや要望に応じて対応を行う。
(1)
会期中
展示事務局では、参加者と出展者の対応を行い、会議事務局と連動して参加者がなるべく展示会場に来場しやす
い環境を作る。また、参加者へのアンケート等を実施し、後日出展者に対してアンケートの結果を提供することも必要
である。
(2)
撤去
展示会最終日には、設営と逆に商品の梱包から始まるが、搬入時と異なり出展者や委託を受けた運送会社は一刻
を争って撤去搬出を行って業務を終了したい。ここでは最後の事故が起きない様に細心の注意を払いながら撤収計
画を立て実行する。
(3)
事後処理
会期中にとったアンケート等があれば、それらの分析を行い各出展者へ配布する。また、通信回線や電気使用料等
各出展者からの個別オーダーがあったものには、個別の使用料金の請求を行い、経理処理をする。また、出展料等の
未納があった場合には督促をし、収支決算書を作成し、展示委員会の監査を受ける。
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