...

学生とまちづくりを考えよう in 千歳

by user

on
Category: Documents
79

views

Report

Comments

Transcript

学生とまちづくりを考えよう in 千歳
学生とまちづくりを考えよう in 千歳
駒里の大地に沁みいる水と土と人々の想い
2015 年 8 月 26 日 ( 水 ) ∼ 30 日 ( 日 )
発行:一級建築士事務所 黎明座
東京工業大学 土肥研究室
協力:千歳市
千歳市グリーン・ツーリズム連絡協議会
はじめに
目次
はじめにープロジェクトの経緯
私たちは、ここ数年、千歳川流域である石狩管内各市で市民活動団体や各地の行政を結ぶ
プロジェクトに取組んでまいりました。
今回の「学生とまちづくりを考えよう in 千歳」の企画は、東京工業大学・土肥研究室(8
名学生・教員 1 名:うち学生 6 名が提案内容作成、学生 2 名がバックアップ)が4日間、千歳市、
特に駒里地区の現場に身を浸して感じ、深く考えたことを現地の人々に形にして提案すると
いうものです。この企画は、千歳市の上野課長(当時)の駒里地区のグリーンツーリズムを
活性化させようとする熱意のもと発案されました。これに対して、私たちは広く農家・市民
の方々に開いた形で、提案作業にも加わってもらい、様々な観点から関心を持ってもらおう
と考えました。企画の準備にあたり、千歳市職員の皆さんをはじめ、駒里地区の皆さんの温
かい協力を得ることができ、今回の企画は実現しました。私たちを暖かく迎え入れていただき、
私たちの採用した方法
・・・2p
8 月 27 日 ( 木 ) ∼ 8 月 30 日 ( 日 )
千歳ワークショップタイムライン
・・・ 3p
8 月 29 日 ( 土 ) 各学生グループ成果物
- 駒里の人と場所に根付く思想と理想
・・・ 4p
8 月 30 日 ( 日 ) ワークショップ成果物
- 住民の人の想いをきく
・・・ 7p
千歳・駒里の Land Scape× Life Style
・・・ 10p
また様々な要望にもこたえていただき本当にありがとうございました。
大盛況に収められた今回の企画を、この報告書でご紹介していきます。今回企画に参加し
ていただけなかった駒里地区の皆さんにも是非とも今回の経験を共有していただきたいと
願っています。またこれをきっかけとして、駒里地区の皆さまがあつまって、まちの未来に
ついて話し合っていただけたらと思います。
それでは、学生たちの体験と思考の軌跡、人々との出会いをどうぞご覧ください!
一級建築事務所 黎明座
遠藤 淳
【準備】∼ 8 月 26 日 ( 水 )77 ツーリズム事例カード
・・・11p
【準備】∼ 8 月 26 日 ( 水 )
千歳の統計情報からみえてきたこと
・・・12p
【1日目】8 月 27 日 ( 木 ) 農家シャドウイング
・・・13p
【2日目】8 月 28 日 ( 金 ) 千歳市職員シャドウイング ・・・ 14p
千歳市
駒里地区
千歳市駒里地区は、もともと酪農や養鶏
、畑作が盛んな農業地域であった。千歳
川放水路計画の中止に伴い、平成15年に
農村再生特区(従来の2haから10aの面
積で農業ができる地区)として認定され
、新規就農者の参入に取り組んでいる。
空港、JR駅に近く、高速道路や一般国道
の利便性にも恵まれている地区である。
【3日目】8 月 29 日 ( 土 )
発表会と参加者みなさまの声
・・・15p
【4 日目】8 月 30 日 ( 日 )
ワークショップと参加者みなさまの声
・・・16p
おわりに
1
・・・17p
私たちの採用した方法
断面モデルで千歳・駒里を考える!
人は環境に働きかける存在だ。千歳の大地も自然の働きと人の働きによって形作られ、現在も作り続けられている。古い地層から新しいものへ、そして現在である地表へ、さらにこれから地層が形成され
る地上の空間へ、時間は垂直に積層する。自然は積もり、削り、曲げ、断ち、巨大な力で、大地に働きかける。人は、伐り、掘り、耕し、肥やし、意図を持って、大地に働きかける。両者のこれまでの関係
が地層に、今日の関係が地表に、これからの関係が空へと、表されるのだ。
そこで、千歳•駒里の人々の深い考え=思想を地層に、夢=理想を空(空想)に、そして千歳•駒里の現在の風景=モノコトを地表に、それぞれ見立てて、考えてみることにした。この中で場所との関係性
を考察するために、実際の空間に落とすことができる思想 / モノコト / 理想は、発見した場所の地層 / 地表 / 空におくこととし、下に示す千断面モデルに表現した。この断面モデルの縮尺は垂直方向に
1/1000、水平方向に 1/15000 である。断面モデル上に付置された思想 / モノコト / 理想の、それぞれの場所は 10cm(1.5km)幅に、等高線に直交するように切り取った。10cm 幅の地層はわずかな傾斜を川
に向かって示しながら、幾つか集まると全体として地形を表し始める。ここから、私たちは駒里の過去から未来までの風景を考えている。
この方法は今回初めて行ったのだが、千歳の劇的な地形と、駒里の人々の営々と続けられている土地への働きかけに、インスピレーションを受けて構想、実現された方法である。
恵庭岳
ナイベツ川
千歳川
駒里
支笏湖
美々川
ウトナイ湖
2
8月27日(木)∼8月30日(日) 千歳ワークショップタイムライン
高橋美喜さんにカ
フェでお話を聞き
ました!
たくさんの駒里
の方が来てくだ
さいました
美々川源流
どこさそ∼れこまさとの
三谷公久さんも
来てくださいました!
火山灰の影響で
できた2重根。
支笏湖ビジター
センターにて。
モ∼
園田七五三一さんに
駒里のお話しを伺いました
模型に興味津々・・・
1 日目 (8/27)
2 日目 (8/28)
村田農園で大根洗い
のお手伝い
09:00 農家シャドウィング/千歳市内ツアー
竹田牧場で
乳搾りや農作業
をさせてもらい
ました!
09:00 市職員シャドウィング
12:00 農家の方々に昼食をご馳走になる
黒澤隆次さんから特区
の話を伺いました
3 日目 (8/29)
元市議会議員で千歳
市在住の小林さんと
千歳市職員の藤木
課長に千歳を案内し
ていただきました。
午前 ワークショップ準備
千歳全域コース/駒里コース
12:00 昼食
千歳市職員の今係
長、上野次長、農家
でお菓子屋さんもし
ている沼山誠二さん
に駒里を案内してい
ただきました。
農家かあさんの手料理
小林純子さん、佐々木美津子さん、
上野美晴次長がお昼を作ってくれ
ました!ラーメンサラダ、ハス
カップごはんなど盛りだくさん!
13:00 ワークショップ準備理
13:00 サケのふるさと千歳水族館
17:30 ワークショップ開始
千歳市小田賢一部長
開会あいさつ
4 日目 (8/30)
午前 ワークショップ準備
11:30 昼食
この日も小林さん、
佐々木さん、上野次
長がお昼を作ってく
れました!駒里の野
菜美味しかったです。
12:30 受付開始
13:00 ワークショップ
高橋正さんか
ら自然栽培を
学ぶ!
19:00 竹田牧場で BBQ
豚、牛、鶏
ラム!
!
!
元々どこさそ∼れこまさと
のイベント打ち上げだった
そうですが、東工大歓迎会
をしてくれました!
21:00 みんなで銭湯 えん へ
23:00 公民館到着
15:00 駒里小中学校
駒里の小学生とパークゴルフ
小森享教頭先生
には小学校の中も
案内していただき
ました!
18:00 打ち上げ!
18:00 夕食
おつかれさまでした
19:00 銭湯
21:00 発表準備
20:00 終了
3
8月29日(土) 駒里の人と場所に根付く思想と理想
駒里のモノ・コトから思想と理想を思い描く
駒里周辺におけるまちあるきや農業体験を下に、まず「モノ・コト」として、それぞれの場所での出来事と住民や農家の方々の話を小さなラベルとしてまとめる。このラベルと、駒里の自然に身を浸した経
験をもとに、駒里の風景をかたちづくる「思想」を抽出すると共に、駒里のまちなみに適する「理想」的な環境を考察した。今回のワークショップでは、学生は 2 名ずつ三班に分かれて、それぞれ異なる農
家さんのもとで駒里の思想と理想を考察している。
A 班:自然栽培のまちづくり
坂村圭、山城拓登
駒里でまず接した「モノ・コト」が「ただしー
農園」での自然栽培の農法。雑草だらけの畑で
理想
自然環境から導き出され
が営まれており、火山灰が降りつもる土壌に適
環境的 , 社会的に持続的
なものだといいなぁ
20m 違うだけで , 土
と。自然に寄り添った農法に論理性と正しさを
ニンジンは乾いた土
地で , ナスやキュウ
リは水分の多いう土
地で育ちやすい
感じ、
「自然栽培の考えを応用した地域活性化」
の 感触 , 色 , 湿
気 が全く違った
モノ・コト
( 気づいたこと ,
写真 , 絵 , 図 )
とした歴史と場所、すなわち「駒里の風土」を
雑草の影に
よって枯れた
ニンジン
芽生えると共に、この知恵(まちの声)を用い
うことが、駒里に多く眠る地域資源(作物)を
地に適した地域資源の活かし方(理想)を深く
考える契機となった。
思想
うまく育たなかった
ニンジンの原因を推
測するのは , とても
難しかった
ケイ素は水に溶けな
いが , ミミズが食べ
てフンを , 土にケイ
素が取り込まれる
トウモロコシと
一緒に背の高い
クローバーを植
える
育ちやすい作物の種
ニンジンはと
ても良い匂い
だった
高橋さんの農業
を学ぶ塾生がい
る
カフェ ( 五穀村 ) に
いるお客さんは , 食
事だけでなく高橋さ
ん夫妻との会話を楽
しんでいた
類がわかる
ニンジンの隣に
クローバーの種
を植えている
その土地に会
う作物を見分
ける
土地の声を
聞く!
て、土地(自然)の原理に従った地域政策を行
去年の厳しい冬を乗り越える
ことのできた ニンニク は ,
この土地から採れた 種子
のもの。他の土地で採れた
種子 のものは全滅しまった
るだけで , その土地で
くの「土地の知恵」を活用したいという理想が
火山灰の積もった
土地でも立派に育
つ植物はある!
( 例えばニンジン )
自然はほっと
自然感興と作物の関係を
調整するのが
農家
農作物が育つため
に自然の沃地化を
調整する
けば林になる
駒里周辺は
盆地地形
駒里は風が
強い土地
駒里は元は
海だった
駒里には分水丘
があり、日本一
低い
雨が降ったら今で
も火山灰が庭にわ
きだしてくる
食べ物から
って考える
私がリンゴだった
らどうしてほしい
か考える
[「作物」
→
「土」
→
「微生物」]
土地を知るには
行って試行錯誤
するしかない!
循環で , いづれは林
が育つ沃地となる
4
く人や食も考える
ニンジンを育てること
から治療への効果や栄
養素まで勉強した
5 年目にして野菜
がちゃんと育つ
ようになってき 特区に期待して
いる人はたくさ
た
んいる
アイヌの人がホカ
ンガニ川と遠浅川
のほとりに住んで
いた
トマトがすごく
当時 , 沼に囲まれ
甘くて美味し
た土地では水田を
かった
営むことが可能
特区政策は , 実際
だった
地下水を通してホ
のところ農家人
カンカニ川 , 遠浅
口増加に寄与し
側の沼から美々川
ていない?
につながっていた
本土の人が入って
マッチ工場ができ
る
( 駒里で農家を始めた最
古の歴史として ) 松本家
が駒里を育てる名目で ,
700 町歩の土地を管理し
始める
放水路計画の頓挫
の結果 , 千歳西部
の農家の離農が増
加した
特区農家の年齢
層は外部者が
思ってるよりも
高い
駒里の 風土
を知っている
自然の循環を
考えること
農業 だけでな
痩せ地でも雑草の
駒里に伝わる文化や , 水
の通り道 ( 水系 ) を途だ
えることなく , 土地に
あった人間の営みが行
われるといい
風車をたくさん設
置して 風車の町
駒里 もおもしろ
いかも?
生えている雑草を見
土地は自身の肥沃
化のため , ニンジ
ンではなく雑草を
選んだ
教わっていたことに気付く。ここから、より多
共に、駒里の水と土地の歴史を学ぶことで、土
その土地の気象条件を乗
なぁ
の収穫のために農家が自然環境を調整」するこ
このように、自然栽培の思想を肌で感じると
農家の人達の様々な
経験や知識にたくさ
んの人が触れてほし
いなぁ
できる環境が整えばいい
の声をきき」
、
「自然の原理を活用」し、
「作物
育てる一番の方法ではないかと考える。
活動 ) 聞きたい!
全部 ( 農 , 水 , 地域
りこえた 種子 を入手
現れる思想は、
「食物から遡って考え」
、
「土地
土を中心に描かれる人々の営みの変化をはじめ
くりを実践したい
る人々の営みが経済的 ,
したにんじん栽培が営まれていた。この場所に
一方で「園田農場」
「蛇塚農園」では、水や
駒里の土地の声を
を適用したまちづ
は、自然の原理と知識を十二分に活かした農業
という理想を描く。
自然栽培の考え方
駒里の土地利用や地
域の活動の根源には
の活動に期待してい
るし、応援したい
水の歴史がある
土地の改良を繰り返して
ゆくゆくは福
祉農園をつく
りたい!
これからの若い世代
きた歴史と、それに対応
した駒里での生業の展開
がある
小規模の農家ならで
はの駒里との関わり
方がある
8月29日(土) 駒里の人と場所に根付く思想と理想
B 班:見えないものを感じる
所谷茜、島田晃史
竹田牧場のお母さんからお聞きした「酪農・
おもしろおかしく
楽しく生活できる
地域
農業には見えないものを感じる力がある」とい
う話が印象深く残り、それを軸に竹田牧場で接
した モノ・コト について考えた。
草刈りや芋拾いを通して学んだことは、
「農
観光客も地元の人も利
用できて、日々の生活
が豊かになるような場
所があるといいな
理想
観光も循環を意識
常に多くの人が循環
の一部という自覚を
持っている社会
「少しでも農業って
楽しいって思って
くれる人が増える
といいな」
牛の世話と農業を一
緒に体験すること
で、循環型農業を実
感するプログラム
↓
持続可能
乳牛が長生きできる
ような仕組みができ
ればいいのに・・・
業の大変さ」
、また「何でも自由にできるが、
逆にすべて自分でやらなければいけない」とい
うことである。農家の方々がその環境を楽しみ、
川の恵を体験
できるプログ
ラムがあると
いいな・・・
生き生きと暮らしている姿から、
「見えないも
の=楽しむ力」という思想に至り、地域や人に
地元の人にお
気に入りの場
所を教えても
らいたい。
辛い事・面倒
な事さえ楽し
むパワーを
シェアしたい
牛さんかわい
そう・・・
よっても楽しみ方が違うことから「辛いことさ
え楽しむパワーをシェア」でき、
「楽しく生活
できる地域」を 理想 として描いた。
また酪農を通して、エサから肥料までの「循
環」や、生まれてから妊娠や廃牛になるといっ
た「乳牛自体の循環」について学び、
初めは「か
モノ・コト
( 気づいたこと ,
写真 , 絵 , 図 )
内別川のきれいな水
うまく育たなかった
ニンジンの原因を推
を水道水に利用
測するのは , とても
難しかった
千歳湖では昔は多く
の人が遊んでいた
千歳川にはたくさん
うまく育たなかった
ニンジンの原因を推
のサケがのぼってく
測するのは , とても
る
難しかった
景色はもちろんのこ
と、空気や音など五
感で自然の素晴らし
さ美しさを感じた
牛は千歳のおいしい
うまく育たなかった
ニンジンの原因を推
水を飲んでいる
測するのは , とても
難しかった
美々川源流では昔は
遊ぶ人たちがいて道
も整備されていた。
わいそう」と他人事のように思っていたが、
「自
特区に住んでいる人
は多種多様で考え方
も様々である
「おもしろいの
ははじめだけ」
駒里は飛行場、特急
の停まる JR 駅、全道
に通じる高速道イン
ターなど交通的な価
値が高い
この作業をずっとや
ると辛くて大変なん
だろう
大豆かす、とうふか
すなど捨てられてい
たものをエサとして
有効利用している。
農家は何でも自由に出来
るが、逆に言うと何でも
自分でやらなければなら
ない。
それが好きな人は農家に
向いている
現在は遊ぶ人も
そもそも知って
いる人も少ない
分たちも循環の一部」であるという見えない
循環型農業
草刈
楽しい !!!
牛乳が出なくなった
牛はお肉にするため
にトラックにのせる
「辛いけど泣いていら
れない」
乳牛は約 2 歳で子牛
を産みミルクを出す。
その後3∼4回出産、
6,7 歳で廃牛となる
おいしいミルクを
いっぱい出す為に…
・寿命は短くなるが
ミルクを出すエサを
妊娠やミルクの出る
与える。
期間を操作する
牛乳が出なくなった
ら、お肉や革製品と
して利用。糞尿はた
い肥として農業に利
用している
→寿命が短くなる
ペットではない
裸足で芝生を走る
→気持ちよかった
広さが分かった
人間が生きてい
く為に牛が飼わ
れている
利用するが無駄
にはしない
思想 に気付いた。そこで「多くの人が循環の
一部という自覚を持った社会」
、
「持続可能な循
狭小農地で最大収
環を意識した観光」を理想として描いた。
川が千歳を
支えている
その他にも、
「裸足で草原を走る」ことで「体
人々が利用するこ
とで、自然を上手
く管理できる
駒里をどのように活
性化するかは、農業
的価値だけ
ている」ことを知り「川の恵みを体験できるプ
ログラム」の実現を理想として考えたりした。
げるか
「おもしろおかしく
「やりたいことをや
る !!」
楽しく生きていた
い」
験して初めて分かる」という思想に気付いたり、
川の流域について学ぶことで「川が千歳を支え
益をどうやってあ
男のロマンは女の
不満
見えないもの
=楽しむ力
なのでは・・・?
自分たちも循
環の中に入っ
ている
思想
酪農・農業には
見えないものを
感じる力がある
また千歳湖や美々川源流が「昔のように人々に
愛され利用される」ことも理想として描いた。
5
「はじめは靴をはいてやってい
たが、裸足になってみたら気
持ちよくて、こんなに気持ち
の良いことは体験させんとい
かんと思った」
8月29日(土) 駒里の人と場所に根付く思想と理想
C 班:自然 × 駒里 × 人
藤原禎生、町田大
駒里でまず接した モノ・コト は村田農場
での体験と出荷農家である村田さんの話。出荷
農家であるが故の農作業の大変さや農業体験受
け入れの難しさなどグリーンツーリズムを実施
駒里から色んな場
所に人・自然の豊
かさを輸出したい
理想
今まで駒里の人々が
関わってきた自然を
守る / 復活させる
する上での問題点を見つけた。しかし、その一
方で様々な野菜を育てる喜び、土に触れる幸せ
将来を見据えた子ど
もたちが先導するグ
リーンツーリズム
人々がお互いを
様々な作物を育て
更に理解し、尊
続けられる駒里
重し合う駒里
更に多く、様々な
人々を迎える 窓
口 があるとよい
などの モノ・コト も見つけ「作物を育てる
喜びを感じる」ことがこの地域で土を耕し続け
千歳湖・美々川
源流は人々・鳥
の大切な場所
た人々にとって大切な 思想 であるとした。
そして、
「様々な作物を育て続けられる駒里」
「人々
がお互いを更に理解し、尊重し合う駒里」という
駒里の 理想 を描いた。
モノ・コト
( 気づいたこと ,
写真 , 絵 , 図 )
昔千歳には
多くのツル 畑でハク
が来ていた チョウ等が
見られる
長沼周辺には多く 美々川源流・ウ 美々川源流で昔
の湿地があった。 トナイ湖には多 よく遊んでいた
くの鳥がいる
2 日目の小中学校訪問では子どもたちが個性
的で優しい、人数が少ないのにもかかわらず
美々川源流は
昔より立ち入
りにくい
様々な背景を持つ子どもたちがいるなどの モ
駒里の農家は
遠浅川の水を
使っている
遠浅川から
美々川に水を
引いている
農作業ができない
趣味で色んな野 時期に他地域の農
菜を育てている 家で勉強したい
色んな野菜を育
てるノウハウを
持っている
売れる工夫をす
るのは楽しい
作業が孤独
な時がある
「大根の匂い
が印象的」
自分がやらないと
終わらない。休め
ない。責任感
どもたちを中心に「多様な人を迎え入れる」と
いう 思想 があるとし、そこから「子どもた
ちが先導するエコツーリズム」という 理想
を描いた。また、美々川源流を訪れ、引率して
下さった沼山さんの話を聞いて、美々川源流な
思想
身近にある豊か
な自然は人々を
力づける
野菜が育つと
喜びを感じる
どの「身近にある豊かな自然は人々を力づける
春には土が触
りたくなる
」という 思想 がそこにあると感じ、
「駒里の
人々が関わってきた自然を守る」という 理想
を描いた。
6
出荷農家の人たち
が農業体験を受け
入れるのは大変
農家レストラン等
との連携がほしい
少しでも誰かに
手伝ってもらえ
ると助かる
作物を育む喜び
を感じる
出荷農家は
余裕がない
小学校の理科
の先生とのつ
ながりがある
冬には近所のおば
あちゃんが手伝い
に来てくれる
人とのつながり・土・
野菜と触れあう喜び
が農家を支えている 親がやっていた農
業だから引き継い
でやっている
小中学校には農
業の授業がある
姉妹都市との
青年交流プロ
グラムがある
小中学校は 100 年
以上の歴史を持つ
「小中学校の子ど
もたちは個性的
で最高に優しい」
「一緒に作業し
ていて楽しい」
現在美々川源流
を知っている人
は少ない
ノ・コト を見つけた。そこから、駒里には子
受け入れる人のこ
とが事前に少しで
も分かればいいな
作業環境を
良くしたい
特区には定年
退職して移住
した人が多い
小中学校は生徒
が 20 人
子どもが少ない
子育てのため
に駒里に移住
する人もいる
運動会などの行事に
は自衛隊員を含め地
域の人々が参加する
多様な人を迎え
入れる
8月30日(日) 住民の人の想いをきく
駒里のヒトと一緒に思考する
駒里公民館(2015 年 8 月 30 日)にて学生からの発表の後、主に駒里の農家の方々と共に土地に根付く「思想」と「理想」を再考察し、その結果を班ごとに一枚の模造紙にまとめた。このワークショップで
は、それぞれの住民が駒里の特定の場所に関して興味のある「モノ・コト」に関わる意見交換をしたのち、その裏に潜む「思想」と、そこから描かれる「理想」を発表した。当日は 6 班に分かれ、各班に一
人づつ学生が同席している。
<自然と立ち寄りたくなるまち>
1班(山城拓登、中村由美子、泉谷清、義達信司、武石孝司)
<自然を理解する>
手のつけていない自
1 班では駒里の方が 2 人、他地域の方が 2 人で構成されていたので、各自の住んでいる地域の好きなモノ・コトを挙
理想
げ、それらを下支えしている思想や今後こうなって欲しいという理想を全員で考えた。駒里の好きなモノ・コトでは世
代を超えて駒里出身者全員が体験している駒里小中学校が挙がった他はすべて、自然や環境あるいは駒里地域の産業に
然と管理されている
モノの違いが分かる
まちにする
関するものだった。駒里外からの人も駒里の自然・景観を非常に好意的に感じており、これらの維持と伝承が 1 班のメ
<人々を引きこむ>
カフェなど気軽に立
ち寄ってもらえる場
所があると良い
体験施設があ
ると良い
<農業発展のために>
生産物の加工場があ
ると、農産物が活か
される。加工体験も
できる。
インテーマとなった。
<駒里の資源と課題>
<交通・生活施設>
<自然の維持と伝承>
空港が近い
<自然環境の維持と体験>
もっと子供たちが
遠浅川で遊べるよ
うになってほしい
理想
自然や景観がその
まま残って欲しい
整備で形を変える
のではなく、その
まま残したい
モノ・コト
( 気づいたこと ,
写真 , 絵 , 図 )
36 号線に近
く車の交通便
が良い
若い人たちが
住める環境が
整っている
<世代を超えて語り継ぐ>
駒里を良く知ってい
るおじいさん・おば
あさんに語り部に
なってほしい
<観光>
通り過ぎるが、
観光客が多い
手軽に立ち寄
り滞在できる
ものが少ない
<農業・特区>
<景観・自然環境>
空の広さ
見晴らしの
いい景色
自然環境が
充実している
樹氷がよく見
られる
電線が少なく
広い牧草地
原野商法で売
られて荒れた
土地がある
農業特区を
どう生かして
いくか
小規模生産と
流通について
<自然と駒里の現状への思い>
<駒里の自然と人々の関わり>
<共通体験>
駒里小中学校
モノ・コト
( 気づいたこと ,
写真 , 絵 , 図 )
駒里小中学校
のニレの木
<自然との関わり>
<自然資源>
遠浅川
ソバ畑
星がとても
キレイ
前山が見える
通学路の風景
ホタルが見れ
る ( イチコが
終わる頃 )
大蔵さんの山
周辺にいる多
種の蝶
<駒里の文化・歴史>
思想
ハスカップ
がうまい
( 愛の契り )
美々川源流部は
今のままで ...
自然(人の手の
入らない)との
距離感が大切
<空間に対する思い>
近代都市と広い
農村環境との
ギャップ
空港や 36 号線な
どの交通便を有効
大学との交流が
ない
卵の生産量、道内
一など駒里につい
て知られていない
利用できていない
2班(島田晃史、高橋正、竹田剛憲、中沢徹哉、村上洋子)
2 班は駒里の方 2 人、千歳の方 1 人、大麻の方 1 人によって構成されており、各自の視点から駒里について感じたモ
ノ・コトについて上げてもらい、その背景となる思想やそれらを踏まえて理想を上げてもらった。全員に共通したモノ・
<自然と産業と人>
<駒里の貴重な自然資源>
思想
トトロにでそうな
豊かな自然・景観
が駒里の風景
コトとしては、
「見晴らしがよく、空が広く感じられる」というような美しい景観や自然環境に関することであった。
<自然と産業の共生>
また「空港や主要な道路など交通の便の良さがありながら活かしきれていない」ということも多く挙がった。これらを
自然と産業が密
着して駒里を支
えている
いかに活用していくかが主な議題となりそのためには、
「自然を理解し、共存していくことと人々を引き付けられるよ
うな施設があると良い」という理想を描いた。
7
8月30日(日) 住民の人の想いをきく
<自然・社会の持続的な循環>
3 班(所谷茜、村上紗希、海野義幸、三谷公久、武石いづみ)
この班では、
「駒里や千歳の良いところ」を挙げ、その一方にある課題にも着目しながら、駒里や千歳の良いところ
や課題の背景や駒里が目指してゆく方向について話し合った。良いところ・課題として、駒里には自然資源がある一方
で、駒里自体の認知度が低い事、個人個人が生きていくことで精一杯で、駒里内部での交流が少ない事などが挙げられ
た。しかし、カフェや体験農場といった取り組みが盛んであり、駒里を知ってほしいという思想が駒里には存在してい
る。また、こうした取り組みや駒里で起こっている事の根底にある思想は、人に対しても土地に対しても考えを押し付
けるのではなく、あくまでも「住まわせてもらっている」というものである。こうした思想を踏まえ、
「地域の一体化」
や「知る人ぞ知る場所にする」ことが重要であると話し合った。
理想
理想
歴史があるから一
概には……
地域の一体化
<人・時間の循環>
このままの状態を
保ちつつ、今まで
着目していなかっ
た自然との共存・
循環・地球を大切
に、幸せに生きる。
自然の恵み、人の
親切、伝統と先人
に対する感謝を実
感する。
<資源の活かし方>
<駒里の人々の自然との関わり方>
たくさんの人に、
ではなく、知る人
ぞ知る場所にす
る!「○○といえ
ば駒里!」を作る
<立地・地域性>
モノ・コト
( 気づいたこと ,
写真 , 絵 , 図 )
空港が近いので観
光客の方が身近に
自然・農業・食べ
物にふれられる。
駒里信号所(鉄道
マニアに大人気)
( 気づいたこと ,
写真 , 絵 , 図 )
農地、市街地、工
業団地が幅広く配
置されていてバラ
ンスが良いと思う。
千歳湖(ホタルが
見れる)
美々川源流
チョウチョがみれ
る隠れた場所
<駒里の文化・歴史>
体験農場(牧場)
こまの里大収穫祭
隠れた農家レスト
ラン
冬祭り(かまくら、
キャンドル)
駒里神社(氏子)
千歳科学技術大学
特異的な天候
<立地・地域性>
モノ・コト
<自然資源>
駒里小中学校の「に
れの木」
<駒里の特徴と課題>
流通面に恵まれて
いる。
地域住民が一体と
なって観光客を受
け入れる体制の確
立。そのための一
体感とボランティ
ア精神の醸成。
自然環境を理解し、
現状を維持しつつ、
アピールできる状
態。
<駒里全体の協働>
<地域住民間の連携>
<現在の自然環境の維持>
大きい空港の傍で
沢山の農家や牧場
があるのは珍しい
かも?
<課題>
自分が生きていく
ことで精一杯
<自然資源>
樹氷ができる。そ
駒里は千歳の街と
れでも木は生きて
5∼6℃違う(冬)
いる
<自然とヒトとの共存>
<駒里の貴重な自然資源>
駒里の内部の交流・ 恵まれない土質
美々川の綺麗さが
循環が少ない
印象的
夕陽、朝陽、四季、
出会い、動物
千歳市民の方で駒
里を知らない方が
多い。
演習地の間を抜け
てくると突然広が
る景色が印象大!
自然:山、川
立地:空港、JR、
高速
文化:新しい若年市
思想
湖や川、近郊の水
質、土が良い。生
き物全体に大切な
水、空気、自然、
循環を感じる。
自然を守り、使わ
せていただくとい
う謙虚な気持ち。
自然と共存しなが
ら、隠れた名所を
保持。決して環境
を壊さない。
<自然がヒトに与える効能>
自然の水、風、土
を体験することで
感情を豊かにする。
遊びを自分で考え
ることで発想力が
豊かになる。
<駒里で住むことに対する思想>
思想
地域・人の為に行
動する人を増やす
地域・土地を愛す
るという本当の意
味を考えて、今後
の世代につながる
行動をする。住ま
わせてもらってい
ると考える。
4 班(坂村圭、沼山誠二、芦高秀知、武石孝司、高橋美喜、諏訪部容子、藤木健一郎)
<駒里での取り組みの背景にある思い>
たくさんの人に生
産の現場を知って
ほしい!
(カフェや体験農場
など)
この班では、駒里の「好きなモノ・コト」に着目して、その背景にある思想と将来のあり方を話し合った。参加者の
方は職業も年齢もばらばらであったにも関わらず、驚いたことに駒里の「自然」を共通して大切にしていることが分か
る。これらの自然資源は、良い意味で人の手が及んでいないことで「隠れた資源」として駒里に残っている貴重かつ独
自の環境である。また、
これらの資源が駒里に残っている背景には、
「自然とヒトとの共存」
を心がける思想が背景にある。
このような資源と思想をふまえて、今後、観光政策や地域活性化を講じる際には、特に、
「自然、社会、時間の持続的
な循環」を理想として掲げることが重要だと話し合った。
興味を持ってほし
い!楽しんで知っ
てほしい!思い込
みで判断しない
で!
8
8月30日(日) 住民の人の想いをきく
5 班(町田大、竹田千鶴子、小森亨、辻村大輔、上野美晴)
<新規住民への期待>
駒里の現状に関して獣害等、農家の方々のリアルな声が上がった一方で、立地・気候面で、空港が近い、雪が少ない
理想
など、他地域にない立地・自然の特色を持ち、小地域にも関わらず多様な産業に取り組む人々がいるという恵まれた点
について話し合うことができた。そして、農業者が減少するなか、駒里らしさを育み、地域を活性化させたい、駒里が
人、特に子どもにたく
さん入ってきてほしい
もつ特別で素直な自然を生かしたいという想いを共有した。終盤では、ツリーハウス等の新たなアイディアについてや、
多くの人々が駒里に訪れ、リピーターになって移住してくるという将来について語りあった。
<農業地域ならではの課題と資源>
<駒里への移住と定住>
<将来への流れ>
人々がまず観光で訪れて、駒里の
よさを知り、リピーターになって
もらう。そして移り住んでくる。
理想
駒里に多い自然林
を活用したツリー
ハウスをつくる
<グリーンツーリズムの課題>
商店街がなくて
不便
教育ファームは半
バスが不便
分趣味半分ボラン
ティア
モノ・コト
<アイディア・希望>
交通の便のために、
石狩線の駅ができ
るといい
( 気づいたこと ,
写真 , 絵 , 図 )
本物の体験をさせ
てあげるほど自分
が大変に
<自然と歴史により規定される場所>
<自然・資源>
モノ・コト
( 気づいたこと ,
写真 , 絵 , 図 )
駒里小中学校には
特区の子どもたち
が多い
農業をしたい熱い
想いだけがあれば
駒里に来れる
特区では、小規模
農業等で新しい取
り組みを行ってい
る方が多い。
小さな地域に多種
多様な産業を営む
方たちがいる
<歴史>
遊休地を利用して
のそばづくりから
駒そば亭ができた
昔、美々川周辺に
は建物が整備され
ておりボートが出
ていた
特色あり、資源が
豊か
風の音で自然を感
じることができる
<立地・土地>
千歳の中でも平均
気温が低く、日照
時間が短い
<課題>
雪が少ない・水害
がない・旱魃がな
い
野生動物からの農
作物被害がある
短時間で駒里を巡
ることができる
家畜に口蹄疫が発
生すると観光者を
断らざるを得ない
中高生世代の子
供をもつ家庭は
入ってこれない
土の水はけが
よすぎる
高齢化・少子化
思想
駒里から農業者が減少
し企業等が入ってきて
いる。駒里らしさを育
み、地域を活性化させ
たい。
空港が近い!
様々な動物がいる
交通至便
他地域と比較し
て千歳は農地が
高い
<制限のある生活の魅力を外に発信する>
<駒里での生活の魅力>
思想
自営業の魅力
自由・主体性≒
可能性!!
<将来に向けて>
魅力を次世代に継ぎ
たい
生活に必要なこと
が多いのが楽しい
空港のアクセスが
よく、旅行者の経
由地となっている
<特異的な自然を持続させる>
<駒里の活性化への想い>
北海道の中では
駒里は比較的利
便性がいい
山々がよく見える
中年以降での新
規就農は上手く
いかない
天気仕事だけどお
けにならない
<駒里の良さ>
<駒里の農業の課題>
客さん優先になり
<住民の人びと>
<田舎の宿命>
<駒里の可能性>
特区≒可能性
利便性を利用できな
いか(空の便など)
6 班(藤原禎生、川端孝雄、黒澤隆次、竹田裕治、松隈早織)
<駒里がもつ自然>
モノ・コト では、駒里、農業地域であるが故の<田舎の宿命>や<駒里の農業の問題>、駒里における<グリーンツー
北海道の中でも、
率直に自然を感じ
ることのできる特
別な地域
リズムの課題>が挙げられた。一方、 思想 については<田舎の宿命>である不便さ故に<自営業の魅力
(自由・主体性)
>があるという点について話し合った。そして、農業に関わらず<自営業の魅力>や駒里の持つ交通の利便性を使って、
<人、特に子供にたくさん入ってきてほしい>という 理想 を描いた。
9
千歳・駒里のLand Scape× Life Style
地形から思想、理想、風景を考える
千歳・駒里での様々な体験を受けて生まれた学生成果物と本ワークショップの成果物を、地層=深い考え、空=理想、地表=現在の風景・モノコトに対応させ、地形の断面モデルに落とした。
地層では、自然や農業の話から、
「人々が利用することで自然をうまく管理できる」
、
「自然とヒトとの共存」
、
「土地の声を聞く !」といった思想を再発見した。また地表では、この思想に基づく農業の営み
から、
「農業地域ならではの課題と資源」
、
「駒里の自然と人々の関わり」といった千歳・駒里の現状を確認できた。空には、
「自然農法の考えを適用したまちづくりの実践」
「農業の楽しさを広げる」などの
ように自然や農業に関するものに加え、
「駒里全体の協働」
「観光客も地元の人も利用できる場所へ」などのように町全体の協力や文化に向かう理想を見出した。
この大地で行われている人々の営みは、
「自然栽培」であり、
「酪農」
、
「養鶏」
、
「大根農場」
、
「小規模新規農園」であった。これらの営みは、例外なく千歳の自然と向き合ったものであり、そこでは「土地
の声を聞く」
、
「作物を育てる喜びを感じる」
「見えないものを楽しむ」という「思想」が、人から、作物から、土地から聞こえてくる。人々の心に堆積し、日々の生活に「多様な人を迎え入れる」
「自分たち
も循環の一部」という振る舞いとして現れる。これが私たちが検出した、駒里の過去から未来までの風景なのである。
<園田農場>
恵庭岳
<村田農場>
を育て続けられる
子どもたちが先導す
るグリーンツーリズ
ム
色々な野菜を育て
るノウハウを持って
いる
雨が降ったら、今で
も火山灰が庭に湧
き出てくる
子どもたちが個性
的で最高にやさしく
暖かい
どの農家も作物を育
む喜びを感じている
土地の改良を繰り返し
てきた歴史と、それに対
応した駒里での生業の
展開がある
駒里は多様な人々
を迎え入れる
尊重しつつ様々な作物
駒里への移住
と定住
農業地域なら
ではの課題と
資源
自然と歴史に
より規定される
場所
制限のある生
活の魅力を外
に発信する
特異的な自然
を持続させる
<駒里小中学校>
地下水を通してホカン
カニ川、遠浅川の沼か
ら美々川へとつながっ
ていた
人々がお互いを理解し
新規住民への
期待
駒里の土地の声を
全部(農、水、地域活
動…)聞きたい
<竹田牧場>
少しでも農業が楽し
いって思ってくれる
人が増えると良いな
農家は何でも自由にで
きるが、逆に言うとなん
でも自分でやらなけれ
ばならない
楽しむ力
駒里全体の協働
自然の維持と
伝承
駒里の特徴と
課題
駒里の自然と
人々の関わり
駒里で住むこと
に対する思想
自然と産業と
人
<ハナコの牛乳プロジェクト>
<農村再生特区>
おもしろおかしく楽
しく生活できる地域
千歳川
特区に住んでいる
人は多種多様で考
え方が様々である
見えないものを楽し
む力
<凡例>
支笏湖
・理想 ・モノ・コト
自然と立ち寄り
たくなるまち
・思想 ・学生の意見
美々川
<五穀村>
・住民の方の意見
駒里の資源と
課題
自然農法の考えを
適用したまちづくり
を実践したい
生えている雑草を見る
だけで、その土地で育
ちやすい作物の種類が
分かる
土地の声を聞く!
<ただしー農園>
自然環境から導き出さ
れる人々の営みが経済
的、環境的、社会的に持
続的だといいな
トウモロコシと一緒
に背の高いクロー
バーを植える
自然環境と作物
の関係を調整す
るのが農家
自然と駒里の
現状への思い
10
ウトナイ湖
常に多くの人が循
環の一部という自覚
を持っている社会
循環型農業
人間が生きていく
ために牛が飼われ
ている
自分たちも循環の内
に入っている
<美々川源流> <蛇塚農場>
観光客も地元の人
も利用できる場所に
なるといいなあ
駒里に伝わる文化や水
系を途絶えることなく、
土地に会った人間の営
みが行われるといい
地元の人にお気に
入りの場所を教えて
もらいたい
5年目にして、野菜
がちゃんと育つよう
になってきた
自然・社会の持
続的な循環
美しい環境がありなが
駒里には、分水丘(石
狩川→日本海、美々川
→太平洋)があり日本
一低い
駒里の人々の
自然との関わ
り方
駒里の「風土」を知
っている
自然とヒトとの
共存
ら、現在は遊ぶ人も知
っている人も少ない
人々が利用すること
で自然をうまく管理
できる
準備
∼8月26日(水) 77ツーリズム事例カード
77 ツーリズム事例カードの作成
77 ツーリズム事例カードの一例
千歳でグリーンツーリズムの提案を考察するために、観光政
展示された 77 ツーリズム事例カード
策に関するツーリズム事例カードを事前に作成した。全国各地
で実際に行われている事例を選び、かつ駒里での観光やまちづ
くりをイメージしながら、77 の事例カードを作成した。
地域に根付く文化や歴史を活かしたカルチャー・ツーリズム
や食と農、自然を観光に結びつけるエコ・ツーリズムやアグリ・
ツーリズム、美術や映画、アーティストと協働するアート・ツー
リズムやロケ・ツーリズムなど、様々なツーリズムの事例を広
く取り上げた。さらには、駒里地区や千歳市の地域活性化を意
識して、コミュニティづくりや人々交流を促すまちづくりの視
点からも事例を収集した。
事例カードは、プロジェクトの仕組みやテーマ、活用した地
域資源といった情報を写真と共に簡単にまとめ、ワークショッ
プで各自の提案に結び付くヒントやアイデアとして使用した。
77 ツーリズム事例カード一覧
No.
タイトル
キーワード一覧
事例の場所
キーワード
1 奥津軽文化のルーツを探る
青森県五所川原市
文化・歴史
自然
2 スポーツのまち さいたま
埼玉県さいたま市
交流
海外旅客
3 ムスリム旅行者誘致の取組
長野県白馬村
4 6分間のダム放流
神奈川県愛川町
5 国際会議参加者をおもてなし
山梨県富士吉田市
6 みんなで農作業の日
海外旅客 文化・歴史
No.
体験型
交流
ダム
タイトル
事例の場所
キーワード
27 六甲山の自然と家畜のふれあい
兵庫県神戸市
食・農
自然
28 「地域らしさ」を観光資源に
山口県宇部市、美祢市、
山陽小野田市
再活用
文化・歴史
29 ユネスコ食文化創造都市
山形県鶴岡市
食・農
交流
30 記憶を再生する観光交流空間
北海道空知支庁
No.
体験型
文化・歴史
産業遺産 文化・歴史
タイトル
54 屋久島グリーンワーカー
鹿児島県屋久島
55 チク湿地のエコツーリズム
台湾台湾県
海外旅客 文化・歴史
自然
56 美山町「かやぶきの里」
京都府南丹市美山町
海外旅客 文化・歴史
自然
57 長沼町グリーンツーリズム特区
北海道夕張郡長沼町
58 東峰村「陶器と景観の町」
福岡県東峰村
修学旅行 文化・歴史
自然
秋田県鹿角市
産業遺産 文化・歴史
体験型
文化・歴史
31 森林セラピー・森のようちえん
鳥取県智頭町
交流
富山県南砺市
食・農
交流
体験型
32 食と環境が結合した産業観光
青森県八戸市
水産業
7 都市と田舎を結ぶ交差点
和歌山県田辺市上秋津
体験型
食・農
交流
33 GT研究会@安心院町
大分県宇佐美市安心院
町
食・農
8 バイオマスツアー
岡山県真庭市
林業
エネル
ギー
34 東北地方初の電灯が照らす観光
宮城県仙台市
産業遺産 文化・歴史 エネルギー
60
9 房州びわを中心に地域活性化
千葉県南房州市
食・農
交流
35 外国人も注目!伝統漁法『鵜飼』
岐阜県長良川
海外旅客 文化・歴史
61 ファームイン カントリーパパ
文化・歴史
体験型
36 産業歴史の「全町博物館構想」
栃木県足尾町
37 サイクリングの聖地
瀬戸内しまなみ海道
体験型
文化・歴史 エネルギー
体験型
交流
水産業
文化・歴史、産業遺産
九州全土
交流
体験型
キーワード
53 山里トレッキング「九州オルレ」
海外旅客
自然
事例の場所
59
鉱業の歴史を観光資源として
活用したまちづくり
自然
交流
自然
スポーツ
海外旅客 文化・歴史
体験型
食・農
福島県会津若松市、郡山
産業遺産 再活用 水力発電所
市、猪苗代市
北海道十勝 河東郡鹿追 ファームイ
地産地消 体験型
町
ン
ヨークシャ
地産地消 体験型
北海道十勝上川郡新得町
ファーム
ファームイ
北海道富良野市
修学旅行 体験型
ン
ロケ
山形県全体(主に庄内)
自然
文化・歴史
ツーリズム
ロケ
自然
文化・歴史
神奈川県 藤沢市
ツーリズム
10 工場の祭典
新潟県三条市・燕市
11 6次産業ネットワークの創出
広島県世羅町
体験型
食・農
交流
12 地場産業と源平の歴史
香川県高松市
再活用
文化・歴史
ロケ
ツーリズム
38 公害都市から環境モデル都市へ
熊本県水俣市
再活用
文化・歴史 エネルギー
64 庄内にロケを呼ぼう!
13 民泊を含む体験型修学旅行誘致
広島湾域
体験型
交流
修学旅行
39 廃校舎を活用した体験創出
山梨県北杜市
体験型
地産地消
再活用
65 藤沢でロケ地めぐり
14 山村体験エコツアー
宮崎県諸塚村
食・農
文化・歴史
体験型
40 映像と芸術産業のアートツーリズム
埼玉県川口市
体験型
文化・歴史
自然
66 「岬のオアシス」構想
山口県・角島灯台
再活用
文化・歴史
交流
15 廃校跡活用での農村観光
沖縄県今帰仁村
食・農
再活用
海外旅客
41 都市と農村の交流
長野県飯山市
自然
交流
ファームイ
ン
67 窯元オリベストリート
岐阜県多治見市
体験型
文化・歴史
交流
16 砂浜美術館
高知県黒潮町(旧大方町)
自然
体験型
アート
42 まちの回遊性と観光の相乗効果
石川県輪島市
文化・歴史
交流
68 ロケ誘致で行楽度向上
長野県 上田市
自然
文化・歴史
ファームイ
ン
自然
69 ロケ誘致で映画の街に
兵庫県 神戸市
交流
文化・歴史
水産業
文化・歴史 エネルギー
スポーツ
交流
自然
62 新得農村ホリデー研究会とヨークシャファーム
海外旅客
63 ファームインで修学旅行
ロケ
ツーリズム
ロケ
ツーリズム
17 小さな村を丸ごと売り込む
高知県馬路村
自然
交流
再活用
43 ドイツの持続可能なツーリズム
ドイツ・シュワルツバルト
地域
18 酒蔵ツーリズム
佐賀県鹿島市
再活用
文化・歴史
食・農
44 犬島のストーンアート
岡山県岡山市犬島
産業遺産 文化・歴史
アート
70 スノーモンキーで外国人誘客
長野県 山ノ内町
文化・歴史
自然
交流
45 エネルギー・環境のまち
新潟県柏崎市、旧西山
町、旧高柳町
産業遺産 エネルギー
再活用
71 アートで地域の魅力を世界へ
瀬戸内海の島々
アート
交流
海外旅客
46 産業観光のさきがけ、真珠島
三重県鳥羽市
72 日本一心豊かなローカル線
和歌山県 和歌山市
自然
文化・歴史
交流
47 とやま五箇山の冬体験ツアー
富山県南砺市
自然
73 商館を活用したまちづくり
今治市、上島町、尾道市
文化・歴史 産業遺産 海外旅客
48 黒部ダム」大自然
富山県黒部市、立山市
産業遺産
74 米をテーマとした産業観光
熊本県山鹿市
文化・歴史
交流
食・農
75 冬の月山プログラム
山形県西村山郡西川町
食・農
文化・歴史
自然
76 「水」になりきるエコツアー
高知県幡多郡黒潮町
自然
文化・歴史
体験型
77 琵琶湖と歴史ロマン
滋賀県
食・農
文化・歴史
自然
19 地域が誇る道の駅
群馬県川場村
食・農
交流
20 妖怪まちづくり
鳥取県境港市
21 カントリーファーマーズ藤田牧場
北海道鹿追町
自然
体験型
22 村民総参加で雪だるま
石川県白峰村
自然
文化・歴史
23 くずまき高原牧場
24 棚田のオーナー
岩手県葛巻市
高知県梼原町
25 番屋エコツーリズム
岩手県葛巻市田野畑村
26 大谷地底湖探検ツアー
栃木県宇都宮市
自然
アニメ
文化・歴史
ツーリズム
食・農
食・農
自然
文化・歴史
自然
体験型
産業遺産
再活用
修学旅行
体験型
交流
水産業
水産業
産業遺産 文化・歴史
ファームイ
地産地消
ン
ダム
地産地消
自然
ファームイ
地産地消
ン
49 チェリー狩り体験
青森県名川町
50 「雪国観光圏」
魚沼市、湯沢町、十日町
市、みなかみ町、栄村等
大自然と調和する産業遺産
51
ひがし大雪アーチ橋群
北海道河東郡上士幌町
産業遺産 文化・歴史
自然
52 忍者の里伊賀で忍者体験
三重県伊賀市
海外旅客 文化・歴史
体験型
自然
交流
文化・歴史 海外旅客
11
自然、林業
水産業、ダム
エネルギー
交流
海外旅客、修学旅行
体験型
再活用
食・農、地産地消
ファームイン
ロケ・アニメツーリズム
アート、スポーツ
参献にした資料:
・大社充(2008)「体験交流型ツーリズムの手法」
学芸出版
・長尾 正克(2011)「グリーン・ツーリズム 北
海道からの発信」
・日本観光協会「地域資源を活用した産業観光モ
デル事例 20 事例集 1-4」 ・井上和衛(2010)「暮らしの中の食と農― 教育ファーム」
ほか
参考にしたウェブページ
・国土交通省 観光庁
観光地域づくり事例集 2015:
http://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/kankochi/ikii
ki.html
・一般社団法人 環境イノベーション情報機構 EIC
ネット:http://www.eic.or.jp/
ほか
準備
∼8月26日(水) 千歳の統計情報からみえてきたこと
千歳に関わる7つの地図
現地調査の事前準備として、千歳市に関わる統計情報をテーマごとに調べ、それらの情報を地図上に表現した。本調査では、
「人口」
「農業」
「土地利用」
「流域」
「植生」
「動物」
「地域資源」の 7 つのテーマ
を設定し、これらに関わるデータを主に国土数値情報(国土交通省)を参考に作成している。
12
1 日目
8月27日(木) 農家シャドウィング
駒里の生活を肌で感じるため、3班に分かれて農家の方の
お宅、農園、牧場などに訪問し、日常の仕事を体験させてい
ただいた。各班の訪問先および作業内容は以下の通り。
A 班(坂村圭、山城拓登)
訪問先:園田農園、蛇塚農園、五穀村、ただしー農園
初めに園田農園を訪問。駒里に長く住んでいる園田さんに
駒里の歴史や特徴を聞く。次に、農業再生特区で農家を営む
蛇塚さんにお話しを聞いたほか、分水丘や美々川を案内して
いただいた。その後、五穀村、ただしー農園を訪問。ただしー
1 園田農園
農園の高橋さんに自然栽培についてお話を伺う。
B 班(所谷茜、島田晃史)
3五穀村
訪問先:竹田牧場、黒沢農園
まず竹田牧場を訪問。竹田牧場では体験牧場を行っている
酪農家だが、イチゴの苗やじがいも等を栽培などもしている。
畑の草刈をした後、体験牧場のお客さんと一緒に乳搾りをし、
芝を栽培している畑を裸足で走る。その後、酪農のお話を聞
きながら昼食をご馳走になった。お昼からは 1 時間ほど黒沢
4ただしー農園
1 村田農場
農園に伺い、特区の現状や成り立ちについてお話を伺った。
再び竹田牧場に戻り、じゃがいも拾い・選別を行った。
駒里公民館
C 班(藤原禎生、町田大)
1 竹田牧場
2蛇塚農園
2 黒沢農園
訪問先:村田農場
1 日村田農場で農作業体験をさせていただいた。村田さん
は千歳市街のスーパーに大根、ほうれん草、とうもろこし、
トマトなどを出荷している。午前中は大根洗いのお手伝いを
した。昼食をご馳走になった後、ビニールハウスの草ひきや
大根の間引きをし、農場を見せてもらった。農作業をしながら、
出荷農家の忙しい日々のことや近隣住民との助け合いなど、
地域内外の人とのつながりについてお話を伺った。
2 美々川
2分水丘
凡例
A 班ルート
B 班ルート
C 班ルート
A 班訪問先
B 班訪問先
C 班訪問先
13
2 日目
8月28日(金)千歳市職員シャドウィング
市職員の方々と一緒に、千歳市内コース、駒里コースの 2 班に分かれてまちを巡った。特にまちの循環を考えるために千歳市内コースは千歳川、駒里コースは美々川に注目して、その周辺施設を回った。千歳市内コースでは、支笏湖ビジターセンター
を訪問後、サケますセンター千歳事業所、蘭越浄水場を周った。千歳川の歴史や、水の循環、サケの遡上、に関して詳しくお話を伺うことができた。駒里コースでは、千歳湖、美々川源流、美々貝塚、美々橋、美々駅、農業再生特区を周った。美々川
周辺の美しい自然環境とその周辺で営まれる農業と生活の風景と出会うことができた。 2 班はサケのふるさと千歳水族館で合流し、菊池館長の案内のもと、全員で水族館を見学した。全国でも珍しい「水中観察室」では、千歳川の中にアクリル製の
窓を設置することで、川の断面から、サケの遡上や水鳥の捕食などを観察できる。その後、駒里小中学校を訪問し、小学生とパークゴルフを行った。小森享教頭に学校内を案内していただき、様々な学年の生徒が学ぶ校内の様子も見学させていただいた。
千歳市内コース
駒里コース
支笏湖ビジターセンターを訪問後、サケますセンター千歳事業所、蘭越浄水場を周った。
千歳湖、美々川源流、美々貝塚、美々橋、美々駅、農業再生特区を周った。
参加者:小林俊晴さん(元市議会議員)、藤木健一郎さん(千歳市職員)、土肥真人、所谷茜、町田大、山城拓登 参加者:沼山誠二さん(農家)、今至史さん(千歳市職員)、上野美晴さん(千歳市職員)、坂村圭、島田晃史、藤原禎生
5サケのふるさと
千歳水族館
3サケますセンター
千歳事業所
1支笏湖ビジターセンター
4 蘭越浄水場
6 駒里小中学校
駒里公民館
2 野鳥の森
3 美々貝塚
駒里小中学校
6特区
駒里公民館
1千歳湖 2 美々源流
4美々橋
凡例
千歳市内コース
5美々駅
駒里コース
共通のコース
14
3 日目
8月29日(土) 発表会と参加者みなさまの声
発表会プログラム
北ガス文化ホール(千歳市民文化センター)を会場に、千歳市
▼当日の発表会プログラム
▼発表会のはじまり
▼学生による発表風景
の農家さんをはじめ、学生、議員、NPO、農家など、およそ 30 名
の参加者の前で、発表会を行った。まず黎明座・遠藤淳からのあ
いさつの後、土肥真人から本プログラムの説明と 1,2 日目の活動
の報告がなされた。これまでの大まかなプロセスを説明したあと
は、学生 2 名からなる各班からの発表を行った。事前準備で備え
てきた知識と、これまでのワークショップで得られた体験、農家
さん、市職員の方々、千歳の住民の方々からのお話などを基にして、
深く考えてきた千歳・駒里のグリーン・ツーリズム、まちづくり
への意見を発表した。
学生の発表のあとは、参加者からの質疑応答。農業に関する専
門的な知識や現状など、学生の発表の不足を補いながら、千歳や
駒里地区の土地と生活に向き合った活発な意見や感想を頂くこと
ができた。土地に根付く深い思想や空高く目指すべきまちの将来
▲質疑応答では貴重なご意見を頂きました
像をつなげることに、真摯に向き合えた濃密な2時間であった。
参加者のみなさまの声 - 今回の企画への感想
コラム:千歳・駒里での発表会に
地元の人間は地元の財産に気付けません。
普段こういった意見を聴く機会があまり
な視点で、地域の財産や問題点を指摘し
いうことに気づきました。
き良かったと思っています。
ワークショップや受け入れに消極的な住
今回は外からの風をみんなで感じる第一歩。
いわゆる他所者が先入観を持たずに純粋
多くの視野をもつことが大切と
大変良い企画
ないため、他の人の意見を聞くことがで
民はどのように巻き込みするのか?
この着目点やねらいを受け取り、地元で培
う時間や行政の頑張りも必要。
てくれるのはとても大切なこと。
大学生が直に地域に入り込んで体験して、
自分の言葉でプレゼンする。このような
取り組みはとても面白かった。
立体の地図、面白いですね。川は地下に
でした!
いつも参加することが楽しみですし、
学生の成長が目に映ります。
もあるので、それもわかればすごい!
ように見えたのが残念。地元のまちづくりに
とても楽しかったです。
興味ある若手に参加してもらいたかった。
ありがとうございました。
学生の発表意見が遠い希
なのかもしれないと感じました。
のことを勉強してから研究してはどうか?
東工大の若い学生さんたちの
は大変参考になりました。
今ひとつ、現実味もないように感じられ、
残念でした。グリーンツーリズム(農業)
石狩管内6市の市民活動団体からなる「市民活動広域ネットワーク・ア
クティブ・アクティブ」という広域ネットワーク、みなさまご存知でしょ
うか?私たちアクティブ・アクティブは石狩管内を舞台として、市民や行
政を繋ぐプラットフォームとなるよう取り組んできました。
このアクティブ・アクティブのスピンオフ企画として実施された「札幌
圏の郊外団地研究会(2014 年 1 月)」は、石狩市、札幌市、北広島市、江
別市の都市計画・住宅関連課、千歳市市民協働課の職員の方々が一同に会
興味深い話で聞きやすい。
15
期的なものでした。さらにこの団地勉強会を受けて、2014 年 8 月には江
別市大麻地区で、団地再生をテーマとした「学生とまちづくりを考えよう!
in 大麻」を企画し、外部者の視点から大麻のまちづくり提案を行いました。
この際、大麻の方々に温かく迎え入れて頂きました。
フレッシュな感性からの考察
望に続がるかも!
グリーンツーリズムの要は、「自分探し」
江別・大麻の人が来るワケ (遠藤淳)
し、市民とともにそれぞれの経験やアイディアを共に交換するという、画
Great です。さいこー
せっかくのいい機会なのに一般の方が少ない
▲発表会終了後も話は尽きません
さて今回の千歳ワークショップ。大麻で出会った人たちが今回の発表会
に興味を持ち、沢山来て頂きました。これは本当に嬉しい限りです。川で
つながっている千歳と江別が人でもつながった感じがしました。一方、江
別は56水害の大きな被災地となった地域であり、駒里はその対策として
上げられた千歳川放水路計画の中心的な舞台でもありました。何か千歳川
を介した縁を感じつつ、つながりの環が広がっていくのを感じています。
4 日目
8月30日(日) ワークショップと参加者みなさまの声
発表会プログラム
駒里公民館を会場に、千歳市の農家の方々をはじめ、学生、議員、
▼当日の発表会プログラム
▼プログラム前半の発表会風景
▼学生による発表風景
▼ワークショップの風景
NPO など、およそ 30 名の参加者の前で発表会を行った。
まず千歳市役所小田部長のあいさつより、プログラムが開始し
た。プログラム前半は 29 日に行われたワークショップと同様に、
土肥真人から本プログラムの説明と 1,2 日目の活動報告、学生 2
名からなる各班からの発表を行った。学生の発表に対して、特に
農家の方から予想を上回る質疑や意見を頂くことが出来た。
プログラム後半は、5-7 名のグループに分かれ、グループ毎に
駒里の地表に現れる具体的な「モノ・コト・ヒト」を挙げてもらい、
次に地域に深く根ざす「想い、思想」、さらに高く掲げるべき「未
来像、理想」について話し合った。短い時間のワークショップに
も関わらず、各グループでは熱心な意見交換がなされた。ワーク
ショップを通じて、駒里の現状を踏まえ、まちの「思想」と「理想」
をつなげる、という思考・試行の重要性を、参加者のみなさまと
▲参加者の方と一緒に
成果物の発表をしました
共有することができたと感じた。
参加者のみなさまの声 - ワークショップへの感想
参加者の属性
3 日 4 日の滞在ではその地を
理解力がなくてすいません。
見る事だけで過ぎてゆくの
具体的なイメージをつくる事
では。できれば 1 年後、2 年
が出来ませんでした。
後の駒里を見てほしい。
無回答(2 件、9%)
その他(2 件、9%)
他の地域の意見など、色々と
楽しかったです
ます。
大人の話がたくさん聞け
て良かったです。
もう少し深めたかった
時間が短かった…結論(理想)
にまでたどり着けなかった。
住民に考えさせる型は良い。
自然との境界の大切さを改め
市・地域としての告知は十分
て実感することが出来ました
だったか?
市外から来ていたので駒里の事
について何も知らなかったけれ
知らない事もたくさんあり、
一体感があった
ど、同じ班の皆さんの話や、他
時間が短かった為まと
の半の発表を聞いて、参加でき
めにくかった様です
教えていただきありがとうご
るなら駒里でのグリーンツーリ
もっと深い部分もほし
ざいました。
ズムがあれば参加したい!と思
い!
いました。最後の旗をさすアク
楽しく意見交換できまし
たが、時間不足
楽しく充実した時間と
なりました。
ションが好きでした!
駒里(8 件、36%)
恵庭市(1 件、5%)
つなげることが出来る気がし
色んな人の意見を知る良い機
会となりました
表現の仕方は様々でも願うこ
とは、より良い地域を。本当
に良かったです。
16
江別市(3 件、14%)
千歳市内(6 件、27%)
駒里
千歳市内
江別市
恵庭市
その他
無回答
今回のような企画(ワークショップ、セミナー等)
にまた参加したいと思いますか。
無回答(2 件、9%)
はい
(20 件、91%)
おわりに
おわりに
リンク
団体・組織
夜になると真っ暗な中にポツンとひとつ街灯が点いていて、その灯りの中に、駒里公民館が佇んで、
ある。道路の反対側は広い広い牧草地で右手には養鶏舎、左手には馬の牧場があって、だから駒の里
である。この地域は樽前山の火山灰が厚く積もり、畑は大変らしい。水捌けが良すぎて、肥料を入れ
ても入れても、流されてしまう。火山の土地で、人々は様々な農業を試みてきた/試みている。人参、
大根、蕪、大豆、芋、ハスカップ。牛、馬、鶏。鶏は卵用で、北海道全部の鶏の半数が、ここの鶏舎
にいる。卵や牛乳からは、美味しいプリンができる。
駒里には、明治時代、戦後、そして平成と、三つの時期に人々がやってきて、この土地に根付いた。
それぞれの時期に時々の背景とそして希望を抱えて、人々は駒里を開拓してきた。駒里公民館には、
この先達を讃えた詩が額に飾られている。「朝に月の影踏みて 夕べに星を戴きつ 種播く我等を嘲笑い
実与えぬ砂礫の荒野 拒み続けた幾星霜 今は拓土に花咲かせ 稔齎すこの大地」開拓讃歌より 二番
一級建築士事務所 黎明座
http://www010.upp.so-net.ne.jp/leimeiza/
東京工業大学 土肥研究室
http://www.soc.titech.ac.jp/ dohi/
アクティブ・アクティブ
http://www.chitose-town.net/act/renkei.html
報告書
学生とまちづくりを考えよう! in 千歳(※今回の報告書)
http://www.soc.titech.ac.jp/ dohi/documents/ooasa.pdf
僕は思うのだ。天に満点の星が煌き、回り、地には深く清冽な水が流れ、湧き、人は耕し生命を結ぶ、
そんな厳しくも楽園のような土地があったのだと。きっとしかし、人は言うだろう。そんな夢の場所
があるわけないと。現実に山積した問題を見よと。暮らしは楽でなく、環境も汚れていると。
学生とまちづくりを考えよう! in 大麻
http://www.soc.titech.ac.jp/ dohi/documents/ooasa.pdf
団地再生勉強会(製作:アクティブ・アクティブ、土肥研究室)
千歳には宝物のような川が二つもある。支笏湖から溢れ出し石狩川•日本海に流れ込む千歳川と、湧
き水がみるみる水量を増して太平洋へと下る美々川。表面流は日本で一番低い分水界で千歳川=日本
海、美々川=太平洋へと、進む向きを決められる。伏流水はもっと自由で、千歳の山々に降り地中深
く染み込んだ水は、あるいは千歳川に湧き出して鮭の産卵を誘い、あるいはずっと標高を下げてから
姿を表し、清冽で冷たいまま、ゆったりと湿原をうねり、渡り鳥の休息地となる。あまりに美しいこ
の川は、だから美々川である。駒里には、箴言が埋まっている。曰く「土の声を聞け」、曰く「酪農に
は見えないものを見る力がある」、曰く「生命が芽吹くことは嬉しいこと」、曰く「農は支え合わないと」。
駒里には夢が浮かんでいる。自然をずっと残したい、子どもらが帰ってこられるよう、循環の中で生
きたい、、。
http://www.soc.titech.ac.jp/ dohi/documents/danchi.pdf
そして駒里には日々の風景があり、四季の風景があり、世代を重ねた風景がある。土が積もり水が
こちらで吸い込まれ、あちらで湧き出す。人々の労働も降り積もり、大地に花を咲かせ、収穫の喜び
に結実する。
強く深い思想に支えられ、楽しく正しい夢に導かれ、すべては駒里の風景に現れる。
2015 年の夏の六日を千歳•駒里に過ごし、千歳•駒里の人々と東工大の学生諸君との真剣なやりとり
を目の当たりにして、僕はやはり思う。千歳•駒里は楽園のような土地だと。
学生とまちづくりを考えよう! in 千歳
まだお疑いのご仁は、この報告書に表された学生諸君の発見を一読された後、駒里を訪ってみては
どうだろうか。行くべき場所、会うべき人々、感じるべき風景の、いくばくかは、この報告書に記さ
れてあるから、ぜひ参考にして欲しい。そして自身の身体で、駒里という楽園の本質を感じとって欲
しい。新千歳国際空港からは車で 10 分の楽園なのだ!
駒里の大地に沁みいる水と土と人々の想い
2015 年 9 月 作成
<制 作> 東京工業大学 社会工学専攻 土肥研究室
(土肥真人 吉田祐記 所谷茜 北畠拓也 山城拓登 町田大 千歳市職員の皆さん、千歳の歴史、地誌、自然、産業を教えてくれた方々、千歳市外から僕たちを
歓迎しに来てくれた方々、そして何より駒里の老若男女の皆さん、いちいちお名前は記さないが、本
当に暖かく迎えていただき、ありがとうございました。この報告書が皆様の土地の新しい地層となる
ことができれば、最高です!
島田晃史 藤原禎生) +坂村圭
遠藤 淳 一級建築士事務所 黎明座・NPO 法人コンカリーニョ
<連絡先> 札幌市中央区北 1 条西 15 丁目大通りハイム 811
東京工業大学 土肥真人
一級建築士事務所 黎明座(遠藤)TEL 011-598-0001
そして、天には変わることなく、零れる星々が回る。
[email protected]
17
Fly UP