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ベンチャー投資促進税制
企業のベンチャー投資促進税制について 平成26年1月 経済産業省 1.企業のベンチャー投資促進税制の概要 ○主として事業拡張期にあるベンチャー企業に投資するファンドであって、産業競争力強化 法に基づき経済産業大臣から投資計画の認定を受けたファンドを通じて出資する企業が、 出資額の8割を限度として損失準備金を積み立て、損金算入できる。 ① 企業が、ベンチャー企業への出資額の 80% を上限に、「損 失準備金」を積み立て、損金計上する。 企業 ② 各期ごとに新たに投資又は売却した分を調整し、損金又は 益金計上する(洗い替え)。 ベンチャー ファンド 認定 出資・ハンズオン支援 損金 産業競争力 強化法 益金 出資 ベンチャー企業への出資額 の80%を年度末に準備金と して積み立て、損金算入 ベンチャー企業の株式を売却 した場合、年度末に準備金を 積み立てない(前年度末の準 備金を取り崩して益金算入) ※損失準備金の積立額については、各期ごとに 新たな投資、売却分を踏まえて調整(洗い替え) 既存の投資額は簿価で計算 事業拡張期にあるベンチャー企業 ファンドの存続期間(10年間) ※産業競争力強化法施行日(平成26年1月20日)から平成29年3月末まで の約3年間でファンドを認定。認定ファンドの存続期間中は措置が継続。 (注)本資料で記載している税法上の取扱いは、平成25年12月24日に閣議決定された「平成26年度税制改正の大綱」7頁に記載されている「三1ベンチャー投 資を促進するための税制措置の創設」の内容を元に記述していますが、正式な取扱いは、税法の改正後に決定しますので、ご注意ください。 1 2.ファンドの認定から税制措置適用までの流れ ○産業競争力強化法に基づく認定は新規ファンド(注)を対象とし、当該ファンドへ出資した企業が優遇措置を受ける。 ○認定ファンドがベンチャー企業に出資した額をファンドの各年度の決算時に企業投資家に報告し、その投資額の8割 を上限に企業投資家が自社の決算において年度末に損失準備金として積み立て損金計上する。 (ファンドがベン チャー株を売却した場合も同様に決算時に企業投資家に報告し、企業投資家側で年度末に損失準備金を積み立て ない(前年度末に積み立てた準備金を取り崩して益金算入)) の 企業投資家 企業投資家 決企 算業 損 へ投 金 の資 ・ 取家 益 りに 金 込よ みる (企業投資家の決算時) 出 資企 ド 業か へら 各 投フ 資ァ 家ン へド のか 報ら 告 ) 企業投資家 ベ ンフ チァ ャン フ ァ各 ン投 ド資 へ家 のか 出ら 資 ( 画フ のァ 認ン 定ド 定 申の 請投 ・ 資 認計 ー 産 業 競 施争 行力 強 化 法 (ファンドの決算時) (注)新規ファンド・・・ベンチャー企業への出資を行っていないファンド。 税制優遇措置の対象となるのは、計画認定後に認定ファンドへ出資した企業投資家。 企業投資家 決算 取込 出資 報告 認定 ベンチャー ファンド ※ファンドの組合契約締結 後に認定申請 ベンチャー ファンド ベンチャー ファンド ベンチャー ファンド 出資 ベンチャー企業 ベンチャー企業 ※ベンチャー企業へ の出資額の80%を 上限に準備金を積 み立て 2 3.競争力強化法の認定を受けるベンチャーファンドの要件① 1 組合の要件案 a. 投資事業有限責任組合契約に関する法律に基づく投資事業有限責任組合であること b. 投資家から組合へ出資される金額の合計(出資約束金額)がおおむね20億円以上であること c. 組合の投資計画における投資事業の実施期間が10年以下であること (注) 投資事業の実施期間の変更については1回に限り認めるものとし、変更後の存続期間は、当初の期間を含め最長13年 d. 組合の目標IRRが15%以上であること e. 組合契約において投資担当者の適切な変更手続きが定められていること(キーマン条項) f. 組合が認定前に株式を取得していないこと g. 組合は新事業開拓事業者*1への投資事業、及びこれに附帯する事業*2のみを行うこと *1:新事業開拓事業者 新商品の開発又は生産、新役務の開発又は提供、商品の新たな生産又は販売の方式の導入、役務の新たな提供の方式の導入その他 の新たな事業活動を行うことにより、新たな事業の開拓を図る事業者 *2:附帯する事業 新事業開拓事業者の新株予約権等の取得、新事業開拓事業者に対する貸付など、新事業開拓事業者への投資事業に附帯する事業に 限られ、新事業開拓事業者以外の事業者の株式は取得できない h. 無限責任組合員(ベンチャーキャピタル)の出資割合が1%以上であること i. 無限責任組合員が暴力団その他の欠格条項に該当しないこと j. 有限責任組合員(ファンドへ出資する者)に暴力団等、無限責任組合員の親会社・子会社・親族等、組合 等が含まれないこと ※組合は、適格機関投資家(所有株式等が20億円以上の者に限る)から2億円以上の出資を受けるよう努めること 3 4.競争力強化法の認定をうけるベンチャーファンドの要件② 2 ガバナンス要件 a. 毎事業年度、実施状況報告書及び財務諸表等を経済産業省に提出すること (実施状況報告書等を踏まえ、認定要件を満たすことを経済産業省が確認) 3 ハンズオン要件 a. 組合契約書に、無限責任組合員が投資先企業に経営又は技術の指導を行うこと、必要に応じ取締役に 経営に関する意見を述べる旨が明記されていること b. 無限責任組合員がベンチャー投資に係る実績や、投資先に対して経営又は技術の指導を行うに足る知 識・経験を有していること (ファンドの運営実績、投資先のエグジット実績、ハンズオン支援の内容等により経済産業省にて審査) 4 投資先企業(新事業開拓事業者)に関する要件 a. 大規模法人グループに属さないこと 大規模法人(資本金1億円超等)及び当該大規模法人と特殊の関係(子会社等)にある法人の所有に属さないこと 会社であること 株式 b. 株式会社であること c. 非上場・非登録会社であること d. 風俗営業を行っていないこと e. 暴力団等ではないこと 4 5.競争力強化法の認定をうけるベンチャーファンドの要件③ 5 投資先内容に関する要件案 a. 組合が取得する株式は新事業開拓事業者が発行する株式であること b. 投資額の5割以上が事業拡張期*3の新事業開拓事業者であること *3: 事業拡張期 生産及び出荷を始めており、その在庫又は販売量が増加しつつある状況等 c. 投資額の6割以上が特定新事業開拓中小企業者*4である新事業開拓事業者であって、残りの4割以下が特定 新事業開拓中堅事業者*5であること *4:特定新事業開拓中小企業者 認定ファンドが最初に投資をする時点で、中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律第2条第1項に規定する中小企業者要件に該当する会社 業種 従業員数 製造業、建設業、運輸業、その他 3億円以下 300人以下 卸売業 1億円以下 100人以下 サービス業 5千万円以下 小売業 5千万円以下 50人以下 ゴム製品製造業 3億円以下 900人以下 ソフトウェア、情報処理サービス業 3億円以下 300人以下 旅館業 5千万円以下 200人以下 又は 中 小 企 業 者 要 件 資本額 100人以下 *5:特定新事業開拓中堅事業者 認定ファンドが最初に投資する時点で、資本金5億円未満の会社 【投資内容のイメージ】 新事業開拓事業者の発行する株式 事業拡張期 特定新事業開拓中小企業者 6割以上 特定新事業開拓中堅事業者 5割以上 4割以下 5 6.本税制措置の対象となる投資家 対象となる投資家: 認定ベンチャーファンドへ出資を行った国内法人 ただし、適格機関投資家(組合契約を締結した事業年度開始時におけるその他 有価証券である株式等の帳簿価格が20億円以上の者に限る)の場合は、投資 事業有限責任組合契約における出資約束金額が2億円以上の者に限る。 ▼金融商品取引法上の適格機関投資家 (金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令第10条第1項。以下の見出し番号は、同項の号番号に一致する) 金融商品取引業者(有価証券関連業に該当する第一種金融商品取引業または投資運用業を行う者に限る) 4. 5. 6. 7. 8. 9. 銀行 保険会社 (省略) 信用金庫・信用金庫連合会、労働金庫・労働金庫連合会 (省略) 信用共同組合のうち金融庁長官に届出を行った者・信用共同組合連合会、(以下、省略) 23 次に掲げるa,bのいずれかに該当するものとして金融庁長官に届出を行った法人 a 当該届出を行うとする日の直近の日における当該法人が保有する有価証券の残高が10億円以上であること b ・・・・・ ・・・ 1. ・・・ ▼その他有価証券(法人税法第61条の3 第1項第1号、法人税法施行令 119条の2第2項) 売買目的有価証券や満期保有目的等有価証券のいずれにも該当しない有価証券 売買目的有価証券:短期的な価格の変動を利用して利益を得る目的で取得した有価証券 満期保有目的等有価証券: ① 満期保有目的有価証券:償還期限の定めのある有価証券のうち、その償還期限まで保有する目的で取得し、かつ、取得 の日においてその旨を帳簿書類に区分記載したもの ② 企業支配株式:法人の特殊関係株主等がその法人の発行済株式の総数又は出資金額の100分の20以上に相当する数 の株式又は出資を有する場合におけるその特殊関係株主等の有するその法人の株式又は出資 6 7.損失準備金の積み立て・取り崩しのイメージ(洗い替え方式) 認定ファンドがベンチャー企業に行った投資について、法人投資家が各事業年度の終了時に有するベンチャー企業株式のその終了時点での 税法上の帳簿価格の合計額の80%を限度に損失準備金として積み立てた金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金算入する。 当該準備金は、その積み立てた事業年度の翌事業年度にその全額を取り崩し、益金算入する。 以下の事項が発生した場合は、当該株式に係る準備金は積み立てられない。 ①ベンチャー企業の株式を売却し、資金を回収した場合(事業年度終了時に当該ベンチャー企業株式を有していないため) ②ベンチャー企業の株式を清算した場合(同上) ③ベンチャー企業が配当を行った場合 準備金の積立期間は、ファンドの存続期間(最長10年)。 ファンドの存続期間を延長(1回に限り、当初期間を含め最長13年)した場合、準備金の積立期間も延長となる。 <損失準備金の積み立て・取り崩しのイメージ> 益金 第1期 第2期 第3期 第9期 第10期 A社と B社に 新規投資 A株 B株 を保有 A株 B株 C株 を保有 A株 を売却 ファンド 清算 B株 C株 を保有 B株 C株 を売却 C社に 新規投資 50 損金 A 20 B 30 簿価 簿価 ▲50 新規投資の金額の一定 割合(80%)を損失準 備金として積み立て、損 金算入 差し引き ▲30 A 20 B 30 C 30 80 簿価 簿価 差し引き 簿価 ゼロ A 20 B 30 C 30 翌期初にいったん全額を益金として取り崩し、 新規投資と合わせて積み立て ・・・・・ 80 60 売却 ・・・・・ 簿価 簿価 差し引き +20 B 30 売却 C 30 売却 差し引き +60 投資先企業の株式の売却に合わせて、当 該企業に係る損失準備金を取り崩し 7 8.企業投資家が税制措置の適用対象となる事業年度 ○本税制措置は、平成26年4月1日以後に終了する事業年度について適用。 ○計画認定後に当該認定ファンドへ出資した企業投資家が、認定後に投資されたベンチャー株式 (認定後であれば2013年度内の投資も含む)についてのみ、損失準備金を積み立てられる。 ※1:計画認定前にベンチャー企業に投資をした投資事業有限責任組合(ファンド)は認定対象になりません。 ※2:計画認定前にベンチャーファンドに出資をした投資家は課税特例の対象になりません。 産業競争 ファンド 力強化法 認定 施行 投資事業有 限責任組合 認定後投資 2013/12末 年度末 2013年度 ベンチャー 企業へ出資 ベンチャー 企業へ出資 2014年度決算 (監査済)として 報告 2014/12末 年度末 2014/ 3/31 2014年度 2015/ 3/31 2015年度 税法 4/1~ 施行 産業競争 力強化法 施行 3月末決算 企業投資家 報告 2014/3/31 年度末 2013/12末 2014/12末 2013年度 2014年度 2014年度 決算 取り込み 2015/3/31 年度末 税法 4/1~ 施行 産業競争 力強化法 施行 12月末決算 企業投資家 2014/3/31 2013/12 年度末 2014年度 税法 4/1~ 施行 2014年度 決算 取り込み 2015/3/31 2014/12 年度末 2015年度 報告 8 9.問い合わせ先 ○企業のベンチャー投資促進税制について 経済産業省 経済産業政策局 新規産業室 (直通)03-3501-1569 9