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ダウンロード - 長野市薬剤師会

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ダウンロード - 長野市薬剤師会
長野市薬剤師会新型インフルエンザ対応マニュアル
平成 21 年 10 月 23 日作成
1
マニュアルの目的と基本的考え方
本マニュアルは、長野市薬剤師会の新型インフルエンザ対策のための具体的な対応を示
し、会員が担う医薬品・医療材料の供給拠点としての責務を遂行して感染拡大の防止を
図ることを目的とする。
なお、発生の時期や形態は常に変わり、随時最新の科学的な知見により見直されること
から、本マニュアルも情勢の変化を踏まえて適時見直しを行う。
2
具体的な対応マニュアル
(1) 会員及び家族・従業員が新型インフルエンザを疑う事象が発生した場合の対応
○ 医療機関に事前に連絡して早急に受診する。なお、重篤な場合以外は救急車を使わ
ない。また、医療機関での受診の結果、感染が確認された場合は医師の指示に従い
療養し、薬局業務から離れる。その際、後述のファクシミリ等による処方せんの応
需に支障ないよう対応をしておくこと。
(業務復帰の目安は、P5:Q&A参照)
インフルエンザを疑う症状(インフルエンザ様症状)としては、38 度C以上
の発熱且つ急性呼吸器症状(鼻汁・鼻閉、咳、咽頭痛のうち1つ以上)がある
が、年齢、基礎疾患、服薬状況等の影響で、38 度C以上の発熱を呈さない場
合もあるので留意すること。
(2)薬局における感染拡大防止
○新型インフルエンザ患者や感染の疑いのある者の来局に備えて、以下の対応を配慮
して薬局での感染拡大の防止を図る。
・薬局従業員のマスク着用、手指消毒、手洗い、うがいの実施を徹底する。
・来局者に対しマスク着用、手指消毒、うがいを指導する。
特に新型インフルエンザ患者やその家族等、慢性疾患患者や妊婦等のハイリスク
者にはマスクの着用を徹底するよう指導する。
(P4:一口メモ参照)
○新型インフルエンザ患者及び濃厚接触者が来局する場合には、一般の来局者との接
触を最小限にするため、原則として以下のような対応を検討する。
・ 処方せん持参前に、できれば薬局入口の外から携帯電話にて連絡をしてもらう。
(入口にマスク着用、電話連絡についてのポスターを掲示して啓発する)
・ 夜間投薬窓口の利用。
・ 自家用車で来局の場合は駐車場で対応する。
・ 新型インフルエンザ患者及び濃厚接触者の処方は、できるだけ最優先で調剤して
待ち時間を短縮する。
○ 薬局内の消毒等、衛生管理を徹底する。
○ 薬局従業員の健康管理等に努め、本人や家族等の罹患により欠勤する場合の業務継
続等について検討する。(P5:Q&A参照)
1
(3)新型インフルエンザ患者の処方せんの取扱い
電話による診療でのファクシミリ等による抗インフルエンザウィルス薬等の処方につ
ては、患者数が急速に増加している場合で、県が国立感染症研究所感染情報センター
と情報交換し必要と判断して、事前に都道府県が地域医療関係者と協議を行い、混乱
なく実施できるよう留意した後に可能とされています。
なお、処方せんは、通常患者に対して発行されるものですが、医師は新型インフルエ
ンザ患者やその同居者には、薬局への来局を含めて外出を自粛するよう指導するとと
もに、患者の同意を得て医療機関から患者が希望する薬局にファクシミリ等で送付す
ることができるので(*注意:対象患者限定)、薬局では以下の対応を速やかに行う。
(*注意)電話診療・ファクシミリ等による処方せん送付ができる対象患者。
・原則として慢性疾患を有する定期受診患者。(症状が安定して経過しており、電話
により療養指導が可能な場合に限る・・半年以上の受信間隔がある場合は不適)
・インフルエンザ様症状を訴え最近の受診歴があり、同一の急性疾患において解熱剤
や鎮痛剤を追加処方する等の患者。
○ 新型インフルエンザ患者やその同居者から処方せんの持参について連絡があった
場合は、できる限り事前に処方せんを医療機関からファクシミリ等で送付するよう
求め、受付は通常の営業時間内であることを説明する。
処方せんのファクシミリ送付は、医療機関から薬局に行うことが原則であり、
できる限り患者自身が処方せんを薬局にファクシミリ等で送付しないよう説明
する。但し、すでに医療機関を受診し、処方せんをもらった後に患者から連絡
を受けた場合については、医療機関に戻って FAX してもらうよう強要すること
なく、各保険薬局が医療機関に対して次項の確認を行って対応する。
なお、調剤時間を短縮するため、できれば調剤は抗インフルエンザ薬及び解熱
薬に限るよう医療機関に依頼する。
○ 患者から処方せんの送付を受けた薬局は、その真偽を確認するため、処方せんを発
行した医師が所属する医療機関に、処方せんの内容を確認する。(この行為は薬剤
師法第 24 条に基づく疑義照会とは別途に必ず行うこと。)なお、患者を介さずに医
療機関から直接受けた場合には、この行為は行わなくてよい。
○ 医療機関から処方せんの原本を入手するまでの間は、ファクシミリ等で送付された
処方せんを薬剤師法第 23~27 条、薬事法第 49 条における「処方せん」とみなし
て調剤などを行う。
○ 調剤した医薬品は可能な限り患者との接触を避けるため、家族、知人等が受け取り
に来るよう依頼し、服薬指導等は電話で行うことでも差し支えない。
○ まん延期終了後は速やかに医療機関から処方せんの原本を入手し、送付された処方
せんと原本を差し替える。
2
○ 慢性疾患等を有する定期受診患者については、長期処方に伴う患者の服薬コンプラ
イアンスの低下や薬剤の紛失等を回避するため、電話での服薬指導を実施する。
○ 供給量が限られる小児用のタミフルドライシロップが不足した場合は、薬剤師の職
能を発揮し、タミフルカプセルを脱カプセルして調剤・交付することも予想される
ので、適正な対応に努める。(P6~7:調剤方法の参考例参照)
○ 新型インフルエンザに関する診療報酬の取扱いについては、P8~10:「ファクシ
ミリ等による処方せんの送付及びその応需等に関するQ&A(平成 21 年 10 月2日
付
4
厚生労働省新型インフルエンザ対策推進本部事務連絡)」参照。
新型インフルエンザ対策用備蓄薬の供給
○蔓延(パンデミック)期において、通常流通している抗インフルエンザウィルス(以
下「流通薬」という)の市場在庫が枯渇し、治療に影響がある場合に「県備蓄薬」が
放出されるので、事務局から県の放出に係る情報を各保険薬局へ送信する。
なお、「県備蓄薬」が枯渇した場合には「国備蓄薬」が厚生労働省から放出される。
○県は「備蓄薬保管場所」から幹事卸売業者(1社)に備蓄薬を放出し、幹事卸売業者
は基幹卸営業所(県下6社の営業所)に払い出しを行い、基幹卸営業所は各営業所に
配送する。営業所は備蓄薬を必要とする医療機関に迅速に対応することとしている。
放出される県備蓄薬は1回当たりタミフルが各 8000 カプセル(800 人分)/1カート
ン及び、リレンザが 1540 ブリスター(77 人分)/1カートン
***(参考)「備蓄薬」の供給フロー
***
「備蓄薬」保管場所(国・県)
↓
幹事卸「鍋林(株)医薬品物流センター
↓
基幹卸(県下6社)
アルフレッサ(株)、岡野薬品(株)、(株)スズケン、東邦薬品(株)
鍋林(株)、
(株)メディセオ
↓
県下各営業所
↓
医療機関等
(保険薬局含)
3
○ 長野市薬剤師会では、以下の保険薬局を「基幹センター薬局」と定め、備蓄インフ
ルエンザ薬が放出された場合に機能し、近隣薬局からの購入希望に対応することと
しているが、県と県卸組合で検討の結果、現時点では全保険薬局へ備蓄インフルエ
ンザ薬が配送されることになりました。なお、返品はできないということなので留
意すること。
基幹センター薬局名
域
近隣薬局ブロック別
長野赤十字病院周辺
第4・第5・第 6 地区
長野薬局
長野市民病院周辺
第1・第 2 地区
三輪薬局
NTT東長野病院周辺
第2・第 3・第4地区
あおぞら薬局
長野中央病院周辺
第2・第4・第6地区
松代病院周辺
第7地区
新町土屋薬局
新町病院周辺
第8地区
わかば堂薬局
信越病院・飯綱病院周辺
第 1 地区
若里土屋薬局
松代薬局
5
地
関係機関連絡先一覧
機関名
電話番号
長野県衛生部
健康づくり支援課
026-235-7148
薬事管理課
026-235-7157
危機管理防災課
026-235-7184
長野保健福祉事務所
026-233-2131
北信保健福祉事務所
0269-62-3105
長野市保健所
026-226-9970
***
新型インフルエンザ一口メモ
***
○ 咳エチケット
・ 咳・くしゃみの際はティッシュなどで口と鼻を押さえ、周囲の人から顔をそむけ
1m以上はなれる。
・ 鼻汁・痰などを含んだティッシュは直ぐにゴミ箱に捨てる。またそのような環境
を整える。
・ 咳をしている人にマスクの着用を促す。咳をしている場合、周りの人へうつさな
いために、マスクを着用する。
・ マスクは正しく着用する。
・ 咳やくしゃみの後は、直ちに手指衛生を心がける。
4
○ 手指消毒
市販の手指消毒液を薬局内に常備して使用する。なお、市販の製品がない場合は、
次のとおり調整して使用する。
10%塩化ベンザルコニウム液 10ml
+
グリセリン(適量)
+
消毒用アルコールを加えて全量を 500ml にする
(1 回 3ml を両手全体に乾くまで摺りこむ)
新型インフルエンザに備えた職場の対応(Q&A)
Q 接触者とは?
A 患者が発症した日の1日(24 時間)前から発症後7日目までに接触した者をいい、
状態により「濃厚接触者」と「軽度接触者」に区分している。
濃厚接触者
軽度接触者
・患者と同居している者
・比較的短時間患者と直接対面した者
・患者処置の際、防護具を適切に装着
・患者と閉鎖空間を共有した者
しなかった医療関係者
・患者の汚染物質への接触者
・比較的長時間患者と直接対面した者
・感染防護した上で比較的長時間
患者と直接対面した者
Q 職場の感染予防を徹底するには?
A ・日頃から手洗い、うがいを徹底する。
・十分な栄養と睡眠をとり、体調を整える。
・咳、くしゃみの症状がある場合には「咳エチケット」を徹底する。
・体調が思わしくない時には、無理せず療養する。
(職場の環境づくりが重要)
・薬局入り口の外にインフルエンザ患者用のポスターを掲示して啓発する。
・ドア(ノブ)、スイッチ、手すり、カウンター、共同使用のOA機器等の高頻度接
触面は、消毒薬(アルコール)を用いた清拭・清掃を行う。
5
Q 従業員が感染したら?
A あらかじめ職場ごとに、解熱後2日間または発症した日の翌日から7日間は、出勤せ
ず自宅で療養すること、また、出勤後は必ずサージカルマスクを着用すること、2~
3日はなるべく患者と接触しないこと、一緒にいるスタッフは毎朝検温し、発熱がな
いか確認すること等を取り決めておく。なお、従業員の家族(同居者)の健康状態に
ついても、インフルエンザ様症状の有無を日々確認するよう徹底する。なお、症状が
見られた場合には経過観察せず、直ちに受診すること。
Q 従業員の家族(同居者)が感染したら?
A その従業員は濃厚接触者となるので、以下の対応をとることとする。
・患者(擬似症を含む)との最終接触から7日間は、できれば出勤を見合わせること
も検討する。
・自分が感染していなことが確認できた場合出勤は OK であるが、他者とできるだけ
接触しないように工夫する。なお、接触する場合にはマスクを着用し、距離を空け
る工夫をする。(家族が感染したら、自身に症状がないか毎日検温するなどで確認
し、もし症状が出てきたら無理に出勤しないこと)
・これらの対応が「空振り(結果的に感染していなかった)」となる場合もあるが、
感染予防の観点から必要な対応であることを管理者から従業員によく説明する。
参考)国の「事業者・職場における新型インフルエンザ対策ガイドライン」
http://www.cas.go.jp/jp/influenza/index.html
****** タミフルドライシロップが不足した場合の対応 ******
(タミフルカプセルを脱カプセルして賦形剤を加える調剤方法の参考例)
タミフルカプセル 75mg(1カプセル中オセルタナビルとして 75mg 含有。全量は
165mg)4 カプセル(300mg 含有)からカプセルを外し、タミフルドライシロ
ップ 3%と同一含量になるよう乳糖で賦形し、1g 中にオセルタナビルとして 30mg
含有する散剤を予製する。→
体重に準じて2mg/kg になるよう分包する。
〔仮に 30mg/g の散剤 10g を予製する場合(幼少児には 1 回 2mg/kg 体重、1 日2
回
投与するので、15kg の患児の 5 日分に相当)は、タミフルカプセル 75mg を
4 カプセル外し、カプセルの中の散剤に全量が 10g となるよう乳糖で賦形する。こ
の散剤を 1g づつ分包する。)(P7:調剤例参照)
なお、上記のとおり、用法用量については、タミフルドライシロップで承認され
ている用量となる分量で調剤することが基本なので、留意すること。
6
(参考)
体重
タミフルカプセル 75mg 脱カプセル(cap)時の調剤例(1)
1 回 2mg/kg
1 回 2mg/kg
(kg)
1 日 2 回 1 日分
1 日 2 回 5 日分
5 kg
0.27 カプセル
100mg
(20mg)
10kg
0.53 カプセル
0.8 カプセル
200mg
1.07 カプセル
300mg
1.33 カプセル
400mg
1.6 カプセル
500mg
1.87 カプセル
600mg
体重
700mg
1 回 2mg/kg
1 回 2mg/kg
1 日 2 回 5 日分
5 kg
0.27 カプセル
100mg
(20mg)
0.53 カプセル
200mg
0.8 カプセル
300mg
1.07 カプセル
400mg
全量を 3g に賦形し その内の 2.65g を使用し
さらに全 3g に賦形して 10 包に分割
全量を4g に賦形して 10 包に分割
全量を 6g に賦形し その内の 5.35g を使用し
て 10 包に分割
全量を 7g に賦形し その内の 6.655g を使用し
て 10 包に分割
全量を 10 包に分割
全量を 10g に賦形し その内の 9.35g を使用し
て 10 包に分割
1.33 カプセル
1.6 カプセル
500mg
(140mg)
5 日分(mg)=体重(kg)×2mg/kg×2 回×5 日
(cap)
1 カプセルあたり 0.75g に賦形して使用する
2 カプセル
3 カプセル
4 カプセル
6 カプセル
7 カプセル
(525mg)
600mg
(120mg)
1.87 カプセル
脱カプセル数
(450mg)
(100mg)
35kg
さらに全 3g に賦形して 10 包に分割
全量を 1.5g に賦形し その内の 1.0g を使用し
さらに全 3g に賦形して 10 包に分割
全量を 2.25g に賦形し その内の 2.0g を使用
し さらに全 3g に賦形して 10 包に分割
全量を 3g に賦形して 10 包に分割
(300mg)
(80mg)
30kg
10 カプセル
(225mg)
(60mg)
25kg
8 カプセル
(150mg)
(40mg)
20kg
全量を 2g に賦形し その内の 1.35g を使用し
タミフルカプセル 75mg 脱カプセル(cap)時の調剤例(2)
1 日 2 回 1 日分
15kg
7 カプセル
(750mg)
(kg)
10kg
1 カプセルあたり 1.0g に賦形して使用する
(600mg)
(140mg)
(参考)
6 カプセル
(525mg)
(120mg)
35kg
4 カプセル
(450mg)
(100mg)
30kg
3 カプセル
5 日分(mg)=体重(kg)×2mg/kg×2 回×5 日
(300mg)
(80mg)
25kg
2 カプセル
(225mg)
(60mg)
20kg
(cap)
(150mg)
(40mg)
15kg
脱カプセル数
8 カプセル
全量を 4.5g に賦形し その内の 4.05g を使用
して 10 包に分割
全量を 5.25g に賦形し その内の 5.0g を使用
して 10 包に分割
全量を 10 包に分割
(600mg)
700mg
10 カプセル
(750mg)
7
全量を 7.5g に賦形し その内の 7.05g を使用
して 10 包に分割
** ファクシミリ等による処方せんの送付及びその応需に関するQ&A
**
(平成 21 年 10 月 2 日付 厚生労働省新型インフルエンザ対策推進本部事務連絡)
問1
電話による診療でファクシミリ等による処方せんが送付できるのはどのような患
者ですか。また、急性疾患での受診歴がある患者に対しても、電話による診療でファク
シミリ等による処方せんの送付が可能となりますか。
(答)
原則として慢性疾患を有する定期受診患者を対象とします。ただし、インフルエンザ様
症状を訴えて受診した患者に対して、解熱剤や鎮咳剤を追加処方する場合など、同一の急
性疾患において最近の受診歴があり、かつ医師が電話により適切に診断できると判断した
場合には、電話による診療でファクシミリ等による処方せんの送付が可能となります。
問2
慢性疾患等を有する定期受診患者について、直近の受診は何ヶ月以内であること
が必要ですか。
(答)
電話による診療により医師が患者の病状を判断するためには、医師が患者の全身状態に
ついて従前に評価できていることが必要です。したがって、受診間隔のみで一律に判断さ
れるものではなく、当該患者がかかりつけの医師を定期的に受診しており、特に最近の受
診が途切れていないことが必要と考えられます。例えば、経過観察のみで半年以上の受診
間隔である場合などは、全身状態について従前に評価できているとは考えにくく、電話に
よる診療のみでファクシミリ等による処方せんを送付することは適切でないと思われます。
問3
電話による診療でのファクシミリ等による抗インフルエンザウィルス薬等の処
方が可能となるのは、どのような状況ですか。
(答)
新型インフルエンザ患者が多く見られる地域であって、電話による診療でファクシミリ
等による処方を行うことで、患者やその家族の医療機関内における感染を防止すること等
により、感染対策になると判断される状況をいいます。
国立感染症研究所感染症情報センターの発表によれば 9 月 14 日~20 日の一週間に全国
の医療機関を受診したインフルエンザ患者数は約 27 万人と推計され、インフルエンザの流
行状況にあることを参考に、各地域の外来受診者数の状況を踏まえ、各都道府県において
総合的に判断してください。
なお、電話による診療でファクシミリ等による処方せんの送付を行う場合には、事前に
都道府県等、保健所、医師会及び薬剤師会等の地域の医療関係者により十分な協議を行い、
混乱なく実施できるよう留意してください。
8
問4
慢性疾患の定期処方についても電話による診療でファクシミリ等による処方せ
んの送付が可能ですか。
(答)
当該患者の慢性疾患が最近は安定して経過しており、かつ電話により必要な療養指導が
可能な場合には、医療機関内における感染を防止する観点から、電話による診療でファク
シミリ等による処方せんを送付することが可能です。
問5
ファクシミリ等による処方せんの送付を受けた薬局は、調剤した薬剤を患家に届
ける必要がありますか。
(答)
ファクシミリ等による処方せんに基づき調剤された薬剤の受け渡しについては、患者で
はなく患者の同居者や患者の依頼を受けた者等へ行うこと、それらの対応も困難な場合に
ついては介護や看護にあたる者等を活用するといった対応も考えられます。また、やむを
えず患者本人が受け取りにいく場合には、マスクを着用し、必要に応じて事前に薬局へ連
絡してもらう等して屋外で薬剤の受け渡しを行う等の感染対策をとることも考えられ、必
ずしも、薬局が調剤した薬剤を患家に届ける必要はありません。したがって、ファクシミ
リ等による処方せんの送付を行う場合は、薬剤の受け渡しが適切に行われるよう、あらか
じめ医師から患者及びその同居者等に対して、薬局における感染対策への十分な配慮や薬
剤の受け渡しの留意点について指導しておくようにしてください。
なお、薬剤を患家に届ける場合等には、服薬指導は電話で行うことでも差し支えありま
せん。
問6
電話による診療の結果、ファクシミリ等による抗インフルエンザウィルス薬等の
処方せんを送付する場合、保険医療機関は、電話再診料、処方せん料を算定できますか。
(答)
算定できます。ただし、電話再診料については、外来診療料を算定する保険医療機関の
場合は、算定できません。
問7
ファクシミリ等による抗インフルエンザウィルス薬等の処方せんを受け付けた保
険薬局において当該医薬品に係る調剤を行った場合、調剤技術料及び薬剤料は算定でき
ますか。また、医薬品の調剤時において、新型インフルエンザ患者との接触を避けるた
め、電話にて服薬指導を行った場合、薬剤服用歴管理指導料等の薬剤師からの説明が要
件となっている点数は算定できますか。
(答)
調剤技術料及び薬剤料は算定できます。薬剤服用歴管理指導料等は、電話にて適切な指
導を行っており、その他の要件を満たしていれば算定できます。
9
(平成 21 年5月 26 日付 厚生労働省保険局医療課事務連絡)
問3
新型インフルエンザの流行によりタミフルドライシロップ3%(成分名:リン酸
オセルタミビル)の入手が困難な場合において、当該製剤の投与対象となる患者に対し
て、タミフルカプセル75mgを脱カプセルし、賦形剤を加えて調剤した上で交付した
場合、薬剤料の算定は可能か。
(答)
新型インフルエンザの流行によりタミフルドライシロップ3%が入手困難な場合であっ
て、当該薬剤の投与が必要な患者に対して、タミフルカプセル75mgを脱カプセルし調
剤したものをタミフルドライシロップ3%の用法・用量に従い投与した場合に限り、薬材
料の算定は可能である。
この場合、脱カプセルしたタミフルカプセル75mgに係る薬剤料については、オセル
タミビルの実際の投与量に相当する分(例えば、5 日間でオセルタミビルとして合計262.
5mg投与する場合は、タミフルカプセル75mgの3.5カプセル分)を請求するもの
とし、院内処方の場合には調剤レセプトの摘要欄に、それぞれ「タミフルドライシロップ
不足のため」等のやむを得ない事情を記載すること。
なお、タミフルドライシロップ3%の使用を優先することは当然であるが、その入手が
困難であり、かつ、医療上その投与が必要と判断される状況においては、タミフルカプセ
ル75mgを脱カプセルしてタミフルドライシロップ3%の用法・用量に従い投与するこ
とについて、本剤の服用方法や米国においても同様の方法が推奨されていることに鑑み、
有効性・安全性上、ドライシロップ3%と異なるような特段の問題は生じないと考えてい
る旨を医薬食品局審査管理課に確認済みであることを申し添える。
*平成 21 年 10 月 30 日追加記載
(平成 21 年8月 28 日付 厚生労働省新型インフルエンザ対策推進本部事務連絡)
問8
同一の患者に対して同一診療日に、一部の薬剤を院内において投薬し、他の薬
剤を院外処方せんにより投薬することは、原則として認められないが、医薬品の在庫
管理等の関係から、同一患者に対して、タミフルの投与は院内処方で、それ以外の医
薬品の 処方は院外処方せんとする取扱いは認められるのか。
(答)
同一患者に対して院内における投薬と院外処方せんによる投薬を同時に行うことはやむ
を得ない
この措置は、新型インフルエンザ患者数が急速に増加した場合にも対応できる医療提供
体制を確保するため(抗インフルエンザウィルス薬投与の緊急性を考え)のものであり、
抗インフルエンザウィルス薬以外の医薬品を院内で処方し、抗インフルエンザウィルス薬
は院外処方するということは論外である。
10
*平成 21 年 11 月 20 日追加記載
(平成 21 年5月 26 日付 厚生労働省保険局医療課事務連絡の追加記載)
問4
問3のようにタミフルカプセル75mgを脱カプセルし、賦形剤を加えて調剤し
た上で交付した場合、保険薬局は自家製剤加算を算定できるのか。
また、入院中の患者に対して同様の調剤をした上で投薬を行った場合には、保険医療機
関は院内製剤加算を算定できるのか。
(答)
タミフルドライシロップ3%が入手困難な場合であれば、それぞれ算定できる。
問5
新型インフルエンザに係る医療提供体制の確保の一環として、薬局が夜間・休日
営業の地域輪番・当番制に参加する場合に、薬事法に基づく営業時間の変更の届出は必
要か。
(答)
薬局の営業時間変更に係る都道府県知事への届出は、「通常の営業日及び営業時間」につ
いて求めているものであり、新型インフルエンザに係る体制確保の一環として夜間・休日
営業の地域輪番・当番の体制をとる場合においては、変更届の提出は行わなくて差し支え
ない。
なお、各薬事担当部局においては、新型インフルエンザに係る医療提供体制に関する担
当部局や地域薬剤師会等から輪番・当番制に関する情報を得るなど、その把握に努められ
たい。
*平成 26 年 12 月 24 日追加記載
(平成 26 年 11 月 28 日付 厚生労働省医薬食品局安全対策課事務連絡の追加記載)
<抗インフルエンザウイルス薬の使用上の注意に関する注意喚起の徹底について>
抗インフルエンザウイルス投与後の異常行動の発現につきまして、平成 26 年 10 月 29 日
に開催された薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会において、新た
に得られた情報も踏まえ評価され、これまでと同様の注意喚起を引き続き徹底することが
適当とされました。
このため、厚生労働省ホームページの「平成 26 年度 今冬のインフルエンザ総合対策に
ついて」の「インフルエンザQ&A」で異常行動について下記の内容の注意喚起を引き続
き実施しますので、各関係機関におかれましても、注意喚起にご協力いただけますようお
願いします。
11
厚生労働省の「インフルエンザQ&A」より抜粋
Q.10 インフルエンザにかかったらどうすればよいのですか?
・具合が悪ければ早めに医療機関を受診しましょう。
・安静にして、休養をとりましょう。特に、睡眠を十分にとることが大切です。
・水分を十分に補給しましょう。お茶でもスープでも飲みたいもので結構です。
・咳やくしゃみな等の症状のある時は、周りの方へうつさないために、不織布製
マスクを着用しましょう。
・人混みや繁華街への外出を控え、無理をして学校や職場等に行かないように
しましょう。
また、小児、未成年者では、インフルエンザの罹患により、急に走り出す、部屋
から飛び出そうとする、ウロウロと歩き回る等の異常行動を起こすおそれがあるの
で、自宅において療養を行う場合、少なくとも発症から 2 日間、小児・未成年者が
一人にならないよう配慮しましょう。(Q.14、15 を参照)
Q.14 タミフル服用後に、異常行動による転落死が起きている等の報道がなされて
いましたが、現在はどのような対応が行われているのですか?
タミフル服用後に患者が転落死した事例等が報告されたことを受けて、平成 19
年 3 月には、予防的な安全対策として、添付文書(薬に添付されている説明文書)
を改訂し、下記の注意を警告欄に記載するとともに、「緊急安全性情報」を医療機関
に配布しました。
1.10 歳以上の未成年の患者においては、因果関係は不明であるものの、本剤の服用
後に異常行動を発現し、転落等の事故に至った例が報告されている。このため、
この年代の患者には、合併症、既往歴等からハイリスク患者と判断される場合を
除いては、原則として本剤の使用を差し控えること。
2.小児・未成年者については、万が一の事故を防止するための予防的な対応として
本剤による治療が開始された後は、(1) 異常行動の発現のおそれがあること、(2)
自宅において療養を行う場合、少なくとも2日間、保護者等は小児・未成年者が
一人にならないよう配慮することについて患者・家族に対し説明を行うこと。
その後、タミフルの服用と転落・飛び降り、又はこれらにつながるような異常な
行動や突然死等のとの関係について、平成 19 年 4 月以降、薬事・食品衛生審議会
医薬品等安全対策部会暗線対策調査会において調査・審議を行い、副作用等報告、
非臨床試験(動物実験等)、臨床試験、疫学調査等の結果を検討してきました。
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平成 21 年 6 月の同調査会において、
・タミフルと異常な行動の因果関係について、疫学調査の解析結果のみから明確な
結論を出すことは困難であると判断された。
・タミフル服用の有無にかかわらず、異常行動はインフルエンザ自体に伴って発現
する場合があることが明確となった。
・平成 19 年 3 月の予防的な安全対策以降、タミフルの副作用報告ににおいて、10
代の転落・飛び降りによる死亡等の重篤な事例が報告されていない。
ことから、予防的措置としての上記の対策(枠組み)について、引き続き、医療
関係者、患者、家族等に注意喚起を図ることとしました。上記調査会の資料は、厚
生労働省のホームページの下記アドレスに掲載しています。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/06/s0616-5.html
その後、平成 22(2010)年 8 月、平成 23(2011)年 11 月、平成 24(2012)年
10 月、平成 25(2013)年 10 月及び平成 26 年(2014)年 10 月に開催された安全
対策調査会が、その後に得られた副作用情報等の評価を行いましたが、タミフルと
異常行動との因果関係を示す結果は得られていないものの、引き続き、これらの
対策を行うことが妥当と結論付けています。
Q.15 タミフル以外の抗インフルエンザウイルス薬を使用した場合にも異常行動
(急に走り出す、ウロウロする等)は起こるのでしょうか?医薬品を服用し
ない場合には起こらないのでしょうか?
抗インフルエンザウイルス薬には、タミフルの他にリレンザ、ラピアクタ、イナ
ビル、シンメトレル等の医薬品がありますが、これらの医薬品の服用後にも、急に
走り出すなどの異常行動の発生が認められています。
また、インフルエンザにかかった時には、医薬品を何も服用していない場合や解
熱剤のアセトアミノフェンだけを服用した後でも、同様の異常行動が現れることが
報告されています。インフルエンザに罹患して、自宅において療養を行う場合には、
突然走り出して 2 階から転落する等の事故を防止するため医薬品の服用の有無に
かかわらず、少なくとも 2 日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう
配慮してください。
インフルエンザ罹患に伴う異常行動の研究については、厚生労働省ホームページ
の下記のアドレスに掲載されています。
[pdf]インフルエンザ罹患に伴う異常行動研究
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000063417.pdf
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○異常行動の例
・突然立ち上がって部屋から出ようとする。
・興奮状態となり、手を広げて部屋を駆け回り、意味のわからないことを言う。
・自宅から出て外を歩いていて、話しかけても反応しない。
・人に襲われる感覚を覚え、外に飛び出す。
・変なことを言い出し、泣きながら部屋の中を動き回る。
・突然笑い出し、階段を駆け上がろうとする。
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