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8 経済性の検討

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8 経済性の検討
6.地熱発電の経済性の検討
6-1.初期導入費用
(1)発電設備(50kW)
バイナリー地熱発電システムの 50kW システム(送電端)および系統連系等に必要な電
力設備は、120,000 千円です。これは、NEDO 技術開発機構による「新エネルギーベンチ
ャー技術革新事業」の中の「温泉エコジェネシステムの開発」におけるプロトタイプの制
作費となっており、量産化により低減されることが期待されています。
a.
設計費:3,500 千円
測量、設計費(意匠別)、確認申請書(構造計算含む)、設備関係設計費
b.
購入費:84,500 千円(概算)
温泉エコジェネシステム
金額内訳:発電機本体(タービン発電機、フィードポンプ、制御設備、補給タンク類、
熱交換機類、予備品、諸経費)
c. 工事費:30,000 千円(概算)
敷地造成、配管工事、
d.
その他経費:2,000 千円
許認可申請関係費用
(2)送電線
NEDO 技術開発機構が取りまとめたマイクロ水力発電導入ガイドブック(NEDO 技術
開発機構,2005)において、配電線費用 2 百万円(需要地まで 200m)と算出されています。
同書で検討の対象としている発電機は 26.6kW、67.7kW、109kW であり、本調査での検
討対象のバイナリー地熱発電施設と同等であるので、この金額を使用します。
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(3)配湯管・排湯管
配湯管・排湯管の設置にかかる費用は、1m あたり 40,723 円(参考値)として費用を算
出します。
(4)減価償却の考え方
初期導入費用(上記(1)~(3)の合計)から、国および県からの補助金を引いた
金額を 15 年間の均等割りで減価償却するものとします。
6-2.ランニングコスト
運用に係わるランニングコストを以下に示します。
(1)人件費
6.6kV 送電のため、「500V 以上、1 万 V 未満の電気工作物の工事、維持または運用が
できる」第 3 種電気主任技術者の外部委託が必要となります。ただし、発電所と供給先の
敷地が離れており、その間を自営配電線を引く場合には、外部委託が不可となります。
また、「発電用のボイラー、蒸気タービン、ガスタービンまたは燃料電池設備(最高使用
圧力が 98kPa 以上のもの)の工事、維持または運用ができる」第 2 種ボイラー・タービン
主任技術者(以下 BT 主任技術者)の資格が必要となります。
・第 3 種電気主任技術者選任:600 万円/年
・第 3 種電気主任技術者外部委託:60 万円/年
・第 2 種 BT 主任技術者:750 万円/年
(2)修繕費、諸経費
発電所を維持、管理するための修繕費およびその他費用
・メンテナンス費:建設費×(0.27%×年次+0.63%)
・諸経費
:建設費×0.46%(廃棄物処理費、保険料等)
(出典:NEDO 技術開発機構ホームページ
コスト算定の前提条件を参照)
(3)一般管理費、固定資産税
実施主体が民間事業者となる場合には、一般管理費、固定資産税を計上しています。
・一般管理費率:25%
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・固定資産税
:(設備)の 1.4%
6-3.収入等
(1)自家供給電力料金
温泉発電で発生した電力を自家消費することで、電力会社から購入していた電力の全部
又は一部を節約できます。その節約分を収入とみなします。自家供給電力単価は、次式に
従い算出しました。
自家供給電力単価(平均買電単価)=((基本料金+従量料金)÷使用電力量の平均))
電力買電単価は、電力会社と各々の契約者との契約で決められています。本調査では、
候補地点の使用電力量、契約種別および使用料金について聞き取り調査を行い、各温泉地
毎に上記の式で、自家供給電力単価を算出しました(第6-1-1表)。
第6-1-1表
自家供給電力単価
電力単価
温泉
(円/kWh)
A温泉
23.6
B 温泉源泉 1,2 号
12.2
B 温泉源泉 3 号
14.1
C温泉
12.5
D温泉
16.8
(2)グリーン電力
グリーン電力証書を発行してバイナリー地熱発電で発生した電力の環境価値を取り引き
します。余剰電力については RPS 込みで販売を想定しているため対象とはならず、自家
供給電力は対象となります。取引の実態から、環境価値分を 3 円/kWh としました。グリ
ーン電力については、2-4-2を参照して下さい。なお、最近の取引では 5 円/kWh 程
度の事例も見られており、今後の取引価格の上昇が考えられます。
(3)余剰電力売電
余剰電力については系統連系により東北電力株式会社に売電します。バイナリー地熱発
電は RPS 法の適用を受けることができます。現状での東北電力株式会社の余剰電力購入
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価格は 3.6 円/kwh となっており、必要に応じて,RPS 法に定める「新エネルギー等電気
相当量」を購入する場合があるとされています。資源エネルギー庁が公表している「平成
20 年度 RPS 法下における新エネルギー等電気等に係る取引価格調査結果について」では、
新エネルギー等電気相当量の取引価格として、2.0 円/kWh~7.0 円/kWh(加重平均価格
4.9 円/kWh)となっています。本調査では、余剰電力価格に RPS 価格を加えた売電単価
10 円/kWh のケースを検討しました。なお、今後売電単価が上昇した場合を想定して 15
円/kWh のケースも検討しました。また、全量買取制度が導入された場合を想定して 20 円
/kWh、24 円/kWh のケースも検討しました(現在、全量買取制度は導入されていません。)。
6-4.補助金
本事業に適用可能と考えられる補助制度の概要を以下に示します。各補助制度の内容に
ついては10章を参照して下さい。
(1)地域新エネルギー等導入促進事業(経済産業省)
実施主体が地方公共団体(地方公共団体の出資比率が 50%を超える第三セクターも含
む。)、非営利民間団体および社会システム枠の場合は、バイナリー地熱発電の設備導入
事業費の 1/2 の補助を受けることができます。
(2)新エネルギー等事業者支援対策事業(経済産業省)
実施主体が民間事業者の場合は、バイナリー地熱発電の設備導入費の 1/3 の補助を受け
ることができます。
(3)地方公共団体対策技術率先導入補助事業(環境省)
自らの事務事業に関する実行計画に基づき、地方公共団体の施設への代エネ・省エネ施
設設備の整備を行う地方公共団体は、1/2 の補助を受けることができます。
(4)地球温暖化対策技術開発等事業(環境省)
本事業に適用可能と考えられる分野を以下に示します。
a.
再生可能エネルギー地域実証研究分野(委託事業)
国内の研究機関を対象に、地域の特性を活かした再生可能エネルギー関係施設(例えば海
洋エネルギーを利用した発電、地熱発電の普及拡大に資する開発)の設置に向けた地域実証
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研究を実施する事業に対して委託される 1 課題あたり 5,000 万円~5 億円(平成 22 年度)
の競争的資金です(公募により提案を募集し外部専門家からなる評価委員会において評価
した上で選定・採択されます)。
b.
再生可能エネルギー導入技術実用化開発分野(委託事業)
民間企業を含む法人を対象として、太陽光、風力、地熱、小水力、バイオマス、太陽熱、
温度差エネルギー等の再生可能エネルギーの導入技術の開発を行う事業に対して委託され
る 1 課題あたり 2,000 万円~3 億円(平成 22 年度)の競争的資金です。
(5)新潟県民間施設省エネ・新エネ設備導入補助事業(新潟県)
実施主体が民間事業者の場合、省エネ設備への改修および新エネ設備導入について、2
種類以上の事業を複合的に実施する事業に対して補助対象経費の 1/3 以内(上限 1,000 万
円)を受けることができます。
6-5.経済性の評価の考え方
県内の導入可能性のある温泉地毎に、導入可能と考えられる複数の事業ケース(実施主
体、需給条件、発電所設置位置)について、単年度(ここでは初年度)の収支で経済性を
評価します。収入として、年間の自家消費電力電気料金節約額、売電収入などがあります。
支出として減価償却額(初期投資費用を 15 年で均等割り)、ランニングコストなどがあ
ります。
なお、単年度の収入とランニングコストについても、比較します。
現状では、電気事業法施行規則第 52 条において、バイナリー地熱発電には BT 主任技術
者の選任が義務づけられていますが、将来、規制緩和に伴って BT 主任技術者の選任義務
が緩和される場合も考慮して、BT 主任技術者の選任のないケースについても検討します。
6-6.環境効果
バイナリー地熱発電を導入することによる環境効果の指標として、化石燃料消費削減量
および二酸化炭素排出削減量について検討をします。
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(1)換算係数
各燃料および電気の標準発熱量は「エネルギーの使用の合理化に関する法律」、CO2 排
出係数は環境省の「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」の値を使用します。
①
エネルギー源別単位発熱量・原油換算係数
3.6MJ/kWh
A重油
39.1MJ/L
灯油
36.7MJ/L
②
電気
温室効果ガス関連係数(エネルギー起源)
東北電力の 2008 年度 CO2 排出原単位
CO2 クレジット量を反映した調整後の値 0.340
kg-CO2/kWh
0.469
kg-CO2/kWh
(CO2 クレジット量を反映する前の値
)
(2)化石燃料消費削減量および二酸化炭素排出削減量
第6-6-1表に各温泉の化石燃料消費削減量および二酸化炭素排出削減量を示します。
参考に一般的な家庭用太陽光発電ユニット(3.5kW)の何台分に相当するかについて示し
ます。第6-6-1表は各温泉の年間発電量に(1)の換算係数を掛けて化石燃料消費削
減量および二酸化炭素排出削減量を算出しています。
(化石燃料消費削減量)=(年間発電電力量)×(単位発熱量(電気))÷(原油換算係数)
(CO2 排出削減量)=(年間発電電力量)×(CO2 排出原単位)
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第6-6-1表
温泉
松之山温泉
瀬波温泉(1 号 2 号)
瀬波温泉(3 号)
村松浜温泉
糸魚川温泉
化石燃料消費削減量および二酸化炭素排出削減量
発電出
力
50kW
44kW
38kW
89kW
49kW
262kW
年間発電電
力量
416MWh
366MWh
316MWh
741MWh
408MWh
2,180MWh
化石燃料消費
削減効果※1
38,302L
33,698L
29,095L
68,225L
37,565L
200,716L
CO2 排出削減
効果※2
141t-CO2
124t-CO2
108t-CO2
252t-CO2
139t-CO2
741t-CO2
3.5kW
3.472MWh
320L
1.181t-CO2
一般的な家庭用太
陽光発電
台数※3
119
105
91
213
118
627
1
※1:A重油換算
※2:発電電力による代替効果のみ換算。ライフサイクル中の全排出量についてはふくま
れていません。
※3:一般的な家庭用太陽光発電(3.5kW)を基準とした場合の台数(年間発電電力量の計算
は以下の(参考)を参照)
(参考)太陽光発電による年間発電電力量の推定
新エネルギー財団が NEDO 技術開発機構の委託を受けて平成 19 年度に実施した太陽光
発電モニター事業に関する調査(財団法人新エネルギー財団,2008)報告書では、新潟県
を含む日射気候区Ⅰ(第6-6-1図)における年間の太陽電池出力 1kW あたりの発電
電力量を「JIS
C
8907
太陽光発電システムの発電電力量推定方法」に基づき
992kWh/kW と推定しており、一般家庭用太陽光発電(3.5kW)では、年間 3,472kWh の
発電電力量と推定されます。これを東北電力の 2008 年度 CO2 排出原単位に掛けると、
1,181kg-CO2 の削減効果となります。
第6-6-1図
日射気候区分図(出典):(財)日本気象協会)
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6-7.事業化に伴う留意事項
バイナリー地熱発電の事業化に伴い想定される留意事項を以下にまとめます。
(1)源泉に関する留意事項
事業化にあたっては、現状の湧水量に基づく検討を基本としていますが、湧水量を増加
するケースにおいては施設の維持管理等について十分留意し、源泉を管理していく必要が
あります。
(2)設備費用について
前提条件として計上している設備費用については、近年の鋼材等の材料単価の上昇の傾
向が続いた場合、将来的には上昇する可能性があります。このため、詳細設計時に具体的
な費用積算および経済性の再評価が必要となります。
(3)補助制度について
補助制度については事業化時点において再調査を実施し、適用可能な制度の抽出・検討
を実施することが必要となります。
(4)温泉等のモニタリングについて
地熱資源の適切な利用のために、温泉の温度や流量等のモニタリングを実施していくこ
とが必要となります。また、事業を円滑に進めるためには、既存の温泉水利用先に影響を
与えないように事業を進めることが重要です。
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