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エンコード映画
映像フィルムをデジタルに仲介する際の効率化 および流通経費削減を可能とするソフトウェア開発と事業化 -完全可逆圧縮によるフィルムのスキャニング- 1.背景 これまでのフィルム映像の制作過程では、完成フィルムを作成するまでに複製を何 度も行うために世代劣化が生じ、最終的なフィルムの品質に問題があった。これを解 決するため、撮影フィルムを全てスキャニングし、デジタルデータに変換した後、色調 整し、編集データを反映させてフィルムに焼き付け、完成フィルムを作成する“デジタ ル・インターミディエイト”(DI:Digital Intermediate)と呼ばれる手法が注目されている。 しかし、この手法はフィルムスキャニング・焼き付け時間・コスト、およびスキャン後の データを記録保存するファイルサーバーの容量増加など、品質とコストとのトレードオフ という大きな課題を残している。 デジタル編集の比重が高まっている現在、編集のためのよりよい素材への要求度 が高まってきており、高品質・高画質な作品を制作するためには、編集を行うための素 材自体にも高品質・高画質が求められている。 2.目的 本プロジェクトは、完成フィルムの品質を向上させるだけでなく、スキャニングから合 成、編集などの映像制作プロセスの簡略化、制作時間・コストを削減し、「高画質と低 コストの両立」を図ることを目的とする。また、二次利用される流通コンテンツについて も、アーカイブされた原画像から直接各種フォーマット変換を行うことにより、効率的な 映像コンテンツの流通基盤を構築し、コンテンツ産業の国際競争力強化、多様なコン テンツ資産の有効活用を目指すものである。本プロジェクトにて開発される SDK (Software Development Kit:開発者キット)を提供して、DI 市場において事業化を目指 すものである。 3.開発内容 本ソフトウェアは、圧縮処理を行うエンコードブロックと、復号化処理を行うデコードブ ロックからなり、Windows および Mac 上で利用可能な SDK(Software Development Kit: 開発者キット)として提供される。 また、以下の機能を有する。 (1)完全可逆フォーマット Pixwork の圧縮、解凍が可能 対象画像を、完全可逆を保証する Pixwork ファイルへ変換(エンコード)し、その変換 された Pixwork ファイルをオリジナルと数学的に同じ品質で表示(デコード)、又は書 き戻しすることができる。 (2)SNR 設定による画質の調整が可能 高画質から低画質まで 7 段階の設定が可能。プレビューなど読み込み量を抑えて高 速にデータを表示することができる。 1/4 (3)解像度設定による解像度の調整が可能 8 段階の設定が可能であり、オリジナルの 1/n のサイズでデコードすることができる。 例えば、表示に必要な解像度がオリジナルの 1/2 以下である場合など、冗長な情報 の読み込み、デコードを抑え、高速なデコードを実現できる。 (4)差分フレーム圧縮をサポート 対象ファイルが動画のような連続する画像の場合は、更にフレーム間圧縮を選択す ることが可能。複数フレーム間の特性を活かし、高い圧縮率と高速なデコードを実現 できる。 (5)9 種類の圧縮率を選択可能 可逆圧縮の他に、必要に応じて非可逆圧縮で更にデータサイズを小さくすることが できる。 フィルムカメラ フィルム デジタルフィルム スキャナ デジタル動画 本プログラム エンコードブロックとデコード ブ ロ ッ クを 、 SDK と し て 提 供 する。 エンコードブロック (圧縮) デジタル マスター デコードブロック (復号) 圧縮動画 動画再生 修復・色調整・特殊効果/合成・編集 送出・配信 映画 TV(HD/SD) 配信 DVDマスター VTR Web 図 1.本プログラムの構成およびワークフロー 【動作環境について】 ■本 SDK のライブラリ Windows 版は以下の開発環境を使用してコンパイル・リンク されている。 ・Microsoft Visual Studio .NET 2003 ■本 SDK のライブラリ Mac 版は以下の開発環境を使用してコンパイル・リンクされ ている。 2/4 ・X Code Ver.2.2 ■以下に記す動作環境を推奨する。 ・OS: WindowsXP / Mac OS X ・CPU: Pentium Xeon Dual 3GHz 相当以上(推奨) PowerPCG5 Dual 2.5GHz 以上(推奨) ・メモリ: 4GB(推奨) 4.従来の技術(または機能)との相違 従来、映像の圧縮技術としては MPEG 等の、非可逆圧縮が用いられることが多い。 これは、データを欠損させることによりデータ量を抑えることが可能であるが、データを 欠損しているため、完全に元に戻すことは不可能である。そのため、データの原本性 が要求される場合には、使用することはできない。それに比べ、本プログラムによる Pixwork 圧縮は、完全に可逆の圧縮アルゴリズムであるため、デジタル映像のデータを 欠損させることなく、完全な状態で保持することが可能となる。他にも完全可逆な圧縮 技術は存在するが、Pixwork は独自の圧縮技術により、高圧縮率を実現している(自 然画像の場合、平均 30~50%の圧縮が可能)。また、オプションとして可逆フレーム間 圧縮も選択できるため、可逆でありながら、劇的な高圧縮を実現できる。従来にない高 圧縮率と処理の高速性が大きな特色となっている。 5.期待される効果 原本性の確保が要求されるため非圧縮でデータを保持しなければならない現場に おいては、データ容量が日々増え続ける。またデータ転送の際にも、非圧縮データで は転送負荷が大きい。しかし Pixwork の可逆圧縮ならば、非圧縮の場合と全く同一の データでありながら、容量を小さくすることが可能であるため、そのままマスターデータ に利用することが可能であり、マスターデータの容量を削減することができる。また、転 送の際にも、劇的に負荷を軽減することができる。 DI 市場においては、完成フィルムの品質を格段に向上させるだけでなく、スキャニン グから合成、編集などの映像制作プロセスの簡略化、制作時間・コストを削減し、「高 画質と低コストの両立」を図ることが可能になる。また、DVD 等のパッケージメディア、 ブロードバンドなどのネットワークメディア、印刷・出版メディアなど、二次利用される流 通コンテンツについても、マスターアーカイブされた原画像から直接トランスコーディン グを行うことにより、世代劣化させずに効率的な映像コンテンツの流通プロセスの実現 を図り、e-Japan 重点計画 2004 の先導的 7 分野に提唱されているコンテンツ産業の国 際競争力強化、多様なコンテンツ資産の有効活用に寄与するものである。 6.普及(または活用)の見通し 本プログラムは SDK(Software Development Kit:開発者キット)として提供されるた め、既存のワークフローを壊すことなく、シームレスに使用することが可能である。また、 DI 市場は今後さらに高品質・高画質な映像データが増え続けることが予想されるため、 本 SDK を組み込むニーズも増大するものと見込まれる。 3/4 7.開発者名(所属) 藤倉 忍 他2名 (ピックスワーク株式会社) (参考)開発者URL http://www.pixwork.co.jp/ 4/4