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退職年金等積立金に対する法人税
法人税法の改正 目 次 一 法人税改革(基本的考え方) ���� 319 8 繰延ヘッジ処理による利益額若しく 二 法人税率の引下げ�������� 320 は損失額の繰延べ又は時価ヘッジ処理 三 欠損金の繰越控除�������� 322 による売買目的外有価証券の評価益若 四 受取配当等の益金不算入����� 338 しくは評価損の計上�������� 369 9 借地権の設定等により地価が著しく 五 退職年金等積立金に対する法人税(特 低下する場合の土地等の帳簿価額の一 別法人税)������������� 349 部の損金算入����������� 380 六 その他������������� 354 10 資産に係る控除対象外消費税額等の 1 公共法人の範囲��������� 354 損金算入������������� 382 2 収益事業から除外される事業の範囲 11 特定同族会社又は連結特定同族会社 等���������������� 355 の特別税率(留保金課税)����� 385 3 受取配当等の益金不算入及びみなし 配当等の額������������ 357 12 青色申告の承認の取消し及び連結納 4 役員給与の損金不算入������ 363 税の承認の取消しに係る規定の明確化 5 寄附金の損金不算入������� 365 等���������������� 387 13 投資法人等に係る規定の整備��� 388 6 工事負担金で取得した固定資産等の 圧縮額の損金算入��������� 366 七 マイナンバー制度の導入に伴う改正 389 7 不正行為等に係る費用等の損金不算 入���������������� 367 え、国境を越えた取引等に係る課税の国際的調和 はじめに に向けた税制上の措置を講ずることとされました。 平成27年度税制改正においては、現下の経済情 このほか、震災からの復興を支援するための税制 勢等を踏まえ、デフレ脱却・経済再生をより確実 上の措置その他所要の税制上の措置を講ずること なものにしていくため、成長志向に重点を置いた とされました。 法人税改革、高齢者層から若年層への資産の早期 このうち法人税関係(国際課税関係を除きま 移転を通じた住宅市場の活性化等のための税制上 す。)については、デフレ脱却・経済再生をより の措置を講ずるとともに、人口減少克服と地方創 確実なものにしていくため、企業収益の拡大とと 生に取り組むため、企業の地方拠点強化、子ど もに、賃金の上昇や雇用拡大によって消費の拡大 も・子育て支援の充実等のための税制上の措置を や投資の増加を通じて更なる企業収益に結び付く 講ずることとされました。また、経済再生と財政 という経済の好循環を目指し、企業が収益力を高 健全化を両立するため、消費税率の10%への引上 め、賃上げにより積極的に取り組んでいくように げ時期の変更等のための税制上の措置を講じ、さ 促す観点から、地方税とともに、課税ベースの拡 らに、BEPSプロジェクト等の国際的取組を踏ま 大により財源を確保しつつ、経済の好循環の実現 ─ 318 ─ ――法人税法の改正―― を力強く後押しするために税率を引き下げる改革 ・ 減価償却資産の耐用年数等に関する省令等の が行われました。この法人税改革により、国・地 一部を改正する省令(平27. 3 .31財務省令第38 方を通じた法人実効税率を34.62%から、平成27 号) 年度には32.11%に、平成28年度には31.33%に引 ・ 法人税法施行規則の一部を改正する省令(平 き下げるとともに、欠損金の繰越控除制度の見直 し、受取配当等の益金不算入制度の見直し等が行 われました。このほか、円滑かつ適正な課税を実 現するため、手続きの簡素化等の所要の見直し等 27. 4 .15財務省令第46号) ・ 地方法人税法施行規則の一部を改正する省令 (平27. 4 .15財務省令第47号) ・ 復興特別法人税に関する省令の一部を改正す が行われました。 る省令(平27. 4 .15財務省令第49号) これらの改正を含む「所得税法等の一部を改正 ・ 法人税法別表第一独立行政法人の項の規定に する法律」は、去る 3 月31日に参議院本会議で可 基づき、法人税を課さない法人を指定する件の 決・成立し、同日に平成27年法律第 9 号として公 一部を改正する件(平27. 3 .31財務省告示第102 布されています。また、次の関係政省令等もそれ 号) ぞれ次のとおり公布されています。 ・ 法人税法別表第二独立行政法人の項の規定に ・ 法人税法施行令等の一部を改正する政令(平 基づき、収益事業から生じた所得以外の所得に 27. 3 .31政令第142号) 対する法人税を課さない法人を指定する件の一 ・ 地方法人税法施行令の一部を改正する政令 (平27. 3 .31政令第143号) 部を改正する件(平27. 3 .31財務省告示第103号) ・ 寄附金控除の対象となる寄附金又は法人の各 ・ 復興特別法人税に関する政令の一部を改正す 事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入 る政令(平27. 3 .31政令第153号) する寄附金を指定する件の一部を改正する件 ・ 法人税法施行規則の一部を改正する省令(平 (平27. 3 .31財務省告示第104号) 27. 3 .31財務省令第23号) 一 法人税改革(基本的考え方) これまでも法人税制においては、デフレ脱却・ 変えることを目指すものとされています。すなわ 経済再生に向け、投資減税措置等や所得拡大促進 ち、一部の企業に税負担が偏っている状況に鑑み、 税制の拡充に加え、復興特別法人税の 1 年前倒し より広く負担を分かち合い、 「稼ぐ力」のある企 での廃止など、民間投資と消費の拡大及び賃金の 業等の税負担を軽減することで、企業の収益力の 引上げに向けた取組を行ってきました。こうした 改善に向けた投資等がより積極的になり、それが 取組もあり、景気は緩やかな回復基調が続いてい 成長につながっていくように、法人課税の構造改 ますが、今後、デフレ脱却・経済再生をより確実 革を行うというものです。この改革を通じて、企 なものにしていくため、平成27年度税制改正にお 業が収益力を高めれば、継続的な賃上げが可能な いては、経済の好循環の実現・確立を目指し、課 体質となり、より積極的な賃上げへの取組が可能 税ベースの拡大とともに税率を引き下げる法人税 になると考えられています。 改革を行うこととされました。 具体的には、法人税について、いわゆる基本税 今般の法人税改革は、欧米各国も行ってきたよ 率の引下げ、欠損金の繰越控除制限の見直し及び うに、 「課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げ 受取配当等の益金不算入割合の引下げ等のほか、 る」ことにより、法人課税を成長志向型の構造に 租税特別措置の見直しが行われるとともに、法人 ─ 319 ─ ――法人税法の改正―― 事業税について、大法人に適用される所得割の税 なお、経済の好循環の流れを全国的に広げるよ 率の引下げと大法人向けの外形標準課税の拡大が う取り組んでいる状況を踏まえ、地域経済を支え 行われることで、法人実効税率が、34.62%から、 る中小法人への影響に十分配慮する観点等から、 平成27年度には2.51%引き下げられて32.11%に、 本年度税制改正においては、中小法人課税につい 平成28年度には3.29%引き下げられて31.33%にな ては、特段の見直しを行わないこととされていま ります。 す。 二 法人税率の引下げ 税率)について、23.9%(改正前:25.5%)に引 1 改正の経緯及び趣旨 き下げられました。この国税における法人税率の 法人税率は、平成以降、累次にわたって引き下 引下げに加え、地方税の法人事業税所得割の税率 げられてきており、近年では、平成23年度税制改 について4.8%(改正前:7.2%)に引き下げられ 正や平成26年度税制改正(復興特別法人税の前倒 ることにより、法人実効税率は、31.33%となり し廃止)において引下げが行われましたが、国際 ます。この法人実効税率の引下げは中小法人にも 的に見ると我が国の法人実効税率はまだ高い水準 恩恵があります。 であるとの指摘があります。他方、我が国の法人 (注) 平 成27年 4 月 1 日 か ら 平 成28年 3 月31日 ま で 課税の負担は諸外国と比較して必ずしも高くなく、 の間に開始する事業年度にあっては、法人事業 これは、税率が高いとの指摘がある一方で、税収 税所得割の税率が6.0%に引き下げられ、法人実 を構成するもう 1 つの要素である課税ベースが狭 効税率は32.11%となります。 いことによるものと考えられます。 なお、中小法人、公益法人等、協同組合等につ こうした中、昨年 1 月のダボス会議における安 いては、いわゆる軽減税率(19%等)が適用され 倍総理の演説を契機に、政府税制調査会等におい ますが、この軽減税率については、今般の平成27 て法人税改革に係る議論が重ねられ、 「経済財政 年度税制改正において特段の見直しが行われない 運営と改革の基本方針2014」 (平成26年 6 月24日 こととされています。また、租税特別措置法にお 閣議決定)においては、課税ベースの拡大等によ いて措置されている軽減税率の特例(19%⇒15% り財源を確保しつつ、数年で法人実効税率を20% 等)は、平成27年 3 月31日をもって適用期限が到 台まで引き下げることを目指すこととされました。 来していましたが、こちらの特例についても維持 (注) この法人税改革の基本的な考え方については、 することとされました。すなわち、軽減税率の特 前述の「一 法人税改革(基本的考え方)」をご 例について、その適用期限が平成29年 3 月31日ま 参照ください。 で 2 年延長され、平成27年 4 月 1 日から平成29年 本年度は引下げの初年度に当たり、平成27年度 3 月31日までの間に開始する事業年度について、 税制改正においては、先行減税分を含めて、法人 引き続き適用することとされています。 実効税率を3.29%(平成27年度は2.51%)引き下 具体的に国税では、各事業年度の所得に対する げることとされています。 法人税の税率が、次のとおり引き下げられました (法法66、措法42の 3 の 2 、67の 2 、68)。 2 改正の内容 上記 1 を踏まえ、法人税の税率(いわゆる基本 ─ 320 ─ ――法人税法の改正―― 改正前 中小法人以外の普 25.5% 通法人 ― 23.9% ― 19% (15%) 19% (15%) 特定の協同組合等 の特例税率 22% 替組合及びマンション敷地売却組合について は、中小法人、一般社団法人等及び人格のな い社団等の税率が適用されます。 (注 3 ) カッコ内は、租税特別措置法の中小企業者 中小法人、一般社 19% 19% 23.9% 団法人等及び人格 25.5% (15%) (15%) のない社団等 公益法人等、協同 組合等及び特定の 医療法人 業組合、特定非営利活動法人、マンション建 年所得 800万 円以下 の部分 年所得 800万 円以下 の部分 区分 合法人、法人である政党等、防災街区整備事 改正後 等の法人税率の特例(措法42の 3 の 2 )によ る税率です。 連結納税制度について、各連結事業年度の連結 所得に対する法人税の税率が、次のとおり引き下 げ ら れ ま し た( 法 法81の12、 措 法68の 8 、68の 100、68の108)。 22% 改正前 (注 1 ) 中小法人とは、普通法人のうち各事業年度 の額が 1 億円以下であるのもの又は資本若し くは出資を有しないものをいい、次の法人は 除かれます(法法66②⑥)。 ・ 相互会社 ・ 大法人(資本金の額又は出資金の額が 5 億円以上である法人、相互会社、外国相互 会社及び法人課税信託に係る受託法人をい います。)との間にその大法人による完全支 配関係がある普通法人 ・ 普通法人との間に完全支配関係がある全 中小法人以外の普 25.5% 通法人 中小法人 協同組合等及び特 定の医療法人 特定の協同組合等 の特例税率 年所得 800万 円以下 の部分 年所得 800万 円以下 の部分 区分 終了の時において資本金の額若しくは出資金 改正後 25.5% ― 23.9% ― 19% 19% 23.9% (15%) (15%) 20% (16%) 20% (16%) 22% 22% (注) カッコ内は、租税特別措置法の中小企業者等 ての大法人が有する株式及び出資の全部を である連結法人の法人税率の特例による税率で、 その全ての大法人のうちいずれか一の法人 平 成24年 4 月 1 日 か ら 平 成29年 3 月31日 ま で の が有するものとみなした場合においてその 間に開始する各連結事業年度について適用する いずれか一の法人とその普通法人との間に こととされています(措法68の 8 ) 。 そのいずれか一の法人による完全支配関係 3 適用関係 があることとなるときのその普通法人 ・ 投資信託及び投資法人に関する法律に規 定する投資法人 ・ 資産の流動化に関する法律に規定する特 定目的会社 上記 2 の改正は、平成27年 4 月 1 日以後に開始 する事業年度の所得に対する法人税について適用 し、同日前に開始した事業年度の所得に対する法 人税については、従前どおりとされています(改 ・ 法人課税信託に係る受託法人 (注 2 ) 認可地縁団体、管理組合法人、団地管理組 正法附則21)。連結納税制度の場合についても、 同様とされています(改正法附則21)。 ─ 321 ─ ――法人税法の改正―― 三 欠損金の繰越控除 ハ 相互会社 1 改正前の制度の概要 ニ 特定目的会社 ⑴ 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰 ホ 投資法人 越し ヘ 法人課税信託に係る受託法人 法人の各事業年度開始の日前 9 年以内に開始 ② 公益法人等又は協同組合等。なお、法人 した事業年度で青色申告書を提出した事業年度 税法以外の法律によって公益法人等とみな において生じた欠損金額(以下「青色欠損金 される法人を含みます。 額」といいます。 )がある場合には、その青色 ③ 人格のない社団等 欠損金額に相当する金額は、欠損金額控除前の 所得の金額の100分の80相当額を限度として、 ⑵ 青色申告書を提出しなかった事業年度の災害 損金の額に算入することとされています(法法 による損失金の繰越し 57①)。ただし、中小法人については、欠損金 法人の各事業年度開始の日前 9 年以内に開始 額控除前の所得の金額を限度として、損金の額 した事業年度において生じた欠損金額のうちに に算入することとされています(法法57⑪) 。 災害損失欠損金額がある場合には、その災害損 (注) 中小法人とは、各事業年度終了の時におい 失欠損金額に相当する金額は、欠損金額控除前 て次の法人に該当する法人をいいます(法法 の所得の金額の100分の80相当額を限度として、 57⑪、58⑥、 措 法67の14②、67の15③、 法 令 損金の額に算入することとされています(法法 14の10⑥)。 58①) 。ただし、中小法人については、欠損金 ① 普通法人のうち、資本金の額若しくは出 額控除前の所得の金額を限度として、損金の額 に算入することとされています(法法58⑥)。 資金の額が 1 億円以下であるもの又は資本 若しくは出資を有しないもの。ただし、次 ⑶ 連結欠損金の繰越し の法人を除きます。 イ 大法人(次の法人をいいます。)との間 連結親法人の各連結事業年度開始の日前 9 年 にその大法人による完全支配関係がある 以内に開始した連結事業年度において生じた連 普通法人 結欠損金額がある場合には、その連結欠損金額 ・ 資本金の額又は出資金の額が 5 億円 に相当する金額は、連結欠損金額控除前の連結 所得の金額の100分の80相当額を限度として、 以上である法人 ・ 相互会社及び外国相互会社 損金の額に算入することとされています(法法 ・ 法人課税信託に係る受託法人 81の 9 ①)。ただし、中小連結親法人について ロ 普通法人との間に完全支配関係がある は、連結欠損金額控除前の連結所得の金額を限 全ての大法人が有する株式及び出資の全 度として、損金の額に算入することとされてい 部をその全ての大法人のうちいずれか一 ます(法法81の 9 ⑧)。なお、その連結欠損金 の法人が有するものとみなした場合にお 額のうち特定連結欠損金額がある場合には、そ いてそのいずれか一の法人とその普通法 の特定連結欠損金額については、その特定連結 人との間にそのいずれか一の法人による 欠損金額に係る特定連結欠損金個別帰属額を有 完全支配関係があることとなるときのそ する連結法人の連結欠損金額控除前の個別所得 の普通法人 金額が控除限度とされています(法法81の 9 ①)。 ─ 322 ─ ――法人税法の改正―― (注) 中小連結親法人とは、各連結事業年度終了 ② 民事再生等による債務免除等があった場合 の時において次の法人に該当する連結親法人 (一定の評定を行う場合)の期限切れ欠損金 をいいます(法法81の 9 ⑧、法令14の10⑥)。 の損金算入 ① 普通法人である連結親法人のうち、資本 法人について再生計画認可の決定があった 金の額若しくは出資金の額が 1 億円以下で こと等の一定の評定が行われる場合において、 あるもの又は資本若しくは出資を有しない その法人が一定の債権につき債務の免除等を もの。ただし、次の法人を除きます。 受けたときは、その事業年度終了の時におけ イ 大法人(次の法人をいいます。)との間 る設立当初からの欠損金額のうちその債務の にその大法人による完全支配関係がある 免除等による利益の額の合計額に達するまで 普通法人 の金額は、欠損金額控除前の所得の金額を限 ・ 資本金の額又は出資金の額が 5 億円 度として損金の額に算入することとされてい ます(法法59②、法令117の 2 )。 以上である法人 ③ 民事再生等による債務免除等があった場合 ・ 相互会社及び外国相互会社 (一定の評定を行わない場合)の期限切れ欠 ・ 法人課税信託に係る受託法人 ロ 普通法人との間に完全支配関係がある 損金の損金算入 全ての大法人が有する株式及び出資の全 上記②の場合を除き、法人について再生手 部をその全ての大法人のうちいずれか一 続開始の決定があったこと等の事実が生じた の法人が有するものとみなした場合にお 場合において、その法人が一定の債権につき いてそのいずれか一の法人とその普通法 債務の免除等を受けたときは、次のイの金額 人との間にそのいずれか一の法人による からロの金額を控除した金額のうちその債務 完全支配関係があることとなるときのそ の免除等による利益の額の合計額に達するま の普通法人 での金額は、この制度の適用前の所得の金額 ハ 相互会社 を限度として損金の額に算入することとされ ニ 法人課税信託に係る受託法人 ています。ただし、青色欠損金等の控除前の 所得の金額が債務免除等による利益の額の合 ② 協同組合等である連結親法人 計額を超える場合には、その青色欠損金等の ⑷ 会社更生等による債務免除等があった場合の 控除後の所得の金額から、その超える部分の 欠損金の損金算入 金額の20%相当額を控除した金額を限度とす ① 会社更生による債務免除等があった場合の ることとされています(法法59②、法令117 期限切れ欠損金の損金算入 の 2 )。 法人について更生手続開始の決定があった イ その事業年度終了の時における設立当初 場合において、その法人が一定の債権につき からの欠損金額 債務の免除等を受けたときは、その事業年度 ロ 法人税法第57条第 1 項又は第58条第 1 項 終了の時における前事業年度以前の事業年度 の規定によりその事業年度の所得の金額の から繰り越された欠損金額の合計額(以下 計算上損金の額に算入される欠損金額 「設立当初からの欠損金額」といいます。 )の ④ 解散の場合の期限切れ欠損金の損金算入 うちその債務の免除等による利益の額の合計 法人が解散した場合において、残余財産が 額に達するまでの金額は、損金の額に算入す ないと見込まれるときは、次のイの金額から ることとされています(法法59①、法令116 ロの金額を控除した金額は、この制度の適用 の 3 )。 前の所得の金額を限度として損金の額に算入 ─ 323 ─ ――法人税法の改正―― することとされています(法法59③、法令 正前: 9 年)に延長することとされました。 118) 。 すなわち、法人課税を、「稼ぐ力」のある企業 イ その事業年度終了の時における設立当初 等の税負担を軽減して、企業の収益力の改善に向 けた投資等を引き出すといった「成長志向型の構 からの欠損金額 ロ 法人税法第57条第 1 項又は第58条第 1 項 造」に変える見直しです。 の規定によりその事業年度の所得の金額の なお、かねてから欠損金を多く抱える企業など 計算上損金の額に算入される欠損金額 に一定の影響が生じ得る見直しであることから、 激変を緩和する趣旨で段階的引下げとしつつ、さ 2 改正の趣旨及び概要 らに地域経済を支える中小法人への影響に特に配 平成27年度税制改正においては、法人課税を成 慮して、資本金 1 億円超の大法人に限って控除限 長志向型の構造に変えることを目指し、課税ベー 度額の見直しが行われています。 スを拡大しつつ税率を引き下げる法人税改革が実 また、いわゆる大法人についても、段階的とは 施されました。このうち課税ベースの拡大等は、 いえ欠損金の繰越控除の控除限度額が大幅に引き 単に財源の確保に留まるものではなく、一部の黒 下げられれば、過去の欠損金の多寡にかかわらず 字企業に税負担が偏っている状況を是正し、広く 相応の課税が生ずることとなりますので、再建中 負担を分かち合う構造へと改革していくものです。 の法人が再建計画の見直しを余儀なくされるとい 欠損金の繰越控除は、各事業年度の法人税負担 った影響や、設立後間もない法人の財務基盤の健 の平準化を図ることを目的とする制度とされ、諸 全化・安定化が遅れるといった影響などに配慮し、 外国においても同様の制度が存在していますが、 再建中の法人や新設法人については、一定期間、 その適用によって課税ベースが大きく浸食され、 所得の全額まで控除を認める特例を創設すること 結果として一部の法人に税負担が偏っている状況 とされました。 にありました。こうした状況を改善することが、 法人税改革の本旨に合致し、法人実効税率の引下 げと相まって、法人課税を広く負担を分かち合う 3 改正の内容 ⑴ 欠損金の控除限度額の縮減 構造へと改革することにつながるものと考えられ 中小法人以外の普通法人の青色欠損金の控除 ました。 限度額が、次のとおり、段階的に引き下げられ 欠損金の繰越控除については、平成23年度税制 ました(法法57①、改正法附則27②)。災害損 改正(施行は、平成24年 4 月 1 日)において、同 失金についても同様とされました(法法58①、 様の観点から、既にその欠損金の控除限度を所得 改正法附則27②)。 の金額の80%相当額(平成23年度税制改正前:所 ・ 法人の平成27年 4 月 1 日から平成29年 3 月 得の金額)とされているところですが、上記の状 31日までの間に開始する事業年度……欠損金 況を改善するとともに、控除制限を受けたくない 額控除前の所得の金額の100分の65相当額 企業に対して、収益改善のインセンティブをもた ・ 法人の平成29年 4 月 1 日以後に開始する事 らすことを目指して、段階的に、所得の金額の50 業年度……欠損金額控除前の所得の金額の %相当額(改正前:80%相当額)まで一層引き下 100分の50相当額 げられるとともに、いわゆる繰越期間を10年(改 ─ 324 ─ ――法人税法の改正―― (参考 1 ) 控除限度額及び対象事業年度の推移 7 年⇒ 9 年 (23.12改正) <原則> 平成 17 18 ⑦ 19 ⑥ 20 ⑤ 10割⇒ 8 割 (23.12改正) 21 ④ 22 ③ 23 ② 24 ① 6.5割⇒ 5 割 9 年⇒10年 (27改正) 28 29 30 8 割⇒6.5割 (27改正) 25 26 27 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42(年度) 8割 ⑦ ⑥ ⑤ ④ ③ ② ① 6.5割 ⑧ ⑦ ⑥ ⑤ ④ ③ ② ① 6.5割 ⑨ ⑧ ⑦ ⑥ ⑤ ④ ③ ② ① 5割 ⑩ ⑨ ⑧ ⑦ ⑥ ⑤ ④ ③ ② ① 5割 連結納税制度の場合についても同様に、中小 ・ 連結親法人の平成27年 4 月 1 日から平成29 法人以外の普通法人である連結親法人の連結欠 年 3 月31日までの間に開始する連結事業年度 損金の控除限度額が、次のとおり、段階的に引 ……連結欠損金額控除前の連結所得の金額の き下げられました(法法81の 9 ①一ロ、改正法 100分の65相当額 附則30②)。なお、特定連結欠損金額の控除限 ・ 連結親法人の平成29年 4 月 1 日以後に開始 度額の計算の基礎となる控除対象個別所得金額 する連結事業年度……連結欠損金額控除前の については、引き下げられていません。 連結所得の金額の100分の50相当額 連結欠損金額に係る限度超過額の計算 (参考 2 ) ○ 一号の金額(イ+ロ) ○ 二号の金額 イ 特定連結欠損金額のうち繰越控除されない部分 【改正前】 Ⓓ D A Ⓐ 個別所得 個別欠損 B C Ⓑ 個別所得 個別欠損 連結法人 A 連結法人 B 各連結法人 の合計額 イの金額 Ⓒ 個別所得 個別欠損 C B 連結法人 C 【改正前】 80% Ⓒ 左の 50% A ロ 特定連結欠損金額以外の連結欠損金額のうち、繰越控除されない部分 控除限度となる 連 結 所 得 金 額 控除対象となる 連 結 欠 損 金 額 一号の金額 A 二号の金額 Ⓓ 【改正前】 80% C B Ⓐ 連結欠 損金額 ○ 一号の金額と二号の金額との比較 特定分以外の 連結欠損金額 D 控除前連結 控除前調 所得金額 整連結所 得金額 Ⓑ 左の 50% Ⓒ Ⓒ Ⓑ Ⓑ Ⓐ 連結欠 損金額 Ⓐ 特定連結 欠損金額 = 【改正前】 C B Ⓐ 控除前連結 控除前調 各連結法人の 所得金額 整連結所 特定連結欠損 金個別控除額 得金額 の合計額 連結所 得金額 連結欠 損金額 ─ 325 ─ ロの金額 連結欠損金額に係る限度超過額 (連結欠損金額のうち繰越控除 されない部分の金額) (注) 「一号の金額<二号の金額」の場合には、連結 欠損金額に係る限度超過額は、二号の金額 ――法人税法の改正―― ⑵ 中小法人以外の法人の欠損金の控除限度額が れぞれの控除限度額とされています(法法 所得の金額となる事業年度の特例 57⑪一、58⑥一、81の 9 ⑧一) 。 今般、再建中の法人や新設法人については、 (注 2 ) いわゆる再建中の法人については、我が その再建プロセスへの影響や会社創設期におけ 国企業・産業の再生の円滑化、加速化の観 る影響に配慮して、所得の全額まで控除を認め 点から、迅速かつ確実な再建につなげるこ る特例が創設されました。 とが重要であるとされ、法人税法上も、会 すなわち、法人の欠損金の繰越控除の適用を 社更生法等の法的整理が行われる法人等に 受ける事業年度(以下「控除適用年度」といい ついて期限切れ欠損金の損金算入等により ます。)が、特例事業年度のいずれかに該当す 債務免除益への課税が実質的に免除され得 る場合には、中小法人と同様に、その控除適用 る制度が講じられ、こうした法人の早期の 年度の控除限度額は、欠損金額控除前の所得の 事業再生が図られてきたところですが、こ 金額とされました(法法57⑪二・三) 。これに のような既存の企業再生税制との制度矛盾 より、欠損金額控除前の所得の金額の65%又は が生じないためにも、また、バランスを取 50%相当額ではなく、その100%相当額までを る意味においても、再建中の法人について、 限度に欠損金額に相当する金額を損金の額に算 上記の特例を設ける必要がありました。なお、 入することとなります。 平成23年度税制改正において、欠損金の繰 ただし、特例除外事業年度である控除適用年 越控除の控除限度額が所得の金額の80%相 度にあっては、この特例の対象から除外されて 当額とされた際にも、同様に、一定の事業 いますので、その控除限度額は、原則どおり、 再生途上の法人について所得の金額の100% 欠損金額控除前の所得の金額の65%又は50%相 相当額とする経過措置が講じられています。 当額となります。 (注 3 ) 設立後間もない法人は、一般に、事業が なお、災害損失金についても同様とされまし 軌道に乗るまで収入が安定しない中、設立 た(法法58⑥二・三) 。また、連結納税制度の 投資の回収等で費用が相当程度発生するな 場合についても同様とされ、連結親法人の連結 ど、赤字に陥りやすく、また、在庫を抱え 欠損金の繰越控除の適用を受ける連結事業年度 る等により資金が不足しがちであるなど、 (以下「控除適用連結年度」といいます。 )が、 中小法人と同様にぜい弱な財務状態にあり、 特例事業年度のいずれかに該当する場合(特例 上記の特例により、極力早期に累積欠損を 除外事業年度である場合を除きます。 )には、 解消して財務基盤を改善しつつ、資金の流 その控除適用連結年度の控除限度額は、連結欠 出を抑えることで、事業拡張につなげてい 損金額控除前の連結所得の金額とされました くことが必要と考えられました。 (法法81の 9 ⑧二・三) 。 ① 再建中の法人の特例事業年度 (注 1 ) 控除適用年度終了の時において中小法人 法人の次の各事実に応じた事業年度をいい に該当する法人又は控除適用連結年度終了 ます(法法57⑪二) 。すなわち、更生手続開 の時において中小連結親法人に該当する連 始の決定があった法人等にあっては、控除適 結親法人は、本特例の対象から除外されて 用年度が次の各事実に応じた事業年度のいず いますが、これらの法人又は連結親法人は、 れかに該当する場合に限り、その控除限度額 今般の控除限度額の引下げの対象外である が欠損金額控除前の所得の金額となります。 中小法人又は中小連結親法人として、引き 災害損失金についても同様です(法法58⑥ 続き、欠損金額控除前の所得の金額又は連 二)。また、連結納税制度の場合についても 結欠損金額控除前の連結所得の金額が、そ 同様ですが、連結親法人の次の各事実に応じ ─ 326 ─ ――法人税法の改正―― た連結事業年度とされています(法法81の 9 ニ 再生計画取消しの決定の確定 ハ 法人税法第59条第 2 項に規定する政令で ⑧二) 。 イ 更生手続開始の決定があった場合におけ 定める事実が生じた場合におけるその事実 るその更生手続開始の決定の日からその更 が生じた日から同日の翌日以後 7 年を経過 生手続開始の決定に係る更生計画認可の決 する日までの期間内の日の属する事業年度 定の日以後 7 年を経過する日までの期間 (以下「更生期間」といいます。 )内の日の (連結事業年度) 「法人税法第59条第 2 項に規定する政令 属する事業年度(連結事業年度) で定める事実」とは、法人税法施行令第 ただし、更生期間内にその更生手続開始 117条に規定する事実ですが、再生手続開 の決定に係る次の事実が生じた場合には、 始の決定があった場合の特例事業年度は上 その更生手続開始の決定の日から次の事実 記ロの事業年度となりますので、 「再生手 が生じた日までの期間内の日の属する事業 続開始の決定があったこと」は、ハの対象 年度とされています(法法57⑪二イ、法令 となる事実から除かれています。具体的に 112⑮) 。つまり、次の事実により更生手続 は、次の事実をいいます(法令117二~五)。 が終了した場合には、更生期間として 7 年 イ 法人について特別清算開始の命令があ 間を確保する必然性が乏しいということで ったこと ロ 法人について破産手続開始の決定があ す。 イ その更生手続開始の決定を取り消す決 ったこと ハ 法人税法施行令第24条の 2 第 1 項に規 定の確定 定する事実 ロ 更生手続廃止の決定の確定 ニ 再生手続開始の決定があったこと及び ハ 更生計画不認可の決定の確定 ロ 再生手続開始の決定があった場合におけ イからハまでの事実に準ずる事実。ただ るその再生手続開始の決定の日からその再 し、更生手続開始の決定があったことは 生手続開始の決定に係る再生計画認可の決 除かれます。 定の日以後 7 年を経過する日までの期間 (注) 準ずる事実については、法人税法第 (以下「再生期間」といいます。 )内の日の 59条第 2 項の規定の適用における取扱 属する事業年度(連結事業年度) いと同様になるものと考えられていま ただし、再生期間内にその再生手続開始 すので、具体的には、更生手続開始の の決定に係る次の事実が生じた場合には、 決定があったこと、再生手続開始の決 その再生手続開始の決定の日から次の事実 定があったこと及びイからハまでの事 が生じた日までの期間内の日の属する事業 実以外において法律の定める手続によ 年度とされています(法法57⑪二ロ、法令 る資産の整理があったこと等となる 112⑯) 。つまり、次の事実により再生手続 (法人税法基本通達12- 3 - 1 )と思わ が終了した場合には、再生期間として 7 年 れます。 間を確保する必然性が乏しいということで すなわち、上記 1 ⑷②及び③の適用があ す。 る事実が生じた法人のその事実が生じた日 イ その再生手続開始の決定を取り消す決 から同日の翌日以後 7 年を経過する日まで 定の確定 の期間内の日の属する事業年度は、特例事 ロ 再生手続廃止の決定の確定 業年度となります。 ハ 再生計画不認可の決定の確定 ニ 法令の規定による整理手続によらない負 ─ 327 ─ ――法人税法の改正―― 債の整理に関する計画の決定又は契約の締 (注) これらは、仮装経理に基づく過大申 結で、第三者が関与する協議によるものが 告の場合の更正に伴う法人税額の還付 あった場合におけるそのあった日から同日 の特例における一定の事業再生の事実 の翌日以後 7 年を経過する日までの期間内 が生じたときの還付請求の対象となる の日の属する事業年度(連結事業年度) 事業再生の事実と、同様のものとなっ ニの対象となる事実は、更生手続開始の ていますので、その特例における取扱 決定があったこと、再生手続開始の決定が いと同様になるものと考えられていま あったこと及び法人税法第59条第 2 項に規 す。上記ハニのようなバスケットクロ 定する政令で定める事実に準ずるものです ーズに加え、このような規定が措置さ が、具体的には、次のものとされています れていることにより、法人税法第59条 (法令112⑰、法規26の 3 の 2 ③) 。 の規定の適用の有無にかかわらず、平 イ 債権者集会の協議決定で合理的な基準 成23年度税制改正において措置された により債務者の負債整理を定めているも 再建中の法人に係る控除限度額の縮減 の 等に関する経過措置(下記⑸参照)の ロ 行政機関、金融機関その他第三者のあ 対象となる事実は、もれなく、本特例 っせんによる当事者間の協議によるイに の対象となる事実になるものと考えら 準ずる内容の契約の締結 れています。 (参考 3 ) 再建中の法人の控除限度額及び対象事業年度の推移 平成 18 17 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 再生手続 再生計画 開始決定 認可決定 ⑦ ⑥ ⑤ 34 35 36 37 38 39 40 41 再生計画認可決定の日から 7 年を経過する日 (再上場等の日以後に終了する事業年度を除く。 ) 42 (年度) 7年 ④ ③ ② ① 8割 ⑦ ⑥ ⑤ ④ ③ ② ① 6.5割 ⑧ ⑦ ⑥ ⑤ ④ ③ ② ① 10割 ⑨ ⑧ ⑦ ⑥ ⑤ ④ ③ ② ① 10割 ⑨ ⑧ ⑦ ⑥ ⑤ ④ ③ ② ① 5割 ⑩ ⑨ ⑧ ⑦ ⑥ ⑤ ④ ③ ② ① 5割 なお、再建中の法人の特例事業年度につい ときは、適用することができることとされて て本特例の適用を受けるためには、確定申告 います(法法57⑬)。災害損失金についても 書、修正申告書又は更正請求書に特例事業年 同様です(法法58⑦⑧) 。また、連結納税制 度の基因となる事実が生じたことを証する書 度の場合についても、同様とされています 類の添付が必要とされています(法法57⑫) (法法81の 9 ⑨⑩)。 が、税務署長は、その書類の添付がない確定 (注 1 ) 修正申告書とは、国税通則法第19条第 申告書、修正申告書又は更正請求書の提出が 3 項に規定する修正申告書をいい、更正 あった場合においても、その添付がなかった 請求書とは、同法第23条第 3 項に規定す ことにつきやむを得ない事情があると認める る更正請求書をいいます(法法 2 三十六・ ─ 328 ─ ――法人税法の改正―― 所のほか、これに類するもので外国の法 三十七の二) 。 (注 2 ) 再建中の法人の特例事業年度に係る本 令に基づき設立されたものを含んだもの 特例は、書類添付の有無による、いわば をいいます(法令112⑭一イ)。つまり、 法人の随時選択制といえます。ただし、 東京証券取引所の市場第一部等において 上記イからハまでのとおり、法人税法第 株式が公開されたこと(売買が可能とな 59条第 1 項又は第 2 項の適用対象となる ったこと)です。 事実は、これらの特例事業年度の基因と ロ その法人の発行する株式又は出資が店 なる事実となりますので、同条の適用に 頭売買有価証券登録原簿に登録されたこ おいて別途の書類添付要件があることを と もって、同一の事実に基づき、同条のみ 店頭売買有価証券登録原簿とは、金融 又は本特例のみの適用を受けるといった 商品取引法第67条の11第 1 項の店頭売買 ことは、想定されないものと考えられて 有価証券登録原簿をいいます。つまり、 います。なお、連結納税制度の場合には、 日本証券業協会に備える店頭売買有価証 連結親法人が再建中の法人であるときに 券登録原簿に登録されて、店頭売買有価 本特例の適用がありますので、連結子法 証券となることですが、現在、日本証券 人が同条の適用を受ける場合には、同条 業協会では店頭売買有価証券市場を開設 のみの適用もあり得ます。 していないため、新たな店頭売買有価証 券市場が開設されない限り、該当する事 ② 再建中の法人の特例除外事業年度 法人の事業の再生が図られたと認められる 由は生じないこととなります(平成16年 事由が生じた場合におけるその事由が生じた 12月13日前の登録のみが該当)。 日以後に終了する事業年度とされています。 ハ その法人のその更生手続開始の決定に 具体的には、控除適用年度が上記①イからニ 係る更生計画で定められた弁済期間が満 までの事業年度のいずれに該当するかに応じ 了したこと た次の事由が生じた日以後に終了する事業年 更生計画とは、更生債権者等又は株主 度とされています(法法57⑪二、法令112⑭) 。 の権利の全部又は一部を変更する条項そ 災害損失金についても同様です(法法58⑥二、 の他の会社更生法第167条に規定する条 法令116の 2 ⑤) 。また、連結納税制度の場合 項を定めた計画等をいい(会社更生法 2 についても同様ですが、連結親法人の控除適 ②等) 、その計画等によって債務の期限 用連結年度が上記①イからニまでの連結事業 が猶予される際に定められた債務の期限 年度のいずれに該当するかに応じた次の事由 までの期間が、一般に更生計画で定めら が生じた日以後に終了する連結事業年度とさ れた弁済期間となります。したがって、 れています(法法81の 9 ⑧二、法令155の21 通常は、計画どおり債務の弁済が完了し の 2 ①) 。 た場合となりますが、計画の遂行の成否 イ 上記①イの事業年度(連結事業年度)に にかかわらない形式的な事由といえます。 あっては、その更生手続開始の決定の日以 なお、特例事業年度の基因となった更 後に生じた次の事由 生手続開始の決定に係る更生計画で定め イ その法人の発行する株式又は出資が金 られた弁済期間とされていますので、 2 融商品取引所等に上場されたこと 以上の更生手続開始の決定に係る更生計 金融商品取引所等とは、金融商品取引 画があったとしても、一方の更生計画で 法第 2 条第16項に規定する金融商品取引 定められた弁済期間の満了が、他方の更 ─ 329 ─ ――法人税法の改正―― 生手続開始の決定を基因とする特例事業 例除外事業年度の起算点となる事由(ト 年度に該当する控除適用年度における特 リガー)には該当しません。 (参考 4 ) 2 以上の特例事実が生じた場合の特例事業年度 <イメージ 1 > 7年 <イメージ 1 > 7年 ①からみると100%控除の適用不可 100%控除 ①からみると100%控除の適用不可 影響を遮断 影響を遮断 『「当該事実」に係る事業年度』と 規定することにより、100%控除で 『「当該事実」に係る事業年度』と きる事業年度とその原因となった 規定することにより、100%控除で 事実とをひも付け きる事業年度とその原因となった 事実とをひも付け 関連させる必要性 ④更生 ④手 更続 生開 手始 続の 開決 始定 の決定 ③上場 ③上場 ②更生 ②計 更画 生認 計可 画の 認決 可定 の決定 ①更生 ①手 更続 生開 手始 続の 開決 始定 の決定 100%控除 100%控除 100%控除 関連させる必要性 <イメージ 2 > 100%控除 <イメージ 2 > 100%控除 100%控除 100%控除 (50%控除) (50%控除) ③再建 ③計 再画 建で 計定 画め でら 定れ めた られた 弁済 期 弁間 済の 期終 間了 の終了 ②更生 ②手 更続 生開 手始 続の 開決 始定 の決定 ①私的 ①整 私理 的に 整よ 理る に再 よ建 る計 再建計 画の 策 画定 の策定 特例の卒業事由を特例の基 因となった事実ごとに定め 特例の卒業事由を特例の基 ることにより、③の事由が 因となった事実ごとに定め ②の事実に係る事業年度に ることにより、③の事由が 係る事由とならないように ②の事実に係る事業年度に 遮断 係る事由とならないように 遮断 【一定の私的整理の事実((株)地域経済活性化支援機構(機構)による買取決定等)が生じた場合における事業再生】 7年 【一定の私的整理の事実((株)地域経済活性化支援機構(機構)による買取決定等)が生じた場合における事業再生】 100%控除 7年 7 年(50%控除) 100%控除 (50%控除) ─ 330 ─ ⑤上場 ⑤上場 (50%控除) 7 年(50%控除) ④更生 ④計 更画 生認 計可 画の 認決 可定 の決定 ③更生 ③手 更続 生開 手始 続の 開決 始定 の決定 ②機構 ②に 機よ 構る に買 よ取 る決 買定 取等 決定等 ①機構 ①に 機よ 構る に支 よ援 る決 支定 援決定 100%控除 100%控除 ⑤は、②及 び③の 事 実 に 係 る事業の再生が図られたと ⑤は、 ②及 び③の 事 実 に 係 認められる事由にそれぞれ る事業の再生が図られたと 該当することから特例適用 認められる事由にそれぞれ が終了する 該当することから特例適用 が終了する ――法人税法の改正―― ニ その法人のその更生手続開始の決定に いずれであっても、その法人の一定の 係る更生債権の全てが債務の免除、弁済 債務負担がなくなるといった実質的な事 その他の事由により消滅したこと 由といえます。 (注) 更生債権とは、会社更生法第 2 条第 なお、特例事業年度の基因となった更 8 項に規定する更生債権、金融機関等 生手続開始の決定に係る更生債権とされ の更生手続の特例等に関する法律第 4 ていますので、 2 以上の更生手続開始の 条第 8 項に規定する更生債権及び同法 決定があったとしても、上記ハと同様に、 第169条第 8 項に規定する更生債権をい 一方の更生債権の消滅が、他方の更生手 います(法令112⑭一ニ)。 続開始の決定を基因とする特例事業年度 つまり、その法人に対する更生手続開 に該当する控除適用年度における特例除 始前の原因に基づいて生じた財産上の請 外事業年度の起算点となる事由(トリガ 求権等(更生担保権又は共益債権は除か ー)には該当しません。 れます。)が消滅し、相応する債務が事 ロ 上記①ロの事業年度(連結事業年度)に 実上なくなることです。更生計画に定め あっては、その再生手続開始の決定の日以 るところによるものか否かや完済による 後に生じた次の事由 ものか否かといった適否はありません。 イ その法人の発行する株式又は出資が金 ただし、その法人以外の者でその法人 融商品取引所等に上場されたこと の事業の更生のために債務を負担する者 ロ その法人の発行する株式又は出資が店 がその法人のその更生手続開始の決定に 頭売買有価証券登録原簿に登録されたこ 係る更生計画において明示されている場 と 合において、その者が、その更生計画に ハ その法人のその再生手続開始の決定に おいて定められている債務を負担したと 係る再生計画で定められた弁済期間が満 きは、その負担によりその者がその法人 了したこと に対して有することとなった債権及びそ 再生計画とは、再生債権者の権利の全 の更生債権の全てが債務の免除、弁済そ 部又は一部を変更する条項その他の民事 の他の事由により消滅したこととされて 再生法第154条に規定する条項を定めた います(法令112⑭一ニ) 。これは、更生 計画をいい(民事再生法 2 三)、その計 計画策定の際に予めスポンサーとなる者 画によって債務の期限が猶予される際に が決まっている場合等において、更生計 定められた債務の期限までの期間が、一 画に従ってそのスポンサーとなる者が更 般に再生計画で定められた弁済期間とな 生債権を肩代わりし(負担し) 、これに ります。したがって、通常は、計画どお 基因してその法人に対する債権をそのス り債務の弁済が完了した場合となります ポンサーとなる者が有することとなる一 が、計画の遂行の成否にかかわらない形 連の場面であり、その場合には、更生債 式的な事由といえます。 権のみならず、そのスポンサーとなる者 なお、 2 以上の再生手続開始の決定に が有することとなったその法人に対する 係る再生計画があった場合の取扱いは、 債権も消滅して、その法人のこれらに相 上記イハと同様です。 応する債務が全てなくなったことが該当 します。 ニ その法人のその再生手続開始の決定に 係る再生債権の全てが債務の免除、弁済 ─ 331 ─ ――法人税法の改正―― その他の事由により消滅したこと ロ その法人の発行する株式又は出資が店 (注) 再生債権とは、民事再生法第84条に 規定する再生債権をいいます(法令112 頭売買有価証券登録原簿に登録されたこ と ハ その法人のその特例事実に係る再建計 ⑭二ニ)。 つまり、いかなる要因かを問わず、そ 画で定められた弁済期間が満了したこと の法人に対する再生手続開始前の原因に 再建計画とは、債務処理に関する計画 基づいて生じた財産上の請求権等(共益 をいい、弁済期間とは、その法人が事実 債権又は一般優先債権は除かれます。 ) 発生前債権に係る債務の弁済をする期間 が消滅し、相応する債務が事実上なくな をいいます(法令112⑭三ハ)。したがっ ることです。 て、通常は、その再建計画どおり債務の ただし、その法人以外の者でその法人 弁済が完了した場合となりますが、再建 の事業の再生のために債務を負担する者 計画の遂行の成否にかかわらない形式的 がその法人のその再生手続開始の決定に な事由といえます。 係る再生計画において明示されている場 (注) 事実発生前債権とは、その法人に対 合において、その者が、その再生計画に する金銭債権で特例事実の発生前の原 おいて定められている債務を負担したと 因に基づいて生じたものをいいます きは、その負担によりその者がその法人 (法規26の 3 の 2 ②) 。 に対して有することとなった債権及びそ なお、 2 以上の特例事実に係る再建計 の再生債権の全てが債務の免除、弁済そ 画があった場合の取扱いは、上記イハと の他の事由により消滅したこととされて 同様です。 います(法令112⑭二ニ) 。これは、上記 ニ その法人のその特例事実に係る事実発 イニと同様の場面であり、その場合には、 生前債権の全てが債務の免除、弁済その 再生債権のみならず、スポンサーとなる 他の事由により消滅したこと 者が有することとなったその法人に対す つまり、いかなる要因かを問わず、事 る債権も消滅して、その法人のこれらに 実発生前債権が消滅し、相応する債務が 相応する債務が全てなくなったことが該 事実上なくなることです。 当します。 ただし、その法人以外の者でその法人 いずれであっても、実質的な事由とい の事業の再生のために債務を負担する者 えます。 がその法人のその特例事実に係る再建計 なお、 2 以上の再生手続開始の決定が 画において明示されている場合において、 あった場合の取扱いは、上記イニと同様 その者が、その再建計画において定めら です。 れている債務を負担したときは、その負 ハ 上記①ハ又はニの事業年度(連結事業年 担によりその者がその法人に対して有す 度)にあっては、上記①ハイからニまでの ることとなった債権及びその事実発生前 事実又は上記①ニの計画の決定若しくは契 債権の全てが債務の免除、弁済その他の 約の締結(以下「特例事実」といいます。 ) 事由により消滅したこととされています (法令112⑭三ニ)。これは、上記イニと が生じた日以後に生じた次の事由 イ その法人の発行する株式又は出資が金 同様の場面であり、その場合には、事実 発生前債権のみならず、スポンサーとな 融商品取引所等に上場されたこと ─ 332 ─ ――法人税法の改正―― る者が有することとなったその法人に対 います(法令112⑭三、法規26の 3 の 2 ①) 。 する債権も消滅して、その法人のこれら すなわち、本特例の対象となった法人が、 に相応する債務が全てなくなったことが その後、金融商品取引所への再上場に至った 該当します。 場合等、上記イからハまでの事由が生じた場 いずれであっても、実質的な事由とい 合には、再建がかなりの程度進んでおり、も えます。 はや配慮する必要に乏しいと考えられること なお、 2 以上の特例事実が生じた場合 から、これらをいわば本特例の卒業事由とし の取扱いは、上記イニと同様です。 て、卒業事由が生じた日以後の事業年度は特 また、特例事実が再生支援によるもので 例の対象とはせず、原則どおりの控除制限 ある場合には、その特例事実が生じた日以 (欠損金額控除前の所得の金額の50%等)を 後に生じた上記イの事由、上記ロの事由又 適用することとされているものです。 はその法人のその再生支援に係る全ての業 なお、控除適用年度が、 2 以上の特例事業 務が完了したこととされています(法令 年度に該当するとしても、各特例事業年度の 112⑭三) 。つまり、株式会社地域経済活性 基因となる事実に応じた卒業事由がある前提 化支援機構又は株式会社東日本大震災事業 とされています(法令112⑭)ので、一方の 者再生支援機構が関与する特例事実のうち 特例事業年度に係る卒業事由が、他方の特例 再生支援によるものについては、その再生 事業年度に該当する控除適用年度における特 支援における法令上のこれらの機構の果た 例除外事業年度の起算点となる卒業事由(ト すべき役割、再生に係る特別な枠組み等を リガー)には該当しません。 踏まえ、上記ハ又はニのような弁済期間の (参考) 該当の有無については、上記の「 (参考 満了や債務の完済等といった事由をもって 4 ) 2 以上の特例事実が生じた場合の特例 直ちに特例除外事業年度の起算点となる事 事業年度」をご参照ください。 由(トリガー)とはせずに、これらの機構 ③ 新設法人の特例事業年度 が、その再生支援の対象である認定事業者 法人の設立の日から同日以後 7 年を経過す に対する業務を完了する意思決定をしたこ る日までの期間内の日の属する事業年度(以 とをもって、そのトリガーとするものです。 下「設立以後 7 年内事業年度」といいます。) なお、上記イ及びロの事由にあっては、こ をいいます(法法57⑪三) 。すなわち、新設 れらの機構の関与の有無にかかわらず、普 法人にあっては、控除適用年度が設立以後 7 遍的なトリガーと考えられています。 年内事業年度に該当する場合に限り、その控 (注) 再生支援とは、①株式会社地域経済活 除限度額が欠損金額控除前の所得の金額とな 性化支援機構法第24条第 1 項に規定する ります。災害損失金についても同様とされて 再生支援のうち、同法第28条第 1 項に規 います(法法58⑥三)。 定する買取決定又は同法第31条第 1 項に その法人が合併法人等に該当する場合にお 規定する出資決定が行われるもの、②株 けるその法人の設立以後 7 年内事業年度の起 式会社東日本大震災事業者再生支援機構 算日となる設立の日は、次のとおり、その被 法第18条第 1 項に規定する再生支援のう 合併法人等の設立の日が加味された日とされ ち、同法第22条第 1 項に規定する買取決 ています(法法57⑪三、58⑥三、法令112⑱、 定又は同法第25条第 1 項に規定する出資 116の 2 ⑥)。 決定が行われるもののいずれかとされて イ その法人が合併法人である場合……その ─ 333 ─ ――法人税法の改正―― 合併法人とその合併に係る被合併法人の設 ととされています(法令112⑱五)が、今 立の日のうち最も早い日 後必要に応じて措置するものとして規定 ロ その法人が分割承継法人である場合…… その分割承継法人とその分割に係る分割法 されているものですので、現行において、 該当する場合はありません。 また、連結納税制度の場合についても同様 人の設立の日のうち最も早い日 (注) 分割により分割法人が行っていた事業 とされており、控除適用連結年度がその連結 を移転し、分割承継法人がその分割によ 親法人の設立の日から同日以後 7 年を経過す りその事業の移転を受け、かつ、その事 る日までの期間内の日の属する連結事業年度 業を引き続き行う場合に限られています に該当する場合には、その控除限度額が連結 欠損金額控除前の連結所得の金額となります (法令112⑱二)。 ハ その法人が被現物出資法人である場合 (法法81の 9 ⑧三、法令155の21の 2 ⑤)。 ……その被現物出資法人とその現物出資に なお、本特例の対象となる新設法人は、普 係る現物出資法人の設立の日のうち最も早 通法人に限ることとされるとともに、控除適 い日 用年度終了の時において上記 1 ⑴(注)の①イ (注) 現物出資により現物出資法人が行って 若しくはロの大法人との間にその大法人によ いた事業を移転し、被現物出資法人がそ る完全支配関係がある普通法人等に該当する の現物出資によりその事業の移転を受け、 法人又は控除適用連結年度終了の時において かつ、その事業を引き続き行う場合に限 上記 1 ⑶(注)の①イ若しくはロの大法人との られています(法令112⑱三)。 間にその大法人による完全支配関係がある普 ニ その法人との間に、その法人による完全 通法人等に該当する連結親法人及び株式移転 支配関係又は一の者との間に当事者間の完 完全親法人は、この新設法人から除外されて 全支配関係がある法人相互の関係がある他 います(法法57⑪三、58⑥三、81の 9 ⑧三)。 の内国法人で、その法人がその発行済株式 (注 1 ) 普通法人からは、投資法人、特定目的 又は出資の全部または一部を有するものの 会社及び法人課税信託の受託者である法 残余財産が確定した場合……その内国法人 人(その受託者である個人を含みます。 ) 0 0 0 0 0 0 とその他の内国法人の設立の日のうち最も が除かれています(法法57⑪一イ、81の 早い日 9 ⑧一イ、 4 の 7 )。 ホ その法人が特別の法律に基づく承継を受 (注 2 ) これらの法人又は連結親法人は、大法 けた法人である場合……その承継に係る被 人の傘下にあって、中小法人と同様にぜ 承継法人の設立の日 い弱な財務状態にあるとは必ずしもいい (注) 上記のほか、同様の特別な承継を受け きれず、また、実質的に新設とはいえな た法人等を念頭に、その法人が財務省令 いなど、配慮する必要に乏しいと考えら で定める法人に該当する場合について、 れます。なお、中小法人に該当するもの 財務省令で定める日を設立以後 7 年内事 については、上記⑵(注 1 )のとおりです。 業年度の起算日となる設立の日とするこ ─ 334 ─ ――法人税法の改正―― (参考 5 ) 新設法人の控除限度額及び対象事業年度の推移 平成 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 設立の日から 7 年を経過する日 (上場等の日以後に終了する事業年度を除く。) 新設 ① 10割 ② ① 10割 ③ ② ① 10割 ④ ③ ② ① 10割 ⑤ ④ ③ ② ① 10割 ⑥ ⑤ ④ ③ ② ① 10割 ⑦ ⑥ ⑤ ④ ③ ② ① 10割 ⑧ ⑦ ⑥ ⑤ ④ ③ ② ① 5割 ⑨ ⑧ ⑦ ⑥ ⑤ ④ ③ ② ① 5割 ⑩ ⑨ ⑧ ⑦ ⑥ ⑤ ④ ③ ④ 新設法人の特例除外事業年度 ② ① 42 (年度) 5割 た、法人税に係る純損失等の金額の更正の 法人に次の事由のいずれかが生じた場合に 請求期限は法定申告期限から10年とされま おけるその事由が生じた日のうち最も早い日 した(通法23①)。詳細については、後掲の 以後に終了する事業年度とされています(法 「国税通則法等の改正」をご参照ください。 法57⑪三、法令112⑲) 。災害損失金について ② 上記①の繰越期間の延長に伴い、青色欠損 も同様です(法法58⑥三、法令116の 2 ⑦) 。 金、災害損失金及び連結欠損金の帳簿書類保 また、連結納税制度の場合において連結親法 存要件における保存期間が、10年(改正前: 人に次の事由のいずれかが生じたときについ 9 年)に延長されました(法規26の 3 ①、26 ても同様とされています(法法81の 9 ⑧三、 の 5 ①、37の 3 の 2 ①)。 法令155の21の 2 ⑥) 。 イ その法人の発行する株式又は出資が金融 ⑷ 民事再生等による債務免除等があった場合 (一定の評定を行わない場合)の期限切れ欠損 商品取引所等に上場されたこと ロ その法人の発行する株式又は出資が店頭 金の損金算入(上記 1 ⑷③)との調整 ① 青色欠損金等の控除前の所得の金額が債務 売買有価証券登録原簿に登録されたこと 免除等による利益の額の合計額を超える場合 ⑶ 欠損金の繰越期間の延長等 に、損金算入限度額をその青色欠損金等の控 ① 青色欠損金、災害損失金及び連結欠損金の 除後の所得の金額からその超える部分の金額 繰越期間が、10年(改正前: 9 年)に延長さ の20%相当額を控除した金額とする調整が廃 れました(法法57①、58①、81の 9 ①) 。 止されました(法法59②)。 (注) これに伴い、法人税に係る純損失等の金 損金算入限度額の調整は、上記 1 ⑷③の適 額についての更正の期限が、法定申告期限 用を受ける事業年度において、債務免除等を から10年に延長されました(通法70②)。ま 受けた金額の合計額を超える所得の金額があ ─ 335 ─ ――法人税法の改正―― る場合には、その超える部分の所得の金額に その損金算入額のうち青色欠損金額等から成 ついて、欠損金の繰越控除における控除制限 る部分の金額をないものとする調整が廃止さ (改正前:欠損金額控除前の所得の金額の80 れました(法法57⑤、58③)。 %相当額)の適用がある場合との課税の公平 上記 1 ⑷③の制度により所得の金額の計算 を図るものでしたが、上記⑵により、本制度 上損金の額に算入される金額がある事業年度 の適用がある法人は欠損金の繰越控除の控除 (以下「適用事業年度」といいます。)後の各 限度額が欠損金額控除前の所得の金額とされ 事業年度においては、適用事業年度開始の日 たことから、その調整が不要となったもので 前 9 年以内に開始した各事業年度において生 す。 じた欠損金額(以下「期限内欠損金額」とい (注) 本制度による期限切れ欠損金の損金算入 います。)のうちその損金の額に算入される の順序が、会社更生等による債務免除等が 金額から成る部分の金額は、青色欠損金額及 あった場合の期限切れ欠損金の損金算入(法 び災害損失欠損金額からないものとすること 法59①等のいわゆる期限切れ欠損金の優先 とされていました(旧法法57⑤、58③)が、 控除制度)におけるそれと順序が異なるこ 上記⑵により、本制度の適用がある法人は欠 とにより生じていたアンバランスを解消す 損金の繰越控除の控除限度額が欠損金額控除 るため、平成25年度税制改正において措置 前の所得の金額とされたことから、適用事業 されたものですが、再建中の法人の特例が 年度後においては期限内欠損金額が全てなく 講じられたことで、今後は、そうしたアン なっており、そのないものとする調整が不要 バランスも生じなくなります。 となったものです。 ② 上記 1 ⑷③の制度により所得の金額の計算 なお、上記 1 ⑷①及び②については、引き 上損金の額に算入される金額がある事業年度 続き、青色欠損金額等からないものとする調 後の各事業年度における青色欠損金額等から 整が行われます。 (参考 6 ) 民事再生等による債務免除等があった場合の欠損金の損金算入 <イメージ>民事再生等における青色欠損金の損金算入と期限切れ欠損金の損金算入の順序 控除前所得金額 設立当初から の欠損金 ❶所得の 8 割制限適用 ❷期限切れ欠損金の損金算入適用 当期の所得金額 6 その他の所得金額 30 100 債務免除益 70 青色欠損金 90 期限切れ 欠損金 50 【改正前】 損金算入 80 20 青色欠損金 80 10 期限切れ 欠損金 50 【改正後】 ❶所得金額(注 2 )適用 (注 1 ) 更生手続開始の決定等があった場合 と期限切れ欠損金の控除順序が違うこと で所得の金額に差異を生じさせないため の調整規定 (注 2 ) 再生手続開始の決定等があった場合 には、その決定等の日から再生計画認可 の決定等の日以後 7 年を経過する日まで の期間内の日の属する各事業年度におけ る欠損金の控除限度額は、所得金額にな る。 損金算入 90 青色欠損金 90 10 期限切れ 欠損金 50 ─ 336 ─ 6 14 債務免除益 青色欠損金控除後所得- その他の所得金額 ×20% 70 > 20-30×20%=14 ⇒ 控除限度額14(注 1) 青色欠損金から ないものとされ る金額 10 46 4 ❷期限切れ欠損金の損金算入適用 10 債務免除益 青色欠損金控除後所得 70 > 10 ⇒ 控除限度額10 10 40 期限切れ 欠損金残額 当期の所得金額 0 ※❶の損金算入限度額 が所得金額になるた め、❷の時点で青色 欠損金からないもの とされる金額は存在 しない 期限切れ 欠損金残額 ――法人税法の改正―― ③ 連結欠損金額控除前の個別所得金額が債務 ⑸ 平成23年度改正における控除限度額の縮減等 免除等による利益の額の合計額を超える場合 に関する経過措置 の損金算入限度額が、連結欠損金額控除後の 平成24年 4 月 1 日前に更生手続開始の決定が 個別所得金額からその超える部分の金額の50 あったこと等一定の事実が生じた法人の同日以 %(改正前:20%)相当額を控除した金額と 後最初に開始する事業年度からその事実の区分 されました(法令155の 2 ①二) 。ただし、連 に応じた一定の日以後 7 年を経過する日の属す 結親法人事業年度が平成27年 4 月 1 日から平 る事業年度までの各事業年度(以下「経過措置 成29年 3 月31日までの間に開始する連結事業 適用年度」といいます。)について、欠損金の 年度においては、損金算入限度額は、連結欠 控除限度額を、従来どおり欠損金額控除前の所 損金額控除後の個別所得金額からその超える 得の金額とする経過措置が設けられていました 部分の金額の35%相当額を控除した金額とさ (旧平成23年12月所法等改正法附則14②~④、 れています(改正法令附則10②) 。 旧平成23年12月改正法令附則 6 ③)が、上記⑵ すなわち、連結納税制度の場合については、 のとおり、同様の制度である再建中の法人の特 連結親法人が上記 1 ⑷③の制度の適用がある 例事業年度における欠損金の控除限度額を欠損 場合にのみ上記①及び②と同様の状況にあり、 金額控除前の所得の金額とする特例が本則化さ 連結子法人のみが同制度の適用を受ける際に れましたので、これに統合することとし、本経 は、優先控除を適用する場合とのバランス上、 過措置は廃止されました。 引き続き損金算入限度額の調整が必要となり 本経過措置の対象であった法人については、 ます。このため、上記⑴の改正後の適用に合 引き続き、欠損金額控除前の所得の金額まで欠 わせて、その個別所得金額から控除すべき金 損金の繰越控除が可能になりますが、上記⑵② 額を、その超える部分の金額の35%(100- の再建中の法人の特例除外事業年度に該当する 65)相当額又は50%(100-50)相当額とす 控除適用年度においては、上記⑵の特例の適用 る改正が行われました。なお、連結子法人が がありませんので、原則どおり、欠損金額控除 上記 1 ⑷③の制度の適用を受ける際に、期限 前の所得の金額の65%又は50%相当額が控除限 内欠損金額に相当する連結欠損金額が全てな 度額となります。 くなっているとは限らないことから、上記② なお、連結納税制度の場合についても、同様 と異なり、その適用後の連結事業年度におい とされています(旧平成23年12月所法等改正法 て連結欠損金額から同制度による損金算入相 附則22②~④、旧平成23年12月改正法令附則14 当額をないものとする調整を引き続き存置す ④) 。 る必要がありますので、その調整規定につい て、改正は行われていません。 ─ 337 ─ ――法人税法の改正―― (参考 7 ) 欠損金の繰越等に関する経過措置の廃止・統合 平成 17 【改正前の制度】 18 19 20 21 22 23 24 25 再生手続 再生計画 開始決定 認可決定 ⑦ ⑥ ⑦ ⑤ ⑥ ⑦ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ 【改正後】 26 27 28 29 30 31(年度) 17 18 19 20 再生計画認可決定の日 から 7 年を経過する日 ① 10割 ② ① 10割 ③ ② ① 10割 ④ ③ ② ① 10割 ⑤ ④ ③ ② ① 10割 ⑥ ⑤ ④ ③ ② ① 10割 ⑦ ⑥ ⑤ ④ ③ ② ① 5割 21 22 23 24 ⑦ ⑥ ⑦ ⑤ ⑥ ⑦ 原則 ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ 26 27 ⑦ ⑥ ⑦ ⑤ ⑥ ⑦ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ 28 29 30 31 (年度) 再生計画認可決定の日 から 7 年を経過する日 ① 10割 ② ① 10割 ③ ② ① 10割 ④ ③ ② ① 10割 ⑤ ④ ③ ② ① 10割 ⑥ ⑤ ④ ③ ② ① 10割 ⑦ ⑥ ⑤ ④ ③ ② ① 5割 再生手続 再生計画 開始決定 認可決定 株式の上場等が生じた場合 25 再生手続 再生計画 開始決定 認可決定 上場 再生計画認可決定の日 から 7 年を経過する日 ① 10割 ② ① 10割 ③ ② ① 10割 ④ ③ ② ① 6.5割 ⑤ ④ ③ ② ① 6.5割 ⑥ ⑤ ④ ③ ② ① 5割 ⑦ ⑥ ⑤ ④ ③ ② ① 5割 附則 2 ③)。 4 適用関係 (参考) 適用関係を踏まえた繰越期間の延長のイ ⑴ 上記 3 ⑴、⑵及び⑷の改正は、法人の平成27 メージについては、上記の「 (参考 1 )控除 年 4 月 1 日以後に開始する事業年度の所得に対 限度額及び対象事業年度の推移」をご参照 する法人税について適用し、法人の同日前に開 ください。 始した事業年度の所得に対する法人税について ⑶ 上記 3 ⑸の改正は、法人の平成27年 4 月 1 日 は、従前どおりとされています(改正法附則 前に開始した経過措置適用年度の所得に対する 21)。連結納税制度の場合についても、同様と 法人税については、従前どおりとされています されています(改正法附則21、 改正法令附則10 (改正法附則111) 。すなわち、経過措置適用年 ①)。 度であっても、同日以後に開始する事業年度は、 ⑵ 上記 3 ⑶の改正は、法人の平成29年 4 月 1 日 上記 3 ⑵の特例の適用を受けることとされてい 以後に開始する事業年度において生じた欠損金 ますので、既に金融商品取引所への再上場に至 額について適用し、法人の同日前に開始した事 っている法人などは、原則どおり、欠損金額控 業年度において生じた欠損金額については、従 除前の所得の金額の65%相当額が控除限度額と 前どおりとされています(改正法附則27①、改 なります。 正法規附則 2 ①)。連結欠損金についても、同 なお、連結納税制度の場合についても、同様 様とされています(改正法附則30①、改正法規 とされています(改正法附則111)。 四 受取配当等の益金不算入 についてはその全額を、完全子法人株式等及び関 1 改正前の制度の概要 係法人株式等のいずれにも該当しない株式等に係 受取配当等の益金不算入制度は、法人が受ける る配当等の額についてはその50%相当額を益金の 次の配当等の額のうち、完全子法人株式等に係る 額に算入しないというものです。連結納税制度の 配当等の額及び関係法人株式等に係る配当等の額 場合についても、同様とされています(法法23①、 ─ 338 ─ ――法人税法の改正―― 81の 4 ①) 。 ない金額は、その支払う負債の利子の額のうちそ ⑴ 剰余金の配当若しくは利益の配当又は剰余金 の株式等に係る部分の金額を控除した金額の50% 相当額となります(法法23④、81の 4 ④、法令22、 の分配の額 ⑵ 資産の流動化に関する法律第115条第 1 項に 規定する金銭の分配の額 155の 8 )。 (注) 控除する負債の利子の額は、次の算式によっ ⑶ 公社債投資信託以外の証券投資信託の収益の て計算します。 分配の額のうち、内国法人から受ける上記⑴の ⑴ 関係法人株式等に係る負債の利子の額 金額から成るものとして計算した金額(収益の 【負債利子控除割合】 当期末及び前期末の期末関係 法人株式等の帳簿価額の合計 額 分配の額の 2 分の 1 又は 4 分の 1 の金額) があった他の内国法人(公益法人等及び人格 当期に支 払う負債 × の利子の 当期末及び前期末の総資産の 額 帳簿価額の合計額 のない社団等を除きます。以下同じです。)の ⑵ 完全子法人株式等及び関係法人株式等のい 株式又は出資で一定のものをいいます(法法 ずれにも該当しない株式等(その他株式等) 23⑤、法令22の 2 )。 に係る負債の利子の額 (注 1 ) 完全子法人株式等とは、配当等の額の計算 期間を通じて内国法人との間に完全支配関係 【負債利子控除割合】 当期末及び前 期末の証券投 当期末及び前 資信託の受益 期末のその他 + 権の帳簿価額 株式等の帳簿 の1/2又 は 価額の合計額 当期に支 1/4 払う負債 × の利子の 当期末及び前期末の総資産の 額 帳簿価額の合計額 (注 2 ) 関係法人株式等とは、内国法人が他の内国 法人の発行済株式又は出資(他の内国法人が 有する自己の株式又は出資を除きます。)の総 数又は総額の25%以上に相当する数又は金額 の株式又は出資を有する一定の場合における 他の内国法人の株式又は出資で、完全子法人 株式等以外のものをいいます(法法23⑥、法 なお、負債利子控除割合については、簡便法と 令22の 3 )。 (注 3 ) 短期所有株式等に係る配当等の額(基準日 して基準年度(平成22年 4 月 1 日から平成24年 3 以前 1 月以内取得及び基準日後 2 月以内譲渡 月31日までの間に開始した各事業年度)の負債の をした株式等に係る配当等の額をいいます。) 利子の額のうちに占める関係法人株式等に係る負 及び発行法人取得予定株式等に係るみなし配 債の利子の額又はその他株式等に係る負債の利子 当等の額(自己株式の取得が予定される株式 の額の割合を使用する方法も認められています 等を取得した場合におけるその自己株式取得 (法令22⑤)。ただし、連結法人については、簡便 事由によるみなし配当等の額をいいます。)に ついては、本制度は適用されず、その全額が 益金の額に算入されます(法法23②③、81の 法の適用はできません。 2 改正の趣旨及び概要 平成27年度税制改正においては、法人課税を成 4 ②③)。 ただし、当該事業年度において支払う負債の利 長志向型の構造に変えることを目指し、課税ベー 子の額がある場合には、関係法人株式等に係る配 スを拡大しつつ税率を引き下げる法人税改革が実 当等の額のうち益金の額に算入しない金額は、そ 施されました。このうち課税ベースの拡大等は、 の支払う負債の利子の額のうちその株式等に係る 単に財源の確保に留まるものではなく、一部の黒 部分の金額を控除した金額となり、完全子法人株 字企業に税負担が偏っている状況を是正し、広く 式等及び関係法人株式等のいずれにも該当しない 負担を分かち合う構造へと改革していくものです。 株式等に係る配当等の額のうち益金の額に算入し 受取配当等の益金不算入制度は、元々、配当を ─ 339 ─ ――法人税法の改正―― 支払う法人の段階で既に法人税が課されているこ について、負債利子がある場合のその負債利子 とに着目して、その二重課税を避ける観点から、 を控除する対象となる株式等から除外すること そうした内国法人の配当を受け取る法人の段階で とされました。なお、この改正に併せて、損害 はその配当の額を益金不算入とするものでしたが、 保険会社の受取配当等の益金不算入等の特例は、 累次の改正を経た改正直前においては、持株比率 廃止することとされました。 が低い株式等に係る配当等については二重課税を ⑷ 上記⑴及び⑵の改正に伴い、青色申告書を提 完全には調整せず、課税を行っています。すなわ 出する保険会社が受ける上記⑴の非支配目的株 ち、持株比率が25%以上の株式等に係る配当等に 式等に係る配当等の額については、上記⑴にか ついては、経営形態の選択や企業グループの構成 かわらず、その配当等の額の40%相当額を益金 に税制が影響を及ぼすことがないよう100%益金 の額に算入しないこととされました。 不算入とする一方、それ以外の株式等に係る配当 ⑸ 上記⑴及び⑶の改正に伴い、負債利子がある 等については、他の投資機会とのバランスも考慮 場合の上記⑴の関連法人株式等に係る負債利子 して50%益金不算入とされていました。こうした 控除割合の計算について所要の整備が行われる 仕組みは、諸外国において散見されます。 とともに、その負債利子控除割合の簡便法の基 今般の法人税改革における見直しは、こうした 準日を平成27年 4 月 1 日とし、基準年度を同日 従来の考え方を受け継いだ上で、持株比率が高い から平成29年 3 月31日までの間に開始する事業 支配目的の株式等とそれ以外の株式等との違いを 年度とすることとされました。 より一層明確化し、特に、支配目的が乏しい株式 なお、上記の法人税改革における見直しのほか、 等に係る配当等については、他の投資機会との選 投資法人の金銭の分配に係る所要の改正が行われ 択に税制がバイアスを与えないようにする観点か ています。詳細は、後述の「六 その他」の「 3 ら、課税を適正化するものといえます。 受取配当等の益金不算入及びみなし配当等の 具体的には、法人税改革の一環として、次のと 額」をご参照ください。 おり制度が見直されました。連結納税制度の場合 についても、同様とされています。 ⑴ 益金不算入の対象となる株式等の区分及びそ 3 改正の内容 ⑴ 益金不算入の対象となる配当等の額 の配当等の額の益金不算入割合が次のとおりと 公社債投資信託以外の証券投資信託の収益の されました。 分配の額について、純粋な投資商品であること ① 完全子法人株式等……100% に着目して、本制度の対象となる配当等の額か ② 関連法人株式等………100% ら除外されました(旧法法23①三、旧法令19、 ③ その他株式等………… 50% 旧法規 8 の 4 ) 。これにより、公社債投資信託 ④ 非支配目的株式等…… 20% 以外の証券投資信託の収益の分配の額について ⑵ 公社債投資信託以外の証券投資信託の収益の は、その全額を益金の額に算入することとなり 分配の額(上記 1 ⑶の金額)については、本制 ます。 度の対象となる配当等の額から除外され、その ただし、外国株価指数連動型特定株式投資信 全額を益金の額に算入することとされました。 託以外の特定株式投資信託(以下「ETF」と ただし、特定株式投資信託のうち一定のものの いいます。)の収益の分配の額については、そ 収益の分配の額については、上記⑴の非支配目 の受益権を株式又は出資(以下「株式等」とい 的株式等として、その収益の分配の額の20%相 います。)と同様に扱うこととされ、引き続き 当額を益金の額に算入しないこととされました。 ⑶ 上記⑴のその他株式等及び非支配目的株式等 本制度の対象となる配当等の額とされています (措法67の 6 )。 ─ 340 ─ ――法人税法の改正―― (注) 特定株式投資信託とは、その信託財産を株 る配当等の額の計算期間の初日からその計算期 式のみに対する投資として運用することを目 間の末日まで引き続き有している場合における 的とする証券投資信託のうち、その受益権が その他の内国法人の株式等で、完全子法人株式 上場されていること等の要件に該当するもの 等以外のものとされています(法法23⑥、81の をいいます(措法 3 の 2 )。そして、その受益 4 ⑥、法令22の 3 ①、155の10①)。したがって、 証券(受益権)と現物の株式との交換が可能 計算期間のうち一時的にでも発行済株式等の総 であること等から、これまでも株式と同様と 数又は総額の 3 分の 1 以下の数又は金額であっ され、その収益の分配の額について上記 1 ⑴ た他の内国法人の株式等にあっては、この関連 の配当等の額として扱われてきたところ、今 法人株式等には該当せず、下記⑷のその他株式 般の改正後も、そうした特性を踏まえ、これ 等又は下記⑸の非支配目的株式等に該当するこ までどおり本制度の対象とされたものです。 とになります。 なお、外国株価指数連動型特定株式投資信託 0 0 0 0 0 0 (注 1 ) 「他の内国法人」からは、公益法人等及び とは、特定株式投資信託のうちその信託財産 人格のない社団等が除かれています。 を外国株価指数に採用されている銘柄の外国 (注 2 ) 「発行済株式等」とは、上記他の内国法人 法人の株式に投資を行うものをいいます(措 の発行済株式又は出資をいい、その他の内 法 9 ①三)ので、これまでどおり、本制度の 国法人 が有する自己の株式又は出資を除い 対象外とされています。 たものです。 0 0 0 0 0 0 ① 計算期間 ⑵ 株式等の区分 計算期間とは、その配当等の額の支払を受 株式等の区分について、支配目的の株式等と ける直前にその配当等の額を支払う他の内国 支配目的の乏しい株式等とを一層明確化し、益 法人により支払われた配当等の額(適格現物 金不算入額の適正化等を図る観点から、本制度 分配に係るものを含みます。)の支払に係る の対象となる配当等の額を、その元本である株 基準日の翌日からその支払を受ける配当等の 式等につき①完全子法人株式等、②関連法人株 額(今回の配当等の額)の支払に係る基準日 式等、③その他株式等及び④非支配目的株式等 までの期間をいいます(法令22の 3 ②、155 に応じて 4 つに区分することとされました(法 の10②)。なお、この計算期間の起算日につ 法23①、81の 4 ①) 。すなわち、配当等の額の いては、次のイからハまでの調整を行うこと うち益金の額に算入しない金額は、これらの区 とされています(法令22の 3 ②一~三、155 分に応じて算出することとなります。 の10②一~三)。また、その支払を受ける配 なお、「完全子法人株式等」について、規定 当等の額が、自己株式の取得によるみなし配 の整備が行われていますが、その範囲及び益金 当の額など、資本の払戻し以外の事由による の額に算入しない金額は、実質的に従前と変わ 配当等の額とみなされる金額である場合には、 っていません(法法23①、81の 4 ①、法令22の その支払に係る効力が生ずる日の前日までの 2 、155の 9 ) 。 期間が計算期間となります。 (注 1 ) すなわち、 「配当等の額の支払に係る効 ⑶ 関連法人株式等 力が生ずる日(=効力発生日) 」を判定の 関連法人株式等は、内国法人が、他の内国法 起算日とし、「効力発生日以前 6 月間」を 人の発行済株式等の総数又は総額の 3 分の 1 を 継続保有の期間とする関係 法人株式等と 0 0 0 0 0 0 0 0 は異なり、関連法人株式等の判定におい 0 0 0 0 0 0 ては、その判定の起算日を「その配当等 超える数又は金額のその他の内国法人の株式等 を、その内国法人がその他の内国法人から受け ─ 341 ─ ――法人税法の改正―― に係る基準日」とし、継続保有の期間を 設立の日以後最初に支払われる配当等の額 「その配当等に係る基準日の直前の基準日 である場合(ハの場合を除きます。)には、 の翌日からその配当等に係る基準日まで その 6 月前の日の翌日を起算日とします。 の期間(=計算期間)」とするものですが、 ロ 今回の配当等の額がその支払に係る基準 ①今般の改正の趣旨を踏まえるとその配 日以前 6 月以内に設立された他の内国法人 当等の原資となる利益を生み出す期間と からその設立の日以後最初に支払われる配 支配関係を密接に捉える必要性が高いこ 当等の額である場合(ハの場合を除きま と、②必ず配当等の支払決定日(通常は す。)には、その設立の日を起算日としま 総会決議日)前となる基準日の方が効力 す。 発生日に比べ操作性が低く判定の起算日 ハ 今回の配当等の額がその元本である株式 としてはより適正であること、③非支配 等を発行した他の内国法人からその支払に 目的株式等の判定の日が基準日とならざ 係る基準日以前 6 月以内に取得した株式等 るを得ないことから関連法人株式等の判 につきその取得の日以後最初に支払われる 定の起算日を効力発生日とした場合には 配当等の額である場合には、その取得の日 これらの重複排除のため煩雑な仕組みが を起算日とします。 必要となる懸念があること等を踏まえ、 (注) 他の内国法人からの取得は、新規発行 同様の要請に基づく完全子法人株式等の によるか自己株式の処分によるかを問い 判定に倣ったものです。 ません。また、組織再編成によるものも 0 0 (注 2 ) 関係 法人株式等の判定においては、発 行済株式等の25%以上の株式等をその支 含まれます。 ② 保有期間の判定等に係る調整 払に係る効力が生ずる日以前 6 月以上引 次の場合における関連法人株式等の判定に き続き有している場合のほか、株式移転 ついては、関係法人株式等の判定と同様に、 完全親法人であった法人が、その株式移 それぞれ次のとおりとされています(法令22 転に係る株式移転完全子法人であった他 の 3 ③④、155の10①③)。 0 0 0 0 の内国法人の発行済株式(その他の内国 0 0 0 0 イ 内国法人が適格合併等の組織再編成によ 法人が有する自己の株式を除きます。)の り被合併法人等(その内国法人との間に連 25%以上の株式を、その株式移転による 結完全支配関係があるものを除きます。 ) その法人の設立の日から同日以後最初に から他の内国法人の発行済株式等の総数又 その株式に係る剰余金の配当の額の支払 は総額の 3 分の 1 を超える数又は金額の株 に係る効力が生ずる日まで引き続き有し 式等の移転を受けた場合 0 0 ている場合についても、関係 法人株式等 その被合併法人等が他の内国法人の株式 に該当するものとされていました(旧法 等を有していた期間は、内国法人がその株 令22の 3 ①二、155の10①二)が、関連法 式等を有していた期間とみなされます。 人株式等の判定においては、こうした特 ロ 内国法人が連結法人である場合 その内国法人との間に連結完全支配関係 例は設けられていません。 イ 直前の配当等の額の支払に係る基準日の 翌日が今回の配当等の額の支払に係る基準 日から起算して 6 月前の日以前の日である がある他の連結法人を含めて、その連結グ ループ全体で判定することとされています。 ③ 益金不算入額 場合又は今回の配当等の額がその 6 月前の 関連法人株式等に係る配当等の額について 日以前に設立された他の内国法人からその は、その全額が益金の額に算入しないことと ─ 342 ─ ――法人税法の改正―― されました(法法23①、81の 4 ①) 。 また、その株式等を発行した他の内国法人 ただし、当該事業年度において支払う負債 が、上記 6 月前の日の翌日後に設立された法 の利子の額がある場合には、その支払う負債 人である場合には、その設立の日を計算期間 の利子の額のうち関連法人株式等に係る部分 の初日として判定することとされています。 の金額を、その配当等の額から控除すること すなわち、計算期間(又は基準日以前 6 月 とされています(法法23④、81の 4 ④、法令 間)ではなく、原則、その配当等の額の支払 22、155の 8 ) 。この場合に控除することとな を受ける法人の当期又は前期の期末日以前 6 る負債の利子の額(関連法人株式等に係る部 月の期間を通じて、その配当等の額を支払う 分の金額)は、次の算式によって計算します。 他の内国法人の発行済株式等の総数又は総額 なお、簡便法による計算もできます(法令22 の 3 分の 1 を超える数又は金額の株式等を有 ④)。 している場合におけるその株式等ということ 【負債利子控除割合】 当期末及び前期末の期末関連 法人株式等の帳簿価額の合計 額 になります。 (注) 「期末完全子法人株式等」とは、内国法人 当期に支払う 負債の利子の × 当期末及び前期末の総資産の 額 帳簿価額の合計額 が他の内国法人との間にその事業年度開始 ところで、当期に支払う負債の利子の額に 株式等をいいます(法令22③、155の 8 ③) 。 ついては、損害保険会社の平成16年 4 月 1 日 の日からその終了の日まで継続して完全支 0 0 0 0 0 0 配関係があった場合のその他の内国法人 の ⑤ 総資産の帳簿価額 から平成31年 3 月31日までの間に開始する各 関連法人株式等に係る配当等の額の益金不 事業年度の特別利子の額をこの負債の利子の 算入額の計算についてのみ、負債利子を控除 額から除外する特例がありましたが、今般の することとなったことに伴い、その負債利子 本制度の改正によりその効果が限定的となっ 控除割合の計算における総資産の帳簿価額か たこと等から、役目を終えたものとして廃止 ら減算又は加算をする金額から、その他有価 されました(旧措法67の 7 、68の104) 。この 証券に係る評価益等相当額又は評価損等相当 改正については、後掲の「租税特別措置法等 額が除外されました(旧法令22①一ニ・ヘ、 (法人税関係)の改正」の「第五 その他の 155の 8 ①一ニ・ヘ)。つまり、これらの金額 特別措置関係」の「五 損害保険会社の受取 については、総資産の帳簿価額の計算上、調 配当等の益金不算入等の特例(連結:損害保 整を要しなくなりました。 険会社の連結事業年度における受取配当等の ⑥ 簡便計算方法(簡便法) 益金不算入等の特例) 」をご参照ください。 ④ 期末関連法人株式等 イ 改正前 平成22年 4 月 1 日に存する法人について 上記③の負債利子控除割合の計算における は、その選択により、原則的な計算に代え 期末関連法人株式等とは、内国法人が有する て、基準年度(平成22年 4 月 1 日から平成 株式等でその内国法人の各事業年度終了の日 24年 3 月31日までの間に開始した各事業年 の 6 月前の日の翌日を上記①の計算期間の初 度)の実績を基礎として計算した金額を配 日とし、その事業年度終了の日を上記①の計 当等の額から控除する負債の利子の額とす 算期間の末日とした場合に関連法人株式等と ることができます。 なる株式等をいいます(法令22②、155の 8 ロ 改正の内容 ②)。ただし、期末完全子法人株式等は除か 簡便法における基準年度が、平成27年 4 れます。 月 1 日から平成29年 3 月31日までの間に開 ─ 343 ─ ――法人税法の改正―― 始した各事業年度とされました (法令22④) 。 ⑷ その他株式等 また、その法人が平成27年 4 月 1 日後に その他株式等とは、完全子法人株式等、関連 行われる適格合併に係る合併法人である場 法人株式等及び非支配目的株式等のいずれにも 合には、その法人及びその適格合併に係る 該当しない株式等をいいます(法法23①、81の 被合併法人の全てが平成27年 4 月 1 日に存 4 ①)。いいかえれば、基準日における持株比 していたもの(新設合併である場合にあっ 率が 5 %を超え、かつ、その計算期間内に持株 ては、被合併法人の全てが平成27年 4 月 1 比率が 3 分の 1 以下である株式等で、完全子法 日に存していたもの)についてのみ簡便法 人株式等以外のものということになりますが、 が適用できることとされました。 法整備の上で規定の簡素化及び平易化が図られ なお、具体的な算式は、次のとおりです。 たため、規定上は、「その他株式等」としてこ のような定義が置かれているわけではなく、ま 【負債利子控除割合】 基準年度において上記③の 算式により関連法人株式等 に係るものとして計算した 負債の利子の額の合計額 ず株式等を上記⑵の①、②及び④に区分した後 の「残りの株式等」という位置付けとなってい 当期に支払う 負債の利子の × 基準年度において支払った 額 負債の利子の額の合計額 ます。 その他株式等に係る配当等の額については、 その50%相当額が益金の額に算入しないことと (注) 連結法人については、引き続き簡便法 されました(法法23①、81の 4 ①) 。なお、当 は適用できません。 該事業年度において支払う負債の利子の額があ る場合においても、その他株式等に係る配当等 すなわち、「関係法人株式等」の区分が見直 の額から、その他株式等に係る負債の利子の額 され、100%益金不算入となる持株比率の高い を控除する必要はありません(法法23④、81の 支配目的の株式等に係る配当等の額が、その発 4 ④) 。 行済株式等の総数の 3 分の 1 を超える数を保有 (注) 負債の利子の額の配当等の額からの控除は、 する株式等に係る配当等の額とされました。 非課税収入に係る費用が課税費用となること (参考) これまで100%益金不算入とされていた配 で不公平な税負担等とならないように調整す 当等の額の元本である関係法人株式等の「25 るものですが、今般、益金不算入割合など本 %以上」という基準は、株主と法人との関 制度が大幅に見直されたことにより、負債の 係性を判断する際の国際的な潮流に倣った 利子の額が損金となることによる影響が低減 ものでしたが、会社法等の国内法における したこと、制度の簡素化の必要性等を踏まえ、 支配の関係・程度を判定する基準とは、必 関連法人株式等に係る控除を除き、廃止され ずしも整合していませんでした。このため、 ました。損害保険会社に係る特例についても 今般の法人税改革における見直しに当たっ 不要となりました(旧措法67の 7 、68の104) 。 ては、支配の関係・程度を判定する会社法 上の基準を参考とすることとされました。 ⑸ 非支配目的株式等 具体的には、会社法における会社の定款変 非支配目的株式等は、内国法人が、他の内国 更等に必要な特別決議の成立を単独で阻止 法人の発行済株式等の総数又は総額の100分の できる水準である 3 分の 1 超という基準を 5 以下に相当する数又は金額のその他の内国法 参考にしたものとされています。 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 人の株式等を、その内国法人がその他の内国法 0 人から受ける配当等の額の支払に係る基準日に 0 0 0 0 0 0 おいて有する場合におけるその他の内国法人の ─ 344 ─ ――法人税法の改正―― 株式等で、完全子法人株式等以外のものとされ (注) 保険会社の有するETFの収益の分配の額 ています(法法23⑦、81の 4 ⑦、法令22の 3 の についても、同様に、その40%相当額が益 2 ①、155の10の 2 ①) 。ただし、その支払を受 金不算入とされています(措法67の 7 ①、 ける配当等の額が、自己株式の取得によるみな 68の104①)。また、非支配目的株式等に係 し配当の額など、資本の払戻し以外の事由によ る配当等の額のうち、法人税法第81条の 4 る配当等の額とみなされる金額である場合には、 第 2 項の規定により、本制度の適用から除 その支払に係る効力が生ずる日の前日において 外され、連結所得の金額の計算上益金の額 発行済株式等の 5 %以下に相当する数又は金額 に算入される配当等の額となるものは、保 の株式等を有する場合におけるその株式等とさ 険会社が支払を受ける配当等の額とそれ以 れています(法令22の 3 の 2 ①、155の10の 2 外のものとに分けて別々に計算することと 0 0 ①)。したがって、基準日においてのみ発行済 されています(措令39の124の 5 ①②) 。 株式等の総数又は総額の 5 %を超える数又は金 なお、当該事業年度において支払う負債の 額の他の内国法人の株式等を有する場合などに 利子の額がある場合においても、非支配目的 は、その株式等は、関連法人株式等及び非支配 株式等に係る配当等の額から、非支配目的株 目的株式等のいずれにも該当せず、その他株式 式等に係る負債の利子の額を控除する必要は 等に該当することとなります。 ありません(法法23④、81の 4 ④)。 また、上記⑴のとおり本制度の対象とされた ② 基準日における判定 ETFの受益権についても、この非支配目的株 非支配目的株式等は、上記のとおり、基本 式等に区分することとされています(措法67の 的に基準日の保有状況のみによって判定する 6 、68の103) 。 こととなりますので、株式等を基準日直前に ① 益金不算入額 新たに取得し、基準日直後に譲渡することに 非支配目的株式等に係る配当等の額につい より基準日における持株比率を一時的に引き ては、その20%相当額を益金の額に算入しな 上げる等、本来の株式等の区分をゆがめるお いこととされました(法法23①、81の 4 ①) 。 それがあります。このような要件の潜脱的行 ただし、その支払を受ける内国法人が青色 為による税負担の軽減を防止しつつ、既存の 申告書を提出するいわゆる保険会社である場 制度と整合的なものとする目的で、その株式 合には、その支払を受ける非支配目的株式等 等にこのような短期保有株式等がある場合に に係る配当等の額については、その40%相当 は、その短期保有株式等を有しないものとし 額を益金の額に算入しないこととされました て、基準日において 5 %以下か超かを判定す (措法67の 7 ) 。連結納税制度の場合には、そ ることとされました(法令22の 3 の 2 ②) 。 の支払を受ける非支配目的株式等に係る配当 つまり、短期保有株式等とされる数又は金額 等の額のうち、保険会社である連結法人が受 を、その株式等の数又は金額から控除して、 ける配当等の額のみが40%益金不算入となり その株式等について判定をするというもので ます(措法68の104) 。これらの制度の詳細は、 す。 後掲の「租税特別措置法等(法人税関係)の (注) 非支配目的株式等は、わずか 5 %の保有 改正」の「第五 その他の特別措置関係」の 割合の株式等であり、前提として、その株 「六 保険会社の受取配当等の益金不算入の 式等を発行する他の内国法人に対する支配 特例(連結:保険会社の連結事業年度におけ 目的が希薄なものですので、保有割合の管 る受取配当等の益金不算入の特例) (創設) 」 理にはそもそも限界があるものといえます。 をご参照ください。 このため、①新株発行、自己株式の取得等 ─ 345 ─ ――法人税法の改正―― といった事由による影響が顕著であり一定 ある場合には、その連結グループで有する株 期間を通じた継続保有を要件とすることは 式等のうち、その短期保有株式等は有してい 負担が大きすぎること、②基準日以外では ないものとして、上記の判定を行うこととさ 株主である法人が自己の保有割合を確認す れています(法令22の 3 の 2 ③、155の10の ることが実務上困難であること等を踏まえ、 2 ②) 。 基準日の保有状況のみによって判定するこ ③ 短期保有株式等 短期保有株式等とは、その支払を受ける配 ととされました。 また、内国法人が連結法人である場合には、 当等の額の元本である株式等をその配当等の 関連法人株式等の判定と同様に、その内国法 額の支払に係る基準日以前 1 月以内に取得し、 人との間に連結完全支配関係がある他の連結 かつ、その株式等又はその株式等と銘柄を同 法人を含めて、その連結グループ全体で基準 じくする株式等をその基準日後 2 月以内に譲 日において 5 %以下か超かを判定することと 渡した場合におけるその譲渡した株式等のう されています(法令22の 3 の 2 ③、155の10 ち、次の算式により計算した数又は金額に相 の 2 ①) 。このとき、他の連結法人の有する 当するものをいいます(法令22の 3 の 2 ②、 株式等を含めて判定された短期保有株式等が 19)。 支払に係る基準日後 2 月以内に譲渡をした元 × 本株式等の数 支払に係る基準日以前 1 月以内に取得をした元本株式等 支払に係る基準日 の数 において有する元× 支払に係る基準日から起算し 支払に係る基準日以前 1 月 本株式等の数 て 1 月前の日において有する+以内に取得をした元本株式 元本株式等の数 等の数 支払に係る基準日後 2 月以内 支払に係る基準日におい + に取得をした元本株式等の数 て有する元本株式等の数 すなわち、法人税法第23条第 2 項の規定に きの算式は、次のとおりとされています(法 より益金の額に算入されることとなる配当等 令155の 7 ①~④)が、その内国法人が連結 の額(本制度の対象外とされる金額)の元本 グループから離脱した法人等であるとき(つ である株式等ということになりますので、基 まり、単体申告であるとき)は、次の算式の 準日から起算して 1 月前の日の翌日から配当 うち、⒜の「各連結法人のうち配当等の額を 等の額の支払に係る効力が生ずる日までの期 受ける日の属する事業年度が連結事業年度に 間内に適格合併が行われた場合など、一定の 該当するものの支払に係る基準日において有 組織再編成がある場合における上記の計算の する元本株式等の数を合計した数」とあるの 調整も行うこととなります(法令19②~④) 。 は、「内国法人が支払に係る基準日において また、内国法人が連結法人である場合には、 有する元本株式等の数」として、計算するこ 当然にその連結グループで判定することとな ととされています(法令19⑤)。 ります。この場合において連結納税制度のと ─ 346 ─ ――法人税法の改正―― 各連結法人 各連結法人が支払に係る基準日以前 1 月以内 が支払に係 に取得をした元本株式等の数を合計した数 × る基準日に 各連結法人が支払に 各連結法人が支払に おいて有す 係る基準日から起算 係る基準日以前 1 月 る元本株式 して 1 月前の日にお+ 以内に取得をした元 等の数を合 いて有する元本株式 本株式等の数を合計 計した数 した数 等の数を合計した数 支払に係る基準日 後 2 月以内に各連 × 結法人が譲渡をし× 各 連 結 法 人 が 支 払 各連結法人が支払に係る基準日後 2 た元本株式等の数 に 係 る 基 準 日 に お+ 月以内に取得をした元本株式等の数 を合計した数 い て 有 す る 元 本 株 を合計した数 式等の数を合計し た数 ⑹ 各連結法人の個別帰属額 その益金の額に算 入されない配当等 の額のうち非支配 × 目的株式等に係る 部分の金額 上記⑵に伴い、連結納税制度の場合において、 各連結事業年度の連結所得の金額の計算上益金 の額に算入されない配当等の額のうち各連結法 人に帰せられる部分の金額は、次の金額の合計 各連結法人のうち配当 等の額を受ける日の属 する事業年度が連結事 業年度に該当するもの の支払に係る基準日に おいて有する元本株式 等の数を合計した数⒜ 各連結法人が支払に係 る基準日において有す る元本株式等の数を合 計した数 その連結法人が受ける 非支配目的株式等に係 る配当等の額 各連結法人が受ける非 支配目的株式等に係る 配当等の額の合計額 額とされました(法令155の11) 。 ① その益金の額に算入されない完全子法人株 すなわち、株式の区分ごとの益金の額に算入 式等に係る配当等の額のうちその連結法人が されない配当等の額のうち各連結法人に帰せら 受ける部分の金額 れる金額の合計額が、各連結法人の受取配当等 ② その連結法人に帰せられる関連法人株式等 の益金不算入額の個別帰属額ということです。 に係る益金不算入額として次の算式により算 なお、上記④の計算上、ETFに係る収益の 出した金額 分配の額がある場合には、ETFを含めて計算 その益金の額に算 入されない配当等 の額のうち関連法 × 人株式等に係る部 分の金額 することとされ(措令39の124の 4 )、保険会社 その連結法人が受ける 関連法人株式等に係る 配当等の額 である連結法人が受ける非支配目的株式等に係 る配当等の額がある場合には、その非支配目的 各連結法人が受ける関 連法人株式等に係る配 当等の額の合計額 ③ その連結法人に帰せられるその他株式等に 株式等に係る配当等の額に 2 を乗じて上記の分 子及び分母の額を計算することとされました (措令39の124の 5 ③)。 係る益金不算入額として次の算式により算出 ⑺ その他の所要の整備 した金額 その益金の額に算 入されない配当等 の額のうちその他 × 株式等に係る部分 の金額 その連結法人が受ける その他株式等に係る配 当等の額 各連結法人が受けるそ の他株式等に係る配当 等の額の合計額 ④ その連結法人に帰せられる非支配目的株式 ① 上記⑸のとおり非支配目的株式等の判定を 行うこととされたことに伴い、みなし配当事 由によりその株主等である法人に金銭等の交 付が行われる場合には、これまでの発行法人 の通知義務に加え、みなし配当事由の生じた 日の前日における発行済株式等の総数を通知 等に係る益金不算入額として次の算式により することとされました(法令23④一)。なお、 算出した金額 みなし配当事由が資本の払戻しである場合に は、その支払に係る基準日における発行済株 式等の総数を通知することとされています。 ─ 347 ─ ――法人税法の改正―― (注) 資本の払戻しには、今般の投資法人の金 する連結事業年度の連結所得に対する法人税に 銭の分配に係る所要の改正により、出資等 ついて適用し、連結親法人事業年度が同日前に 減少分配が含まれることとされています。 開始した連結事業年度の連結所得に対する法人 詳細は、後述の「六 その他」の「 3 受 税については、従前どおりとされています(改 取配当等の益金不算入及びみなし配当等の 正法附則29)。 (注 1 ) 法人が平成27年 4 月 1 日以後に開始する 額」をご参照ください。 ② 信託の終了による信託財産に属する資産の 事業年度において支払を受けた配当等の額 給付に係る上記 1 ⑶の金額(公社債投資信託 について、その計算期間が同日前に開始し 以外の証券投資信託の収益の分配の額)で、 ていた場合にも、計算期間を通じてその配 改正前の制度により益金の額に算入されなか 当等の額を支払う他の内国法人の発行済株 った金額がある場合の清算受託者の第二次納 式等の総数又は総額の 3 分の 1 を超える数 税義務者として納付した国税等の損金不算入 又は金額のその他の内国法人 の株式等を有 について、上記⑴のとおり証券投資信託の収 するときは、完全子法人株式等に係る配当 益の分配の額については全額益金の額に算入 等の額を除き、関連法人株式等に係る配当 することとなりましたので、規定が削除され 等の額として上記 3 ⑶が適用されます。同 ました(法法39②) 。 様に、その配当等の額の基準日が平成27年 0 0 0 0 0 0 (注) 国税徴収法第34条第 2 項の規定により、 4 月 1 日前である場合にも、その基準日に 信託が終了した場合には、清算受託者に課 おいてその配当等の額を支払う他の内国法 されるべき国税(その納める義務が信託財 人の発行済株式等の総数又は総額の 5 %以 産責任負担債務となるものに限られていま 下の数又は金額のその他の内国法人 の株式 す。 )等を納付しないで信託財産に属する財 等を有するときは、完全子法人株式等に係 産を残余財産受益者等に給付をしたときは、 る配当等の額を除き、非支配目的株式等に 残余財産受益者等は、その滞納に係る国税 係る配当等の額として上記 3 ⑸が、これら につき第二次納税義務を負うこととされて のいずれにも該当しない配当等の額につい いますが、その清算受託者に対し滞納処分 ては、完全子法人株式等に係る配当等の額 を執行してもなおその徴収すべき額に不足 を除き、その他株式等に係る配当等の額と すると認められる場合に限られ、残余財産 して上記 3 ⑷が、それぞれ適用されます。 0 0 0 0 0 0 受益者等は、その給付を受けた財産の価額 (注 2 ) 法人が関連法人株式等に係る配当等の額 を限度とすることとされています。なお、 の益金不算入額を計算する場合において、 この第二次納税義務が生じなくなったわけ 上記 3 ⑶③の控除すべき関連法人株式等に ではありません。 係る負債の利子の額の計算等(上記 3 ⑶③ ~⑥)についても、その法人の平成27年 4 4 適用関係 月 1 日以後に開始する事業年度の所得に対 ⑴ 上記 3 (⑺①を除きます。 )の改正は、法人 する法人税について適用し、同日前に開始 の平成27年 4 月 1 日以後に開始する事業年度の した事業年度の所得に対する法人税につい 所得に対する法人税について適用し、法人の同 ては従前どおりとされています(改正法附 日前に開始した事業年度の所得に対する法人税 則21、改正法令附則 2 ) 。したがって、同日 については、従前どおりとされています(改正 以後に開始する事業年度につき、関連法人 法附則21) 。なお、連結法人については、連結 株式等に係る負債の利子の額を計算する場 親法人事業年度が平成27年 4 月 1 日以後に開始 合における前期分の期末関連法人株式等及 ─ 348 ─ ――法人税法の改正―― び総資産の帳簿価額についても、上記 3 ⑶ き負債の利子の額を計算することとなりま ④及び⑤によることとなりますので、前期 す。これは、基準年度となる他の事業年度 分につきこれらにより再計算する必要があ にあっても同様です。本制度を適用する限り、 ることに留意してください。 簡便法の適用の有無にかかわらず、基準年 (注 3 ) 上記 3 ⑶⑥は、そもそも事務負担の軽減 度となる事業年度において原則計算が必須 を図ることを目的として措置されたもので となることを踏まえれば、改正前の基準年 すが、改正により、平成27年 4 月 1 日以後 度を用いることを可能とする経過的な措置 最初に開始する事業年度における基準年度 の必然性は乏しいものといえます。 は、その事業年度のみということになりま ⑵ 上記 3 ⑺①の改正は、法人が平成27年 4 月 1 すので、過去の実績により簡便に計算する 日以後にみなし配当事由により株主等である法 ことはできせん。上記の適用関係以外、特 人に金銭その他の資産を交付する場合について 段の経過措置が設けられていませんので、 適用し、法人が同日前にみなし配当事由により その事業年度については、簡便法を適用す 株主等である法人に金銭その他の資産を交付し る場合であっても、必ず、原則どおりに、 た場合については、従前どおりとされています 負債利子控除割合に基づいてその控除すべ (改正法令附則 5 ②)。 五 退職年金等積立金に対する法人税(特別法人税) 金積立金の運用及びその運用に係る確定給付 1 改正前の制度の概要 年金積立金の管理の受託の業務 退職年金業務等を行う法人に対しては、所得又 は連結所得に対して課する法人税のほか、各事業 年度の退職年金等積立金について、退職年金等積 立金に対する法人税(以下「特別法人税」といい ます。)を課することとされています(法法 8 、 ③ 確定拠出年金資産管理契約に係る信託、生 命保険、生命共済又は損害保険の業務 ④ 確定拠出年金法の個人型年金を実施する業 務 ⑤ 勤労者財産形成給付契約に係る信託、生命 保険、生命共済又は損害保険の業務 10の 2 ) 。 (注) ただし、その法人の平成11年 4 月 1 日から平 ⑥ 勤労者財産形成基金給付契約に係る信託、 成29年 3 月31日までの間に開始する各事業年度 生命保険、生命共済、損害保険、預貯金の受 の退職年金等積立金については、特別法人税の 入れ又は有価証券の購入及びその購入に係る 課税を停止することとされています(措法68の 有価証券の保管の受託の業務 ⑦ 厚生年金基金契約に係る信託、生命保険、 4) 。 生命共済、預貯金の受入れ又は年金給付等積 ⑴ 退職年金業務等 立金の運用等(有価証券の売買その他の方法 退職年金業務等とは、次の業務をいいます による年金給付等積立金の運用及びその運用 に係る年金給付等積立金の管理の受託)の業 (法法84①、法令156の 3 ) 。 ① 確定給付年金資産管理運用契約に係る信託、 務 生命保険又は生命共済の業務 ② 確定給付年金基金資産運用契約に係る信託、 ⑵ 退職年金等積立金額 生命保険、生命共済、預貯金の受入れ又は有 特別法人税の課税標準は、各事業年度の退職 価証券の売買その他の方法による確定給付年 年金等積立金の額とされており(法法83) 、退 ─ 349 ─ ――法人税法の改正―― 職年金等積立金の額は、その事業年度開始の時 における退職年金等積立金額を12で除し、これ 2 改正の内容 にその事業年度の月数を乗じて計算した金額と 平成27年10月 1 日から行われる被用者年金制度 することとされています(法法84①) 。 の一元化(共済年金の現行の 2 階部分(退職共済 退職年金等積立金額は、次の退職年金業務等 年金)の老齢厚生年金への統一化)と併せて、共 を行う法人の区分ごとに計算した次の金額とさ 済年金の現行の 3 階部分(職域部分)が廃止され、 れています(法法84②、法令156の 4 ~164) 。 新たな公務員制度の一環としての年金の給付に係 ① 信託の業務を行う内国法人 年金等契約の る制度(年金払い退職給付制度)が創設されるこ 種類ごとに、その信託財産の価額を基礎とし とになりました。 て計算した金額の合計額 この共済年金の新たな 3 階部分(年金払い退職 ② 生命保険の業務を行う内国法人 年金等契 給付)は、公的年金分を除いた官民均衡のための 約の種類ごとに、その責任準備金額のうち保 調整を図るためのものであるものの、 「公的年金 険料積立金相当額を基礎として計算した金額 として支給される共済年金の一部」として位置付 の合計額 けられている職域部分とは異なり、 「企業年金に ③ 生命共済の業務を行う農業協同組合連合会 相当する性格のもの」として位置付けられた「公 年金等契約の種類ごとに、その責任準備金 的年金の上乗せ」であることから、他の企業年金 額のうち共済掛金積立金相当額を基礎として の積立金と同様に、年金払い退職給付に係る積立 計算した金額の合計額 金を特別法人税の対象となる退職年金等積立金と ④ 損害保険の業務を行う内国法人 年金等契 することとされました。 約の種類ごとに、その責任準備金額のうち払 なお、関係法律は次のとおりです。 戻積立金相当額を基礎として計算した金額の ・ 被用者年金制度の一元化等を図るための厚生 合計額 年 金 保 険 法 等 の 一 部 を 改 正 す る 法 律( 平 ⑤ 預貯金の受入れの業務を行う内国法人 年 金等契約の種類ごとに、その預貯金の額を基 24. 8 .22法律第63号) ・ 国家公務員の退職給付の給付水準の見直し等 礎として計算した金額の合計額 のための国家公務員退職手当法等の一部を改正 ⑥ 勤労者財産形成基金給付契約に係る有価証 券の購入及びその購入に係る有価証券の保管 する法律(平24.11.26法律第96号) ・ 地方公務員等共済組合法及び被用者年金制度 の受託の業務を行う内国法人 各契約につき、 の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一 その有価証券の価額を基礎として計算した金 部を改正する法律の一部を改正する法律(平 額の合計額 24.11.26法律第97号) ⑦ 確定給付年金基金資産運用契約に係る有価 ・ 私立学校教職員共済法等の一部を改正する法 証券の売買その他の方法による確定給付年金 積立金の運用及びその運用に係る確定給付年 律(平成24.11.26法律第98号) (注) これらの関係法律における年金払い退職給付 金積立金の管理の受託の業務を行う内国法人 制度に関する規定に係る政省令は、今後、これ 各契約につき、その有価証券その他の資産 らの法律の施行日(平成27年10月 1 日)の前日 の価額を基礎として計算した金額の合計額 までに定められる予定です。 ⑧ 確定拠出年金法の個人型年金を実施する国 民年金基金連合会 その事業年度開始の時に ⑴ 退職年金業務等の追加 おける給付に充てるべき積立金の運用の方法 ごとに計算したその運用に係る金額の合計額 退職年金業務等に次の業務が追加されました (法法84①)。 ─ 350 ─ ――法人税法の改正―― ロ 地方公務員等共済組合法第27条第 1 項に ① 国家公務員共済組合法第21条第 2 項第 2 号 に掲げる業務 規定する市町村連合会(全ての指定都市職 具体的には、国家公務員共済組合法第21条 員共済組合、市町村職員共済組合及び都市 第 2 項第 2 号ハに規定する退職等年金給付に 職員共済組合をもって組織する全国市町村 充てるべき積立金(以下「退職等年金給付積 職員共済組合連合会) 同法第38条第 1 項 立金」といいます。 )の積立て等の業務とな において準用する退職等年金給付組合積立 ります。 金の額として計算した金額 ② 地方公務員等共済組合法第 3 条の 2 第 1 項 ③ 上記⑴②の退職等年金給付調整積立金の管 第 3 号に規定する退職等年金給付組合積立金 理及び運用に関する事務に係る業務を行う地 の積立ての業務並びに同法第38条の 2 第 2 項 方公務員等共済組合法第38条の 2 第 1 項に規 第 4 号に規定する退職等年金給付調整積立金 定する地方公務員共済組合連合会 同法第38 の管理及び運用に関する事務に係る業務 条の 8 の 2 第 1 項に規定する退職等年金給付 調整積立金の額として計算した金額 ③ 日本私立学校振興・共済事業団法第23条第 ④ 上記⑴③の業務を行う日本私立学校振興・ 1 項第 8 号に掲げる業務 具体的には、私立学校教職員共済法第20条 共済事業団法第 3 条に規定する事業団(日本 第 2 項に規定する退職等年金給付(以下「退 私立学校振興・共済事業団) 同法第33条第 職等年金給付」といいます。 )の業務となり 1 項第 4 号に掲げる経理(退職等年金給付の ます。 業務に係る経理)に係る勘定に属する積立金 の額として計算した金額 ⑵ 退職年金等積立金額の追加 (注 1 ) 上記⑵①から④までの金額の具体的な計 上記⑴の改正に伴い、退職年金等積立金額に 算については、今後定められる年金払い退 上記⑴①から③までの業務を行う法人の次の区 職給付制度に係る政省令の規定の内容を踏 分ごとに計算した次の金額が追加されました まえて、今後、上記⑴及び⑵の改正の施行 (法法84②九~十二) 。 日(平成27年10月 1 日)の前日までに政令 ① 上記⑴①の業務を行う国家公務員共済組合 で定められる予定です。 法第21条第 1 項に規定する連合会(国家公務 (注 2 ) 上記⑴及び⑵の改正は、平成26年度税制 員共済組合連合会) 退職等年金給付積立金 改正事項ですが、今回の改正で措置されて の額として計算した金額 います。 ② 上記⑴②の退職等年金給付組合積立金の積 (参考 1 ) 国家公務員共済組合法(昭和33年法律 立ての業務を行う法人 その法人の次の区分 ごとに計算した次の金額 第128号) (設立及び業務) イ 地方公務員等共済組合法第 3 条第 1 項に 第21条 組合の事業のうち次項各号に掲げ 規定する組合のうち同項第 1 号から第 4 号 る業務を共同して行うため、全ての組合 までに定めるもの(地方公務員共済組合の をもつて組織する国家公務員共済組合連 うち、地方職員共済組合、公立学校共済組 合会(以下「連合会」という。 )を設ける。 合、警察共済組合及び都職員共済組合) 2 連合会の業務は、次に掲げるものとする。 同法第24条の 2 に規定する退職等年金給付 一 省 略 組合積立金(以下「退職等年金給付組合積 二 退職等年金給付の事業に関する業務 立金」といいます。 )の額として計算した (第102条の 2 に規定する財政調整拠出 金額 金の拠出(第102条の 3 第 1 項第 4 号に ─ 351 ─ ――法人税法の改正―― 掲げる場合に行われるものに限る。以 下この号において同じ。)及び地方公務 (公立学校を除く。 )の職員 公立学校 共済組合 員等共済組合法第116条の 2 に規定する 三 都道府県警察の職員 警察共済組合 財政調整拠出金の受入れ(同法第116条 四 都の職員(特別区の職員を含み、第 の 3 第 1 項第 4 号に掲げる場合に行わ 2 号及び前号に掲げる者を除く。) 都 れるものに限る。以下この号において 職員共済組合 同じ。 )を含む。)のうち次に掲げるも 五・六 省 略 の 2 ~ 4 省 略 イ 退職等年金給付の決定及び支払 (組合の業務) ロ 退職等年金給付に要する費用(第 第 3 条の 2 組合は、次に掲げる業務を行う。 102条の 2 に規定する財政調整拠出金 一・二 省 略 の拠出に要する費用その他政令で定 三 厚生年金保険給付組合積立金(第24 条に規定する厚生年金保険給付組合積 める費用を含む。)の計算 ハ 退職等年金給付(第102条の 2 に規 立金をいう。)及び退職等年金給付組合 定する財政調整拠出金の拠出を含 積立金(第24条の 2 に規定する退職等 む。 )に充てるべき積立金(以下「退 年金給付組合積立金をいう。 )の積立て 職等年金給付積立金」という。)の積 四~六 省 略 2 省 略 立て ニ 退職等年金給付積立金及び退職等 年金給付の支払上の余裕金の管理及 (退職等年金給付組合積立金の積立て) 第24条の 2 組合は、政令で定めるところ により、退職等年金給付に充てるべき積 び運用 ホ 第102条の 2 に規定する財政調整拠 立金(以下「退職等年金給付組合積立金」 出金の拠出及び地方公務員等共済組 という。 )を積み立てなければならない。 合法第116条の 2 に規定する財政調整 (市町村連合会) 第27条 指定都市職員共済組合、市町村職 拠出金の受入れ 員共済組合又は都市職員共済組合の事業 ヘ その他財務省令で定める業務 三 省 略 のうち次項に規定する業務を共同して行 3 ・ 4 省 略 うとともに、指定都市職員共済組合、市 (参考 2 ) 地方公務員等共済組合法(昭和37年法 町村職員共済組合又は都市職員共済組合 の業務の適正かつ円滑な運営を図るため、 律第152号) 全ての指定都市職員共済組合、市町村職 (設立) 第 3 条 次の各号に掲げる職員の区分に従 員共済組合及び都市職員共済組合をもつ い、当該各号に掲げる職員をもつて組織 て組織する全国市町村職員共済組合連合 する当該各号の地方公務員共済組合(次 会(以下「市町村連合会」という。 )を置 項に規定する都市職員共済組合を含み、 く。 以下「組合」という。)を設ける。 2 ~ 7 省 略 一 道府県の職員(次号及び第 3 号に掲 (準用規定) 第38条 第 5 条 第 9 項、 第14条 第 4 項、 第 げる者を除く。) 地方職員共済組合 二 公立学校の職員並びに都道府県教育 委員会及びその所管に属する教育機関 ─ 352 ─ 17条第 1 項及び第 2 項、第18条、第20条、 第21条 第 1 項 及 び 第 2 項、 第22条 第 1 項 ――法人税法の改正―― か ら 第 3 項 ま で、 第24条、 第24条 の 2 、 (参考 3 ) 日本私立学校振興・共済事業団法(平 成 9 年法律第48号) 第25条前段並びに第26条の規定は市町村 (法人格) 連合会について、第 9 条第 8 項から第10 項までの規定は総会について、第19条の 第 3 条 日本私立学校振興・共済事業団(以 規定は市町村連合会の役員及び市町村連 下「事業団」という。 )は、法人とする。 (業務) 合会に使用され、その事務に従事する者 第23条 事業団は、第 1 条の目的を達成す について、第19条の 2 の規定は市町村連 合会の役員若しくは市町村連合会の事務 るため、次の業務を行う。 に従事する者又はこれらの者であつた者 一~七 省 略 について準用する。この場合において、 八 共済法第20条第 2 項に規定する退職 等年金給付を行うこと。 第 5 条第 9 項中「第 3 項の認可を受けた 九・十 省 略 とき、又は同項に規定する政令で定める 事項に係る定款の変更をしたとき」とあ 2 ~ 4 省 略 るのは「第28条第 2 項の認可を受けたと (区分経理) き 」 と、 第 9 条 第 9 項 中「 第12条 第 1 項 第33条 事業団の経理については、次の各 後段」とあるのは「第34条第 1 項後段」 号ごとに区分し、それぞれ勘定を設けて と読み替えるものとする。 整理しなければならない。 2 省 略 一~三 省 略 (地方公務員共済組合連合会) 四 第23条第 1 項第 8 号の業務に係る経 理(第 6 号に掲げるものを除く。 ) 第38条の 2 組合及び市町村連合会の長期 五・六 省 略 給付に係る業務の適正かつ円滑な運営を 2 省 略 図るため、すべての組合及び市町村連合 会をもつて組織する地方公務員共済組合 (参考 4 ) 私立学校教職員共済法(昭和28年法律 第245号) 連合会を置く。 (給付) 2 地方公務員共済組合連合会は、次に掲 げる事業を行う。 第20条 省 略 一~三 省 略 2 この法律による退職等年金給付は、次 のとおりとする。 四 厚生年金保険給付調整積立金及び退 職等年金給付調整積立金の管理及び運 一 退職年金 用に関する事務を行うこと。 二 職務障害年金 三 職務遺族年金 五~九 省 略 3 省 略 3 ~ 5 省 略 (退職等年金給付調整積立金) 第38条の 8 の 2 組合の退職等年金給付及 3 適用関係 び第116条の 2 に規定する財政調整拠出金 上記 1(注)のとおり、退職年金業務等を行う法 の拠出(第116条の 3 第 1 項第 4 号に掲げ 人の平成11年 4 月 1 日から平成29年 3 月31日まで る場合に行われるものに限る。)の円滑な の間に開始する各事業年度の退職年金等積立金に 実施を図るため、地方公務員共済組合連 ついては特別法人税の課税を停止する(措法68の 合会に退職等年金給付調整積立金を設ける。 2 ~ 4 省 略 4 )こととされていることから、上記 2 の改正に 係る経過措置は設けられていません。 ─ 353 ─ ――法人税法の改正―― 六 その他 技術総合研究所、独立行政法人森林総合研究 1 公共法人の範囲 所、独立行政法人水産総合研究センター、独 ⑴ 改正前の制度の概要 立行政法人電子航法研究所、独立行政法人土 公共法人は、法人税を納める義務がないこと 木研究所、独立行政法人農業環境技術研究所、 とされています(法法 4 ②) 。 独立行政法人農業生物資源研究所、独立行政 法人物質・材料研究機構、独立行政法人防災 (注) 公共法人とは、法人税法別表第 1 に掲げる 法人をいいます(法法 2 五、別表 1 )。 科学技術研究所及び独立行政法人放射線医学 なお、公共法人となる独立行政法人は、財 総合研究所における法人及び根拠法の名称に 務大臣が告示指定をしたものに限ることとさ ついて、所要の規定の整備が行われました (平15. 9 財務告606)。 れています(法法別表 1 、平15. 9 財務告606)。 (参考) 独立行政法人通則法(平成11年法律第103 ⑵ 改正の内容 号) ① 公共法人となる独立行政法人の追加 (定義) 公共法人となる独立行政法人に国立研究開 第 2 条 この法律において「独立行政法人」 発法人日本医療研究開発機構が追加されまし とは、国民生活及び社会経済の安定等の公 た(平15. 9 財務告606) 。 共上の見地から確実に実施されることが必 (注) 国立研究開発法人日本医療研究開発機構 は、平成27年 4 月 1 日に設立されています。 ② その他所要の改正 要な事務及び事業であって、国が自ら主体 となって直接に実施する必要のないものの うち、民間の主体に委ねた場合には必ずし 独立行政法人医薬基盤研究所及び独立行政 も実施されないおそれがあるもの又は一の 法人国立健康・栄養研究所の統合並びに独立 主体に独占して行わせることが必要である 行政法人通則法の一部を改正する法律(平成 もの(以下この条において「公共上の事務 26年法律第66号)における独立行政法人通則 等」という。)を効果的かつ効率的に行わせ 法の改正による独立行政法人の 3 分類(中期 るため、中期目標管理法人、国立研究開発 目標管理法人・国立研究開発法人・行政執行 法人又は行政執行法人として、この法律及 法人)化に伴い、独立行政法人医薬基盤研究 び個別法の定めるところにより設立される 所、独立行政法人海上技術安全研究所、独立 法人をいう。 行政法人建築研究所、独立行政法人港湾空港 2 この法律において「中期目標管理法人」 技術研究所、独立行政法人国際農林水産業研 とは、公共上の事務等のうち、その特性に 究センター、独立行政法人国立環境研究所、 照らし、一定の自主性及び自律性を発揮し 独立行政法人国立がん研究センター、独立行 つつ、中期的な視点に立って執行すること 政法人国立健康・栄養研究所、独立行政法人 が求められるもの(国立研究開発法人が行 国立国際医療研究センター、独立行政法人国 うものを除く。)を国が中期的な期間につい 立循環器病研究センター、独立行政法人国立 て定める業務運営に関する目標を達成する 成育医療研究センター、独立行政法人国立精 ための計画に基づき行うことにより、国民 神・神経医療研究センター、独立行政法人国 の需要に的確に対応した多様で良質なサー 立長寿医療研究センター、独立行政法人産業 ビスの提供を通じた公共の利益の増進を推 ─ 354 ─ ――法人税法の改正―― 進することを目的とする独立行政法人とし なお、公益法人等となる独立行政法人は、 て、個別法で定めるものをいう。 財務大臣が告示指定をしたものに限ることと 3 この法律において「国立研究開発法人」 されています(法法別表 2 、平15.9財務告607) 。 とは、公共上の事務等のうち、その特性に 収益事業とは、物品販売業、不動産販売業、 照らし、一定の自主性及び自律性を発揮し 金銭貸付業、製造業等の34事業で、継続して事 つつ、中長期的な視点に立って執行するこ 業場を設けて行われるものをいいます(法法 2 とが求められる科学技術に関する試験、研 十三、法令 5 )。 究又は開発(以下「研究開発」という。)に ただし、法令等において参入が限定されてい 係るものを主要な業務として国が中長期的 る等、営利法人と競合関係にないと認められる な期間について定める業務運営に関する目 等の事業については、収益事業から除外されて 標を達成するための計画に基づき行うこと います(法令 5 )。 により、我が国における科学技術の水準の 向上を通じた国民経済の健全な発展その他 ⑵ 改正の内容 の公益に資するため研究開発の最大限の成 収益事業から除外される事業について、次の 果を確保することを目的とする独立行政法 見直しが行われました(法令 5 ①)。 人として、個別法で定めるものをいう。 ① 拡充 4 この法律において「行政執行法人」とは、 収益事業から除外されている民間都市開発 公共上の事務等のうち、その特性に照らし、 推進機構が参加業務として行う不動産販売業 国の行政事務と密接に関連して行われる国 及び不動産貸付業(民間都市開発の推進に関 の指示その他の国の相当な関与の下に確実 する特別措置法第 4 条第 1 項第 1 号に掲げる に執行することが求められるものを国が事 業務)について、都市再生特別措置法第104 業年度ごとに定める業務運営に関する目標 条の規定により読み替えて適用する場合を含 を達成するための計画に基づき行うことに むこととされました(法令 5 ①二ホ・五ト)。 より、その公共上の事務等を正確かつ確実 この読替え規定により、民間都市開発推進 に執行することを目的とする独立行政法人 機構が参加業務として行う不動産販売業及び として、個別法で定めるものをいう。 不動産貸付業の対象施設に都市再生特別措置 法の誘導施設等整備事業支援業務における公 (名称) 益的施設が追加されることになります。 第 4 条 省 略 2 国立研究開発法人については、その名称 中に、国立研究開発法人という文字を使用 (注) 関係法令については、下記の(参考 1 ) 及び(参考 2 )をご参照ください。 ② 除外 するものとする。 2 収益事業から除外される事業の範囲等 ⑴ 改正前の制度の概要 収益事業から除外されている次の金銭貸付 業が除外されました(旧法令 5 ①三イ・ヌ)。 イ 独立行政法人農業・食品産業技術総合研 公益法人等は、収益事業を行う場合、法人課 究機構が独立行政法人に係る改革を推進す 税信託の引受けを行う場合又は退職年金業務等 るための農林水産省関係法律の整備に関す を行う場合に限り、法人税を納める義務がある る法律附則第13条第 2 項の規定に基づく業 こととされています(法法 4 ①) 。 務として行う金銭貸付業(旧法令 5 ①三 (注) 公益法人等とは、法人税法別表第 2 に掲げ イ) 具体的には、独立行政法人農業・食品産 る法人をいいます(法法 2 六、別表 2 )。 ─ 355 ─ ――法人税法の改正―― 業技術総合研究機構が経過的な貸付債権の 民間事業者による誘導施設等整備事業を 管理及び回収業務として行う金銭貸付業と 推進するため、国土交通大臣の承認を受 なります。 けて、次に掲げる業務を行うことができる。 ロ 独立行政法人情報通信研究機構が独立行 一 次に掲げる方法により、認定誘導事 政法人情報通信研究機構法附則第 9 条第 5 業者の認定誘導事業の施行に要する費 項の規定に基づく業務として行う金銭貸付 用の一部(公共施設等その他公益的施 業(旧法令 5 ①三ヌ) 設で政令で定めるものの整備に要する 具体的には、独立行政法人情報通信研究 費用の額の範囲内に限る。)について支 機構が経過的な貸付債権の管理及び回収業 援すること。 務として行う金銭貸付業となります。 イ 認定誘導事業者(専ら認定誘導事 ③ その他所要の改正 業の施行を目的とする株式会社等に 上記 1 ⑵②の独立行政法人の 3 分類化及び 限る。 )に対する出資 地方分権第 4 次一括法における理容師法等の ロ 専ら、認定誘導事業者から認定誘 改正による指定の事務・権限の国(厚生労働 導事業の施行により整備される建築 大臣)から都道府県(都道府県知事)への移 物及びその敷地(以下この号におい 譲等に伴い、所要の規定の整備が行われまし て「認定誘導建築物等」という。 )又 た( 法 令 5 ① 三 ヘ・ ト、 六、 十 四 ロ ⑵、 は認定誘導建築物等に係る信託の受 二十九カ、三十ニ、三十三ロ、法規 6 四ハ、 益権を取得し、当該認定誘導建築物 8 、 8 の 2 の 2 ①) 。 等又は当該認定誘導建築物等に係る (注) 地方分権第 4 次一括法とは、地域の自主 信託の受益権の管理及び処分を行う 性及び自立性を高めるための改革の推進を ことを目的とする株式会社等に対す 図るための関係法律の整備に関する法律(平 る出資 ハ 不動産特定共同事業法第 2 条第 2 成26年法律第51号)をいいます。 また、上記 1 ⑵②の独立行政法人の 3 分類 項に規定する不動産取引(認定誘導 化に伴い、公益法人等となる独立行政法人宇 建築物等を整備し、又は整備された 宙航空研究開発機構、独立行政法人海洋研究 認定誘導建築物等を取得し、当該認 開発機構、独立行政法人科学技術振興機構、 定誘導建築物等の管理及び処分を行 独立行政法人情報通信研究機構、独立行政法 うことを内容とするものに限る。 )を 人新エネルギー・産業技術総合開発機構、独 対象とする同条第 3 項に規定する不 立行政法人日本原子力研究開発機構、独立行 動産特定共同事業契約に基づく出資 政法人農業・食品産業技術総合研究機構及び ニ 信託(受託した土地に認定誘導建 独立行政法人理化学研究所における法人及び 築物等を整備し、当該認定誘導建築 根拠法の名称について、所要の規定の整備が 物等の管理及び処分を行うことを内 行われました(平15.9財務告607) 。 容とするものに限る。 )の受益権の取 (参考 1 ) 都市再生特別措置法(平成14年法律第 得 ホ イからニまでに掲げる方法に準ず 22号) (民間都市機構の行う誘導施設等整備事業 るものとして国土交通省令で定める 方法 支援業務) 第103条 民間都市機構は、第29条第 1 項及 び第71条第 1 項に規定する業務のほか、 ─ 356 ─ 二・三 省 略 2 ・ 3 省 略 ――法人税法の改正―― 従前どおりとされています(改正法令附則 2 )。 (民間都市開発法の特例) 第104条 民間都市開発法第 4 条第 1 項第 1 ② 上記⑵②イの改正は、法人の平成27年 4 月 号に規定する特定民間都市開発事業であ 1 日前に開始した事業年度の所得に対する法 って認定誘導事業(誘導施設を有する建 人税については、従前どおりとされています (改正法令附則 2 )。 築物の整備に関するものに限る。)である ものについての同号の規定の適用につい ては、同号中「という。)」とあるのは、 「という。 )並びに都市再生特別措置法第 103条第 1 項第 1 号の政令で定める公益的 3 受取配当等の益金不算入及びみなし配 当等の額 ⑴ 改正前の制度の概要 受取配当等の益金不算入制度は、法人が受け 施設」とする。 る配当等の額のうち、完全子法人株式等に係る (参考 2 ) 民間都市開発の推進に関する特別措置 配当等の額及び関係法人株式等に係る配当等の 法(昭和62年法律第62号) 額についてはその全額を、完全子法人株式等及 (機構の業務) び関係法人株式等のいずれにも該当しない株式 第 4 条 機構は、次に掲げる業務を行うも のとする。 等に係る配当等の額についてはその50%相当額 一 特定民間都市開発事業(第 2 条第 2 を益金の額に算入しないというものです(法法 項第 1 号に掲げる民間都市開発事業の 23①、81の 4 ①)。また、その株式等の発行法 うち地域社会における都市の健全な発 人の一定の事由により金銭等の交付を受ける場 展を図る上でその事業を推進すること 合において、金銭等の額のうちその発行法人の が特に有効な地域として政令で定める 資本金等の額に対応する部分の金額を超える部 地域において施行されるもの及び同項 分の金額は、配当等の額とみなすこととされて 第 2 号に掲げる民間都市開発事業をい います(法法24①)。 う。以下この条において同じ。)につい て、当該事業の施行に要する費用の一 ⑵ 改正の内容 部(同項第 1 号に掲げる民間都市開発 ① 概要 事業にあつては、公共施設並びにこれ これまで、投資法人の金銭の分配が、受取 に準ずる避難施設、駐車場その他の建 配当等の益金不算入制度における配当等の額 築物の利用者及び都市の居住者等の利 に該当するか、資本の払戻しに該当するか、 便の増進に寄与する施設(以下この条 その場合のみなし配当等の額の計算等につい において「公共施設等」という。)の整 ては、主に解釈に委ねられてきたところです。 備に要する費用の額の範囲内に限る。) 今般、平成27年度税制改正において受取配 を負担して、当該事業に参加すること。 当等の益金不算入制度の対象となる配当等の 額の見直しが行われることを機に、これらを 二~六 省 略 明確化するとともに、投資法人に関する法令 2 ・ 3 省 略 の整備に併せて、配当等の額及びみなし配当 ⑶ 適用関係 等の額の区分が見直されました。また、これ ① 上記⑵①の改正は、法人の平成27年 4 月 1 らの改正に伴い、投資法人のみなし配当等の 日以後に開始する事業年度の所得に対する法 額がある場合の資本金等の額の計算等につい 人税について適用し、法人の同日前に開始し て、所要の整備が行われています。 た事業年度の所得に対する法人税については、 このほか、みなし配当等の額について、会 ─ 357 ─ ――法人税法の改正―― 社法の改正に伴う所要の改正が行われました。 等調整引当額の増加額は、投資法人のその (注) 上記の改正のほか、受取配当等の益金不 金銭の分配に係る計算期間(事業年度)の 算入制度については、法人税改革の一環と 貸借対照表における一時差異等調整引当額 して、益金不算入の対象となる配当等の額、 の表示額と、その翌計算期間(事業年度) その元本である株式等の区分及びその配当 の貸借対照表における一時差異等調整引当 等の額の益金不算入割合の見直し等が行わ 額の表示額との差額(増分)ということに れています。詳細は、前述の「四 受取配 なりますが、実務上は、その金銭の分配に 当等の益金不算入」をご参照ください。 係る計算期間(事業年度)の金銭分配計算 ② 投資法人の金銭の分配に係る改正 書に、その増加額として記載される金額に 受取配当等の益金不算入制度の対象となる なる予定です。 配当等の額に、投資法人の金銭の分配で出資 すなわち、投資法人の金銭の分配の額につ 等減少分配以外のものの額が、規定上追加さ いて、受取配当等の益金不算入制度の対象と れる(法法23①二)とともに、みなし配当等 なる配当等の額に該当することが明確化され の額の生ずる基因となる発行法人の資本の払 ました。また、投資法人の利益を超える金銭 戻しに、出資等減少分配が、規定上追加され の分配の額について、その利益を超える部分 ました(法法24①三) 。 の金額が将来の利益の額から成る金額のみで 出資等減少分配とは、投資法人の金銭の分 あるものは、通常の利益の分配と同様、その 配のうち、出資総額又は出資剰余金の額から 全額を配当等の額とするとともに、それ以外 控除される金額があるものをいいますが、こ の利益を超える金銭の分配の額は、従前どお の控除される金額と、一時差異等調整引当額 り資本の払戻しに該当するものとされ、それ の増加額とが同額である場合のその金銭の分 が明確化されました。 配は除くこととされています(法規 8 の 4 ) 。 連結納税制度の場合についても、同様とさ (注) 一時差異等調整引当額とは、利益を超え れています(法法81の 4 ①)。 て分配された金額のうち、所得超過税会不 なお、上記の改正に伴い、次の所要の整備 一致等の範囲内で利益処分に充当するもの が行われました。 とされ(投資法人計算規則 2 ②三十)、投資 イ 資本金等の額 法人の計算に関する規則に従って、投資法 投資法人が出資等減少分配を行った場合 人の貸借対照表の純資産の部において、一 には、その出資等減少分配に係る分配資本 時差異等調整引当額として区分して表示さ 金額を資本金等の額から減少させることと れる金額をいいます。そして、この一時差 されました(法令 8 ①十七)。 異等調整引当額の処分についてあらかじめ 出資等減少分配に係る分配資本金額とは、 定めた貸借対照表の注記に従って、その後 その出資等減少分配の直前の資本金等の額 の利益からの組入れによって戻入れを行う に次の算式により計算した割合を乗じて計 こととされています。その生じた利益の全 算した金額をいい、その計算した金額がそ てを原則として投資主に分配する投資法人 の出資等減少分配により交付した金銭の額 にあっては、いわば、将来の利益を先取り を超える場合には、その超える部分の金額 するものと観念できます。なお、一時差異 を減算した金額とされます。 ─ 358 ─ ――法人税法の改正―― その出資等減少分配による出資総額等の減 少額 その出資等減少分配の日の属する事業年度 の前事業年度終了の時の純資産帳簿価額 (その終了の時からその出資等減少分配の 直前の時までの間における資本金等の額又 は利益積立金額の増加額又は減少額を、増 加し、又は減少した金額) この整備に伴い、資本金等の額から減少 させる金額の基因となる事由のうち、資本 の払戻し等の範囲から出資等減少分配が除 かれています(法令 8 ①十六)。 ロ 利益積立金額 投資法人の行った出資等減少分配により 交付した金銭の額が、その出資等減少分配 (注 1 ) 分子の「その出資等減少分配によ に係る分配資本金額を超える場合には、そ る出資総額等の減少額」とは、出資 の超える部分の金額を利益積立金額から減 等減少分配により増加する出資総額 控除額(貸借対照表の純資産の部に 少させることとされました(法令 9 ①十二) 。 ハ 所有株式に対応する資本金等の額 おいて出資総額控除額に区分される 出資等減少分配がある場合のみなし配当 金額です。)及び出資剰余金控除額 等の額の計算において、譲渡対価として配 (同純資産の部において出資剰余金控 当等の額とされないこととなる所有株式に 除額に区分される金額です。)の合計 対応する資本金等の額は、その出資等減少 額から、その出資等減少分配により 分配を行った投資法人のその直前の分配対 増加する一時差異等調整引当額を控 応資本金額を、その投資法人の発行済投資 除した金額をいいます(法規 8 の 2 口の総数で除し、これにその出資等減少分 の 3 )。なお、投資法人についていわ 配を受けた法人がその直前に有していたそ ゆるペイスルー課税が認められてい の投資法人の投資口の数を乗じて計算した ることに基因して、実際には、分母 金額とされました(法令23①四)。 の「前事業年度終了の時の純資産帳 分配対応資本金額とは、その出資等減少 簿価額」を「前々事業年度終了の時 分配の直前のその投資法人の資本金等の額 の純資産帳簿価額」とすること等と にその投資法人の上記イの割合を乗じて計 されています。詳細は、後掲の「租 算した金額をいいます(法令23①四、法規 税特別措置法等(法人税関係)の改 8 の 5 の 2 )。 正」の「第五 その他の特別措置関 (注) 「発行済投資口」とは、投資法人の発行 係」の「八 投資法人に係る課税の 済みの投資口をいい、その投資法人が有 特例」の「 2 改正の内容」をご参 する自己の投資口を除いたものです(法 照ください。 令23①四) 。 (注 2 ) 分子の金額が分母の金額を超える すなわち、法人が支払を受けた出資等減 場合には、割合は 1 とします(法令 少分配による金銭の額から、その出資等減 8 ①十七ロ)。また、その出資等減少 少分配を行った投資法人の上記イによる資 分配の直前の資本金等の額が零以下 本金等の額の減少額のうちその法人の持分 である場合には割合は 0 と、その直 に対応した金額を控除した金額が、その出 前の資本金等の額が零を超え、かつ、 資等減少分配によりその法人が受けたみな 分母の金額が零以下である場合には し配当等の額ということになります。 割合は 1 とします。なお、上記の割 ③ 会社法の改正に伴う所要の改正 合は、端数を切り上げて小数点以下 会社法の一部を改正する法律(平成26年法 三位までとします(法令 8 ①十七)。 律第90号)における会社法の改正による株式 ─ 359 ─ ――法人税法の改正―― の併合に反対する株主によるその株式会社に 235条第 1 項(一に満たない端数の処理) 、 対するその株式の併合により端数となる株式 第868条第 1 項(非訟事件の管轄)、第869 の買取請求制度の創設に伴い、みなし配当の 条( 疎 明 )、 第871条( 理 由 の 付 記 )、 第 額が生ずる事由となる自己の株式の取得から 874条(第 4 号に係る部分に限る。)(不服 除外される特定の事由による取得における事 申立ての制限)、第875条(非訟事件手続 由に会社法第182条の 4 第 1 項の規定(株式 法の規定の適用除外)並びに第876条(最 の併合に反対する株主からのその株式の併合 高裁判所規則)の規定は特定目的会社の により端数となる株式の買取請求)による買 特定出資の併合について、第868条第 1 項 取りが追加されました(法令23③九) 。 (非訟事件の管轄)、第870条第 2 項(第 2 (注 1 ) 会社法第182条の 4 第 1 項には、資産の 号に係る部分に限る。)(陳述の聴取)、第 流動化に関する法律第38条又は第50条第 870条の 2 (申立書の写しの送付等)、第 1 項において準用する場合を含むことと 871条本文(理由の付記)、第872条(第 5 されています。 号に係る部分に限る。)(即時抗告)、第 (注 2 ) 上記の改正は、平成26年度税制改正事 項ですが、今回の改正で措置されています。 (参考 1 ) 会社法(平成17年法律第86号) 872条の 2 (抗告状の写しの送付等)、第 873条本文(原裁判の執行停止) 、第875条 (非訟事件手続法の規定の適用除外)及び 第876条(最高裁判所規則)の規定はこの (反対株主の株式買取請求) 第182条の 4 株式会社が株式の併合をする 条において準用する同法第182条の 4 第 1 ことにより株式の数に 1 株に満たない端 項の規定による請求について、それぞれ 数が生ずる場合には、反対株主は、当該 準用する。この場合において、同法第180 株式会社に対し、自己の有する株式のう 条第 2 項中「株主総会」とあるのは「社 ち 1 株に満たない端数となるものの全部 員総会」と、同法第181条第 1 項中「株主 を公正な価格で買い取ることを請求する (種類株式発行会社にあっては、前条第 2 項第 3 号の種類の種類株主。以下この款 ことができる。 において同じ。 ) 」とあるのは「特定社員」 2 ~ 7 省 略 (参考 2 ) 資産の流動化に関する法律(平成10年 と、「登録株式質権者」とあるのは「登録 特定出資質権者」と、同法第182条第 1 項 法律第105号) 中「株主」とあるのは「特定社員」と、 (特定出資についての会社法の準用) 第38条 会社法第180条(第 2 項第 3 号及び 「数」とあるのは「口数」と、 「同条第 2 第 4 号、第 3 項並びに第 4 項を除く。)(株 項第 1 号」とあるのは「第180条第 2 項第 式の併合)、第181条(株主に対する通知 1 号」と、同法第182条の 2 第 1 項第 1 号 等 )、 第182条 第 1 項( 効 力 の 発 生 )、 第 中「株主総会(株式の併合をするために 182条の 2 (株式の併合に関する事項に関 種類株主総会の決議を要する場合にあっ する書面等の備置き及び閲覧等)、第182 ては、当該種類株主総会を含む。第182条 条の 3 (株式の併合をやめることの請求)、 の 4 第 2 項において同じ。)」とあるのは 第182条の 4 (第 5 項を除く。)(反対株主 「社員総会」と、同条第 2 項中「株主」と の株式買取請求)、第182条の 5 (第 7 項 あるのは「特定社員」と、同法第182条の を除く。 )(株式の価格の決定等)、第182 3 中「法令又は定款」とあるのは「法令、 条の 6 (株式の併合に関する書面等の備 資産流動化計画又は定款」と、「株主」と 置き及び閲覧等)、第234条第 2 項及び第 あるのは「特定社員」と、同法第182条の ─ 360 ─ ――法人税法の改正―― 4 第 1 項中「数に 1 株」とあるのは「口 (優先出資についての会社法の準用) 数に 1 口」と、「反対株主」とあるのは 第50条 会社法第180条(第 2 項第 4 号、第 「反対特定社員」と、「うち 1 株」とある 3 項及び第 4 項を除く。) (株式の併合) 、 のは「うち 1 口」と、同条第 2 項中「反 第181条(株主に対する通知等)、第182条 対株主」とあるのは「反対特定社員」と、 第 1 項(効力の発生)及び第182条の 2 か 「株主を」とあるのは「特定社員を」と、 ら第182条の 6 まで(株式の併合に関する 同項第 1 号中「株主総会」とあるのは「社 事項に関する書面等の備置き及び閲覧等、 員総会」と、「株主(」とあるのは「特定 株式の併合をやめることの請求、反対株 社員(」と、同項第 2 号中「株主総会」 主の株式買取請求、株式の価格の決定等、 とあるのは「社員総会」と、「できない株 株式の併合に関する書面等の備置き及び 主」とあるのは「できない特定社員」と、 閲覧等)の規定は、特定目的会社の優先 同条第 3 項中「株主」とあるのは「特定 出資の併合について準用する。この場合 社員」と、同条第 4 項中「株式買取請求」 において、同法第180条第 2 項中「株主総 とあるのは「特定出資買取請求」と、「数 会」とあるのは「社員総会」と、同項第 (種類株式発行会社にあっては、株式の種 3 号中「種類株式発行会社」とあるのは 類及び種類ごとの数)」とあるのは「口 「 2 以上の種類の優先出資を発行する特定 数」と、同条第 6 項中「株式買取請求」 目的会社」と、同法第181条第 1 項中「株 とあるのは「特定出資買取請求」と、「株 主(種類株式発行会社にあっては、前条 主」とあるのは「特定社員」と、同条第 第 2 項第 3 号の種類の種類株主」とある 7 項中「株式買取請求」とあるのは「特 のは「優先出資社員( 2 以上の種類の優 定出資買取請求」と、同法第182条の 5 第 先出資を発行する特定目的会社にあって 1 項中「株式買取請求」とあるのは「特 は、前条第 2 項第 3 号の種類の優先出資 定出資買取請求」と、「株主」とあるのは 社員」と、「登録株式質権者」とあるのは 「特定社員」と、同条第 2 項中「株主」と 「登録優先出資質権者」と、同法第182条 あるのは「特定社員」と、同条第 3 項中 第 1 項中「株主」とあるのは「優先出資 「株主」とあるのは「特定社員」と、「株 社員」と、「株式(種類株式発行会社にあ 式買取請求」とあるのは「特定出資買取 っては、第180条第 2 項第 3 号の種類の株 請求」と、同条第 5 項中「株主」とある 式」とあるのは「優先出資( 2 以上の種 のは「特定社員」と、同条第 6 項中「株 類の優先出資を発行する特定目的会社に 式買取請求」とあるのは「特定出資買取 あっては、第180条第 2 項第 3 号の種類の 請 求 」 と、 同 法 第182条 の 6 第 1 項 中 優先出資」と、「数」とあるのは「口数」 「数」とあるのは「口数」と、同条第 3 項 と、同法第182条の 2 第 1 項第 1 号中「株 中「株主」とあるのは「特定社員」と、 主総会(株式の併合をするために種類株 同法第234条第 2 項中「前項」とあるのは 主総会の決議を要する場合にあっては、 「資産流動化法第38条において準用する第 当該種類株主総会を含む。第182条の 4 第 235条第 1 項」と、同法第235条第 1 項中 2 項において同じ。)」とあるのは「社員 「数」とあるのは「口数」と、「株主」と 総会」と、「第319条第 1 項」とあるのは あるのは「特定社員」と読み替えるもの 「資産流動化法第63条第 1 項」と、同条第 とするほか、必要な技術的読替えは、政 2 項中「株主」とあるのは「優先出資社 令で定める。 員」と、同法第182条の 3 中「法令又は定 ─ 361 ─ ――法人税法の改正―― 款」とあるのは「法令、資産流動化計画 「発行済株式(種類株式発行会社にあって 又は定款」と、「株主」とあるのは「優先 は、第180条第 2 項第 3 号の種類の発行済 出資社員」と、同法第182条の 4 第 1 項中 株式) 」とあるのは「発行済優先出資( 2 「数に 1 株」とあるのは「口数に 1 口」と、 以上の種類の優先出資を発行する特定目 「反対株主」とあるのは「反対優先出資社 的会社にあっては、第180条第 2 項第 3 号 員」と、 「うち 1 株」とあるのは「うち 1 の種類の発行済優先出資)」と、「数」と 口」と、同条第 2 項中「反対株主」とあ あるのは「口数」と、同条第 3 項中「株 るのは「反対優先出資社員」と、「株主 主」とあるのは「優先出資社員」と読み を」とあるのは「優先出資社員を」と、 替えるものとするほか、必要な技術的読 替えは、政令で定める。 同項第 1 号中「株主総会」とあるのは「社 2 ・ 3 省 略 員総会」と、「株主(」とあるのは「優先 出資社員(」と、同項第 2 号中「株主総 会」とあるのは「社員総会」と、「できな ⑶ 適用関係 い株主」とあるのは「できない優先出資 ① 上記⑵②の改正(受取配当等の益金不算入 社員」と、同条第 3 項中「株主」とある 制度に係る部分に限ります。 )は、法人が平 のは「優先出資社員」と、同条第 4 項中 成27年 4 月 1 日以後に受ける投資法人の金銭 「株式買取請求」とあるのは「優先出資買 の分配の額について適用し、法人が同日前に 取請求」と、「数(種類株式発行会社にあ 受けた投資法人の金銭の分配の額については っては、株式の種類及び種類ごとの数)」 従前どおりとされています(改正法附則23)。 とあるのは「口数( 2 以上の種類の優先 連結納税制度の場合についても、同様とされ 出資を発行する特定目的会社にあっては、 ています。 優先出資の種類及び種類ごとの口数)」と、 ② 上記⑵②の改正(みなし配当等の額に係る 同条第 5 項中「株式買取請求」とあるの 部分及び②ハの改正に限ります。 )は、法人 は「優先出資買取請求」と、「株主」とあ が平成27年 4 月 1 日以後にその発行法人の金 るのは「優先出資社員」と、同条第 6 項 銭の分配により交付を受ける金銭の額につい 中「株式買取請求」とあるのは「優先出 て適用し、法人が同日前にその発行法人の金 資買取請求」と、「株主」とあるのは「優 銭の分配により交付を受けた金銭の額につい 先出資社員」と、同条第 7 項中「株式買 ては従前どおりとされています(改正法附則 取請求」とあるのは「優先出資買取請求」 25) 。連結納税制度の場合についても、同様 と、同法第182条の 5 第 1 項中「株式買取 とされています。 請求」とあるのは「優先出資買取請求」と、 ③ 上記⑵②イ又はロの改正は、法人が平成27 「株主」とあるのは「優先出資社員」と、 年 4 月 1 日以後に資本の払戻し等又は出資等 同条第 2 項中「株主」とあるのは「優先 減少分配を行う場合について適用することと 出資社員」と、同条第 3 項中「株主」と されています(改正法令附則 3 ①、 4 ①)。 あるのは「優先出資社員」と、「株式買取 ただし、同日前に資本の払戻し等(出資等減 請求」とあるのは「優先出資買取請求」と、 少分配を含みます。)を行った法人の資本金 同条第 5 項中「株主」とあるのは「優先 等の額又は利益積立金額の計算については、 出資社員」と、同条第 6 項及び第 7 項中 その資本の払戻し等に係る改正前の減少する 「株式買取請求」とあるのは「優先出資買 金額をもって、改正後の資本の払戻し等又は 取 請 求 」 と、 同 法 第182条 の 6 第 1 項 中 出資等減少分配に係る減少する金額とみなす ─ 362 ─ ――法人税法の改正―― こととされています(改正法令附則 3 ②、 4 る決定 ②)。つまり、改正直前までの資本金等の額 B その内国法人の報酬諮問委員会に対 又は利益積立金額は、従前どおり計算するこ する諮問その他の手続を経た取締役会 ととなります。 の決議による決定 ④ 上記⑵③の改正は、平成27年 5 月 1 日以後 C その内国法人が監査役会設置会社で に生ずる事由について適用し、同日前に生じ ある場合の取締役会の決議による決定 た事由については、従前どおりとされていま D AからCまでの手続に準ずる手続 ハ その内容が、上記ロの決定又は手続の す(改正法令附則 5 ①) 。 終了の日以後遅滞なく、有価証券報告書 4 役員給与の損金不算入 に記載されていることその他の方法によ ⑴ 改正前の制度の概要 り開示されていること。 ① 損金不算入となる役員給与及び損金算入で ロ 上記イの利益に関する指標の数値が確定 きる役員給与 した後 1 月以内に支払われ、又は支払われ 内国法人がその役員に対して支給する給与 る見込みであること。 (退職給与、新株予約権によるもの及び使用 ハ 損金経理をしていること。 人兼務役員に対する使用人としての職務に対 ② 使用人兼務役員とされない役員 するものを除きます。 )のうち、定期同額給 使用人兼務役員とされない役員は、次の役 与、事前確定届出給与及び利益連動給与以外 員とされています(法法34①⑤、法令71)。 のものの額は、その内国法人の各事業年度の イ 社長、理事長、代表取締役、代表執行役、 所得の金額の計算上、損金の額に算入しない 代表理事及び清算人 ロ 副社長、専務、常務その他これらに準ず こととされています(法法34①) 。 なお、その内国法人の各事業年度の所得の 金額の計算上損金の額に算入できる定期同額 給与、事前確定届出給与及び利益連動給与の る職制上の地位を有する役員 ハ 合名会社、合資会社及び合同会社の業務 を執行する社員 額のうち利益連動給与は、次の要件を満たす ニ 取締役(委員会設置会社の取締役に限り ものとされています(法法34①三、法令69⑦ ます。)、会計参与及び監査役並びに監事 ホ 同族会社の役員のうち次の要件の全てを ~⑩、法規22の 3 ③) 。 イ その算定方法がその事業年度の利益に関 する指標を基礎とした客観的なもの(次の 満たしている者 イ その会社の株主グループにつきその所 要件を満たすもの)であること。 有割合が最も大きいものから順次第 1 順 イ 確定額を限度としているものであり、 位から第 3 順位までその順位を付した場 かつ、他の業務執行役員に対して支給す 合に、その役員が次の株主グループのい る利益連動給与に係る算定方法と同様の ずれかに属していること。 ものであること。 A 第 1 順位の株主グループの所有割合 ロ その事業年度開始の日の属する会計期 間開始の日から 3 月を経過する日までに、 が50%を超える場合におけるその株主 グループ 報酬委員会が決定をしていることその他 B 第 1 順位及び第 2 順位の株主グルー これに準ずる次のいずれかの適正な手続 プの所有割合を合計した場合にその所 を経ていること。 有割合がはじめて50%を超えるときに A その内国法人の株主総会の決議によ おけるこれらの株主グループ ─ 363 ─ ――法人税法の改正―― C 第 1 順位から第 3 順位までの株主グ うち、株主総会の決議による決定(上記⑴ ループの所有割合を合計した場合にそ ①イロA)及び報酬諮問委員会に対する諮 の所有割合がはじめて50%を超えると 問その他の手続を経た取締役会の決議によ きにおけるこれらの株主グループ る決定(上記⑴①イロB)における内国法 ロ その役員の属する株主グループのその 人から除外される「委員会設置会社」を 会社に係る所有割合が10%を超えている 「指名委員会等設置会社」とする名称変更 が行われました(法令69⑨一・二)。 こと。 ② 使用人兼務役員とされない役員の追加等 ハ その役員のその会社に係る所有割合が 使用人兼務役員とされない役員のうち取締 5 %を超えていること。 役(上記⑴②ニ)について、次の見直しが行 ⑵ 改正の内容 われました(法令71①四)。 イ 対象に監査等委員である取締役が追加さ 会社法の一部を改正する法律(平成26年法律 れました。 第90号)における会社法の改正による監査等委 員会設置会社制度の創設及び「委員会設置会 (注) 監査等委員(監査等委員会の委員)で 社」を「指名委員会等設置会社」とする名称変 ある取締役については、使用人を兼ねる 更に伴い、次の見直しが行われました。 ことができないこととされています(会 ① 利益連動給与の要件における報酬委員会の 社法331③) 。 決定に準ずる適正な手続の追加等 ロ 対象となる委員会設置会社の取締役につ 利益連動給与の要件のうち、その算定方法 いて、「委員会設置会社」を「指名委員会 がその事業年度の利益に関する指標を基礎と 等設置会社」とする名称変更が行われまし した客観的なものであることとする要件にお た。 ける「その事業年度開始の日の属する会計期 (注) 上記①及び②の改正は、平成26年度税制改 間開始の日から 3 月を経過する日までに、報 酬委員会が決定をしていることその他これに 正事項ですが、今回の改正で措置されています。 (参考) 会社法(平成17年法律第86号) 準ずる次のいずれかの適正な手続を経ている こととする要件(上記⑴①イロ) 」について、 (定義) 第 2 条 この法律において、次の各号に掲げ 次の見直しが行われました(法令69⑨) 。 る用語の意義は、当該各号に定めるところ イ 報酬委員会の決定に準ずる適正な手続に による。 その内国法人が監査等委員会設置会社であ 一~十一 省 略 る場合の取締役会の決議による決定が追加 十一の二 監査等委員会設置会社 監査等 されました(法令69⑨二・四・五) 。 委員会を置く株式会社をいう。 (注 1 ) 監査等委員会設置会社からは、業務 十二 指名委員会等設置会社 指名委員会、 執行役員関連者が監査等委員である取 監査委員会及び報酬委員会(以下「指名 締役になっている会社を除くこととさ 委員会等」という。)を置く株式会社をい れています。 う。 (注 2 ) 取締役会の決議による決定は、監査 等委員である取締役の過半数がその決 十三~三十四 省 略 (取締役の資格等) 議に賛成している場合におけるその決 第331条 省 略 定に限ることとされています。 2 省 略 ロ 報酬委員会の決定に準ずる適正な手続の ─ 364 ─ 3 監査等委員である取締役は、監査等委員 ――法人税法の改正―― 会設置会社若しくはその子会社の業務執行 である「幼保連携型認定こども園」について、 取締役若しくは支配人その他の使用人又は 現行の幼稚園及び保育園と同様とするため、上 当該子会社の会計参与(会計参与が法人で 記⑴②の告示指定されている指定寄附金のうち あるときは、その職務を行うべき社員)若 「学校法人が設置する 1 条校に係る次の寄附 金」における 1 条校に就学前の子どもに関する しくは執行役を兼ねることができない。 4 指名委員会等設置会社の取締役は、当該 教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法 指名委員会等設置会社の支配人その他の使 律(認定こども園法)第 2 条第 7 項に規定する 用人を兼ねることができない。 幼保連携型認定こども園を含めることとされま した(昭40.4大蔵告154(以下「包括告示」と 5 ・ 6 省 略 いいます。)一の二)。 5 寄附金の損金不算入 ① その 1 条校の校舎その他附属設備の受けた ⑴ 改正前の制度の概要 災害による被害の復旧のために支出されたそ 内国法人が各事業年度において支出した寄附 の学校法人に対する寄附金の全額(包括告示 金の額のうちに指定寄附金の額がある場合には、 一の二) その指定寄附金の額の合計額は、その事業年度 ② その 1 条校の敷地、校舎その他附属設備に の所得の金額の計算上、損金不算入の額となる 充てるために支出されるその学校法人に対す 寄附金の額の合計額に算入しない(全額損金の る寄附金の全額(包括告示二) ③ その 1 条校の教育に必要な費用又は基金に 額に算入できる)こととされています(法法37 ①③) 。 充てられる日本私立学校振興・共済事業団に 指定寄附金の額は、次の寄附金の額とされて 対する寄附金の全額(包括告示二の二) います(法法37③) 。 なお、社会福祉法人が設置する幼保連携型認 ① 国又は地方公共団体に対する寄附金の額 定こども園において行う保育は、社会福祉事業 ② 公益社団法人、公益財団法人その他公益を に該当することから、上記⑴②の告示指定され 目的とする事業を行う法人又は団体に対する ている指定寄附金のうち「社会福祉事業の用に 寄附金のうち、次の要件を満たすと認められ 供される土地、建物及び機械その他の設備の取 るものとして財務大臣が告示指定したものの 得若しくは改良の費用、社会福祉事業に係る経 額 常的経費又は社会福祉事業に係る民間奉仕活動 イ 広く一般に募集されること。 に必要な基金に充てるために中央共同募金会又 ロ 教育又は科学の振興、文化の向上、社会 は各都道府県共同募金会に対して支出された寄 福祉への貢献その他公益の増進に寄与する 附金の全額(包括告示四の二)」における社会 ための支出で緊急を要するものに充てられ 福祉事業となります。 ることが確実であること。 (注 1 ) 子ども・子育て関連 3 法とは、 「子ども・ 子育て支援法(平成24年法律第65号) 」 、 「就 ⑵ 改正の内容 学前の子どもに関する教育、保育等の総合 いわゆる「子ども・子育て関連 3 法」に基づ 的な提供の推進に関する法律の一部を改正 く子ども・子育て支援新制度において、学校教 する法律(平成24年法律第66号) 」及び「子 育と保育を提供する学校・児童福祉施設の両方 ども・子育て支援法及び就学前の子どもに の性格を有しているため、学校教育法第 1 条に 関する教育、保育等の総合的な提供の推進 規定する学校(以下「 1 条校」といいます。 ) に関する法律の一部を改正する法律の施行 に含めないこととされた認定こども園の一類型 に伴う関係法律の整備等に関する法律(平 ─ 365 ─ ――法人税法の改正―― 業に必要な施設を設けるため電気又はガスの需 成24年法律第67号)」をいいます。 要者、熱供給を受ける者等(以下「受益者」と (注 2 ) 上記の改正は、平成26年度税制改正事項 ですが、今回の改正で措置されています。 いいます。)から金銭又は資材の交付を受け、 なお、特定公益増進法人及び特定公益信 その事業年度においてその金銭又は資材をもっ 託に係る改正については、平成26年度税制 てその施設を構成する固定資産を取得した場合 改正で措置されています。 において、その固定資産につき、その交付を受 (参考) 就学前の子どもに関する教育、保育等の けた金銭の額又は資材の価額に相当する金額の 総合的な提供の推進に関する法律(平成18 範囲内でその帳簿価額の損金経理による減額等 年法律第77号) をしたときは、その減額等をした金額に相当す る金額は、その事業年度の所得の金額の計算上、 (定義) 第 2 条 省 略 損金の額に算入することとされています(法法 2 ~ 6 省 略 45①)。 7 この法律において「幼保連携型認定こど も園」とは、義務教育及びその後の教育の ⑵ 改正の内容 基礎を培うものとしての満 3 歳以上の子ど 電気事業法等の一部を改正する等の法律(平 もに対する教育並びに保育を必要とする子 成27年法律第47号)におけるガス事業法及び熱 どもに対する保育を一体的に行い、これら 供給事業法の改正によるガス事業類型の見直し の子どもの健やかな成長が図られるよう適 (一般ガス事業、簡易ガス事業、ガス導管事業 当な環境を与えて、その心身の発達を助長 及び大口ガス事業⇒ガス小売事業、一般ガス導 するとともに、保護者に対する子育ての支 管事業、特定ガス導管事業及びガス製造事業)、 援を行うことを目的として、この法律の定 熱供給義務の廃止及び参入規制の緩和(許可⇒ めるところにより設置される施設をいう。 登録)等に伴い、対象事業につき、次の見直し が行われました。 8 ~12 省 略 ① ガス事業 ⑶ 適用関係 安定供給の観点から課されたガス事業法上 上記⑵の改正は、平成27年 4 月 1 日(就学前 の規制の程度(託送供給義務(ガス事業法47 の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供 ①)及び最終保障供給義務(ガス事業法47 の推進に関する法律の一部を改正する法律(平 ②)、託送供給及び最終保障供給に係る料金 成24年法律第66号)の施行の日=子ども・子育 等の供給条件を定めた約款(託送供給約款及 て支援法の施行の日)以後に支出する寄附金に び最終保障供給約款)の作成・経済産業大臣 ついて適用することとされています(平27.3財 への届出(ガス事業法48①、51①)等)及び 務告104前文) 。 工事負担金の受入れによる固定資産の取得の 実態を踏まえ、対象事業が一般ガス導管事業 6 工事負担金で取得した固定資産等の圧 縮額の損金算入 とされました(法法45①二)。 ② 熱供給事業 ⑴ 改正前の制度の概要 熱供給義務の廃止に伴い、対象事業から熱 電気事業法の一般送配電事業、送電事業又は 供給事業が除外されました(旧法法45①四)。 発電事業、ガス事業法の一般ガス事業又は簡易 また併せて、受益者から熱供給を受ける者 が除外されました(法法45①)。 ガス事業、熱供給事業法の熱供給事業等を営む 内国法人が、各事業年度においてそれぞれの事 (注 1 ) この改正は、電気事業法等の一部を改正 ─ 366 ─ ――法人税法の改正―― する等の法律(平成27年法律第47号)附則 の利益を保護する必要性が特に高いと認め 第83条及び第84条において措置されていま られるものとして経済産業大臣が指定する す。 旧供給区域における一般の需要に応ずる熱 (注 2 ) なお、電気事業法等の一部を改正する等 供給を保障するためのみなし熱供給事業者 の法律(平成27年法律第47号)の施行の日は、 が義務として課される熱供給をいいます(改 上記①に係る改正にあっては同法の公布の 正電事法等附則50①) 。 日から起算して 2 年 6 月を超えない範囲内 なお、上記⑵①に係る改正は、一般ガス事業 において政令で定める日(以下「ガス事業 者についてはガス事業に係る改正の施行日にお に係る改正の施行日」といいます。)と、上 いて一般ガス導管事業の許可を受けたものとみ 記②に係る改正にあっては同法の公布の日 なす規定(改正電事法等附則13①)が設けられ から起算して 1 年 6 月を超えない範囲内に ており、簡易ガス事業者については近年、工事 おいて政令で定める日(以下「熱供給事業 負担金の受入れによる固定資産の取得の実態が に係る改正の施行日」といいます。)とされ ないことから、経過措置は設けられていません。 ており、それぞれ同法の成立・公布後に定 められます。 7 不正行為等に係る費用等の損金不算入 ⑴ 改正前の制度の概要 ⑶ 適用関係 内国法人が納付する次のものの額は、その内 上記⑵②に係る改正は、法人が熱供給事業に 国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損 係る改正の施行日前に受益者から交付を受けた 金の額に算入しないこととされています(法法 金銭又は資材をもって同日前に取得した熱供給 55④)。 事業に必要な施設を構成する固定資産及びその ① 罰金及び科料(外国又はその地方公共団体 金銭又は資材をもって同日以後に取得する熱供 が課するこれらに相当するものを含みます。) 給事業に必要な施設を構成する固定資産につい 並びに過料 ② 国民生活安定緊急措置法の規定による課徴 ては、従前どおりとされています(改正電事法 金及び延滞金 等附則84①) 。 また、みなし熱供給事業者が営む指定旧供給 ③ 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関す 区域熱供給を行う事業は本制度の対象事業と、 る法律(独占禁止法)の規定による課徴金及 熱供給を受ける者は受益者と、それぞれみなし び延滞金(外国若しくはその地方公共団体又 て、本制度を適用することとされています(改 は国際機関が納付を命ずるこれらに類するも 正電事法等附則84②) 。 のを含みます。) ④ 金融商品取引法の規定による課徴金及び延 (注 1 ) みなし熱供給事業者とは、熱供給事業に 滞金 係る改正の施行日において熱供給事業につ ⑤ 公認会計士法の規定による課徴金及び延滞 いて登録を受けたものとみなされる者であ 金 って、当分の間、指定旧供給区域熱供給義 務を課されているものをいいます(改正電 ⑵ 改正の内容 事法等附則49①②、50①、52①)。 (注 2 ) 指定旧供給区域熱供給とは、旧供給区域 不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正 内の熱供給を受ける者がその熱供給に代わ する法律(平成26年法律第118号)における不 る熱源機器を選択することが困難であるこ 当景品類及び不当表示防止法(以下「景表法」 と等の事由により、その熱供給を受ける者 といいます。)の改正による不当な表示(優良 ─ 367 ─ ――法人税法の改正―― 誤認表示及び有利誤認表示)を防止するための 商品若しくは役務を供給している他の事 課徴金制度(内閣総理大臣が不当な表示をした 業者に係るものよりも取引の相手方に著 事業者に対して対象商品又は役務の売上額の 3 しく有利であることを示す表示 %相当額を課徴金として納付することを命ずる 2 前項に規定する「課徴金対象期間」とは、 制度)の導入に伴い、上記⑴②から⑤までの法 課徴金対象行為をした期間(課徴金対象行 律の規定による課徴金及び延滞金と同様に、上 為をやめた後そのやめた日から 6 月を経過 記⑴の損金不算入の対象となるものに景表法の する日(同日前に、当該事業者が当該課徴 規定による課徴金及び延滞金が追加されました 金対象行為に係る表示が不当に顧客を誘引 (法法55④六) 。 し、一般消費者による自主的かつ合理的な (参考) 不当景品類及び不当表示防止法(昭和37 選択を阻害するおそれを解消するための措 年法律第134号) 置として内閣府令で定める措置をとつたと (課徴金納付命令) きは、その日)までの間に当該事業者が当 第 8 条 事業者が、第 5 条の規定に違反する 該課徴金対象行為に係る商品又は役務の取 行為(同条第 3 号に該当する表示に係るも 引をしたときは、当該課徴金対象行為をや の を 除 く。 以 下「 課 徴 金 対 象 行 為 」 と い めてから最後に当該取引をした日までの期 う。 )をしたときは、内閣総理大臣は、当該 間を加えた期間とし、当該期間が 3 年を超 事業者に対し、当該課徴金対象行為に係る えるときは、当該期間の末日から遡つて 3 課徴金対象期間に取引をした当該課徴金対 年間とする。 )をいう。 象行為に係る商品又は役務の政令で定める 3 省 略 方法により算定した売上額に100分の 3 を乗 (課徴金対象行為に該当する事実の報告によ じて得た額に相当する額の課徴金を国庫に る課徴金の額の減額) 納付することを命じなければならない。た 第 9 条 前条第 1 項の場合において、内閣総 だし、当該事業者が当該課徴金対象行為を 理大臣は、当該事業者が課徴金対象行為に した期間を通じて当該課徴金対象行為に係 該当する事実を内閣府令で定めるところに る表示が次の各号のいずれかに該当するこ より内閣総理大臣に報告したときは、同項 とを知らず、かつ、知らないことにつき相 の規定により計算した課徴金の額に100分の 当の注意を怠つた者でないと認められると 50を乗じて得た額を当該課徴金の額から減 き、又はその額が150万円未満であるときは、 額するものとする。ただし、その報告が、 その納付を命ずることができない。 当該課徴金対象行為についての調査があつ 一 商品又は役務の品質、規格その他の内 たことにより当該課徴金対象行為について 容について、実際のものよりも著しく優 課徴金納付命令があるべきことを予知して 良であること又は事実に相違して当該事 されたものであるときは、この限りでない。 業者と同種若しくは類似の商品若しくは (課徴金の納付義務等) 役務を供給している他の事業者に係るも 第12条 課徴金納付命令を受けた者は、第 8 のよりも著しく優良であることを示す表 条第 1 項、第 9 条又は前条第 2 項の規定に 示 より計算した課徴金を納付しなければなら 二 商品又は役務の価格その他の取引条件 ない。 について、実際のものよりも取引の相手 2 第 8 条第 1 項、第 9 条又は前条第 2 項の 方に著しく有利であること又は事実に相 規定により計算した課徴金の額に 1 万円未 違して当該事業者と同種若しくは類似の 満の端数があるときは、その端数は、切り ─ 368 ─ ――法人税法の改正―― (注) 不当景品類及び不当表示防止法の一部を改 捨てる。 3 ~ 6 省 略 正する法律(平成26年法律第118号)の施行の 7 課徴金対象行為をやめた日から 5 年を経 日は、同法の公布の日(平成26年11月27日) 過したときは、内閣総理大臣は、当該課徴 から起算して 1 年 6 月を超えない範囲内にお 金対象行為に係る課徴金の納付を命ずるこ いて政令で定める日とされており、今後、定 とができない。 められます。 (課徴金納付命令の方式等) 第17条 課徴金納付命令は、文書によつて行い、 課徴金納付命令書には、納付すべき課徴金 の額、課徴金の計算の基礎及び当該課徴金 に係る課徴金対象行為並びに納期限を記載 8 繰延ヘッジ処理による利益額若しくは 損失額の繰延べ又は時価ヘッジ処理によ る売買目的外有価証券の評価益若しくは 評価損の計上 ⑴ 改正前の制度の概要 しなければならない。 2 課徴金納付命令は、その名宛人に課徴金 ① 繰延ヘッジ処理による利益額又は損失額の 納付命令書の謄本を送達することによつて、 繰延べ その効力を生ずる。 内国法人がヘッジ対象資産等損失額を減少 3 第 1 項の課徴金の納期限は、課徴金納付 させるためにデリバティブ取引等を行った場 命令書の謄本を発する日から 7 月を経過し 合において、そのデリバティブ取引等を行っ た日とする。 た時から事業年度終了の時までの間において (納付の督促) そのヘッジ対象資産等損失額を減少させよう 第18条 内閣総理大臣は、課徴金をその納期 とする資産若しくは負債又は金銭につき譲渡 限までに納付しない者があるときは、督促 若しくは消滅又は受取若しくは支払がなく、 状により期限を指定してその納付を督促し かつ、そのデリバティブ取引等がそのヘッジ なければならない。 対象資産等損失額を減少させるために有効で 2 内閣総理大臣は、前項の規定による督促 あると認められる場合に該当するときは、そ をしたときは、その督促に係る課徴金の額 のデリバティブ取引等に係る利益額又は損失 につき年14・ 5 パーセントの割合で、納期 額のうちそのヘッジ対象資産等損失額を減少 限の翌日からその納付の日までの日数によ させるために有効である部分の金額は、その り計算した延滞金を徴収することができる。 事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又 ただし、延滞金の額が1,000円未満であると は損金の額に算入しないこととされています (法法61の 6 ①)。 きは、この限りでない。 3 前項の規定により計算した延滞金の額に (注 1 ) ヘッジ対象資産等損失額とは、次の損 100円未満の端数があるときは、その端数は、 失の額をいいます(法法61の 6 ①) 。 切り捨てる。 イ 資産又は負債の価額の変動に伴って 生ずるおそれのある損失 ⑶ 適用関係 ロ 資産の取得若しくは譲渡、負債の発 上記⑵の改正は、不当景品類及び不当表示防 生若しくは消滅、金利の受取若しくは 止法の一部を改正する法律(平成26年法律第 支払その他これらに準ずるものに係る 118号)の施行の日以後に行われた行為に係る 決済により受け取ることとなり、又は 景表法の規定による課徴金及び延滞金について 支払うこととなる金銭の額の変動に伴 適用することとされています(改正法附則26) 。 って生ずるおそれのある損失 ─ 369 ─ ――法人税法の改正―― (注 2 ) デリバティブ取引等とは、次の取引を 的な場合」といいます。 )とされています (法令121の 2 ) 。 いいます(法法61の 6 ④)。 イ デリバティブ取引(金利、通貨の価 イ 資産又は負債に係るヘッジ対象資産 格、商品の価格その他の指標の数値と 等損失額を減少させるためにそのデリ してあらかじめ当事者間で約定された バティブ取引等を行った場合 次の場 数値と将来の一定の時期における現実 合の区分に応じた次の割合 のその指標の数値との差に基づいて算 イ その資産の取引時価額が期末・決 出される金銭の授受を約する取引又は 済時価額を超える場合又はその負債 これに類似する取引であって、金融商 の期末・決済時価額が取引時価額を 品取引法、銀行法施行規則等に規定す 超える場合 それぞれそのデリバテ るものをいいます。) ィブ取引等に係る利益額をその超え ロ 有価証券の空売り並びに信用取引及 る部分の金額で除して計算した割合 なお、取引時価額とは、そのデリ び発行日取引 ハ 外貨建資産等を取得し、又は発生さ バティブ取引等を行った時における 価額をいい、期末・決済時価額とは、 せる取引 (注 3 ) ヘッジ対象資産等損失額を減少させる ためにデリバティブ取引等を行った場合 期末時又は決済時における価額をい います。 は、そのデリバティブ取引等がそのヘッ ロ その資産の期末・決済時価額が取 ジ対象資産等損失額を減少させるために 引時価額を超える場合又はその負債 行ったものである旨及びヘッジ対象等の の取引時価額が期末・決済時価額を 明細をそのデリバティブ取引等に係る帳 超える場合 それぞれそのデリバテ 簿書類に記載した場合に限ることとされ ィブ取引等に係る損失額をその超え ています(法法61の 6 ①、法規27の 8 ① る部分の金額で除して計算した割合 ロ 金銭に係るヘッジ対象資産等損失額 ②) 。 なお、ヘッジ対象等の明細とは、その を減少させるためにそのデリバティブ デリバティブ取引等によりそのヘッジ対 取引等を行った場合 次の場合の区分 象資産等損失額を減少させようとする資 に応じた次の割合 産又は負債及び金銭並びにそのデリバテ イ 決済により受け取ることとなるそ ィブ取引等の種類、名称、金額、そのヘ の金銭の取引時金額が期末・決済時 ッジ対象資産等損失額を減少させようと 金額を超える場合又は決済により支 する期間その他参考となるべき事項をい 払うこととなるその金銭の期末・決 います(法規27の 8 ①)。 済時金額が取引時金額を超える場合 (注 4 ) ヘッジ対象資産等損失額を減少させる それぞれそのデリバティブ取引等 ために有効であると認められる場合は、 に係る利益額をその超える部分の金 ヘッジ対象資産等損失額を減少させるた 額で除して計算した割合 めにデリバティブ取引等を行った時から なお、取引時金額とは、そのデリ その事業年度終了の時までの間のいずれ バティブ取引等を行った時において かの有効性判定において、次の場合の区 算出した額をいい、期末・決済時金 分に応じた次の割合がおおむね80%から 額とは、期末時又は決済時において 125%までとなっている場合(以下「原則 算出した額をいいます。 ─ 370 ─ ――法人税法の改正―― ロ 決済により受け取ることとなるそ せようとする資産若しくは負債又は金 の金銭の期末・決済時金額が取引時 銭につき譲渡若しくは消滅又は受取若 金額を超える場合又は決済により支 しくは支払がなく、かつ、そのデリバ 払うこととなるその金銭の取引時金 ティブ取引等の決済をしていない場合 額が期末・決済時金額を超える場合 のその時をいい、決済時とは、そのデ それぞれそのデリバティブ取引等 リバティブ取引等の決済をした場合の に係る損失額をその超える部分の金 その決済の時をいいます(法令121①) 。 (注 2 ) ヘッジ対象資産等評価差額とは、資 額で除して計算した割合 (注 5 ) ヘッジ対象資産等損失額を減少させる 産又は負債のそのデリバティブ取引等 ために有効である部分の金額は、ヘッジ を行った時における価額とその期末時 対象資産等損失額を減少させるために行 又は決済時における価額との差額をい ったデリバティブ取引等に係る利益額又 い、ヘッジ対象金銭受払差額とは、金 は損失額に相当する金額(以下「原則的 銭のそのデリバティブ取引等を行った な金額」といいます。)とされています 時において算出した額とその期末時又 は決済時において算出した額との差額 (法令121の 3 ①)。 イ 原則的な有効性判定方法等 をいいます(法令121②) 。 ヘッジ対象資産等損失額を減少させるた ロ 特別な有効性判定方法等 めにデリバティブ取引等を行った内国法人 ヘッジ対象資産等損失額を減少させるた は、期末時及び決済時において、次の場合 めにデリバティブ取引等を行った内国法人 の区分に応じた次の方法(以下「原則的な で常時多数のデリバティブ取引等を行うも 方法」といいます。 )により、そのデリバ のが、原則的な方法に代えてその方法以外 ティブ取引等がそのヘッジ対象資産等損失 の合理的な方法(以下「特別な方法」とい 額を減少させるために有効であるか否かの います。)により有効性判定を行うこと、 判定(以下「有効性判定」といいます。 ) 原則的な場合に代えて他の場合(以下「特 を行わなければならないこととされていま 別な場合」といいます。 )をもってそのヘ す(法令121) 。 ッジ対象資産等損失額を減少させるために イ 資産又は負債に係るヘッジ対象資産等 有効であると認められる場合とすること及 損失額を減少させるためにそのデリバテ び原則的な金額に代えて他の金額(以下 ィブ取引等を行った場合 期末時又は決 「特別な金額」といいます。)をもってその 済時におけるそのデリバティブ取引等に ヘッジ対象資産等損失額を減少させるため 係る利益額又は損失額とヘッジ対象資産 に有効である部分の金額とすることについ 等評価差額とを比較する方法 て納税地の所轄税務署長の承認を受けた場 ロ 金銭に係るヘッジ対象資産等損失額を 合には、その承認を受けた日の属する事業 減少させるためにそのデリバティブ取引 年度後の各事業年度におけるその承認を受 等を行った場合 期末時又は決済時にお けたデリバティブ取引等に係る有効性判定 ける利益額又は損失額とヘッジ対象金銭 は、その承認を受けた特別な方法、特別な 受払差額とを比較する方法 場合及び特別な金額により行うこととされ (注 1 ) 期末時とは、その事業年度終了の時 までにそのデリバティブ取引等により そのヘッジ対象資産等損失額を減少さ ─ 371 ─ ています(法令121の 4 )。 ② 時価ヘッジ処理による売買目的外有価証券 の評価益又は評価損の計上 ――法人税法の改正―― 内国法人がその有する売買目的外有価証券 ら125%までとなっている場合(以下「原 の価額の変動により生ずるおそれのある損失 則的な場合」といいます。 )とされていま の額(以下「ヘッジ対象有価証券損失額」と す(法令121の 8 ) 。 いいます。)を減少させるためにデリバティ イ そのデリバティブ取引等によりその ブ取引等を行った場合において、そのデリバ ヘッジ対象有価証券損失額を減少させ ティブ取引等を行った時から事業年度終了の ようとする売買目的外有価証券のその 時までの間にその売買目的外有価証券の譲渡 デリバティブ取引等を行った時におけ がなく、かつ、そのデリバティブ取引等がそ る価額が期末時又は決済時における価 のヘッジ対象有価証券損失額を減少させるた 額を超える場合 そのデリバティブ取 めに有効であると認められる場合に該当する 引等に係る利益額をその超える部分の ときは、その売買目的外有価証券の価額と帳 金額で除して計算した割合 簿価額との差額のうちそのデリバティブ取引 ロ そのデリバティブ取引等によりその 等に係る利益額又は損失額に対応する部分の ヘッジ対象有価証券損失額を減少させ 金額(以下「原則的な金額」といいます。 ) ようとする売買目的外有価証券の期末 は、その事業年度の所得の金額の計算上、損 時又は決済時における価額がそのデリ 金の額又は益金の額に算入することとされて バティブ取引等を行った時における価 います(法法61の 7 ①) 。 額を超える場合 そのデリバティブ取 (注 1 ) ヘッジ対象有価証券損失額を減少させ るためにデリバティブ取引等を行った場 合は、その売買目的外有価証券を評価し、 引等に係る損失額をその超える部分の 金額で除して計算した割合 イ 原則的な有効性判定方法等 又は円換算額に換算する旨及びヘッジ対 ヘッジ対象有価証券損失額を減少させる 象等の明細をそのデリバティブ取引等に ためにデリバティブ取引等を行った内国法 係る帳簿書類に記載した場合に限ること 人は、期末時及び決済時において、その期 とされています(法法61の 7 ①、法規27 末時又は決済時におけるそのデリバティブ の 9 ①②)。 取引等に係る利益額又は損失額とヘッジ対 なお、ヘッジ対象等の明細とは、その 象有価証券評価差額とを比較する方法(以 デリバティブ取引等によりそのヘッジ対 下「原則的な方法」といいます。)により、 象有価証券損失額を減少させようとする そのデリバティブ取引等がそのヘッジ対象 売買目的外有価証券及びそのデリバティ 有価証券損失額を減少させるために有効で ブ取引等の種類、名称、金額、そのヘッ あるか否かの判定(以下「有効性判定」と ジ対象有価証券損失額を減少させようと いいます。 )を行わなければならないこと する期間その他参考となるべき事項をい とされています(法令121の 7 )。 (注 1 ) 期末時とは、その事業年度終了の時 います(法規27の 9 ①)。 (注 2 ) ヘッジ対象有価証券損失額を減少させ までにそのデリバティブ取引等により るために有効であると認められる場合は、 そのヘッジ対象有価証券損失額を減少 ヘッジ対象有価証券損失額を減少させる させようとする売買目的外有価証券の ためにデリバティブ取引等を行った時か 譲渡がなく、かつ、そのデリバティブ らその事業年度終了の時までの間のいず 取引等の決済をしていない場合のその れかの有効性判定において、次の場合の 時をいい、決済時とは、その事業年度 区分に応じた次の割合がおおむね80%か においてそのデリバティブ取引等の決 ─ 372 ─ ――法人税法の改正―― 済をした場合のその決済の時をいいま ロの特別な方法として納税地の所轄税務署長の す(法令121の 7 ①)。 承認を受けなければならないこととされていま (注 2 ) ヘッジ対象有価証券評価差額とは、 すが、変動差額等比較法が、一般的な有効性判 売買目的外有価証券のそのデリバティ 定方法として採用されている蓋然性が高いこと ブ取引等を行った時における価額とそ 及びこれまで取扱いにおいてその承認を受けず の期末時又は決済時における価額との に行うことができることとされてきたことを踏 差額をいいます(法令121の 7 ②)。 まえ、変動差額等比較法により有効性判定を行 おうとする場合における手続を「特別な方法と ロ 特別な有効性判定方法等 しての納税地の所轄税務署長の承認」ではなく、 ヘッジ対象有価証券損失額を減少させる ためにデリバティブ取引等を行った内国法 「納税地の所轄税務署長への届出」とする措置 人で常時多数のデリバティブ取引等を行う が次のとおり講じられました。 ものが、原則的な方法に代えてその方法以 ① オプション取引を行った場合の繰延ヘッジ 外の合理的な方法(以下「特別な方法」と 処理における有効性判定方法等 いいます。 )により有効性判定を行うこと、 イ 措置の内容 原則的な場合に代えて他の場合(以下「特 この措置は、ヘッジ手段として行ったオ 別な場合」といいます。 )をもってそのヘ プション取引に係る有効性判定について、 ッジ対象有価証券損失額を減少させるため その有効性判定を行おうとする法人の納税 に有効であると認められる場合とすること 地の所轄税務署長への届出書の提出によっ 及び原則的な金額に代えて他の金額(以下 て、そのよることとされる原則的な方法 「特別な金額」といいます。 )をもってその (上記⑴①イ)に代えて、次の場合の区分 デリバティブ取引等に係る利益額又は損失 に応じた次の方法によることができるとい 額に対応する部分の金額とすることについ うものです(法令121の 3 の 2 ①)。 て納税地の所轄税務署長の承認を受けた場 イ 資産又は負債に係るヘッジ対象資産等 合には、その承認を受けた日の属する事業 損失額を減少させるためにそのオプショ 年度後の各事業年度におけるその承認を受 ン取引を行った場合 期末時又は決済時 けたデリバティブ取引等に係る有効性判定 におけるそのオプション取引に係る基礎 は、その承認を受けた特別な方法、特別な 商品変動差額とヘッジ対象資産等評価差 場合及び特別な金額により行うこととされ 額とを比較する方法 ロ 金銭に係るヘッジ対象資産等損失額を ています(法令121の10) 。 減少させるためにそのオプション取引を ⑵ 改正の内容 行った場合 期末時又は決済時における ヘッジ手段としてオプション取引を行った場 そのオプション取引に係る受払金銭評価 合における有効性判定について、金融商品会計 差額とヘッジ対象金銭受払差額とを比較 において行うこととされているそのオプション する方法 取引に係る金融商品の変動差額等を用いる方法 (注 1 ) オプション取引とは、上記⑴①(注 (以下「変動差額等比較法」といいます。 )によ 2 )イのデリバティブ取引のうち、当事 り行おうとする場合には、現行制度においては、 者の一方の意思表示により当事者間に 変動差額等比較法は原則的な方法に該当しない おいて金融商品取引法第 2 条第24項に ことから、変動差額等比較法により有効性判定 規定する金融商品の売買を成立させる を行おうとする内国法人は、上記⑴①ロ又は② ことができる権利を相手方が当事者の ─ 373 ─ ――法人税法の改正―― 一方に付与し、当事者の一方がこれに いこととされています(法令121の 3 の 2 対して対価を支払うことを約する取引 ③、法規27の 8 ⑦)。 又はこれに類似する取引であって、同 イ 届出をする内国法人の名称、納税地及 条第21項に規定する市場デリバティブ び法人番号並びに代表者の氏名 取引(同項第 3 号に掲げる取引に限り ロ 上記イイ又はロの方法により有効性判 ます。 )、同条第20項に規定するデリバ 定を行おうとするオプション取引の種類 ティブ取引のうち同条第22項に規定す 並びにそのオプション取引によりヘッジ る店頭デリバティブ取引(同項第 3 号 対象資産等損失額を減少させようとする 及び第 4 号に掲げる取引に限ります。) 資産又は負債及び金銭の範囲 に該当するもの(金融商品オプション 取引)及び銀行法施行規則第13条の 2 の 3 第 1 項第 3 号に掲げる取引(商品 ハ この措置の適用を受けようとする最初 の事業年度開始の日及び終了の日 ニ その他参考となるべき事項 等オプション取引)をいいます(法令 (注) 上記イイ又はロの方法により有効性判 121の 3 の 2 ①、法規27の 7 ③三、27の 定を行おうとする事業年度に係る確定申 8 ⑥) 。 告書の提出期限は、これらの方法により 関係法令については、下記の(参考 有効性判定を行おうとする仮決算をした 1 )及び(参考 2 )をご参照ください。 場合の中間申告の期間についてその中間 (注 2 ) 基礎商品変動差額とは、オプション 申告書を提出する場合には、その中間申 取引に係る金融商品のそのオプション 告書の提出期限とすることとされていま 取引を行った時における価格とその期 す(法令121の 3 の 2 ③) 。 末時又は決済時における価格との差額 なお、この届出書の提出があったときは、 をいい、受払金銭評価差額とは、オプ その届出書に記載されたオプション取引の ション取引に係る金銭に相当するもの 種類等と同じ種類等の全てのオプション取 のそのオプション取引を行った時にお 引について、この措置の適用を受ける最初 けるそのオプション取引に係る金融商 の事業年度以後の各事業年度における有効 品の利率等に基づいて算出した額とそ 性判定は、上記イイ又はロの方法により行 の期末時又は決済時におけるその金融 うものとすることとされています。 商品の利率等に基づいて算出した額と ハ 措置の適用をやめようとする場合 の差額をいいます(法令121の 3 の 2 ②)。 オプション取引について上記イの措置の なお、金融商品の利率等とは、金融 適用を受けている内国法人は、そのオプシ 商品の利率その他これに準ずる指標を ョン取引について上記イイ又はロの方法に いいます。 より有効性判定を行うことをやめようとす るときは、そのやめようとする事業年度開 ロ 適用要件 この措置の適用を受けようとする内国法 始の日の前日までに、その事業年度開始の 人は、上記イイ又はロの方法により有効性 日及び次の事項を記載した届出書を納税地 判定を行おうとする事業年度に係る確定申 の所轄税務署長に提出しなければならない 告書の提出期限までに、オプション取引に こととされています(法令121の 3 の 2 ④、 ついてこれらの方法により有効性判定を行 法規27の 8 ⑧)。 う旨及び次の事項を記載した届出書を納税 イ 届出をする内国法人の名称、納税地及 地の所轄税務署長に提出しなければならな ─ 374 ─ び法人番号並びに代表者の氏名 ――法人税法の改正―― ロ 上記イイ又はロの方法により有効性判 す(法令121の 9 の 2 ①)。 定を行うことをやめようとする旨並びに (注) 基礎商品変動差額とは、オプション取 そのやめようとするオプション取引の種 引に係る金融商品取引法第 2 条第24項に 類並びにそのオプション取引に係る資産 規定する金融商品のそのオプション取引 又は負債及び金銭の範囲 を行った時における価格とその期末時又 ハ その他参考となるべき事項 は決済時における価格との差額をいいま なお、この届出書の提出があったときは、 す。 その事業年度以後の各事業年度については、 関 係 法 令 に つ い て は、 下 記 の( 参 考 その届出書に記載されたオプション取引の 1 )をご参照ください。 種類等と同じ種類等の全てのオプション取 ロ 適用要件 引に係る上記ロの届出は、その効力を失う この措置の適用を受けようとする内国法 ものとすることとされています。 人は、変動差額比較法により有効性判定を ニ その他 行おうとする事業年度に係る確定申告書の オプション取引について上記イの措置の 提出期限までに、オプション取引について 適用を受ける場合におけるそのオプション 変動差額比較法により有効性判定を行う旨 取引につき、繰延ヘッジ処理に係るヘッジ 及び次の事項を記載した届出書を納税地の が有効であると認められる場合、デリバテ 所轄税務署長に提出しなければならないこ ィブ取引等に係る利益額又は損失額のうち ととされています(法令121の 9 の 2 ②、 ヘッジとして有効である部分の金額等、繰 法規27の 9 ④)。 り延べたデリバティブ取引等の決済損益額 イ 届出をする内国法人の名称、納税地及 の計上時期等に係る規定の適用について、 所要の読替え規定が設けられています(法 び法人番号並びに代表者の氏名 ロ 変動差額比較法により有効性判定を行 令121の 3 の 2 ⑤) 。 おうとするオプション取引の種類及びそ また、上記イの措置が設けられたことに のオプション取引によりヘッジ対象有価 伴う所要の規定の整備が行われました(法 証券損失額を減少させようとする売買目 令14の11③十四、121①、121の 4 ①③④⑥、 的外有価証券の範囲 155の 6 ①二ロ・四、法規27の 8 ①⑨、37 ①)。 ハ この措置の適用を受けようとする最初 の事業年度開始の日及び終了の日 ② オプション取引を行った場合の時価ヘッジ 処理における有効性判定方法等 ニ その他参考となるべき事項 (注) 変動差額比較法により有効性判定を行 イ 措置の内容 おうとする事業年度に係る確定申告書の この措置は、ヘッジ手段として行ったオ 提出期限は、変動差額比較法により有効 プション取引に係る有効性判定について、 性判定を行おうとする仮決算をした場合 その有効性判定を行おうとする法人の納税 の中間申告の期間についてその中間申告 地の所轄税務署長への届出書の提出によっ 書を提出する場合には、その中間申告書 て、そのよることとされる原則的な方法 の提出期限とすることとされています (上記⑴②イ)に代えて、基礎商品変動差 (法令121の 9 の 2 ②) 。 額とヘッジ対象有価証券評価差額とを比較 なお、この届出書の提出があったときは、 する方法(以下「変動差額比較法」といい その届出書に記載されたオプション取引の ます。)によることができるというもので 種類等と同じ種類等の全てのオプション取 ─ 375 ─ ――法人税法の改正―― 引について、この措置の適用を受ける最初 また、上記イの措置が設けられたことに の事業年度以後の各事業年度における有効 伴う所要の規定の整備が行われました(法 性判定は、変動差額比較法により行うもの 令121の 7 ①、121の10①、155の 6 ①二 とすることとされています。 ロ・四、法規27の 9 ①、37①)。 ハ 措置の適用をやめようとする場合 (参考 1 ) 金融商品取引法(昭和23年法律第25号) オプション取引について上記イの措置の (定義) 適用を受けている内国法人は、そのオプシ 第 2 条 省 略 ョン取引について変動差額比較法により有 2 ~19 省 略 効性判定を行うことをやめようとするとき 20 この法律において「デリバティブ取引」 は、そのやめようとする事業年度開始の日 とは、市場デリバティブ取引、店頭デリ の前日までに、その事業年度開始の日及び バティブ取引又は外国市場デリバティブ 次の事項を記載した届出書を納税地の所轄 取引をいう。 税務署長に提出しなければならないことと 21 この法律において「市場デリバティブ されています(法令121の 9 の 2 ③、法規 取引」とは、金融商品市場において、金 27の 9 ⑤) 。 融商品市場を開設する者の定める基準及 イ 届出をする内国法人の名称、納税地及 び方法に従い行う次に掲げる取引をいう。 び法人番号並びに代表者の氏名 一 売買の当事者が将来の一定の時期に ロ 変動差額比較法により有効性判定を行 おいて金融商品及びその対価の授受を うことをやめようとする旨並びにそのや 約する売買であつて、当該売買の目的 めようとするオプション取引の種類及び となつている金融商品の転売又は買戻 そのオプション取引に係る売買目的外有 しをしたときは差金の授受によつて決 価証券の範囲 済することができる取引 ハ その他参考となるべき事項 二 当事者があらかじめ金融指標として なお、この届出書の提出があったときは、 約定する数値(以下「約定数値」とい その事業年度以後の各事業年度については、 う。)と将来の一定の時期における現実 その届出書に記載されたオプション取引の の当該金融指標の数値(以下「現実数 種類等と同じ種類等の全てのオプション取 値」という。)の差に基づいて算出され 引に係る上記ロの届出は、その効力を失う る金銭の授受を約する取引 ものとすることとされています。 三 当事者の一方の意思表示により当事 ニ その他 者間において次に掲げる取引を成立さ オプション取引について上記イの措置の せることができる権利を相手方が当事 適用を受ける場合におけるそのオプション 者の一方に付与し、当事者の一方がこ 取引につき、時価ヘッジ処理に係るヘッジ れに対して対価を支払うことを約する が有効であると認められる場合、売買目的 取引 外有価証券の含み損益のうちデリバティブ イ 金融商品の売買(第 1 号に掲げる 取引等に係る利益額又は損失額に対応する 取引を除く。 ) 部分の金額、時価ヘッジ処理における時価 ロ 前 2 号及び次号から第 6 号までに 評価差額の翌事業年度における処理等に係 掲げる取引(前号又は第 4 号の 2 に る規定の適用について、所要の読替え規定 掲げる取引に準ずる取引で金融商品 が設けられています(法令121の 9 の 2 ④) 。 取引所の定めるものを含む。 ) ─ 376 ─ ――法人税法の改正―― 四 当事者が元本として定めた金額につ とを約するものを含み、第 2 号から前 いて当事者の一方が相手方と取り決め 号までに掲げるものを除く。 ) た金融商品(第24項第 3 号及び第 3 号 イ 法人の信用状態に係る事由その他 の 2 に 掲 げ る も の を 除 く。 )の利率等 これに類似するものとして政令で定 (利率その他これに準ずるものとして内 めるもの 閣 府 令 で 定 め る も の を い う。 以 下 同 ロ 当事者がその発生に影響を及ぼす じ。 )又は金融指標(金融商品(これら ことが不可能又は著しく困難な事由 の号に掲げるものを除く。)の利率等及 であつて、当該当事者その他の事業 びこれに基づいて算出した数値を除く。 者の事業活動に重大な影響を与える 以下この号及び次項第 5 号において同 ものとして政令で定めるもの(イに じ。 )の約定した期間における変化率に 掲げるものを除く。 ) 基づいて金銭を支払い、相手方が当事 者の一方と取り決めた金融商品(第24 六 前各号に掲げる取引に類似する取引 であつて、政令で定めるもの 項第 3 号及び第 3 号の 2 に掲げるもの 22 この法律において「店頭デリバティブ を除く。)の利率等又は金融指標の約定 取引」とは、金融商品市場及び外国金融 した期間における変化率に基づいて金 商品市場によらないで行う次に掲げる取 銭を支払うことを相互に約する取引(こ 引(その内容等を勘案し、公益又は投資 れらの金銭の支払とあわせて当該元本 者の保護のため支障を生ずることがない として定めた金額に相当する金銭又は と認められるものとして政令で定めるも 金融商品を授受することを約するもの のを除く。 )をいう。 を含む。) 一 売買の当事者が将来の一定の時期に 四の二 当事者が数量を定めた金融商品 おいて金融商品(第24項第 3 号の 2 及 (第24項第 3 号の 2 に掲げるものに限る。 び第 5 号に掲げるものを除く。第 3 号 以下この号において同じ。)について当 及び第 6 号において同じ。 )及びその対 事者の一方が相手方と取り決めた当該 価の授受を約する売買であつて、当該 金融商品に係る金融指標の約定した期 売買の目的となつている金融商品の売 間における変化率に基づいて金銭を支 戻し又は買戻しその他政令で定める行 払い、相手方が当事者の一方と取り決 為をしたときは差金の授受によつて決 めた当該金融指標の約定した期間にお ける変化率に基づいて金銭を支払うこ 済することができる取引 二 約定数値(第24項第 3 号の 2 又は第 5 号に掲げる金融商品に係る金融指標 とを相互に約する取引 五 当事者の一方が金銭を支払い、これ の数値を除く。 )と現実数値(これらの に対して当事者があらかじめ定めた次 号に掲げる金融商品に係る金融指標の に掲げるいずれかの事由が発生した場 数値を除く。)の差に基づいて算出され 合において相手方が金銭を支払うこと る金銭の授受を約する取引又はこれに を約する取引(当該事由が発生した場 類似する取引 合において、当事者の一方が金融商品、 三 当事者の一方の意思表示により当事 金融商品に係る権利又は金銭債権(金 者間において次に掲げる取引を成立さ 融商品であるもの及び金融商品に係る せることができる権利を相手方が当事 権利であるものを除く。)を移転するこ 者の一方に付与し、当事者の一方がこ ─ 377 ─ ――法人税法の改正―― れに対して対価を支払うことを約する を約する取引(当該事由が発生した場 取引又はこれに類似する取引 合において、当事者の一方が金融商品、 イ 金融商品の売買(第 1 号に掲げる 金融商品に係る権利又は金銭債権(金 融商品であるもの及び金融商品に係る 取引を除く。) ロ 前 2 号及び第 5 号から第 7 号まで 権利であるものを除く。)を移転するこ とを約するものを含み、第 2 号から前 に掲げる取引 四 当事者の一方の意思表示により当事 号までに掲げるものを除く。)又はこれ 者間において当該意思表示を行う場合 に類似する取引 の金融指標(第24項第 3 号の 2 又は第 イ 法人の信用状態に係る事由その他 5 号に掲げる金融商品に係るものを除 これに類似するものとして政令で定 く。 )としてあらかじめ約定する数値と めるもの 現に当該意思表示を行つた時期におけ ロ 当事者がその発生に影響を及ぼす る現実の当該金融指標の数値の差に基 ことが不可能又は著しく困難な事由 づいて算出される金銭を授受すること であつて、当該当事者その他の事業 となる取引を成立させることができる 者の事業活動に重大な影響を与える 権利を相手方が当事者の一方に付与し、 ものとして政令で定めるもの(イに 当事者の一方がこれに対して対価を支 掲げるものを除く。 ) 払うことを約する取引又はこれに類似 七 前各号に掲げるもののほか、これら と同様の経済的性質を有する取引であ する取引 五 当事者が元本として定めた金額につ つて、公益又は投資者の保護を確保す いて当事者の一方が相手方と取り決め ることが必要と認められるものとして た金融商品(第24項第 3 号、第 3 号の 政令で定める取引 2 及び第 5 号に掲げるものを除く。)の 23 省 略 利率等若しくは金融指標の約定した期 24 この法律において「金融商品」とは、 間における変化率に基づいて金銭を支 次に掲げるものをいう。 払い、相手方が当事者の一方と取り決 一 有価証券 めた金融商品(これらの号に掲げるも 二 預金契約に基づく債権その他の権利 のを除く。)の利率等若しくは金融指標 又は当該権利を表示する証券若しくは の約定した期間における変化率に基づ 証書であつて政令で定めるもの(前号 いて金銭を支払うことを相互に約する に掲げるものを除く。 ) 取引(これらの金銭の支払とあわせて 三 通貨 当該元本として定めた金額に相当する 三の二 商品(商品先物取引法(昭和25 金銭又は金融商品(同項第 3 号の 2 及 年法律第239号)第 2 条第 1 項に規定す び第 5 号に掲げるものを除く。)を授受 る商品のうち、法令の規定に基づく当 することを約するものを含む。)又はこ 該商品の価格の安定に関する措置の有 れに類似する取引 無その他当該商品の価格形成及び需給 六 当事者の一方が金銭を支払い、これ の状況を勘案し、当該商品に係る市場 に対して当事者があらかじめ定めた次 デリバティブ取引により当該商品の適 に掲げるいずれかの事由が発生した場 切な価格形成が阻害されるおそれがな 合において相手方が金銭を支払うこと く、かつ、取引所金融商品市場におい ─ 378 ─ ――法人税法の改正―― て当該商品に係る市場デリバティブ取 ⑵ 当該売買取引に係る商品の保管 引が行われることが国民経済上有益で 又は運搬に伴い発生しうる危険を あるものとして政令で定めるものをい 負担しないこと。 二 当事者が数量を定めた算定割当量(地 う。以下同じ。) 四 前各号に掲げるもののほか、同一の 球温暖化対策の推進に関する法律(平 種類のものが多数存在し、価格の変動 成10年法律第117号)第 2 条第 6 項に規 が著しい資産であつて、当該資産に係 定する算定割当量その他これに類似す るデリバティブ取引(デリバティブ取 るものをいう。以下同じ。 )について当 引に類似する取引を含む。)について投 該当事者間で取り決めた算定割当量の 資者の保護を確保することが必要と認 相場に基づき金銭の支払を相互に約す められるものとして政令で定めるもの る取引その他これに類似する取引(次 に掲げる取引に限る。 ) (商品先物取引法第 2 条第 1 項に規定す イ 差金の授受によつて決済される取 る商品を除く。) 引 五 第 1 号若しくは第 2 号に掲げるもの 又は前号に掲げるもののうち内閣府令 ロ 算定割当量及びその対価の授受を で定めるものについて、金融商品取引 約する売買取引であつて、当該売買 所が、市場デリバティブ取引を円滑化 取引に係る算定割当量を決済の終了 するため、利率、償還期限その他の条 後に保有することとならないもの 三 当事者の一方の意思表示により当事 件を標準化して設定した標準物 者間において前 2 号に掲げる取引を成 25~40 省 略 (参考 2 ) 銀行法施行規則(昭和57年大蔵省令第 立させることができる権利を相手方が 当事者の一方に付与し、当事者の一方 10号) がこれに対して対価を支払うことを約 (金融等デリバティブ取引) する取引その他これに類似する取引 第13条 の 2 の 3 法 第10条 第 2 項 第14号 に 2 ・ 3 省 略 規定する類似する取引であつて内閣府令 で定めるものは、次に掲げるものとする。 一 当事者が数量を定めた商品について ⑶ 適用関係 当該当事者間で取り決めた商品相場に 上記⑵①及び②の改正は、法人の平成27年 4 基づき金銭の支払を相互に約する取引 月 1 日以後に開始する事業年度の所得に対する その他これに類似する取引(次に掲げ 法人税について適用し、法人の同日前に開始し る取引に限る。以下「商品デリバティ た事業年度の所得に対する法人税については、 ブ取引」という。) 従前どおりとされています(改正法令附則 2 )。 イ 差金の授受によつて決済される取 連結納税制度の場合についても、同様とされて います(改正法令附則 2 )。 引 ロ 商品及びその対価の授受を約する なお、平成27年 4 月 1 日から行政手続におけ 売買取引であつて、次に掲げる要件 る特定の個人を識別するための番号の利用等に のすべてを満たすもの 関する法律附則第 1 条第 4 号に掲げる規定の施 ⑴ 当該売買取引に係る商品を決済 行の日(平成28年 1 月 1 日)の前日(平成27年 の終了後に保有することとならな 12月31日)までの間に提出する上記⑵①ロ及び いこと。 ハ並びに上記⑵②ロ及びハの届出書に係る上記 ─ 379 ─ ――法人税法の改正―― ⑵①ロイ及びハイ並びに上記⑵②ロイ及びハイ (注 2 ) 借地権又は地役権の設定には、借地権に の事項について、法人番号を除外するための所 係る土地の転貸その他他人にその土地を使 要の読替え規定が設けられています(改正法規 用させる行為を含むこととされています。 附則 2 ②) 。 (注 3 ) 土地は、借地権者にあっては、借地権と 9 借地権の設定等により地価が著しく低 下する場合の土地等の帳簿価額の一部の 損金算入 することとされています。 ⑵ 改正の内容 地下について上下の範囲を定めた借地権の設 ⑴ 改正前の制度の概要 定について、地下のかなりの深い部分における 内国法人が借地権又は地役権の設定により他 設定も可能となってきている現状を踏まえ、そ 人に土地を使用させる場合において、その設定 の設定が大深度地下の公共的使用に関する特別 により、土地の価値減少割合が10分の 5 以上と 措置法の認可事業に係る施設又は工作物の全部 なるときは、その設定の直前におけるその土地 の所有を目的とする地下について上下の範囲を の帳簿価額に、その設定の直前におけるその土 定めた借地権の設定である場合の土地の価値減 地の価額のうちに借地権又は地役権の価額の占 少割合の算式における分子となる金額が、土地 める割合を乗じて計算した金額は、その設定が の価値減少額に 2 を乗じて計算した金額に、そ あった日の属する事業年度の所得の金額の計算 の土地における地表から大深度までの距離をそ 上、損金の額に算入することとされています の借地権の設定される範囲のうち最も浅い部分 の深さからその大深度までの距離で除して得た (法令138①) 。 土地の価値減少割合とは、土地の所有者が借 数を乗じて計算した金額とされました(法令 地権又は地役権の設定により土地を使用させた 138①一ロ)。 場合において、次の算式により計算された割合 したがって、この場合における土地の価値減 をいいます。 少割合は、次の算式により計算された割合とな り、従来の土地の価値減少割合の算式よりも分 その設定の直前におけるその土地の価額からそ の設定の直後におけるその土地の価額を控除し た残額(以下「土地の価値減少額」といいます。) 子となる金額が増大することとなるため、土地 の価値減少割合が10分の 5 以上となるときとす その設定の直前におけるその土地の価額 る損金算入に係る要件が満たされやすくなりま す。 なお、その設定が、地下若しくは空間につい て上下の範囲を定めた借地権若しくは地役権の 設定である場合又は導流堤、遊水地等の設置を 土地の価値減少額 × 2 × 目的とした地役権の設定である場合における土 地の価値減少割合は、その算式における分子と なる金額を土地の価値減少額に 2 を乗じて計算 その借地権の設定され る範囲のうち最も浅い 部分の深さからその大 深度までの距離 その設定の直前におけるその土地の価額 した金額とした次の算式により計算された割合 とすることとされています。 その土地における地表 から大深度までの距離 (注 1 ) 大深度地下の公共的使用に関する特別措 土地の価値減少額× 2 置法の認可事業に係る施設又は工作物とは、 その設定の直前におけるその土地の価額 同法第16条の規定により使用の認可を受け (注 1 ) 借地権とは、建物又は構築物の所有を目 た事業(以下「認可事業」といいます。)と 的とする地上権又は土地の賃借権をいいま 一体的に施行される事業としてその認可事 す。 業に係る同法第14条第 2 項第 2 号の事業計 ─ 380 ─ ――法人税法の改正―― 画書に記載されたものにより設置される施 (参考 1 ) 大深度地下の公共的使用に関する特別 設又は工作物のうちその事業計画書に係る 措置法(平成12年法律第87号) 大深度地下の公共的使用に関する特別措置 (定義) 法施行規則第 8 条第 1 号イに掲げる事業計 第 2 条 この法律において「大深度地下」 画の概要に記載された同号ロの施設又は工 とは、次の各号に掲げる深さのうちいず 作物をいいます(法令138①一ロ、法規27の れか深い方以上の深さの地下をいう。 21③)。 一 建築物の地下室及びその建設の用に (注 2 ) 大深度とは、建築物の地下室及びその建 設の用に通常供されることがない地下の深 通常供されることがない地下の深さと して政令で定める深さ さ(地表から40m)又はその地下の使用を 二 当該地下の使用をしようとする地点 しようとする地点において通常の建築物の において通常の建築物の基礎ぐいを支 基礎ぐいを支持することができる地盤で一 持することができる地盤として政令で 定の許容支持力を有することとなる地盤の 定めるもののうち最も浅い部分の深さ うち最も浅い部分の深さに10mを加えた深 に政令で定める距離を加えた深さ さのうちいずれか深い方の深さをいいます (法令138①一ロ、大深度地下法 2 ①、大深 2 ・ 3 省 略 (使用認可申請書) 第14条 事業者は、使用の認可を受けよう 度地下令 1 、 2 )。 (注 3 ) 分子の「その借地権の設定される範囲の とするときは、国土交通省令で定めると うち最も浅い部分の深さからその大深度ま ころにより、次に掲げる事項を記載した での距離」については、その借地権の設定 使用認可申請書を、第11条第 1 項の事業 される範囲より深い地下であって大深度よ にあっては事業所管大臣を経由して国土 りも浅い地下において既に地下について上 交通大臣に、同条第 2 項の事業にあって 下の範囲を定めた他の借地権が設定されて は都道府県知事に提出しなければならな いる場合には、その借地権の設定される範 い。 0 0 囲のうち最も浅い部分の深さからその他の 0 0 0 一~五 省 略 借地権 の範囲のうち最も浅い部分の深さま 2 前項の使用認可申請書には、国土交通 でとすることとされています(法令138①一 省令で定めるところにより、次に掲げる ロ) 。 書類を添付しなければならない。 (注 4 ) 改正の趣旨、経緯等の詳細については、 一 省 略 前掲の「所得税法等(国外扶養親族その他) 二 事業計画書 の改正」の「四 資産の譲渡とみなされる 三~十二 省 略 行為となる借地権の設定の判定方法の見直 3 ~ 5 省 略 し」の 2 ⑴③をご参照ください。 (使用の認可の要件) な お、 こ の 改 正 は、 収 用 換 地 等 の 場 合 の 第16条 国土交通大臣又は都道府県知事は、 5,000万円特別控除(措法65の 2 )等の租税特 申請に係る事業が次に掲げる要件のすべ 別措置法の規定による資産の譲渡の場合の課税 てに該当するときは、使用の認可をする の特例の適用対象となる収用等による譲渡があ ことができる。 ったものとみなされる場合における土地の価値 一 事業が第 4 条各号に掲げるものであ が著しく減少する場合についても、同様となり ます(措法64②一、措令39⑮) 。 ること。 二 事業が対象地域における大深度地下 ─ 381 ─ ――法人税法の改正―― 距離は、10メートルとする。 で施行されるものであること。 三 事業の円滑な遂行のため大深度地下 (参考 3 ) 大深度地下の公共的使用に関する特別 を使用する公益上の必要があるもので 措置法施行規則(平成12年総理府令第157 あること。 号) (使用認可申請書の添付書類の様式等) 四 事業者が当該事業を遂行する十分な 第 8 条 法第14条第 2 項各号に掲げる添付 意思と能力を有する者であること。 書類は、それぞれ次の各号に定めるとこ 五 事業計画が基本方針に適合するもの ろによって作成し、正本 1 部及び前条第 であること。 1 項の規定による使用認可申請書と同じ 六 事業により設置する施設又は工作物 が、事業区域に係る土地に通常の建築 部数の写しを提出するものとする。 物が建築されてもその構造に支障がな 一 法第14条第 2 項第 2 号の事業計画書 いものとして政令で定める耐力以上の は、次に掲げる事項を記載するものとし、 耐力を有するものであること。 その内容を説明する参考書類があると きは、あわせて添付するものとする。 七 事業の施行に伴い、事業区域にある 井戸その他の物件の移転又は除却が必 イ 事業計画の概要 要となるときは、その移転又は除却が ロ~ホ 省 略 二~八 省 略 困難又は不適当でないと認められるこ と。 (参考 2 ) 大深度地下の公共的使用に関する特別 ⑶ 適用関係 上記⑵の改正は、法人が平成27年 4 月 1 日以 措置法施行令(平成12年政令第500号) 後に行う借地権の設定について適用することと (建築物の地下室及びその建設の用に通常 されています(改正法令附則 6 )。 供されることがない地下の深さ) 第 1 条 大深度地下の公共的使用に関する 特別措置法(以下「法」という。)第 2 条 第 1 項第 1 号の政令で定める深さは、地 10 資産に係る控除対象外消費税額等の損 金算入 ⑴ 改正前の制度の概要 表から40メートルとする。 内国法人の事業年度において生じた資産に係 (通常の建築物の基礎ぐいを支持すること る控除対象外消費税額等が次の場合に該当する ができる地盤等) 第 2 条 法第 2 条第 1 項第 2 号の通常の建 場合において、その該当する資産に係る控除対 築物の基礎ぐいを支持することができる 象外消費税額等の合計額につき、その内国法人 地盤として政令で定めるものは、その地 がその事業年度において損金経理をしたときは、 盤において建築物の基礎ぐいを支持する その損金経理をした金額は、その事業年度の所 ことにより当該基礎ぐいが 1 平方メート 得の金額の計算上、損金の額に算入することと ル当たり2,500キロニュートン以上の許容 されています(法令139の 4 ②)。 支持力を有することとなる地盤(以下「支 ① 棚卸資産に係るものである場合 持地盤」という。)とする。 ② 20万円未満である場合(上記①の場合を除 きます。) 2 前項の許容支持力は、地盤調査の結果 に基づき、国土交通大臣が定める方法に (注 1 ) 事業年度は、消費税法第30条第 2 項に規 より算出するものとする。 定するいわゆる課税売上割合が80%以上で 3 法第 2 条第 1 項第 2 号の政令で定める ─ 382 ─ ある事業年度を除くこととされていること ――法人税法の改正―― から、同割合が80%未満である事業年度と 見直しによって、消費税の課税の対象に特定 なります(法令139の 4 ②)。 仕入れが追加されたため、いわゆる課税売上 (注 2 ) 資産に係る控除対象外消費税額等とは、 割合が80%未満である事業年度において生じ 内国法人が消費税法第19条第 1 項に規定す た資産に係る控除対象外消費税額等をその事 る課税期間につき同法第30条第 1 項の規定 業年度において損金の額に算入することがで の適用を受ける場合で、その課税期間中に きる場合に、その資産に係る控除対象外消費 行った同法第 2 条第 1 項第 9 号に規定する 税額等が特定課税仕入れに係るものである場 課税資産の譲渡等につき課されるべき消費 合が追加されました(法令139の 4 ②二)。 税の額及びその消費税の額を課税標準とし これは、いわゆる「税込経理方式」を採用 て課されるべき地方消費税の額に相当する している法人が特定課税仕入れにより資産を 金額並びに同法第30条第 2 項に規定する課 取得した場合には、その特定課税仕入れに係 税仕入れ等の税額(以下「課税仕入れ等の る消費税等相当額を資産の取得価額とはせず 税額」といいます。)及びその課税仕入れ等 に、納付すべきその特定課税仕入れに係る消 の税額に係る地方消費税の額に相当する金 費税等の額は費用として損金の額に算入され 額をこれらに係る取引の対価と区分する経 ることになるものと考えられるため、課税の 理をしたときにおけるその課税仕入れ等の 公平性の観点から措置されたものです。 税額及びその課税仕入れ等の税額に係る地 (注 1 ) 特定仕入れとは、事業として他の者か 方消費税の額に相当する金額の合計額のう ら受けた特定資産の譲渡等をいいます(消 ち、同条第 1 項の規定による控除をするこ 法 4 ①)。 とができない金額及びその控除をすること (注 2 ) 特定資産の譲渡等とは、事業者向け電 ができない金額に係る地方消費税の額に相 気通信利用役務の提供及び特定役務の提 当する金額の合計額でそれぞれの資産に係 供をいいます(消法 2 ①八の二) 。 (注 3 ) 事業者向け電気通信利用役務の提供と るものをいいます(法令139の 4 ⑤)。 (注 3 ) 課税仕入れ等の税額に係る地方消費税の は、国外事業者が行う電気通信利用役務 額に相当する金額又は控除をすることがで の提供のうち、その電気通信利用役務の きない金額に係る地方消費税の額に相当す 提供に係る役務の性質又はその役務の提 る金額とは、それぞれ地方消費税を税率が 供に係る取引条件等からその役務の提供 1.7%の消費税であると仮定して消費税法の を受ける者が通常事業者に限られるもの 規定の例により計算した場合における課税 をいいます(消法 2 ①八の四) 。 仕入れ等の税額に相当する金額又は同法第 (注 4 ) 国外事業者とは、所得税法第 2 条第 1 30条第 1 項の規定による控除をすることが 項第 5 号に規定する非居住者である個人 できない金額に相当する金額をいいます(法 事業者及び法人税法第 2 条第 4 号に規定 令139の 4 ⑥)。 する外国法人をいいます(消法 2 ①四の 二)。 ⑵ 改正の内容 (注 5 ) 電気通信利用役務の提供とは、資産の ① 資産に係る控除対象外消費税額等をその資 譲渡等のうち、電気通信回線を介して行 産を取得した事業年度において損金算入でき われる著作権法第 2 条第 1 項第 1 号に規 る場合の追加 定する著作物の提供(その著作物の利用 今回の改正法における消費税法の改正によ の許諾に係る取引を含みます。 )その他の る国境を越えた役務の提供等に対する課税の 電気通信回線を介して行われる役務の提 ─ 383 ─ ――法人税法の改正―― 供(電話、電信その他の通信設備を用い 9 条第 2 号及び第11条において措置されて て他人の通信を媒介する役務の提供を除 います。なお、平成27年10月 1 日に予定さ きます。)であって、他の資産の譲渡等の れていた消費税率及び地方消費税率の 8 % 結果の通知その他の他の資産の譲渡等に から10%への引上げが平成29年 4 月 1 日に 付随して行われる役務の提供以外のもの 延期されたことに伴うこの政令に係る所要 をいいます(消法 2 ①八の三)。 の整備は、地方税法施行令等の一部を改正 (注 6 ) 特定役務の提供とは、資産の譲渡等の する政令(平成27年政令第161号)第 2 条に おいて措置されています。 うち、映画若しくは演劇の俳優、音楽家 その他の芸能人又は職業運動家の役務の 提供を主たる内容とする事業として行う ⑶ 適用関係 役務の提供のうち国外事業者が他の事業 ① 上記⑵①の改正は、法人の平成27年10月 1 者に対して行うもので不特定かつ多数の 日以後に終了する事業年度の所得に対する法 者に対して行うもの以外のものをいい、 人税について適用し、法人の同日前に終了し 電気通信利用役務の提供に該当するもの た事業年度の所得に対する法人税については、 を除くこととされています(消法 2 ①八 従前どおりとされています(改正法令附則 7 の五、消令 2 の 2 )。 ①) 。 (注 7 ) 特定課税仕入れとは、課税仕入れのう なお、事業者が平成27年10月 1 日以後に国 ち特定仕入れに該当するものをいいます 内において行った課税仕入れのうち国外事業 者から受けた電気通信利用役務の提供(事業 (消法 5 ①)。 (注 8 ) 国境を越えた役務の提供等に対する課 者向け電気通信利用役務の提供に該当するも 税の見直しの内容の詳細については、後 のを除きます。 )に係るものについては、当 掲の「消費税法等の改正」の「二 国境 分の間、仕入れに係る消費税額の控除の規定 を越えた役務の提供に係る課税の見直し」 (消法30①)は適用しない(改正法附則38① 本文)とされていることに伴い、課税期間中 をご参照ください。 ② 課税仕入れ等の税額に係る地方消費税の額 に行った課税仕入れの全てが国外事業者から 等において地方消費税を消費税であると仮定 受けた電気通信利用役務の提供である場合 (同規定の適用ができない場合)であっても、 して計算する場合における税率の引上げ 平成29年 4 月 1 日からの消費税率及び地方 消費税率の 8 %から10%への引上げによって、 消費税率が100分の7.8(現行:100分の6.3) 本制度を適用することができるようにするた めの所要の読替え規定が設けられています (改正法令附則 7 ②)。 に、地方消費税率が消費税額に対し78分の22 ② 上記⑵②の改正は、法人が平成29年 4 月 1 (現行:63分の17)に、それぞれ引き上げら 日以後に行う課税仕入れ(29年経過措置対象 れることに伴い、課税仕入れ等の税額に係る 課税仕入れ等及び経過措置対象課税仕入れ等 地方消費税の額又は控除をすることができな に該当するものを除きます。)及び法人が同 い金額に係る地方消費税の額において地方消 日以後に保税地域から引き取る課税貨物につ 費税を消費税であると仮定して計算する場合 いて適用し、法人が同日前に行った課税仕入 における税率が、2.2%(現行:1.7%)に引 れ(29年経過措置対象課税仕入れ等を含みま き上げられました(法令139の 4 ⑥) 。 す。)及び法人が同日前に保税地域から引き (注) この改正は、地方税法施行令の一部を改 正する政令(平成26年政令第316号)附則第 ─ 384 ─ 取った課税貨物については、従前どおりとさ れています(改正地令附則11)。 ――法人税法の改正―― (注) 29年経過措置対象課税仕入れ等とは、旅 資の全部をその全ての大法人のうちいずれ 客運賃等の税率等に関して設けられている か一の法人が有するものとみなした場合に 課税仕入れ等に係る消費税額を算出する割 おいてそのいずれか一の法人とその普通法 合である110分の7.8を108分の6.3とする今回 人との間にそのいずれか一の法人による完 の税率引上げの改正に係る経過措置の対象 全支配関係があることとなるときのその普 となる課税仕入れ等をいい、経過措置対象 通法人、投資法人及び特定目的会社に限る 課税仕入れ等とは、その割合である108分の こととされています(法法66⑥二・三、67①、 6.3を105分の 4 とする前回の税率引上げの 措法67の14②、67の15③) 。 改正に係る経過措置の対象となる課税仕入 なお、大法人とは、資本金の額又は出資 金の額が 5 億円以上である法人、相互会社 れ等をいいます(改正地法等附則 4 ③四・ (外国相互会社を含みます。)及び法人課税 五、10③四・五)。 11 特定同族会社又は連結特定同族会社の 特別税率(留保金課税) 信託の受託者である法人をいいます(法法 66⑥二) 。 (注 2 ) 被支配会社とは、会社の株主等の 1 人並 ⑴ 改正前の制度の概要 びにこれと特殊の関係のある個人及び法人 内国法人である特定同族会社の各事業年度の がその会社の発行済株式又は出資の総数又 留保金額が留保控除額を超える場合には、その は総額の50%を超える数又は金額の株式又 特定同族会社に対して課する各事業年度の所得 は出資を有する場合等におけるその会社を に対する法人税の額は、その所得に対して課す いいます(法法67②) 。 る通常の法人税の額に、その超える部分の留保 (注 3 ) 留保金額とは、所得等の金額のうち留保 金額を次の金額に区分してそれぞれ次の割合を した金額から、その事業年度の所得の金額 乗じて計算した金額の合計額を加算した金額と により計算した通常の法人税の額及びその することとされています(法法67①) 。 事業年度の課税標準法人税額により計算し ① 年3,000万円以下の金額 10% た地方法人税の額並びにその法人税の額に ② 年3,000万円を超え、年 1 億円以下の 金額 ③ 年 1 億円を超える金額 係る地方税法の規定による道府県民税及び 15% 市町村民税(都民税を含みます。)の額の合 20% 計額を控除した金額をいいます(法法67③) 。 (注 1 ) 特定同族会社とは、被支配会社で、被支 なお、地方税法の規定による道府県民税 配会社であることについての判定の基礎と 及び市町村民税の額は、その事業年度の所 なった株主等のうちに被支配会社でない法 得の金額により計算した法人税の額に16.3% 人がある場合には、その法人をその判定の を乗じて計算した金額とすることとし、こ 基礎となる株主等から除外して判定するも の法人税の額は、連結納税の承認を取り消 のとした場合においても被支配会社となる された場合等の租税特別措置法の規定によ ものをいい、清算中のものを除くこととさ り加算する金額がある場合にはその金額を れています(法法67①)。 加算した金額とし、同法における税額控除 ただし、資本金の額又は出資金の額が 1 の規定等により控除する金額がある場合に 億円以下であるものにあっては、大法人と はその金額を控除した金額とすることとさ れています(法令139の10) 。 の間にその大法人による完全支配関係があ る普通法人、普通法人との間に完全支配関 (注 4 ) 所得等の金額とは、次の金額の合計額を 係がある全ての大法人が有する株式及び出 ─ 385 ─ いいます(法法67③) 。 ――法人税法の改正―― ① その事業年度の所得の金額(法法66① ⑵ 改正の内容 ① 所得等の金額、連結所得等の金額及び連結 ②) ② 受取配当等の益金不算入額(法法23) 所得等個別帰属額における還付を受け又は充 ただし、連結法人である特定同族会社 当される金額 がその特定同族会社との間に連結完全支 地方税法の一部を改正する法律(平成25年 配関係がある他の連結法人から受ける配 法律第 3 号)における地方税法の改正により 当等の額に係るものを除くこととされて 道府県民税利子割額の納税義務者から法人が います。 除外されたことに伴い、所得等の金額におけ ③ 外国子会社から受ける配当等の益金不 る還付を受け又は充当される金額(上記⑴ (注 4 )⑤)から道府県民税利子割額に係る部 算入額(法法23の 2 ) ④ 受贈益の益金不算入額(法法25の 2 ①) 分の金額が除外されるとともに、所要の規定 ⑤ 還付金等の益金不算入(法法26①)に の整備が行われました(法法67③五)。 規定する還付を受け又は充当される金額 なお、連結納税制度における連結所得等の 等 金額についても、同様の改正が行われていま ただし、法人税額等の損金不算入額(法 す(法法81の13②四)。 法38①②)に係る還付を受け又は充当さ また、連結法人税の個別帰属額の計算のう れる金額にあっては、その損金不算入と ち連結留保税額の個別帰属額の計算における なる法人税の額及び地方法人税の額並び 留保金個別帰属額のうち連結所得等個別帰属 にその法人税の額に係る地方税法の規定 額についても、同様の改正が行われています による道府県民税及び市町村民税(都民 (法令155の43②四)。 税及びこれらの税に係る均等割を含みま (注) 関係法令については、下記の(参考)を す。)の額に係る部分の金額を除くことと ご参照ください。 ② 留保金額又は連結留保金額の計算上控除す されています。 ⑥ 欠損金又は損失金の損金算入額(法法 る道府県民税及び市町村民税の額 所得等の金額のうち留保した金額から控除 57、58、59) (注 5 ) 留保控除額とは、次の金額のうち最も多 する道府県民税及び市町村民税の額の計算の い金額をいいます(法法67⑤)。 基礎となる法人税額及び税額控除額について、 ① その事業年度の所得等の金額の40%相 次の見直しが行われました。 イ 法人税額及び税額控除額に係る規定の明 当額(所得等基準額) ② 年2,000万円(定額基準額) 確化等の所要の規定の整備 ③ その事業年度終了の時における利益積 法人税額及び税額控除額に改正法附則 立金額(上記①の金額に係る部分の金額 (経過措置)の規定によりなおその効力を を除きます。)がその時における資本金の 有するものとされる改正前の租税特別措置 額又は出資金の額の25%相当額に満たな 法の税額控除の規定が、税額控除額に震災 い場合におけるその満たない部分の金額 特例法の税額控除の規定が、それぞれ明確 に相当する金額(積立金基準額) に規定される等の所要の規定の整備が行わ なお、連結納税制度の場合についても、同様 の措置が講じられています(法法81の13、法令 れました(法令139の10)。 ロ 租税特別措置法の改正に伴う所要の改正 今回の租税特別措置法の改正に伴い、法 155の25) 。 人税額及び税額控除額について、所要の改 ─ 386 ─ ――法人税法の改正―― 長は、その承認を取り消すことができること 正が行われました(法令139の10②) 。 なお、連結納税制度における連結留保金額 とされています(法法126、127①、法規53~ の計算上控除する道府県民税及び市町村民税 59)。 の額についても、上記イ及びロと同様の改正 イ 帳簿書類の備付け、記録又は保存が次の とおり行われていないこと。 が行われています(法令155の25) 。 イ その資産、負債及び資本に影響を及ぼ (参考) 地方税法(昭和25年法律第226号) す一切の取引につき、複式簿記の原則に (道府県民税の納税義務者等) 第24条 道府県民税は、第 1 号に掲げる者に 対しては均等割額及び所得割額の合算額に よつて、第 3 号に掲げる者に対しては均等 割額及び法人税割額の合算額によつて、第 2 号及び第 4 号に掲げる者に対しては均等 割額によつて、第 4 号の 2 に掲げる者に対 しては法人税割額によつて、第 5 号に掲げ る者に対しては利子割額によつて、第 6 号 に掲げる者に対しては配当割額によつて、 第 7 号に掲げる者に対しては株式等譲渡所 従い、記録及び決算を行うこと。 ロ 仕訳帳、総勘定元帳等を備え、全ての 取引に関する事項を記載すること。 ハ 仕訳帳には、取引年月日、内容、金額 等を記載すること。 ニ 棚卸表を作成し、法定評価方法により 計算した価額等を記載すること。 ホ 貸借対照表及び損益計算書を作成する こと。 ヘ 帳簿書類を 7 年間、納税地に保存する こと。 得割額によつて課する。 ロ 帳簿書類について税務署長の指示に従わ 一~四の二 省 略 五 利子等の支払又はその取扱いをする者 の営業所等で道府県内に所在するものを なかったこと。 ハ 帳簿書類に取引の全部又は一部を隠ぺい し又は仮装して記載し又は記録し、その他 通じて利子等の支払を受ける個人 その記載又は記録をした事項の全体につい 六・七 省 略 てその真実性を疑うに足りる相当の理由が 2 ~ 9 省 略 あること。 ⑶ 適用関係 ニ 確定申告書をその提出期限までに提出し 上記⑵①の改正は、特定同族会社が平成28年 1 月 1 日前に支払を受けるべき利子等に係る道 府県民税(都民税を含みます。 )に係る還付を なかったこと。 ホ 国税庁長官により連結納税の承認が取り 消されたこと。 受け又は充当される金額については、従前どお ② 国税庁長官による連結納税の承認の取消し りとされています(改正法附則28) 。連結納税 連結法人につき次の事実がある場合には、 制度の場合についても、同様とされています 国税庁長官は、連結納税の承認を取り消すこ とができることとされています(法法 4 の 4 、 (改正法附則31、改正法令附則13) 。 12 青色申告の承認の取消し及び連結納税 の承認の取消しに係る規定の明確化等 ⑴ 改正前の制度の概要 4 の 5 ①、法規 8 の 3 の 4 ~ 8 の 3 の10)。 イ 帳簿書類の備付け、記録又は保存が上記 ①イイからヘまでのとおり行われていない こと。 ロ 帳簿書類について国税庁長官、国税局長 ① 青色申告の承認の取消し 青色申告の承認を受けた内国法人につき次 又は税務署長の指示に従わなかったこと。 の事実がある場合には、納税地の所轄税務署 ハ 帳簿書類に取引の全部又は一部を隠ぺい ─ 387 ─ ――法人税法の改正―― し又は仮装して記載し又は記録し、その他 告書により提出することができる法人の追加 その記載又は記録をした事項の全体につい 退職年金等積立金確定申告書等を青色の申 てその真実性を疑うに足りる相当の理由が 告書により提出することができる法人に青色 あること。 申告の承認を受けていない連結申告法人が追 ニ 連結確定申告書をその提出期限までに提 加されました(法法121②)。 出しなかったこと。 (注) 連結申告法人とは、各連結事業年度の連 ③ 退職年金等積立金確定申告書等を青色の申 結所得に対する法人税を課される連結事業 告書により提出することができる法人 年度の連結法人をいいます(法法 2 十六) 。 青色申告の承認を受けている内国法人は、 したがって、各事業年度の所得に対する法 退職年金等積立金中間申告書及び退職年金等 人税を課される事業年度の連結法人(単体 積立金確定申告書並びにこれらの申告書に係 ステータスの連結子法人)は、該当しません。 る修正申告書(以下「退職年金等積立金確定 申告書等」といいます。 )についても、青色 ⑶ 適用関係 の申告書により提出することができることと 上記⑵②の改正は、退職年金業務等を行う法 されています(法法121②) 。 人の平成11年 4 月 1 日から平成29年 3 月31日ま での間に開始する各事業年度の退職年金等積立 ⑵ 改正の内容 金については退職年金等積立金に対する法人税 ① 青色申告の承認の取消し及び国税庁長官に の課税を停止する(措法68の 4 )こととされて よる連結納税の承認の取消しに係る規定の明 確化 青色申告の承認の取消し事由に該当する事 いることから、経過措置は設けられていません。 13 投資法人等に係る規定の整備 実(上記⑴①イからニまで)と国税庁長官に 今般、上記 3 の受取配当等の益金不算入制度等 よる連結納税の承認の取消し事由に該当する の改正を機に、特定目的会社や投資法人といった 事実(上記⑴②イからニまで)が同一である いわゆるペイスルー課税の対象とされている法人 こと及び近年、連結納税の承認件数(連結法 に係る諸制度における特有の調整について、次の 人数)が著しい増加傾向にあることを踏まえ、 とおり再整理することとされ、調整に係る規定が 国税庁長官により連結納税の承認が取り消さ 整備されました(法法 2 十・十二の七の三・十二 れた場合には、青色申告の承認を取り消す の七の四、52①一イ、54⑤、57⑪一、58⑥一、66 (現行:取り消すことができる)ものとする ⑥、67①②、法令 4 ②一、 8 ①一イ、139の 7 ② 規定の明確化が行われました(旧法法127① 一、措法67の14②③⑥、67の15②③⑥、68の 3 の 五、127②~④) 。 2 ②、68の 3 の 3 ②他)。 (注) 連結法人数(国税庁ホームページ「平成 ① 配当損金算入制度(ペイスルー特例)を前 25事務年度法人税等の申告(課税)事績の 提とする諸制度の調整……その特例において 概要」等) 規定を整備(例:投資法人の金銭の分配は受 平成16年 6 月30日現在:4,854法人⇒平成 取配当等の益金不算入制度の対象外) 21年 6 月30日現在:7,494法人⇒平成26年 6 ② 上記以外の諸制度の調整……諸制度におい て規定を整備(例:投資口を株式として扱 月30日現在:12,440法人 ② 退職年金等積立金確定申告書等を青色の申 ─ 388 ─ う) ――法人税法の改正―― 七 マイナンバー制度の導入に伴う改正 ・ 法人税法施行規則等の一部を改正する省令 1 改正の趣旨及び背景 (平26. 7 . 9 財務省令第54号) 行政手続における特定の個人を識別するための ・ 減価償却資産の耐用年数等に関する省令の一 番号の利用等に関する法律の制定によって、市町 部を改正する省令(平26. 7 . 9 財務省令第55号) 村長又は国税庁長官が個人又は法人等に対して、 ・ 地方法人税法施行規則の一部を改正する省令 個人番号(以下「マイナンバー」といいます。 ) 又は法人番号(この 2 つの番号を併せて、以下単 に「番号」といいます。 )を指定し、通知するマ (平26. 7 . 9 財務省令第68号) 2 改正の内容 イナンバー制度が導入されました。 マイナンバー制度の導入に伴い、次の法人税に このマイナンバー制度における番号は、平成27 係る申告書、申請書、届出書等並びに地方法人税 年10月 5 日から指定及び通知が行われ、平成28年 に係る申告書及び還付請求書における記載事項に、 1 月 1 日から順次、社会保障制度、税制及び災害 それぞれその提出をする法人の法人番号が追加さ 対策に関する分野における行政事務に係る手続等 れました。 において利用されることが予定されていることか (注) 次のの認定申請書における記載事項にあっ ら、納税者が税務署長に提出する確定申告書等の ては、その提出をする個人又は法人の番号が追 税務関係書類にその税務関係書類の提出をする個 人又は法人の番号を記載することとされました。 (注) マイナンバー制度及び法人番号の詳細等につ いては、後掲の「行政手続における特定の個人 を識別するための番号の利用等に関する法律の 加されています(耐令 1 ④一) 。 ① 特定受益証券発行信託の受託者としての承 認申請書(法令14の 4 ③一) ② 連結納税の承認の申請書(法規 8 の 3 の 3 ①一②一) 施行に伴う国税通則法等の改正(平成28年 1 月 ③ 完全支配関係を有することとなった旨等を マイナンバー利用開始)」の「一 番号法制定 記載した書類(法規 8 の 3 の 3 ③一、 8 の 3 (マイナンバー制度導入)の趣旨」及び「二 番 号法(マイナンバー制度)の概要」をご参照く の12一) ④ 連結納税の取りやめの承認の申請書(法規 8 の 3 の11一) ださい。 なお、次の 2 の改正に係る関係政省令は次のと ⑤ 棚卸資産の特別な評価方法の承認申請書 (法規 9 一) おりです。 ⑥ 棚卸資産の評価方法の変更承認申請書(法 (政令) ・ 行政手続における特定の個人を識別するため の番号の利用等に関する法律及び行政手続にお ける特定の個人を識別するための番号の利用等 規 9 の 2 一) ⑦ 特別な償却方法の承認申請書(法規 9 の 3 一) に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に ⑧ 取替法採用承認申請書(法規11一) 関する法律の施行に伴う財務省関係政令の整備 ⑨ リース賃貸資産の償却方法に係る旧リース 期間定額法の届出書(法規11の 2 一) に関する政令(平26. 5 .14政令第179号) (省令) ⑩ 特別な償却率の認定申請書(法規13一) ・ 資産再評価法施行規則の一部を改正する省令 ⑪ 減価償却資産の償却方法の変更承認申請書 (法規15一) (平26. 7 . 9 財務省令第50号) ─ 389 ─ ――法人税法の改正―― ⑫ 耐用年数の短縮の承認申請書(法規17一) ⑬ 短縮特例承認資産の一部の資産を取り替え 申請書(法規27の13一) 適格分割等による一括償却資産の引継ぎに 関する届出書(法規27の19一) た場合の届出書(法規18②一) ⑭ 耐用年数の短縮の承認を受けた減価償却資 適格分割等により移転する資産に係る繰延 産と材質又は製作方法を同じくする減価償却 消費税額等の引継ぎに関する届出書(法規28 資産を取得した場合等の届出書(法規18④ の 4 一) 中間申告書(法規31①一) 一) 仮決算をした場合の中間申告書(法規32① ⑮ 増加償却の届出書(法規20の 2 一) ⑯ 堅ろうな建物等の残存使用可能期間の認定 一) 確定申告書(法規34①一) 申請書(法規21一) ⑰ 適格分割等による期中損金経理額等の損金 算入に関する届出書(法規21の 2 一、21の 3 一、24の 3 一、24の 6 一、24の 7 一、24の 8 一、24の10一、24の12一、25一、25の 6 一、 申告期限の延長申請書(法規36一、37の13 一) 申告期限の延長の特例の申請書(法規36の 2 一、37の14一) 申告期限の延長の特例の取りやめの届出書 25の 8 一、27の18一、28の 3 一) ⑱ 適格分割等により移転する資産等と関連を 有する繰延資産の引継ぎに関する届出書(法 (法規36の 3 一、37の15一) 欠損金の繰戻しによる還付請求書(法規36 の 4 一) 規22一) ⑲ 適格分割等による国庫補助金等に係る期中 特別勘定の金額の損金算入に関する届出書 個別益金額又は個別損金額の計算における 届出等(法規37①) 連結中間申告書(法規37の 8 ①一) (法規24の 4 一) ⑳ 適格分割等による国庫補助金等に係る特別 勘定の金額の引継ぎに関する届出書(法規24 仮決算をした場合の連結中間申告書(法規 37の 9 ①一) 連結確定申告書(法規37の11①一) の 5 一) 保険差益特別勘定の設定期間延長申請書 個別帰属額等の届出書(法規37の16一) 退職年金等積立金に係る中間申告書(法規 (法規24の 9 一) 適格分割等による保険差益等に係る特別勘 定の金額の引継ぎに関する届出書(法規24の 40①一) 退職年金等積立金に係る確定申告書(法規 41①一) 11一) 適格分割等を行った場合の貸倒実績率の特 青色申告の承認申請書(法規52一) 別な計算方法の承認申請書(法規25の 5 一) 青色申告の取りやめの届出書(法規60一) 適格分割等を行った場合の返品率の特別な 仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に 伴う法人税額の還付請求書(法規60の 2 ② 計算方法の承認申請書(法規25の 7 一) 短期売買商品の一単位当たりの帳簿価額の 算出方法の変更承認申請書(法規26の 8 一) 有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出 一) 適格退職年金契約の変更の承認申請書(法 規附則 7 ②一) 適格分割等を行った場合の移転調整金額及 方法の変更承認申請書(法規27の 2 一) ヘッジ処理における特別な有効性判定方法 び残存調整金額の届出書(平21改正法規附則 5 ②一) 等の承認申請書(法規27の 8 ⑨一) 外貨建資産等の期末換算方法等の変更承認 ─ 390 ─ 地方法人税中間申告書(地法規 2 ①一) ――法人税法の改正―― 平26. 7 改正法規附則 2 ①③⑤、 3 、改正地法 退職年金等積立金に係る地方法人税中間申 規附則③、改正耐令附則②、改正資再規附則③)。 告書(地法規 3 ①一) 仮決算をした場合の地方法人税中間申告書 ⑵ 上記 2 からまで、及びに係る改正は、 行政手続における特定の個人を識別するための (地法規 4 ①一) 地方法人税確定申告書(地法規 5 ①一) 番号の利用等に関する法律附則第 1 条第 4 号に 退職年金等積立金に係る地方法人税確定申 掲げる規定の施行の日(平成28年 1 月 1 日)以 後に開始する事業年度の中間申告書若しくは確 告書(地法規 7 ①一) 仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に 定申告書又は申告書若しくは修正申告書につい 伴う地方法人税額の還付請求書(地法規 8 ② て適用し、同日前に開始した事業年度の中間申 一) 告書若しくは確定申告書又は申告書若しくは修 正申告書については、従前どおりとされていま 採掘権、租鉱権、採石権又は坑道の耐用年 す(平26. 7 改正法規附則 2 ②、改正資再規附 数の認定申請書(耐令 1 ④一) 再評価税の申告書(資再規 3 一) 則②) 。連結納税制度の場合(上記 2 から 再評価税の修正申告書(資再規 9 一) までに係る改正)については、連結親法人事業 再評価積立金を取り崩した場合等の再評価 年度が同日以後に開始する連結事業年度の連結 中間申告書又は連結確定申告書について適用し、 税の免除申告書(資再規12①一) 連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事 資力喪失の場合の再評価税の免除申請書 業年度の連結中間申告書又は連結確定申告書に (資再規13一) つ い て は、 従 前 ど お り と さ れ て い ま す( 平 3 適用関係 26. 7 改正法規附則 2 ④)。 ⑴ 上記 2 ①から㉚まで、㉞から㊳まで、㊷、㊺ ⑶ 上記 2 、及びに係る改正は、行政手続 から㊾まで、、、及びに係る改正は、 における特定の個人を識別するための番号の利 行政手続における特定の個人を識別するための 用等に関する法律附則第 1 条第 4 号に掲げる規 番号の利用等に関する法律附則第 1 条第 4 号に 定の施行の日(平成28年 1 月 1 日)以後に開始 掲げる規定の施行の日(平成28年 1 月 1 日)以 する課税事業年度の地方法人税中間申告書又は 後に提出する申請書、届出書、還付請求書等に 地方法人税確定申告書について適用し、同日前 ついて適用し、同日前に提出した申請書、届出 に開始した課税事業年度の地方法人税中間申告 書、還付請求書等については、従前どおりとさ 書又は地方法人税確定申告書については、従前 れています(番号法等財務省関係整備政令18、 どおりとされています(改正地法規附則②)。 ─ 391 ─