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小学校における国際理解学習の単九構成
社会 系教科教育学会 『社 会系教 科教 育学研究』第18 号 2006 (pp.55-63) 小学校における国際理解学習の単元構成 −グローバルとローカルの関係性を視点に した実践事例分析から− A Study on the Unit Organization U Analyzing Practices in the ViewofofInternational the Connection 金 子 徳 孝 (丹波市立東小学校) I。は じめに一 問題の 所在一 ,国際的な相互依存関係は 東西冷戦の終焉 以後 。その 一方 急, 速環 な勢 い紛 で争 増 大 し 深 化 し 続け て国 いだ るけでは解決 境 ・ ・ 人権 と いっ た 一 で 。 できない新たな 地 的 題 化 し い ー バ球 ル 化課 の 進も 展顕 は在 教 育 実て 践 にる も 多大 急速なグ ロ ,国際理解教育が担 う役割は増 な影響 をも。 た ら し 日 本における国際理解教育は ,時代 大 している ,実践の形態も の流れ と社会。 状特 況に の 変 化合 に的 伴な っ学 て習の 匚 総 時間」が創 変化 し, て匚 き た 国 際理解」が例 示され て以降 ,多くの 設され 。 しか し 学校で総花的に実 践小 さ学 れ る よう な理 っ解 たやコミュ , 校 で はに 外 国 その内 実 を見 と ー シ ョ ンる 能 力育成のための 英語 を中心 とした ニケ ,国家単位の 国際社会 を 外 国語学習というよ う ー ナに シ ョナ リズム による実践が 前提 としたイ ン タ 。地球社会 (グ ローバル)と地域社会 中心 で あ る ーカル)の関係性 を視野に入れた実践展開は (ロ 。 ほ とん ど意図され て, い国 な い の解 がに 現関 状で ある 際理 わ る 各教育論 そ こで本論文では ,インターナシ ョ の考察と実践事例 分析 を通 して ナ リズ ムグ に 基づ く 習 の 重 用ル によ る係 弊性 害を と重 限視 界 を , ロ ー バ学 ル と ロ ー カ の 関 し 指 摘 し た 学 習 を構築す る必要性 を提案する。 - 場合 」対応の教育は,急激な国 匚 外 に 向 か う 国 際 化 への対応と してその 時々の世界情勢に対応 し 際化 。 1974 年の 中教審答 申や1987 ながら発展 してきた ,行政 主導の教育政策が その 年の臨教審答申など 。 後の 日本の 国, 際 理 解 教 育 に 多 大 な 影 響 を 及 ぼ し た 国 家 間 関 係 を 基 盤 に し た 国 際 関 係 この教育では ,国益を優先 して追求する 「国 論に依拠 してお り 」と しての資質や能 力の開 際社会に生きる 日。 本人 そ して,日本 的特殊性の観 点 発が 目的とされた に立って日本や 日本人を基 本的 みに し ・ ア枠 イ組 デン テ ィた テ国 ィ民 の 的資質の育成とナシ ョナル 形成 が目 指 さ濃 れ た 了 ) こ の 方 針 は現行の学習指 要領 にも 色 く 反 映 し て い る 。 導 ,教 育政策が主導する臨教審 ・中 以上の 点か ら ーナシ ョナル な観 点 教審型国際理解教育がインタ に立った 国家 (ナ シ ョ ナ ル ) 解教 育 。こ の教 育 で指 は向 ,の 他国際 へ理 の理 解 と であ, る国 とい え る 際 協力 といった国際化に 対応 した教育の 協調 内容と形成すべき資質能 力を示 している点は評価 できる。 (2)地球社会 (グ ローバル)指向の国際理解教 育の場合 一方でグ ローバル な地球社会 を指 向した国際理 。その原点であ り推進役 解 教 育 も 展 開 さ れ て き た 。ユネス コの 国際理解教 育では , H 国際理解に関わ る教育の現状と課題 が ユ ネ ス コ で あ る ,これまで多種 多様 国際理解に関わ る 教 育 論 は あ異 るな 平る 和生 の活 実や 現文 と化 人 ,大き く 「外に 向かう国際化 」 人類にとっての普遍的価値で。 に展 開され てきたが 類福祉の 向上が 目的とされた と発展すると 対応の教育と 「内なる国際化」対応の教 育の二つ に関する無知が猜疑心を生み戦争へ に分類す ることができるO コ憲章の理 念を に し て, 1974 年 , 集基 大盤 化さ れ た 。3 ) 」 対応の教 育の現状 と課 題1 ) 述べたユネス 1. 「外 に 向 か う国 際 化 は 国際 育 告 が採 択 (1 ) 国 家 (ナ シ ョ ナル )指向の 国際理解教育の に1970 年教 代 末勧 か ら80 年 代にかけて,ユネスコの 55− 」以外にも国際化の領域に関連 して, 厂 国際教 育 , 開発教育,人権教育,環境教育 ,平和教 例 えば 。その 育など新たな教育論, が展 開 さ れ 多 様 化 し た ア メリカを中心に展開され 中でも代 表 的 な の は ー バル教育である。グ ロー バル教育は ,国 たグ ロ 家間関係論に, 基づ く 世界 や問 題 解決 を 世 界 を 複観 合 的 な一 つ のの 相限 互界 依性 存 シ 克服するため ー バル社会の 認識に立って いる。 ステム と る グ ロ ,す 世 界 の 持続可能な発展や人類の共存とい そ して ーバル な見方 ・考え う地球益の 追求のためのグ ロ 方 やて 意 思決 ・ る地球市民の育成を目 し い る定 の が行 特動 徴が でで あき る。 指 いずれ に してもこれ らの 教地 育球 論社 に会 は 世界 観の ち , (グ ロ ー バ が いが見 受けられ るものの ,国民国家社 ル )を指 向する 国地 際理 解教 り ・ 球的 視育 野で にあ 立 って人類全体に 会 よりも世界 的 関わ る諸課題を。 克そ 服の で点 きる 地グ 球 市 民 的 資教 質育を 成含 が か ら ロ ー バル 重視され ている ,地球益 を追求す めたユネス コ型国際理 解教 はの人間は 。 す育 べて 「宇宙船 る教育で あ る と い え る 」の 一乗組員であ り,一人ひと りの社会に 地球号 対する意識と行 動グ が 地球 の未 来を 決デ 定づ けィ ると い , ロ ー バ ル ・ アイ ンテ ティ う認識に立って 。 を形成 しようとする姿勢 が 伺 え る 点 て 評 価 で き る , 課 題 と し て は 次 の 点 が 指 これまで 考 察 か ら 。の 匚 外 に 向 か う国際化」対応の教育はグ 摘で き る ーバル 化する社会の現状認識 を踏まえて,異文 ロ ,アイデンテ ィテ ィ形成 ,コミュニケー 化 共生能 力 。一方で, シ ョン能 力育成の重要性が 叫ばれて いる , その 対極にある 日本人と しての 自覚や愛国 主 義ま 。4 ) つ 偏 狭国 な ナ シ ョシ ナ リ ズ ム に も 傾 き つ つ あ る , 家 (ナ ョ ナ ル ) 指 向 の 国 際 理 解 教育では , り , 国家と世界への関わ りのみに 関心が集中 してお り 最も身近で生活領域である地域 と世界との関わ り 。 につい て は 言 及 さ れ て い な い こ と が 課 題 で あ る ,地球社会 (グ ロー バル )指向の国際理解教 また,マク ロな世界 的視l 氛 を強調するあま り, 育では 生活の基盤 である地域社会や個々の 人間理解とそ の 関係性などミク ロな視 点には焦点が 当たってい ない点が課題である。 2。匚 内なる国際化」対応の教育の現状と課題 ,オー 日 本 に は 古 く か ら ア イ ヌ 文 化 や 琉 球 文 化 ・カマー と呼ばれ る在 日韓国 ・朝鮮人や華僑 ル ド ,文化的 ・民族的に の人々が数 多く生活 してお り。 しか し,長らく も 多 楡 哇 が 存 在 す る 社 会 で あ る 一民族国家の妄想に捉われ てきたため,マイノ 単 ,民族的特性や国籍の リティと呼ばれる人々には ちがい等の偏見によ。 っ文 て化 差的 別民 的族 な的 扱同 いを 受 け是 ると こ 質 性を とも しば しばあった ,彼らに対 して偏狭な態 する社会の 風潮 の 中で はか 」 か 「排 除」 を迫る選 択肢 しか 与え 度 で厂 化ことを豊かだと捉えられ , 異同 なる るような受容 ず 的 な態度 に満 ち た 寛 容哇の あ る 社 会 か ら は 程 遠 か南 っ 。 さ ら に1980 年 代 後 半 か ら 南 米 や 東 たの である ,いわ ゆるニュー カマーの人々が増 アジアか らの ,社会の複 加すると社会の同質性は意味を。 な くし 雑化や多榛哇は さらに加速 した ,教育では このような内なる国際化について 1980 年代から文化的同化, の異 問文 題化 性 と 化育 的が 異展 化開 の 理文 解教 重要性が徐々に認識 され 。5 ) さらに 多民族化す され 定着する よう に っ た , 様 々 な文 化 的背景 を持つ外 国人に る状況の中で 対 し一 て緒 は 日 本籍 語 やて 日い 本る 社 会本 へ のの 適子 応ど 教も 育に が対 実 施 さ , に在 し 日 人 し て れ , は外国人の 文化や 生活習慣などに ついて学 ぶ 学 習 , バ リ ア 日本史 を アイ か ら 捉え す 学 習 ー や高 齢ヌ 者や 問琉 題球 等を 扱 う 福直 祉学 習, 多様な集 フリ 団の 人権 を扱 う学習など多偸 哇 の 認で 識 を 図る 。6 ) 今 日 は , 人実 間践 理 が展 開され る よ う に な っ た ・人権の学習 を通 して文化的社会的 解や文化理解 ,多檣歐 を認識 し尊 重した 多元 性 の 価 値 を 認 め て ,異なる背景を持つ人との 共生 をめ ざした りす り 。7 ) この場合 ,特にグ ロー る教育が注 目され ている・多文化化 している地域 バル 化によ っ て 多 民 族 化 ,グ ローバルな視 点よりもロー カルな視 を中心に 点に立って地域に住む文 化的 民 的 景の なる , 社 会族 の 現背 状 を 認異 識 し 現 人々との 共生 をめ ざして 実的な問 決 を 図 る 多 文 化 共 生 教 育 が 注 目 。題 以解 上 の 点 か ら , 匚 内 な る 国 際 化 」 対さ 応れ の ている,多文化共生 をめ ざした地域社会 (ロー カ 教育は ル ) 指向 解地 教育 う 。こ のの 教国 育際 で理 は , 域で にあ おる けと るい 外 国こ 人と のが 増で 加き に る 伴 う多民族化 ・多文化化に関わ る現実的な問題に ― 56 ,有機的でグ ローバルな社 は積極的に対処 し よ う と し て き た 点 は 評 価 で き る O 開 , 対 象 領 域 が グ ロ ー バ ル 化 し つ つ に終始 しているため 課題と しては における全人類的な 多文化共生の 関。 わ りまでは 。ま 会 あ, る地 への い 複域 数 多 数限 の定 民的 族な や対 文応 化と の 調う 整段 に階 よで るあ 国る 家的統 視 野に入っていないことが指摘できる た ,特に 多くのニュー カマー によって いずれの教 育においても人, 間そ 的な の 中 理核 解と の し でて き 多 る 合性の保持や ,地域内 科 学的社会認識が必要であ り 元的な視野 を取 り入れた社会科教育が担 う役割は コミュニティが形成 され ている地域では 大 き い と 指 摘 で き る 。 調整や統合というよ う な ミ ク ロ な 視 点 形成 の 段階 。 よ っ て , 「  ̄ 内 な る 国 際化 」 対 以上の考察は ,図1 のように分類することがで に と ど ま っ て い る 応の教育では地域や 民族集 団内における限定的展 きる 。 図 1 国際理解に関連す る教 育の分類 (筆者作成) 3。国際理解に関わ る新 た な 教 育 の 方 向 性 」 対 応 の 教 育 は マ ク ロな視 「外に向 う 国 際 化 ,か 匚 内 な る 国 際化」対応の教育はミクロ 点形成の 。双方の教育論の間 な視 点形成の 傾 向 が 見 ら れ る の乖離が見られ る。 には方向性 このよ うなマク ロ国 な際 次理 元と ミ ク ロ 次元 に新 分た 離 , 解 の今 後な 進む べ き した状態を連結 し な方 与 え る 有 か つ 重 な 概 念 と し 「  ̄ 共 」向 に性 関を 心 が 寄 せ ら効 れ て い る要 。l ) グ ロ ー バて ル 教 育 生 ー フェイスの観 点か ら,例 と多, 文森 化茂 教 育雄 の イら ンは タ匚 岳 氏 移 民」を教材化す ること えば ,太田満氏はグ ロー バル化と多文化化 を通 して9 ) , か現象 している地域に着目 した学習を。 通 し ) こて1, の よ う 両者の有機的統合を図 ろ う と し て い る 」対応の教育であるグ ロー な匚 外に 向か う国際化 」対応の教育である 多 バル教育 と厂 な的 る国 際 化を図 ,内 有機 な連 携 りながら,理論化 文 教 育 実化 践化 さが れ る最近の動向は大変示唆的である。 Ⅲ 地球社会で生きる市民と しての資質とアイデ ンティティ 1.地球市 民と しての資質 ,地球市民)の育 地球社会で, 生国 き際 る理 市民 (以 下み 解 教育の ならず社会科に 成に ついては 。美住忠久 お, いて も和 盛子 ん氏 に, 議中 論村 が水 重名 ね ら氏 れ て き田 た孝志氏,中 大津 子 , 多 氏 西晃氏など多くの研究者が世界情勢 。や 各社 氏会 の構 論造 はを 自 鑑み なが ら 独 自 の 主 張 を し て い る ・国益追求的な俔帽こ と どま らずインター 国 中心 的 ーバルな視 点が重視 され ナシ ョナル な視点やグ ロ。また ,厂 共生」や 「 ̄ 参 てい る の が 特 徴 的 で あ る 」という社会に対 して積極 的に働 きかける姿勢 加 。 しか し,いずれの を志向 している点が共通する 場合も ク ロ な世界 的捉 観 点 く 質形 が中 ,マ 地域 か ら を えに る基 ミづ ク ロ資 か ら の成 観 点 に 心で 。社 基 づく資質 形 成 に つ い て は 言 及 さ れ て い な い ーバル (地球社会 )を頂 点に して,リー 会はグ ロ ・ナシ ョナル ジ ョナル (世 界 に お け る 地 域 や 州 ) ・ロー カル (地域社会 )という相互に (国家社会) ,先行研究 関連す る重層的な構 造 を 有 し て い る が ーバル における資質形成が強調 の動向か らはグ ロ ,重 される傾 向にある O求め られるべ き資質, とマ はク ロ 層 的 社会 ぞな れ で 必要 あ り の みな な ら ずそ ミれ ク ロ 観 点 もな 視資 野質 にで 入 れ た資質形成 57― が意図されなければならない。 11 ) 2。地球市 民と してのアイ デ ン テ ィ テ ィ 一 員 と し て グ ローバルな 地 球 市 民 は 地 球 社 会 の ・考 え方に基づいて判断 し人類益や地球益の 見方 。 しか し地球 ために行動できる人, 間 と さ れ て い る 地球社会の 一員と しての存 で生きる我々人, 間国 は家の 一員であ り,地域社会の 在 だけ はな く 一 員 とで 言う よ うに様 々な社会の 枠組みの 中で生活 。どの社会 レベルの視 点で自己の 帰属 を している 一つの総体 である 「個」と し 認識す るかによって てのアイデンテ ィテ ィの 中に 多層性や 多楡哇 を見 出す ことができる 。 これ まで, の 国 世界 際で 理活 解躍 教で 育き はる 国 日 民国 本人 家育 を成 前提 の と た し め て展開され・アイデンティティ上の確立が重視 「ナシ ョナル ,グ ローバル教 育では 「グ ロー され てき O ・ アた イ デ他 ン方 ティテ ィ」を備えた 「地球市民」 バル 。 しか し地球社会 がめ ざす人, 間ど 像 と して 描イ かデ れ たテ ち ら のア ン ィティ形成も不 においては,二項対立的に捉 えられ るべきではな 可。 欠今 で後 あ り 求め られ るのは両者 を包含する多元的な い アイデンティテ ィ形成である。’ )I ー カルか らグ ローバ 最も身近な生活基盤であるロ 。つま り, 「地域の問 ルへの方 向世 性 も 求 め ら れ る ・ 界 と い う 次 元 の問題 を常に結びつけ 題 と地, 球行動せよ」13 ) という地球 と地域の 双方向 て考え 性 を持ったア プロー チに基づく思考と行動化であ る。 ,これまでの考察を踏ま えてグ ローバル そこで とロー カルの関係性を重視 した資質 を以下の よう に定義することができる。 持続 会の 展と た, め自 に ー可 バ能 ルな な社 視点 に発 立っ て人 社類 会の 事共 象生 をの 捉え グロ ーバル ・リージ ョナル14 ・ナシ ) ョナル ・ 分が グ ロ ーカル15 )それぞれの社会の成員であること ロ ,より現実的実際的に問題解 を自覚すると共に 決をす, る住 た め に地 域 の 実 態 (地 理 的 歴 史 的 文 化 民 (市 民 ) の 価 値観や 行 動 様 式 な ど ) 的背景 に即して主体的に行動し社会参加することがで きる資質 ・能力である。 この資質の構成要素 をまとめたものが ,表 1に なる。 ,内在的な匚 自己能 力」と ここで挙げた資質 は ・ 他者発信」か ら構成 され る 。 外発的な匚 社 会 参 加 」の具体的な要素と しては,匚 社会認 匚 自 己 能 力 」厂 思考 ・価値判断」厂 技能 ・表現」匚 態度 ・意 こ れ ま で の 地 球 市 民 と し て の 資 質 と ア イ デ ン テ ィ 識 」の4 つが挙 げられ る。厂 社会認識 」と 「思考 ・ テ ィの考察か ら,次のような課題が浮き彫 りにな 識 」はグ ロー バルか らロー カルに至る各社 る。 価値判断 ,各々の 社会に (1)ナ, シ ョ ナル (国 家)な 視 点 を 重 視 す るだ けで レベルの 枠組み に依拠 してお り グ ロ ー バル (地 球 社 会 ) か ら ロ ー カ ル 会 なく ついての認識やそれ ぞれの社会 レベル を視野に入 (地域社会)に至る各社会 レベルの視点とその れ た利益追求 た め の 思 考 や 価 値 的判 がで る 。の 匚 技 能 ・ 表 現 」 は 自 分 の断 意思 やき 考え 関係性に注目 して資質形成を図ることが必要で 能 力である ,他者 との意思 ある。 を的確に表現できる自己表 現 能 力 ー シ ョン能 力,表現や問 (2)各社会 レベルに関わ る多元的重層的なアイデ 疎通が で き る コ ミ ュ ニ ケ ・選択 ・判断 し ンテ ィティ形成が必要である。 題解決のために適切な情 報 を 収 集 。 厂 態 度 ・ 意識」は異質な 用できる能 力である ,共生のた 3。グローバルとローカルの関係性を重視した資 活 他 者 に 対 す る 共 感 的 理 解 と 寛 容 の 態 度 。 質 め の 積 極 的 な 問 題 解 決 の 姿 勢 で あ る , ・他者発信 」は ,それ ぞれの社会 レ “Think globally, (地球 act 規模でlocally 考え 匚 社会参加 地域で行動する) ”という地球的視点での思考と ベル で情 の 主 体 的 な 参 加 や そ の 社 会 に お け る 連 携 や , 報 発 信 で あ る 。 な お ロ ー カ ル に つ い て は , 地域での行動化という理念。 はし ば し ば 国 際 理 解 に 貢 献 しかし,グ ローバル ,地域への情報発 関 わ る 教 育 で 叫 ば れ て き た 地 域 内 で の 社 会 参 加 や 地 域 改 善 からローカルへという方向性のみならず,人々の 信 だけでな く,例 えば飢餓 に苦 しむ子どものため ― 58 ― 表 1 グ ロ ーバ ル と ロ ーカ ル の 関 係 性 を 重 視 し た 資 質 の 構 成 要 素 (筆 者 作 成 ) こ に こ つ グ ロー バ ル ( リー ジ ョナ ル を 含 む ) 地 球 社 会( 世 界 の 中 の 地 社会 認識 − 内 在 的 − − 外 発 的 − 自 己 能 力 社 他 会 者 参 発 カロ ィ 言 ナ シ ョナ ル 地 球 益 ・人 類 益 の 迫 求 技 能 ・表 現 態 度 ・意 識 国 内・地 域 社 会 に 国 家 に つ い て の 認識 域 )に つ い て の 認 識 思 考・ 価 値 判断 ロー カ ノ レ つ い ての 認 識 地 域益の 追求 国家 益の 追求 自 己 表 現 能 力 コ ミュ ニ ケ ー シ ョン 能 力 情 報 活 用 能 力 異 質 な 他 者 に 対 す る 共 感 的 理 解 と 寛 容 の 態 度 共 生 の た め の 積 極 的 な 問 題 解 決 の 姿 勢 社 会参加 世界 への発 信 ( 実践化・ 行 動 化 ) 地城 へ の発信 国 内へ の発信 国 内 で の 連 携 ・貢 献 世 界 との 連 挑 ・貢 献 ( 行 動 領 域 とし て の 地 域) 地 域 と の 連 携・ 貢 献 ↓ ↓ ↓ ナ シ ョナ ル ーア イ デ ン テ ィ テ ィ グ ロ ー バ ル ーア イ デ ン テ イテ イ ロ ー カ ル ーア イ デ ン テ ィテ ィ 心 ノ マ : : 多 元 的 ア イ デ ン テ ィ テ ィ ⇒ 地 球 社 会 に 生 きる 市 民 とし て の「 個 」の 確 立 ア イ デ ン テ ィテ ィ (自己の 帰属意識) に 地 域 で 募 金 活 動 を す る と い う よ う に, ナ ショ ナ 階であり,内在的であると言える。そして学習で ル や グ ロ ー バ ル を も 志 向 す る場 合 の, 行 動 領 域 と 獲得した価値に基づき問題解決のために社会への し て の 地 域 と い う 意 味 も含 ま れ る。 情報発信や参加を図る。これは他者発信や社会参 そ し て, そ れぞ れ の社 会 レ ベ ル に依 拠 し た資 質 ・ 加の段階であり,外発的であると言える。この場 能 力 開 発 を 行 う こ と が そ の 社 会 へ の 自 己 の帰 属 意 識やアイデ ンティティを形成す ることにつながり, 合,関わる社会レベルごとに対応は異なるが,自 己表現力や情報活用の技能,異文化や異なる民族 そ の 資 質 ・ 能 力 の総 体 が 多 元 的 ア イ デ ンテ ィ テ ィ など異質に対する共感的理解・受容・寛容や多文 と な る。 化共生などの態度・意識はどの場合でも共通し関 そ し て, こ の 資 質 と 多 元 的 ア イ デ ン テ ィ テ ィ 形 連している。ある特定の社会レベルに関する資質 成 を 意 図 す る学 習 過 程 を モ デ ル化 し た も の が , 図 やアイデンティティ形成に限定するので はなく, 2 で あ る。 様々な社会に関わる資質形成を図ることで自己の 学 習 者 は, 学 習 を 通 し て グ ロ ー バ ル ( リ ー ジョ < 内面に多元性を形成することにつながる。 斃金参加・ > 社 多 元 的 ア イデ ン テ ィティ IV グ ロ ー バ ル と ロ ー 地 球 社 会 に 生 きる 市 民 学 習 グロ ーバ ル・ ナショナル・ ロ ーカル の 重屑 的多 元的 な視 点 に立つ 者 ・ 社 会認 識 ・ 思考・ 価 値 判断 ・意 識・ 態 度 一 実 践 化・ 行 動化 自 己 能 力開 発 型︵ パーソ ナル対 応 ︶ グローバ ルとローカル の 関 係性 を重視した責 質 世 界免 信型 地 球 社会 貢 献型 ( グロー バ ル対 応) カ ルの 関 係性 を 視 一一一一一一一一一一一一一一a | グ ロ ー バ ル 点 に した実 践 事 例 分析 実 践 事例 の単元 構 成 自 国他 国 発 信型 国 家貫 献型 ( ナショナル 対 応) 地域 発 信型 地城 社 会貢 献 型 ( ローカル 対応) に つい て単 元 構成 内容 と 単元 構成 方 法か ら 分 析 フレ ーム ワ ークを設 ロ ー カ ル : ア イ デ ン テ ィテ ィ l 定 し , 類 型 化 を 行 っ た。 -一一= I. ∽ ___ミノ 単元 構 成 の 類 型 化 の視点 図 2 学 習 過 程 モ デ ル ( 筆 者 作 成 ) ① 単 元 構成 内容 に 関 す る類 型 化 の 視 点 ナルを含む)・ナショナル・ローカルといった各 単 元 構 成 内 容 は, 学 習 課 題 と し て 取 り 上 げ る 問 社会レベルに関わる社会認識とその社会を中心と 題 や 社 会 事 象 が関 与 し て い る空 間的 領 域 か ら, した利益追求のための思考・判断を行う。 これは 「 ̄ グ ロ ーバ ル 構 成 内 容 領 域 」 と 匚ロ ーカ ル ( ナ ショ 個人的なバージナルに対応した自己能力開発の段 ― 59 ナ ル ) 構 成 内 容 領 域 」 を 設 定 し た。 「 グ ロ ー バ ル 構 成 内 容 領 域 」 は地 球 社 会 全 体 に 型 構 成 方 法 」( 以 下 , イ ン タ ー ナ シ ョ ナ ル 型 ) は, 関 連 す る 社 会 事 象 と, 複数 の 国 家 間 関 係 や 世 界 に 一 対 一 の 国 家 間 関 係 や 相 対 的 な 異 文 化 理 解 の 視I氛 お け る地 域 内 連 合 の よ う な 国 際 関 係 性 に 関 わ る 事 に よ る 場 合 で あ る。 国 と い う枠 組 みを 基 本 と し 七 象 を 学 習 内 容 と す る。 捉え るので外 国 に関 わる事象や 内容 は理解 しやす 厂ロ ーカ ル ( ナ ショ ナ ル) 構 成 内 容 領 域 」 は 地 く , 自 国 と他 国 ( 自 文 化 と 他 文 化 ) を 相 対 化 す る 域 社 会 や 国 家 内 に見 ら れ る 社 会 事 象 や , 国 家 と 国 こ と で , 間 主 観 的 に 自 国 ・ 自 文 化 につ い て 見 直 し 家 , 地 域 社 会 と 国 家 ( 他 国 を 含 む) な ど の国 際 関 検討す る ことがで きる。 係性 に関わ る学習内容 とする。具 体的 な単元 構成 厂ロ ーカ ル ・ コ ミュ ニ テ ィ型 構 成 方 法 」(以 下 , 内 容 と学 習 テ ーマ は 表2 の と お り で あ る。 ロ ーカ ル 型 ) は 地 域 社 会 内 や 国 内 お よ び 国 外 の 地 域 間 関 係 の視 点 に よ る 場 合 で あ る 。 社 会 事 象 が 学 表2 単 元構成内容 に関する類 型化の 視点 構成 内容 グロ ーバ ル構成内 容領域 習者 の身近 にあり 具体的 で見出 しやす い。 具体的 な学習テ ーマ 4つ の 単 元 構 成 方 法 の 視 点 と 基 本 的 な 枠 組 み を 人権 、開発 、環 境、資 源、貧 困・ 地球的厭 諾 地唹 七会 シ ステ ム 国際協 調・ 協力 ロ ーカ ル 飢餓 示 し た も の が, 表3 で あ る 。 など 相互 依存 関係 、文 化 的民 族的 多 様 肬、 貿易 ・物流 表 3 単 元 構 成 方 法 に 関 す る 類 型 化 の視 点 など 構成方法 国際 協力 ・ 支援、 国際機 関な ど 基本的枠組み 地球社会 自国 ・ 自文化 、 他国 ・異 文化 、 グローノ勺レ ・ 地球社会的 地球社会 アジ アの文化 な ど 型構成方法 視点 世界(全 体) トランスナシ ・ 脱国家・超 アジアなどの地 主権 国家 ョナル(マル 国家的視 収 域連合体・地 民族 チカルチュ ・多国関係的 方・州 世界にお け 刀レ) 型構 視皃 韶 次の国 る址喊 区分 成方法 ・多文化理解 多文fヒ、多民族 文化理 解 け ショ 視 点のフィールド ナル ) 構 地域 の 多国籍 化・多 民族 化、 成 内容 領 グロ ーバル化 多文 化共生 、連帯 な ど 域 世界的 関係 性 国際 交流、 異文化 間交流 な ど (2 ) 単 元 構 成 方 法 に 関 す る 類 型 化 の 視 点 単 元 構 成 方 法 は, 各 社 会 レ ベ ル の関 係 性 か ら 4 つ の視 点 を 設 定 し た。 「 グ ロ ー バ ル型 構 成 方 法 」(以 下 , グ ロ ー バ ル 的視点 型 ) は, 俯 瞰 的 に地 球 や 世 界 全 体 を 捉 え た グ ロ ー バ ル な 視 点 に よ る 構 成 方 法 の場 合 で あ る 。 自 己 中 心 的 な 視 点 や 考 え 方 を 脱 し, 地 球 社 会 が 持 続 可 能 な 発 展 を す る た め に 宇 宙 船 地 球 号 の乗 組 員 と し て 人 間 や 自 然 と の 共 生 と い う 価 値 に基 づ く 思 考 ・ 判 インターナ ・国家間関係 日本と他国・外国 主権国家 ショナル(ク 的視点 日本人と外国人・ 民族 ロスカルチ ・異文化理解 皿 族 ュラル)型構 的視点 異文fヒ ローカル・コ ・地 或社 会的 国駆ヒ・ 多文化 地域社会 ミュニティ型 俔点 化する地域 (都道府県・ 構成方法 ・煙滅 間関係 増域 社会と他国・ 市町村・校区 的俔 点 外国 など) 成方法 断 や 態 度 形 成 を 図 る こ と が で き る。 「 ト ラ ンス ナ ショ ナ ル ( マ ル チ カ ル チ ュ ラ ル) 型 構 成 方 法 」( 以 下 , ト ラ ン ス ナ シ ョ ナ ル型 ) は, 脱 国 家 ・ 超 国 家 的 視 点 や 複 数 の 国 家 間 関 係, 多 文 化 理 解 の 視点 に よ る 場 合 で あ る 。 国 と い う 空 間 の 外国人や異文化 枠 組 み を 認 識 に 用 い な が ら も, 複数 の 国 家 を 扱 う を持つ人 ことで比較 や検討 を通 して共通 性 や差異 性を具 体 的 に 見 つ け る こ と が で き 多 面 的 な 視点 を 育 成 し や す く, ま た 脱 国 家 ・ 超 国 家 的 な 視 点 に立 つ こ と で , 厂グロ ー バ ル 型 」 が 最 も マ クロ な 視 点 で あ り, イ ン タ ー ナ シ ョ ナ ル型 以 上 に, よ り グロ ーバ ル 的 射 程 に含 ま れ る フ ィ ール ド も 地 球 社 会 と い う広 範 な視点育 成を図 りや すい。 に及 ぶ 。以 下 「 ̄ ト ラ ン ス ナ ショ ナ ル型 」 厂イ ン タ ー - 「 イ ン タ ー ナ シ ョ ナ ル ( クロ ス カ ル チ ュ ラ ル ) ナ シ ョ ナ ル 型 」 に な る に つ れ て 焦 点 化 し , 厂ロ ー 60 − カ ル型 」 が 最 も ミ クロ な視 点 であ り,学 習 者 に と っ れ て い る 世 界 の各 地 域 の 問 題 認 識 を 通 し て 自 分 た て身近 な生活 空間 として の地域 社会 とな る ち の国 や地 域 や 生 活 を 見 つ め 直 し たり , 自 分 の国 ・ O 地 域 の 考 察 を 複 数 の 国 家 ・ 地 域 と の比 較 か ら 行 っ 2。 実践事例の単元構成の類型と特性 ① 実践事例の単元構成 の類型 た り す る 単 元 構 成 が 重 視 さ れて い る。 つ まり , マ ク ロ な 社 会 レ ベ ル の 次 元 に あ る地 球 や 世 界 か ら の 小学校における国際理解に関連した91 の実践 ア プ ロ ーチ に よ る演 繹 的 な 学 習 展 開 が 「 グロ ーバ 事例を分析すると,表4 のように類型化できた。 ル 構 成 内 容 領 域 」 の 単 元 構 成 の特 性 で あ る。 厂ロ ーカ ル ( ナ シ ョ ナ ル ) 構 成 内 容 領 域 」 の 場 表4 実践事例の類型数 上 グ 口 単 元 構成 方 法 グ ロ 1 ノマ ル 型 合 , 単 元 構 成 内 容 で は, 国 の 枠 組 み に 依 拠 し た 外 ナト ブ シ ョラ ョ ン ナン エ タ ル 型ス 型I 国 文 化 ・ 異 文 化 ・ 多 文 化 理 解 や , 国 際化 し た地 域 口 T カ ル 型 計 関 わ る文 化 的 差 異 や 類 似 性 ・ 共 通 性 につ い て の 認 識 形 成 が図 ら れ て い る。 単 元 構 成 方 法 で は , 多 文 地 球的諸課 題 ロ I 6 4 I 2 13 地球 社会 システ ム 2 6 4 4 16 ノマ ル 国際協 調・協力 1 1 4 0 6 文 化理解 1 17 12 5 35 地 域 のグローバル化 0 2 6 3 11 世 界的関係性 0 1 6 3 10 10 31 33 17 91 口 1 カ ル 計 と 外 国 人 住 民 の 文 化 的 背 景 の 理 解 か ら国 際 社 会 に 化 理 解 の 視・氛か ら 単 元 を 構 成 し , 民 族 的 文 化 的 な 差 異 や 類 似 性 ・ 共 通 性 の 理 解 と, 人 間 と し て の普 遍 吐 に つ い て の認 識 形 成 が 図 ら れて い る。 以 上 の 点 か ら, 外 国 人 と の 交 流 活 動 や 地 域 の 人 々 等 の ゲ ス ト テ ィ ー チ ャ ー と の異 文 化 体 験 や 外 国 の 社 会 に つ い て の 聞 き 取 り に よ る学 習 活 動 が 活 用 さ れ て お り , 交 流 活 動 を 通 し た文 化 理 解 や 国 際 化 す る 地 域 分 類 結 果 か ら , 単 元 構 成 内 容 で は「 ̄ 文化理 解」 の 理 解 を 図 る単 元 構 成 が 重 視 さ れ て い る。 つ まり , が, 単 元 構 成 方 法 で は 匚イ ン タ ー ナ ショ ナ ル 型 」 ミ クロ な 社 会 レ ベ ル の 次 元 にあ る 人 間 や 地 域 か ら の 視 点 に 基 づ く 単 元 構 成 が 重 視 さ れて い る 。 つ ま の アプ ロ ー チ に よ る 帰 納 的 な 学 習 展 開 が 「 ̄ ロ ーカ り, 外 国 理 解 中 心 の旧 来 の 単 元 設 定 や 学 習 展 開 が ル ( ナ ショ ナ ル) 構 成 内 容 領 域 」 の 単 元 構 成 の 特 主 流 で あ り , グ ロ ー バ ル化 へ の対 応 の必 要 性 は 意 性 で あ る。 識 さ れつ つ あ る も の の 学 習 へ の反 映 は不 十 分 で あ し か し, 課 題 と し て は次 の 点 が 指 摘 で き る。 グ る と 指 摘 で き る。 前 述 の よ う に, 今 後 の 国 際 理 解 ロ ーバ ル な アプ ロ ー チ で は, 地 球 全 体 に 関 わ る 社 学 習 で は 国 家 の 枠 組 み を 超 え た 社 会 の多 元 性 ・ 重 会 事 象 や 課 題 につ い て 国 家 的 視 点 か ら検 証 ・ 考 察 層 性 に 着 目 し , 厂共 生 」 を 鍵 概 念 と す る 実 践 開 発 が さ れ る が, 地 域 的 視 点 か ら 行 う こ と は あ まり な を す る 必 要 か お る。 こ れ に関 わ る 視点 が 単 元 構 成 さ れ な い 。 逆 に, ロ ー カ ル な ア プ ロ ーチ で は, 地 内 容 で は 匚国 際 協 調 ・ 協 力 」, 単 元 構 成 方 法 で は 域 で 見 ら れ る 社 会 事 象 や 地 域 的 な 課 題 につ い て 国 「 ト ラ ン ス ナ シ ョ ナ ル型 」 で あ る が , 評 価 で き る 内 の 他 地 域 と の共 通 性 や多 元 性 の 検 出 は な さ れて 実 践 は1 事 例 し か な い。 も , 世 界 や地 球 社 会 を フ ィ ー ル ド に し た 検 証 まで はな されて いないO そ の原因 はグロ ーバ ルとロ ー (2) 単元構成の特性 カ ル両 者 の 間 に あ る 匚国 」 と い う ナ ショ ナ ル な 要 厂グローバル構成内容領域」の場合,単元構成 素 が 強 固 な フ ィ ル タ ー の役 割 を 果 た し て い る と 考 内容では,地球的な課題や世界の現実という具体 え る。 こ の よ う に実 践 にお い て も グ ロ ー バ ル とロ ー 的な社会事象を通しての事実的な社会認識形成が カ ル の双 方 向 的 な 相 互 関 連 が な さ れ ず , 両 者 が 乖 図られている。単元構成方法では,国家の枠組み 離 し て い る 点 が 課 題 で あ る。 を相対化した地球社会的な視点 や多国的な視点か ら単元を構成し,社会事象の認識と考察が図られ ている。以上の点から,地球的な課題が顕著に表 −61 − V グ ローバル とロー カルの関係性 を視 点に した 国際理解学習の単元構成 実践事例分析 と, 考グ 察 から 明 ら に なっ た課 題 を ロ ー バ ルか ら ロ ー カ ルま で 克服す るためには 」を中心概 の各社会 レ ベの ル をう 視 野単 に元 入構 れ た 「共 ,次 よ な 成 の視生 点に基づいて 念 に据 授業 設え 計を図ることが重要である。 ムに基づ く学習の 重用 に よ を 課 。 そ し てる 課弊 題害 克と 服限 の界 た め現 に状 は , 題と して指摘 し ー バた ルから ロー カル を包括す る重層的 世界はグ ロ な社会構造 を持 つという 識に 立 つ こ とで 国 ,認 グ ロ ー バ ル とロ ー カ家 ル偏 の 重主義の相対化を図 り 関係性 を重視 した学習を。 構築する必要性を示唆 し , 述 の礼帽こ 基づいて開発 した た 点において意 義前 かお る 課 題と し は実践的に検証を行うことである。 単元 を , 理て 論的 <単元構成内容> ・グ ローバルにも ロー カルにも関わ りを見出 し ーバル構成内容領域」の 「国際 やす い 「グ ロ 【註】 ,奐住忠久氏は 「新 しい国際化」に対応で 協調 ・協 力」に関わ る内容 を教材化する。 1)例 えば <単元構成方法> ・資質開発の観 点で国内レ ・地球社会に おける身近な地域に着 目したアジ きる日本人と しての能力 」 。ネス ,グ ロー バルな視点によ り近接 し多 ベ ル に 立 つ も の を 「臨 教 審 型 国 際 理 解 教 育 コ教育勧告にある 「正義,自由,人権及び平和の促 ア視 点と 」にすべての者に必要とされ 国際社会 (グ 面的多角的な見方が形成 しやすい 多国的視 点 進 の た め ーバル社会 )レベルに立つものを 「ユネスコ型国 に拠 っている 「トランスナシ ョナル型」の単 元構成方法 を用いる 。 ロ 」と名づけている。 (奐住 忠久 『共生の時 ,その有効な教材と しては 「災害 と防災」 際理解教育 代 を拓 く国際理解教育』黎明書 房, 2000, pp.17-18) さらに ・ グ ロ ーバル 教育の研 が指摘できる。その意義と して,以下の3点が挙 2)田渕五十生 「国 際 理 解 教 育 」全国社会科教育学会編 『社会科教育学研究ハン げられる 。 究 ドブック』明治 図 書, 2001, pp.406-407, 明 ① 災害 (特に 自然災害)は全世, 界グ の どの 地 域か に お ロ ー バル ら 」 天 野正治 ・村 田 翼夫編 『多嶺 文井 化 共子 生 「 国 際 理 解 教 育 いて も 発 生 す る 危 険 性 が あ り ー カルにまでの あらゆ る社会 レベル に関わ る。 ロ 社 会の教育』玉川大学出版部,2001, 92-95 一体感 を醸成する国 ⇒事実 ・事象の広域性や社会 レベル間の重層性 3) ただ し日本において は 国 家 的 ・アイデンティティの形成に 民 的 資 質 や ナ シ ョ ナ ル ② 災害 を社会 科食 学的 な物 側 面 か らの 追生 究活 す支 る (例 ば , 料や 資な ど 援,え 防災 関心が焦 点化してお り,国内には十分浸透 しなかっ 被 災者救援 た 。 のため, の人 地権 域 コ環 ミ境 ュ ニ平 テ和 ィ の資 形成 )ら こと に ・ ・ ・ 源な どあ ゆ る ーバルマイン ドを育てる 『国際 4 ) 西 村 美 智 子 「 グ ロ よって 。 」 歴史教育者協議会 (歴 史地理教 育 J 地 球 的 諸 課 題 に 関 連 し た 問 題 が 浮 き 彫 り に な る 理 解 教 育 』 を ⇒事実 ・事象の 多元性 No.667, 2004, pp.126-132 」米田伸次 ・大 5 ) 田 渕 五 十 生 「 多 文 化 社 会 と 私 た ち ③ 災害の直接的な 原 因 は 破 壊 的 な 自 然 現 象 の 発 生 ・田渕五十生 ・藤原孝章 ・田中義信 『テキス 」であるが,場合によっては 「大 に伴 う 「天 災 津 和 子 」にもな りうる。一方で, 「人災」は社会や ト 国 際 理 解 』 国 土 社, 1997, pp.78-80 災 ) 桐 谷 正 信 「 多 文 化 教 育 」 日 本社会科教育学会編 人の働 きによって被害 を未然に最小限に食い止 6 めることができ, 「防災」や 「減 災」が可能と 『社会科教 育 事 典 』 ぎ ょ相 う異 せ い, 2000, pp.90-91 , 二 つ 以 上 の な る文 化の狭 間で展開す なる。 7)例 えば 」がある。海外 ・帰国 ⇒人間関係の構築や社会参加の 重要性 る教育と して 「異 化教 間育 教 育在 ,留文 学生 , 日外国人教育,マイ 児童生徒教育 ,な どを包括 し,広領域に及ぶ (佐藤 。 ノ リティ教育 」今野喜清 ・新井郁男 ・児島邦 郡 衛 「異 文 化 間 教 育 宏編 「新版学校教 育辞典」教 育出版,2003, p.26) し Ⅵ 研究の意 義 課 ,と 国今 際後 理の 解 に題 関わ る各教 育論の考察 本 研 究 で は と実践事例分析 を通 して,インターナシ ョナ リズ - 62− ・帰国児童生徒教育や外国人児童 かし海外子女教育 ,異文化接触に関わ 生徒教育から発展した経緯から る教育が中心となっている。 ,加藤幸次氏は,新たな国際理解教育とは 8)例えば ・相対性を認めながら相互依存性と有 国 の多 様し 性,地球という世界を共に守る 限々 性を 自覚 「グロー めざす共生理解」であると述べている。 バル倫理を ・浅沼茂編 『国際理解教育をめざした総合 (加 藤 幸 次 学習』黎明書房,1999, p.8-19) 流協会繼 『グローバル時代の国際 9)神奈川県国際交∼ グローバル教育と多文化共生教 理解教育にむけて 育のインターフェイス∼』2003 満 「国際理解教育における地域学習の意義と 10)太田 一グローバル教育と多文化教育のインターフェ 課 イ題 スとしての 「地域」−」帝塚山学院大学国際理解 研究所 『国 理 解 』34 2003, ,際 西 村 公 孝氏号, は地球 社会pp.203-212 時代における新た 11)例 えば 公民 は,一人の人間の中に私的利益を追求し,家 な ・地域共同体に生きる生活者としての匚 私」を核 族 ,地域益や地方益を追求する 「市民性 (公民性) 」 , に 国し 家益を追求する 「国家公民性」 ,地球益を追求する 」といった多次元の公共空間で公事に関 「 ̄ 地球公 民 性 せ る 資質 ・能力,つまり匚 多次元的公民性」 心を寄備える重要性を指摘している。 (西村公孝 を 兼 ね 『公共性』論の分析から考える主権者教育の課題」 「 , 鳴門社会科教育学会 『社会認識教育学研究』第20 号 2005,)p.フ )多元的アイデンティティについては,例えば,佐 12 藤 『国 際 育 』 明 石 書 店, pp.30-34, 小郡 関衛 一 也 「 ̄ 地理 球解 時教 代 の ア イ デ ン ティ2001, ティ」 教育科学 研究会編 『教育JNo.645, 国土社,pp.55-62 などで 指摘されている。 『グ 厂 ローカリズム』の視点を教材開発に 13』新井郁男 どう生かすか」佐藤郡衛編 『国際をテーマにした学 習 活 動50 の ポ イ ン ト 』 教育 開 発研 究 所, 2002, p.34 ) 本 来 「リ ー ジ ョ ナ ル 」 は 国 内 の 地 方 と い う 意 味 14 ,ここではアジアやアフリカといった世界で の ある が の地域という意味で用いる。ただし,世界の地理 中 的な区分で用いられることが多いが社会の枠組みと しては十分確立 していないため,本論文では匚 グ ロー バル」に含める。 15 ) 「 ̄ ローカル」は地域という意味であるが,本論文で ― 63 ― は都道府県 レベルまでの地域 を指す 。