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析 分 勢 情 東 中
中東 情勢分析 GCC における石油・ガス開発の現状: オマーン! アラブ・プレス・サービス社 社長 ピエール・シャマス はじめに (gas/oil gravity drainage−GOGD)プロジェク 本論分は,!概要,"地質と有望性,#石油 ト」である。GOGD システムは頂部水蒸気圧入 開発プロジェクト,および$ガス開発プロジェ により原油回収率を高める技術であり,総額2 クト,の4部から構成されている。 億5, 0 0 0万ドルの本プロジェクトはカルン・ア ラム(Qarn Alam)油田の回収率を2%から2 0% 第1部:概要 に向上させることを目的としている。 オマーンの原油・コンデンセートの生産能力 GOGD システムの実験の結果,その有効性が 9 9 0年が6 0 は,1 9 7 0年代後半が4 0万バレル/日,1 証明されたたため,シェルはカルン・アラムと 9 9 6年後期が9 0万バレル/日 万バレル/日そして1 同種の油田の開発に着手することになるだろ と着実に増加しており,現在は9 6万バレル/日に う。開発が実現すれば,GOGD システムによる 達している。一方,原油価格維持のために生産 採油量は今後1 0年間で3 0億バレルに上るものと 削減努力を続けている OPEC を支持するため, 予想される。石油・ガス省は,こうした最先端 オマーン政府は実質生産量を約9 1万バレル/日 EOR 技術の採用により,原油の可採埋蔵量は現 にとどめている。その内,8 6万バレルを国内最 在の5 7億バレルから1 1 0億バレルに増大すると 大の石油利権操業会社であるオマーン石油開発 予測している。現在オマーンは,自国経済の多 (Petroleum Development Oman−PDO)が生産し 様化にとって必要不可欠である天然ガスの発見 ており,残りの5万バレル弱は,オキシデンタ に努力を傾注しており,そのため石油・ガス省 ル,ジャペックス,ペトロガス(Petrogas)およ は2 0 0 1年からガスの生産分与契約(production びノヴス石油(Novus Petroleum)の4社が生産 sharing agreement)のオファーを開始した。 している。 最新の技術と技能を伴う新たな産業の開発 オマーン政府は,2 0 0 4年までに国内の原油生 と,付加価値の高い職業の開拓を目指したガス 産能力を1 0 0万バレル/日まで増強することを優 利用計画, 「ビジョン2 0 2 0年」が1 9 9 6年に開始さ 先事項としており,PDO のオペレーターである れたが,政府は本計画の実施に際し,!トリニ シェルは EOR(原油の二・三次回収)技術を適 ダード‐トバゴ共和国の高失業率対策,"LNG 用すれば,この数字は達成可能であると見てい 輸出を支えるため,まず外貨収入の獲得に優先 る。 を置き,次にガスの化学製品化を図るインドネ 現在,焦点が当てられているのは,シェルが シアの政策,および#ガスを輸出せず,国内の 実施中の熱を利用した「重力排油式水蒸気攻法 ガス利用開発を優先するパキスタンの政策,の 1 中東協力センターニュース(投資関連情報) 2 0 0 1・1 2/2 0 0 2・1 3モデルを組み合わせた政策を採用している。 ラン(Galan)地方には1億トン以上の石炭が埋 2 0 0 0年4月,LNG の輸出第一船がオマーンを出 蔵されており,これを外国企業が開発する計画 航し,同国は LNG 輸出国の仲間入りを果たし になっていることから,エネルギー源を石炭に た。 シフトすることも考慮されている。オマーンは, 石油・ガス省は,天然ガスの確認埋蔵量を1 石炭,銅,金,銀,クロムなど豊富な鉱物資源 兆∼1兆5, 0 0 0億立方フィート増加させるため に恵まれており,中東では有数の鉱物資源国の ガスの探鉱活動を奨励しているが,この量は, ひとつになっている。政府はこれら資源の開発 現在および将来の LNG 輸出事業の需要と,発 と経済の多様化を目的に5ヵ年計画(1 9 9 6年∼ 電プラントを始めとする国内産業の需要を十分 2 0 0 0年)を立案し,多額の投資を行ってきてい に賄う量である。 る。 LNG 用ガスとカナダの Gulfstream Resources オマーン原油のほとんどはスエズ東方の諸国 社生産のガスを除いた,商業ガスの生産能力は, へ輸出されており,その主要原油であるオマー 現在約1, 2 0 0万立方メートル/日である。LNG ン・ブレンドはドバイ原油とともに,サワー原 用のガス需要は年間3, 3 0 0億立方フィートで,2 油の基準油として採用されている。国営のオ 本の LNG トレインの生産能力は合計6 6 0万ト マーン石油(Oman Oil Company−OOC)が海外 ン/年である。一方,発電など国内産業の今後5 の石油事業と国内の石油下流事業に投資を行っ 年間の平均需要は,国内生産量で充足される約 ている。 5, 0 0 0億立方フィート/年と推定されている。し オマーン政府の意思決定システムは非常に効 かし,アブダビのドルフィン・ガスプロジェク 率的である。国王のスルタン・カブース・ビ トに基づき,将来カタールから天然ガスが輸入 ン・サイードが首相職とその他大臣職を兼務し される予定になっている。 ており,重要な石油取引を管轄するとともに, 天然ガスの確認可採埋蔵量は,数年前は1兆 生産分与契約の許可を与えている。外国企業の 5, 0 0 0億立方フィートに満たなかったものが,現 最高経営責任者が同国王の非公式なアドバイ 7年 在は3 0兆立方フィートに達しており, 2 0 0 6/0 ザーとして助言を与えている。 までには4 5兆立方フィートに増大すると予測さ 1 9 9 7年1 2月1 6日,カブース国王は, スルタン・ れている。また,原油の埋蔵量については,生 カブース大学の教授でエンジニアのムハンマ 産量が減少している油田があるものの,PDO ド・ビン・セイフ・アルルムヒ博士を石油・ガ が毎年新規油田を発見しているため,5 5億バレ ス大臣に任命した。長年にわたり大臣を務めて ルの水準が維持されている。 きたサイド・ビン・アハマド・アルシャンファ 現在,石油・ガス省は原油の生産分与契約制 リが私的な事業に専念するとの理由で辞任した 度の改善を迫られている。国内で操業中の外国 ための交代であった。 企業のみならず,新たな探鉱・開発鉱区への入 歴史的背景: 札を計画している企業双方から,彼らのオマー ンに対する興味が失われる前に,制度を改善す 1 9 9 5年の初め,フランスとイタリアの地質学 るよう要請されているのである。 者がオマーン中央部のハウシ・ハクフ(Houshi 国内用のエネルギー源を石油からガスへシフ Haqf)地域において約2億8, 0 0 0万年前の植物化 ト し て い る オ マ ー ン の 石 油 消 費 量 は 約5万 石を発見した。石油・ガス省のハルブ・アルハ 5, 0 0 0∼6万バレル/日である。また,同国のガ シミー専門家によれば,有史前の樹木の幹,枝, 2 中東協力センターニュース(投資関連情報) 2 0 0 1・1 2/2 0 0 2・1 葉が発見されたとのことであり,これらは分析 パキスタン首相はガワダルをオマーンに返却し のためにフランスに送付された。この時の発掘 たのである。 調査は,オマーン,パキスタン,サウディアラ 旧サイード王朝の末裔であるカブースは1 9 7 0 ビア,モロッコ各国の地質学的変化を研究する 年7月,宮廷クーデターにより父親のスルタ 3ヵ年にわたる国際調査の一環として実施され ン・サイード・ビン・タイムールに代わり国王 たものであった。 に即位し,中世的雰囲気のただよう暗い時代に ソハール(Sohar)地域の発掘調査により,紀 終止符を打った。常軌を逸した行動で知られて 元前2 0 0 0年,オマーンでは銅の採掘・製錬が盛 いたスルタン・サイードは1 9 7 2年に亡くなって んに行われていたことが判明している。そのた いる。カブース新国王の下,自由市場経済を掲 めオマーンはシュメールの銘版に記載されてい げたオマーンは着実な発展を遂げ,近代国家へ る銅の産地「マガン(Magan)国」であると言わ と脱皮していったのである。 れている。 第2部:地質と有望性 富をもたらす香水の原材料としてオマーン南 部のゾファール(Dhofar)地方で採集されている 3 0万平方キロメートルの国土面積を有するオ 乳香樹脂と芳香樹脂は,古代エジプトとヨーロ マーンはアラビア半島の南東端に位置してお ッパの儀式において使用されていたものと同じ り,様々な鉱物資源に恵まれている。 ものであり,シバの女王からソロモン王に献上 オマーンの北東部は,後期白亜紀に生じた南 されていた。 西方向に延びる衝上断層によって定着した火成 オマーンは紀元7世紀から1 5世紀にかけてペ 岩と変成岩から成る山岳地帯である。この山岳 ルシャ,インド,東南アジア,アフリカなど世 地帯以外の国土はアラブ大陸棚上にあり,海岸 界各国と海上交易を行っていた一大帝国であ からルブアルハーリー盆地へと下方に傾斜して り,8世紀に科学的な航海術の基礎を築いたの いる多くの地層が存在している。 はオマーン人船乗りのアブーウバイド・ビン・ 炭化水素含有の地質という観点からすれば, アブドッラー・ビン・アルカーシムである。彼 オマーンの地質はサウディアラビアや UAE の はアラビアンナイトに出てくる船乗りのシンド ものとは異なっている。油田の規模は小さく, バッドであると広く信じられている。 複雑で,深い場所にあり,ほとんどが原油の浸 東アフリカに対するオマーンの影響力が最高 透率が低い油田である。サウディアラビアの生 潮に達したのは,ザンジバルを自国の殖民とし 産 井 は 約1, 8 0 0本 あ り,一 本 平 均 の 産 油 量 は た1 9世紀である。当時,インドとペルシャ湾一 3, 7 0 0バレル/日あるが,オマーンの場合,約 帯は大英帝国の支配下にあったが,オマーンは 2, 0 0 0本の油井があるものの,平均産油量はわず インドに交易の出先機関を確保していた。バル か4 0 0バレル/日にすぎないのである。 チスタン(現パキスタン)沿岸の小村ガワダル オマーンの地形は変化に富んでおり,内陸部 (Gawadar)も出先機関のひとつであったが,こ にはアルハジル(岩)と呼ばれる山脈が走って い る。最 大 の 山 は ジ ャ バ ル・ア ル ア ハ ダ ル うした昔の港は中央アジア進出への重要な拠点 (Jabal Al Akhdar)で, 高さは2, 0 0 0メートル以上 となっていたのである。 1 9 9 4年3月,カブース国王はパキスタンを訪 もある。北東端には,ホルムズ海峡に突き出て 問し,ガワダル地方の開発と国際空港の建設を いるムサンダム(Musandam)半島があり,気温 約束したが,その見返りとして当時のブット・ は違うものの,その形状はノルウェーのフィヨ 3 中東協力センターニュース(投資関連情報) 2 0 0 1・1 2/2 0 0 2・1 ルドと似かよっている。 カ,イバルを中心とした油田があり,それらの 南東部には, 肥沃なバティナ(Batina)高原が 油層のほとんどが白亜紀の石灰岩層である。 あり,マスカットを越えてルブアルハーリー砂 中央部は, サイフ・ニハイダ(Saih Nihaydah) 漠の先端まで広がっている。山を越え,南部に 油田を中心とする油田地帯である。この地域も 向かうとモンスーン地帯のサラーラ(Salalah)平 岩塩堆積盆地の一部となっているが,炭化水素 原に達するが,その気候は熱帯性気候にほぼ近 は後期古生代の砂岩と中世代の石灰岩に集積し い。 ている。油田の規模も小さいが,サイフ・ニハ 主な含油地域は次の3ヵ所である。!UAE イダとその周辺の油田において,1 9 8 9年後半か およびサウディアラビアの堆積盆地と地続き ら実施された掘削の結果,大規模なガス/コンデ の,アラブ堆積盆地,"中央部と南部のオマー ンセートの埋蔵が深層において発見されてい ン岩塩堆積盆地,および#ムサンダム半島西海 る。 岸に面した沖合い領海の細長い一帯。しかし, 中央東部地域には,かなり大規模なバリク 外国石油会社がその有望性に注目しているの (Barik)とサイフ・ラウル(Saih Rawl)油田があ は,陸上地帯である。 り,原油とガスは苦灰石のアプティアン・シュ 確認埋蔵量(5 0億バレル超)の半分以上はオ アイバ(Aptian Shuaiba)石灰岩層と,ハラタ マーン北部の油田地帯にある。主な油田は,イ (Khlata)とカハリフ(Qharif)グループの二畳系 バル(Yibal) ,ナティフ(Natih) ,ファフド(Fa- 石炭紀砂岩層に貯留している。サイフ・ラウル hud) ,アルフワイサ(Al Huwaisah) ,ルクワイル の深層部分のカンブリア系オルドビス紀砂岩層 (Lekhwair) ,シブカ(Shibkah)である。これら にはガス層が存在している。フランスのトター 油田は単一の地質構造を形成しており,合計確 ルが PDO のパートナーとしてこの地域に進出 認埋蔵量は2 0億バレル以上ある。 したのは1 9 9 5年年央のことである。 陸上には4本の原油の鉱脈があるが,最北端 南部には,マルムール,ニムル(Nimr) ,ジャ のものは,アブダビおよびサウディアラビアと ルムードの構造地帯に油田があり,南部オマー の国境近辺に位置しており,アラブ堆積盆地内 ン岩塩堆積盆地と繋がっている。ここの原油は にある。ルクワイル,サファ(Safah) ,ダリール 非常に重質であり,前期古生代の砕屑岩鉱床に (Daleel)の主要3油田があり,これら油田の石 貯留している。1 9 5 6年に発見されたマルムール 油/ガス層は,アブダビ東部と同種のサマーマ 原油は API が2 2度で硫黄含有率も非常に高か (Thamama)層グループに属している。アブダビ ったため,販売は不可能であると判断された。 の巨大サマーマ油田と比較すると,これら油田 また,この油田地帯には,天然ガスを埋蔵して の規模は小さい。PDO が1 9 9 0年に着手した本格 いるガス層もあるが,インフラの整備が進んで 的な水攻法プロジェクトにより,ルクワイル油 いないため,ガス開発に興味を示す企業はほと 田の可採埋蔵量は約4億バレルに増大した。 んどいない。ガス層の多くは,氷河期の票礫岩 オマーン中央部,中央東部および南部の3生 で閉じ込められている周氷河の砂岩であり,極 産地帯は,カンブリア紀のオマーン岩塩堆積盆 めて稀である。この一帯は,こうしたタイプの 地の一部と繋がっている。埋蔵量が各々5∼1 0 堆積物に商業生産量の炭化水素が集積している 億バレルの油田地帯であるが,中東の標準的な 世界でも数少ない地域のひとつになっている。 油田と比較すると,小規模な部類に入る。これ 1 9 9 4年1月,PDO はオマーン南部の希少層で ら地域の北側には,ファフド,ナティフ,シブ あるアセル(Athel)層に掘削したアルヌール2 4 中東協力センターニュース(投資関連情報) 2 0 0 1・1 2/2 0 0 2・1 号井(Al Noor‐2)によって石油を発見した。 ニ ムサンダム半島の海上には, ブハ(Bukha)と ムル油田の西方4 0キロメートル地点に掘削され 西ブハ(West Bukha)の2つのガス層があるが, た同井は,API4 7度の原油6 2 5バレル/日と2万 その地質構造はイランのヘンジャム (Henjam) 5, 0 0 0立方メートル/日のガスを生産した。同社 ガス田と同一である。西ブハより規模の大きい の役員は,原油が発見されたのはめったにない ブハは,サマーマ層のガス/コンデンセート田で 珍しい岩からであり,過去オマーンではそのよ ある(アブダビのサマーマ層は豊富な原油を含 うな岩からは原油もガスも発見されたことはな 有している油層) 。深度が非常に深いラス・アル い,と説明している。 ハイマ向斜構造の前期白亜紀/ジュラ紀の貯留 南部地域の掘削において,何度となくアセル 岩にガスとコンデンセートが集積しているが, 層に到達していながら,PDO は原油もガスも同 原油は通常このような深層には貯留していな 層では確認されなかったと発表していた。しか い。 し,アルヌール2号井により,非常に圧力の高 ジャバル・マドマル(Jabal Madmar)の山頂 い層が発見され,岩石テストの結果,細孔隙率 は,炭化水素が貯留する典型的な背斜構造にな の平均が2 2%であることが判明した。これは, っている。国内の詳細な地質図作成のため,オ 生産量の多い他のオマーン油田のものと匹敵す マーン政府が1 9 9 0年に French Bureau de Recher- る率である。 ches Geologique et Miniere と契約を締結した理 このアセル油田は,アルヌール2号井から6 5 由のひとつは,この背斜構造の存在であった。 キロメートル離れているビルバ(Birba)油田と 標高4 0 0メートルの山頂は,国内の山の中でもた パイプラインで連結された。同2号井の石油発 どり着くのが最も困難な山のひとつであり,伝 見によって,新規探鉱の道が切り開かれ,新た 説的な探検家である Wilfred Thesiger によって な石油・ガス埋蔵量発見の可能性が高まった。 1 9 4 0年代に初めて注目された山である。オアシ アセル油田は深度4, 5 0 0メートルの地点にあ スの町アダム(Adam)に近いこの地は,カブー り,その原始埋蔵量は3 0億バレル以上あると言 ス国王の祖先であるブー・サイード族の故郷で われているが,この複雑な油田の開発には最先 あり,未だに探鉱されていない最大の有望地の 端技術が必要であった。そこで PDO のパート ひとつである。 ナーであるシェルが優秀な技術力を駆使して, 結 地震探鉱データの解析や油層の特質分析,生産 性の向上などの作業を実施したのである。 論: 生産油田と未開発油田の合わせて1 1 0以上の 油田が4 4年間にわたり探鉱され,すべての主要 沖合いの有望地: 鉱床が調査された。その結果,近隣の GCC 諸国 バティナ(Batina)沿岸北東のアラビア海にお が有するような巨大油田はオマーンには存在し いて探鉱が実施されたが,期待はずれの結果に ないと判断された。しかし,探鉱の成果は生産 終わり,原油発見の可能性があるとした利権操 量を凌ぐ勢いで着実に表れており,特に,PDO 業会社 BHP の仮説は実証されなかった。PDO を始めとする各操業会社が最先端技術を適用し は1 9 8 8年にゾファール地方の沖合い3ヵ所で地 たことにより,1 9 8 9年以降に新たな油田の発見 震探鉱を開始し,1 9 9 1年後半にサラーラの北東 が相次いでいる。ガスの埋蔵量が政府の公式目 6 3キロメートルの海上で最初の井戸を掘削し 標値である4 5兆立方フィートに達するかどうか た。 は,今後の推移を見守ることとしたい。 5 中東協力センターニュース(投資関連情報) 2 0 0 1・1 2/2 0 0 2・1 埋蔵量と探鉱: り,ある程度の量の回収が見込まれる。しかし, オマーン政府は,過去1 0年間に発見された新 例えば,水蒸気圧入によるマルムール油田の回 規油田に後押しされ,大規模開発プロジェクト 収コスト(輸出ターミナルまでのパイプライン に着手した。1 9 9 1年の1年間だけで,3億4, 3 0 0 関連費用を含む)は,スマトラ中部においてカ 万バレルの原油が新たに発見され,オマーンの ルテックスが活用している先端技術を用いたと 確 認 埋 蔵 量 は1 9 9 2年1月 時 点 に お い て4 5億 しても,約1 2ドル/バレルに上ると予想される。 5, 0 0 0万バレルまで増大した。埋蔵量はその後も この API2 0度の原油開発の候補者として,シェ 増加を続け, 1 9 9 4年は2億7, 2 0 0万バレルが発見 ブロン・テキサコ(カルテックスの1 0 0%所有 され,また,PDO の既存油田の再評価の結果,2 者)の名前がかねてから取り沙汰されており, 億1, 6 0 0万バレルが埋蔵量に追加されたため,全 もし有利な探鉱・開発条件がオファーされれ 体の確認埋蔵量は1 9 9 5年年初期現在で5 2億バレ ば,同社が開発した技術を適用し,2 0億バレル ルまで拡大した。1 9 9 9年の埋蔵量は1 9 9 7年と同 の採収が可能になると見られている。回収技術 一の5 3億バレルと推定されていたが,その9 8% が改良されれば,さらに2 0∼3 0億バレルの追加 が PDO によって占められていた。 採収も不可能ではない,と同社では判断してい 2 0 0 0年初めの埋蔵量は5 5億バレル,そして現 る。 在は5 7億バレルと見積もられているが,増加分 国営オマーン石油(OOC)は,シェブロンを の内1億2, 0 0 0万バレルは PDO が昨年発見した 同社の中核パートナーとして,カザフスタンの ものである。石油・ガス省の担当者は,最先端 Tenghiz 油田などから黒海に面したロシア の の EOR 技術の適用により,確認可採埋蔵量は ターミナル施設まで原油を輸送する,カスピア 1 1 0億バレルに達する可能性がある,と語ってい ン・パイプライン・コンソーシアム(CPC)に参 る。ちなみに,1 9 8 0年の確認埋蔵量は2 4億8, 0 0 0 画している。 万バレルであった。 ガスの埋蔵量: 石油の輸出が開始された1 9 6 7年から1 9 8 9年末 までの累積生産量は3 0億バレル,一方,同期間 リヤドに本部を置く GCC 事務局の1 9 9 8年の に発見された埋蔵量は4 0億バレルを超えてい 報告書によれば,当時のオマーンのガス確認埋 た。従って,今後極めて小規模な油田が開発さ 蔵量は3 0兆立方フィート(9, 0 0 0億立方メート れ,かつ南部の未回収埋蔵量に対する EOR 技術 ル)と見積もられていた。一方,1 9 9 7年1月1 が適用されれば,可採埋蔵量は,確認に至って 日現在の公式見積量は,予測総埋蔵量(total ex- いないものの存在の可能性があると言われてい pected reserves)が2 8兆4, 8 0 0億立方 フ ィ ー ト る量を含めると,全体で1 1 0億バレルに到達す (8, 0 0 0億 立 方 メ ー ト ル) ,確 認 埋 蔵 量 が1 9兆 る,と推測されるのである。しかし,ルブアル 1, 0 0 0億立方フィートであった。1 9 9 7年,政府は ハーリーに存在する油田を含め,オマーン領内 確認埋蔵量を2 0 0 1年までに4 5兆立方フィートに 各地に散在している小規模油田の数は非常に多 拡大することを公式目標に掲げたものの,実現 いため,それらの開発コストは高くなる可能性 には至らなかった。しかし,この目標値は2 0 0 6/ がある。 0 7年までには達成可能と思われる。また,2 0 0 1 南部のマルムール,ニムル,ジャルムードの 年6月に BP が発行した世界エネルギー統計に 油田地帯の原油は高重質油(API2 0度前後)で, よれば,オマーンのガス確認埋蔵量は,1 9 8 0年 その原始埋蔵量は6 0 0億バレルと推定されてお 末7 0 0億立方メートル,1 9 9 0年2, 0 0 0億立方メー 6 中東協力センターニュース(投資関連情報) 2 0 0 1・1 2/2 0 0 2・1 トル, 2 0 0 0年末8, 3 0 0億立方メートルとなってい 事業に対し,政府と外国企業が投資した額は総 る。 額6 0億ドルあまりに達している。 2 0 0 1年1 0月にアラブ・プレス・サービス社が 有望ではないと過去に判断された地域,例え 連絡を取った石油・ガス省の当局者は, 「現在の ばコンデンセートとガスを大量に埋蔵している ガス確認可採埋蔵量は3 1兆立方フィートである オマーン中央部の油田などに対する関心が外国 が,近い将来,2 0兆立方フィートの予測総埋蔵 企業の間で高まっている。これら埋蔵地の開発 量がこの数字に追加されるだろう」と語ってい の結果,8万バレル/日のコンデンセートが新た る。 に生産され,原油生産量を増やすために1 9 9 9年 オマーン中央部の構造性ガスは良質であり, から原油に混合されている。コンデンセートの 同国 LNG 事業の幹事企業であるシェルの話に 7年までに1 5万∼2 0万バレル/ 生産量は,2 0 0 6/0 よれば,二酸化炭素も窒素も硫黄もガスには含 日に増加するものと予想されている。 1 9 8 0年代,ガス開発に興味を持つ外国企業は まれていない,とのことである(近隣諸国で発 見されているガスは通常,不活性ガスである) 。 ほとんどいなかった。そこで政府は PDO(出資 エチレンの主要原材料であるエタンの含有率は 比率;政府6 0%,シェル3 4%,トタール・フィ 約7%, プロパンとブタン(LPG)は3. 5∼5%, ナ・エルフ4%,Partex2%)を実施母体とし 残りは LNG として液化されるメタンである。 た,ガス探鉱1 0ヵ年計画に着手した。その結 また,この構造性ガスは熱量が大きいため,パ 果,1 9 9 1年にサイフ・ラウル,サイフ・ニハイ イプラインで他市場向けに輸送する上では理想 ダ,バリクおよびマブルーク(Mabruk;正式呼 的なガスとなっている。というのは,他の場所 称は Mahjour,マハジュール)の油田において, から輸送される低品質ガスとこのガスを市場に 合計埋蔵量7兆立方フィートの構造性ガスが発 おいてブレンドすれば,不活性ガスの容量が削 見されたが,この量は年間6 6 0万ト ン の LNG 減され,パイプラインのエネルギー輸送効率も の生産を十分に賄える量であった。 高まるからである。 オマーンの石油・ガス田の数は1 1 0を超えて 一方,LPG とその他ガス液の原材料となる石 おり,これは中東では最多である。また,PDO 油随伴ガスの確認埋蔵量は, 1 9 9 6年の2兆9, 5 0 0 の生産油井数は,2 0 0 8年までに3倍に達すると 億立方フィートから現在は約3兆5, 0 0 0億立方 予測されている。 フィートまで増加している。PDO が随伴ガスの 石 油・ガ ス 開 発 の 上 流 部 門 の コ ン ト ラ ク ほぼ全量を生産しており,これらのガスは国内 ター,特に,極度の高温・高圧と硫化水素など 市場に供給されるとともに,油田への再圧入用 に対処する必要のある深掘を専門とするコント として利用されている。 ラクターにとっては,オマーンは格好の市場と 1 9 8 9年以降,石油・ガス田が相次いで発見さ 言えるだろう。 れたことを受け,オマーン政府は生産量の高水 探鉱の背景: 準の維持と可採埋蔵量の拡大を目指した5ヵ年 計画(1 9 9 1年∼1 9 9 5年)を立案し, 3 3億8, 5 0 0万 オマーンの石油探鉱は,英国の D’Arcy Explo- ドルの予算を計上した。その内訳は,探鉱費用 ration 社が2年間の探鉱許可を得た直後の1 9 2 5 9億2, 3 0 0万ドル,掘削・生産費用1 1億4, 5 0 0万 年から開始された。同社は,英国の保護領とな ドル,器具備品購入費用1 3億1, 7 0 0万ドルであっ っていたオマーンにおいて地質調査を実施した た。この5ヵ年計画に基づく探鉱・開発など諸 ものの,石油の発見には至らなかった。 バハレー 7 中東協力センターニュース(投資関連情報) 2 0 0 1・1 2/2 0 0 2・1 ンとサウディアラビア東部地区で石油が発見さ ることとなった。 れた後の1 9 3 7年,BP 率いるイラク石油(IPC) シェルは1 9 6 2年に埋蔵量の豊富なイバル油田 がオマーンに進出し, 「オマーン・ゾファール石 を, 1 9 6 3年にナティフ油田を, そして1 9 6 4年にフ 油開発(PDOD) 」を設立した。 ァフド油田とグバル(Ghubar)油田を相次いで PDOD は,マスカット周辺およびマスカット 発見した。これら油田は開発を進める上で十分 とは別の行政下にあったゾファール地域におい な量の埋蔵量を有しており,これに刺激を受け て石油利権を獲得したが,第二次世界大戦の勃 たトタールは PDO への再参画の意欲を示し始 発により作業は中断された。PDOD の株主は, めた。PDO はマスカット北部の港,ミーナ・ア BP,シェル,トタール,エクソン,モービル, ルファハル(Mina Al Fahal)に輸出ターミナルを そしてアルメニア人のグルベンキアン(Cal- 建設し,トタールが PDO に再加入を果たした louste Gulbenkian,出資比率5%)であった。グ 1 9 6 7年に石油の輸出が開始された。 ルベンキアンは, 「ミスター5パーセント」と称 その後,探鉱活動が一層強化され,次に述べ された有名なブローカーで,彼の会社は後に る新たな油田が発見された;!1 9 6 8年ルクワイ Partex と命名され,ポルトガルにおいて登記さ ル,アルフワイサ,"1 9 7 2年カルン・アラム, れている。 ハブル(Habur) ,ガバ・ノース(Ghaba North) PDOD は1 9 4 0年代後半に探鉱作業を再開した お よ び サ イ フ・ニ ハ イ ダ,#1 9 7 3年 ア マ ル が,ゾファール地域の利権を放棄したため,社 (Amal) ,サイフ・ラウル,$1 9 7 4年アンザウズ 名は「オマーン石油開発(PDO) 」と変更された。 (Anzauz) ,バリク,%1 9 7 6年シブカ,&1 9 7 7年 1 9 5 0年代中頃から国内の政治状況は悪化の兆し ラハブ(Rahab) ,'1 9 7 8年ビルバ,カハリール を見せ始め,英国がオマーンのスルタン・サ (Qaharir) 。 イード・ビン・タイムールを支援しているとの 1 9 7 3年後半に石油価格が4倍に跳ね上がった 理由から,ゾファールで反乱が勃発し,PDO ため,資金的余裕が生じた PDO は探鉱活動を拡 の操業は危険に晒された。1 9 5 6年,同社は1本 大するとともに,これら新規油田の開発を急速 目の探鉱井をファフドにおいて掘削したが,空 に推し進めた。OPEC 諸国による外国石油会社 井戸に終わった。 の国有化の流れを受け,オマーンもまた,1 9 7 4 米国の Cities Service と Richfield Oil の2社が 年から PDO への事業参加に乗り出した(オマー 1 9 5 4年にオマーンに進出し, 1 9 5 6年, 同国南部に ンは OPEC,OAPEC ともに非加盟) 。同年初めの おいてマルムール油田を発見した。しかし,原 政府の参加比率は2 5%であったが年央には6 0% 油が非常に重質であったことと,同地域の政治 に達し,外国企業の持分はシェル3 4%,トター 的混乱を理由に,油田は PDO に譲渡された。そ ル4%,Partex2%へと減少した。 の後 PDO はいずれの地域においても石油を発 1 9 7 7年,石油市場は供給過剰におちいったた 見することができず,マルムール油田も閉鎖さ め,オマーン政府は探鉱・開発のインセンティ れてしまった。 1 9 6 0年,BP,Compagnie Francaise ブを,特にゾファール地区におけるインセンテ des Petroles(CFP;現トタール・フィナ・エル ィブを改善せざるを得ない状況に追い込まれ フ) ,エクソンおよびモービルの各社が PDO か た。こうして PDO にとり有利な5ヵ年契約が締 ら 撤 退 し た た め,PDO の 株 主 構 成 は シ ェ ル 結された結果,同社は1 9 7 9年にマハジュール, (8 5%) , Partex(5%) , 政府(1 0%)となり, ルニブ(Runib) ,カタ(Qata) ,リマ(Rima) ,ジ シェルがオペレーターとしてその役割を強化す ャルムードの各油田を発見することができたの 8 中東協力センターニュース(投資関連情報) 2 0 0 1・1 2/2 0 0 2・1 である。また,1 9 7 9年から石油価格が急騰した 探鉱活動を促進するため,1 9 9 4年末,オマー ことにより,PDO はこれら油田の開発をフルス ン政府は PDO に対し同社が操業を行っていな ピードで実施することが可能となった。1 9 8 0年 い地域を放棄するよう要請した。1 9 9 5年前半, に ニ ム ル と ス ラ イ ラ ト(Thulailat)の 両 油 PDO はこの要請に基づき,陸上・海上区域の約 田, 1 9 8 1年にはザウリーヤ(Zauliyah)とサイフ 9万5, 6 6 2平方キロメートルを放棄した。その後 ト(Thayfut)の両油田が発見されたが,その後 同社は利権区域を第6鉱区に統合し,広さ1 1万 も引き続き新規油田が発見されている。 3, 7 3 7平方キロメートルの鉱区とし,主要な原 こうした状況下にもかかわらず,利権鉱区を 油・ガス田を確保した。さらなる区域の放棄義 放棄し,オマーンから撤退する企業も出始めて 務はなく,同社の利権は2 0 1 2年6月2 4日に期限 いた。 1 9 7 3年,Elf Aquitaine はホルムズ海峡に位 を迎える。 置するムサンダム半島の沖合い鉱区を獲得し, PDO の新規油井のすべては水平掘の油井で 1 9 7 6年にブハとヘンジャムでガス/コ ン デ ン ある。同社は三次元地震探鉱など,シェルが有 セート田を発見したが,その後,同鉱区を放棄 する最先端探鉱技術を活用しており,オマーン している。 では最高の油田発見率を誇っている。 また,エルフは住友,Wintershall と提携し,サ 探鉱・開発鉱区のオファー: フマ(Sahma)地区の陸上鉱区を獲得, 1 9 7 8年に サフマ油田を発見・開発したが,生産量が減少 1 9 9 5年に PDO が放棄した地域は,当時の石 したため,権益を売却し1 9 9 9年にオマーンから 油・鉱物資源省によって1 1の鉱区に分割され, 撤退した。 同年7月からオファーが開始された。アモコが 1 9 8 3年に Quintane/Gulf Oil が発 見 し た サ フ 放棄した第1 2区域の第3鉱区とオキシデンタル ァフ(Safah)油田はオキシデンタルが開発し, 放棄の第1 3区域もこのオファーに含まれてい また,ジャペックス・オマーン(石油公団,石 た。各鉱区に関する技術的情報が石油・鉱物資 油資源開発,インドネシア石油,伊藤忠の日本 源省から開示され,各社はそれぞれの事務所に グ ル ー プ)は1 9 8 4年 に ワ ー デ ィ・ア ス ワ ド おいてこのデータを閲覧することが許可され (Wadi Aswad)油田を発見・開発している。 これ た。1 9 9 5年1 0月に開始された入札の締切日は, らの油田は現在も原油を生産している。 当初予定では1 9 9 6年2月1 7日であったが,3月 PDO の鉱区以外の地域では,探鉱活動は限ら 2日に延期された。 れており,また,ほとんど名の知られていない オファーされた1 3鉱区の内,8鉱区が南部地 会社が関与していた。例えば,北部沿岸に5万 域の陸上鉱区であり,5鉱区が海上鉱区であっ 平方キロメートルという広大な鉱区で操業して た。重質原油が産出し,ガスの埋蔵地区である いた Compact Oil などがこれに含まれる(同社 ゾファール地方では,外国企業の興味を引きつ は,問題の多いトレーダーの John Deuss が所有 けるため,各陸上鉱区の規模が拡張された。陸 している,バミューダに本拠を置く Transworld 上8鉱区の内,5鉱区がイエメンとの国境付近 Oil の子会社) 。カナダの Arakis と米国の Aegis (内ひとつがオマーン,サウディアラビア,イエ は,1 9 8 9年年央に締結した契約に基づき,ジャ メンの3ヵ国が国境を接する地点)に,そして バル・アスワド(Jebel Aswad)鉱区を保有して 残りの3鉱区が中央部にそれぞれ位置してい いる。その後,オファーされている鉱区はすべ る。また海上の5鉱区は,ホルムズ海峡,オマー て,PDO が放棄した地域である。 ン湾,アラビア海にある。 9 中東協力センターニュース(投資関連情報) 2 0 0 1・1 2/2 0 0 2・1 最初に鉱区を落札したのはトタールで,1 9 9 5 した。 4, 1 0 0万ドルの投資(期間7年)と井戸5 年7月9日,大規模ガス田のサイフ・ラウルと 本の掘削が計画されていた。 バリクから近い, オマーン中央部サイワン(Sai- 1 9 9 7年1月2 5日,サウディアラビアの Nimr wan)の第4鉱区(2万6, 0 0 0平方キロメートル) Petroleum はアモコ(現在, BP の一部)が放棄し を獲得した。1 9 9 8年末までに,2本の井戸の掘 た北東部の第3鉱区(1万5, 0 0 0平方キロメート 削が計画されていた。また,1 9 9 8年9月,Oil In- ル)を取得,投資額は5, 0 5 0万ドル(期間8年) , dia が同鉱区の2 0%の権益を取得している。 掘削井戸数は6本を予定。 エルフは,住友および Wintershall と共同に カナダの Gulfstream Resources は,1 9 9 7年年 て,1 9 9 5年9月にオマーン西部のサフマ区域に 央, 北部のホファール(Hofar)第3 0鉱区(1, 2 0 0 隣接する鉱区を獲得し,1 9 9 7年に1本目の井戸 平方キロメートル)を獲得した。投資額2, 0 0 0万 を掘削した。しかし,同社はオマーンに保有す ドル(期間6年)と掘削井戸数3本の計画の下 る権益をペトロガスに売却した(第3部参照) 。 に事業を開始し,商業生産量の石油の発見に成 1 9 9 6年6月5日,ジャペックスはサウディ国 功した。 2 0 0 1年5月から掘削が開始されている。 境から近い南西部の第3 5鉱区(6, 4 7 8平方キロ 1 9 9 7年9月2 9日,オキシデンタルはガスが豊 メートル)を取得したが,約4, 5 0 0万ドルの投資 富な,北西部の第3 1鉱区(7, 1 5 7平方キロメート (期間7年間)と井戸6本の掘削が義務付けられ ル)を獲得,投資額は4, 5 0 0万ドル(期間7年) , た。 掘削井戸数は3本を予定。さらに,1 9 9 8年6月 米国の Phillips Petroleum は1 9 9 6年6月1 5日に には,現在生産中の第3 1鉱区に隣接する,ガス サウディ・イエメン国境沿いの南部地方におい が豊富な第2 7鉱区(2, 4 8 5平方キロメートル)を て第3 6鉱区(1万8, 5 2 7平方キロメートル)を獲 取得した。予定投資額は2, 5 5 0万ドル(期間9 得し, 3, 7 0 0万ドルの投資(期間9年間)と5本 年) 。同社は, オマーンでは PDO に次ぐ第2位の の井戸の掘削を約した。1 9 7 7年,デンマークの 石油会社である(第3部参照) 。 Maersk Oil Oman は同鉱区の2 5%の権益を取得 し,ま た,カ ル ガ リ ー の Berkeley 1 9 9 8年6月,アモコはガスを豊富に含有して い る 第1 5鉱 区 と4 4鉱 区 を 獲 得。BP ア モ コ Petroleum Corp. も同じく2 5%を取得した。 (6 0%) ,オキシデンタル(2 6%) ,Fortum(フィ 1 9 9 9年6月, Phillips は Maersk(2 5%)および ンランドの前 Neste 社, 1 4%)の3社によるコン Berkeley(2 5%)と提携し,南西部の第3 8鉱区 ソーシアムが1 9 9 9年4月に第9,1 5,2 7,3 1お (1万8, 0 0 0平方キロメートル)を生産分与契約 よび4 4の各鉱区におけるガス探鉱・開発契約に (期間1 0年)に基づき獲得した。契約によれば, 調印した。同契約には,ガス処理事業ならびに 最初の3年間で2, 9 0 0万ドルが投資され, 2 0 0 0年 オマーンの工業都市ソハール,BP アモコの本拠 に井戸の掘削が開始され,そして発見された原 地シャルジャおよびその他 UAE の首長国向け 油・ガスの4 0%が提携3社に帰属することにな ガス供給事業(4億立方フィート/日)も含まれ っていた。第3 6鉱区に掘削された最初の井戸は ている。さらに,ガス処理プラントとパイプラ 2 0 0 0年9月末に深度約3 5 0メートルに達した。同 インが同コンソーシアムによって建設されるこ 井の目標深度は4, 4 0 0メートルであり, 2 0 0 0年末 とになっている。 海上鉱区を最初に獲得したのはダラスの Tri- までの達成が計画されていた。 アルコ(現在は BP の一部)と Partex は, 北東 ton Energy 社である。1 9 9 6年6月,アラビア海 部の第3 2鉱区(3, 8 0 0平方キロメートル)を取得 のマシーラ島に近い,ガスが豊富な第2 2鉱区 1 0 中東協力センターニュース(投資関連情報) 2 0 0 1・1 2/2 0 0 2・1 (8, 2 7 1平方キロメートル)を獲得したが,これ 区) 。石油・ガスの探鉱費用は3年間で3, 3 0 0万 は同社が中東地域において初めて取得した石油 ドルを予定している。 利権であり, 3, 8 0 0万ドルの投資(期間8年)と 2 0 0 1年3月1 8日,Maersk は石油・ガス省と4 5本の井戸の掘削を予定している。 1 9 9 8年6月, 年契約を結び,サウディ国境に近い西部の第4 5 ガスを埋蔵している,ホルムズ海峡の第4 0鉱区 鉱区と4 8鉱区(合計3, 8 7 8平方キロメートル)を (5, 3 5 3平方キロメートル)も取得,8年間にわ 単独で取得した。予定投資額は1, 8 0 0万ドルで, たる投資額は3, 0 0 0万ドル,掘削井戸数は4本を 掘削前に地震探鉱が実施され,探鉱終了後の契 予定。なお,同社はラテンアメリカにおいて石 約延長のオプションが付与されている。なお, 油探鉱を行っており,コロンビアでは Cusiana 同社は,コペンハーゲンに本部を置く,石油・ と Cupiagua の両油田を発見している。 輸送グループの AP Moeller の一員である。 1 9 9 9年3月,シェルはバティナ沿岸から近い ノルウェーと米国の合弁会社である Petro- 海上の第1 8鉱区を取得,3ヵ年の探鉱計画にお leum Geo Services(PGS Geophysical)は, マスカ いて3 0 0万ドルを投資する予定になっている。 ット沖合い2 8キロメートルに位置する,オマー 1 9 9 7年,オーストラリアのノヴス石油は,In- ン湾深海の第4 1鉱区(2万8, 0 0 0平方キロメート ternational Petroleum Corp. (カナダ)が海上第1 7 ル)に関するデータ収集・処理・再処理・解析 鉱区のブハ油田に保有している3 0%の権益を買 および炭化水素含有評価を実施する5ヵ年契約 収した。この結果,ガスとコンデンセートを生 を2 0 0 1年9月2 9日に石油・ガス省と締結した。 産しているブハ油田に対する同社の持分比率は PGS は,2 0 0万ドルの費用を か け て,7, 0 0 0∼ 4 0%に高まった。他の出資企業は,韓国の LG 8, 0 0 0平方キロメートルの区域の地震探鉱を実 グループから権益を買い取った Atlantis Hold- 施する。同社は,同鉱区の入札を計画している ings Norway(5 0%)と英国の Heritage Oil & Gas 国際石油企業に探鉱データを売却する権利を有 の子会社 Eagle Energy(1 0%)である。 2 0 0 1年9 しており,深度1, 5 0 0メートルまでの探鉱データ 月,ノヴス石油は,マスカットの南西約1 0 0キロ が得られるとのことである。2 0 0 2年第1四半期 メートルに位置し,オキシデンタルとジャペッ までに地震探鉱が完了する予定であり,その後, クスの生産田からも近い第1 5鉱区と4 7鉱区を取 同鉱区の入札が石油・ガス省により実施され 得した(第1 5鉱区は BP が2 0 0 0年に放棄した鉱 る。 1 1 中東協力センターニュース(投資関連情報) 2 0 0 1・1 2/2 0 0 2・1