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IMA MONTHLY NEWS
O c t .7 , 20 13
Vo lu me 1 6
IMA M ONTHLY N EWS
一般社団法人 国際経営者協会(IMA) 〒107-0052 東京都港区赤坂 7-3-37 プラース・カナダ 1 階
Tel. 03-6894-7638 Fax. 03-6894-7701 E-mail:[email protected] URL:http://www.imaj.or.jp/
9月例会
「コミットメント重視のゴーン流グローバル経営」
講師:伊佐山建志氏(日産自動車㈱元副会長)
日時:2013 年 9 月 26 日(木)
場所:日本工業倶楽部
IMA9 月例会は、日産自動車に 6 年、ルノーの社外
取締役として 4 年間在籍され、日産自動車㈱社長のカ
ルロスゴーン氏とは 2001 年以来都合 12 年間のお付き
合いという日産自動車元副会長の伊佐山建志氏を講師
にお迎えし、「コミットメント重視のゴーン流グロー
バル経営」と題してご講演をお願いした。
ゴーン氏とは日産に入ってからの付き合いだが、ビ
ジネスの基礎は全て彼から学んだ。自分の知る限り、
彼は自らのコミットメントについて結果を出さなかっ
たことは一度もない(リーマンショックと 3・11 の東
北大震災の時は 3 年計画の修正を余儀なくされたが)。
そうした経験を通じて、企業経営におけるコミットメ
ントの重要性に確信を持った。かれはどんな課題に対
しても何らかの答えを用意しているが、それは業績を
上げるための知識やノウハウに基づくものではなく、
企業の成長や夢を実現するという彼の経営哲学に基づ
くもの。そして一般的なイメージとは逆にトップダウ
ンではなく、他者に学び自発性を重んじ助言を与える
中で人の力をうまく引き出すことに長けていた。
年間売上 6 兆円に対して、2 兆 1 千億円の累積赤字
を抱え倒産寸前の日産に 1999 年に招かれたゴーン氏
は、翌 2000 年度の黒字回復、さらに 2002 年度までに
利益率 4.5%を確保し、2 兆 1 千億円の有利子負債を半
減させることを自らのコミットメントとして公約し、
結局これを 2 年間ですべて達成した。
ゴーン氏が行ったことは、まず日産内部の課題より
時代の変化を理解すること。これは従来の自社中心の
物差しで判断するのではなく、国家戦略を含む国際市
場の力関係や技術・情報の環境の変化、他社の動向な
ども踏まえた相対的な判断がまず必要ということ。
次は、内部の問題点を具体的に「見える化」し、す
べての人間が共通の状況認識を持つこと。ゴーン氏は
危機対応に必要な対策として「フォーカス」という言
葉を使ったが、日本でいうところの選択と集中。3 番
目はその問題の解決を、誰が何時までにするかを明確
にすること。そして 4 番目にこれが本日のテーマであ
るが、各管理職にコミットメントを求めること。
コミットメントとは、決して上が与えるものではな
く自ら、それもできるだけ数値化した目標を立てる。
そしてその目標の高低に関わらず、目標がクリアーさ
れればコミットメントが達成されたと評価する。そう
した個人のコミットメントを基礎に部署のコミットメ
ントも設定される。個人であれ組織であれコミットメ
ントが達成されれば約束通りのボーナスが支払われ、
達成されなければボーナスはゼロというルール。
さらに CFT(Cross Functional Team)というシス
テムで、各部署のコミットメントが独りよがりになら
ぬよう他の部署の目とアドバイスを求め、さらに大き
な問題の時は EC(Executive Committee)が最終判断を
下すという複合的な全社的組織再生改革システムを構
築した。ゴーン氏の企業再生の最終目標は企業文化を
変えること、それには 10 年かかると。
マスコミには叩かれたが、病気を治すためには治療
が必要とし、5 工場を閉鎖し、従業員の 14%21,000 人
を削減、1,100 社あった系列組織を 600 社に半減、非
中核事業を 5,000 億円で売却した一方、体力強化のた
め、投資は 2000 億円から 3,000 億円に増やした。
ゴーン氏が基本的に日本人を尊敬しコミットメント
を信頼している根拠は日本の「腹切り」の文化。人間
で腹切り以上のコミットメントはないとのお話が、ゴ
ーン氏の人柄を物語る微笑ましくも大変印象的なお話
であった。
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IMA Monthly News
IMA 未来 Café
「ユーザー中心設計手法とユーザビリティ入門」
グローバル経営・人材戦略研究会
「ネスレのグローバルビジネスとローカリゼーション」
~消費者が笑顔で利用できるウェブサイトとは~
講師:遠藤 直紀 氏(㈱ビービット 代表取締役)
日時:2013 年 8 月 1 日(木)
場所:千代田区三番町「SANBANCHO CAFÉ」
講師:ロイック・レトレ氏(ネスレネスプレッソ㈱
代表取締役社長)
日時:2013 年 9 月 30 日(月)
場所:日本工業倶楽部
IMA 未来 Café「夢・
挑戦・感動」シリーズの
第2回目として、会場を
三番町のおしゃれな
Café に移し、「もの中
心」から「人間中心」
「ユーザ中心」を理念に
据えて価値を創造するこ
とに拘って、2000 年に
㈱ビービット(beBit)
をベンチャー企業として
創業した同社代表取締役
の遠藤直紀様のお話を伺
った。
第3回研究会は、ネ
スレネスプレッソ株式
会社代表取締役社長の
ロイック・レトレ氏を
講師にお迎えし「ネス
レのグローバルビジネ
スとローカリゼーショ
ン」と題して開催した。
特に製造業の方と話をしていると、自分は何で作っ
て誰が使っているのか、顧客が見えないという話をよ
く聞く。やはり仕事の醍醐味はお客様が喜んで下さっ
ていること。利益が上がるのは当然の前提だが、どう
やればお客様の笑顔を獲得するための製品とかサービ
スを開発できるのか。
創業当初、某大手都市銀行の住宅ローンのインター
ネットのリニューアルを手掛け、ローンの貸出額が
400 億円から 4000 億円に増加、同行から全面的な支
援を得られるようになった。某全国紙の PC からタブ
レット端末への配信移行に際し、リニューアル後のサ
イトで 90%以上の満足度という最高の評価を得た。
ユーザー/カスタマー中心の概念が重要。株主資本
主義から、競合企業ではなく顧客のことだけを考える
顧客資本主義へ。市場の成熟化とソーシャルネットワ
ークサービス(SNS)の普及に伴って、顧客の嗜好に合
わせた商品の多様化傾向も広がっている。マスメディ
ア広告では悪いことは言わないが、SNS では顧客の本
音が出てくる。これにどう対応するか。
そのためにはユーザーが本当に満足するユーザビリ
ティの向上が必要。ユーザビリティとは良く「使いや
すさ」と言われるが、誰がどういう状況で何を求めて
いるのかを把握する必要。そのためにはユーザーの立
場に立ったシミュレーションとユーザーの観察を通し
て、そのコンテクストを理解すること。ユーザーの本
音はインタビューやアンケートではなく、行動を観察
することで分かってきたりする。
誰が我々のターゲットカスタマーであるかを知り、
カスタマーと如何に共感するかがポイント、と。
世界最大のグローバ
ル総合食品飲料企業の
ネスレは、1866 年にス
イスで創業し 1913(大正 2)年には横浜に日本支店を
開設、今年 100 周年を迎えた。現在は世界 194 か国で
営業し総従業員は 339,000 人。日本でのネスレ製品は
コーヒー、チョコレートなどが多いが、世界規模では
乳製品・アイスクリーム、ミネラルウォーター、ニュ
ートリション・ヘルスケア、調理済・調理用食品、ペ
ットケアなど多様。2012 年の売上げは 10.2%増と高
い伸びを示している。
ネスレのグローバル戦略は「いつでも、どこでも、
どんな形でも製品が入手可能」な世界的プレゼンスと、
品質とブランドに拘った競争力、栄養・健康・ウェル
ネスの分野で家庭外消費(外食)と手の届く価格帯の
重視、他方で高級化・プレミアム化にもフォーカス。
ネスレ 100%子会社であるネスプレッソは Ultimate
Coffee Experience(究極のコーヒー体験)を合言葉に、
コーヒーではなく最高の味を楽しむ体験を販売。
社員 8300 人の 7 割は直営店の現場で接客・販売に
携わり、その他はコールセンターとインターネットで
対応。誰でもどこでも簡単に一流バリスタが淹れるよ
うな本格的なコーヒーを楽しめることがコンセプト。
ネスプレッソクラブ会員に、厳選されたコーヒー豆の
調達からカップに至るまで拘った「グラン・クリュ」
コーヒーを直販。また 24 時間体制のカスタマーサー
ビスセンターで、徹底的なサービスも提供している。
コーヒーは酸化防止のためアルミニウムのカプセル
に入れ、現在は 21 種類のフェイバーを揃えている。
また業務用の機械に近い最大 19 気圧まで出せるコー
ヒーメーカーが大きな特徴。
近年はネスプレッソブティックネットワークを 50
か国に展開。日本は 19 店舗。高まる“うちカフェ”
需要(昔は家では挽いたコーヒーしか飲めなかったが)
を背景にさらなる急成長を目指している。
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