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パモジャ2007年7月号

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パモジャ2007年7月号
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ア事
事務
務所
所ニ
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パモジャ
2007年7月号
~未来のきりん探しの旅に出よう!~
INDEX
1)今月の 1 枚:お箸に挑戦!
2)援助のツボ:
「タンザニア 2007/08 年度財政演説」
3)特集;プロジェクト紹介
「灌漑農業技術普及支援体制強化計画」
4)次長の目~高橋次長
5)カリブ・クワヘリ
☆ コラム「タンザニア人より一言」
★ 7月 イベント情 報 ★
7/9 協 力 隊 17 年 度 1 次 隊 7 名 離 任
7/9~7/27 終了時評価:包括的マラリア対策プロ
ジェクト(3 年間)
7/14~12/1 全国 HIV/AIDS カウンセリング・テスト
促進キャンペーン
(2)援 助 のツボ ;
『タンザニア 2007/08 年 度 財 政 演 説
(予 算 スピーチ)』 (本 田 企 画 調 査 員 )
『6 月 から 7 月 のタンザニアと言 えば?』
(1)今 月 の 1 枚 :
『 お箸 に挑 戦 !! 』
『 学 校 の 夏 (?) 休 み 、 一 年 で 最 も 涼 し く て 気 持 ち の
良 い 季 節 …… 。 そ し て 、 も ち ろ ん ご 存 知 、 タ ン ザ ニ
ア予 算 国 会 の季 節 です!』
先 日 6 月 14 日 には、メグジ財 務 大 臣 が、開 会 さ
れたばかりの予 算 国 会 にて、2007/08 年 度 財 政
演 説 (予 算 スピーチ)を行 いました。これから 8 月
初 旬 の予 算 関 連 法 案 採 択 へ向 けて各 省 予 算 案
(Budget Estimates) が 代 わ る 代 わ る 審 議 さ れ て
いくことになります。ということで、今 日 は、メグジ
大 臣 の財 政 演 説 の内 容 を中 心 に、タンザニア
2007/08 年 度 予 算 案 を 紹 介 し た い と 思 い ま す 。
(注 ①)
6 月 に行 われた協 力 隊 員 の「日 本 文 化 紹 介 展
示 」で、「お箸 」に挑 戦 した子 供 たち。か~なり難 し
注 ① : タ ン ザ ニ ア 連 邦 共 和 国 は 、 本 土 ( Main
land ) と イ ン ド 洋 の 島 国 ザ ン ジ バ ル か ら 構 成 さ れ 、
それぞれが別 の予 算 を持 っていますが、このパ
かったと思 うのですが、持 ち方 もなかなか様 にな
モジャ報 告 では、紙 幅 の都 合 上 本 土 の予 算 に
っており、数 度 の挑 戦 の後 、ちゃんと豆 をつまん
焦 点 を当 てています。
でお椀 に入 れることができていました。
数 年 前 に NHK ドラマ「おしん」がタンザニアで放
予 算 こぼれ話 1: “予 算 かばん”
映 されていたこともあって、日 本 人 がおはしを使 う
まず、本 題 に入 る前 に、タンザニア予 算 のトリビア
ことは良 く知 られていますが、実 際 に使 ってみた
を一 つ。それは “予 算 かばん”。毎 年 6 月 の国 会
のは初 めてな子 どもが多 かったようです。「お箸 使
財 政 演 説 翌 日 の 新 聞 各 紙 トッ プで は 、 必 ず 財 務
えた?」との質 問 に、「できたよ~!!」と得 意 げ
大 臣 が、満 面 の笑 顔 で予 算 スピーチと予 算 書 が
に答 えてくれました。
入 った“かばん”を記 者 の前 で持 ち上 げている写
JICA タンザニア事務所ニュース「パモジャ」2007 年7月号
真 が掲 載 されます。あれ、かの英 国 ブラウン“首
歳 出 案 :どのくらいのお金 を、何 に使 うのか?
相 ”が財 務 大 臣 (Chancellor of the Exchequer)
メグジ大 臣 は、好 調 な国 内 歳 入 と増 大 する援
だった頃 、同 じように笑 顔
助 を前 提 に、前 年 度 予 算 比 (予 算 案 )で約 25%
でかばんを下 げている写 真
増 という大 幅 な歳 出 拡 大 を発 表 しました。新 年 度
を見 たことがある気 が…。
予 算 案 の歳 出 総 額 は約 6 兆 シリングで、日 本 円
長 い間 英 国 委 任 統 治 領 で
にしますとおよそ 6 千 億 円 に相 当 します。これがど
あったタンザニアでは、立
のくらいの規 模 かと言 うと、人 口 およそ 71 万 人 の
法 、司 法 、行 政 の各 面 で
静 岡 市 の年 間 予 算 (平 成 19 年 度 静 岡 市 当 初 予
英 国 式 の伝 統 が今 も多 く
算 は約 5973 億 円 )とほぼ同 じ。これを意 外 に大 き
引 き継 がれており、この
いと見 るか、小 さいと見 るか…。さて、この“大 型
“予 算 かばん”と財 務 大 臣
予 算 ”の配 分 額 上 位 5 分 野 は、教 育 (全 体 比 約
タンザニア国会 HP より
(ただしタイトルは英 国 と異
18%)、道 路 (同 約 13%)、保 健 (同 約 10%)、農 業
http://parliament.go.tz/b
なる Minister for Finance)
(同 約 6.3%)、そして水 (同 約 5.1%)となっており、
unge/bunge . a s p
の笑 顔 もまさにその英 国
この 5 分 野 の合 計 は予 算 全 体 の 5 割 強 に達 しま
統 治 時 代 から引 き継 がれ
す。教 育 、保 健 、水 というタンザニア人 の生 活 に
た伝 統 と言 えると思 います。
直 結 する 社 会 セ クタ ー へ 引 き 続 き 予 算 が 優 先 配
分 されていることに加 え、与 党 CCM 公 約 (マニフ
タンザニア経 済の今、そしてこれからの見 通し?
財 政 演 説 で は、まず 予 算 案 の 背 景 となる 当 国 経
ェスト)でも強 く打 ち出 されている道 路 などインフラ
予 算 も比 較 的 重 視 されていると言 えるでしょう。
済 ・財 政 の過 去 1 年 間 の状 況 と今 後 の見 通 しが
説 明 されます。昨 年 後 半 タンザニアを深 刻 な旱
魃 が襲 い、農 業 生 産 の低 下 やダム渇 水 による電
力 危 機 を引 き起 こしましたが、その経 済 ・財 政 へ
の影 響 は?幸 い、その後 の豊 富 な降 雨 にも助 け
歳出案
大統領府、内
務省、産業省、
国防省、エネ
ルギー省など
教育
18.0%
られて事 態 が改 善 したこと、観 光 業 や金 を中 心 と
する鉱 業 部 門 などの好 調 にも支 えられて、総 じて
その他
47.6%
経 済 は比 較 的 良 好 だったようです。その結 果 、
保健
10.0%
2006 年 の GDP 成 長 率 は、当 初 予 想 5.9%を若 干
上 回 る 6.2%が見 込 まれています。物 価 上 昇 率 も
旱 魃 による 農 産 品 価 格 上 昇 などか ら一 時 7.2 %
台 まで上 昇 しましたがその後 徐 々に低 下 、本 年 4
道路
13.0%
農業
水
6.3%
5.1%
歳 入 案 :税 金 、援 助 ……
月 には 6%台 前 半 まで低 下 しています。
大 幅 25% の 歳 出 拡 大 案 で す が 、 そ の お 金 は ど う
今 後 の経 済 見 通 しですが、政 府 は現 在 の好 調 が
確 保 されるのか? 歳 入 面 を見 てみましょう。ま
当 面 続 いていくと見 て、今 年 2007 年 の GDP 成 長
ずタンザニア政 府 は、国 内 金 利 が上 昇 傾 向 にあ
率 目 標 値 (年 率 )を 7.3%、来 年 の 2008 年 は 7.7%
る中 で、国 債 などの国 内 借 入 れを本 年 度 はしな
を見 込 んでいます。もし政 府 の見 込 み通 りに経 済
いことに決 定 しています。したがって、残 る歳 入 オ
成 長 が達 成 されれば、タンザニアの経 済 パフォー
プションは、税 金 などの国 内 歳 入 と外 国 からの援
マンスは最 近 好 調 なアフリカ諸 国 の中 でも上 位 に
助 となります。
位 置 づけられることになるでしょう。
国 内 歳 入 は、マクロ経 済 の好 調 に加 えて、成 果
2
JICA タンザニア事務所ニュース「パモジャ」2007 年6月号
が出 つつある徴 税 強 化 策 などにより引 き続 き拡
計 への援 助 資 金 投 入 を行 う一 般 財 政 支 援
大 が見 込 まれています。(約 3.5 兆 シリング≒約
(General Budget Support)を実 施 していることで
3500 億 円 )ただし、増 税 策 の一 環 として打 ち出 さ
すが、それだけに日 本 にとっても当 国 政 府 の予 算
れた石 油 税 引 き上 げが、今 後 の物 価 上 昇 傾 向
プロセスは非 常 に重 要 な意 味 を持 っています。法
の 引 き 金 と な り う る のでは と の 懸 念 の 声 も聞 か れ
案 通 過 後 は、政 府 による予 算 執 行 プロセスにも
ます。
注 視 していきたいと思 います。
そして、援 助 収 入 です。新 年 度 予 算 案 では約 2.3
注 ②:現 在 審 議 中 の予 算 関 連 法 案 ですが、国
兆 シリング(約 2300 億 円 )が予 算 化 されており、
会 を通 過 するのは例 年 大 体 7 月 末 から 8 月 初
予 算 全 体 の約 39%を占 めています。援 助 収 入 は
予 算 全 体 の約 4割 前 後 で近 年 推 移 しており、膨
大 な開 発 ニーズを考 えると当 面 のところタンザニ
旬 。すなわち、予 算 審 議 中 の 7 月 1 日 に新 予 算
年 度 が始 まってしまいますが、法 案 が通 過 する
までの間 は暫 定 予 算 を組 んで対 応 しているよう
です。
アは援 助 無 しにはやっていけないのが実 情 である
といえましょう。ちなみに、上 述 の公 的 援 助 資 金
予 算 こぼれ話 2:
(以 下 日 本 円 相 当 額 )を、援 助 供 与 形 態 ごとに見
財 務 省の役 人さんはどこでもやっぱり忙しい?
ると、一 般 財 政 支 援 が約 880 億 円 (債 務 免 除 を
知 人 の財 務 省 スタッフから聞 いた話 ですが、予 算
除 く援 助 全 体 の約 38%)、コモンバスケット援 助 が
国 会 前 後 の6月 から7月 にかけて、予 算 案 作 成
約 270 億 円 (同 約 11%)、プロジェクト援 助 が 1185
に関 わる中 枢 スタッフは連 日 夜 遅 くまで、時 には
億 円 (同 約 51%)。なお、上 記 援 助 収 入 以 外 に、
週 末 もかけて業 務 をこなしているとのこと。既 に財
援 助 国 や国 際 機 関 による債 務 免 除 分 等 が約
政 演 説 が終 了 、また予 算 書 一 式 も既 に国 会 へ
200 億 円 別 途 計 上 されている他 、本 年 度 内 には、
提 出 されたので、彼 /彼 女 達 にとっての年 間 最
米 ミレニアム挑 戦 公 社 による道 路 、水 、電 力 分
大 行 事 の予 算 策 定 プロセスも法 案 通 過 までもう
野 等 への大 規 模 な援 助 事 業 が補 正 予 算 の形 で
一 息 というところでしょう。
予 算 に計 上 される予 定 です。
最後に
本 年 度 の 政 府 予 算 案 を どう 見 る か ? “ 大 型 予 算
(以 上 )
(3)特 集 ;新 プロジェクト・スタート!
「通 称 : タ ン ラ イ ス 」
案 ”からは、2005 年 の与 党 CCM 公 約 、第 二 次 貧
困 削 減 戦 略 (NSGRP)の掲 げた開 発 目 標 、さらに
は ミ レ ニ ア ム 開 発 目 標 ( MDG ) の 実 現 へ 向 け 、 教
稲 穂 の実 る水 田
育 、保 健 などの社 会 サービスを通 じた人 的 資 本
の強 化 や依 然 不 十 分 なインフラの整 備 などを加
6月 に
速 していきたい、という政 府 の強 い意 気 込 みが伝
新 プロジェクト
わってきます。一 方 で、自 らの行 財 政 キャパシティ
「灌 漑 農 業 技 術 普 及 支 援 体 制 強 化 計
を超 えて少 々無 理 をしすぎではないかという感 も
画 」がスタートしました。 新 たに専 門 家 2
無 くはありません。
名 が着 任 しています。 チーフアドバイザ
さて、歳 入 ・歳 出 法 案 が最 終 的 に国 会 を通 過 す
ーとして着 任 しました富 高 元 徳 専 門 家
るのは 8 月 初 旬 頃 となります。(注 ②)タンザニア
に、プロジェクトの概 要 を説 明 してもらい
に 対 する わ が国 の 援 助 の特 徴 は、 プロ ジェ クト援
ます。
助 に加 えて、他 ドナーと連 携 しつつ政 府 一 般 会
JICA タンザニア事務所ニュース「パモジャ」2007 年7月号
灌漑農業技術普及支援体制強化計画
1994 年 に開 始 した KATC 計 画 では、全 国 の灌 漑
(愛 称 タンライス)までの経 緯 とその課 題
地 区 を対 象 にし、農 業 普 及 員 と中 核 農 民 が集 合
研 修 に一 緒 に参
始 まりはキリマンジャロ州 : タンザニアの北 部 に位
加 する方 法 が採
置 する キリ マ ン ジ ャロ 州 に 対 する 日 本 の 協 力 は 、
用 されました。
1970 年 にタンザニア政 府 がキリマンジャロ州 総 合
ま た 、 KATC 計 画
開 発 計 画 (KIDP)策 定 への協 力 を要 請 したことに
フ
さかのぼります。JICA は 1978 年 に KIDP をタンザ
ロ農 業 開 発 センター(KADC)が完 成 し、技 術 協 力
プロジェクト(KATC 計 画 )の専 門 家 も着 任 し、キリ
マンジャロ州 の州 都 (モシ)から低 地 に広 がる地
域 (ローアモシ)での農 業 開 発 協 力 が具 体 化 し始
めました。
ロ ーア モ シ 地 区 へ の 協 力 : 円 借 款 によ るロ ーア モ
シ 農 業 開 発 計 画 が 1987 年 に 竣 工 し 、 主 に
1,100ha の水 田 が整 備 されました。計 画 では、年
間 1,900ha に稲 を作 付 けし、4.5t/ha の平 均 籾 収
量 ( 年 間 籾 生 産 量 : 8,550t ) を 見 込 み ま し た 。
KADC 計 画 とその後 継 であるキリマンジャロ農 業
開 発 計 画 ( KADP 、 1986 年 開 始 ) は 、 ロ ー ア モ シ
灌 漑 地 区 (LMIS)の稲 作 確 立 に貢 献 し、約 6t/ha
の平 均 籾 収 量 を達 成 しました。しかしその後 、稲
作 の収 益 性 に注 目 した農 民 たちが LMIS 上 流 地
域 で 開 田 ( 取 水 ) を 進 め た こ と も あ り 、 LMIS 内 の
稲 作 付 面 積 は 1990 年 の 1,525ha ( 籾 収 量 :
6.52t/ha、籾 生 産 :9,943t)を頂 点 に減 少 しました。
こうした LMIS での稲 作 をめぐる動 きは、平 均 籾 収
量 2t/ha 以 下 のタンザニアでは大 きな注 目 を集 め
ました。
全 国 展 開 の始 まり:タンザニア政 府 は LMIS の稲
作 技 術 を タ ン ザ ニ ア 全 土 に 普 及 す る た め 、 KADC
を中 央 政 府 管 轄 の研 修 所 (キリマンジャロ農 業
技 術 者 訓 練 セ ン タ ー : KATC ) に 格 上 げ し ま し た 。
ズ
Ⅱ
タンザニア本 土 6
(集 合 研 修 の風 景 )
中 心 に 6 事 業 について協 力 することで合 意 しまし
た。1981 年 には無 償 資 金 協 力 によるキリマンジャ
ー
(2001-06 年 )では、
ニア政 府 に提 出 し、タンザニア政 府 は 14 事 業 に
ついて協 力 を求 め、日 本 政 府 は農 業 セクターを
ェ
ヶ所と近隣諸国
(ウガンダ、ケニア、
ザンビア、マラウイ)のモデル灌 漑 地 区 (各 国 1地
区 )を対 象 に、KATC での集 合 研 修 と各 灌 漑 地 区
での現 地 研 修 を実 施 し、中 核 農 民 →中 間 農 民 →
一 般 農 民 に稲 作 技 術 を伝 える農 民 間 普 及 が採
用 されました。研 修 に参 加 する女 性 の割 合 が半
数 とな るよ う 促 し、 男 女 間 の 公 正 な 役 割 に つい て
の理 解 促 進 も図 られました。農 民 が採 用 可 能 な
技 術 (品 種 、種 子 、畦 畔 管 理 、圃 場 均 平 、若 苗
移 植 等 )の普 及 に努 め、タンザニア国 内 モデル灌
漑 地 区 の参 加 農 民 の平 均 籾 収 量 は、3.1t/ha か
ら 4.3t/ha に増 加 しました。
タ ン ラ イ ス の概 要 :タンザニア政 府 (農 業 ・ 食 料 安
全 保 障 ・協 同 組 合 省 :MAFC)は、KATC 計 画 フェ
ーズⅡのアプローチを他 の灌 漑 地 区 でも適 用 す
るために新 たな技 術 協 力 を日 本 政 府 に要 請 しま
した。JICA は 2006 年 9 月 に調 査 団 を派 遣 し、
2007 年 5 月 には JICA と MAFC が討 議 議 事 録 に
署 名 し、2007 年 6 月 から 5 年 間 の予 定 で協 力 が
始 ま り ま した。 タ ン ラ イスの 目 標 は 、 「灌 漑 農 業 サ
ービス支 援 体 制 の強 化 を通 じて、主 として全 国
40 ヶ所 の灌 漑 地 区 の稲 作 生 産 性 が向 上 する」こ
とです。責 任 監 督 機 関 は MAFC 研 究 ・研 修 局 、
実 施 者 は 4 農 業 研 修 所 (KATC、イグルシ、イロン
ガ、ウキリグル)と稲 研 究 のメンバーであり、主 な
協 力 機 関 は地 域 灌 漑 技 術 サービス事 務 所 と県 、
主 な最 終 受 益 者 は灌 漑 地 区 の稲 作 農 民 です。タ
ンライス遂 行 のため、JICA は長 期 (3 名 )・短 期 専
4
JICA タンザニア事務所ニュース「パモジャ」2007 年7月号
門 家 、在 外 事 業 強 化 費 、関 連 資 機 材 、本 邦 研
6 月 は、安 全 対 策 協 議 会 、隊 員 総 会 、協 力 隊 員
修 等 を投 入 し、タンザニア側 はタスクメンバー、ロ
中 間 報 告 と、日 常 の業 務 から離 れ多 くの意 見 を
ーカルコスト等 を投 入 します。
聞 く機 会 に恵 まれました。隊 員 総 会 についてはホ
ームページ上 で報 告 しておりますので、ご参 照 く
タンライスの課 題 ・方 向 :
ださい。
タンライスは「農 民
( http://www.jica.go.jp/tanzania/tpl/topics.html )
間 普 及 を通 じて、
灌 漑 地 区 における
一 連 の対 話 を通 じて感 じたことは、経 験 したことこ
稲 作 技 術 が改 善
そが説 得 力 を持 つ、と考 えました。JICA 事 務 所
する」ことと、「稲 作
員 が、協 力 隊 員 、専 門 家 の人 達 が体 現 している
の生 産 性 向 上 に
ことを集 め発 信 することで大 きな組 織 力 になるの
向 けて、研 究 ・研
ではないかとぼんやりと考 え、四 字 熟 語 を探 して
(農 民 間 普 及 )
修 ・普 及 機 関 の連
いると、ありました。
携 が強 化 される」ことを成 果 に掲 げられています。
下 学 上 達 (かがくじょうたつ)
主 に、普 及 員 と中 核 農 民 への集 合 研 修 、中 核 ・
意 味 : 下 学 上 達 (かがくじょうたつ)とは、身 近
中 間 ・一 般 農 民 への現 地 研 修 、県 政 府 の灌 漑
なことを学 び続 け、次 第 に天 の道 に達 する、やが
稲 作 研 修 計 画 策 定 、ネ リカ(NERICA: New Rice
て高 遠 な真 髄 (奥 義 )に達 し極 めること、という孔
for Africa ) を 含 む 稲 品 種 比 較 等 を 支 援 し 、 そ の
子 の言 葉 。だそうです。
過 程 で農 業 研 修 所 や関 連 機 関 の能 力 向 上 も図
「天 の道 に達 する」は、ともかくとして、現 実 の経
られます。幾 多 の日 本 人 とタンザニア人 が、約 30
験 に 則 し た もの の 考 え 方 、 行 動 を 身 に つ け る こ と 、
年 間 に及 ぶ KADC、KADP、KATC や関 連 事 業 を
と勝 手 に解 釈 しました。
通 じて開 発 ・実 証 ・普 及 してきたアプローチを尊 重
しつつ、援 助 協 調 ・地 方 分 権 ・東 アフリカ域 内 協
また、事 務 所 での勤 務 を通 じて事 務 所 の中 で考
力 の流 れにも配 慮 しつつ、タンライス(英 名 は
えていることと、専 門 家 や協 力 隊 員 等 、現 場 で活
Technical Cooperation for Su p port i ng Service
動 する関 係 者 の人 たちとの認 識 のギャップを痛
Delivery
Systems
in
Irrigate d
Agriculture:
感 させられる出 来 事 を思 い出 しました。
TC-SDIA ) は 実 施 さ れ ま す 。 中 央 ・ 地 域 ・ 州 ・ 県
2005 年 9 月 にタンザニア事 務 所 に赴 任 した当 初
(郡 ) ・ 灌 漑 地 区 ・ 農 民 ・ 開 発 パ ートナ ーの 適 正 な
から、時 折 、関 係 者 から聞 く言 葉 で、「事 務 所 が
役 割 分 担 を求 めながら。
遠 い」という意 見 が気 になっていました。JICA 組
(以 上 )
織 内 部 では、改 革 、統 合 、在 外 主 導 、外 を見 れ
ば援 助 協 調 といった JICA を取 り巻 く環 境 の変 化
(4)次 長 (Jicho)の目 ;
(高 橋 次 長 )
『下 学 上 達 (かがくじょうたつ)』
順 番 では牧 野 次 長 担 当 月 ですが、一 時 帰
国 中 のため、連 月 で高 橋 Jicho の目 です。
に対 処 することに追 われています。組 織 内 部 では、
これらキーワードに乗 り遅 れまいと、活 発 な議 論
が飛 び交 い活 気 があるように思 えても、外 部 から
見 れば単 なる内 向 姿 勢 に見 えるのではないかと
も考 え、「事 務 所 が遠 い」といった言 葉 にも言 い
得 ていることは多 く、正 直 ショックでした。
`Jicho’は ス ワ ヒ リ 語 で ’目 ’を 意 味 し ま す 。
5
JICA タンザニア事務所ニュース「パモジャ」2007 年7月号
一 連 の対 話 を通 じて「顔 を見 て話 せばわかる」と
口 を見 出 すことなのではないでしょうか。安 全 対
いったことが双 方 なかなか実 現 できなかった、とい
策 をはじめとする危 機 管 理 意 識 においても、前 回
うのが率 直 な感 想 です。私 自 身 の反 省 でもありま
の Jicho の目 でも紹 介 したとおり、事 故 へ遭 遇 す
すが、「メールで送 っています」、「マニュアルに書
る落 とし穴 はいたるところに潜 んでいます。日 本 な
いています」、「規 則 ではこうなっています」、「本
どでは、若 干 見 落 としたり、怠 っても、大 きな事 件 、
部 で、このように聞 きました」、「その仕 事 の担 当
事 故 に達 することが少 なくなるように、Fail safe 的
は・・さんです」、「納 税 者 への説 明 が・・」などの対
に設 計 された社 会 システムが用 意 されています
応 は、そのこと自 体 、誤 ったことではないものの、
が、途 上 国 では、小 さな見 落 としが直 ちに大 きな
やはり、現 場 当 事 者 の対 応 としては、コミュニケー
事 故 、事 件 に発 展 する可 能 性 が高 い、と自 他 共
ションが一 方 向 性 にとどまっていたことが弊 害 とし
に警 告 しておくことが肝 要 と考 えました。
(隊 員 総 会 よ り )
てあげられるのではないでしょうか。
さらに組 織 強 化 のために導 入 された効 率 化 、標
準 化 を 実 現 する た め に 進 め られ る 分 業 体 制 で は 、
分 業 化 が進 んでも、メールで情 報 が共 有 されても、
情 報 が独 り歩 きするわけでもなく、分 業 によって
遠 ざかった情 報 を遠 ざかったままにせず、確 認 を
するための双 方 向 のコミュニケーションを行 うこと
が必 要 、と考 えるべきなのではないでしょうか。
我 々は先 進 国 の満 たされた環 境 で生 活 していく
同 時 に 、 組 織 を 超 え て実 施 さ れ る 外 部 委 託 化 は 、
バブル経 済 崩 壊 以 降 、社 会 全 体 で、組 織 の存 続
のための特 効 薬 であるかのように積 極 的 に進 め
られ成 果 を挙 げた反 面 、当 事 者 意 識 が欠 如 する、
といった側 面 も見 逃 せません。ひいては危 機 管 理
体 制 の脆 弱 化 などにも繋 がっているのではないで
しょうか。組 織 のピラミッドの頂 点 、大 本 営 からか
ら発 せられる指 令 と現 場 での経 験 、直 感 の蓄 積
が呼 応 してこそ、健 全 な組 織 強 化 が実 現 すると
信 じたいものです。外 部 委 託 そのものが悪 いので
はなく、妙 な分 業 推 進 ばかりが強 調 され、経 験 す
る機 会 を自 ら失 っていることを私 は懸 念 します。
発 展 と共 に立 派 な理 論 構 築 が進 む中 で、いとも
簡 単 に物 事 が進 むかのような発 想 が支 配 的 にな
りつつある先 進 国 の中 で、忘 れ去 られてきた非 効
率 、不 合 理 さは途 上 国 には溢 れかえっており、こ
中 で関 心 の中 心 は、より精 緻 化 された(悪 くすると
狭 量 な)価 値 判 断 (一 言 で言 えば、かつてはどうで
もよかったわずかな違 い)の是 非 にシフトしている
ようです。一 方 、使 われることが少 なくなり、意 識
の奥 底 にしまいこんでしまってしまった危 機 管 理
意 識 を浮 上 させ、その感 度 を磨 くことの重 要 性 を
隊 員 、専 門 家 の人 たちとの対 話 の中 で気 づかさ
れました。
年 齢 、経 験 が異 なっても共 鳴 できることは多 く、
安 全 対 策 、現 場 主 義 の原 点 に立 ち返 るような気
持 ちで、一 連 の会 議 への参 加 者 の人 たちの話 を
聞 いていました。
個 人 の経 験 を集 約 、発 信 して組 織 、社 会 の大 き
な力 にする、そんなことも考 えつつ、7 月 は一 時 帰
国 し、北 海 道 の自 宅 で休 養 を頂 き、帰 任 後 には、
発 信 力 を高 められるようにしたいと思 います。
こを直 視 して価 値 観 を見 出 すか、失 望 してしまう
か、我 々の役 割 はその繰 り返 しの中 で解 決 の糸
高 橋 直 樹 ( [email protected] )
6
JICA タンザニア事務所ニュース「パモジャ」2007 年7月号
(5)カリブ・クワヘリ
~~~ ようこそ ~~~
~ようこそタンザニアへ!
お元 気 で!さよなら~
特集記事にある「灌漑農業技術普及支援体制
強化計画」に着任した、富高専門家と家元専
門家からの自己紹介です。
【クワヘリ】
・
協 力 隊 17 年 度 1 次 隊
7名
【カリブ】
<富 高 元 徳 専 門 家 >
・
富高元徳さん
(専門家)
・
家元隆佳さん
(専門家)
・
瀬尾逞さん
(専門家)
の 麓 ( モ シ) に 家 族 と 共 に 滞 在 し た こと があ り ま す
・
鶴田厚子さん(短期専門家:マラリ
が、 今 回 は ダ レス サラ ー ム に 単 身 で 滞 在 する こ と
ア対策プロジェクト)
・
佐藤由理さん
(フィールド調整員)
・
協 力 隊 19 年 度 1 次 隊
13名
1986-91 年 と 1994-99 年 にかけてキリマンジャロ
になりやや戸 惑 い気 味 です。「日 本 人 の指 導 を受
けて獲 れたコメ(初 めての乾 期 作 )を売 って手 に
入 れたのでジャパニという名 前 にした」と自 慢 気
に 乳 牛 を 見 せ て くれ た 農 民 。 「 若 い 頃 に こ の 研 修
に 参 加 し て い た ら私 の 人 生 は 変 わ って い た の に」
といいながら、畦 畔 管 理 、田 面 均 平 に励 んでいた
2 年 の 任 務 を 終 え て 、 協 力 隊 17 年 度 1 次 隊 の
労 農 。そんなことも思 い出 しながら、新 たな業 務
7 名が7月9日に帰国します。コンピュータ隊
に取 組 みます。よろしくお願 いします。
員・三木千太郎さんの代表コメントです。
<家 元 隆 佳 専 門 家 >
任 地 のドドマに赴 任 して3ヶ月 は苦 しいことばかり
でした。スワヒリ語 もまま ならず 、 仕 事 はもとより 、
日 常 生 活 も悪 戦 苦 闘 していたからです。思 考 と
は裏 腹 に、寂 しさ・苦 しさのあまり、涙 が止 まらな
い日 もありました。しかし、カウンターパートを初 め
とする職 場 のスタッフや近 所 のママのサポートを
得 て、多 くの貴 重 な経 験 をこの二 年 間 でさせてい
ただきました。職 場 のために、タンザニアのために、
何 か残 せるほどの力 もなく、支 えられて学 ぶこと
ばかりの二 年 間 でした。ありがとうございました。
帰 国 後 は、二 年 間 にわたり陰 で自 分 を支 えてく
れた家 族 に、可 能 な限 り尽 くそうと思 います。
灌 漑 農 業 技 術 普 及 支 援 体 制 強 化 計 画 の専 門
家 (灌 漑 /農 民 研 修 )として赴 任 してきました家 元
隆 佳 と 申 し ま す。 配 属 機 関 は 、 農 業 食 料 安 全 保
障 協 同 組 合 省 (MAFC)研 究 研 修 局 で、モシ近 郊
のキリマンジャロ農 業 技 術 者 訓 練 センター
(KATC)に在 勤 しています。
私 のプロフィールを簡 単 に紹 介 します。昭 和 39
年 生 まれ、石 川 県 加 賀 市 出 身 、日 本 の配 属 先
は農 水 省 農 村 振 興 局 、ネパールで3年 間 の海 外
経 験 、妻 ・長 女 (11才 )・長 男 (3才 )の4人 家 族
です。
今 回 は 家 族 で赴 任 して きました。モ シにお 立 ち 寄
りの際 は是 非 声 をかけて頂 ければと思 います。よ
ろしくお願 いします。
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JICA タンザニア事務所ニュース「パモジャ」2007 年7月号
DADP(県農業開発計画)
「灌漑事業ガイドライ
ン策定・訓練計画」に着任した瀬尾専門家です。
皆 様 こんにちは。
業 務 調 整 の中 村 専 門 家 の後 任 として 5 月 中 旬 に
赴 任 し ま し た 瀬 尾 逞 ( せ お た く ) と申 し ま す。 ジ
ュニア専 門 員 で、タンザニア赴 任 前 は JICA 本 部
「日 本 文 化 紹 介 展 示 」に来 た中 学 生 の男 の
子 たちに聞 きました。
の 農 村 開 発 部 に おり まし た。 初 め て 技 プロ 、 初 め
てのタンザニアですが、早 く業 務 ・生 活 面 でなじん
でいきたいと思 います。
皆 様 には公 私 にわたり大 変 お世 話 になることに
なるかと思 いますが、よろしくお願 いいたします。
<日本について知っていたこと>
・・・「アジアにある。島 国 。」
<展示で面白かったこと>・・「お 箸 を使 っ たこと と、
けんだま。名 前 も書 いたよ!」
<日本人に聞きたいこと>・・①「魚を生のまま食べる
って本当?!へびも食べるって聞いてるけ
シニア隊員を経て佐藤由理さんが、フィー
ど??」
ルド調整員として再びタンザニアへ赴任し
( 編 集 注 : こ の 質 問 は 良 く あ り ま す・ ・ ・ 。 ア フ リ カ
ました。
人 は蛇 をかなり怖 がります。)
②「子どもを2人以上産んではいけないの?」
フィールド調 整 員 として、タンザニアへ再 赴 任 させ
(編 :日 本 では、政 府 が出 産 ・育 児 を推 進 して
ていただきました佐 藤 由 理 です。シニア隊 員 とし
い る 、 と 伝 え ま した 。)
て活 動 していました際 には(2年 2ヶ月 間 )、特 に南
東 部 (リンディ、ムトワラ州 )の「理 数 科 教 師 隊 員
の効 果 的 な協 調 」をテーマに、隊 員 とワークショッ
プを企 画 、教 育 省 の理 数 科 の活 動 に参 加 する等
の試 みを行 ってきました。今 回 はフィールド調 整
員 とし て、JICA 事 務 所 、 調 整 員 の 方 々と 協 力 し
ながら、隊 員 の皆 さんの活 動 をサポートさせてい
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ただきたいと思 っています。よろしくお願 いいたし
ます。
パモジャ(Pamoja)とはスワヒリ語で「一緒に(together)」
という意味です。
皆様からのご意見や写真、Goodな情報の提供をぜひお
願いいたします!!
[email protected]
JICA ホームページ上でパモジャが見れます!!!
http://www.jica.go.jp/tanzania/newsletter/
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