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統計力学と電子計算機 - Kyoto University Research Information
Title Author(s) Citation Issue Date URL 統計力学と電子計算機 : 梯子と踏台(ひろば) 桂, 重俊 物性研究 (1986), 46(2): 289-304 1986-05-20 http://hdl.handle.net/2433/91981 Right Type Textversion Departmental Bulletin Paper publisher Kyoto University 物性研究 46-2(1986-5) ひ ろ ば 統 計 力 学 と電 子 計 算 揖 一梯 子 と弛 台 一 桂 虫俊 本 石 私 の 束 北 大 学 を 去 る に 当 って の 最 終 講 読 の 税 金 を 作 って 下 さ い ま した 応 用 物 理 学 科 は じ め 関 係 の 方 々 に 厚 く御 礼 申 しあ げ ま す 。 昭和 19年 来 北 大 学 通 信 工 学 科 を 卒 業 して か ら、 5年 間 の 大 学 院 特 別 研 究 生 時 代 を 含 め 、 42年 間 研 究 、 教 育 に 従 事 して 来 ま し た が そ の 流 れ を い くつ か の 思 出 を 中 心 と して お 話 して み た い と思 い ま す 。 § 渡辺研究室 昭 和 19年 の 始 め 太 平 洋 戦 争 の 敗 色 も濃 くな っ て い た 境 で す 。 私 は 渡 辺 寧 先 生 の研 究 室 に居 りま した。 先 生 は海 軍 第 2技 術 虎 島 田 実 験 所 最 を 兼 務 して 居 ら れ 、 全 国 の 大 学 の 電 気 と物 理 の 大 学 院 学 生 を 学 徒 動 員 の 形 で 集 め られ 、 私 も そ の 中 の 一 人 で した 。 当 時 は 研 究 所 全 体 が 何 の 研 究 を して い る か は知 ら さ れ ま せ ん で 、 私 は マ グ ネ トロ ン の 発 振 実 旗 を させ られ て 居 り ま し た 。 渡 辺 先 生 は 研 究 所 に朝 永 振 一 郎 、 小 谷正 雄 、 伏 見康 治 、 永 宮焼 失 、 高 尾 豊 夫 、 渡 瀬誠 等 の先 生 方 を 集 め られ 、 ま た 大 学 院 生 と して は 昨 年 東 北 大 を 退 官 さ れ た 佐 撞 岩 男 、 電 通 大 の 神 戸 謙 次 郎 、 宇 宙 研 究 所 の 小 田 稔 さ ん 等 の 物 理 の 方 々 か 居 られ ま し た 。 戦 争 が 終 り研 究 芸 に も ど り ま した 。 先 生 は 「学 会 の 効 は 休 憩 時 間 の ダ ベ リで あ る 」 と か 、 「講 演 の abstractを よ く読 め 」 な ど と言 わ れ ま し た 。 そ の 頃 の Physical RevieH に は 論 文 の 他 に 講 演 の abstractも 出 て い ま し た 。 実 際 先 生 は Schockley の 書 い た 半 真 の トラ ン ジ ス タ ー の abstractを 見 て 、 こ れ は 大 変 だ と い って 半 導 体 研 究 の 要 を 叫 ば れ 始 め た の で す 。 私 は 島 田 で マ グ ネ トロ ンを や って い た の で マ グ ネ トロ ンの 陰 極 か ら放 出 さ れ た 電 子 の 初 速 度 分 布 が マ グ ネ トロ ンの 電 流 電 圧 特 性 に ど う い う影 響 が あ る か 調 べ た の が 、 最 初 の 論 文 で す 。 これ は講 演 は しま せ ん で した が 学 会 講 演 の 最 初 は 半 導 体 陰 極 で conduction band と impurity levelが あ る こ と で 電 流 電 圧 特 性 が ど う な る か を 調 べ た も の で し た 。 そ の 頃 渡 辺 先 生 は 、 島 凹 で 多 くの 物 理 学 者 を 友 人 に も た れ た 為 も あ っ た か と思 い ま す が 物 理 に 非 常 に 傾 斜 さ れ 、 研 究 室 で ブ ラ ン ク の 熱 指 封 の 起 源 の ゼ ミを さ れ ま し た 。 ま た 物 理 学 会 東 北 支 部 例 会 で 「量 子 力 学 に 関 す る - 管 見 」 と題 す る 条 ・ S気 に み ち た 特 別 講 演 を さ れ た こ と も あ り ま す 。 そ ん な 熱 気 に 当 て られ て 接 屋 昇 、 武 内 志 尚 、 西 洋 潤 一 、 中 野 朝 安 、 本 多 波 雄 さ ん な ど の 方 々 が 物 理 に 災 味 を 見 出 して そ ち ら に 行 か れ ま した 。 こ の グ ル ー プ は ま た 物 理 の 森 田 章 、 堀 江 忠 児 、 な くな っ た 薄 田 的 明 さ ん な ど と も交 流 が あ り ま した 。 -289- 桂 重俊 ブ ラ ン ク に 退 せ ら れ し師 に 鮎 せ ら れ て 辿 り 歩 み L波 の 粒 か な 学 問 に 注 ぎ た ま い し師 の 思 い 旭 と な り て わ が む ね を 灼 く § 助教授就任 昭和 24年 に 助 教 授 に 任 せ られ ま し た 。 渡 辺 先 生 か ら君 に は 電 気 桟 関 車 か 照 明 の 講 義 を して も ら う と 言 わ れ 、 ど ち ら も在 学 中 諸 芸 さ え 聞 い た こ と が な か っ た の で 荘 然 と し て い た ら照 明 を と い う こ と に な り ま し た 。 医 学 部 生 理 に 岩 間 書 也 さ ん (昨 年 ま で 阪 大 医 学 部 長 ) が 居 ら れ 、 そ こ に 日 参 して 人 間 の 隈 と 色 覚 に つ い て の 勉 強 を して 講 義 に と り入 れ ま し た 。 そ の 頃 授 業 を して い た ら、 次 の 時 間 に な っ た の に 気 づ か ず に い て 、 い き な り教 室 の 戸 が あ い て 「桂 君 、 も う 快 の 時 間 だ よ 」 と永 井 佃 三 先 生 が 十 数 名 の 学 生 を つ れ て ど や ど や と入 っ て 来 られ 允 こ とが あ り ま す 。 § 応用理学教室 昭和 26年 に 応 用 理 学 教 室 の 野 邑 雄 吉 先 生 の 研 究 室 に 移 り ま し た 。 始 の テ ー マ か 円 板 に よ る 電 波 の 回 折 、 次 は リボ ンに よ る 電 波 の 回 折 で す 。 野 邑 先 生 は 、 「一 生 冷 飯 を 食 っ て も い い か ら学 問 を し た い 」 と い う覚 悟 の も の で な け れ ば 弟 子 は と ら な い と言 わ れ ま し た 。 八 田 達 、 山 村 一 郎 、 猪 苗 代 盛 、 春 海 珪 三 郎 、 高 l eber-Schafheit久 浩俊 さん な どが 野 邑先 生 の グ ル ー プ で した。 特 殊 関 数 論 、 h 1i n の 不 連 続 積 分 、 鞍 部 点 に よ る積 分 評 価 、 級 数 を r関 数 を 用 い て 積 分 表 示 に な お し、 積 分 路 を う つ して 別 な ま 式 を 得 る 方 法 等 の ノ ウ ハ ウ を 学 び ま し た 。 こ れ らの ノ ウ ハ ウ は 其 後 払 が 電 波 の 回 折 を 誹 れ た 後 も 、 液 休 の ビ リア ル 係 数 や 分 子 分 布 関 数 、 ま た ス ピ ング ラ ス の 研 究 等 に 常 に 役 立 って 来 て お りま す 。 複 素 積 e pointの 位 置 は 分 か っ た が 積 分 路 を ど う と っ て よ い か 分 か ら 分 の 計 算 で saddl な くて 困 っ た こ と が あ り ま す 。 鞍 部 点 定 め 待 た れ ど 積 分 路 求 む に 難 し虚 部 等 の 絡 ま た こ の 境 の 仕 事 に 八 田 達 君 や 森 田 章 さ ん と電 場 の か か っ た 場 合 の energy bandの 話 が あ り ま す が 、 1973年 に な っ て St ark l adderの は じ め の 仕 事 と し て と り上 げ ら れ ま し た 。 § Condensati onと Ising 病 MaxHell 分 布 や Fermi 分 布 を 用 い る こ と か ら統 計 力 学 に 入 っ て 行 っ た こ と は er-Gaggenheim の 統 計 力 学 先 に 挿 し ま し た 。 藤 田 君 や 化 学 の 中 島 威 さ ん と FoHl -29 0- 統計力学 と電子計算機 の輪 講 を した り しま した。 そ こで ぶ つ か った問 題 が 凝 縮 の問 題 で す 。 水 蒸 気 は enbeckの 理 何 故 水 に な る か と い う 問 で す 。 こ の 頃 凝 縮 に 関 す る Mayer-Kahn-Uhl 論 と い う の が あ り ま し た 。 そ れ は圧 力 を 逃 散 能 で 展 開 した 級 数 を 綻 折 接 続 した 関 数 の 解 析 的 特 異 点 が 最 絹 を 与 る と い う も の で す 。 藤 田 君 と こ の 理 論 を し らべ て そ の必 然 性 が な い こ とを 指 摘 しま した。 これ を 大 阪 の 物 理 学 会 で 発 表 した時 、 N 大 先 生 が 「Mayer の 理 論 は 正 し い 。 あ な た の 理 論 は Mayer の 理 論 と 異 な る 。 故 に あ な た の 理 論 は 誤 り で あ る。 」 と言 わ れ ま した 。 私 は学 会 発 鼓 が 2皮 目位 の と き で 、 N先 生 の 論 理 は 全 く な っ て い な い と 思 い な が ら何 も言 わ ず に 壇 上 で 数 分 立 往 生 し た の ち そ の ま ま 壇 を 下 り て し ま い 、 藤 田 君 か ら 「せ め て r後 で 考 え て お 答 し ま す J と で も 言 っ て く る も の だ 」 と 言 わ れ ま し た 。 上 の 主 張 は 「凝 953年 縮 点 は 木 の 節 で は な く、 木 に 竹 を 継 い だ 点 で あ る 」 と い う 表 現 で 示 し、 1 日 本 で 行 わ れ た 最 初 の 国 際 会 議 で も 討 論 し、 Yang-Leeの condensati onの 凝 縮 理 誌 を も ? て して も解 決 出 来 な い こ と を 示 し ま し た 。 Yang-Leeの 理 論 は 気 体 一 波 休 の 転 移 を 強 磁 性 の Ising モ デ ル の 転 移 に 結 び つ sing モ デ ル の 勉 強 を は じ め ま し た 。 Kaufmannの Ising け た もの で、 これ か らI モ デ ル の 論 文 を 読 ん だ あ と Yangの 自 発 磁 化 の 論 文 の ゼ ミ を 藤 田 君 や 福 田 義 一 さ ん と一 緒 に や り、 そ の 精 妙 な 論 理 の 進 め 方 の と り こ の な り ま した 。 結 果 は ・- [ - s h 4 (J/ kT) と い う実 に 簡 単 な 式 な の で す が 8頁 の 論 文 を 読 む の に 半 年 か か り ま し た 。 そ の si ng 病 と い う. 言 葉 は ま だ 出来 て い ませ ん で した が 皆 I sing 病 の 藍 症 患 者 で 頃I singモ デ ル が と け た ら物 理 を や め て 首 姓 に し た 。 例 え ば 福 田 さ ん は 「3次 元 I な る 」 と言 わ れ ま した 。 ま た 4月 1日 に 藤 田 君 に 「有 限 磁 場 中 の Ising モ デ ル が と け た と い う 論 文 を 今 日 見 つ け た 」 と 電 話 し た ら、 彼 は 物 理 か ら 繭 六 軒 町 の 応 理 ま で 息 せ き 切 っ て 走 っ て 来 て 、 走 り 通 し 切 れ ず に - と 休 み し た と き April Foolで だ ま さ れ た ら し い こ と に 気 が つ き 、 あ と は 歩 い て 来 た と い っ て あ ら わ れ た こ と もあ りま す 。 Condensati onの 続 き と し て は 井 戸 型 ポ テ ン シ ャ ル 気 体 や 剛 体 球 気 体 の ビ リ ア ル 係 数 や ク ラ ス タ ー 積 分 、 分 子 分 布 関 数 の 計 算 を 行 な い ま した 。 ビ リア ル 係 数 の 計 算 は Phys.Rev.に 投 稿 し て 1年 間 何 度 催 促 し て も 梨 の つ ぶ て で あ っ た 所 へ 、 い き な り校 正 刷 が 来 て ほ っ と し ま し た 。 出 た ら Feynmannか ら H am enjoyi ng and admi ring t o read your arti cle/ と い う 手 紙 を も ら い ま し た 。 Rei chlの sura's net hodと し て 紹 介 さ れ て い ま す が 、 Rei chlが Katsura's 教 科 昔 に は Kat hod で あ っ て 、 私 の や っ た と こ ろ は met hodと い っ た と こ ろ は Montroll's met Mont roll's method で は 出 来 な か っ た 部 分 な の で す 。 197 7年 に Mayer and Mayer の 統 計 力 学 の 2版 が 出 た と き Dorfman が そ の Book revi ew を 苫 い て Mayer 理 論 の 批 判 を し て い ま す 。 -291- 重俊 桂 三. JU一Suヨ 占 Sn = OJ 一 n J U JUニ !2 03dL u!OISl dE三 = 01 C rJO PUd J ( JOUL t I旨を ∑ q lJO JJm ∈ n二 LqpD}a aj d uuuq sct I召 .r qn= ! qTUO ⋮ 一 ⋮ ≡ W UEてUd" 31 こ O LD^}nSl dU! 10t S! qV c Jou.r qコ= ! t T T t T . SJ D叫U。S 7 7 0>31 UOS TJ dE3二 つldt 31 7331 rJOJfJ a uus エリ >3. I' JCr宅 nコ 07 4 9q! TPt nO^ Tt ! ,ndp !t uoJ J12 D nS LqB p 曇 S. JuLu t ∑ oT ! UUOUUJ013T q! SSOd u3Uq O>d三 t t S! uI]IO UOT q2'Sf qtJO ON! SOl コu U! PDJd osu3P UO JU一計 1 7 3 0t T L ・ S一! Jau- A/ O S).(t l O St T ! Lpn︼st T I JOン/ JO aq PT nO^ニ US畠 Lat t lPl nOM Ou ・ SnOJ08.t Jニd召 tOu D}UJ u Lat T t' Suol] Se U>′uOT 的21曇 O JUqL unu t こ q pun的dt d s二 !osn3 0q . PUnSlnd Ft 3^! ) Ud JUSuot ( t) 4 品 Jt l TSUt uOU3q ON⋮ SS. E U一 SLsat T tST Ou s二 .TL UUO U>! ]SU諾 nsご U> t :sTLJout r Ts七 Lc∑ 一L . L t 〓 OCJ at t こ 0 07! dsuI . sS≡≡ 00710ttご Pt l t L" J 一。t t IBuこSU叫qnsd一 t : PT 召 f at ur )DdxuuT qd! t U}Ou 巴 d 310t t tL t t t.r ^ 1U! 83q Oト . ,oJpu芸 S二 .r召 コ p3U! d一UO3・ )1 US pUt :呂 UP Lt T亡U! UE nニ !Ju] ( き U S! 三 . SSU雲 ︼ JU>芝 OIU^/OL ( S3JU>′OS OP OIPUこOdlnd tdl ニ S) UUt u.r ]adya Ut コ コV . )UU)3 D! P巳 t !a J JO lt t 8., tt z ." o! sua yu T V ・ ! ).r ^曇 . UULl! ^畠 'oJSU Ul un印1C S七 Ld∑ 毛 コ01 ≡ く C・ SP D UUJも uu ・ ^ 曇 . uoT Baニ dt ︻LqJDP at l こ O SUOt PaE J OS212t 7 1PudOl月 Pt t 1 J Ul ・ UL}olL T Tm Ll ・ ∑ 曇 USUld ot LL ・ LJO曇 t T l! ^こ 。! t ! t uVJ S!Oq>′3t Z OLut :put 岩 O.T 1! PUISJU Ut コ U!PUdo( U>3P SUuニ UI t tgL 1 0[ C s!uo! 1W ・ PD^! }UP a}= UO! S S!SC P3SSnUS! P JO SUコ,Udold uコ意 ud Ut 三 〇 ]U3E tL ・ 21二 nJa}u ・ 3 V SU,T S LULc∑ l 1 3t T L ・ SLU7 Sn一 3 b ・ .r Sl t ! JquIU二 曇 nP at r こ 0 8 UUPUUdup oul nE 0^ Ot t t P喜 竃 T S/t T dt m7 0吋 PUd St Vjぎ U.こ 07 Snr U 。t t tUUU三 Dq UO! 一 L ・ ] 3J 曇 sunt t u J! at T JLq l T 0! SuCdxaT u . ! )! ^〇三 U!( A )' q雲 しぎ U!)at SnP )UUPL J Pdup・ 3uJn7 0^ SS30OJd St T ! 7! ≡! T3t qnOP Ut ) qnS。 叫U! JO島 .rsn三 二q -・(co)1 q uul nt O^ U)! Ut JU.こ t : 1U,O dn p[ 3t tU,dl 竃 l ミ Jout コ sLuLc∑ Jo sulnl t ! 2 J USOここ O UO! )! 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SUC11 0Sdt r d JO L)OUl コ SnOL05L J J至 t P3TuUSULd uuJ Put .=UL . / 1 I T3 N n 6 t tZf 3n q G L寸 Jl aJ =PW 292 統計力学 と電子計算機 この辺 に 書 い て あ る こ とは正 に私 が 25年 前 か ら 口 を 酸 っ ぱ く して 繰 返 し lMayer と巽 る 故 に 誤 り だ と言 言 っ て 来 た こ と で す 。 あ る と き は あ な た の 理 詰‖・ わ れ 、 あ る 時 は 論 文 を 投 に さ れ ま し た 。 木 に 竹 を つ ぐ所 は た ま た ま 木 の 節 で あ る 可 能 性 は あ る に し て も、 木 の 節 で あ る 必 然 性 は な い こ と は 今 や 周 知 な こ と と な っ て し ま い ま し た 。 私 は Dorfman に When i l ook back upon the pastquart er of cent ury on t hi s problem, i am full of deep emoti on t hough our works may be buried in oblivion. と い う手 紙 を 音 さ ま し た 。 こ れ ら統 計 力 学 の 研 究 に あ た っ て は 伏 見 康 治 先 生 の 「量 子 統 計 力 学 」 か ら大 きな 影 響 を 受 け ま した。 一 切 の 抱 鍵 は 勢 力 演 算 子 ( ハ ミル トニ ア ン) に 含 ま れ て 密度行列 また状態和 § S EN A C公 開 ま で 次 に 電 子 計 算 損 に か か わ る 回 顧 を お 話 して 見 よ う と 思 い ま す 。 計 算 機 とい え ば 昔 は タ イ ガ ー 計 算 損 で した 。 私 は昭 和 20年 代 の は じ め か ら 中 頃 に か け て 、 朝 か ら晩 ま で ガ ラ ガ ラ 回 して や っ と連 立 一 次 方 程 式 1閥 を と き 、 その解 を 100閥 以 上 用 い て 1本 の カ ー プ を か く と い う よ う な 仕 事 を や っ て 居 り ま し た 。 他 で も 述 べ ま し た の で 詳 し く は 省 き ま す が 、 こ の 苦 しみ を 免 れ る た め に は 日 本 で も電 子 計 算 機 が 必 要 で あ る と思 う に 到 り、 電 気 、 物 理 、 数 学 な ど の雑 誌 会 で そ の必 要 性 を とい て 回 りま した。 数 年 後 大 泉 克 郎 先 生 か ら菓 北 大 で も電 子 計 算 桟 を 搾 る か ら お 前 も手 伝 え と の お 話 で 、 本 多 披 雄 、 小 野 寺 大 、 野 口 正 一 君 な ど と 一 緒 に 川 崎 の 鎗 半 と い う宿 に 泊 ま り こ み 日 竃 に 通 い ま し た 。 そ こ で 、 浮 動 固 定 小 数 点 切 換 、 1語 4 8ビ ッ ト、 先 行 制 卸 機 能 を も ち 命 令 数 2 5 6 と い う 当 時 と して は 日 本 有 数 の S EN A Cが 設 計 され た ので す。 SEN A Cが 公 開 の 前 日 故 障 を 起 こ し、 夜 中 3時 堕 や っ と 復 旧 し て ほ っ と し て い た と こ ろ 、 朝 の 6時 過 ぎ に 東 大 の 後 棒 英 一 さ ん が 大 泉 教 授 室 に 見 え られ ま し た 。 後 藤 さ ん は た む ろ して い た 我 々 に 向 か っ て 「や っ ぱ り徹 夜 で す か 、 ハ ッ ハ ッハ 。 寝 台 で 来 ま し た か い ま 大 泉 教 授 室 に 鍵 が か か って い る よ う だ っ た ら大 し た も ん だ な と思 っ て 来 た の で す か ね 」 と 言 わ れ ま し た 。 そ の 頃 は Neumann の 法 則 とい う ものが あ った時 代 で す。 お 前 の所 の計 5 3 : 機 は 何 時 出 来 る か と き く と、 ど こ の 大 学 で も、 ど こ の メ ー カ ー で も 「半 年 後 」 と 答 え る。 半 年 た っ て 質 問 す る と ま た r半 年 後 」 と い う答 が 返 っ て く る 。 こ れ が ス トア ドプ ロ グ ラ ム 方 式 の -2931 桂 重俊 mann の 法 則 と言 わ れ た も の で す 。 電 子 計 算 機 の 生 み の 親 Neu 計 算 機 を は じめ て か ら大 泉 先 生 、 高 揺 秀 挨 先 生 、 喜 安 喜 市 先 生 、 後 藤 英 一 さ ん 、 和 田 英 一 さん 、 騎 宮 安 男 さん 、 室 賀 三 郎 さん な ど に い ろ い ろ教 え て 頂 き ま した。 公 開 の 前 夜 の 徹 夜 知 れ ば 足 る と早 朝 訪 い 来 し後 勝 美 - § オ レ ゴ ン大 学 Mayer 理 論 へ の 批 判 が Hillの 統 計 力 学 の 本 に と り上 げ られ た の か ほ で 1961 年 か ら 2年 間 ア メ リ カ の オ レ ゴ ン大 学 に 参 り ま し た 。 ま た こ の 間 何 度 か の conf erenceな ど で T.L. Hill,M. E. Fi sher,G. H. Wannier, R.B. Griffit hs,G. St anl ey,M.S. Green,D. D.Bett s,T. H. Berli n,G.A. Baker, J.E.Mayer,A. ∫.F. Si egert,H. B. Call en, ■R. Kikuchi, T. Tanaka 等 の 人 々 と接 触 す る こ と が 出 来 、 そ の 後 の 私 の 研 究 に 大 き な 影 響 が 与 え られ ま し た 。 ま た 外 国 人 で あ れ 日本 人 で あ れ 、 以 前 か ら知 っ て い た 人 で も新 に 紹 介 さ れ た 人 で も、 招 持 さ れ た り し た りす る と急 に 親 近 感 が 深 ま る こ とを 教 え られ ま した 。 § 応用物理学科 ア メ リカ か ら帰 っ て 来 て 間 も な く新 設 の 応 用 物 理 学 租 に 移 り ま した 。 当 初 清 野 節 男 、 高 橋 実 、 堀 江 思 児 の 諸 先 生 と応 用 物 理 学 と は 何 か 、 応 用 物 理 学 科 と は い か に あ る べ き か に つ い て 口 角 泡 を と ば し た 議 論 も あ り ま し た 。 建 物 も な くて 旧 工 車 内 の ボ ロー な 木 造 に 住 ん で 居 りま した 。 創 成 の 日 は 借 家 に て 床 板 を 踏 み ぬ き し こ と一 再 な らず そ れ か ら旧 精 密 工 学 科 の 建 物 に 移 り、 つ い で 音 裏 山 の 電 気 ・応 物 系 の 建 物 に 移 り ま し た 。 菊 地 書 充 先 生 ほ か 電 気 系 の 先 生 方 の 御 意 見 を う か が っ た と き、 デ パ ー トの な か に 入 っ て 片 隅 で 豊 富 な 仕 入 れ 品 を 卸 して も ら っ て 営 業 す る か 、 デ パ ー トを 出 て 屋 台 を 引 い て ラ ー メ ン屋 で も や る か と問 わ れ た こ とが あ り ま す 。 情 報 工 学 専 攻 の 予 算 と交 換 して 応 用 物 理 学 科 の 独 立 視 が 竣 功 し た と き 、 次 の 歌 を 読 み ま した 。 ラ ー メ ン屋 屋 台 を 引 き て 十 五 年 い ま 新 装 の 店 舗 竣 (な ) り た り ま た 応 物 創 設 に 引 続 い て 原 子 核 工 学 科 事 件 や 大 学 紛 争 が あ り ま した 。 こ の 間 、 応 物 で は 一 致 結 束 して 事 に 当 り ま し た 。 大 き な 学 生 の ビ ラが 貼 られ た と き 堀 江 先 生 が 「君 た ち は 自 分 の 学 校 を 愛 さ な い の か 、 学 校 を 愛 し た ら こん な 汚 い ビ ラ が は れ る 筈 は な い で は な い か 」 と一 喝 さ れ た り、 転 勤 隊 導 入 に 学 生 が 反 対 した -294- 統計力学 と電子計算機 -295- 桂 重俊 と き 、 「便 所 が 詰 ま っ た ら便 所 掃 除 屋 を 呼 ん で 何 が 悪 い 」 と 岐 河 を き られ た の は特 に 印 象 に 残 って 居 り ま す 。 其 後 他 大 学 で は 殺 人 も起 き た の で こ の 歌 は 色 あ せ て し ま い ま し た が 、 当 時 は 学 長 告 示 「強 盗 傷 書 放 火 を 禁 ず 」 ま だ 殺 人 と 強 姦 の な き と い う状 態 で あ り ま し た 。 XY モ デ ル 、 He i s e n b e r gモ デ ル S Ising モ デ ル の 研 究 か ら や は り 磁 性 体 の モ デ ル で あ る Heisenbergモ デ ル の 研 究 に 入 っ て ゆ き ま し た . 交 換 相 互 作 用 の 2成 分 が 0 の と き状 態 和 を exact に 求 め る こ と が 出 来 て Phys. Rev.に の り ま し た が 、 preprintを 送 っ た と き Fisherか ら "congr . aturations,one exactly soluble model Has added in physics・カ とい った よ うな手 紙 を も らい ま した。 そ の 後 交 換 相 互 作 用 の Z成 分 の 入 っ た 場 合 に つ い て 摂 動 論 や Hartree Fock近 似 、 Green 関 数 法 な ど で 緒 苗 代 君 や 堀 口 剛 君 と 一 緒 に 仕 事 を し ま し た 。 Green 関 数 の decoupling法 を 用 い た 論 文 で 、 同 じ場 所 に お け る ス ピ ン演 算 子 の フ ェ ル ミ オ ン的 性 格 か 自 発 磁 化 の 温 度 特 性 に 対 して 本 質 的 で あ る こ と を の べ 、 こ の 効 st ensy を 含 む こ と が 起 き て い る こ と を 指 摘 果 を 無 視 し た 論 文 は す べ て inconsi et d の referee か ら悪 意 に み ち て い し ま し た 。 こ の 論 文 に 対 して Physical Revi る と しか 思 わ れ な い コ メ ン トが 届 き 、 論 争 して も 無 駄 と思 っ て 、 Jour. Phys. Soc. Japan に の せ ま し た 。 Hayer の と き と い い 、 今 度 の 場 合 と い い 、 定 説 と な って し ま っ た 偉 い 人 に た て つ くの は 容 易 な こ と で は あ り ま せ ん 。 X Y モ デ ル に つ い て は 其 後 堀 口 君 と dynamicsの 研 究 を 行 い ま し た が 鈴 木 増 雄 さ ん も手 が け て 居 ら れ た と い う の で 連 名 に し ま し た 。 こ れ も exact で あ る 為 か なか なか 好 評 の よ うで す 。 l eisenbergモ デ ル の 第 2 ビ リ ア ル 係 数 を 正 確 に Bethe Ansatzを な お 1次 元 の I 使 って 求 め た 仕 事 が あ り ま す 。 た だ そ れ だ け の 仕 事 の つ も りで し た が 、 数 年 程 senbergモ デ ル の exact sol utionと い う た っ て 物 性 研 の 高 橋 賞 さ ん の 1次 元 Hei 論 文 が 現 れ た と き 、 そ の 正 し さ を 証 明 す る た め の check に 私 の 仕 事 が 用 い られ て い ま し た 。 自 分 の 仕 事 は こ れ に く らべ て 実 に 小 さ い 仕 事 で は あ る が 、 あ あ こ う い う こ と に 役 立 っ た の か 、 と思 っ た と き 浮 か ん だ の か 次 の 歌 で す 。 か の ビ ル の 足 場 の ひ とつ 五 年 前 わ が 作 り L は小 さ な 梯 子 § 格 子 G r een関 数 次 に 格 子 Green 関 数 の こ と に ふ れ て お き ま す 。 質 点 が バ ネ で つ な が れ て 1次 元 的 に な らん で い る と き の 格 子 振 動 の 振 動 数 の 分 布 が ど ん な 形 に な る か は物 性 -296- 統計力学 と電子計算鴇 や 統 計 力 学 の殆 ん と の 教 科 書 も出 て い る 話 で す 。 2次 元 の 場 合 は 1940年 頃 に Montrollに よ っ て と か れ ま し た 。 3次 元 の 場 合 格 子 振 動 の 振 動 数 分 布 は 次 の 積分 I (a, -iT J J Ia dI - C 0 SX dy dz C 0 Sy- C 0 S Z に よ り定 韮 さ れ る 解 析 関 数 の inaginary partで 与 え ら れ る こ と か 知 ら れ て 居 り、 attice Green's functionと い い ま す 。 一 般 の 場 合 これ を l こ の 積 分 を 変 形 し て Bessel関 数 の 領 の 積 分 に な お し、 更 に こ れ を 級 数 表 示 に して か ら も う一 皮r関 数 の 積 分 衷 示 に な お して 変 形 す る と い う こ と を 考 え ま し た 。 こ れ は 正 に 野 邑 先 生 か ら学 ん だ 方 法 の 適 用 で す 。 energy band の 内 と外 に 対 して 私 は 別 個 の 積 分 表 示 を 用 い て 計 算 し た 所 、 持 百 代 先 生 が そ れ は 解 析 接 続 で 互 に 移 る こ とを 示 さ れ 、 措 苗 代 、 阿 部 芳 彦 君 と一 緒 に 仕 事 を し ま した 。 こ の と き守 田 徹 さ ん と堀 口 剛 、 山 崎 義 式 君 は 桔 円 積 分 の 積 分 で ア タ ッ ク す る と い う 方 法 を と り 、 連 名 で 昔 い た り 別 佃 に 苦 い た り し な が ら、 結 晶 構 造 を か え た り、 漸 近 形 を 求 め た り 、 特 殊 な 点 の 正 確 な 値 を 求 め た り して 次 々 に 論 文 が 出 来 ま し た。 い ま 作 る こ の 路 台 は 誰 が 路 ま む 我 も舘 ま め と 他 人 (ひ と) よ 踏 め か し と い う歌 を 作 っ た の は こ の 頃 で す 。 197 3年 に な っ て Joyce に よ り単 純 立 方 格 子 の 格 子 Green 関 数 が 、 任 意 の energyに 対 して 措 円 関 数 の 積 と して あ らわ さ l eun関 数 れ る と い う論 文 が 発 表 さ れ ま し た 。 こ れ は 3階 の 故 分 方 程 式 を み た す I と い う特 殊 関 数 を 用 い た 大 変 な 論 文 で す が 、 彼 が 結 果 を 出 す た め に 我 々 の 出 し た結 果 を用 い て い る のを 見 て 、 2年 前 に 作 っ た 踏 台 は 踏 ま れ た 、 しか も今 度 は こ の 踏 台 な し に は 登 り 得 な い 高 所 へ 彼 は 登 っ た の だ と感 慨 一 入 の も の が あ り ま した 。 § ス ピ ング ラ ス 次 に ラ ンダ ム 系 の お 話 を 致 し ま す 。 辻 山 文 治 郎 君 と ラ ンダ ム 系 の 問 題 を と り 上 げ 、 ア ン ニ ー ル ド系 の 稀 薄 Ising モ デ ル は S - 1の イ ジ ン グ モ デ ル で 表 わ し 得 る こ と を 示 し、 1次 元 の 場 合 は ア ン ニ ー ル ド系 、 ケ ン チ ト系 共 に 正 確 に と け る こ とを 示 し ま した 。 1965年 ワ シ ン ト ン で の 臨 界 現 象 の 国 際 会 議 に 出 し た と こ ろ 招 待 講 演 だ け 載 せ る プ ロ シ ー デ イ ン グ に 出 して も ら い ま し た. 。一こ れ は 外 に 論 文 と して 出 さ な か っ た の で Blume-CapeトGriffiths モ デ ル と言 わ れ て い る と き もあ りま す。 1974年 に 松 原 史 卓 君 が ラ ンダ ム 系 の 分 布 関 数 法 を は じ め 、 1976年 に -297- 桂 重俊 松 原 一 坂 田 の ス ピ ン グ ラ ス の 理 論 が 出 ま し た 。 1月 位 お くれ て 非 線 型 帯 磁 率 の ス ピ ン グ ラ ス 転 移 温 度 に お け る 負 の 発 散 を 私 が 示 し、 後 に 藤 木 君 と こ れ を 精 密 化 し ま した。 これ に つ い て は 1977の 鈴 木 増 堆 さ ん の 仕 事 の 方 が 知 られ て い ます。 其 後 、措 百 代 生 、藤 木 を 義 、 永 原 出、 宮本 な はみ、 白倉 孝 行 、 松 野 明、 保坂 茂 、 大 鳥 茂 、 今 泉 孝 弘 、 末 永 敏 幸 、 小 西 和 夫 君 な ど と、 対 近 似 の精 密 化 こ ク ラ ス タ ー 近 似 で ベ ー ス と な る ク ラ ス タ ー、 を 大 き くす る こ と 、 三 角 格 子 、 FCC格 子 等 で は 正 方 格 子 、 立 方 格 子 と 違 っ て 相 図 が 非 対 称 に な る こ と 、 サ イ トモ デ ル pも へ の 拡 張 、E upSrl-pSへ の 適 用 、 等 々 の 仕 事 を 行 な い ま し た 。図 2, 3は FCC の 相 臥 図 4, 5は E u pS rト pS の 相 図 で 、 何 れ も 実 娘 の 相 図 と 定 性 的 に 一 致 して 居 ります。 国 際 会 故 ポ ー ラ ン ド、 ベ ル ギ ー 、 カ ナ ダ 、 イ タ T j- と続 け て 出 か け ま した 。 こ れ らの 国 際 会 韻 で 異 国 の 情 緒 を カ メ ラ に お さ め よ う と 張 切 っ た の は よ か っ 1度 目 の と き は ロ ン ド ン の 汽 車 の 中 で 、 2度 目 は バ リ の 空 港 で 、 イル ム と と も に な く し て し ま い ま し た 。 3度 目 は シ カ ゴ の 空 港 で 金 尾 探 知 機 た のですか、 フ の と こ ろ に お い て 出 て き た と こ ろ ス チ ュ ワ ー デ ス が 持 っ て き て くれ ま し た 。 condensationか ら ス ピ ン グ ラ ス に 至 る 統 計 力 学 の 研 究 は 、 〝皇 統 連 綿 と して 続 い た 〝所 謂 C鑑 グ ル ー プ に お け る 実 り 多 い 交 流 の 中 で 行 な わ れ ま し た 。 小 野 周 、松原武生、斉藤 信彦、庄 司一郎 、長 谷 田泰一郎 、小 口武彦 、掘淳 l一 、 池 田 和 義 、 中野 藤 生 、 鈴 木 増 堆 さん 等 お 名 前 を あ げれ ば 限 りが あ りませ ん。 S 女 王 と女 中 少 し数 学 と 物 理 の 関 係 に つ い て お 話 して み た い と 思 い ま す . 数 学 者 は 数 学 は 学 問 の 女 王 だ と思 っ て 居 り ま す 。 こ れ に 反 して 物 理 学 者 や 工 学 者 は数 学 は学 問 の 女 中 だ と思 っ て 居 り ま す 。 私 は 、 伏 見 先 生 か ら 引 き つ い だ と 自 分 で は 思 っ て い る の で す が 、 後 者 の 立 場 を と っ て い る つ も り で す 。 単 純 な モ デ ル の厳 密 解 を rapolate す る こ と で 実 在 の 真 相 求 め 、 い ろ い ろ な モ デ ル の 結 果 を 物 理 的 に ext を つ か ん で 行 き た い と思 っ て 居 り ま す 。 こ う い う 立 場 を と っ て い る と し ば し ば 計 算 量 と思 わ れ が ち セ す が 、 語 学 の 達 者 な 人 が 未 熟 な 人 よ り意 志 の 疎 通 が よ い よ う に 、 道 具 と して の 応 用 数 学 を 駆 使 し て 物 理 的 思 考 の 節 約 を 計 り た い 、 仮 定 さ え 物 理 的 に た て れ ば 中 間 過 程 で は 物 理 は 考 え な くて す む と い う こ と を 目 指 し 七 い る つ も り で 居 り ま す 。 た だ し却 墓 学 か ら発 生 した 数 学 は 現 代 数 学 と な っ て 我 々 の 手 の 届 く と こ ろ で は な くな っ て し ま い ま し た 。 絶 世 の 美 女 と 育 ち し女 中 の 子 も と の 主 人 を 取 み は せ ず と は この欺 きを 歌 った もの で あ りま す 。 S 計 算 セ ン タ ー と物 理 学 会 -29 8- 統計力学 と電子 計算機 o 0 0. 5 ユ ○ l O I . . __ I . 0 B l3 FLL上 4 >良 . 鼓施 塊 椎, ii t ン 図1 AL . F e , 合怠 ド漂鳥 っt T D面 停止/ ),J・ _T.捕 0 人ヒ。ン) ・ t ?ス . 葺 ′ 。 k† / ) 1 . 6 I . 2 0. 8 0 . ▲ 〇・ O O ・ S 0. 0 I . 0 P - 〇・ 5 P・ 一 ・ 一 1 . O I &. I ?) 馴 E叫pSr 卜PSゎ邦 画 I i1 5 EhpS { 卜P Sの 矧 ヨ ( 頚号 令) I F) -299- 桂 重俊 大 型 計 算 機 セ ン タ ー に 対 し て は 、 ず っ と 運 営 委 員 を し て お 手 伝 し、 学 内 セ ン ターは 1978年 か ら 82年 ま で 二 村 忠 元 セ ン タ ー 長 の 後 を つ と め さ せ て 頂 き 、 松 田 厳 さ ん と仕 事 を し ま し た 。 大 計 の 負 担 金 委 員 会 で い ち も単 価 を 半 額 に 下 げ て ユ ー ザ ー を 3倍 に ふ や せ ば 大 計 も ユ ー ザ ー も 共 に 助 か る と い う議 論 を し た の で す が な か な か 思 う よ う に は 行 き ま せ ん で し た 。 学 内 セ ン タT に お け る 仕 事 と して 、 学 内 セ ン タ ー に 大 計 分 室 を 置 く こ と に し た こ と は 利 用 者 の 投 に 立 っ た こ と だ っ た と患 っ て い ま す 。 1977年 か ら 1979年 ま で 物 理 学 会 で 協 き ま し た が 、 松 山 、 高 知 、 冨 山 、 福 島 等 を 訪 ね て 学 会 の 開 催 地 を 引 受 け て 頂 き ま した 。 理 事 会 の あ と事 務 室 で 空 腹 に オ ンザ ロ ッ ク 2杯 を 飲 ん で 気 を 失 な い 、 救 急 病 院 に 運 ば れ た こ と が あ り ま す 。 目 が さ め た ら傍 に 物 理 学 会 の 事 務 局 長 の 野 々 村 故 さ ん が 心 配 そ う に 付 添 っ て い て くれ ま し た 。 家 内 は 柄 院 か ら の 電 話 で 、 葬 式 を ど う や っ て 出 そ う か と 心 配 して い た そ う で す 。 § 研究 室 研 究 室 で は 花 見 、 ソ フ トボ ー ル 、 駅 伝 大 会 な ど の 年 中 行 事 の 他 に 、 学 年 に よ り 海 水 浴 や ス キ ー に 行 っ た 年 や 登 山 し た 年 な ど が あ り思 出 が 沢 山 あ り ま す 。 特 に ロ ス ア ンゼ ル ス か ら来 られ た 菊 地 良 一 先 生 を 交 え て 大 東 岳 で 道 に 迷 っ た と き は、 皆 様 に 大 変 御 心 配 を お か け い た しま した 。 研 究 室 の ゼ ミ は毎 週 行 い ま した が 、 応 物 研 修 、 修 論 、 D 論 の 発 表 会 近 くな る と 皆 熟 の こ も っ た 発 表 を し ま し た 。 時 に は深 更 に お よ ん だ こ と も あ り ま す 。 ま た外 国 人 研 究 者 が 研 究 室 を 訪 問 した と き は、 お 客 さ ん の 専 門 に 近 い こ と を 研 究 して い る 人 に 自 分 の 仕 事 を 英 語 で 話 し て も ら い ま し た 。 4年 生 の 工 藤 大 誠 onの 前 で Ising モ デ ル の ground stat eを 超 多 面 路 の 頂 点 で と ら え る と 君 が Gunt Good! I s thatyour Ph.D thesis9" と聞 か れ "No, い う卒 論 の 話 を した と き の bachelor's thesi s." と 答 え た こ と が あ り ま す 。 一 人 ず つ 師 を 超 え て ゆ く弟 子 あ り て 学 問 の 進 歩 は か くて 成 る ら し § ワープ ロ 次 に ワ ー プ ロ の 研 究 に つ い て 申 上 げ ま す 。 昔 は. タ イ プ を 打 っ た と き手 音 さ で 式 を 書 き 、 間 違 っ た と こ ろ は 貼 り紙 を して 直 し ま し た 。 IBM の ポ ー ル タ イ プ ラ イ タ ー が 現 れ た と き 、 シ ン ボ ル 10と バ イ カ の タ イ プ エ レ メ ン トを 取 り替 え な が ら式 が き れ い に 打 て た と き は 全 く感 激 し ま し た 。 そ の う ち 大 型 計 算 悦 に RUNOFFと か ROFFな ど と い う 論 文 沼 古 シ ス テ ム が 入 る よ う に な り ま し た が 、 ギ リ シ ャ文 字 、 上 ツ 串 、 下 ツ 皐 の 操 作 は 複 雑 で 使 い も の に な り ま せ ん で し た 。 パ ソ コ ンP ワ ー プ ロ に して も 同 様 で す 。 -300- 読計力学 と電子計算積 22.A La L r geExampl e Her ei st hec o. mpl el es our c eF ort he t hr e edi s pl a yequat i onsi nt hea b s t r a ct0日hi s gui de. EQ I . G( ヱ)m・ d rk ; es upIt n G( 三日 -; ?・ {pl ef t( s um r r om k>-It Ss ubkZS UPkloverkr i ghl) p r odr r om、 k>-Ies upi ss ubkzs upk/ kI . EN . EQ l Hneup- l el l(I+Ss ublZ+ LSs ubls up2zs up2)over2 ' !+ . . .r i ght) l ef t ・ 日・ ト fSs ub2ZS 壷 21ove r2 +ts-sub2sup2ZSUP4lovert2sup2cdoL2日 +. . .r i ght). . . . EN T Eq l l i neup- s um F r om m>-Ol er l( S um F r om pi l etks ubl \ks ub2. . . . .ksubm >-0 aboye ks ubi+2 ks ub7 _+. . .十mks ub, n一m‡ ovelns upks ublks ubI isS ubls up (ss ub2s up overt 之s upkS ub2kS ub2 ● ● ● tss ubm s upt k . s ubmH overi ms upks ubm ks ubm H r i ghl)ZS UPm . EN - - I 1l 一日 ‖ = u lH ‖ = u -_II =u F: il ■■ ・・・・l L UL U uS u S L 八 L h n = U HH H = U UNIXのマ ニ ュアルの入力 の例 題 -301- 桂 重俊 GくZ, = eRn [1+Si2' - [ ∑ 三 選 k≧1 k G (Z )= exp ] = n es kZk / k k≧1 s…z2 s fz2 2! ・ [ 1・S i2 十・・ ∑ [ ∑ o kl,k2・・・・k∩2o m2 十2 T ] S ;1` S…2 +・・・ ] S: ] zm ki kl! 2k2k2!'''mkmkm! l kl÷k2十・- km=O 10 nf: cr3: cpPATSFl L へ 20 「I ■.1」 An G(Z) 30 6(≡) = e = exp k S z /k k =ne k21 40 50 60 「 = (1+S z+ L 1 22 Sz 1 2! 2 22 S≡ Sz rr - 2 2 1 +... H l十 十 十‥ .( .‥ JL 2 J 2 2 2! 70 k 1 S 1 80 90 100 110 「 =∑ l L 2o r n k m S m ●●● ∑ k , k ,... k 20 m 1 2 k 2 S 2 k k 1 2 1 k ! 2 k ! 1 2 k +k +.‥ k =0 1 2 m 左頁の例に対する我々のシステムによる入力 ( 下)と出力 ( 上) -3 02- k m m k ! m ・ - 1 m I≡ J 統計力学 と電子計算機 こ こ に UN IX の マ ニ ュ ア ル に の っ て い る 例 題 が あ り ま す が タ イ プ を 打 つ と い う よ り は プ ロ グ ラ ム を 作 る と い う よ う な 有 様 で す 。 n 誓 1を sum from n-1 t oi nfi nit y と入 力 す る の で す が ∑ が 紀 和 で あ る か 自 己 エ ネ ル ギ ー で あ る か は U N O F Fの 説 明 会 な ど で か くあ る べ き タ イ ピ ス トの 預 り知 ら ぬ と こ ろ な の で す 。 R だ と何 度 も言 っ た が と り上 げ て も らえ ま せ ん で し た の で 、 研 究 室 で 作 って 見 よ う と思 う に 至 り ま し た 。 丁 度 増 子 進 君 、 一 年 お い て 益 子 純 一 君 と い う マ イ コ ン の 熱 愛 者 が 研 究 室 に 入 り、 した が - 2代 の 卒 論 を つ づ け て - 問 の 一 年 間 は私 が 続 け ま デ ィ ス プ レ ー で の 入 力 イ メ ー ジ が 出 力 イ メ ー ジ と一 対 一 に 対 応 す る シ ス テ ム を 作 り上 げ る こ と が 出 来 ま し た 。 現 在 東 大 、 東 工 大 、 京 大 、 九 大 、 広 島 大 、 秋 田 大 、 電 通 大 等 で もお 使 い 頂 い て 居 りま す 。 こ の シス テ ム を 用 い る た Ml l を 購 入 さ れ た と こ ろ も一 二 に 止 ま り ま せ ん 。 惜 しむ ら く は パ ソ コ ン の め にF 世 界 で は N E C全 盛 で 、 富 士 通 を 持 っ て 居 られ る 所 が 僅 か な こ と で す 。 § コ ンピュー ター通信 鼻 近 は コ ン ピ ュ ー タ ー 通 信 に 関 心 を 持 っ て 居 り、 そ の ソ フ トや ハ ー ドを 作 っ て 居 り ま す 。 ソ フ トは 益 子 君 、 福 田 亙 君 な ど と 一 緒 の 仕 事 で す 。 約 十 年 前 の 国 際 会 議 で ポ ー ラ ン ドか ら テ レ ッ ク ス が 来 て 返 事 を 出 そ う と思 って 電 祁 局 に 行 っ た ら、 そ ん な も の は 電 報 局 に は な い 、 ど こ か で コ ネ で 打 っ て も ら え と言 わ れ ま し た 。 ど こ に あ る か と き い た ら栗 北 大 に も あ る よ と い わ れ 、 情 報 工 学 専 攻 に あ る こ とを 教 え られ 、 根 元 義 章 さん に 打 って 頂 き、 打 ち 方 も教 え て 頂 き ま した 。 そ の 後 何 度 か 使 っ て い る 内 に 、 こ れ は 絶 対 研 究 室 か ら打 つ こ とが 出 来 る よ う に な る べ き で あ る と思 い 、 K DD に 問 合 せ た り金 研 の 小 岩 昌 宏 さ ん な ど と 議 論 し ま し た が 、 そ の と き は そ の ま ま に 終 り ま し た 。 昨 年 春 よ り 大 計 を 通 じて テ レ ッ ク ス が 打 て る よ う に な っ た こ と は 全 国 に 誇 る べ き 野 口 セ ン タ ー 長 の 大 ヒ ッ トと 思 っ て 感 謝 致 して 居 り ま す 。 本 年 秋 頃 か ら は ビ ッ トネ ッ トも実 用 に な ろ う と し て居 ります。 hausi e 大 学 に 諾 木 君 が い ま す が 、 一 番 手 っ と り早 い 方 法 と い ま カ ナ ダ の Dal して 用 い て い る 方 法 は 、 D大 学 の 計 算 セ ン タ ー に 直 接 ア ク セ ス して 彼 の ID で LSt (と い う 彼 の フ ァ イ ル に メ ッ セ ー ジ を ア ッ プ ロ ー ド して お く ロ グ オ ン し 、 MAI LSFと い う フ ァ イ ル に 入 って い ま す 。 手 際 こ と で す 。 彼 か ら私 へ の 通 信 文 は MAI か ら、 航 空 よ くや れ ば 片 道 10行 位 の 文 章 の 往 と 復 合 わ せ て 2分 位 で す み ま す, 便の 2通 分 と あ ま り違 わ な い か も っ と安 い 料 金 で 通 信 が 出 来 ま す 。 が 2分 で 届 い て も 1 0 日 に 一 皮 計 算 機 を ア ク セ ス す る の で しか し、 折 角 mail は 郵 便 よ り お そ くな る わ け で す 。 こ れ を 打 開 す る 為 に は モ デ ム が mailの 着 信 を 検 知 し た ら、 自 動 的 に 場 末 と プ リ ン タ ー の 電 源 が 入 っ て 無 人 で も プ リ ン タ ー に 打 出 して お くよ う に す れ ば よ い の で す 。 此 度 研 究 室 で 伊 与 田 髄 敏 君 が こ の 装 置 を 試 作 し ま し た 。 こ の よ う な 芸 笹 が 普 及 す れ ば 竜 子 mailは 郵 便 よ り早 く安 く使 え るのです。 -303- 桂 重俊 § 梯 子 と踏 台 時 間 も な くな っ て き ま し た の で そ ろ そ ろ 碁 を 閉 じ た い と思 い ま す 。 こ の お 話 の 副 題 に 梯 子 と踏 台 と名 付 け た わ け は も う皆 様 に お 分 り頂 け た と思 い ま す 。 学 問 と い う も の は 一 歩 一 歩 踏 台 に 登 り、 梯 子 を か け て 築 き 上 げ て 行 く も の で す 。 \ 皆 さ ん も先 人 の 作 っ た 踏 台 に 上 り、 梯 子 を 上 っ て ビ ル を 建 て て 下 さ い 。 ビ ル が 出 来 あ が っ た と き 、 梯 子 も踏 台 も と り外 さ れ 、 消 え て し ま うか も知 れ ま せ ん 。 そ の と き 、 い ま 出 来 た ビ ル は ま た 次 の ビ ル の た め の 梯 子 と踏 台 に な る の で す 。 私 を 今 日 ま で 支 え て 下 さ っ た 諸 先 生 、 同 瞭 友 人 、 一 緒 に 仕 事 を して 下 さ っ た 後 張 、 そ れ を こま ご ま と助 け て 下 さ っ た 芝 山 多 香 子 さん は じめ 秘 書 の 方 、 他 多 くの 方 々 に 心 か ら感 謝 して 拙 い 話 を お わ り た い と思 い ま す 。 -3041