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中央集中治療部(ICU)後期研修カリキュラム
中央集中治療部(ICU)後期研修カリキュラム Ⅰ 一般目標 ① 重要臓器の主要疾患の病態と治療法を理解し実践できるようになる ② 集中治療に必要な手技を習得する Ⅱ 行動目標 ① 呼吸 (1) 直視下気管挿管 (2) 人工呼吸器設定(PEEP、各種モード、加湿方法、離脱方法、肺保護戦略など) (3) 非侵襲的陽圧換気(NPPV) (4) 胸腔ドレナージの施行 (5) 気管支内視鏡の施行 (6) 輪状甲状間膜穿刺の施行 (7) 経皮的気管切開術の施行 (8) 外科的気管切開術の施行 (9) difficult airway への対応 ② 循環 (1) 中心静脈/肺動脈の圧・酸素飽和度モニタリング、カテーテル挿入 (2) 心拍出量モニタリング(肺動脈カテーテル) (3) ショックの診断と管理(循環血液量減少性ショック、心原性ショック、血液分 布異常性ショック、閉塞性ショック) (4) 各種心血管疾患の診断と管理(急性冠症候群、急性心筋炎、心筋症、弁膜症、 不整脈など) (5) 薬物療法(強心・昇圧薬、降圧/血管拡張薬、利尿薬、抗凝固薬、抗不整脈薬) (6) 心臓ペースメーカーの管理(経皮/経静脈、適応と合併症、適切な設定など) (7) 除細動器の使用 (8) 心臓超音波検査モニタリング(経胸壁、経食道) ③ 中枢神経系 (1) モニタリング(ICP、CPP、脳局所酸素飽和度モニタ、髄液検査など) (2) 脳浮腫の原因となる疾患の診断(心停止後症候群など) (3) 脳浮腫の治療(薬物療法、低体温療法など) (4) 痙攣の治療(薬物療法、TDM など) (5) 鎮痛鎮静薬の選択 (6) せん妄の評価(CAM-ICU)と治療 ④腎 (1) AKI の病期分類(KDIGO)の理解 (2) AKI の予防と治療(水・電解質・酸塩基異常の管理、栄養管理、腎代替療法な ど) (3) CKD 合併患者の管理(水・電解質・栄養管理、腎代替療法、合併症予防など) (4) 腎・尿路系感染症の治療(尿道カテーテル挿入の適応と禁忌など) (5) 腎機能低下時の薬物投与設定(抗菌薬、免疫抑制薬など) (6) 血液浄化法実施時の薬物投与法の計画と実施 (7) HUS(hemolytic uremic syndrome)の診断と治療 ⑤ 肝・胆道系 (1) 急性肝不全の診断 (2) 急性肝不全の治療(肝補助療法、栄養管理、肝移植の適応判断など) ⑥膵 (1) 重症急性膵炎の治療(輸液計画、鎮痛、栄養管理、外科的治療の適応判断など) ⑦ 消化管、その他腹部 (1) 出血・虚血・穿孔・イレウス・下痢の診断(NOMI、CD 腸炎など) (2) 出血・虚血・穿孔・イレウス・下痢の治療(輸液輸血管理、血管内治療・外科 的手術の適応判断など) (3) 腹水・腹腔内出血・ACS(abdominal compartment syndrome)の治療(腹腔ドレ ナージ、血管内治療・外科的手術の適応判断など) ⑧ 血液凝固線溶系 (1) 抗凝固法の実施 (2) DIC の診断と治療法の選択 (3) 肺塞栓症/深部静脈血栓症の診断 (4) 肺血栓塞栓症の予防と治療の適応の判断(下大静脈フィルタ、PCPS、血栓溶解 療法など) (5) 深部静脈血栓症の予防 ⑨ 代謝・内分泌系の管理 (1) 糖代謝異常の診断(DKA、HHS、低血糖症など)と治療(インスリン治療など) (2) 甲状腺機能異常の診断(機能亢進症、機能低下症など)と治療 (3) 副腎機能異常の診断(褐色細胞腫、機能低下症など)と治療 ⑩ 感染 (1) 敗血症の診断と治療(surviving sepsis campaign guideline) (2) 抗菌薬、抗真菌薬、抗ウイルス薬の適切な治療(肝障害、腎障害、血液浄化療 法時、de-escalation、PK/PD 理論、治療薬物モニタリングなど) (3) その他の重症感染症の診断、治療(破傷風、結核、病原性大腸菌、溶連菌群、 インフルエンザウイルス感染症、感染性心内膜炎、胆道系感染症など) ⑪ 外傷 (1) 多発外傷患者の管理(呼吸、循環、感染、凝固線溶系管理、保温、手術、血管 内治療の適応判断など) (2) 外傷治療のチーム医療リーダー ⑫ 急性中毒 (1) 急性中毒の臨床症状(トキシドローム)の適切な把握 ⑬ 体温異常 (1) 低体温症の診断(偶発的低体温症、甲状腺機能低下症など)と治療 (2) 高体温症の診断(熱中症、悪性高熱症、悪性症候群など)と治療 ⑭ 輸液・輸血、水電解質 (1) 水電解質異常の診断(脱水症、水中毒、尿崩症、SIADH など)と治療 (2) 病態に応じた適切な輸液療法(外傷、熱傷、手術、重症急性膵炎など) (3) 血液製剤の適切な使用(移植後や緊急時での輸血製剤の血液型選択を含む) (4) 輸血関連有害事象への対応(TRALI、GVHD、異型輸血など) ⑮ 栄養 (1) 栄養状態の評価 (2) 経腸栄養、静脈栄養での合併症への対処 (3) 栄養投与経路の確保と管理(栄養カテーテルの挿入、静脈カテーテルの挿入、 PEG の適応判断など) (4) 病態に応じた栄養投与(呼吸不全、腎機能障害、肝機能障害、熱傷など) Ⅲ 研修方略 ① 期間 (1) 1年~3 年間の研修を行う ② 方略 (1) ICU 専任医師、主治医、看護師、薬剤師を交えた ICU カンファランスを毎日行 い、病態の把握や治療法の理解を深めていく (2) 24 時間 ICU 専任医師が患者管理を行う Closed-ICU 体制で、集中治療に必要な 知識と手技を体得していく (3) 症例検討会を1回/週行う (4) 集中治療に関わる論文の抄読会を1回/月行う (5) 集中治療医学会学術集会で発表を行う (6) 集中治療医学会雑誌に論文を投稿する ③ 研修指導医 (1) ICU 専任医師 7 名(うち 4 名は集中治療専門医)