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基礎・基本編

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基礎・基本編
スーパー探究科学参考資料
(基礎・基本編)
Super Science High school
奈良県立青翔高等学校
はじめに
このテキストは、青翔高校で「スーパー探究科学」の学習をはじめる生徒諸君のために
まとめたものです。
「スーパー探究科学」は学校設定科目であり、実験・観察を重視し、君たちに実験操作
の技能や科学的なものの見方や考え方、科学的に探究する力、協同して伝え合う力を付け
ることを目標としています。
探究活動を行うには、科学の基礎的な知識や考えていることをことばで表現できること
が必要です。
そのためのこの『スーパー探究科学参考資料≪基礎・基本編≫』では次の力や手法が身
につくことを目標にしています。
(Ⅰ)数学、物理、化学、生物、地学の 5 分野について、基礎的・基本的な実験・観察の
テ ー マ に 基 づ い て 、 ① 仮 説 を 立 て て 実 験 を 計 画 ( Plan)、 ② 実 験 ・ 観 察 を し て デ ー
タ の 収 集 ( Do)、 ③ デ ー タ を 整 理 ・処 理 、 仮 説 の 検 証及 び 考察 ( Check)、 ④ 次の 実
験・観察の計画(Action) の探究活動に必要な基本的な力や手法
(Ⅱ)実験・観察で得られたデータの整理・処理や分析方法、レポートの書き方とプレゼ
ンテーションソフトを利用しての発表する力や方法
探究活動を進めるなかで参考となる内容もたくさん掲載しています。学年後半で取り組
む班別探究活動のなかで、どのように進めていけばよいのかわからなくなったとき、この
テキストを読み返して活用してください。
自然科学は、不思議で難解なものではなく、実は規則性のある非常に美しいものです。
「スーパー探究科学」を学習することで、この自然科学の規則性や美しさを体感して君た
ちに「科学するこころ」が芽生えることを期待します。
<心構えについて>
どんなにすばらしい実験・実習が準備されていても、それらを実際に行うのは君たちで
あり、それらを自分のものとして今後に生かせるかどうかは、君たち一人一人の取り組み
方によって変わります。
「時間を有効に使っているか。」
「すべきこと・必要なことを考え、
実行 し てい る か。」「 グ ルー プ 内で の 役割 、 責任 は 果た せ ている か。」を 常に 頭に おいて 授
業に臨んでください。
平成24年3月
奈良県立青翔高等学校理数科
PDCAサイクルとは?
青翔高校では、「スーパー探究科学」の学習を行うために大切な 4 つの行動を次のよう
に設定し、これを繰り返し行うこと(PDCAサイクル)により探究の手法を身に付けてもら
おうと考えています。
Plan
(仮説を立てて実験を計画)
発 信
新たな疑問
Do
(実験・観察をしてデータの収集)
Check (データを整理・処理、
仮説の検証及び考察)
結論
Action (次の行動を起こす。)
科学的な方法って何?
私たちは、物事について様々な疑問をもちます。
その疑問を解決するため、実験を行い、正しいデータを元に考えます。私達が「いろ
いろな物質を水に溶かしたとき、溶けけ方に違いがあるのか?」を知りたいとします。
私達は次のような方法により、この答えを見つけることができます。
1
疑問
2
仮説1
3
実験1
4
考察1
いろいろな物質を水
実験室にあるほとん
それらが本当に水中
砂や活性炭は溶けま
に溶かすと溶け方に
どの物質は水に入れ
で溶けて見えなくな
せん。溶けて見えな
違いがあるのか?
ると、溶けて見えな
るかどうか調べるた
くなる物質も溶け方
くなります。
め、少量で実験しよ
はそれぞれ異なりま
う。
す。
8
6 仮説2
5
食塩のように水の温
考察2
7
いろいろな物質につ
実験2
溶ける物質は水の温
同じ物質であっても
度を上げても溶ける
いて、水の温度を変
度を上げるほどよく
水の温度が違うと溶
量があまり変わらな
えて溶ける量に違い
溶けるようになりま
ける量が違うのでは
い物質もあります。
が出るか実験を繰り
す。
ないか?
返して確かめよう。
9
結論
10
発信
多くの物質は水の
自分たちが導いた
温度を上げるほど
結論をみんなの前
よく溶けますが、
で発表しよう。
あまり変わらない
物質もあります。
次の疑問
目
次
【探究科学の基礎】
第1章
変数をコントロールしよう
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
1
第2章
結果を予測しよう
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
3
第3章
レポートを書こう
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
5
第4章
データをグラフに表そう
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
7
第5章
数値データを処理しよう
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
11
第6章
問題を解決しよう
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
13
物理分野
振り子の周期を決める変数は何ですか?
‥‥‥‥
13
化学分野
金属のイオン化列
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
15
生物分野
光合成色素を取り出す
地学分野
モデル実験を通して調べよう
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
17
‥‥‥‥‥‥‥‥‥
19
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
21
【探究科学の基本】
第7章
探究に取り組もう
数学分野
竹の形を科学する
物理分野
ストローの中に見える光の輪を調べる
加速度
化学分野
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
‥‥‥‥‥
25
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
27
抵抗を流れる電流
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
28
金属イオンの価数
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
29
イオンのはたらきを調べる
生物分野
研究成果を発表しよう
31
‥
33
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
35
砂の粒度分布を調べる
日射量を測定する
第8章
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
植物の光合成と環境要因の関係について調べる
植物群落の調査
地学分野
23
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
37
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
39
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
41
【探究科学の基礎】
第1章
変数をコントロールしよう
≪学習目標≫
実 験 を お こ な う に 当 た り 一 番 大 切 な こ と は 、「 得 ら れ た 結 果 が 信 頼 し 得 る も の で あ る
か?」ということです。実験条件が違えば、同じ実験をおこなってもそれぞれ違った結
果 が 出 て し ま い ま す 。 信 頼 し 得 る 結 果 を 得 る た め 、 変 数 を コ ン ト ロ ー ル す る (実 験 条 件
に 細 心 の 注 意 を 払 う )こ と を 心 が け ま し ょ う 。
1.木の硬さを調べよう
青翔高校のある生徒たちはホームセンターでみつけた 5 種類の木に硬いものとやわらか
いものがあることに気づきました。
彼らは木を硬いものから順に順番をつけようとしました。彼らはシャープペンシルで木
片 に キ ズ を つ け て 硬 さ を 比 べ よ う と し ま し た が 、こ の 方 法 で は あ ま り 効 果 が 上 が り ま せ ん 。
ほとんどの木にキズがついてしまいますし、強く押しつける人も弱く押しつける人もいる
からです。
A君はそれぞれの木片に小さな釘をハンマーで
木のタイプ
A君
Bさん
松
バルサ
打った回数
打ち込むことを思いつきました。木に釘を完全に
23
打ち込むのに必要とする回数を数えることで木の
2
硬さがわかります。5 人が 1 つずつ木片を持ち帰
C君
マホガニー
釘が曲がる
り、自宅でこれを試みました。左の表がその結果
D君
杉
17
です。これらの結果から彼らは最も硬い木と最も
Eさん
建設用合板
6
柔らかい木を明らかにすることができました。
そ の 後 、生 徒 た ち は 自 分 た ち の 実 験 が 本 当 に「 こ
れで良いのか」話し合いました。
この実験は正しくないよ。
釘 が 曲 が っ て
しまった。
私 の ハ ン マ ー は
で か い !
ハンマーで打つのが
上手な人も下手な人も
いるもん。
-1-
D君は「ダンボールの筒からダーツの矢を落とし、木にどれ
くらい深く突き刺さるかを測定する」ことを提案しました。矢
が木に深く刺さればその分だけやわらかいことがわかります。
C君はその矢は常に同じ高さから落とさなければならないこと
を付け加えました。
生徒たちはD君の考えを試しました。木片にできた穴の深さ
を比べるのに苦労しましたが彼らは科学的に正しい実験をした
と感じました。
2.変数をコントロールする
彼らは科学的な方法を学習するうえで大変重要なことに気づきました。
彼らが釘を打つ回数で木片の硬さを調べる実験をする場合、ハンマーを打つ回数は以下
のことで異なってきます。
「 木 の 種 類 」「 ハ ン マ ー の 打 ち 方 」「 ハ ン マ ー の 大 き さ 」「 打 つ 強 さ 」 等
もしこれらの条件が変わるなら、実験結果も異なるでしょう。結果を変えうる条件は変数
と呼ばれます。
実 験 は 1 度 に 1 つ の 変 数 だ け を 試 す こ と が で き ま す 。 た と え ば 、 も し 、「 木 の 種 類 」 を
変 え て 実 験 し た い の な ら 、 ほ か の す べ て の 変 数 を 同 じ に 保 た な け れ ば な り ま せ ん 。「 釘 は
同 じ も の 」 で あ る べ き で す し 、「 同 じ ハ ン マ ー 」 を 使 う べ き で す 。 ま た 、「 同 じ 人 」 が 「 同
じ力」で「同じ様」にハンマーを打つべきです。しかし、このうち「同じ力」でハンマー
を打つことや打ち方を常に「同じ様」にするのは困難です。それに比べて矢を同じ高さか
ら落とすテストはすべてを同じ条件に保ちやすいのでハンマーでの実験よりも正しい結果
が得られます。
このような正しい実験をすることを「変数をコントロールする」といいます。
1 つの変数「木の種類」を除いてすべての変数を同一に保ちます。そのとき、実験結果
の 違 い は 「 木 の 種 類 」( = 木 の 堅 さ ) の 違 い の み に よ る こ と に な り ま す 。 も し 変 数 を コ ン
トロールしないなら、実験結果の違いの原因が何であるのかはっきりさせることはできま
せん。D君はEさんよりも上手にハンマーを打つので異なる結果が出るかもしれません。
また、C君のくぎは非常に弱い釘なので違う結果が出るかもしれません。
〔実験〕ボールのはね返りを調べよう
目的:いろいろなボールを落としたとき、どのくらいの高さまではね上がっていくか
に影響する変数を調べる。
材 料 : ボ ー ル( ゴ ル フ ボ ー ル 、ス ー パ ー ボ ー ル 、ピ ン 球 、テ ニ ス ボ ー ル 等 )、物 差 し 、
スタンド
方法:いろいろなボールを落とし、はね返った高さを物差しで測定します。
・何を観察しますか?
・はね返ったボールは、どのくらいの高さまで上がりますか?
・ボールのはね返る高さに影響を与える変数は何ですか?
-2-
【探究科学の基礎】
第2章
結果を予測しよう
≪学習目標≫
自然災害についての研究者は、地震などについて、過去のデータから次に起こる可能
性を予測します。しかし、東日本大震災の際には、安全確保につとめていた原子力発電
所でも大事故が発生し、甚大な被害を生じています。東日本大震災から、科学的に予測
することの難しさがわかります。
実験や観察によるデータから、次に起こることを科学的に予測することは、探究の過
程において、無くてはならない方法です。ここでは、得られたデータをもとに、科学的
に予測することを学びましょう。
次の例に従って、データから予測してみよう。
〔例〕真鯛は、何匹釣れるか?
K さん は 、S 釣り 場 へ日 曜 日に 真 鯛を 釣 りに 行 く計 画を
た て てい ます 。Web ペー ジに のって いる S 釣り場 の情 報に
よると、一人あたりについて、木曜日に 5 匹、金曜日に 5
匹、土曜日に 5 匹真鯛が釣れているというデータが掲載さ
れています。
あなたは、K さんが日曜日に釣ることができる真鯛は、
何匹と予測しますか?理由も考えてみよう。
予測
匹
理由
日曜日の、釣りの結果、真鯛は、
匹、釣れました。
正確に予測するためには、様々な種類の正確なデータをできるだけ多く用意しなくては
なりません。今回の結果から予測について、自分の考えをまとめましょう。
-3-
〔実験〕輪ゴムの束による力を予測しよう
目的:
材料:
輪ゴムにはたらく力と輪ゴムの本数の関係を実験によって見いだし、この関係
から一定本数の輪ゴムに働く力を予測する。
輪ゴム(50 本)、バネばかり、定規
方法:①
図1のように、輪ゴム 5 本を
束ね て、5.0cm 伸ばした ときに働
く力をバネばかりで測定する。
② ①と同じ手順で、輪ゴム 10 本,
15 本,20 本,25 本,30 本に働く
力の大きさをそれぞれ測定する。
図1
結果:
輪ゴムの本数(本)
5
10
15
20
25
30
働く力 (g 重)
考察: 実験結果から、50 本の輪ゴムを 5.0cm 伸ばしたときに、働く力の大きさを予測
してみよう。
このように、データをもとにして、予測できることが、わかりましたね。この様に正確
なデータに裏付けられた予測からは、ほぼ正しい結果が導けます。では、実際に測定して、
確かめてみましょう。
-4-
【探究科学の基礎】
第3章
レポートを書こう
≪学習目標≫
実験を行ったら必ずレポートにまとめて報告します。レポートは誰が読んでも解るように
書かなければいけません。そのため書き方には決まりがあります。ここではその書き方を学
び、正しく実験の結果を報告できるようになることを目標とします。
2012/12/12(水)天気(晴れ)
気温(15 ℃)
気圧(1013 hPa) 湿度(65 %)
共同実験者:青翔太郎 御所花子
混合物の分離
目的
仮説
:砂と砂糖の混合物から砂と砂糖を分離する。
:砂は水に溶けず、砂糖は水に溶けることより、ろ過によって分離することができ
る。(仮説の根拠を明らかにすること)
準備 :砂と砂糖の混合物、ろ紙、ロート、ガラス棒、ビーカー
(実験に必要な材料や道具の名称などを全てあげておく)
方法 :混合物に水を加えて溶かし、それをろ紙とロートを用いてろ過する。
(誰が見てもわかるように実験方法を簡潔に説明する。図などを用いてもよい)
結果 :砂はろ紙に残り、無色の水溶液がろ紙を通ってビーカーにたまる。
(実験の経過や結果・判明したことをグラフなどを用いて説明を加える)
考察と結論 :
仮説どおり、砂は水に溶けないのでろ紙の上に残り、砂糖はビーカーに溜まった水
溶液中に溶けていると考えられる。仮説どおり砂と砂糖をろ過によって分離するこ
とができた。
(結果と仮説を比較し、目的に対して明らかになったことをまとめる。事実と意見
・文献などからの引用は、明確に区別すること)
感想と今後の課題 :
砂は水で洗うことによって少し残っている砂糖を除去でき、砂糖は水を蒸発させ
ることで得ることができる。
(探究活動の方法など改善できることを反省する。結果をふまえて、新たな疑問・
仮説・実験計画などを作る)
参考文献 :
奈良次郎 著,「簡単にできる混合物の分離法」,2007 年 6 月 10 日,風の森出版
(著者名、書名、出版年月、出版社、参照ページなどを書く)
レポートは実験で行ったことの記録及び報告書です。良いレポートの書き方が上に示
されています。レポートは丁寧に読みやすく、無駄に長くないものを書かなければなり
ません。図や表、グラフは大きく書きなさい。特にグラフでは、折れ線グラフ、棒グラ
フ、円グラフなど使用目的に合ったグラフを選んで書くことも大切です。このとき単位
にも注意してください。
また、レポートはつじつまが合っていなければなりません。次のようにすれば良いレ
ポートを書くことができます。
-5-
1 目的の中で「なぜその実験をしたのか」を書きます。素直な疑問がこれになります。
2 方法の中で「何をしたか」を書きます。
3 結果のところでデータを記録します。データは観察(言葉)であったり、測定( 数
字)であったりします。観察の場合は、その変化の様子を経過時間にそって文章で
表すとともに、図や写真を併用してわかりやすくすることもできます。測定して得
られたデータは表やグラフにして記録します。表やグラフはデータを読みやすくし
ます。
4 結論では、結果についてあなたの考えを書きます。目的を振り返り、その疑問に
答えられたかどうかを確かめなさい。もし答えられるなら、その答えは何ですか?
もし答えられないなら、どんな問題点を見つけたかを書きなさい。その実験をす
るより良い方法を見つけることができるかもしれません。さらに、新しい疑問に答
えるため、新しい実験について良いアイデアが出るかもしれません。たとえば、水
道水の沸点が 100 ℃であることを見つけたのなら、次に海水の沸点も見つけたくなる
かもしれません。
〔練習〕
1.次の(a)~(f)の説明としてもっとも適切な文を選び、数字で答えなさい。
(a) 実験
(b) データ
(c) 観察
(d) 仮説
(e) 考察と結論
(f) 方法
① 何らかの現象(事実)を説明することができるように考えて作った命題のこと。
② 実験を行い、その中で得られた数値のこと。
③ 実験を行う手順と利用する材料や道具について、誰が読んでも同じ実験ができるよ
うに説明した文章や図のこと。
④ 仮説が正しいかどうかを確認すること。
⑤ 実験で得られた結果から、仮説が正しかったかどうかを理論的に検証すること。
⑥ 対象の実態を知るために注意深く見ること。その様子を見て、その変化を記録する
こと。
2.ある生徒が書いたレポートです。不十分なところはどこですか?
より良いレポートに書き換えなさい。(ノーベルノートに書くこと)
実4
11/11(金)
海水
目的:海水から食塩をとりだす方法を見つけること
方法:その水を加熱した
結果:うまくいった。なぜなら、食塩が後に残されたから。
結論:
3 . 実 験 結 果 が デ ー タ 表 に 示 さ れ て い ま す 。 次 の (a)~ (c)に つ い て ノ ー ベ ル ノ ー ト に 書
きなさい。
(a) この実験の目的を書きなさい。
固体
融点 ℃
(b) この実験はどのような方法で行われたか。
氷
0
考えるところを述べなさい。
虫除け玉
80
(c) この実験の結論を書きなさい。
ワックス
44
マーガリン
-6-
38
【探究科学の基礎】
第4章
データをグラフに表そう
≪学習目標≫
自然現象を観察したり、科学実験を行うと様々なデータが得られます。そのままでは
数字の集まりにしかすぎなくても、ある方針に従って表やグラフにすると、隠されてい
た性質や傾向が見えてくることがあります。この章では、データを表にしたり、グラフ
にする方法を学びましょう。
まず、データにする量には、大きく分けて離散量と、連続量があります。
連続量・・・長さ、重さ、体積、時間等
離散量・・・個数、本数、枚数等
(1) データを整理(度数分布表、ヒストグラム、代表値)してみましょう。
〔練 習 1 〕 2 つ の 畑 、 A、 B か ら 採れ た グ リ ン ピ ー ス 20 さや
の 1 さやに入っている豆の数を数えたら次のようになり
ました。
畑A
8 6 7 5 6 4 8 6 5 6 5 6 7 7 7
6 7 6 8 4
畑B
6
5
豆の個数
4個
5個
6個
7個
8個
計
7
5
5
7
畑A
度数
2
4
6
5
3
20
4
5
6
6
畑B
度数
6
6
5
4
7
6
度数
6
5
8
6
度数
4 5 6 7 8 (個)
4 5 6 7
畑 A のヒストグラム
畑 B のヒストグラム
8 (個)
データの全体的な特徴を1つの数字で表す場合、次のようなものが用いられます。平均
がよく使われますが、データによっては、必ずしも良いとは言えません。
平均
畑A
畑B
メジアン(中央の値)
畑A
畑B
モード(度数が最も大きい値)
畑A
畑B
-7-
〔練習2〕ある養鶏場で卵 30 個の重さを調べました(単位 g)。度数分布表、ヒストグラ
ムを作りなさい。(値が連続量の場合、値を区間に分けて度数を考えるとよい。)
62.1
59.3
57.6
62.0
66.8
55.7
54.3
52.0
53.7
56.1
47.2
71.1
67.4
56.0
63.2
63.1
58.8
61.2
54.1
58.2
59.0
60.4
62.8
55.0
59.5
57.5
60.1
62.5
64.8
60.4
25
階
級
階級値
度数
47 以上~ 51 未満
20
51 ~ 55
度
55 ~ 59
15
59 ~ 63
63 ~ 67
数
10
67 ~ 71
71 ~ 75
5
0
47
51
55
59
63
67
71
75 (g)
(2) データの時間的な変化は、近似直線、近似曲線でとらえることができ、この場合、将
来の予測もできます。
〔練 習 3 〕 次 の デ ー タ の グラ フ を 作 り 、 近似 曲 線 を 赤 で 、 近 似 直線 を 黒 で 引 き な さい 。
時間(日) バッタの質量(g)
1
90
2
90
3
90
4
130
5
150
6
190
7
210
8
220
9
220
10
220
-8-
(3) 2 つの量の間で、一方が増加すれば、それに従って他方が増加または減少する傾向が
あるとき、2 つの量の間に相関があるがあるといいます。増加する場合は正の相関があ
る、減少する場合は負の相関があるといいます。注意しなければならないのは、相関関
係があるからと言って、因果関係がある(片方がもう一方の原因になっている)とはい
えないことです。別の原因があって、その結果 2 つの量に相関がある場合もあります。
〔例〕表は、ある年 12 月の毎日の火災発生件数 x と平均湿度y%を示したものです。こ
の表で、(x、y)を座標とする点をとると、下図のようになります。
日
x
y
日
x
y
日
x
y
1
16
17
11
15
53
21
26
33
2
18
75
12
28
47
22
28
51
3
11
87
13
26
61
23
21
58
4
16
63
14
23
63
24
24
44
5
11
82
15
24
58
25
27
48
6
20
61
16
24
61
26
25
44
7
12
82
17
15
45
27
24
46
8
12
74
18
22
47
28
42
48
9
18
50
19
44
57
29
28
59
10
16
56
20
35
47
30
17
53
31
28
43
散布図(相関図)
火災発生件数と平均湿度には、負の相関がありそうですが、因果関係についてはこの図
からは決めることができません。
-9-
(4) それでは、今までに学習したことの復習に、実物を用いてデータをとり、それをもと
にレポートを作成してみましょう。
① (
と、(
)を 10 個用意し、(
)の長さ(連続量
)の個数(離散量 単位は個)を調べなさい。
長 さ ( mm)
②
個数(個)
35
13
39
19
個数の度数分布表とヒストグラムを作り、気づいたことを書きなさい。
個数
度数
13
3
14
4
15
2
≪気づいたこと≫
③
単位は mm)
長さと、個数の散布図を作り、気づいたことを書きなさい。
≪気づいたこと≫
- 10 -
【探究科学の基礎】
第5章
数値データを処理しよう
≪学習目標≫
これから皆さんが様々な探究活動を進める中で、数値データの処理を避けて通ること
はできないでしょう。ここでは、長さや質量といった物理量を正しく測定する方法、測
定した数値を計算する方法について学びます。
1.測定と誤差
〔実習1〕下の図①の物差しで測った長さ、図②のメスシリンダーで測った体積の値をそ
れぞれ読み取りましょう。
↑ 図① 物差し
→ 図② メスシリンダー
cm
mL
この様に、物体の長さや質量、体積といった物理量を測定する場合は、使用する測定器
具に付いている最も細かい目盛(最小目盛)の 10 分の 1 まで読み取ることが大切です。
ちなみに、写真①の物差しの最小目盛は 1mm ですから 0.1mm の桁まで、写真②のメスシ
リンダーの最小目盛りは 1mL ですから 0.1mL の桁まで読み取ります。
〔実習2〕各班のテーブルに、右の図のような適当に切
った長方形の厚紙があります。まずは、班員それぞ
れが、順番に自分の物差しを用いて、長辺の長さを
測ってみましょう。このとき、自分の測定した値を、
すぐに他の人に伝えてはいけません。班の全員が測
り終えたら、測定した値(測定値)を比較してみま
しょう。
いかがでしたか。班で全員が同じ値になったでしょうか。同じ値にならないとすれば、
誰の値が正しいのでしょうか。実は、この長方形の長辺には、本当の値(真の値という)
が存在しますが、これは誰も測定する事はできません。皆さんの測定値と真の値にはずれ
があり、このずれのことを誤差または絶対誤差といいます。
(絶対)誤差=測定値-真の値
なお、誤差が何%あるかといった値のことを相対誤差といい、次の式で求めます。
相対誤差=|測定値-真の値|÷真の値× 100
では、誤差はなぜ生じるのでしょうか。これには色々な原因が考えられますが、大きく
分けると次の2つになります。
① 系統誤差 ‥‥ 測定者の癖、測定器具の性能、温度や気圧といった測定条件が原因で
生じる誤差。原因が突き止められれば、誤差を小さくすることが可能。
② 偶然誤差 ‥‥ 同じ条件で測定しても値がばらつくといった原因がはっきりしない誤
差。測定回数を増やして、その平均をとることで、誤差を小さくすることが可能。
- 11 -
2.有効数字と測定値の計算
先ほどの実習2で、Aさんは長方形の長辺の長さを 12.60cm と読み取り、同じ班のBさ
んは 12.6cm と読み取りました。この 2 人の測定値は一見同じように見えます。しかし、
本当に同じなのでしょうか。実は、ここで出てきた 1 や 2 や 6 や 0 の様な測定によって得
られた意味のある数字を有効数字といいます。有効数字の桁数は、測定の精度を表してお
り、桁数が多いほど精度が高いことを表します。一般的には、四捨五入してその測定値に
なる範囲に真の値があると考えますから、
Aさんの測定値 12.60cm: 12.595cm ≦(長辺の長さ)< 12.605cm
Bさんの測定値 12.6cm :
12.55cm ≦(長辺の長さ)< 12.65cm
となり、Aさんの測定値の方が精度が高いことになってしまいます。
【問1】次の測定値の有効数字は何桁ですか。
(1)3.5m
(2)9.04g
(3)7300mL
(4)0.086A
3
注:(3)の様な値を有効数字 2 桁で示したい場合は 7.3×10 mL、(4)の様な値の有効数字をはっきり示し
-2
たい場合は 8.6 × 10 A と表します。
〔実習3〕実習2で用いた長方形の短辺の長さを、班員それぞれが順番に自分の物差しを
用いて測定してみましょう。測定が終わったら、長方形の面積を計算によって求めて
みましょう。計算が終わったら、結果を同じ班の人と比較してみましょう。
いかがでしたか。人によって違いが生じましたでしょうか。これも違いが出て当然なの
です 。 先ほ ど のA さ んは 、 短辺 の 長さ を 7.35cm と 読み 取 り、 計 算に よ って 長方 形の面 積
を、12.60cm × 7.34cm = 92.484cm2 と求めました。この値は、どこまでが正確なのでしょ
うか。ここで、有効数字の考え方を適用して長方形の面積の範囲を求めると、
12.595cm × 7.335cm ≦(長方形の面積)< 12.605cm × 7.345cm
92.384325cm2 ≦(長方形の面積)< 92.583725cm2
となり、整数部分の 92 は値が正確ですが、小数第一位は 3 か 4 か 5 とずれ始めます。小
数第二位以下はどんな数字がくるか予想も付きません。そこで、この場合は小数第二位を
2
四 捨 五 入 し て 、 92.5cm を 計 算 結 果 の 有 効 数 字 と し ま す 。 こ の よ う に 、 測 定 値 の 乗 除 計 算
の場合は、計算結果を有効数字の最も少ない測定値の桁数に合わせます。
【問2】有効数字を考えて、次の測定値の計算をしましょう。
3
(1)4.28m×3.3m
(2)5.92g ÷ 7.4cm
また、長さ 3.63m の棒と長さ 4.8m の棒をつなぎ合わせる場合の様に、測定値どうしを
足し合わせる場合は、計算上では 3.63m + 4.8m = 8.43m となりますが、有効数字の考え
方によると 4.8m は 4.75m 以上 4.85m 未満の長さを表しているため、
8.38m ≦(つなぎ合わせた棒の長さ)< 8.48m
となり、小数第二位の 3 は全く意味を持ちません。この場合は小数第二位を四捨五入して、
8.4cm を計 算結 果の 有効数 字と しま す。こ のよ うに 、測 定値の 加減 計算 の場合は、 計算結
果の末位を最も高い測定値のものに合わせます。
【問3】有効数字を考えて、次の測定値の計算をしましょう。
(1)15.8m + 6.37m
(2)9.6g - 2.13g
注: 円周 率や 無理 数を数 値計 算す る場合 は、 他の測 定値よりも 一桁多め にとって計 算するのが ルール
です。例えば、半径 4.3cm の円の面積ならば、
2
2
2
(4.3cm) π= 4.3cm × 4.3cm × 3.14 ≒ 58.0586cm ≒ 58cm
- 12 -
【探究科学の基礎】
第6章
問題を解決しよう
≪学習目標≫
これまで、皆さんは、探究活動の進め方について様々な学習をしてきました。この章
では、物理・化学・生物・地学の理科の各分野の事例を通して、今までの学習の成果を
確かめてみましょう。
物理分野
振り子の周期を決める変数は何ですか?
〔課
題:P〕
振り子の周期に影響を与える変数を探る。
そして、振り子の周期と変数の関係をつかむ。
〔仮
説:P〕 振り子の周期を左右する要因をいくつか考える。
〈必ず、なぜそのように考えたのか理由を書くこと。〉
〔準
備:D〕
糸、5円玉5枚、ゼムクリップ、スタンド、ストップウオッチ、物差し
〔方
法: D 〕
実験A
仮 説で考えた 要因A(1つ 目の要因)と振り子の周期の関係を 5 円玉、
糸、ストップウオッチ、鉄製スタンドを用いて振り子を作り、周期(一回
通過したおもりが、再度同じ場所を同じ向きに通過するまでの時間)を測
定する。
測定結果をグラフにし、要因Aと振り子の周期の関係をつかむ。
〈注意〉測定誤差をなるべく少なくする工夫をすること。
〔結
果:D〕
要因A(
)
1回目
2回目
3回目
グラフ
〔考
察:C〕
グラフから要因 A と周期の関係を考えなさい。
- 13 -
〔発
展:A〕
要因A以外に、振り子の周期を左右する別の要因はないだろうか?
〔仮
説:P〕
振り子の周期を左右する別の要因を考える。
〔方
法:D 〕
〔結
果:D〕
実験B
仮 説 で 考 え た 要 因 B (2 つ 目 の 要 因 )と 振 り 子 の 周 期 の 関 係 を 同 様 に し
て、周期を測定する。
測定結果をグラフにし、要因Bと振り子の周期の関係をつかむ。
要因B(
)
1回目
2回目
3回目
グラフ
〔考
察:C〕
グラフから要因Bと周期の関係を考えなさい。
実験A及び実験Bより、周期に影響を与える要因は何ですか。
周期を正確に測定するために工夫したことは何ですか。
〔発
展:A〕
今 回実験した 2 つの要 因の他に影 響を与えると考えられるものとその
理由を書きなさい。
- 14 -
金属のイオン化列
化学分野
〔課題:P〕 金属の化学的性質を調べて、アルミニウム、マグネシウム、銅、スズ、鉄、
鉛、亜鉛を反応性の順番に並べる。。
〔仮説:P〕
酸性の水溶液に入れて金属の溶ける反応の激しさで調べることができる。
〔準備物:D〕
(器具) ルーペ、細粒のサンドペーパー、試験管、試験管立て、駒込ピペット
(薬品) 2.0mol/L 塩酸HCl 、1.0mol/L 硫酸亜鉛水溶液、1.0mol/L 硫酸銅(Ⅱ)水溶液、
上記の金属(Al、Mg、Cu、Sn、Fe、Pb、Zn)
〔方法:D〕
(1) それぞれの金属サンプルの表面をルーペで観察する。曇っていたり表面がさびてい
たりするものを調べる。
(2) 各サンプルをサンドペーパーできれいにして試験管に入れ、塩酸を少量加えて反応
の激しさを観察する。
(3) (2)と同 様 に 、 き れ い にし た 各サ ン プル を 試験 管 に入 れ 、硫 酸 亜鉛 水 溶液 を 少量 加
え、しばらくしたのち、サンプルの表面の変化を観察する。
(4) (2)と同 様 に 、き れ いに し た各 サ ンプ ル を試 験 管に 入 れ、 硫 酸銅 (Ⅱ )水溶 液 を少 量
加え、しばらくしたのち、サンプルの表面の変化を観察する。
〔結果:D〕
金
属
Al
Mg
Cu
表面の
様子
2.0mol/L
HClaq
1.0mol/L
ZnSO 4aq
1.0mol/L
CuSO 4aq
- 15 -
Sn
Fe
Pb
Zn
〔考察:C〕
(1) 金属に塩酸を加えるとき、何が生じますか。
(2) 次の場合、どの金属が反応しましたか。
a 塩酸、硫酸亜鉛水溶液、硫酸銅水溶液の 3 つすべての水溶液に反応した金属
b
2 つの水溶液の反応した金属
c
1 つの水溶液に反応した金属
d
どの水溶液とも反応しない金属
(3) 最も良く反応する金属からあまり反応しない金属へと順に並べなさい。
(4) 硫酸銅を保存するタンクを作りたいと思います。使うのに最も適した金属は何です
か。また、それはどうしてですか。
〔発展:A〕
金属と金属イオンを含む水溶液との反応をもとにして、銅、スズ、鉛、銀のイオン化
列を決めなさい。
準備物: 硝酸銀水溶液、酢酸鉛水溶液、スズ、銅
原理と実験方法を書いて、実験結果を実験レポートにまとめなさい。
- 16 -
生物分野
〔課題:P〕
光合成色素を取り出す
紅茶の茶葉と緑茶の茶葉の光合成色素を取り出す
紅茶と緑茶は同じチャノキの葉から作られる。
チャノキの葉には光合成色素が含まれ、青緑色のクロロフィル a、黄緑色のクロロフ
ィル b、橙色のカロテノイド、黄色のキサントフィルが含まれている。
この光合成色素は紅茶や緑茶の製造過程でどうなるのだろうか。
〔仮 説 : P 〕 紅 茶 は 褐 色で あ り 、 緑 茶 は 緑 色 であ る こ と か ら 、紅 茶 の 葉 緑 体 は紅 茶 の
製造過程で分解され、緑茶の光合成色素は分解されずに残っている。
〔準 備 : D 〕 茶 葉 (紅 茶 、 緑 茶 ) 、 乳 鉢 、 石 英 砂 、大 型 試 験 管 、 ガラ ス 管、 ろ 紙、 こ ま
ごめピペット、ピンセット、ゴム栓、鉛筆
展開液(トルエン:石油エーテル= 7:3)
抽出液(メタノール:アセトン= 3:1)
〔方法:D〕
① 2 種類の茶葉を乳鉢に入れそれぞれ細かくすりつぶして少量の抽出液を加え、色素
の抽出液を作る。
② ろ紙の下から 1 ㎝のところに鉛筆で、直線をひく。その中央に細いガラス管で色素
の抽出 液を付け、 原点とする 。原点の直径 は 5mm 程度とする 。色素が濃くなるよう
に乾かしながら、原点に色素の抽出液を細いガラス管で 20 回つける。
③ ② の ろ 紙 を 試 験管 の ゴ ム 栓 に 取 り 付 け 、ろ 紙 の 下 か ら 1cm くら い を 展 開 液 に 浸 け
る。このとき原点が展開液に浸からないようにする。その後、ろ紙の上端付近まで展
開させる。
④ 展開液がろ紙の上端付近まで達すると、ろ紙を試験管から取り出して展開液の上端
に鉛筆で印をつける。これを前線とする。また、分離した色素の輪郭と色調を記録す
る。
〔結果:D〕
① 方法④の結果を表 1 に記入しよう。色素の色調、原点から色素の中央までの距離を
記録する。また、原点から前線までの距離を測定する。班で 1 人は、ろ紙をノートに
はりつけること。色素は前線に近いものから色素 1 とする。
② ろ紙を乾燥し、分離した色素の色調や移動率(Rf 値)を調べよう。
原点から分離した色素の中心までの距離
Rf 値=
原点から前線までの距離
〔考察:C〕
① 先輩が行った実験から表 2 に緑茶と紅茶の色素の色調と Rf 値を示す。これを参考
にして色素の種類を推定してみよう。推定結果は表 1 に記入しなさい。
原点から前線までの距離(
)cm
- 17 -
表1
色
緑茶と紅茶の結果
素
色調
原点からの
距離(cm)
Rf値
考察される
色素の種類
緑茶
色素 1
紅茶
緑茶
色素 2
紅茶
緑茶
色素 3
紅茶
緑茶
色素 4
紅茶
緑茶
色素 5
紅茶
表2
②
③
④
⑤
緑茶と紅茶に含まれる色素の種類と色調
色素
色調
カロテン
橙色
キサントフィル
黄色
クロロフィル a
青緑色
クロロフィル b
黄緑色
緑茶のRf値
0.98
0.34
0.25
0.22
紅茶のRf値
0.97
0.33
0.18
0.14
緑茶と紅茶の葉に存在する光合成色素はどのような種類が存在していたか。
②より、紅茶と緑茶に含まれる光合成色素はどのようにちがったか。
紅茶の葉には、光合成色素が存在しているが、なぜ、褐色に見えるのか。
紅茶の葉の褐色の色素はなぜ原点から移動しなかったのか。
〔発展:A〕
① 緑茶と紅茶は同じチャノキの葉から作られる。なぜ、色素に違いができたのか、製造工
程の温度と酵素の働きより考察しなさい。
② 紅葉には紅葉、黄葉、褐葉の 3 種類があるが、これらの葉には光合成色素は存在するか
どうか調べなさい。
- 18 -
地学分野
モデル実験を通して調べよう
地学分野では、時間的スケールが大変長かったり、空間的スケールが大変広かったりす
る現象を扱います。そのため、物理分野や化学分野の様に、室内で実験を行って仮説を検
証することが大変難しいです。そこで、時間的・空間的なスケールを縮めたモデルを作成
し、それを用いて実験を行うといったモデル実験という手法をとることが多いです。皆さ
んの先輩達も、火山の噴火・地震・月のクレーターなど関して、様々なモデル実験を行っ
てきました。ここでは、その中の地震に関して、液状化現象についてモデル実験をしてみ
ましょう。
液状化現象とは、地震の際に、地中に含まれていた
地下水や砂が地表に噴き出し、地盤全体が密度の大き
な液体状になる現象です。このため、重いビルが沈下
・倒壊したり、中が空洞になったマンホール等の構造
物が右の写真の様に浮き上がるといった被害が起こり
ます。液状化現象は、一般的には地盤の軟らかい沖積
平野や人工の埋立地で顕著に見られます。ここでは、
液状化現象の原理や特徴をモデル実験を用いて調べて
みましょう。
新潟県中越地震の際の液状化
〔課題1:P〕
〔仮 説 : P 〕
地下水の量と液状化現象の関係について調べる
地 下 水 の 量が (
) と 、液 状 化現 象 は(
)。
〔準備:D〕 プラスチックカップ(200mL 程度)5 個、トレイ、土砂(粒径 1 ~ 2mm)、
水、両面テープ
〔方法:D〕
① プラスチックカップ 5 個に、土砂をそれぞれ 100g ずつ入れる。
② 5 個のプラスチックカップに、水をそれぞれ 10mL、20mL、30mL、40mL、50mL
注ぎ、水が染み込むまで放置する。
③ 5 個のプラスチックカップを、両面テープでトレイ上に固定する。
④ プ ラ ス チ ッ ク カ ッ プ の 乗 っ た ト レ イ を 5cm の 高 さ か ら 落 と し 、 そ れ ぞ れ の カ
ップで土砂の表面に水が出てくるまでの回数を測定し、結果の表に記入する。
- 19 -
〔結果:D〕
注いだ水の量(mL)
10
20
30
40
50
落とした回数(回)
〔考察:C〕 この実験結果から、地下水の量と液状化現象の間にはどの様な関係がある
と言えますか。
〔課題2:P〕
〔仮 説 : P 〕
土砂の粒径と液状化現象の関係について調べる
土 砂 の 粒 径が (
) と 、液 状 化現 象 は(
)。
〔準備:D〕 プラスチックカップ(200mL 程度)5 個、トレイ、土砂(粒径 1/2mm 未満、
1/2 ~ 1mm、1 ~ 2mm、2 ~ 4mm、4mm 以上の 5 種類)、水、両面テープ
〔方法:D〕
① プラスチックカップ 5 個に、5 種類の粒径の土砂をそれぞれ 100g ずつ入れる。
② 5 個のプラスチックカップに、水をそれぞれ 30mL ずつ注ぎ、水が染み込むま
で放置する。
③ 5 個のプラスチックカップを、両面テープでトレイ上に固定する。
④ プ ラ ス チ ッ ク カ ッ プ の 乗 っ た ト レ イ を 5cm の 高 さ か ら 落 と し 、 そ れ ぞ れ の カ
ップで土砂の表面に水が出てくるまでの回数を測定し、結果の表に記入する。
〔結果:D〕
土砂の粒径(mm)
~ 1/2
1/2 ~ 1
1~2
2~4
4~
落とした回数(回)
〔考察:C〕 この実験結果から、土砂の粒径と液状化現象の間にはどの様な関係がある
と言えますか。
〔発展:A〕 この実験結果と実際に地震の際に生じた液状化現象から、液状化現象の起
こりやすい条件について考えてみましょう。
- 20 -
【探究科学の基本】
第7章
探究活動に取り組もう
≪学習目標≫
これまで学習してきた内容を生かし、数学・物理・化学・生物・地学の各グループに
分かれて、協力して探究活動に取り組んでみましょう。各グループの個性を発揮し、独
創的な内容の活動を期待しています。
1.探究活動を計画しよう
本校の探究活動はグループで行います。探究活動は、君たち自身が実験や研究を企画し
て、それらを実際に行うことであり、さらに探究活動を通じて見いだしたことを発表する
ことも含んでいます。君たちは、自分の作業を計画したり、実験機器・材料、方法を選ん
だりすることでグループ内で役割を果たします。探究活動の終わりには、グループの探究
活動の結果に対して正確にかつ自信を持って評価しなければなりませんし、最初の疑問を
解決できたかどうかも評価する必要があります。
探究活動は、一般的には次の流れで行います。
課
題
疑問に思うことは何ですか?
↓
事前調査
教科書やインターネット等を利用して、情報を集めてみましょう。
↓
仮
説
探究活動をした結果を予想してみましょう。
↓
方
法
探究活動の手順を計画しましょう。
↓
材
料
必要となる実験機器・材料が用意できるかどうか調べてみましょう。
↓
実験・観察
情報・データ・測定値をどの様にして集めますか?
↓
結
果
結果の正確さを増すため、繰り返し測定をしましょう。
↓
議
論
結果を分析して、班のメンバーで話し合いましょう。
↓
再検討
議論した結果をもとにして、工夫して再度実験・観察をしましょう。
↓
結
論
最初の課題に対する答えを出しましょう。
↓
評価・考察
疑問に対して、どの程度信頼性のある結果と結論が得られましたか?
探究活動をどのように改善できますか?
↓
参考文献
参考にした本やWebページを挙げておきましょう。
- 21 -
2.探究活動チェックリスト
下の表は、探究活動を計画したり、実際に行ったりするときに使うチェックリストです。
探究活動を計画するためのステップ
何を探究しようと思いますか? (目的)
仮説は何ですか?
何が起こると予測していますか?
正しい実験を行うためにどの変数をコントロールしますか?
計画した実験内容について説明できますか?
データをどのようにして集めるのですか? (方法)
必要とする実験器具・材料はどんなものですか?
その実験が可能かどうか先生に相談しましょう。
観察によって何がわかりましたか?
探究活動の結果を表やグラフで表現してみましょう。
(結果)
実験で得たデータにはパターンや傾向がありますか?
データによって仮説は検証されましたか?
結果を科学的に説明できますか? (議論)
探究活動を評価すること。
結果や結論は信用できますか?
探究活動において苦労したことは何ですか?
探究活動をもっと正確に行うためには、どのように改善すれば良いですか?
結論は何ですか?
探究活動を通して何がわかりましたか?
参考文献
参考にした情報をすべて挙げましょう。
≪メモ≫
- 22 -
数学分野
竹の形を科学する
1 予備観察
〔計画、仮説:P〕
(疑問や好奇心をもつ。よく観察する。どこに目をつけるか。実験の計画をたてる。仮
説をたてる。)
・タケは、なぜあのような形をしているのか。
・「1 年目と 2 年目」、「大きものと小さいもの」、「全体と部分」で形は同じか違うか。
・タケについて知識を身につける。
・ タ ケを く わ し く し ら べ ( 長さ を は か る 、数 を かぞ え る)、 枝 や葉 の つき か たの 規 則を
みつけてみよう。
・規則を、式や数値であらわせないか、かんがえよう。
・まず、タケの枝、シラカシの枝で全体と部分との相似性について観察してみよう。
〔観察、結果:D〕
(よく観察し、正確なデータとりをする。)
《準備物》タケの枝、シラカシの枝、定規、ノート、
・タケの枝のつきかたをよく観察し、ノートに図を書く。図は、タケの枝の節を点、
枝を線とする、非常にシンプルなものである。数学では、対象を抽象化することが
多い。
・節の間の長さを、mm単位ではかり、ノートに記入する。
・シラカシについても、同様のことをする。
〔データの整理、グラフ化、考察:C〕
・2種類の、点と線と数値からなる図がえがける。
・2つの木の違いは歴然としている。
・得られた長さのデータを、表計算ソフト を利用して解析するとして、どのような
形式、構造で入力したらよいかかんがえる。
〔予告:A〕次回以降は、タケ一本をもちいて、実際のデータとりをする。それぞれの班
で分担してデータとりをする。
2 本番
〔観察、結果:D〕
(よく観察すること。正確なデータ、価値あるデータがとれたか。)
《準備物》タケ、30 cm定規、巻尺、ノート、PC
・タケの枝、葉のつきかたをよく観察し、長さをはかり、枝や節の数をかぞえる。
・データをとり、PC に入力する。
・仮説を検証するには、どのようなグラフが適当か。そのためには、どのようなデー
タをとればよいかかんがえる。
- 23 -
〔データの整理、グラフ化、考察:C〕
・仮説を検証するには、どのようなグラフが適当か。
・本体の形と、枝の形に相似性がみとめられるか。
・他の観点からのグラフをつくり、規則性、特徴をさがしてみる。
〔改良、発展:A〕
・たくさんの竹について、同様の作業を行い、相似性がみとめられるかしらべる。
・タケ以外に、他の木の枝や草の葉の形についてしらべてみる。
・下図のように、シダの葉の形、芽の形についてしらべてみる。
3
全体と、部分が相似形になっている(自己相似性)例
PC による葉の作図
ロマネスコ(カリフラワーの一種)
- 24 -
物理分野1
ストローの中に見える光の輪を調べる
〔課題:P〕 ストローの中を一方の端から見ると、鏡のように輝く銀色の光の輪が観察
できる。この銀色の輪ができるしくみを調べる。
〔仮説:P〕 ストローの中に見える鏡のように輝く銀色の光の輪は、ストローの先端か
ら入った光が、ストローの内側で反射することによってできていると考えられる。
《仮説の検証》
実験1 ストローの内側の反射を見る①
〔目的:P〕 ストローの穴の向こうの景色が反射しているか調べる。
〔準備:D〕 ストロー(極太、内径約 13mm)、ノート、筆記用具
〔方法:D〕 1 ストローの中を一方の端から見る。
2 ストローの穴の向こうの景色と、鏡のように輝く銀色の部分に見え
ている景色をスケッチする。
〔結果:D〕 スケッチの図
〔考察:C〕 スケッチの図から、ストローの内側で反射がおこっていることがわかる。
〔発展:A〕 もっとはっきり、反射を確かめるために、印刷物を見てみよう。
実験2 ストローの内側の反射を見る②
〔目的:P〕 図1のように、ストローの穴の向こうの印刷物が反射している様子を調べ
る。
〔準備:D〕 ストロー(極太、内径約 13mm)、ノート、筆記用具
〔方法:D〕 1 ストローの中を一方の端から見る。
2 ストローの穴の向こうの印刷物と、鏡のように輝く銀色の部分に見
えている印刷物をスケッチする。
〔結果:D〕 スケッチの図
〔考察:C〕 スケッチの図から、ストローの内側で反射がおこっていることがわかる。
〔 発 展 : A 〕 スト ロ ー の 中 で の 光 の 反 射を 、 も っ と く わ し く 調べ る た め に 、 反射 の 法
則を用いて図に表してみよう。
図1
ストローで印刷物を観察
- 25 -
実習1 ストローの中の光の反射の作図
〔目的:P〕 ストローの中の光の通る筋道を反射の法則を用いて示す。
〔準備:D〕 作図のためのノートと定規、筆記用具
〔方法:D〕 2のように、ストローを二本線で表し、図3のように、目の位置を決め
ストローの先端から入り、ストローの内側で反射して目に届く光を直線で作図
する。
先端
図2
図3
目の位置
〔結果:D〕 作図の図
〔考察:C〕 作図の結果より、ストローの中に見えている鏡のような光の輪は、スト
ロー中で、1 回反射したものであると考えられる。
〔発展:A〕 このことを実験で確かめてみよう。
実験3 ストローの内側の反射のしくみ
〔目的:P〕 ストローの中に見えている鏡のような光の輪は、1 回の反射によるもので
あることを調べる。
〔準備:P〕 ストロー(極太、内径約 13mm)、ノート、筆記用具
〔方法:P〕 1 ストローの中を一方の端から見る。
2 ストローの外側に鉛筆をあてると影が見えるので、銀の輪の外の位置
と影が重なる位置を見つける。
〔結果:D〕 鉛筆の位置を、調べ記録する。
〔 考 察 : C 〕 結 果 か ら 、ス ト ロ ー の 中 に 見 え て いる 鏡 の よ う な 光の 輪 は、 ス トロ ー の
内側で 1 回反射しておこっていると考えられる。2 回、3 回の反射光は、弱くな
ってしまって、観察できないのだろう。
〔発展:A〕 ストローの内側が、鏡のようになっていれば、2 回、3 回の反射が見られ
るかもしれない。金属パイプで実験してみよう。
以下 PDCA サイクルを繰り返し、探究をすすめよう。
- 26 -
物理分野2
実験1
〔課題:P〕
〔準備:D〕
〔仮説:P〕
〔計画:P〕
〔方法:D〕
と。
〔結果:D〕
〔考察:C〕
〔発展:A〕
加
速
度
斜面を下る物体の運動は等加速度運動であることを示せ。
斜面、台車、記録タイマー、記録テープ、おもり
等加速度運動では速度はどのように変化するのか。
また、等加速度運動の v-t グラフはどんな形か。
実験計画を立てなさい。
実験を行い、データをとりなさい。一人につき、ひとつのデータを取るこ
記録テープを整理して v-t グラフを書きなさい。
等加速度運動であることが示せましたか。
加速度の大きさを決める要因には何があるでしょうか?
実験2
〔課題:P〕
〔仮説:P〕
斜面を下る台車の加速度を決めるものを調べる。
台車の加速度に影響を与えると考えられる変数をあげなさい。
また、1つの変数だけの影響を予想する仮説を立てなさい。
〔計画:P〕 仮説を確かめるための実験を計画しなさい。
〔方法:D〕 実験を行い、データを記録しなさい。
〔結果:D〕 表やグラフにまとめて結果を処理しなさい。
〔考察:C〕 結果を考察し、測定値の規則性を見つけなさい。また、仮説が支持される
か、拒否されるかあるいは変える必要があるかを決めなさい。
〔発展:A〕 加速度に影響を与える要因がまだないか? 別の変数で実験を試してみな
さい。
※〔記録タイマーによる加速度の測定実験のデータの整理について〕
記録 タイ マー(= 交流記録タイ マー)の 2 打点間の単 位時間ΔT 〔s〕は 、交流電源 の
周波数 60Hz(または 50Hz)で決まり、2 打点間の単位時間はΔT= 1/60s(または 1/50s)
となる。実験より得られた記録テープから加速度を求めるには、以下の手順で行う。
上図のように記録テープ上に3打点間隔で、0,1,2,3,・・・・の番号をつける。
点0から点2まで(6打点間隔)の距離をS 1 を測定し、表に記入する。
同様にしてS 2 ,S 3 ,S 4 , S 5 ・・・・を測定表に記入する。
(3) 平均の速さV 1 =S 1 /Δtを計算して表に記入する。V 1 は(点1)での速さになる。
同 様 に し て V 2 , V 3 , V 4 ,V 5 ・・・・を計 算 し て 測 定 表 に 記 入す る 。 た だ し 、6 打 点
間隔の経過時間Δt=ΔT× 6 =(1/60s)× 6 = 1/10s とする。
(4) 上の結果をもとにして、V-tグラフを描き、グラフの傾きより加速度を求める。
- 27 -
物理分野3
実験1
〔課題:P〕
〔準備:D〕
〔仮説:P〕
〔計画:P〕
〔方法:D〕
〔結果:D〕
〔考察:C〕
〔発展:A〕
実験2
〔課題:P〕
〔仮説:P〕
〔計画:P〕
〔方法:D〕
〔結果:D〕
〔考察:C〕
〔発展:A〕
実験3
〔課題:P〕
〔仮説:P〕
〔計画:P〕
〔方法:D〕
〔結果:D〕
〔考察:C〕
〔発展:A〕
抵抗を流れる電流
抵抗を流れる電流はその両端の電圧とどのような関係にあるか。
準備:電源、導線、電圧計、電流計、抵抗
電流の量に影響を与える変数をあげなさい。
また、1 つの変数だけの影響を予想する仮説を立てなさい。
仮説を確かめるための実験を計画しなさい。回路図を添えること。
実験を行い、データを記録しなさい。
データを表やグラフにまとめて結果を処理しなさい。
結果を考察し、測定値の規則性を見つけなさい。仮説が支持されるか、
拒否されるかあるいは変える必要があるかを決めなさい。
電流と抵抗の大きさの関係を考えなさい。
抵抗を流れる電流と抵抗の大きさはどのような関係にあるか。
仮説を立てなさい。
仮説を確かめるための実験を計画しなさい。回路図を添えること。
実験を行い、データを記録しなさい。
データを表やグラフにまとめて結果を処理しなさい。
結果を考察し、測定値の規則性を見つけなさい。仮説が支持されるか、
拒否されるかあるいは変える必要があるかを決めなさい。
電圧と抵抗の大きさの関係を考えなさい。
抵抗の両端の電圧と抵抗の大きさはどのような関係にあるか。
仮説を立てなさい。
仮説を確かめるための実験を計画しなさい。回路図を添えること。
実験を行い、データを記録しなさい。
データを表やグラフにまとめて結果を処理しなさい。
結果を考察し、測定値の規則性を見つけなさい。仮説が支持されるか、
拒否されるかあるいは変える必要があるかを決めなさい。
電流、電圧、抵抗の大きさ、3 つの関係を考えなさい。
- 28 -
化学分野1
金属イオンの価数
〔課題:P〕 マグネシウムを塩酸と反応させたとき、発生する水素の体積からマグネシ
ウムイオンは 2 価の陽イオンであることを示す。
〔仮説:P〕
① 塩酸との反応でマグネシウムが 1 価の陽イオンとなり、水素を発生させるなら
ば、反応式は、
(
)となる。
マグネシウム(
)モルから水素が(
)モル発生する。このことからマグネシ
ウム 0.10g から発生する水素の体積を予想することができる。
② 塩酸との反応でマグネシウムが 2 価の陽イオンとなり、水素を発生させるなら
ば、反応式は、
(
)となる。
マグネシウム(
)モルから水素が(
)モル発生する。このことからマグネシ
ウム 0.10g から発生する水素の体積を予想することができる。
0.10g の マ グ ネ シウ ム を 塩 酸 に 溶 か し た とき 発 生 す る 水 素 の 体 積を 実 験 で 求 め 、
予想値と比較してみる。
〔準備物:D〕
(器具) 試験管、気体誘導管、200mL メスシリンダー、水槽、電子てんびん
(薬品) 2.0mol/L 塩酸HCl、Mgリボン
〔方法:D〕
0.10g のマグネシウムを塩酸に溶かしたとき発生する水素の体積を測定する。
実験操作の手順を箇条書きにしなさい。
(1)
〔結果:D〕
発生した水素の体積
=
mL
- 29 -
〔考察:C〕
(1) マグネシウムイオンの価数が 1 価の場合、発生する水素の気体の体積を計算しな
さい。
(2) 同様に、マグネシウムイオンの価数が 2 価の場合、発生する水素の気体の体積を
計算しなさい。
(3) 実験値と予想値を比較して、マグネシウムイオンの価数を決定しなさい。
(4) 気体の圧力、温度を考えて、予想値とのずれについて考察しなさい。
〔発展:A〕
アルミニウムを塩酸と反応させたとき、発生する水素の体積からアルミニウムイオ
ンは何価の陽イオンになるかを調べなさい。
準備物は次のものとする。
(器具) 試験管、気体誘導管、200mL メスシリンダー、水槽、電子てんびん
(薬品) 6.0mol/L 塩酸HCl、Mgリボン
- 30 -
化学分野2
イオンのはたらきを調べる
〔課 題 : P 〕 電 解質 は 水 に 溶 か す と 電 離 し、 生 じ た イ オ ン が 移 動す る こ と で 電 気 を導 く
ことを調べる。
〔仮説:P〕 重曹(炭酸水素ナトリウムNaHCO 3)は電解質である。
(電離のイオン反応式:
)
水で溶いたホットケーキミックスには電流が流れ、発熱すると同時に重曹が熱分
解して二酸化炭素を発生する。ホットケーキが焼き上がると電流が流れなくなる。
〔準備物:D〕 ステンレス板(2枚)、クリップ付き電気コード、交流電流計、
ス ト ッ プ ウ ォ ッ チ、 電 子 て ん び ん 、 100mLメ スシ リ ンダ ー (1 個)、 牛乳 パ ック 、
ホットケーキミックス、水、割り箸
〔方法:D〕
(1) 牛 乳 パ ッ ク にホ ッ トケ ー キミ ッ クス 100g を 入れ 、 水80mLを 加え て 、割 り 箸で ダ
マがなくなるまで、軽く混ぜる。
(2) ステンレス板を牛乳パックの内壁に沿って向かい合わせに入れ、交流電流計と電
気コードを接続する。
(3) プ ラ グ を コ ン セ ン ト に 差 し 込 み 通 電 す る 。 1分 ご と に
電流値を測定し、ホットケーキミックスの様子を観察す
る。
(4) 電流が流れなくなったら、プラグをコンセントから抜く。
〔結果:D〕
経過時間と電流値、ホットケーキミックスの様子
時間(分) 電流値(A)
ホットケーキミックスの様子
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
- 31 -
〔データ処理:D〕
結果で得られたデータをグラフにする。
電
流
(A)
時間(分)
〔考察:C〕
(1) ホットケーキミックスに電流が流れるのはなぜか。また、焼き上がると電流が流れ
なくなるのはなぜか。
(2) ホットケーキが膨らむのはなぜか。化学反応式を用いて説明せよ。
(3) ホットケーキが焼けたのは、何エネルギーが何エネルギーに変化したためか。
〔発展:A〕
(1) この実験のデータから、ホットケーキを焼くのに使ったエネルギーを求めてみよう。
① 流れた電流の平均値[A]を求める。
② 消費電力(電力[W]=電力[J/s])を求める。(電力[W]=電圧[V]×電流[A])
③ 発生したエネルギー、すなわち消費された電気エネルギーの総量[J]を求める。
(熱量[J]=電力量[J]=電力[J/s]×時間[s]=電力[W]×時間[s])
(2) 早く焼き上げるためには、どうすればいいか考えてみよう。
(3) 他に、同様の変化がみられるものを見つけてみよう。
- 32 -
生物分野1
植物の光合成と環境要因の関係について調べる
〔課題:P〕 光合成によって発生する気泡を数えることにより、光の強さと光合成
速度との関係を調べる。
〔仮説:P〕
光の強さが強い時ほど、発生する気泡の単位時間あたりの数が多くなる。
〔準備:D〕 オオカナダモ、スタンド、電球(100W)、計算機、ピンセット、
ストップウォッチ、かみそり、ものさし、温度計、大型試験管、
ビーカー(1 リットル)、1 %炭酸水素カリウム水溶液(KHCO3 )
〔方法:D〕
① 試験管の 8 分目程度まで 1 %炭酸水素カリウム水溶液を加える。
② この試験管を水の入ったビーカーに入れ、できるだけ試験管全体が水に浸かる
ようにスタンドに固定する。
③ オ オカナダモの茎が試験管の長さよりも 4 ~ 5cm 短くなるように、かみそり
の刃で茎を斜めに切断する。次に切り口が上になるようにして試験管の中に入れ、
オオカナダモの先端が試験管の底につく程度に押し込みながら調節する。
④ 暗幕を引いて部屋を暗くし、オオカナダモに電球の光を当てる。このとき電球
とオオカナダモの間隔を 10cm にしておく。
⑤ 茎の切り口から気泡がほぼ規則的に出るようになるまで待ち、3分間で放出さ
れる気泡の数を数える。
⑥ 続いて、光源の位置を 20cm・30cm・40cm・50cm と順番に遠ざけ、⑤と同じ要
領で測定する。
注意:測定の間、水温が大きく変化しないことを確認する。
- 33 -
〔結果:D〕
① 電球からの各距離における光合成速度を表に記入してみよう。ただし、表中の
「光の相対強度」は距離の二乗に反比例するので次の式で計算しており、距離が
10cm の時の強度を 100 としている。
光の相対強度 = (1 /(距離 2 )) × 10000
また、光合成速度は 1 分間あたりの気泡放出数で求めることとする。
距離(cm)
10
20
30
40
50
②
光の相対強度
100
25
11.1
6.3
4
3 分間の気泡放出数(個)
光合成速度(個/分)
表から光合成の相対速度を縦軸、光の相対強度を横軸にとり、グラフをかいて
みよう。
光
合
成
の
相
対
速
度
0
50
光の相対強度
100
〔考察:C〕
① オオカナダモの試験管を、水の入ったビーカーに入れる理由は何か。
② 炭酸水素カリウム水溶液を入れる理由は何か。
③ オオカナダモの切り口から出る気泡は何だと考えられるか。
④ 完 成 し たグ ラ フ か ら 、「 光 の 強 さ 」 と 「光 合 成 速 度 」 の 関 係 につ い て ど の よ う
なことがわかるか。
〔発展:A〕
① オオカナダモの入っている試験管内の水温が高かったり低かったりした場合、
光合成速度に影響はあるだろうか。
② 照射する「光の色(波長)」が違うと、光合成速度に影響はあるだろうか。
- 34 -
生物分野2
植物群落の調査
〔課題:P〕
植物群落を調査し、種類組成と環境との関係を考えてみよう。
〔仮説:P〕
環境条件によって優占種の生活形に変化が見られる。
〔方法:D〕
1.校庭の周辺部などで雑草群落の調査地を選ぶ。
2.調査地で、一定の間隔に方形枠を置く位置をきめる。
3.方形枠ごとに、その中に生育している植物について、次のことを調べ記録する。
① 種 名(植物図鑑などで調べる)
② 生活形(根掘りを用いて根の様子を観察したり、植物図鑑を用いて1年生か多
年生かを調べる)
③ 生育型(下図により分類する)
④ 被度〔C〕(その植物が方形枠内の地表をおおう割合。下図を参考にして、4
~+の被度階級で表す)
⑤ 高さ〔H〕(その種の中で最も高い個体の自然高をものさしで測る)
4.調査地の環境条件を調べ、記録する。
5.各方形枠の被度と高さの記録から次の処理をすることにより、優占種を決める。
① 各植物について被度の合計値を求める。(ただし、被度階級の 1 ′は 0.2、+は
0.04 として計算する。)
② 各植物について、被度の合計値を設けた方形枠の数で割り、平均値を求める。
③ 被度の平均値の最高値のものを 100 とし、これに対
する他の種の値を換算して被度の相対値〔C′〕を
求める。
④ 高さについても①~③とおなじ手順で換算し、高さ
の相対値〔H′〕を求める。
⑤ 各植物について、C′とH′の平均値を計算して、優占度を求める。
⑥ 優占度の大きい種から順位をつける。
- 35 -
〔調査の例〕
〔結果:D〕
1.調査用紙(下表)をノートに作成しなさい。
2.1 年生植物および多年生植物の優占度の合計を計算し、それぞれの占める割合
(%)を求めよ。また、同様にして、各生育型の占める割合を求めなさい。
1 年生〔
〕
直立型(e) 〔
〕
そう生型(t) 〔
〕
多年生〔
〕
分枝型(b) 〔
〕
つる型(1)
〔
〕
ほふく型(p)〔
〕
ロゼット型(r)〔
〕
〔考察:C〕
調査地の環境条件と優占種の生活形、生育型との関係について考えよう。
〔発展:A〕
環境条件の異なる調査地を2~3ヶ所調査し比較してみよう。
- 36 -
砂の粒度分布を調べる
地学分野1
〔課題:P〕
土質試験用ふるいを用いて、川の砂と海の砂の特徴の違いを調べる。
〔仮 説 : P 〕
川 の 砂 は 、海 の 砂 と 比 べ て (
)。
〔準備:D〕 土質試験用ふるい、試料(川の中流・下流及び海岸の砂の3種類)、
電子天秤、薬包紙、電卓
〔方法:D〕
① 土 質 試 験 用 ふ る いを 、 右 図 の よ う に 上 か ら下 に 向 か っ て
順に目が細かくなるように重ねる。
② 試料(川の中流の砂)約 20g を電子天秤で量りとり、最
上段のふるいに入れてふたをする。
③ 中 の 試 料 が こ ぼ れな い よ う に ふ る い を 水 平方 向 に よ く 振
り、時々ふたを軽くたたく。
④ 試 料 が 十 分 に ふ るい 分 け ら れ た ら 、 各 ふ るい 上 に あ る 試
料の質量を電子天秤で量る。
⑤ 粒 径 の 度 数 ご と に質 量 百 分 率 を 計 算 し 、 その 関 係 を 結 果
の表にまとめる。
⑥ 横軸に粒径、縦軸に質量百分率をとったヒストグラム(考
察の右のグラフ)を作成する。
⑦ 他 の 試 料 ( 川 の 下流 及 び 海 岸 の 砂 ) に つ いて も 、 ② ~ ⑥
の 操作 を行 う。
土 質試験用ふ るい
〔結果:D〕
粒
質
径
量
(mm)
の砂
採取年月日
~ 1/4
1/4 ~ 1/2
年
1/2 ~ 1
月
1~2
日
天気
2~4
4~
合
計
(g)
質量百分率(%)
100
〔考察:C〕
① 各資料において、最も割合が多いの
は粒径がどの範囲のものか。
② 粒径 が最 も細か い試 料は 、3 つの う
ちどれか。
③ 粒径が最もそろっている試料は、3
つのうちどれか。
④ この探究から、河口からの距離と粒
径の間には、どの様な関係があるとい
えるか。
⑤ 川の砂と海の砂の特徴の違いが生じ
た理由を考えよう。
- 37 -
〔発展:A〕
① 晴れの日と雨の日では、河川の同じ場所で採取できる砂の粒度分布に違いが生
じるだろうか。違いが生じるとすれば、何が原因だろうか。
② 河口からの距離が同じであれば、どの河川で採取した砂も似たような粒度分布
になるだろうか。違いが生じるとすれば、何が原因だろうか。
③ 海岸の砂は、どの海岸で採取したものも似たような色や粒度分布になるだろう
か。違いが生じるとすれば、何が原因だろうか。
〔参考〕
試料採集場所
1:富雄川(奈良県斑鳩町)<川の中流>
2:大和川(大阪府堺市)<川の下流>
3:二色の浜(大阪府貝塚市)<海岸>
- 38 -
地学分野2
日射量を測定する
〔課 題 : P 〕 簡易日射計を用いて、地 表 付 近 の 太 陽 光線 に 垂 直 な 単 位面 積 が単 位 時間 に 受
け取る太陽放射エネルギーの大きさ(日射量)を測定する。
太陽は、核融合反応で生産した莫大なエネルギーを、絶えず周りの宇宙空間に
放射している。このエネルギーが地球の軌道上の宇宙空間に太陽光線に垂直に置
いた単位面積の板に単位時間に当たる量を太陽定数といい、その値は約 1.4kW/m2
2
(= 2.0cal/cm ・分)になる。
〔仮説:P〕
地表付近における日射量は、太陽定数と比べて(
)。
〔準備:D〕 簡易日射計、温度計、ゴム栓、くみ置き水、ストップウオッチ、メスシリンダー、
ものさし、電卓、ぞうきん
〔方法:D〕
① 日射計の金属容器の受光面の半径を
2
ものさしで測定し、受光面の面積 S (cm )
を計算する。
② 日射計の金属容器にくみ置き水を入
れ、温度計を差し込んで栓をす る 。 容
器がぬれた場合は、丁寧にふき取
る。
③ 日射計の金属容器の黒い面を上にし
て断熱容器の中にセットし、フードを取
り付ける。
④ 屋 外 に 出 て 、 太陽光線が受光面に
垂直に当たるように日射計を置く。
簡易日射計
⑤ 1 分ごとに水温を読み取り(0.1 ℃の
単位まで読むこと)
、10 分間測定を行う。このとき、雲の動きについても記録する。
⑥ 実験室に戻り、水温の変化を折れ線グラフで表し、1 分間のあたりの平均水温
上昇率 T (℃/分) を求める。
3
⑦ 日射計の金属容器内の水の体積をメスシリンダーで測り、1cm を 1g として水
の質量 M (g) を求める。
⑧ 水 1g の温度を 1 ℃上昇させるのに必要な熱量が 1cal であることから、日射計
の受光面が 1 分間に受け取るエネルギー量 E (cal/分) を求める。
2
⑨ 受光面の面積 S (cm ) と 1 分間当りのエネルギー量 E (cal/分) より、地表付近の太陽
光線に垂直な 1cm2 の面が 1 分間に受け取る日射量 R (cal/cm2・分) を求める。
〔結果:D〕
①
日射計の受光面の面積 S =
2
cm
- 39 -
②
測定日時
時間(分)
年
0
月
1
日
2
3
時
4
分
5
場所
6
雲量
7
8
9
10
水温(℃)
③
平均水温上昇率 T =
℃/分
④
金属容器内の水の質量 M =
⑤
1 分間当りの日射量 E = T × M =
⑥
太陽光線に垂直な 1cm の面が 1 分間に受け取る日射量 R
g
cal/分
2
= E÷ S=
cal/cm ・分
2
〔考察:C〕
① 日射計の受光面が黒くなっている理由を考えよう。
② 日射計の金属容器の中に、水道水よりもくみ置き水を入れる方が望ましい理由を考えよう。
③ 日射計の金属容器の中に入れる水の量としては、どれ位が適当か。またその
理由はなぜかを考えよう。
④ 太陽定数と我々が求めた日射量を比較し、それらが異なる場合はその理由を
考えよう。
〔発展:A〕
① 朝夕と昼間とでは、太陽光線に垂直な 1cm2 の面が 1 分間に受け取る日射量は
どの様に変化するだろうか。違いが生じるとすれば、何が原因だろうか。
② 日射計の受光面に色紙やカラーセロファンを貼り付けると、日射量はどの様
に変化するだろうか。違いが生じるとすれば、何が原因だろうか。
- 40 -
【探究科学の基本】
第8章
研究成果を発表しよう
≪学習目標≫
皆さんは、これまでの探究活動を通して、様々なことを発見し、考えたのではないでしょ
うか。研究成果を発表することは、探究活動の締めくくりとして、皆さんが発見したことや
考えたことを第三者に伝えるための重要な活動です。この章では、自分達の成果を第三者に
十分に伝えるためのスライドの作り方や発表の仕方といったプレゼンテーションの方法を学
びます。プレゼンテーション能力を高めることは、きっと皆さんの将来に役立つことでしょ
う。
1.プレゼンテーション用スライドを作ろう
最近は、様々な学会における発表でも、プレゼンテーションソフトで作成したスライ
ドによるものが主流になっています。そこで、発表内容を視覚的に伝えるためのプレゼ
ンテーション用のスライド作りについて学習します。まず、スライド作成について、基
本的な注意事項について述べます。
① スライドの順序について
これについては、各班の探究活動の内容によっても多少の違いはあると思いますが、
概ね次の順序にするのがよいでしょう。
表
題 (探究活動の目的が明確に分かる題名にしましょう。班名と実験者名も忘れ
↓
ずに!)
動機・目的 (「どの様な所に疑問をもったのか?」「何の目的で実験を行うのか?」
↓
について具体的に示しましょう。)
仮 説 (実験を始める前に班で考えた仮説を示します。)
↓
実験方法 (実験に用いた薬品や材料などについて示しましょう。実験装置について
↓
は、図や写真を使って分かりやすくまとめましょう。)
実験結果 (測定値は有効数字に注意して示しましょう。表や適切なグラフを用いる
↓
と効果的です。)
考 察 (表やグラフから読み取れること、仮説に基づいて考えられることを述べま
↓
しょう。)
「※ 仮説~考察を必要に応じ繰り返す。」
結 論 ( 最 初の 実 験の 目 的を 踏 まえ て 、班 で 最終 的 に得 ら れた 結 論を 示 しま す。)
↓
まとめ・感想 (探究活動を通して学んだこと、工夫したことを述べましょう。)
↓
参考 文献 ・謝 辞 ( 参考に した 書籍 や Web ペ ージ を示し まし ょう 。ま た、世 話に な
った先生にお礼を述べましょう。)
② 効果的なスライドの作り方
次に、聞き手に内容が伝わりやすい効果的なスライドの作成にあたって、全体的な注
意事項を述べます。
・文字のフォントはゴシック体、大きさは 20 ポイント以上が見やすいでしょう。
・文字は箇条書きで、1 枚のスライドに表示する文字は 7 ~ 8 行程度にします。
・文字を多用するよりも、図やグラフを活用しましょう。
- 41 -
・奇抜な効果で表現するよりも、探究本来の内容を重視したものにしましょう。
・枚数は 30 秒につき 1 枚程度にする方が伝わりやすいです。
このように、言いたいことすべてをスライドに盛り込むことは得策ではありません。
余りに文字が多いと、聞き手の関心がスライドに向かってしまい、発表者の言葉に向か
わなくなってしまう恐れがあるからです。
43 ページ以降に、本校の平成 23 年度 1 年生のあるグループが学級発表会用に作った
スライドの一部を掲載します。これらを参考にして、皆さんもより良いスライドづくり
について考えましょう。
2.スライドを用いて発表をしよう
スライドが完成すれば、いよいよ発表です。以下の事柄に注意して、自分達の探究活
動の成果が聞き手に十分に伝わるように、話し方を工夫しましょう。
・前もって発表原稿を作成しておきましょう。
・話をする人、コンピュータを操作する人等の役割分担を事前に決めておきましょう。
・発表のときは、できるだけ原稿を見ずに、聞き手の方を見て大きな声で話すようにし
ましょう。
・最も伝えたいことが分かるように、メリハリをつけて話すようにしましょう。
・質疑応答のときには、慌てずに質問をしっかり聞いて、的確に答えるようにしましょ
う。また、分からない場合は、あやふやな答えをしないようにしましょう。
では、すばらしい発表を期待しています。
- 42 -
本校生徒が作成したスライド例(物理分野)
- 43 -
- 44 -
- 45 -
本校生徒が作成したスライド例(生物分野)
- 46 -
- 47 -
探究科学レポートの書き方
A
レポートの目的
探究活動はテーマを設定し、仮説と実験計画を立て、得られた結果を検討し結論を出す
までを含んでいる。レポートは探究の過程を多くの人に伝え、他人が行っても同様の結論
を引き出すことができる形にまとめる必要がある。
B
レポートの書き方
レポートは簡潔に整理し、正確に記載するのがよい。探究活動の種類によって多少の違
いがあるが、一般的にはA4レポート用紙を使って以下のような手順で行えばよい。
それぞれ、各自で書いて提出する。
同じ班のメンバーでも、結果の処理の方法や考察、結論は異なってくる。ここが、各自
の個性と探究する心を出すところである。
Ⅰ
表紙
探究活動テーマ
報告者
年
共同実験者氏名
Ⅱ
※
組
番
氏名
内容(記載する項目と順番)
① 探究活動の目的と仮説
探究活動の動機・目的を明確に書く。
学習した内容や調査した事柄から結果を予想し、仮説を書く。
②
探究活動の方法
使用した実験器具や用いた物をすべて書く。
実験方法や探究方法の概略(流れ)を簡潔に示す。図を利用するとよい。
③
結果と処理
実験経過や結果、測定データなどを図・表・グラフなどを用いてわかりやすく
書き、説明を加える。
④
結果の考察
実験結果から明らかになったことを仮説と比較してまとめる。
このとき、事実と意見と文献からの引用は明確に区別すること
⑤
結論
目的に対して探究活動で明らかになったことをまとめる。
⑥
感想と今後の課題
探究活動の方法や実験手順で改善できる点を反省する。
結論をふまえて疑問点が生じれば、新たな仮説や実験計画を提案する。
⑦
参考文献
探究活動や実験、報告書、レポートの中で参考にした資料、文献、HPや書籍
などを書く。
レポートの締め切りは
月
日(
- 48 -
)です。
謝辞:
この冊子の作成にあたり、本校生徒の磯田美津希さん、安田幸司君にイラストを
描いていただきました。この場を借りて感謝いたします。
スーパー探究科学参考資料≪基礎・基本編≫
2012 年 3 月 5 日
発行
奈良県立青翔高等学校理数科 編
〒 639-2271 奈良県御所市 525 番地
Tel: 0745-62-3951
印刷: 実業印刷株式会社
〒 630-8144 奈良市東九条町 6-4
Tel: 0742-62-3377
- 49 -
Super Science High school
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