Comments
Description
Transcript
保健分野の国際協 国際協 機構(JICA)
保健分野の国際協⼒ 国際協⼒機構(JICA) ⾦井 JICA ⼈間開発部 要 技術審議役 2016年5⽉21⽇ 産官学シンポジウム2016 世界の潮流: MDGsからSDGsへ SDGs(持続可能な開発目標) 2015年~2030年 MDGs(ミレニアム開発目標) 2001年~2015年 2030年 アジェンダ 17ゴール(目標)、169ターゲット 特徴 全ての国を対象とする普遍的な目標 • 人々を中心とし、「誰も取り残されない」重視 • 開発レベル・状況等に合わせた各国版SDGs • グローバルパートナーシップの重要性 • フォローアップ・レビュー体制の重視 etc… 8ゴール(目標)、21ターゲット、60指標 評価 途上国の貧困削減を目指し、単純明快、 期限付きの数値目標が示された 問題点 • 課題の複雑化や国内格差に目が届かない • 効率性や効果向上への視点が希薄 etc… ゴール4 乳幼児死亡率の削減 ゴール5 妊産婦の健康の改善 ゴール6 HIV/エイズ、マラリア、その他の 疾病の蔓延の防止 Health ゴール3 あらゆる年齢の全ての人々の健康的 な生活を確保し、福祉を推進する 2 SDGs 抜粋 持続可能な開発目標 目標 1. あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる 目標 2. 飢餓を終わらせ、食糧安全保障および栄養改善を 実現し、持続可能な農業を促進する 目標 3. あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確 保し、福祉を促進する 3 目標3.あらゆる年齢のすべての人々の健康的 な生活を確保し、福祉を促進する 3.1 2030年までに、世界の妊産婦の死亡率を出生10万人当たり70人 未満に削減する。 3.2 すべての国が新生児死亡率を少なくとも出生1,000件中12件以下 まで減らし、5歳以下死亡率を少なくとも出生1,000件中25件以下ま で減らすことを目指し、2030年 までに、新生児及び5歳未満児の 予防可能な死亡を根絶する。 3.3 2030年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病 といった伝染病を根絶するとともに肝炎、水系感染症及びその他の 感染症に対処する。 3.4 2030年までに、非感染性疾患による若年死亡率を、予防や治療を 通じて3分の1減少させ、精神保健及び福祉を促進する。 3.5 薬物乱用やアルコールの有害な摂取を含む、物質乱用の防止・治 療を強化する。 (国連文書A/70/L.1を基に外務省で作成) 4 3.6 2020年までに、世界の道路交通事故による死傷者を半減させる。 3.7 2030年までに、家族計画、情報・教育及び性と生殖に関する健康 の国家戦略・計画への組み入れを含む、性と生殖に関する保健サー ビスをすべての人々が利用できるようにする。 3.8 すべての人々に対する財政リスクからの保護、質の高い基礎的な 保健サービスへのアクセス及び安全で効果的かつ質が高く安価な必 須医薬品とワクチンへのアクセスを含む、ユニバーサル・ヘルス・ カバレッジ(UHC)を達成する。 3.9 2030年までに、有害化学物質、ならびに大気、水質及び土壌の汚 染による死亡及び疾病の件数を大幅に減少させる。 3.a すべての国々において、たばこの規制に関する世界保健機関枠組 条約の実施を適宜強化する。 (以下略) (国連文書A/70/L.1を基に外務省で作成) 5 ⽇本:開発協⼒⼤綱と基本⽅針 開発協力大綱 基本方針 【開発協力大綱】2015年2月 平和国家として、国際社会の平和、 安定、繁栄に積極的に貢献。 人間の安全保障の推進を明示 開発途上国とパートナーとして協働 保健 【平和と健康のための基本方針】2015年12月 公衆衛生危機・災害等の外的要因 に対しても強靭な健康安全保障体 制の構築 生涯を通じた基礎的保健医療の継 ぎ目のない利用を確立し、UHCの 達成 日本の保健人材、治験、医薬品、 医療機器及び医療技術並びに医 療サービスの活用 6 JICA保健分野の協⼒ (1)ユニバーサルヘルスカバレッジ(UHC) (2)5Sカイゼンを用いた病院運営の改善 (3)結核 (4)地球規模課題対応国際科学技術協力 (SATREPS) 7 (1)-1 UHC(ユニバーサルヘルスカバレッジ)とは ① すべての人々が、 ② 必要とする健康増進、予防、治療、リハビリに 関する保健サービスを 経済的 ③ 負担可能な費用で アクセス ④ 受けられる状態 Everyone, everywhere, can access Quality health services with affordable Price, without facing financial hardship. 物理的 社会的 アクセス アクセス サービスの質 8 (1)-2 UHCの取り組み(例:ケニア) 地⽅分権下での医療保障の拡⼤と質の良いサービスの確保 リーダーシップ 保健省 UHCアドバイザー(個別専門家) (中央政府) ・ 政策策定・保健財政改革支援(◆) ・ UHCロードマップ策定支援(◆) ・ UHC関連改革への技術的助言 ・保健省政府間調整局役割の確定(◆) カウンティ(県) 政府 技プロ「地方分権下におけるカウンティ保健シ ステムマネジメント強化プロジェクト」 医療保障 質の良いサービス 一次医療施設成果連動型支払 保健人材の定着・サービスの質向 上を目的とし、全乾燥・半乾燥地域 全公立一次施設に拡大 ◆政策アクショ ン:実施マニュア ルの対象地域へ の共有 ・保健省カウンティ支援体制の強化 ・カウンティ保健局マネジメント強化 -計画、予算、巡回指導 -研修、相互学習 貧困層向け健康保健 補助プログラム 各カウンティ貧困900 世帯への健康保健無 料加入、対象病院・保 健施設への補填 ◆政策アクション:実施 マニュアルの最終化 住民/コミュニティのオーナーシップ コミュニティヘルス 技プロ(実施済) 「コミュニティ保健戦略強化プロジェクト」 9 現場ニーズに基づいた政策策定能力強化 円借款 無償産科サービス 公立病院での出産無料化 来年度以降産前産後検診、 緊急産科ケア、1歳未満児 外来・入院の無料化を目標 政策アク ション(◆) ◆政策アクション:コンセプ ト・ノートの作成、2014/15 年度予算の確保 ◆政策アクション: コミュニティヘルス標準書の最終化 (2)-1 5Sカイゼンを⽤いた病院運営の改善 ・ヒト・モノ・物資、いずれも⾜りない開発途上国の病院で、 病院スタッフ全員が取り組み医療サービスの提供を改善をする ために、⽇本の産業界で発展した品質管理⼿法を導⼊ ・5Sとは: 整理、整頓、清掃、清潔、しつけ、に トップと現場スタッフが共に取り組む 職場環境改善 ・参加型で、組織的な質管理促進の仕組み として、「質改善チーム」を編成し、 これらのチームが主体的に質改善活動を推進する 5S‐KAIZEN Before After ・5SとKAIZEN: ある程度5Sの成果を挙げた医療施設に、より 継続的に業務の改善をはかるKAIZENを段階的に導⼊していく 10 (2)-2 5Sカイゼンを⽤いた病院運営の改善 2007年、JICA「きれいな病院 プログラム」により、スリランカ の知見をアフリカ15か国に普 及(緑・青の国)。その後、各国 の要請を受け、技術協力プロ ジェクトにより他国(ピンクの 国)に拡大。 成果:患者待ち時間の短縮、患者満足度の 向上、医薬品のストック切れや使用期限切れ の削減、医薬品購入コストの削減、保険金申 KAIZENが全組織 請書の記入改善による病院への還付金の増 的に実施され、組織 加、点滴に伴う静脈炎の減少等 機能が最適化した 状態 現場スタッフがチー ムワークで知恵を 出し合い業務内容・ 業務プロセスのム リ・ムラ・ムダを省く その後、バングラデシュ、カ ンボジア等にも拡大。JICA の支援を通じ、現在22か国 の500以上の医療施設で実 践されている。 2000年、スリランカキャッスルストリート 病院のカランダゴダ院長が同手法を病 院に適用。病院環境が劇的に改善。 5S-KAIZEN-TQM:日本の自 動車産業により産み出された 11 品質管理手法 病院内における質向上のための仕組み作り: 質改善チームの形成(QIT: Quality Improvement Teams, WIT: Work Improvement Teams) (3)-1 JICAの結核予防⽀援 JICAは1990年代から100ヶ国以上で結核予防支援を実施。 技術協力プロジェクト(DOTSによる結核治療、人材育成等)機材供与、無償資金協力、結 核予防会研究所が実施する結核技術研修等の支援を行っている。 エジプト ※2014年時点の実施中案件 アフガニスタン アフリカ向け第三国研修「結核エ イズマネジメント能力強化」プロ ジェクト 2011年6月~2014年3月 結核対策プロジェクト フェーズ2 2009年10月~2014年10 月 中東諸国向け結核プロジェクト 2011年4月~2014年3月 中華人民共和 国 国家級公衆衛生政策計 画管理プロジェクト 2012年3月~2016年3月 フィリピン マニラ首都圏都市貧困地 区における結核感染・発 病予防モデルプロジェクト ザンビア 住民参加による結核診断・治 療支援モデル拡大プロジェク ト (草の根技協) 2012年4月~2015年3月 (草の根技協) ミャンマー 2011年6月~2014年6月 主要感染症対策プロジェク ト・フェーズ2 2012年3月~2015年3月 ブラジル 12 ポルトガル語圏アフリカ諸国対 象結核対策コース 2010年10月~2015年3月 (4)‐1 地球規模課題対応国際科学技術協力(SATREPS) Science and Technology Research Partnership for Sustainable Development:SATREPS ・環境・エネルギー、生物資源、防災、感染症対策の地球規模課題について、我が国と開発途上国の研究 機関が、外務省・JICA及び文科省・JST/AMED連携による支援のもと国際共同研究を実施。 ・共同研究を通じ、問題解決につながる成果を創出するとともに、開発途上国研究機関の能力向上を図る。 文科省・JST/AMED 連携 技術協力 支援 我が国の 研究機関 外務省・JICA 地球規模課題の解決に 向けた国際共同研究 連携 開発途上国の 研究機関 開発途上国自らの課題解決へ取り組む能力を強化 13 (4)‐2 SATREPS 感染症対策 HIV/エイズ、マラリア、デング熱、結核、高病原性鳥インフルエンザなど新興・再興感 染症は、人と物の往来が盛んであり現代においては、一国の問題にとどまらない地球 規模の課題です。 日本と途上国との研究機関の共同研究は、地球規模の課題の解決に向けた成果の みならず、途上国の研究能力を向上させ、日本に感染症分野の経験や知見を深めるさ せる効果もある。また、日本にないNTD(忘れられた熱帯疾患)を対象にした研究も行 われ、相互の若手研究者を育成する機会でもある。 • SATREPS 感染症分野 (参考) 実施中: 10 カ国・10 課題 SATREPS 全体 (気候変動、低炭素社会・エネルギー、環境、防災; 感染症も含む) 実施中 : 67 課題 終了 : 37 課題 14 SATREPS 感染症案件リスト(1) 国名 案件名 主幹 研究機関 共同研究期間 バングラディッシュ 顧みられない熱帯病対策-特にカラ・アザールの診断 体制の確立とベクター対策研究プロジェクト 東京大学医学部付属病院 201106-201605 ケニア 黄熱病およびリフトバレー熱に対する迅速診断法の開発と 長崎大学熱帯医学研究所 201201-201701 そのアウトブレイク警戒システムの構築 ベトナム 薬剤耐性菌発生機構の解明と食品管理における耐性菌 モニタリングシステムの開発 大阪府立公衆衛生研究所 小児呼吸器感染症の病因解析・疫学に基づく予防・制御 に関するプロジェクト 東北大学医学系研究科 アフリカにおけるウイルス性人畜共通感染症の調査研究 プロジェクト 北海大学人畜共通感染症 南部アフリカにおける気候予測モデルをもとにした感染症 流行の早期警戒システムの構築 長崎大学熱帯医学研究所 フィリピン ザンビア 南アフリカ 15 201203-201703 201104-201710 201306-201805 201405-201904 SATREPS 感染症案件リスト(2) ラオス タイ ラオス国のマラリア及び重要寄生虫症の流行拡散制御に 向けた遺伝疫学による革新的技術開発研究 国際医療研究センター 効果的な結核症対策へ向けたヒトと病原菌のゲノム情報の 東京大学 統合的活用 インドネシア インドネシア ガボン 201504-201904 インドネシアの生物資源多様性を利用した抗マラリア・ 抗アメーバ新規薬剤リード化合物の探索 筑波大学 地球規模飛行オオコウモリを対象とした狂犬病及び 関連ウイルスの網羅的解析とその防圧(仮) 名古屋大学 ウイルス出血熱等の原因不明の感染症の病原体同定と 長崎大学 熱帯医学研究所 ウイルス感染症の現地診断システムの構築 ガーナ 201405-201905 (仮題) ガーナにおける感染症サーベイランス体制強化とコレラ菌 ・HIV等の腸管粘膜感染制御に関する研究 16 (仮題) 201504-202003 201507-202007 2016年度開始 東京大学医科学研究所 2016年度開始 ご静聴 ありがとうございました。 金井 要 [email protected] 17 17