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Ⅲ 中学校編 - 東京都教育委員会

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Ⅲ 中学校編 - 東京都教育委員会
Ⅲ 中学校編
- 51 -
1 中学校における安全教育
中学生の時期は、端的にいって、いわゆる幼少の時期から本格的な青年期に移行する過渡期に
あるといえる。そこには、自己概念の著しい発達が見られ、一つの転換期を形作っている。理想
とする自己像と現実の自己とが相いれないため、
「悩み」の現象が目立ち始める時期である。
この悩みが増大するとともに苦痛を感じ、孤独感を深め、時として自己沈潜的になる。そこで
は当然、
情緒は不安定になりがちであって、
衝動的な行動や自己中心的な行動に走る場合もある。
しかし、これはあくまでも一過性のものであって、自己概念確立の模索の時期の特徴ともいえ
る。
このような中学生の発達の特徴と安全指導との関係について考えてみると、まず、安全の確保
にとって極めて重要な情緒の安定と自己統制の問題点が指摘される。すなわち、過渡的な現象で
あっても、気分の変化が大きく衝動的な行動が時として見られることは、安全指導にとって見逃
せない特徴である。また、認識力や理解力は高まっているから、安全のためのきまり・約束等そ
の防止の仕方などについては、言葉の上での了解は容易であるが、物思いにふけっていたり、考
え事をしながら道路を横断したり、感情を抑えきれずに、衝動的に無分別な行動に走ったりする
ことは、直接、生命の危機へとつながる可能性があるからである。
道徳・規範意識の形成とも関連してくるが、理解していることと実際の行動とのずれが問題と
なってくる時期でもある。つまり、交通規則は十分知っていても、平気で自転車の二人乗りをし
たり、信号を無視して斜め横断をするといったような例が見られる。
認識の発達とともに、集団への関心と適応が見られるが、このことは、自分一人の安全だけで
なく、広く学校全体や地域社会の安全に対して積極的な意欲を育成させる好機であるといえる。
このために、学級活動や生徒会活動などの場をとらえて、友人や仲間・集団の影響を活用し、自
他の生命尊重や安全に関する態度の育成を図る工夫も必要である。
安全教育には、安全に関する基礎的・基本的事項を系統的に理解し、思考力、判断力を高め、
働かせることによって意志決定できるようにすることを目的とする側面と、当面する安全に関す
る課題を中心に取り上げ、安全の保持増進に関するより実践的な能力や態度、さらには望ましい
習慣の形成を目指して行う側面があり、相互の関連を図りながら、計画的、継続的に行われるも
のである。このことを、教育課程の領域に即して考えてみると、主として、前者は教科保健体育
を中心とし、理科などの関連した内容のある教科で、後者は、特別活動の学級活動や学校行事な
どで行われることが多いと考えられる。
この際、生徒が安全にかかわる問題について興味・関心をもって積極的に学習に取り組み、思
考力や判断力を身に付け、安全な生活が実践できるように、例えば、実習や見学、調査等を伴う
課題学習の展開、視聴覚教材や資料の活用などの工夫が必要である。
この手引きにおいては、各教科、特別活動、総合的な学習の時間における安全指導を中心に、
安全管理及びそれらの活動を円滑かつ適切に進めるための指導内容について取り扱うものである。
- 52 -
2 理科
理科学習における観察や実験、野外観察などの活動は、科学的な知識を得たり、問題解決能
力を養う上でも、重要なものである。また、技能の育成は、実際に観察、実験を行うことを通
じて身に付けることができるものである。このような理科学習における主要な活動を安全で適
切に行うためにも、事故の防止、薬品の管理や廃棄物の処理などについて十分配慮することが
必要である。
(1) 安全管理と安全教育
① 観察、実験の準備
ア 生徒が観察、実験を行う上で安全上の問題がある場合は、教員による演示実験にする。
イ 必ず事前に教員が観察、実験を行い、指導法について再確認する。
ウ 教科書に記載されている観察、実験方法等を熟知し、教科書に示された適切な方法で実
施する。
② 観察、実験前の注意事項
ア 生徒には、教員の指示に従うように注意し、勝手な行動をさせない。落ち着いて観察、
実験を行う姿勢を身に付けさせる。
イ 机上の整理を行い、観察、実験に必要のない物は、机上に置かない。
ウ 必要に応じて保護めがね・手袋等を生徒に付けさせる。
③ 実験の心得(倉林源四郎「実験五則」より)
ア 安全第一・・・実験への不安をもたせないようにする。
イ 百発百中・・・生徒にとって、一回しかない実験を必ず成功させる。
ウ 装置簡易・・・生徒の発達段階に合わせた装置を設定する。
エ 観察徹底・・・結果や観察が明確な方法を選ぶ。
オ 整頓清潔・・・雑然とした実験室や机上は、事故のもとである。
④ 事故が起きた場合
ア 薬品による中毒・・・・専門医に受診する。その場合、薬品名、量、中毒の状況(皮膚
付着・吸入・飲み込みなど)と症状、発生の時刻をはっきり記述
し、記録をとっておく。
イ 薬品による炎症(必ず、医師の受診を受ける)
・皮膚に付着・・・・・基本的には多量の水で洗う。水の勢いに注意する。
・目に入ったとき・・・液体の場合は、止水で目を洗う。固体の場合、涙で流されるが、
それ以外は、傷の拡大や感染の危険があるので、目を動かさない
ようにし、医師の診断を受ける。
ウ 衣服に付いた場合・・・多量の水で洗う
エ ガス中毒・・・・・・・すぐに新鮮な空気を吸えるよう、換気する。
- 53 -
(2) 事故防止への対応
① 理科室での事故
ア ガラス器具による事故
・ゴム栓にガラス管を通す時の事故
ガラス管と同じ太さのコルクボーラーを使用。石鹸水で濡らし管を短く持ち回しなが
らゆっくり差し込む。
・温度差による破損事故
耐熱ガラス以外の容器に、高温の液体を入れない。
集気瓶を用いた燃焼実験を行うときは、金属製の蓋を使用するとよい。
・スライドガラス上での蒸発実験による事故
スライドガラスをしっかりつかみ、回しながら加熱する。熱い残留物が飛び散らない
よう留意する。スライドガラスの代わりに蒸発皿を使用し、加熱器具としてドライヤー、
ホットプレート等で加熱する。
イ アルコールによる事故
・アルコールに火が引火する事故
アルコールを用いた実験は、アルコールが気化し、引火性が高いので直火で加熱しな
い。移動するときは必ず周辺の火を消す。
・葉をアルコールで湯銭する時の事故
引火の恐れがあるので、アルコールに火を近づけない。ホットプレート等を使用する
とよい。
ウ 加熱操作による事故
・ガスバーナーによる事故
調節ねじが、スムーズに動くように調整する。筒が熱いことがあるので注意する。引
火した場合等、危険が生じた場合、元栓を閉める。
・加熱器具による事故
三脚等、他の装置も加熱している事を注意する。三脚を使用して過熱しているビーカ
ーの落下に注意する。
・試験管で液を加熱するときの事故
液量を試験管の 1/5 程度、沸騰石をいれる。人の方に試験管の口を向けない。
100℃以下の温度なら湯煎等の方法も考える。
・マグネシウムの燃焼時の飛散と、強い閃光による事故
マグネシウムは非常に高温になっているので触れさせない。
閃光を、長時間見つめさせない。
・酸化銅の還元時の事故
試験管に穴が開くことがあるので、装置の下に耐火板をしく
エ 薬品による事故
・アルカリ水(水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、アンモニア)の電気分解、中和反応による事故
※ 生徒に NaOH 水溶液を作らせない。
発熱するので水に少量ずつ NaOH を加えていく。NaOH 水溶液が手や目に付かない
ようにする。実験後の液にアルカリが入っているので気を付ける。
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アンモニアガスは換気をよくし、直接吸わないようにする。
・酸(塩酸、硫酸)による事故
※ 生徒に硫酸を希釈させない。
手に付けない、目に入らないようにする。塩素ガスは有毒なので換気をよくし、直接吸わな
いようにする。
・過酸化水素水による事故
瓶を開けるときは、圧力が高いので蓋の開け方に注意する。薄めた過酸化水素水も手に付か
ないように、目に入らないようにする。
オ 気体発生の実験時の事故
・酸素、二酸化炭素発生時の事故
薬品の濃度や量を最小限にする。容器の圧力破損に気を付ける。教科書に示されたガラス容
器の使用法を遵守する。
・水素発生時の事故
薬品の濃度や量を最小限にする。水素を発生させる実験は、爆発の危険があるので取扱いに
注意し、水素の燃焼実験は試験管を使用する。
・アンモニア、塩素、硫化水素発生時の事故
有毒なので換気をよくし、直接吸わないようにする。
カ レーザー光使用による事故
・レーザー光が目に入って網膜を焼いてしまう事故
出力が低いレーザー光でも目に絶対入れない。
キ 放電実験による事故
・放電実験による事故
高電圧になるので演示実験では、
生徒を近付けない。
目の保護のため放電を長時間見せない。
ク 不要薬品、廃液、使用器具の処理
・有機金属を含む塩類の処理
廃液業者に委託し、適切に処理する。
・空き瓶、割れたガラス器具の処理
薬品空き瓶、実験中に割れたガラス器具は、水でゆすいでから廃棄する。
ケ 器具の管理
・実験前・・・準備した実験台の薬品、器具等の管理を徹底する。
・常 時・・・薬品や実験器具等についての危険性、実験上の注意を徹底する。
理科室や準備室の整理、整頓、薬品と実験器具の管理を徹底する。
・理科室を不在にする時は、必ず施錠する。
- 55 -
② 動・植物における事故
ア 毒草によるかぶれ
ウルシ科の植物は触れるとかぶれることがある。
イチョウやクルミの実も触れるとかぶれる。
山野の散策前には、主な有毒植物を調べておき、散策コースは事前に下見をしておく。
生徒のアレルギーの有無を調査しておく。
イ 毛虫の毒棘、ハチ刺され毒
毛虫の仲間のドクガ科(ドクガ、チャドクガ)、カレハガ科、イラガ科、マダラガ科、ヒトリ
ガ科は毒がある棘(とげ)や針を持つので、むやみには触れない。
ハチは人が巣に近付くと数匹が旋回し始める。静かにその場を去る。ハチなどは動き回った
り大声を出すと興奮して襲ってくる。
また、ハチに刺さされた場合には、アンモニア水(尿)は傷を悪化させることもあるので塗
らず、冷やすなど応急処置をして、医師に見せる。
③ 屋外における観察実験の事故
ア 太陽の観察
太陽は直接裸眼で観察しない。また、ススを付着したガラス版、フィルムを使った遮光は不
十分であるばかりでなく、
逆に目の瞳孔を広げて、
紫外線をより多く受けるので絶対にやめる。
観測は、望遠鏡やピンホ-ルにて投影した太陽像で行う。太陽を直視する場合は、遮光プレ
ート(JIS T8141、遮光番号13以上)を使う。
イ 屋外での熱中症、日焼け
炎天下における長時間の観察・作業は熱中症や日焼けになる。服装は、皮膚の露出部分が少
ない、通気性のよい服、帽子が基本である。水筒は持参して給水ができるようにする。
日焼けは一種のやけど状態である。
観察中は、たえず生徒の動きを監督し、適宜休息をとらせる。
ウ 川、池、海など水辺の観察
水辺の観察には危険が伴う。
生徒は種々の興味に目を奪われて足元を見ていないことがある。
運動靴に靴下、軍手、帽子を着用させる。ビーチサンダルは水に入ると浮いてしまうので絶対
に履かせない。
常に生徒を監督し、人数確認ができる位置に身を置く。
エ 地層の観察
地層の観察、化石採集は、つい作業に集中することが多く、まわりの注意を怠り転倒、転落
や滑落がある。また、岩石ハンマー、タガネなどはむき出しにせず、カバンに入れ運ぶ。
経験のある場所でも、状況の変化が考えられるので実地踏査を行う。
- 56 -
④ その他、自由研究等における事故
ア ペットボトル
ペットボトルは、ソーダー水作りやペットボトルロケット実験で破裂の危険がある。ペッ
トボトルには、炭酸飲料用と非炭酸飲料用の2種類がある。内部から圧力をかける実験には
炭酸飲料用を使う。また、傷があると破裂するおそれがあり、傷のない新しいものを使う。
ペットボトルに実験用の薬品を入れ、それを幼児が飲んでしまった事故がある。実験で使
用中のペットボトルの扱いには、細心の注意を払う。
イ ドライアイス
ドライアイスを使った実験では、ガラス瓶を使ってソーダー水作りをして瓶が破裂する事
故がある。ガラス瓶は圧力に耐えられないので使わない。ペットボトルを使う場合も分量等
をよく調べる。
ドライアイスは非常に低温なので、素手では絶対にさわらないように指導をする。
ウ 紫外線・赤外線
強い光源やブラックライトを直接見ると、角膜や結膜に炎症をおこすことがある。目に入
る光のエネルギーは、光源から距離の2乗に反比例するので、光源から十分離れる。
また、光源を直接見ることができないようにカバーを付けるように指導する。
エ 気体の発生
気体の発生実験は、家庭にある身近な材料でできる。実験をする場合は、実験方法が適切
かどうか、教員から指導を受ける。
実験にあたっては、気体の性質をよく調べ、使う材料も最小限にするとともに、換気のよ
い所で行い、絶対に一人では実験をしないように指導する。
オ 圧電素子の火花放電
圧電素子は安価のライターなどにも使われており簡単に手に入る。しかし、電流は強くな
いが、電圧が高いので心臓疾患のある人は使い方に注意をする。
金属部分は絶縁テープを巻き、金属部分が人体に触れないように指導する。
カ インターネット等で調べたあいまいな実験の方法
自由研究の情報が簡単に手に入る反面、実験方法、使う材料、実験結果など、あいまいな
記述がしてあることもあり、失敗やケガをしても自己責任になる。
情報収集として検索するにはよいが、実際に行う場合は、専門の本で調べたり、教員に相
談するように指導する。
(3) 学校管理下における理科での事故事例
① 日本スポーツ振興センターの報告より
理科に関する事故の発生件数は、平成 14 年度では5件(小学校4件、中学校1件)
、平成 15
年度では 11 件(小学校4件、中学校6件、高等学校1件)である。過去の事例を分析し、事故
原因の多い順から示すと、遊びとふざけによる事故(49件)
、手工具に関する事故(40件)
、
アルコールランプに関する事故(37件)
、ガラス器具に関する事故(29件)などである。
原因は、児童・生徒のふざけによる事故が多く全体の14%を占める。しかし、アルコール
ランプ、手工具の取り扱い、ガラス容器を使用する実験等の事故例も多く、原因の 45%にも達
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する。教員も理科実験に関する最新の知識や技能を身に付け、事故防止に努めるとともに、生
活指導の徹底により、生徒を授業に集中させなければならない。
② 中学校における事故例
・酸素を取り出す実験中、過酸化水素水を過熱していたところ、容器の試験管が爆発。
・教員が食塩水を染み込ませたろ紙を蒸発皿の中で燃やす実験中、アルコールランプにアルコー
ルを継ぎ足そうとしたところ、アルコールビンに引火。慌てて、ビンを戻そうとしたところ火
が飛散。
・水の沸点の実験終了時、スタンドに吊るしてある温度計をはずそうとしたところ、三脚がスタ
ンドからはずれ、熱湯が入ったビーカーが落下し、生徒に熱湯がかかる。
・エタノールによる燃焼実験中、噴射したエタノールが生徒の衣服に引火した。
・蒸発皿の中の火が、ポリ容器に入っていたメタノールに引火。
・三角フラスコで、水素を発生させ、試験管で捕集していたところ、生徒が直接ガラス管の先に
マッチの火を近づけ引火、三角フラスコが爆発。
③ 事故防止の方策(平成 18 年 1 月 23 日付 17 教指企第 1003 号「学校の理科実験等における事故
防止について(通知)
」より抜粋)
ア 実験等における安全確保の徹底
・教員は、指導する観察、実験についての十分な知識を身に付け、教科書に示された用量・方
法で予備実験等を行うなど安全を確認するとともに、過去に起こった事故や予想される事故
に関する対策を講じるなど、周到な配慮をする。
・実験時には、児童・生徒が慎重な態度で学習するよう十分に指導するとともに、実験方法及
び危険性について周知徹底する。
・児童・生徒の発達段階を考慮し、授業の目標や内容に応じて、安全を確保する能力・態度が
育つようにする。
イ 薬品の性質を踏まえた適切な学習指導の実施
・年間・単元・週ごとの指導計画に加え、各実験ごとの指導計画を立てる。その際には、指導
内容や使用する試薬の量・器具の種類など事故防止の観点に立った十分な検討を行う。
・実験の指導に当たっては、予備実験を行うなど十分に準備を行う。
・毒物又は劇物等危険を伴う薬品を扱う際には、必要に応じて、保護眼鏡、白衣等を着用する
など、服装等について十分配慮する。
ウ 安全確保に向けた生活指導の徹底
・児童・生徒が自ら進んで安全を守る習慣を身に付けられるように、学校の教育活動全体を通
じて生活指導を徹底する。
・児童・生徒の実態に即して生活指導や安全教育の全体計画を見直し、改善を図る。
・管理職は、授業観察等を通じて児童・生徒の実態を把握するとともに、指導計画や週ごとの
指導計画、学習指導案等を点検し、日ごろから生活指導及び事故防止の徹底を図る。
〔参考資料〕
○「観察、実験事故防止の手引き」
(四訂版)平成7年3月 東京都教育委員会(
「東京都教育指
導必携」368 ページ参照)
○「学校等における理科系実験用薬品類の管理について」
(昭和 53 年 8 月 5 日付 53 教指管収
第 182 号)
(平成17年版「教育例規集」1795 ページ参照)
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3 美術
学習指導要領には、
「事故防止のため、特に、刃物類、塗料、器具などの使い方の指導と保管、
活動場所における安全指導などを徹底するものとする。
」とある。
美術科は表現活動を行う上で、さまざまな材料を加工して作品を制作する場面が多い教科であ
り、それらの材料については教員がその特徴や性質をよく理解し、制作する上で必要な用具や道
具類を適切に生徒が扱うことができるよう指導する必要がある。それぞれの材料や用具は、生徒
にとっては初めて扱う場合も多い。落ち着いた雰囲気の授業の中で適切な扱い方や安全に対する
心構えについて指導することで、基礎的技能を身に付けさせることが重要である。
(1) 安全管理
安全に関する点検項目
項
目
授業前
点
検
内
容
チェック欄
使用する用具の動作の確認、状態の確認を行っているか。
事前に予備の制作を行っているか。
安全に対する指示を行ったか。
授業中
実技の制作に必要なものが整とんされているか、不要なものはないか。
実技の制作に適した服装、身なりか。
けがをした生徒がいたか確認したか。
授業後
使用した用具は破損、紛失していないか。
使用した用具の保管、準備室等の施錠を確認したか。
項
目
点
検
内
容
チェック欄
使用前に刃物(はさみ、カッターナイフ、彫刻刀、のみ、金切りばさ
み、ペンチなど)、電動工具類(糸のこ盤、ベルトサンダーなど)の状態
を確認したか。
刃物
安全に配慮した使い方を十分に説明したか。
工具類
材料や用具を必要に応じ、適切に固定することができるか。
使用後の状態を点検・確認したか。
材料や用具は使用、片付けを行いやすいように整とんされているか。
項
目
点
検
内
容
使用前に半田ごて、バーナーなどを点検したか。(コード類、火口など
の状態)
火器類
使う場所には引火性の高いものは置かれていないか。
消火用具(濡れ雑巾など)は準備されているか。
使用後の点検、除冷などの後始末は適切に行われたか。
- 59 -
チェック欄
項
目
点
検
内
容
チェック欄
使用前に、薬品等の量、状態を点検したか。
適切な濃度に調整してあるか。(必要な濃度に教員が調合する)
塗料類
勝手になめたり、臭いを嗅いだり、手につけることの無いように指示が徹
薬品類
底されているか。
(有機溶剤
など)
換気(窓の開閉、換気扇)に気を付けているか。
ぬれ雑巾、吸い取り紙などが準備してあるか。
残った薬品等の扱いについて指示がなされているか。(集める場所、処
理方法)
項
目
点
検
内
容
チェック欄
薬品等は、直射日光が当たらず温度の変化が少ない場所などに適切
に保管してあるか。
塗料類
使いやすさ、安全性を考え、分類整理して保管してあるか。
薬品類
発火性の高いもの、危険性の高いものなどを分類してあるか。
の
溶剤や薬品にはラベル表示があり内容物が明示されているか。
管理、購入
薬品等は、多量に保管せず、年間指導計画に基づいて適切に購入し
ているか。
溶剤や、薬品の在庫量を把握しているか。
項
目
点
検
内
容
出入り口などが整とんされ、不要なものは置かずに十分な広さを確保し
てあるか。
施設・設備、道具や用具等についての基本的な使い方の心得が分かり
やすく示されているか。
電気のコンセント、水道など破損などの状況を確認してあるか。
美術室
使い残しの塗料・薬品などは分別され、定められた場所に置かれている
か。
換気(窓、換気扇)は十分に行えるか。
火気、戸棚や窓の施錠などの安全の確認は行われているか。
備品、物品の管理は適切に行われているか。
簡単な救急薬品は常備されているか。
- 60 -
チェック欄
項
目
点
検
内
容
チェック欄
戸棚、大型備品などが固定されているか。
戸棚には、材料、用具などが、転落、落下、飛散しないための措置は
地震などの
防災
行われているか。
美術室・準備室内には消火器材が置かれているか。
・消化器
・水、バケツ
・ぬれ雑巾
等
(2) 安全教育
安全な作業を行う上での留意事項
ア 材料の切断
カッターナイフの使用
○ カッターナイフは、刃こぼれがなく、刃先が
切れる状態であることを確認する。
○ 直線を切る場合は定規などを使い、しっかり
固定する。
○ 厚いものを切る場合は、同じ場所を数回に分
け切断する。
のこぎりの使用
○
のこぎりの刃先に刃こぼれがないか確認す
る。
○ 材料をしっかり固定できる状態を確保する。
金切りばさみの使用
○ 刃先に、刃こぼれがないか確認する。
○ 刃先まで使わずに、刃の奥の方で切断し、こ
まめに切断を進める。
○ 切断のあとに残ったバリ、メクレはヤスリで
削る。
- 61 -
糸のこ盤の使用
○
機械をボルトなどで台に固定し、台も
動かないようにする。刃の種類、刃先の
向きを確認し、本体にしっかりと固定す
る。
○
材料押さえの金具を適切な状態に固定
する。
○
無理な力で材料を押したり、急な角度
の切断を行わないようにする。
○ 適切な力で押さえながら切り進む。
○ 適切な厚さの材料を切断する。
イ 彫る
彫刻刀の使用
○ 刃先に刃こぼれがないかを確認する。
○ 材料を固定用の台などを使って滑らないようにする。
○ 刃先の進む方向に手などを置かない。
○ 無理な力で深く彫ろうとしない。
ウ 削る
ヤスリの使用
○ 材料を固定し、適切な力で押しながら削る。
○ 素材に合わせ、適切なヤスリを使用する。
ベルトサンダーの使用
○ ベルトサンダー本体を固定する。
○ ベルト部分の粒度、張りを適切に調整し確認する。
○ 機械の回転が安定してから、適切な力で研磨を行う。
○ 安全のために、カバー、防塵メガネなどを使用する。
○ 粉塵を吸い込まないように、換気に注意する。
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エ 穴をあける
きりの使用
○ 材料を固定し垂直に穴が開くように作業を行う。
ボール盤の使用
○
ボール盤が安定した状態に固定されていることを確認す
る。
○ 穴をあける材料を固定する。
○ 金属や石材に大きな穴をあける場合は、小さな下穴をあけ
てからドリルの径を大きくしていく。
○ 金属には油、石材には水を注入しながら穴をあける。
オ 火気
バーナーの使用
○ 耐熱タイルなどを使用し、熱が他に伝わらないよ
うにする。
○ 周りに可燃性のものを置かないように作業場所を
整頓する。
○ 消火用具、ぬれ雑巾などを準備する。
○ バーナーの火口、ガスの状態などの安全を確認し
着火する。
○ 熱い材料を直接触らぬように材料をつかむ用具を
用意する。
カ エッチングプレス機の使用
○ エッチングプレス機を台の上に固定し、台も動か
ないように設置する。
○ ベッドプレート、ローラーの状態を確認する。
○ プレスする圧力が均一に加わるよう設定する。
○ ハンドルをゆっくりと一定の早さで回し、刷り上
げるよう指導する。
○ 手などを挟まないように、周りの状況も確認し、
作業を進めるよう指導する。
- 63 -
キ 塗料・薬品
塗料類・薬品類の使用
安全指導
○ 塗料や薬品を使用する際は、生徒に使用の目
的、使用方法、留意点を十分に指導し、調合等
は、教員が行う。
○ 塗料や薬品に、直接触れたり、臭いをかいだ
りすることのないように指導する。
○ 揮発性、引火性の強い溶剤等については、引
火しても炎が見えないものがあるので、火の取
り扱いについて注意するよう生徒を指導し、教
員は火気の管理などにも十分気を付ける。
安全管理
○ 使用中は窓を開けたり、換気扇を使ったりし
て十分に換気をする。
○ 保管については、冷暗所に鍵がかかるロッカ
ーを設置し、整理し保管する。
○ 溶剤は、塗料の希釈用、洗浄用があるが、揮
発性、燃性などを種類別に分類し、購入年月日、
量などを管理する。
(3) 事故が起こった場合の対応
最善の準備をしていても事故が起こる場合がある。速やかな対応が、事故被害を最小限にする。
※事故にかかわった生徒の状態を確認し、安全を確保するとともに他の生徒の安全も確保する。
※事故が起こった状態を把握し適切な連絡をする。
※事故後の生徒、保護者、関係諸機関との対応を管理職とともに適切に行う。
- 64 -
4 技術・家庭
技術・家庭科における実習、実験、見学、調査・研究などの指導では、機械類、刃物類、引火
性液体、電機、ガス、火気などを取り扱うため、安全の保持に十分留意して学習を行う必要があ
る。また、学習環境の整備、用具・材料の管理、適正な服装や安全指導について、十分に配慮し
なければならない。
(1) 安全管理
① 実習室の点検
項
目
点
検
内
容
◇ 環境整備
採光・照明
適切な明るさが保たれているか。
換気・通風
窓の開閉を適切に行う。換気装置が適切に作動するか。
害虫
害虫駆除及び衛生点検を行っているか。
◇ 設備の点検・整備
電気設備
感電や漏電などによる事故防止を心がけているか。
ガス設備
ガス栓、ガスホース、器具栓などの点検を行っているか。
水道設備
バルブ、パッキンの老朽化による漏れ等の点検を行っているか。
機械・設備
生徒が無断で使用しないように管理しているか。
注油、調整、設備の点検をしているか。
変形、腐食による使用不能なものはないか点検しているか。
刃物・工具
貸出、返却が簡便・明確であり、維持・保管を適正に行ってい
るか。
コンピュータ
コード類の断線、ショートによる破損等を点検しているか。
◇ 危険物の管理と保管
液体・気体
破損漏油、異常燃焼、ガス漏れ等について点検し、転倒防止の
固体燃料
措置や周囲の整理・整とんを行っているか。
化学薬品
安全な場所での使用、保管、管理を行っているか。
◇ 材料、廃棄物の管理と処理
材料管理
廃棄物処理
変質、腐食しやすいものは適切に保管、管理しているか。
有害性、危険性のあるものは適切に処理しているか。
◇ 地震・火災対策
建築物、工作物
火気設備
と消火器
避難経路
棚や工具入れ等の転倒、落下の防止措置や補強を行っているか。
機械、荷物などの転倒、荷崩れの防止策が講じられているか。
火気設備の周囲の環境を整備しているか。
消火器は、物品の転倒、落下により使用不能とならない場所を
指定し、定期点検を行っているか。
通路に避難の障害となるものがないよう、避難経路を整備して
いるか。
- 65 -
チェッ
ク欄
② 実習の3原則=安全、清潔、協力
◇ 服装点検 (清潔、安全)
・決められた服装で行う。
・帽子や三角巾を着用する。
・上着のすそやそで口を閉める。
・上履きのかかとを踏まず、きちん
とはく。
・実習前には、手洗いをきちんと行う。
◇ 学習態度(安全、協力)
・先生の話や注意をしっかり聞く。
・むだ話をしたり、わき見をしたりしてけがや事故の原因をつくらない。
・実習中に走らない。
・押したりふざけたりしない。
◇ 作業中の心得(安全、清潔)
・作業中も常に道具や工具を整理する。
・物を置くときは、机などの端に置かない。
・刃物を人に向けない。
・刃物やミシンなどの進む方向に手を置かない。
・火を使っているときは、そばを離れない。
・実習室の換気に十分に気を付ける。
・消化器の場所や使い方、避難経路を確認しておく。
◇ 機械の運転(安全)
・機械を使うときは、必ず先生の指示や許可を受けてから行う。
・ふだん使っている機械でも、初めに必ず安全と手順を確認してから進める。
◇ 後片付け(安全、清潔、協力)
・道具や工具は洗浄したり、カバーを
掛けたりして元の場所に戻す。
・実習室を整理・整とんする。
・決められた方法で掃除やゴミの始末
をする。
- 66 -
(2) 安全教育
① 技術分野
ア 内容A「技術とものづくり」
指導項目
け
が
安全に関する指導上の留意点
き
・けがき針
・「けがき針」の先や「はぜおこし」の先を人に向けない。
・使用しないときには、片付ける習慣を身に付けさせ、机上を整理し、
作業空間を確保するとともに、落下に注意する。
切
断
・のこぎり
・工具の出し入れに注意する。
・木工万力やジグを使い材料を確実に固定する。
・できるだけ両手引きをする。
・切り始めは元の方を使い、引き終わりのとき
には片方の手で材料を固定する。
・かなめのゆるいものは、事前にしめておく。
・金切りばさみ
・切断した後のかえりやばりは、やすりで削り取る。
・刃はよく切れるものを準備する。
・弓のこ
・歯が折れたときでもバランスを崩さないように、足の位置や、持ち
方、体重のかけ方、材料の固定方法等について指導する。
・切りくずは鋭利であるので、直接手を触れず、ブラシを用いて後始
末をする。
・加工物の大きさに注意させ、小さい物を無理に切断しない。
・卓上帯のこ盤
・刃に巻き込まれる恐れがあるので、手袋をして作業しない。
・主電源の操作は生徒にさせない。
・丸のこ盤
・作業者は指示された位置で機械を操作する。
・作業区域内に他の生徒を立ち入らせない。
・刃先は材料の上面から5ミリ位出るように
する。
・厚さ40ミリ以上の横びきはしない。
・厚さ20ミリ以上、又は長さ250ミリ
以下の縦びき作業はしない。
・横びき作業は横びき定規を、自動送り装置を使わない縦びき作業で
は縦びき定規と押し棒を必ず使用する。
・長さ1メートル以上の縦びき作業では先取りを付ける。
・材料は無理なく、静かに送る。
・切りくずは手で払わない。
・作業中はわき見をしたり、話をしたりしないように指導する。
・作業が終了したらすぐに電源を切る。
・運転中に異常を認めた場合は、直ちに停止する。
- 67 -
切
削
・かんな
・刃の出具合は、指で触わって確認することがないよう指導する。
・かんな身を抜くときには、かんな身に指を添え、落下を防ぐように
する。
・材料を押さえるときには指を切削面に出さないように注意し、必要
に応じてジグを使用する。
・工具の出し入れに注意する。
・のみ
・材料を必ず固定し、刃物の先に手を出さないように注意する。
・作業中に一時置くときには、転がり落ちないように置く場所、向き
に注意する。
・材料を万力で確実に固定する。
・やすり
・持ち方、足の位置、作業姿勢を指導する。
・柄が抜け落ちないか、確認する。
・詰まった切り粉は吹かずに、ワイヤブラシを使用する。
・切り粉は小ほうきなどでとり、吹いたり、床に落とさない。
・研磨作業は、起動後、回転が完全に上昇し、安定してから行う。
・ベルトサンダー ・工作物の大きさに注意させ、ベルト面から50ミリ以上、上を持つ。
・無理な力を加えない。
・コンタクトホイールでの作業は研磨ベルトに巻き込まれるおそれがあるの
で生徒にはさせない。
・粉塵が大量に出るので、換気や集塵に留意する。
・ベルトサンダー本体の固定を確実に行う。
・作業中に粉塵が目に入らないように保護めがね等を使用する。
・バイトの取り付け、機械の調整、試運転は教員が行う。
・旋盤
・細長い材料や短い材料は削らない。
・チャックハンドルは、必ずはずして作業する。
・切削油は柄の長いブラシなどで適量与える。
・加工中の工作物に手や顔を近づけない。
・バイトの送り速度は一定に保ち、切り込み量を変えない。
穴
あ
け
・きり
・作業中に一時置くときには、転がり落ちないように置く場所、向き
に注意する。
・ハンドドリルを使用する場合は、補助の生徒に
・ハンドドリル
安全な材料の固定方法を指導する。
・材料の回り止めには、クランプや専用ジグを必
ず使用する。
・ドリルの刃先は摩耗していないものを使用し、
・卓上ボール盤
用途に応じた刃先の状態や回転数にする。
- 68 -
・服装に注意し、回転しているドリルやチャックに顔や目を近づけないよう
・角のみ盤
に指導する。
・昇降ハンドルをしっかりと握らせ、落ち着いて作業する。
・材料は機械万力、ジグなどで、確実に固定する。
・材料の大きさや形に応じて、テーブルの高さを固定する。
・適切な送り速度で作業させる。特に、貫通する直前は送り速度はゆるめる。
・スイッチを切っても、ドリル等が止まるまで絶対に手や物で触れない。
・切り粉は、スイッチを切ってから、ブラシで取り除く。
組 み 立 て
・げんのう
・柄の差し込みが確実であるか、くさびがとれていないか確認して使用する。
・釘を打つときは、わき見をしないように指導する。
・必ず下穴をあけてから釘打ちをさせる。
・つぶし釘を作るときは、ペンチなどで、確実に釘を保持する。
・接着剤
・接着剤を直接指で扱わないように習慣付ける。
・はんだごて
・必ずこて台を使用する。
・格納する場合は、はんだごてが十分に冷えたことを確認する。
・換気に注意し、塗料や溶剤を吸い込まないように注意する。
塗
装
・火気のある場所では塗装しない。
・作業場所は通気のよい場所を選ぶ。
イ 内容B「情報とコンピュータ」
配慮事項
安全に関する指導上の留意点
・照明
・画面に、照明器具の光が反射しないように照明器具を設置する。
・ディスプレイの画面照度は500ルクス程度となるようにする。机上の照
度は500から1000ルクス程度を確保する。
・窓から外の光がディスプレイ画面に反射しないようにカーテンなどを設置
・換気
する。
・カーテンを閉める場合が多いので、換気に努める。
・床面
・エアコンを使用する場合、適温に留意する。
・電源コードやネットワーク配線に足やイスがからまないようにする。可能
であれば、床下配線の工事を依頼する。
・机とイス
・机は指や肩の疲労の障害を防ぐため、キーボードを使う手首、ひじ
を支える広さを確保する。
・イスは、生徒が自分の体型にあわせやすいように、簡単に座面が調整でき
るイスが望ましい。
・疲労防止
・疲労等を防ぐ姿勢について指導する。
・目の疲労回復に努めるよう指導する。
- 69 -
ア 内容A「生活の自立と衣食住」
安全指導と配慮点
安全教育に関する指導項目
食の場面(1)(2)(5)
・包丁での切り傷
・持ち運ぶときは、「バットに入れる」「刃先を内
側にする」
・切るときは、「持ち方」「反対の手の指の置き方」
に気を付け、「姿勢を正しく」する。
←安全な立ち位置
・加熱時のやけど
・鍋をコンロに乗せる際は中央にきちんとおく。
・鍋の柄の方向が手前にこないように注意する。また、柄が外側
に飛び出さないように鍋の位置にも気を付ける。
・鍋のとってを持ったり、蓋を取るときは、鍋つかみなどを使用
する。
・やかんや鍋の蒸気がかからないように注意する。
・ガス漏れ、酸素不足
・ガス栓・元栓は最後まできちんと閉める。
・ゴム管がひび割れていないかなど定期点検を行う。
・調理中は換気扇や窓の開閉により、換気に注意する。
・食中毒事故
・食品は新鮮な物を選択する。加工食品は賞味期限や品質表示等
を確かめる。
・生の肉や魚に触れた手や用具はその都度洗う。
・食品を加熱する際は、食品の中心に完全に火が通るまで行う。
(時間・火加減)
・ふきんの使い分け(台ふき用と食器・用具ふき用)を徹底する。
・手洗いを丁寧に行う。
・身支度の仕方(髪の毛を完全に覆う三角巾などの着用)
加熱中の引火などによる火災 ・火気のそばに他の材料や包装紙などを置かない。また、調理中、
調理台の上をいつも片付ける習慣を身に付ける
・そで口を閉めて衣服に引火しないように気を付ける。
- 70 -
安全教育に関する指導項目
安全指導と配慮点
衣の場面(3)(6)
しみ抜き実験などに薬品に ・直接皮膚につかないように「ビニール手袋の使用」「綿棒の使用」な
よる皮膚の損傷・発生気体の吸
どの手だてを行う。
入による傷害
万一、皮膚に付着した場合は十分にすすぐ。目に入った場合は水で十
分にすすいだ後、専門医の治療を受ける。
針
落ちている針による刺し傷 ・作業の前後にまち針の数を確認する。
や切り傷
(不足している針がある場合は、見つかるまで探す習慣を付ける)
まち針の打ち方、縫い針の引 ・針を針刺しに指す習慣を付ける。(作業途中でも机上に置かない)
き方による刺し傷
・まち針を止める方向は、印に対して直角にする。
*縫い糸の長さは片腕の長さ
(2本取りの場合は両腕の長さ÷2)
*糸は子指を外側にして引く方が安全である。(針先と反対に)
はさみ
落下、渡し方による事故
・はさみを持って歩かない。
*手渡すときは刃先を相手に向
けない。
*机の端からはみ出るように置か
ない。
裁縫ミシン
ポ ー タ ブ ル ミ シ ン 運 搬 中 ・運ぶときは、ミシンの底部分を持つ。両サイドの止め金を必ず閉めて、
の落下による打撲等
ミシン針による刺し傷
コード等につまずくこと
カバーをきちんとかけて持つ。
・コントローラーの誤作動に注意する。使わないときはコントローラー
から足を外す。
による転倒・けが
*布を押さえる手の位置
(針の前に手を置かない)
アイロン
接触や蒸気による火傷
電源の切り忘れによる火災
・アイロンをかける場所を作業台と別に確保するなど、事故防止に心が
ける。
・布を折りながらのアイロンかけは蒸気による火傷などの恐れがあるの
で予めしつけをかけたり爪で折ったりしておく。
・使用中は安定した場所に置き使用後は直ちにスイッチを切る。
住の場面(4)
住宅用洗剤の汚れ落とし実 ・塩素系の洗剤・漂白剤と酸素系の洗剤・漂白剤を混ぜない。
験通風換気騒音調査の事故
・機器は、説明書等に従って正しく使用する。
- 71 -
イ内容B「家族と家庭生活」
安全教育に関する指導項目
ふれあい体験学習の場面
おもちゃや幼児の生活に役
立つものの製作
保育施設見学・訪問体験活動
安全指導と配慮点
・内容A(3)(6)「衣の場面」参照
針 はさみ 裁縫ミシン アイロン
・幼児の目の高さに合わせて話し、行動する。
(幼児が安心する・幼児にとっての危険な環境が把握できる)
・実習時は、特に、自己の健康管理に心がける。
(抵抗力の弱い幼児に細菌感染をうつさないようにする)
・服装・頭髪等は清潔と安全に心がける。
(動きやすく飾り等のない服装で活動する。頭髪は清潔にし、長い場
合は束ねる。爪は安全面と衛生面から短く切っておく)
・幼児との接し方に注意する。
(体の小さい幼児との振り向きざまの衝突事故等を防止するため、興
奮して飛びついてくる幼児の特徴を事前に把握する)
・散歩のときの位置に注意する。
(幼児は歩道側、生徒は車道側に位置し、手をしっかりつないで交通
ルールを守って歩く。車道側に立った生徒は、交通状況を留意して、
交通安全に努める。)
・グループでの学習活動とし、単独行動をしないよう指導する。
・事前に下調べや準備を行う。
(地域の役所や公民館、自治体・ボランテイア団体・高齢者施設等へ
学校が事前に連絡を取り、趣旨や方法を説明し理解を得ておく)綿密
な実施計画を立てるようにするとともに、事前の指導の徹底を図るよ
うにする。
地域の調べ学習(「総合的な学 ・教職員の共通理解を図り、校内体制組織を確立しておく。
習の時間」参照)
(3)事故が起こった場合の初期対応
切り傷
刺し傷
火傷
応急の止血を行う。傷口を心臓部 事故発生後直ちに流水にて冷却。 小さな傷の場合も消毒を行う。
より高く上げる。消毒後に治療。 (5分以上)その後治療
※衣服等を無理に脱がせない。
- 72 -
その後の治療は養護教諭の指示に
従う。
5 保健体育
体育・健康に関する指導は、健康・安全で活力ある生活を営むために必要な資質や能力を育て、心
身の調和的な発達を図ることをねらいとしており、保健体育の時間を中心として行われる。保健体育では、
生徒が安全に関する基礎的・基本的事項を系統的に理解し、思考力、判断力を高めることによって安全
について適切な意志決定ができるように指導していかなければならない。
保健体育の安全管理と安全教育について
1 保健分野における安全管理と安全教育
A 教室、校舎内外を用いた学習
① 利用する場、用具の管理や利用に関する安全への配慮(安全管理)
② 指導者が配慮すべき安全に関する指導上の留意点と事例(安全教育)
2 体育分野における安全管理と安全教育
B 体育館、C 校庭、D プール・武道場、E 体育的行事・校外体育活動での学習
① 利用する場、用具の管理や利用に関する安全への配慮(安全管理)
② 指導者が配慮すべき安全に関する指導上の留意点と事例(安全教育)
3 教科体育での安全管理と安全教育の考え方と事故発生時の処置
《注》本文中では学習の場を以下のように区分けした。
A 教室、特別教室、校舎内外での保健や体育に関する調べ学習
B 体育館関連施設での学習
C 校庭での学習
D 武道場、プールに関連する施設での学習
E 校外活動(海浜実習、登山、キャンプ等)
A
更衣室
教室
教官室
B
体育館
(更衣室、体育倉庫含む)
体育倉庫
(校舎内外、実習教室)
教室
C
校庭
実習教室、廊下、
階段、昇降口
武道場
更衣室他
D
D
プール
(プール関連施設含む)
- 73 -
E
校外活動
砂場
(1) 保健分野における安全教育
A 教室、特別教室、校舎内外での学習
① 《利用する場、用具の管理や利用に関する安全への配慮》(安全管理)
教室での授業
①使用する用具等の故障
A
教室
②教室の整理・整とん、床や壁の状態、服装
(廊下、階段実習教室、階段、
玄関、校舎全般)
校内環境の整備
特別教室
①廊下にある備品、下駄箱、ロッカー等の固定
②校舎内の整理・整とん、床や壁の状態、服装
② 《指導者が配慮すべき安全に関する指導上の留意点》(安全教育)
・保健では、健康で安全な生活を送るための知識・理解、思考・判断を育成する。
単元
指導内容
心身の機能の発達と心の健康
心の健康を中心にストレスへの対処など
健康と環境
適応能力、快適な環境、空気や水、廃棄物の処理、環境
汚染と保全等
傷害の防止
傷害の原因と防止、交通事故の防止、自然災害での傷害
の防止、応急手当等
健康な生活と疾病の予防
健康の成り立ち、食生活と健康、健康と運動、休養と健
康、生活習慣病、喫煙・飲酒・薬物乱用の防止、感染症
の予防、ともに健康に生きる社会等
指導上の留意事項(教室、校舎内外の調べ学習)
・活動の流れや移動経路等の確認
・集中力の欠落による怪我の防止
・測定器具、薬品等の正しい取り扱い方法
・非常時の連絡方法や対応についての校内体制の確認
予想される事故例(教室、校舎内外の調べ学習)
・安全マップ作成のための通学路の状況調査等、校外活動中の交通事故
・校内での調べ学習中、床で滑って転倒
・救急法実習中に誤って用具を破損し、怪我
・用具を片付ける際、振り回し友人に怪我
(2) 体育分野における安全管理と安全指導
運動の場をB 体育館
C 校庭
D プール・武道場
E 体育的行事・校外体育活動に分け
た上で、さらに、以下の安全管理と安全教育の二つの視点で記述した。
① 《利用する場、用具の管理や利用に関する安全への配慮》(安全管理)
② 《指導者が配慮すべき安全に関する指導上の留意点》(安全教育)
- 74 -
B
体育館での授業の配慮事項
① 《利用する場、用具の管理や利用に関する安全への配慮》(安全管理)
①体育館の用具の固定、収納
①フロアーの汚れ、濡れ
②舞台上の備品の固定、整理
②埋設筒のフタの
③ロッカー、ピアノ等の固定
③ラインテープのはがれ
①怪我の防止に配慮した用具の配置
④壁の突起物等
②生徒の安全への意識
⑤ホワイトボード等の破損
廊下
舞台
教官室
更衣室
体育倉庫
①用具の破損・部品の欠品
②整理・整とん
①不要物、棚などの安全
①器具の安全な運搬、正しい設置方法
②ネットのワイヤー巻き取り、支柱移動
③ラケット、ボール、ゴール、得点板等の正しい使
②衛生
用の仕方
② 《指導者が配慮すべき安全に関する指導上の留意点》(安全教育)
指導上の留意事項(体育館施設での学習)
・服装、運動靴、爪や長い髪の処置、準備運動等の確認
・運動中の眼鏡使用時の指導
・運動中の用具の取り扱い方や生徒の活動位置や向きの確認
・ボールやラケット、ネットのワイヤー等の取り扱い方法、整理・整とん
・集中力の低下・不注意による事故防止、補助者の補助の仕方、練習の仕方の徹底
・運動による事故防止に対しての留意事項やルール・約束ごとの徹底
予想される事故例(体育館での学習)
・バレーボール等ネットを張るときにウインチが逆回りし、ハンドルが飛ぶ
・跳び箱運動でずれた着地マットにつまずく
・バスケットボールでルーズボールの取り合いで生徒同士が衝突
・転がっていたバレーボールを踏んでしまい転倒
・バスケットボールとバレーボールの選択授業中、バスケットボールの生徒がバレーボ
ール支柱に衝突
・バトミントンの試合中、至近距離で打たれたシャトルが目に当たる
・卓球台の出し入れで指を挟む怪我
- 75 -
C
校庭での授業の配慮事項
① 《利用する場、用具の管理や利用に関する安全への配慮》(安全管理)
②常設器具の破損、
③ゴール、バックネット等の杭等に
安全カバーの設置
よる固定
ネットの破損
C 校庭
①起伏や埋設筒などの出っ張り
②側溝のフタ、水たまり、砂場の砂の量
砂場
④用具の収納管理状況(体育倉庫の管理)
⑤用具の破損(ワイヤーのささくれ、ハードルのストッパー、グローブ、バット等)
⑥用具の安全な運搬(ゴールの運搬、セーフティマットの運搬)
⑦ゴールやハードルなどの正しい設置・配置(固定、砂場でのスコップやトンボの置き方)
② 《指導者が配慮すべき安全に関する指導上の留意点》(安全教育)
指導上の留意事項(校庭での学習)
・服装、運動靴、爪や長い髪の処置、準備運動等の確認
・運動中の用具管理や生徒の活動位置、移動経路などの確認
・ボールやラケットネットのワイヤー等の取り扱い方法。整理・整とん
・集中力の低下・不注意による事故防止、指示の徹底
・サッカーゴール、ハードル、セーフティマット等の正しい設置や固定方法
予想される事故例(校庭での学習)
・高跳びでマット外に着地
・ハードルの高さが不揃いで引っかけて転倒
・ハードルを逆走し引っかけて転倒
・砂場に置いておいたトンボにつまずく
・至近距離で蹴ったボールやソフトやテニスの打球が眼鏡に当たる
・球を拾いにきた生徒が、素振り中のテニスラケットに当たる
・ゴール運搬中に倒れたゴールの下敷き、クロスバーにぶら下がり転倒して下敷き
・埋設筒のフタにつまずき転倒
- 76 -
D
武道場・プールに関連する施設での授業の配慮事項
① 《利用する場、用具の管理や利用に関する安全への配慮》(安全管理)
①更衣室の異物、衛生
②棚等の破損
①コースロープ止め
①水質、プール内の異物
③薬物の管理状況
金具のカバー、フロ
②取水口のフタの固定
④シャワー等の使用
ート破損、たるみ
③注水口の安全
武道場を使う場合
①側溝のフタ、プールサイドの汚れ
①畳の固定、床の安全
②日よけの設置、常設器具の正しい配置
②柔道着、剣道用具等の破損
③周辺部に置いてある用具
の安全、壁との距離
更衣室他
武道場
Dプール
(含むプール関連施設)
② 《指導者が配慮すべき安全に関する指導上の留意点》(安全教育)
指導上の留意事項(プール施設での学習)
・水着、ゴーグル、爪や長い髪の処置、準備運動等の確認
・運動中の用具管理や生徒の活動位置と入水中の人数把握、プールサイドでの行動
・コースロープワイヤー等の取り扱い
・集中力の低下・不注意による事故防止
・水深、水質、気温・水温、気流等の確認、異物等の確認
指導上の留意事項(武道場での学習)
・用具の準備時の事故防止(畳の安全な準備・竹刀等の振り回し)
・集中力の低下・不注意による事故防止(空手のまねごと、技の未熟)
・十分な準備運動や整理運動
・技のポイント、安全に関する留意点や配慮の徹底
予想される事故例(プール・武道場での学習)
・入水指示に従わず、飛び込む(プール)
・プールサイドで滑り転倒(プール)
・取水口のフタがボルト等で固定されておらず、蓋がはずれる(プール)
・準備時間に周りに注意せず、竹刀を振り回して他の生徒を打つ(武道場)
・試合で未習の技を無理にかける(武道場)
・竹刀のささくれ等の用具の不備(武道場)
- 77 -
E
体育的行事・校外体育活動(登山・水辺活動など)
① 《利用する場、用具の管理や利用に関する安全への配慮》(安全管理)
・
体力、経験、技能に見合った計画とし、無理な計画は立てない。
・
事前に十分な実地踏査を行い、実施計画や関係諸機関への届出を行う。
② 《指導者が配慮すべき安全に関する指導上の留意点》(安全教育)
指導上の留意事項(登山、水辺活動等)
・緊張感のなさ、不注意、活動場所の状況や天候急変
・緊張感のなさ、不注意、活動場所の状況や天候急変
等による事故防止
等による事故防止
・野外活動にふさわしい服装や用具の準備、点検・管
理、事前指導と技術の習得
・野外活動にふさわしい服装や用具の準備、点検・管
例
理、事前指導と技術の習得
【山】天候の急激な変化や気温、気圧の変化に対し
例 ての対処方法
【山】天候の急激な変化や気温、気圧の変化に対し
【海】潮の流れを事前に把握し、高波などへの対処
ての対処方法
方法
【海】潮の流れを事前に把握し、高波などへの対処
【川・湖】流れの変化や深場等の情報を集め、対処
方法
方法
【
】
変
等 情
集
3 保健体育での安全指導の考え方と事故発生時の処置
安全指導
予想される事故例
・登山中の落下
・臨海教室等で波遊びをしてい
たときに岩を踏む
・スキー教室で転倒、後続の生
徒が衝突
・気象情報の入手不足で決行し
天候が急変、雷雨の中の移動
安全指導体制が全校体制でつくられていることが必要である。管理職、各分掌、
各教科、行事委員会、保健養護、部活動顧問などそれぞれが活動内容や役割に応じ
て指導計画に基づき、事故発生時の対応まで含めて組織的・継続的に取り組む必要
がある。特に、保健体育においては、以下の2点が重要である。
①
生徒自ら安全に関心をもち、事故防止に配慮できる態度を養うこと。
②
保健体育の授業を通して、事故の要因を理解し、自らを守る知識を学ぶととも
に、発生時の対処の仕方を身に付けさせること。
安全管理
保健体育における《安全管理》としては、指導者の危険予見義務及び危険回避義
務に基づく指導監督義務があり、生徒の安全に関して責任が問われる立場である。
《指導者の資質》
①運動種目に関する豊富な知識
②豊富な運動経験
③各運動種目に対する基礎的・基本的な技能
④生徒の心身の状況や実態の把握能力
⑤生徒の実態に即した指導方法
⑥生徒からの信頼等を有すること。
《指導者の役割》
事故発生時の処置
①日頃から生徒の疾患の把握や学習の場と用
具や器具の管理・修繕に努めること。
②授業時では、危険の予見と素早い状況判断・
指示を行うこと。
③事故発生時では的確で敏速な対応をするこ
と。
事故発生
発見者(協力者の確保)
的確な状況把握と処置の判断
授業時においては、健康管理(健康診断・既往
症・体調・睡眠・自覚症状等の把握)を行いスポ
応急処置
連絡・通報
ーツマナーの育成、正しい用具の取扱い指導と状
況の把握(場・天候等の把握、用具や器具の安全
管理)が求められる。
- 78 -
他の生徒への指示
6
特別活動
特別活動では、「望ましい集団活動を通して、心身の調和のとれた発達と個性の伸長を図り、団や
社会の一員としてよりよい生活を築こうとする自主的、実践的な態度を育てるとともに、人間として
の生き方についての自覚を深め、自己を生かす能力を養う。」ことが目標となっており、特に学級活
動では、「健康や安全に関すること」において、「学校内外を含めた自分の生活行動を見直し、安全
に配慮するとともに、危険を予測できる力や的確に行動できる力を高めていくよう日ごろからの注意
の喚起や指導が必要である」とし、また「自然災害等に対しての心構えや適切な行動がとれる力を育
てることが大切である」とされる。
(1) 安全管理
特別活動では、家庭や地域と協力し連携を深めながら、自然や文化との触れ合い、地域の人々と
の幅広い交流など、自然体験や社会体験等の充実を図ることが大切であり、校外での学習の機会が
一層増えることが考えられる。教職員の協力体制を確立し、活動内容に応じて、積極的に家庭や地
域との交流が進められるようにし、活動場所を実地踏査するなどして、安全管理に努める必要があ
る。
(2) 安全教育
①
特別活動における安全指導
ア
学級活動
学級活動における安全指導のねらい
・
学校内外を含めた自分の生活行動を見直し、安全に配慮するとともに、危険を予測
できる力や的確に行動できる力を高めていくよう日頃からの注意の喚起や指導が必
要である。
学級活動における安全指導では、「生活安全」や「交通安全」、「災害時の安全や
防犯」、「生命の尊重」、「環境整備」に関することなどの内容を取り上げている必
要がある。
「生活安全」に関わる事故は、学校生活における生徒の日常生活の中で起きるもの
がほとんどである。このことから、学級における指導の重要性を認識し、安全な学校
生活を意識させなければならない。
「交通安全」については、登下校時や、自転車に乗っているときに交通事故に遭う
ことが多くなっている現状を踏まえ、「交通安全」に対する意識を高めさせるととも
に、道路を通行する場合は、周囲の状況を把握し、自己の安全とともに、思いやりを
もって、他の人々の安全にも配慮することが重要である
ことを理解させる。被害者としてだけではなく、加害者
となりうることも認識させたい。
「災害安全」については、地震等の自然災害や火災等
から身を守るために、避難訓練等実施しているが、救命
講習会等で応急手当の技能を身に付けたり、学校、地域
の防災や災害時のボランティア活動の大切さについても理解を深めたりして、積極的
に参加できるようにすることが大切である。
- 79 -
イ
学校行事
学校行事では、遠足や修学旅行、校外学習、奉仕活動など、その他、安全で規律あ
る行動の体得をねらいとして、避難訓練・防災訓練・セーフティ教室や交通安全教室
等が実施されている。避難訓練等では、生徒の実態や地域の状
況に応じて、体験を重視した具体的な内容となるよう配慮する
とともに、警察署(スクールサポーター)や消防署等、地域の人
材や教育ボランティアの積極的な活用を図っていくことも必要
である。
体育的行事については、綿密な計画のもとに実施されている
にもかかわらず、事故が発生している。その現状を踏まえ、計
画を見直すとともに、生徒の自主的、自発的な活動を伸長しな
がら、ルールや集団の規律を身に付けさせ、準備や後片付けの安全についても十分に
指導することが大切である。
ウ
生徒会活動
生徒会活動では、学校生活の充実や改善、向上を図るための生徒会総会や各種の委
員会において、学校における事故、登下
校時の交通事故の防止等について話し
合い、基本的な行動目標を決定し、委員
会活動等で具体的な実践活動を行うこ
となどが大切である。
また、学校行事の企画・運営に協力す
る活動においては、安全について考えさ
せ、ルール作りや計画の作成等に参加させる必要がある。
ボランティア活動等の教育的な価値をもつ社会活動への参加や協力、他校との交流
や地域の人々との幅広い交流等、学校外における活動においても、安全に関する意識
を高め、安全な生活態度や習慣の形成を図る。
エ
部活動
部活動は、学校において計画する教育活動であり、
学校管理下の活動として、施設・設備の安全管理とも
関連させ、生徒の発達段階に配慮しながら、安全な活
動(施設・設備の使用法、体調管理や水分補給等)の仕
方について適切に指導する必要がある。
また、休養日や練習時間を適切に設定していくこと
やその指導が徹底するよう配慮するとともに、常に事
故防止に留意し、必要に応じて直ちに応急処置等がとれるよう準備しておくことが重
要である。
- 80 -
◇部活動に求められる機能
指導の側面
○人格形成
○個性・能力の伸長
○豊かな人間関係づくり
○学校への所属意識の高揚
○生涯学習の基礎づくり
管理の側面
○計画・運営
○連絡・調整
○健康・安全への配慮
○生活指導
○保護者への連絡
<部活動基本問題検討委員会報告書(東京都教育委員会)平成17年10月より>
◇部活動に関連する法令等
○学習指導要領には部活動に関する定めはなく、事故発生後の治療費等の給付を定めてい
る独立行政法人日本スポーツ振興センター法等に、教育活動としての位置付けが示され
ている。
○この法律は、学校の管理下における児童・生徒等の災害に関して必要な給付を行うこと
等を定めている。
○同法施行令においては、児童・生徒の事故や災害等に際し災害共済給付を行うことを定
めるとともに、学校が管理する範囲を決定し、部活動を教育活動に位置付けている。
*同法施行令が定める「学校の管理下」
(学校の管理下における災害の範囲)
第5条 災害共済給付に係る災害は次に揚げるものとする。
2 前項第一号、第二号及び第四号において「学校管理下」とは次に揚げる場合をいう。
一 児童生徒等が、法令の規定により学校が編成した教育課程に基づく授業を受けている場合
二 児童生徒等が学校の教育計画に基づいて行われる課外指導を受けている場合
三 前二号に揚げる場合のほか、児童生徒等が休憩時間中に学校にある場合、その他校長の指示
又は証人に基づいて学校にある場合
四 児童生徒等が通常の経路及び方法により通学する場合
五 前各号に揚げる場合のほか、これらの場合に準ずる場合として文部科学省令で定める場合
◇運動部活動の運営の改善
○児童生徒の主体性を尊重した運営に努める。
○スポーツに関する多様なニーズに応え、柔軟な運営に努める。
○発達段階に応じて年間を通じての練習日数や1日当たりの練習時間を適切に設定する。
○学校週5日制の趣旨も踏まえて、児童生徒が学校外の多様な活動を行ったり、体を休め
たりできるよう、都道府県学校体育大会の試合期を除いて、学校や地域の実態に応じ、
土曜日や日曜日などを休養日とするなど、適切な運営に努める。
<スポーツ振興基本計画(文部省)平成 12 年9月告示より>
② 内容例、事故・災害事例
ア
生活安全
・学校生活における危険と安全確保
-授業中、休憩時間、給食時間、清掃活動等における安全-
・運動会、体育的行事、集団宿泊的行事等における危険と安全確保
・犯罪被害の危険(危険予知)と安全確保
・携帯電話やインターネットによる犯罪被害の防止と適切な利用法
・雨天時、湿気の多い廊下で滑り、転倒し後頭部を打った。
・清掃中、3階の窓を拭いていて、バランスを崩して窓から転落した。
・清掃中、廊下をモップで拭いていて、走ってきた生徒とぶつかり転倒し、顔面を打
った。
- 81 -
・休憩時間中、廊下で友だちとふざけていて、教室に走り込もうとして机にぶつかり
転倒し、頭部を打った。
・休憩時間中、校舎裏の体育倉庫屋根に上り転落した。
・運動会の騎馬戦で、騎馬が崩れ、その下敷きとなって負傷した。
ひね
・運動会でむかで競走をしていて倒れ、手を捻ってついて、右ひじを負傷した。
・キャンプで食事の用意をしていて、なべをひっくり返し、やけどをした。
・レーザーポインタを友だちの顔に照射し、目に光が当たり、視覚障害が起こった。
・給食の準備中、スープの食缶を倒し、ヤケドを負った。
・文化祭の準備中、木材から突出している釘を踏み抜き負傷した。
・野球部の練習中、ノックのボールがイレギュラーし、顔面に当たって負傷した。
・柔道部の練習中、投げられて受け身が取れずに、頭部から落ち、頸部を負傷した。
・夏休み中の剣道部の練習中、熱中症で倒れ、意識不明となった。
イ
交通安全
・交通法規の正しい理解と遵守
・自転車の点検整備と正しい乗
り方
・交通事故の責任
・交通機関利用時の安全な行動
の仕方
・登校中、歩道から車道に飛び出しダンプカーにはねられた。
・下校時、友だちとの話に夢中になり走行中の車と接触し、転倒した。
・自転車で走行中、信号のない交差点で出合い頭に乗用車にはねられた。
・自転車で走行中、路地から出てきた人と衝突し、相手を倒し頭部を負傷させた。
ウ
災害安全
・火災発生時における危険の理解と安全な行動
・地震発生時の危険の理解と安全な行動
・台風(大雨・暴風)発生時の危険の理解と安全な行動
・登校中、大雨で増水した川に転落した。
・登校中、強風により吹き飛ばされた看板が頭に当たり負傷した。
・地震時、家庭で勉強中に倒れてきた本棚で頭を打った。
・雪で凍結した道路を歩行中、足を滑らせて、横の川へ転落した。
・河川敷グランドで、野球の練習中に落雷に遭い全身にヤケドを負った。
(参考:日本体育・学校健康センター<現 日本スポーツ振興センター>死亡・傷害事例集)
- 82 -
③ 学級活動における安全指導年間指導計画例
月
主題
4 安全な登下校
5 学校生活ときまり
ねらい
指導内容
・通学路の確認と危険個所の把握
○登下校のときに起こる事故につ ・登下校時の心身の状態と事故
いて理解し、安全な行動ができる ・不審者への注意と通報の仕方
・寄り道の危険と防止
ようにする。
・防犯ブザーの携帯
○きまりを守り、落ち着いて学校
生活をすることがみんなが安全に
過ごすための第一条件であること
を自覚する。
・廊下、階段等で起こる事故とその原因
・休み時間の過ごし方
・校庭で遊ぶときのきまり
・清掃活動の安全な作業の仕方
・安全に注意した配膳と片づけの仕方
・雨の日の自動車からの視界
・雨の日の安全の確かめ方
・雨の日の安全に配慮した服装や持ち物
・安全な傘の利用
・雨天時の校舎内での事故原因
・雨天時の校舎内での過ごし方
・プ-ルでの危険な場所と事故原因
○プ-ルでの事故や安全な使用 ・プ-ルでの事故の防止
について考える。
・水の事故と安全
○落雷による危険と安全な行動 ・落雷しやすい気象条件
の仕方を知る。
・落雷に遭わない安全な行動
・地震のときに発生する様々な危険(家屋
の倒壊、地割れ、山崩れ、流砂現象、
陥没、落下物)
・正しい情報の入手
○地震発生の場合、危険な行動 ・パニック防止と安全な行動
に走りやすいことを理解し、安全 ・地震災害と家庭での備え
・地震に応じた避難経路と避難場所確認
な行動ができるようにする。
・様々な場面に応じた避難の仕方
・津波による危険
・津波警報と避難の仕方
○降雨により登下校時の道路環
境が変わることを理解し、危険を
的確に判断し安全に行動できるよ
6 梅雨期の安全な過ごし方
うにする。
○雨天時に校舎内で安全な行動
がとれるようにする。
水泳と安全
7
落雷の危険
9 地震災害時の安全
10 自転車の安全な利用
11 火災時の安全
・中学生に多い自転車事故の特徴
・自転車の安全な利用の仕方
・自転車専用道路、車道、歩道通行可等
の通行区分
・道路条件や交通環境に応じた安全な走
行の仕方
○自転車の安全な利用、点検や ・自転車事故の状況、原因と事故防止
整備について理解を深め、交通 ・事故の発生とその対応
の決まりや約束を守って安全な乗 ・単独走行の場合と集団走行の場合の
車ができるようにする。
危険の違い
・自転車の各部の名称と働き
・乗車前の点検箇所と点検の仕方
・自転車に関する基本的な交通法規理解
・駐車のマナーの現状と問題点
・防犯登録の必要性と放置や盗難の防止
・火災の原因と危険
・火災に対する心構え
○火災のときに起こりやすい危険 ・有害な煙に対する行動の仕方
な状況を理解し、適切に行動でき ・初期消火の仕方と救助器具の使い方
るようにする。
・避難経路と避難場所の確認
・様々な場面に応じた避難の仕方
- 83 -
月
主題
12 道路の歩行と横断
1 地域・社会での安全
2
災害・事故への
備えと協力
3 健康の維持と生活
主題
学校行事における安全
適
宜 避難場所の役割と安全
火山災害時の安全
交通事故の防止
ねらい
指導内容
・信号・標識・標示の種類と意味の理解
・通学路・スクールゾーンの設定の意味
・安全な通学の仕方
・車両の動きと安全
○道路の役割・きまりや道路にお ・交差点の正しい横断の仕方
ける様々な危険について理解し、 ・危険の予測と安全確認の仕方
安全な歩行ができるようにする。 ・歩行者の心理とその理解
・踏切など鉄道での安全
・白杖や点字ブロック等の理解
・交通機関利用時のマナー
・被害に遭わない日頃からの行動
・被害にあった場合の適切な行動
○地域・社会で起こる犯罪や危険 ・犯罪が起こりやすい時間帯・手口・場所
について理解し、安全に行動でき ・防犯対策の理解と安全な生活の仕方
・防犯のための自分たちの責任と役割
るようにする。
・携帯電話やネットワークの危険情報
・防災訓練等の意義
○防災訓練等の意義を理解し、 ・防災訓練等への積極的な参加
積極的に参加できるようにする。 ・地域防災活動への参加
○事故が発生したときの通報の仕 ・家庭における避難場所・連絡方法
方、簡単な応急手当の仕方につ ・けが人の介助と通報の仕方
いて理解し、適切に行動できるよ ・止血法・人工呼吸の方法と実践
・熱中症等の症状と応急手当の仕方
うにする。
・薬物について考える
・たばこの煙と環境
○喫煙・飲酒・薬物乱用を防止
・喫煙の健康への影響
し、健康な生活を実践する態度を
・飲酒の健康への影響
育てる。
・薬物乱用の健康への影響
ねらい
指導内容
・体育祭での種目別事故状況と原因
・種目別の安全な参加の仕方
・遠足等で起こる事故の現状と原因
○学校行事等における事故の発 ・遠足等での安全な行動の仕方
生状況と安全の決まり・約束や安 ・集団宿泊的行事等で起こる事故の
全の確保の方法等について理解 現状と原因
し、安全な行動ができるようにす ・集団宿泊的行事等での安全な行動
の仕方
る。
・事故災害が起きたときの行動の仕方
・勤労生産的活動時の事故とその防止
・奉仕的活動時の事故とその防止
・災害発生時の避難場所の意義と役割
○災害発生時における避難場所 ・ライフラインとしての避難場所での生活
の役割とそこでの生活を理解し、 ・ボランティア活動への参加
安全な行動ができるようにする。
○火山災害が発生した場合の危 ・火山活動による危険
険を理解し、安全な行動ができる ・火山情報と避難の仕方
ようにする。
・自動車の種類による死角と内輪差
○自動車の特性について理解
・自動車の速度と停止距離
し、道路を安全に歩行・走行し、 ・夕方・夜間の自動車の危険
交通事故を防止する。
- 84 -
④ 活動内容例
ア 犯罪被害防止教育
1 活動名 「学級で行うセーフティ教室」
2 活動の目標
(1)自ら学び、自ら考える活動を通して、犯罪の被害から身を守る態度や能力を養う。
(2)青少年の健全育成にかかわる諸問題を自分のこととしてとらえ、自主的に実践する力を身に付ける。
(3)健全な生活を送ることの大切さを知り、その実践方法について理解する。
3 活動の概要
今、深刻化しつつある青少年犯罪等について、班ごとに、東京都や地域の少年非行等の実態について調査活動
を行い資料化する。そして、その資料を基に、犯罪被害の原因や課題について考える。
学級活動の時間では、非行被害に遭わないための方法を考える。また、少年センター指導員の方からのアドバ
イスにより、犯罪被害から身を守るための「断り方」を考える。ロールプレイングにおいて、
「断り方」を演じ、
他の生徒の「断り方」を見たりする中で適切な方法を身に付ける。犯罪から身を守るためには「断る勇気」が必
要であるということを理解させる。
4 活動の流れ
学級活動 「悪い誘いを断る」 ワークシート
事前の活動
★空欄に自分のシナリオを作ろう。
Aさんは、休日に洋服を買おうと、電車で出かけました。買
・班長会による活動計画の立案
い物が終わり、家の近くの駅に戻るともう夜になっていまし
・班ごとにテーマ、調査方法を協議し調べ学習を行う
た。駅前には数人の人がいて、一人の人が話しかけてきまし
た。その人は、Aさんのよく知っている同じ中学校を卒業した
学級活動1
卒業生のBさんでした。
・各班から青少年の非行等に関する調査の内容を報告
Bさん:あれ、久しぶり、何やってんの。
・学級全体で現在の少年犯罪の傾向等について意見を出
し合い、なぜ発生するのか等についてまとめる。
Aさん:
Bさん:時間はたっぷりあるから一緒に遊ぼうぜ。
Aさん:
Bさん:金あるんだろ。いいとこあるからさ、
着いてきなよ
学級活動2
Aさん:
・各自が断り方をワークシートに記入する。
Bさん:誘ってるのに、断るなよな。
Aさん:
・班ごとに断り役、観察役を交代しながら行う。
・ロールプレイングの講評を含め講師の話を聞く。
5 指導の工夫
・導入の段階で、少年犯罪についての実態調査に生徒自ら取り組み、関心を高める。
・生徒の取材を基にロールプレイングのシナリオを考えさせ、全員で取り組むことにより、自分自身の問題として
とらえさせる。
・事前に生徒が少年センター等を訪問し、取材活動をとおして、考えさせるようにする。
6 評 価
・生き方についての自覚と責任を持ち、心身の健康の保持・増進に努め、積極的に自己を生かそうとしているか。
・社会における健全育成上の諸問題を自分の課題として受け止め、その解決に向けてよりよい方法で自主的に実践
することができるか。
・健全な生活を送ることの大切さを知り、犯罪や非行から自らを守る方法等について理解しているか。
- 85 -
※ロールプレイングの指導上の留意点
・登場人物は2~3人とし、簡潔で分かりやすい場面の設定であること。
・シナリオは簡潔にし、演じる時間は3分以内とする。
・クラスや学校に実在する名前やニックネームなどは使わない。
・登場人物の立場になって考え、演じるようにする。
・生徒自身が自分なりに思考し、他の人の考えを知ってさらに思考を深めるといった過程を重視す
ること。
・演じた生徒に対する役のイメージが定着し、いじめ等につながることを防ぐため、教員が「誘う
役」を務め、生徒には、
「断る役」をさせる。
「誘い役」を生徒にさせるときは、感情移入をさせ
ず、棒読みをするように指導し、演技の終了後、それぞれの役柄を解いたことを本人及び全員に
知らせる。
・コミュニケーションのタイプの違いを区別するようにする。
①非主張型・・・屈服したり、あきらめたり、他人が自分の権利を侵すことを認めてしまう。
②攻撃型 ・・・相手を犠牲にしてでも自分の欲求を通そうとする。
③主張型 ・・・相手の話を聞き、権利を尊重した上で、自分の権利を論理的、合理的に主張する。
・ロールプレイング中は、他の人は口を挟まないようにする。
・教員は、演技についてよい点があったら褒め、課題はまとめの段階で触れる。
・教員は、演技した生徒に演じているときに感じたことを尋ね、授業のねらいにあった発言は、本
人及び全員に知らせる。
・演技終了後が重要な学習になるので、十分に時間をかける。
イ 喫煙防止教育
1 活動名
「健康の維持と生活」
2 活動の目標
3 活動の概要
(1) たばこの煙が環境を汚染し、健康にも影響
を及ぼすことを理解する。
(2) 正しい意志決定と行動選択ができるように
し、望ましい生活態度や習慣の形成を図る。
本活動は、たばこの煙により喫煙者自身だけ
でなく、周囲の人にも影響を及ぼすことを知る。
正しい意志決定や行動選択ができる力を、意
見交換をとおして、身に付ける。
4 活動の流れと指導の工夫
保健の時間に
「たばこの煙
と環境」につ
いて学ぶ。
たばこに関する
健康被害への課
題について班ご
とに調査活動を
する。
班ごとに調査した
たばこの健康被害
を班長会でまと
め、問題提起をす
る。
◎活動内容の工夫
保健の時間の「たばこの煙と環境」の学習と関連させ、
身近な問題としてとらえさせる。
5 評価
班 長会か らの 問題提
起をもとに、たばこに
つ いて班 ごと に意見
交換を行い、学級全体
で 望まし い生 活態度
と 習慣に つい て考え
る。
◎指導体制の工夫
保健体育科教諭や養護教諭との連携を
図る。担任は、班ごとの話し合いを踏
まえ、総括をする。
(1) たばこの煙が環境を汚染し、健康にも影響を及ぼすことが理解できたか。
(2) 望ましい生活態度と習慣について考え、自己の生活に生かそうとする能力が身に付いた
か。
- 86 -
7
総合的な学習の時間
総合的な学習の時間では、社会体験や観察・実験、見学や調査、発表や討論など問題解決的
な学習を積極的に取り入れ、安全に関する問題解決の資質や能力を育て、自己の生き方を考え
ることができるようにすることをねらいとしている。そのような学習を進めるため、指導する
教員は、以下のように、安全管理と安全教育の面から十分な配慮をする必要がある。
(1) 安全管理
①
職場体験
ア
保護者に実施内容の説明をし、理解を求める。
イ
体験中の生徒のけが、体験活動中の事業所での物損、担当者のけがなどについて保険
で対応できるようにする。
ウ
保育園や幼稚園で細菌検査を依頼されることが多い。そのため、必要な検査を公的機
関(保健所)などで受けられるよう早めに手配する。
エ
自校で作成した危機管理マニュアルを事業所に説明し、予想される事故の対応につい
て事業所と事前によく話し合う。
オ
生徒が使用する機器等の安全性について、事業所に確認をする。
カ
事業所への交通機関、乗り換えの方法、最寄りの駅からの行き方等について確認する。
②
地域調査
ア
事前に管内警察署、商工会議所等を訪問し、交通安全面と防犯面から、危険箇所を把
握するとともに、調査範囲を実地踏査し、危険箇所を安全マップに記入する。
イ
調査の内容、項目、調べる方法を明確にし、調査をするに当って危険はないかを確認
する。
ウ
服装や靴などについては活動に適したものを着用させるとともに、集団で行動するこ
とや緊急時の教員への連絡方法などを徹底しておく。
③
河川の調査活動
ア
一年間に行う観察の範囲を設定し、季節の水量の増減を把握する。
イ
観察の範囲の詳細な安全マップを作成し、観察範囲、立ち入り禁止区域、危険箇所、
ウルシ、ススキ等の雑木・雑草などの発生地が分かるようにする。
ウ
④
複数の教員で引率・巡回をし、生徒の活動を常に把握する。
林業体験
ア
山での行動範囲の限定や危険箇所を明確にするために、赤い旗や布などを山道入口や
危険箇所前の目立つところに示し、行動範囲外に立ち入り、また、危険箇所に近づくこ
とがないようにする。
イ
作業に適した服装をし、軍手、ヘルメットは必ず着用する。
ウ
森林インストラクター、林業従事者の指導下に活動する。
エ
重い木などを運ぶので腰など痛めないように準備運動をさせる。
- 87 -
(2) 安全教育
①
奉仕・職場体験
ア
安全な交通機関の利用の方法、自転車の交通規則等を指導する。
イ
事業所等での作業や仕事の内容を分類して指導する。
ウ
事業所等で使う道具や工具について、安全性や正確な使い方について技術科担当教員
と連携して指導する。
エ
保育園や幼稚園に行く場合には、家庭科担当教員と連携し、園児の行動の特徴やかか
わり方について指導する。
②
地域調査
ア
歩道から車道に、狭い道路から広い道路に出るときなどの基本的な交通ルールを理解
させる。撮影やメモなどは歩きながらでなく、車や人に注意し、安全な場所で必ず止ま
って行うよう指導する。
イ
安全マップを活用して市街地での危険箇所や狭い路地などの危険箇所について生徒が
十分理解できるようにする。
ウ
生徒がグループで自転車を使用して移動する場合、並列走行や競争、信号無視、急な
飛び出しなどをすることがないよう、交通規則を徹底する。
エ
文化財について学ぶとき、その立地条件や自然環境(坂、石段、河原、雑木林の中、
山頂など)について、安全教育の視点から理解させる。
③
河川の調査
ア
石を投げたり、走り回ったり、川に近づいたり入ったりしないよう指導する。
イ
水や石にかかわる事故だけではなく、ススキの葉、雑木、ウルシ等による傷害・かぶ
れ、害虫による被害等について理解させる。
⑤
林業体験
ア
起伏が多く足場が悪い環境の中で活動することを理解させる。
イ
山の中で迷うと大きな事故・けがの原因になることを指導する。
ウ
技術科担当教員と連携し、のこぎり、なたなどの道具の正しい使い方を習得させる。
- 88 -
安 全 点 検 表
点 検 内 容
項 目
職
地 場
計 域 体
調 験
画 査
立
野
外
案
活
動
1 目的地、時程、行程等無理はないか。
職
地 場
域 体
調 験
実 査
地
踏
野
査
外
活
動
9 商工会議所や事業所と体験活動の具体的な内容の打ち合わせができたか。
2 学校と信頼関係のある企業で、生徒にとって安全な職種・体験場所か。
3 行き先・活動場所について、生徒が活動可能か。
4 調査の場所特有の危険箇所(立地・自然条件)について検討したか。
5 目的、内容、候補地、交通機関、所要時間は適切か。
6 候補地の安全性、緊急時の対応について支障はないか。
7 計画(雨天や気象の変化も考慮)が実態に合い、安全に十分配慮されているか。
8 候補地の医療機関をはじめ、諸機関との連絡体制は十分か。
10 体験活動が安全に十分配慮されていることが確認できたか。
11
危機管理マニュアルなどを用いて、生徒が体験活動で事故・けがをした時に事業主・学校双方の
対応について打ち合わせが十分できたか。
12 安全について学校が生徒に指導すること(爪、服装、交通機関など)が確認できたか。
13 市街地の調査場所の危険箇所や死角を確認できたか。
14
文化財や史跡など調査場所特有の危険箇所(坂、石段、山頂、雑木林)や危険箇所、動植物がお
よぼす傷害について確認できたか。
15 実地踏査をもとに具体的な注意の場所、危険箇所を書き込んだ安全マップを作成できたか。
16 目的地、時程、行程に無理はないか。
17 複数の教員で実地踏査を行ったか。
18 活動範囲を設定でき、境界が具体的で分かりやすい(橋、電信柱、道、標識、民家など)か。
19 赤い旗や布などで人為的に境界を示すことができるか。
20 危険箇所や死角、動植物が及ぼす傷害について確認したか。
21 引率者の数、配置、分担が適切か。
22 活動の場所周辺の警察、病院、消防署などの位置、連絡方法・緊急対応について確認したか。
23 実地踏査をもとに危険箇所や死角を明瞭に書いた安全マップを教員が作成したか。
24 目的、目的地、時程、行程、参加人数を確認したか。
事
前
打
合
わ
せ
25 各事業所の安全面の打ち合わせについて共通理解ができたか。
26 安全面で特段に配慮を要する生徒の共通理解はできたか。
27 安全マップを用いて危険箇所について共通理解はできたか。
28 活動途中で緊急事態が発生し、それに伴う活動内容や計画の変更について確認したか。
29 引率者の配置、役割分担、救急用品の確認をしたか。
30 生徒名簿(連絡先等)の準備の確認をしたか。
31 予想される事故・けがとその緊急対応・緊急体制について十分協議し、確認したか。
事
前
指
導
32 目的、目的地、活動内容、時程、交通機関について指導したか。
33 安全マップやしおりを用いて、危険箇所、危険な行為、緊急時の対応について指導したか。
34 事故やケガを防止する服装、持ち物、交通規則などについて指導したか。
35 引率者の配置、役割分担、緊急時の対応について生徒が理解できるように指導したか。
36 正確な参加人数を確認し、不参加生徒を学校全体で把握する体制になっているか。
当
日
37 本部の教員が事業所、関係諸機関、管理職と常に連絡がとれる体制になっているか。
38 各教員が自分の配置につき、相互に連絡を取り合い、生徒の活動を把握できているか。
39 複数の教員で巡回して生徒が危険箇所や指定区域外で活動していないか確認しているか。
40 全てのことが終了するまで緊急体制・緊急対応に組織的に取り組めているか。
- 89 -
チェック
生徒がけがをするような事故が発生した場合
(職場体験の事例)
の対応
職場体験中に事故が発生
第一発見者(事業所職員、生徒等)
他の生徒への指導
(事業所職員)
救護室・保健室・休憩室等への移送
(事業所)
在籍校へ緊急連絡(責任者または事業所職員)
状況によっては帰校
学校名
応急手当及び
担当者
119番通報・救急車要請(職員)
℡
【救急車要請時の内容】
1 救急車の要請です。
2 こちらは○○事業所です。住所は××
(正確に)です。職場体験中の中学生が
事故を起こしました。
3 けがの様子は△△です。
4 こちらの電話番号は◇◇です。
学
(
)
校
教員を事業所へ派遣
教員を事業所に派遣
救急車の誘導
(事業所職員)
保
護
家庭(保護者)への連絡
者
搬送先病院の確認
けがの状況把握(校長・副校長)
教育委員会指導室へ連絡
保険会社への連絡
救急車で病院へ移送(教員が同乗)
・学校への移送先病院の報告。
・学校へのけがの状況の報告。
事故報告書作成
指導室
報告受付、指導・助言
【事業所の方々へ】
○体験中の事故が発生しないように、事前に注意事項などを徹底してください。
○体験中に生徒の事故が発生した場合は、応急処置を行い、救急車を要請(事故の程度による)し
てください。
○けがの程度が軽い場合は、直接病院への移送をお願いいたします。
○けがの重軽にかかわらず学校への電話連絡は、即時行ってください。
○事故の大小によっては、けがをしなかった生徒を帰校させる場合があります。その後の体験活動
については、学校との協議になります。
(提供)杉並区教育委員会指導室作成
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