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パスタの製造方法の違い 原料よし・製法よし・そして心よし 低温長時間

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パスタの製造方法の違い 原料よし・製法よし・そして心よし 低温長時間
パスタの製造方法の違い
あっさり、鍋ものが多くなる冬の食卓。
時々濃ゆ~いイタリアンが食べたくな
るときありませんか?
「イタリアン」と言っても、おいしいパス
タさえあれば満足してしまうのは私だ
けでしょうか?「マンマの味」とも言える
イタリアンは家で作った方が断然経済的でおいしい!これさえあれば、
誰でも家でレストランよりおいしく作れます。
今号は、おいしさ保障付きのパスタとオリーブオイルのご紹介です。
低温長時間乾燥のイタリア・メンニッリのパスタ
「地産池消」を心がけているのですが、このパスタを食べたとき、あま
りのおいしさにびっくり、ノックアウトされた次第です。遠くイタリアから運
ばれてきたのに、何ゆえ国産のパスタより美味しいのか。(いつもどおり
ですが)しばしおつきあい下さい。
100円ショップから有名レストランのパスタまで、
価格の違いは一体なに?
「パスタ」といえども、価格の違いはいつも同じ、「原料と作り方」。
パスタの原料は小麦粉。「デュラムセモリナ粉」というのがパスタの原料
の一般的な固有名詞のようになっていますが、「デュラム小麦」と言うの
は小麦の品種でパスタに適した硬い品質の小麦のこと。「セモリナ」は
「粗い」という意味で、「デュラム小麦の粗引き粉」というわけ。
このデュラムセモリナ粉は世界中で作られています。パスタと言えばイ
タリア産なのですが、実はイタリア国内では小麦が絶対的に不足してお
り、イタリアでも国外からの輸入にほとんど頼っているのが現状です。
小麦粉の原料輸入で考えられる問題点は「ポストハーベスト(※)によ
るリスク」、「品質の劣化および劣化した小麦を更に製粉にしたB級品の
利用」などと、見えない様々な要因があります。パスタ原料の小麦が輸
入されるようになってからイタリアでは小麦アレルギーがとても増えてし
まったそうです。
品質の悪い小麦を使えば価格は下がりますが、安全性という代償を
払っているのかもしれません。
ちなみに今回紹介するメンニッリのパスタに使われている小麦は有機
認定されている安心なものです。
(※)ポストハーベスト:収穫した後の農作物、特に輸送段階での腐敗や
病害虫を防ぐために使われる農薬のこと。残留可能性が非常に高い。
大きなメーカーと家庭内手工業のような小さなメーカーの違い、それは「生産性の効率化」。コストダウンによる大
量生産は価格を下げますが、昔ながらの製法、味、といったものはどうしても失われていきます。
ただし、大きなメーカーの努力により、多くの人が手軽にパスタを食べられるようになった事実もあります。
さて、パスタの製法での違いとはなんでしょうか?
色々ありますが大きな要因としてはパスタの乾燥方法があげられます。
メンニッリのロングパスタの場合64℃以下で34時間かけての低温長時間乾燥。大メーカーではだいたい80℃~
120℃の高温で6~7時間で仕上げます。この温度の違いが実は大きいのです。パスタのタンパク質の凝固は73℃
で始まります。この凝固したタンパク質は消化しにくく、体に負担がかかります。例えると卵も半熟だと滑らかでおい
しいですが、固ゆで卵は食べた瞬間からのどがつまっていかにも消化が悪そうな感じ。また消化の負担もさること
ながら、小麦の旨さ、ほんのりした甘みを残せるのはやはり、低温で長時間乾燥させたものだけだそうです。
古代小麦のおいしさ・懐の深さ
(デュラム小麦とファッロ小麦・カムット小麦の違い)
一般的なパスタの原料は「デュラム小麦」と書きましたが、メンニッリのパスタの原料は「ファッ
ロ小麦」と「カムット小麦」。この2種は「古代小麦」と言って日本で言う「在来種」のようなもの。
小麦アレルギーが増えてしまった欧米で数年前から脚光を浴び、最近は日本でもこの小麦を
使った製品が販売されています。前述の「デュラム小麦」は米で例えていうなれば「こしひか
り」。100%品種改良された「よりおいしく、より高収量、より高栄養(高タンパク)、より病虫害に
強い」小麦の優等生。これって小麦を供給する側に都合はいいが、「本当に食べる側の人間の
身体にいいものなのか?」というのがメンニッリさんの考え。
古代小麦は品種改良が不可能で、何千年前の原種のまま。デュラムセモリナ粉のパスタは食べられないが、古代
小麦のパスタならアレルギーをおこさないという人が増えています。この話、日本でも全く同じ現象、(こしひかりに
よる米アレルギー)があるのです。
さて、味を比べてみると、古代小麦のパスタは力のある味です。「ファッロ」のパスタは例えるなら玄米の味。力が
強くて小麦の甘みがあって滋味深く、もっちりとした食感。「カムット」のパスタは例えると雑穀入り白米のような味。
「ファッロ」ほど強烈ではなく、すっきりとした味です。ゆであがりもしゃっきりして、初心者の方には入りやすい味。
どちらもおいしいです。用途、お好みでお試し下さい。
原料よし・製法よし・そして心よし
原料の違い、製法の違いとここまで紹介してきましたが、この幸せなおいしさを醸し出してくれる、もうひとつの理
由は輸入元「アサクラ」の朝倉さんを通して伝わってくる「メンニッリ」さんの心意気と人柄。
「うちは50~60年前の製法とほぼ変らない作り方をしているだけ。粉やパスタを冷やしたり熱くしたりしたらストレス
がかかるだろ。人間だって同じさ。うちのパスタは食べると消化がよく、消化にエネルギーを要するということはな
い。自然本来のものをストレス掛けず作ったパスタは良薬と同じ、食は生きる源だ」とメンニッリさんは語ります。
日本国内でもそうですが、イタリアでもやはり小さなメーカーは大メーカーに押されて減っていく一方。会ったことの
ないメンニッリさんですが、遠いイタリアよりパスタを通して職人魂を感じます。Grazie !!(グラーツィエ) 。
このパスタ、正直、価格の高さにずうっ~とお蔵入りしていました。でも毎日の基本は米。たまにしか食べないパス
タなら、うんとおいしいものを食べたほうがいいのではないか、ということでご紹介させて頂きました。ホントにおいし
いです、このパスタ。まずは何もかけないで食べてみてください。
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