Comments
Description
Transcript
子どもを中心とした防災 - セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン
はじめに 公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、2011 年 3 月に東日 本大震災が発生した直後から 5 か年計画で、子どもの権利を基盤とした緊急・ 復興支援活動を岩手県、宮城県、福島県で展開してきました。防災(災害リ スク軽減)においては、防災備品の提供、防災教育教材の開発、防災学習へ の支援などを通して、子どもの命が守られ、子どもが主体的に防災に参加で きるための活動を実施しました。 東日本大震災復興支援事業の重点対象地域の一つである宮城県東松島市で は、学校や放課後児童クラブにランドセルや防災備品などの提供、保育所建 設、公園整備など、さまざまな活動を行いました。2014 年 1 月からは、同 市が重要課題として挙げている防災への支援を拡充しました。 子どもが楽しく、主体的に防災について学び、防災に参加すると同時に、 子どもを通して学校、放課後児童クラブ、地域、家庭、行政が連携した防災 を目指して、防災学習、防災研修、防災訓練を関係者の方々と共に実施して きました。この東松島市において取り組んだ「子どもを中心とした防災」に ついて、本冊子で報告します。 東日本大震災で自助・共助の重要性が改めて認識され、地域の防災力向上 を図るために、学校と地域の連携が勧められています。東松島市では、すべ ての小中学校が参加する全市一斉の総合防災訓練という画期的な試みを開始 しました。この総合防災訓練への支援や防災への子どもの主体的な参加を促 す活動の経験をもとに、子どもを中心として地域がつながるためのアプロー チやプロセスをご紹介しています。 今後予想されている大規模災害に備えて、自治体の方々や防災に関わる活 動をされている方々に、ぜひご参考にしていただき、地域の防災力向上の一 助となりますことを願います。 弊会の活動にご協力をいただきました東松島市、東松島市教育委員会、東 松島市内の学校、自主防災組織などの方々に厚く御礼申し上げます。 公益社団法人 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン 東日本大震災復興支援事業部 目次 Ⅰ 子どもを中心とした防災 Ⅰ 子どもを中心とした防災 ……………………………………………………………… 1 Ⅱ セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの東日本大震災復興支援事業 (2011 ~ 2015 年)~防災に関する活動~ ……………………………………2 国連は「子どもの権利条約」を 1989 年に採択し、世界 195 の国と地域 Ⅲ 東松島市における「子どもを中心とした防災」モデル事業 ………………3 が締約しています。子どもには、「生きる」「育つ」「守られる」 「参加する」 1. 東松島市の概要と防災計画 ………………………………………………………………3 権利があり、平常時だけでなく災害時においても保障されなくてはなりませ 2. アプローチ、主な活動、成果 …………………………………………………………4 ん。災害の有無にかかわらず子どもは刻一刻と成長しており、どのような状 3. 協働した主な関係者 ……………………………………………………………………8 4. 活動一覧 …………………………………………………………………………………10 Ⅳ 学校、地域、家庭をつなぐ総合防災訓練 ………………………………………12 1. 平成 26 年度総合防災訓練~地域の人が学校へ~ …………………………………12 況におかれても十分な衣食住、医療サービスへのアクセス、学びや遊びの機 会、安全に過ごせる場所、家族と一緒の生活、暴力や搾取からの保護、など の基本的権利は保障されるべきであると考えられているからです。 また、子どもは災害時の混乱下で養育者からひき離されてしまったり、従 2. 平成 27 年度総合防災訓練~子どもたちが地域へ~ ………………………………15 来の社会的セーフティーネットが機能しないことで、より脆弱な立場に立た Ⅴ 学校、放課後児童クラブ、地域、家庭との活動 ……………………………20 されるリスクが高くなります。成長・発達の過程にあるということだけでも、 2. 放課後児童クラブとの取り組み ………………………………………………………23 の権利保障は、日本の防災を再考する上で大きな課題であると考えられます。 1. 学校との取り組み ………………………………………………………………………20 3. 地域との取り組み ………………………………………………………………………25 4. 家庭との取り組み ………………………………………………………………………33 Ⅵ 子どもから子どもへの防災 …………………………………………………………35 1. 防災体験学習 ……………………………………………………………………………35 2. 放課後児童クラブでの防災遊び ………………………………………………………37 付属資料 (A) 防災教育教材 ・ 「東日本大震災の教訓を漫画で学ぼう! とっさのひとこと」 ・ 「なまずの学校」 ・ 「みんなで遊んでたすカルテット」 (B) 防災アクティビティ ・だんご虫のポーズ ・毛布担架 ・ペットボトルで作る食器 ・紙で作るお椀 ・紙で作るスプーン ・紙で作るコップ 子どもは災害の影響をとりわけ受けやすいことから、災害時における子ども 一方、「子どもの権利条約」では、子どもは庇護される対象にとどまらず、 自由に意見が表明でき、その意見を考慮するようにとも規定されています。 2015 年 3 月に仙台市で開催された第 3 回国連防災世界会議で採択された「仙 台防災枠組み 2015 ~ 2030」において、 「子どもと若者は変革の主体」で あると明記されており、防災に貢献できるように機会と手段を提供するよう に勧められています。 このような子どもの権利の視点に立ち、子どもを防災の中心に位置付けた 「子どもを中心とした防災(災害リスク軽減) 」を子ども支援専門の国際 NGO であるセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、日本や世界各地で推進 しています。防災政策や行動計画に子ども特有のニーズを反映すると共に、 子どもが防災に参加し、能力を発揮できる機会や手段を提供するために、子 ども、コミュニティ、行政機関、NPO などと連携して防災に取り組んでい ます。 ・ごみ袋で作るレインコート ・新聞紙で作るスリッパ ・新聞紙で作るゴミ箱&ぼうし ・レジ袋とタオルで作るおむつ 協働した方々からのひとこと 1 1 Ⅱ セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの 東日本大震災復興支援事業(2011 ~ 2015 年) Ⅲ 東松島市における 「子どもを中心とした防災」モデル事業 ~防災に関する活動~ セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、2011 年 3 月 11 日の東日本大震災直 後に東日本大震災復興支援事業を立ち上げ、子どもや養育者の回復への支援と子 どもたちが緊急時準備計画や防災において主体者となれることを目的として、支 援活動を実施してきました。 特に防災(災害リスク軽減)の分野においては、先述の「子どもを中心とした 防災」、すなわち子どもの命が守られ、子どもが主体的に参加できる防災の構築 を目指して、次の 3 つのフェーズで活動を展開しました。 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、2014 年から 2015 年の 2 年間、東 日本大震災復興支援事業の重点対象地域の一つである宮城県東松島市において、 子どもの命が守られ、子どもが主体的に参加できる防災の実現を目指して、 「子 どもを中心とした防災」のモデル構築に取り組みました。 1. 東松島市の概要と防災計画 宮城県東松島市は、仙台市の北東に位置し、 石巻市の西側に隣接した人口約 4 万人の市で 第 1 フェーズ(2011 年 3 月~ 2012 年末頃) す。2005 年 4 月に矢本町と鳴瀬町が合併して 緊急支援期には、防災ずきん、非常持ち出し袋、自動体外式除細動器(AED) 、 誕生し、2015 年に市制 10 周年を迎えました。 救急セットなどの防災備品を保育所、幼稚園、学校、放課後児童クラブに提 東日本大震災では、1100 名以上が犠牲と 供し、ハード面での防災への支援 なり、全住宅の 3 分の 2 を超える 1 万 1000 棟以上が全半壊という大きな被害を受けまし 第 2 フェーズ(2013 年 1 月~ 2014 年 7 月) た。市内の 14 小中高校のうち 6 校が浸水し、 東日本大震災の教訓をまとめ、国内外に伝えていくために、防災教育教材の うち 3 校が使用不能となりました。そして、 開発(付属資料を参照) 下校時や保護者への引き渡し後に、32 名の小中学生の命が失われました。 甚大な被害に直面し、東松島市は 2011 年 6 月には「東松島市震災復興基本 第 3 フェーズ(2014 年 1 月~ 2015 年 12 月) 方針」を発表し、同年 12 月に「あの日を忘れず ともに未来へ『東松島一心』 開発した防災教育教材を普及すると共に、宮城県東松島市において「子ども による防災まちづくり」を基本理念とした「東松島市復興まちづくり計画」を策 を中心とした防災」モデル事業実施 定しました。2014 年 2 月に改定された「東松島市地域防災計画」においては、 子どもを対象とする防災教育や市民に対する防災知識の普及についての方針が示 されました。災害時に子どもが自主的に行動できるための防災教育、および学校 と地域合同の避難訓練への参加などを通じた学校と地域が連携した実践的な防災 教育を行うと述べられています。 学校内だけでなくあらゆる場面で子どもの命が守られるための取り組みの一環 として、東松島市総合防災訓練は 2014 年から学校と地域が合同で日曜日に実 施する形態に変更されました。地域防災力の向上における子どもの果たす役割が 明確化されると共に、その役割が地域で認識される貴重な機会となっています。 2 3 このようにして、東松島市は「災害自立都市」実現を目指し、公助だけでは対 応できない場合を想定して自助・共助の強化、地域防災力の強化に取り組んでい ます。 アプローチ① 子どもを取り巻く関係者間の連携構築 学校をはじめとする子ども関連施設と地域住民との連携の必要性は、広く認識 されていますが、効果的な方法論についての報告は多くありません。セーブ・ザ・ チルドレン・ジャパンは、開発した防災教育教材を学校や地域などで普及し、防 2.アプローチ、主な活動、成果 大災害が起きると公助が機能しない場合があり、自助と共助が重要であること は、阪神・淡路大震災の教訓として得られ、東日本大震災でも再認識されました。 東日本大震災後に改訂された防災基本計画や新たに策定された地区防災計画にお いても、自助と共助が強調されています。しかし、低い防災意識、防災リーダー の不足、高齢化、近隣関係の希薄化などという現状があります。自助と共助を 強化する取り組みのひとつとして、地域と学校が連携した防災訓練が提案されて いますが、所管する行政機関が異なるため、調整が困難であるという課題もあり 災に関して習得する知識に統一性をもたせると同時に、子どもの命が 24 時間守 られるための連携体制づくりを試みました。緊急・復興支援を通して構築された 信頼関係を基に、行政機関と連携して学校、放課後児童クラブ、地域、家庭など 個々の関係者と共に防災学習、防災研修、防災訓練を行うなかで、これらの関係 者をつなぐ役割を果たし、地域全体の防災力の向上につながる活動を展開してき ました。 主な活動 ●東松島市総合防災訓練において学校、地域、家庭をつなぐ防災訓練を支援 事例① (p.12 〜 19) ます。 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが東松島市で取り組んだ「子どもを中心と した防災」では、行政機関と連携しながら、学校での防災学習、地域での防災研 修、学校と地域合同の防災訓練、さらに子どもから子どもへ伝える防災などの活 動を展開しました。これらの活動を通して、子どもが自らの命を守り、子どもの 命が周りの大人に守られ、そして、子どもを通じて地域の人たちがつながること によって地域の防災力が向上することを目指しました。 (1)子どもの命が 24 時間守られる防災 子どもをめぐる国の防災施策は、施設の耐震強化や防災マニュアル作成など、 学校、幼稚園、保育園など子ども関連施設による個別の取り組みを中心に進めら れてきました。しかし、子どもは 1 日のうち、家、幼稚園、保育園、学校、放 課後児童クラブ、近所の公園など、さまざまな場所で過ごします。 東日本大震災は平日の下校時刻に発生し、被災地域の関係者は想定外の状況下 で、対応にせまられたことが報告されています。24 時間、子どもがどこに居て 成果 ●セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが提案した子どもと大人が一緒に行う防災 訓練・防災学習が実施され、学校と地域の連携を深める仕組みづくりのきっか けとなった。 アプローチ② 地域や学校における「子どもを中心とした防災」の推進および 自立発展性の確保 「子どもを中心とした防災」を推進していくためには、この考えについて関係 者の理解を得て、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが紹介した防災教育教材や 防災アクティビティが継続的に実施されていく必要があります。そのために、地 域の人たちや学校の先生を対象とする防災研修会を実施したほか、地域で防災イ ベントを開催する際には地域の人たちが主になって進行できるような形でサポー トしました。 も命が守られるために、家庭、学校、地域、行政などの関係者が共通認識を常に もって行動できる体制の整備が肝要となります。 4 5 主な活動 主な活動 ●総合防災訓練研修会 事例② (p.15 〜 16) ●地域での防災研修、防災イベント 事例③ (p.25 〜 32) ●防災教育研修会 事例④ (p.20 〜 22) 成果 ● 防災イベントを一緒に行った地域では、防災アクティビティのファシリテー ●総合防災訓練や地域の防災イベントで子どもたちの主体的な参加を支援 事例⑤ (p.14)(p.16 〜 19)(p.25 〜 27)(p.29 〜 32) 成果 ●子どもたちに地域の一員であるという自覚と責任感が芽生え、大人は子どもた ちが果たせる役割を認識した。 ターが誕生し、地域の人たちだけでイベント開催が可能になった。 ●セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが提案した防災学習案が、各学校で実施さ れている。 アプローチ④ 子どもから子どもへの防災学習の仕組みの構築 子どものエンパワーメントを行いながら、学習効果も高める手法として、子ど もから子どもへ(Child to child)情報を伝達する手法は防災に限らず、さまざ (2)子どもが主体的に参加できる防災 災害において子どもはより脆弱な立場に置かれるリスクが高く、十分な配慮の もと守られるべきである存在であることに加え、東日本大震災の経験から、子ど もが自分で考え、命を守る行動をとれることが大事であり、子どもが地域におい て重要な役割を果たす力があるということも学びました。子ども、特に中高生が 震災後に果たした役割についてはセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが調査を行 い、 「震災後に中高生が果たした役割の記録プロジェクト」 (2013 年 4 月)にま とめています。 子どもたちが力を十分に発揮するためには、子ども自身のエンパワーメント、 および子どもの可能性を引き出し生かすための大人側の体制整備が重要です。 アプローチ③ 子どもが地域の防災活動に参加できる機会の確保 子どもも地域の一員です。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、 「子どもま ちづくりクラブ」の活動を通して、自分たちの街の復興や防災に関心があり、何 らかの形で関わりたいと考えている子どもが多くいることが分かりました。 地域の防災を考える上で、子どもにも情報を提供し、子どもの関心事、認識の まな分野において導入されています。東松島市での事業においては、高校で行わ れている防災体験学習で高校生から高校生への、そして高校生から放課後児童ク ラブの子どもたちへの楽しく学ぶ防災学習の実施を支援しました。 主な活動 ●石巻西高校での防災体験学習の事前研修を高校生に実施 事例⑥ (p.35 〜 36) ●石巻西高校の生徒に事前研修を行い、東松島市と調整のもと放課後児童クラブ 事例⑦ (p.37 〜 40) で防災の遊びを実施 成果 ●石巻西高校での防災体験学習のプログラムとして、子どもから子どもへの防災 学習が定着した。 ●石巻西高校と東松島市が「防災教育共同事業に関する覚書」を締結し、高校生 から放課後児童クラブの子どもたちへの「子どもから子どもへの防災」が継続 される仕組みづくりに貢献した。 あり方、意見を知ろうとし、子どもの発言の機会を担保することによって、子ど もにはさまざまな貢献ができる可能性があります。セーブ・ザ・チルドレン・ジャ パンは、子どもの発達段階に合った地域の防災活動への参加方法を提案しました。 6 7 3.協働した主な関係者 東松島市で協働した人たちの関係を示す図です。黒線(――)は既存の関係を 表し、赤い波線( )はセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが強化した、ある いは新たにつないだ関係を表しています。 総合 防災訓練 防 災 研修 P FA 研修 教育委員会 学校教育課 総務部 防災課危機対策班 公園整備 総合 防災訓練 学校 防災備品の提供 防災教育研修会 防災主任者会議 防災 イベント 地域の 自主防災組織 連絡協議会 9小学校 3中学校 (各中学校区に3小学校) 防災主任者会議 2高等学校 総合防災訓練 説明会 防災学習 地域 ※宮城県教育委員会は 2012 子 ども 年4月に防災主任制度を創 設し、県内すべての公立学 校に防災主任と地域の拠点 となる学校に防災担当主幹 子どもから 子どもへの防災 東松島市自主防災組織 連絡協議会 放課後児童クラブ 10 クラブ ※各クラブに2〜4名の 放課後児童支援員等 防災備品の提供 防災研修会 保健福祉部 子育て支援課 防災組織は、8地域に分か 防災イベント れ、各地域の代表2名から 構成されている。 ※地域の自主防災組織連絡協 防災イベント 防災の遊び 8 ※市内全域に設立された自主 総合防災訓練 教諭を配置 防災研修会 防災イベント 82 自主防災組織 総合防災訓練 (会議は2カ月に 1 回開催) 建設部建設課 復興政策部復興都市計画課 ※小・中・高校および幼稚園 から各1名、計 15 名 移転対策部生活再建支援課 議会の会議には、地域内に ある学校の防災主任・主幹 教諭も出席 総合防災訓練 家庭 ・乳幼児をもつ家庭 ・小中学生をもつ家庭 防災講座 矢本子育て支援センター 9 4.活動一覧 東日本大震災発生直後から開始した東松島市における緊急・復興支援活動では、 物資の提供や建設支援を行うなどハード面での活動に加え、放課後児童クラブに 対する研修や遊びなどのソフト面の活動を実施しました。さらに、2014 年から 2015 年までの 2 年間は「子どもを中心とした防災」を推進してきました。 次章からは、個々の活動のプロセスやアプローチ、協働した人たちの声などを報告しています。 さらに、活動の詳細についてお知りになりたい方は、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンのホームペー ジのブログをご覧ください。URL: http://www.sa vec hildren.or.jp/blog/index.php?t=4 10 11 Ⅳ 学校、地域、家庭をつなぐ総合防災訓練 事例① 東松島市総合防災訓練は、 宮城県沖地震 (1978 年) 、 宮城県北部連続地震 (2003 年)、東日本大震災(2011 年)を教訓として、今後も発生が予想される大規模 地震、津波などに備えるために、2007 年から毎年 6 月に全市一斉に実施されて います。 2014 年から総合防災訓練が行われる日曜日は、小中学校の登校日とし、公式 な授業時間 2 校時分として扱われるようになりました。2014 年(平成 26 年度) は、地域の人が小中学校へ避難し、小中学生と一緒に防災訓練を行い、2015 年 (平成 27 年度)は、小中学生が地域の避難場所へ避難し、自主防災組織が主催 する防災訓練に参加しました。2016 年以降も隔年で、学校と地域で総合防災訓 練が行われる予定という画期的な取り組みです。 この初めての形態となる防災訓練をセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、防 災研修、学校と地域の連携、子どもの主体的な参加において支援しました。 1.平成 26 年度総合防災訓練~地域の人が学校へ~ ◆ 2014 年 5 月 27 日 防災教育研修会 総合防災訓練において、学校で子どもと地域の人が一緒に行う防災学習に使え る教材をセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが紹介し、学校と地域をつなぐ防災 学習授業案を作成、提案しました。小学校 1 年から中学校 3 年まで発達段階に 応じた各学年用の授業案によって、小中学校 9 年間で一貫した防災教育を受け られるようになっています。これは、異なる小学校を卒業した子どもたちを受け 入れる中学校の先生が、小学校で全員同じことを学んだ基礎の上に中学校で発展 させていきたいという要望があったからです。 (p.20-21 を参照) ●研修会に参加した先生の感想より 「総合防災訓練で、教えていただいたことを教材にして授業を行う予定で、今日の研修 会に来ました。分かりやすい説明で、授業を行うめどがたちました」 「防災教育教材の使い方がとてもよく分かり、総合防災訓練の学習で活用させてもらい ます」 12 13 ◆ 2014 年 6 月 15 日 平成 26 年度東松島市総合防災訓練 事例⑤ 小中学生と地域の人が一緒に学び、そのなかで子どもたちが活躍することをね らいとした授業案が、12 小中学校のうち 10 校で実施されました。 児童・生徒、地域の人たち、保護者が一緒に防災学習 2.平成 27 年度総合防災訓練~子どもたちが地域へ~ ◆ 2015 年 5 月 20 日 総合防災訓練研修会(参加者:88 名) 事例② 小中学生が自宅近くの避難場所へ避難し、自主防災組織が企画、実施する防災 訓練に参加するという初めての取り組みです。これまでは大人だけで防災訓練を 行う地域の人たちには戸惑いもありました。前年度の総合防災訓練において、学 校で小中学生と地域の人が一緒に行う防災学習を支援したセーブ・ザ・チルドレ ン・ジャパンは、防災課から相談を受け、自主防災組織の人たちを対象とする研 修会開催を提案し、実施しました。 第1部 ●講演「地域をつなぐ防災訓練」NPO 法人プラス・アーツ 小倉丈佳 ●地域での総合防災訓練案の紹介 ・炊き出し訓練&紙で作るお椀 ・地区での災害への備えについて知ろう! &毛布担架 東日本大震災について地域の 人から話を聞く 1・3 年生 保護者や地域の人と新聞紙で スリッパを作る 1・2 年生 地域の人に校内の防災設備を 案内する 4 年生 学校と保護者の連携 ・非常持ち出し袋の準備は OK? 第2部 ●防災アクティビティの体験 1つのアクティビティを 20 分のセッションとして、 80 分で全員がすべてのアクティビティを体験 防災学習を参観する保護者 引き渡し訓練 なまずの学校 毛布担架 「楽しく、主体的に学ぶ防災〜宮城県東松島市総合防災 訓練における防災学習の取り組み〜」 (2014) ジャッキの使い方 紙で作る食器&レジ袋と タオルで作るおむつ 平成 26 年度総合防災訓練において、学校で実施された 防災学習についてまとめた冊子です。 14 15 ✿総合防災訓練の企画・実施に役立つノウハウを提供 ● H27 年度総合防災訓練について(防災課) ●総合防災訓練研修会について(SCJ) ●自主防災組織の人たちの感想より 「参加してたいへん勉強になりました。防災訓練でぜひ実施したいと思います」 「子どもたちとのかかわり方の勉強になりました(一番悩んでいました)」 ●総合防災訓練に向けた学校での取り組みについて(矢本第二中学校) ●地区生徒会と自主防災組織の代表との話し合い ●防災課の感想 「体験型の研修で、みなさん熱心に参加されていました。訓練に有効なアクティビティ を学ぶことで、大人と一緒に子どもも学べる防災訓練に変化させることができたと思 います」 地区生徒会の代表と自主防災組織の 会長さんがペアになって話し合い ✿自主防災組織を対象とする研修会でしたが、地域で行われる防災訓練の内容 を確認したい学校の先生も参加できるように防災課に依頼し、6 名が参加し ました。また、防災主任者会議でも研修会の内容について報告し、地域での 準備状況を共有しました。 ✿中学校、自主防災組織、防災課の関係者が一堂に会して、総合防災訓練につ いて話し合う初めての機会となり、中学生も地域の一員として主体的に総合 防災訓練に参加することを中学生も大人も確認できました。 ●総合防災訓練研修会に参加し、総合防災訓練を視察した先生の感想 「研修会がよかったと思います。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが紹介した訓練内 容をそのまま実施していた地区もありました」 「いい話し合いができました」 「近所の子どもたちを 「中学生の代表が分かっていれば、 だいたい知っているので、小学生の 何か伝達する時に助かります」 人数確認も任されました」 自主防災組織 「避難するだけでなく、地域の防災訓練に ◆ 2015 年 6 月 3 日 平成 27 年度総合防災訓練説明会 @矢本第二中学校 積極的に参加したいです。 事例⑤ 総合防災訓練の実施にあたって、防災課は各地域の自主防災組織に説明会を開 催し、学校に対しては防災主任者会議を通して説明をしました。それなら「総合 防災訓練に参加する子どもたちへも説明会の開催を」 と中学校と防災課に提案し、 矢本第二中学校で行いました。地区生徒会の代表 25 名と学区内の自主防災組織 の会長さん 24 名が初めて顔を合わせ、訓練内容や中学生の役割について話し合 いました。後日、その内容は地区生徒会の代表から同じ地区の生徒に伝えられま した。 小中学生の点呼や炊き出しの お手伝いなどをして、地域に 貢献したいと思います」 中学生 「地域の方と中学生が 事前に顔合わせをしたことで、 訓練当日には、両者のコミュニケーションが 容易にとれていたように思う。 地域の方々は、中学生と会話し、 情報交換や訓練の段取りができ、 感謝していた」 先生 16 17 ◆ 2015 年 6 月 14 日(日) 平成 27 年度東松島市総合防災訓練 事例⑤ 全市一斉に、地域の避難場所で子どもと大人が一緒に行う初めての総合防災訓 ◇小中学生、保護者、地域の人が協力して防災訓練 練です。自主防災組織を対象とする研修会で、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパ ンが提案した子どもが主体的に参加できる訓練内容が、各地区で取り入れられて いました。 毛布担架 ジャッキの使い方 リヤカーの組み立て 紙で食器とコップを作って アルファ米を試食 ◇小中学生が、小学生、中学生それぞれの人数を確認し、自主防災組織へ 報告 ◇中学生と地域の人たちで避難行動要支援者世帯 の安否確認 ●中学生に地域の一員としての自覚が生まれました。 「学校でできない訓練ができ、地域の人と交流できて、とてもよかった」 「中学生は避難するだけでなく、地域の一員として、貢献する役目があると改めて思った」 ●その様子は、先生も確認 「地域の方の指示のもと、率先して行動していました」 「地域の人たちと一緒に訓練して、地域の一員であるという自覚が芽生えたと思います」 ●自主防災組織の人たちの感想より ○参加者の増加 ◇中学生が学校で作成した地区の防災マップにつ いて発表 「小中学生が参加したので保護者も多く来て、防災意識の向上が図れた」 ○子どもの主体的な参加 「子どもたちが生き生きとして、地域の一員として活動していました」 ○研修会の効果 「総合防災訓練の前に研修があったのが、たいへんよかったので、来年も研修の開催 を願います。感謝しています」 18 19 Ⅴ 学校、放課後児童クラブ、地域、家庭との活動 ◆学校での防災学習 防災教育研修会に参加した先生が各学校で他の先生に教材について説明し、 1.学校との取り組み ※東松島市教育委員会と連携 子どもは、毎日学校に通い、日中のほとんどの時間を過ごします。安心安全な 居場所としての学校づくりを世界で推進しているセーブ・ザ・チルドレンとして、 「とっさのひとこと」や「なまずの学校」を用いた防災の授業が小中学校で行わ れています。 「とっさのひとこと」 (小学校) 防災備品の提供と共に、教員研修を通じた防災教育への支援を行いました。 ◆防災ずきん、非常持ち出し袋、救急箱などを提供 「なまずの学校」 (中学校) 防災ずきんをかぶる訓練 非常持ち出し袋の説明 ✿東日本大震災で大きな被害を受けた東松島市では、子どもが自分の命を守る ための行動を身につけることを目指した教材であり、さまざまな業務で多忙 ◆防災教育研修会 事例④ 東松島市の学校には、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンと NPO 法人プラス・ アーツが共同開発した防災教育教材が配布されていることから、これらの教材に ついて紹介する防災教育研修会が開催され、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン が講師を務めました。 2014 年5月 27 日(参加者:41 名) ●セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが防災教育教材について説明後、先生が 模擬授業を実施 なため防災教育の教材研究に時間がとりにくい先生にとって、すぐに使える 教材であることが、評価されました。 「漫画を用いた『とっさのひとこと』は、子どもたちが興味をもちやすい教材です。状 況をよく理解した上で、考えられるのが魅力だと思います。ぜひ活用してみたいです」 「 『なまずの学校』は、いざという時の判断力、思考力を養う上で、とてもよい教材だ と思いました」 「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンさんが、自らの命を守ることができる子どもを育 てるための教材を開発したことは、子どもを本当の意味で守ることにつながるので、 大変意義のあることだと思います」 2015 年5月 26 日(参加者:25 名) ●セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが簡単に防災教育教材について説明後、 先生が学校での授業の実践事例を共有 [内容] ・とっさのひとこと ・なまずの学校 ・新聞紙で作るスリッパ 20 21 ✿セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが開発し、紹介した防災教育教材が各学 校で使われ、授業の実践事例が共有されたことで、防災学習のさらなる広ま りが期待されます。 2.放課後児童クラブとの取り組み ※保健福祉部子育て支援課と連携 放課後児童クラブは、一部の子どもたちにとっての放課後の居場所となります。 東日本大震災の時は、学校から放課後児童クラブに移動中の子どもや放課後児童 クラブで過ごしていた子どももいて、放課後児童クラブが子どもの安全確保に 「実際に活用された先生方の説明や活用例が適切でよかった」 「子どもの発達段階に応じて、さまざまな活用方法を考えて使用していければと思いま す。自分と人の体を大切にするということを伝えていきたいです」 「同じ東松島市内で、他の学校がこのような取り組みをされていることを初めて知りま した。教材を生かして、生徒の防災意識を高められたらと思いました」 とって非常に重要な役割を果たしたことがセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの 調査から分かりました(「東日本大震災学童保育指導員記録集」2014 年)。 しかし、学校と比較して災害に対する備えが十分でなかったり、学校との連携 が希薄だったという状況があります。その要因のひとつに、学校は教育委員会、 放課後児童クラブは子育て支援課など、異なる行政機関の管轄下であることが考 えられます。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、放課後児童クラブの防災へ ✿「防災学習って難しそう」と思いがちですが、子どもたちは興味をもって取 り組めたようです。各自で、そしてグループで、防災について考えることが の備えを強化するために、防災備品を提供すると共に、放課後児童支援員等を対 象とする防災研修会や放課後児童クラブで防災を学ぶ遊びを行いました。 できました。 ◆防災ずきん、非常持ち出し袋、自動体外式除細動器 ●「とっさのひとこと」を学んだ児童・生徒の感想 「漫画なのでおもしろかった」 (AED) 、救急箱、防災学習教材などを提供 「漫画で状況が具体的な感じだったので、 非常持ち出し袋に入っている物を子どもたちに 分かりやすいように説明したイラスト 分かりやすかった」 「地震や津波の時、どうすればいいか 「吹き出しに言葉を書くのが 考えられてよかった」 とてもおもしろかったです」 小学生 中学生 ◆放課後児童支援員等への防災研修会 放課後児童クラブにニーズ調査を実施したところ、アンケートの結果、防災研 修に対する関心が高いことが分かりました。そこで、岩手県と宮城県の放課後児 童支援員等を対象に、子どもが楽しく学べる防災の遊びなどの体験型防災研修会 を NPO 法人プラス・アーツと共に開催しました。 ●「なまずの学校」を学んだ児童・生徒の感想 「ゲームをしながらだったから 楽しかった」 「他の人の意見を聞いて、発見があった」 「みんなで話し合うことで、 分かったことが多かった」 小学生 22 「ゲームのように楽しみながらできて、 勉強になりました」 「総合防災訓練の時に、非常持ち出し袋を 持って集合することになっているので、 中に入れる物を考える参考になった」 中学生 2013 年 6 月 4 日(参加者:31 名) ●地震のメカニズム ●家具転倒防止 ●防災グッズ ●応急手当 ●災害時の連絡方法 ●楽しく学べる防災の遊び(なまずの学校、紙で作る食器など) 23 ◆放課後児童クラブで子どもたちと防災を学ぶ遊び セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが各放課後児童クラブを訪問し、放課後児 童支援員等と共に楽しく学べる防災の遊びを行いました。 2013 年 6 月〜 2013 年 7 月(参加者:計 220 名) ●なまずの学校 ●新聞紙で作るスリッパ 3.地域との取り組み ※総務部防災課と連携 事例③ 自然災害は、いつどこで起こるか分かりません。子どもが地域の公園で遊んで いる時に、大人が居ない時に家で、被災するかもしれません。子どもの命を守る ためには、学校での防災だけでなく、地域防災に取り組むことも重要です。また、 学校施設は地域の防災拠点となっていることから、学校と地域の連携を図ろうと いう動きが見られています。 東松島市では、市内全域に自主防災組織が設立され、活動しています。セーブ・ ザ・チルドレン・ジャパンは、地域の防災力を高めるために、自主防災組織の人 たちと共に、研修会や子どもと大人が一緒に学ぶ防災イベントなどを行いました。 2013 年 10 月、2014 年 9 月(参加者:計 104 名) ●なまずの学校 ●みんなで遊んでたすカルテット ●新聞紙で作るスリッパ (1)地域で連携した「大曲地域防災イベント」 (2015 年 1 月 10 日 @ 大曲市民センター) (参加者:69 名) 事例⑤ 東日本大震災で大きな被害を受けた大曲地域の人たちは、もともと防災意識が 高く、一致団結して防災に取り組んでいます。毎年防災訓練を行っていますが、 大人が中心でした。 「子どもたちにもぜひ参加してもらいたい」と、子どもも大 人も楽しく学べる防災イベントを大曲地域自主防災連絡協議会と一緒に企画、実 施しました。地域の自主防災組織が中心となって、地域、学校、家庭をつないだ ✿放課後児童クラブでは、防災の視点を取り入れた遊びはあまり行われていま せんでしたが、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが紹介した「遊びやゲー ムを通して防災を学ぶ」方法は、子どもたちにも放課後児童支援員等にも好 評でした。 防災イベントの事例です。 工夫① 広報 ・子どもにも分かりやすいイラスト入りのチラシを作成し て、大曲地域全世帯に回覧板で案内 ●子どもの感想より 「しょっきやしんぶんで、かんたんにつくれるものをおしえてもらって、たのしかった です」 「ほんとうだ! ゲームのなかにぼうさいが入っている!」 ●放課後児童支援員等の感想より 「大人も楽しめるし、遊びながらいろんなことを覚えられるって、いいですね」 「子どもたちの真剣に考える姿に驚きました。難しいんじゃないかとも思ったけど、ゲー ムとして取り入れていくことで自然に学べるんですね」 24 ・自主防災連絡協議会の会長と役員が地域内の小学校と中学 校を訪問し、校長先生に児童・生徒への周知を依頼 ・参加者に景品を準備(以前、他のイベントのために購入し ていた洗剤やせっけんなどの日用品を活用) 工夫② 子どもと大人の代表が発表 ・小学生、中学生、大人の代表が、地域の防災について、それぞれの視点から発表 25 (注)非常持ち出し袋を準備しよう! 第1部「地域の防災について学ぼう」 「赤ちゃんがいる家族」 「小中学生がいる家族」 「お年寄りがいる家族」の 3 つのグループ ●大曲地域自主防災連絡協議会 会長 防災倉庫に備蓄されている物や緊急連絡用のトランシーバーなど、大曲地域で に分かれ、机の上に並べられたお水、食べ物、軍手、新聞、薬などから、家族構成を考えて 必要な物を選び、非常持ち出し袋を準備します。 の防災の備えについて説明 ●大曲小学校の児童代表 東松島市の小中学生全員が持っている「命の手帳」について説明 ●大曲小学校の先生が制作した学校の防災設備を紹介するビデオ上映 ●矢本第二中学校の生徒代表 「防災について〜中学生からのメッセージ」と題して、地域の防災力を高める ために提案 工夫④ 地域の人が主役 ・イベント当日、開始 1 時間前に担当者が集合し、防災アクティビティの説明 と準備を行いました。 ・地域の人だけで継続して防災スタンプラリーが開催できるように、各アクティ ビティは自主防災組織の人が担当し、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンはサ ポートのみです。 ●参加者の感想より 工夫③ 世代を超えた交流 ・スタンプラリーにすることで、自分が学びたいコーナーを自由に回り、いろい ろな人と話す機会を創出 ✿地域内の小中学校の先生も参加しました。 「自分のためになりました。 たのしいべんきょうになって、 よかったです」 第2部 ●「防災スタンプラリー」 紙食器・レジ袋おむつを作ろう! 防災カードゲーム「なまずの学校」 「とてもぼうさいいしきが、 たかまったきがします。 ありがとうございました」 子ども よかった。参加してみないと 楽しさが分からない。 で カエルちゃ ん を 今回来た人が近所の人に『よかった』と ぼう 担 架 運 毛布 スタート ゴール 「参加者がもう少し多ければ 伝えてくれることで、 ! 次回は参加者が増えると思う。 「みなさん熱心に参加して、 継続していくことが大事」 たいへんよかった」 自主防災組織役員 「震災前に知っておけばもっと よかったなあと、今になって思います。 非常持ち出し袋を準備しよう! 26 カードゲーム 「みんなで遊んでたすカルテット」 子どもと楽しく参加できました」 大人 27 (2)防災研修会 自主防災組織の人たちに、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが開発した防災 教育教材や子どもと大人が一緒に楽しく学べる防災アクティビティなどを紹介し ました。 2014 年 1 月 21 日@大曲地域(参加者:24 名) ●なまずの学校 ●新聞紙で作るスリッパ ●ごみ袋で作るレインコート 研修会に参加していた人が「なまずの学校」 ●研修会に参加した自主防災組織の人たちの感想より 「とても勉強になりましたし、楽しく参加できました」 「よく工夫されていて、奥が深いワークショップですね。また集まって、復習したいと 思います」 (3)防災イベント 自主防災組織が実施する地域での防災イベントを支援する際には、子どもの参 加と地域の人たちによって防災イベントが継続されることをねらいとしました。 炊き出し訓練(2014 年 6 月 15 日@柳北地区)(参加者:子ども約 40 名) を自分の地区でも実施したいと思い、同じく研 ●炊き出しクイズ 修会に参加していた防災課の職員さんに「市で ●紙でお椀作り 購入して貸してほしい」と依頼したことがきっ かけで、全小中学校にも「なまずの学校」が配 布されました。 事例⑤ ●おにぎり作り 学校での総合防災訓練が終わった後、地域で 毎年行っている炊き出し訓練に子どもたちも参 加できるようにと、区長さんと育成会のお母さ 2015 年 9 月 12 日@小松地区(参加者:18 名) ●なまずの学校ファシリテーター研修 ●非常持ち出し袋を準備しよう! んたちと話し合って企画しました。紙のお椀作 りも、事前にお母さんたちに伝え、訓練当日は、 お母さんたちから子どもたちへ説明しました。 3 カ月前に、自主防災組織を対象とした総合防 災訓練研修会で「小松地区でも研修会をしてく ださい」というお声掛けがあり、実施しました。 研修の内容は、地区の自主防災会の役員さんた ち 5 名と話し合って決めました。 防災の集い(2014 年 10 月 26 日@横沼東地区)(参加者:25 名) ●自主防災会からトランシーバーの使い方の説明 ●子どもたちから「命の手帳」の説明 ●ワークショップ「なまずの学校」 防災訓練は毎年大人だけで行っていました。区 長さんや自主防災会の役員さんから「子どもた ✿地域で実施する防災訓練がマンネリ化しないために、新しい防災アクティビ ティを学ぶことにとても熱心です。 28 ちも参加してほしいな」というお声があり、一 緒に企画し、なまずの学校ファシリテーター研 修を事前に実施しました。 29 ✿「トランシーバーの使い方」など、子どもが興味をも つような内容を盛り込み、イベント案内をイラスト入 りにするなどの工夫をしました。 大塚地区では毎年 11 月に地区独自の防災訓練を行っています。5 カ月前 の総合防災訓練研修会に参加した会長さんから、 「子どもも参加する防災訓 練にしたいので協力を」というお声掛けがあり、支援しました。 「なまずの学校」の進行は、会長さんから説明を受けた育成会のお母さん です。 ✿「なまずの学校」は学校でも使われていますが、さまざまな年代の人たちが 混じったグループになると、子どもたちだけのグループとは違った意見も出 てきます。 ✿「地震でタンスの下敷きになった人を救出する」という問題で、「バール」と いう答えを出したグループがありました。ファシリテーターをしていた自主 防災会の会長さんが、「バールは、この地区の備蓄倉庫にあります」と説明し ました。それを聞いた地域の人たちは、いざという時、備蓄倉庫に行けばい いと知って安心です。地域の人がファシリテーターをしたからこそ、貴重な 情報が共有されました。 (4)防災の視点を取り入れた公園整備 事例⑤ ※移転対策部生活再建支援課、建設部建設課、復興政策部復興都市計画課と連携 災害公営住宅内の公園にブランコやすべり台だけでなく、かまどベンチ、防災 テント付きあずま屋、ソーラー電灯を設置しました。これは、公園がある地域の 人と小中学生へのアンケート結果に基づいて決まりました。 牛網地区に以前から住んでいる人たちと災害公営住宅に引っ越してきた人たち の交流を図り、公園が地域の防災の拠点として長く使われることを目指しました。 「遊具等引渡し式」開催に向けて、町内会や自主防災会、生活再建支援課と企画 会議を行い、当日の運営もこの三者で役割分担して行いました。 ●参加した地域の人の感想より 牛網団地内公園遊具等引き渡し式(2015 年 4 月 18 日@牛網地区) 「子ども、大人、お年寄り、いろんな世代で同じ問題を解決するために、意見を出し合っ たのは、初めてでした。お互い顔は知っているけど、どんな意見をもっているのか知 る機会になり、とてもよかったです」 (参加者:約 100 名) ●主催者あいさつ ●テープカット ●交流クイズ ●遊び・防災イベント 大塚防災訓練(2015 年 11 月 8 日@大塚地区) ●車両での避難訓練(参加者:63 名) ・POKEMON with YOU ワークショップ ●防災研修「なまずの学校」(参加者:27 名) ・かまどベンチを組み立てて使ってみよう ※アイテムカードの代わりに、各自が持ってきた非常持ち出し袋と地区の備蓄倉 ・あずま屋に防災テントを張ってみよう 庫にある物を使って、問題を解決しました。 30 ・遊具で遊ぼう&遊具インタビュー ●交流イベント 31 ◇東松島市市長、市のマスコット、イートくんとイ~ナちゃん も参加してテープカット 4.家庭との取り組み 子どもが一番長い時間を過ごすのは家庭であり、子どもを含め家族全員の命が 守れるように、しっかりと災害に備えることが必要です。家族で避難場所、避難 経路、連絡方法を確認し、家族構成に合った非常持ち出し袋の準備をしておくこ となど、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、学校、地域、子育て支援センター との活動を通じて子どもの養育者に伝えました。 ◆乳幼児をもつ家庭への防災講座 子育てママに役立つ防災の備え ◇あずま屋のテントの張り方を体験 (2015 年 2 月 13 日@矢本子育て支援センターほっとふる) (参加者:14 名) ●非常持ち出し袋を準備しよう! ●レジ袋とタオルで作るおむつ ●だんご虫のポーズ ※矢本子育て支援センターと連携 乳幼児をもつ家庭では、災害時に備えておむつ、ミルク、離乳食などの 準備が必要です。東日本大震災から 4 年以上経ち、東松島市では震災を経 験していないお母さんが 増えています。震災を経 験したお母さんの話も参 ◇かまどベンチでお湯を沸かしてお茶を試飲 考に、乳幼児特有のニー ズに対応した非常持ち出 し袋に入れる物を考えました。 ママサロン 防災講座(2015 年 10 月 8 日@柳北地区) (参加者:14 名) ●防災ピクニック(柳北地区センターから三陸道避難階段まで避難訓練) ●非常持ち出し袋を準備しよう! ●レジ袋とタオルで作るおむつ 柳北地区自主防災会と育成会が企画した乳幼 ●参加した地域の人の感想より 「今回は、かまどベンチでお湯を沸かしただけでしたが、地域の防災イベントなどで 使い方を浸透していき、いざという時にみんなが使えるようになりたいです」 32 児をもつお母さんを対象とする防災講座への協 力依頼がありました。同地区への支援は、前年 の総合防災訓練に続いて 2 回目です。 33 Ⅵ 子どもから子どもへの防災 ✿これらの講座への参加者のなかで非常持ち出し袋を準備していた人は少なく、 小さな子どもの命を守るためには、日頃からしっかりと準備し、子どもの成 長に合わせて非常持ち出し袋に入れておく物を変えていくことが大事だとい うメッセージが伝わりました。 東松島市の防災主任の先生は、子どもが中学校を卒業した後は、地域の防災リー ダーになれるような小中学校一貫した防災教育を行いたいと考えています。そこ ●お母さんたちの感想より 「震災時は東京で生活していたので、当時の状況はメディアを通してしか知らず、今回 は子育てする世代の意見を直接聞くことができてたいへん参考になりました」 「持ち出しバックを用意はしていたが、準備不足であったと実感させられました。自宅 へ戻ったら見直しをしたいと思います」 「トランプなどを持ち出し袋に入れておくのも大事なんだなと思いました。他にも新聞 紙やポリ袋など必要なものを日頃から考えて準備しておくことが大切だと教えていた だきました。ありがとうございました」 で、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、子どもが地域の一員として地域の防 災にも積極的にかかわれるようにと、 「子どもから子どもへの防災」に取り組み ました。 市内にある石巻西高校は防災教育に力を入れていて、各学級には防災委員が選 ばれており、年に 2 回、1 日かけて防災体験学習を全校で実施しています。高 校生がファシリテーターとなって、学校内だけでなく放課後児童クラブでも防災 学習を実施するという活動を支援しました。 1.防災体験学習 事例⑥ (2014 年 6 月、11 月、2015 年 6 月、11 月) 防災体験学習で「なまずの学校」や「とっさのひとこと」を用いた防災ワーク ショップを行うことになりました。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンに講師依 頼がありましたが、高校生に事前研修を行い、高校生がファシリテーターとなっ てワークショップを行う方法を提案しました。 これまでに防災委員や希望者が研修に参加し、防災ファシリテーターが育ちま した。2015 年 11 月は、事前研修も高校生から高校生に行い、2016 年からは、 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンのサポートなしで、防災体験学習で「子ども から子どもへの防災」が継続されていきます。 ◆事前研修「なまずの学校」 34 35 ◆防災体験学習「なまずの学校」 2.放課後児童クラブでの防災遊び 事例⑦ ※子育て支援課と連携 ◆ 2014 年 12 月 26 日 高校生による放課後児童クラブ訪問 学校内だけでなく、高校生が放課後児童クラブを訪問し、防災カードゲーム「み んなで遊んでたすカルテット」で遊びながら、防災について小学生と一緒に学ぶ という活動を提案しました。高校生 8 名が放課後児童クラブ 2 施設で、防災の ◆防災体験学習「とっさのひとこと」 遊びを実施しました。 ◆ 2014 年 4 月~ 7 月 三者協議 高校の生徒と先生から「またやりたい」 、そして小学生と放課後児童支援員等 から「また来てほしい」という声を受け、この活動を継続していくために、セー ブ・ザ・チルドレン・ジャパンがコーディネートして、石巻西高校と東松島市と の三者で協議を重ねました。 ●研修に参加した高校生の感想より 「セーブ・ザ・チルドレンの方々がていねいに教えてくださった。アドバイスとかも聞 きやすくて、とても助かった」 「『なまずの学校』を初めてやったけど、練習を何度かやって、当日どのようにすれば 良いのか確認することができた」 ✿事前研修後、不安に思っていた高校生もいましたが、ほぼ全員が「うまくいっ た」とアンケートに答えました。その理由は、次の通りです。 「研修通りに、しっかり進められた」 「クラスの皆が意見を出しあって、盛り上がっていた。みんなを楽しませることができ た」 ◆ 2015 年 7 月 27 日 「防災教育共同事業に関する覚書」締結式 東松島市長、保健福祉部、石巻西高校の先生と生徒、 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが出席し、覚書締 結式が行われました。これから毎年、石巻西高生が市 内の放課後児童クラブを訪れ、一緒に防災を学ぶ活動 を実施していきます。 ◆ 2015 年 7 月 27 日 高校生による放課後児童クラブ訪問 保育士や教員になることを目指している 1 年生から 3 年生 39 名が 2 台のバ スに分乗して、放課後児童クラブ 10 施設で待っている 187 名の小学生のもと へと向かいました。伝言ゲームなどアイスブレークをして、お互いの距離を縮め てから「みんなで遊んでたすカルテット」をしました。 ●防災ワークショップに参加した高校生の感想より 「このカードには、防災 「いろいろな人の意見が聞けてためになると思った。たいへん楽しかったです」 について大切なことが書 「震災時は冷静さを失いがちですが、そういう時こそ落ち着いた行動が周りの命を守る いてあります。何度もこ 大事な点だということを学びました」 のカードゲームで遊ん で、災害が起こった時、 「高校生だけじゃなく、世代に関係なく楽しめそうなので、いろいろなところで実施で きると思いました」 36 「またカードゲームをして、たいへん な時に思い出したいです」 (小学生) 自分の身を守れるように しましょう」 (高校生) 37 ◆事前研修と振り返り ◆「子どもから子どもへの防災」実施において見られた成果 この活動を実施するにあたって、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、事前 研修と活動後の振り返りを担当しました。事前研修では、2 回目の参加となる生 徒からのアドバイスも受けながら、楽しく、有意義な訪問となるように準備しま した。振り返りでは、次回の放課後児童クラブ訪問に向けて、さまざまなアイデ アも出されました。 ✿年齢が近いことから親近感をもって学べる 「年令も近く親近感があり、お互い防災について遊びを通して学べたと思う」(放課後 児童支援員等) 事前研修(2015 年 7 月 24 日) ●防災カードゲーム「みんなで遊んでたすカルテット」の遊び方を説明、練習 ●グループ分けと訪問する施設を決定 ●放課後児童クラブでの活動内容を企画 ●当日のスケジュールについて説明 ●質問と振り返り ✿楽しく学んで、防災意識が向上 「いつもはうるさい子どもたちですが、高校生の話を静かに聞いていて、すぐに仲良く なり、まじめにカードゲームをしていました」 (放課後児童支援員等) ✿高校生が教える立場になって得られた学び 「私も児童クラブにいた経験があるので、なつかしかったし楽しかったです。小学生に 難しいことでもカードゲームを通すことによって、分かりやすく学んでもらえたので 振り返り(2015 年 7 月 27 日) ● 6 つの質問にもとづいて、活動状況を模造紙に書き出し、お互いの活動の 様子を共有 はないかと思う。また、子どもとの接し方も学ぶところが多かった」 「子どもと学習をするにあたって、自分も同じ目線で話をすることが大事だと思った。 これから子どもと接する時には、 『同じ目線』ということを常に心がけたいと思う」 「将来、小学校の先生になりたいと思っていたので、今回児童と触れ合えて一人ひとり の個性を大切にしなければいけないということを改めて学べたのがよかった。カルテッ トに興味をもってもらえてよかった」 ✿高校生が小学生のロールモデルに 「防災はとても大切です。今日やったことのなかから、1 人でもどこかで思い出してく れるといいなと思います。『あんな高校生になりたい』と思った子どもが、きっといた と思います」 (高校の先生) 38 39 ✿地域の一員としての役割の認識・地域でのつながり 「みんなふだんとは違う表情で、お姉さんになっていましたよ。子どもたちは地域のみ んなに支えられて育っていきます。みんなも地域の一員、役割を担って、いろいろな 世代と交流してほしいです」 (高校の先生) 「地域における学校や学年を超えた交流によって、子どもたちが顔見知りになり、何か 起こった際に双方にとって心強いことでしょう」(子育て支援課職員) 付属資料 ✿協働の大切さ 「自分たちだけではなかなか思っていても実行に移せないでいたので、いい機会だった と思います」 (放課後児童支援員等) (A)防災教育教材 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンと NPO 法人プラス・アーツ が共同開発した教材です。 「子どもたちが、最初に『わあー、楽しみ』と、そして最後に『楽しかった』と言って いました。みなさんがしっかりと準備をしてきたのだと思いました。小学生、高校生、 支援員、みんなの笑顔を見ることができました。共同事業の成果ですね」 (子育て支援 課職員) (B)防災アクティビティ 防災学習や防災訓練で広く行われている防災アクティビティ を紹介します。 40 (A) 防災教育教材 (A) 防災教育教材 楽しく、主体的に学べる防災教育教材の開発 東日本大震災の被災地で活動をしているなか、避難所や学童保育施設で震災時 の話について耳にすることが多々ありました。その経験から震災の教訓を抽出し て、多くの人に伝えていくことが大切だと考えました。セーブ・ザ・チルドレン・ ジャパンは、NPO 法人プラス・アーツと共に岩手県と宮城県の子どもと大人 50 名に、災害時の様子や避難生活についてインタビューし、その経験談をもとに防 災教育教材を制作しました。 これらの防災教育教材は、子どもが防災に興味をもつように楽しく学べると同 ◇防災カードゲーム・紙芝居 「なまずの学校」 (改訂版) 阪神・淡路大震災と東日本大震災の教訓をもとに、災害時に発生する さまざまなトラブルを紙芝居形式で問いかけ、手持ちのアイテムカード を使用して答えるゲームです。災害時に物資が不足するなか、手に入る 物で工夫をすることを学びます。 時に、災害が起きた時に自分で考え、行動できる力を身につけることを目指して います。 ◇防災教育教材 紙芝居 「東日本大震災の教訓を漫画で学ぼう! とっさのひとこと」 東日本大震災で被災した子どもと大人 50 名の経験をもとに、3 コマ漫 画で災害時の状況を表しています。3 コマ目の空白の吹き出しに入るセ アイテムカード ナマーズ紙幣 発行:2009 年(2014 年改訂) 企画・制作:NPO 法人プラス・アーツ 協力:公益社団法人 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン リフを考えることによって、登場人物の置かれている状況や気持ちを理 解し、取るべき行動を考えます。東日本大震災の教訓から学び、災害時 に主体的に行動できるようになることを目指しています。学校、 イベント、 ワークショップなど、さまざまな場で使える教材です。 ◇防災カードゲーム 「みんなで遊んでたすカルテット」 「地震」 「津波」 「サバイバル」など防災に関する 10 のテーマがあり、それぞれのテーマに関するキー ワードが書かれた 4 枚のカードを揃えていきます。 各カードには、キーワードの説明も書かれています。 繰り返しカードで遊ぶことによって、東日本大震災 の教訓をもとにした防災の知識を自然に身に付ける ことができます。 教訓シート 状況シート 解説シート 発行:2014 年 5 月 企画・制作:公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、NPO 法人プラス・アーツ 監修:慶応義塾大学商学部教授 吉川肇子 発行:2014 年 7 月 企画・制作:NPO 法人プラス・アーツ、公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン 監修:慶応義塾大学商学部教授 吉川肇子 (B) 防災アクティビティ 48 (B) 防災アクティビティ 49 (B) 防災アクティビティ 50 (B) 防災アクティビティ 51 (B) 防災アクティビティ 52 (B) 防災アクティビティ 53 (B) 防災アクティビティ 54 (B) 防災アクティビティ 55 (B) 防災アクティビティ 56 (B) 防災アクティビティ 57 協働した方々からのひとこと <順不同> セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンさんには、 昨年の小学生対象の防災訓練、今年の親子で 自主防災組織の会議でいろいろご提案いただ の防災ピクニックなど様々なご協力をいただ 「思いは一つ」 。大曲地区の防災意識は大震災 平成 26 年 6 月 15 日の東松島市総合防災訓 き、いろいろなことを一緒にできて、助かり きました。子どもたちやお母さん方の防災意 後さらに高まり、地域自主防災組織、大曲小 練では、全員がセーブ・ザ・チルドレン・ジャ ました。特に、2015 年 1 月の「防災イベン 識を高める上で貴重な体験ができました。新 学校、貴社団法人三者が連携し、新たな防災 パンから寄付していただいた防災頭巾をか ト」では、子どもたちも参加して、いつもと 旧の住宅が混在するこの地域においては防災 教育・避難の在り方を模索してきました。日 ぶって避難訓練をしました。 11 月 28 日に 違った防災訓練ができ、体験型で幅広い知識 面の活動を参考にし、併せて防災防犯につな 曜日実施の児童在校時における地域住民学校 はセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンのご紹 を習得することができました。これからも大 がる助け合い、声掛けや挨拶などの自然体の 避難、翌年の児童在宅時における学校を含む 介で、セルビアの舞踊団が本校で公演を行い、 曲地域で続けていけたらと思っています。 コミュニティ造りを心がけたいと思います。 地区避難場所への全家庭避難などを提案し、 団員と児童が一緒に踊る場面もあり「日本一 改善できたことは大きな成果でした。 の交流会だった」と絶賛されました。どちら 東松島市立大曲小学校 校長●長沼 守康 大曲市民センター 事務長●芳賀 美知雄 東松島市赤井地区柳北区 区長●昆野 美津子 も素晴らしい復興支援でした。 東松島市立赤井小学校 校長●木村 玲子 東松島市は東日本大震災で甚大な被害を受 け、市役所等の公共機関はもとより市民につ 「東松島市に防災の種をまいていただいた!」 児童・生徒が地域で被災した設定での避難訓 この 2 年間、セーブ・ザ・チルドレン・ジャ 練は、初めての試みでした。各地区の訓練を パンと一緒に活動させていただき、その活動 どのような内容にするのか、趣旨や意思統一 を振り返ってみた時に浮かんだ言葉です。こ を図ることは、なかなか困難な状況でした。 の「種」をどのように育て、 どのような「花」 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンさんには、 を咲かせるかは、私たちのこれからの活動次 各地区の説明会や打合せに何度も参加してい 第です。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン ただき、心強い存在でした。行政、自主防災 の皆様には「種」のみならず「肥料」までた 組織、学校、セーブ、それぞれの役割を明確 くさんいただきました。何年先になるかはわ にし、それぞれをつなぎ、その上でセーブさ かりませんが、 東松島市に「防災」という「花」 んができることやアドバイスなどを提供して をしっかり咲かせていきたいと思います。 いただきました。この訓練への取り組みを今 「花」の成長をこれからも見守っていただけ れば幸いです。ありがとうございました。 東松島市立鳴瀬未来中学校 防災主幹教諭 ●木村 幹夫 皆様には、防災イベントや研修会など、地域 の防災を立て直すきっかけをたくさん作って いただきました。ご教授いただいた多くのノ ウハウを活用し、地域が行う防災教育が子ど もの命を守る地域づくりの礎となるよう、今 後ますます取り組んでいく所存です。 セーブ・ ザ・チルドレン・ジャパンの皆様、長い間ご 支援いただき、 誠にありがとうございました。 東松島市総務部防災課 主事●岡山 このみ 今年度より、セーブ・ザ・チルドレン・ジャ パンのご協力のもと実施した共同事業は、楽 しく防災の意識や知識、災害時の身を守るす べを学べるきっかけとなるもので、事業を終 えた後、本市にとって非常に重要で貴重な事 業だと改めて実感しました。今後も次世代の 子どもたちが災害時に自ら身を守れるような 行動ができるように継続していきたいと考え ています。 東松島市保健福祉部子育て支援課 子育て支援班長兼保育班長●髙野 裕行 後の方向性として、地域の中の学校という意 識を持って進めていきたいと思います。 東松島市立矢本第二中学校 防災主幹教諭 ●鈴木 国也 平成 26 年度の東松島市教育委員会におい て、防災教育の充実を図るべく、防災主任者 会議、防災教育研修会等の実施を担当しまし た。セーブ・ザ・チルドレンの皆様から様々 なプログラムや教材等をご紹介いただくな 東日本大震災は生徒にとって大きな衝撃だったと思います。その生徒たちに ど、ご支援とご協力をいただき、参加した先 どんな防災教育をしたらよいか悩んでいる時に、セーブ・ザ・チルドレン・ジャ 生方の意識の向上と各学校の防災教育の充実 パンさんに様々なアイディアや教材をご教授いただき、協力していただいた に結びつけることができました。有意義な連 ことに大変に感謝しております。その知恵やノウハウを活用しながら、今後 携を図ることができたと思っています。 も子どもたちのためになる防災教育を考えていきたいと思います。 宮城県石巻西高等学校 教諭(防災主任) ●上園 知明 58 きましても、 防災に対する意識が高い市です。 宮城県栗原市立高清水中学 校長●木村 裕一 (元東松島市教育委員会学校教育課 副参事兼指導主事) 東松島市の防災教育は、一方通行ではないと 改めて思いました。防災教育における学校間 の連携や行政・地域との協力は、必要だと言 われるわりにはなかなか進みませんでした。 それがセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの コーディネートにより、 実現したと言えます。 これぞ「東松島モデル」です。これから体制 を構築しようとしている地区や教育委員会に とっても、すごく参考になると思います。 NPO 法人 KIDS NOW JAPAN 事務局長、 NPO 法人カタリバ アドバイザー●佐藤 敏郎 (元矢本第二中学校 防災主幹教諭) 59