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新たな事業運営に向けて
新たな事業運営に向けて 平成26年10月 本州四国連絡高速道路株式会社 目 次 はじめに ・・・ 1 1.事業運営の基本的な考え方 ・・・ 2 (1)本四の使命と事業運営 ・・・ 2 (2)長大橋維持管理の考え方 ・・・ 2 (3)安全性・快適性の向上 ・・・ 3 (4)経営の透明性確保 ・・・ 4 (5)数量計画 ・・・ 5 2.経営改善への取組 ・・・ 6 (1)短期の対策 ・・・ 6 ・・・ 7 ①安全対策の強化 ②老朽化対策 ③お客様ニーズに応えるサービスの充実 ①コスト削減 ②保有資産売却 (2)長期の対策 ①長大橋維持管理のライフサイクルコストの最小化 ②人事・組織の活性化 ③競争性の向上 3.利用の促進 ・・ 10 おわりに ・・ 11 添付資料:長大吊橋における総維持改修費用の建設費に対する比率 はじめに 本年4月より、高速道路料金を全国共通の水準とすることを基本とする国の方針に基づ き、新料金制度が導入されました。また、5 月には、道路法等が一部改正され、大規模修繕 等を実施することとなりました。 この大きな変革に当たり、当社としましても事業運営について見直し、新しく進むべき 道を定めることといたしました。 この取組みにおいて、経営の基本となる「事業運営の基本的な考え方」、短期対策として の「コスト削減」及び長期対策としての「200 年以上利用可能な本四連絡橋を目指したライ フサイクルコスト最小化」による経営改善並びに「本四 3 ルートの利用促進」を基本とし た事業施策を取りまとめました。 今後は、JB 本四高速グループ一丸となって、新たな目標の達成に向けて前進してまいる 所存ですので、何卒、ご支援の程よろしくお願い申し上げます。 1 1.事業運営の基本的な考え方 (1)本四の使命と事業運営 3ルートの本四道路は、本州と四国を結ぶ唯一の道路施設であり、道路延長は 172.9km におよび、代替不可能な道路交通の大動脈となっています。この本州と四国を結ぶ道路 は、本州四国間の移動の確実性を向上させるとともに、移動時間を大幅に短縮する効果 を有しています。貨物輸送量を見ると、四国・他地域間での自動車分担率が約 55%(注1) を占めており、本四道路において貨物輸送全体の約半分を担っているといえます。また、 輸送人員については、四国・他地域間の交流人口約 15 万人/日のうち、鉄道を含む本四 連絡橋の利用が約 84%(注2)を占めています。 当社は、本四道路の社会インフラとしての重要な役割を踏まえ、5つの項目からなる 『経営理念』を掲げ、7 つの柱からなる『瀬戸内企業ビジョン』及び具体的な活動計画を 明らかにした『中期経営計画』を策定し、安全・安心・快適な道路サービスの提供に取 り組んできました。 現在では、本四道路は、一日当たりの利用台数(出口通行台数の合計)が 10 万台を超 え、瀬戸内地域の一体化と発展を支える基幹交通軸としての重要な役割を担っています。 長大橋を含むこの本四道路を安全、安心かつ長期間にわたりご利用いただけるように することが、当社の大きな使命であると認識しています。 当社は、こうした「安全・安心」に関わる管理業務(保全点検、維持修繕、交通管理、 料金収受)を品質と効率性の両面から高い水準で遂行するため、業務を機能別に分担す る JB ハイウェイサービス(株)、(株)ブリッジ・エンジニアリング及び JB トールシステム (株)の3専門会社を設立し、事業運営に当たっています。 現在、明確な経営理念と強力なガバナンスの下に、グループ経営を進めており、今後 も各社が専門機能を発揮することにより、JB 本四高速グループとして業務効率の向上に 努めていきます。 (2)長大橋維持管理の考え方 本四連絡橋は、全ての橋が腐食環境の厳しい海峡部に架けられているため、わずかな 変状でもそのまま放置すると劣化が急速に進むこととなります。このため、点検を確実 に行い、劣化の初期段階で補修することにより、長寿命化とライフサイクルコストの最 小化を図る予防保全を推進し、常に安全で快適な交通を確保するよう努めてきました。 (注1)「貨物・旅客地域流動調査」(国土交通省)による数値 自動車分担率とは、全輸送機関(鉄道、自動車、海運)の輸送量のうち、自動車 による輸送量が占める割合 (注2)「四国運輸局業務要覧」(四国運輸局)ほかの資料に基づき当社にて作成した数値 本四架橋による輸送人員は、全輸送手段(道路、鉄道、フェリー・旅客船、航空 機)の利用者のうち、道路及び鉄道の利用者の人数 2 このような予防保全を行うことにより、橋の主要部分である塔及びケーブルの大規模 補修を回避し、劣化した後で改修を行う事後保全に比べ、長期的に見て大幅に少ないコ ストで維持管理を行うことが可能となります。 当社の経営理念である『200 年以上の長期にわたり利用される橋を目指す』ことは、長 期的に見ればライフサイクルコストの大幅な削減となり、本当の意味での経営効率化に つながると考えられます。今後は、構造物全体を長期的視点に立って効果的、効率的に 運営・管理する体系化された実践活動としての「アセットマネジメント」の考え方を導 入するとともに、JB 本四高速グループとして長大橋の総合的維持管理技術力を高め、一 層効率的かつ計画的な維持管理に努めます。 以上の考え方をベースに、当面の目標として、2100 年までの長大橋長期保全計画を策 定し、5 年毎に計画とライフサイクルコストの検証を着実に実施していきます。 (3)安全性・快適性の向上 ①安全対策の強化 これまで当社は、道路交通情報の提供、通行規制の実施、路上落下物の回収等の交 通事故防止対策及び舗装の補修による道路施設の万全な保全に努める等、様々な安全 対策を実施してきました。 今後は、大規模な地震発生に備えた橋梁耐震補強の早期推進、道路付属物の点検及 び不要物の撤去、舗装の早期補修及び高機能舗装化、逆走防止のためのポストコーン 及び電光掲示板の設置並びに路面標示の充実、道路標識の改良等の安全対策を充実強 化していきます。 さらに、高速道路管理の上で課題であった、自治体へ移管済みの跨道橋等について も、安全確保のため、人的、技術的な面で関係自治体と協力・連携しつつ、点検・管 理を強化していきます。 また、防災・危機管理については、本四道路の重要な役割を踏まえ、現行の事業継 続計画(本四版 BCP)を絶えず見直し、巨大地震時における災害対策業務及び復旧活 動が迅速に開始できる体制の整備を心掛けています。特に、管制室の集約に際しては、 確実なバックアップが可能となる体制を構築します。 ②老朽化対策 当社としては、海峡部橋梁については、アセットマネジメントに基づき予防保全を 行っていますが、設計時の基準や使用環境からみて、今後老朽化が急速に進む可能性 が強い陸上部橋梁等については、計画的に大規模修繕を実施していきます。 また、道路構造物の損傷に与える影響が極めて大きい過積載車両等の車両制限令違 反車両について、法令遵守の徹底を事業者に対して働き掛けるとともに、取締りの強 化策を検討し、関係機関と連携して実施していきます。 3 ③お客様ニーズに応えるサービスの充実 お客様サービスの充実に資するため、引き続き、以下の方法により、お客様のご意 見、ご要望・評価を把握し、その結果を社内で共有します。また、データの分析、改 善策の検討を行い、総合顧客満足度の維持向上等のアウトカム指標の着実な達成を目 指します。 ○「お客様満足度調査」 : ホームページ活用による定期的実施 ○「お客様の声」: サービスエリア・パーキングエリアにおける道路や サービス施設に関するアンケート調査の実施 ○「お客様窓口」 : 電話やホームページに寄せられるご意見やお問合せへの対応 具体的には、「お客様の声」等を踏まえ、サービスエリア及びパーキングエリア内の トイレ設備の更新、身体障害者用駐車マスの改善等、サービスの向上に努めています。 また、サービスエリア・パーキングエリアの活性化は、お客様サービス及び地域貢 献の観点からも重要な課題と認識し、当社、グループ会社及びテナントが三位一体と なって活性化策の検討を行い、その実現に取り組んでいます。 さらに、お客様の利便性を高めるため、平成 25 年度から淡路島の中川原バスストッ プ付近においてスマートインターチェンジの整備を進めています。 (4)経営の透明性確保 当社は、本四道路という重要な社会資本をお預かりする極めて公共性の高い企業であ ることから、平成 17 年 10 月の民営化後においても積極的に情報開示を行い、経営の透 明性確保に努めてきました。具体的には、IR 情報と契約情報をホームペ-ジに掲載する とともに、当社の経営及び財務に関する情報を網羅的かつ総合的に開示するディスクロ ジャー誌を毎年作成し、刊行してきました。 平成 24 年 9 月発行のディスロージャー誌では、JB 本四高速グループの経営状況等の 内容を追加し、その充実を図っています。 特に、子会社との取引については、これまでも長大橋維持修繕業務の契約に関する情 報はホームページに掲載してきましたが、平成 25 年度からはそれ以外のグループ会社契 約についても掲載し、更なる透明性の向上を図りました。加えて、グループ会社との契 約も含む入札・契約について、第三者機関である入札監視委員会による徹底した審査体 制を構築していきます。 今後も、引き続き、当社を中心とする JB 本四高速グループの事業内容、経営状況、財 務状況等を正確かつ的確に、お客様をはじめとするステークホルダーの皆様に開示する ことにより、公正で透明な経営に努めます。 4 (5)数量計画 新料金制度の導入にともない、平成 26 年度より、次の新たな数量計画の下に着実に事 業を進めてまいります。本計画の料金収入、管理費用、道路資産賃借料、修繕費及び新設・ 改築費は、新たな協定の数値です。利用促進に取り組むことによりこの料金収入を可能な 限り上回るよう努め、債務償還のベースとなる道路資産賃借料については、計画を上回る よう全力を傾注します。 なお、管理費用には後述するコスト削減策を織り込んでいます。 新たな数量計画(単位:億円) 平成26年度 平成27年度 平成28年度 料金収入 629 613 595 管理費用 165 166 169 道路資産賃借料 464 447 426 修繕費 125 126 90 3 3 4 (機構資産形成) 新設・改築費 (スマートインターチェンジ) <参考>:当社の事業構造は、(独)日本高速道路保有・債務返済機構(以下「機構」という。)から道路 構造物を借り受け、道路利用者から通行料金を徴収し、その料金収入から機構へ賃借料を支払うこ とから成り立っています。 具体的には、料金収入は、推計した交通量をもとに、機構と設定します。 次に、道路の日常管理に必要な路面清掃、点検、パトロール、料金収受、舗装補修等の費用は、 管理費用として機構と協議し、決定します。なお、当社の資産である料金収受機械、トールゲート 等の設置又は修繕により発生した会社資産の減価償却費も、この管理費用に含まれます。 最終的には、料金収入から管理費用を差し引いたものが道路資産賃借料として機構に支払われ、 建設費等の償還のベースとなっています。 一方、機構資産である道路、橋等の修繕に要する費用は、修繕費として機構と設定します。具体 的には、長大橋の塗替塗装、耐震補強等の修繕は、当社が工事を行い、完成時に資産と負債を機構 へ引き渡します。 なお、協定の管理費用及び修繕費には、それに要する人件費も含まれています。 5 2.経営改善への取組み (1)短期の対策 ①コスト削減 当社は、前身である本州四国連絡橋公団の時代から、民営化後の今日まで、維持作 業の合理化、人件費の縮減等、積極的にコスト削減を進めてきました。 具体的な削減実績は、以下のとおりです。 (民営化時) 平成 17 年度 ・管理費:30%削減(対平成 14 年度) ・総人員:約 50 名削減(平成 14 年度:472 名→420 名) (民営化後) 平成 17 年度 10 月~平成 26 年 3 月見直し(ただし消費税増分を除く) ・管理費用:年平均約 9.4 億円削減(当初協定比 5.9%削減) ・修繕費:年平均約 9.5 億円削減(当初協定比 10.1%削減) (協定期間終了時) 平成 62 年 9 月末まで(ただし消費税増分を除く) ・管理費用削減総額:約 350 億円(対当初協定) ・修繕費削減総額:約 360 億円(対当初協定) ・上記管理費用及び修繕費に含まれる人件費削減額:約 80 億円(対当初協定) 平成 26 年度より、「安全・安心」を保障する資産の健全性及び適正な管理水準を確 保しつつ、短期的なコスト削減について、以下の通り項目別に目標を設定し、実施し ています。 コスト削減計画 削減項目 達成までの期間 効果:削減目標(年額) (イ) 維持管理水準の設定等 2年間 ※ 10千万円 (ロ) 人件費の抑制 3年間 ※ 4千万円 3年間 5千万円 2年間 ※ 1千万円 (ハ) 一般経費の削減等 (ニ) 光熱水費の抑制 (※ 平成25年度から一部先行実施) (イ) 後述するアセットマネジメントプロジェクトチームの検討成果も取り入れ、業務 (点検、補修、清掃、植栽管理等)個々の特性に応じた、きめ細かな維持管理水準 を設定し、業務効率化を図ること等により、平成 27 年度以降年平均約 10 千万円 のコスト削減 (ロ) 人件費について、組織の簡素化(神戸、岡山及び尾道の3箇所にある管制室につ いて平成 28 年度を目途にバックアップを考慮した 2 箇所に集約等)、現行の役職 定年制度の継続、再雇用者及び派遣社員の活用、決裁手続き等業務手順の見直し 6 による総労働時間の短縮等により、平成 28 年度以降年平均約 4 千万円のコスト 削減 (ハ) 一般経費について、本社社屋の賃料単価引下げ、一人一善活動の実施による会議 資料、社内文書、決裁書等のペーパーレス化、電子調達を活用した事務消耗品費 の削減等により、平成 28 年度以降年平均約 5 千万円削減 ・本社社屋賃料単価引下げ(月 80 万円以上、年間約 1 千万円の削減) ・コピー機プリントアウト量減量(対前年比5%削減を目標) (平成 18 年度 260 万枚→平成 25 年度 180 万枚 31%減) ・事務消耗品費削減目標額(平成 26 年度 60 万円、平成 27 年度 360 万円) (ニ) 光熱水費について、LED 照明設備及び節水節電型トイレの採用により省電力化 及び使用水量の抑制を図り、平成 27 年度以降年平均約 1 千万円の削減 以上の取組みについては、速やかに実施する項目及び 2~3 年をかけて実施する項目 があります。平成 26 年 3 月の新たな協定では、管理費用は、これまでの協定に比べ年 平均約 2 億円、平成 62 年 9 月までの協定期間内合計で約 70 億円の削減を織り込みま した。これを着実に実施していきます。 ②保有資産売却 不要となった事業用残地、社宅等について売却処分を進めるとともに、その取扱い を検討します。 (イ)高島平社宅売却益(4 億円)の活用 (ロ)不要となった事業用残地、当社所有の建物等の売却推進 (ハ)グループ会社所有の社宅の売却推進 (2)長期の対策 ①長大橋維持管理のライフサイクルコストの最小化 長大橋の維持管理の考え方で述べたとおり、当社にとって、17 の長大橋の長寿命化 とそのライフサイクルコストを最小化することが経営の健全化と着実な債務償還への 要諦であると考えます。この考え方に基づき、当面、2100 年を一つの目途とし、以下 のとおり対策を進めてまいります。 (イ)維持管理のための社内体制 長大橋のライフサイクルコストを最小化するため、計画的かつ効率的に構造物の 維持管理を行うアセットマネジメントの考え方を導入し、その取組みを社内プロジ ェクトチームにより、次のとおり推進します。 7 アセットマネジメントの取組み体制 長大橋の点検、補修及びその履歴データの集積・管理を計画的かつ体系的に実施する体制を整備 アセットマネジメントPT(ライフサイクルコスト最小化) 点検要領の見直し 点検 判定・評価 点検の新技術開発 補修要領の整備 補修 劣化予測・LCC検証 保全技術交流会議 要素技術と適用技術の融合 を図り、本社(保全部・長大 橋技術センター)・管理セン ター・保全グループ会社が 一体となり、技術課題の解 決を図る。 補修の新技術開発 建設時代からの技術文書 データ集積・管理 点検・補修履歴 その他保全情報 技術委員会 学識経験者による 助言を得る 2100年までの長大橋長期保全計画策定 総括責任部署 : 保全部 (ロ)基本的な取組み 点検要領及び補修要領の随時見直し、劣化予測の精度向上、点検困難な部材・箇 所の新たな点検手法の開発、補修技術のレベルアップ等を保全技術交流会議におい て進めていきます。更に、点検・補修結果のデータベース化による一元管理のため の管理システムを構築します。 以上の対策を実施し、2100 年までの長大橋長期保全計画の策定並びに5年毎の計 画及びライフサイクルコストの検証を実施します。 (ハ)具体的な目標 具体的には、送気乾燥システムによる吊橋主ケーブルの防食対策の効率化、橋梁 の劣化・損傷及び不具合の早期発見のための赤外線・電磁波等を使った科学的な点 検手法の開発等を進め、ライフサイクルコストの最小化に努めます。 米国の古い吊橋の事例によれば、供用後 70 年経過後頃からハンガーロープ及びケ ーブルの大規模補修等が必要になり、当初の建設費用を超える補修費が必要になっ たとの報告(添付資料参照)があります。当社では、送気乾燥システムと呼ばれる 吊橋の主ケーブル内部を乾燥させて主ケーブルを構成する鋼線の腐食進行を止める 技術を世界に先駆けて開発しました。このシステムによりケーブル素線の腐食を防 止でき、大規模なケーブル補修が必要なくなることから、吊橋のライフサイクルコ ストを大幅に削減することが可能となりました。現在このシステムの更なる効率化 を進めています。 なお、修繕費については、本取組みによる成果を織り込んで毎年度約 90 億円で協 定を締結し、引き続き適切かつ確実な保全に努めていきます。 8 ②人事・組織の活性化 当社の大きな使命は、少数の人員と最小限のライフサイクルコストで長大橋を中心 とした構造物を長期にわたり安全、安心、快適に提供していくことです。そのために は、目標達成に向けて、社員の力を結束し、結果を産み出す組織としての「マネジメ ント力の強化」と社員個々の業務に対する「責任感と改善意欲の醸成」が不可欠です。 今後は、組織のマネジメント力の強化及び社員の責任感と改善意欲の醸成に向けた人 事・組織制度のあり方について検討を進め、新たな企業風土づくりを進めていきます。 ③競争性の向上 当社は、公正で透明な経営に努める一方で、入札・契約における競争性の確保と不 正防止を図ることを目標に、次に掲げる措置を実施しています。 ・一般競争入札の拡大 ・総合評価落札方式の導入 ・入札結果等のホームページによる公表 ・不落随意契約の原則廃止 ・工事費内訳書の提出の義務付け ・指名停止 ・公正入札違約金制度の導入 今後も、透明性の確保とともに入札・契約における適正な競争を確保するため、第 三者機関である入札監視委員会による徹底した審査を実施していきます。 なお、当社では、業務の効率化、技術・ノウハウの集約及び機動性の確保という観 点から、料金収受管理業務、交通管理業務、道路構造物等点検管理業務、長大橋維持 修繕業務、料金収受機械保守整備業務及び計数管理業務を中心に、グループ会社への 発注を実施しています。このグループ会社契約についても、コスト面での競争力を常 に注視していきます。 9 3.利用の促進 本四道路の利用台数(出口の年度累計交通量)は、平成 24 年度に前年度比 2.2%増の過去最 高台数 3,890 万台を記録し、平成 25 年度も前年度比 2.8%増の 3,998 万台と過去最高台数 を更新しました。今後ともこの着実な伸びを維持するため、社内に、新たに『本四高速利 用促進本部』を設置するとともに、関係地方公共団体等の参加のもとに設置された『環瀬 戸内海地域交流促進協議会』との密接な連携のもとに、具体的な利用促進策を取りまとめ、 実施していきます。 平成 26 年度は、当社独自の取り組みである『せとうち美術館ネットワーク』(注3)の更な る活性化、 『明石海峡大橋ブリッジワールド』等、長大橋を観光資源としての活用したイベ ントなどを含む広告宣伝等に約 3.4 億円、サービスエリアにおける新名所の創出「小さな名 所づくり」 、サービスエリア・パーキングエリアの施設リニューアル等に約 1.4 億円を投入 する等を計画しています。 また、平成 27 年度以降についても、平成 26 年度の交通量や利用促進活動の効果を見つ つ、引き続き瀬戸内地域の文化・健康活動への貢献も念頭に、積極的な利用促進に取り組 みます。 (注3) 『せとうち美術館ネットワーク』 :地域活性化のために瀬戸内地域とその周辺に点在 する美術館、博物館をネットワーク化し、地域全体としてアートの魅力を全国へ発 信する活動で、当社の地域貢献の代表例 現在、ネットワークの輪が、設立時の 6 施設から 53 施設に拡大 10 おわりに ここに掲げた経営改善については、総合的品質経営(TQM)の考え方を導入し、全部門、 全社員が全事業過程において、計画-実施-評価-改善の PDCA サイクルを回し、諸対策 に取り組みます。 また、継続的なモニタリングによって、絶えず取組みの実施結果に対する評価、更なる 課題の抽出と対策の検討を行っていきます。 最後になりましたが、当社は、瀬戸内企業として、地域との協働という観点を常に念頭 に置き、利用者の皆様、関係地方公共団体等のご意見に真摯に耳を傾け、事業運営を行っ てまいりますので、ご理解の程宜しくお願い申し上げます。 11 添付資料: 参考文献:米国長大吊橋の現状と総維持管理費:西谷、杉山、栗野、道路 2010.5 Life Cycle Cost Analysis of Bridges and Tunnels : Y Zhang 他、ASCE2005