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第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)サイドイベント

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第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)サイドイベント
第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)サイドイベント
急速な都市化と気候変動:アフリカにおける持続可能でレジリエントな
水・衛生インフラ開発について考える
開催日:2016年8月27日(土)
場所:ライコリージェンシーホテル(ケニア・ナイロビ)
共催:独立行政法人国際協力機構(JICA)、Pan African Climate Justice
Alliance(PACJA)、ウォーターエイド
協力:株式会社LIXIL
サイドイベント概要
独立行政法人国際協力機構(JICA)、気候変動に取り組むアフリカのNGOであるPan
African Climate Justice Alliance (PACJA)(本部:ケニア・ナイロビ)ならびに水・
衛生に取り組む国際NGOであるウォーターエイドは、ケニアのナイロビで開催された
第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)において、アフリカの都市化と気候変動、およ
びそれらに対応するための水・衛生インフラに焦点をあてたサイドイベントを開催、
下記の方々にご登壇いただきました1。
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モザンビーク公共事業・住宅・水資源省 給水・衛生局長 ニルトン・トリンダー
デ氏
JICAモザンビーク事務所 副所長 青木英剛氏
株式会社LIXIL Public Affairs部門グローバルコーポレートリスポンシビリティ
推進室室長 小竹茜氏
アフリカ開発銀行 東アフリカ地域資源センター水・衛生エンジニア ジョン・シ
フマ氏
PACJA アドボカシー・ネットワークオフィサー ロバート・ムサミ氏
ウォーターエイド シニアポリシーアナリスト ジョン・ギャレット
WaterAid transforms lives by improving access to safe water, hygiene and sanitation in the world’s poorest
communities. We work with partners and influence decision-makers to maximise our impact.
WaterAid Japan
Lorence Noda 301, 2-10-6 Ryogoku Sumida-ku Tokyo 130-0026 Japan
Tel: +81-3-6240-2772 Fax: 03-3634-4312
Email: [email protected] www.wateraid.org
TICAD VIで採択されたナイロビ宣言では、水・衛生を含む持続可能な都市インフラ開
発が急務であることが合意されました。このことは、前回の会議TICAD Vで出された
横浜宣言に基づいており、かつ、「アジェンダ2063」、「持続可能な開発のための2030
アジェンダ」、気候変動に関する「パリ協定」といった、アフリカやグローバルレベ
ルでの各種合意に対応しています。本イベントでは、各登壇者が、持続可能でレジリ
エントな都市の水・衛生インフラの開発のための各自の戦略および見通しを共有しま
した。また、都市インフラの欠如や資金不足、さらには気候変動に対してレジリエン
トな社会作りに取り組むことによって、TICAD VIがどのようにアフリカでの持続可能
な開発目標のゴール6や11、13の達成に貢献することができるかを考えました。
開会挨拶
開会挨拶として、JICAの青木氏、PACJAのムサミ氏が、本サイドイベントの参加者に
対して謝意を表明しました。続けて、急激な都市化と気候変動に対して、効果的に政
策面での対応していくことが、TICADやSDGs、パリ協定、ならびにアフリカ連合によ
るアジェンダ2063を実行していくうえで中核となることを強調しました。
プレゼンテーション要点
(写真左から順に)ニルトン・トリンダーデ氏、青木英剛氏、小竹茜氏、ジョン・シフマ氏
ニルトン・トリンダーデ氏は、急激な都市化と気候変動について、モザンビークの経
験を話し、続けて水・衛生のレジリエントな都市インフラ供給における課題を取り上
げました。トリンダーデ氏は、モザンビークの首都マプトをはじめ、ベイラ、ナンプ
ラ、ナカラ、ペンバ、リシンガといった都市が、水に関して大きな課題を抱えている
と話し、異なるセクターの協力、例えば公共・民間セクターと市民社会、国・地域・
地方レベルの行政などが効果的に連携することが不可欠であることを訴えました。ま
た、協働パートナーやTICAD VIのような協働プロセスが果たす重要な役割についても
強調しました。
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青木英剛氏は、水のアクセスは、水資源量の問題というよりは管理の問題として対処
する必要があると述べました。青木氏は、アフリカ各地におけるJICAプロジェクトの
紹介に続いて、水資源管理、都市部と農村部における水・衛生へのアクセスの改善、
無収水を削減するための公共事業会社への支援、および水関連の災害を防ぐための支
援など、特にJICAが注力する分野について説明しました。また、モザンビークにおけ
る水関連の活動として、井戸の掘削、操作およびメンテナンスに必要な研修やスペア
パーツの提供、またウォーターエイドと共同でコミュニティを対象とした適切な衛生
習慣とトイレの使用の普及に取り組んでいるニアッサ州で実施中のPROSUASプロジェ
クト(Project on Promoting Sustainability in Rural Water Supply, Hygiene and
Sanitation in Niassa Province)について話しました。
小竹茜氏は、どのようにして民間セクターが持続可能な開発目標のゴール6、ならび
にTICAD VIの実施プロセスに貢献できるかを紹介しました。アフリカでは、衛生環境
の未整備がもたらす社会的および経済的損失が非常に大きい(2015年は推定で190億
ドル以上)ことを受け、LIXILは、2020年までに世界で1億人の衛生状況を改善するこ
とを目標に衛生対策に取り組んでいることを説明しました。本対策には、使用水量が
わずか1リットルのマイクロフラッシュトイレシステム、排泄物を有効利用できるグ
リーントイレシステム、臭いと病気の感染を防ぐよう設計されたSaTo(Safe Toilet/
安全なトイレ)など、同社が持っているトイレのソリューションも含まれています。
ジョン・シフマ氏は、急激な都市化と気候変動に関するアフリカ開発銀行の見解を共
有しました。また、アフリカ開発銀行が、アフリカの国々や都市、コミュニティにお
いて、気候変動の脅威を緩和し、かつ適応していくための支援として、同銀行内の資
源ならびに外部の資源をどのように動員していくかについて説明しました。同銀行の
10年戦略には、22億UA2(35億ドル)を投資し37か国で64のプロジェクトを実施するとい
う、水と衛生の持続的なアクセスを実現するための強力なポートフォリオが含まれま
す。これらのプロジェクトは、基本的にはインフラ開発ですが、同時に財政面や水・
衛生セクターに関する事業、プロジェクト準備、キャパシティビルディングおよび技
術支援も対象としていると説明しました。
ジョン・ギャレットは、ウォーターエイドが関わる都市空間計画プロジェクトに関す
る情報を共有しました。これはアフリカの 4 つの都市(ラゴス、キンシャサ、ルサカ、
マプト)において、都市全体の水・衛生インフラ計画を策定することに焦点をあてた
プロジェクトです。ギャレット氏は、これからの 15 年間で SDGs が掲げる目標を達成
するためには、こうしたインフラの整備が重要な課題のひとつであると話し、開発途
上国での投資は、貧困の削減、気候変動の軽減、気候変動への適応という 3 点への成
果を踏まえて検討すべきであると話しました。さらにウォーターエイドは現在、マプ
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トの自治体と連携しながら、貧困層に焦点をあてた水と衛生設備へアクセス改善、な
らびに気候変動に対するレジリエンス構築を支援するための援助提案を作成中であ
ることを報告しました。
質疑応答セッション
ウォーターエイド・エチオピアの現地代表であるベツレヘム・メンギスツの司会のも
と、参加者の質疑応答セッションが行われました。以下のような幅広い質問とコメン
トが寄せられました。

SDGs の実施にかかる資金の欠如により問題が生じている。

意思決定や投資・援助実施のプロセスに必ず市民社会が参加すべきである。

国際開発金融機関や開発パートナーが費用対効果を求めることで、環境への配慮
が失われるのではないか。

ナイロビのような都市では、市内の水の需要を満たすために地方の水資源が利用
され、その結果地方が不利益を被っているのではないか。

レソトをはじめとする、JICA の水プロジェクトの対象にならないアフリカ諸国の
今後の展望について。

気候変動ファイナンスは、都市のインフラ整備のためのみならず、ウガンダのよ
うな国々での森林破壊防止のためにも活用されるべきだったのでは。

アフリカの「部族主義(部族生活)」によって、開発の進展が阻害されているの
では。
ベツレヘム・メンギスツ(写真左)の司会のもと、参加者と登壇者のあいだで、質疑
応答セッションが行なわれました。
さまざまな質問や意見、そしてそれに続くディスカッションのなかで、ケニア出身の
ノーベル賞受賞者ワンガリ・マータイさんをはじめ、現状を打破する力のあるリーダ
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ーたちが人の心を動かす指導力の持ち主だったように、地方レベル・国レベルともに、
政治が指導力を発揮することが重要であること、関連のあるセクターを一本化した包
括的なアプローチが必要であること、インフラ投資の決定の場にかならず市民社会が
参加できるように努力すべきであることなどが強調されました。ウォーターエイドは、
同団体の新しい研究についても言及しました。ひとつは「清潔な町の物語(A Tale of
Clean Cities)」と題し、ガーナ、インド、フィリピンの都市部における衛生の成功
事例に焦点をあてたもので、もうひとつの「気候変動ファイナンスイニシアチブ
(Climate Finance Initiative)」は、気候変動への適応と水の安全保障のために、
低収入国により多くの資金を回すことを目的とするものです。ロバート・ムサミ氏か
らは、アフリカ各国政府が水、衛生、気候変動の問題に取り組むにあたっては、もっ
と国内の人材を活用すべきであるとの強い提言がありました。関連して、アフリカ各
国はそれぞれの国で国家戦略や計画、政策を策定し、実施のためのリソースを振り分
けることが必要であるとの指摘がありました。
サイドイベント主催者と講演者:(左から)雫石まどか、ジョン・ギャレット、ロバ
ート・ムサミ氏、ベツレヘム・メンギスツ、小竹茜氏、ジョン・シフマ氏、高橋郁、
ニルトン・トリンダーデ氏、青木英剛氏
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サイドイベントでは、急速な都市化と気候変動の課題を軸に、幅広く活発な議論が交
わされ、水・衛生分野における主要課題、アプローチ、考えうる解決策などを共有す
ることができました。また、これらの重要分野において、TICAD VI がアフリカ諸国を
どのようにサポートできるのか、その最適な方法をめぐっても討論が行われました。
この TCIAD VI サイドイベント開催にあたっては、モザンビーク政府、JICA、アフリ
カ開発銀行、株式会社 LIXIL グループ、PACJA, 市民ネットワーク for TICAD、そして
ご来場いただいた皆さまの多大なご協力を賜りました。心からの御礼を申しあげます。
1.サイドイベントにてご講演いただく予定だったジュディ・ワクフング(Prof. Judi W. Wakhungu)
ケニア環境・水・天然資源長官は、ケニア政府内の緊急案件のため、残念ながらご欠席となりました。
2. UA は、アフリカ開発銀行が表示通貨として使用する計算単位です。
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