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58―10 P U D T 裁判所からの鑑定の嘱託
58― 10 58―10 P U D T 裁判所からの鑑定の嘱託 1.制度の趣旨 特 許 等 に つ い て 裁判 所 か ら 特 許庁 に 鑑 定 の 嘱 託 が あ った と き は 、 審 判 長 が 事 務を総理する合議体が鑑定をする(特§71の2、実§26、意§25の2、商§28の2)。 特 許 権 侵 害 訴 訟 が係 属 し て い る裁 判 所 が 特 許 発 明 の 技術 的 範 囲 に つ い て 、 特 許庁 に対し民訴§218に基づき鑑定を嘱託したときには、特許庁長官は、三名 の 審 判 官 を 指 定 し て その 鑑 定 を さ せな け れ ばな ら な い 。 紛争 解 決 の 有力 な 判断 資 料として裁判所での活用が期待される。 2.鑑定内容 鑑定を 行う内容は、基本的には、特§71の2、実§26、意§25の2、商§28の2 に規定された以下の(1)~(3)についてであるが、紛争の早期解決に資するため、 発 明 の 構 成 要 件 等 の技 術 内 容 に 関す る 説 明を 求 め ら れ たと き に も 積極 的 に対 応 する。 (1) 特 許 発明 ・ 登 録 実用 新案 の 技術 的範 囲に つい ての鑑 定(特 §71の2(実 § 2 6)) ・三名の審判官による合議(特§71の2①) ・合議体は審判長が事務を総理(特§71の2②→§138) (2) 登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲についての鑑定(意§25の2) (同上) (3) 商標権の効力についての鑑定(商§28の2) (同上) - 1 - 58―10 3.鑑定料及び鑑定の説明のための旅費について (1) 基本的考え方 鑑 定 は 、 裁 判 の 立 証 過 程 に おい て 必 要 があ る と き 、民 事 訴 訟 法の 規 定 に 基 づ い て 行 わ れ て いる こ と で あ り、 そ の 鑑 定 に 必 要 な 費用 は 、 当 事 者 が 支 払 う こととされている。 参考:民事訴訟費用等に関する法律 納 付 義 務 ( § 11)、証 人の 旅 費の 請求 等( §18②)、説 明者 の 旅費 の 請求等(§19)、調査の嘱託をした場合の報酬の支給等(§20①) し た が っ て 、 特 許 庁 が 行 う 鑑定 に 関 し ても 、 鑑 定 料及 び 鑑 定 に対 す る 説 明 の 際 の 旅 費 は 、 民事 訴 訟 費 用 等に 関 す る 法 律 の 規 定 に従 っ て 支 払 い を 受 け る ものとする。 な お 、 裁 判 官 が 職 権 で 鑑 定 を嘱 託 す る とき に は 、 裁判 所 が 定 める 者 ( 当 事 者)が費用を支払うことになっている。 (2) 具体的運用 ア 鑑定料については、判定の料金(40,000円/1件)と 同様とする。 理由: (ア )鑑 定 は 、 侵 害 訴 訟 に お ける 対 象 物 (又 は 、 実 施行 為 ) が 特許 発 明 の 技 術 的 範 囲 等 に 属 す る か 否 か を 判 断 す る と い う 実 質的 業 務 に おい て 、 判 定 と差異がないこと、 (イ )鑑 定 は 、 裁 判 の 立 証 過 程で 当 事 者 の申 立 て に より 、 裁 判 所が 必 要 と 認 め た 場 合 に 、 特 許 庁 に 対 し て 嘱 託 さ れ る が 、 他 方、 裁 判 を 経ず に 同 様 の 判 断 を 求 め る 「 判 定 」 と 料 金 の 上 で 相 違 が あ る こと は 不 自 然で あ る こ と を考慮すると、同一とすることが適切である。 * 料 金の計算に あたっては、特許権1件に対するイ号1件の鑑定を鑑定事項 1 件とし、鑑 定事項1件の料金を40,000円とする。したがって、例えば、 2 つ の 特 許 権 に 対 し て 、 イ号 、 ロ 号、 ハ 号 の 3つ の 全 ての 組 合 せ につ い て 鑑 定 を 求 め る 場合 は 、 鑑 定 事項 は 6( 2× 3)件 と な る の で、 料 金 は 以下 の 計算 と - 2 - 58― 10 なる。 40,000円×6=240,000円 イ 鑑 定の説明を求められたときの旅費は、「民事訴訟費用等に関する法律」 に 従 っ て 裁 判 所 か ら 支 払 わ れる 費 用 を 使用 す る こ とと す る 。 した が っ て 、 特許庁からの旅費の支給は受けない。 理由: (ア )裁 判 所 か ら の 旅 費 は 民 事訴 訟 費 用 等に 関 す る 法律 に 基 づ いて 説 明 者 個 人に対して支払われること、 (イ )特 許 庁 か ら 支 給 さ れ る 旅費 を 使 用 した と き 、 別途 裁 判 所 から 支 払 わ れ る旅費を精算する必要がある。 4.鑑定嘱託書の管理について 鑑定嘱託書は、審理番号を付して管理する。 (鑑定○○○○-99○○○○号) 西暦 年ごとの通番 - 3 - 58―10 鑑定に係る業務フロー概略 裁判所 特許庁 (裁判官、書記官) (当事者) 特許侵害業務室 審理部門 当事者 ・鑑定の申立て 裁判官、書記官 審判書記官 ・鑑定事項を定める ・部門長に確認 ・鑑定嘱託の打診 ・打診に対する回答 裁判官、書記官 審判書記官 ・鑑定嘱託関連事務 ・嘱託受理関連事務 ・鑑定嘱託 ・審理用書類作成 裁判官、書記官 審判書記官 部門長 ・鑑定事項等確認 部門長 ・合議体指定 合議体 ・鑑定書受理 ・送付書作成 ・審理 ・受領書送付 ・記録整理保管 ・適宜裁判所へ照会 ・鑑定料関連事務 ・鑑定書送付 ・鑑定書起案・決裁 ・鑑定料関連事務 必要に応じて 補足説明資料、出張説明要請 - 4 - 58― 10 鑑定料に係るフロー図 当事者 ①予納 ⑤鑑定書送付 (納入告知書同封) 審判官 ②鑑定依頼 審判書記官 ③鑑定終了の報告 ④納入告知書 ③債権発生通知 会計課 ⑥予納金納付 歳入徴収官 裁判所 特許庁 (注)①ないし⑥は、手続の流れの順番であり、同じ番号は、同時に行うもの 。 (改訂H27.2) - 5 -