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「都市観光地・かわさき」をめざしてー

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「都市観光地・かわさき」をめざしてー
−「都市観光地・かわさき」をめざしてー
目
次
か わ さ き 観 光 振 興 プ ラ ン の 策 定 に あ た っ て ....................... 3
観 光 と は ...................................................................... 3
( 1 ) 観 光 は 平 和 と 友 好 に 基 づ い た 交 流 ............................ 3
( 2 ) 観 光 の 語 源 か ら − 誇 ら し い 地 域 づ く り と 自 治 の 力 ..... 3
( 3 ) 多 様 化 す る 観 光 と 都 市 観 光 の 魅 力 ............................ 4
2 観 光 を め ぐ る 情 勢 ......................................................... 5
(1)観光立国宣言―ビジット・ジャパン・キャンペーン―
序章
1
..................................................................................... 5
( 2 ) 観 光 立 国 に 向 け た 国 の 施 策 ..................................... 6
( 3 ) 観 光 産 業 の 現 状 と そ の 影 響 ..................................... 6
( 4 ) イ ン バ ウ ン ド の 増 加 に 向 け て .................................. 7
(5)神奈川県の取組み―首都圏ツーリズムと神奈川口構想
..................................................................................... 7
3 観 光 振 興 プ ラ ン の 位 置 付 け と 目 標 ................................... 8
( 1 ) 総 合 計 画 の 中 の 観 光 ............................................... 8
(2)新たな観光の振興―市民、地域、観光交流事業者、行
政 が と も に 担 う 観 光 ........................................................ 9
( 3 ) 関 連 計 画 と の 関 係 ................................................ 11
( 4 ) 市 民 ・ 民 間 主 導 に よ る 観 光 振 興 を め ざ し て ............. 11
( 5 ) 本 プ ラ ン の 目 標 期 間 ............................................. 12
第 1 章 川 崎 市 に お け る 観 光 .................................................. 13
1 川 崎 市 の 観 光 の 現 状 と 課 題 .......................................... 13
( 1 ) 川 崎 の 地 域 形 成 ................................................... 13
( 2 ) 「 非 観 光 地 」 で あ っ た 川 崎 ................................... 14
( 3 ) 川 崎 市 の 観 光 資 源 ................................................ 14
( 4 ) 観 光 を と り ま く 課 題 ............................................. 15
2 観 光 を と り ま く 新 た な 動 き .......................................... 16
(1)地域の個性と魅力を活かした賑わいのあるまちづくり
へ の 胎 動 ...................................................................... 16
( 2 ) 最 近 の 動 向 .......................................................... 17
第 2 章 観 光 振 興 の 方 向 性 ..................................................... 19
1 川 崎 の 観 光 を と り ま く 環 境 の 変 化 ................................. 19
2 観 光 ス タ イ ル の 変 化 ― 体 験 ・ 学 習 型 観 光 ― .................... 19
1
《 1 都 市 観 光 》 ............................................................. 20
《 2 地 域 の 歴 史 遺 産 の 発 掘 》 .......................................... 20
《 3 産 業 観 光 》 ............................................................. 20
《 4 自 然 や 農 業 と の ふ れ あ い 》 ...................................... 20
《 5 外 国 人 旅 行 者 の 受 入 れ 増 加 》 ................................... 21
《 6 ホ ス ピ タ リ テ ィ( お も て な し の 心 )と イ ン タ ー プ リ タ ー ・
観 光 ガ イ ド の 役 割 の 増 大 》 ............................................. 21
3 基 本 理 念 ( ビ ジ ョ ン ) ................................................. 22
4 3 つ の 基 本 目 標 .......................................................... 22
5 5 つ の 観 光 振 興 指 針 .................................................... 24
第 3 章 8 つ の 観 光 振 興 の 戦 略 ............................................... 25
戦 略 1 「 か わ さ き の 人 」 を 生 か し た 観 光 振 興 と 人 材 の 育 成 . 25
戦 略 2 「 か わ さ き の 特 性 」 を 活 か し た 産 業 観 光 の 推 進 ....... 28
戦 略 3 「 か わ さ き の 文 化 」 に こ だ わ っ た 都 市 型 観 光 の 振 興 . 30
戦 略 4 「 か わ さ き の 自 然 ・ 歴 史 資 源 」の ブ ラ ッ シ ュ ア ッ プ( 磨
き 上 げ ) に よ る 観 光 振 興 .................................................... 33
戦 略 5 観 光 イ ン フ ラ の 整 備 .............................................. 36
戦 略 6 観 光 ・ 集 客 産 業 の 振 興 と 連 携 強 化 .......................... 39
戦 略 7 集 客 マ ー ケ テ ィ ン グ の 推 進 と 情 報 発 信 .................... 40
戦 略 8 東 京 、 横 浜 等 近 隣 都 市 ・ 地 域 と の 連 携 強 化 ............. 43
第 4 章 観 光 振 興 プ ラ ン の 推 進 に あ た っ て .............................. 45
1 市 民 ・ 民 間 主 導 に よ る 観 光 振 興 の 推 進 体 制 .................... 45
2 地 域 ・ 民 間 と の 協 働 と 支 援 .......................................... 45
3 行 政 内 に お け る 推 進 体 制 .............................................. 48
参 考 資 料 ............................................................................... 50
資 料 1 総 合 計 画 の 概 要 ( 抜 粋 ) ....................................... 50
資 料 2 策 定 委 員 名 簿 ....................................................... 52
資 料 3 策 定 経 過 .............................................................. 52
附 事業目標一覧
56
2
序 章 かわさき観 光 振 興 プランの策 定 にあたって
1
観光とは
(1)観光は平和と友好に基づいた交流
国 連 は 、1967( 昭 和 42)年 の「 国 際 観 光 年 」の ス ロ ー ガ ン を「 観
光 は 平 和 へ の パ ス ポ ー ト( Tourism,Passport to Peace)」と し 、観
光を通じた国際交流が国境を超えた相互理解の促進と平和の維持
に大きく貢献することを強くアピールした。
ま た 、1963( 昭 和 38)年 に 制 定 さ れ た 観 光 基 本 法 の 前 文 は 、「 観
光は、国際平和と国民生活の安定を象徴するものであって、その発
達は、恒久の平和と国際社会の相互理解の増進を念願し、健康で文
化的な生活を享受しようとするわれら
の理想とするところである。また、観
光は、国際親善の増進のみならず、国
際収支の改善、国民生活の緊張の緩和
等国民経済の発展と国民生活の安定向
上に寄与するものである。」と書かれ
ており、観光振興は平和と相互理解を
通じた豊かな生活への有力な方策であ
ることを明確にしている。
瀋秀園:国際友好都市の中国・瀋陽市か
つ ま り 、観 光 を 推 進 す る 意 義 は 、
『平
ら贈られた中国式庭園(川崎区)
和と友好に基づいた人々の交流を通じ
て、相互の文化や生活を高めあうこと』にあるといえる。
(2)観光の語源から−誇らしい地域づくりと自治の力
観 光 の 語 源 は 、中 国 の 古 典「 易 経 」の「 観 国 之 光( 国 の 光 を 観 る )」
からきており、そのあとに続く「努力發国光=努力して国の光を發
(ひら)かん」が観光を進める地域のあり方を示している。
こ こ で い う「 国 の 光 」と は 、地 域 の 固 有 の 文 化 や 魅 力 で あ り 、「 観
る」は、観て学ぶということを指す。しかし、「観る」には「観す
3
(しめす)」という意味もあって、来訪者を迎え入れる側の姿勢も
含まれているとされている。来訪者に観て、学びとってもらうため
には、まず迎え入れる側が自らのまちを学び、誇りを見出すことに
よって、その文化や魅力を観す(しめす)ことが必要であるという
のである。
また、「国の光」は地域の人材も意味しており、地域の担い手と
な る 人 材 を 探 し 、育 て て い く 努 力 が 大 切 で あ る こ と も 示 唆 し て い る 。
来訪者に観てもらうのは、地域を知り、良くしようとする人々の取
組みと活力であり、善政のもとではじめて民は活き活きと暮らし、
その威光を他国に示すことができるとしている。
このように、観光は、『人々が魅力ある地域づくりに励み、その
営 み を つ う じ て 築 か れ て い く 自 治 の 力 を 、他 に 誇 ら し く 観 て も ら う
こと』なのである。
(3)多様化する観光と都市観光の魅力
人 々 は 自 由 な 時 間 と お 金 を 使 っ て 、安 ら ぎ や 楽 し み を 求 め て 観 光
に出かける。そして観光をつうじて、日常から離れ、新たな発見や
経 験 を す る こ と に よ っ て 心 身 を リ フ レ ッ シ ュ し 、次 へ の 活 力 を 得 る
のである。
今日、わが国の豊かさを反映して、自由な時間とお金を多くの
人々が享受できるようになり、人々の観光の仕方も変わってきた。
高 度 経 済 成 長 期 は 、新 幹 線 や 高 速 道 路 な ど の 交 通 網 の 整 備 と マ イ
カー・モータリゼーションの普及によって人の移動が簡便になって
い く と 同 時 に 、所 得 と 自 由 時 間 の 増 大 に と も な っ て 観 光 が 大 衆 化 し 、
企業等による団体旅行が活発に行われた。
だが現在は、個人の余暇意識や価値観の多様化、核家族化などの
ライフスタイルの変化によって、個人を単位とした家族旅行、小グ
ループ旅行が主流になってきている。
また、観光の目的も単に自然を満喫し、名所・旧跡を巡る物見遊
山的なものから、ダイビングやスキー、テニスなどのスポーツ、園
芸や陶芸教室など来訪者がアクティブ(行動的)に活動し、体験す
ることをつうじて楽しく時を過ごすタイプのものが増加してきた。
そして、人々の旅行経験の蓄積とともに、旅行者が地域の自然や
歴史、生活文化などに触れ、親しみ、楽しみ、学ぶことを目的とし
た体験・学習型の観光に比重が移っている。
4
都 市 観 光 も 、従 来 は 近 代 的・現 代 的 な 建 造
物 を 見 る こ と が 主 流 で あ っ た が 、最 近 は グ ル
メやショッピングなど来訪者が都市の多様
な魅力を満喫するものに変わってきている。
ディズニーランドやお台場、
「みなとみらい」
など巨大で変化に富んだエンタテインメン
ト 性 の 高 い 空 間 や 施 設 、郊 外 の ア ウ ト レ ッ ト
や シ ョ ッ ピ ン グ モ ー ル 、あ る い は 街 中 の フ ー
ド・テーマパークやアミューズメント施設な
イタリアの街を模したシネマ
ど、日常と隣り合わせにある非日常的でスペ
コンプレックス「ラ チッタデ
クタクルな空間に人気が高まっている。
ッラ」は、日本一の映画観
このように最近の都市観光に共通する要素
客動員数を誇る(川崎区)
は、都市の多様な魅力に触れ、味わうことに
よって得られる感動であり、満足感である。
多 く の 来 訪 客 を ひ き つ け る 都 市 観 光 の 魅 力 は 、そ の よ う な 多 様 性 を
包有する都市の総合的な力をいかに発揮するかにかかっている。
2
観光をめぐる情勢
(1)観光立国宣言―ビジット・ジャパン・キャンペーン―
2003( 平 成 15) 年 1 月 、 小 泉 総 理 大 臣 は 、 「 国 際 交 流 の 増 進 と
わが国経済の活性化を図るために、自然環境、歴史、文化等の観光
資源を創造、再発見、整備し、国内外への発信力を強化することに
よ り 、 観 光 立 国 を め ざ す 」 こ と を 宣 言 し た 。 そ し て 、 500 万 人 に と
ど ま る 訪 日 外 国 人 旅 行 者 ( イ ン バ ウ ン ド ) を 2010 年 ま で に 1000
万人に倍増することを当面の目標とし、政府はそれを受けて同年 7
月に「観光立国行動計画」を策定した。
行動計画は、全国各地が個性を発揮する「一地域一観光」、日本
ブ ラ ン ド の 海 外 へ の 発 信 、観 光 環 境 の 整 備 な ど を 推 進 す る こ と を そ
の 内 容 と し て い る が 、そ の 中 で も と り わ け イ ン バ ウ ン ド の 振 興 を 図
る た め に 「 ビ ジ ッ ト ・ ジ ャ パ ン ・ キ ャ ン ペ ー ン ( VJC) 」 を 積 極 的
に 推 進 し 、 各 種 メ デ ィ ア に よ る PR、 ポ ー タ ル サ イ ト の 構 築 、 大 臣
自らによるトップセールスなどに取り組むこととしている。
そして自治体については、地域の魅力ある資源を発掘・育成し、
5
外 国 人 旅 行 者 に や さ し い 環 境 を 整 え 、内 外 へ の プ ロ モ ー シ ョ ン を 積
極的に展開することを求めている。
(2)観光立国に向けた国の施策
観 光 立 国 宣 言 に 先 立 つ 2002( 平 成 14) 年 6 月 、 「 経 済 財 政 運 営
と 構 造 改 革 に 関 す る 基 本 方 針 2002」が 閣 議 決 定 さ れ 、内 閣 府 は そ の
中で「観光産業の活性化・休暇の長期連続化」を打ち出した。
具体的には、
■ 外国人旅行者の訪日を促進する「グローバル観光戦略」の構築
■ IT の 積 極 的 導 入 等 を 通 じ た 経 験 型 ・ 目 的 達 成 型 の 観 光 産 業 の 育
成、その内外への発信
■ 観光地の魅力度の分析、診断、公表
■ 休暇の分散化と長期連続化の推奨
を挙げている。
ま た 、 国 土 交 通 省 は 、 2003( 平 成 15) 年 を 「 訪 日 ツ ー リ ズ ム 元
年」とし、4つの「グローバル観光戦略」を打出している。
戦略1
戦略2
戦略3
戦略4
外国人旅行者の訪日促進
外国人旅行者の受入れ
観光産業の高度化
事業の推進
こ れ ら の 戦 略 に 基 づ き 、魅 力 あ る 観 光 ま ち づ く り に 貢 献 し て き た
人々の「観光カリスマ」の認定、「ビジット・ジャパン・キャンペ
ーン」の展開、「観光交流空間づくり」を支援するモデル事業の創
設、韓国人修学旅行生に対するビザの免除、教育委員会の独自判断
による学校休暇のシフトなどの成果をあげてきた。
(3)観光産業の現状とその影響
日 本 の 観 光 産 業 は 、 2003( 平 成 15) 年 度 は 23.8 兆 円 の 売 上 げ 規
模 が あ る と 推 計 さ れ て い る が 、そ の 付 加 価 値 は 12.0 兆 円 で GDP の
2.4% に な り 、自 動 車 産 業 な ど の 輸 送 機 械 や 食 料 品 産 業 な ど に 匹 敵 す
る も の と な っ て い る 。ま た 、 観 光 関 連 の 従 事 者 数 は 210 万 人 で 、 全
産 業 従 事 者 の 3.2% に な り 、 一 般 機 械 、 輸 送 機 械 や 食 料 品 等 と 比 較
6
しても大きなものとなっている。
また、観光事業の他の産業に波及する経済効果は、生産波及効果
が 53.9 兆 円 、 付 加 価 値 効 果 が 28.6 兆 円 と 推 計 さ れ 、 そ の 雇 用 効 果
は 442 万 人 、 税 収 効 果 は 4.8 兆 円 程 度 と な り 、 そ の 影 響 は 5∼ 7 %
程度になっている。
このように、近年低迷する日本経済にあって、観光産業は高い位
置 を 占 め て い る が 、WTO( 世 界 観 光 機 構 )調 査 に 基 づ く 各 国 比 較 で
は、日本は主要国の中で最も低いものとなっている。
ま た 、日 本 人 海 外 旅 行 者( ア ウ ト バ ウ ン ド )は 、こ こ 数 年 約 1300
∼ 1500 万 人 前 後 で 推 移 し て い る が 、訪 日 外 国 人 旅 行 者 数( イ ン バ ウ
ン ド ) は 約 500 万 人 で 、 国 際 旅 行 収 支 は 大 幅 な 赤 字 と な っ て い る 。
このことから、外国人旅行者がもたらす直接消費1兆5千億円、
波 及 効 果 4 兆 円 と い わ れ る 現 在 の 額 を 2010 年 ま で に 倍 増 す る こ と
を当面の目標としているのである。
(4)インバウンドの増加に向けて
W T O に よ れ ば 世 界 の 観 光 市 場 は 7 億 人 を 超 え て 、今 後 と も 拡 大
基 調 に あ り 、世 界 的 な 交 流 は 益 々 広 が っ て い く も の と 見 込 ま れ て い
る。
し か し 、日 本 で は 、イ ン バ ウ ン ド 市 場 は 未 だ 開 発 途 上 に あ る 。「 外
国人を多く受け入れると、犯罪が増加する」といった考え方も根強
く 、そ の よ う な 排 外 主 義 的 な 考 え 方 が イ ン バ ウ ン ド 市 場 の 拡 大 を 妨
げているともいわれている。
欧米の先進諸国や中国等の「インバウンド大国」並みに外国人旅
行 者 の 増 加 を 図 る に は 、当 面 、情 報 に 係 る 課 題 の 解 決 が 必 要 で あ る 。
魅力ある観光資源や廉価な宿泊施設等に関するきめ細かな情報発
信、パンフレッやインターネット、サインなど、外国人旅行者の利
便 を 高 め る た め に 多 言 語 に よ る 表 記 に 努 め て い く こ と な ど 、外 国 人
旅行者が移動しやすい環境整備が求められている。
(5)神奈川県の取組み―首都圏ツーリズムと神奈川口構想
神奈川県では、首都圏に位置する優位な立地条件を背景に、観
光・集 客 産 業 が 大 き な 地 位 を 占 め て い る 。国 際 港 と し て 有 名 な 横 浜 、
古都鎌倉、歴史のある小田原、湘南のリゾート、箱根や湯河原の温
7
泉 街 な ど の 特 色 を 活 か し 、日 本 の 象 徴 で あ る 富 士 山 を は さ み 隣 接 県
などと連携しながら、観光産業の活性化を図っている。
ま た 、京 浜 臨 海 部 工 業 地 帯 の 空 洞 化 が 県 経 済 の 落 込 み に 影 響 し て
いることから、京浜臨海部の再生を図る方策の一つとして、海上交
通や産業施設を活かした産業観光の振興へ向けて積極的に取り組
む姿勢をみせている。
このことに関連して、県は東京湾を囲む自治体の連携を強め、観
光 ス ポ ッ ト を 水 上 交 通 で 巡 る 首 都 圏 ツ ー リ ズ ム 構 想 を 打 出 し 、観 光
による地域振興策を推進している。
2009 年 に 予 定 さ れ て い る 羽 田 空 港 の 拡 張・国 際 化 に 向 け て 、羽 田
か ら 多 摩 川 を 越 え る 交 通 ル ー ト を 整 備 す る 計 画 が あ る こ と か ら 、こ
れを「神奈川口構想」として位置づけ、主に東アジア諸国からの来
訪客の大幅な増加を見込み、ビジット・ジャパン・キャンペーンに
合わせ、これらの来訪客を県内の観光地に誘導していくために、国
や県下の市町村などと協議を進めている。
3
観光振興プランの位置付けと目標
(1)総合計画の中の観光
これまで本市が観光事業に積極的に取り組んでこなかったこと
をあらためて過去の総合計画における「観光」の位置付けから確認
し、また昨年度に策定された「新総合計画」において観光振興の位
置 付 け が 変 わ り 、ど の よ う な こ と が 期 待 さ れ て い る か を 概 観 し て み
る。
●「2001かわさきプラン」(1983〔昭和58〕年策定)
こ の プ ラ ン は 、1972( 昭 和 47)年 に 政 令 指 定 都 市 に な っ て 以 後 、
初 め て 市 民 参 加 に よ っ て 策 定 さ れ た 総 合 計 画 で 、「 人 間 都 市 か わ さ
きの創造」をタイトルとしている。
このプランでは、福祉、環境、文化、自治などに多く言及してお
り、「観光」を扱った項目はない。唯一、都市農業の振興にあたっ
て「観光農業に取り組む」という表現があるにとどまっている。
商業・サービス業においても、流出購買力を呼び戻すために商業
拠 点 を 確 立 す る こ と が 謳 わ れ て い る が 、「 観 光 」とい う 言 葉 は 見 あ
8
たらない。
●「川崎新時代2010プラン」(1993〔平成5〕年策定)
こ の プ ラ ン は 、い わ ゆ る バ ブ ル 経 済 の 終 期 に 市 民 討 議 を 経 て 策 定
されたものである。したがって、膨張する日本経済を背景にした豊
かな財政に基づき、「国際化」、「高齢化」、「情報化」といった
課題に向け、人権、自治、分権を基調として、積極的に取組むこと
としている。
このプランによって、初めて川崎における「観光」が意識され、
「市民生活を支援する産業の振興」のなかで、「文化・観光・レジ
ャー・スポーツ産業の育成」が施策として明らかにされ、観光振興
基本計画の策定を要請している。
● 「 新 総 合 計 画 ∼ 川 崎 再 生 フ ロ ン テ ィ ア プ ラ ン ∼ 」( 2 0 0 5 〔 平
成17〕年3月策定)
「2010プラン」が、経済の低迷と財政危機により、機能不全
を起こしていたことから、21世紀に入り、総合計画の見直しを図
る 必 要 が 生 ま れ 、新 総 合 計 画 の 策 定 作 業 が 本 観 光 振 興 プ ラ ン に 先 行
して進められた。
観 光 振 興 プ ラ ン の 上 位 計 画 に あ た る 新 総 合 計 画 は 、市 民 自 治 の 原
則にたった「市民自治基本条例」(2004〔平成16〕年12月
制定)にあわせ、市民・民間活力の導入を図り、協働と協調に基づ
く 持 続 可 能 な 都 市 を め ざ し て い る 。ま た 、厳 し い 財 政 状 況 を 背 景 に 、
3年程度の実行性のあるものとして作成されている。
これまで商業振興の一環として扱われていた「観光」は、新総合
計画の中では、基本政策Ⅵの「個性と魅力が輝くまちづくり」の施
策の一つとして位置付けられ、都市間競争に勝ち、地域経済の活性
化 と 川 崎 市 の イ メ ー ジ ア ッ プ に 貢 献 す る も の と し て 、「 新 た な 観 光
の振興」に取組むこととしている。
※ 詳細については、参考資料1参照
( 2 )新 た な 観 光 の 振 興 ― 市 民 、地 域 、観 光 交 流 事 業 者 、行 政 がと
もに担う観光
「新総合計画」に基づき、「新たな観光の振興」の基本的な考え
方について整理すると次のようになる。
観光行政に積極的でなかった川崎市は、来訪客も限られ、市民、
9
事業者とも「川崎の観光」というイメージは希薄であった。
こ の こ と は 、 2003( 平 成 15) 年 度 に 相 次 い で 行 っ た 、 「 市 民 意
識 実 態 調 査 」、
「 シ テ ィ セ ー ル ス 推 進 調 査( 川 崎 市 の イ メ ー ジ 調 査 )」、
「観光についての市民意識調査」によって裏付けられている。※
※
●「市民意識実態調査」では、川崎市のイメージ向上への施策について、
「 観 光 都 市 施 策 の 振 興 」 を 支 持 す る も の は 26.6% で 、 19 項 目 中 15 位 に な
っ て い る 。 ( 上 位 は 「 福 祉 ・ 医 療 の 充 実 」 が 83.6% 、 「 緑 化 や 環 境 施 策 の
推 進 」が 7 4 . 2 % 、「 都 市 再 開 発 」が 5 8 . 2 % で 、そ の 他「 市 職 員 の 意 識 改 革 」、
「 商 店 街 の 振 興 」 、 「 都 市 の 魅 力 づ く り 」 、 「 野 宿 生 活 者 対 策 」 が 50% 以
上の支持を受けている。)
●「シティセールスのイメージ調査」では、川崎のまちのイメージについ
て 、 「 産 業 の ま ち 」 が 63.1% 、 「 公 害 の ま ち 」 が 40.3% 、 「 労 働 者 の 集 う
ま ち 」 が 35 . 9 % に な っ て い る 。 そ し て 、 色 の イ メ ー ジ は 「 灰 色 」 が 4 4 . 2 %
で 最 も 多 く 、 次 は 「 緑 」 の 12 . 6 % 、 「 青 」 の 1 0 . 3 % に な っ て い る 。
●「観光意識調査」では、「観光施策を積極的に推進する」ことを支持す
る の は わ ず か 21.9% で 、 「 住 民 が 誇 れ る ま ち づ く り 」 が 40.3% 、 「 無 理 に
推 進 し な い 方 が い い 」 が 28.2% に な っ て い る 。
以上のように、現状では川崎と観光のイ
メージがマッチしていないことから、今後
の観光振興にあたっては、市民からの支持
を得るために従来の観光のイメージを変え
たものを提起する必要がある。
本市が取組むべき新たな観光振興の方向
性は、従来の観光地を周遊するイメージか
ら大きく脱却し、市民・地域による誇らし
いまちづくりを進めることによって、市民
の観光マインド(おもてなしの心)を醸成
し、市民の力で地域の観光資源を発掘し、
創出していくことにある。
多摩川花火大会は、川崎の夏
そのために、市は地域の商業振興を目的
の風物詩として、多くの人で
としたイベントを主催することを主な業務
としてきたこれまでの観光行政・事業をあ
にぎわう(高津区)
らため、今後は市民や事業者の豊かなアイ
ディアや活力を引き出していくような、市民・民間主導の観光事業
を活性化する仕組みづくりへと業務の主眼の転換を図っていかな
ければならない。
そして、観光振興が本市のイメージアップに貢献するとともに、
多 く の 人 々 が 訪 れ 、に ぎ や か さ と 活 気 の あ る ま ち へ と 再 生 す る た め
に 、観 光 を と お し た 個 性 と 魅 力 が 輝 く ま ち づ く り に 、市 民・事 業 者 ・
10
行政が協働して取組むことを基本とするのである。
(3)関連計画との関係
「川崎新時代2010プラン」では、観光基本計画を策定する必
要 が 説 か れ て い た も の の 、こ れ ま で の 本 市 の 観 光 施 策 は 固 定 化 さ れ
た イ ベ ン ト 事 業 を 開 催 す る こ と が 主 に な っ て い た こ と か ら 、体 系 化
された観光振興計画は策定されてこなかった。
今回、本市が観光振興プランを策定するに至ったのは、
① 地域への愛着と誇りをもてるようなまちづくりを進めるにあた
って観光振興が大切な要素であること。
② 観光情報の発信を強めることによって本市のイメージアップに
つながること。
③ 観光振興をつうじて本市への集客を高めていくことが消費購買
力 の 流 出 を と ど め 、観 光 関 連 事 業 者 を 中 心 に 産 業 の 活 性 化 が 図 れ
ること。
など、観光振興に対する期待が高まってきたからである。
同時期に策定された「シティセールス戦略プラン」においても、
観 光 振 興 は 単 に 地 域 の 商 業 発 展 に 寄 与 す る だ け で な く 、「 個 性 と 魅
力あるまちづくり」のために市民・企業・行政が一体となって地域
の総合力を発揮する重要な営みであると位置付けられている。
また、本プランは、総合計画に基づき、政策領域別計画としての
「 か わ さ き 産 業 振 興 プ ラ ン 」の 分 野 別 計 画 に 位 置 付 け ら れ る こ と か
ら、基本構想にある『誰もがいきいきと心豊かに暮らせる持続可能
な 市 民 都 市 か わ さ き 』を 実 践 す る 具 体 的 な 計 画 の 一 つ と な る も の で
ある。
(4)市民・民間主導による観光振興をめざして
本プランを貫くものは、市民・民間活力の主導による観光事業を
奨励して、本市の観光振興を図っていくという考え方である。
第2章「観光振興の方向性」および第3章「観光振興の戦略」で
言及するものも、基本的には市民・民間の知恵と実行力に委ねられ
ていくべきものである。そのために、第4章「観光振興プランの推
進にあたって」において、市民、企業、行政が連携を密にした観光
推進体制とその役割も展望している。
「観光都市・かわさき」づくりを推進するにあたって、本市の新
11
た な 観 光 振 興 の ポ テ ン シ ャ ル (可 能 性 )を 引 き 出 す た め に 、 市 民 、 企
業、行政相互が観光マインドを高め、総合力を発揮していく体制づ
く り に 向 け た 地 道 な 努 力 こ そ が 、本 プ ラ ン の 実 現 に 向 け た 最 善 の 方
策であると思われる。
(5)本プランの目標期間
「新総合計画」は、「基本構想・実行計画」の2層構造となって
お り 、 基 本 構 想 は 概 ね 10 年 間 を 見 据 え 、 実 行 計 画 は 施 策 の 具 体 的
な取組み内容および成果目標を明示した3ヵ年計画となっている。
本プランも「新総合計画」にあわせた構造とし、3 年程度の短期
に 取 組 む も の 、1 0 年 程 度 の 期 間 を か け て 取 組 む べ き も の と に 分 け
て、具体的な施策や事業について整理している。
12
第 1章 川 崎 市 における観 光
1
川崎市の観光の現状と課題
(1)川崎の地域形成
本市は、京浜工業地帯の中核に位置し、戦前・戦後を通じて日本
経 済 の 牽 引 車 と し て 発 展 し て き た 。 特 に 1960 年 代 の 高 度 経 済 成 長
期には、全国各地から多くの若者が働き口を求めて流入し、多様で
多 彩 な 地 域 が 形 成 さ れ て い っ た 。そ れ ぞ れ の 地 方 出 身 者 は 県 人 会 な
どをつくり、故郷の文化を守り育てることによって、本市の文化の
多様性を形づくってきたのである。また、戦前から川崎市に住み着
いた在日韓国・朝鮮人などによる「日本と異なる文化」も地域に根
付いていった。
一方、工業都市として急速に発展していく反面で、その負の遺産
と し て の 公 害 が 、川 崎 市 の イ メ ー ジ を 全 国 的 に 固 定 化 さ せ て い っ た
のも事実である。
重 化 学 工 業 を 中 心 に 発 展 を 遂 げ て き た 川 崎 市 は 、人 口 130 万 人 を
抱える大都市とし成長してきたが、他の政令指定都市と比べて、多
数の人々を吸引する都市の魅力といった点が不足している感は否
めない。
ま た 、多 摩 川 の 流 れ に 沿 っ て 南 北 に 細 長 く 伸 び る 市 域 に も か か わ
ら ず 、東 京 と 横 浜 を 結 び 東 西 に 横 断 す る 鉄 道 や 幹 線 道 路 が 発 達 す る
反 面 、市 域 を 縦 に 結 ぶ 鉄 道 や 幹 線 道 路 が 十 分 に 整 備 さ れ て こ な か っ
た こ と か ら 、市 全 体 と し て は 地 域 が 分 断 さ れ た 一 体 感 の 乏 し い 都 市
となっている。
そ れ に 加 え て 、北 部 地 区 は 東 京 の ベ ッ ド タ ウ ン と し て 開 発 さ れ た
た め 住 民 の 流 動 化 が 激 し く 、地 域 の 文 化 性 を 発 揮 し た ま ち づ く り が
立ち遅れていくのである。
13
(2)「非観光地」であった川崎
戦 後 か ら 高 度 経 済 成 長 期 に か け て 、本 市 は 南 部 を 中 心 に 臨 海 部 で
働く労働者で賑わっていた。その効果として、競輪・競馬などの公
営ギャンブルが繁盛し、市財政に多大な貢献をしてきた。また県内
唯 一 で あ っ た プ ロ 野 球 場 は 、最 も 庶 民 的 な ス ポ ー ツ 施 設 と し て 親 し
まれた。繁華街も栄え、川崎は労働者の憩いと癒しの場としての賑
わいを見せ、市外からも多くの集客をみた。
しかしながら、こうした雑然としたイメージが川崎市に定着し、
一方で東京や横浜においてハイセンスで多様なエンタテインメン
ト の 魅 力 が 増 し て い っ た こ と が 相 ま っ て 、川 崎 を 訪 れ る 人 々 の ア シ
を 遠 の か せ る ば か り か 、市 内 に 在 住 す る 市 民 の 消 費 購 買 力 の 流 出 を
招いてきたのである。
さ ら に 、産 業 構 造 の 転 換 に よ っ て 臨 海 部 な ど か ら 工 場 が 撤 退 す る
のにともない、労働者が減少し、昼夜間人口が逆転するなど、消費
購 買 力 の 低 下 に 拍 車 を か け て き て お り 、川 崎 市 か ら 流 出 す る 消 費 購
買 額 は 年 間 約 2100 億 円( 2003〔 平 成 15〕年 度 推 計 )と も い わ れ て
いる。
こ の よ う に 高 度 経 済 成 長 後 の 日 本 社 会 の 成 熟 過 程 に お い て 、川 崎
から賑わいが薄れ、近隣大都市に比べ、集客の魅力に乏しい観光と
は無縁なまちになっていったのである。
(3)川崎市の観光資源
本 市 の 主 な 現 状 の 観 光 資 源 は 、次の とお り で あ る 。( 観 光 パ ン フ
レット「ようこそ川崎」などより)
① 川崎大師、旧東海道、古墳などの神社仏閣・史跡
② 河港水門、円筒分水などの歴史的産業遺産
③ 臨海部、内陸部の工場、資料展示館、研究施設などの産業観光
資源
④ 生田緑地、多摩川流域などの自然環境、景観
⑤ 民家園、岡本太郎美術館、市民ミュージアムなどの博物館、美
術館
⑥ 桜、つつじ、あじさい、バラなどの花の名所
⑦ 花火大会や市(区)民まつりなどのイベント
⑧ 黒澤明監督の「赤ひげ」のロケで使われた「岡家の門」などの
映画、ドラマのロケ地
14
⑨ サッカーのレアルマドリードのスーパースターのサインが展示
してある等々力競技場
こ れ ら の ほ か 、最 近 で は 集 客 が 著 し い 新 た な エ ン タ テ イ ン メ ン ト 、
アミューズメントとして、
⑩ サッカーのフロンタ―レ、アメリカンフットボールなどのスポ
ーツ
⑪ ミューザ川崎シンフォニーホール、音楽大学や専門学校、事業
者などの音楽資源を活かした音楽のまちづくり
⑫ シネマコンプレックス、ショッピングセンターなどのにぎわい
のある街づくり
⑬ コリアタウン、沖縄などの豊富な食文化
などがある。
(4)観光をとりまく課題
以上のように本市には大都市として多様な観光資源は存在する
が、なかなか来訪客を増やすものとはなっていない。そのような本
市の観光振興をめぐる現状の課題として、次の点が挙げられる。
① 川崎大師以外に、多くの集客を図れる施設や資源が少ない。
② 東海道や中原街道、大山街道、久地梅林、稲田堤の千本桜など
の旧名所の観光資源が失われつつあり、活かされていない。
③ 岡本太郎、濱田庄司、坂本九、藤子不二夫など川崎にゆかりの
ある人材などを活かしきれていない。
④ 観光資源が細長い市域に点在しており、市内を周遊するには物
理的・時間的に困難である。
⑤ 市内を縦断する交通経路が弱く、鉄道や道路など市域を分断す
る形になっているため、市としての一体感が乏しく、市域内の
交流も少ない。
⑥ 地域の連担性がないことから、単一目的・単体利用型が多い。
⑦ 観光バスや観光タクシーなどの観光を担う交通機関がない。
⑧ 観光情報の提供・発信・案内機能が脆弱であり、来訪者の要求
に的確に対応できていない。
⑨ 街中のサインや標識が目につきにくく、また更新が行われてい
ないため、来訪客には不便である。また、障害者や外国人など
に対する配慮がなされていない。
⑩ ホテルなどの宿泊やコンベンション機能が弱い。
⑪ 首都圏の中央部に位置し、交通アクセスが至便なことから、日
帰り客がほとんどである。
⑫ 工業都市のイメージが強く、「ぶらり」と訪れたくなるような
街のイメージが薄い。
15
⑬ 行政以外の民間事業者や
中間組織としての観光協
会などの観光推進を担う
主体が未成熟である。関
連事業者も集客に熱心で
ない。
以上のように、観光施設や
観 光 資 源 だ け で な く 、情 報 提
供 や 案 内 表 示 、観 光 事 業 者 や
年間1000万人を超える参拝客で賑わう川崎大師
中 間 組 織 、交 通 手 段 な ど 観 光
(川崎区)
振興にかかる基盤が非常に
脆弱であることが、本市の観光にとって大きな課題となっている。
2
観光をとりまく新たな動き
( 1 )地 域 の 個 性 と 魅 力 を 活 か し た 賑 わ い の あ る ま ち づ く り へ の 胎
動
本 市 の 入 込 み 観 光 客 数 は 、 こ こ 数 年 、 年 間 約 1,200 万 人 前 後 で 、
横 這 い の 状 態 が 続 い て い る が 、そ の 80% 以 上 が 川 崎 大 師 の 参 詣 客 で
あり、川崎大師以外の観光・集客施設の利用はあまり多くはない。
しかしながら、今、川崎は新たな集客施設の立地や建設が盛んに
なり、まちの賑わいを取り戻そうとしている。
北部の拠点である新百合ヶ丘駅周辺は住宅機能に加えて商業・文
化 機 能 が 集 積 し た ま ち と し て 整 備 さ れ 、登 戸 駅 周 辺 で は 区 画 整 理 と
駅の高架化が進められている。また中部では、溝口駅周辺は再開発
に よ っ て 若 者 の ま ち と し て 変 貌 し 、小 杉 駅 周 辺 で は 横 須 賀 線 新 駅 の
建 設 が 決 定 し て 再 開 発 計 画 に は ず み が つ く な ど 、市 内 の 主 要 タ ー ミ
ナル駅周辺の整備が進みつつあり、賑わいをみせている。
川 崎 駅 周 辺 は イ タ リ ア の 街 並 み を 彷 彿 と さ せ る「 ラ チ ッ タ デ ッ
ラ」、シネマコンプレックスと商業施設が一体となった「ダイス」
な ど の 開 業 に よ り 、新 た な エ ン タ テ イ ン メ ン ト エ リ ア と し て 注 目 さ
れ は じ め 、 若 者 を 中 心 に 賑 わ い を 取 り 戻 し つ つ あ る 。 ま た 、 JR 川
崎 駅 西 口 で は 本 格 的 な ク ラ シ ッ ク ホ ー ル と し て の「 ミ ュ ー ザ 川 崎 シ
ンフォニーホール」が開設され、さらに東芝跡地では再開発によっ
て 大 規 模 商 業 施 設 の 建 設 が 進 む な ど 、か つ て の 雑 然 と し た イ メ ー ジ
16
から大きく変貌を遂げようとしている。
こ の よ う な 動 き に と も な っ て 、本 市 の イ
メージアップに向けて地域の魅力づくり
やその情報発信を行うシティセールス活
動 が 活 発 に 展 開 さ れ 、市 内 の 音 楽 大 学 や 音
楽 産 業 な ど の 音 楽 資 源 を 活 か し た「 音 楽 の
ま ち 構 想 」が 市 民 と 行 政 の パ ー ト ナ ー シ ッ
プ事業によって取り組まれている。また、
川 崎 駅 周 辺 で は 、 TMO ※ ( タ ウ ン ・ マ ネ ジ
メント・オーガニゼーション)による市街
地 活 性 化 事 業 を 、市 民 ・ 企 業 ・ 行 政 が 一 体 と
「音楽のまち・かわさき」
なって進めている。
のシンボル:ミューザ川崎
さ ら に 、新 幹 線 品 川 駅 の 開 業 に 続 き 、羽 田
シンフォニーホール(幸区)
空 港 の 拡 張・国 際 化 な ど が 予 定 さ れ 、首 都 圏
の ほ ぼ 中 央 に 位 置 す る 地 の 利 を 生 か し 、集 客 力 に 富 ん だ 賑 わ い の あ
るまちづくりに向けた多くのプロジェクトが進行中である。
※ T M O は 、地 元 サ イ ド を 中 心 に「 商 業 ま ち づ く り 」を 発 意 し 、計 画 的 に 取
組みを進めるものです。
(2)最近の動向
川崎市は「非観光地」であったがゆえに、観光を振興する上で大
切 な さ ま ざ ま な 要 素 に 欠 け て い た と い わ ざ る を え な い が 、最 近 に な
って観光を取り巻く新たな動きが市内に生まれてきた。
① 主要駅の再開発が進み、アミューズメントやエンタテインメン
ト施設が進出し、若者を中心に街のにぎわいが生まれてきてい
る。
② 市街地活性化事業として、TMOなどの動きが各地の主要駅周
辺で取組まれている。
③ 東海道や中原街道、大山街道など、かつて繁栄をきわめたもの
の、失われつつある観光資源の復興の運動が起きている。
④ 臨 海 部 で は 、区 役 所 と 企 業 市 民 の 協 働 事 業 と し て 、近 代 化 遺 産 ・
産 業 文 化 財 の 保 存 と 活 用 を 目 的 と し た「 産 業 ミ ュ ー ジ ア ム 構 想 」
が進められており、産業観光の推進主体になっている。
⑤ 「 か わ さ き 歴 史 ガ イ ド 協 会 」 ( 2004〔 平 成 16〕 年 10 月 N P O
法人取得)や「高津シルバーガイドの会」など、観光ボランテ
17
⑥
⑦
⑧
⑨
ィアやNPOなどが活発に活動している。
ミューザ川崎シンフォニーホール、音楽大学や専門学校、事業
者 な ど の 音 楽 資 源 を 活 か し た「 音 楽 の ま ち・か わ さ き 構 想 」が 、
民間と行政とのパートナーシップで動きはじめている。
行政内部では、イメージアップや都市ブランドの向上に向けて
地域の魅力づくりとその情報発信など、シティセールスに取り
組むための組織が設置された。また、中長期的な視点に立って
戦略的にシティセールスを展開するためのプランを構築した。
行政や地域に詳しい市民や川崎にゆかりがある著名人、企業、
団体の協力を得て、市民文化大使やホームタウンスポーツ推進
パートナーなどが、川崎の都市イメージ向上の担い手として川
崎の魅力づくりや情報発信などで活躍している。
愛着と誇りをもてるまちづくりのため、区役所を巻き込んだ市
民協働のまちづくりが、地域の観光資源の発掘や創出に大きな
役割を果たしつつある。
このように、徐々にではあるが、行政主導の試み、市民・民間か
らの発意、市民と行政のパートナーシップなど、多様な取組みの中
から、本市の観光・集客事業への関心が高まりつつある。
「都市と人間」をテーマにした市
内随一の美術館:川崎市民ミュー
ジアム(中原区)
18
第 2章 観 光 振 興 の方 向 性
1
川崎の観光をとりまく環境の変化
こ れ ま で の 観 光 旅 行 と い え ば 、温 泉 地 や 景 勝 地 を 巡 る 旅 行 が 一 般
的であったため、工業都市として発展してきた本市は、このような
観光資源に乏しく、そのため観光旅行の対象とはならなかった。
しかしながら、自由時間の増大、少子高齢社会の到来など社会環
境の大きな変化や国による観光立国宣言などを受けて各地で観光
事業への期待が高まってきている。
ま た 、 本 市 を 取 り 巻 く 状 況 も 、 2009( 平 成 21) 年 度 に 羽 田 空 港
が拡張・国際化されることにともない、東アジア諸国を中心に外国
人 来 訪 客 の 増 加 が 見 込 ま れ て い る 。本 市 に お い て も 京 浜 臨 海 部 に ア
ジ ア 起 業 家 を 誘 致 し 、国 外 に 開 か れ た 研 究 開 発 拠 点 を 整 備 す る な ど 、
外国人来訪客の増加を促進する政策を展開している。
さらに、川崎駅周辺は、シネマコンプレックスが集積し、「ミュ
ー ザ 川 崎 シ ン フ ォ ニ ー ホ ー ル 」な ど 集 客 力 の 高 い 一 大 エ ン タ テ イ ン
メント地域として変貌しつつある。
こ の よ う な 環 境 の 変 化 に 応 じ 、本 市 は 都 市 イ メ ー ジ の 向 上 を め ざ
してシティセールス事業を積極的に展開し、「音楽のまち構想」や
「魅力ある区づくり推進事業」など、本市の新たなアイデンティテ
ィづくりに、市民・企業・行政が一体となって取り組み始めた。
そ の 結 果 、マ ス コ ミ な ど で も 本 市 の 新 た な 魅 力 が 頻 繁 に 紹 介 さ れ
る よ う に な り 、か つ て の 工 業 都 市 一 辺倒 の イ メ ー ジ か ら 、「 面 白 そ
うな集客都市」へと本市のイメージは変わりつつある。
2
観光スタイルの変化―体験・学習型観光―
社 会 の 成 熟 化 に と も な い 、観 光 ス タ イ ル も 大 き く 変 化 し て き た が 、
本市の観光事業に関わる動向について概観する。
【人々の観光ニーズの変化―参加・体験型へ】
観 光 ニ ー ズ の 多 様 化・個 性 化 に と も な い 、単 な る「 観 る 」観 光
から、参加・体験・交流・癒し・学習型の新しい観光が注目され
てきている。
19
【人々の旅行形態の変化―個人・グループ化へ】
人 々 の 旅 行 形 態 も 、価 値 観 の 多 様 化 や ラ イ フ ス タ イ ル の 変 化 に
ともない、団体から個人・グループへと変化してきている。
このような観光・旅行形態への変化に合わせ、次に示す新たな観
光に注目が集まっている。
《1都市観光》
複合的な都市機能・活動、地域文化・情報の発信、地域の市民活
動など、都市の営みそのものが、来訪者にとって観光の魅力の対象
になっている。
そのために、見る、買う、食べる、集う、憩うなどの都市観光の
魅 力 を 発 揮 し て 回 遊 性 を 高 め 、交 流 を 大 切 に し た 施 設 の 充 実 が 求 め
られている。
また、女性観光客を中心としたグルメやショッピング、健康ブー
ム を 背 景 に し た シ ル バ ー 世 代 を 中 心 に し た ウ ォ ー キ ン グ 、世 代 を 超
えた街歩きによるタウンウォッチングなどのニーズが高まってい
る。
《2地域の歴史遺産の発掘》
人々の旅行経験の蓄積にともなって、既存の有名な名所・旧跡に
加 え て 、こ れ ま で 日 の 当 た ら な か っ た 地 域 の 歴 史 遺 産 を 掘 り 起 こ し 、
光を当てることによって、人々がその土地の文化・歴史・風土を深
く学ぶ機会を提供することが求められている。
《3産業観光》
近年、近代的な製造業に関わる生産施設や産業遺産、先端技術な
ど を 対 象 と す る 産 業 観 光 に 注 目 が 集 ま っ て い る 。修 学 旅 行 な ど の 教
育旅行や生涯学習、また外国人旅行者などを対象として、地域に立
地する産業の過去・現在・未来を楽しく学習しようというもので、
地域振興にも多大な役割を果たすものとして期待されている。
《4自然や農業とのふれあい》
都市に住む人々にとって、緑豊かな自然や農業とのふれあいは、
潤いのある生活を送るための心身のリフレッシュや癒しに効果が
ある。緑地や農地は、環境保全の機能などさまざまな役割を果たす
も の で あ り 、農 業 と ふ れ あ う こ と の で き る 農 地 や 果 樹 園 な ど の 開 放 、
20
散 策 が で き る 緑 地 や 水 辺 の 整 備 な ど 、手 軽 な 自 然 と ふ れ あ う 機 会 の
提供が求められている。
《5外国人旅行者の受入れ増加》
2002( 平 成 14) 年 度 の 日 韓 ワ ー ル ド カ ッ プ サ ッ カ ー が 契 機 と な
っ て 訪 日 外 国 人 旅 行 者 が 増 大 し 、そ の 経 済 効 果 が 大 き か っ た こ と か
ら、今後ともインバウンド(訪日外国人)を促進する必要性が高ま
ってきた。国は、ビジット・ジャパン・キャンペーンを展開し、主
に東アジア諸国からのインバウンドの増加を図っている。
《 6 ホ ス ピ タ リ テ ィ( お も て な し の 心 )と イ ン タ ー プ リ タ ー・観 光
ガイドの役割の増大》
エコツーリズムや産業観光など学習型観光に対するニーズの増
大 に 対 応 し て 、そ の よ う な 解 説 が で き る イ ン タ ー プ リ タ ー( 解 説 者 )
や 観 光 ガ イ ド が で き る 人 材 の 育 成 や 、心 か ら 歓 迎 し 親 身 に お 世 話 す
る お も て な し の 心 を も つ 市 民 を 増 や し て い く こ と が 、観 光 地 と し て
不 可 欠 で あ り 、地 域 の 活 性 化 に 重 要 な 役 割 を 果 た す よ う に な っ て き
ている。
以上、本市の観光振興のあり方を探るうえで、重要な視点となる
ものを取り上げてみた。
子どもたちに大人気。夢見ヶ
崎動物公園のレッサーパン
ダ。立つかな?(幸区)
21
3
基本理念(ビジョン)
本市の観光振興を図るにあたり、次のことを基本理念とする。
【基本理念(ビジョン)】
住 む 人 が 、「 か わ さ き 」 と い う ま ち に 誇 り と 地 域 愛 を 持 ち 、 ホ
スピタリティ(おもてなしの心)をもって、「かわさき」の良
さを広く紹介し、訪れる人がそれを楽しみ、人々が集い・交わ
る観光のまちづくりを目指します。
これまでみてきたように、観光の意義は、その地域に住む人たち
が 、地 域 に 誇 り と 愛 着 を も ち 、そ れ を 紹 介 し た い と 思 う こ と に あ る 。
どんなに素晴らしい観光資源があろうと、それを育て、守ろうとす
る 周 囲 の 人 た ち の 心 が な け れ ば 、訪 れ る 人 々 が 心 か ら そ れ を 楽 し む
ことはできない。
ま た 、自 分 た ち の 地 域 を 他 の 人 た ち に 見 て も ら い た い と い う 気 持
ちが、情報などの発信力の強さにつながっていくのである。
そのことによって、訪れる人が増え、出会いと感動の喜びに満ち
溢れたにぎわいのあるまちになっていくのである。
※「かわさき」とひらがなにした理由
来訪者が満足できるイメージを持つことを期待する空間・時間・歴史な
どの広がりを表現した。
4
3つの基本目標
以上の基本理念に基づき、本市の観光振興の当面(10年程度)
の目標を、次のとおりとする。
【目標】
●市民が愛着と誇りをもつ、
「観光をとおしたまちづくり意識」
の高揚
●観光をとおした都市イメージの向上
● 交 流 人 口 1800 万 人 の ま ち づ く り と 、 観 光 ・ 集 客 産 業 の 振 興
22
観光をとおしたまちづくりは、これまで述べてきたように、大変
重 要 な 意 義 が あ る 。し か し な が ら 、各 種 意 識 調 査 で み て き た よ う に 、
市 内 外 の 人 々 の 本 市 に 対 す る 観 光 へ の 認 識 や 期 待 度 は 低 い 。し た が
って、本市の観光振興を図るにあたって、まず市民の観光マインド
を高めていくことが求められる。
また、川崎と観光が結びつきにくいの
は、工業都市としてのイメージが根強く
残っていることに加え、雄大な自然や温
泉といった従来型の観光資源に乏しいか
らである。
し か し 、観 光 の 形 態 が 大 き く 変 化 し て き
た中で、本市には産業観光など新しいタ
イプの観光に対応するような観光資源は
多数存在する。また、ものづくりを中心
産業遺産の一つ、多摩川河港水門
とした新産業・研究開発型機能に加え、
(川崎区)
本市がエンタテインメントやショッピン
グなどの魅力ある施設の開業をはずみに大きく集客都市として変
貌 し つ つ あ る こ と を 広 く 内 外 に ア ピ ー ル し 、イ メ ー ジ ア ッ プ を 積 極
的に図っていくことが同時に求められている。
このような地域の観光資源の掘り起こしや新しい集客資源の紹
介などをつうじて、交流人口の増大を図り、観光・集客産業の振興
に つ な げ て い き 、 交 流 人 口 1800 万 人 の ま ち を 目 指 す こ と と す る 。
※
「 交 流 人 口 1800 万 人 の ま ち づ く り 」 は 、 2003( 平 成 15) 年 に お け る
本 市 の 入 込 み 観 光 客 数 は 1200 万 人 余 り で あ る こ と か ら 、 10 年 間 に
5 0 % 増 を め ざ す も の で あ る 。こ れ は 過 去 に 最 多 で あ っ た 19 9 4( 平 成 6 )
年 の 1 5 0 0 万 人 余 の 約 1 . 2 倍 に 相 当 す る( 県 内 で は 、現 在 の 鎌 倉 市 の 入
込み観光客数にほぼ相当する。)
23
5
5つの観光振興指針
上記の基本目標の達成に向けた指針を次のとおり示す。
1
行政をはじめ、市民や地域・商工業・企業などさまざまな主
体が、「おもてなしの心」である観光マインドを持ち、インタ
ープリターやガイドなどの人材を育成し、来訪者が満足するよ
うな魅力づくりに取組みます。
2
「かわさき」のさまざまな観光資源や資産を磨き上げ、市内
外にその魅力を絶えず発信し、訪れる人々に、「楽しさ」「学
ぶ喜びと感動」「安らぎ」「意外性」の空間・時間を提供しま
す。
3
人々の観光ニーズを観光スポットの利用に結びつけるため、
充実した観光情報の提供、サイン・案内所等の観光案内・誘導
システムの拡充、地域ぐるみでのおもてなし(観光マインド)
の向上、交通アクセスの改善、観光環境の整備に努めます。
4
「かわさき」のプラスイメージを多様な手法により内外に発
信し続け、観光・商工業の振興、企業誘致、雇用創出、芸術・
文化の振興に結びつけます。
5
市民、地域、観光業界、産業界、行政のそれぞれがふさわし
い役割を担い、協働していきます。
これらの指針に共通するものは、観光資源の創出・育成、観光マ
インドの醸成、情報発信、観光環境の整備など、基本的には、観光
事業を展開しやすくする基盤整備に取り組むことである。
そ し て 、市 民・企 業・行 政 な ど が 、そ れ ぞ れ の 役 割 を 担 い な が ら 、
協働して観光事業を展開できるような仕組みを築いていくことが
「 観 光 都 市・か わ さ き 」を 確 立 し て い く う え で 、重 要 な こ と で あ る 。
24
第 3章 8つの観 光 振 興 の戦 略
第 2 章 で 述 べ た 本 市 の 今 後 の 観 光 振 興 の 方 向 性 を 受 け 、次 の 8 つ
の具体的な戦略や主要施策を提起する。
戦略1
「かわさきの人」を生かした観光振興と人材の育
成
「 か わ さ き 」の 観 光 資 源 を 輝 か せ 、そ の 魅 力 を 強 力 に 発 信 す る に
は、「かわさきの人」の活用が重要となる。
市 内 に は 、ま ち づ く り や 地 域 振 興 に 専 門 知 識 や ノ ウ ハ ウ を 持 っ た
人々がおり、こうした人々を積極的に活用し、観光によるまちづく
りを推進していく。
【主要施策】
● 観光ガイドの育成強化
・ 市民館や学校等で行われる生涯学習や文化団体、商工団体等
と連携して推進する。
・ 現在各地で取り組まれているまちづくりプランと連携してい
く。
特に、観光ボランティアやNPOなどの育成を図っていく。
観光ガイドについては、全市単位、地区単位、施設単位、テーマ
単位、外国人向けなどに分けられるが、これらをコーディネートす
る中間組織の強化が求められる。
※川崎区の「川崎市歴史ガイド協会」(旧称かわさき大師観光ガイドの
会 ) 」 は 、 設 立 後 4 年 で N P O 法 人 格 を 取 得 し 、 現 在 80 余 名 の 会 員 を 抱
え、大師観光案内センター、アゼリア観光案内所などを拠点として、活
発な活動を展開している。
また、「高津シルバーガイドの会」は大山街道の案内を中心に、「さ
いわい歴史の会」は、幸区の歴史紹介を中心に活動している。
さらに、NPO法人「多摩川エコミュージアム」は多摩川を、「K・
F ・ V ( Ka w a s a k i F o r e i g n - c i t i z e n ’ s V o l u n t e e r s ) 」 は 外 国 人 を 対 象 に そ
れぞれ活動を行っている。
● 「川崎・観光カリスマ」(仮称)の選定
25
2004( 平 成 16) 年 11 月 、 国 土 交 通 省 が 認 定 す る 観 光 カ リ ス マ と
し て 神 奈 川 県 内 で 初 め て 、斎 藤 文 夫 川 崎 市 観 光 協 会 連 合 会 長 が 誕 生
し た 。観 光 カ リ ス マ の 認 定 の 意 義 は 、「 従 来 型 の 個 性 の な い 観 光 地
が低迷する状況下において、各観光地の魅力を高めるためには、観
光振興を成功に導いた人々の類まれな努力に学ぶことが極めて効
果が高く、各地で観光振興に頑張る人を育てていくために選定す
る」とされている。
本 市 に お い て も 、各 地 区 で 観 光 資 源 を 作 り 育 成 し て い る 人 々 な ど 、
積 極 的 に 地 域 の 観 光 振 興 に 寄 与 し て い る 人 々 が い る こ と か ら 、こ れ
ら の 人 々 を 川 崎 版 観 光 カ リ ス マ と し て 選 定 し 、地 域 観 光 の 活 性 化 を
図る。
観光カリスマ斎藤文夫氏を生ん
だ「川崎・砂子の里資料館」は、
同氏による江戸時代の浮世絵コ
レクションが展示されている
(川崎区)
● 観光・集客産業における「ホスピタリティの達人」(仮称)顕彰
制度の創設
・ 観光関連事業者の従業員を対象とする顕彰制度の創設
民間主導の観光事業の推進にあたって、観光・集客関連事業者の
ネットワーク化が早急に求められており、その共同事業として、実
際に観光・集客事業に携わっている人々を顕彰する制度を創設し、
ホスピタリティ(おもてなしの心)の普及を図る。
● 市民を対象とした「おもてなしのまちづくり」に関する意識啓発
活動の推進
・
・
・
・
学校教育との連携
生涯学習との連携
文化・商工団体との連携
「 市 内 南 北 交 流 」促 進 の 工 夫(「 か わ さ き を 知 る ツ ア ー 」の 開
催)
26
来 訪 者 が 最 も 喜 ぶ の は 、訪 れ た 先 の 人 々 か ら 受 け た 親 切 や も て な
しであり、おもてなしの前提は、市民が自らの住む地域を知ること
から始まる。
また、地域特性が明確な本市では、それだけ市民は市内で多様な
経験を積むことができる。
このことから、市内ツアーの実施を通じて、本市の歴史や多様な
魅 力 を 感 じ 取 り 、愛 着 と 誇 り を も っ て も ら う こ と も 大 切 な こ と で あ
る。
特 に 、子 ど も た ち に『 ふ る さ と 』を 知 り 、誇 り を 持 た せ る た め に 、
小 中 学 校 と 連 携 し 、ま ち の 良 さ を 体 感 さ せ る 市 内 遠 足 等 の 実 施 を 推
進する。
● ターゲットごとの観光商品の開発とその情報発信
(年代、趣味、文化、国籍など)
個 人 や 小 グ ル ー プ の 観 光 が 主 流 に な る こ と に よ っ て 、観 光 目 的 は
年齢、性別などで異なってくる。都市の多様性を活かし、来訪者の
目的に応じた観光コースの設定や情報発信を行う。
● 周遊・回遊性を考慮した、区相互の連携による観光推進
現在、各区で魅力ある区づくり推進事業が取り組まれており、区
内のガイドマップなどが整備されている。しかしながら、区間の連
携 や 調 整 が 充 分 に と ら れ て い な い こ と か ら 、区 域 を 越 え て 周 遊 す る
来訪者の要求に必ずしも適っていない。
そのため、近隣区域、また隣接する交通機関や自治体と連携し、
周遊、回遊性を高めたコースの検討やその情報発信を進める。
● 観光コンシェルジェ・システムの開発(市民有志による問合せ
への対応)
地域の観光資源を知悉した人材を「観光コンシェルジェ」として
登 用 す る こ と に よ っ て 、本 市 へ の 来 訪 希 望 者 が イ ン タ ー ネ ッ ト や 電
話 等 を つ う じ て 、気 軽 に 観 光 相 談 を 受 け ら れ る よ う な シ ス テ ム を 構
築し、きめ細かな情報提供を行うよう検討を進める。
● 外 国 人 客 向 け 観 光 コ ー ル セ ン タ ー( 観 光 案 内 ・問 合 せ へ の 対 応 )
の設立・運営(観光協会を中心とし市民有志を募る)
27
羽 田 空 港 の 国 際 化 を 機 に 、特 に 東 ア ジ ア 諸 国 の 来 訪 客 の 増 加 が 見
込まれる。川崎に滞在する観光客、ビジネス客の余暇時間を活用し
た 短 時 間 の 観 光 な ど 、多 様 な 需 要 に 応 え ら れ る よ う に ボ ラ ン テ ィ ア
を活用した通訳者・ガイドなどを配置する。また、神奈川県などと
広域的な協力体制の検討を進める。
戦略2
「かわさきの特性」を活かした産業観光の推進
近年、さまざまな産業活動に関わる生産施設や産業遺産、先端技
術 な ど を 対 象 と す る 産 業 観 光 に 注 目 が 高 ま っ て い る 。産 業 都 市 と し
て発展してきた本市は、そうした産業観光資源に恵まれている。
産 業 観 光 は 国 お よ び 神 奈 川 県 も 大 き な 関 心 を 示 し て お り 、特 に 京
浜臨海部は、首都圏の中に位置して交通の便もよいこと、また空洞
化による落込みが激しくその再生を図るために産業観光をそのは
ず み に し た い と 考 え て い る こ と か ら 、全 国 の モ デ ル と な る よ う な も
のにしたいと検討をはじめている。
本市も、このような国や県の動きと連携しつつ、関係企業の協力
を得ながら、産業観光に積極的に取り組むものとする。
【主要施策】
● 市内の産業観光資源の発掘とデータベース作成
産 業 観 光 を 推 進 す る た め に 、関 係 企 業 等 の 理 解 と 協 力 を 得 な が ら 、
産業遺産や博物館、展示施設、先端産業・技術の紹介など、産業に
まつわる観光資源の発掘や情報収集に努めるとともに、その沿革、
特徴などをデータベース化して情報発信の基礎資料を作成する。
● かわさき産業ミュージアム構想の推
進
現 在 、川 崎 区 で は「 産 業 ミ ュ ー ジ ア ム 構
想 」を 展 開 し 、川 崎 区 内 に あ る 事 業 所 が 有
する産業遺産などの情報収集や発信を進
め て い る が 、こ れ を 全 市 的 に 促 進 し 、産 業
観光に資するものとしていく。
市民ミュージアム前に設置さ
れている、旧日本鋼管(株)
で使われていたトーマス転炉
(中原区)
28
● 観光利用受入れ事業所の拡大と促進へ向けた啓発
産業観光は企業の所有する産業観光資源の公開や工場見学など
企業の理解と協力が不可欠である。協力事業所の拡大を図るため、
個別事業所の課題を把握し、その支援体制を構築する。また、産業
観光の意義を理解するための啓発事業を行う。
● 「 産 業 観 光 モ デ ル 事 業 所 」( 仮 称 )の 選 定 ― 産 業 観 光 の 拠 点 化
産業観光は、企業にとって自らの事業所のPRにとどまらず、企
業 の 社 会 的 責 任 ( C S R = Corporate Social Responsibility) の 一
つ と し て 考 え ら れ る 。こ う し た 産 業 観 光 に 積 極 的 な 事 業 所 を モ デ ル
として選定し、そのPR活動に取り組む。
● 産業観光パンフレットの制作と産業観光受入れモデル(プログ
ラム)づくり
産業観光の主な対象者として想定される修学旅行、生涯学習、訪
日 外 国 人 向 け に パ ン フ レ ッ ト を 作 成 し 、そ れ ぞ れ の 対 象 者 に あ っ た
体験的なプログラムを作成する。
● 産業観光モデルコースの設定
・ 臨海部コース、内陸部コース、近隣都市とつなぐコース、テ
ーマ別コースなど
来 訪 者 の ニ ー ズ に 合 わ せ 、地 域 や テ ー マ 別 の モ デ ル コ ー ス を 設 定
し、啓発する。
● 市 民 向 け 産 業 観 光 モ デ ル ツ ア ー の 実 施 と 、企 業 の O B ・ O G な
どを活用した産業観光ガイドの育成
産業観光の魅力度は、それを紹介するガイド、インタープリター
役となる人材にかかっており、モデルツアーを実施しながら、施設
単 位 、さ ら に は 地 域 全 体 の 案 内 な ど が で き る 人 材 の 育 成 を 進 め て い
く。
● 市内産業観光ネットワーク組織の設立の促進
29
産 業 観 光 振 興 へ の 協 力 企 業 を 増 や す こ と が 、来 訪 者 の ニ ー ズ に 応
じた多様なコースの設定につながる。そのために、協力企業のネッ
トワーク化を図り、自主的な受入れ組織にしていく。
● 水上観光ルートの開発の検討
本 市 は 多 摩 川 と 東 京 湾 に 面 し 、そ の 水 運 を 利 用 し て 経 済 や 産 業 が
発達してきており、他の都市にないものとして、水上交通を利用し
た観光ルートの設定が可能である。
現在、8都県市(川崎市、横浜市、千葉市、さいたま市、神奈川
県 、東 京 都 、千 葉 県 、さ い た ま 市 )に よ る「 首 都 圏 ツ ー リ ズ ム 構 想 」
に お い て 、東 京 湾 の 観 光 地 を 周 遊 す る 海 上 交 通 ル ー ト が 検 討 さ れ て
お り 、本 市 も 臨 海 部 や 多 摩 川 沿 い に あ る 観 光 資 源 を 活 か し た 水 上 観
光ルートの開発に取り組む。
※ 多 摩 川 の 定 期 的 な 水 上 バ ス の 運 行 は 、水 深 の 浅 さ か ら 定 時 性 、定 期 性 が 保
た れ ず 、採 算 性 も 合 わ な い こ と が 実 証 さ れ て い る の で 、多 摩 川 の 水 上 交 通 に つ
いてはこれらを参考にしながら慎重な検討を要する。
● 「産業観光都市宣言」の検討
本 市 の 産 業 観 光 を 内 外 に 広 く ア ピ ー ル す る た め 、「 産 業 観 光 都 市
宣言」の検討を進める。
戦略3
「かわさきの文化」にこだわった都市型観光の振
興
複合的な都市機能と都市の活動、地域文化や情報の集積、地域の
多様な市民活動など、都市そのものの営みが、来訪者にとって魅力
の対象となっている。
本市の観光振興にあたっては、名所・旧跡に依存する従来型の観
光ではなく、「かわさき」という都市を観光の対象とし、観光客に
「かわさきのまち」の多面的な魅力にふれてもらう「都市型観光」
の振興を推進する。
ま た 、人 情 や 親 し み や す さ な ど 来 訪 者 に ホ ッ と し て も ら う よ う な 、
「庶民のまち・かわさき」も本市の文化として売り出す。
【主要施策】
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● 「 音 楽 の ま ち ・ か わ さ き 」「 映 画 の ま ち ・ か わ さ き 」 に 関 す る
魅力づくりと情報発信
・ 「音楽のまち・かわさき構想」の推進と情報発信
・ 映像関連施設、「ゆかりの地・人」等に関する情報発信
本市では、市内の音楽施設や人材などを活かし、市民・企業・行
政が協働して「音楽のまち・かわさき」構想を推進している。
また、川崎駅周辺、新百合ヶ丘駅前などに集積するシネマコンプ
レ ッ ク ス 、麻 生 区 に あ る 映 画 学 校 や 市 民 ミ ュ ー ジ ア ム の フ ィ ル ム ラ
イブラリーなどの映画施設や新百合映画祭などのイベントを通じ
て、「映画のまち・かわさき」も推進している。
坂本九、佐藤惣之助、浜田庄司、藤子不二夫など川崎ゆかりの文
化 人 に つ い て も 、そ の 業 績 や 生 い 立 ち な ど を 紹 介 す る 取 組 み が 進 ん
でいる。
このような動きと連携し、積極的な情報発信を行い、集客促進に
結びつけていく。
● 「 多 様 な 文 化 が 融 合 し た ま ち ・ か わ さ き 」に 関 す る 情 報 発 信 の
工 夫 ―「 韓 国・朝 鮮・中 南 米 、沖 縄 、工 都 川 崎 そ れ ぞ れ に お け
る庶民の生活文化」の魅力の強化と、情報発信
・ 「異文化交流イベント」等の新規創造
・ 「異文化と食」の魅力の紹介
・ 「 か わ さ き 異 文 化 ふ れ あ い コ ー ス 」「 か わ さ き ・ ホ ッ ト す る
まち歩きコース」(仮称)等の設定
工業都市として発展してきた
本市は、国内外から雇用を求め、
さまざまな人々が定住してきた。
県人会や外国の異文化の集団が
中 心 と な り 、固 有 の 文 化 を 守 り 育
て る こ と に よ っ て 、本 市 の 多 様 性
を 形 づ く っ て き た 。こ の よ う な グ
ル ー プ は 、各 種 イ ベ ン ト を 自 主 的
に 開 催 し た り 、区 民 ま つ り な ど に
参加しながら活動している。
多くの本格韓国焼肉の店が軒を連ねるコリ
こういった活動を紹介し、コ
アタウンのゲート(川崎区)
ーディネートすることによって、
活動の活性化を促す。
コリアタウンについては、既に観光資源として存在しているが、
31
さらに情報発信力を強化するために、韓国・朝鮮文化を伝えるミュ
ージアム、バラエティに富んだ食事や食材の提供などについて、地
域事業者等の協力を得ながら、解決を図っていく。
● 「かわさき観光情報提供拠点」の整備と観光・グルメ・ショッ
ピングスポット等を結ぶ「まちなか回遊」ネットワークの形成
・ 川崎駅周辺における観光情報提供拠点の整備
・ 「川崎の食と産品」に関する魅力の紹介
集客力の高い、エンタテインメント、グルメ、ショッピングなど
の ス ポ ッ ト を 有 機 的 に 結 び つ け 、そ の 情 報 を 積 極 的 に 市 外 に 発 信 す
る と と も に 、川 崎 駅 な ど 市 内 の 主 要 拠 点 に 観 光 案 内 所 や デ ィ ス プ レ
イ等を整備する。
● 既存イベントの見直しと、新たな都市型イベントの創造
・ 地区イベントのネットワーク化とネーミングの工夫
「かわさき○大まつり」、「かわさき○○ウィーク」など
・食のコンクールなど時代の流行を取り入れたイベントの開催
T M O や 主 要 駅 周 辺 の ま ち づ く り グ ル ー プ な ど に お い て 、よ り 効
果 的 な 集 客 を 図 り 、イ ベ ン ト の あ り 方 や P R に 工 夫 を 凝 ら す よ う な
議論が進められている。このような動きと連携して、市民・民間主
導の新たな都市型イベントの創造に取り組んでいく。
● 学術・研究にかかわる交流の推進
・学術・研究会議(コンベンション)機能整備の促
進
・ コンベンションの誘致推進
本市は、研究開発都市としてまちづくりが進んでいるが、ホテル
や国際会議場などのコンベンション機能が不足している。
企 業 交 流 や 学 術 交 流 な ど の コ ン ベ ン シ ョ ン の 誘 致 を 行 い 、集 客 を
図る。
32
● 魅力ある都市景観形成の推進
・
・
・
・
・
都市拠点地区の風格のある都市景観形成
地域の歴史や文化を生かした景観形成
産業遺産を活かした都市景観形成
魅力的な夜間景観形成
明るく、清潔な街なみの景観形成
都市の魅力を端的に表すのは、都市景観である。都市観光地とし
てふさわしい景観形成に向けて、市民・企業の協力を得ながら、ま
ちなみデザインの推進、街道などの歴史的景観の再生、ライトアッ
プによる夜間景観形成、清潔なまちづくりなどを促進し、美しい都
市景観形成に努める。
● 東海道川崎宿のイメージアップ
・「 東 海 道 川 崎 宿 2 0 2 3 い き い き 作 戦 」 の 推 進
現 在 、川 崎 区 で は 市 民 ・ 企 業 ・ 行 政 が 協 働 し て 、20 年 後 を 想 定 し
た 東 海 道 川 崎 宿 の 景 観 再 生 が 進 ん で い る 。こ の よ う な 取 組 み を 促 進
し、本市のイメージアップを図る。
● ウォーターフロント地区の活用
・ 海浜公園の整備
産 業 港 と し て 発 展 し て き た 川 崎 港 は 、海 を 資 源 に 新 た な 観 光 ス ポ
ットとして再生が図られている。東扇島の海浜公園計画、浮島公園
の 緑 化 の 推 進 や 風 力 発 電 用 風 車 の 設 置 な ど が 進 め ら れ て い る が 、首
都 圏 に 位 置 す る 貴 重 な オ ー プ ン ス ペ ー ス と し て 、さ ら に 整 備 を 推 進
していく。
戦略4
「かわさきの自然・歴史資源」のブラッシュアッ
プ(磨き上げ)による観光振興
本市の歴史文化遺産を磨き上げ、それに光をあてることにより、
33
人々に文化・歴史・風土を学ぶ機会を提供する。また都市の住民に
とって緑豊かな自然や農業とのふれあいは、心身のリフレッシュ、
心 の 癒 し に 効 果 的 で あ り 、川 崎 の 自 然 を そ う し た 空 間 と し て 提 供 し
ていく。
【主要施策】
● 東海道、中原街道、大山街道、多摩の横山などの既存の観光資
源の紹介とルートづくり
既 に 、各 局・区 で ま と め ら れ て い る 観 光 資 源 情 報 を 収 集・整 理 し 、
再構成して紹介し、それらのルートを整備することにより、回遊性
を高めていく。
● 市内の歴史的文化財の保護・保全と活用
・ 見せ方を工夫した魅力づくり
・ 歴史回遊ネットワークの形成(江戸∼明治・大正∼昭和∼現
在)
神 社・仏 閣 な ど 、本 市 の 歴 史
的 文 化 財 の 保 護・保 全 と そ の 活
用 を 図 り 、歴 史 遺 産 観 光 を 推 進
する。
「かながわ花の100選」に選ば
れている等覚院のつつじ。室町時
代の薬師如来像は、川崎市重要記
念物に指定されている(宮前区)
● 川崎大師と周辺部の観光拠点化
・ 参道周辺の修景、魅力の発掘と情報発信
・ 観光商業魅力の強化(個店における魅力づくり)
・ 回遊ルートの整備
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川 崎 大 師 は 本 市 の 最 大 の 観 光 資 源 と な っ て い る が 、大 師 河 原 地 区
の開発、羽田空港拡張にともなう神奈川口構想など、大師周辺の環
境も大きく変貌しようとしている。そのような動きに呼応して、地
域 の 商 店 街 や 町 内 会 な ど が 新 た な ま ち づ く り に 取 組 ん で お り 、今 後
川 崎 大 師 周 辺 の 観 光 環 境 が 整 備 さ れ 、観 光 地 と し て の 魅 力 が さ ら に
磨き上げられていくことが期待されている。
ま た 、川 崎 区 で は 市 バ ス の 1 日 乗 車 券 を 利 用 し た 1 1 の 散 策 コ ー
スを設定し、区内の回遊性を高める試みを行っているが、民営バス
や 鉄 道 な ど を 含 め た 既 存 の 交 通 網 を 活 用 し た ル ー ト 設 定 な ど 、さ ら
に回遊性を高める事業を推進する。
● 多 摩 川 流 域 の イ メ ー ジ ア ッ プ と「 自 然 と の ふ れ あ い の 場 ・ 機 会 」
の整備・演出
・
・
・
・
多摩川流域の景観の修景
「おもてなしのまち・かわさき」の玄関口としての顔づくり
自然学習・環境学習の場の整備とプログラム開発の促進
多摩川の船着場を利用して、民間事業者による観光船、遊覧
船の運航など、リバーサイド観光の検討
現在、多摩川エコミュージアムなど、多摩川を拠点とした環境教
育 、景 観 形 成 な ど を テ ー マ と し て 活 動 す る 市 民 グ ル ー プ が 数 多 く 存
在している。また、多摩川土手がかつて桜の名所だったことから、
その復活を求める住民運動が盛んになっている。
多 摩 川 の 総 合 的 プ ロ ジ ェ ク ト 組 織 が 、 2005( 平 成 17) 年 4 月 か
らスタートするが、市民と行政の協働、企業からの支援などによる
多摩川の利活用について、積極的に取り組んでいく。
また、民間事業者に働きかけ、多摩川の船着場を利用して、観光
船、遊覧船など、リバーサイド観光の実現に向けて検討を行う。
35
● 北部地域における里山空間の保全と修景
・ 地区ごとの特色づくりと里山空間の保全
・ 多様なウォーキングコースの整備(サイン、散策路)
・ 自然観察・体験スポットの整備と観察・体験プログラムの拡
充
・ 「花のある、絵になる」風景づくり、「花の名所づくり」
本市の北部地域には、貴重な自然環境が残されている。また、生
田 緑 地 の ば ら 苑 や 梅 林 、桜 並 木 な ど 四 季 を 通 じ た 花 の 見 所 も 多 く 存
在している。これらの自然地域の保全と整備が、市民・企業・行政
との協働事業として進められており、今後とも都市生活の癒し、リ
フ レ ッ シ ュ の 場 と し て 、そ れ ぞ れ の 特 性 に 対 応 し た 魅 力 づ く り を 推
進する。
● 自然観察・学習案内ガイドの育成
川崎生まれの国際的な芸術家岡本太郎氏
最近、学校教育の総合的学習な
どで自然観察を指導する人材が求
められていることに対して、市民
館などの生涯学習活動をとおして、
自然観察・学習案内ガイドの育成
が進められている。今後は、市内
の大学などの研究・教育機関とも
連携して、自然ガイドの育成をさ
らに推進する。
の作品を展示した岡本太郎美術館は、緑
豊かな生田緑地にある(多摩区)
戦略5
観光インフラの整備
来 訪 者 ひ い て は 市 民 の 利 便 性 を 確 保 す る た め 、観 光 情 報 提 供 機 能 、
案 内 誘 導 機 能 、市 内 を 廻 る 観 光 交 通 機 能 な ど 観 光 基 盤 の 整 備 に 努 め 、
「わかりやすく、人に優しいおもてなしの観光まちづくり」を推進
36
する。
【主要施策】
● 交通基盤施設や観光関連施設におけるユニバーサルデザイン化
の促進
・ 交 通 タ ー ミ ナ ル や 街 路 、宿 泊 ・ 観 光 施 設 等 に お い て 、誰 も が 円
滑に移動・利用が可能となるような環境整備の促進
・ 公園等のトイレ環境の整備
観光をつうじたまちづくりは、来訪者が移動しやすく、便利で快
適 に 過 ご す こ と が で き る ま ち を め ざ す こ と で あ る 。ユ ニ バ ー サ ル デ
ザイン化を進め、トイレや通信・移動手段など便利で快適な環境づ
くりに向けた整備を促進する。
● 観光情報ネットワークの整備
・ 観光案内所の拡充と情報提供機能の整備
・ 観光情報関連データ・ベースの作成
・ 観光関連情報の集約システムの整備
本 市 の 多 様 な 魅 力 を 発 信 す る た め に は 、さ ま ざ ま な 観 光 情 報 の 収
集を図り、効果的な発信を行うことが必要である。そのために、情
報 ネ ッ ト ワ ー ク の 形 成 と 整 備 を は か り 、来 訪 者 が 情 報 に ア ク セ ス し
やすい環境をつくる。
● 観光案内誘導システムの整備
・ 観光案内誘導サインの整備(主要スポットにおける観光案内
説明板、主要スポットへの案内誘導標識など)
・ 観光案内マップ類の整備
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● 外国人観光客受入れ体制の整備
・ 外国人観光客の利用に対応しうる観光案内所の整備
・ 多言語による観光案内・誘導表示、観光マップ等の整備
・ 観 光 関 連 施 設 に お け る 外 国 人 観 光 客 受 入 れ の 促 進( 受 入 れ 意 識
の啓発と案内表示の工夫)
・ 外 国 人 観 光 客 向 け 観 光 コ ー ル セ ン タ ー( 観 光 案 内・問 合 せ 対 応 )
の設立・運営
・ 外国人観光客に対する両替や通信サービスの向上
・ 病気や災害時など、外国人に対する情報提供体制の整備
● 観光交通利用に配慮した交通システムの工夫
・ 鉄 道 ・ 路 線 バ ス 乗 り 継 ぎ 切 符 ・ 回 遊 切 符 、観 光 関 連 施 設 回 遊 乗
車券の開発の促進
・ 川 崎 駅 周 辺 に お け る 観 光 バ ス 乗 降 の 円 滑 化 と 、観 光 バ ス 駐 車 場
情報の提供の工夫
・ 観光タクシーの運行促進―モデルコースの設定と定額料金制
の導入
非観光地であった本市は、観光を目
的とする基盤整備がたち遅れている。
交通システム、情報提供、サイン・案
内表示、バリアフリー、ユニバーサル
デザイン、外国語表記など、来訪客が
市内を回遊する基盤が未だ充分でない
こ と か ら 、こ れ ら の 基 盤 整 備 に つ い て 、
機会をとらえて要請していく。
川崎港の玄関:川崎マリエン
(川崎区)
● 環境に配慮した観光環境の整備
・ 公共交通機関利用の奨励
・ ゴミ等廃棄物を少なくする配慮
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環境問題は、京都議定書が批准され、グローバルな課題となって
い る が 、実 際 は 地 域 で の 実 践 が な け れ ば 達 成 で き な い ロ ー カ ル な 課
題でもある。
観光客の増加により、廃棄物や交通量の増加が懸念され、住民の
生活環境の悪化を招くことが危惧される。
このようなことから、本市における観光を推進するにあたって、
公 共 交 通 機 関 を 利 用 し た ル ー ト や コ ー ス の 設 定 、ま た ゴ ミ な ど の 廃
棄物を少なくするように関連事業者などを啓発し、自然、生態系、
市民生活に配慮した観光事業を推進する。
● 観光地周辺にデートスポットとなるような洒落た喫茶店や土産
物品店などの誘致
雑誌やテレビなどに紹介されるような洒落た喫茶店や土産物品
店などを誘致するとともに、公衆トイレや休憩所などを整備し、楽
しく、快適にすごすことのできるまちづくりをめざす。
戦略6
観光・集客産業の振興と連携強化
観光振興にあたって、その推進力となり持続力となる「観光の産
業化」は重要な課題である。
市民・民間主導の観光事業を推進するにあたっては、観光関連事
業者の知識やノウハウ、資本を活用することが不可欠である。しか
し な が ら 非 観 光 地 で あ っ た 本 市 に お い て は 、観 光 関 連 事 業 者 の 集 積
が乏しく、また当該業者間の連携も弱いものとなっている。
そこで、観光関連事業者間のコーディネートを図り、事業者の観
光マインドを高め、ネットワーク化することによって、民間事業者
主体の観光プロモート組織を築いていくことが重要である。
【主要施策】
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● 観光や商業の魅力の増加を促進
・ 飲食・物販面での魅力づくりと情報発信
・ 「食」「技」の老舗巡り(料理・銘菓・名産品)
・ フロンタ―レなどスポーツ団体、協議会との連携
● 共通利用(割引)システムの開発を促進
・ 「宿泊」+「移動」+「観光」+「飲食」+「買物」等
宿泊業、交通機関、観光文化施設、商工業、農業など、それぞれ
が 担 う 分 野 の 事 業 の 連 携 を 進 め 、相 乗 効 果 を 生 む よ う な 共 同 事 業 に
取組む。
● グリーンツーリズムの推進
・ 農業体験に関する情報発信
・ 「産業観光」「里山自然観察・自然体験」との連携―「学習
型観光」の対象としての「都市農業・農地」の活用
新総合計画では、第4の柱の「憩いとうるおいの環境づくり」の
なかに、「農ある風景の保全」の事業としてグリーンツーリズムや
里地・里山環境学習の場づくりが位置付けられている。
農 業 者 や 農 協 な ど と 協 力 し な が ら 、人 気 が 高 ま っ て い る グ リ ー ン
ツーリズムやエコツーリズムの推進を図る。
戦略7
集客マーケティングの推進と情報発信
観光目的の来訪客も含めて、多様な客層・団体(個人・グループ
の他、川崎に進出希望の企業・団体も含む。)の集客を目指し、き
め細かいマーケティング戦略の実施、幅広い情報発信に努める。
【主要施策】
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●外国人観光客の誘致促進
・産業観光の魅力や低廉な観光関連施設等に関する情報発信
(多言語による情報発信)
・海外姉妹都市・友好都市・港とのはばひろい交流の促進
・市内の宿泊施設・飲食施設・物販施設等による連携体制の整
備と旅行関係企業等への情報提供と連携
・両替やキャッシュ・サービス等の外国人観光客向けサービス
システムの充実
・ J N T O ( Japan National Tourism Organization=国 際 観 光
振興機構)や県との連携強化
ビジット・ジャパン・キャンペーンの推進、羽田空港の国際化と
神奈川口構想、アジア起業家村構想などによって、本市を訪れる外
国人が増加することが見込まれる。このような来訪客に、本市で観
光利用および宿泊滞在を促進するための環境整備が早急に求めら
れている。
民家園や岡本太郎美術館、川崎大師などを結び、短時間で日本を
知ってもらう「ミニ・ビジット・ジャパン・ツアー」の実施や本市
の 特 性 で あ る 産 業 観 光 、ま た 主 要 駅 周 辺 に 集 積 し て い る シ ョ ッ ピ ン
グ 施 設 や グ ル メ ス ポ ッ ト な ど の 情 報 発 信 を 強 化 し 、外 国 人 観 光 客 の
誘致を進めていく。
また外国人観光客の誘致にあたって、本市の国際姉妹・友好都市
や友好港などの関係を観光面から強化していくことが効果的であ
る。特に、韓国・冨川市、中国・瀋陽市、ベトナム・ダナン港など
のアジア諸国の友好都市と観光交流を促進していく。
さらに、ビジット・ジャパン・キャンペーンを積極的に推進して
いる神奈川県、横浜市などと連携して、各種の外国キャンペーンに
参加していく。
このような外国人観光客の誘致に向けては、ホームページ、パン
フレット、ポスター、ビデオなど各種媒体の外国語版を作成し、多
41
様な情報発信を行う。
●教育旅行の誘致促進
・産業観光の魅力に関する、旅行関係企業への積極的な情報提
供と連携
・教育旅行関係者向けのパンフレット等の制作
・県や近隣自治体等との連携の推進
現在の修学旅行は、体験・学習型が主流になっており、産業観光
はそれに相応しいものとして各都市でも誘致へ向けて取組みを行
っている。
重化学工業都市として発展し、ITなどの先端技術、ものづくり
技術などが充実している本市の特性を活かしつつ、近隣の大田区、
横 浜 市 な ど と 連 携 し な が ら 、多 様 な コ ー ス づ く り を 行 い 、旅 行 会 社 、
ホテル、商工団体などと「連絡会議」を結成し、修学旅行、さらに
は生涯学習旅行、外国人向けに誘致活動を展開していく。
●一般客、個人・グループ客の誘致促進
・ホームページの充実
・ JR 、 私 鉄 関 係 各 社 、 関 係 バ ス 会 社 、 旅 行 雑 誌 社 、 マ ス コ ミ 各
社、旅行代理店等への各種観光情報の提供と連携
・民間各種観光情報誌紙の活用
・県等が実施する観光キャンペーンへの参加
現在、本市では、「音楽のまち」「映像のまち」「先端技術と研
究機能」などを売り物に、出版、放送、交通などの民間事業者と連
携しながら、シティセールス活動を積極的に推進している。
こ の よ う な シ テ ィ セ ー ル ス 活 動 と 連 携 し な が ら 、観 光 客 誘 致 に 向
42
けた情報発信を強化する。
●集客マーケティング推進組織の整備
◇「観光協会」等中間組織の見直し
・ 「オール川崎」観光振興ビューローの組織化
(フィルムコミッション機能を含む。)
・ 地区観光協会の「観光まちづくり」推進機能の強化
第4章で、観光推進体制について詳細に言及するが、市民・民間
主導の観光事業を展開するにあたって、行政、企業、市民をつなぐ
中間組織としての観光協会への期待は大きい。
現 在 、本 市 に は 1 0 地 区 観 光 協 会 と そ れ を 束 ね る 連 合 会 が 存 在 す
るが、それぞれ自立性が弱いこと、法人格を取得していないことな
ど、課題が多い。
現 在 、各 区 で 取 り 組 ま れ て い る 魅 力 あ る 区 づ く り 推 進 事 業 や 都 市
マ ス タ ー プ ラ ン な ど で は 地 域 に 愛 着 を も ち 、誇 れ る ま ち づ く り が 進
め ら れ て お り 、地 区 観 光 協 会 が そ う し た ま ち づ く り 推 進 組 織 の 一 つ
と し て 機 能 を 強 化 す る こ と へ の 期 待 は 大 き く 、地 区 観 光 協 会 の 体 制
を見直し、再編・強化していく必要がある。
また連合会については、観光関連事業者との関係を密にして、情
報提供、人材育成などの機能強化が求められている。当面は、ホー
ム ペ ー ジ の 充 実 や 機 関 誌 の 発 行 、セ ミ ナ ー の 開 催 な ど を 行 い な が ら 、
関 連 事 業 者 と の ネ ッ ト ワ ー ク づ く り を 行 い 、自 立 的 な 運 営 体 制 を 確
立していく。
戦略8
東京、横浜等近隣都市・地域との連携強化
観光振興には広域的な連携が不可欠であり、東京、横浜間に位置
する本市としても、多様な観光ルートを形成し、作り上げていくた
めに、近隣都市・地域との連携を推進していく必要がある。
43
【主要施策】
● 首都圏ツーリズム構想の推進
・ 広域観光圏の形成と訴求
● 広域観光モデルコースの設定と情報発信
・ 川崎駅、神奈川口を基点とする広域観光ルートの設定と宣伝
PRの推進―国際観光、産業観光、産業と異文化コースなど
・ 東京、横浜、成田、鎌倉、小田原、箱根等との連携
コスモス畑(麻生区)
● 広域観光キャンペーンへの参加
多摩川沿いに細長く地域形成されてきた本市は、海、川、緑、産
業、繁華街などの観光・集客資源の素材に恵まれているものの、一
体 感 に 乏 し い た め 、観 光 の 幅 を ひ ろ げ て い く に は 近 隣 都 市 の 観 光 資
源との連携を図る必要がある。
また、外国人観光客においては、温泉、富士・箱根、東京ディズ
ニーランドなどのアミューズメント施設などの人気が高いことか
ら 、そ れ ら の 観 光 資 源 と 連 携 し た 広 域 的 な 観 光 ル ー ト の 設 定 が 求 め
られている。
旅 フ ェ ア な ど の 広 域 観 光 キ ャ ン ペ ー ン に 積 極 的 に 参 加 し て 、近 隣
都市や観光施設・資源などとの連携を強化する。
44
第4章
1
観光振興プランの推進にあたって
市民・民間主導による観光振興の推進体制
市民・民間主導による観光事業の振興を推進するにあたって、行
政、観光協会などの中間組織、企業・市民などが連携を強めた推進
体制を構築していかなければならない。
観光先進都市をみると、行政は観光事業を担う中間組織や企業・
市民の力を引き出し、それをサポート(補完)し、さらにエンパワ
ーメント(強化)する役に徹する方向をめざしている。
そのために、中間組織と企業・市民をネットワークするゆるやか
な組織をつくり、相互に協力・連携することによって、新たなアイ
デ ィ ア や ビ ジ ネ ス チ ャ ン ス の 創 造 、地 域 へ の 愛 着 、心 の 涵 養 を 図 り 、
魅力あるまちづくりに結びつけている。
「非観光地」であった本市は、これらの先進事例に学び、観光・
集客を基軸とし、市民・企業・行政が一体となって総合力を発揮す
る 推 進 体 制 を 構 築 す る こ と に よ っ て 、「 個 性 と 魅 力 が 輝 く ま ち づ く
り」に取組んでいく。
2
地域・民間との協働と支援
( 1 )中 間 組 織 と し て の 観 光 協 会 や 観 光 事 業 者 、市 民 の ネ ッ ト ワ ー
クづくりとその運営の支援
● 川崎市観光協会連合会・地区観光協会の強化
観光振興の推進体制づくりにおいて、行政と市民・事業者をつな
ぐ中間組織の強化を優先的に取組まなければならない。
現在、川崎市においては10の地区観光協会があり、宮前区を除
く全地域をカバーしている。また、そのとりまとめとして川崎市観
光 協 会 連 合 会 が あ り 、地 区 観 光 協 会 の ネ ッ ト ワ ー ク の キ ー と し て の
役割を担っている。
しかしながら観光協会連合会・地区観光協会は、事業計画および
執行、事務処理などについて行政への依存度が高く、それらの自立
的運営の確立に向けて多くの課題がある。
会員を拡大し、法人格の取得を図るなど、組織運営にあたっての
45
自主性を確保することを通じて、イベント事業の活性化、新たな観
光資源の発掘、人材育成、観光環境の整備など、まちづくりのコー
ディネート機能も兼ね備えた組織となるような体制整備が求めら
れる。
特 に 川 崎 市 観 光 協 会 連 合 会 に つ い て は 、会 員 の 拡 大 と 法 人 格 取 得
が 至 上 課 題 で あ り 、ホ ー ム ペ ー ジ や 機 関 誌 な ど に よ る 情 報 発 信 の 強
化 、観 光 セ ミ ナ ー な ど の 開 催 に よ る 人 材 育 成 や 事 業 者 へ の 学 習 機 会
の提供、事業者との連携の強化とネットワーク組織づくり、地区観
光 協 会 の 活 性 化 に 向 け た プ ロ グ ラ ム づ く り 、イ ベ ン ト 事 業 の 開 催 な
どによる市民・事業者の観光マインドの醸成などに積極的に取組み、
本市の観光おこしの先導者として、スタッフ、予算などの拡充を早
急に図る必要がある。
(2)観光事業を担う事業者や市民・企業市民への協力
● 観光ボランティアや観光・集客事業に関わるNPOの育成
新たな観光振興にあたっては、地域・市民が先頭にたって、観光
資源を掘り起こし、育て、発信していくことが最も重要なことであ
る。市民の観光マインドの高まりを図る意味で、観光や集客を担う
人材の育成は最も効果的であり、持続性も高い。
現在、区や市民館の生涯学習講座から生まれた観光ガイド・ボラ
ンティアがさまざまなところで活躍している。また、まちづくりを
通 じ て 地 域 の 魅 力 を 発 信 す る た め に 、観 光 の 視 点 の 重 要 性 が 認 識 さ
れ始めている。
さ ら に 、地 域 に 住 む 外 国 人 が 自 ら の 生 活 の 要 求 を 高 め る と 同 時 に 、
地 域 に 愛 着 を 抱 き 、異 文 化 の 紹 介 を 通 じ て 地 域 活 動 に 取 り 組 む 動 き
も活発になっている。
このような地域や市民の活動を地区観光協会が主体となって支
援・協力し、その活性化を図ることが地域観光振興にとって大切な
課題である。
魅力ある区づくり推進事業や社会教育・学校などと連携し、観光
協 会 主 催 に よ る 観 光 セ ミ ナ ー の 開 催 、市 民 へ の 情 報 提 供 や 地 域 を 知
るツアーの開催、市民主催事業への助成や補助の充実を通じて、市
民活動の活性化を図っていく。
また、多くの企業が存在する本市は、企業市民の協力が大切であ
る。現在、川崎区において、市民・企業・行政の協働の取組みとし
ての「インタラクティブネットワーク」が産業ミュージアム構想を
推進しているように、企業の社会貢献やCSRを引き出し、地域の
企業の力を発揮する取組みを図っていく。
46
●観光関連事業者(宿泊・交通・観光集客施設・旅行会社)の育成
観 光 事 業 に 積 極 的 で な か っ た 本 市 に お い て 、観 光 振 興 に あ た っ て
そのインフラ(社会資本)を担う、宿泊施設、交通機関、観光・集
客 施 設 、旅 行 会 社 な ど の 観 光 関 連 事 業 者 の 観 光 マ イ ン ド は 今 一 つ 高
まっていない。
当 面 は 、観 光 関 連 事 業 者 の 観 光 マ イ ン ド を 高 め る た め に 情 報 提 供
や発信を強化し、観光環境の整備を進めることによって、関連事業
者のネットワーク化と活性化を図っていく。
また産業観光の推進にあたっては企業の協力が不可欠であるこ
と か ら 、産 業 観 光 協 力 企 業 や 観 光 関 連 事 業 者 な ど の ネ ッ ト ワ ー ク 化
を図ることにより、観光関連事業者間の連携を強めていく。
● 商業施設の整備と来訪客
観 光 振 興 を 図 る こ と に よ っ て 、そ の 恩 恵 を 直 接 的 に 受 け る の は 商
業 で あ る 。来 訪 客 が 多 く な る こ と は 、ま ち の に ぎ わ い を 増 し 、消 費 ・
購買力が増加することにつながる。
商 業 者 は 、観 光 客 の 大 き な 楽 し み の 一 つ と し て シ ョ ッ ピ ン グ や グ
ル メ な ど が あ る こ と を 理 解 し 、魅 力 あ る 商 業 施 設 を 整 備 す る こ と に
よって観光客を増やすという積極性が求められている。
本市は主要駅周辺に比較的にコンパクトに商業機能が集積して
おり、ショッピングやグルメ、エンタテインメント面の集客力が高
い と い わ れ て い る 。こ の よ う な 利 点 を 観 光 振 興 に 生 か し て い く こ と
が求められている。
● メディアの活用
地 域 の 魅 力 を 発 信 す る に あ た っ て は 、タ ウ ン 紙 誌 、
F M 放 送 、C A T V な ど の 地 域 メ デ ィ ア の 活 用 が 重
要 で あ る 。し か し な が ら 、市 域 が 細 長 い 本 市 は 、市
域 を 分 断 す る 交 通 網 の 発 達 に よ っ て 、市 全 体 の 一 体
感 が 乏 し く 、コ ミ ュ ニ テ ィ 意 識 も 鉄 道 や 幹 線 道 路 に
沿 っ て 形 成 さ れ て い る こ と か ら 、メ デ ィ ア も そ の 状
況にならって発達してきている。
各 メ デ ィ ア は 、行 政 区 域 の 垣 根 を 越 え て 事 業 を 展
開 し て い る こ と か ら 、観 光 振 興 の 取 組 み も そ れ に 合
わせた発想の転換が求められている。
このようなことから、地域観光の振興にあたって
は 、周 遊 性 を 高 め る ル ー ト 設 定 や 情 報 提 供 に つ い て
近隣都市との連携を図ることが重要である。
ま た 、国 内 外 へ の 本 市 の 魅 力 を 発 信 す る 力 を 強 化
47
枡形山の桜
(多摩区)
するために、マスメディアとの連携・協力が重要である。そうした
情報発信力の高い、市民・企業、観光関連事業者と連携しながら、
マスメディアの活用を図っていく。
3
行政内における推進体制
(1)
全庁的な連携・協力と組織の見直し
本市の観光振興は、地域産業の振興を目的にしてきたが、新たに
「 個 性 と 魅 力 が 輝 く ま ち づ く り 」の 視 点 が 加 わ る こ と に よ っ て そ の
裾野が広がった。
また、観光事業の振興を図るためには、市民・民間主導の取組み
が基本であるが、行政においても全庁にわたる広範な連携・協力・
支援体制が必要である。
(2)
シティセールスとの連携と観光プロモーション組織の結成
観光の振興は、新たな都市イメージの発信や戦略的な広報・情報
発 信 に 取 り 組 む シ テ ィ セ ー ル ス と 密 接 な 関 わ り が あ る こ と か ら 、相
互の連携を強化していく必要がある。
さらに、観光先進都市をみると、中間組織や市民・企業を交えた
観光コンベンション・ビューローを組織しており、たとえば横浜市
で は 観 光 プ ロ モ ー シ ョ ン 組 織 を つ く り 、そ の 運 営 や 事 業 展 開 は 民 間
に委ね、行政はそのアシスタントの役割を担っている。
本市においても、TMOなど商業者との協働により、にぎわいの
あるまちづくりを進めていることから、このような動きと観光・集
客振興が連携し、民間主導の観光・集客推進体制づくりを構築して
いく必要がある。
また、本市の特性である重厚長大産業時代の産業遺産をはじめ、
高度情報産業都市という先端的な産業集積を新たな観光資源とす
る 産 業 観 光 を 進 め る た め に も 、産 業 観 光 に 協 力 す る 企 業 と 観 光 関 連
事業者と連携・協力する組織づくりが求められている。
市 民・企 業 、ま た 行 政 内 部 に も 未 だ 観 光 マ イ ン ド( 観 光 へ の 意 識 )
が充分に育っていない本市において、「観光都市・かわさき」を推
進するにあたって、その基本的スタンスは市民・民間主導の観光振
興にあることを守り、目的を絞りながら、その狙いを明らかにした
うえで、組織づくりを図ることが効果的であると思われる。
48
(3)
観光推進担当組織の主な役割と任務
● 本プランの推進と進行管理・評価
本市の観光振興にとって初めて体系化された本プランを推進し、
その進行管理を行うことになる。
事 業 の 進 捗 状 況 に 応 じ て 、市 民・事 業 者 等 の 意 見 を 聴 取 し な が ら 、
事業評価を実施し、3年毎に施策の見直しを行う。
● 環境、まちづくり、建設、港湾、教育、交通事業などとの連携
観 光 振 興 は 、地 域 の 総 合 力 を 発 揮 し て い か な け れ ば な ら な い こ と
から、あらゆる方面での協力・連携が不可欠である。
市 内 の 観 光 資 源 で あ る 緑 地 、河 川 、公 園 、博 物 館 ・ 美 術 館 、神 社
仏 閣 、港 湾 施 設 な ど は 、庁 内 各 局 の 所 管 と な っ て い る が 、そ れ ぞ れ
の 所 管 局 の 観 光 マ イ ン ド を 高 め る こ と に よ っ て 、観 光 振 興 の 視 点 か
ら情報発信を強化していく。
● 魅力ある区づくり事業を通じての地域観光資源の発掘・整備
各 区 に は 、 自 然 ・ 歴 史 ・ 文 化 ・ 産 業 に 多 様 な 地 域 特 性 が あ り 、そ
れ ぞ れ の 特 性 を 活 か し た「 魅 力 あ る 区 づ く り 事 業 」が 市 民 ・ 行 政 の
パ ー ト ナ ー シ ッ プ で 取 組 ま れ て い る 。こ の よ う な 活 動 と 連 携 し 、地
域 の 魅 力 と 観 光 資 源 を 結 び つ け て 発 信 す る こ と に よ り 、観 光 振 興 に
つなげていく。
● 市内外への情報発信の強化
市民・民間主導の観光振興を進めるにあ
たって、行政の最大の役割は、それぞれの
領域を調整・総合化した情報発信力の強化
にある。
ホームページなどのデジタル情報の拡充
をはじめ、パンフレットやポスターなどの
配付、市政だよりなどの行政配付物などを
積極的に活用することに加え、各種メディ
アとの連携を密にし、市内外への情報発信
力を強化する。
四 季 折 々が美 しい、野 外
博 物 館 の日 本 民 家 園 (多
摩区)
49
参考資料
資料1
総合計画の概要(抜粋)
○「川崎新時代2010プラン」(1993〔平成5〕年策定)
Ⅳ創造発信都市づくり
1市民生活を支援する産業の振興
3 週 休 2 日 制 の 定 着 、労 働 時 間 の 短 縮 等 に よ り 増 大 す る 自 由 時 間 に
対応し、市民の生活に潤いをもたらす文化産業、観光・レジャー産
業、スポーツ産業の振興を図ります。
(2)観光・レジャー産業の誘導
多様化・個性化する観光ニーズに対応し、個性的な都市を演出す
る た め 、観 光 振 興 基 本 計 画 を 策 定 す る と と も に 、水 上 バ ス を 運 航 し 、
ウ ォ ー タ ー フ ロ ン ト に お け る 観 光 を 推 進 す る な ど 、新 し い 観 光 資 源
の創出を図ります。
○ 「 新 総 合 計 画 ∼ 川 崎 再 生 フ ロ ン テ ィ ア プ ラ ン ∼ 」( 2 0 0 5 〔 平
成17〕年3月策定)
基本政策
Ⅵ
「個性と魅力が輝くまちづくり」
地域の歴史や文化に根ざした川崎らしさを大切にするとともに、
さ ら に 新 し い 魅 力 を 創 造 し 、そ れ ら が 互 い に 融 合 し な が ら 変 貌 を 遂
げる川崎の姿を発信することにより、都市イメージの向上と、多く
の人々が集うにぎわいのあるまちづくりを進めます。
また、市民が自ら暮らすまちに、いつまでも愛着と誇りが持てる
よう、市民の文化・芸術活動を支援するとともに、個性にあふれ国
際 性 に 富 ん だ 多 様 な 文 化 の 振 興 や 地 域 間 交 流 を 推 進 す る ほ か 、多 摩
川 を は じ め と し た 貴 重 な 地 域 資 源 を 活 か す こ と に よ り 、川 崎 の 魅 力
として育てていきます。
1川崎の魅力を育て発信する
魅 力 あ る 集 客 拠 点 を 整 備 し 、観 光 や ビ ジ ネ ス で 訪 れ る 来 訪 者 が 楽
しめる快適な環境を整え、まちの賑わいを創り出す。川崎の地域資
源を活かして魅力を育て、発信することにより、都市イメージの向
上 を 図 る と と も に 、市 民 が 愛 着 を 持 ち 、誇 れ る ま ち づ く り を 目 指 す 。
1新たな観光の振興
市内の観光資源や名産品を発掘・創出し、地域資源に光をあてた
体験型・学習型の観光など、川崎ならではの魅力を内外に発信する
50
ことで来訪者の増加を図る。地の利を生かし、集客施設を整備する
ことによって、ビジターズ・インダストリーを振興する。市域周辺
の観光地も含めた観光ルートを設定し、地域との協力のもと、観光
ボランティアの養成や観光NPOなどの育成を図る。
1魅力ある集客拠点の形成
川 崎 駅 周 辺 等 多 様 な 機 能 が 集 中 す る 中 心 市 街 地 等 を 中 心 に 、新 し
い 商 業 施 設 や 魅 力 あ る 集 客 拠 点 を 整 備 す る と と も に 、そ こ で の イ ベ
ン ト や 行 事 な ど の 情 報 発 信 を 行 う こ と に よ っ て 、来 訪 者 が 快 適 に 過
ごし、楽しめる環境を整え、リピーターの増加や都市イメージの向
上を図る。
2観光・集客型産業の育成
観光、ビジネス、会議、親戚・友人への訪問など多様な来訪者に
対応できる「ビジターズ・インダストリー」の振興を図る。音楽の
ま ち 構 想 な ど と 連 動 し 、市 の イ メ ー ジ ア ッ プ に 結 び つ く エ ン タ テ イ
ンメント、アミューズメントの誘致を図る。
3観光資源の創出・育成
川 崎 の も つ 多 様 性 を 生 か し た 地 域 観 光 を 進 め 、都 市 イ メ ー ジ の 向
上を図る。地区観光協会の充実、観光ボランティアの養成、観光N
POの育成など、市民参加による地域観光を活性化する。地域の名
産・名店を掘り起こし、発信することで地域経済効果を生み出す。
他の開発プロジェクトと連動した観光・集客事業を図る。
多様な分野で集客力の高いイベントを誘致・開催し、来訪者の増
加を図る。市民主導民間主体のイベントを助成し、賑わいのあるま
ちづくりを支援する。特に、音楽のまち、映像のまちなどエンタテ
イメント産業の活性化につながるイベントを奨励する。
4映像資源の活用
市内にある映像資源を活用し、市内での映画制作を盛んにし、発
信することによって、映像分野におけるデジタル化の進展に伴い、
今 後 も 成 長 が 期 待 さ れ る 映 像 関 連 産 業 の 誘 致 を 図 る と と も に 、新 た
な魅力を創出する。
51
資料2
策定委員名簿
川崎観光振興プラン策定委員会
委員名簿
学識経験者 羽田
耕治
横浜商科大学商学部貿易・観光学科教授
市民委員
孝宜
公募
星川
星
観光関係者 井上
裕水
洋治
公募
川崎市文化協会副会長
岩森
耕太郎 川崎商工会議所企画広報部長
影島
輝正
川崎市観光協会連合会専務理事・事務局長
笠井
修
川崎地区ホテル連絡会長
近松
信一
JR東日本川崎駅助役
早
博
社団法人川崎市商店街連合会専務理事
松本
光史
セレサ川崎農業協同組合経営企画部広報課長
行政関係者 三浦
淳
総合企画局企画部長
植松
了
経済局長
資料3
策定経過
●かわさき観光振興プラン策定委員会
◎かわさき観光振興プラン策定委員会市民委員募集
平成 16 年 6 月 21 日∼7 月 9 日
◎かわさき観光振興プラン策定委員会市民委員選考委員会
平成 16 年 7 月 13 日
・市民委員選考
◎第 1 回かわさき観光振興プラン策定委員会
平成 16 年 7 月 29 日
・座長選出
・今後の進め方
・プラン素案について
◎第 2 回かわさき観光振興プラン策定委員会
平成 16 年 9 月 24 日
・観光振興の方向性
◎第 3 回かわさき観光振興プラン策定委員会
平成 16 年 11 月 5 日
52
・観光振興の戦略、推進体制
◎第 4 回かわさき観光振興プラン策定委員会
平成 17 年 1 月 6 日
・プラン素案修正結果等について
◎観光振興についてのパブリックコメント募集
平成 17 年 2 月 1 日∼24 日
意見数:2 件
◎第 5 回かわさき観光振興プラン策定委員会
☆観光振興プラン策定に向けての市民フォーラム
平成 17 年 2 月 19 日 参加者数:12 人
・観光振興プラン策定の経緯と現状
・策定委員会委員の意見表明
・意見交換・質疑
・総括
◎第 6 回かわさき観光振興プラン策定委員会
平成 17 年 3 月 15 日
・ 観 光 振 興 プ ラン 最 終 案 等 に つ いて
●市民フォーラム等
◎観光・集客産業フォーラム「観光をつうじたまちづくり」(第3回川崎市生活産業懇談会)
平 成 1 6 年 7 月 29 日 参加人員:約100名
・基調講演「川崎市の観光・集客産業の基本的視点と課題」
講師:島田晴雄氏
(慶應義塾大学経済学部教授・内閣府特命顧問・川崎市市政アドバイザー)
・パネルディスカッション「観光をつうじたまちづくり」
パネリスト:斎藤文夫氏(川崎市観光協会連合会会長)
土岐一利氏((株)チッタ エンタテインメント 広報宣伝部長)
三好秀人氏(音楽のまち・かわさき推進協議会・神奈川新聞編集委員)
君嶋武胤氏(川崎区長)
◎観光振興プラン策定に向けての市民フォーラム(再掲)
☆第 5 回かわさき観光振興プラン策定委員会
平成 17 年 2 月 19 日 参加者数:12 人
・観光振興プラン策定の経緯と現状
・策定委員会委員の意見表明
・意見交換・質疑
・総括
●庁内ワーキング部会
◎第 1 回かわさき観光振興プランワーキング部会
53
平成 16 年 7 月 16 日
参加:総合企画局、市民局、環境局、健康福祉局、まちづくり局、建設局、港湾局、川崎区、
幸区、中原区、高津区、宮前区、多摩区、麻生区、教育委員会、経済局
・経過説明
・講演「川崎市における観光をとおしたまちづくり」
横浜商科大学商学部 羽田耕治教授
・今後の予定
・集客関連事業等について
・
◎第 2 回かわさき観光振興プランワーキング部会
平成 17 年 2 月7日
・かわさきし観光振興プラン素案について
・市民フォーラムについて
※観光振興プランの策定にあたっては、事前の準備段階として平成15年度から庁内におい
て、以下のとおり、関係者を交え、勉強会等を行っていた。
●観光振興プラン策定準備検討会等
◎第1回川崎市観光振興プラン素案検討会
平成15年5月29日
参加:経済局商業観光課長以下職員7名
・当面のスケジュール
・座長選出
・推進方法
・観光振興プランの内、基本方針案の策定
・観光振興プランの策定
◎第 2 回川崎市観光振興プラン素案検討会
平成 15 年 6 月 6 日
参加:経済局商業観光課長以下職員7名
・ 各委員の意見発表
◎第3回川崎市観光振興プラン素案検討会
平成15年6月13日
参加:経済局商業観光課長以下職員7名
・ 各委員の意見発表
◎第4回川崎市観光振興プラン素案検討会
平成15年6月19日
参加:経済局商業観光課長以下職員7名
・各委員の意見発表
◎第1回観光まちづくりアドバイザーとの勉強会(観光振興プラン素案づくりに係る勉強会)
54
(国土交通省観光まちづくりアドバイザー派遣事業)
平成15年10月10日
参加:観光協会連合会、商工会議所、市総合企画局・経済局
・アドバイザー基調講義「川崎市の観光都市づくりへ向けた問題提起」
横浜商科大学商学部 羽田耕治教授
・ 観光振興プランの素案説明
・
◎第2回観光まちづくりアドバイザーとの勉強会(観光振興プラン素案づくりに係る勉強会)
平成 15 年 12 月 24 日
参加:観光協会連合会、商工会議所、市総合企画局・建設局・港湾局・川崎区・交通局
・経済局
・アドバイザー基調講義「川崎市の観光都市づくりへ向けた行政課題」
横浜商科大学商学部 羽田耕治教授
・観光関連部局との意見交換等
◎第 3 回観光まちづくりアドバイザーとの勉強会(観光振興プラン素案づくりに係る勉強会)
平成 16 年 3 月 22 日
参加:市民団体代表、観光ボランティア団体代表、観光協会連合会、商工会議所、
市総合企画局・建設局・港湾局・川崎区・交通局・経済局
・アドバイザー基調講義「観光によるまちづくりにおける課題」
横浜商科大学商学部 羽田耕治教授
・意見交換等
●調査
◎観光振興実態調査の実施
平成 15 年 12 月∼平成 16 年 2 月
・市民をはじめ来訪者の観光に対する意識及び観光実態調査
◎観 光 関 連 事 業 者 実 態 調 査
平 成 17 年 3 月
・ 市 内 の 観 光 関 連 事 業 者 に 対 する 意 識 及 び 意 向 調 査
55
かわさき観光振興プラン
平成17(2005)年6月
発行:川崎市経済局産業振興部商業観光課
〒210-8577 川崎市川崎区宮本町1
電話 044-200-2331 FAX.044-200-3920
E-mail [email protected]
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