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資本自由化と成長率、国内貯蓄・投資比率

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資本自由化と成長率、国内貯蓄・投資比率
2009.7.31(rev. 29th August, 2009)
資本自由化と成長率、国内貯蓄・投資比率
―急速に変化する新興国における影響―
The Effects of Capital Inflows on
Economic Growth, Domestic Savings and Investment in the Emerging Economies
大田 英明 (愛媛大学教授)∗
Hideaki Ohta (Professor, Ehime University)
【要約】
本稿では、最近までのグローバル規模の国際資本移動の拡大に伴い、エマージング(新興)諸国で資本流入
(FDI、証券投資、対外借入等)が経済成長率、国内貯蓄・投資比率にどのような影響を与えるかについて、
アジアやラテンアメリカなどの主要エマージング諸国を対象として 1980-2008 年のデータを用いて分析した。
この結果、エマージング諸国でも国内貯蓄率は中長期的に成長率に大きな影響を与えるが、最近では全体に資
金の対外依存が進展し国内投資率は国内貯蓄率との関連性が著しく低下していることが示された。
このことは、
Feldstein-Horioka(1980)が 1970 年代の先進国(OECD 諸国)を対象に分析した結果、国内貯蓄率と投資率は
相関性が高く、資本自由化に伴い予想された国内投資の外国資本への依存度は高まっていないという F-H パラ
ドックスは、最近ではエマージング諸国では解消されつつあることを示す。また、各国の経済規模や経済政策
(特に金融・資本自由化)及び市場の状況などにより当該国の経済成長率、貯蓄・投資率相互間の影響は大き
く異なるものの、アジア諸国でみられたように適切な為替・資本規制による資本流出入の管理などが国内貯蓄・
投資率に影響を及ぼし安定的な成長に重要であることを示す。
<Abstract>
This paper analyses the effects of capital inflows (FDI, portfolio and other investments) on the
domestic savings and investment, as well as economic growth in major emerging economies in Asia and
Latin America from 1980 to 2008. The results show that domestic savings have significantly contributed to
long-term growth rather than capital inflows in many emerging economies, while the correlation between
domestic savings and investment has significantly decreased after 2000. The facts might indicate that the
F-H paradox has now being solved in major emerging economies. However, the analyses also reveal that
the effects of capital flows on the economies in each country are different, depending on the period and the
forms of capital. It is also confirmed that domestic savings as well as properly managed foreign exchange
and capital controls are important for stable economic growth, as seen in many Asian countries.
キーワード: 国際資本移動、エマージング(新興)経済、国内投資率・貯蓄率、F-H パラドックス
Key words: capital inflows/outflows, emerging economies, domestic investment and savings, F-H paradox
JEL Classification codes: F21, F37, F43, G15, O16, O40
∗
愛媛大学法文学部総合政策学科教授(Dept. of Comprehensive Policy Making, Ehime University) 〒790-8577 松山市文
京町 3 番 (3 Bunkyo-cho, Matsuyama City, 790-8577, Japan) Tel & Fax 089-927-9277
e-mail: [email protected]
1
はじめに
一般的に投資の拡大によって経済成長率は高まるが、国内貯蓄率と国内投資率は密接な関係があり、経済
のグローバル化が本格化した 1980 年代以前は基本的に各国の投資拡大は通常国内貯蓄率の増加と平行して
拡大してきた。
Feldstein‐Horioka (1980)(以下、F-H)は 1960 年から 70 年代半ば(1960-1974)の先進国(OECD)
を対象に資本移動と国内貯蓄・投資率の関係を採り上げ、検証を試みた。各国の資本自由化が進む中、年々
国内貯蓄率から国内投資率を説明する係数が低下すると予想されたが、実際にはほとんど低下しておらず、
依然として資本移動の自由化に伴う金融面の統合は低いという結果を示した。このように国際資本移動が拡
大したとされる中、実際には国内投資が大部分国内貯蓄によって説明されたことを Feldstein-Horioka
paradox(あるいは puzzle)とされる。しかし、F-H の結果は、対象期間がまだ先進国間においても資本自由
化が本格化していない 70 年代半ばまでの時期であり、実際に資本自由化がグローバル規模で進展したのは
1980 年代半ば以降であるため、この結果はむしろ当然であろう。実際、先進・新興諸国とも近年金融・資本
自由化が急速に進んでおり、現在では F-H の結果と異なり、国内貯蓄・投資率に大きな影響を与えつつある。
本論文は、F-H では対象とされていない 1980 年代以降のエマージング(新興)諸国で検証し、そのイン
プリケーションを探り、かつ国内貯蓄率・投資率や経済成長率に及ぼす影響を考察する。
グローバル規模で資本自由化が本格化した 1980 年から 2008 年までを対象期間とし、
新興国の国内貯蓄率、
投資率に対する資本流入の影響を回帰分析により考察した結果、エマージング諸国でも資本流入の影響が顕
著にみられ、F-H パラドックスは解消しつつある。
さらに、アジア・ラテンアメリカの主要エマージング諸国の国別資本流入の国内投資・貯蓄率への影響を
みると資本自由化の度合いが高い国ほど国内投資・貯蓄比率への影響が大きく、また国内市場規模の大きい
国ほど小さいことがわかる。
従って、資本規制を維持しながら、徐々に資本自由化に対応してきた国(中国、インドなど)では、国内
貯蓄率に相対的にプラスの影響があり、中長期的な成長には貢献すると考えられる。
1. 資本自由化と貯蓄・投資と成長
資本自由化の経済成長率に及ぼす影響については様々な先行研究があり、現在までのところ明白な結論が
出ていない。
比較的早い時期から Stiglitz(2000)は、資本自由化は当該国の成長に貢献せず、むしろ不安定な影響を与え
ると指摘している。大田(2007)は、主要エマージング諸国では 1980 年から 2006 年までに資本流入によ
る全体的な経済成長率への影響は明確ではなく、各地域や時期、資本流入の形態(FDI や証券投資)によっ
て大きく異なることを示した。また、Aizenman et al.(2004)は 1990 年代の途上国・エマージング諸国の国
内貯蓄・投資率を使い算定した「自己ファイナンス比率(self-financing ratio)」を測定した結果、その比率が
高いほど成長率が高いことを示した(1)。さらに、Prasad et al.(2007)は、1970-2000 年の先進国・途上国
の例を検証した結果、資本流入は途上国(非先進国)の経済成長には明白に寄与しているとはいえないとし、
むしろ外国資本に依存せず国内貯蓄による投資が主体の国の方が長期的に成長する傾向を指摘した。
これは、
途 上 国 ・ 新 興 国 で は 金 融 自 由 化 は 当 該 国 の 投 資 や 成 長 率 を 促 す わ け で は な い と の Rodrik &
Subramanian(2008)や Ghose(2004)の主張を裏付けている。
一方、金融自由化(国際金融取引を含む)の貯蓄率に及ぼす影響については、いくつかの研究があるが、
2
既に Bacha (1990)、Otani & Villanueva (1990)、De Gregorio (1992)、Jappelli & Pagano (1994)、Caroll &
Weil (1994)はクロスセクションに基づく回帰分析によって高貯蓄率(GDP 比)は高成長率をもたらすこと
を示した。さらに、Krieckhaus (2002)は、国内貯蓄率の上昇に伴う国内投資率の増加及び経済成長の実現の
可能性を指摘している。しかし、最近の海外資本流入は国内貯蓄率の上昇に制約を加え、
‘クラウディングア
ウト’を引き起こす可能性が示されている(Pau l& Sakthvel, 2005)
。
以上を踏まえ、資本自由化が途上国・新興国で進展した 1980 年代以降の時期を対象に純資本流入総額、
外国直接投資(FDI)
、証券投資、
「その他」
(対外借入等)各項目に経常収支を加え、経済成長率(一人当た
りGDP成長率)に対する国内貯蓄・投資率の影響について 33 カ国を対象に分析した(表 1-1、1-2)
。
これをみると、1980 年代に比べ 1990 年代以降は資本流入の経済成長への影響が大きくなってきたことが
わかる。特に 1991-96 年にはいわゆる新興市場ブームでアジア・ラテンアメリカ諸国には資本流入が増加し
たため、全体の回帰式においては、総資本流入・貯蓄率・経常収支を説明変数に入れた 1991-96 年の(1)式の
決定係数(R2)は 0.3151 と前期(1985-90 年)の 0.2426 に比べ上昇している。これは国内投資率とした(5)
式でも同様に係数が同期に 0.2462 から 0.3288 まで上昇している。このことは、資本流入の影響が無視でき
ないものとなっていることを示す。
ただし、
全体的に成長率への影響は、
資本流入に比べ国内貯蓄率や投資率による影響の方がはるかに高く、
各資本流入の項目である FDI、証券投資、
「その他(借入等)
」では、ほとんど有意な関係を示していない。
むしろ、全体的に 1991-1996 年では、前期(1985-90 年)に比べ国内貯蓄率の決定係数が①式で 0.1110 か
ら 0.2209 へ、また決定係数(R2)も 0.2426 から 0.3151 まで上昇していることにみられるように、むしろ
国内貯蓄率の上昇と相関性が強まっていたことが示されている。
期間別にみると、アジア危機(1997/8)
、ロシア危機(1998)
、アルゼンチン・トルコ危機(2001/2)など
相次いで「資本収支」危機が起きた 1997-2002 年では、前期(1991-1996)のいわゆるエマージング・ブー
ムの時期に比べ明らかに全体の回帰式の決定係数が低下している。例えば、1997-2002 年の(1)式では 0.1270
と前期(1991-1996)の 0.3151 に比べ低下しており、これは(5)式でも同様で、同期に 0.3288 から 0.1051
まで低下している。
特徴的なのは、1996 年までは対外借入等(
「その他」資本)は全体の成長率に有意な影響を与えておらず、
係数はマイナス 0.0831((4)式)
、同 0.0938((9)式)で有意ではなかったが、1997-2002 年では 0.3593((4)
式)
、0.3870((9)式)といずれも係数は上昇し、有意性を示している。これは、アジア・ラテンアメリカ諸
国を中心に資本収支危機の発生が相次いだこの時期には、短期資金の流出入が景気のサイクルと同一傾向を
示す、順循環的(’pro-cyclical’)な動きを顕著に示していると見られる。すなわち、資金の流出入が経済成
長率と同一に動いており、資本収支危機の発生に伴い景気が悪化したことを示しているとみられる。
資本流入全体額と国内貯蓄率、投資率を説明変数とする回帰式では、1997-2002 年の決定係数(R2)は
0.1270((1)式)
、0.1051((6)式)から 2003-2007 年には 0.1099((1)式)
、0.1332((6)式)と低水準にとど
まっており、いずれも 1991-96 年の決定係数(0.3151)に比べ水準は低い。2003-08 年の時期に特徴的なの
は、それまで FDI が有意に成長率に影響を与えてこなかったが、正で有意に成長率の影響を与えていること
である。これは、新興国への資本流入のみならず、国内の成長は外国資本に依存し、その成長も順循環的
(Pro-cyclical)な新興国の現状を示しているとみられる。
3
表1: 資本流入・国内貯蓄・投資と成長率(1985-2008)
【1985-90】
【説明変数】
Total Capital
(GDP比)
FDI
(GDP比)
Portfolio
(GDP比)
Others
(GDP比)
国内投資率
(GDP比)
国内貯蓄率
(GDP比)
経常収支
(GDP比)
R2
Obs.
【1991-96】
【説明変数】
Total Capital
(GDP比)
FDI
(GDP比)
Portfolio
(GDP比)
Others
(GDP比)
国内投資率
(GDP比)
国内貯蓄率
(GDP比)
経常収支
(GDP比)
R2
Obs.
【1997-2002】
【説明変数】
Total Capital
(GDP比)
FDI
(GDP比)
Portfolio
(GDP比)
Others
(GDP比)
国内投資率
(1)
0.2558
(0.0874)
(GDP比)
国内貯蓄率
(GDP比)
経常収支
(GDP比)
2
R
Obs.
(2)
(3)
-0.0165
(0.1978)
【被説明変数】 一人当たりGDP成長率(%)
(4)
(5)
(6)
***
0.2446
(0.0863)
0.1619
(0.1346)
0.1110 ** * 0.3069 *** 0.3119 * ** 0.2868
(0.0389)
(0.0588)
(0.0539)
(0.0542)
*
**
0.0219
-0.1842
-0.2223
-0.1127
(0.0743)
(0.1026)
(0.1067)
(0.1087)
0.2426
0.1942
0.2028
0.2126
(1)
0.1019
(0.0909)
(2)
** *
0.3049
(0.0537)
-0.1835
(0.1019)
0.1942
** *
0.3153
(0.0635)
0.1526
(0.1195)
0.2209 ** * 0.2181 *** 0.2456 * ** 0.2470
(0.0325)
(0.0321)
(0.0303)
(0.0325)
-0.1638 * -0.2275 *** -0.2020 * ** 0.2470
(0.0914)
(0.0652)
(0.0702)
(0.0325)
0.3151
0.3183
0.3168
0.3120
**
(2)
(3)
-0.0111
(0.0785)
0.3593
(0.0784)
(1)
0.1093
(0.0386)
** *
** *
***
0.1297
(0.0555)
0.0914 ** *
(0.0279)
0.0163
(0.0507)
0.1099
* **
0.1862
0.1896
0.1548
(0.0422)
(0.0416)
(0.0402)
***
* **
-0.2602
-0.2708
-0.0621
(0.0683)
(0.0695)
(0.0773)
0.1065
0.1056
0.1929
(2)
(3)
**
(0.0975) ***
(0.0278)
-0.0557
(0.0371)
0.0984
0.1901
(0.0669)
0.3814 * ** 0.3903
(0.0671)
(0.0618)
*
** *
** *
0.2364
(0.0295)
-0.2357
(0.0652)
0.3092
** *
0.2508
(0.0354)
***
** *
0.2450
(0.0343)
0.0096
-0.0538
(0.0808)
(0.0713)
0.3288
0.2498
150
【被説明変数】 一人当たりGDP成長率(%)
(4)
(5)
(6) **
(7)
0.1532
(0.0609)
0.0279
(0.1120)
0.0491
(0.1078)
0.1739
(0.0417)
-0.1427
(0.0870)
0.1270
***
* **
(0.1150) * **
(0.0273)
-0.0658 *
(0.0348)
0.1100
* **
0.0664
(0.0957)
0.2323
0.1173
(0.0749)
0.3545
(0.0625)
0.1898
(0.0414)
-0.2678
(0.0661)
0.1055
** *
** *
0.1648
(0.0471)
***
(10)
** *
0.1537
(0.0968)
0.2325
(8)
0.3756
(0.0614)
** *
0.1069
(0.0926)
0.2184
(9)
(10)
0.1184
(0.1173)
* **
0.2715
(0.0325)
* **
-0.0062
(0.0691)
0.3297
-0.0938
(0.1052)
0.2780
(0.0351)
(8)
0.1745 * ** 0.1798
(0.0495)
(0.0481)
** *
-0.0700
(0.0711)
0.3286
* **
0.0388
-0.0855
-0.0818
(0.0715)
(0.0525)
(0.0561)
0.1051
0.0762
0.0763
198
【被説明変数】 一人当たりGDP成長率(%)
(4)
(4)
(5)
(6)
(7)
***
0.1054
(0.0379)
* **
0.1210
(0.0549)
* **
0.1964
(0.0659)
0.0691
(0.0653)
***
* **
* **
0.1173
0.1221
0.1415
(0.0291)
(0.0292)
(0.0285)
(0.1010) ** * (0.1087) ** *
(0.0287)
(0.0277)
-0.0497
-0.0911 **
0.1083 ** 0.0437
0.0868 * *
(0.0520)
(0.0343)
(0.0402)
(0.0273)
(0.0335)
0.0783
0.0730
0.1332
0.1208
0.1382
204
0.3870
(0.0781)
0.1529
(0.0451)
** *
** *
0.1778
(0.0474)
** *
-0.0881
(0.0514)
0.0759
(8)
0.0497
(0.0405)
0.1025
** *
(10)
0.0969
(0.0612)
0.1798
0.0583
(0.0644)
0.1271
(0.0300)
0.2649
(0.0318)
-0.0381
(0.0614)
0.3232
(9)
0.0228
(0.0806)
** *
** *
(9)
0.2065
(0.1329)
*
-0.0831
(0.1065)
(1)
0.1326
(0.0607)
(8)
0.1387
0.1099
(0.0909)
(0.0939)
0.2462
0.2187
138
【被説明変数】 一人当たりGDP成長率(%)
(4)
(5)
(6)
(7)
0.0823
(0.0906)
0.2263
(0.1509)
(3)
0.2158
(0.1543)
(7)
-0.0421
(0.1944)
0.1337
(0.0754)
(GDP比)
国内貯蓄率
(GDP比)
経常収支
(GDP比)
R2
Obs.
【2003-08】
【説明変数】
Total Capital
(GDP比)
FDI
(GDP比)
Portfolio
(GDP比)
Others
(GDP比)
国内投資率
** *
(8)
** *
0.1339
(0.0290)
** *
0.0213
(0.0256)
0.0987
(注) 1 1~4, 5~8 は各資本流入のネットのGDP比。.
2 対象は33ヵ国(Argentina, Brazil, Columbia, Chile, Ecuardor, Mexico, Peru, Uruguay, Venezuela, Costa Rica, Egypt, Israel, South Africa, Tunisia, Morocco,
Turkey, Czech, Slovakia, Hungary, Poland, Croatia, Bulgaria, R omania,Russia, China, Korea, India, Pakistan, Indonesia, Malaysia, the Philippines, Thailand)
ただし、1985~1990年は中東欧、ロシア、パキスタン、中国除く23ヵ国。1991~1996年は中東欧、ロシア除く25ヵ国。
3 括弧内は標準誤差。 *** : 1 %水準で有意、**: 5%水準で有意、 * :1%水準で有意。
(出所)IMF, International Financial Statistics , Institute of International Finance (IIF)に基づく筆者による推定値。
4
また、顕著な特徴として 2003-08 年には、国内貯蓄・投資率が成長率に与える影響は、決定係数などから
みても明らかに 1990 年代に比べても低下していることである。例えば、アジア危機(1997/8)前の 1991-1996
年の期間では(1)式の決定係数は 0.3151 から 2003-08 年には 0.1099 まで低下し、同時に国内貯蓄率の係数
も同期に 0.2209 から 0.0914 まで大幅に低下している。この傾向は国内投資率でも同様にみられ、1991-96
年の(6)式の決定係数(R2)は 0.3288 であったが、2003-08 年には 0.1332 まで低下している。
以上のことから、全体的に以下のことを示している。
第一に、海外からの資本流入は国内貯蓄・投資率に比べ経済成長率への影響は小さく、特に国内貯蓄率の
上昇は成長率に正で有意な関係が示される。
第二に、2000 年代に入り、一層海外からの資本の流出入が活発化し、全体的に国内貯蓄・投資率の成長へ
の影響は低下し、逆に海外からの資金によって国内投資が代替される傾向が強まっていることである。すな
わち、1990 年代までに比べ 2000 年代、特に 2003 以降世界的に景気が回復し、過剰流動性を背景に新興市
場への資本流入が増加したため、全体に国内貯蓄率・投資率の成長率に対する影響は大きく低下しているこ
とが示された。このことは、第2節で述べるように、資本自由化に伴い、国内貯蓄率による国内投資率へ資
金制約が徐々になくなり、国内資金依存の「ホームバイアス」が薄れてゆくであろうという
Feldstein-Horioka が想定した傾向が示されたことになる。実際には F-H が提起した国内投資は国内資金に
依存するというホームバイアスがあるという paradox は徐々に解決に向かっていることを示唆している。
F-H の本来の論点および先進国・途上国・新興国における最近までの変化については次章において検討す
る。
2. 資本流入の国内貯蓄・国内投資への影響
2.1 F-H paradox(1960-74 年)
先進国(OECD)を対象とした Feldstein- Horioka (以下 F-H、1980)は、世界的な資本取引が拡大した結
果、それまで国内貯蓄の制約を受けていた国内投資がどの程度変化したかという点について検証を試みた。
それによれば、以下のように実際に先進国でも金融面の統合は低いという結果を示した。F-H の貯蓄・投資
比率は以下のように定義される。
(I/Y)i= α+ β(S/Y) i’
(1)
((I/Y)i:i 国の GDP 比総国内投資比率)
F-H では OECD 諸国の 1960-74 年の 15 年間のデータを調べた結果、以下のような結果を示している。
表2: 国内貯蓄 ・投資比率の関係(F=H)[1980]
【説明変数】
【被説明変数】総国内投資比率
2
国内貯蓄比率
定数
S/Y
R
1960-74
0.035
0.887
0.91
(0.018)
(0.074)
1960-64
0.029
0.909
0.94
(0.015)
(0.060)
1965-69
0.039
0.872
0.83
(0.025)
(0.101)
1970-74
0.039
0.871
0.85
(0.024)
(0.092)
(注)1 対象国はOECD21ヵ国。 純国内投資比率は省略。
2 括弧内は標準誤差。
(出所)M.Feldstein; C.Horioka (1980) Table2
すなわち、対象期間のβ値は 0.89(標準誤差は 0.07)であることを示した。このことは、先進国間でも資
本の完全移動性は否定され、実際には非常に不完全であることが示されたわけである。また、OECD 諸国の
5
国内投資率は国内貯蓄率との差でほとんど説明できるという結果となった。ただし、国内貯蓄率の投資率へ
の回帰の係数が 1960-64 年の 0.909 に比べ 1970-74 年は 0.871 と低下し、さらに決定係数も同時期に 0.94
から 0.85 まで低下しているのは、その期間に流入した資本によって一部国内投資がまかなわれてきたことを
示すと考えられる。
さらに F-H は各国経済の「開放度」
(openness)の指標として Xi (GDP 比貿易比率)を入れて上記(1)
式を変形した以下の式を示した。
(I/Y)i = α + (β0 + β1Xi)(S/Y) i’
(2)
(Xi:i 国の貿易額全体(輸出+輸入)の GDP 比)
この結果、β1 は-0.033(標準誤差は 0.071)となり、ネガティブではあるが、非常に小さくほとんど無視で
きる程度の影響しか及ぼさないことが示された。一方、β0 は 0.999(標準誤差は 0.075)となり国内投資比
率は国のサイズや貿易比率で示される開放度では全く大きな差が生じなかったことがわかる。
上記の結果は、資本自由化が進む中、国内投資比率は国内貯蓄率の制約から解放され海外からの資本流入
への依存度が高まると予想されたが、実際には国内貯蓄から投資を説明する係数は依然高水準であり、資金
の「ホームバイアス」は依然として存在していることを示した。このように国際資本移動が拡大する中、実
際には国内投資は国内貯蓄によってほぼ説明されるということを F-H paradox(あるいは puzzle)とよばれる。
2.2 最近の変化: F-H paradox の解消とグローバリゼーション
F-H による結果は、主に先進国(OECD 諸国)が対象であり、しかも期間が 30 年以上前の 1960-1974 年
であり、まだ世界的に資本・金融自由化が本格化していない時期(先進国でも本格化したのは 1980 年代以
降)であることを考慮すれば、資本流入の国内投資への影響が軽微であるのはむしろ当然の結果であった。
ところが、資本自由化の進んだ現在では同様の結果が必ずしも立証されているとはいえない。
そこで、主要先進国(G7)を対象に資本・金融自由化が本格化した 1980 年以降についてみると先進国に
おいても、国内貯蓄率と投資率の相関を表す決定係数 1980-85 年は非常に高かった(0.8132)が、1990 年
代後半から 2000 年代にかけて低下し、2003-08 年には 0.4673 となっている1。同様に、回帰式の係数は
1980-85 年に 0.8132 であったが、2003-08 年には 0.4673 まで低下している。
このことは、主要先進国では 2000 年代に入り国内投資率が国内貯蓄率に制約されない傾向が特に顕著と
なったことを示す。もちろん、この中には米国のように国内貯蓄率の低下が著しく、海外からの資本流入へ
の依存度を高めたことが、全体の国内貯蓄率と投資率の相関関係に大きく影響している可能性もあろう。
いずれにしても、主要先進国では資本流出入の拡大により、国内貯蓄率の国内投資率への影響は、たしか
に年を追って低下いるものの、1990 年代の前半まではそれほど大きな影響がみられず、ようやく 1990 年代
後半から 2000 年代になってようやく国内投資資金の「ホームバイアス」は徐々に緩和してきたことが確認
される。なお、1980 年代の半ばまでの OECD 諸国では国内貯蓄率が国内投資率に及ぼす影響について既に
Feldstein & Bacchetta (1989)によって考察されているが、係数は 1980-86 年で 0.863 を維持していた。筆
者の推計(表 3)でも 1980-85 年の G7 で 08881 とほぼ同様の係数となっている。ただし、主要国以外の小
国開放経済を含む OECD 諸国全体でみるとホームバイアスは G7 諸国に比べはるかに少なく、国内貯蓄率の
制約は少なく、海外からの資本流入によって国内投資資金が賄われるという構図は大きいとみられる。
1980 年代までの OECD 諸国での国内貯蓄率・投資率の関係については Feldstein & Bacchetta (1989)によって分析さ
れており、やはり 1986 年までの OECD 諸国では高い相関関係が認められている。
1
6
表 3: 国内 投資率 ・貯蓄率の関係 [先進国 ] (1985-2008)
【従属変数】国内総投資率
定数
S/Y
1980-2008
2.2960 **
0.9218 ***
(1.3894)
(0.0647)
(1.6525)
(14.2385)
1980-1985
3.6240 **
0.8881 ***
(1.6383)
(0.0741)
(2.2121)
(11.9846)
1985-1990
8.6356 ***
0.6477 ***
(0.7148)
(0.0320)
(12.0814)
(20.2719)
1991-1996
6.3248 ***
0.7157 ***
(0.7552)
(0.0363)
(8.3755)
(19.7071)
1997-2002
8.5544 ***
0.5735 ***
(1.1619)
(0.0557)
(7.3624)
(10.2965)
2003-2008
13.5789 ***
0.3266 ***
(1.1953)
(0.0580)
(11.3604)
(5.6322)
2
R
0.8825
0.8132
0.9113
0.9066
0.7261
0.4673
(注) 1 対象は先進7ヵ国(米国、英国、ドイツ、フランス 、イタリア、日本、カナダ)。
ただし、198 0-2008年は先進国全体。
2 括弧内は上段は標準誤差、下段はt値。** * :1% 水準l, **: 5 % 水準, *: 10%水準で有
(出所) International Financial Statistics(IMF)、 各国指標に基づく筆者による推定値。
一方、新興国を対象に資本自由化に伴う国内貯蓄率の国内投資率への影響を新興国全体で資本自由化が本
格化した 1990 年代以降を対象に分析を試みたのが表4である。途上国・新興国全体では資本自由化が本格
化したのは 1990 年代であるが、依然として国内貯蓄率の国内投資率に対して高い相関を示している。例え
ば、1991-96 年の回帰式の決定係数(R2)は 0.7207 ときわめて高い相関関係を示し、係数も貯蓄率に関し
て 0.7401 と高くなっている。これは、国内投資資金は国内貯蓄によって主にまかなわれる「ホームバイア
ス」は強かったことを示す。
しかし、1990 年代後半以降、国内貯蓄率と国内投資率の決定係数は次第に低下し、1997-2002 年 0.4360、
2003-08 年には 0.1635 まで低下している。また、中東欧・ロシアを除いた場合、決定係数はそれぞれ同期に
0.5334、0.2628 となっている。
表 4 : 国内投資率・貯 蓄率の関 係(1 991- 2008 )
【従属変数】国内総 投資率
期間
24ヵ国(中東欧・ロシア除く)
33ヵ国
2
定数
S/Y
定数
S/Y
R
1 991- 199 6
8.2367
0.7401 *** 0.7 207
(0.9551) (0.0379)
(8.6243) (19.5433)
1 997- 200 2
11.9002
0.4697 *** 0.5 334 13.04 77 0.4482 ***
(0.9222) (0.0359)
(0.9014) (0.0364)
(12.9037) (13.0891)
(14.4744) (12.3082)
2 003- 200 8
14.4525
0.3380 *** 0.2 628 17.53 29 0.2612 ***
(1.4368) (0.0482)
(1.2606) (0.0447)
(10.0591) (7.0084)
(13.9084) (5.8479)
2
R
0 .43 60
0 .16 35
(注) 1 対象はArgentina, Brazil, Columbia, Chile, Ecuardor, Me xico, Peru, Uruguay, Venezuela,
Costa Rica, Ecu ador, Egypt, Israel, South Africa, Tunisia, Morocco, Israel, Czech, Slovakia,
Hungary, Poland, Cro atia, Bulgaria, Romania,Russia, China, Korea, In dia, Indonesia, Malaysia,
Philippines,Singapore, Thailand. ただし、1985~1990年は中東欧、ロシア、パキスタン、中国除く。
2 括弧内は上段は標準誤差、下段はt値。** * :1% 水準l, **: 5 % 水準, *: 10%水準.で有意
こうした結果は、新興国では国内投資の海外資金への依存度が急速に高まっており、新興国において F-H
パラドックスは解消されつつあることを示す。この数字をみる限り、最近では主要先進国(G7)に比べむし
7
ろ新興国の方が資金の対外依存度が高いことがわかる。特に 2000 年代には、従来資本取引が制限されてき
たインドのような国でも資本流出入が拡大し、ネット資本流入(GDP 比)は 2000 年の 2.1%から 2007 年
には 7.4%(推定)まで上昇している。
2.3 新興諸国での資本流入と国内貯蓄・投資率、成長率への影響
新興諸国における資本流入の国内貯蓄・投資率および成長率への影響を VAR 分析によるインパルス応答
関数(2)のグラフを資本移動の本格化した 1985 年以降 2008 年まで分析した。
1990 年代半ばまで(1985-90 年、1991-1996 年)では、国内貯蓄率(S)が国内投資率(I)に及ぼす影響が
比較的長期にわたっている(図 1-1、1-2、‘Response of I to S’)
。しかし、1997-2002 年、2003-2007 年は比
較的短期に影響が少なくなっている。このことは貯蓄率が投資に与える影響が相対的に減少していることを
示す。さらに、国内投資率が国内貯蓄率に対する影響(’Response of S to I’)は、1996 年までに比べ、1997-2002
年から 2003-2008 年には影響がさらに少なくなっており、特に 2003-2008 年にはマイナスに振れている。
このことは、2000 年代に国内投資は国内貯蓄率の上昇に必ずしもよるものでなく、資本流入に依存してきた
ことを示唆する。このことは、純資本流入総額の国内貯蓄率に対する影響(’Response of S to total’)をみる
と、2003-2008 年には大幅にマイナスに振れており(図 1-4)、逆に資本流入の国内投資率に対する影響
(’Response of I to Total’)も大幅にプラスの影響を示していることでも裏付けられよう。
図 1-1:資本流入と国内貯蓄・投資率・成長率のインパルス応答関数(1985-1990)
Response to Cholesky One S.D. Innovations (1985-90)
R esponse of TOT AL to T OTAL
Response of TO TAL to S
Res ponse of T OTAL to I
R esponse of TOT AL to PERCAPITAGDP
5
5
5
5
4
4
4
4
3
3
3
3
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2
2
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1
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0
0
0
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-1
2
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6
8
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18
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0
-1
2
4
Res pons e of S to T OTAL
6
8
10
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-1
2
4
R esponse of S to S
6
8
10
12
14
16
18
20
2
R esponse of S to I
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6
6
6
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4
4
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0
0
0
0
-2
-2
-2
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4
6
8
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14
16
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20
2
4
R esponse of I to TOT AL
6
8
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14
16
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2
4
Res ponse of I to S
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10
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14
16
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20
2
Response of I to I
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4
4
3
3
3
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1
1
1
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0
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0
-1
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-2
2
4
6
8
10
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-2
2
Response of PERCAPITAGDP to T OTAL
4
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20
Res pons e of PERC APIT AGD P to I
2
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6
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4
4
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4
2
2
2
2
0
0
0
0
-2
-2
-2
-2
4
6
8
10
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4
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20
2
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8
10
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8
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16
18
4
6
8
10
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14
16
18
20
R esponse of PERCAPITAGDP to PERC APIT AGD P
6
2
8
-2
2
Res ponse of PERC APIT AGD P to S
6
Response of I to PER CAPITAGDP
4
-2
4
Response of S to PERC API TAG DP
20
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
図 1-2:資本流入と国内貯蓄・投資率・成長率のインパルス応答関数(1991-96)
Response to Cholesky One S.D. Innovations (1991-96)
R esponse of TOT AL to T OTAL
Response of TO TAL to S
Res ponse of T OTAL to I
R esponse of TOT AL to PERCAPITAGDP
4
4
4
4
3
3
3
3
2
2
2
2
1
1
1
1
0
0
0
-1
-1
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
0
-1
2
4
Res pons e of S to T OTAL
6
8
10
12
14
16
18
20
-1
2
4
R esponse of S to S
6
8
10
12
14
16
18
20
2
R esponse of S to I
6
6
6
6
4
4
4
4
2
2
2
2
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0
0
0
-2
-2
-2
-2
2
4
6
8
10
12
14
16
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20
2
4
R esponse of I to TOT AL
6
8
10
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20
2
4
Res ponse of I to S
6
8
10
12
14
16
18
20
2
Response of I to I
4
4
4
3
3
3
3
2
2
2
2
1
1
1
1
0
0
0
0
-1
-1
-1
-1
2
4
6
8
10
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18
20
2
4
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8
10
12
14
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18
20
2
Res ponse of PERC APIT AGD P to S
4
6
8
10
12
14
16
18
20
Res pons e of PERC APIT AGD P to I
2
4
4
4
3
3
3
3
2
2
2
2
1
1
1
1
0
0
0
0
-1
-1
-1
-1
4
6
8
10
12
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16
18
20
2
4
6
8
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18
20
2
4
6
8
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14
8
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14
16
18
20
4
6
8
10
12
14
16
18
20
16
18
4
6
8
10
12
14
16
18
20
R esponse of PE RCAPITA GDP to PERC APIT AGD P
4
2
6
Response of I to PER CAPITAGDP
4
Response of PERCAPITAGDP to T OTAL
4
Response of S to PERC API TAG DP
20
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
図 1-3:資本流入と国内貯蓄・投資率・成長率のインパルス応答関数(1997-2002)
Response to Cholesky One S.D. Innovations (1997-2002)
R esponse of TOT AL to T OTAL
Response of TO TAL to S
Res ponse of T OTAL to I
R esponse of TOT AL to PERCAPITAGDP
8
8
8
8
6
6
6
6
4
4
4
4
2
2
2
2
0
0
0
0
-2
-2
-2
-2
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
2
4
Res pons e of S to T OTAL
6
8
10
12
14
16
18
20
2
4
R esponse of S to S
6
8
10
12
14
16
18
20
2
R esponse of S to I
6
6
6
6
4
4
4
4
2
2
2
2
0
0
0
0
-2
-2
-2
-2
-4
-4
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
-4
2
4
R esponse of I to TOT AL
6
8
10
12
14
16
18
20
4
6
8
10
12
14
16
18
20
2
Response of I to I
6
6
6
4
4
4
4
2
2
2
2
0
0
0
0
-2
-2
-2
-2
4
6
8
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16
18
20
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
2
Res ponse of PERC APIT AGD P to S
4
6
8
10
12
14
16
18
20
Res pons e of PERC APIT AGD P to I
2
6
6
6
4
4
4
4
2
2
2
2
0
0
0
0
-2
-2
-2
-2
4
6
8
10
12
14
16
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20
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
2
9
10
12
14
16
18
20
4
6
8
10
12
14
4
6
8
10
12
14
16
18
20
16
18
4
6
8
10
12
14
16
18
20
R esponse of PERCAPITAGDP to PERC APIT AGD P
6
2
8
Response of I to PER CAPITAGDP
6
2
6
-4
2
Res ponse of I to S
Response of PERCAPITAGDP to T OTAL
4
Response of S to PERC API TAGDP
20
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
図 1-4:資本流入と国内貯蓄・投資率・成長率のインパルス応答関数(2003-08)
Response to Cholesky One S.D. Innovations (2003-2008)
R esponse of TOT AL to T OTAL
Response of TO TAL to S
Res ponse of T OTAL to I
R esponse of TOT AL to PERCAPITAGDP
6
6
6
6
4
4
4
4
2
2
2
2
0
0
0
0
-2
-2
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
-2
2
4
Res pons e of S to T OTAL
6
8
10
12
14
16
18
20
-2
2
4
R esponse of S to S
6
8
10
12
14
16
18
20
2
R esponse of S to I
6
6
6
6
4
4
4
4
2
2
2
2
0
0
0
0
-2
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-2
-2
-4
-4
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
-4
2
4
R esponse of I to TOT AL
6
8
10
12
14
16
18
20
4
6
8
10
12
14
16
18
20
2
Response of I to I
4
4
4
3
3
3
3
2
2
2
2
1
1
1
1
0
0
0
0
-1
-1
-1
-1
4
6
8
10
12
14
16
18
20
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
2
Res ponse of PERC APIT AGD P to S
4
6
8
10
12
14
16
18
20
Res pons e of PERC APIT AGD P to I
2
3
3
3
2
2
2
2
1
1
1
1
0
0
0
0
-1
-1
-1
-1
4
6
8
10
12
14
16
18
20
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
10
12
14
16
18
20
2
4
6
8
10
12
14
4
6
8
10
12
14
16
18
20
16
18
4
6
8
10
12
14
16
18
20
R esponse of PERCA PITAGDP to PERC APIT AGD P
3
2
8
Response of I to PER CAPITAGDP
4
2
6
-4
2
Res ponse of I to S
Response of PERCAPITA GDP to T OTAL
4
Response of S to PERC APITAG DP
20
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
(注)2008 年の国内貯蓄・投資率の一部は推定値)
(出所) IFS(IMF), IIF に基づく筆者による推定値。
国内貯蓄率の(一人当たり)GDP 成長率に対する影響(同、‘Response of PERCAPITAGDP to S’)は
1997-2002 年の期間では明らかに短期化し、影響も少なくかったが、この時期に発生した相次ぐ危機の影響
もあるとみられる。2003-07 年には、貯蓄率の成長率(一人当たり GDP)に対する影響は 1997-2002 年に
比べ持続性が若干回復したものの、1996 年までに比べ明らかに中長期的影響は低下している(図 1-4)
。
このように、新興国では、近年の国際資本移動の拡大によって明らかに国内貯蓄による資本を海外からの
流入した資本が代替し、国内投資率に影響を与えてきたことがわかる。
ただし、上記の結果は、2007 年までの世界的な景気が良好であった時期の影響が大きく、2008 年秋以降
の金融危機に伴う急激に悪化した世界経済の状況下、プロサイクリカル(順循環的)な傾向を持つ資本流入
と成長率の関係から、ピーク時に比べ新興市場への資本流入は減少している。2009 年第 3 四半期より世界的
に景気の底打ちがみられ、新興市場諸国では市場が回復し、徐々に海外からの投資が回復する傾向が見られ
るものの、2007 年までのパターンが継続するかどうかは不透明である。
なお、各資本流入項目(FDI、証券投資、対外借入等)別の国内貯蓄・投資率、および成長率(一人当た
り)への影響については VAR 分析に基づくインパルス応答関数は Appendix 参照。
10
3. 新興市場諸国における変化
3.1 資本流入と成長率・貯蓄・投資
新興国では資本流入および経済成長によって国内貯蓄・投資率がどれだけ影響を受けているかについて、
グローバル規模で資本自由化の進んだ 1985 年以降のデータで説明変数をネットの資本流入(IMF の分類に
よる FDI、証券投資、対外借入等)と一人当たり GDP 成長率、さらに国内貯蓄率及び国内投資率とし、同時
に被説明変数を国内貯蓄率及び国内投資率として回帰分析を行った(表5)
。
まず、全体的に GDP 成長率は国内貯蓄・投資率に対し正で有意な関係が示され、全期間とも説明・被説明
変数としての国内貯蓄率・投資率は有意であり、相互に密接な関連を示し各回帰式の決定係数はいずれも比
較的高水準にある。ただし、資本流入の各項目の国内投資率及び貯蓄率に対して異なった影響が見られる。
国内貯蓄率に対する資本流入の影響は、全体の資本流入が国内貯蓄率にマイナスで有意な影響を与える傾
向があり、これは、特に 1990 年代以降顕著となり、回帰式(1)の全資本流入(Total)の係数は 1985-90 年
には-0.0393 であったが、2003-07 年には-0.6103 までマイナス幅は拡大した ((1)式)。また、国内貯蓄
率に対して FDI の影響は、1996 年までは正で有意な関係を示していたが、1997 年以降、マイナスで有意な関
係に転じ、1997-2002 年にはその係数は-0.4903、2003-2007 年には-0.9713 までマイナス幅が拡大している
(
(2)式)
。このことは、証券投資でも同様にみられ、いずれも回帰式の係数は 1991 年以降マイナスとなっ
ている(
(3)式)
。
一方、国内投資率に対する影響では、全期間で資本流入は国内投資率には正で有意な関係みられるが、国
内投資に関する係数は、1985-90 年の 0.1976 から 1991-96 年には、最も国内投資率に対する係数が高く
(0.5200)となっている((5)式)
。これは、本格的な資本収支危機は発生していないいわばアジアブームの
時期であったことも関係していよう。
しかし、
1997-2002 年の危機が相次ぐ時期には係数は 0.2546 と低下し、
2003-2007 年の世界的景気回復期のブームには 0.3875 まで上昇している((5)式)
。
資本流入各項目のなかでは、FDI が一貫して最もポジティブで有意な関係を示している((7)式)。1991-96
年に一次係数が 0.1096 まで低下(前期の 1985-90 年は 0.3598)したが、1997 年以降は再び上昇、1997-2002
年には 0.5032、
2003-2007 年には 0.5838 まで上昇している。
一方、
証券投資による国内投資率への影響では、
1991-96 年には係数が 0.4132 であった((6)式)が、1997 年以降は有意な関係を示さず、しかも係数も
1997-2002 年は 0.0134 まで低下し、2003-2007 年にはマイナス 0.0276 に転じている。このことは、証券投資
については国内投資に対して大きな影響を与えていないことを示す。
また、対外借入等(Others’)については、国内投資に対して正で有意な関係を維持している。国内投資
率への回帰式((8)式)の係数が 1985-1990 年には 0.2095 であったが、2003-2007 年には係数は 0.8266 と高
くなっており、ブーム時における対外借入の増加が国内投資にポジティブな関係を示している。
以上のように、1990 年代以降、特に 2000 年代に急速に進んだ対外借入や直接投資など資本流入の増加が
国内資金を代替し、外資が大きな役割を果たしてきていることが明確に示されている。
11
表 5:資本 流入と国 内貯蓄・ 投資率
【19 85-1 990 】
【説明 変数】
Total Capital
(GDP比 , %)
FDI
(GDP比 , %)
Portfolio
(GDP比 , %)
Others
(GDP比 , %)
GDP成長率
(一人当たり,%)
国内投資 率
(GDP比 , %)
国内貯蓄 率
(GDP比 , %)
2
R
Obs
【被説明変数】国内 貯蓄・投 資率( GDP比)
国 内貯蓄 率
国内 投資率
(1)
(2)
0.5969
(0.2380)
0.2087
(0.1116)
0.8032
(0.0895)
*
***
0.2011
(0.1064)
0.7167
(0.0910)
0.4915
0.5139
(1)
(2)
(6)
**
0.3598
(0.1886)
*
* **
0.1652
(0. 1084)
0.8380 ***
(0. 0882)
0.5071
国 内貯蓄 率
-0.5637
(0.0988)
(7)
(3)
-0.2140
(0.0896)
0.2248
(0.1071)
0.8318
(0.0868)
**
*
0.2707
(0.0794)
***
0.4673 * ** 0.4415 *** 0.4805
(0.0521)
(0.0561)
(0.0506)
0.5118
0.5318
0.5261
0.5527
138
国内 投資率
***
0.2032
(0.0844)
**
0.2560
(0.0817)
***
0.0255
(0.1295)
0.9281
(0.0624)
0.7719
0.7277
(1)
(2)
(4)
(5)
(6)
0.1096
(0.2007)
*
* **
0.1183
(0. 1190)
0.9039 ***
(0. 0564)
0.7691
国 内貯蓄 率
-0.5338
(0.0647)
(7)
(3)
-0.5085
(0.1373)
0.0371
(0.1245)
1.0411
(0.0623)
***
0.5825
**
***
0.6627 * ** 0.6488 *** 0.7058
(0.0362)
(0.0436)
(0.0440)
0.7450
0.8108
0.7496
0.7628
150
国内 投資率
***
0.4068
(0.1029)
***
(4)
(5)
(6)
(7)
0.6306
(0.0377)
0.7968
* **
* **
***
0.4661
(2)
(3)
0.0134
(0.0854)
-0.7013
(0.1056)
0.2787
(0.1145)
0.9440
(0.0741)
**
***
0.0893
(0.0774)
0.1689
(0.0751)
**
0.2006
(0.0786)
0.5081 * ** 0.4299 *** 0.4336
(0.0378)
(0.0348)
(0.0382)
0.5405
0.5147
0.5044
0.4546
198
国内 投資率
(4)
(5)
(6)
**
***
(7)
0.2990
(0.0808)
0.0769
(0.0829)
* **
0.4824
(0.0379)
0.4905
* **
(8)
0.3875 * **
(0.0605)
* **
0.5838
(0.1209)
***
-0.3534
(0. 2267)
0.4816
* **
(8)
***
***
***
0.5891
(0.1006)
0.3503
(0.0925)
***
0.5032
(0.1139)
0.0346
0.0472
(0.1173)
(0. 1165)
* **
1.0226
0.9211 ***
(0.0829)
(0. 0811)
-0.9713
(0.1551)
0.3158
(0.2082)
0.7713
(0.0887)
***
0.3553
(0.1013)
0.2472
(0.0919)
* **
国 内貯蓄 率
-0.6103
(0.0745)
* **
0.2546 * **
(0.0519)
0.4566
(1)
0.4892
(0.0510)
0.5456
**
(8)
***
-0.4002 ***
(0. 1211)
*
* **
***
0.4132
(0.1422)
***
-0.4903
(0.1810)
0.2046
(0.1051)
0.9486
(0.0706)
0.2095
(0.0678)
0.2076
(0.0815)
***
-0.8299 ***
(0. 1506)
***
***
0.5200 * **
(0.0753)
0.4485
(0.2375)
0.1153
(0.1182)
1.0511
(0.0574)
(8)
*
-0.4129
(0.1200)
***
【20 03-2 007 】
【説明変数】
Total Capital
(GDP比 , %)
FDI
(GDP比 , %)
Portfolio
(GDP比 , %)
Others
(GDP比 , %)
GDP成長率
(一人当たり,%)
国内投資 率
(GDP比 , %)
国内貯蓄 率
(GDP比 , %)
2
R
Obs
(5)
0.3402 **
(0. 1627)
【19 97-2 002 】
【説明変数】
Total Capital
(GDP比 , %)
FDI
(GDP比 , %)
Portfolio
(GDP比 , %)
Others
(GDP比 , %)
GDP成長率
(一人当たり,%)
国内投資 率
(GDP比 , %)
国内貯蓄 率
(GDP比 , %)
2
R
Obs.
(4)
0.1976 * *
(0.0856)
【19 91-1 996 】
【説明変数】
Total Capital
(GDP比 , %)
FDI
(GDP比 , %)
Portfolio
(GDP比 , %)
Others
(GDP比 , %)
GDP成長率
(一人当たり,%)
国内投資 率
(GDP比 , %)
国内貯蓄 率
(GDP比 , %)
R2
Obs
(3)
-0.0393
(0.1144)
0.3396
(0.2241)
0.7184
(0.0945)
0.4028
* **
0.2346
(0. 2510)
0.6064 ***
(0. 1045)
0.2528
-0.0276
(0.1641)
-1.1877
(0.1332)
0.1759
(0.2017)
0.8643
(0.0887)
***
0.4153
(0.1558)
0.4755
(0.1636)
***
0.6902
(0.1713)
***
0.4461 * ** 0.3988
(0.0513)
(0.0524)
0.5105
0.4666
0.4103
150
***
0.3125
(0.0539)
0.3150
***
**
0.8266
(0.0995)
0.4259
(0.1432)
* **
0.4598
(0.0472)
0.5368
* **
* **
***
(注) 1 (1)~(8)式は各資本流入項目のネット値。各回帰式の定数項は表記を省略。
2 対象は33カ国(Argentina, Brazil, Columbia, Chile, Ecuardor, Mexico, Peru, Uruguay, Venezu ela, Co sta Rica, Egypt, Israel, South Afric a, Tunisia,
Morocco, Czech*, Slovakia*, Hungary, Poland, Croatia, B ulgaria, Romania,Russia*, China*, Korea, India, Pakistan, Indonesia, Malaysia, the Philippines,
Singapo re, Thailand) *1990年以降
3 括弧内は標準誤差。***は1%、**は5%、*は10%水準。
(出所) International Financial Statistics(IMF), IIFに基づく筆者による推定値。
12
3.2 資本流入と成長率・国内貯蓄・投資率への影響(地域・各国別)
3.2.1 地域別国内貯蓄・投資率の動向
1990 年代から本格化した新興国への資本流入について、全体ではコンスタントに FDI が増加してきたのに
対し、証券投資や対外借入は景気サイクルにほぼ沿った順循環的な動きをしている(図 2-1)
。ただし、各地
域ではその動向は異なっており、アジアに比べラテンアメリカでは流出入の変化が大幅である(図 2-1~4)
。
(10億㌦)
400
300
200
(10億㌦)
図2-1:途上・新興国への資本流入
(ネット)
図2-2:アジアへの資本流入(ネット)
150
FDI
証券投資
民間借入
政府借入
FDI
証券投資
民間借入
政府借入
100
50
100
0
0
-50
-100
-100
-200
-150
アジア危機
1980 1984 1988 1992 1996 2000 2004 2008
1980 1984 1988 1992 1996 2000 2004 2008
Source: IMF
Source: IMF
(10億㌦) 図2-3:中東欧への資本流入(ネット)
(10億㌦)
100
120
FDI
証券投資
民間借入
政府借入
100
80
60
FDI
証券投資
民間借入
政府借入
80
60
40
40
20
20
0
0
-20
-20
-40
-40
図2-4:ラテンアメリカへの資本流入
(ネット)
-60
1980 1984 1988 1992 1996 2000 2004 2008
Source: IMF
1980 1984 1988 1992 1996 2000 2004 2008
Source: IMF
地域別に資本流入の国内貯蓄・投資率への影響をアジア危機からアルゼンチン危機など資本収支危機が起
きた期間の 1997-2002 年と世界的な流動性ブームで新興国に投資が拡大した 2003-2007 年の期間を対象に分
析した(表 6-1、表 6-2)
。それによれば、全体に資本流入の影響はアジアの方がラテンアメリカに比べ国内
貯蓄率が投資率に与える影響が大きい。特に、資本流入全体額の国内貯蓄率への影響を示す回帰式(
(1)式)
をみると、係数はアジアの方がラテンアメリカに比べマイナス幅が大きく、また資本流入全体の国内投資率
への影響(
(5)式)では逆にプラス幅が大きい。
1997-2002 年には(1)式では資本流入の係数はアジアで-0.8480 に対し、ラテンアメリカは-0.2355 であ
り、また資本流入全体額の国内貯蓄率への影響をみる(5)式ではアジアは 0.4163 に対し、ラテンアメリカ
は 0.2117 である(表 6-1)
。
2003-2007 年では、
(1)式ではアジアは-1.4205、ラテンアメリカは-0.7665 であり、
(5)式ではアジアは
0.8399 に対しラテンアメリカは 0.5744 といずれも係数の幅はラテンアメリカの方が小さい(表 6-2)
。 ま
た、決定係数もアジアでは(1)、(5)式とも 2003―07 年にそれぞれ 0.7957、0.8095 と非常に高いのに対し、
13
ラテンアメリカではそれぞれ 0.6904、0.5983 と低く、欧州では 0.3806、0.2149 とさらに低い。
各資本流入項目別の国内貯蓄率に対する影響をみると、まず FDI については、アジアでは 1997-2002 年、
2003―07 年とも国内貯蓄率に対してプラスの影響を維持しているが、ラテンアメリカや欧州ではいずれもマ
イナスの係数を維持しており、
ラテンアメリカではその係数が 1997-2002 年
((2)式)
の-0.1340 から 2003-07
年には-1.5042、欧州でも同期にそれぞれ-0.4456 から-0.6146 まで拡大している。これは外資が FDI 分野
で流入したことで国内投資に関して国内貯蓄率の不足を補填した可能性がある。このことは、FDI 流入の国
内投資率に対する影響((6)式)でも 1997-2002 年にはラテンアメリカで 0.5020、欧州で 0.5619 であったが、
2003-07 年にはそれぞれ 1.1156、0.4320 とプラスを維持していることでも確認できる。
一方、FDI の国内投資率に対する影響を見ると((6)式)
、アジアでは 1997-2002 年に係数は 0.1300 で有意
でなかったが、2003-2007 年にはマイナス(-0.6921)に有意となっている。これに対し、ラテンアメリカで
は、0.5020 から 2003-2007 年に 1.1156 と大幅に上昇し有意性を示している。これは、アジアの場合には FDI
による資本流入が、必ずしも国内投資に結びつかないようになったのに対し、最近ラテンアメリカでは FDI
が国内投資の増加に繋がってきていることを示す。一方、欧州の場合、対象期間には中東欧への直接投資ブ
ームが続き、1997 年以降、FDI は国内投資に正で有意な関係を示している、
証券投資についてみると、1997-2002 年ではラテンアメリカでは国内貯蓄率に対する影響(
(3)式)は、
係数はプラスであり(0.3253)
、アジアがマイナス(-0.9473)
、国内投資率に対する影響(
(7)式)ではラテ
ンアメリカではマイナス(-0.2680)に対し、アジアはプラス(0.4737)と対照的であった。2003-2007 年に
入ると、ラテンアメリカでは国内貯蓄率、投資率のいずれも有意な関係を示さなくなる(
(3)
、
(7)式)が、
アジアの場合、前期(1997-2002)の傾向とほぼ同様である。これは、ラテンアメリカでは国内投資に海外か
らの証券投資が連動していないのに対し、アジアではそれが国内資本を代替して投資に回った可能性を示し
ている。アジアの場合、中国やインドなど資本規制を有効に活用した国、自由化がラテンアメリカに比べ比
較的遅れ、しかも 2000 年代に入り一定の規制・監督が強化された影響がみられる。
対外借入(
‘Others’)の国内貯蓄率に対する影響((4)式)は、全体的にマイナスに有意である。アジア、
ラテンアメリカとも回帰式の係数のマイナス幅が拡大しており、1997-2002 年のアジアが-0.4439、ラテン
アメリカの-0.6223 に比べ、2003-07 年にはそれぞれ-1.6950、-1.2640 となっている。これは、2003 年以
降の世界的過剰流動性の中、国内資本に対する海外からの資本が代替してきたことを示唆している。
全体的にアジアでは、中国やインドなど国内市場が大きい内需主導型の国を中心として外資主導による成
長ではなく、あくまで国内資本主体で投資を拡大させて経済成長を達成してきた点が注目される。これは、
外需依存が相対的に強いラテンアメリカとは対照的である。
14
表6-1 : 資本流入と国内貯蓄・ 投資率 [1997 -200 2]
【被説明変数】
【アジ ア】
国内貯蓄 率(GDP比 )
【説明変数】
Total Capital
(GDP比 , %)
FDI
(GDP比 , %)
Portfolio
(GDP比 , %)
Others
(GDP比 , %)
GDP成長率
(一人当たり,%)
国内投資 率
(GDP比 , %)
国内貯蓄 率
(GDP比 , %)
2
R
Obs
(1)
-0.8480
(0.1392)
(2)
(5)
(6)
**
***
0.6542
(8)
0.1300
(0.2765)
-0 .9473
(0.1733)
0.4020
(0.1604)
0.8563
(0.0984)
(7)
0.4163 * *
(0.1558)
0.6412 *
(0.3553)
-0.0671
(0.1855)
0.9623
(0.1284)
* **
0.6229
-0 .0268
(0.1504)
0 .9041
(0.1009)
***
***
0 .7486
0.4737
(0.1780)
-0.4439
(0.1990)
0.1695
(0.2016)
0.9558
(0.1245)
**
**
-0.0938
(0.1536)
0.1181
(0.1394)
0.0071
(0.1606)
0.1240
(0.1553)
0.1162
(0.1296)
***
(0.7033) ** (0.5499) *** (0.6818)
(0.0808)
(0.0734)
(0.0761)
0.6542
0.6065
0.6538
0.6346
***
(0.5662) * **
(0.0737)
0.6048
54
国 内貯蓄 率
(1)
-0.2355
(0.0926)
(2)
国内 投資率
(3)
(4)
(5)
(6)
(7)
-0.1340
(0.4241)
0.5020
(0.3005)
0 .3253 **
(0.1350)
-0.1236
(0.1574)
0.8460
(0.1479)
***
0.3771
(8)
0.2117 * **
(0.0643)
**
-0.1630
(0.1653)
0.7536
(0.1542)
* **
0.3065
-0 .2255
(0.1594)
0 .8169
(0.1462)
***
0 .3705
-0.2680
(0.0975)
-0.6223
(0.1720)
0.0856
(0.1641)
0.8911
(0.1413)
**
***
**
0.2137
(0.1100)
*
0.2640
(0.1157)
**
0.3103
(0.1114)
**
0.4973 * **
(0.1211)
0.0408
(0.1188)
***
0.4360 * ** 0.3966 *** 0.4381
(0.0762)
(0.0812)
(0.0784)
0.4619
0.3882
0.4341
0.4369
***
0.4661 * **
(0.0739)
0.5063
60
【 欧州】
【説明変数】
Total Capital
(GDP比 , %)
FDI
(GDP比 , %)
Portfolio
(GDP比 , %)
Others
(GDP比 , %)
GDP成長率
(一人当たり,%)
国内投資 率
(GDP比 , %)
国内貯蓄 率
(GDP比 , %)
2
R
Obs
(4)
***
【ラテンア メリカ】
【説明変数】
Total Capital
(GDP比 , %)
FDI
(GDP比 , %)
Portfolio
(GDP比 , %)
Others
(GDP比 , %)
GDP成長率
(一人当たり,%)
国内投資 率
(GDP比 , %)
国内貯蓄 率
(GDP比 , %)
2
R
Obs.
(3)
【被説明変数】
国内投資率( GDP比)
国 内貯蓄 率
(1)
-0.3586
(0.0814)
(2)
(5)
0.29983
0.10744
-0 .4390
(0.2272)
0.4420
(4)
***
-0.4456 * *
(0.1766)
0.4134
(0.1412)
0.3831
(0.1042)
国内 投資率
(3)
***
0.3798
(0.1566)
0.3973
(0.1194)
0.3131
**
* **
0 .3403
(0.1625)
0 .3174
(0.1169)
(6)
0.5619
(0.1845)
*
(7)
(8)
* **
***
0.2472
(0.2636)
**
***
0 .2794
-0.4593
(0.1343)
0.4440
(0.1505)
0.4162
(0.1135)
0.4935 * **
(0.1495)
-0.0800
(0.1800)
***
***
-0.0503
(0.1839)
0.0166
(0.1774)
0.0811
(0.1910)
***
0.5555 * ** 0.4562
(0.1511)
(0.1371)
0.2578
0.2764
0.3724
***
0.4047
(0.1491)
0.1570
***
0.5091 * **
(0.1388)
0.2958
54
(注) 1 (1 )~(8)式は各資本流入項目のネット値。各回帰式の定数項は表記を省略。
2 対象は33カ国(Argentina, Brazil, Columbia, Chile, Ecuardor, Mexico, Peru, Uruguay, Venezu ela, Co sta Rica, Egypt, Israel, South Afric a, Tunisia,
Morocco, Czech, Slovakia, Hungary, Poland, Croatia, Bulgaria, Roman ia,Russia, China, Korea, India, Pakistan, Indonesia, Malaysia, the Philippines,
Singapo re, Thailand)
3 括弧内は標準誤差。* **は1%、**は5%、*は10%水準。
(出所) International Finan cial Statistics(IMF), IIF, ADBに基づく筆者による推定値。
15
表6-2 : 資本流入と国内貯蓄・ 投資率 [2003 -07]
【被説明変数】
【アジ ア】
国内貯蓄 率(GDP比 )
【説明変数】
Total Capital
(GDP比 , %)
FDI
(GDP比 , %)
Portfolio
(GDP比 , %)
Others
(GDP比 , %)
GDP成長率
(一人当たり,%)
国内投資 率
(GDP比 , %)
国内貯蓄 率
(GDP比 , %)
2
R
Obs
(1)
-1.4205
(0.1586)
(2)
(5)
(6)
***
0.7957
(8)
-0.6921 **
(0.3372)
-1 .5458
(0.3605)
0.6333
(0.5638)
0.9621
(0.1578)
(7)
0.8399 * **
(0.1473)
1.8510 * **
(0.4910)
0.2562
(0.8583)
0.7070
(0.2291)
* **
0.5468
0 .7016
(0.8097)
0 .6532
(0.2197)
***
***
0 .5792
0.4860
(0.2731)
-1.6950
(0.1822)
0.1402
(0.5555)
1.0989
(0.1580)
*
***
2.2928
(0.3907)
***
2.1617
(0.4082)
***
0.5007 * ** 0.2720
(0.0821)
(0.0881)
0.8095
0.6877
***
0.2772
(0.0932)
0.6801
***
1.1092
(0.3740)
* **
1.0171 * **
(0.1475)
1.1701 * **
(0.3254)
***
0.8058
0.4982 * **
(0.0716)
0.8423
54
国 内貯蓄 率
(1)
-0.7665
(0.1216)
(2)
国内 投資率
(3)
(4)
(5)
(6)
(7)
-1.5042 * **
(0.4280)
1.1156
(0.3614)
***
-0 .4666
(0.2776)
0.1478
(0.1797)
0.8486
(0.1037)
***
0.6904
(8)
0.5744 * **
(0.1245)
***
0.2923
(0.2181)
0.8581
(0.1266)
* **
0.5452
0 .2645
(0.2386)
0 .7573
(0.1388)
0.0454
(0.2366)
***
0 .4565
-1.2640
(0.2145)
-0.0790
(0.1919)
0.9331
(0.1091)
***
-0.0389
(0.1641)
-0.1076
(0.1825)
0.9948 * **
(0.1882)
0.1463
(0.1600)
-0.0331
(0.2001)
***
0.6983 * ** 0.5824 *** 0.5187
(0.0854)
(0.0859)
(0.0951)
0.5983
0.5134
0.4131
0.6713
***
0.6581 * **
(0.0769)
0.6345
60
【 欧州】
【説明変数】
Total Capital
(GDP比 , %)
FDI
(GDP比 , %)
Portfolio
(GDP比 , %)
Others
(GDP比 , %)
GDP成長率
(一人当たり,%)
国内投資 率
(GDP比 , %)
国内貯蓄 率
(GDP比 , %)
2
R
Obs
(4)
***
【ラテンア メリカ】
【説明変数】
Total Capital
(GDP比 , %)
FDI
(GDP比 , %)
Portfolio
(GDP比 , %)
Others
(GDP比 , %)
GDP成長率
(一人当たり,%)
国内投資 率
(GDP比 , %)
国内貯蓄 率
(GDP比 , %)
2
R
Obs.
(3)
【被説明変数】
国内投資率( GDP比)
国 内貯蓄 率
(1)
-0.2687
(0.0707)
(2)
国内 投資率
(3)
(4)
(5)
***
(6)
-0.6146 * *
(0.1214)
0.4320
(0.1169)
-0 .4100 *
(0.2381)
0.9643
(0.3493)
-0.0591
(0.1827)
0.3806
**
(7)
(8)
0.1527 * *
(0.0670)
1.1473
(0.3205)
0.1455
(0.1802)
* **
0.4861
0 .9626
(0.3932)
-0 .3778
(0.1865)
***
-0.1814
(0.1972)
**
**
0 .2150
-0.2593
(0.1914)
0.9586
(0.3985)
-0.2009
(0.2204)
**
0.1938
0.3677
(0.3241)
0.0377
(0.3206)
0.6096
(0.3265)
*
-0.0441
(0.1365)
0.2149
0.1103
(0.1365)
0.3388
-0.2463
(0.1216)
0.1314
**
0.4143 * **
(0.1226)
0.3750
(0.2969)
-0.1013
(0.1111)
0.3100
54
(注) 1 (1 )~(8)式は各資本流入項目のネット値。各回帰式の定数項は表記を省略。
2 対象は33カ国(Argentina, Brazil, Columbia, Chile, Ecuardor, Mexico, Peru, Uruguay, Venezu ela, Co sta Rica, Egypt, Israel, South Afric a, Tunisia,
Morocco, Czech, Slovakia, Hungary, Poland, Croatia, Bulgaria, Roman ia,Russia, China, Korea, India, Pakistan, Indonesia, Malaysia, the Philippines,
Singapo re, Thailand) 3 括弧内は標準誤差。* **は1%、**は5%、*は10%水準。
(出所) International Finan cial Statistics(IMF), Institute of In te rnational Finance (IIF)に基づく筆者による推定値。
3.2.2 主要国別資本流入と貯蓄・投資率
主要国での資本流入と国内貯蓄・投資率の推移を 1980 年代から 2007 年まで示したのが表7である。これ
を見ると、1990 年代までにはアジアもラテンアメリカと同様に貯蓄・投資バランスがマイナス(すなわち海
外からの資本流入に依存)であったが、2000 年代に入るとほとんどの国でプラスに転じている。インドでは
16
同期間平均でマイナスとなっているが、
実際には 2000 年代半ばからは国内貯蓄率が投資率を上回る傾向がで
てきた。一方、ラテンアメリカでは、メキシコは大幅に貯蓄不足のままである。これに対し、アルゼンチン
やチリでは貯蓄・投資ギャップはプラスに転じている。特にアルゼンチンは 2001/2 年危機後の回復が反映さ
れていると見られる。
全体的にアジアでは国内貯蓄率は 30%前後以上の高水準を維持しているのに対し、ラテンアメリカでは、
全体的に平均値は 20%未満と低水準にあり、チリを除き国内貯蓄率は大きく上昇していない。ただし、中国・
インドでは国内投資率は上昇する一方、ASEAN 諸国ではアジア危機以降外貨準備蓄積の傾向が続き、国内投
資率は低下し、貯蓄率が投資率を大幅に上回っている。
表7: 資本流入と国内貯蓄率の推移(各国別)
韓国
1980-89 総資本流入
1.55
FDI
-0.06
0.22
Portfolio
Others
1.40
(a)国内貯蓄率
30.43
(b)国内投資率
29.35
1.08
(c)貯蓄・投資ギャッフ
1990-99 総資本流入
1.53
-0.06
FDI
Portfolio
1.62
-0.03
Others
(a)国内貯蓄率
34.20
35.11
(b)国内投資率
(c)貯蓄・投資ギャッフ
-0.91
2000-08 総資本流入
0.90
FDI
-0.11
0.19
Portfolio
Others
0.82
32.25
(a)国内貯蓄率
(b)国内投資率
29.94
2.30
(c)貯蓄・投資ギャッフ
中国 インドネシア マレーシア
0.91
3.15
3.90
0.32
0.31
3.18
0.13
0.06
1.71
0.46
2.79
-1.00
37.29
35.44
30.11
37.97
39.45
32.60
-0.68
-4.01
-2.50
2.50
1.25
3.88
3.42
0.92
5.57
0.05
0.27
-0.72
-0.96
0.07
-0.97
36.04
34.20
37.46
39.05
34.05
38.23
-3.02
0.15
-0.77
2.13
-1.18
-5.62
2.86
-0.21
0.26
-0.23
0.70
-0.17
-0.50
-1.66
-5.10
45.65
27.06
40.39
40.95
23.73
23.64
4.70
3.33
16.75
タイ
5.31
0.93
0.71
3.67
26.17
29.86
-3.69
4.27
2.31
1.45
0.51
34.28
37.01
-2.73
0.16
3.44
-0.04
-3.23
29.81
25.60
4.21
インド アルゼンチン ブラジル
1.24
-1.09
-0.26
0.00
0.54
0.71
0.00
-0.16
-0.07
1.24
-1.47
-0.90
19.41
20.75
19.40
21.23
21.25
21.41
-1.82
-0.50
-2.01
2.03
3.57
1.66
0.37
2.09
1.31
0.49
2.69
2.04
1.16
-1.21
-1.69
23.19
15.47
16.57
24.60
18.32
18.76
-1.41
-2.85
-2.19
2.89
-4.70
2.06
0.92
1.94
2.14
0.95
-1.92
0.61
1.01
-4.72
-0.68
30.54
20.51
16.31
31.03
17.48
16.89
-0.49
3.03
-0.58
(GDP比、%)
メキシコ
チリ
1.20
-0.95
1.11
1.99
-0.20
0.07
0.30
-3.01
20.96
8.56
23.55
18.48
-2.59
-9.92
4.32
5.73
2.07
3.45
1.91
0.29
0.35
1.99
18.92
23.34
23.66
25.41
-4.74
-2.08
2.38
0.51
2.37
4.06
0.63
-3.76
-0.62
0.21
19.67
23.95
22.01
22.53
-2.34
1.41
(注)資本流入の各変数(総額、FDI、証券投資、その他投資[対外借入含む])はネット流入額(GDP比)。ラテンアメリカの2000-08年は推定値。
(出所) International Financial Statistics(IMF), Instit ute of International Finance (IIF)より筆者作成
3.2.3 主要国での資本流入の成長率への影響
ここで、アジアやラテンアメリカ主要国における資本流入による成長率(一人当たり GDP 成長率)への
影響を見てみよう(表 8-1、8-2)
。 まず、中国では一般に外資が経済成長に大きな影響を与えていると考
えられがちであるが、全体からみればそれは一部に過ぎず、国内貯蓄率が投資に与える影響は正で有意(第
(5)~(7)式)な関係を示すほか、国内投資率も同様の傾向(第(2)~(4)式)があるものの、資本流入の影響は
有意な関係は示されていない。中国進出は合弁が基本であり、ASEAN などと比べても直接投資流入でも資
本比率は大きく拡大しない。
一方、韓国でも資本流入の各項目とも成長率にほとんど有意な関係が示されていない。しかも各式の決定
係数ははいずれも 0.1~0.2 台と低水準にとどまっている。これは、同国の成長率は他の要因、すなわち国内
の内需と国内資金を基盤にしていると考えられる。
シンガポールの場合は、FDI は正で有意な関係を示すほかは、証券投資や海外借入は成長率に影響を及ぼ
していない。さらに、国内投資・貯蓄率は全体では成長率に対して有意な影響を持たない。これは国家によ
る国内貯蓄制度が関係していると見られる(後述 3.2.3 参照)
。
17
表8-1: 資本流入と成長率【ア ジア】
【被説明変数】
【被説明変数】
【中国】
【説明変数】
Total Capital
(GDP比, %)
FDI
(GDP比, %)
Portfolio
(GDP比, %)
Others
(GDP比, %)
国内投資率
(GDP比, %)
国内貯蓄率
(GDP比, %)
経常収支
(GDP比, %)
R2
Obs
一人当たりGDP成長率
(1)
(2)
(3)
(7)
(8)
0.1344
(0.4064)
0.0108
(0.6391)
0.5045 * *
(0.1883)
0.0441
(0.3661)
-0.0694
(0.1961)
0.3749
-0.0667
(0.1585)
0.3997
0.5621
(0.1866)
-0.0823
(0.1645)
0.3744
0.1378
(0.6344)
** *
-0.2821
(0.3473)
0.6112 * **
(0.1861)
-0.1368
(0.3442)
0.5818
(0.2681)
-0.5422
(0.3822)
0.3628
-0.1346
(0.1701)
0.3965
**
0.5564
(0.2298)
-0.5193
(0.3033)
0.3664
**
*
0.5874
(0.1998)
-0.5496
(0.2800)
0.3642
* **
*
0.6130
(0.1989)
-0.5989
(0.2853)
0.3681
***
**
22
一人当たりGDP成長率
(1)
-0.7218
(0.3744)
(2)
(3)
(4)
(5)
*
(6)
(7)
0.0314
(1.7475)
0.8595
(1.7636)
0.0033
(0.5707)
0.2770
(0.1774)
0.3090
(0.1905)
-0.4052
(0.2742)
0.2200
(8)
-0.4757
(0.4769)
0.0067
(0.1944)
0.0992
0.3085
(0.1939)
0.0080
(0.1871)
0.0992
-0.3521
(0.5994)
-0.5601
(0.3346)
0.2504
(0.1830)
-0.3207
(0.4894)
0.2874
(0.2728)
-0.4330
(0.2804)
0.1788
-0.2997
(0.2531)
0.1934
0.4825
(0.2320)
-0.3017
(0.2398)
0.1531
*
0.5123
(0.2457)
-0.3087
(0.2372)
0.1569
*
0.2958
(0.3230)
-0.3412
(0.2555)
0.1598
28
一人当たりGDP成長率
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
0.1840
(0.1350)
(6)
(7)
(8)
0.2127
(0.1377)
0.4846 * *
(0.1861)
0.5361
(0.1834)
***
-0.0808
(0.1639)
-0.2249
(0.1697)
-0.1244
(0.1604)
0.0063
(0.1840)
0.1854
-0.0719
(0.1256)
0.3350
-0.2873
(0.1793)
-0.2075
(0.1609)
0.1204
-0.0676
(0.1839)
0.0357
(0.1419)
-0.2776
(0.1811)
0.0227
(0.1647)
-0.1616
(0.2977)
0.2102
(0.2113)
0.1267
-0.1583
(0.1431)
0.1125
0.0164
(0.2718)
-0.0192
(0.1607)
0.3152
-0.2314
(0.3459)
0.0390
(0.1898)
0.0291
-0.2024
(0.3613)
0.0599
(0.2423)
0.0235
24
一人当たりGDP成長率
【タイ 】
【説明変数】
Total Capital
(GDP比, %)
FDI
(GDP比, %)
Portfolio
(GDP比, %)
Others
(GDP比, %)
国内投資率
(GDP比, %)
国内貯蓄率
(GDP比, %)
経常収支
(GDP比, %)
R2
Obs.
(6)
0.3126
(0.3591)
【シンガポール】
【説明変数】
Total Capital
(GDP比, %)
FDI
(GDP比, %)
Portfolio
(GDP比, %)
Others
(GDP比, %)
国内投資率
(GDP比, %)
国内貯蓄率
(GDP比, %)
経常収支
(GDP比, %)
R2
Obs.
(5)
0.0306
(0.3796)
【韓国】
【説明変数】
Total Capital
(GDP比, %)
FDI
(GDP比, %)
Portfolio
(GDP比, %)
Others
(GDP比, %)
国内投資率
(GDP比, %)
国内貯蓄率
(GDP比, %)
経常収支
(GDP比, %)
2
R
Obs.
(4)
0.1048
(0.1051)
(1)
0.6595
(0.1908)
(2)
0.1812
(0.2355)
0.5430
(4)
(5)
0.6173
(0.2086)
-0.0705
(0.6731)
-0.1624
(0.1019)
(3)
** *
-0.1714
(0.1265)
-0.4954 * * -0.4851
(0.2152)
-(0.5050)
0.3250
0.3266
(7)
(8)
-0.6880
(0.6813)
(0.1411)
0.2668
(0.5291)
-0.1881
(0.1343)
(6)
** *
-0.4347
(0.5026)
0.5887 * **
(0.1740)
-0.0885
(0.1038)
0.1158
(0.1475)
0.2478
(0.2416)
0.5087
0.2194
(0.2429)
0.5289
29
18
0.5924
(0.1682)
0.3135
(0.1695)
-0.2597
(0.1851)
0.3627
*
0.3017
(0.1689)
-0.4468
(0.1341)
0.3559
*
* **
0.2078
(0.1356)
0.2795
(0.2161)
0.5589
***
【インドネシア】
【説明変数】
Total Capital
(GDP比, %)
FDI
(GDP比, %)
Portfolio
(GDP比, %)
Others
(GDP比, %)
国内投資率
(GDP比, %)
国内貯蓄率
(GDP比, %)
経常収支
(GDP比, %)
R2
Obs.
一人当たりGDP成長率
(1)
1.5952
(0.3006)
(2)
(3)
(4)
1.5682
(0.2947)
2.0700
(0.6948)
-0.0646
(0.0882)
1.1125
(0.3272)
0.5575
0.0862
(0.1246)
** *
(7)
(8)
0.7305
(0.9315)
** *
2.1356
(0.7083)
0.1111
(0.1071)
0.0162
(0.3892)
0.0812
* **
1.0559 * *
(0.4491)
-0.0727
(0.1265)
0.0590
(0.2895)
0.3055
8.5310
(5.5115)
1.5682
(0.2947)
1.1412
(0.3219)
0.5549
0.3198
(0.3575)
0.2294
** *
** *
0.0913
(0.1765)
0.0913
(0.1765)
0.0736
2.1356
(0.7083)
-0.0098
(0.2513)
0.3039
* **
-0.1705
(0.1719)
0.3727
(0.3436)
0.2488
29
一人当たりGDP成長率
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
-0.0207
(0.1678)
(6)
(7)
0.2404
(0.4357)
0.3076
(0.4228)
-0.3225
(0.2911)
0.2174
(0.2003)
0.0342
(0.2129)
0.1316
(8)
-0.0281
(0.1724)
0.1635
(0.2225)
-0.3488
(0.2831)
0.0915
(0.2186)
0.2187
(0.1995)
0.1261
(0.2125)
0.0611
(0.1672)
0.1415
-0.0381
(0.1817)
0.1717
0.0915
(0.2258)
0.1597
(0.1929)
-0.1997
(0.1667)
0.1135
0.2187
(0.1995)
0.1371
0.1109
(0.2027)
-0.0784
(0.1642)
0.1317
29
0.0982
(0.1939)
-0.1739
(0.1054)
0.1654
0.1642
(0.1925)
-0.1405
(0.1442)
0.1186
27
【インド】
【説明変数】
Total Capital
(GDP比, %)
FDI
(GDP比, %)
Portfolio
(GDP比, %)
Others
(GDP比, %)
国内投資率
(GDP比, %)
国内貯蓄率
(GDP比, %)
経常収支
(GDP比, %)
R2
Obs.
(6)
** *
0.6954
(0.8934)
【マレーシ ア】
【説明変数】
Total Capital
(GDP比, %)
FDI
(GDP比, %)
Portfolio
(GDP比, %)
Others
(GDP比, %)
国内投資率
(GDP比, %)
国内貯蓄率
(GDP比, %)
経常収支
(GDP比, %)
2
R
Obs.
(5)
** *
一人当たりGDP成長率
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
0.0718
(0.3033)
(6)
(7)
0.1002
(0.8778)
0.0572
(0.9064)
0.5680
(0.6498)
0.3112
(0.0869)
-0.3807
(0.2490)
0.6195
(8)
0.1025
(0.3067)
0.3223
(0.0696)
-0.3908
(0.2729)
0.6188
0.6279
(0.6594)
0.3172
(0.2815)
0.2724
(0.0462)
0.2618
(0.0912)
-0.4683
(0.2660)
0.6304
0.3358
(0.2844)
0.3049
(0.0890)
-0.6765
(0.2773)
0.6078
-0.1884
(0.2383)
0.5889
*
** *
**
0.3255
(0.0729)
-0.7000
(0.2798)
0.6060
***
**
0.2549
(0.0938)
-0.7234
(0.2684)
0.6203
**
**
0.2765
(0.0477)
-0.4594
(0.2495)
0.5807
28
(注1)各変数(FDI、証券投資、その他投資[対外借入含む]のネット流入、GDP比)の国内貯蓄・投資率(GDP比)への回帰。
(注2)期間は1980-08年(一部変数は2007年)、中国は1987-08年、シンガポールは1985―2008年。
(注3)括弧内は標準誤差。***、**、*はそれぞれ1%、5%、10%水準で有意。
(出所) International Financial St atistics(IMF), Institute of International Finance (IIF)により筆者作成
タイでは、対外借入(その他)による成長率への影響が有意な関係を示し、回帰式((4),(8)式)の決定
係数も比較的高い。これはアジア危機前などブーム時の対外借入による投資拡大などに典型的に見られたよ
うに景気に順循環的(Pro-cyclical)な同国の特徴を示す。
インドネシアの場合、他のアジアの国と異なり、証券投資が成長率に対し正で有意な関係を示している。
これは同国の株式や国債(SBI)に対する投資が、特に景気に順循環的な動きをしていることが背景にある
と見られる。
19
***
**
インドは従来資本規制があり、FDI や証券投資流入は近年急速に増加しているものの、資本流入の各項目
(FDI、証券投資、対外借入)ともなんら有意な関係を示していない。
一方、ラテンアメリカの場合、メキシコやチリでは国内投資率が成長率に関係が高いが、ブラジルのよう
に資本流入、国内投資・貯蓄率にもほとんど成長率に影響を与えない国もある。これは、国内投資率を含む
回帰式((1)式)の決定係数がメキシコ、チリはそれぞれ 0.5101、0.6015、国内貯蓄率を含む回帰式((5)式)
では、0.3786、0.4311 と比較的高いのに対し、ブラジルではそれぞれ 0.0638((1)式)及び 0.0643((5)式)と
低いことで示される。
表8-2: 資本流入と成長率【ラテンアメリカ】
【被説明変数】
【アルゼンチン】
【説明変数】
Total Capital
(GDP比, %)
FDI
(GDP比, %)
Portfolio
(GDP比, %)
Others
(GDP比, %)
国内投資率
(GDP比, %)
国内貯蓄率
(GDP比, %)
経常収支
(GDP比, %)
R2
Obs
(1)
0.9305
(0.2836)
(2)
【被説明変数】
一人当たりGDP成長率
(3)
(4)
0.9446
(0.2836)
(7)
0.4984
(0.3533)
0.2288
(0.4237)
1.4305
(0.5542)
0.3149
0.2710
(0.5364)
**
0.0322
(0.4399)
0.0246
(8)
-0.4382
(0.8811)
0.5334
(0.3566)
1.0050 * *
(0.4119)
0.1004
(0.4642)
0.2912
(0.4873)
0.3238
(0.4590)
0.0921
1.0889
(0.4212)
0.1102
(0.2884)
1.2853
(0.5545)
0.3109
0.9208 *
(0.5270)
0.2083
**
0.0308
(0.3642)
-0.1069
(0.4264)
0.0149
0.1544
(0.3348)
0.1236
(0.4420)
0.0869
-0.1648
(0.3231)
1.0501
(0.5949)
0.2150
29
一人当たりGDP成長率
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
0.1673
(0.2557)
(6)
(7)
(8)
0.1689
(0.2559)
-0.0016
(0.5666)
0.0203
(0.5789)
0.3832
(0.3983)
0.0069
(0.1903)
0.0008
(0.2150)
0.3675
(0.2894)
0.0638
0.2626
(0.2778)
0.0471
0.3912
(0.4004)
0.0164
(0.2907)
-0.0013
(0.1963)
0.0044
(0.1882)
0.2338
(0.2408)
0.0824
0.0111
(0.2955)
0.0209
(0.1766)
0.3534
(0.3060)
0.0643
0.2706
(0.2784)
0.0472
0.0165
(0.2037)
0.2561
(0.2743)
0.0473
0.0321
(0.1755)
0.2110
(0.2674)
0.0837
0.0111
(0.1851)
0.2609
(0.3228)
0.0473
28
一人当たりGDP成長率
【メキシコ】
【説明変数】
Total Capital
(GDP比, %)
FDI
(GDP比, %)
Portfolio
(GDP比, %)
Others
(GDP比, %)
国内投資率
(GDP比, %)
国内貯蓄率
(GDP比, %)
経常収支
(GDP比, %)
R2
Obs.
(6)
** *
-0.3097
(0.8833)
【ブラジル】
【説明変数】
Total Capital
(GDP比, %)
FDI
(GDP比, %)
Portfolio
(GDP比, %)
Others
(GDP比, %)
国内投資率
(GDP比, %)
国内貯蓄率
(GDP比, %)
経常収支
(GDP比, %)
2
R
Obs.
(5)
** *
(1)
0.5749
(0.2346)
(2)
(3)
(4)
(5)
**
0.5951
(0.2791)
0.2964
(0.6155)
(6)
(7)
-0.1293
(0.6634)
0.3213
(0.2974)
0.7040
(0.2523)
0.3903
(0.3051)
0.5101
** *
0.8401 * ** 0.8439
(0.2822)
(0.2722)
-0.1100
(0.2463)
0.3980
(8)
**
0.0100
(0.2715)
0.4195
0.4080
(0.3370)
** *
0.3242
(0.2710)
0.6850 * *
(0.2890)
0.4252
(0.3453)
0.1710
(0.1856)
-0.0734
(0.4047)
0.3786
-0.0028
(0.2600)
0.4253
29
20
0.3148
(0.1880)
-0.7768
(0.2577)
0.2668
***
0.3794
(0.1907)
-0.6632
(0.2661)
0.3063
*
**
0.1466
(0.2276)
-0.3992
(0.3933)
0.3077
**
*
【チリ】
【説明変数】
Total Capital
(GDP比, %)
FDI
(GDP比, %)
Portfolio
(GDP比, %)
Others
(GDP比, %)
国内投資率
(GDP比, %)
国内貯蓄率
(GDP比, %)
経常収支
(GDP比, %)
R2
Obs.
一人当たりGDP成長率
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
-0.0952
(0.1021)
(6)
(7)
-0.7152 * *
(0.3447)
-0.7405
(0.4170)
*
0.2376
(0.2535)
0.7497
(0.1412)
-0.1245
(0.1604)
0.6015
(8)
0.0261
(0.1137)
** *
0.7183 * ** 0.6437
(0.1123)
(0.1229)
0.1068
(0.1599)
0.6482
0.0372
(0.1810)
0.6016
0.2670
(0.3026)
** *
-0.0741
(0.0999)
0.7189 * **
(0.1312)
0.0374
(0.1119)
0.4316
(0.1232)
-0.5832
(0.3050)
0.4311
-0.0973
(0.1542)
0.5965
** *
*
0.4856
(0.1065)
-0.5010
(0.2633)
0.4938
***
*
0.4110
(0.1149)
-0.4554
(0.3227)
0.4472
* **
0.4328
(0.1152)
-0.5859
(0.2845)
0.4325
***
**
28
(注1)各変数(FDI、証券投資、その他投資[対外借入含む]のネット流入、GDP比)の国内貯蓄・投資率(GDP比)への回帰。
(注2)期間は1980-08年(ブラジルは1980-2007年)。
(注3)括弧内は標準誤差。***、**、*はそれぞれ1%、5%、10%水準で有意。
(出所) International Financial St atistics(IMF), Institute of International Finance (IIF)により筆者作成
メキシコの場合米国と隣接し、資本流入が活発であったことも関係していると見られる。このことは次項
(3.2.4)で示すように資本流入と国内貯蓄・投資率の関係が極めて高いことでも確かめられる。また、チリ
は、90 年代初めに外資流入規制を導入ことにみられるように、慎重な運営を行ってきた。このため、回帰式
の決定係数自体は比較的高いが、全体の資本流入の係数((1)式、(5)式)は非常に低く、国内貯蓄率や投資率
に比べ成長率への影響は低い。同時に国内貯蓄率の成長率への影響が大きいことは各回帰式の決定係数が比
較的高い(0.5~0.6 台)ことでも示されよう。
3.2.4 主要国での資本流入の国内貯蓄・投資率への影響
各国への資本流入が当該国の国内投資及び貯蓄率にどのような影響を与えたかを各資本流入項目(総額、
FDI、証券投資、対外借入等)及び経常収支を説明変数に含む回帰式を使って検証した(3)。全体的に国内貯蓄
率と国内投資率相互の相関性は高く、決定係数は全ての回帰式で高くなっている(表 9-1、9-2)
。
中国では、経常収支は国内貯蓄率には正、国内投資率には負で有意な関係を示しており、増加した貯蓄率
が投資資金に回り、国内投資の拡大(生産拡大)に伴い輸入が拡大し、経常収支赤字が拡大するパターンが
みてとれる。また、外需が牽引して国内投資も活発化したことが示唆される。注目されるのは、他の国々で
は FDI 流入が国内貯蓄率に負で有意な関係を示す国が多いなか、むしろプラスで有意な関係(係数 0.3727、
(2)式)を示す一方、(6)式では国内投資率に対して負の関係を示していることである。これは、外国投資で
はその多く(特に製造業)は合弁生産企業であり、国内の生産拡大を通して貯蓄率の上昇をもたらし、それ
が成長拡大につながったが、必ずしも国内投資率全体の拡大に直結するのではなく、むしろ景気対策として
公共事業など政府主導で国内投資を拡大する傾向があることを示していると考えられる。
韓国の場合、基本的に国内資本蓄積が投資に回るような政策が採られたものの、アジア危機以前の 1990
年代には財閥系企業を中心に海外からの資金調達が拡大したこともあり、国内投資率は対外借入に正で有意
な関係を示す((8)式)一方、国内貯蓄率には負で有意な関係となっている((4)式)
。他のアジア諸国に比べ、
各回帰式での決定係数(R2)が比較的低いのも特徴的であり、これは国内貯蓄率と投資率が密接に繋がって
いる中国、インドネシア、インドなど国内市場規模の大きい国と対照的である。
21
表9-1: 資本流入と国内貯蓄・投資率【アジア】
【被説明変数】
【中国】
国内貯蓄率(GDP比)
【説明変数】
Total Capital
(GDP比, %)
FDI
(GDP比, %)
Portfolio
(GDP比, %)
Others
(GDP比, %)
国内投資率
(GDP比, %)
国内貯蓄率
(GDP比, %)
経常収支
(GDP比, %)
R2
Obs
(1)
(2)
(5)
(6)
0.3727 * **
(0.0629)
(7)
-0.4178
(0.0824)
(8)
***
-0.1755
(0.1838)
0.2357
(0.1922)
**
0.8541
(0.0688)
0.8557
(0.0563)
0.9842
** *
** *
0.8298 * ** 0.9136
(0.0330)
(0.0537)
0.8429 * ** 0.8137
(0.0278)
(0.0473)
0.9943
0.9841
** *
** *
-0.1991
(0.0931)
0.9336 * **
(0.0499)
0.7870 * **
(0.0456)
0.9867
22
1.0484
(0.0845)
-0.8413
(0.1204)
0.9528
** *
** *
国内貯蓄率
(1)
-0.7665
(0.1216)
(2)
1.1717
(0.0466)
-0.9770
(0.0615)
0.9806
***
***
(4)
(5)
0.8997
(0.3819)
(6)
0.1478
(0.1797)
0.6904
1.0188
(0.0544)
-0.7791
(0.0781)
0.9647
***
***
(8)
0.9616
(1.5307)
0.8581 * ** 0.7573
(0.1266)
(0.1388)
0.2923
(0.2181)
0.5452
* **
(7)
-0.4666
(0.2776)
** *
* **
**
**
-1.5042 * **
(0.4280)
0.8486
(0.1037)
1.0306
(0.0606)
-0.8142
(0.0848)
0.9564
0.2319
(0.0942)
国内投資率
(3)
** *
-0.2254
(0.5237)
** *
0.2645
(0.2386)
0.4565
-1.2640 * **
(0.2145)
0.9331 * **
(0.1091)
1.0484
(0.2184)
-0.1001
(0.2246)
0.4945
-0.0790
(0.1919)
0.6713
** *
0.7775
(0.2013)
-0.4969
(0.2081)
0.3878
***
**
0.7810
(0.2147)
-0.4778
(0.2072)
0.3825
* **
**
1.0019
(0.3781)
**
1.2227
(0.2496)
-0.1641
(0.1974)
0.5185
***
28
国内貯蓄率
(1)
(2)
国内投資率
(3)
(4)
0.0388
(0.0778)
(5)
(6)
-0.0148
(0.1194)
0.6877
(0.1060)
0.7863
** *
** *
0.3836 * ** 0.3486
(0.1029)
(0.0935)
0.6482 * ** 0.5783
(0.0806)
(0.0839)
0.7838
0.8109
** *
** *
0.0370
(0.1677)
0.1537 * *
(0.0709)
0.3353 * **
(0.0905)
0.6884 * **
(0.0715)
0.8248
24
-0.0620
(0.1493)
1.1377
(0.2807)
-1.0991
(0.1992)
0.6456
** *
** *
国内貯蓄率
(1)
0.4880
(0.1504)
(2)
(4)
** *
(5)
-0.5837
(0.2213)
0.9376
(0.1856)
0.7180
** *
0.5550 * ** 0.5783
(0.0933)
(0.1039)
0.2482
(0.1588)
0.6345
***
***
1.1763
(0.3155)
-1.0021
(0.1731)
0.6312
* **
* **
1.2138
(0.3276)
-1.0586
(0.2197)
0.6334
***
***
(6)
(7)
(8)
**
-0.3650
(0.7138)
12.6198
(3.1039)
** *
1.0689
(0.2867)
-0.9787
(0.1695)
0.6518
国内投資率
(3)
0.7724
(0.4968)
0.5933
(0.0803)
(8)
-0.2154
(0.1935)
-0.1451
(0.0855)
0.3964
(0.0978)
(7)
-0.1206
(0.1298)
【タイ 】
【説明変数】
Total Capital
(GDP比, %)
FDI
(GDP比, %)
Portfolio
(GDP比, %)
Others
(GDP比, %)
国内投資率
(GDP比, %)
国内貯蓄率
(GDP比, %)
経常収支
(GDP比, %)
R2
Obs.
(4)
-0.0040
(0.1196)
【シンガポール】
【説明変数】
Total Capital
(GDP比, %)
FDI
(GDP比, %)
Portfolio
(GDP比, %)
Others
(GDP比, %)
国内投資率
(GDP比, %)
国内貯蓄率
(GDP比, %)
経常収支
(GDP比, %)
R2
Obs.
(3)
0.1048
(0.1051)
【韓国】
【説明変数】
Total Capital
(GDP比, %)
FDI
(GDP比, %)
Portfolio
(GDP比, %)
Others
(GDP比, %)
国内投資率
(GDP比, %)
国内貯蓄率
(GDP比, %)
経常収支
(GDP比, %)
2
R
Obs.
【被説明変数】
国内投資率(GDP比)
0.4279
(0.1176)
0.5995
** *
** *
** *
0.6240
(0.5115)
0.2891 *
(0.1487)
0.6145 * **
(0.0891)
0.7491 * **
(0.2076)
0.6672
28
22
1.1560
(0.1565)
-1.3220
(0.2564)
0.7886
** *
** *
1.0555
(0.1775)
-0.6402
(0.1905)
0.7326
***
***
0.9573
(0.1719)
-0.6403
(0.1365)
0.7450
* **
* **
-0.4167
(0.1945)
**
1.0817
(0.1568)
-1.1448
(0.2499)
0.7709
***
***
【インドネシア】
【説明変数】
Total Capital
(GDP比, %)
FDI
(GDP比, %)
Portfolio
(GDP比, %)
Others
(GDP比, %)
国内投資率
(GDP比, %)
国内貯蓄率
(GDP比, %)
経常収支
(GDP比, %)
R2
Obs.
国内貯蓄率
(1)
(2)
(5)
(6)
(7)
-0.8830
(0.5406)
0.6452
(0.7917)
-0.5565
(0.4964)
0.6362
(0.0806)
(8)
0.4216
(0.3563)
** *
0.1720
(0.2987)
0.7946
0.6005 * ** 0.6134
(0.0754)
(0.0766)
0.6005
(0.0754)
0.8127
0.3995
(0.6991)
** *
0.2200
(0.2069)
0.8027
0.8007
(0.3121)
0.5850 * **
(0.0862)
0.2463
(0.4267)
0.4216
(0.3563)
-0.4476
(0.3892)
0.8568
0.4139
(0.2437)
0.8007
** *
-0.6586
(0.3054)
-0.6510
(0.3094)
0.8526
***
**
1.1734
(0.1464)
-0.7753
(0.2480)
0.8507
* **
* **
1.1078
(0.1633)
-0.6876
(0.3264)
0.8507
***
**
29
国内貯蓄率
(1)
(2)
国内投資率
(3)
(4)
0.0040
(0.0507)
(5)
(6)
-0.2565 * *
(0.1219)
3.0837
(1.6198)
0.2260
(0.0780)
1.0400
(0.0614)
1.2081
(0.0647)
0.9648
(7)
** *
***
1.1001 * ** 1.1079
(0.0633)
(0.0578)
1.1951 * ** 1.2701
(0.0474)
(0.0496)
0.9703
0.9739
(2)
***
-0.2251
(0.0646)
** *
** *
** *
1.1739 * **
(0.0573)
0.9666
27
0.0658
(0.0601)
0.8873
(0.0524)
-1.1321
(0.0453)
0.9864
** *
** *
0.8422
(0.0484)
-1.0485
(0.0385)
0.9897
***
***
0.8472
(0.0442)
-1.1246
(0.0240)
0.9910
* **
* **
0.8901
(0.0512)
-1.1002
(0.0383)
0.9871
***
**
国内投資率
(3)
(4)
0.0142
(0.1069)
(5)
(6)
(7)
(8)
0.0496
(0.1075)
0.3469
(0.3009)
-0.2344
(0.3146)
0.0863
(0.2317)
0.9845
(0.0877)
0.9932
* **
-0.0726
(0.0649)
1.0408 * **
(0.0599)
国内貯蓄率
(1)
0.9792
(0.0306)
(8)
-0.0057
(0.0468)
【インド】
【説明変数】
Total Capital
(GDP比, %)
FDI
(GDP比, %)
Portfolio
(GDP比, %)
Others
(GDP比, %)
国内投資率
(GDP比, %)
国内貯蓄率
(GDP比, %)
経常収支
(GDP比, %)
R2
Obs.
(4)
-0.1323
(0.2744)
【マレーシ ア】
【説明変数】
Total Capital
(GDP比, %)
FDI
(GDP比, %)
Portfolio
(GDP比, %)
Others
(GDP比, %)
国内投資率
(GDP比, %)
国内貯蓄率
(GDP比, %)
経常収支
(GDP比, %)
2
R
Obs.
国内投資率
(3)
** *
***
0.9643 * ** 0.9724
(0.0239)
(0.0325)
0.9409 * ** 0.9713
(0.0935)
(0.0949)
0.9935
0.9932
0.0671
(0.2354)
** *
** *
-0.0690
(0.0925)
0.9752 * **
(0.0152)
0.9851 * **
(0.0783)
0.9945
28
0.0693
(0.0946)
0.9979
(0.0312)
-0.9745
(0.0971)
0.9922
** *
** *
1.0220
(0.0253)
-0.9667
(0.0971)
0.9923
***
***
1.0015
(0.0335)
-0.9868
(0.0958)
0.9922
* **
* **
1.0192
(0.0159)
-1.0011
(0.0830)
0.9940
***
***
(注1)各変数(FDI、証券投資、その他投資[対外借入含む]のネット流入、GDP比)の国内貯蓄・投資率(GDP比)への回帰。
(注2)期間は1980-08年、中国は1987-08年、シンガポールは1985―2008年。
(注3)括弧内は標準誤差。***、**、*はそれぞれ1%、5%、10%水準で有意。
(出所) International Financial St atistics(IMF), Institute of International Finance (IIF)により筆者作成
シンガポールでは、資本流入が国内貯蓄・投資率と有意な相関関係を示さない。これは、同国の国内貯蓄
は基本的に政府主導で導入された国民の貯蓄制度を原資とする豊富な資金が国有企業などの事業を含む国内
大規模投資に有効に活用されていることがあるとみられる。
タイでは、
(8)式のように対外借入が国内投資率と負の相関がみられる。これは、対外借入は国内投資の
減少したときに増加するという関係を示すと考えられる。また、経常収支と国内貯蓄率の正の相関は輸出が
増加したときに国内貯蓄率が増加すること、逆に経常収支と国内投資率の負の相関は前者が増加したときに
23
は後者は輸入の拡大によってマイナスになるということを示している。
インドネシアの場合、海外資本の流入は国内貯蓄率、国内投資率に対して有意な関係を示していない。こ
れは、同国への資本流入は外的な環境(原油価格上昇に伴う資本流入など)に大きく依存し、国内貯蓄率が
従来低かったこともあいまって、大きな相関性をもってこなかったとみられる。
マレーシアでは国内投資率・貯蓄率は双方とも非常に高い相関性(回帰式の決定係数はいずれも 0.9 以上)
を示している。FDI は国内貯蓄・投資率に有意で高い相関性を示し、FDI 流入は国内貯蓄にマイナスで有意で
あり、投資率にはプラスに有意となっている。また、経常収支も国内貯蓄率と正、国内投資率とは負で有意
な関係が鮮明になっている。これは、小国経済における貿易・投資の影響が大きいことが示される。対外借
入(
(4)
、
(8)式)に関しては国内貯蓄・投資とも有意な関係を示していないのは、同国では国内金融市場が
比較的発達しており、依存しない構造となっていることが関係しているとみられる。
インドでは国内投資・貯蓄率の相互の相関性が高く、正で有意な関係を示している。その一方、資本流入
の各項目は全て国内貯蓄・投資率に有意な関係を示していない。これは基本的に長らく資本自由化を抑制し
てきたことが反映しているとみられ、外資の国内投資全体に対する役割はまだ小さいことが示される。
一方、ラテンアメリカ主要国をみてみると、早くから金融・資本自由化を進めたため、特にアルゼンチン
では国内資本流出が拡大、国内貯蓄率が減少した可能性が高い。このことは、長期的な経済成長率がアジア
に比べ低い水準にとどまってきたことと関係が深いと考えられる。
(表 9-2)
。
ラテンアメリカでは、ブラジル、チリが国内貯蓄率((1)式)
、国内投資率((5)式)とも相関性は高く、決
定係数(R2)は(1)から(8)式まで有意で高い数字(0.9 以上)を示している。ただし、チリは対外借入等
(’Others’)が国内貯蓄率に対してマイナスに有意(
(4)式)であるのに対し、メキシコは正で有意な関
係を示す。全体的にチリを除き総資本流入の国内貯蓄・投資率に及ぼす影響は有意な関係が見られず、一部
対外借入(Others)で国内投資率が国内貯蓄率に対して有意な影響を及ぼしていることがみられる。
ラテンアメリカ主要4ヵ国の中で各回帰式の決定係数が 0.5 台と最も低いのがメキシコであり、
ブラジル、
チリは 0.9 台、アルゼンチンでも 0.7~0.8 台と対照的である。これは国内貯蓄・投資率自体の相関性が低い
ことが示される。これは同国では伝統的に海外からの投資に資金を依存することがあるためとみられる。同
国は米国に隣接し、米国資本の投資に伴う資本流出入への影響が大きく、メキシコ危機(1994)の経験ではそ
のことが明白に示された。国内貯蓄率の国内投資率に及ぼす影響は(5)~(8)式で示されているが、資本流入
総額(ネット)を説明変数に入れた(5)式をみると、メキシコの係数は 0.3364 と、他のラテンアメリカ主要
国がいずれも 0.6 から 0.9 程度となっているのと比べ低い。これは、国内貯蓄率の不足を海外からの資金で
まかなっている度合いが高いことが推測される。
以上の分析は、各国の国情の相違、特に国内市場の大小や資本規制の有無など制度面などから大きな違い
があることも示唆している。全体的にアジアに比べラテンアメリカが外資に依存してきた国が多く、それだ
け国内経済の変動が大きく、また国内貯蓄率が全体に低水準にとどまってきた。但し、次章で振れるように、
2000 年代に入り「ポスト・資本収支危機」時代となった現在、適切な資本移動の管理や金融市場の監督につ
いては多くのラテンアメリカやアジア新興国では一般的になっているため、今後資本流入の国内経済に対す
る影響はコントロールされる可能性がある。先進国を含めた国際的な金融規制の動きが本格化するなか、新
興国、さらに途上国にとっても今後の国際的な資本規制・監督面の厳格化の動きは一層注目される。
24
表9-2: 資本流入と国内貯蓄・投資率【ラテンアメリカ】
【被説明変数】
【アルゼンチン】
国内貯蓄率(GDP比)
【説明変数】
Total Capital
(GDP比, %)
FDI
(GDP比, %)
Portfolio
(GDP比, %)
Others
(GDP比, %)
国内投資率
(GDP比, %)
国内貯蓄率
(GDP比, %)
経常収支
(GDP比, %)
R2
Obs
(1)
(2)
(6)
-0.0922
(0.2757)
(1.2496)
(0.1560)
1.0070
(0.2041)
0.7814
** *
** *
1.2207 * ** 1.2573
(0.1674)
(0.1483)
1.1256 * ** 1.0281
(0.1373)
(0.1397)
0.7765
0.8021
*
** *
** *
0.1759
(0.1386)
1.1987 * **
(0.1562)
1.2843 * **
(0.1774)
0.7891
29
(2)
-0.0481
(0.0995)
0.5758
(0.0719)
-0.6851
(0.1382)
0.7987
** *
** *
0.5572
(0.0764)
-0.7703
(0.0895)
0.7961
***
***
0.5901
(0.0696)
-0.7169
(0.0919)
0.8144
* **
* **
(4)
(5)
(6)
** *
** *
(7)
1.0256 * ** 1.0520
(0.0505)
(0.0417)
0.7997 * ** 0.8549
(0.0653)
(0.0534)
0.9662
0.9711
**
** *
** *
0.1940
(0.0829)
(8)
(2)
**
0.1124
(0.0667)
1.0375 * **
(0.0450)
0.8908 * **
(0.0639)
0.9678
28
-0.0899
(0.0639)
0.9078
(0.0399)
-0.7521
(0.0692)
0.9565
** *
** *
国内貯蓄率
(1)
0.9213
(0.0454)
-0.7594
(0.0611)
0.9569
***
***
0.9160
(0.0363)
-0.7889
(0.0553)
0.9643
* **
* **
(4)
(5)
(6)
***
***
(7)
(8)
-0.0222
(0.1684)
0.5260
(0.6012)
-0.5029
(0.3546)
-0.4004
(0.2895)
0.0469
(0.1922)
* **
** *
** *
0.9183 * ** 0.8249
(0.2756)
(0.2650)
1.2068 * ** 0.9933
(0.2406)
(0.2642)
0.5035
0.5246
** *
** *
0.7026
(0.2365)
0.5936 * *
(0.2521)
1.4474 * **
(0.2268)
0.6218
29
0.0644
(0.1970)
0.3364
(0.1119)
-0.7775
(0.2442)
0.5275
** *
** *
国内貯蓄率
(1)
(2)
0.3348
(0.1005)
-0.7646
(0.1377)
0.5624
***
***
0.3386
(0.1088)
-0.7387
(0.1518)
0.5283
* **
* **
(4)
(5)
0.1175
(0.0477)
(6)
(7)
***
(8)
-0.0946
(0.2060)
0.1566
(0.1782)
-0.0468
(0.1433)
*
** *
**
**
0.2078
(0.2584)
** *
0.3057
(0.1299)
-0.6947
(0.2244)
0.5292
国内投資率
(3)
-0.0987
(0.0701)
1.3328
(0.1101)
0.9645
0.9221
(0.0400)
-0.8218
(0.0698)
0.9594
国内投資率
(3)
0.4164
(0.2441)
1.2805
(0.0969)
***
0.0861
(0.1290)
-0.2133
(0.0883)
1.5469
(0.3174)
0.5416
***
0.0261
(0.0578)
-0.1648
(0.1332)
(0.7888)
(0.2625)
0.5856
(0.0763)
-0.8344
(0.1405)
0.7941
国内投資率
(3)
-0.0318
(0.0622)
0.8187
(0.0704)
0.9842
(8)
0.1284
(0.0741)
国内貯蓄率
(1)
(1.0527)
(0.0463)
(7)
-0.1287
(0.1849)
-0.1972
(0.1075)
【チリ】
【説明変数】
Total Capital
(GDP比, %)
FDI
(GDP比, %)
Portfolio
(GDP比, %)
Others
(GDP比, %)
国内投資率
(GDP比, %)
国内貯蓄率
(GDP比, %)
経常収支
(GDP比, %)
R2
Obs.
(5)
0.0637
(0.0707)
【メキシコ】
【説明変数】
Total Capital
(GDP比, %)
FDI
(GDP比, %)
Portfolio
(GDP比, %)
Others
(GDP比, %)
国内投資率
(GDP比, %)
国内貯蓄率
(GDP比, %)
経常収支
(GDP比, %)
R2
Obs.
(4)
-0.0856
(0.1044)
【ブラジ ル】
【説明変数】
Total Capital
(GDP比, %)
FDI
(GDP比, %)
Portfolio
(GDP比, %)
Others
(GDP比, %)
国内投資率
(GDP比, %)
国内貯蓄率
(GDP比, %)
経常収支
(GDP比, %)
2
R
Obs.
(3)
【被説明変数】
国内投資率(GDP比)
1.1931 * ** 1.1832
(0.0842)
(0.0863)
1.3473 * ** 1.4626
(0.1198)
(0.1272)
0.9626
0.9628
** *
** *
-0.1326
(0.0657)
1.2802 * **
(0.0862)
1.3352 * **
(0.1014)
0.9670
28
0.6831
(0.0517)
-0.8363
(0.1280)
0.9259
** *
** *
0.7453
(0.0526)
-0.9671
(0.1301)
0.9087
***
***
(注1)各変数(FDI、証券投資、その他投資[対外借入含む]のネット流入、GDP比)の国内貯蓄・投資率(GDP比)への回帰。
(注2)期間は1980-08年(ブラジルは1980-2007年)。
(注3)括弧内は標準誤差。***、**、*はそれぞれ1%、5%、10%水準で有意。
(出所) International Financial St atistics(IMF), Institute of International Finance
25 (IIF)により筆者作成
0.7458
(0.0544)
-1.0098
(0.1528)
0.9083
* **
* **
0.1265
(0.0459)
**
0.7015
(0.0473)
-0.8814
(0.1167)
0.9294
***
***
以上の関係を各国別に行った Granger の因果性テストによって分析し、その結果を図式化したものが図
2-1~2-11 である。これらは、各項目(総資本流入、FDI、証券投資、対外借入等、国内貯蓄率、国内投資率、
経常収支)が説明変数に対しどの方向に影響があるかを示したものであり、プラス、マイナス双方の効果が
あるということを示す。例えば、’Savings ⇒ Investment’の場合、国内貯蓄率が国内投資率に有意な影響が
あるということを示し、項目間に矢印が全くない場合にはそれらの項目で有意な関係がないことを示す。
一般的に東アジア諸国(韓国・中国)では資本流入による成長率や国内貯蓄・投資への直接的影響は少な
い。国内貯蓄率が成長率に影響を与えているのはインドネシア、シンガポール、インドであり、中国、韓国、
マレーシアではむしろ成長率によって資本流入が影響を受けるという傾向がある。このことは、国内貯蓄率
よりむしろ他の要素によって成長が促進されてきたとみられる。FDI は直接成長率に影響を及ぼさないが、
シンガポール、インドネシア、インドでは、証券投資は成長率に影響を与える傾向がある。国内貯蓄率と成
長率の関係は東アジアでは成長率がむしろ国内貯蓄率に影響を与えているが、例外的にインドでは資本規制
の存在から証券投資なども成長率への正の影響もみられる。比較的国内市場の大きいインドやインドネシア
では国内貯蓄・投資率の相互関係がみられる。
図2-1:: Granger Causality (China)
Total
Inflows
FDI
Portfolio
図2-2:: Granger Causality (Korea)
Total
Inflows
Current
Account
Others
Savings
FDI
Investment
(注)太線は1%;細線は5%;点線は10%水準で有意。
図2-3:: Granger Causality (Singapore)
Portfolio
図2-4::Granger Causality (Thailand)
Total
Inflows
Current
Account
FDI
Others
Savings
Investment
GDP Growth
(per capita)
(注)太線は1%;細線は5%;点線は10%水準で有意。
FDI
Others
Savings
GDP Growth
(per capita)
Total
Inflows
Portfolio
Current
Account
Portfolio
Current
Account
Others
Savings
Investment
Investment
GDP Growth
(per capita)
GDP Growth
(per capita)
(注)太線は1%;細線は5%;点線は10%水準で有意。
(注)太線は1%;細線は5%;点線は10%水準で有意。
26
図2-6: Granger Causality (Malaysia)
図2-5:: Granger Causality (Indonesia)
Total
Inflows
FDI
Portfolio
Total
Inflows
Current
Account
Others
Savings
FDI
Investment
Portfolio
Current
Account
Others
Savings
Investment
GDP Growth
(per capita)
GDP Growth
(per capita)
(注)太線は1%;細線は5%;点線は10%水準で有意。
(注)太線は1%;細線は5%;点線は10%水準で有意。
図2-7:: Granger Causality (India)
Total
Inflows
FDI
Current
Account
Portfolio
Others
Savings
Investment
GDP Growth
(per capita)
(注)太線は1%;細線は5%;点線は10%水準で有意。
一方、ラテンアメリカ諸国(図 2-8~2-11)ではアルゼンチン、ブラジル、チリは対外借入が成長率に影
響を持っている一方、メキシコは資本流入と貯蓄・投資及び成長率の因果関係は薄い。ラテンアメリカでは
チリが比較的資本を有効に活用しており、国内貯蓄が投資に影響を与え、成長率との相互関係もみられる。
図2-9:: Granger Causality (Brazil)
図2-8: Granger Causality (Argentina)
Total
Inflows
FDI
Portfolio
Total
Inflows
Current
Account
FDI
Others
Investment
Savings
Portfolio
Current
Account
Others
Investment
Savings
GDP G rowth
(per capita)
GDP G rowth
(per capita)
(注)太線は1%有意;実線は5%有意;点線は10%有意。
(注)太線は1%有意;実線は5%有意;点線は10%有意。
27
図2-10: Granger Causality (Mexico)
Total
Inflows
FDI
Portfolio
図2-11:: Granger Causality (Chile)
Current
Account
Total
Inflows
Others
FDI
Investment
Savings
Portfolio
Current
Account
Others
Investment
Savings
GDP G rowth
(per capita)
GDP G rowth
(per capita)
(注)太線は1%有意;実線は5%有意。
(注)太線は1%有意;実線は5%有意;点線は10%有意。
しかし、メキシコのように資本の開放度が高い国では、資本流入が成長率に与えた影響は非常に限定的で
ある。これは上記の資本流入、国内貯蓄・投資率と成長率に関する回帰分析の結果と整合的である。
さらに、各国別に資本流入の国内貯蓄・投資率および成長率への影響を VAR 分析によるインパルス応答
関数(のグラフは Appendix2 に示してある。これは上記の成長率、資本流入、国内貯蓄・投資率に関する回
帰分析したの傾向とほぼ重なっており、アジアでは一般的に資本流入の成長率に対する影響は限定的である
一方、国内貯蓄率の投資への影響が強いことは確認された。また、ラテンアメリカでは、資本流入はむしろ
成長率にマイナス作用する場合が多く、国内貯蓄率の国内投資率への影響も限定的である。
以上のように、各国・地域の資本・金融自由化の時期、国内市場規模や産業構造の相違、発展段階などに
よって資本流入と国内貯蓄・投資率及び成長率への影響は様々であることがわかる。
4. 資金源としての外資と国内貯蓄~結論にかえて
本稿での分析では、
過去 20 年以上にわたるグローバル規模の資本自由化によって新興国においては資本流
出入が経済全体、特に成長率、貯蓄・投資率に大きな影響を与えており、F-H の示した先進国中り心のパラ
ドックスは新興国においては既に解消しつつある。むしろ近年では先進7カ国(G7)より資本流出入の影響
は大きな傾向があることが示された。
ただし、各国における経済規模、資本自由化の進展度や国内の金融制度などの相違によって資本流入の国
内貯蓄・投資率・成長率に対する影響も大きく異なる。概して内外資本取引の自由化が進んできた国(資本
規制のない国)では、資金を国内貯蓄によらず対外借入などに依存する傾向が見られる。海外からの借入へ
の比重が高い場合、通貨下落した際に中長期的に対外債務が増大し、成長への大きな制約条件となる。また、
基本的に国内投資率に対して、必ずしも証券投資は貢献しないが、FDI 及び対外借入は各国の状況や期間に
よっては投資を増加させる傾向がある。
一般的に国内経済の対外資本への依存は景気動向にプロサイクリカル(順循環的)になりやすく、中長期
的な安定成長を達成しにくい。例えば、早い時期から資本・金融自由化を進めてきたラテンアメリカでは中
長期的に不安定な成長経路をたどっており、アジア諸国に比べ総じて長期的に GDP 成長率も非常に変動幅が
大きいことがわかる(図 2-1,2-2)
。 (4)。アルゼンチンやメキシコのように早い時期(1970 年代)から金融
の国際的な自由化を進めた国では中長期的に国内貯蓄率の向上に繋がらず、対外借入に依存してきた構図が
みられる。
28
(前年比, %)
図3-1: ラテンアメリカ主要国のGDP成長率
12
メキシコ
チリ
8
4
0
-4
ブラジル
-8
アルゼンチン
-12
80
82
84
86
88
90
92
94
96
98
00
02
04
06
08
04
06
08
(出所)IMF(World Economic Outlook) Data
図3-2: アジア主要国の経済成長率
(前年比, %)
20
15
10
5
0
マレーシア
インドネシア
中国
-5
-10
-15
80
82
84
86
タイ
韓国
インド
88
90
92
94
96
98
00
02
(出所)IMF(World Economic Outlook) Data
一方、アジア諸国の国内貯蓄率はラテンアメリカに比べ高いが、これは基本的に 1990 年代まで外資に依存
してこなかったため、資本の対外依存に歯止めがかかってきたと考えられる。また 90 年代に入ってもラテン
アメリカに比べても金融機関の対外資本の流出入に関するプルーデンス管理が比較的厳しかった。さらに、
アジアの場合、戦後の日本(1970 年代)や最近までの中国やインドなどのように発展段階で当局が為替・資
本取引には一定の制限及び管理・監督を行う場合には安定的な経済成長につながる可能性を示している(5)。
インドでは最近になって政府の国内貯蓄奨励策も相まって、外資を選択的に導入して成功している。東南ア
ジア諸国でもラテンアメリカに比べ外資依存度は低かったが、最近ではそれを有効に活用した国が多く、一
般的に金融・資本自由化の時期が遅かったことが幸いした。また、資本規制、特に資本流入規制については
国内の金融政策の独立性を維持しやすいため、経済政策全般に安定化をもたらす要素となり得る(Magud et
al., 2007)
。また資本流出規制も短期的にはマレーシアが導入(1998 年)した方式は成功しており、場合に
よっては他国でも適用できることも可能であろう。
最近では、2000 年代に入り内外資本取引が一層活発化し、比較的有効に活用している国々も増えているも
の、基本的に外資依存は景気循環に順循環的(pro-cyclical)となりやすく、2008 年秋以降の世界的金融危
機にみられるように先進国金融機関の破綻などから急激な資本引揚げによって大きく影響されるため、慎重
な対応が必要である。このため、過去に危機を経験した主要国(インドネシア、タイ、アルゼンチン、ブラジ
ルなど)では、2000 年代に入り対外資本・通貨取引への監督・規制を強化した国が多く、1990 年代までのよ
うな資本収支危機は発生していない(表 10)
。この点で新 EU 加盟国となった中東欧諸国での最近の危機の背
景には資本移動の果然自由化と通貨固定の歪があったことと対照的である。
以上から、国内資本の充実と貯蓄・投資を促進するためには、発展段階において資本取引に一定の監視・
制限を設け、過大な為替の債務への影響を回避し、金融・財政政策の自由度を維持することが中長期的成長
に繋がる可能性を示唆している6。
29
表10: 主要新興国の為替・資本取引規制
国名
外貨決済
対外支払・
対外借入・受取
信用供与
タイ
当局届出・報告
外為銀行経由
2万㌦超
中銀報告
[5000㌦超]
インドネシア 当局届出・報告
中銀報告義務
[20万㌦超]
[1万㌦超]
マレーシア
自国通貨決済
外国投資家
(非居住者)
持出は5万バーツ超資本・資金持込
許可必要
期間内口座に
入金義務
ルピアの外貨交換 外国人・法人
実需目的に制限 ルピア取引禁止
[10万㌦超審査] ・制限
中銀認可
1000リンギ超
[20万リンギ超]
持込・持出不可
国内居住者
国外送金上限
[100万㌦]
国外持出許可
必要[1億ルピア超
直接投資目的の 当局許可
対外借入
送金可;個人1000万[1億リンギ超]
[事前許可]
超借入不可;
対外投資額
(外国当局)
制限(法人:年5000万リンギ;個人100万リンギ)
1万ドル持出超
超非居住者から借入
100万リンギ不可
不可
フィリピン
・1万㌦超輸入等証拠書類提示
1万ペソ超持込・ 本国送金の際 外貨購入は
・3万㌦超外貨購入は中銀承認
持出中銀届出
外貨購入は
証拠書類の提出
・中銀による外為決済操作制限可
事前登録必要 義務
インド
対外借入制限(対外商業借入[ECB]) 外貨へ交換限度 株式投資上限
[2000万㌦]
[2000万~5億㌦] (個人1万㌦;
(1社:10%、
(3-5年)
(5年超)
商用2.5万㌦)
複数:24%)
中国
・資本取引原則禁止(個別)
人民元外貨交換 株式投資
株式投資
・外貨交換は年間5万㌦限度
外貨管理局の
(B株限定)
(A,B株)
認可必要
アルゼンチン ・鞘取引/換金禁止 元金返済条件: 月5000㌦超の
証券・金融
外貨取得
・輸出外貨の
①返済1年以内 外貨交換中銀承認取引に外貨
[200万㌦迄]
国内金融入金義務 ②債務額以下
必要(原則)
保証金[30%]
ブラジル
為替取引
利益・配当等
1万レアル超送金 外貨口座保有 外貨口座保有
中銀報告
支払は
中銀申請必要
可(非居住者、 禁止
[3,000㌦超]
・融資操作登録(ROF)申請必要
外国企業等)
為替取引期間
・1万レアル超送金中銀登録申請必要 外国企業等)
制限
・送金は自己資本のみ可
チリ
外貨取引
外資法による投資国内送金は公式市場通し
公式市場/中銀報告義務
ペソ転換義務
中銀報告義務
強制預託金制度(ENCAJE)の廃止(2001年4月~)
1万㌦超投資中銀報告
(出所)JETROな どより筆者作成
【注】
1. Aizenman et al.(2004)は、47 ヵ国の 1981-2001 年を対象としている。Self-financing ratio(ft;n)は以下の定義に
よる。
t0 時点から t0 + n 時点までの資本ストックを対象とし、GDP 比固定資本係数を k とすれば、K t0 = kY t0
また、資本流出入のないと仮定した場合の資本ストックを仮定したものを K~ とし、d は減価率とする。
K t0 = kY t0、 K t+1 = Kt(1-d)+It (t0 + n>t>t0)
K~ t0 = kY t0、K~ t+1 = K~t(1-d)+St (t0 + n>t>t0)
従って、t 期時点の n 期間までの Self-financing ratio(ft;n)は、以下の通り。
ft;n = K~t;n/ Kt;n
= {ΣSt-i(1-d)i-1
+ kYt-n(1-d)n }/{∑It-i(1-d)i-1 +kYt-n(1-d)n} (但し∑は i=1 から n まで対象)
Self-financing ratio の数字が1であれば、国内投資は国内資本のみに依存し、1 未満であれば海外からの資本にも依
存することを示す。
2 .インパルス応答関数は錯乱項になんらかの外生的ショックが生じたとき、当該変数のみならず、他の変数にどのよ
うな影響を及ぼすかを数値的に示したものである。例えば、以下のような自己ラグ変数を説明変数とした VAR モデルの
式がある。
xt = a10 + a11st-1 + a12yt-1 + ε1t
30
yt = a20 + a21xt-1 +a22yt-1 + ε2t
時点 t におけるε1t へのショックは時点 t+1 にも影響を与え、その影響が t+2、t+3 ... と続くが、この影響を計測し、
VMA(無限)モデルに変換して導いたのがインパルス応答関数である。本稿では資本流入の各項目の FDI、証券投資、
「そ
の他」
(対外借入)を含むネット資本流入と国内投資率、国内貯蓄率、及び一人当たりGDP成長率の相互の影響を計測
した。実際には FDI や証券投資や対外借入の影響はそれぞれ異なるが、本稿では紙面の制約上 ネット資本流入のみを
用いている。
3.各国の各資本流入項目(FDI、証券投資、対外借入等)の成長率、国内貯蓄・投資率との相互依存関係、因果関係及
び中長期的な影響については本稿字数制約のために記載は出来ないが、総じてラテンアメリカでは資本流入は経済成長
にポジティブな影響がみられず、資本自由化に慎重であった国々の多いアジアでは資本流入(特に FDI など)がポジテ
ィブに働く例も多い。
4 ラテンアメリカ諸国がアジア諸国に比べ不安定な経済成長経路を辿ってきたことは早い時期からの資本・金融自由化
と密接な関連がある点は Ocampo, J.A and J.G.Palma (2008)も指摘している。また、Olaberra ら(2009)は過去 20 年
間で東アジアでは金融市場の整備等に伴い成長率のボラティリティが縮小し安定化していることを指摘している。
5. 中国の資本規制の有効性について Kimball & Xiao (2005)は、資本規制指数(CCI)を用いて 1996-2004 年について
資本移動のボラティリティが他の新興国より小さかったことを示している。また、インドについて Shar&Patnaik(2005)
はボラティリティが拡大することなく資本流入が達成したことを指摘している。
6.中長期的な経済発展と資本自由化の問題については、大田(2007)参照。
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大田英明(2009)
、
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32
Appendix 1-1:資本流入と国内貯蓄・投資率・成長率のインパルス応答関数(1985-1990)
Respons e to Choles ky On e S. D. Innov ations (1985-90)
R es po ns e o f FDI to POR TF OL I O
Re sp on se of F DI to FD I
Re sp o ns e of F DI to ETC
Re sp on s e o fF DI t o S
R es po ns e o f FD It o I
Re sp on se o f FD Ito PERC APITAG DP
1 .6
1 .6
1 .6
1 .6
1 .6
1 .6
1 .2
1 .2
1 .2
1 .2
1 .2
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0 .8
0 .8
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0 .8
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-0 .8
-0 .8
2
4
6
8
10
R es po ns e o f PO RT F OL IO to F DI
2
4
6
8
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2
R es po n se o f PO RT FOL IO to POR T F OL IO
4
6
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2
R es po n se of PO RT F O LIO to ET C
4
6
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2
R es p on se of PO RT FO LIO to S
4
6
8
10
Re sp on s e o f PORT F OLIO to I
2
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4
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6
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2
Re sp o ns e of ETC to FD I
4
6
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2
Re sp o ns e o fETC to PO RT FO LIO
4
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2
Re s po ns e o fETC to ET C
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6
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R e s po n se o f ET C to I
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6
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2
R es po ns e o f S t o F DI
4
6
8
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2
R es p on se o f S to POR TF OL IO
4
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10
2
R es p on se of S to ETC
4
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Res p on se o f S to S
6
8
10
Re sp o ns e o f S to I
2
6
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R es po ns e o f I to F DI
4
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2
R es po ns e o f Ito POR TF OL IO
4
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R es po ns e o f It o ET C
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R es po n se o f Ito S
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6
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10
Re s po ns e o fPER CAPIT AG DP to F DI
2
4
6
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-2
10
Re s po ns e o fPER CAPIT AG DP to PO RT FO LIO
2
4
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10
R es po ns e o fPER CAPIT AG DP o
t ET C
4
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4
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10
Re s po n se of PERC API TAGDP to I
2
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0
-2
2
4
Re sp on s e of PER CAPITAGD P to PER CAPIT AG DP
6
-2
10
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2
R e s po ns e o fPERCAPI T AG DP to S
8
0
-2
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6
R es p o ns e o fI to P ER CAPIT AGD P
4
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4
2
Re sp on se of I to I
4
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2
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0
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2
6
R e s po ns e o fS to PERC APITAGD P
6
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8
Re sp on se of ET C to PERCAPIT AG DP
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4
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2
R e sp o ns e o fETC to S
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2
4
R es po ns e o fPOR TF OL IO to PER CAPITAGD P
4
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4
6
8
10
2
4
6
8
10
Appendix 1-2:資本流入と国内貯蓄・投資率・成長率のインパルス応答関数(1991-96)
Response to Choles ky One S.D. Innov ations (1991-96)
Re s po ns e o fF DI t o F DI
R e s po ns e o fF DI to POR TF OL O
I
R es po ns e o fF DI to ET C
R es po ns e o fF DI to S
R e s po n se o f FD Ito I
Re sp o n se of FD I to PE RC APITAGDP
2
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1
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10
Re sp on s e of PO RT FO LIO to F DI
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0
2
Re sp on se o f PO RT FO LIO to PO RT FO L IO
4
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2
Re sp on se of PO RT FO LIO to ET C
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Re sp on se of PORT FO L IO to S
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Re sp o ns e o fPOR TF OL O
I to I
2
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R es po ns e o f ET C to F DI
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R es po ns e o f ET C t o PORT F OLIO
4
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R es p o ns e o f ET C to E TC
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R es po ns e o f ET C to S
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Re s p on se of ET C to I
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Re sp on se of S to FD I
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Re sp on se of S to PO RT FO LIO
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Re sp on se of S to ET C
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Re sp on se of S t o S
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Re s po ns e o fS to I
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Re sp on s e of I to FD I
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Re sp on se o f I to PO RT FO LIO
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Re sp on se of I to ET C
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Res p on se of I to S
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Re sp o ns e of I to I
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R es po ns e o f PERC APIT AG DP to FD I
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R es po ns e o f PERC APIT AG DP to PORT FO LIO
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R es p o ns e o f PERC APITA GDP to ETC
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Re sp on se of PERC AP ITAGD P to I
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Re sp on s e of PER CAPIT AGD P to PERCAPIT AG DP
4
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R es po n s e o f PERC APIT AGDP to S
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R es po ns e o f I to PER CAPIT AG DP
4
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R es po ns e o f S to PER CAPIT AGD P
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Re sp on se of ETC to PERCAPIT AG DP
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R es po ns e o f POR TF OL IO to PER CAPIT AGD P
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Appendix 1-3:資本流入と国内貯蓄・投資率・成長率のインパルス応答関数(1997-2002)
R esponse to Cholesk y One S. D. I nnov ations (1997-2002)
Re s po ns e o fF DI t o F DI
R e s po ns e o fF DI to POR TF OL O
I
R es po ns e o fF DI to ET C
R es po ns e o fF DI to S
R e s po n se o f FD Ito I
Re sp o n se of FD I to PE RC APITAGDP
3
3
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Re sp on s e of PO RT FO LIO to F DI
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Re sp on se o f PO RT FO LIO to PO RT FO L IO
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Re sp on se of PO RT FO LIO to ET C
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Re sp on se of PORT FO L IO to S
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Re sp o ns e o fPOR TF OL O
I to I
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R es po ns e o f ET C to F DI
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R es po ns e o f ET C t o PORT F OLIO
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R es p o ns e o f ET C to E TC
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R es po ns e o f ET C to S
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Re s p on se of ET C to I
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Re sp on se of S to FD I
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Re sp on se of S to PO RT FO LIO
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Re sp on se of S to ET C
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Re sp on se of S t o S
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Re s po ns e o fS to I
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Re sp on s e of I to FD I
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Re sp on se o f I to PO RT FO LIO
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Re sp on se of I to ET C
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Res p on se of I to S
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Re sp o ns e of I to I
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R es po ns e o f PERC APIT AG DP to FD I
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R es po ns e o f PERC APIT AG DP to PORT FO LIO
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R es p o ns e o f PERC APITA GDP to ETC
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Re sp on s e of PER CAPIT AGD P to PERCAPIT AG DP
2
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Re sp on se of PERC AP ITAGD P to I
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R es po n s e o f PERC APIT AGDP to S
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R es po ns e o f I to PER CAPIT AG DP
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0
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R es po ns e o f S to PER CAPIT AGD P
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Re sp on se of ETC to PERCAPIT AG DP
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R es po ns e o f POR TF OL IO to PER CAPIT AGD P
4
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Appendix 1-4:資本流入と国内貯蓄・投資率・成長率のインパルス応答関数(2003-07)
R esponse to Cholesk y One S.D. Innov ations (2003-2007)
Re s po ns e o fF DI t o F DI
R e s po ns e o fF DI to POR TF OL O
I
R es po ns e o fF DI to ET C
R es po ns e o fF DI to S
R e s po n se o f FD Ito I
Re sp o n se of FD I to PE RC APITAGDP
4
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Re sp on s e of PO RT FO LIO to F DI
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Re sp on se o f PO RT FO LIO to PO RT FO L IO
4
6
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Re sp on se of PO RT FO LIO to ET C
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2
Re sp on se of PORT FO L IO to S
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Re sp o ns e o fPOR TF OL O
I to I
2
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3
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R es po ns e o f ET C to F DI
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Re sp on se of S to PO RT FO LIO
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Re sp on se of S to ET C
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Re sp on se of S t o S
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Re s po ns e o fS to I
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Re sp on se o f I to PO RT FO LIO
4
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2
Re sp on se of I to ET C
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Res p on se of I to S
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Re sp o ns e of I to I
4
4
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R es po ns e o f PERC APIT AG DP to PORT FO LIO
2
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R es p o ns e o f PERC APITA GDP to ETC
2
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2
R es po n s e o f PERC APIT AGDP to S
4
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10
Re sp on se of PERC AP ITAGD P to I
2
3
3
3
3
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2
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0
0
0
-1
2
4
6
8
10
-1
2
4
6
8
10
-1
2
4
6
8
10
4
6
8
10
8
10
4
6
8
10
4
6
8
10
-1
2
4
(出所) International Financial Statistics(IMF), IIF に基づく筆者による推計値。
34
6
0
-1
2
4
Re sp on s e of PER CAPIT AGD P to PERCAPIT AG DP
3
-1
10
R es po ns e o f I to PER CAPIT AG DP
4
R es po ns e o f PERC APIT AG DP to FD I
8
R es po ns e o f S to PER CAPIT AGD P
4
Re sp on s e of I to FD I
6
-2
2
8
2
4
0
-2
2
10
Re sp on se of ETC to PERCAPIT AG DP
4
2
8
-2
2
R es po ns e o f ET C to S
4
-2
6
1
-2
2
R es p o ns e o f ET C to E TC
4
R es po ns e o f POR TF OL IO to PER CAPIT AGD P
6
8
10
2
4
6
8
10
Appendix 2-1:資本流入と国内貯蓄・投資率・成長率のインパルス応答関数(中国)
Response to Cholesky One S.D. Innovations (China)
Response of PERC APITAG DP to PER CAPITAGDP
Res pons e of PERC APIT AGD P to TOT AL
Respons e of PERC APIT AGD P to S
R esponse of PER CAPITAGDP t o I
4
4
4
4
3
3
3
3
2
2
2
2
1
1
1
1
0
0
0
0
-1
-1
-1
-1
-2
-2
2
4
6
8
10
12
14
16
18
-2
20
2
R esponse of TOT AL to PER CAPITAGDP
4
6
8
10
12
14
16
18
-2
20
2
4
Response of TOTAL to T OTAL
6
8
10
12
14
16
18
20
2
2
2
2
1
1
1
1
0
0
0
0
-1
-1
-1
-1
-2
-2
-2
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
2
4
6
8
10
12
14
16
18
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
2
6
6
6
4
4
4
2
2
2
2
0
0
0
0
-2
-2
-2
-2
-4
4
6
8
10
12
14
16
18
-4
20
2
4
6
8
10
12
14
16
18
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
2
3
3
3
2
2
2
1
1
1
1
0
0
0
0
-1
-1
-1
-1
-2
6
8
10
12
14
16
18
-2
20
2
4
6
8
10
12
14
16
18
16
18
20
6
8
10 12
14
16
18
20
6
8
10 12
14
16
18
20
16
18
20
R esponse of I to I
2
4
4
Respons e of I to S
3
2
14
-4
20
Res pons e of I to TOTAL
-2
10 12
Response of S to I
4
R esponse of I to PERC APIT AGD P
4
R esponse of S to S
6
2
8
-2
20
R esponse of S to TOT AL
-4
6
Response of TOT AL to I
2
Res ponse of S to PERCAPITAGDP
4
Res pons e of T OTAL to S
-2
20
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
2
4
6
8
10 12
14
Appendix 2-2:資本流入と国内貯蓄・投資率・成長率のインパルス応答関数(韓国)
Response to Cholesky One S.D. Innovations(Korea)
Response of PERC APITAG DP to PER CAPITAGDP
Res pons e of PERC APIT AGD P to TOT AL
Respons e of PERC APIT AGD P to S
R esponse of PER CAPITAGDP to I
6
6
6
6
4
4
4
4
2
2
2
2
0
0
0
0
-2
-2
-2
-2
-4
-4
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
-4
1
R esponse of TOT AL to PER CAPITAGDP
2
3
4
5
6
7
8
9
10
-4
1
2
Response of TO TAL to T OTAL
3
4
5
6
7
8
9
10
1
3
3
3
2
2
2
2
1
1
1
1
0
0
0
0
-1
-1
-1
-1
-2
-3
-2
-3
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
2
Res ponse of S to PERCAPITAGDP
3
4
5
6
7
8
9
10
2
3
4
5
6
7
8
9
10
1
2
2
2
1
1
1
0
0
0
0
-1
-1
-1
-1
-2
2
3
4
5
6
7
8
9
10
-2
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
2
3
4
5
6
7
8
9
10
1
3
3
3
2
2
2
1
1
1
1
0
0
0
0
-1
-1
-1
-1
-2
-2
-3
2
3
4
5
6
7
8
9
10
2
3
4
5
6
7
8
9
10
10
4
5
6
7
8
9
10
2
3
4
5
6
7
8
9
10
8
9
10
-3
1
35
9
-2
-3
1
8
R esponse of I to I
2
1
3
Respons e of I to S
3
-3
7
-2
1
Res pons e of I to TO TAL
-2
6
Response of S to I
1
R esponse of I to PERC APIT AGD P
2
R esponse of S to S
2
1
5
-3
1
R esponse of S to TOT AL
-2
4
-2
-3
1
3
Response of TOT AL to I
3
-2
2
Res pons e of T OTAL to S
2
3
4
5
6
7
8
9
10
1
2
3
4
5
6
7
Appendix 2-3:資本流入と国内貯蓄・投資率・成長率のインパルス応答関数(シンガポール)
Response to Cholesky One S.D. Innovations (Singapore)
Response of PERC APITAGDP to PER CAPITAGDP
Res pons e of PERC APIT AGD P to TOT AL
Respons e of PERC APIT AGD P to S
R esponse of PER CAPITAGDP to I
6
6
6
6
4
4
4
4
2
2
2
2
0
0
0
0
-2
-2
-2
-2
-4
-4
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
-4
1
2
R esponse of TOT AL to PER CAPITAGDP
3
4
5
6
7
8
9
10
-4
1
2
Response of TOTAL to T OTAL
3
4
5
6
7
8
9
10
1
8
8
8
6
6
6
6
4
4
4
4
2
2
2
2
0
0
0
0
-2
-2
-2
-2
-4
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
-4
1
2
Res ponse of S to PERCAPITAGDP
3
4
5
6
7
8
9
10
2
3
4
5
6
7
8
9
10
1
3
3
3
2
2
2
1
1
1
1
0
0
0
0
-1
-1
-1
-1
-2
3
4
5
6
7
8
9
10
-2
1
2
3
R esponse of I to PERC APIT AGD P
4
5
6
7
8
9
10
2
3
4
5
6
7
8
9
10
1
4
4
4
3
3
3
2
2
2
2
1
1
1
1
0
0
0
0
-1
-1
-1
-1
-2
3
4
5
6
7
8
9
10
-2
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
7
8
9
10
4
5
6
7
8
9
10
2
3
4
5
6
7
8
9
10
8
9
10
R esponse of I to I
3
2
3
Respons e of I to S
4
1
6
-2
1
Res pons e of I to TOTAL
-2
5
Response of S to I
2
2
2
R esponse of S to S
3
1
4
-4
1
R esponse of S to TOT AL
-2
3
Response of TOT AL to I
8
-4
2
Res pons e of T OTAL to S
-2
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
1
2
3
4
5
6
7
Appendix 2-4:資本流入と国内貯蓄・投資率・成長率のインパルス応答関数(タイ)
Response to Cholesky One S.D. Innovations (Thailand)
Response of PERC API TAGDP to PER CAPITAGDP
Res pons e of PERC APIT AGD P to TOT AL
Respons e of PERC APIT AGD P to S
R esponse of PER CAPITAG DP to I
6
6
6
6
4
4
4
4
2
2
2
2
0
0
0
0
-2
-2
-2
-2
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
1
R esponse of TOT AL to PER CAPITAG DP
2
3
4
5
6
7
8
9
10
1
2
Response of TO TAL to T OTAL
3
4
5
6
7
8
9
10
1
6
6
6
4
4
4
4
2
2
2
2
0
0
0
0
-2
-2
-2
-2
-4
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
-4
1
2
Res ponse of S to PERCAPITAGDP
3
4
5
6
7
8
9
10
2
3
4
5
6
7
8
9
10
1
3
3
3
2
2
2
1
1
1
1
0
0
0
0
-1
-1
-1
-1
-2
2
3
4
5
6
7
8
9
10
-2
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
2
3
4
5
6
7
8
9
10
1
6
6
6
4
4
4
2
2
2
2
0
0
0
0
-2
-2
-2
-2
-4
3
4
5
6
7
8
9
10
-4
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
8
9
10
4
5
6
7
8
9
10
2
3
4
5
6
7
8
9
10
8
9
10
-4
1
36
7
R esponse of I to I
4
2
3
Respons e of I to S
6
1
6
-2
1
Res pons e of I to TO TAL
-4
5
Response of S to I
2
R esponse of I to PERC APIT AGD P
2
R esponse of S to S
3
1
4
-4
1
R esponse of S to TOT AL
-2
3
Response of TOT AL to I
6
-4
2
Res pons e of T OTAL to S
2
3
4
5
6
7
8
9
10
1
2
3
4
5
6
7
Appendix 2-5:資本流入と国内貯蓄・投資率・成長率のインパルス応答関数(インドネシア)
Response to Cholesky One S.D. Innovations(Indonesia)
Response of PERC APITAGDP to PER CAPITAGDP
Res pons e of PERC APIT AGD P to TOT AL
Respons e of PERC APIT AGD P to S
R esponse of PER CAPITAGDP t o I
6
6
6
6
4
4
4
4
2
2
2
2
0
0
0
0
-2
-2
-2
-2
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
2
R esponse of TOT AL to PER CAPITAGDP
4
6
8
10
12
14
16
18
20
2
4
Response of TOTAL to T OTAL
6
8
10
12
14
16
18
20
2
3
3
3
2
2
2
2
1
1
1
1
0
0
0
0
-1
-1
-1
-1
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
2
4
6
R esponse of S to TOT AL
8
10
12
14
16
18
20
2
4
4
2
2
2
2
0
0
0
0
-2
-2
-2
-2
-4
-4
-4
6
8
10
12
14
16
18
20
2
4
R esponse of I to PERC APIT AGD P
6
8
10
12
14
16
18
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
2
6
6
6
4
4
4
2
2
2
2
0
0
0
0
-2
-2
-2
-2
-4
6
8
10
12
14
16
18
-4
20
2
4
6
8
10
12
14
16
18
14
16
18
20
8
10 12
14
16
18
20
4
6
8
10 12
14
16
18
20
16
18
20
R esponse of I to I
4
4
6
Respons e of I to S
6
2
10 12
-4
20
Res pons e of I to TOTAL
-4
8
Response of S to I
4
4
4
R esponse of S to S
4
2
6
Response of TOT AL to I
3
Res ponse of S to PERCAPITAGDP
4
Res pons e of T OTAL to S
-4
20
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
2
4
6
8
10 12
14
Appendix 2-6:資本流入と国内貯蓄・投資率・成長率のインパルス応答関数(マレーシア)
Response to Cholesky One S.D. Innovations (Malaysia)
Response of PERC APITAGDP to PER CAPITAGDP
Res pons e of PERC APIT AGD P to TOT AL
Respons e of PERC APIT AGD P to S
R esponse of PER CAPITAGDP to I
6
6
6
6
4
4
4
4
2
2
2
2
0
0
0
0
-2
-2
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
-2
2
R esponse of TOT AL to PER CAPITAGDP
4
6
8
10
12
14
16
18
20
-2
2
4
Response of TOTAL to T OTAL
6
8
10
12
14
16
18
20
2
6
6
6
4
4
4
4
2
2
2
2
0
0
0
0
-2
-2
-2
-2
-4
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
-4
2
Res ponse of S to PERCAPITAGDP
4
6
8
10
12
14
16
18
20
4
6
8
10
12
14
16
18
20
2
4
4
4
3
3
3
2
2
2
2
1
1
1
1
0
0
0
0
-1
-1
-1
-1
-2
6
8
10
12
14
16
18
20
-2
2
4
R esponse of I to PERC APIT AGD P
6
8
10
12
14
16
18
20
4
6
8
10
12
14
16
18
20
2
8
8
8
6
6
6
4
4
4
4
2
2
2
2
0
0
0
0
-2
-2
-2
-2
-4
6
8
10
12
14
16
18
20
-4
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
18
20
6
8
10 12
14
16
18
20
6
8
10 12
14
16
18
20
16
18
20
-4
2
37
16
R esponse of I to I
6
4
4
Respons e of I to S
8
2
14
-2
2
Res pons e of I to TOTAL
-4
10 12
Response of S to I
3
4
4
R esponse of S to S
4
2
8
-4
2
R esponse of S to TOT AL
-2
6
Response of TOT AL to I
6
-4
4
Res pons e of T OTAL to S
4
6
8
10
12
14
16
18
20
2
4
6
8
10 12
14
Appendix 2-7:資本流入と国内貯蓄・投資率・成長率のインパルス応答関数(インド)
Response to Cholesky One S.D. Innovations (India)
Response of PERC APITAGDP to PER CAPITAGDP
Res pons e of PERC APIT AGD P to TOT AL
Respons e of PERC APIT AGD P to S
R esponse of PER CAPITAGDP t o I
2
2
2
2
1
1
1
1
0
0
0
0
-1
-1
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
-1
2
R esponse of TOT AL to PER CAPITAGDP
4
6
8
10
12
14
16
18
-1
20
2
4
Response of TOTAL to T OTAL
6
8
10
12
14
16
18
20
2
2
2
2
1
1
1
1
0
0
0
0
-1
-1
-1
-1
-2
-2
-2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
2
4
Res ponse of S to PERCAPITAGDP
6
8
10
12
14
16
18
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
2
3
3
3
2
2
2
1
1
1
1
0
0
0
0
-1
-1
-1
-1
-2
-2
-3
4
6
8
10
12
14
16
18
20
4
R esponse of I to PERC APIT AGD P
6
8
10
12
14
16
18
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
2
3
3
3
2
2
2
1
1
1
1
0
0
0
0
-1
-1
-1
-1
-2
-2
-3
4
6
8
10
12
14
16
18
20
4
6
8
10
12
14
16
18
20
8
10 12
14
16
18
20
4
6
8
10 12
14
16
18
20
16
18
20
-2
-3
2
18
R esponse of I to I
2
2
6
Respons e of I to S
3
-3
16
-3
20
Res pons e of I to TOTAL
-2
14
-2
-3
2
10 12
Response of S to I
2
2
4
R esponse of S to S
3
-3
8
-2
20
R esponse of S to TOT AL
-2
6
Response of TOT AL to I
2
2
4
Res pons e of T OTAL to S
-3
20
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
2
4
6
8
10 12
14
Appendix 2-8:資本流入と国内貯蓄・投資率・成長率のインパルス応答関数(アルゼンチン)
Response to Cholesky One S.D. Innovations (Argentina)
Respons e of PERC APITAGD P to PER CAPITAGDP
Response of PERCAPITAGDP to T OTAL
Response of PERCAPITAGDP to S
Response of PERCAPITAGDP to I
8
8
8
8
6
6
6
6
4
4
4
4
2
2
2
2
0
0
0
0
-2
-2
-2
-2
-4
-4
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
-4
1
Response of TOT AL to PER CAPITAG DP
2
3
4
5
6
7
8
9
10
-4
1
2
Response of TOT AL to TOTAL
3
4
5
6
7
8
9
10
1
6
6
6
4
4
4
4
2
2
2
2
0
0
0
0
-2
-2
-2
-2
-4
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
-4
1
2
Response of S to PERCAPITAGDP
3
4
5
6
7
8
9
10
2
3
4
5
6
7
8
9
10
1
3
3
3
2
2
2
1
1
1
1
0
0
0
0
-1
-1
-1
-1
-2
-2
-3
2
3
4
5
6
7
8
9
10
2
R esponse of I to PERC APIT AGD P
3
4
5
6
7
8
9
10
2
3
4
5
6
7
8
9
10
1
2
2
2
1
1
1
0
0
0
0
-1
-1
-1
-1
-2
3
4
5
6
7
8
9
10
-2
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
9
10
4
5
6
7
8
9
10
2
3
4
5
6
7
8
9
10
8
9
10
-2
1
38
8
Response of I to I
1
2
3
Response of I to S
2
1
7
-3
1
Response of I to TOT AL
-2
6
-2
-3
1
5
Response of S to I
2
1
2
Respons e of S to S
3
-3
4
-4
1
Respons e of S to T OTAL
-2
3
Response of TO TAL to I
6
-4
2
Response of TO TAL to S
2
3
4
5
6
7
8
9
10
1
2
3
4
5
6
7
Appendix 2-9:資本流入と国内貯蓄・投資率・成長率のインパルス応答関数(ブラジル)
Response to Cholesky One S.D. Innovations (Brazil)
Response of PERC API TAGDP to PER CAPITAGDP
Res pons e of PERC APIT AGD P to TOT AL
Respons e of PERC APIT AGD P to S
R esponse of PER CAPITAGDP t o I
4
4
4
4
3
3
3
3
2
2
2
2
1
1
1
1
0
0
0
0
-1
-1
-1
-1
-2
-2
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
-2
1
R esponse of TOT AL to PER CAPITAGDP
2
3
4
5
6
7
8
9
10
-2
1
2
Response of TOTAL to T OTAL
3
4
5
6
7
8
9
10
1
3
3
3
2
2
2
2
1
1
1
1
0
0
0
0
-1
-1
-1
-1
-2
-3
-2
-3
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
2
3
Res ponse of S to PERCAPITAGDP
4
5
6
7
8
9
10
2
3
4
5
6
7
8
9
10
1
4
4
4
2
2
2
0
0
0
0
-2
-2
-2
-2
-4
2
3
4
5
6
7
8
9
10
-4
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
2
3
4
5
6
7
8
9
10
1
3
3
3
2
2
2
1
1
1
1
0
0
0
0
-1
-1
-1
-1
-2
-2
-3
2
3
4
5
6
7
8
9
10
2
3
4
5
6
7
8
9
10
9
10
4
5
6
7
8
9
10
2
3
4
5
6
7
8
9
10
8
9
10
-2
-3
1
8
R esponse of I to I
2
1
3
Respons e of I to S
3
-3
7
-4
1
Res pons e of I to TOTAL
-2
6
Response of S to I
2
R esponse of I to PERC APIT AGD P
2
R esponse of S to S
4
1
5
-3
1
R esponse of S to TOT AL
-4
4
-2
-3
1
3
Response of TOT AL to I
3
-2
2
Res pons e of T OTAL to S
-3
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
1
2
3
4
5
6
7
Appendix 2-10:資本流入と国内貯蓄・投資率・成長率のインパルス応答関数(メキシコ)
Response to Cholesky One S.D. Innovations(Mexico)
Response of PERC APITAGDP to PER CAPITAGDP
Res pons e of PERC APIT AGD P to TOT AL
Respons e of PERC APIT AGD P to S
R esponse of PER CAPITAGDP to I
6
6
6
6
4
4
4
4
2
2
2
2
0
0
0
0
-2
-2
-2
-2
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
1
R esponse of TOT AL to PER CAPITAGDP
2
3
4
5
6
7
8
9
10
1
2
Response of TO TAL to T OTAL
3
4
5
6
7
8
9
10
1
3
3
3
2
2
2
2
1
1
1
1
0
0
0
0
-1
-1
-1
-1
-2
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
-2
1
2
Res ponse of S to PERCAPITAGDP
3
4
5
6
7
8
9
10
2
3
4
5
6
7
8
9
10
1
4
4
4
2
2
2
0
0
0
0
-2
-2
-2
-2
-4
2
3
4
5
6
7
8
9
10
-4
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
2
3
4
5
6
7
8
9
10
1
2
2
1
1
1
1
0
0
0
0
-1
-1
-1
-1
-2
3
4
5
6
7
8
9
10
-2
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
8
9
10
4
5
6
7
8
9
10
2
3
4
5
6
7
8
9
10
8
9
10
-2
1
39
7
R esponse of I to I
2
2
3
Respons e of I to S
2
1
6
-4
1
Res pons e of I to TO TAL
-2
5
Response of S to I
2
R esponse of I to PERC APIT AGD P
2
R esponse of S to S
4
1
4
-2
1
R esponse of S to TOT AL
-4
3
Response of TOT AL to I
3
-2
2
Res pons e of T OTAL to S
2
3
4
5
6
7
8
9
10
1
2
3
4
5
6
7
Appendix 2-11:資本流入と国内貯蓄・投資率・成長率のインパルス応答関数(チリ)
Response to Cholesky One S.D. Innovations (Chile)
Response of PERC API TAGDP to PER CAPITAGDP
Res pons e of PERC APIT AGD P to TOT AL
Respons e of PERC APIT AGD P to S
R esponse of PER CAPITAGDP t o I
6
6
6
6
4
4
4
4
2
2
2
2
0
0
0
0
-2
-2
-2
-2
-4
-4
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
-4
1
R esponse of TOT AL to PER CAPITAGDP
2
3
4
5
6
7
8
9
10
-4
1
2
Response of TOTAL to T OTAL
3
4
5
6
7
8
9
10
1
6
6
6
4
4
4
4
2
2
2
2
0
0
0
0
-2
-2
-2
-2
-4
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
-4
1
2
Res ponse of S to PERCAPITAGDP
3
4
5
6
7
8
9
10
2
3
R esponse of S to TOT AL
4
5
6
7
8
9
10
1
4
4
2
2
2
0
0
0
0
-2
-2
-2
-2
-4
-4
-4
-4
-6
-6
-6
-6
-8
-8
-8
3
4
5
6
7
8
9
10
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
2
3
4
5
6
7
8
9
10
1
4
4
4
2
2
2
0
0
0
0
-2
-2
-2
-2
-4
3
4
5
6
7
8
9
10
-4
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
8
9
10
4
5
6
7
8
9
10
2
3
4
5
6
7
8
9
10
8
9
10
-4
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
(出所) International Financial Statistics(IMF), IIF に基づく筆者による推計値。
40
7
R esponse of I to I
2
2
3
Respons e of I to S
4
1
6
-8
1
Res pons e of I to TO TAL
-4
5
Response of S to I
4
2
2
R esponse of S to S
2
R esponse of I to PERC APIT AGD P
4
-4
1
4
1
3
Response of TOT AL to I
6
-4
2
Res pons e of T OTAL to S
1
2
3
4
5
6
7
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