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為替トピックス ∼為替を見る眼:テクニカル

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為替トピックス ∼為替を見る眼:テクニカル
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為替トピックス ∼為替を見る眼:テクニカル∼
みずほ証券 投資情報部
為替市場におけるテクニカル分析
外国為替市場においても、債券や株式などと同様にテクニカル指標を用いた市場動向分析が行
われている。
もちろん、各国の国際収支状況などを含め経済指標などによるマクロ面からのアプローチを中
心としたファンダメンタルズ分析も盛んに行われているが、この結果が二国間の通貨の換算レー
トとして、いくらが妥当な水準なのかという結論を導き出すのは現実的には非常に難しい。経済
指標などは、発表の瞬間の上げ下げを演出する超短期的な材料となる場合がある反面、例えば良
好な経済指標が重なってその国の景気拡大が明らかとなり、景況感格差や資金のフローをともな
って為替レートに影響を及ぼすには、現実的には数年単位といったかなり長い時間がかかる場合
もある。数週間から 1 年程度の相場に大きな影響を及ぼすファンダメンタルズ指標を選別するの
は困難であるうえ、為替市場は要人発言などをはじめとして材料視する事象が非常に多い。また、
株式などと違い価格(プライス)ではなく、比率(レート)であることから、何をもって割高・割安
とするかの判断も困難だ。
結果として、ファンダメンタルズ、政治、市場心理などといった全ての材料を織り込んで相場
が形成されているとの見方から、その過去の値動きを分析し、ここから将来を予測するテクニカ
ル面での分析も外国為替市場においては重要視されている。
また、外国為替市場は基本的に相対取引となっていることから、出来高を分析対象とするテク
ニカル分析はほとんど見かけることはない。
主なテクニカル分析の種類と解説
1.基礎
①ローソク足
ローソク足とは、始値、高値、安値、終値からなる四本値を実体と
上髭
始値
髭に分けて描き、1 本の足で 1 単位時間の値動きを表す手法。ローソ
ク足の 1 番上の個所が当該日の高値を示し、1 番下の個所が当該日の
実体
安値を示している。ローソク足の真中の太い部分(ローソクの部分の
ように見える個所)は実体と呼ばれるが(実体の上下につく線は、ひ
終値
下髭
げと呼ばれる)、この実体の両端が寄付きと終値を示す。相場が上昇
した時は始値よりも終値が上にきて実体部分を白く書き、下落した場
陽線
陰線
合には終値は始値の下にあり実体部分が黒くなる。
※この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資
に関する最終決定はご自身の判断でお願いいた します。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、そ
の正確性、完全性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告な
しに当社の判断で随時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
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このローソク足の形状から相場の動向を推測することができる。
例えば、左図のような形状となった場合、市場オープン後いったん大きく下落した
ものの、引けにかけては上昇し、始値を上抜いて高値引けとなったことが分かる。
このことから、下値では買い意欲が強いことが推測されるだろう。
また、このような場合は、上下を試しつつも始値と同じ値段でクローズを迎えてお
り、相場が方向感を模索していることが推測される。
さらに、ローソク足の組み合わせでみる見方もある。
この様に陰線が 3 本続いた場合を三兵などと呼び、弱気を示すサインとみる見方な
どがその例といえる。
非常に種類も多いのでここでは割愛するが、そのほかにも様々な意味を持つローソク足や
その組み合わせがある。このようなチャートの見方は、日本では古くは享保の時代から米相
場の予想に使用されていたと言われ、様々な書物などにまとめられている。代表的なものに
酒田五法などがある。
また、ローソク足数本の組み合わせのみならず、チャートの描く形からトレンドを読み取
る見方もある。これは、フォーメーションとして、後ほど説明する。
②フィボナッチ級数
テクニカル分析の際、よく出てくる数字にフィボナッチ級数があるので、覚えておきたい。
フィボナッチ級数とは、13 世紀のイタリアの数学家レオナルド・フィボナッチ(ピサノ)が、
ウサギの出生率に関する数学的解法として発表したもので、下記のように無限に続く数列と
なっている。エリオット波動理論もこれを基礎としている。黄金比率としても有名な数字で
ある。
0.618 や 0.382 といった数字に注目しているのが特徴で、以下の数列であらわされる。
1・1・2・3・5・8・13・21・34・55・89・144・233・377・610・・・・
※この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資
に関する最終決定はご自身の判断でお願いいた します。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、そ
の正確性、完全性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告な
しに当社の判断で随時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
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フィボナッチ級数の特徴
連続する 2 つの和は、その上位数になる。
3+5=8,5+8=13 など
最初の 2 つの数字を除いて、一間飛びの数字で割り算すると商が 2、余りがその下の数字と
なる。
21÷8=2・・・5,34÷13=2・・・8,55÷21=2・・・13 など
どの数字も上位の数字に対して 0.618:1に近づいていく。
1÷2=0.5,2÷3=0.67,3÷5=0.6,5÷8=0.625, 8÷13=0.615,
13÷21=0.619,21÷34=0.618,34÷55=0.618
どの数字も2つ上位の数字に対して 0.382:1に近づいていく。
8÷21=0.381,13÷34=0.382,21÷55=0.382
どの数字も下位の数字に対して 1.618:1に近づいていく。
2÷1=2,3÷2=1.5,5÷3=1.667,8÷5=1.6,13÷8=1.625,
21÷13=1.615,34÷21=1.619,55÷34=1.618
どの数字も 2 つ下位の数字に対して 2.618:1に近づいていく。
21÷8=2.625,34÷13=2.615,55÷21=2.619、89÷34=2.618
上記4つの比率の相関関係には、次の特徴がある。
2.618-1.618=1,1.618-0.618=1,1-0.618=0.382
2.618×0.382=1,2.618×0.618=1.618,1.618×0.618=1
0.618×0.168=0.382,1.618×1.618=2.618
上記の比率(0.618:0.382)は黄金比率、黄金分割などとも呼ばれる。
テクニカル分析では、例えば、「一定期間の高値と安値の 61.8%戻しがテクニカルポイント
として意識される」といった使い方をする。また、半値戻し(0.5)と合わせ、38.2%、50.0%、
61.8%を節目として意識するパターンが多い。
※この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資
に関する最終決定はご自身の判断でお願いいた します。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、そ
の正確性、完全性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告な
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③フォーメーション
①で紹介したローソク足や数本のローソク足の組み合わせがさらに連なり、相場はトレン
ドを描く。トレンドがある程度継続した後、そのトレンドが反転する場合と、さらにトレン
ドが継続する場合とに分かれるが、この際のパターンを分析したものがフォーメーション分
析である。
代表的な反転フォーメーションには、ヘッド・アンド・ショルダーズ(三尊)やダブルト
ップ(ボトム)などがある。また、継続フォーメーションにはペナントやフラッグなどが挙
げられる。
(Ⅰ)ヘッド・アンド・ショルダーズ
相場の頂点または底で観測されるフォーメーション。
頂点をつけた後、一度はネックラインでサポートされる
が、ショルダーが重くネックラインを割り込むと下落基
ヘッド
ショルダー
ショルダー
調が強まる。いったんは反発しても、今度はネックライ
ネックライン
ンが上値抵抗線となり、再び下落トレンドを描くパター
ンが多い。下値めどとしては、ネックラインを中心にヘ
ッドまでの値幅と同程度の下落を示現した水準。反転を
描く際の 3 つの山を頭と両肩になぞらえて、ヘッド・ア
ンド・ショルダーズと呼ぶ。また、3 体の像を並べる仏像
安置形式になぞらえて、三尊と呼ぶ場合もある。
(Ⅱ)ダブルトップ(ダブルボトム)
ヘッド・アンド・ショルダーの、ヘッドがない形状。
トップ
トップ
前回の高値を抜けられず、ほぼ同レベルでキャップさ
れ反落。2 つのトップ間の谷から水平に引いた線をネッ
クラインとして、これを下抜けると下落トレンドが強
まる。いったんは反発しても、今度はネックラインが
ネックライン
上値抵抗線となり、再び下落トレンドを描くパターン
が多い。下値めどとしては、ネックラインを中心にト
ップまでの値幅と同程度の下落を示現した水準。
(Ⅲ)ペナント、フラッグ
トレンドの途中に見られる継続フォーメーション。これまで継続してきた相場の一時的
調整場面と言える。利食いや調整の売買にいったんはトレンドが止められ、レンジ相場入
※この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資
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の正確性、完全性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告な
しに当社の判断で随時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
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りの様相を見せるものの、このレンジはトレンド継続方向にブレイクすることが多い。
下降ペナント
上昇フラッグ
上昇ペナント
④トレンド
トレンド分析は、相場の方向性やバイアスを把握して将来の展開を予想するもので、多く
の分析法がある。代表的なものを紹介したい。
(Ⅰ)移動平均線(Moving Averages line:MA)
日・週・月などの一定期間の値動きを平均化することによって、その慣性を引き出し、
トレンドの方向性やバイアスの強さを探るもの。
計算式は単純で、一定期間における直近値(終値)の合計をその単位時間数で割る。
MA =
終値(1) + 終値(2) + ・・・・終値 (n)
n
よく用いられる期間としては、日ベースで、5 日、25 日、75 日、90 日、120 日、200
日など、週ベースでは 13 週、26 週、52 週などがある。
複数の移動平均線や、為替チャートとの動きから、様々な分析が行われるが、有名なも
のとして、2 本の移動平均線による、「ゴールデンクロ
ス」、「デッドクロス」が挙げられる。
ゴールデンクロスとは、より短期の移動平均線がよ
り長期の移動平均線を下から上に突き抜けることを言
い、一般的には買い場とされている。5 日移動平均と
ゴールデンクロス
5日移動平均
25 日移動平均
25 日移動平均で考えると、右記の様な図となる。
逆に、デッドクロスとは、より短期の移動平均線がより長期の移動平均線を上から下に
突き抜けることを言い、一般的には売り場とされる。
※この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資
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移動平均線からの派生的な分析手法として、移動平均かい離帯バンド(Envelope)やボ
リンジャーバンドがある。
(Ⅱ) 移動平均かい離帯
移動平均かい離帯はその名の通り、移動平均線を算出後、一定のかい離線を考えるもの
で、例えば、200 日移動平均線からの 10%かい離帯を考えるなら、200 日移動平均線を算
出後、これに+10%を掛け合わせた線と-10%を掛け合わせた線を上下に引き、相場の買われ
過ぎや売られ過ぎのめどとして利用するもの。長期的視野からこの 200 日移動平均線およ
び 10%かい離は、ドル円相場における買われ過ぎ売られ過ぎをみる際によく利用されてい
る。
(Ⅲ)ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドは移動平均かい離帯に似た概念ではあるが、平均線から一定比率の
かい離ではなく、その期間の標準偏差(σ)を算出し、移動平均(=μ、期待値)から 2
σあるいは 3σを加減した線を上下に引くものである。確率統計上、平均値μからの±2
σ範囲には約 95.4%、±3σの範囲には約 99.7%が収まることから、これを抜けるような場
面は、買われ過ぎもしくは売られ過ぎとの判断ができるのではないかとの考え方がもとに
ある。
⑤トレンドライン
この場合のトレンドとは、為替相場における
トレンドチャンネル
大まかな方向性のことと考える。実際の相場は
常に細かな上下を描き続けるが、大まかな方向
性や傾向をつかむことが重要であるとの考え方
レジスタンスライン
に沿って、トレンドラインやトレンドチャンネ
レンジブレイク
ルを使い、将来を予想する。一定期間の相場の
値動きにおいて、その間の高値を結んだトレン
ドラインをレジスタンスライン、安値を結んだ
ラインをサポートラインと呼び、レジスタンス
ラインとサポートラインの間をトレンドチャン
サポートライン
ネルと言う。トレンドには上昇・下降・横ばいがあるが、このトレンドチャンネルを抜けた
場合、新たなトレンドを形成して、相場が大きく動意を持つことが多い。前出のフォーメー
ションにも似た考え方である。また、このトレンド形成過程を細かく分析した手法にエリオ
ット波動論などがある。
※この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資
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⑥パラボリック(パラボリック・タイム・プライス)
1978 年に開発されたトレンド追随型テクニカル手法。ストップ&リバースポイント(SAR)
と呼ぶラインを用いて、常に売りか買いのポジションンを持ちつづける途転(どてん:注)シス
テムであることに特徴がある。トレンドの持続局面で強みを発揮し、横ばい相場に弱い。
(注) 途転:それまで持っていたポジションを決済すると同時に、逆のポジションを新たに保有すること。例:買い持ちポジションを
決済すると同時に売り持ちにする(途転売り)
売りシグナルを
上昇している SAR が下降しているローソク足と接触した地点
(SAR の陰転)
買いシグナルを
下降している SAR が上昇しているローソク足と接触した地点
(SAR の陽転)
とし、SAR の計算手法は、
SAR=(EP−前日の SAR)×AF+前日の SAR
EP:極大値
(SAR が買いサインを示している期間・・・その期間の最高値
SAR が売りサインを示している期間・・・その期間の最安値 )
AF:加速因子 (通常は、0.02 を初期値とし 0.02 ずつ加速、最大値 0.20)
パラボリックの例
実際にチャート上で見
122
122
当日SAR るとこのような形となる。
時間の経過と共にマーケ
ットに追いつけるよう加
買いサイン
120
120
118
118
116
116
114
114
速ファクター(AF)が組み
込まれているが、この値を
変えたり、(日足とか週足
とかいった単位時間の変
May-06
Apr-06
Apr-06
Mar-06
Mar-06
Feb-06
Feb-06
Jan-06
110
Jan-06
ある。
110
Dec-05
に調整することが可能で
112
売りサイン
Dec-05
の相場状況にあった状況
112
Dec-05
更をすることにより、現状
このチャートからも、上
記の通り、横ばい場面では機能せず、トレンドが形成される局面に強いことがわかる。
※この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資
に関する最終決定はご自身の判断でお願いいた します。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、そ
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しに当社の判断で随時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
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2.オシレーター
オシレーター(Oscillator)とは直訳すると、「振動」
といった意味で、各種オシレーターは相場の買われ過ぎ、
代表的なオシレーター系指標のイメージ図
買い加熱領域
売られ過ぎ水準を指数化したものが多い。その表現のパ
ゼロライン
ターンとして、ある一定の水平な帯の中を動き、
(その帯
売り加熱領域
を上下に二分する中間値(ゼロライン)を持つものもあ
る)この帯上限に近づくと買い過熱感があるとされ、この帯の下限では売り過熱感があると
される。また、ゼロラインとのクロスや、2 つ以上のオシレーター指標の推移を観察して、
かい離やクロスなどを売買のタイミングとする場合もある。ここでは代表的なオシレーター
指標を紹介する。
①RSI(Relative Strength Index)
ある一定期間の上昇幅と下降幅を計測することにより、計測期間において「売られ過ぎな
のか、買われ過ぎなのか」を相対的(Relative)に判断する。比較的簡単な数式で求められる
ことから、人気が高い
一般的な作成方法
・計測期間を定める(9 日と 14 日が使われることが多い)
・各計測期間中の
当日変動幅(=当日終値―前日終値)
を算出
・変動幅を+のもの、−のものに分けてまとめ各々の合計を求め、+の合計を計測期間で
割ったものを A、−の合計を計測期間で割ったもの B とする。
A=N 日間の上昇幅の平均(N 日間のうち上昇して終わった日の上昇幅の合計を N で割る)
B=N 日間の下落幅の平均(N 日間のうち下落して終わった日の下落幅の合計を N で割る)
・RSI を算出
RSI=
A
A+B
×100
期間内の価格が全て上昇したときは 100、逆に全て下落したときは 0 になる。したがって、
RSI が 100%に近いほど(概ね 70∼80%を超えると)買われ過ぎ、逆に 0%に近づくほど(概ね
20∼30%を割り込むと)売られ過ぎと判断する。
ただし、相場が一方に強い方向感を持って動いた場合、誤ったシグナルを出す傾向がある
ため、注意が必要。
※この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資
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②ストキャスティクス
ストキャスティクス(Stochastic)とは、「推計統計学的な」といった意味。ある一定期間
の高値と安値の値幅に対する直近の終値の相対的な位置によって、買われ過ぎ・売られ過ぎ
を読み取るオシレーター。
基本的に%K ラインと%K ラインを滑らかなものにした%D ラインという 2 本の線を併用し、売
買ポイントを見つけ出すところに特徴がある。
また、動きを遅くしたストキャスティックス(スロー・ストキャスティックス)も使用さ
れる。これは、K ラインの役目を D ラインに持たせ、D ラインの 3 日間移動平均線スロー%D
(S%D ライン)を使用するもの。スロー・ストキャスティックスの方がよりよいシグナルを
出すとの見方もある。
9 日の例
%K ラインの算出方法
%K=(直近終値−MIN)/(MAX−MIN)×100
MAX=過去 9 日間の最高値
MIN=過去 9 日間の最安値
%D ラインの算出方法
%D=(MAX3/MIN3)×100
MAX3=(終値−MIN)の 3 日間の合計
MIN3=(MAX−MIN)の 3 日間の合計
S%D ラインの算出方法
S%D=%D ラインの 3 日移動平均
%K ラインと%D ラインの位置関係
買われ過ぎ、売られ過ぎの目安として、基本的には、%K、%D ラインの 75%以上、25%以下に
注目。
買いシグナルは、%K と%D ラインの 25%以下でのゴールデンクロス。
売りシグナルは、%K と%D ラインの 75%以上でのデッドクロス。
ただし、1回目のサインはダマシになりやすい傾向もあるので注意。
%D ラインと S%D ラインの位置関係
買われ過ぎ、売られ過ぎの目安として、基本的には%D、S%D ラインの 75%以上、25%以下に
注目。
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買いシグナルは、%D と S%D ラインの 25%以下でのゴールデンクロス。
売りシグナルは、%D と S%D ラインの 75%以上でのデッドクロス。
ストキャスティクスの値が 75%を超える場合にはそのマーケットが買われ過ぎていること
を示し、ストキャスティクスの値が 25%を下回る場合にはそのマーケットが売られ過ぎてい
ることを示す。特に D ラインが 85%以上の領域にある場合の売りシグナル、15%以下の 買い
シグナルは信頼性が高いとされている。
②MACD
MACD は「Moving Average Convergence and Divergence」、移動平均の収束と発散といった
意味。2 本の指数平滑移動平均線間のかい離と、その数値の移動平均を使ったオシレーター
で、その方向性やかい離などに注目して売買のタイミングを測るもの。指数平滑移動平均を
使うことから、トレンド系テクニカル指標との解釈もできるが、ここではオシレーターの一
種として紹介する。
算出方法
まず、「指数平滑移動平均(EMA:Exponential Moving Average)」を求める。
EMA の計算式、
y(t)=y(t−1)+α(Y(t)−y(t−1))
y(t)
:t 時点における EMA
y(t−1)
:(t−1)時点における平均値
Y(t)
:時点 t における観察値
α
:平滑化定数、0<α<1、α=2÷(n+1)
n
:平均する期間
EMA について、任意の異なる 2 つの期間を求め、その差が MACD となる。
(12 日と 26 日のものを考える場合、)
MACD =EMA(12)−EMA(26)
EMA(12):12 日間の EMA、EMA(26):26 日間の EMA
さらに、シグナルとして、上で求めた MACD の移動平均を求める。
シグナル=MACD の移動平均(例えば MACD の 9 日間移動平均などを算出する)
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買いシグナル
・MACD がシグナルを上抜いた時
・MACD がゼロラインを上抜いた時
売りシグナル
・MACD とシグナルとのデットクロス
・MACD が±0 ラインを下回れば下落基調へ
また、MACD 自体のトレンド転換なども重要視する。
3.体系化されたもの
さらに、分析手法が複雑化・独自化していくと、一つの分析手法として体系化されていく。
ここでは、一目均衡表、ポイント・アンド・フィギュア、エリオット波動論について、簡単に
説明したい。
①一目均衡表
1969 年に一目山人の著書「一目均衡表」で発表された、日本発のチャート分析手法。多く
の市場参加者が利用しており、海外にも信奉者・研究者が多い。相場には売り手と買い手が
おり、両者の均衡が破れた方へ大きく動く。この均衡状況を捉えれば、「相場の帰趨(きすう)
は一目瞭然である」との意味合いから「一目均衡表」と名づけられ、「時間論」、「波動論」、「水
準論」の 3 論を骨格として展開されている。ここでは基本的な一目均衡表の構成と簡単な理解
の仕方について説明する。
一般的な作成方法
ローソク足のチャートに基準線、転換線、先行スパン、遅行スパンを合わせて記入する。
基準線
過去 26 日間の高値と安値の中間値。
当日を含む(過去 26 日間の高値+安値)÷2
転換線
過去 9 日間の高値と安値の中間値。
当日を含む(過去 9 日間の高値+安値)÷2
先行スパン1
基準線と転換線の高値と安値の中間値を 26 日先行させる
(基準線+転換線)÷2
をチャートの 26 日先に書く
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先行スパン 2
過去 52 日間の高値と安値の中間値を 26 日先行させる
当日を含む(過去 26 日間の高値+安値)÷2
をチャートの 26 日先に書く
この先行スパン 1 と先行スパン 2 の間に網をかけて雲とする。
抵抗帯と呼ぶこともある。
遅行スパン
基準日の終値を 26 日遅行させる。
各線の一般的な判断方法
基準線
重要な線。「基準線こそ相場の基準」。ローソク足が基準日現在でこの線
よりも上にあれば買い優勢、下にあれば売り優勢のトレンド持続中と見
る。位置だけでなく傾きも重要で、例えば買い優勢の場合にこの線が下
向きの傾斜となっている場合は、そのトレンドもあまり強いものではな
いと判断できる。また、上昇相場の「押し目」、下降相場の「戻り」の限界
を示す。
一目均衡表の例
転換線
基準線
先行スパン1
先行スパン2
遅行スパン
1.11
1.10
1.09
1.08
1.07
1.06
1.05
1.04
1.03
1.02
1.01
1.00
0.99
0.98
0.97
0.96
0.95
0.94
0.93
2011/07
転換線
2011/08
2011/09
2011/10
2011/11
2011/12
2011/12
2012/01
2012/02
2012/03
2012/04
1.11
1.10
1.09
1.08
1.07
1.06
1.05
1.04
1.03
1.02
1.01
1.00
0.99
0.98
0.97
0.96
0.95
0.94
0.93
2012/05
基準線との相対的位置関係が重要となる。特にゴールデンクロス(転換
線が基準線を下から上へ抜ける)、デッドクロス(転換線が基準線を上か
ら下へ抜ける)に注目する。ただし、ゴールデンクロスをしても基準線
が上向きとならなければ強気とは言えない。
※この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資
に関する最終決定はご自身の判断でお願いいた します。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、そ
の正確性、完全性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告な
しに当社の判断で随時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
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遅行スパン
ローソク足との位置関係が重要となる。これがゴールデンクロスすれば
買い、デッドクロスすれば売りのタイミングとする。
先行スパンと雲
ローソク足が 26 日前に書き込まれた雲とどのような関係にあるかに着
目する。雲の上にローソク足が位置している場合は強気相場、下に位置している場合は弱気
相場と判断する。また、一般的に雲は抵抗・支持の帯として認識され、その雲の厚さが抵抗・
支持力の強さを示すとみることもできる。基本的に雲の中で値動きしている場合には中立的
と見る。さらに、「雲のねじれ」(先行スパン 1 と先行スパン 2 が交差する場面)は「かなり大
事な変化をはらんでいる」として大きな値動きを示現することが多いとされる。
②ポイント・アンド・フィギュア(P&F)
海外で使われている代表的な不規則時系列分析。値動きから「時間」の概念を取り除き、
純粋に一定価格の上昇・下落によってのみチャートを変化させる。あらかじめ定めた値幅を
更新したら○×で騰落を表記する。×印は価格上昇を、○印は価格下落を示す。転換点を捉
えることによって、価格の傾向を読み取ることができるといった特徴があり、チャートパタ
ーンによる売買サイン、トレンド分析、カウンティングによる目標値の算出など見方は多彩。
1900 年前後に考案されたといわれるなど歴史も古く、様々な流儀もあるようだ。ここでは基
本的な書き方と分析について紹介する。
P&F の書き方
(Ⅰ)1マス、つまり○印や×印1ポイントが示す価格の大きさを決める。ドル円なら、一般的
に 2.5 銭、5 銭、10 銭といった値幅が妥当とされている。この値幅は小さくするほど実際
の値動きに近づき、大きくするほど細かい値動きが省略されたトレンドを表す。したがっ
てデイトレーダーは小さく、長期投資には大きな値幅が向いている。
(Ⅱ)転換ルールを決める。日本では 3 枠分逆行した場合を転換ルールとすることが多い。この
ルールのもとでは×印と○印は一列に最低 3 ポイント記入する。つまり相場転換には 3
ポイント以上の価格変動が必要ということになる。(Ⅰ)で決めた値幅以上に相場が変動し
たら、その都度現在価格まで印を書き加える。1枠未満の値動きは無視する。相場が逆方
向に反転した場合は、次の列に 1 枠ずらして書き込む。
※この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資
に関する最終決定はご自身の判断でお願いいた します。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、そ
の正確性、完全性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告な
しに当社の判断で随時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
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ポイント・アンド・フィギュアの例
×
×○
×○
×
×○
×
×
×○
×
×○×○
×
○×○×○×
×
○×○×○×○×
○×○×○×○×
○×○
○×○
○
○×
○×
○
×
×
×
×
×
○
×○×
○×
×○×
○×○
×○
○×○×
×
○×○×○×
○×○×○×
○×○×○
○×○×
○×○×
○×○×
○×○
○×
○
×
×
×
×○
×○×○×○
×○×○×○
×○×○×○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
◆パターン分析(ポイント・アンド・フィギュアの例参照)
・ 基本的には直前の高値や安値を抜けたポイントを売買サインとみる。
・ トライアングルの形を突破したポイントを売買のサインとみる。
◆トレンド分析
ローソク足チャートとは違い、最高値や最安値から 45 度線(コーエン方式)のトレンド
ラインを用いて、相場の方向性を測る。最安値から 45 度の角度で引いた線は強気支持線と
呼び、この線をサポートと見なしてロング・ポジションが推奨される。最高値から引かれる
弱気抵抗線はこの逆の考え方となる。
◆カウンティング
水平カウントや垂直カウントにより価格目標を得る。
一般的に使用されているのは水平カウントという独特の方法。売買のサインが出る前のもみ
合いで、最も○×が密集している水準を横に見て枠を数える。この枠の数の 3 倍が目標価格
となる。前述のポイントアンドフィギュアの例では、売りサインが出た際にそれまでの密集
地を水平にカウントすると、6 枠。目標価格は 6×3 で 18 枠となり、水平にカウントした価
格から 18 枠下落したところを目標価格とする。
※この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資
に関する最終決定はご自身の判断でお願いいた します。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、そ
の正確性、完全性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告な
しに当社の判断で随時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
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③エリオット波動論(The Elliott Wave Theory)
米国のチャーチスト、ラルフ・ネルソン・エリオットが 1938 年、「The Elliott Wave
Principle」として発表した波動理論。為替のみならず、株価や商品相場の値動きの判断とし
て広く利用されている。
基本的な考え方として、「相場は 5 つの上昇波動と 3 つの下降波動という計 8 つの波を基本
に反復を繰り返す」というもの。5 つの上昇波動は方向波動 3 つと訂正波動 2 つに分けられ、
3 つの下降波動は方向波動 2 つと訂正波動1つに分けることができる。さらにもう一段階細
かなレベルへ分解し、1 つの方向波動はさらに小さな 3 つの方向波動と 2 つの訂正波動に、1
つの訂正波動はさらに小さな 2 つの方向波動と小さな訂正波動に分けることができるとする。
計 34 の小さな波があることになるが、これを図で見ると以下の様になる。
(5)
エリオット波動論の例
(B)
(3)
(1)
5
A
1
4
(4)
B
3
(A)
C
(2)
2
(C)
エリオット波動理論には、
1.波動
2.比率
3.時間
という 3 つの重要な要素がある。
波動は上で紹介した、エリオット波動論における基本的なサイクルを構成する 8 つの波、
すなわち『第1波:上昇 →第 2 波:下降 →第 3 波:上昇 →第 4 波:下降 →第 5 波:上昇 →A
波:下降 →B 波:戻し →C 波:下降』について考えるもの。
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簡単にまとめると、
第1波:値固めの段階。通常最も短い上昇。
第 2 波:第1波の大半を相殺するが、第1波は割り込まない。
第 3 波:力強く、値幅・時間ともに大きなものとなる。
第 4 波:第1波のトップを割り込むことはない。
第 5 波:第 3 波ほどの力強さには欠ける。
A 波:押し目と間違えやすい。
B 波:第 5 波のトップを上抜く事はない。
C 波:下落に拍車がかかる。
といった特徴が指摘される。
比率は、先に紹介したフィボナッチ級数を強く意識した分析となる。フィボナッチで示
される 0.618 や 0.382、あるいは 1.618 といった数字が各波動の頂点の目標値算出に利用さ
れる。
8 つの基本波動は、長期でみるとさらに大きな 8 つの波へと収束され、逆に短期でみると
細かく細分化された 8 つの波に分解することができる。時間について、エリオットは、250
年周期とされるグランドスーパーサイクルから、秒単位とされるサブミニュエットまでの
周期に触れており、それぞれの時間軸で見た波動を的確に捉えることが重要とされる。
以上、代表的なテクニカル分析手法について、簡単に説明してきた。
最近は、様々なテクニカル指標を PC に認識させた上で、その組み合わせによる買いサイン、
売りサインをもとに自動で売買を行って収益を狙うテクニカル系のヘッジファンドの存在も指
摘されるなど、為替市場におけるテクニカル分析の重要性は増している。もちろん、為替市場を
読む上では、各種経済指標などファンダメンタルズ的な考え方や知識は重要であるし、必要とい
える。しかし、参加者や取引量、取扱時間などで他の市場の追随を許さない巨大な外国為替市場
においては、過去の道程や現在位置を示したチャートが、文字通りその海図となることもあるだ
ろう。
参考文献:日本テクニカル分析大全
テクニカルアナリスト協会編
2012 年 4 月 20 日
FX ストラテジスト 鈴木健吾
(日本テクニカルアナリスト協会 認定テクニカルアナリスト)
広告審査番号:MG5690-120420-12
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