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腰越漁港改修検討委員会議事録

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腰越漁港改修検討委員会議事録
腰越漁港改修検討委員会議事録
第14回腰越のまちづくりを考える鎌倉市腰越漁港改修検討委員会
第2回腰越漁港改修意見交換会
日時
平成12年5月21日(日)午後2時から午後5時15分
場所
鎌倉商工会議所地下ホール
出席委員
参加者
【司会】
山崎座長
天田委員
金子委員
原委員
(石井委員
堤委員
川口委員
蓮沼委員
宇多委員
奥田委員
池田委員
清野委員
近山委員欠席)
156名(受付名簿記載)
第2回腰越漁港改修意見交換会を始めたいと思います。本日はお忙しいとこ
ろ、貴重なお時間にこの意見交換会においでいただきましてありがとうございます。司会
を務めさせていただきます農水課の滝田と申します。よろしくお願いいたします。
早速、次第1の座長のごあいさつをいただきたいと思います。
【座長】
皆さん、こんにちは。第2回の意見交換に先立ちまして、なぜ改修計画は前
回お話ししたようなものになったのかについて触れたいと思います。
腰越漁港整備の基本方針は3つございます。1つは、安全で夢のある漁業の創造。2番
目が、海洋資源に関する循環型地域社会システムづくり。3つ目が、水域環境の回復イニ
シアティブ。持続可能なまちづくり、漁港づくりを実現するためにはこの3つが不可欠で
はないのかということで申し上げたわけでございます。
特にきょう水域環境の部分について詳しくお話ししていただきますが、ラムサール条約
の湖沼とか湿原帯をどう保全・活用していくかということにワイズユース、賢く利用しな
がら人間とともに生きていこうという考え方、これは、まさにこの腰越漁港と同じような
考え方ができるということで、こういう水域環境の回復イニシアティブということが1点。
これだけではちょっとわからないので、もう一つスライドを見ていただきます。
1つ目の安全で夢のある漁業の創造。腰越のまちというのは、もともと漁業が先にあっ
て半漁半農のまちでした。そういう伝統と歴史、そこからつくり出された文化を次の世代
まで継承していくということが、大変重要だと思います。そのためには現在腰越港という
のは大変多くの欠陥を持っていることは前回お話ししました。港口が大変危険であるとい
うこと。今の泊地は大変狭く、しかも係留施設が非常に足りないということで、不法駐車
のような係留になっていること。その結果、そこで事故があったりすると保険の対象にな
らないといった現実があることです。安全という漁港にとって一番重要なことについて問
題がある。
しかも、港というのは、そもそも台風とか荒天の日にここで安らぐというのが本来の意
義ですが、現在の腰越ではそれができない。結局、台風が来るというと油壺に避難しない
といけない。まず、安全であるということを確保したい。
それと同時に、やはり継続的に漁業をやっていただきたい。それは昔からのただとるだ
けの漁業ではなく、育てる漁業もあるし、加工するなど、海業への転換ということが非常
に重要ではないか、これが流通改善の支援ということで申し上げた部分です。
2つ目は、まさに現在国会で循環型地域社会をどうつくっていくかという議論、そうい
う法律を検討しているということです。これは日本全国もそうなんですが、腰越という一
地域でも、当然これをどうやってそういう社会をつくっていくか。これが地球環境と大げ
さに言えば、それこそ大変重要な関係を持つわけで、いわゆる地元でとれた魚は地元でな
るべく利用、活用できる。食することができる、そういう社会がまさに循環型社会であり、
そういう港にしていきたいということです。そこで、腰越漁港で漁獲された水産物の市民
への提供、これを強く知らしていくということ、これが1つ。
それから、海というものがつくり出した文化がたくさんございます。これをやはり継承
していきたい。そのためには市民に開かれた親水空間、交流の場という多目的な空間とし
て漁港を使いたい。大規模空間というのは腰越にはございません。何かイベントをすると
したらここしかないわけで、そういうものとしても使えるようなものにしてほしい。
さらに、防災設備です。防波堤が腰越の地域を守っていることは間違いないわけで、こ
れについてももう一回検討してみたい。これが2つ目の基本方針です。
3つ目が水域環境の回復イニシアティブ。そもそも漁業というのは、資源をとり尽くし
たら持続的な操業というのはあり得ないわけで、いかに水域環境を回復するかということ
が一番重要なことにもなるわけです。それが賢い利用をすることでして、ただ、人間が生
きていくためには多少環境に手を加えないといけない。それについては、それと相当かそ
れを上回るような代償、ミチゲーションというものをぜひやっていきたい。しかも、この
運動をきっかけに水域環境がますますよくなるような、そういう運動を起こしていきたい。
これが3つ目の目的でございます。
こういう目的をぜひ思い返した上で、もう一度議論させていただきたいと思います。(拍
手)
【司会】
次に、次第2のアンケートの回答と経過について、事務局より報告します。
これは前回の意見交換会当日及び後日郵送等でお願いしたアンケートの回答と経過につい
てです。
【事務局】
農水課長の安部と申します。
前回からのアンケート等は67名の方よりいただきました。まとめ方は、十分でないと
ころもあると思います。また、皆様にいただいたご意見とは違うのではとのご指摘等、お
気づきでしたら言ってください。
この67名の方のご意見は、総数で177件、そのうち課題として取り上げたのが11
6件です。うち36件は、検討委員会の運営等に関することなので省かせていただき、8
0件のものを、AからFの6項目に大くくりにして回答しています。前回お越しいただい
た方には、これをお送りしております。
まず、Aの行政への課題につきましては4点ございました。
1つは、関連計画における腰越漁港の位置づけについてですが、総合計画をはじめとし
て8つの基本計画等に盛り込まれています。事務局としても、農水課を中心に道路課、拠
点整備課、建築住宅課、海浜課が事務局になっております。
次に、地域戦略プランですが、これは国土庁の事業です。平成11年から15年まで、
トータルの金額は4兆31億円を費やすものです。全国99%の市町村がプランを出して
おり、鎌倉市では中央公園整備とこの腰越漁港整備の2事業が認定されており、既に中央
公園については、2億円の補助が決定しております。この腰越漁港の事業が確定し、その
実施が決定になった場合は、補助金を確保できます。近隣では観音崎公園の拡大整備、猿
島の整備、三崎漁港の整備等、十二、三項目の計画が認定されております。
次に、情報公開についてです。まず、検討委員会のスタンスはすべて公開です。行政と
しても、できる限りの情報を皆さんにお伝えしていきたいと思っております。5月9日か
ら農水課のホームページも開設しております。第1回意見交換会からの模様をすべてごら
んいただけますのでご利用ください。
計画の公定化についてですが、後ほど次第4でご報告をさせていただきます。
いずれにしても大変お金のかかる事業であり、国の10次計画等に採択されないと動け
ない状況であり、採択されるかどうかは私たちの努力にかかっておりますので一生懸命や
っていきたいと思います。
ちなみに、9次計が平成6年から13年までの8カ年計画で行われており、全国で大規
模な改修が行われましたのが48漁港、そのトータル金額は3兆円かかっております。
次は、下水道終末処理場との関連についてですが、前回も答弁しているように、今回の
腰越漁港の改修事業とは関係ございません。
なお、この放流水に関してはいろいろご意見が出ました。これにつきましては、検討委
員会としては、より一層の配慮、考慮をするように行政へ伝えていきたいということが確
認されております。
次に、Bとして遊漁船の問題です。遊漁船業は本来の漁業ではないという指摘もござい
ます。ただ、そこに幾つか記載してございます法律的な位置づけについては理解をし、現
状においては腰越漁協の発展のためにはやむを得ないという認識を検討委員会で確認して
おります。
C の、費用対効果に関する課題です。費用対効果については、本年度予定しております調
査の中で明らかにしたいと思っておりますが、かかった経費を上回る便益となるよう工夫、
または努力をしてまいります。
また、維持管理費についての質問については、今後もちろん腰越漁業協同組合とお話を
していかなければいけないことですが、現行、市が負担をしているのは電気代等を含め4
0万円程度です。そのほかにごみ処理費用が月五、六十万円かかっており、電球の交換等
も含め、その費用は、腰越漁業協同組合に負担していただいております。このほかに5年
とか10年のスパンで、土砂の浚渫等があり、1回 2,000万円程度のかかっております。
そのほか危険防止柵を更新したり、網干し場の修繕等の経費はその折々何年か1遍に支出
している状況です。
なお、今回お示しした計画案では、港口の水深を、砂の動きがないと言われています3
メートル以上に設定しておりますので、港内堆砂をある程度防止できると考えております。
それから、改修に伴う漁業補償とか休業補償等のご質問ですが、これについては考えて
おりません。
Dの、改修に当たっての基本的な課題。これは先ほど座長がお話しになりました。ここ
では控えさせていただきます。いずれにしても9次計、10次計という国の漁港整備とい
うのは、主立ったところが係船岸の整備です。9次計が終わった段階で係船岸の整備は全
国平均で58%になるそうです。鎌倉市は今現在31%、改修後は73%程度にしたいと
考えております。
それと、湘南港の避難の問題がございました。江の島の湘南港には2つ港あり、1つが
マリンスポーツ用施設、もう一つは漁業組合用の施設です。この漁業用の施設には約20
隻の藤沢漁協の船が入り満杯です。それ以外の船は全部酒匂川へ持っていっており、他方
もすでにいっぱいで物理的に使えないそうです。湘南港及び近隣各市、茅ヶ崎、小坪、真
名瀬の漁船もほとんどが油壺へ避難をしていることを再確認しました。
それと港口前の岩の撤去ですが、もちろん撤去することによって安全性の向上につなが
ると考えております。ただ、それに付随します泊地の確保とか係船岸の向上等につきまし
ては、その目的を果たすことができないと考えております。
それから、Eの景観並びに環境に関する問題は、この後ご報告があります。
最後に環境に関する課題と環境調査等結果と公開についてですが、環境影響調査等並び
に計画の基本調査を平成10年、11年度に実施し、公開もしております。予算には約 1,
500万円をかけており、おおむね現段階での通年の環境状況は把握しております。これ
らのまとめを今年度行う予定です。
【司会】
次に次第3の報告をお願いします。前回の意見交換会の結果について、検討
委員会で話し合ったところ、次の2点について皆様に報告したいという要望、意見が多か
ったので報告させていただきます。
1つは、鎌倉の海に関する環境調査です。報告は学識経験者として検討委員会の委員を
お願いしている東京大学の清野聡子先生です。2つ目がミチゲーションについて。このミ
チゲーションの考え方、手法、事例については、報告者は、平成10年度から鎌倉市のこ
の漁港計画、漁港改修計画のための環境調査を委託しています財団法人の漁港漁村建設技
術研究所の大塚研究員にお願いいたします。
【清野委員】
これから鎌倉の海についてのご説明を申し上げますが、このポイントは、
基本的には例えば鎌倉では海浜課というのがありますけれども、その水質については、い
ろんな情報管理が、非常に分断化されていて、一般の方が期待されているほど進んでいま
せん。これは神奈川県や鎌倉市の怠慢というわけではなくて、日本の国の非常に独特な状
態です。今までは計画があってから整備されるというのが日本のあり方だったのですが、
今後はふだんから皆さんが、市民の方も業者も含めて、海についての情報を把握して、そ
してみんな基本的な知識があるという状態まで進んでいって、それからいろんな計画が立
つということになるのが望ましいと思います。
私が幾つかかかわっている地域では、市民グループの方が中心になって行政の人が公開
した情報をもとに、漁師さんとか利用者とか、あるいは古くから海を知っている人の情報
を統合化して、地域の海のデータベースをつくっています。そういうふうになっていけば、
腰越漁港の機能というのはもうちょっと今後進んでいくのかなと思います。
では、今からご説明するのはエッセンスですけれども、まずスライドで見てください。
鎌倉の海の前の藻場がどういう風景、あるいは生態系になっているかを見てください。(ス
ライド)
まず、この鎌倉の海の漁場として把握されているのはこういった場所です。大体小動岬
の前あたりの海の光景で、小動だけの特殊な光景ではなくて、鎌倉の海の前の藻場全体が
こんな雰囲気であるということでご理解ください。(スライド)
藻場というのは海の中の森です。海草の森というのは、こういった通り過ぎる魚、ある
いはこういった森の根っこに住むような動物たちにすみかを提供しています。ですから、
森がなくなってしまったらそこに住んでいる虫や鳥がいなくなってしまうのと同じに、こ
の海草がなくなってしまったら、そこに餌を食べに来る魚やその根元に住み着いている生
物も、食べるものがなくなったり隠れる場所がなくなってしまうわけです。(スライド)
これは藻場というか、海草地帯のこういう岩場にどんな生物が住んでいるかというのを
示したものですけれども、ここに魚影があって、これはメバルです。こういう岩礁の凹凸
があってはじめて魚が潜むようなことができるわけで、藻場の海草がなくなったり、ある
いは岩自体が撤去されてしまうと、こういった魚の隠れ家もなくなるわけです。これはこ
こにアワビがついているんですけれども、こういった形で貝類も何かコケみたいについて
いるような動物だとか植物を食べて生きています。(スライド)
これが藻場の雰囲気ですけれども、要するにオープンスペースになっている森の上の空
間、それから葉っぱが繁っている空間、そして幹があって、その下に木陰になっているよ
うな空間、そういうわけで海草が1本生えるだけで、あるいはこうやって密集して生える
だけで、非常にこの海洋の中の空間が立体的に使えるようになります。(スライド)
これはタコですけれども、タコというのは、大人になるとこうやって磯場に住んだり砂
地のくぼみに住んだりとかします。この藻場、あるいは岩礁地帯というのは、すみかにな
っているだけではなくて、それが繁殖する場所、そしてまた飼料に当たるようなプランク
トン時期の幼生がまた戻ってくる場所ということで非常に重要なものです。(スライド)
これはヨロイメバルです。こういった形で魚も固着性ではないのですけれど、磯根につ
いている魚という言い方で、岩礁性の魚が腰越の周りにはたくさんいます。これが十分漁
業的に活用されていないという印象がありまして、これは実際にこの藻場そのもののポテ
ンシャルが、かなり十分ワイドユースという意味では生かされていないということも言え
るわけです。
この鎌倉の前の藻場の魚をなぜほとんど漁獲していないかというと、こういうものが1
匹、2匹とれたとしても、それを陸揚げして市場に出すといったときには非常に効率が悪
いということがありまして、ちょうど見ていただく資料で腰越に揚がる魚が出ていますけ
れども、こういった磯づきの魚というのは、細々とした水産生物として利用されているに
すぎません。
(スライド)
これはコウイカで甲羅があるイカですけれども、これは砂地と磯場と両方あるようなと
ころというのを好みます。(スライド)
これはサザエです。サザエはこういった海草を食べて育つので、根っこにいるだけでは
なくてこうやって海草によじ登ってこれ自体を食料にします。(OHP)
鎌倉の海というのは、こうやって改めて調べてみると非常にいい場所にありまして、相
模湾全体からいうと、三浦半島は磯場、茅ヶ崎が砂場とか、いろんな特徴があるわけです。
鎌倉の場合は砂浜と磯が混在しまして、砂浜の環境もあり磯の環境もありというような非
常に絶妙な場所にあります。
それから、鎌倉の海というのは、相模湾に入ってくる波、夏場に南西から入ってくる強
い波というのが、台風だとか風の関係であるのですけれども、通常時は観測地だとこうい
ったこちらの南西側のほうから入ってくる波浪が強くなっています。鎌倉の場合には、こ
ういった強い波を真っ正面から受けるということがあり、そういった波浪特性などもある
わけです。ですから、こういう地形だとかマクロな波の向きだとかいうこともちゃんと知
らなければいけない。
藻場を構成する海草というのはどこにでも生えるわけではなくて、水深別に生えている
場所、生えていない場所というのがあります。ですから、平面的に見るだけではなくて、
海草が生えるというのは水深との関係、それは主に日射量とか、そういったことで決まっ
てくるわけですけれども、いろんな海草が生えるための条件というのはあるわけです。
それで、鎌倉の前の藻場の情報としては、「サーフ
90」のときに相模湾沿岸を集中的
に調査がなされまして、こういった地図があります。
これは鎌倉市の、稲村から江ノ島の間のところを見ていただきますと、この黒い点線で
囲んであるところが藻場としてわかったところです。
それから、こういう形で資料の中にはここの面積も計算してありますけれども、鎌倉市
の沖合の藻場としては、こういった江ノ島の先端部からこういった形で非常に広大な藻場
が広がっている良好な環境であるということが言えます。
市で調査していただいたときは、藻場というふうに一くくりにしないで、どんな種類が
生えているかというのを見ていただきました。そうしてみると、アラメ、カジメ、ワカメ、
アラモというのがありますけれども、ワカメは皆さんご存じだと思いますので、アラメ、
カジメはこういった形で分布が分かれておりまして、これは最初の生える条件というのは
種類によって違うからです。こういった1つ1つの海草がどういう条件で生えるのかとい
うのは、ほんとうにその研究が蓄積されているとはいっても、現実には応用するまでには
まだまだ系統立てていませんので、ミチゲーションだとか、繁殖技術を考えたときに難し
いところです。
プリントの中の最後のほうに海草の一生のような絵がありますけれども、ああいうのが
わかるまでに海草
学者は何十年とか100年以上費やしてきて、やっと海草の一生み
たいなものがわかるようになってきました。ですから、それがどんな条件で生えるのかな
んていうのはまだまだ全然わからない。(OHP)
これは徹底的な調査ができないときには、漁業者の方にいろんな情報を伺って、それを
どんどん重ね合わせていくというようなことをします。今回鎌倉市さんのほうで、漁業者
の方にヒアリングをしてくださって、漁場と環境というのはどういうふうに対応しそうか
というのを調べていただきました。漁場としては、こうやって協同漁業権とか、漁業権が
あってそれぞれの方が刺し網をやったり、あるいは小型定置をやったりとかなさっている
わけですけれども、漁場漁師の方は大体ここらの海域にどんな生物がいるかというのを見
ておられるわけです。それで、非常にその大ざっぱな形ではありますけれども、魚類だと
か貝類だとか、それから海草がどこに生えているかというのを見ますと、おおむね藻場が
あるところには魚類とか貝類というのはは必ずいるということで、この海域においても、
おおむね藻場があることによってそういった生物が育まれているということがわかると思
います。
それから、今回鎌倉市さんの調査で全域を調査するのは難しいので、側線として1本綱
を引いて、300メートルの綱のところに、どんなものがあったかとか、何メートルのと
ころにどのぐらい海草が生えているかとか、そういった調査をしていただきました。そう
いった資料の細かいものが市役所にあるので見ていただきたい。ポイントとしては、例え
ばここにありますように、ブロックの前面というのはどんな種類が生えているかというの
がこの調査によってもわかります。ブロックというのはもともと鎌倉の海になかったもの
ですけれども、こういった構造物を入れるときにどんなふうにこの海域がなりそうかとい
うのは、今ある状態を調べることによっても予測の基礎データというのがわかるわけです。
最初にも言いましたように、こういった基礎資料というのは世の中にあっても、それを
考察していくにはほんとうに多くの時間と多くの人の知恵が必要です。ですから、業者に
発注する調査というのは、あるポイントで、ポイントを相当定めますけれども、水中調査
というような形で、もうちょっと経年的なずっと長期の調査というのはできないので、こ
れは専門委員としてのお願いですけれど、今後はあらゆる情報を市のほうも、専門家のほ
うも鎌倉については書いておりますので、ぜひ皆さんのお知恵をかしていただいて、ここ
の海の展望をできるだけ正確に現況を把握したい。それから、それがないと予測もできな
いので、その予測のときにぜひ皆さんに、海洋の生態系についての世の中の知識とか技術
の状態がどうあるかということを知っていただいて、それを考えていくプロセスも一緒に
やっていけたらなとご提案したいと思います。
【大塚研究員】
皆さん、こんにちは。私は財団法人漁港漁村建設技術研究所の大塚と
申します。
腰越につきましては、平成10年と11年、2カ年にわたりまして腰越漁港周辺の環境
実態調査を行いました。これはあくまでも腰越漁港の改修計画のための基礎調査として腰
越周辺の環境がどういうものであるかというものを調べたものでして、先ほどの清野先生
のOHPに一部ございましたが、腰越の前面約300メートルまでの範囲にわたって、ど
ういう生物、動物が分布しているかというのを調査したわけです。
今回私はミチゲーションについてというお話を簡単にさせていただきます。(スライド)
これはミチゲーションを考える前段といたしまして、海洋環境の保護・保全に関してど
ういうことが問題になっているかというところを項目立てしたものですが、まず1つに、
良好な海洋環境の維持を図らなければいけない。2番目に生物多様性の保全、3番目に環
境に優しい漁業の実践、4番目に劣化した生態系の修復というような項目が大きく出てま
いります。(スライド)
そういう社会背景がございまして、ところが、我々人間が生活する上におきましては、
かなり環境に負荷を与えているというのは、これは避けられない実態でございまして、こ
こでそういうのを模式図で書いております。いろいろ物質循環と人間のライフスタイルの
間で摩擦が生じて、全く環境そのものを保持することができないということになります。
一番左の上に、海外での環境負荷の事例で載っておりますが、日本人は世界有数のエビ
が好きな人種でして、日本人は圧倒的にエビを食べる。そのエビはどこから来るかという
と、圧倒的に東南アジア諸国から輸入されるわけですが、例えばその東南アジア諸国のエ
ビを生産するために環境がどれだけ破壊されているかというのも、こういう図示の中では
位置づけられますが、これは人間が生きる上で環境に負荷を与えざるを得ないから、これ
をいかに調和していくかというところが問題であるという前段のお話です。(スライド)
1992年にブラジルで地球環境サミットが開かれて、そのときに世界的に環境問題に
ついて取り上げられました。ここでは持続可能な開発と生物の多様性という大きなキーワ
ードが出てまいりました。その後アジェンダ21を採択されて、ミュンヘンサミット、東
京サミット等でいろいろな国の考え方が出てきましたが、最終的に持続的発展が可能な社
会の構築を図っていきましょうというのが世界共通認識として持たれたわけです。中には
流域の多目的管理、環境影響評価、生物多様性の重要性だとか、モニタリングの強調とい
うようなところが認知されております。これはあくまでも人類が生きていくために環境と
調和をして、全体の持続的発展が可能な社会を構築していきましょうというところです。
(スライド)
ミチゲーションというのは既にアメリカで1970年代から始まっており、そのアメリ
カにおいては、環境保全審議会でミチゲーションというのを定義しております。これは5
つのランクに分けられており、1つは開発影響の回避。回避をするために行為を中止する、
一切何も行わない。2番目に環境影響の最少化、これは規模や程度、影響を最小限に食い
とめるために規模や程度を少し制限する。3番目は環境影響を調整する。環境影響が与え
られるだろうというところを修復、回復、復元をしたということです。4番目に環境影響
を減少、または消去する。これは開発行為の期間中に維持・保存作業を行うということで
す。最後に5番目として環境影響の代償措置を行う。全く同じものを別のところで代替す
るというような考えがあります。このカテゴリーというのは、アメリカの定義ですけれど
も日本でも使えるものと思われます。(スライド)
アメリカで約30年近くのミチゲーションという概念がずっとあって、実際行為がとら
れており、さまざまな問題点というのが明らかになってまいりました。それと地球環境サ
ミット等を踏まえ、日本型ミチゲーションの考え方を少し整理しようというようなところ
もあり、国としていろんなことを考えております。最終的に人間の利便性と生態系を考慮
して、積極的に環境へ配慮した施策を行いましょうということです。ここら辺のことが、
先ほど清野先生の資料に簡潔に書いてございますが、ここでは現状の環境質をいかに維持
するかということと、劣化した環境質をいかに修復するかという2つの事項に集約される
ことになります。こういうことによって望ましい環境を次世代へ継承しましょうというこ
とになります。(スライド)
具体的にどういうふうなことで何をやろうかというと非常に難しい話ですけれども、ミ
チゲーションというのは、あくまでも人間が何かの行為をしようとするときに、環境とい
かに調和して物事を進めていくかということになりますので、途中途中でいろんな調査、
計画とかモニタリングだとか、計画が始まってから事業を実施して完了するまでにものす
ごくいろんなステップがありますというのを、ここで言っております。
いかに環境に配慮しながらいろんな施策を展開していくかということを踏まえ、漁港を
含めた新たな水産基盤整備の方向性というのが国から新たに提示されておりますけれども、
その中に水産資源の生息環境との漁場の積極的な保全・創造を図りましょうという大きな
柱がうたわれております。つまり、腰越漁港で基本計画や改修計画を立てようというとき
には、水産資源の生息となる環境、漁場の積極的な保全・創造、あるいは修復等を図って
いこうというのが、国が全国的に呼びかけている流れです。
あくまでもミチゲーションというのは概念であり、まだ日本の場合も法的制度が定めら
れたり、手法が確立されたものではなく、腰越に置きかえますと、腰越漁港で何らかの改
修をやろうとした場合に、ミチゲーションの概念を導入してやっていきましょうと。その
概念は何かというと、いかに環境に配慮するかということになります。多分腰越の場合に
は、影響をいかに最小限に食いとめるか。2つ目として、影響のあるところ、あった場合
に、その修復をいかに図るかということになるかと思います。具体的な手法として自然調
和型漁港づくりという事業制度があります。これは何かといいますと、漁港自体に藻場つ
くような港をつくりましょうとか、海の中を変えると水の流れとか砂の流れが変わるわけ
ですから、それをつくるときに、海水の流れをうまく活用して海水自体を浄化していきま
しょうという大きな2つが、技術的な手法としてとられております。
実際に全国で実施されております。これは平成6年度、7年度と全国的に展開されてお
りまして、例えば、普通防波堤というのは、皆さんご存じのようにコンクリートの塊で下
に石があって消波ブロックがごたごたとあるというようなものがありますが、そういうも
のをつくるときに、必ず自然の上に人工的な構造物をつくるわけです。それがすべて悪で
はなくて、人工的な構造物をつくるときにいかに自然の生態系に配慮するか。既に全国3
0カ所、40カ所程度でいろんなことがやられております。
これを腰越に置きかえてみますと、これから細かい調査をして検討をしていかなければ
いけないんですが、例えば、もし新しくここに施設をつくるとすれば、つくる施設自体に
藻場機能を付加したらどうか。消滅する部分をここである程度再生・修復したらどうかと
いうことと、我々の調査の結果わかりましたのが、小動岬前面の離岸堤の内側というのは
かなりヘドロが堆積したりして、生態系的にはちょっと今は価値の低いところがあります
ので、ここをもっと現状よりさらに向上、生態系から見るともっと環境を向上させると。
マイナスの部分を修復するということと、プラスの部分がマイナスになる部分を修復する
ということと、今既にマイナスである部分をいかにプラスにするかというような方法がと
れるのではないかと思います。
例えばこれは1つの事例ですが、左上が人工的な構造物の設置、俗に言う消波ブロック
というものがありますけれども、設置後3カ月。その後、下に設置後1年、1年9カ月、
2年6カ月、設置後3年ということになりますと、3年後はここは林のように海中林が造
成されていると。これがそっくりそのまま腰越に適用されるわけではなくて、腰越のうち
どこの部分にどういうものをつけば何がどのように生息できるかというのは、これから細
かい調査をしていかなければいけないと思います。
腰越の場合にはどういう対象種が、どういう生息環境が一番適していて、その生息環境
を人工的にどうつくることによって将来どのようになるかという予測を立てる。そういう
ふうに生態系を含めた環境全体を現状把握して何か人為的に改変することに対して影響を
抑える、いかに抑えるか、その抑えるときに既存の環境にいかに配慮した施設づくりを行
うかというのが、今我が国で漁港関係で用いられているミチゲーションの概念を導入した
漁港づくりというところになります。(拍手)
(
休
憩
)
【司会】
先ほどの、意見交換を、休憩の後、行いたいと申し上げましたが、意見交換
の時間をたくさんとりたいので、次の4の新たにいただいた議題について、なるべく短く
説明させていただきたいと思います。
【事務局】
農水課の大谷と申します。
前回受付に住所をお書きになった方については郵便で、そのほかの方については市の広
報板、あるいはインターネットを使い、今回のお知らせをし、その中で新たに議題があれ
ばくださいというお願いをしておりました。その結果、19日までに3名の方からファッ
クスをいただきました。
議論してほしい項目としては、まず資料に関すること、スケジュールや資金について、
市民にとってのメリット、漁業のこと、景観のこと、生態系など海の環境のこと、という
項目がありました。この中で特に多かった部分、その4点についてただいまから若干お話
をして意見交換に入っていきます。
議題1番から3番まで、景観から漁業形態の見通し、計画の公定化の部分について、私
が説明いたします。
まず、景観につきましては前回いろいろ議論がございましたけれども、稲村からの景観
が非常に話題になりました。(OHP)
1番が稲村の公園を入ったところで、ここは海抜で言いますと約9メートルの地点です。
2番が、公園の海岸を登ったところで、3番目が一番上の頂上部、これが26メートルと
なります。(スライド)
まず1番の地点から見た、これが小動の岬でこれが江ノ島、江ノ島大橋、小動が見えま
す。レンズは55ミリを使いました。(スライド)
これが公園の階段を登ったところです。そこから見ると若干上から見る角度がつきます
ので、小動、江ノ島大橋が見えます。(スライド)
これが一番上、昔展望台、レストハウスがあったところの海側です。これをよく見ます
と、現在の消波ブロックが江ノ島大橋とやや重なり合っている感じで、その向こうに西浜
の海辺が少し見えます。
(スライド)
次に、漁業者として将来展望どうなんだということにつきましては、私ども平成11年
4月に漁業者の方にアンケート調査を行ないました。漁業者の意向は、現在はシラス、フ
ナビキ、あるいはワカメの養殖というものが主体ですが、今後は畜養施設、あるいは加工
施設、直売施設などを用いた海業に発展していきたいと、そういうお答えでした。
それから、実際に漁業の漁獲はどうなるのということでOHPで見てみます。
(OHP)
海面漁業、いわゆる魚系と、海面養殖業、これはメインがワカメの養殖、あるいは昆布
の養殖になっていますけれども、その推移を平成9年まであらわしております。
金額で言うと、平成9年は1億3,900万円。海面漁業で1億300万円、海面養殖ワ
カメで 3,600万円の陸揚げがあったということです。ちなみに、漁獲で言いますと、平
成9年度は総漁獲高が、トン数換算で199トンございました。これは昭和35年からの
漁獲の推移を出しております。下の緑の線が昭和50年、これは養殖を始めた年です。こ
れを見ますと、年度ごとに大きな変動というのがありが、その主な理由というのが、イワ
シの豊漁期、あるいはイワシの漁獲高にかかわっております。特に平成3年度以降漁獲が
落ちているというのは、採算がとれないということで大型定置をやめたという経緯があり
ます。しかし、近年また平均して、金額で言いますと大体1億2、3千万円の水揚げ金額
ということで推移しております。これは腰越漁港だけの数値です。
後継者問題につきましては、新規参入者というのは暫時増加傾向にあり、平成10年で
は6名の増加を見ましたけれども、高齢者の割合もかなり高いということで、自然減もご
ざいます。総数としては近年約80名前後で推移しております。全国で約30万人の漁業
者が日本の水産を支えているわけですが、全国的に漁業者の数というのが減少傾向にあり、
腰越についても、平成20年、30年の想定推計をいたしましたところ、大体現状を維持
するような形で推移していくだろうというふうに見ております。
それから、漁業の専業、あるいは兼業の割合ですが、平成10年度の漁業船舶の速報値
によると、腰越についても、33%の方が専業です。また、残りの兼業の方のうち、漁業
を主にしている兼業、これは収入の多寡で区分けされておりますが、兼業のうち漁業が主
というのも約33%。これを合わせますと、大体66%の方が専業、あるいは漁業を主と
している。これは前回のセンサスの数値と比べましても、専業割合がやや増えております。
この傾向というのも、やはり高齢者が遊漁から離れて、近隣海域での刺し網漁、あるいは
採藻へ移行しているという部分も含まれております。
いただいたご意見で、一番皆さんの関心が高かったのが計画の公定化、あるいは経費の
話でした。(OHP)
腰越漁港の改修の手順について、これはあくまでも鎌倉市が今やっている腰越漁港の改
修に向けてのスケジュールの話ですが、現在腰越漁港改修基本計画の策定中です。これは
検討委員会などでいただいたご意見、皆さんからいただいたご意見、考え方なども当然参
考にしながらつくっていくものです。
この腰越漁港改修基本計画につきましては、平成12年度中に何とかまとめていきたい
と考えております。
県の漁港整備計画は10カ年計画で前期5年分が準備計画になるわけですが、これがス
ケジュールとしては平成13年4月にスタートする予定になっております。ただし、これ
は漁港法という法律の改正がされないとできないことです。現在漁港法の改正作業が国会
で進行中であるというふうに聞いております。
次に経費ですが、腰越漁港の改修が国庫補助事業として認知された場合に、基本的に神
奈川県の場合は、国が50%、神奈川県が25%、残りの25%を市が出します。これは
事業費全体の話になりますので、今10カ年計画の話をしましたけれども、10年間で腰
越漁港の事業費が、仮に20億円かかるとすれば、国が10億円、神奈川県が5億円、鎌
倉市が5億円、これを10年間で出します。
この国、あるいは県が持っている予算というのは、鎌倉市が事業をしないとなれば、当
然よその県、あるいはよその市に割り振られることになるようです。
それから、今出されている基本図がありますけれども、あれで、もしみんながいいよと
言ったら、鎌倉市はどういう年次計画でいくのですかという質問がありましたけれども、
これのとおり現在の計画を次期長期計画にもし当てはめた場合、平成13年度、埋め立て
用分について神奈川県の土地利用調整会議に諮り、土地利用調整会議の承認が得られた場
合、平成14年度には、公有水面埋立法に基づきます埋立申請を県に出します。それのた
めのいろいろな調査、設計などがあります。
それから、翌年、平成15年度、公有水面埋立申請の審議があります。これはかなり時
間を要するというふうに聞いております。平成16年度に埋立免許を取得してから初めて
平成17年度に一部着工ということで推移していくだろうというふうに考えております。
これが今想定されている年度計画です。
【司会】
次に4番の市民にとっての効果について、検討委員のメンバーの方々に、そ
れぞれ思われる市民にとっての効果を話していただきたいと思います。
【原委員】
原です。私は坂ノ下で漁師をしています。
皆さんご存じのとおり、坂ノ下では船を砂浜に上げています。台風やしけのときには国
道134号線、歩道に船を上げて避難していますが、市民の方に歩道が使えなくなるとい
う苦情もあり、これを何とかしなきゃいけない、そう思っているんです。特に鎌倉は大型
船は少ないんですけれども、それは荒天時には腰越漁港に避難できればいいかなと思って
います。
【金子委員】
こんにちは。腰越の漁業者の金子です。
市民にとっての効果、その前に漁業者が今腰越で船を使っているんですけれども、安全
に、波があるときは、出船するときも帰ってくるときも結構間を見て港の中に入ってくる、
そういう状況があるんです。それを改善してもらいたい。仮に港ができた場合、市民にと
ってのメリットといえば、1つはやっぱり防災だと思う。昔震災か何かあったときに、腰
越中学校のほうまで水が上がったという話を聞いたこともある。それを港ができれば水が
上がらない可能性もあると思う。それで、漁業者が、将来僕なんかの後の世代も漁業をや
っていく人が出たら、市民の方にとった魚を提供できる、そういうことも1つの効果だと
思います。
【天田委員】
天田と申します。大船から一般市民でこの委員会に参加しています。
いろいろ漁港について検討してまいりましたが、一般の市民にとっての効果ということ
になりますと、漁港はどちらかというとお魚がとれて、それが直に地元で消費される。地
元の魚を専門にご商売で一般市民に提供しているというところもございますし、今現在直
売ということでシラスとかその他の魚を腰越の漁協で販売しておりますが、これからこれ
らをもっと積極的にして皆さんに提供したい、そういうことができればと思います。ただ、
魚の場合は時期もありますし、とれる漁獲、あるいはしけとかでなかなか思うようにいか
ない部分がございますが、いろいろ工夫しまして今後できる漁港の中で、そういう部分で
一般市民の人といろいろ動きを図っていきたい、かように考えております。
【蓮沼委員】
いています。
七里ガ浜東に住む蓮沼といいます。市民の委員として参加させていただ
私は今までもこの定期会の中で出てきた案の中で、最後に80メートルという案が出さ
れましたけれども、その中で今の砂防堤、神戸川の側の堤防を広げ、そこを散歩できるよ
うにする。釣り場の堤防のほうから釣りもできるというようなところが、市民にはメリッ
トがある。漁師さんも市民の一部だとすれば、漁師さんも確かに使い勝手とかはよくなる
と思います。
私も検討委員に選ばれ、いろいろ勉強しまして、東京のシンポジウムとか行ってまいり
ました。そのとき青森県から漁村の方がいらした漁港に関しての勉強会があって、そこの
方の話を聞く機会があった。そこはイカ釣りが主な漁だった。そこで川の中に港があって、
それを磯の面にして、そのぐらい何ともないということで磯の面につくった。船を大きく
して沖まで出ていっていっぱいとろうと計画して行った。ところが、船は大きくしたけれ
どもイカは思ったように釣れない。結局また近くでとろうと思ったけれども、磯がもうだ
めになっていて前のようにはうまくいかず、元に戻すのが大変だったという話が出た。
今の藻場ですけれども、腰越地先に対する割合0・6%、鎌倉全体でも0・3%。詳し
いことはわかりません。でも、その数字は確かに小さいようですけれども、青森県の漁師
さんも、多分おれたちはプロだからそのぐらいは平気だということで進めたと思うし、腰
越の漁師さんたちももちろんプロの漁師さんなのでよくわかっているとは思うけれども、
ほんとうにこれをやって大丈夫かどうかというところを、もうちょっと時間をかけてゆっ
くり検討してもらえたらいいだろうなというふうに思っています。
【奥田委員】
こんにちは。前に坂ノ下に住んでいましたが、最近七里に引っ越しまし
た奥田といいます。
この委員会で、初めからいろんなことを検討していて、前回皆さんからいただいたその
アンケートの中にも、やっぱり遊漁は漁業の一環としては認めにくいし、一次産業である
漁業以外の遊魚をいわゆるサービス業と理解したいという人たちが多くて、それに対して
お金を使うのはやっぱり納得がいかないというのが、皆さんの心の中の現実ですね。それ
から、そういう意見もたくさんあるし、漁師さんの中でも早急にやってもらいたい。子供
たちや孫のために良好な環境が欲しいから早くやろうという気持ちはよくわかる。けれど
も、せいては事をし損じるということもありますから、これはじっくり考えて、あまり急
がないでもいいじゃないですか。じっくりいいものになっていくのがほんとうに一番いい
ことだと思う。
私、提言というか、こうやったらちょっとはみんなが納得もいくし、いいんじゃないか
なということをほんとうに考えたんです。まず1つは、鎌倉市民のために鎌倉市から5億
円というお金が使われるわけですけれども、それはみんなの懐から出るお金なので、それ
を利用して一番利益を得ようとする人たちが、何をみんなにサービスすることができるか
ということをもうちょっと考えたらいいかなと思ったんです。
例えば朝市のときに、例えば鎌倉市民である証拠、例えば免許証とか見せたら100グ
ラム入りのシラスをサービスするとか、そんな簡単なことでいいと思う。もし駐車場をつ
くるのであれば、例えば県営駐車場という形にして、30分幾ら、1時間幾らのお金を取
って、そのお金をまたみんなでもってフィードバックしていくようにするとか、それをや
ることでパーク・アンド・ライドにもっといっぱい貢献ができるよとか、そういうもっと
建設的な話もあっていいじゃないかと思うんです。
全体で何十億円というお金が動くわけです。全部税金ですね。それを公平に使ってもら
いたいという意見もたくさんあって、じゃ、どう公平になるか。今、海を基盤として生活
している人たちの中に漁師さんはもちろんいて、そのほかのいわゆるサービス業の人たち、
あるいはマリンスポーツ産業の人たちがいるわけです。みんなに公平になるためには、そ
のお金の使い道として、例えば今たっぷり入っている漁礁をうまく整備して、そこのもの
をとって地先のほうの波を消すのにうまく利用してもらうとか、それによってもともと今
漁礁のあるところ、例えば稲村なんていうところは、昔はすごい歴史的ないい波が立つと
ころだったけれども、漁礁を入れ過ぎて全然だめです。本来のサーフポイントにはヒット
しない前に力が分散しちゃって、そういうのをうまく改善していくようにできるんじゃな
いかと思うんです。
それは十分なモニタリングと、漁師さんの意見だけでなくてサーファーの人たち、それ
から何十年もそこで潜って、そこの地形がどう変わったとか、そういうもののモニタリン
グを十分吸収していくためにも意見交換会という形をもっともっと重ねたほうがいいので
はないか。それはできればフリートーキングできる場で、いろんな意見を吸い上げていけ
るような場にしていく。そして、そのために十分時間をかける。お金はあまりかけないで
時間を十分かけることが重要じゃないかなと思いました。
【川口委員】
腰越に住んでいます川口です。一主婦の立場として話させていただきま
す。
もし漁港が改修されるための問題点がすべてクリアされて、漁港が改修されてというと
ころからの話しか私はできないですけれど、腰越にとって漁港というのは今考えられる一
番の公共の空間なので、それを何とか利用できたらなというふうに思っています。
改修されることによって市民のスペースが今よりももうちょっと増え、年間に何度か地
域のイベントもできて、地元だけでなく、県外からの来訪者も集めらることができると思
う。そういうことを腰越の活性化に生かしていけたらなと考えています。漁港があってお
寺もあって江ノ電が通っている古い町並みを大事にして、腰越を盛り立てていけたらなと
いうふうに思っています。
また、漁港の改修というのは漁師さんが一番望んでいることであろうと思います。前回
ここでお話があった災難者を助ける水難救済会、しょっちゅうそういう災害者が出るとは
思いませんけれども、そういう非常時にでも安全に船が出せるということもすごく大切な
ことなんじゃないかなと思っています。
もう一つ、ほんとうにこれは子供を持つ親として思うことですけれども、年に1回鎌倉
市の子供たちを対象にして海からの郷土見学というのがあります。そのときに漁師さんた
ちが協力して船を出していただいて、子供たちもすごく楽しみにしている行事です。そう
いうときに、子供たちの乗った船の安全を考えて漁師さんたちはすごい気を使ってくださ
っていますので、安全に船が出入りできる安全な漁港というのも必要ではないかなという
ふうに考えています。
【司会】
ありがとうございました。それでは、意見交換会に入りたいと思います。
ご意見のある方は挙手をお願いします。発言の前にはご自分の区域お名前をおっしゃっ
ていただきたいと思います。それともう一つ、この意見交換会は、議事録の作成上、録音
させていただいておりますのでご了承ください。では、よろしくお願いします。
【片岡さん】
藤沢市の片岡と申します。
今の市民のメリットの説明について、事実関係を確認させていただきたい点が何点かあ
りますのでご説明願いたい。まずこの腰越漁港は、地震などが起こった震災時に、防波堤
の役割を想定されてつくられるんでしょうかという点が1点。
次に、漁港内に市民のためのスペース、釣り場の話はわかるけれども、ほかにどのよう
な市民のためのスペースが検討されているのでしょうか。
もう一つ、腰越でとれた魚は全部横浜のほうの市場へ卸されていると聞いて、確かにこ
の近くで腰越産というのを見ますけれども、直売以外は、例えば地元で住んでいるから安
価な値段、あるいは新鮮なものが手に入るという状況ではないと聞いています。そこら辺
流通はどうなっているんでしょうか。。
【事務局】
市民のスペースについてですが、防砂堤の部分の幅を広げて市民ゾーンと
しての活用を図ろうということになっています。それ以外に駐車場とかいろんなイベント
の場合の市民スペースの利用についてはまだ決定はしていません。そういう使い勝手をし
ていきたいという要望はあります。
地元の魚の流通の問題ですが、横浜というよりも腰越に平勝という市場がございますか
ら、そこへいくものと考えています。
【池田委員】
腰越漁協の組合長です。第1点目の防災に関してのことでございますが、
現状では今の防波堤、また防砂堤では津波の対応はできません。
それから、流通のことでありますが、現状は腰越の平勝さんと、それから杉半の市場の
ほうに魚を運んでおります。なかなか10キロ地元の人に販売できても、例えば50キロ
とれる場合があっても、あとの40キロも放しちゃう現状でありますので、そういう形で
対応しております。
【片岡さん】
ということは、つまりお魚が地元に回っているということなんですか。
【池田委員】
地元で消化できない魚を運んでいるということです。大体8割から9割、
地元でお客さんに販売しているということです。
【田中さん】
稲村ガ崎の田中ですけれども、ミチゲーションという考え方の方向性と
いうのはすごくいいと思う。これからの建造物を海の中に入れるということは、環境をあ
る意味では破壊していかざるを得ないと思う。そうした場合に、波がどのように地域に対
して海岸の砂をとっていったりするかということが研究されている。それを全く考慮しな
いで新たな開発が起きると、いわゆるサーフィンをやるためのゲレンデがまた消えていっ
てしまうということを非常に危惧するわけです。
ですから、ある意味では今の技術と知恵を考えれば、防波テトラとかそういう素材のも
のを入れるのではなくて、真鶴石とか、天然の石である程度人工の海底牧場のようなもの
を設置すれば、それをどこに配置するかによって波のでき方とかいうのが変わってくるわ
けで、それによって環境が破壊されたりするわけです。沖からきれいに計算で、どっちか
らのうねりに入ってくれば、どこに棚をつくれば生きた磯ができるかということが、今の
科学ではできるわけですから、そうするとサーフポイントの混雑もなくなってきます。新
たな提言として、鎌倉から湘南の文化の中にサーフィンというのはやはり避けられないと
思うので、1つのスポーツとしてそれを文化として認める。漁組の方は漁組の方で大きく、
安全のある堤防を内側につくって波を消して、そこで駐車場の管理とかすべてがなされて
活性化するようなシステムをつくっていただいて、裏側の部分の七里ヶ浜方面は、きれい
な人工の棚をぜひともつくっていただくようにお願いします。(拍手)
【清野委員】
それに関して、サーファーの方が大勢いらっしゃるので、私が千葉県の
サーファーの方たちの海岸ホテルの話を受けて検討した例を参考にお話ししたいと思いま
す。
今回補助事業で、要するに税金を使って漁業、遊漁だとか、そういうことも含めてどう
いう意味があるのかというのを、非常にここでシビアに議論されていると思うんですけれ
ども、要するに営みじゃなくて文化ですね、サーフィンの場合。文化とか、あるいは精神
的な何か解放感を得るとか、そういった非常に形になりにくいものに対して、一体それに
税金を使うべきなのかどうかということがほんとうに議論されています。
その場合には、例えばほんとうにサーフィンというのが海に対してどういうことができ
るのか、あるいは自分たちが個人として楽しむだけじゃなくて、地域にとってどういう意
味があってどういうような海の文化なのかというのを、相当論じ合って説明しない限りは、
税金の使い方だけを考えたら、サーフポイントはなくなったけれどももっと安い波のつく
り方もあるし、もっと安い道路の壊れないような工事もある。ですから、今いろいろなお
話があったとおり、できたら鎌倉の海にそういった形でいろんなものが移動するとか組み
直すといったときには、莫大な費用がかかります。それが果たしてサーフィンをされる方
だけじゃなくて、いい波が来るということがたまたま海にとってどういうことなのかとい
うのは、それは技術的な部分も含めて相当整理していただく必要が出ると思います。
それで、今みたいな考え方は今後海の文化の中で議論されていくと思うんですが、今ま
でのシステムとか、今しばらくのシステムの中では、サーフィンというのはほんとうに法
律的にも位置づけられていないし、いろんな要望を出して、それがサーフィンの波だけと
いったときには非常に通りづらいです。私はサーファーの方の千葉の件について知ってい
るんですけれども、あなたは専門家としてある一部のそういう利益とか利用したい人の味
方をするんですかということをほんとうに言われた。その結果、私も非常に悩んでいて、
サーファーの方には、そういうパブリックな意味をもうちょっと整理していただくという
ことが必要かなというふうに思うので、ぜひそれはお願いしたいと思います。
【宇多委員】
宇多です。非常に正確にお答えします。
私はサーファーズファンデーションの後援者です。彼らと全国のいろんなところで、み
すみす非常にいいサーフポイントだったところが、あっという間に得体の知れない構造物
に覆われて、魚がとれるいい漁礁だったところがとんでもないものになってしまうという
のを、それはおかしいという意見を私自身が、つくる側にいながらも言うときもあります。
だから、そういうスタンドポイントでちょっと聞いていただきたい。
今のご意見の中で幾つか非常に重要なポイントがあって、1つは、数年前に腰越にもっ
とでかいのをやろうという話がありましたね。あれはおかしい、あれは科学的に七里ヶ浜
に影響を及ぼすということをはっきりと私は言っちゃった。そういうやつがなんでこの中
で今回入っているかというと、未然に防止できるところは防止してもらいたい。だから、
七里ヶ浜側に非常に大きな影響が出るような構造物というのは、つくろうと思えばつくれ
る。反射波がうんと出て、小動寄りのサーフポイントがあって、波がまっすぐ来るまで横
から反射波が来て波が騒いじゃうというパターンになり得るけれども、それは極力防止し
ようと。だから、小動の影のほうにつくろうということを基本的な流れで取り組んでいる。
それが完全かどうかというのはもっと調べなければならない。おっしゃるような面がもし
仮にもあれば、それは撤去しなきゃならない。
それから、さっき稲村の沖合に漁礁を入れたけれども、それでサーフポイントが崩れた
と。あれはどういうことかというと、漁礁だから、要するに石だかコンクリートだか何か
塊を入れるので浅くなりますね。それによって波がちょうどほどよい海底地形でぱっと砕
けて斜めに来るからサーフィンができるわけですけれども、それが何か事情はよくわかり
ません、平ったくなっちゃったということだと思う。
そのときに、そういうのをどういうふうに考えたらいいかというと、オーストラリアと
かアメリカでは、サーフィンのために石積みの構造物を海底につくって、そこでサーフィ
ンができるようにやろうじゃないかという行為を既にやっています。それから考えると、
その漁礁というのは目的が違うように入れたけれども、漁礁に使って同時にサーファーの
ためにもなるような複合目的を持った施設のやり方というのはできると思う。ですから、
そういうときにぜひサーファーの皆さんは、最初の段階から意見を出すべきだと思う。そ
ういうよき交換ができるようにするのが、さっき清野先生も言った、地元の海なんだから
みんなのあれをやろうよということだと、私は思うんです。
それから、石をほんとうに使いたい。ところが、非常に大きなネックがあって、天然の
石というのは、石切場に行って取り出してきても、大体2トンの大きさが限界です。例え
ば10トンの石を持ってきてくれと言われても、すごいお金をかければできますけれども、
そうじゃない限りはできない。それで、世にこれほど多くの人工構造物のテトラポットが
並んじゃったというのは、実はそこがすごいネックで、コンクリート製品をこれだけ使っ
ている国は世界にありませんから、アメリカとかオーストラリアに行くと全部ライムスト
ーンというか石灰岩とかで、おっしゃるとおりつくっている。そういうものを入れれば安
山岩とか、藻がいっぱい、さっき清野先生がおっしゃった昆布もつく、磯のものと同じで
すからそういうのができるんですが、そこのところでコスト的な問題がネックになってな
かなかすぐにはできない。
それから、さっき稲村ヶ崎の沖合に漁礁を入れた、あれはミチゲーションとかという話
になりましたけれども、行政というのは、ある1つの目的に沿ってやってきて既に入れて
ある。入れたものをほかの場所に転用するというのは、よほどうまく理屈を考えないと、
なかなかできないところがあって、そこらは今後の問題として考えていくべき点だろうと
思います。最初からあきらめちゃうと何も変わらない。
【桑原さん】
長谷に住んでいる桑原といいます。
口があまりうまくないので書いてみたんですけれども、これは行政の皆さん、そして漁
師の皆さんに普通の市民としてお願いということですけれども、今いろんな目的と照らし
合わせて、お金がかかるということがどんなことかというのをもう一回考え直したほうが
いいんじゃないかと思うんです。
ご存じのように国は今600兆円の債務残高がある。神奈川県は平成10年度に赤字に
陥りました。今でも 1,700億円の財源不足。鎌倉市、今、市債の残高が 1,000億円。
ちなみに、600兆円というのは、人口1人当たり480万円の借金を私たちは既に持っ
ている。夫婦子供2人で 1,290万円、1世帯当たりですね。もう子供なんかとてもじゃ
ないけどつくってられない。子供をつくったら漏れなく480万円の赤字がついてくる。
今そういう状況です。
どうしたらいいかと、この間新聞で見たのは、経済戦略会議というのがあって、そこで
ある人が消費税を14%に上げるか、公共事業を8割減らすしかないんじゃないかみたい
な意見が出た。
前回皆さんのメリットとか市民のメリットとかいろいろ考えると、当然そうはいっても
かけなきゃいけないものにはかけなきゃいけない。それは当たり前だと思う。でも、こう
いう状況の中でもっと借金をこれから増やしていくわけですから、鎌倉市にしたら5億円
かもしれませんけれども、国の費用を含めれば20億円ですから、また新たに借金が増え
るわけです。ここでほんとうに考えて考え抜いて必要なお金、省けるお金は、もう一度考
え直していただきたいなというのが切実なお願いです。
これは個人的に、第1回目の意見交換会のときにいただいた資料で、課題というところ
に書いてあったものを、自分でこれはわかるな、これは何だろうというのを自分なりに整
理したくて書いてみたんです。確かに港を出ていくときの安全性の問題だとかは私だって
人道的にわかります。安全にやってほしいのはわかるんですが、それは果たして大きくす
ることなのかという問題が素直に疑問として出てくる。
また、つくって育てていく漁業というのも議論はすごくわかるし、おいしい魚をいただ
いている市民としても、ぜひどんどん発展してほしい、魚をこれからもと思っているんで
すけれど、でも、それがほんとうに拡大ということにつながるのかなということを思いま
す。
あと、市民のメリットということで先ほどいろいろありましたけれども、まちづくりの
問題に関しても、まだ市としてはそれは別にイベントとか駐車場とか、決定事項じゃない
という見解ですし、防災の問題に関しても、じゃ、何年に一度、どういう規模の防災のと
きにどういうプランで市民を救助するのかみたいな、そういう視点からも話を聞かないと
よくわからない。あと、今の停船が違法駐車みたいな話はわかりましたけれども、では、
大きくなると船がどういうふうに並んでどういうふうに違法駐車じゃなくなっていくかと
いう絵みたいなところも、僕ら素人の頭にはわからない。
つまり、漁師の方にとってのメリットは幾つかあると思うけれども、市民メリットとい
うのがどうもひとつぴんとこない。要は私がこれから自分でまた借金を背負っていく中で、
何がメリットなのかというのがよくわからない。行政のほうも今後どうやってその辺のお
金のことについて考えていくのか。漁師の皆さんについても、先ほど奥田委員、私はすご
くいい意見だと思った。それに対して漁師の方から、そんなんじゃ何年先になるかわから
ないじゃねえかみたいな話をしていたんですけれども、そういう借金の中で少しでも歩み
寄れるところというのは考えていかなければいけないんじゃないかなと、そこは切実に思
います。(拍手)
【宇多委員】
最初のOHPをもう一回見せてください。
1枚目の、これおっしゃるとおりで全く同感です、一番最後に書いてあること、そのと
おりだと思います。ほんとうに必要なものに使い道を限るべきだ。従来の公共事業という
のは、こういうふうな場を経由して、最後まで完全に納得はいかないにしろすごく議論を
しながら多面的な意見をいただいて、これはやっぱりおかしいな、これはやっぱりやるべ
きじゃない、そういうところを議論しながら決めてきてない。だから、ほんとうに必要な
ものが何かというのがわからなくなっている。それに比べるとここのこれというのは、漁
師の人たちの欲しいという意見もあるし、それは要らないという意見もある。そこのとこ
ろのぎりぎりの調整が図れるようにするというのが、ほんとうに必要なものに使い道を限
るべきだということなんです。
もしこれが破綻を来すとどういうことになるかというと、鎌倉市がやめても大変莫大な
何千億円というお金がこれじゃないパターンにぼんぼこ使われる。もとに戻っていくわけ
です。そうすると、借金はもっと雪だるまにいっちゃう危険性があるけれども、まさにお
っしゃるとおりだと私は思うので、そこのところをほんとうによく納得づくで議論された
らいいなと、私はこの絵を見て思いました。
【座長】
私の意見を述べさせていただきたいと思いますが、日本の財政が大変な状況
にあるということは十分承知しております。これを変えないといけない。本来は今度の選
挙が多分大変重要なことになると思います。皆さんがどういう議員さんを選ぶのかという
ことに非常に関係してくるわけで、ぜひそういう意味で皆さん行動していただきたいなと
いうことです。
一方で、これだとあまりにも話が遠いので、今回の腰越漁港との関係からいったらどう
なのか。それは今宇多さんのおっしゃったことに非常に近いですが、民主的な方法で自分
たちのことは自分たちで決めようではないか、よく意見を交換しようではないか。まさに
4月1日から地方分権一括法が施行になりました。いろんなことが地元に逆に負担と責任
ということになっています。これが1つのモデルだろうと思う。私の知る限り漁港の計画
においては、多分日本で一番そういう意味では最先端をやっているわけですので、これは
ぜひいろんな形でドキュメントに残すなり、学会に報告するなりして、この経過は大いに
世の中に知らしめるべきだと思います。そのぐらいの実験的なことを我々は今やっている
ということです。
したがって、こういう意見交換会をなるべく持ちたいということ、あるいはアンケート
についても、これまで何回もやらせていただいた。この全部については情報公開をすべて
行っております。何も隠しておりません。ずっとそういう手続をやってきたのはまさにそ
ういうことです。つまり、こういう状況を身近なところから打開していくかということは、
我々こういうことをやっている努力を皆さんに知ってもらい、その効果を確かめることで
しかないのではないかということ、そういう考えを持っています。(拍手)
【宮下さん】
笛田の宮下と申します。
先ほどの景観と漁業形態の見通し、計画の公正化ということで、新規の漁港法が通れば
というお話があったけれども、具体的にどういうものなのかというのをご説明いただけま
すか。
【事務局】
既に許認可の部分については示されていますが、漁港の整備計画の方法等、
その詳細についてはまだ正式には決まっておりません。
ただ、基本的に市が計画を決めて、県がその市の計画も含めて神奈川県広域の漁港の基
本的な計画をつくる。今度国がそれを許可するということではなく、県の計画を承認して
予算をつけるわけですけれども、国が予算の細部まで口出しをするということは今度はな
くなって、県内の部分についてはすべて県が、市が出している計画に基づいてその整合性、
調整をしながら配分をしていく。スタンスとしては、基本的に鎌倉市の漁港は鎌倉市が考
えて決めていくというような、そういう流れに今度改正されるというようなことです。
【宮下さん】
そうすると、新規の漁港法という形になれば、今こういう意見交換会と
か、新しい方向でやっているのは、新しい漁港法にのっとった形の地方分権の第1号みた
いな形になりますけれど。
その新しい漁港法が通らないとすると、法律にならないとすれば、従来の方法でいくと
すればもっと強引な方法もできるということじゃないですか。
【宇多委員】
今、国全体の公共事業全部について、漁港法だけでなく例えば河川法も
しかり、海岸法も4月1日から施行していますけれども、あの中に住民合意をやりなさい
と書いてある。そういう住民合意をやりなさいとか透明性行政をやりなさいというが、ど
うやったらできるかということはだれもわからない。
それで、このケースというのは、座長が言われるように初めてなんです。これは法律に
書かれる方向、漁港法という狭い意味じゃなくて全部の公共事業が、ちゃんとやろうよと
いう大きな方向がある。だから、そういうのに漁港法も乗っていて、それが改正されなか
ったとしても、もはやその流れはとまりません。そういう意味では、法律が例えば通常国
会でだめになったとしてもこの流れはいくであろうし。こういうふうに非常にぎりぎりの
調整がなされるようなものがルールとしてできて、いろんなところにそれが展開されてい
くと、まさにつまらないことはやめようじゃないかというふうなものの流れにつながる可
能性がある。合意形成になるかどうかはわかりませんけれども、そういう状況にあるとい
うことだけは理解してください。
【中田さん】
中田です。
今日の資料の中に、国、県の厳しい財政状況になって、腰越漁港の改修が採択されるこ
とは大変厳しい状況と考えていますと書いてあるんですが、この辺について市の方のご意
見をお聞きしたいと思います。
【事務局】
今申し上げましたように、農水省の予算は限りがあります。9次計の段階
でも400幾つの漁港の改修がある。そのほかに700ぐらいの改修をしたい漁港がある。
この神奈川県内でも26あるうちほとんどの漁港が改修をねらっています。その中で私た
ちが腰越漁港を採択してもらうためには相当な努力が必要だし、その努力の一環としてこ
ういう形で立ち上げてきてやってきているので、その努力は認めていただけるのかなと思
っていますが、相当厳しい、一生懸命やらなきゃいけないと思っています。
【中田さん】
【事務局】
【中田さん】
【事務局】
採択されなかった場合にはどうなるんでしょうか。
できないです。
それは簡単な話ですか。
超概算として20億円と言っていますが、このお金を市の単独で出してい
いと皆さんにご了解いただければ結構ですが、今の話ではそんな話にならないからこの計
画を進めることはできません。
【中田さん】
できないということで、いわゆる順位からすればそんなに大事な公共事
業ではないということですか、鎌倉市の考え方は。
【事務局】
優先順位はつけていませんが、少なくとも必要な事業というのは、鎌倉市
の総合計画なり、その中での実施計画という中に折り込んでやっている事業ですから、優
先される事業だと思っています。
【中田さん】
【事務局】
その採択される、されないといつわかるんですか。
今年度県のほうに出します。
【中田さん】
【事務局】
今回だめな場合はまた翌年ということもあるんですか。
10次計画の中で事業が認められないと、その10年間の中で途中から採
択されることは基本的にはないです。
【清野委員】
ここは今漁業者のこととか生態系のこととかで議論してつくろうかどう
かということでやっていますけれども、採択される、されないというのは、ご存じのよう
に非常にポリティカルな力とかで、国の中でもどの県に配分するかとか、県の中でどこに
配分するかというのが決まってしまうんです。
今までは残念ながら海とか漁業のことでつくっていったのではなかったものも少なから
ずあったし、だから、私が鎌倉の漁港の事業にかけているのは、ほんとうにそこから変え
ていかないと意味がないということ。それから、採択されるというのは、もっと正当な理
由でここは上げていきますけれども、そうじゃない力で採択されていってしまうものに、
ここはアンチテーゼを出そうとするということになると思います。
【岡本さん】
手広の岡本です。
1つ、腰越漁港ってだれのものですか。改修というのはだれのためにやるんですか。今
お話になっているのはものすごくお金が大事だ。もちろんお金は大事だと思いますよ。お
金は大事だけれども、じゃ、それを4月1日の分権一括法で、PFIでやるのかNPOで
やるのかという手法を、さっきの座長のお話を聞きますと、そういうことを言っておられ
ると思うけれども、これは日本の中でポリティックスによって決まるものではなくて、み
んなで何とか必要に応じてそのものを成功させようという目的なのか、そういうことは今
まで何も書かれていないわけです。
一番大事なことは、政治がやらなきゃいけないのは、そこにいる人たちの生命と生活を
いかに守ってあげるかということだと思うんです。ただ、私が考えているのは、そんなに
時間があるんですかということと、鎌倉の海の状況がまだよくわからないと。わからない
と待つのかということですね。
それで、5,000万円をどうこうするというのは、じゃ、PFIで 5,000万円集めるの
か。
1つの問題点が腰越漁港の改修というところから今ずれてきているわけです。お金を使う
のは嫌だと。嫌だったらお金をつくるというのが目的なのか。漁港ということを改修する
のが目的なのか。あるいは、改修したから景観を守るのが目的なのか。それともこの鎌倉
の海、800年の歴史を、最初導き入れたこの海をどう守っていくのか。一体プライオリ
ティーは何でしょうと。よって、こういうミーティングは、はっきり言いますけれども意
味がない。私が出したアンケートは1、早くつくろうじゃないかと、漁港を。
私たちは自治連合会で池田組合長と、お魚をいかにしたら我々はよく食べられるか、情
報技術を使って、船が戻ってくるときから我々はどのぐらいのお魚があって、どういうふ
うにみんなに分けたらいいかという、さっきから議論されていることについても話しして
るんです。いつできるかというのは、さっきのお話を聞くと7年後だと。これ7年間待つ
わけですね。待ってて何が解決できるんですか。
だから、私は早く漁港を改修しましょうと。市民に早くお魚を食べさせるような、それ
からサーファーの人も文化として楽しむのなら、そういうことができるようなお話し合い
をしましょうと。ですから、ここで私が責任のある方に教えていただきたいのは、腰越漁
港というのはだれのもので、一体これはお金の、補助金ですから補助金が外れたらだめと
いうのはわかりますけれども、だったらあきらめるのか、それともお金を集めてやるのか
ということについて、責任者からお答えを聞きたい、こういうことです。(拍手)
【座長】
まず、だれにとってのものか。前回もお話ししましたし、きょうもお話しさ
せてもらっていますけれども、まずやはり安全で夢が持てる漁港にしたいということです。
当然漁業者というのが重要な目的として入っています。2番目に循環型地域社会をつくる
んだということです。これは当然腰越に住んでいる多くの市民の方、住民のことです。3
つ目に水域環境を守ろうということを申し上げましたが、そのための運動をこれから開始
したい契機にしたいということを申し上げました。これは鎌倉市民が持つ鎌倉の海で楽し
んでいるサーファー、そういう人たちも含めて皆さんに役に立つとか、そういう人たちが
非常に快適に活用できると、そういうことにしたい。この3つ、これが我々が考えている
対象者ということであります。
そういうふうに考えますと、いつまででもいいのかと、放っておいていいのかと、金が
なきゃやらなくてもいいのかということなんですけれども、私が前回から言っていますよ
うに、次の10次計画には乗せたいと、そのための努力をしているということ。それはた
だし、従来のように権力的、ポリティックスの中で決めたくないということを申し上げま
した。誤解があるとすれば、ぜひ皆さんに我々が何を考えているのか、あるいは情報が足
りないとすれば情報をいろいろ皆さんにお伝えして、なるべく多くの人たちが賛成できる、
こういう状況の中で進めたいということを申し上げました。そういう手続を今とっている
ということです。
【宇多委員】
座長の意見で、今のところですけれども、公共事業というのは手続論な
んですね。結局多くの人たちから寄せ集めたお金を投資するわけですから、7年間は長過
ぎるという意見もあるかもしれない。ノートルダム寺院は700年かかってつくり上げた。
ただしルールがある。さっきOHPで説明していたように、ここにいる人たちじゃないほ
かの人たちからの、例えば公有水面とか、いろんなチェックがなされるべきで、それには
段取りを踏まなきゃならない。だから、そういう意味で、何だそんな遅いのでという腹立
ちがあるかもしれませんが、それはルールだからしようがない。この日本国においてはし
ようがない。少し時間がかかるのは我慢してもらってほんとうの合意がなされればいいか
なと。
それで、さっき採択されなかったらできないという話がありましたけれども、それはあ
らゆる各種の公共事業は、国庫の補助金がつかない場合には、それじゃ、県単という県独
自のお金、あるいは市単独でやりますかと言ったら、予算がないからできないんです。だ
から、そういうことからすると、国と県の補助がもらえなければ非常に冷静に言ってでき
ませんという意味でお答えしたのであって、そのような検討をやっていったにもかかわら
ず予算が取れないような、そういうレベルの検討はやらないようにするべきです。ほんと
うに必要ならばむしろおっしゃったとおりなので、そういうことはないと我々は思ってや
っていますが、ただし、査定する側は別の人ですから、十分我々の説明に納得していただ
けるかどうかわからないので、その一環としてこの場があるというふうに理解していただ
いたらいいと思います。
【岡本さん】
10次に間に合わせるためには7月までに出さなきゃいけない。それじ
ゃ、時間がないじゃないですか。早く決めてやることをしなきゃいけませんよと。
なぜかというと、私は座長の言っておられる安全な夢は大賛成ですよ、この3つ。もし
お金がないんだったら、PFIでもNPOでもお金を集めてみんなでやろうじゃないかと
いうのが盛り上がりであって、そこにポリティックスがどうのこうのという、そういうこ
とを議論しているんじゃないんです。ほんとうに大事なもの、プライオリティーは何だと
いうことを聞いているんです。それは漁港の改修であればやるべきだと。
政治というのは、住んでいる市民の生命と安全を守らなきゃいけない。漁業者がそうい
う危険に遭っているというのを行政がどういうふうにとらえるかということも大切なこと
だと思う。そういう意味で、漁港の改修というのは非常に大事だなと思って、私はそれは
別途扱ったらどうなんでしょうと。まちづくりとか海浜ベルト、そういうものと一緒に本
来やるべきだけれども、そういうところのコンセンサスを得るまで待ってやるには時間が
かかり過ぎるんじゃないでしょうかという意味で言ったわけです。
さっき別の方が言っておられた、お金がもったいないからよく話をしようじゃないかと
いうのは、だれも反論できない意見ですけれども、それと同じように大船の方がこう言っ
ておられる。漁港の部分で魚を提供できるようにしようじゃないか。私はこれは今組合と
話をしてもらって大事なことで、どうして情報技術で船が着く前にどれだけとれたか、受
けるほうでそれを準備して、もう船が着いたら港に市民が待ってて、組合費を取られて4
0キロは捨てなきゃいけないという、その部分をなくしていくような方法だってできるわ
けです。そういうふうに考えたいなというふうに思っていた矢先、お金がないとどうする
という方向に話がいったので、じゃ、一体このプライオリティーというのは、我々がこの
時間を使ってやっているのは何なんでしょうと。お金が大事か大事じゃないかという議論
をして、大事でないという人がいたら、それは非常に非難されますけれども、もっともっ
とお金を使わなきゃいけないところ、始末しなきゃいけないところがあるわけですから、
そういう議論は私は今はあんまりしたくないので、漁港を改修していただきたい、そうい
う意見です。
(拍手)
【池田さん】
腰越五丁目の池田と申します。
確かに漁業者が安全である、漁業者に夢があるというのは大事なので、第1項目を否定
するわけではないですが、それだけに固執してしまうとどうなのか、何のための漁業かと
いったら、魚を供給するための漁業であることは絶対これは間違いない。だから、地元に
魚をどうやって供給するかという段取りからいかなきゃいけないと思う。そのためには安
全で、あるいはどうやって供給しようかということで、構造上の問題として漁港の機能の
問題がある。
次に漁港を安全にしたら、あるいは便利になったけれども魚がとれなくなっちゃったと
いう話も、ほかの自治体でたくさんある。それじゃ困るので、先ほど来藻場の話とか漁礁
の話とかミチゲーションの話とか出てきているわけです。
もう一つは、おそらく鎌倉の、あるいは腰越の重大問題でありまして、地元で魚が食べ
られない理由は、漁業の方と魚商の方との何かわからない確執がどうやらあるようです。
直売をやったら、じゃ、魚屋さんはどうするのという話をだれも考えていらっしゃらない
んじゃないかなと思う。
現にここにお座りの方も、地元で買っていらっしゃるかもしれないけれど、地元の魚を
直に買っていらっしゃるんじゃなくて、横浜経由で返ってきているとか、平塚や茅ヶ崎か
ら来ているとか。そのほかに小坪へわざわざ買いに行かれる方が大勢いらっしゃる。現に
腰越からモノレールやバスに乗って大船に魚を買いに行く。藤沢にも買いに行く。そうい
うことを考えた場合に、何のための漁港なのか、何のための漁業なのかということ。一番
大事なのは魚をどうやって地元に提供するかということじゃないかと思うんです。これを
はっきりと皆さんで認識していただければ、じゃ、どうしようかという話になって、それ
はサーファーの方もいい波に乗りたい、景色も美しい景色を見たいということは共通の認
識で、それはミチゲーション、あとは工夫だと思うんです。だけど、魚が地元に落ちない
ということ、これを改めない限りは、安全な漁港ができても「船は出ていく煙は残る」と
いう歌謡曲があるようですが、船は出ていく魚は残らない、これではどうしようもない。
何とか皆さんでおいしい魚を鎌倉で食べる工夫をしませんか。(拍手)
【池田委員】
地元のまちづくりの委員さんから厳しいご指摘がありました。岡本さん
からも今まで長い期間私ども話し合いをしてきました。そういうわけで、私も十分承知は
しております。それからまた、魚屋さんとも何度も話し合いをしたんですけれども、今は
少し時間を置いてということでやっています。
それから、先ほどいろいろ税金の話もありましたが、私たちも十分、お金がかかること
は承知しております。これは2度も、3度も、最小限の限度で、役所のほうにもこれ以上
小さいものならば要りませんよと、いうくらいまで縮小しております。
それと、西側の防波堤は船を結わえてはいけないところになっています。それは私が今
一番苦労しているところで、もしそこで事故があった場合に保険がおりない。だから、あ
そこだけは船を結わえてはいけないという形になっていますので、今漁港というけど、ほ
んとうの漁港の意味は達していないです。
それに片瀬のほうからどんどん砂がきてしまう。おそらく来年は、少し金かけて掘って
もらわないとという状態まで浅くなってしまった。要するに私もできる限り皆さんのご協
力を得て、同じ海を使うものとして、サーフィンの人も今まで事故があれば協力もしてき
ました。これからの若い者のためにぜひとも漁港を整備させてもらいたい、そういう気持
ちでおりますのでお願いいたします。(拍手)
【座長】
実は鮮魚商の皆さんと魚をとっておる皆さんとの間が必ずしもいい関係じゃ
なくて、流通経路を、市場を通して仲買人が介在して市場が成り立っているというのは十
分承知していまして、ここをどうしていくかというのが大きな課題です。
それで、腰越の周辺でわりとそのあたりがうまくいっているのは葉山の漁港です。朝市
というのをしまして、これは大変多くの人が来る。じゃ、なぜ葉山でそういうことができ
たのかということを我々は調べてみました。実はやはり漁業組合のほうで魚をとって、そ
こで小売りして、あるいは料理して加工品を出すということについては、葉山の鮮魚商さ
んもみんな反対です。
鮮魚商さんがなぜ反対しているかというと、要するに買う人たちの人数は限られていて、
漁組が売り出すと自分たちに来るお客さんが減るという、こういう議論なわけです。だけ
ど、実際に葉山で起こったことは何かというと、魚がおいしいということで買う人が何倍
にも増えたということなんです。したがって、直売の地魚を買い、それだけでは足りない
人は周りの鮮魚商から魚を買う。そういうことで、鮮魚商の人たちも非常に大きなメリッ
トがあるということで、今や定着しているというのが実情です。多分漁業組合さんと鮮魚
商組合さんが直接に話すと同じようなことになると思います。どちらかというと、だれで
も今やっている既得権というのを守りたいと思う。それを侵されるようなものはやりたく
ないというのが多くの人たちです。
そうしますと、我々がやらなきゃいけないことは何かというと、地魚を食べるというこ
とはパイが増えるんだということです。これをはっきり証明しないといけない。それをや
ろうということで、昨年の11月に漁港の駐車場を使ってフィッシュ・アンド・ジャズと
いうものをやりました。ジャズというものをやりながら地魚を皆さん食べてくださいと、
どんなにおいしいものか食べてみてくださいということをやりました。アンケートはすば
らしくおいしいという意見ばかりです。その翌週あった木曜日に組合でやっております朝
市には、従来の2倍に近い人たちが買いに来たそうです。そういうふうに、地魚の持つ価
値というものをもっとみんなで確認し合うという、そこによってパイが大きくなる、こう
いう運動をしていかないと。ぜひこれをこの7年間の間に、我々まちづくりの一環として
やり遂げたいと思っておりますので、皆さん協力をお願いします。(拍手)
【河合さん】
片瀬海岸から来ました河合といいます。
まず最初に、。基本的に私は改修に賛成です。それで、景観のことですが、さっきの稲村
ヶ崎からの写真ですけれども、あの距離になるとほとんど見えないです。でも、実際は見
えています。稲村ヶ崎でよく写真を撮影している人がいます。夕方とか、景色がきれいな
富士山とか。その人たちにこういう漁港を改修する話があるけれどと聞いてみたんです。
今のテトラポットの見えるところよりももう少し先に出る予定ですけれどもどうですかと
聞いたら、ああ、そうなっちゃうのとすごい悲しんでいる人が多かったんですよ。
だから、景観に関してはもう少し考えてほしくて、漁港を拡張するのは私は基本的に反
対です。改修に賛成だというのは、漁港の中に結構スペースがあるじゃないですか、駐車
場も含めて、資材置場みたいなところもあります。そういうところをもう少し有効に利用
できないかなという考えです。拡張するのは簡単ですけれども、今使っているスペースを
もう少し有効に使うような考えをやって、それで足りなかったら拡張というふうにしたほ
うが、さっき蓮沼委員のほうからの話があったんですけれども、北海道の漁港の話で、そ
の漁港も多分行政の方と業者の方がよく話し合ってつくったと思うんです。でも、基本的
にはそういう事態になってしまった。今回もすごいよく話していますね、漁港の方と行政
の方、市民の方。それで、これをつくろうということになって、もしそれが北海道の漁港
と同じことになったらどうしますか。それをもとに戻す予算までとっていますか。その辺
がすごい問題だと思うんです。
【宇多委員】
2点目からお答えします。場所は下北半島の大畑漁港です。これは日本
海から津軽を回ってくるイカの大漁獲基地だった。そこでこういう大きな施設がつくられ
たプロセスを調べてみると、漁業組合の人はあんまりよく知らない。つまりは公共事業で
すから、当時の合意形成というのはどういうことかというと、組合長さんが印を推すとい
うことは合意形成がなされたと。すべての組合員は全部納得しているというふうに進んじ
ゃったので、そこの漁師の人とに聞いてみると、何だかわけわからないうちに、どうやっ
て決まったか知らないけれども、施設だけどんどんできていったと言っております。だか
ら、このパターンとはちょっと違うというふうに理解していただいたらどうかと思います。
景観の問題は、稲村からあそこまでたしか2・5キロぐらいあるんですね。3キロ弱。
実際問題海岸線を横を向いて見えるというのは700メートルから800メートルがやっ
となんです。よほど天気のいいとき、西風が吹いているときならばすごくいい写真が撮れ
ますけれども、通常ではよく見えない。それから考えると稲村から見たあそこというは非
常に小さくなるであろう。だからいいと言っているんじゃないよ。景観は非常に大事なん
でおっしゃるとおりだけれども、江ノ島に渡る橋と防波堤が重なるようです。そうだとす
ると、全く更地にびょんと出ちゃうのとちょっと意味が違うなという点があると思います。
現在の泊地で何とかならないかというのは、漁船の数と旋回半径というかな、ぶつからな
いようにして入って上陸する泊地や何かの面積が絶対的に足らないもので、船を増やすと
かいう話じゃなくて、池田さんの話で31%と言ったかな、圧倒的に足らない状態なので、
身動きならないという実情があると思います。だから、論議の中ではしようがなしにちょ
っと広げようかという議論がなされたと思います。
【奥田委員】
サーフポイントというのは、ただ自分たちの楽しみだけだとか、趣味を
追求しているだけだとか、言われてしまえばそれまでなんだけれども、鎌倉では大変立派
な文化として成長しつつあって、漁業に比べればまだまだ浅いけれども、それでもきちん
とそれなりの歴史ができてきています。2代目のサーファー、中には3代目のサーファー
も育ってきています。防波堤でお父さんが子供に釣りのやり方を教えるように、お父さん
が子供と一緒に天然の磯に入っていって、そこにいる海草を分けて泳ぎながらサーフィン
を教えるというのも、今鎌倉の立派な文化の1つとなってきているんです。それはどのよ
うに証明しろということは無理です。でも、生物が生きているところでは人間が生きてい
けるわけです。人間が生きるということはそこでサーファーも生きているんです。という
ことは、そこで感性が生きている文化が生きている、そういうスタンスのある場所なんで
す。
みんながこれだけ真剣に思って、ほんとうにみんながそのことをわかってもらいたいと
いうのが何よりの証明なんだと思うので、もっとほんとうにみんながよくなるように、魚
の流通も大変重要なのと同じようにサーフポイントも重要だというふうに認識してもらい
たいと思います。
【池田さん】
自分たちもサーフィンの皆さんのことは十分立場はわかる。漁業者も若
い者はサーフィンをやっている人もいます。だけど、私たちも生活というか、命がかかっ
ている。ほんとうにそういう状況の中で危険を感じながら操業しているわけで、ゆっくり
やってきてというのはちょっと困る。今の考えとしてはできないです。サーフィン自体私
たちと共存してやらないと両方ともつぶれちゃうものだと思う。お互いある程度接点があ
ればとここに来ているわけで、十分わかっていただきたいと思います。(拍手)
【清野委員】
実は接点はあって、アワビで有名な千葉に千倉というところがあります
けれども、そこはサーフィンの人にとっても大事なポイントだったし、漁師さんにとって
も大事な磯だったんです。両方の情報を重ねたら、ここの磯についてこういうふうに守っ
てほしいということが具体的に言えるようになったので、本来対立するはずでもないし、
科学的な知識も共有できると思うので、ぜひ私から何も検討していなかった、わかってな
いんじゃなくて、その情報を合法化するということを考えるところは、ぜひ今後7年間あ
ったり、この先もあるので、その辺のことをきっかけにひとつ形にしていければと思いま
す。
【司会】
ありがとうございました。それでは、本日の意見交換会はこれで一応まとめ
にしたいと思います。まとめは座長のほうからお願いしたいと思います。
【座長】
非常に貴重で活発なご意見、どうもありがとうございました。私どもも基本
的にはゆっくりできるテーマではないと思っております。したがいまして、前回お話しし
ましたように、委員会といたしましては、この7月までに委員会としての考え方を出した
いと思っております。これがまず第1点であります。
ただ、この中でいろいろ申し上げましたように、1つは、前回下水処理場の問題が非常
に大きな問題になって、これは漁業者の人たちもそうですし、サーファーの人たちにとっ
ても大変重要な問題だというふうに理解しておりまして、委員会としてこれは提言してい
きたいと思っております。これについてはより詳しく協力して検討すべきであると、こう
いう提言をしたいと思います。
それから、2つ目、今回の方針の3番目にイニシアティブという、ちょっと舌をかみそ
うな言葉を言いましたが、これは運動という意味です。鎌倉の海をより水域環境がいいも
のになるように運動を始めましょうという、その契機にしたいということが強く出ている
わけです。これがミチゲーションという言葉、これは工事を実際にやるに当たって先ほど
非常に難しいプロセスの話がありましたけれども、モニタリングが問題だったりいろんな
ことを、これは皆さんと一緒にやらないとできないことです。
それから、鎌倉の海の環境、いろんな環境も現在状況がどうなんだというデータを、よ
り厚みのあるものにつくっていくということで、皆さんのご協力なくしてはできないわけ
でありまして、ぜひこれを機会にこういう運動が起こる、それに対して我々は手助けでき
る、こういう関係をつくっていければなというふうに思っております。きょうはどうもあ
りがとうございました。
(拍手)
【司会】
ありがとうございました。本日はこれで閉会いたします。
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