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児童虐待の予防を視野に入れた家庭訪問支援(その1) - ASKA

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児童虐待の予防を視野に入れた家庭訪問支援(その1) - ASKA
児童虐待の予防を視野に入れた家庭訪問支援(その1)
-Healthy Families America の家庭訪問プログラムの概要と
日本の家庭訪問事業の課題-
白石淑江
Home Visiting for Prevention of Child Abuse and Neglect
Part 1
-The Summary of the Home Visiting Program of Healthy Families America and Tasks of
Home Visiting Services in Japan-
Yoshie Shiraishi
児童虐待予防の視点から、わが国の家庭訪問事業のより効果的な実施方法を検討するため、米国で
1980 年代から実施され成果を上げている Healthy Families America(HFA)のプログラムの特徴を
明らかにした。特に、アメリカの児童虐待問題に関する研究成果に裏づけられた方法論のエッセンス
である 12 重大原則に着目し、この原則に照らして、わが国の乳児家庭全戸訪問事業、養育支援家庭訪
問事業のガイドラインに示されている内容を整理し、より効果的な家庭訪問を実施するための課題を
検討した。その結果、サービスの開始、サービスの内容や方法においては、養育支援訪問事業が予防
的支援と介入後の支援の2つの機能を含むことに起因する課題が明らかになった。また、管理・運営
面では、中核機関を定め要養護児童対策地域協議会とは別の組織をつくるとされているが、スーパー
ビィジョンなどサービスの質を確保するための視点の弱さが明らかになった。
Keywords:家庭訪問、児童虐待予防、ヘルシー・ファミリーズ・アメリカ、12 重大原則
Home visiting, prevention of child abuse, Healthy Families America,
Twelve Critical Elements
はじめに
児童虐待は、児童の人権を著しく侵害し、その心身の成長や人格形成に重大な影響を及ぼす問題で
ある。わが国の児童虐待防止への取り組みは、平成 12 年に児童虐待防止法が制定されて以降、総合的
な対策が推進されるようになった。しかし、児童相談所の児童虐待対応件数は毎年増加の一途を辿っ
ており、児童虐待による死亡事例も後を絶たない状況にある。しかも、虐待によって亡くなる子ども
は圧倒的に0歳児が多い。
厚生労働省の社会保障審議会児童部会の下に設置された「児童虐待等要保護事例の検証に関する専
門委員会」の「子ども虐待による死亡事例等の検証結果報告」を見てみると、第1次報告から第4次
報告まで(平成15年7月1日~平成18年12月31日)の総括報告では、3年半の間に247例295人(心中以外
192人、心中103人)の子どもが虐待によって死亡しており、そのうちの約4割が0歳児であった1)。ま
- 69 -
た、第5次報告(平成19年1月1日~平成20年3月31日)では、15ヶ月間の虐待死亡事例は115例142人(心
中以外:78人、心中64人)であり、このうちの5割弱が0歳児であった2)。さらに、第6次報告(平成
20年4月1日~平成21年3月31日)では、1年間の虐待による死亡は107例128人(心中以外67人、心中61
人)で、心中以外の事例に占める0歳児の割合は59.1%であった3)。
このように、生後間もない子どもたちが虐待により命を落としている現実は、無視することのでき
ない問題であり、虐待の発生予防対策が強く求められるところである。そして、前述の検証結果報告
では、乳児家庭全戸訪問事業、養育支援訪問事業の推進により、子育ての孤立を防ぐとともに、家庭
訪問により継続的に支援を行うこと、また、望まない妊娠について悩む者への相談体制を充実させる
ことなどを、虐待予防対策として提言している。
ところで、乳児家庭全戸訪問事業、養育支援訪問事業は、平成19年に虐待予防対策として創設され
た「こんにちは赤ちゃん事業」、平成17年から実施されていた「育児支援家庭訪問事業」を、平成20年
の児童福祉法一部改正で社会福祉事業として位置付けた(児童福祉法第6条の2)ものである。乳児家
庭全戸訪問事業は、生後4か月までの乳児のいるすべての家庭を訪問し、養育環境の把握や子育て支
援に関する情報提供することを目的としている。この事業は、孤立しがちな子育て家庭の扉を開くと
いう重要な役割を果たしているが、育児の不安や困難が多い生後2カ月ごろまでに行う方が効果的で
はないか、支援が必要な家族を適切に把握するための方法が未確立などの問題が指摘されている。ま
た、支援が必要と思われる家庭については、養育支援訪問事業につなげ、継続的に支援していくこと
が期待されているが、まだ支援者の確保や支援内容などを検討している段階の自治体が多い。
そこで、これらの家庭訪問事業のより効果的な実施方法を検討するため、既に 1980 年代から妊娠・
出産期から集中的な家庭訪問を実施して虐待予防の成果を上げている Healthy Families America(以
下、HFAと記す)のプログラムを取り上げる。HFAの家庭訪問プログラムは、ヘネシー・澄子氏
によってわが国に紹介され 4)、これまで、アメリカや日本においてそのプログラムを学ぶ研修会も開催
されている。筆者は平成 17 年から平成 22 年までに計 5 回の研修を受講し、そのプログラム内容を学
ぶとともに、実際に家庭訪問に同行する機会も得た。本論では、HFA家庭訪問プログラムの特徴を
明らかにし、わが国の家庭訪問事業で活用するための課題を検討する。
1.研究の目的と方法
(1)児童虐待の発生予防を視野に入れた家庭訪問支援のモデルとして、Healthy Families
Americaが提供しているプログラムの基本理念を明らかにする。方法としては、下記のHFA家
庭訪問プログラムに関する研修会や講演会の資料や収集した文献等を分析整理する。
・Strength-based Training(2006 年 9 月 11 日~15 日、HFA Western Regional Resource Center
&Oregon Healthy Start 研修会、オレゴン州)
・Family Assessment Training(2008 年9月8日~12 日、Healthy Families Arizona 研修会、ア
リゾナ州)
・こんにちは赤ちゃん事業を成功させるために–Healthy Families America の 12 重大原則(2007
年度日本こどもの虐待防止民間ネットワーク大会、2007 年6月2日)
(2)乳児家庭全戸訪問事業、養育支援家庭訪問事業のガイドラインに示されている内容を整理
し、HFAプログラムの基本理念に照らして、より効果的な家庭訪問を実施するための課題を検
討する。
- 70 -
2.HFA家庭訪問プログラムの概要
(1)HFAの沿革と実施体制
【組織の概要】
Healthy Families America (HFA)は、アメリカ合衆国の児童虐待防止活動をリードする民間団体
Prevent Child Abuse America(PCAA) 5)が、1992 年にロナルド・マクドナルド慈善基金 Ronald
McDonald House Charities と共同で設立した組織である。事業内容は、児童虐待の予防を目的とした家
庭訪問支援プログラムを地域に提供すると共に、その質の確保、資金調達、広報活動を行っている。
現在、HFAのプログラムを採用している地域は、米国内 34 州とワシントン DC やカナダで 6)あるが、
実施地域の単位は様々で、州全体で実施しているところもあれば、一つの市や郡で取り組んでいると
ころもある。
HFAの家庭訪問プログラムが優れている点は、アメリカの虐待問題に関する研究成果に裏づけら
れた方法論のエッセンスが、12 の基本理念に絞り込まれている点である。そして、サービスの質を確
保するために認定システムを導入し、その基本理念に沿って実施することを義務付けている。ただし、
具体的な内容については、地域の実情や文化に応じて工夫する余地が設けられており、そのことが多
くの地域で採用さることにつながっている。
【設立の経緯】
HFAの設立は、Hawaii Healthy Start(以下HHSとする)の家庭訪問の実績が基盤となってい
る。HHSは、児童虐待問題研究のパイオニアである米国の小児科医ヘンリー・ケンプ博士 7)とハワイ
の有志が 1975 年に創設した組織であり、下記のような方針に基づいて家庭訪問を行い、児童虐待・ネ
グレクトを予防し、子どもの健康な成長を促進する活動を展開した 8)。
・児童虐待やネグレクトを防止する最も効果的な方法は、新生児の親に介入していくことであり、
親子の肯定的な相互作用を促進することが大切である。
・虐待やネグレクトのリスクを有する子どもは、親子の結びつきがうまくいかないこと
により、情緒的・精神的な問題を抱え、発達が遅れがちとなる。また、その結果、虐
待やネグレクトのリスクがさらに高まるという悪循環に陥りやすい。
・生まれた直後から 5 歳ぐらいまでは、徹底して虐待やネグレクトから守るためのサー
ビスが行われなければならない。
・未婚や低所得など支援を必要とする要因を早期に把握するためには、出産で入院した病院の一室
でインタビューを行い、支援が必要な家族に対して、家庭訪問サービスの利用を呼びかける。
・家庭訪問員(Family Support Worker)が、退院後も継続的に家庭訪問し、上記の考え方を実現
するための支援を行う。
HHSの取り組みが進むに従い、この家庭訪問プログラムが虐待予防の戦略として有効かどうかを
評価することが求められるようになった。そこで、1980 年代にパイロット・スタディが行われ、プロ
グラムへの参加者は虐待やネグレクトの発生率が減少していること、家族のストレスの得点が低くな
っていることなどの結果が示された。また、1994 年に、ハワイ州厚生局がハワイ医療協会とジョン・
ホプキンス大学と協力して評価を行い、データー収集開始より 2 年を経過した時期と比較して、肯定
的な効果が得られたことを報告した 9)。
- 71 -
一方、1989 年にはニューヨークタイムス紙が、家庭訪問が児童虐待を予防する「鍵」となる戦略で
あり、HHSは家庭訪問プログラム中の「輝く星」であるという記事を掲載した。そして、この記事
はAP通信を通してアメリカの新聞や雑誌に掲載され、児童虐待の通報が急増していた多くの州が、
このプログラムに関心を寄せた。
また、ロナルド・マクドナルド慈善基金の子ども部門からは、アメリカの児童虐待防止協会 PCAA
に、児童虐待防止の主導プログラムに資金を出したいとの申し出があり、1991 年にHHSと PCAA と
が合同の会議をもった。そして、1992 年1月に、ハワイでHFAの発起会議が開催され、アメリカの
50 州のうち 30 州の代表が参加し、HFAが創設された 10)。
【家庭訪問支援プログラムの実施体制】
HFAのプログラムを採用している地域では、定められた 12 項目の基本理念(以下、12 重大原則と
いう)に基づき、地域の実情に応じた実施体制を整備している。オレゴン州の実施体制を例にあげれ
ば、図1のようである。郡ごとに実施組織を設け、州全域でHFAのプログラムを実施している。な
お、オレゴン州では、これをオレゴン・ヘルシースタート Oregon Healthy Star プログラムと呼んで
いるが、ケンタッキー州では、ハンズ(HANDS:Health Access Nurturing Development Services)プ
ログラムという名称を用いている。
オレゴン州の組織は、まず、州全体の委員会があり、郡ごとの地域諮問委員会が設けられており、
諮問委員会のメンバーは、地域の社会資源やサービス利用者の代表で構成されている。公衆衛生部門
の保健師(Babies First と呼ばれる低体重児、障がい児や病児、胎児期に薬物に暴露された乳児を支
援するプログラムの担当者)、低所得家族の母乳育児をサポートする民間団体 WIC:Women, Infants
and Children のスタッフも参加しており、家庭訪問員が密接な連携を必要とする人々との、顔の見え
るネットワークがここで組織されている。
マクドナルド慈善基金
アメリカ児童虐待防止協会
健康な家族・アメリカ(Health Families America)
スタッフ養成・研修
実績報告・認可システム
子どもと家族に関する委員会(州)
( Commission on Children and Families)
州など
の基金
地域諮問委員会(郡)
家庭訪問員 (Family Support Worker)
オレゴン・ヘルシー・
スタート・プログラム
家庭訪問支援
無料
契 約
支援が必要な家族
図1
HFAプログラムの実施体制
- 72 -
オレゴン・ヘルシースタートが創設されたのは 1993 年であったが、最初は一部の地域であり、2001
年に州の子ども計画の一部として 36 郡(現在は 34 郡)すべてに広げられた。運営費は、州基金と地
方負担金でまかなわれている 11)。
図2は、オレゴン州での0~3歳児の児童虐待発生率の推移である。州全域でこのプログラムを実
施してから、サービス利用家族の虐待・ネグレクトの発生率は、利用しない家族に比べて低率である
ことが明らかにされた。また、2004 年以降は、HFA認可を受けることを目指して質的な充実に力を
入れた結果、サービスを利用しているハイリスク家庭の虐待・ネグレクトの発生率が顕著に低下した。
2004-05 年には、子ども千人に対して 26 人の割合で虐待・ネグレクトが発生していたが、2007-08 年
には、半分の 13 人に減少している。しかも、サービスを利用しない家族では、2004-05 年は子ども千
人に対して 24 人、2007-08 年は 26 人の割合であり、むしろ増加している 12)。このような成果が実証
され、オレゴン州のプログラムは 2007 年に質の高い実践としてHFAから認定された。
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Prepared by NPC Research, 2007-08 (updated 3-6-09)
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(2)家庭訪問プログラムの基本理念
HFAの家庭訪問プログラムでは、HHSが約 20 年間にわたって積み上げてきた経験とそれに基づ
く知識や研究結果を集約し、家庭訪問支援を成功させるための基本理念を 12 重大原則として定めてい
る 13)14)。この 12 重大原則は、①サービスの開始に関する原則(#1~#2) ②サービスの内容や方
法に関する原則(#3~#7) ③良い実践を保つための管理・運営機構に関する原則(#8~#12)
に大別されている。以下はその概要である。
①
サービスの開始に関する原則
#1:サービスを周産期か、出生直後から開始する。
#2:支援を必要としている家族を発見するために標準化された評価方式を用いる。
この評価方式は、親の孤立、薬物乱用,親自身の虐待を受けた生育歴など、児童虐待や児童
- 73 -
の成長に悪影響のある様々な要素の有無を評価できるものであること。
初めて親になり、どのように乳児を育てたらよいのかを学びたがっている時期には、親が育児情報
を一番受け入れやすいため、この時期を逃さないこと。また、親子の愛着形成は誕生以前から始まっ
ており、そのスタートの時期から援助し、親子の肯定的な相互作用を促進すること。この2点が妊娠・
出産期にサービスを開始する根拠となっている。
ただ、すべての家庭に家庭訪問を行うことは財政的に困難である。そこで支援を必要としている家
族を選定する方法として、オレゴン州では、出産したその日か翌日に病院で 10 分間程度のインタビュ
ー調査を行い、支援が必要な家族をふるいわける方法をとっている。ふいわけ項目は表1のようであ
り、極めて簡便である。
表1
子どもの情報:
産院でのふるいわけ項目(オレゴン州)2009 年 1 月
①子どもの性別
親の情報:
⑤初めての子か(第何子か)
⑦年齢(17 歳以下)
⑪住んでいた国
②生年月日
⑧民族
③出生順位
パートナーにとっては?
⑨英語を話すか、話せる人がいるか
⑫親の健康保険の種類、子の健康保険の種類
⑬結婚(未婚・一人親)
④民族
⑭妊婦健診の時期(12 週以前、以降)
⑮最終学歴(高校卒業していない)
⑥生年月日
⑩使用言語
(Medicaid:低所得の場合)
受診回数(計 5 回未満、以上)
⑯仕事(フルタイム・パートナー、無職)
⑰パートナーの仕事
⑱家賃や食費など生活費に困っているか
⑲この 1 カ月間の気分の落ち込みやうつ状態有り
⑳現在の家族関係の問題の有無
21 薬物・飲酒をやめる必要性を感じているか
○
22 緊急時に支援してくれる人の有無
○
23 その他(知りたいサービスや情報の有無)
○
21 が 1 つでも該当する、または、その他の項目が 2 つ以上該当する
◎家庭訪問の開始:⑲○
次に、ふるいわけの結果、サービス利用の「権利を持つ家族」と判断されれば、無料の家庭訪問サ
ービスが紹介される。そして、利用契約が成立すれば、家庭訪問の最初の段階で、時間をかけた両親
調査Parents Surveyが実施され、その結果明らかになった家族の支援ニーズを踏まえて、家族と一緒
に支援計画が立てられる。なお、標準化されたアセスメント・ツールは両親調査の他にもいくつかあ
るが15)、多くの地域でこれを採用している。
両親調査は、ケンプ博士が考案した「家族ストレス・チェックリストFamily Stress Checklist」を、
博士と共にハワイ・ヘルシースタートで活動してきたベッツィー・デュー16)氏らが1999年に改定した
ものである。ただし、調査項目の言葉をストレングスに焦点をおいた表現に変えただけであり、調査
内容そのものには手を加えていない。
両親調査の目的は、家庭訪問の支援計画を立てるために、家族のニーズを把握すること、つまり、
家族のストレングスと虐待発生につながりやすいリスク要因の両方を把握することである。調査の内
容は、表2のような10項目にわたるトピックについて、会話形式で聞き取っていくが、どの質問から
始めるかは家庭訪問員が自分で決めることができる。ただし、父母の成育歴など踏み込んだ内容が多
いため、家庭訪問員は家族との人間関係づくりに時間をかけながら、回答を強要することなく、調査
を進める必要がある。
- 74 -
表2
両親調査の項目
①両親の生育歴
②薬物・飲酒の常用、犯罪歴、精神疾患
③親として児童相談所と関わった経験
④日常の問題解決方法とサポート体制
⑤ストレス
⑥怒りのコントロール
⑦乳幼児の発達段階の知識と期待
⑧しつけに対する計画
⑨赤ちゃんへの想い
⑩愛着の絆
両親調査の評価基準は、項目ごとに、虐待発生につながりやすいリスクレベルを判定し、0点、5
点、10点で点数化する(これに不明Unknownを加える)。そして、10項目の合計点数が40点以上をハイ
リスク家族と判定する。その判定の根拠となっているのは、表3に示すような実証的研究結果に基づ
いている。ただし、集中的な家庭訪問を行う対象となる家族は、予防的な観点から25点以上としてい
るところが多い。
表3
家族ストレス・チェックリストの結果と虐待・ネグレクトの発生率との関係
面接調査の
虐待・ネグレクト
虐待・ネグレクト
虐待・ネグレクト
の合計
無し
軽度のネグレクト
合計点
0-20
3%
17%
20%
80%
25-35
5%
32%
37%
63%
40 以上
52%
24%
76%
24%
調査の対象:3~6カ月児の母親587人(14~38歳、一人親、離婚等が40%)に家族ストレス・チェックリスト(面
接調査)を行い、その2~2.5年後の虐待・ネグレクトの発生状況を把握した(合計点ごとの調査対象者数は、0-10:
100名、10-20:51名、25-35:57名、40以上:38名。1977-1979年に実施。
Murphy, Orkow, Nicola: Prenatal Prediction of Child Abuse and neglect: A Prospective Study, Child Abuse
and Neglect,Vol.9.pp225-235,1985.
②
サービスの内容や方法に関する原則
#3: サービスは親の自由意志に基づいて提供すること。そして、家族と信頼関係を築けるように、
肯定的で辛抱強く働きかけること。
#4:サービスは集中的に(例えば最低週1回)、一貫した基準に沿って訪問の回数を増減し、長期間
(3年から5年)行うこと。
#5:サービスは「文化に沿って」行われなければならない。職員は訪問する地域の文化的、
言語的、地理的、人種的、民族的多様性に沿って雇用され、訪問する家庭の文化的
な違いを
理解し、認識し、尊敬し、その文化を反映する資料を用いること。
#6: サービスは、親子の相互関係、子どもの発達を支援するとともに、両親を支援することにも焦
点を当てる。
- 75 -
#7:最小限、プログラムに参加する家族全部を、健康と発達を確保する保健福祉サービスに連結す
ること(例:適切な時期の予防接種、よいチャイルドケアなど)。できれば、家族のニーズに応
じて経済的支援、衣食住に対する支援、就学準備プログラム、保育所、職業訓練、家族支援セン
ター、薬物乱用治療プログラム、家庭内暴力シェルターなど地域にあるサービスに連結するこ
と。
HFAのプログラムでは、家庭訪問サービスは親の自由意志で始めることを原則としている。サー
ビス利用の対象となる親は、支援が必要と判断されても、子育てで社会的介入を要する問題を起こし
ているわけではない。父母の子育ての主体性や能力を尊重する態度を基本としている。また、民族、
言語、価値観など、家族の文化に沿った支援を行うことも同様である。家族中心の支援方針を貫くこ
とは、家庭訪問員が家族との間に信頼関係を築いていく上で大きな助けとなる。そして、その信頼関
係があるからこそ、家庭訪問員は家族の生活の場に受け入れてもらうことができ、提供する情報に耳
を傾けてもらうことができる。
二つ目の特徴は、家族のストレングスに焦点をあて、その上に積み上げていく支援方法(Strength
Based Approach)である。ストレングスは、日本語では「強み」や「長所」と訳されているが、他者
より優れている能力や特技を意味するのではない。泣いている赤ちゃんをなだめる、あやす、授乳や
オムツ交換をするなど、必要不可欠のケアができることは強みであり、赤ちゃんの発達の知識を得て
活かそうとすること、安全な環境を整えるよう配慮できることも強みである。ストレングスに焦点を
当てた支援とは、子どもの養育において親のできるところを認め、その上に必要な知識やスキルを積
み上げていく支援である。父母は、子どものためにやっていることが認められることで、親として成
長しよう、変わろうと動機づけられるのである。
これと対照的なのが、家族の問題点に焦点をあて、専門家が原因を探し出して家族が問題の改善に
取り組むよう指導する方法(Deficit Based Approach)である。既に虐待やネグレクトなどの問題が発
生している場合は、専門家による介入的な指導も必要である。しかし、予防的な支援では、親の能力
を認め、親自身が自ら育っていくのを支援する方法が有効であろう。
表4
ストレングスに基づく支援と問題点に基づく支援
・親と家庭訪問員がパートナーシップを結ぶ
・家庭訪問員が「専門家」という立場を保つ
家庭訪問員は
家庭訪問員は
・親の欲求・ニーズに焦点を置く
・ 家庭内・子育ての仕方などに何が問題かに焦
・親の能力(ストレングス)の上に積み重ねるよ
う支援する
・家族が自分の目標に到達するのを
支援する
点を置く
・家庭訪問者が問題の原因を見つけ出す
・家族は問題をどのように「直さねばならない」
かを「指導」される
なお、家庭訪問では、親子の相互関係を育てる支援、子どもの発達の支援、親の支援が行われる。
家庭訪問員は、子どもの発達段階の知識を提供し、時には、適切な親子の関わり方のモデルを示すこ
ともある。親子が相互の関わり合いを楽しみながら愛着の絆を育てていくこと、そして、それぞれに
成長、発達していくよう支援する役割が期待されている。親の支援では、親の孤立を防ぎ、親業のス
キルを育てることだけでなく、家族の食糧、電気、住居、学校教育、就職、医療などの生活のニーズ
- 76 -
にも配慮しなければならない。家庭訪問サービスは、家族の生活ニーズすべてに対応できるわけでは
ないので、地域の社会資源との連携が重要である。
③
良い実践を保つための管理・運営機構に関する原則
#8:家庭訪問員が、家族の個別のニーズに充分応えられるように、担当件数を制限すること。
(ほ
とんどの地域では、一番関わりを持つ時期にある家族ならば、家庭訪問員一人あたり 15 家族に
限っている。地域によっては 10 家族以下のところもある)
#9:家庭訪問員の選択は、その人の持つ個人的特性(自分の基準で人を裁かず、感情移入が出来、
信頼関係を築くことができる人など)、文化的に多様性のある地域で働いた経験、この仕事
をする技術と能力を基に行うこと。
#10:危険度の高い家族に関わることで直面する様々な状況に対処できるように、家庭訪問員は、
文化的多様性に対処する技術、薬物乱用,児童虐待通報、家庭内暴力、(胎児期に)麻薬に曝
された新生児、その地域にある様々なサービスなどについての基礎的な研修を受けること。
#11:家庭訪問員は、その役割を果たすために、家族のアセスメントと家庭訪問に関する特別な集
中研修を受けねばならない。研修の内容は、危険度の高い家族を発見する方法、標準化され
た危険度評価表の書き入れ方、サービスの提供と他のサービスへの照会方法、医療措置の確
保、予防的医療サービスの使用を勧める方法、予防接種の大切さの説明方法、独創的に接触
する方法、家族と信頼関係を築き保っていく方法、家族のストレングスに積み上げていく方
法、家族支援プランを作成する方法、親子相互関係を観察し、家庭内の安全性を判断し、親
子の相互関係を強める指導や、危機管理の方法などを含む。
#12:家庭訪問員は、継続的に、効果のあるスーパービィジョンを受ける必要がある。それによって、
自分の担当する家族の目標達成のためどのように家族をエンパワーするか、なぜある家族に変
化や進歩がないのか、この家族にもっと効果的に働きかけるにはどうするべきかなどについて
学ぶことが出来る。また、自分の仕事での心配事や欲求不満を表現する機会にすることもでき
る。
家庭訪問の質を確保するための仕組みでは、第一に、家庭訪問員一人当たりの担当件数を限定する
ことが掲げられている。そのことにより、家庭訪問の時間を充分にとることができ、家族と強い人間
関係を築き、個々の家族のニーズに応える質の高いサービスを提供することができる。また、それは、
職員の燃え尽き症状を防ぎ、満足できる仕事が出来ないことで離職する率を少なくするとされている。
第二は、家庭訪問員の選定と研修である。専門教育とその分野での経験、人種・民族・文化的背景、
人生経験・年齢・心的成熟度、性別、人間関係を築いて人を援助する能力の5項目から、家庭訪問員
の選定を行うが、何よりも自分の基準で人を裁かず、共感性を備え、常識と分別があり、独立して行
動が出来る人材が求められている。なお、家庭訪問員は研修を必ず受けなければならない。
第三は、スーパービィジョンである。スーパービィジョンは、家庭訪問員に必要なサポートを与え、
燃え尽き症状と離職率を減少させるとともに、家族が受けるサービスの質を高める上で必要である。
第四は、各地域で実施されているプログラムの質を確保するために、HFAは客観的な外部による
監査を行い、質の高いプログラムに対して認可を与える制度を導入している。
3.わが国の虐待予防を視野に入れた家庭訪問事業の課題
(1)乳児家庭全戸事業と養育支援訪問事業
- 77 -
厚生労働省の乳児家庭全戸事業実施ガイドライン
17)
によれば、この事業は、生後4か月までの乳児
のいる家庭すべてを訪問し、子育ての孤立を防ぐために、子育て支援に関する情報提供や養育環境な
どの把握を行い、支援が必要な家庭を適切なサービス提供に結びつける事業である。児童虐待の発生
要因の一つである子育て家庭の孤立を防ぐ施策としては、従来、地域子育て支援センターやつどいの
広場などの地域子育て支援拠点事業が中心であった。しかし、事業が展開されていく中で、つどいの
広場などに出かけていくことができない親子へのアプローチが重要な課題として浮かび上がってきた。
乳児家庭全戸訪問事業は、すべての子育て家庭の扉を開き、地域の社会資源とつなぐ事業として重要
な役割を果たしている。そして、この家庭訪問で継続的な支援を必要とする家庭を把握した場合には、
ケース対応会議を開催して、養育支援訪問事業や母子保健事業などの支援を担当する部署に引き継ぐ
とされている。
次に、養育支援訪問事業は、厚生労働省ガイドライン
18)
によれば、養育支援が特に必要であると判
断した家庭に対して、保健師、助産師、保育士等が家庭訪問し、養育に関する指導、助言を行って、
当該家庭の適切な養育が実施できるようにすることを目的としている。そして、事業の対象は、乳児
家庭全戸訪問事業の実施結果だけでなく、母子保健事業や妊娠・出産・育児期に係る医療機関や関係
機関の情報提供や連絡・通告等により把握された家庭である。具体的には、①若年妊娠、妊婦健診未
受診、望まない妊娠、②出産後間もない時期の養育者のストレス、産後うつ状態、育児ノイローゼ等、
③食事、衣服、生活環境等で不適切な養育状態、虐待のおそれやそのリスクがある家庭、④児童養護
施設等の退所や里親委託の終了により、児童が復帰した家庭、の4つのタイプが示されている。
この二つの家庭訪問事業は、事業目的や担当者、支援内容が異なっており、必ずしも虐待予防だけ
を目的とした事業ではない。しかし、本論の冒頭で述べたように、現在、社会問題となっている児童
虐待の発生を予防する取り組みとして、この二つの事業を活用していくことが期待されている。そこ
で、次に、この事業を虐待の発生予防という視点で活用していくには、どのような課題があるかを検
討する。
(2)HFAの 12 重大原則からみた家庭訪問事業の課題
わが国の二つの家庭訪問事業の性格や方針を厚生労働省のガイドラインに示されている内容から整
理し、これをHFAの基本理念と比較した結果を表5に示した。HFAのプログラムをモデルとした
場合、わが国の家庭訪問事業の課題は次のようであると考える。
①
サービス開始の時期と支援が必要な家族の把握について
養育支援訪問事業は、妊娠期、または出産後間もない時期から継続的な支援が必要と判断された家
庭を対象としており、サービス開始時期はHFAのプログラムと同じである。しかし、支援が必要な
家庭をどのような方法で把握するかという点は異なっている。
HFAのプログラムでは、
「ふるいわけ」と「両親調査」という 2 段階でこれを実施している。しか
も、そこで利用されるアセスメント・ツールは、これまでの取り組みの中で有効性が実証されたもの
である。すべての家庭を対象とする簡便な「ふるいわけ」は、米国では産院で行われているが、わが
国では母子保健事業を中心に実施するのが妥当であろう。愛知県では、現在、保健機関が周産期医療
機関と連携して実施する仕組みを検討している 19)。妊婦健診、母子健康手帳の交付、出生届の機会に、
簡便な「ふるいわけ」ツールを活用する試みであり、愛知県下で広がることが期待されている。
ただ、
「ふるいわけ」を検討する場合、養育支援訪問事業の性格を再考する必要があると考える。そ
の理由は、この事業は①乳児家庭等への短期集中型、②不適切な養育状態にある家庭等に対する中期
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的支援の2種類の支援を行う事業とされているが、そのことが事業の性格をあいまいにしていると考
えるからである。②の事業は、ネグレクト家庭の在宅支援と、親子分離後の家族再統合の支援を想定
している。つまり、家庭訪問を行う点では同じであっても、虐待予防の支援と介入後の支援とは方法
論が異なることを意識し、二つを分けた実施を考える必要がある。
②
サービスの内容や方法について
HFAのプログラムとの比較で最も顕著なのは、支援の基本姿勢である。特に、養育支援訪問事業
については、専門家が家族の問題点を見つけ出し、その問題の改善をめざして指導する傾向が強い。
その理由は、前述したように、この事業が児童虐待の発生予防だけを目的としたものでないことによ
ると考える。今後は、ネグレクト家庭の在宅支援や家族再統合の支援と、虐待の予防的支援とを明確
に分け、家族を中心としたストレングスに基づく予防的な支援を積極的に展開していく必要がある。
③
支援の質を確保するための仕組みについて
二つの家庭訪問事業のガイドラインには、家庭訪問員の担当件数、スーパービィジョンについての
記述はなかった。しかし、事業の実施に際しては、担当件数の限度やケース検討の機会が設けられて
いないわけではないようである。ただ、このような仕組みを整備することが、サービスの質を左右す
るという視点が希薄であることは否めないであろう。HFAのプログラムの優れた点は、この管理・
運営の仕組みが認可システムによって補強されているところである。養育支援訪問事業のガイドライ
ンでは、
「中核機関」を定め、児童虐待対応のための「要養護児童対策地域協議会」とは別に、乳児家
庭全戸訪問事業と養育支援訪問事業とを併せて実施する組織が必要とされている。今後は、母子保健
事業との連携を強化し、予防的な支援を実現する組織づくりが必要である。
おわりに
平成 20 年に児童福祉法に位置付けられた乳児家庭全戸訪問事業と養育支援訪問事業は、わが国で家
庭訪問による支援を活発化させる大きな契機となった。しかも、最近は、妊婦健診の公費補助も行わ
れるようになり、親子関係の出発点から子育て支援を行う仕組みが充実しつつある。児童虐待の発生
予防という視点から言えば、①妊娠、出産期から支援を開始すること
②予防の目的にかなう支援方
法を確立することが今後の課題と考える。この二点を実現するモデルとして、HFAの家庭訪問支援
の方法論から学ぶところは大きいと考える。
1)
厚生労働省社会保障審議会児童部会、児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会「第1次報告か
ら第4次報告までの子ども虐待による死亡事例等の検証結果総括報告」2008年6月
2) 厚生労働省社会保障審議会児童部会、児童虐待等要保護事例検証関する専門委員会「子ども虐待による
死亡事例等の検証結果等について(第5次報告)の概要」2009 年 7 月
3) 厚生労働省、児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等に
ついて(第 6 次報告)
」2010 年 7 月
4) ヘネシー・澄子訳「HFAの家庭訪問プログラムに欠かせない 12 の重大原理」日本子ども家庭総合研究所、愛
育ねっと・子育て支援の実践、2006 年 10 月
5) http://preventchildabuse.org 1972 年に設立され、以前は全米児童虐待防止委員会(National Committee to
Prevent Child Abuse)として知られていた。国内 47 州に支部があり、全国的な児童虐待防止活動を推進して
いる
6) http://www.healthyfamiliesamerica.org/publications
7) 1961 年米国小児科学会のシンポジウムでコロラド大学医学部小児科部長ヘンリー・ケンプ Henry Kempe 博士が、
「殴打された子どもの症候群」
(被虐待児症候群)の用語を提言したことにより、以後、欧米で急速に児童虐待
- 79 -
への理解と対応策が進んだ
Barbara Hanna Washik & Donna M.Bryant(2001)HOME VISITING : Second Edition.
杉本敏夫監訳(2006)
『ホームビジティング 訪問型福祉の理論と実際』ミネルヴァ書房,59-62.
9) Duggan,A.K.,Mcfarlane,E.C.,Windham,A.M.,Rohode,C.A.,Salkever,D.S.,Fuddy,L.,Rosenberg,L.A.,
Buchbinder,S.B.,& Sia,C.C.(1999),Evaluation of Hawaii’s Healthy Start Program. The Future of
Chilren,9(1), 1999, 66-90.
10) シドニー・ウェッセル(2008)
「ヘルシー・ファミリーズ・アメリカの 12 重大原則」2007 年度日本
子どもの虐待防止ネットワーク大会報告集,14-15.
11) Karen Van Tassell(2006)
「オレゴン州における子育て支援事業の内容と成果」子どもの虐待防止ネットワー
ク・あいち主催 育児支援プログラム専門講座Ⅱ資料.
12) Key Outcomes From Oregon’s Healthy Start Program 2007-2008, NPC Research, 2009.3.
13) Twelve Critical Elements of HFA: http://www.healthyfamiliesamerica.org/publications
14) ヘネシー・澄子訳(2006)
『HFAの家庭訪問プログラムに欠かせない 12 の重大原理』日本子ども家庭総合研
究所,愛育ねっと・子育て支援の実践.
15) Twelve Critical Elements of HFA, Prevent Child Abuse America,2001,5-6.には、Kempe Assessment、
Family Stress Checklist(Murphy/Orkow/Nicola,1985),CAPI: Child Abuse Potential Inventory(Milner,
1986)を実施した結果が記載されている
16) 1980 年の初めにハワイ州全体でヘルシー・スタートのプログラムが実施されたが、
ベッツィー・デューBetsy Dew
氏は州のディレクターとして、組織作り・テクニカルアシスタンス・研修とクオリティーコントロールの仕事
を 1996 年まで担当した。1996 年にカリフォルニア州に移り、家庭訪問員が使うカリキュラムの作成やその研
修を行うグレイト・キッズ社 Great Kids Inc.を立ち上げ、その会長と社長を兼任している。
17) 厚生労働省「乳児家庭全戸事業実施ガイドライン」
.
18) 厚生労働省「養育支援家庭訪問事業ガイドライン」
.
19) 塩谷真弓、大串文子、加藤恵子(2010)
「オレゴン州の虐待予防プログラムから考える愛知県における展開の可
能性」
『小児保健あいち』8,19-20.
8)
- 80 -
表5 HFAの 12 重大原則からみたわが国の家庭訪問事業の概要
HFA12重大原則(要約) 乳児家庭全戸訪問事業
養育支援訪問事業
1:誕生前か誕生
生後 4 ヶ月までに訪問す 乳児家庭全戸訪問の実施結果、母子保健事業、関
時から開始する
る
係機関で把握した家庭
サ
2:標準化された評価方式 すべての家庭が対象
①若年妊娠、妊婦健診未受診、望まない妊娠
|
を用いて支援を必要と
②出産後間もない時期の養育者のストレス、産後うつ
ビ
している家族を発見す
状態、育児ノイローゼ等
ス
る(ふるいわけと両親
③食事、衣服、生活環境等で不適切な養育状態、虐待
の
調査)
のおそれやそのリスクあり
開
始
④児童養護施設等の退所や里親委託の終了により、児
童が復帰した家庭
3:親の自由意志で受ける 市町村が主体で実施(拒
ようにする
否、不在による意志表示
あり)
4:集中的に一貫した基準 1 回のみ:
「要支援」はケ
に沿って行う
ース対応会議・養育支援
家庭訪問につなぐ
*支援の必要性を判断する指標の例示
中核機関が、支援の対象及び支援内容を決定する
2 つの類型を基本とする
①乳児家庭等への短期集中支援型
サ
②不適切な養育状態にある家庭等に対する中期
|
支援型
ビ
ス 5:家族の 文化に沿う
の 6:親子の相互関係、子ど 家族の状況や養育環境を 適切な養育のための専門的相談・支援
内
もの発達の支援、親の 把握し、母親の不安や悩 ①妊娠期(安定した妊娠・出産・育児を迎える)
容
支援を行う(ストレン みに耳を傾ける
②出産後間もない時期の養育者の育児不安の解消、養
や
グスに焦点をあてた支
育技術の提供等
方
援)
③虐待のおそれやリスクある家庭の養育環境の維持・
法
改善や子の発達保障等
④児童が復帰した後の家庭の支援
良
い
実
践
の
た
め
の
管
理
・
運
営
7:家族を保健医療サービ
スに連結する
8:家庭訪問員の受け持ち
件数を制限する
9:家庭訪問員は個人的特
性、経験、技術と能力
などに基づいて選定す
る
相手のニーズがあればつ
なぐ
母子保健、市町村、児童相談所など、専門的機関・
部署のサービスにつなぐ
訪問者の資格要件は問わ 専門的相談支援:保健師・助産師・看護師、保育
士、児童指導員等
ない(保健師、助産師、
看護師、母子保健推進員、 育児・家事援助:子育て経験者、ヘルパー等
愛育班員、
児童委員など) 複数の訪問者が役割分担の下に必要な
支援を提供する
10:ハイリスク家族の支 市町村で必要な研修を実 必要な研修を受ける
援に必要な基礎的研修 施する
訪問支援者の研修プログラムの要点や基礎研修プロ
を受ける
グラムの例示
11:アセスメントと家庭
訪問に関する特別な集
中研修を受ける
12:継続的にスーパー
ヴィジョンを受ける
地域諮問委員会を中心
とした実施組織をつく
る
訪問支援者は中核機関において立案された目標、
内容、方法、スケジュールに基づき訪問支援を実
施する
本事業による支援の進行管理や連絡を行う「中核
機関」を定める
中核機関と要保護児童対策地域協議会、調整機関
の連携に努める
*乳児家庭全戸訪問事業、養育支援訪問事業はガイドラインの内容を記載した
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