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まちんなかラウンジ 地域医療とHIV/AIDS
地域医療とHIV/AIDS 2015. 11. 19 大村在宅ケアセミナー 長崎大学病院 感染症内科(熱研内科) 長崎大学熱帯医学研究所 臨床感染症学分野 高橋健介*, 加藤 隼悟, 田中 健之, 古本 朗嗣, 有吉 紅也 本日の内容 1. HIV感染者・エイズ患者の現状 2. 事例紹介 3. HIVの診断、検査、治療について 1.HIV感染者・エイズ患者の現状 累計報告のうち3割強がAIDSであり、近年の新規報告者数では非エイズ HIV感染者は横ばいだがAIDSは上昇傾向である。 出典:厚生労働省エイズ動向委員会『平成25年エイズ発生動向―概要―』 2000年代に入り男性同 性間接触による感染が 急増し、近年は高止ま りしている 女性は殆どが異性間 接触であるが、縦軸の 人数が男性と一桁違 い、最近20年間数値 の変動は大きくない 出典:厚生労働省エイズ動向委員会『平成25年エイズ発生動向―概要―』 長崎県における動向 中隔拠点病院 長崎大学病院 拠点病院 長崎医療センター 佐世保市立総合病院 平成25年は新規患者10名(うちエイズ患者3名) 累計新規患者74名(28名)、うち外国人6名 長崎県 エイズ対策ホームページ: https://www.pref.nagasaki.jp/bunrui/hukushi-hoken/kansensho/kansenshou/aids/ 若年者だけの病気ではない 東京都エイズニューズレター No.150(平成25年報) 2.事例紹介 まとめ② • HIV患者は高齢化傾向にあるが、自分自身の内面 や家族・社会との間に障壁があり、充分な支援を 受けられずに負担を抱えている。 • 偶然にも家族に告白したことで理解を得られ、将 来の不安が軽減できた高齢患者がいる。 • 夫婦で最期まで秘密を抱えていく決心をしている 高齢患者がいる。(一人先立たれた場合が問題) 2.HIVの診断・検査・治療について つまり、疑えば検査算定可能 近年増えているインターネット経由の郵送自己検査では、その後の フォローアップにつながらない場合があることが問題視されている。 抗体産生とWindow period 保健所等におけるHIV即日検査のガイドライン第3版 HIV検査相談体制の充実と活用に関する研究班 HIV感染症の自然経過とAIDS HIV感染症の自然経過 急性期に急激にウイルス量↑、CD4↓ 長年の安定期(無症候期)を経て 急激にウイルス量↑、CD4↓ ⇒エイズ 通常は感染しないような様々な病原体に 感染(=日和見感染)しやすくなり、特徴 的な悪性腫瘍・中枢神経障害を生じ得る 抗HIV治療ガイドライン2014年3月 HIV感染症及びその合併症を克服する研究班 急性HIV感染症 HIV感染症の自然経過 急性期に急激にウイルス量↑、CD4↓ ⇒一過性にエイズに近い状態 • HIV感染急性期は血中のウイル ス量が多い⇒他者への感染性が 高い • 現在のガイドラインでは、感染拡 大予防、症状軽減、免疫機能維 持、ウイルス量セットポイント低減、 病状進行抑制のため、急性期に おける治療開始が推奨されてい る(BⅡ) • 急性期HIVの診断は病歴と身体 所見から疑うことが肝心で、核酸 増幅法(PCR検査)で診断する。 (抗体検査は陰性である可能性 もあり、曝露後2-3ヶ月で再検査 が必要) 抗HIV治療ガイドライン2014年3月 HIV感染症及びその合併症を克服する研究班 急性HIV感染症 HIV感染後に1-4週間後に下記のような臨床症状を呈する 抗HIV治療ガイドライン2014年3月 HIV感染症及びその合併症を克服する研究班 (Am Fam Physician. 81; 1239-44, 2010. より引用) 抗HIV治療ーART:Anti Retroviral Therapy 毎年のように新薬が 登場している コンプライアンス向上 のため、合剤や1日1 回投与の薬も多く開 発されている。 抗HIV治療ガイドライン2014年3月 HIV感染症及びその合併症を克服する研究班 • 多くの安定したHIV感染者が加齢に伴い、HIV以外 の一般的な健康問題(生活習慣病など)のコント ロールを必要とするようになる。 • HIV感染症の予後改善により、累積患者数は今後 も増加していくため、HIV感染者の一般的健康問 題を全て拠点病院だけでフォローすることが困難 になることが予想される(大都市では既に困難)。 • 脳血管障害やHIV関連脳症などの中枢神経障害 によって介護を要する高齢HIV患者が増えてくるこ とも予想され、HIVコントロール良好な高齢患者を 地域医療で支援していく必要性が高まっている。 おわりに-地域医療を支える皆様へ • HIV感染者・エイズ患者の方々が、住みなれた地域で 地域の医療機関に慢性疾患(高血圧など)の医療を受 けられる環境が必要です。 • 早期発見により、早期治療、感染拡大防止に結びつく ため、地域の医療機関で早期にHIV感染を診断し、専 門機関へご紹介して頂くことが重要です。 地域の医療機関において、【長期療養を必要 とする方々の受け入れ】と【新規HIV感染症の 診断】に積極的な取り組みをお願い致します。 御静聴頂きまして ありがとうござい ました。