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平成27年度 予算編成方針
富 士 市 通 達 第 1 号 平成26年10月15日 各 部 課 長 及 び 出 先 機 関 の 長 様 富士市長 平成27年度 小長井 義正 予算編成方針 はじめに 我が国の経済は、政府、日銀が連携した成長戦略や金融政策などにより 徐々に好転しており、新規求人倍率は約7年ぶりに1.6倍台に上昇し、失 業率も3%台半ばに低下するなど、雇用情勢も着実に改善してきている。 内閣府が発表した9月の月例経済報告でも、「景気は、緩やかな回復基調 が続いている。 」とされているが、一方で先行きについては、 「駆け込み需要 の反動の長期化や海外景気の下振れなどが景気を下押しするリスクに留意 する必要がある。」とされており、今後も景気の動向については予断を許さ ない状況である。 国・地方の財政の動向 国は、経済の好循環への動きを更に進め、デフレ脱却と経済再生への道筋 を確かなものとするとともに、成長への期待を根付かせていくために需要の 安定的な拡大に取り組むこととし、6月に「経済財政運営と改革の基本方針 2014(骨太方針)」を策定した。基本方針では、経済再生と財政健全化 の両立に向けた取組として、法人税改革では日本の立地競争力を強化すると ともに、我が国企業の競争力を高めるため、法人実効税率を国際的に遜色な い水準である20%台まで来年度から数年かけて引き下げることを目指す - 1 - とされている。 また、社会保障と税の一体改革に基づき、本年4月から消費税率が8%に 引き上げられたところであるが、来年10月に予定されている消費税率の 10%への引上げについては、「税制抜本改革法」に基づき経済状況等を総 合的に勘案した上で平成26年中に判断を行うこととされている。 さらに、安倍首相は、本年9月の所信表明演説で、「地方創生」と「女性 の活躍」を経済成長の原動力とする考えを示し、地域経済活性化や人口減少 対策のため、限られた財源の中で効果の高い政策に集中的に取り組むととも に、国・地方・企業などが一体となって女性が活躍しやすい社会を目指すと している。 地方財政においては、消費税率の引上げにより地方消費税交付金は大幅な 増額となるものの、法人実効税率の引下げ等により法人市民税が減収となる ほか、普通交付税の減額も見込まれるため、税制改正など国の施策の動向を 注視し、的確に対応していく必要がある。 市財政の見通しと予算編成の基本方針 本市の財政の中期収支予測では、新年度の一般会計当初予算額を、本年度 より12億円増の841億円程度と見込んでいる。 歳入歳出を概観すると、歳入では、自主財源の総額を549億円程度と見 込んでいる。 市民税については、法人市民税の法人税割率及び法人税率引下げの影響な どを見込み4億円の減、固定資産税については、設備投資の抑制や評価替え の影響等により4億円の減、市たばこ税については、販売本数の減少傾向か ら1億円の減を見込み、市税全体では、本年度に比べ9億円減の451億円 程度になると見込んでいる。 また、地方消費税交付金については、地方消費税率引上げにより15億円 増の43億円となるものの、財源不足額の縮減に伴い、地方交付税と臨時財 政対策債は合わせて5億円の減と見込んでいる。市債については、岩松小学 校校舎改築や駿河荘の民営化に伴う建設補助などにより6億円増の69億 円程度と見込み、依存財源の総額は6.2%、17億円増の292億円程度 - 2 - になると見込んでいる。 次に、歳出にあっては、人件費などの義務的経費が本年度対比4.9%増 の361億円程度、物件費・補助費・繰出金などのその他の経費は2.8% 減の331億円程度、投資的経費は、共同消防指令センターや小学校校舎の 建設事業などにより10.9%増の159億円程度が見込まれ、現時点にお いては11億円程度の財源不足が生じている。 本市の歳入の根幹をなす税収は、金融危機以降40億円にも及ぶ減収が続 いており、人口の減少や法人税改革に伴って、今後も更に逓減していく見込 みである。 一方、高齢社会の進展により、社会保障、医療関係経費は一層増嵩し、ま た喫緊の課題である少子化・防災対策にも更に多額の経費を要する見込みで ある。加えて、第五次総合計画の後期にあっては、新環境クリーンセンター 建設事業のほか、小中学校校舎など老朽化が進む公共施設の更新に際し多額 の市債発行を要する見込みで、その償還の増に伴い本市の財政状況は極めて 厳しい状況になると予測している。 このため、歳出要求の上限額を、義務的経費及び債務負担や長期継続契約 などで支出額が確定している経費を除き、部単位の一般財源ベースで前年度 比「マイナス5%」とする。 要求額の算出に当たっては、各所属がセルフレビューや全事務事業総点検 に基づくコストの削減、事業の効率化、重点化を実施することにより財源を 捻出するものとする。 各所属においては、事業目的や成果指標に照らし、特に所期の目的が達成 された事業、民間による対応が可能な事業、費用対効果の低い事業等につい ては、廃止、再構築を前提に抜本的な見直しを行うこととする。 なお、予算編成、要求の具体的な方法については、別途財政部長名で通知 する「平成27年度予算編成要領について」によるものとし、予算編成全般 にわたる手続について、遺漏のないよう十分に配慮されたい。 - 3 - 新年度重点事業 これまで述べてきた経済、財政状況の認識を踏まえ、平成27年度は下記 事業を優先的・重点的に実施していくものとする。 重点分野の決定に当たっては、部長会議における施策評価の結果を基に、 選択と集中の徹底を図ることとしたものである。 また、富士市都市活力再生ビジョンの最上位目標である「元気よく活動し、 都市の原動力となる『若い世代の人口の確保』」の実現に向けて、ビジョン に掲げた事業を着実に執行するため、都市活力再生に向けた取組については、 優先的に扱うものとする。 1 「地震対策、風水害対策等の充実」を図る危機管理事業 2 「新産業創出や工業立地環境の整備」による工業振興事業 3 「保育環境や子育て支援体制の充実」を図る子育て支援事業 4 「観光資源の活用や観光施設等の整備」による産業交流・観光事業 5 「豪雨による浸水被害、土砂災害の軽減」を図る治山・治水事業 おわりに 景気は回復基調にあり、また、国は更なる経済成長を目指して新たな施策 を打ち出したところであるが、人口減少と少子高齢社会が地方行財政に与え る影響は非常に大きく、今後も税収が逓減するなど厳しい財政状況が継続す るものと予想される。 このような社会、経済情勢下においては、既存の枠を超えた、新たな発想 が強く求められており、全ての職員がチャレンジスピリットを持ち、困難な 課題に取り組むことが必要である。 行政のみならず、市民、企業の総力を挙げて、「都市活力」の再生に取り 組み、産業の活性化、まちの魅力向上を図るとともに、心豊かに生き生きと 暮らし、明るい未来に向かってチャレンジする「生涯青春都市 富士市」の 実現に向け、職員の英知と情熱を結集し、厳選された予算編成となることを 期待する。 - 4 -