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D 級パワー・アンプ
第 1 章 作ってみよう高効率 D 級パワー・アンプ 本章では,付録 D 級アンプ基板 TR0803D を使った D 級パワー・アン プの製作手順と動作確認の方法などを 解説します.部品の入手方法や動作不 良時のチェック・ポイントについても 解説します. 製作する高効率 D 級パワー・アンプの概要と部品の準備 ● ± 15 V で動作し最大出力 25 W で放熱器不要,ひずみ率 0.015%以下 写真 1 に付録 D 級アンプ基板 TR0803D で製作した D 級アンプを,表 1 にその仕様を 示します.電源電圧を限定したことにより,同じ性能で安定したアンプを簡単に作るこ とができます. この D 級アンプは効率が非常に良いので,パワー MOSFET には放熱器が不要です. ユニバーサル部分には,さらなるハイ・パワー化にチャレンジするための追加回路, 保護回路などを実装することができます.また,プリアンプをこのエリアに実装するこ とも可能です. 回路を図 1 に示します.D 級アンプとして必要な回路は,D 級アンプ駆動 IC IRS2092 +電源 グラウ ンド 出力 入力 グラウ ンド シャット ダウン IRS2092 写真 1 製作した D 級アンプの外観 10 −電源 表 1 付録基板で製作した D 級アンプの仕様 項 目 最大出力 仕 様 25 W(1 kHz,4 Ω) 周波数特性 ± 1 dB (20 ∼ 20000 Hz) ゲイン 24 dB ひずみ率 0.015%以下 (1 kHz,4 Ω,2 ∼ 10 W) ダンピング・ファクタ > 100 (8 Ω,20 ∼ 2000 Hz) 寸法 107 mm × 62 mm × 40 mm 電源 15 V/4 A × ( 2 4 Ω) ,15 V/2 A × 2(8 Ω) にほとんど集積化されているので,非常に簡単な回路構成になっています. ● 使用部品と入手方法 付録基板で D 級アンプを組むためには,表 2 に示す部品が必要です.これらの部品の セット(1,290 円.数量限定)が,㈱マルツ電波のマルツパーツ館[TEL(0776)22 − 0504, FAX : (0776) 25 − 4275,http://www.marutsu.co.jp/]で販売されています. ここで使用した電源は Linkman 社の AC アダプタ SPS151D7PC(15 V/1.75 A 品.2 個 必要)で,これもマルツパーツ館から販売予定です.なお,電源の選択については, Appendix も参照してください. 製作する前に,付録基板にダメージが無いか,部品に過不足や定数のまちがいは無い かを確認します. 製作の手順と注意点 ● 静電対策は万全に D 級アンプ駆動 IC IRS2092 は CMOS の IC なので,静電気には十分に注意してくださ い.はんだごては,必ず静電対策をしたものを使ってください.静電対策されていない はんだごてを使うと,壊れてしまう可能性が非常に高くなります. 銅箔パターンにはべた面があるので,はんだごての容量は 30 W 以上のものが必要です. ● 製作手順 原則として背の低い部品から取り付けていきます.部品の位置は,回路,部品表,写 真,基板のシルク印刷を見ながら,まちがいの無いように行ってください. 部品の定数のまちがい,電解コンデンサ,ダイオード,MOSFET,IC ソケットを取 り付ける向きは十分に注意してください.以下に,製作手順を示します. ① コンデンサ C12 の切れ端で J1 を接続する ② R18 以外の抵抗を取り付ける ¡抵抗のリード線とプローブ端子を兼ねる場合,以下の抵抗はあとで付ける(プロー ブは写真 2 を参考) 11 12 R1 47k 10μ 3k 50V 22μ 50V C2 R3 C 1 R2 R7 フィード バック VS1 GND −B 1.2k 図 1 製作した D 級アンプの全回路 GND 6.03V 1 R 4 VR( ) 0V 1 fsw 220Ω 2 −4.3mV 2k C3 3 10n C 6 −175mV C4 1n 4 6.01V C 1n 1n 5 D3 R 22 5 10μ −6.37V CSD 100Ω C7 50V 6 1S2076AE −9.92V C8 R6 ルネサス 7 22μ テクノロジ 50V 8.2k −14.44V 8 R5 820Ω 100k IN IN HO I N− LO COM VSS Vref R 20 +B R 10 4.7k R9 22μ 50V C 10 VCC −B −15.11V R 21 パターン・ショート 0.68μ 250V C 14 0.1μ C 15 2200μ 50V C 16 R 18 5.6k 8.2k − DT( 2 40ms) DT( 3 65ms) DT(105ms) 4 R 20 3.3k DT(25ms) 1 OUT <10k 3.3k 4.7k 8.2k R 21 GND 2.2k R 19 0.1μ 400V 2200μ 50V GND C 18 C 13 0.47μ 10Ω 250V 1W デッド・タイム −B C 17 D FET2 IRFIZ24 0.1μ NPbF (I R) S C 12 OUT :プローブ D 0.1μ 7G14N-220-RB FET1 (サガミエレク) IRFIZ24 VS1 L 1 22μH NPbF S −4.3mV C 11 1Ω R 17 MUR120 +B D2 (オン・セミコンダクタ) +B 15.14V 2.39V R 1110k V S1 16 12.5V R 12 C 22μ 9 15 10k 3.83V 50V R 13 14 −1.08V 10Ω G 13 −0.568V D MUR120 1 12 R 14 −8.7V 4.7Ω R 15 11 −15.14V 10Ω G 10 R 16 −4.82V 9 10Ω VB IRS2092 (I R) OCSET DT VCC CSD COMP VS VB CSH GND VAA I C1 820Ω R8 表 2 製作した D 級アンプの部品表と部品セット (*デッド・タイム設定用抵抗,2 種類用意する) 記号 型名 (メーカ) ,値など 記号 型名 (メーカ) ,値など IC1 IRS2092 (インターナショナル・ レクティファイアー) R1 100 kΩ,1/4 W R2 3 kΩ,1/4 W FET1 IRFIZ24N (インターナショナル・ レクティファイアー) R3 47 kΩ,1/4 W 220 Ω,1/4 W IRFIZ24N (インターナショナル・ レクティファイアー) R4 R7 1.2 kΩ,1/4 W R6 8.2 kΩ,1/4 W R9 4.7 kΩ,1/4 W R 11 10 kΩ,1/4 W R 14 4.7 Ω,1/4 W FET2 D1 MUR120RLGOSTR − ND (オン・セミコンダクター) D2 MUR120RLGOSTR − ND (オン・セミコンダクター) L1 22 μH,5.2 A(サガミエレク) R 16 10 Ω,1/4 W C3 10 nF,50 V,R 特性 R 12 10 kΩ,1/4 W C4 0.001 μF R 13 10 Ω,1/4 W C5 0.001 μF R 15 10 Ω,1/4 W C6 0.001 μF R 17 1 Ω,1/4 W C 11 0.1 μF,50 V,R 特性 R 18 10 Ω,1 W C 14 0.68 μF,250 V,10% R 19 2.2 kΩ,1/4 W C 15 0.1 μF,50 V,R 特性 R8 820 Ω,1/4 W (±12 V 時は 560 Ω) C 12 0.47 μF,250 V,10% R5 820 Ω,1/4 W (±12 V 時は 560 Ω) C 13 0.1 μF,400 V,10% VR 1 1 kΩ C 17 0.1 μF,50 V,R 特性 R 20 * 3.3 kΩ,1/4 W C1 10 μF,50 V R 21 * 8.2 kΩ,1/4 W C8 22 μF,50 V R 20 * 5.6 kΩ,1/4 W C7 10 μF,50 V R 21 * 4.7 kΩ,1/4 W C2 22 μF,50 V C 10 22 μF,50 V C9 22 μF,50 V R 22 100 Ω,1/4 W C 18 2200 μF,50 V IC1A IC ソケット,16 ピン C 16 2200 μF,50 V 写真 2 抵抗を使ったプローブ端子 D3 1S2076AE (ルネサス テクノロジ) (a)部品表 ( b )部 品 セ ット の 外 観 (マルツパーツにて部品 セットを販売 1,290 円 数量限定) 13