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Ⅵ 東京電力福島第一原子力発電所事故に係る対応状況 1 生活環境
Ⅵ 東京電力福島第一原子力発電所事故に係る対応状況 1 生活環境 【対処方針「第3章 原発事故に係る対処方針 1 生活環境」】 放射線量等の継続的な測定を行うとともに、国立研究開発法人 放射線医学総 合研究所等の知見を有する機関とも連携し、県民にわかりやすい説明を行いま す。また、状況に応じて放射性物質の影響の低減を図るなど必要な対策を講じ ます。 本県は、福島第一原発からおよそ 200 キロメートルの距離にありながら、 県内の一部において、比較的高い空間放射線量が検出されました。そのた め、大気環境・海水・上水道への放射線・放射性物質が生活や産業に与え る影響について、多くの県民が不安を抱いており、県として、県民の安全 確保と不安解消のために、放射性物質に関する監視体制を強化し、県民に 対し正確な情報提供を適時に行っていく必要がありました。 そこで、空間放射線量等の継続的な測定等を実施し、県民への正確な情 報提供に努め、県民の不安の解消を目指してきました。 具体的な取組としては、常時監視するモニタリングポストの増設や、海 水・公共用水域の測定、上水道における定期的なモニタリング、県立都市 公園の測定・除染、県ホームページでの測定結果の公表、放射能に関する 総合電話窓口の設置などを行いました。 現在も、大気環境中の空間放射線量率や海水・湖沼の水質などにおいて モニタリングを継続していますが、空間放射線量率は事故前と同程度であ り、水質検査では不検出であることを確認しています。 今後も、生活環境における放射性物質の影響などについて、モニタリン グを実施し、県民への正確な情報提供に努めてまいります。 ○取組状況 ・事業数:21 事業(平成 28 年 11 月末現在 11 事業完了、10 事業継続実施中) ・平成 27 年度までの決算額:855,001 千円 47 ○主な事業 【環境放射能調査研究事業/平成 22 年度から継続実施中】(大気保全課) 【大気汚染自動測定機器整備事業の一部/平成 23 年度から継続実施中】 (大気保全課) 【福島第一原子力発電所事故に係る放射線量測定事業/平成 23 年度から 継続実施中】(大気保全課) ・平成 23 年度に、モニタリングポストを旭市や印西市などに7基増設 し、県内8箇所で測定を行い、その結果を県のホームページにて公 表しました。 ・平成 28 年 11 月 30 日現在におけるモニタリングポストによる測定値 は毎時 0.027~0.068 マイクロシーベルトであり除染対策の目標値未 満の数値となっています。 ・空間放射線量率を測定するためのサーベイメータを 35 台整備し、市 町村への貸出しを実施しました。 表6-1.サーベイメータの貸し出し日数(日・台) 貸出し日数 H23 H24 H25 H26 H27 未把握 3,550 2,271 1,975 1,607 写真6-1.モニタリングポスト 48 【放射性物質モニタリング調査/平成 23 年度から継続実施中】(水質保全課) ・海水浴場等の海水や、公共用水域(東京湾、印旛沼流域、手賀沼流 域)の水質・底質の放射性物質調査を実施し、海水及び公共用水域 の水質においては、平成 23 年度から継続して放射性物質が不検出と なっています。 表6-2.海水浴場等の海水の測定地点数(のべ数) H23 H24 H25 H26 H27 H28(見込) 海水 159 134 186 186 186 155 砂浜 65 - - - - - 表6-3.公共用水域の測定地点数(のべ数) H24 H25 H26 H27 H28(見込) 東京湾 40 88 88 44 44 印旛沼 57 92 76 38 38 手賀沼 69 76 92 58 58 【食品の放射性物質検査事業/平成 23 年度から継続実施中】(衛生指導課) ・食品等の安全・安心を確保するため、衛生研究所において市場流通 食品の放射性物質検査を実施しました。なお、これまでに市場流通 食品から基準値を超えた食品は検出されていません。 表6-4.市場流通食品の検査回数(検体) 検体数 H23 H24 H25 H26 H27 H28(見込) 34 703 702 700 660 700 49 【浄水・原水・浄水発生土等の放射性物質測定/平成 22 年度から継続実 施中】(水)浄水課) ・平成 23 年度に測定機器を整備し、浄水、原水、浄水発生土等の放射性 物質の定期的な測定を実施しました。 【原発事故由来放射性物質対策事業(県立柏の葉公園)/平成 24、26 年 度】(公園緑地課) ・空間放射線量が比較的高い地域の県立都市公園について、モニタリ ングを実施し、県の除染目標値を上回った箇所においては、平成 24 年度と 26 年度に除染し、適切に対応しました。平成 27 年度以降に おいては、平成 28 年 12 月までモニタリングを継続し、除染対策目 標値未満であることを確認しています。 ・平成 24 年度:放射能測定 445 箇所、測定回数 のべ 1,010 回 ・平成 26 年度:放射能測定 307 箇所、測定回数 のべ 597 回 写真6-2.除染作業中の様子 写真6-3.除染完了後の公園 【放射能に関する総合電話窓口の設置/平成 23 年度から継続実施中】 (防災政策課) ・福島第一原発事故により放出された放射性物質に関する各種問い合 わせに関して、県民の利便性の向上を図るため、電話対応の窓口を 50 集約化しました。 表6-5.総合電話窓口相談件数(件) (平成 28 年 11 月末時点) 相談件数 H23 H24 H25 H26 H27 H28 417 285 70 63 22 18 【除染作業に伴う空間放射線量測定器貸出事業/平成 23 年度から継続実 施中】(防災政策課) ・除染作業に伴う空間放射線量測定器及び用具の貸出等に関する要領 を平成 24 年7月 30 日に策定するとともに、県管理施設の空間放射 線量を測定するためのサーベイメータ及び除染用器具を整備しまし た。 表6-6.県管理施設測定用サーベイメータの貸し出し日数(日・台) 貸出し日数 H23 H24 H25 H26 H27 未把握 141 104 50 233 ※平成 23 年度は、「除染作業に伴う空間放射線量測定器貸出要領(平成 24 年3月 15 日)」に基づき貸出しを実施しました。 写真6-4.空間放射線量測定器(サーベイメータ) 51 【放射能汚染詳細調査事業/平成 24 年度から継続実施中】(大気保全課) ・環境放射能測定装置(ゲルマニウム半導体分析装置)、可搬型モニタ リングポスト等を整備し、福島第一原子力発電所事故により拡散し た放射性物質により、空間線量が高い県北西部(印旛沼、手賀沼地 区)において放射性物質の詳細調査を実施しました。 【側溝清掃汚泥の放射性物質測定/平成 24 年度から継続実施中】(道路環境課) ・側溝清掃により生じる側溝内の堆積土砂に含まれる放射性物質の量 を確認し、処理施設へ搬入可能であることを確認の上、汚泥の処分 を実施しました。 【千葉港港湾区域内海水放射線測定/平成 23 年度から継続実施中】(港湾課) ・サーベイメータを整備し、週に一度、千葉港港湾区域内の海水の放 射線量を測定し、ホームページで公表しています。 ・これまでの測定の結果、放射能は全ての検体から不検出となってお り、安全性を確認しています。 2 農林水産業 【対処方針「第3章 原発事故に係る対処方針 2 農林水産業」】 モニタリング検査を実施し、正確な情報提供に努めることにより、県産農林 水産物は安全・安心であるという消費者の信頼を確保するとともに、PR 活動を 積極的に行い、優れた品質・魅力を発信していきます。また、安定的な経営を 支援するため、資金面での支援を行います。 本県では、平成 23 年4月に2市1町6品目の農産物の出荷制限(同 22 日に解除)が行われたほか、林産物や水産物、野生鳥獣肉においても出荷 制限が行われました。また、出荷制限を受けていない農林水産物について 52 も、規制値を超えていないにもかかわらず、市場価格の大幅な下落や取引 の停止等の風評被害が発生しました。 そこで、消費者に県産農林水産物を安心して購入してもらうためにも、 検査体制を強化し、検査結果を速やかに公表してきました。国からの指示 等により出荷を自粛している品目を除き、モニタリング検査ですべて基準 値以下であることを確認しています。 今後も、県産農林水産物の放射性物質のモニタリング検査を定期的に 実施し、正確な情報を消費者に提供してまいります。 ○取組状況 ・事業数:15 事業 (平成 28 年 11 月末現在 8 事業完了、7 事業継続実施中) ・平成 27 年度までの決算額:402,540 千円 ○主な事業 【農林水産物等放射性物質対策事業/平成 23 年度から継続実施中】 (安全農業推進課)(漁業資源課) 【畜産物等の放射性物質検査事業/平成 23 年度から継続実施中】 (畜産課) 【特用林産物放射性物質対策事業/平成 23 年度から継続実施中】 (森林課) 【シイタケ等特用林産物生産の早期復興支援事業/平成 24 年度から継続 実施中】(森林課) 【農林水産物等放射性物質対策事業(野生鳥獣)/平成 24 年度から継続 実施中】(農地・農村振興課) ・県産の農林水産物の安全確認を行うため、定期的に放射性物質のモ ニタリング検査を実施し、基準値を超えた物が流通しないようにす るとともに、その結果を速やかに県ホームページで公表することで 風評被害の軽減に努めました。 ・国からの指示等により出荷を自粛している品目を除き、モニタリン 53 グ検査ですべて基準値以下であることを確認しています。 表6-6.千葉県等におけるモニタリング検査件数 検査対象 (平成 28 年 9 月 30 日時点) モニタリング件数(件) H23 実績 H24 実績 農産物(米、野菜、茶、大豆など) 2,585 3,819 2,313 1,468 982 457 畜産物(牛肉、原乳など) 8,110 13,011 16,322 17,067 16,134 7,656 林産物(しいたけ、たけのこなど) 189 320 850 753 556 200 水産物 708 1,545 1,908 1,391 999 419 97 153 - - - - 堆肥(牛ふん堆肥、雑草・稲わら堆肥など) 305 - - - - - 農地土壌(水田、畑) 103 - - - - - - 54 147 175 239 124 12,097 18,902 21,540 20,854 18,910 8,856 飼料(牧草、飼料用稲わらなど) 野生鳥獣肉(イノシシ肉、シカ肉) 合 計 H25 実績 H26 実績 H27 実績 H28 実績 【ちばの農業を応援する資金/平成 23~27 年度】(団体指導課) ・東日本大震災に伴う福島第一原発事故による出荷制限や風評被害な どにより損失を受けた農業者の経営再建のため、運転資金を無利子 で融資するための利子補給を実施しました。 ・平成 27 年度までに、6市町、のべ 35 万7千円を交付しました。 【農林業分野における放射性セシウムの低減技術とモニタリング調査 /平成 27 年度から継続実施中】(担い手支援課) ・農林総合研究センターにおいて農林業分野における放射性セシウム の低減技術の研究とモニタリング調査を平成 27 年度から開始し、放 射性物質が農業生産に及ぼす問題等の解決を目指しています。 3 商工業・観光業 【対処方針「第3章 原発事故に係る対処方針 3 商工業・観光業」】 経営の安定化を図るため、資金面での支援を行います。また、観光面では、 安全性のPRや風評被害の解消に向けた情報発信やキャンペーンを実施してい きます。 54 商工業においては、福島第一原発の事故による風評被害による売上減少 が生じ、資金繰りに苦慮するケースや、加工食品等を輸出する際、輸出先 から放射能検査を完了するまで出荷停止の指示が出されるなどの問題が発 生しました。 また、観光業においては、県内観光施設への来客数が激減し、その経営 状況は大変厳しい状況となりました。 そこで、食品輸出証明書の発行事業や、中小企業者等の相談窓口となる 千葉県産業復興相談センターの設置、観光プロモーション事業の実施など を行いました。 ○取組状況 ・事業数:11 事業 (平成 28 年 11 月末現在 10 事業完了、1 事業継続実施中) ・平成 27 年度までの決算額:170,358 千円 ○主な事業 【食品輸出証明書発行事業/平成 23、24 年度】(経済政策課) ・県内企業が加工食品を輸出する際に千葉県産食品の輸入規制を行っ た国や地域から求められた、放射性物質に係る公的な証明書の発行 事務を実施しました。 ・平成 23 年度:2,750 件 ・平成 24 年度:2,326 件 【工業製品安全性評価支援事業/平成 23 年度から継続実施中】(産業振興課) ・県内企業(製造業)が製造した工業製品に対し、取引先等から求め られた放射線測定を実施し、安全性の担保を図りました。 55 表6-7.放射線測定検体数(件) 測定試料数 H23 H24 H25 H26 H27 H28 55 32 16 16 16 8 【「がんばろう千葉」観光プロモーション事業/平成 23 年度】(観光誘致促進課) ・メディア等を活用した情報発信やイベントなど、県内外に向けた観 光プロモーションを展開しました。 ・平成 23 年6月 11 日、12 日の二日間、 「がんばろう千葉」観光キャン ペーンPRイベントを幕張メッセで開催しました。 (二日間の来場者 数:13,080 名) 写真6-5.「がんばろう千葉」観光プロ 写真6-6.イベント会場の様子 モーション活動 【「がんばろう千葉」観光優待キャンペーン事業/平成 23 年度】(観光誘致促進課) ・県内主要観光施設等の入場料を無料化し、直接的な入場者の増加と これに伴う地域への波及効果を図りました。 56 表6-8.観光優待キャンペーン事業の実績 実施期間 第一弾 第二弾 4 H23.8.1 ~H23.9.30 H23.12.23 ~H24.2.29 配布枚数 対象施設数 利用実績 利用率 2 万枚 25 施設 6,557 枚 32.8% 2 万枚 27 施設 6,412 枚 32.1% 学校教育等 【対処方針「第3章 原発事故に係る対処方針 4 学校教育等」】 県立学校等の空間放射線量測定を継続的に実施するとともに、局所的に放射 線量の高い箇所については線量低減策を実施します。 また、給食現場における放射性物質の検査体制が維持できるよう、研修会等 での指導とともに、関係情報の提供に努めます。 県北西部を中心とした学校等の校庭において、比較的高い空間放射線量 が測定されたことや、農林水産物において出荷制限されている品目がある ことなどのため、保護者等から、①校庭等の敷地内の放射線量低減と、② 給食用食材の安全確保の要望が出されました。 このため県では、県立学校の校庭等の空間放射線量を測定し、必要に応 じて除染等の措置を講じるなどの対策を取りました。また、給食で使用を 予定している食材のサンプル検査を実施し、基準超過の食材を使用してい ないことを確認し、県民に具体的な数値情報を提供しました。 ○取組状況 ・事業数:19 事業 (平成 28 年 11 月末現在 18 事業完了、1 事業継続実施中) ・平成 27 年度までの決算額:45,885 千円 57 ○主な事業 【県立教育機関の敷地内の空間放射線量の測定/平成 23~25 年度】 ((教)生涯学習課) ・県所管の教育施設において、サーベイメータを使用し、空間放射線 量の測定を実施しました。その結果、除染対策目標値を超えた1施 設については、平成 24 年度までに除染を完了しました。 【県立学校における除染事業/平成 23 年度~平成 27 年度】 ((教)学校安全保健課) ・平成 24 年度の測定において校庭における空間放射線量が除染対策目 標値を超えていた 16 施設について、同年度中までに除染を実施しま した。平成 25 年度以降については、千葉県放射性物質除染実施プラ ン対象の施設について、継続的に空間放射線量の測定を実施し、必 要な対策を講じてきました。平成 27 年8月に計測を実施した結果、 対策目標を超える数値は検出されず、線量の上昇傾向も確認されな かったことから、平成 28 年度以降の県立学校における放射線量の定 期的な測定は実施せず、学校等から対策目標を超える報告があった 場合、改めて測定することとしました。 【学校給食用食材放射性物質検査事業/平成 24 年度から継続実施中】 ((教)学校安全保健課) ・食品用放射性物質検査機器を5つの教育事務所に設置し、検査を希 望する市町村教育委員会及び給食を提供している県立学校等を対象 に、給食で使用を予定している食材のサンプル検査を実施しました。 ・これまでの検査結果は、すべて国の基準値以下となっています。 58 表6-9.食材のサンプル検査実施数 H24 H25 H26 H27 H28 市町村 35 29 25 23 22 県立学校 44 44 45 46 44 国立学校 1 1 1 1 1 【学校給食安心対策事業/平成 23~27 年度】((教)学校安全保健課) ・給食一食分に含まれる放射性物質の有無と量を継続的に集約し、こ れを千葉県教育委員会ホームページに公表しました。 ・いずれの検査結果においても不検出となっています。 表6-10.学校給食の検査実施組織数 5 H23 H24 H25 H26 H27 教育委員会 1 20 15 19 14 教育事務所 5 - - - - 健康への影響 【対処方針「第3章 原発事故に係る対処方針 5 健康への影響」】 健康に対する影響への対応については、長期的な視野に立った上で、国によ る方針の提示及び支援が不可欠であるため、今後も国の責任のもと実施される よう国に対して要望していきます。 また、健康への影響に関する情報提供や健康相談等を通じ、県民の不安解消 に努めます。 放射性物質による外部被ばくや内部被ばく等の健康への影響について、 福島第一原発の事故当時は様々な情報が飛び交い、子どもを持つ保護者を はじめとする県民から不安の声が上がっていました。 そこで、各健康福祉センター(保健所)において、放射線による健康影 59 響等に係る電話相談を実施し、県民の不安解消に努めました。また、放射 線に関する基礎的な知識を普及させるため、講習会を県北西部や千葉市で、 平成 28 年度までに 19 回開催しました。これには延べ 1,400 人の県民が参 加し、具体的かつ分かりやすい等の評価を得ています。 ○取組状況 ・事業数:4事業 (平成 28 年 11 月末現在 2 事業完了、2 事業継続実施中) ・平成 27 年度までの決算額:1,315 千円 ○主な事業 【放射線に関する健康相談/平成 23 年度から継続実施中】 (健康づくり支援課) ・各健康福祉センター(保健所)において、放射線による健康影響等 について電話相談を実施しました。 ・(相談実績)延べ 3,284 件(平成 28 年 11 月末) 【放射線に関する講習会開催事業/平成 24 年度から継続実施中】(防災政策課) ・県民への放射線の正確な知識と情報の提供について充実を図るため、 大学教授などの専門家を講師として招き、県民向けの講習会を実施 しました。 表6-11.講習会の開催回数と参加人数 H24 H25 H26 H27 H28 開催回数(回) 10 3 2 2 2 参加人数(人) 806 194 129 173 94 60 写真6-7.放射線に関する講習会 6 上下水道等施設や一般廃棄物処理施設から発生する汚泥・焼却灰等 【対処方針「第3章 原発事故に係る対処方針 6 上下水道等施設や一般廃棄 物処理施設から発生する汚泥・焼却灰等」】 発生し続ける汚泥等の一時保管場所の確保が困難な状況にあることから、早 急な対応を国に強く要望するとともに、市町村等と連携・協力を密にしながら 対応していきます。 一般廃棄物処理施設や上下水道等施設から発生する汚泥や焼却灰から、 放射性物質が検出されました。 これら焼却灰等のうち、放射性物質濃度が 8,000 ベクレル/キログラム を超える廃棄物は、指定廃棄物として国が処理することとされていること から、県の施設から生じた指定廃棄物については、国に引き渡すまでの間、 厳重に管理・保管を行っています。 また、県では、焼却灰の保管がひっ迫した県内自治体の要請を受け、 県手賀沼流域下水道終末処理場内に一時保管場所を設置し、指定廃棄物の 一時保管を実施しました。 県内の指定廃棄物については、国の責任において安全に処理されること が必要であり、国に対し、長期管理施設の早期設置と、保管経費に対する 61 十分な財政支援を要望してきました。 ○取組状況 ・事業数:8事業(平成 28 年 11 月末現在 4 事業完了、4 事業継続実施中) ・平成 27 年度までの決算額:3,974,968 千円 ○主な事業 【指定廃棄物対策事業/平成 23~27 年度】(循環型社会推進課) ・平成 24 年 12 月から平成 27 年3月まで、手賀沼流域下水道終末処理 場内で、松戸市、柏市、流山市の指定廃棄物(合計 526 トン)を一 時保管しました。 写真6-8.指定廃棄物の一時保管施設 【流域下水道事業/平成 23 年度から継続実施中】(下水道課) ・手賀沼終末処理場で発生した下水汚泥焼却灰のうち、指定廃棄物に 指定されているものについては、放射性物質汚染対処特別措置法や 国のガイドラインに基づき、適切に保管しています。 ・手賀沼終末処理場での保管量:約 542 トン 62 【浄水場の空間放射線量測定事業/平成 23~25 年度】((水)浄水課) ・柏井・ちば野菊の里・北総浄水場で発生した放射性物質を含む汚泥 を場内に仮置きしたことから、浄水場の敷地境界等において空間放 射線量の測定を実施しました。 【廃棄物処理施設等放射性物質検査/平成 23 年度から継続実施中】 (廃棄物指導課) ・産業廃棄物管理型最終処分場の排出水等に係る放射能分析・検査を 継続実施し、周辺環境の空間線量が除染対策目標値未満であること を確認しました。 ・平成 23 年 10 月以降、産業廃棄物管理型最終処分場の排水等につい て、月 1 回分析検査を行い四半期毎に結果を公表しています。 7 汚染された土壌等の除染等の措置 【対処方針「第3章 原発事故に係る対処方針 7 汚染された土壌等の除染等 の措置」】 「放射性物質環境汚染対処特別措置法」及び「放射性物質により環境汚染さ れた土壌等の除染等の措置に関する千葉県としての対処方針」等に基づき、県 の措置の具体的な内容や市町村等の連携・支援等を明確にし、除染等の措置の 円滑な推進を図ります。 県立学校や県立公園などでも放射線量が高い場所が確認されたため、放 射性物質が人の健康又は生活環境に影響を及ぼさないよう、除染等により 生活空間から隔離する必要がありました。 そこで、県では、平成 24 年2月に「千葉県放射性物質除染実施プラン」 を策定し、子どもなどの生活空間として使用されている県有施設のうち、 事前のモニタリングで放射線量が高かった施設を選定し、除染等の措置を 実施しました。 63 ○取組状況 ・事業数:2事業(平成 27 年度末で全て完了) ・平成 27 年度までの決算額:778,082 千円 ※支援体制を確保し完了と整理している事業も「継続実施中」と記載しています。 ○主な事業 【原発事故由来放射性物質対策事業/平成 23 年度から継続実施中】 (防災政策課) ・千葉県放射性物質除染実施プランを策定し、県管理施設の除染を実 施し、平成 24 年度で完了しました。 ・平成 25 年度はモニタリングを実施し、除染対策目標値である毎時 0.23 マイクロシーベルトを超えた事例がないことを確認しました。 ・対象施設は、県立高等学校など全 77 施設であり、そのうち、除染を 実施した施設は 30 施設でした。 ・汚染状況重点調査地域に指定されている県内9市において除染等の 措置により保管されている除去土壌等は、約 98,000 立方メートルで あり、そのうち、県の保管分は約 7,000 立方メートルとなっていま す。なお、除去土壌の保管においては、国の除染関係ガイドライン に則って、飛散しないよう覆土するなどにより、注意して保管して います。 64 写真6-9.県立高等学校のグラウンドの除染 8 損害賠償 【対処方針「第3章 原発事故に係る対処方針 8 損害賠償」】 国や東京電力ホールディングス株式会社に対し行ってきた、賠償に係る事務 体制の強化、被災事業者への積極的な説明や書類作成の援助、請求に対する速 やかな支払い、地方公共団体が要した経費の全額負担、行政経費に係る補償基 準の早期提示などの要望について、引き続き経緯を見守り、必要に応じ要望を 行っていきます。 県では、福島第一原発の事故に伴い実施した放射性物質対策に要した費 用について、 「原子力損害の賠償に関する法律」に基づき、東京電力に損害 額を提示し、賠償するよう交渉してきました。 今後も継続して交渉するとともに、必要に応じ原子力損害賠償紛争解決 センター(原発ADR)に和解仲介を申し立てるなど、適切に対応してま いります。 ○取組状況 ・事業数:3事業(平成 28 年 11 月末現在全て継続実施中) ・平成 27 年度までの決算額:1,406 千円 65 ○主な事業 【東京電力ホールディングス株式会社に対する損害賠償請求/平成 23 年 度から継続実施中】(防災政策課、(水)総務企画課、(企)経営管理課) ・東京電力ホールディングス株式会社に対し、福島第一原発の事故に 伴い対応せざるを得なくなった本県の福島第一原発事故対応事業に 要した経費の賠償請求を行い、東京電力ホールディングス株式会社 との交渉を実施しました。 ・一般会計の行政経費及び公営企業会計(上水道、工業用水道)の事 業費うち、未賠償の 9,994 万5千円分について、平成 27 年3月 23 日に原発ADRへ和解の仲介を申し立てました。 ・一般会計分については、平成 28 年9月 30 日に原発ADRから提示 のあった、和解案について、概ね県の主張が認められていることか ら、県としてこれに合意するため、平成 28 年 12 月の定例県議会に 和解の議案を提出しました。また、公営企業会計分(上水道、工業 用水道)については、平成 27 年度に和解が成立しました。 表6-12.県(一般会計分 及び 特別会計,公営企業分)における損害賠償の協議状況 (単位:千円)(平成 28 年 11 月末現在) 提示額 受取額 対象年度 計 一般会 特別会計 計 公営企業 合計 430,932 2,647,004 23 年度分 255,320 内 24 年度分 計 一般会 特別会計 計 公営企業 3,077,936 168,180 2,647,004 2,815,184 862,895 1,118,215 110,893 862,895 973,788 122,446 841,872 964,318 44,055 841,872 885,927 訳 25 年度分 38,173 942,237 980,410 10,002 942,237 952,239 26 年度分 14,993 0 14,993 3,230 0 3,230 66 表6-13.原発 ADR への申立状況 申立額 一 般 会 計 分 上水道 (平成 28 年 11 月末現在) 和解額 98,212 平成 23 年度までの行政経費(事業費) 1,659 1,500 74 74 1,733 1,574 99,945 1,574 特 別 会 計 公営企業分 工業用水道 小計 合 計 備考 平成 24 年度の事業費 平成 28 年 3 月 10 日に和解契約成立 平成 24 年度の事業費 平成 27 年 12 月 2 日に和解契約成立 ※一般会計分は、原発 ADR の仲介委員を介して、事案の解決を目指している。 9 まとめ 福島第一原発の事故由来の放射性物質により発生した、上水道の取水制 限や農林水産物の出荷制限、農林水産業や観光業における風評被害などの 様々な被害に対応するため、県管理施設の除染や農林水産物のモニタリン グ検査、風評被害対策のための観光キャンペーンなどの事業を実施しまし た。また、事故発生当初は、放射性物質に関する知識が普及しておらず、 大きな混乱が生じたことから、相談窓口の設置や放射線に関する講習会を 開催しました。 これまでに取り組んだ8分野 83 事業のうち、55 事業が完了、28 事業が 継続実施中であり、平成 27 年度末までの全事業に要した事業費の合計は約 62 億円となっています。なお、これらの放射性物質対策にかかった事業費 については、東京電力への請求や原発ADRへの和解仲介申立てにより解 決に向けた作業を進めています。 食品や県産農林水産物のモニタリング検査については、現在も継続し、 その検査結果を公表しておりますが、国からの指示等により出荷を自粛し ている品目を除き、基準値超過のものはありません。 また県内の空間放射線量率は、毎時 0.027~0.068 マイクロシーベルト(平 67 成 28 年 11 月 30 日現在)と除染対策目標値を超えておらず、海水や湖沼に おいては、放射性物質は水質からは検出されていません。 今後も継続して、空間放射線量率の測定や農林水産物のモニタリング検 査などの放射性物質対策を実施し、検査結果を公表していくことで県民の 安全・安心に向けて取り組むとともに、知識の普及啓発にも努めてまいり ます。 68