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久慈会場 - 岩手県
「県民と県議会との意見交換会」 久慈会場 の概要 〔日 時〕 平成26年4月25日(金)18:31~20:37 〔場 所〕 久慈地区合同庁舎6階 大会議室 〔テーマ〕 「地域資源を活用した観光振興について」 〔参加者〕 (11名) 柏 木 美 子(㈱街の駅・久慈 企画営業課長) 川 代 明 寛(NPO法人やませデザイン会議 事務局長) 下 舘 一 樹(ふるさと体験学習協会 インストラクター) 下 舘 進(岩手久慈農山漁村民泊協会) 中 野 康 宏(久慈商工会議所 指導課観光係長) 橋 上 和 司(三陸鉄道㈱ 北リアス線運行本部長付兼久慈駅長) 水 堀 明 香(久慈広域観光協議会 総務渉外企画主任) 工 藤 彩(久慈琥珀博物館 学芸員) 下苧坪 千 典(下苧坪商店 店主) 宮 本 慶 子(いわて復興応援隊員(洋野町役場 特定政策推進室) ) 上神田 敬 二(上神田精肉店代表) ※ 敬称略 〔出席議員〕 (8名) 名須川晋議員(座長)、 議員、嵯峨壱朗議員、渡辺幸貫議員、佐々木博議員、 伊藤勢至議員、佐々木朋和議員、小西和子議員 〔オブザーバー議員〕清水恭一議員 〔事務局職員〕 (5名) ◆ 参加者自己紹介及び現在の業務や活動状況の紹介 ○柏木さん 元気を発信したいということで、まず「あまちゃん」がなぜあれだけヒットしたのかというこ とを私なりに分析した結果、きれいな景色ということもあるが、そこで繰り広げられる人々の様 子、魅力が一番大きかったのではないかと思った。久慈には多くの観光資源があるが、そこに暮 らす人々が一番の観光資源ではないかと思い、ポスターも作成した。キャンペーンで回ったとき にかなりの反響があり、北海道から大阪の地下鉄まで貼ってもらっている。全国からもポスター を見たとか送ってほしいということで、久慈市のPRをさせていただいている。また、観光バス のガイドで、久慈の情報が分からないという方が多いため、読むだけで久慈の観光案内ができる ポケットサイズのネタ帳を作成し配ったところ、ガイドから好評をもらっている。ガイドに話を してもらうことで次のリピーターにつなげたいと思い取り組んでいる。震災でいろいろあったが、 明るい情報、明るい人々を前面に押し出し、また、その方々に会いに来ていただこうという思い で観光誘客に取り組んでいる。 ○川代さん NPO法人やませデザイン会議は、平成4年に法人格を取得し、現在、23 年目の活動に入って いる。地域づくりをミッションとしており、活動の中で観光による地域の活性化にも取り組んで いる。久慈市の緊急雇用創出事業による観光客受入態勢整備事業を行っており、10 人雇用し、小 袖地区の案内と交通規制が入ったときの臨時駐車場の誘導及びガイドを行っている。テレビ等に 1 より、自分たちが住んでいる地域が良いところだということを再確認しながら、観光客にPRし ていかないと、リピーターにはなってもらえないと感じている。 ○下舘一樹さん ふるさと体験学習協会では、教育旅行の受入れや冒険教育キャンプ等の企画、実施を行ってい る。先日まで仙台の中学生を受け入れていたが、5月も6校、6月も1校来る予定となっている。 ○下舘進さん 旧山形村の畜産農家で、日本短角種と黒毛和種の子牛生産と肉牛、ほかに闘牛を 15 頭ほど飼っ ている。観光では、昨年のあまちゃんによって闘牛への客も増えた。リピーターが増え、今では 一場所 1,000 人くらいは集められるようになった。ただ、生き物が相手なので、何かあったときのリ スクが大きいことや、闘牛を飼ってくれる人も育てなければならず、若い人などの人材育成とい うのが一番大きな問題となっている。今、教育旅行などで久慈市山形町にも多くの人が来るよう になっているので、そのような方にPRをしながら広がって行けば、地域の良いところを見つけ てもらえると思っている。 ○中野さん 商工会議所では、観光産業の振興を意識しながら事業に取り組んでいる。あまちゃんの効果は 絶大であったが、あまちゃん支援推進協議会の受入態勢整備部会を受け持ち、観光客の受入態勢 づくりに取り組んだ。おもてなしのための意識向上の研修や、振興局の支援を受けながら商品開 発の相談会や商談会を実施している。 ○橋上さん 南リアス線、北リアス線の運行再開のイベント以降は客も落ち着くのかと思ったが、昨日の昼 の南リアス線は満員の列車が走っており、このままゴールデンウィークに突入できるのではない かと思っている。地元客ではなく、遠方の方が個人客で来ているのが特徴である。 三陸鉄道では広報を担当する立場にもあり、マスコミ対応等しているが、望月社長の方針で、 3月から、申込みを受けた報道は1社も断るなと言われており、全てに対応している。1か月で 80 件対応しているが、逃さないように細やかに丁寧に対応し、たくさんの方に久慈地方のファン になってもらえるよう頑張っている。昨年のあまちゃん放送以降、こちらを訪れる大きなツアー の名前が変わり、 「じぇじぇじぇ北三陸大周りツアー」や「北三陸うまいものツアー」など、旅行 会社の添乗員やプランナーと話をすると、非常に好評で集客が高いとお褒めの言葉をいただいて いる。丁寧な対応をして継続していきたいと思っている。 三陸鉄道では震災以降、三陸被災地フロントライン研修や震災学習列車の両輪で頑張ってきた が、震災学習列車は今年もたくさんの乗車をいただいており、5月に約 600 名、6月には 1,200 名と車両数で言えば、5月は 18 両、6月は 34 両の貸切となっている。秋口まで続くが、教育旅 行を大切に育てていきたいと思っている。 ○水堀さん 久慈広域観光協議会は、平成 15 年に、久慈広域の、洋野町―発足時は種市町と大野村であった が―、久慈市、野田村、普代村の各市町村と商工会、商工会議所、観光協会を構成員として発足 した。その目的は、今後予想される人口減少に伴い、観光振興を行うことによって外からお客を 呼び込んでくることと、点在する観光資源について、点と点を結んで線にして回遊してもらう仕 組みをつくることである。岩手県からは観光コーディネートの配置として、様々な委託や補助を 2 受けながら運営している。また、商品販売促進チームでは、主に久慈市観光物産協会から駅の久 慈市観光案内所の委託を受けて、観光案内員を配置している。昨年からは岩手県より委託を受け、 三陸鉄道の窓口業務を受託している。企画誘客宣伝チームでは、岩手県より各道の駅に案内員を 配置する委託を受けている。他にもニーズ調査などの統計もとっている。 また、二次交通の取組としてレンタサイクルを用意したり、乗継時間を有効に使ってもらうた め、手づくりの三陸鉄道やJRの駅長お薦めのお食事マップを作り、配布もしている。駅前には アンテナショップを運営し、食の匠として、昆布削り職人の実演を土・日・祝日に実施している。 市内のイベントへ出店したり、県内外におけるプロモーション活動も行っている。 様々な所に行っているが、当会では、発足時から八戸市と合同の観光PRを大事にしている。 理由としては、新幹線は二戸駅もあるが、八戸市の集客力と宿泊施設がある。久慈市には大きな 宿泊施設がないため、宿泊できないという課題がある。八戸市と一緒にプロモーションすること により、八戸市の集客を少しでも久慈に向けてほしいということで、三陸をPRする活動も行っ ている。パンフレットも、八戸、二戸、宮古を意識した構成をしている。 昨年要望の多かった案内ガイドをやっているが、人がつなぐということで、必ず案内人を付け て、きめ細やかに丁寧に案内することを当会では心掛けている。 他にも、おもてなしということで、様々な所で大漁旗も振っている。久慈駅では毎週行ってい るし、要望があれば、普代村の大沢橋梁にみんなで行っている。観光庁の事業で、北三陸エリア を食の街道で結ぼうという取組としてウニ街道祭りや、環境省の事業ではみちのく潮風トレイル の情報発信などを行っている。観光振興はまちづくりが基本であり大事だと日々実感している。 あまちゃんがいろいろ取り上げられてきたが、それを契機に、地域の人や、食、文化を、もっと 丁寧に伝えていくことを心掛けていきたいと思っている。 ○工藤さん 久慈琥珀博物館で学芸員をしており、来客への案内のほか企画展示などを行っている。資料館 から数えて、今年 30 周年を迎え、琥珀は世界のいろんなところで採れるが、久慈の琥珀にスポッ トを当てた展示をしようということで「悠久の久慈琥珀」という企画展が始まっている。久慈地 域は様々な観光スポット、環境資源があるが、久慈地方の琥珀は日本最大の産地となっている。 あまちゃん放送以前はあまり知られていなかったが、放送を機にお客さんが来るようになり、全 国的に認知されたと感じている。昨年は、三陸が日本ジオパークに認定されたこともあり、あま ちゃんを通して知っていただいたものを、今度はジオとして認識してもらいたいと思い、企画展 を通して深めていきたいと考えている。これからも、情報発信して久慈地域を盛り上げていきた いと思っている。 ○下苧坪さん 洋野町八木と種市の魚市場の公認で仲買をしており、たねいち産直ふれあいひろばの産直丸魚 で、鮮魚販売や中央市場への出荷を行っている。震災前から自作のネットショップを運営してい たが、被災して再稼働したときにNHKから声がかかり、 「あさイチ」の番組で、天然ほやと店が 紹介された。他には Facebook で、店のアカウントで種市の浜や海の幸を紹介しており、その日に 獲れた魚や、地元でしか食べていない料理などを載せている。Facebook とネットショップの活用 により、昨年、横浜、京都、大阪から、見たと言って来た人があった。何もしないよりは発信し てみるのも良いものだと感じている。 ○宮本さん いわて復興応援隊に採用され、1 年半前に神奈川県横浜市から洋野町に来た。現在、洋野町役 場で、体験交流の推進や教育旅行の誘致、情報発信をしている。ひろのだよりというブログを、 3 よそ者目線で書いている。1 年半の仕事を通じて感じたのは、いろいろな催しが行われるが、地 元の人たちの気持ちが付いていっていないということである。下宇坪さんなど一部でPRしよう と頑張っている人もいるが、大部の地元の人は、こんな所に来て何をしていくのかとか、見る所 なんて何もないと思っている人が多く、もったいないと感じた。みちのく潮風トレイルも、お金 をかけて整備していこうとしているところに、いろいろな人が歩いてきてくれたときに、それを 地元住民が知らないとただ通り過ぎて、洋野町のことが印象に残らないまま行ってしまうのでは ないかと思った。 それをどうにかできないかと、県外から来ている自分でないと力説しても説得できないのでは ないかと思い、去年から始めた東北エモーションの試乗会に参加したところ、窓から見える洋野 町の景色が美しく、これを都会の人が見たら感動するだろうと思い、地元の人たちともっと感動 を高めるような活動ができないかと、(あまちゃんの)夏ばっぱのように、旗振りをしてお出迎え をしてみようと声を掛けた。昨年 10 月末から始め、地道に活動してきたところ、旗を振る地区が 3地区くらいに増え、少しづつ街の中に浸透してきた。また、列車に乗ったお客さんから、全員 が涙を流して感動したというメッセージと、激励金を送ってくれたことがあった。それを地元の 人たちに回覧したところ、外の人が感動したというメッセージを読んで自分たちも感動し、それ 以降意識が変わってきた。漁協を中心に自分たちでローテーション表を作り、みんなで手分けし て旗振りをして、もっと感動してもらおうという気持ちを持ってもらえた。これからいろいろな イベントや国体などもあるが、そのときに行政だけではなく、地元住民がちゃんと関われる土台 を作っていけたらよいと思っている。 さらに、あまちゃんで話題となった種市高校では、先生たちが種市高校をPRして生徒を増や したいという思いがあり、観光関係者よりも多く外にPR活動に行っている。種市高校イコール 洋野町とつながるので、単独の活動にするのはもったいないと思い、今度、横須賀の海洋関係施 設の一般公開に行って南部もぐりの実演をしてくるということを聞き、町の関係者は誰も行かな いが、私が取材に行って、横須賀など首都圏の人が、洋野町の南部もぐりという伝統の潜水方法 を見てどう思ったか、どう感動したかというのを取材して、洋野町の人に伝えるというようなこ とをやっていきたい。 ○上神田さん 普代村でお肉と惣菜の販売をしている。久慈工業高校卒業後、9年間ほど東京で日本料理を学 んできた。自分自身が培ってきた技術や経験などを生かしながら、食を通して故郷に貢献できる 人になりたいという強い思いがあり、16 年ほど前に帰郷した。帰郷してすぐ自分の店を持つとい う夢もかない、 約8年間オーナーシェフをしていた。6年ほど前からは家業の精肉店で働き出し、 平成 22 年から2代目の代表となった。翌年に東日本大震災があり、大変な状況ではあったが、そ の直後から2年間、普代商工会の青年部長を務めた。地域の復興や発展のため、仲間と共に最大 限の努力をしてきたが、その中での様々な出会い、経験を経て、自分自身が地域の後継者世代の 一人として、少しでも成長することができたと思っている。今は、村に若者が少なく、教育委員 や食品衛生指導員、商工会、観光協会など多岐にわたり活動させていただき、自分のできる範囲 でではあるが、積極的に取り組んでいこうと思い頑張っている。 「普代の昆布でお肉もよろコンブ」というセルフコピーで、地元食材を生かしたオリジナルの 焼き肉のたれの開発に取り組んだ。普代の太田名部漁港では、わかめ漁が終われば昆布漁が始ま るが、6年前の今頃の時期に昆布づくりの現場を見に行き、浜で漁師から間切りで切った昆布を 食べさせられたときのおいしさや、茹でたての昆布の翡翠のような透明感のある緑色の美しさを 見たときに宝物だと思い、これを生かさない手はないと、たれにこれを合せて作ろうとひらめい た。料理人の目から見ると宝物のようなものでも、なかなか有効利用されていなかったという話 も聞いたので、PRにつなげていければよいと思っている。 4 ◆ 意見交換 ○佐々木(朋)議員 発表を聞いて横のつながりがあると感じた。日頃、どのような連携を取っているのか。集まっ て会議なども行っているのか。 また、あまちゃん効果に浮かれることなく、一人一人に丁寧に対応して着実なものにしていく という思いが伝わってきた。岩手県では、みちのく岩手観光立県第2期基本計画の中で、日本一 のおもてなしを目指すと掲げている。今日の話を聞いて、住民の皆さんから湧き上がるようなお もてなしの心というのが日本一のおもてなしではないかと感じたが、日頃から住民の皆さんとど うやって絆を作っているのか。 〔回答:宮本さん〕とにかく集まりがあるところに行ったり、取材として町内のあらゆる地域の 老人会や若者の集まりなどに参加して、名前を覚えてもらうことから始めた。 〔回答:川代さん〕NPO法人やませデザイン会議の会員には、いろいろな業種の方が50人ほどいて、 定期的に勉強会などをやってきた。やませデザイン会議自体は、観光を主目的でやっている 訳ではないので、これまで観光関係の会議に呼ばれることはなかったが、今回あまちゃん支 援推進協議会という大きな協議会ができて参加することができ、あまちゃんという一つのテ ーマを中心に、地域資源をどうするかという議論を、みんなでここ2年位やってこれたこと が、久慈の観光にとってよかったと思っている。 ○渡辺議員 人が魅力だということで、東京にはない親しみと家族を感じるということに、どのようなところ から気づいたのか、もう少し詳しく教えてほしい。 〔回答:柏木さん〕久慈をしばらく離れていたが、そのときは久慈の魅力を感じていなかった。 戻ってきて久慈の魅力を考えたときに、景色はきれいだし、食べ物もおいしいが、それは日 本全国他にも当てはまるところはある。ここに住むには何か別の魅力を見つけなければいけ ないと思っていたときに、人に特徴があるところだと感じた。話の不器用なところも含め、 人間らしさ、愛着を感じた。観光に来たお客さんと話をすると、お客さんもそういうところ が好きで来てくれていると感じた。景色を見に来るだけではなく、また会いに来たと言って 来てくれる。これが十分観光資源になり得ると感じていたところにあまちゃんのドラマがあ って、まさにこういうやり取りなどが、よそから来る人にはすごく新鮮に映るんだなと感じ た。団体の昼食のおもてなしもしており、そのときに、久慈の観光VTRを見せながら、お 客さんに合わせていろいろな会話をすると、非常に食事がおいしかったと言ってくださるし、 全てのことが楽しく感じられるのだと思った。お金をかけなくても印象に残り、また来てく れたり手紙をもらったりという人との絆が、リピーターにつながると感じた。 魅力的な人たちがいることを、もっともっと外に紹介できればいいと思っている。そこに 行かなければ会えない、この時期でなければ会えないということが素敵なことだと思いPR している。 〔回答:宮本さん〕旅先に魅力的な観光施設やすごく素敵な景色があるとしても、それは行くき っかけに過ぎず、例えば案内してくれた人が最悪な態度だったりすると、もう行きたくない と思ってしまうかもしれない。もう一度行きたいと思うポイントは、その時に出会った人で はないかと思っている。横浜市から洋野町に来た時には、全てのことが新鮮だった。ほとん どが親戚のような感じなのもとても不思議で、同じ苗字が多い、役場でも大体の職員が同じ 5 町内に住んでいるというのが信じられなかった。職場でも家に帰っても知り合いという中で、 道を歩けば知らない人でも挨拶できるし、方言も面白く、それは首都圏にはないもので、毎 日ぎすぎすした満員電車に揺られ、知らず知らずの間にストレスを感じていたので、こうい う所に来るとすごくほっとして、人の魅力を何十倍にも感じ、東京にはないものがここには 全てあると思った。 雨が降って寒かったとき、首都圏から来てくれた人に、地元の人が当たり前のように焚火 をしてくれた。特別なこととも思わずに、そこら辺の木を切って燃やしただけだったが、そ れにあたったおじさんは、たき火なんて何年振りだろうと言っていた。もしかすると都会か ら来たおじさんは、焚火にあたったことで、小さい頃のことやいろいろなことを思い出した のかもしれず、地元では当たり前のことが、外から来た人に気づきや感動を与えられるとい うのを直感的に感じた。 年に何度か久慈に来ているが、駐車場について不平不満は出ていないか。 〔回答:柏木さん〕駐車場の台数が少ないということが大きな課題である。バスの駐車場も台数 が少ない。かつてはこれくらいあれば回せたが、一度に8台、10台と来たときに、駐車場が パンクしてしまう。緊急雇用創出事業で職員を配置し誘導したりしていたが、今年度は削減 になったということで、そういった対応がなかなかできていない部分がある。旅行会社から は予約をもらうことで誘導できるが、一般のお客さんは予測ができず、常に満車状態となっ ている。街なかにも駐車場がないのが課題だと思っている。 ○佐々木(博)議員 日本全国で観光振興を一つの目玉に挙げていると思うが、一般受けするためにはクリアしていか なければいけない問題もあると思う。三陸の場合、素材そのものがおいしいし、内陸も含めて岩手 県の食材は一級品だと思っているが、素材だけでは勝負できないから何か手を加えて仕上げてあげ なければいけないし、お土産もこれはここだけのものだ、というものを作っていかなければいけな いと思う。それが観光を生業としていくには必要だと思う。 久慈地域が何を売りとしていくのか、例えば、お土産も何種類かあり、人によって推薦するもの が違うと思う。それをもう少し集約していくことが必要ではないかと思うがいかがか。 〔回答:中野さん〕以前、あまちゃん支援推進協議会で土産品の商談会を実施した。その際、下 宇坪さんに海鮮焼売を出してもらいバイヤーからは好評を得た。昨年5月15日に実施したが、 あまちゃん放送直後ということもあり、久慈に32社、54名にお越しいただき、土産品、特産 品の商談をした。出店した企業の半数以上が2、3件ずつ成約し、成果の上がった商談会で あった。 バイヤーの目を引いていたのは、この地域の独自性のあるもの、例えば方言を使った手ぬ ぐいなどが注目され成約に至っていた。ドラマに出ていたまめぶなどは当然であったが、そ れ以外の、一般にはなかなか目につきにくいような山形町の手づくり豆腐などにも足を止め る方が多かった。メジャーになったまめぶ、琥珀以外にも、掘り起こしが必要な観光資源が あると感じている。商談を通じて、ここでしか得られないものに関しては非常に興味を持た れると感じた。 〔回答:下宇坪さん〕種市の話をすると、ウニとほやは夏場のスポットの商品である。種市も久 慈も、ウニやほや以外にもすごくおいしい魚介類が獲れる。年中獲れるのはタコ、ホッケ、 6 ナメタガレイ、マコガレイ、ソイ、アイナメ、ヒラメ。夏場は本マグロ、サワラなども揚が るが、町内の地物を出す飲み屋や料理屋、宿泊施設ではウニとほやだけが売りになっている。 夏だけでなくその時季の海鮮丼など、季節を問わずお客さんを呼ばなければない。今だとタ ラも獲れるが、タラはフライだけでなくから揚げもおいしい。また、今の時期は空気も乾燥 しているので、薄く切って塩をして干してもおいしい。うちの店では、地元の魚の干物をゴ ールデンウィークに販売する。そういうオリジナル商品を作る余地がいっぱいあるが、宣伝 力がないので、これから宣伝力を上げていきたい。あと、リフレーミングという言葉が好き で、一つの枠にとらわれず、枠の外からものごとを見るようにしている。復興道路が7年後 に開通するが、親や年配の人たちは、道路ができれば種市に人が来なくなるとマイナスに考 えている。そうではなく、年中人が寄れるようなアクセスポイントになるように、役場や有 志で町を紹介していくことが大事だと思っている。 〔回答:上神田さん〕人と人とのつながりが一番大事だということを震災から学んだ。当時の漁 師たちの頑張りを見てきたが、大切な人や財産を失った状況でも決してあきらめない、また、 海を悪くいう人も一人もいない。そして、地域に先駆けて自分たち普代の漁師が漁業を復興 させていくという言葉を聞いたときに、その地域にかける思いに、私をはじめ青年部員みん なで共感し、それから、職業とか業種といったものを取り払い、お互いに良い協力関係を築 いてきている。 また、復興道路についてであるが、昨年10月に普代道路が開通した。その影響で商店街の 車通りが少なくなり、客足も遠のくばかりではないかと懸念し、それを防ぐために、開通後 の11月に冬の市を開催した。これは、商店街の国道45号を朝9時から昼2時まで全面封鎖し て出店したもので、1,500人の集客があり大盛況であった。今後も続けていきたいと思って いたが、国土交通省から、今回限りで、次の年からは許可できないという話があった。商店 街の魅力を向上させ、地域を盛り上げるイベントなので、規制ありきではなく、特例か何か でお願いできないかと思っている。 ○小西議員 皆さんが言われるように観光は人だと思う。地元発信のものがなければ人は寄ってこないと思う し、魅力的な人がいなければリピーターは来ないと思う。これから先、皆さんの後に続いて地域づ くりを盛り上げていってくれる人はいるのか。 〔回答:下舘一樹さん〕若い職員も何名かいるが、ほとんどが緊急雇用創出事業で雇用している 状況である。協会では受入れのコーディネートやインストラクターの手配、民泊の手配をし ているので、協会自体に残るお金も少ない。いい仕事だと思うが、これだけで食べていける かというと難しいところもあり、好きでないと続けていけないと思う。 〔回答:下舘進さん〕畜産業は若い人がいなく、今にも辞めそうな人が頑張って残っている。短 角牛肥育部会で部会長をやっているが、若い会員といっても私の下は40歳くらいでその下は いない。上は70代までいるため、なかなか意見を言える状況ではない中でやっている。どう やって魅力ある産業にしていくかということで、よそと同じことをやっていてはだめだと、 平成8年から国産の飼料だけ食べさせて短角牛を育てようと試験を始めた。失敗も続いたが、 平成19年に形ができて食べられる肉になった。いろいろ考えながら付加価値をつけて、山形 村短角牛というブランドを作って平成21年から売り出すことができた。短角牛は好評であっ たが、震災により、国産の飼料だけ食べさせるのは、放牧も行うため、原発事故の放射能の 影響が懸念されるということで、次の年には半分の値段で出さなければならない状況になっ 7 た。これは考え方で、国産だから危ない、外国産なら安全なのかということを言ってきて、 大分理解してもらえるようになったが、そうなるまでには時間がかかった。今は3年がたち、 元のようにとはいかないが、食べてくれる人が増えてきた。久慈は海も良いが山には短角牛 もいるので、使ってくれる所があればよいと思っている。首都圏の料理長などが、年5,6 件視察に来ている。牧場を見て、牛舎を見て、肉を食べて取引が始まる。赤み肉のおいしさ を理解してくれる人がたくさんいるが、供給地としてなかなか豊富に、満足に出せる状況に はなっていない。来る人はステーキが欲しいというが、嫌われているバラ肉などをうまく使 っていければよいと思う。あと、短角牛まんというのを地区のおばあさんたちが作って出し ている。連休などにはかなりのお客さんが買っていくようだ。 ○嵯峨議員 若い人たちが一生懸命取り組んでいることを頼もしく思うし、もっと拡大させなければとも思う が、エリアが小規模で、元々これだけの人が来ることを想定してない。1,000人来ようが1万人来 ようが、受け入れられる規模は限られているので、どうやって対応するかという課題にいつもぶつ かる。設備投資をしても回収できるか分からないが、対応しなければならない。雇用についても緊 急雇用の制度があるうちはよいかもしれないが、あくまでも緊急なのでおそらく縮小傾向になって いくと思う。国なり県なり市町村からいろんな支援を受けながら、その中で自立できるように力を 付けていくことが課題だと改めて感じた。今日は非常に良い機会であった。一緒に頑張っていきた い。 ○清水議員 皆さんが地域を思い、問題意識を持って行動されているのが伝わり、ありがたいと思うと同時に、 自分たちももっともっと頑張らなければいけないと思った。かつて、やませデザイン会議で一緒に 行動した際、当時の久慈広域6市町村で、ワーストワン以外で、オンリーワンでもベストワンでも ビッグワンでもスモールワンでも、それぞれの市町村に必ず何か1番があるのではないかというこ とで、日本一を探せという委員会を作ったことがあった。そういったことが、今年10月に行われる、 全国ほんもの体験フォーラムinいわてという、全国から注目されるようなプログラムにつながって いると思っている。この大きなイベントに向けて、更に連携しながら、地域の宝物を磨き上げ、情 報発信していただきたい。 ○名須川座長 水堀さんから久慈広域の観光振興策について、別の角度からお話をいただきたい。また、要望等 あれば具体的にお聞かせいただけるとありがたい。 〔回答:水堀さん〕うちも緊急雇用創出事業をいただき、平成25年度は18名で活動してきた。今 年度は5名減ということで、13名で活動することになっている。昨年は、おもてなしという ことで、バスに乗って久慈市内を案内したり、三陸鉄道のこたつ列車でなもみの実演をする 観光ボランティアの事務局や、大漁旗の旗振りなどを職員も一緒にやってきたが、今年度は 5名減ったため、昨年度同様の丁寧なおもてなしができるのかという点が心配なところ。昨 年と同じ、若しくはそれ以上のことをやっていかなければいけないという思いはあり、洋野 町のように、住民にお手伝いいただきながらできればよいと思っている。あと、宿泊施設の 問題があるが、それは地元が弱みだと認識して、キャパのある八戸市や宮古方面、田野畑村 の羅賀荘、二戸の宿泊施設などと連携して、日帰りでもいいので、一人でも多くの方をお迎 えするという意識が必要ではないかと思っている。これからもっと連携して、地域で売り込 んでいくことが必要ではないかと考えている。 8 ○名須川座長 三陸鉄道の広域的な取組やこれからの展開等についてお聞かせいただきたい。 〔回答:橋上さん〕明日から新しいお座敷列車を走らせることになったが、今日の日中の仕事は 観光案内の放送文を書くことだった。絣半纏(かすりはんてん)を着たアテンダントが社内 で放送文を読むが、久慈を出発して野田に着いたら、野田ではホタテを食べてください、の だ塩アイスクリームを食べてくださいとか、新しい取組として野田村では牡蠣(かき)にチ ャレンジしているということを放送文に入れた。普代では浜の活気を取り戻すために昆布プ ロジェクトを一生懸命頑張っているというお知らせを入れた。田野畑では、さっぱ船アドベ ンチャーの皆さんが力を合わせて立ち上がっている、宮古では是非浄土ヶ浜に行って、その あと魚菜市場で海のものを買って帰ってくださいという内容にした。今日来ている方々にも、 普段からお世話になっているので、三陸鉄道という名前を使い倒していただきたいと思って いる。柏木さんには旅行会社の誘致等で情報交換しながら頑張っていただいている。川代さ んにもお世話になっており、下館一樹さんには、教育旅行で三陸鉄道の震災学習列車と合わ せて民泊につなげる取組をやっている。また5月6月は修学旅行対応で忙しくなると思うが、 三陸鉄道も是非一緒に進めさせていただきたいと思っている。中野さんにはあまちゃん関係 でもお世話になった。久慈琥珀ともずっと連携させていただいている。洋野町については、 宮古から北上してくるときに洋野町のほやを是非食べて帰ってくださいということを放送 文に入れた。上神田さんには普代の三陸鉄道を支援するイベントで、三陸鉄道普代朝市を長 い年月やらせていただいているが、普代のにぎわい創出、三陸鉄道沿線のにぎわい創出とい うことで、ずっとリーダー的役割を果たしていただいている。今日来ていただいている方々 は、連携を取りながら陸中海岸北部の観光のために頑張っている方々なので、ますます力を 合わせ、三陸鉄道も含めて、地域の復興の一助になれるように頑張っていきたい。 ○名須川座長 琥珀親善大使としての活動もされているようだが、どうやって、より一層琥珀を全国に広めてい くのかお聞かせいただきたい。 〔回答:工藤さん〕三陸ジオパークが認定されたことから、琥珀だけではなく三陸ジオパークの 紹介も兼ねて活動していくことになると思う。ジオパークのガイドとしても活躍できるよう に、琥珀だけではなく様々取り入れながら、今後いろんな方と交流できれば良いと思ってい る。琥珀については、あまちゃんのおかげで全国の人に知っていただいた状況なので、これ を機会にあまちゃんの枠を越えて、純粋に琥珀に興味を持ってもらえるようにやっていきた い。ジオパークの視点から、地元の琥珀の歴史を中心に紹介をしていきたいと考えている。 琥珀は戦時中に軍事物資としてかなり大量に採られたという歴史があるが、久慈地方では、 宝飾品としてのロマンだけではなく、時代背景などもあって掘られていた。当時の状況を知 っている人も数少なくなってきているので、歴史が風化しないうちに、久慈地方の歴史を認 識できるような場を博物館として提供していきたいと考えている。市内にはかつて琥珀を採 掘していたというところが残されていて、見ることもできるので、今後いろんな団体と協力 しながら、一般の人に見てもらうことも考えていけたらよいと思っている。 ○伊藤議員 今日いろいろな話を聞いて、我が岩手の三陸も確実に良い方向に変わってきていると思っている。 9 ○名須川座長 最後に話しておきたい、要望しておきたいという方がいらっしゃればお話しいただきたい。 〔上神田さん〕下舘進さんからも話があったが、畜産農家からすれば牛が高く売れることはいい ことで、消費者にとっては牛肉を安く買えることがいいことで、肉屋はその中間にいるが、 命を生産している畜産農家を守ることが、一番大事なことだと思っている。もし、TPPで 畜産農家に悪影響が出るようなことになったときには、県議会でいち早く措置をしてもらっ て、後継者が少ない中で頑張っている畜産農家を素早い対応で守ってもらいたい。 〔下舘一樹さん〕今、教育旅行の民泊は、市町村や市町村が関わるコーディネート組織を経由す れば宿泊体験として泊めても良いという県の指針の下に受け入れていると思うが、そうなる と一般のお客さんは泊まれない状況なので、何とか規制緩和をしていただきたい。 ◆ 閉会 ○名須川座長 本日は遅くまで、大変貴重な御意見や日頃の活動についてのお話をいただき大変感謝している。 本日出された意見は全議員で情報共有し、今後の議会活動に生かしていくことから、これからも県 議会に対する意見や提言があれば、地元の県議会議員あるいは議会事務局までお寄せいただきたい。 これで終わりということにはしたくないので、個人的にでもいろいろなつながりを持ちながら、 今後も久慈地域の振興に携わっていきたいと思っており、その節はよろしくお願いしたい。 以上をもって意見交換会を終了させていただく。本日は参加していただき感謝する。 10