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1月号 - ジュンク堂書店
I S S N 0914−3157 2013 . 1月号 2013年1月5日発行 ︵毎月1回5日発行︶ 通巻 号 昭和 年7月 日第三種郵便物認可 410 ほんのしるべ 61 15 世界の本屋さん vol.13 エストニア・タリン アポロ書店 人︶ 。バルト三国で一番北に位置している。 海道の六十%︶ 、首都タリン︵同三十九万 エストニア︵人口一三五万人、面積北 L字型で、短い部分は文具とこどもの本 二二〇誌をしっかり売っていた。一階は あるが、アポロ書店は一階壁面十二段に オスクかスーパーで売られるのが主流で ニーギ書店そっくりであった。雑誌はキ ノセ事務所 能勢 仁 タリンには、アポロ書店とラフヴァラー い売場であった。二階は実用書売場と専 ガイドブックコーナーは旅行者を離さな 売場であった。ぬいぐるみ、おもちゃを ルブルグから列車で三時間。ロシア支配 門書売場。料理書の平台、棚の面展示は アポロ書店は市内繁華街のビル通りに ストゥ書店という立派な書店がある。 が長かったので、店内にその余韻を残し 素晴らしかった。二階の奥はデラックス 一階中央の絵葉書、エストニア写真集、 て い る。 店 舗 は 一、二 階、 喫 茶 で 二 二 〇 喫茶室で、本の選択や購入で疲れた人が 使った演出で売場を引き立たせていた。 坪位である。一階のペーパーバックスの 憩うに相応しい雰囲気であった。 ある。最高の立地にある、タリンを代表 小説類、二階の実用書にはロシア語コー する書店である。タリンはサンクトペテ ナ ー が あ り、 さ な が ら ロ シ ア の ド ム ク (表紙題字・陳舜臣) 1月 光は明るくても冷気は変わらず頬に 切 り つ け て き た。 密 集 し た 家 々 の 軒 先 か ら た く さ ん 垂 れ て い る、 内 側 に 水 泡 を 浮 か べ た つ ら ら が 溶 け 始 め、 世界の本屋さん 月 タ 書 1 朽木 祥 2 著書を語る ○ ﹁﹁失われた声﹂を聴くということ﹂ ﹁書標﹂歳時記 書標・書評 ﹃真理と方法Ⅲ﹄ほか 科 学 コ ン ピ ュ ー 学 学 医 特集 想像を超える奇妙な生命 今月のおすすめ 会 科 社 自 然 銀色に輝く滴をたえずこぼしている。 人 文 科 学 文 学 ・ 文 芸 術 文 庫 ・ 新 書 芸 用 書 地 図 ・ 旅 行 書 実 童 書 語 学 ・ 辞 典 児 往復書簡をはじめませんか 洋書の話 パート8 読者から 木村紅美著 ﹃夜の隅のアトリエ﹄︵文藝春秋︶より インフォメーション −1− 4 1 13 本屋うらばなし ﹁略称あれこれ﹂ ※表示価格はすべて税込価格です。 24 23 21 19 17 14 6 25 23 22 20 18 16 31 30 28 26 489 著書を語る ○ ︱︱ ﹁失われた声﹂を聴くということ 私の育った広島の町には不思議な気配が残っていた。陽炎の 立つ土手道を連なって歩いていく人びとの影。きらめく川面を 埋め尽くす人びとの幻。見えるはずはなかったのに、やはり見 ていたのだと思う。 帰ってこなかった人びとのことを、日々のあれこれとともに 絶えず耳にした。うっかり聞いていると、まるで今朝出かけて いったばかりの母親のこと、今にも帰ってくるはずの子どもの ことかと思わされた。 あの日、何万人もの人びとが忽然と姿を消してしまったので、 広島にはその気配や記憶が抜きがたく残っていたということだ ろうか。 連作集﹃八月の光﹄︵偕成社刊︶では、広島のあの日とその 後をめぐる三つの物語を書いた。物語はフィクションだが、ほ 朽木 祥 桜の下を乳母車を押しながらそぞろ歩く、花に見とれて我が を押して帰ってきてしまったのだ。 子も忘れてしまう︱︱そんなのんびりした日常が、そして祖母 のようにふわふわ生きて天寿を全うできたはずの人びとの命 それほどの凄まじい暴力や犠牲を描くことなどできるのだろ が、一発の爆弾によって鉈で落としたように断ち切られた。 うか。証言を聞けば聞くほど、記録を読めば読むほど、逆にそ つまるところ、ヒロシマという事件の巨大さを伝えるために れを伝える言葉を失ってしまう気がした。 は、細部の一つ一つを物語ることから始めるしかないのかもし れない、あの町に残っていた気配に目をこらし、〝失われた声〟 に耳をすませることによって。そう思い至ったとき、ようやく に残る石段の人影によってよく知られている。実は、石段で亡 二つ目の﹁石の記憶﹂のエピソードは、広島平和記念資料館 かたちにできたのが﹁雛の顔﹂だった。 一つ目の﹁雛の顔﹂に登場する〝真知子〟は、祖母がモデル くなった母とその娘〝光子〟は縁戚にあたる。ただし母子の日 とんどの登場人物には複数のモデルがある。 の一人である。祖母は入市被曝はしたものの、物語とは違って 常や父親の話はフィクションである。 の話になるとふっと表情が和み﹁やさしかった母を思い出さん 私の親しんだ〝光子〟は気丈な働き者だが、亡くなった母上 原爆病を乗り越え、子どものように気ままな人生を八十まで生 きた。もう一つ違うのは、桜の下に乳母車を忘れてきてしまう 場面である。事実は物語よりさらに滑稽で、他人の子の乳母車 −2− 489 人間の影が石段に焼きつけられるなど想像するのも恐ろしい 日はない﹂と繰り返された。 が、母を捜しあぐねた娘にとってはこの上なく慕わしい影だっ と考えてきたが、一つの試みとして﹁水の緘黙﹂は一人称で書 いて、できるだけ固有名詞を使わなかった。個を普遍に繋ぎた たのは戦後ずいぶん経ってのことだった。石段の影を自分の家 るのだ。原爆投下は、核がどれほど巨大な災厄をもたらしうる 責任、被害者、加害者を問う文脈とは別の、普遍的な意味があ 広島に起きたことは、広島だけに起きたことではない。戦争 かったのである。 族に違いないと信じた人びとは他にもいたからである。大切な ︿3・ かを人類に初めて知らしめた事件だったからである。 たろう。しかし物語とは違って、影の主が亡き母らしいとわかっ 人をどんな姿でもいい、と捜し求めた人びとが。この人びとも ﹀以来、あえて説明するまでもなくなったが、今日、 また、もうひとりの〝光子〟なのである。 でもある。主人公の少年につきまとうのは、あの日彼が見捨て 〝影〟は、連作最後の﹁水の緘黙﹂における重要なモチーフ ﹃八月の光﹄で書いたのは、たった三つの物語に過ぎないが、 つつある。主人公の少年少女たちは、未来の私たちでもある。 ヒロシマが様々にかたちを変えて私たちの生きる世界を脅かし この本を手にとって下さる方々に、どうかヒロシマの〝失われ 『八月の光』 偕成社・1,050 円 ヒロシマでも阪神でもそして東北でも、生き残った人びとに た声〟が届きますようにと心から祈っている。 −3− 11 て逃げた人びとの影だ。 は、それこそ影のようにまとわりつく苦しみがある。﹁なぜ生 この問いが理不尽であることは、例えば原爆投下直後の状況 き残ったのか。なぜ救えなかったのか﹂という問いが。 を 見 る だ け で わ か る。 キ ノ コ 雲 の 下、 爆 心 地 で は 地 表 温 度 が 四千度にも達し、数万の人びとが即死、半径二キロ以内では建 物が燃え上がりまた倒壊した。これほどの惨状の中では、他者 ﹀でも言えただろう。 を救うことなどとうてい不可能だったのだ。同じことが、阪神 大震災や、︿3・ えていくには、どうしたらいいのだろう。そのことを私はずっ 〝失われた声〟に、生き残った人びととともに耳を傾け、伝 き続けているからだ。重く深い共感共苦をもって。 ないことによって、記憶を反芻することによって、その声を聴 びとの苦しみは深いところで通底する。死者たちを決して忘れ だが、戦争被害であれ人災であれ天災であれ、生き残った人 11 ﹃真理と方法Ⅲ﹄ ハンス・ゲオルク・ガダマー著 法政大学出版局・三九九〇円 ガ ダ マ ー は、 有 限 性 を 人 間 の 本 質 と 捉 子の一部となり教壇の前を揺れて見せた 基本原理を教えるために、自ら巨大な振り 周期は一定であるというニュートン力学の う。例えば錘の重量にかかわらず振り子の え る。 人 は み な、 あ る 時 代 の あ る 期 間 に、 り、位置エネルギーの説明では鉄球つきの えているのである。〟 ある状況の中でしか生きることができな 振り子を顔ぎりぎりで離して戻ってきても そうして、伝承に養われ、かつ伝承と距 は、手のひらを上に向けて、そこに一辺一 い。そのことが、言語の多様性の源であり、 離を取りながら、人は世界に向き合う=﹁世 センチメートルの正方形が大気圏まである ぶつからない事を証明したりだ︵ぜひwe なった訳業の完成を言祝ぎながら、四半世 界 を も つ ﹂。 世 か ら 世 へ、 人 か ら 人 へ と 伝 と す る と︵ 約 一 五 〇 キ ロ メ ー ト ル ︶、 そ の 言語を文字に固定して後世に伝えていく 紀前に翻訳刊行された第一巻から全体を眺 承された書物の﹁心のなかでの上演﹂であ 行為=伝承の動機である。 めわたしてみると、美学からはじまる構成 る読書という行為の歓びの源泉が、ここに 二十世紀を代表する哲学書の、ようやく そのものが、ガダマー哲学の独自性を体現 る と 一 五 〇 キ ロ グ ラ ム も の 重 さ に な る が、 の手のひらの面積が一五〇平方センチとす またわれわれを取り巻く空気の説明で bでみてもらいたい︶。 していることがわかる。 重さは一キログラムになる。標準的な男性 い っ と う 最 初 に 演 劇・ 音 楽 と い う 再 生 ある。 ︵フ︶ 芸 術 を 取 り 上 げ る こ と に よ っ て、 創 造 的 なぜ私たちが軽々と支えられるのか。それ ﹃これが物理学だ ! は手の甲にも上向きに同じ圧力がかかって な再生活動の自由を与え作品の同一性と マサチューセッツ工科大学﹁感動﹂講義﹄ 受 け て 私 た ち の 手 は 砕 け な い の か と 続 く。 連続性を未来に向けて開いておくそのあ 文藝春秋・一八九〇円 全 十 五 講 の 内、 第 一 講 ∼ 第 九 講 ま で は 物 本 書︵ 訳 書 第 三 巻 ︶ で 論 じ ら れ る、﹁ 解 るからだ。 ヒットを記録している。 三〇〇〇人の視聴者を集め、年間一〇〇万 している無料講義の一つで、一日あたり約 年からMITが無料でインターネット公開 れている。 あるX線天文学についての講義がまとめら 十四講ではルーウィン教授の専門分野で 理 学 の 基 本 的 な 法 則 に つ い て、 第 十 講 ∼ いるからなのだ。ではなぜ、そんな圧力を MIT︵マサチューセッツ工科大学︶の ウォルター・ルーウィン著 聖書読解︵説教︶、法解釈︵判決︶、道徳的 名物教授の講義録だ。この講義は二〇〇一 り 方 が、 続 け て 論 じ ら れ る 歴 史 学 的 思 考、 てそれらの具体的な現場が重視されてい 実践等においても﹁範型﹂となり、一貫 し 釈学的経験の媒体﹂として言語また、言語 に、いきなり方程式を用いるのではなく受 な講義に触れて欲しい。 ︵太︶ 本書でルーウィン教授のエネルギッシュ の形式ではなく、終始、対話という言語の 講生達自身の世界になじみのあるものを使 ルーウィン教授は物理の世界を語るとき 〝 言 語 は 対 話 の な か で こ そ、 す な わ ち 了 実践の場から、考え抜かれる。 解の遂行のなかではじめて、本来の存在を −4− らすのか、何故その街なのか、何故その国 我々は忘れがちである。何故その場所で暮 小野 モ・クシュラ・一八九〇円 博著 人 は 生 き る 場 所 を 選 べ る と い う こ と を、 なんとなくいるこの場所で、繰り返される しかしそれでも、私やほとんどの人は、今 け る こ と が 出 来 た 著 者 を 羨 ま し く も 思 う。 アムステルダムというユートピアを見つ てしまった時代があったことである。見え るいは研究対象が未熟なためだと考えられ であるため、その事実が受け入れ難い、あ 余りにも学者の知る文化とかけ離れた結果 確 か な 事 実 を 指 し 示 す の に も か か わ ら ず、 が次々と挙げられる。面白いのは、調査が 文法に代表される考え方からすれば前者と なのか。問われて即座に答えが出る人は稀 不快感とともに生きていくのだろう。世界 ることが一緒なのに、言語による表現が異 ﹃ 世界は小さな祝祭であふれている﹄ だろう。多くの人はなじみのある場所にい は 小 さ な 祝 祭 に あ ふ れ て い る と い う な ら、 なるだけで対象を未熟や異端と捉えてしま いうことになるのだが、それに対する反証 つく。 きっとここにもあるだろうから。その証拠 う の は、 文 化 に と っ て 言 語 が 普 遍 で あ り、 の穏やかで精神的に豊かな生活と、国の有 この本の著者は、明確な意思を持って沢 に、著者が写真に切り取る街は、日本でも、 り様は我々に安堵をもたらしてくれる。 山の選択肢の中から選びとり、日本を離れ アムステルダムでも、同じような温かさを いう考えに囚われ過ぎているからだ。日本 言語による世界の切り分け方もまた普遍と てオランダのアムステルダムで生きていく 漂わせている。 語を母語とする者にとって、英語の前置詞 として描いていた。今作では、その旅の結 も歪みが生じている日本とを繋ぎ合うもの 議ではあったが、当時は﹁そんな人もいる 聞いたことがある。その感覚は確かに不思 〝虹の色が四色に見える〟人たちの話を ガイ・ドイッチャー著 椋田直子訳 インターシフト・二五二〇円 性がある。そんな寛容さを言語は持ち合わ 変遷するに従って言語もまた変遷する可能 文化が言語を産み出すのであれば、文化が は捗らないだろう。 形であることをまずは受け入れなくて学習 ︵大︶ ことを選んだ。 前作﹃ライン・オン・ジ・アース﹄ ︵エディ マン・二九四〇円︶では、コソボやアフガ 果 手 に 入 れ た 安 住 の 地 ア ム ス テ ル ダ ム と、 んだな﹂程度の鈍い感想しか持たなかった。 や、欧州諸語の性文法は飲み込み難い感覚 相変わらずの日本とが、対比となって語ら この本はこれに似た不思議に取り憑かれた せているのに、ことさらに﹁昔はよかった﹂ ﹃言語が違えば、 世界も違って見えるわけ﹄ れている。東京での暮らしで著者が感じた とばかりに、母語の乱れに警鐘を鳴らすの か、それとも文化の産物なのか、という共 彼らの研究には、言語は自然の産物なの ︵統︶ 代日本語は大きく変わっているというのに。 はいかがなものか。平安時代からすれば現 こ と は 他 言 語 比 較 に 限 っ た 話 で も な い。 であるが、これらは彼らの文化が要求した 理不尽さや、破裂しそうになった日本の資 ︵ 著 者 を 含 む ︶ 学 者 諸 氏 が、 解 明 の 鍵 を 言 ニスタンなど、戦地、廃地を巡り、国家と 本主義社会の悪意のようなものに、読者は 語に求めて奔走する物語である。 通した大題目がある。チョムスキーの普遍 しての秩序が壊れかけた国と、平和ながら 胃をえぐられる思いをするだろう。彼の写 混沌とした都会に住む者の代弁者となって 真家としての視線はときに文学性を漂わせ、 いる。そして、対照的なアムステルダムで −5− いるかも知れない生物 ながら、捕獲できないため記録に残らない メートル、それ以上のものが確認されてい たちの﹁想像を超える生命﹂はまだまだ地 そう考えると、未確認生物のような、私 ケースがあるようだ。 二〇一二年十一月一日の朝日新聞に、ロ シアの西シベリア・ケメロボ州でイエティ 球上に存在しているのかもしれない。 ︵雪男︶であるかもしれない動物の体毛が 発見され、話題を呼んでいるという記事を 記事を読んで純粋に凄い発見だと思った。 い。それでも興味は大いにある。この新聞 が 親 し み や す く、 真 面 目 な 学 術 書 で は な い 書籍である。ユーモアを交えた軽妙な文体 七三五円︶は、UMAを大真面目に扱った ﹃幻の動物たち 上・下﹄︵ジャン・ジャッ ク・ バ ル ロ ワ 著・ ハ ヤ カ ワ 文 庫 N F・ 各 たいと思う。 まずはそんな生物について紹介していき 見た。イエティとは全身が毛に覆われ、直 立歩行すると言われている。ネッシーやツ チノコと同じくいわゆるUMA︵未確認動 未知動物学というのは実在する学問で学 正直私はこの未確認動物を信じていな 会も開かれているらしい。昆虫や小動物は める。上下二巻の大作で、豊富な目撃例を ︵文系の人にもおすすめ︶だけに楽しく読 物=UFOの動物版︶である。 今でも新種の発見がされている。そういう ﹁ 発 見 ﹂ に は な ら な い。 要 す る に 目 の 前 に 多くあるものの、未だに実在を確認できて 尾を持ち四本脚とされている。目撃例は数 報告される生物だ。恐竜のように長い首と の熱帯雨林で語りつがれ、時には目撃談も をご存知だろうか? アフリカ大陸中央部 ところでムベンベと呼ばれているUMA 充実した内容となっている。 紹介しつつ実在の可能性を探る、なかなか 意味ではまだ地球上には未知の生物はたく 基本的に﹁発見﹂とは見ただけではなく、 さんいるはずだ。 公式に発表し記録されて、初めて認められ るものらしい。 どれだけ大きな未知生物がいても、それを ということは、捕獲し、記録しなければ 見ただけでは﹁発見﹂ではないということ いない。 高 野 秀 行 著﹃ 幻 獣 ム ベ ン ベ を 追 え ﹄︵ 集 だ。例えば海では考えられないほど巨大な 生 物 が 生 息 し、 イ カ や タ コ に な る と 数 十 −6− 円︶やジョアン・フォンクベルタ、 ペレ・フォ 江本創﹃幻獣標本箱﹄ ︵風濤社・二一〇〇 も 似 つ か な い 生 き 物 た ち。 信 じ が た い が、 なった一冊である。現在のいかなる生物と ア爆発﹂について広く知られるきっかけに だ。生物の進化が一気に進んだ﹁カンブリ ヴ ン・ ジ ェ イ・ グ ー ル ド 著﹃ ワ ン ダ フ ル・ ル ミ ゲ ー ラ﹃ 秘 密 の 動 物 誌 ﹄︵ ち く ま 学 芸 化石として出てきている以上存在したにち ライフ﹄︵ハヤカワ文庫NF・一一一三円︶ んなことを考えるのか? しかし彼らは考 文庫・一五七五円︶は写真が豊富で目で楽 えた生物の可能性が隠されているような気 えて実行に移し、そしてそれをやり遂げて しめるものだ。これらに記されているのは がいない。 英社文庫・五四〇円︶では、そのムベンベ しまうから素晴らしい。本気で情熱をかけ 全てが架空のはず、しかし写真が載ってい がする作品だ。 努力する姿には脱帽する。 る分、本当に存在しているのか? と一瞬 ア フ リ カ ま で 怪 獣 を 探 し に い く。 誰 が そ 全くの架空の生物もまた想像を超える生 を早稲田大学探検部が探しに行く。 物である。その架空生物をあたかも事実で 一方、今は存在しないものの、かつては 図 と と も に 紹 介 し て い る。﹃ 新 版 絶滅哺 乳 類 図 鑑 ﹄︵ 丸 善 出 版・ 冨 田 幸 光 著・ を生命の歴史をたどりながら、詳細な復元 が 舞 台 だ。 人 類 滅 亡 後 生 態 系 が ど う な る 二五二〇円︶はどちらも人類滅亡後の地球 イ ズ・ ワ イ ル ド ﹄︵ ダ イ ヤ モ ン ド 社・ ︵ダイヤモンド社・品切れ︶、 ﹃フューチャー・ ドゥーガル・ディクソン﹃アフターマン﹄ ﹃絶滅した奇妙な動物﹄︵ブックマン社・ 疑ってしまうほど。 か? 想像と知恵で予測し、実にリアルに 全 二 巻・ 川 崎 悟 司 著・ 各 一 五 七 五 円 ︶ も、 あるかのような文体で紹介している書籍が その生活様式を解説している。この未来の かつて地球に生息していた奇妙な動物たち 確かに存在していた古代の生物はどんな姿 −7− ﹃鼻行類﹄︵平凡社ライブラリー・ハラルト・ 生命を予測した二冊を読み比べるとなお楽 核実験の影響で海中へ沈んだハイアイア 一二六〇〇円︶は約六五〇〇万年前に生息 れている。今はもう存在しないが、私たち だったろうか。化石の中からは、現在の我々 人間の祖先である哺乳類の進化の歴史を紹 には想像できない不思議な生物が数多く発 五億年前の化石から発見された﹁奇妙奇 イ群島で観察された奇妙な生き物。それは 天烈動物﹂について書かれたのが、スティー 鼻で歩いたり、獲物を狩ったりする新種の な が ら 書 き 上 げ た よ う な 描 写 で、 図・ 表・ し、絶滅してしまった哺乳類について書か 注など完備されており、人間の想像力を超 見されている。 シュテュンプケ著・八四〇円︶だ。 しめるだろう。 『ワンダフル・ライフ』 哺乳類だった⋮⋮と、まるで実物を観察し 『鼻行類』 ン科学誌プロス・バイオロジーに発表され 生物が存在するという論文が、米オンライ 昨年八月、地球上には八七〇万種以上の へんないきもの と思う。 も﹁いる﹂と思ったほうが夢があっていい る生物たち。たとえ写真が作り物だとして どがあって、﹁いる﹂﹁いない﹂と論争され 現存しないながらも写真や足跡、化石な 物について書かれた日本初のクマムシ本が とができる﹂という。そんな地球最強微生 をはるかに超える放射線にさえも耐えるこ にも、真空にも、乾燥にも、人間の致死量 の 高 熱 に も 絶 対 零 度︵ マ イ ナ ス 二 七 三 度 ︶ 印 象 を 残 す の が、 ク マ ム シ だ。﹁ 一 五 〇 度 ﹃へんないきもの﹄の中でも特に強烈な 解説と白黒イラストが味わい深い。 ないような生物まで。ユーモアたっぷりの みある生物の裏の顔から、存在自体ありえ ピーが、そのまま読後の感想になる。親し 円︶ 。 ﹁お前ら何なんだ﹂という背表紙のコ またへんないきもの﹄ ︵バジリコ・一五七五 この不思議な生物に興味を持つ方も少なく 要 な 役 割 を 果 た し て い る。 本 書 を 読 ん で、 ネズミ﹂として登場し、物語の鍵を握る重 の作品の中で、ハダカデバネズミは﹁バケ が発達した遠い未来の日本を舞台とするこ 七一〇∼八三〇円︶。﹁呪術﹂と呼ばれる力 介﹃ 新 世 界 よ り ﹄︵ 講 談 社 文 庫・ 全 三 冊・ 在である。アニメ化もされて話題の貴志祐 デバネズミは小説の世界でも異彩を放つ存 の行動は極めて多彩である。また、ハダカ となって保温につとめる係がいたりと、そ り、女王デバの新生児のために﹁肉ぶとん﹂ バに威嚇されて﹁服従のポーズ﹂をとった との出会いを求め⋮⋮地球の果てまで行っ 居ても立ってもいられない。まだ見ぬ生物 生物が何百万種といるのだ ! そう思うと まだである。地球上には、自分の知らない 生物との対面に驚いている程度では、まだ てきたのだろう。動物園や植物園で珍しい 私はこれまで、どれだけの生物に出会っ な が ら、 女 王 を 頂 点 と す る 階 級 社 会 や、 ある。名前と容姿のインパクトもさること 白 い。 何 と い っ て も、﹁ 裸・ 出 歯・ 鼠 ﹂ で 田重人、岡ノ谷一夫著・一五七五円︶も面 カデバネズミ︱女王・兵隊・ふとん係﹄︵吉 また、同じ岩波科学ライブラリーの﹃ハダ の検証まで、クマムシファン垂涎の一冊だ。 始まるクマムシ研究史、数々の不死身伝説 る。クマムシ飼育の実際から、十八世紀に イブラリー・鈴木忠著・一四七〇円︶であ 究者の情熱に驚かされる。 遺すことへの情熱と、その謎を解明する研 すると理に適ったものであり、生物の種を 数々を紹介。それらは進化という観点から 明け暮れるアメフラシなど、奇怪な生態の や、化学物質の影響で不特定多数と交尾に 分でちぎりとって雌を追いかける雄クモ 円︶がある。二つある生殖器のひとつを自 ︵飛鳥新社・パット・センソン著・一九九五 ﹃見せびらかすイルカ、おいしそうなアリ﹄ として、カナダのラジオ番組を書籍化した 生物の不思議な生態について書かれた本 −8− 介している。 た。八七〇万種以上の生物が、それぞれ違っ ﹃クマムシ てみる訳にもいかないので、まずは本棚の 十七種類もの声を使い分けるコミュニケー ないだろう。 た姿形で、異なる生活を営んでいる。想像 前へ。 ションなど、その生態も興味深い。女王デ ︱小さな怪物﹄︵岩波科学ラ もできない規模である。 早川いくを著の、その名もずばり﹃へんな こ の テ ー マ で ま ず 読 ん で お き た い の は、 いきもの﹄ ︵バジリコ・一五七五円︶ ﹃また ?! で暮らす魚など、陸上で生きる私達には想 オス、メスの体内で養われるジゴロ、肛門 議なエピソードを紹介している。出産する 二三一〇円︶は、海の生物たちの摩訶不思 ︵インターシフト・ユージン・カプラン著・ ︵パイインターナショナル・一四七〇円︶は、 く 光 る ク ラ ゲ の 表 紙 が 目 印 の﹃ 深 海 世 界 ﹄ 海へ潜るために欠かせない一冊である。赤 う な 形 態 と な っ た の か が 理 解 し や す く、 深 を読んでおきたい。深海生物がなぜそのよ ブ リ ッ シ ン グ・ 北 村 雄 一 著・ 一 七 〇 〇 円 ︶ 知 ら な い 暗 黒 世 界 の 住 人 た ち ﹄︵ ネ コ・ パ 像もできないライフスタイルの数々。ちな ど の ペ ー ジ も 息 を 呑 む ほ ど 美 し く、 幻 想 的 ﹃奇妙でセクシーな海の生きものたち﹄ み に 本 書 は、﹃ フ ュ ー チ ャ ー・ イ ズ・ ワ イ だ。直接目にする機会のない色鮮やかな深 この章の冒頭で挙げた論文によると、陸 の生物の約八六パーセント、海の生物の約 九一パーセントが、まだ見つかっていない ルド﹄を手掛けた土屋晶子氏による翻訳と 小檜山賢二氏による写真集﹃象虫︱マイ 海生物の姿は、ただただ圧巻である。 計算になるのだという。﹁へんないきもの﹂ 海 は﹁ へ ん な い き も の ﹂ の 宝 庫 で あ る。 の世界には、まだまだ終わりがなさそうだ。 いうことでも注目の一冊である。 ク ロ プ レ ゼ ン ス ﹄︵ 出 版 芸 術 社・ 二 九 四 〇 ふしぎな植物 円 ︶、﹃ 葉 虫 ︱ マ イ ク ロ プ レ ゼ ン ス 2﹄︵ 出 ふしぎな生命。それは私たちの身の周り その代表格と言えるのが、海の宝石とも呼 二 ・ 九四〇円︶も、肉眼では見る ことのできない生物の姿を堪能できる。虫 に育つ、植物もそうである。一年で最も寒 ば れ る ウ ミ ウ シ。﹃ ウ ミ ウ シ ︱ 不 思 議 な い の表皮を覆う毛や、複眼の粒までがくっき い今の季節、草花も枯れているばかりかと 版芸術社 日本初のウミウシ写真集である。著者の今 りと写っている。著者の解説にもあるよう きもの﹄︵二見書房・一四七〇円︶﹃かわい 本淳氏は元システムエンジニアで、ウミウ に、その姿はまるで工芸品のようだ。 いウミウシ﹄︵二見書房・一四七〇円︶は、 シに魅せられて夫婦で奄美大島に移住した しているのか、不思議に思わずにはいられ かに、どうしてこんなにも美しい色や形を まると、人生が変わってしまうようだ。確 で見る昆虫の姿は想像を超えた魅力に溢 というほど美しく見せている。電子顕微鏡 悪いと思われがちな虫の姿を、これでもか 西永奨著・一六八〇円︶も、日頃は気持ち 同じく﹃小さなモンスターたち﹄︵洋泉社・ 意 外、 見 た こ と も な い 花 や 奇 妙 な 雑 草 に、 ひ一度植物を意識してみてほしい。意外や いている通勤路や自宅の庭など、皆様もぜ 彩 っ て い る こ と に 気 づ く。 普 段 何 気 な く 歩 思いきや、サザンカやスイセンなどが冬を という経歴の持ち主。ウミウシの魅力には ない。 える。しかし本当のふしぎはもっともっと ただ歩くだけでも、ふしぎな植物と出会 きっとたくさん出会えるだろう。 ズをとっているようにも見える。 れ、まるで、カメラの前でとっておきのポー 海の不思議といえば、地球最後の秘境と いわれる深海世界も忘れてはならないだろ う。まずは﹃深海生物ファイル︱あなたの −9− 『小さなモンスターたち』 六三〇〇円︶は、植物の種子を顕微鏡で細 ﹃世界で一番美しい種子図鑑﹄︵創元社・ 超えた植物があちこちに存在していた ! 一二六〇円︶は、近頃インテリアとしても 植 物 図 鑑 ﹄︵ 日 東 書 院・ 松 山 美 紗 著・ を し た 花 束 そ の も の と も い え よ う。﹃ 多 肉 のない花が色鮮やかに写し出され、本の形 は世界中の花々を写した作品集。見たこと ︱植 Encyclopedia of Flowers 物 図 鑑 ﹄︵ 青 幻 舎・ 東 信 著・ 三 三 六 〇 円 ︶ である。 ﹃地球の長い午後﹄︵ブライアン・W・ り、人類を襲い始める︱︱これぞ食人植物 フィドという三本足の植物が野放しにな ド時代﹄︵創元SF文庫・九八七円︶。トリ ジョン・ウィンダムのSF作品﹃トリフィ 本の中に存在している。 不 安 と 興 奮 が 襲 っ て く る が、 そ れ も ま た、 なってしまうのではないだろうか。そんな 部まで映し出した写真と、エッセイが綴ら 注目されているサボテンやアロエなどの多 オ ー ル デ ィ ス 著・ ハ ヤ カ ワ 文 庫 S F・ に も あ る。﹃ れたまさに美しい図鑑である。普段から種 肉植物をたっぷり紹介した一冊。かわいさ 凄いのである。本の中には、我々が普段見 子自体を見ることもあまりないうえに、肉 とグロテスクさの二面性をあわせ持った多 いつくされ、人類は支配者たる植物の影で ようと思っても見られないような、想像を 眼 で 見 る の と は ま る で 別 物 の よ う な 種 子。 七九八円︶は、遥か未来の地球が巨木に覆 細々と生きていくSF名作。現実では信じ 動き出す植物が登場し、映画化もされた それは、新しい生命を誕生させるのに必要 肉植物は、まさに奇妙な植物だ。 他にも、土や根を必要とせず、空気中の アサガオやソクラテスを殺したドクニンジ 一八九〇円︶は、幻覚をひきおこす砂漠の − 10 − な遺伝子情報を納めている、種子たちの真 の姿だ。同じく﹃世界で一番美しい花粉図 られない世界だが、植物の恐るべき生命力 は、一瞬ひょっとしたらと思わせる。池上 水分を吸い上げて成長するエアープランツ 取り上げた﹃ひみつの植物﹄︵WAVE出版・ 永一﹃シャングリ・ラ 上・下﹄︵角川文庫・ 各七八〇円︶には、地上を覆い尽くす勢い や、緑のガラス細工のようなアロエなどを 藤 田 雅 矢 著・ 一 四 七 〇 円 ︶ も お も し ろ い。 で繁殖し、弾丸のように種子を発射する樹 番美しい果実図鑑﹄︵創元社・六三〇〇円︶ もそうである。特に花粉の方は、毎年花粉 時折あらわれる植物調理などのコラムも読 鑑 ﹄︵ 創 元 社・ 六 三 〇 〇 円 ︶ や﹃ 世 界 で 一 症に悩まされている身にとって、驚異的な み応えがある。多肉植物やエアープランツ ところが実際にも、人間や動物を死に追 木が登場する。 さらには虫や小動物をとらえて生きてい いやる植物が存在している。﹃邪悪な植物﹄ く植物の本﹃大好き、食虫植物﹄︵水曜社・ だろう。しかし、そんな毒をもっている植 ンなど、読めば植物の邪悪な側面に震える ︵朝日出版社・エイミー・スチュワート著・ 星野映里著・一六八〇円︶まである。食虫、 もう。自分の部屋で育てる方法もあり、虜 こ こ ま で 来 た ら、 次 は 食 人 と い う こ と に になってしまうこと間違いない。 と溪谷社・木谷美咲著・一七八五円︶を読 に興味を持ったら﹃マジカルプランツ﹄ ︵山 写真が次々に飛び込んでくる。 このような一風変わった植物の図鑑は他 『世界で一番美しい 種子図鑑』 に 紹 介。﹁ 毒 を 以 っ て 薬 と 為 す ﹂ と も 言 う のある植物を画家の美しいスケッチととも ギラム著・一二六〇円︶は、イギリスの毒 る 美 し い 植 物 ﹄︵ 創 元 社・ フ レ デ リ ッ ク・ 物 ほ ど 美 し い と こ ろ が ま た 罪 だ。﹃ 毒 の あ たい。 る。プラントハンターでなくとも行ってみ 上で最も地球に見えない島とも言われてい ちしているような植物などが自生し、地球 太ったシカのような木やヘビが揃って棒立 も 登 録 さ れ て い る ソ コ ト ラ 島 で は、 丸 く ていて、今すぐにでも始められそうだ。 態をもつコケの探索や採集方法などが載っ コケもまた魅力的な植物だが、変わった生 A V E 出 版・ 田 中 美 穂 著・ 一 六 八 〇 円 ︶。 か。そこで出会ったのが﹃苔とあるく﹄ ︵W まずは身近なところから探せないだろう 植物だが、その生態や美しさ、奇妙さは興 で人間とはまったく違う生活を送っている まだ見たことのない植物⋮⋮。同じ地球上 に存在するかもしれない食人植物、誰もが 身近にひそんでいるふしぎな植物、未来 ように、毒性植物が古来は薬草だったこと、 今は薬品として役立っていることにも驚か される。 植物のスケッチで言えば、絵本作家のレ オ・ レ オ ー ニ も﹃ 平 行 植 物 ﹄︵ 工 作 舎・ 二三一〇円︶で架空の世界に棲む植物を描 味 深 く、 こ れ か ら も 目 が 離 せ な い 存 在 で ある。 を愛してやまない習性。これが人間ではな コーヒーに対する依存症、チョコレート るショクダイオオコンニャクを追い求めた 二九四○円︶は、植物に脅威をふるう菌類 話 ﹄︵ 築 地 書 館・ ニ コ ラ ス・ マ ネ ー 著・ ﹃世にも不思議なソコトラ島﹄︵彩図社・ 界 中 を 飛 び 回 る こ と は 容 易 に は で き な い。 い ! と い う 気 持 ち が 出 て く る。 し か し 世 ると、自分も実際に植物を探して見てみた こんなにふしぎな植物の本がたくさんあ 受けた歴史がある。 ゴムなども、カビによって壊滅的な被害を た。アメリカグリ、じゃがいも、コーヒー、 なあるキノコは、農園をいくつも全滅させ − 11 − いている。遠近法を無視したフシギネや触 れたら溶けるユビスマシなど、実在したら ︵PHPサイエンス・ワールド新書・九二四 く、 菌 類 の 話 だ と 言 っ た ら 驚 く だ ろ う か。 ちいさなものの世界へ 円︶の著者、山口進氏は、ジャポニカ学習 ﹃ チ ョ コ レ ー ト を 滅 ぼ し た カ ビ・ キ ノ コ の ふしぎ植物探検記﹄ 探 す﹁ 植 物 探 索 者 ﹂ が い る。﹃ プ ラ ン ト ハ 帳の表紙写真を撮っている自然ジャーナリ ﹃地球200 周 ! ンター﹄︵徳間書店・一四七〇円︶の著者、 スト。本書は七年に一度咲き二日でしおれ まだ見ぬ植物の奇跡を追い求めて世界中を 探検記である。奇妙な植物の写真を撮るた 新開正、新開美津子著・一六八〇円︶では、 と人類の戦いの話だ。カカオの木が大好き 飛び回っている。この本でまず惹かれるの めに世界中を旅し続ける情熱はすごい。 さらに奇妙な植物と出会える。世界遺産に ンド洋に浮かぶソコトラ島の竜血樹だ。 が表紙に写っている奇妙な植物。それはイ 年 間 移 動 距 離 が 地 球 三 周 分 と い う 彼 は、 西畠清順氏もその一人。 そんな信じられない植物を、現実世界で どんなに面白いだろうと胸が躍る一冊だ。 『プラントハンター』 生態系を変えるほどの力を持っているの かもしれないが、実はカビは自然の中では いた食物が傷んだ時などにしか見かけない カビというと、普段はしばらく置いてお るのだろう。 が持つ﹁怖いもの見たさ﹂の気持ちをそそ ポットとして人気だと言う。寄生虫は誰も クトがある。この目黒寄生虫館、デートス エイリアンのような標本はなかなかインパ う線虫がイルカの胃からびっしり出ている ないような話が満載だ。 相談に来た人の話など、現実とは信じられ きる。昔流行した寄生虫の話や、研究室に 一六五九円︶でわかりやすく読むことがで が書いた﹃寄生虫のふしぎ﹄︵技術評論社・ 虫だって真菌、つまりカビだ。植物や皮膚 られるだろう。それに、足にできるあの水 向ければ、植物の葉や実についたカビを見 を見てもよくわかる。注意深く自然に目を の麻美の周りで、男たちが次々に全身の皮 庫・七十三○円︶は、不倫を繰り返す主婦 恐怖の寄生虫小説だ。﹃孤虫症﹄︵講談社文 作 家 と 言 わ れ る 真 梨 幸 子 の デ ビ ュ ー 作 が、 読 後 に い や ∼ な 気 持 に な る﹁ イ ヤ ミ ス ﹂ リュー・ブラウン著・二五二○円︶で知る ﹃ は じ め に 線 虫 あ り き ﹄︵ 青 土 社・ ア ン ド い う。 線 虫 に 関 す る お ど ろ く べ き 研 究 は、 推定で十万種から一千万種の種類がいると 粘 菌 を 食 べ て 生 き て い く も の さ ま ざ ま で、 寄生虫になるもの、何にも寄生せず細菌や 上で最も繁栄している生物である。種類も 線虫は、個体数で言えば群を抜いて地球 だ。それは﹃カビ図鑑︱野外で探す微生物 の上などあらゆるところに存在し、たまに 膚にコブができて死んでゆく話。実在の恐 い寄生虫の生態については、先の目黒寄生 現代の日本ではほとんど関わることのな は ウ イ ル ス や 細 菌、 真 菌 、 原 虫 、 寄 生 虫 、 きているが、なんとこのうち九十兆個以上 れている。人間は百兆個以上の細胞からで − 12 − の不思議﹄ ︵全国農村教育協会・二六二五円︶ 猛威をふるって増殖していく小さな生物た ことができる。小さい単純な生物である線 ろしい寄生虫、有鉤条虫がモチーフになっ ていて、フィクションと知っていてもこん ちは、知れば知るほど侮れない存在である。 を向けよう。様々な微生物・病原体を知る 虫こそが、遺伝子の研究の発見に役立った には﹃恐怖の病原体図鑑︱ウイルス・細菌・ なものが流行したら⋮⋮と想像して戦慄し 八二○円︶もまた、ゾッとする寄生虫小説 真 菌 完 全 ビ ジ ュ ア ル ガ イ ド ﹄︵ 西 村 書 店・ は、展示や標本がぎっしり並んでいた。人 虫館の研究室室長の荒木さんと有志の方々 体の中にいる、さらに小さな存在にも目 だ。精神科医の早苗が、アマゾンの調査か トニー・ハート著・一八九○円︶がおすす のだ。 ら帰ってきた恋人の異常な死の原因を探っ めだ。この本によると、ヒトがヒトである てしまう。 の、ラストに近づくにつれて増殖していく て い く。 も う や め て ! と 叫 び た く な る 程 部分は、十パーセント以下であると推定さ 体から見つかった八メートルほどの日本海 貴志祐介﹃天使の囀り﹄︵角川ホラー文庫・ 半年ほど前、目黒寄生虫館に行ってきた。 おぞましさが堪らない。 裂頭条虫︵サナダ虫︶や、アニサキスとい 世界でただひとつの小さな寄生虫館の中に 『カビ図鑑―野外で探す 微生物の不思議』 い る ど こ ろ か、 微 生 物 に よ っ て 生 か さ れ 無 限 に 小 さ い 生 命 の 秘 境 へ ﹄︵ 大 月 書 店・ 学 者 の 伝 記 が あ る。﹃ ル イ・ パ ス ツ ー ル ︱ 病ウイルスのワクチンを初めてつくった科 生涯を小さい世界の研究に費やし、狂犬 にはがされている。その先には、一体どん 思議。その神秘のベールは、一枚ずつ確実 まだまだ分からないことだらけの生命の不 ︵ 文 春 新 書・ 八 七 二 円 ︶ が わ か り や す い。 益川教授との対談集﹃ ﹁大発見﹂の思考法﹄ 生に、人生とⅰPS細胞について聞いてみ ているといってもおかしくはなさそうだ。 二三一○円︶だ。この本を読むと、微生物 な未来が待っているのだろうか。 た ﹄︵ 講 談 社・ 一 二 六 ○ 円 ︶ と、 物 理 学 者 太古の昔から共生していた人類に対して レベルの小さな世界のことは何もわかって れる。 ﹃ヤモリの指から不思議なテープ﹄︵ア 子レベルで融合していくという話がわかり 反乱を起こす瀬名秀明﹃パラサイト・イヴ﹄ いなかった時代、酵母菌の存在を主張した リス館・石田秀輝監修・一三六五円︶を覗 昆 虫 な ど に 由 来 す る 細 胞 な の だ と い う。 ︵ 新 潮 文 庫・ 七 八 〇 円 ︶ で 有 名 に な っ た ミ 彼 に か な り の 反 発 が あ っ た こ と が 窺 え る。 やすく理解できる。 トコンドリアは、人間の細胞一つ一つの中 しかしこの発見を医学まで広げ、パスツー 私達の体の九十パーセントは他の生き物 で酸素を燃やしエネルギーを作る大切な器 いてみよう。足の裏に、二百万本もの微細 の 細 胞 で で き て い る な ん て、 寄 生 さ れ て 官だ。また、ミトコンドリアが細胞死の引 ルは細菌とウイルスの世界の扉を開いた。 進化に大きく関わっているという話ならこ メージを持たれるウイルスが、実は人間の 確実に変えるだろう。皮膚の細胞からどん PS細胞は、これからの生命科学と医療を ノ ー ベ ル 賞 を 受 賞 し た 山 中 伸 弥 教 授 のi ちで、自然の扉をたたいてみよう。 さあ、私たちも﹁不思議だな﹂と思う気持 カ ニ ズ ム に 学 ん で い る こ と が よ く わ か る。 たくさんの発見・発明は自然の驚くべきメ 生地、蚊に学んだ痛くない注射針などなど、 な毛がびっしり生えているおかげで天井の の 本。﹃ 破 壊 す る 創 造 者 ︱ ウ イ ル ス が ヒ ト な細胞にも分化できる万能細胞は、病気の を決めた﹄︵みすず書房・ニック・レーン著・ 三九九○円︶を読めば、いかにミトコンド リアが生命進化に関わっているかを知るこ 一方、病原体として専ら厄介者というイ とが出来る。 不思議な力を研究して、接着剤を使わずど んな面にもくっつき、すぐ剥がすことので きる魔法のようなテープが現在開発されて いる。その他にも、いつみても綺麗なカタ ツムリの殻に学んだ汚れないタイル、水に ︵MJ梅田店 宮永・平井・福田・西谷︶ − 13 − その答えは、いつだって自然が教えてく き金を引き老化を促進することもわかって を 進 化 さ せ た ﹄︵ 早 川 書 房・ フ ラ ン ク・ ラ 原因の解明や創薬にも役立っていくという。 裏でも落ちずに歩きまわれるヤモリ。その イアン著・二六二五円︶を読むと、初めは 存 在 な の で あ る。﹃ ミ ト コ ン ド リ ア が 進 化 体内で利己的にふるまうウイルスが、長い その大発見の過程は、自伝﹃山中伸弥先 きており、いわば私達の生と死を支配する 濡れないハスの葉の構造を真似た超撥水の 間人間と共生することによって人間と遺伝 『ルイ・パスツール ―無限に小さい生命の秘境へ』 社 会 科 学 不平等について 本書で語られているのは、マネーとそ の歴史をめぐる考察である。貨幣のルー ツ か ら、 紙 幣 の 導 入、 金 本 位 制 の 停 止、 そして変動相場制に転換して以降、世界 の債務はすさまじい勢いで膨張しはじめ た。もはや経済は負債なくしては動かな いう複雑きわまりない人間の活動を読み 世界的危機を引き起こしている。経済と い。そして膨張を続ける負債が、様々な 著者は世界銀行の研究部門のリードエ 解く一書である。 ブランコ・ミラノヴィッチ著 コノミストで、所得分布や不平等の計測 Yの悲劇 清武英利・魚住 昭著 プロ野球巨人のコーチ人事を巡り、読 間 で の 不 平 等 の 形 を 浮 か び 上 が ら せ る。 そして、前者二つを合わせた世界の市民 える。工業生産に必要な鉱物資源をこれ 囲は世界第六位で、まさに海洋大国とい 岸から二〇〇海里の経済的排他水域の範 わが国は陸地面積こそ狭いものの、沿 社会の公器である新聞等のメディア り返った内容である。 ゆる﹁清武の乱﹂の真相を対談形式で振 書がある元共同通信記者魚住氏が、いわ と 権 力 ﹄︵ 講 談 社 文 庫・ 八 〇 〇 円 ︶ の 著 二六二五円 売新聞のドン渡邉恒雄氏に刃向かって追 時代が下るにつれて、不平等が拡大して は な る べ く 公 平 中 立 で あ る べ き だ が、 放 さ れ た 清 武 氏 と、﹃ 渡 邉 恒 雄 メ デ ィ ア い る こ と に 警 鐘 を 鳴 ら し て い る。 ま た、 までほとんど輸入に頼ってきたが、近年 読売は独裁者に支配されていると主張 谷口正次著 オーシャン・メタル 日本経済新聞出版社 を専門としている。本書では経済的な﹁不 平等﹂について、歴史的な変化も含めて 各種経済統計を駆使して描こうとしてい る野心作である。三章立てになっており、 各 章 の 後 半 は エ ピ ソ ー ド を 交 え て お り、 海底探査の技術の向上により、日本近海 し て い る。 二 人 が 語 る 記 者 の 生 き 様 も 国家内の個人の不平等、国家間の不平等、 古代ローマ帝国や﹃アンナ・カレーニナ﹄ の海の底には大量の資源が眠っているこ な か な か 興 味 深 く、 国 内 き っ て の 部 数 とが判明した。中国との尖閣諸島問題な を誇る大新聞の恐怖の内実に迫った貴 一四七〇円 ど も こ れ が 火 種 の ひ と つ に な っ て い て、 講談社 日本の将来を左右する非常に重要なテー げ、読者を飽きさせない工夫がなされて 三一五〇円 一八九〇円 重な一冊。 東洋経済新報社 マである。 やサッカーのクラブチームの話を取り上 いる。 みすず書房 紙の約束 フィリップ・コガン著 − 14 − 社会科学 エンジェルフライト 団地に住もう ! であるアメリカでは全くと言ってよいほ 現代は数多くの人が自国外へと出かけ 経ち、建物の老朽化とともに住民の高齢 誕生した。既に建設されてから数十年が 増する人口の受け皿として多くの団地が 高度経済成長期に大都市近郊では、急 知ってもらおうという意欲的試み。 人双方に世界の経営学のフロンティアを 経営学を知らない人、既に親しんでいる に な か な か 注 目 が 集 ま ら な い こ と な ど。 の国際化が進む中、日本では新しい言説 日本ではもてはやされていること。研究 ど 取 り あ げ ら れ て い な い ド ラ ッ カ ー が、 ているが、様々な事情で、国外で亡くなっ 化も進んだ。日本の人口はもはや減少傾 東京R不動産著 てしまう人が想像以上の数に上っている 向で、空室増加やさびれた商店街の問題 国際霊柩送還士 ようだ。本書は、そうして国外で亡くなっ ために、そして亡くなった人のためにど 遺体は損傷の激しいものも多い。遺族の 長距離の移動や時間経過、死因によって、 る賃貸物件やシェアハウス、送迎サービ いった試みを紹介している。DIYでき 高齢者向けの新サービスを始めたりと いくつか取り上げ、若者を呼び込んだり、 本書では関東・関西の実在する団地を の凋落を、理論的にこれ以上性能があが 戦を強いられている。著者はこの製造業 ラスである。しかし、製造業の多くが苦 井熊 均著 日本の技術力は今でも世界のトップク 佐々涼子著 た人を本国へ送り届ける業務を行うエア んな妥協も許さず、丁寧にエンバーミン スなど豊富なアイデアに興味を引かれる。 一九九五円 が今深刻になってきている。 グを施してゆく様からは、現場の緊張感 写 真 も た く さ ん 掲 載 さ れ て い て、 ふ と らない﹁性能限界﹂と、使う人の受入能 英治出版 ハ ー ス と い う 会 社 に 密 着 取 材 し て い る。 が伝わってくる。葬式不要論にも注目が 力の点から、これ以上性能をあげても仕 れからは、複数の技術やサービスを﹁組 − 15 − 性能限界 集まる今、弔いの意味を考えさせられる。 ページをめくると懐かしい風景に出会え 方がない﹁知覚限界﹂の二つの壁にぶつ かったためだと考えている。もはや、そ の限界に近づいてまで技術開発投資をし み合わせ﹂ることに活路を見出すべきだ ても競争に勝ち残ることはできない。こ ア メ リ カ で 活 動 す る 若 手 経 営 学 者 が、 一五七五円 日 本 の 経 営 学 の 現 状 に 危 機 感 を 抱 き、 日刊工業新聞社 と、本書は主張している。 と書いたのが本書。例えば経営学の本場 もっと幅広く経営学に親しんでもらおう 入山章栄著 世界の経営学者は いま何を考えているのか るかも。 日経BP社 第十回開高健ノンフィクション賞受賞作。 一五七五円 一八九〇円 集英社 社会科学 コンピュータ 世界で闘うプログラミング力 を鍛える150問 著 Gayle Laakmann McDowell 原著はすでに第五版を数え、 Amazon レ ビ ュ ー も 百 件 を 超 え る ベ ス ト セ ラ ー。 前半は Google や Apple な ど ト ッ プI T 企業でおこなわれる面接の実態が詳細に 描かれ、後半では本番と同レベルの問題 例が多数紹介されている。 プログラマとしての自分がいまどの 三七五九円 レ ベ ル に あ る か を 知 る た め に も、 最 良 の一冊。 マイナビ 実践入門 JUnit We bサービスのつくり方 和田裕介著 ﹁ ゆ ー す け べ ー﹂ の 名 前 で 数 々 のWe 渡辺修司著 どんなに優秀なプログラマでも人間で のシステム開発も、彼の手によるものだ。 参 加 型 お 笑 い ウ ェ ブ サ ー ビ ス﹁ ボ ケ て ﹂ なにより大事なのはまず手を動かす bサービスを手がけてきた著者。人気の ことができるのか? 答えはひとつ、テ ︵コードを書く︶ことだと、本書は語る。 あるかぎり、間違いを犯す。ではどうす ストをするしかない。 からウロコのWe bプログラミングエッ れば事前に間違いを洗い出し、修正する は Java のテスティングフレー JUnit ムワーク。テストの自動化とテスト駆動 井上のきあ著 二二八九円 Photoshop Illustrator DESIGN JOURNAL 技術評論社 初学者のみならず、中級者にとっても目 開 発 を 取 り 入 れ て、 品 質 の 高 い ソ フ ト セイ集。 デザイン API 三四六五円 ウェア開発を。 技術評論社 のための C++ ゲームなど大規模開発にもちいられる マーティン・レディ著 著 者 の 井 上 の き あ は Photoshop など グラフィック系ソフトのハウツー本や素 ナー。本書でもアラベスク模様から友禅 こ と が 多 い C++ 。高い自由度と引き換 えに大きな脆弱性も併せ持つこの言語 風まで、雰囲気のあるデザインづくりに 材集などを多数手がける人気デザイ ピクサーの社内アニメーションシステ 必要なメソッドが目白押し。 で、堅牢かつ美しい設計をするには? ム開発においてリードエンジニアを務 二六二五円 パッとしない⋮⋮。そんな貴方に。 は 覚 え た ん だ け ど、 ど う も 仕 上 が り が フォトショもイラレもひと通りの操作 を 設 計 し た 著 者 に よ る、 め、 各 種 API 珠玉の十二章。 ソフトバンククリエイティブ 三九九〇円 エンターブレイン − 16 − コンピュータ 自 然 科 学 ての問題と解法をやりとりするのであ ひたすら自分たちが好きな微積分につい ベートな情報交換はほとんどなく、ただ ぬニュートンその人である。 ランド一の頭脳が担ぎ出される。他なら が明らかになり、国家の一大事にイング を招く。そんな中、通貨の流通量の不足 数学と物語を混交させた作品が数多く描 文 庫・ 五 一 五 円 ︶ 以 後 だ と 思 う の だ が、 小 川 洋 子﹃ 博 士 の 愛 し た 数 式 ﹄︵ 新 潮 の改良を意見し造幣局に入り込もうとさ 詐術で度々逮捕の網を逃れ、逆に鋳造法 る稀代のペテン師・チャロナー。巧妙な 術を磨き、組織的な贋金造りに手を染め 宿敵は鍛冶屋や漆工をしながら詐欺の技 治安判事の役目も負わされた。相対する 新造幣局監事は貨幣の改鋳のみならず、 る。しかし、頻出する微積分の用語が人 生そのものの暗喩に思えてくるのが不思 日本生物工学会編 かれてきた。我が理工書棚では﹃数学ガー えする大胆不敵な犯罪者に対し、ニュー 議だ。そして、感動をすら惹起する。 ﹁糖質ゼロなのに甘いのはなぜ?﹂実は ル﹄というロングヒットシリーズがある。 ひらく、 ひらく﹁バイオの世界﹂ バイオテクノロジーが関係しているの 数学と人生、奇矯な数学者のキャラ立ち、 語は親和性が高いのだ。数学ノンフィク 真理としての数学。なるほど、数学と物 く。大勢の情報屋・密偵と膨大な証言者 トンはあくまで科学的に犯罪を暴いてい 歳からの生物工学入門 スト付きで説明してくれる本書。 ﹁ 歳か らの生物工学入門﹂とだけあって、非常 性格のためとする意見に対し、著者は仕 事に精通する能力の高さと国王の神聖を 思考はいつの世にもどんな職業にも通用 − 17 − だ ! 身近な疑問をわかりやすく、イラ に読みやすい。読み終わったあと、この ラーサイエンスである。 侵す犯罪に対する宗教的怒りを挙げてい る。彼の性格については岩波書店﹃専制 一九九五円 ニュートンと贋金づくり 君 主 ニ ュ ー ト ン ﹄︵ 二 八 三 五 円 ︶ も あ わ するということか。当時の世相の描写も せて読まれるといいが、科学的・戦略的 あのニュートンが﹁プリンキピア﹂を 二六二五円 著した頃、英国は名誉革命を経て対フラ 白揚社 実に興味深い。 十四世との拡大する戦争は極度な財政難 ン ス 戦 に 突 入 し て い っ た。 太 陽 王 ル イ トマス・レヴェンソン著 天才科学者が追った世紀の大犯罪 岩波書店 ニュートンの執拗な熱意がその残忍な による証拠集めは鬼平顔負けである。 続ける。奇妙なのはその内容で、プライ そ の 系 譜 に 連 な る、 素 晴 ら し い ポ ピ ュ ションにも名作はいくつもある。本書も、 一九九五円 数学をめぐる文通から ぼくが人生について学んだこと ふたりの微積分 化学同人 近に潜むバイオの世界を覗いてみよう。 ロジーを身近に楽しむことができる。身 実験なども載っており、バイオテクノ 知識を誰かに自慢したくなるはずだ。 14 14 スティーヴン・ストロガッツ著 高校時代の教師と生徒が文通を三十年 自然科学 剤師などチーム医療で行われる。常に患 説する。精神医療は、医師・看護師・薬 薬物療法の考え方・看護介入について解 知 っ て お き た い 知 識 をQ & A で 紹 介 し、 いほの家﹂の作り方。これからの日本を を変え〟ようとしている著者による﹁か を解決してしまおうという、正に〝日本 待機児童解消、女性の就業率、等の問題 て 希 薄 に な る 世 代 間 交 流、 少 子 高 齢 化、 保育を融合させ、核家族世帯急増によっ 書 者の身近にいる精神科看護師の果たす役 学 割は大きい。薬物療法がどのように機能 見据えた革新的なビジネスモデルであり 医 手術動画とシェーマでわかる しているか経過観察し、精神的、身体的 一六八〇円 外傷外科手術スタンダード 長崎出版 ながら、社会貢献への意識の高さに感服。 三一五〇円 モーツァルトとレクター博士 の医学講座 死をなくしたい。外傷医療に携わるすべ マッサージ。血液やリンパの流れを促し ・ Peggy Altman 著 Dr.Abby Ellsworth 広く親しまれているスウェーデン式 やすく、ちょっとした医学の知識を身に たもの。講義とはいってもかなり分かり 行った講義の一部を読み物としてまとめ マッサージ・アナトミー 医学書院 り、よりよい医療提供が求められる。 反応について高度な看護ケアが必要であ 日本 学会編 Acute Care Surgery 交通事故・労災事故 自 ・ 然災害などの 外傷医療は、適切で迅速な処置が生死を 分ける。ドクターヘリやラピッドカーな どの整備体制が進められるようになって ての外科医・救急医に、重症外傷の手術 て老廃物を除去、代謝を促進し、リラク つ け る の に 向 い て い る。 医 学 の こ と を 講談社 一四七〇円 力的な医学の世界へようこそ。 読み出したら止まらない、ちょっと魅 楽しめるようになるかもしれない。 マや小説を見るときにも、今よりもっと 医師であり作家である筆者が、大学で 手 技 能 力 の 取 得 が 求 め ら れ る。 本 書 は、 る。解剖生理学に基づいて骨格・筋肉・ ゼーションや健康増進などの効果があ しっかり勉強していなくても、少し知っ 久坂部羊著 臨床経験豊富な医師たちが外傷ごとに執 ているだけで日常生活の中で役に立った きた。J ATECをもとに防ぎ得た外傷 筆し、写真・図解・手術動画︵DVD付︶ 関節に働きかける技法。とにかく一般の で手術手技を解説する。 りすることも多いだろう。医療物のドラ 一四七〇〇円 方にも実にわかりやすく説明されている 羊土社 二九四〇円 貞松 成著 介 護 事 業 + 保 育 事 業 = ﹁かいほの家﹂。通所介護施設に事業所内 介護と保育で日本を変える 医道の日本社 のですぐに実践できる。 服薬支援とケアプランに活かす 非定型抗精神病薬Q&A 萱間真美・稲田俊也・稲垣 中編 本書は、統合失調症などに用いられる 非 定 型 抗 精 神 病 薬 の 解 説 書。 看 護 職 が − 18 − 医学書 人 文 科 学 透明なる社会 一冊を費やして掘り下げたのが本書である。 まるでミステリーを書くような筆致で、物 認知療法で二度と太らない 心と体をつくる ジョディス・S・ベック著 ﹁二度と太らない心と体をつくる﹂およ そ 心 理 学 分 野 ら し か ら ぬ タ イ ト ル で あ る。 本書で著者は、新たなテクノロジーを目 は上手に切り替え、六週間後には太らない というような﹁言い訳思考﹂を認知療法で 大変だったからこれくらい食べてもいい﹂ 一七八五円 体としての、 また象徴としての﹁三種の神器﹂ に迫る。 河出書房新社 著者は認知療法の創始者アーロン・T・ベッ 前にして過去へのノスタルジーに逃げるこ 心と体が手に入る。新年にダイエットを始 ク の 娘 で 自 身 も 認 知 療 法 の 権 威。﹁ 今 日 は と な く、 む し ろ そ れ を 解 放 の チ ャ ン ス と 捉 ジャンニ・ヴァッティモ著 え、近代の﹁大きな物語﹂が喪失してしまっ リック︵つまり簡単に言うと言葉のやりと タイトルから分かるように、本書はレト かし現実は、不自由ながら学歴と競争が社 性や夢を持つことの大切さも謳われる。し のその、と華々しく活躍する人がいる。個 吉川 徹・中村高康著 学歴なんてなん 二三一〇円 り︶という視点から宗教について捉えなお 会の大きな一面を担っている。本書は、教 学歴・競争・人生 創元社 めるならぜひ。 宗教のレトリック す、というものである。各章がそれぞれ対 育社会学者の二人が、歴史的な知識や世界 中村圭志著 比・隠喩・誇張などレトリックの技法と対 各国の実情との比較をふまえ、現代日本の 三種の神器 − 19 − たポストモダンという時代を見据えながら 近代を批判的に乗り越えようとした。ポス トモダン社会全体を俯瞰的に考察した本書 応しているのも面白い。レトリックという 学歴・競争社会を分析し、分かりやすくま は、多くのメディアが氾濫する現代にこそ 戸矢 学著 三 種 の 神 器 と は 何 で あ る 人間の言葉の技法を用いて、宗教というカ 読むべき一冊である。 か。私たちはほとんど知らない。比喩の言 ミサマの息のかかった空間をどのように捉 二五二〇円 葉として使ってはいるが、どんな形をして とめる。若い世代が、現実にバランス良く 平凡社 どこに在って、何のためにどう使われてい え て い く の か、 気 に な っ た 方 は 是 非 手 に 一五七五円 るのか、実はよく知らないのだ。神道と日 日本図書センター 適応できるようにと、情報を提供している。 二一〇〇円 とってもらいたい。 トランスビュー 本神話の神について本を著す中で少しずつ 触れてきた﹁神器﹂というテーマについて、 人文科学 実際にあった誰かの物語が、なぜこん 意味で︶S・キングやダニエレヴスキー 得 体 の 知 れ な い も の。 ホ ラ ー。︵ 本 当 の は殺人だけ。圧倒的な事実の羅列。蠢く ローのように、じわじわ溜まってゆく不 な に も 読 み 物 と し て 魅 力 的 な の だ ろ う。 を超えている。打って変わって最後の章 安。第四部に至って物語は牙をむく。ペー イタリアの人々がみなドラマチックな ではアルチンボルディの一生が語られ とは思わなかっただろう、そのひとつひ 人 生 を 送 っ て い る ⋮⋮ わ け は な い か ら、 る。十九世紀小説のように典雅な語りで とつが味わい深い人生の喜怒哀楽をみせ 作者の力によるものなのだろう。イタリ アルチンボルディの謎が解かれる。 ジをめくってもめくっても、出てくるの アと一括りに言っても一様ではない、風 文学・文芸 有川 浩著 サトルとナナは銀色のワゴンに乗って 土や食や人々の姿も知ることができて てくれる作品だった。 最後の旅に出る。サトルは大切な家族を 旅猫リポート 託す相手を探す。訪れた先々で語られる 興味深い。 知る人ぞ知るドイツ人作家アルチンボ 重い。どん、と腹にこたえる本である。 あれ?タイトルと違ってみなさん健全で 生理的に無理﹂ ﹁ 〝負の酒〟は飲まない﹂ ﹁下戸﹂ ﹁ 正 体 を な く す ま で 飲 む の は、 朝倉かすみ他著 六九三〇円 読み終わって圧倒的な経験をしたと 親友達との思い出話を聞くたびに、ナナ 思った。読書は経験である。 白水社 ん て 来 な け れ ば イ イ の に ﹂ 読 み な が ら、 ルディをめぐる研究者たちの交流で始ま いらっしゃる。期待していた酔っ払い失 泥酔懺悔 ふとそう思う私もサトルに惹かれてい る本作は、最初微塵もその重さを感じさ 敗談ばかりではないが、十一人の人気女 一六八〇円 はサトルのことが好きになる。ゴールに 2666 小学館 向かって思い出を胸に刻みながら、二人 の 旅 は 続 い て ゆ く。 ゴ ー ル が 近 づ く 程、 る。そして最後に二人で見た風景は、私 せない。彼等の恋模様を交えながら、ア 流作家による酒にまつわるエッセイ集と ロベルト・ボラーニョ著 の心に静かに深く染み落ちる。素朴な青 ルチンボルディの謎を探し索めて舞台は サ ト ル の こ と が 好 き に な る。﹁ ゴ ー ル な 年サトルと猫のナナが織りなす、ほのぼ ヨーロッパからアメリカ、メキシコへと 一四七〇円 して、飲まない方も楽しめる一冊である。 でも結局、泥酔常習者は角田光代さんを 一五七五円 登場人物を替えながら増してゆく、不 筑摩書房 読んで自分を納得させてしまうのだろう。 くりと、忍び寄るように。軽いボディブ 穏な感じ。急速にではなく、あくまでゆっ 移ってゆく。 のしていて何処か切ない物語。 文藝春秋 ミラノの太陽、シチリアの月 内田洋子著 言われなければこの作品がエッセイだ − 20 − 文学 ・ 文芸 文庫・新書 オリーヴ・キタリッジの生活 小説、世界の奏でる音楽 四季のうつろいとともに描く﹁林業エン と共に生き、山を守る人たちの暮らしを、 長い長い時間をかけて木は育つ。自然 らうことができる。 保坂和志の小説論を読むと、無性に小 保坂和志著 説が読みたくなる。小説を読むという行 人々の、ちょっと悲しくて、キラキラし ベンヤミンといった思想家、民族学者の く、 ニ ー チ ェ や ハ イ デ ガ ー、 フ ー コ ー、 族という経歴を持つ。異動により救急車 消防隊のベテラン運転手、生田は元暴走 ﹃鎮火報﹄﹃埋み火﹄︵ともに双葉文庫︶ 日明 恩著 六五〇円 タテインメント小説﹂である。 徳間文庫 為は決して受動的なものではなく、身体 性をともなう非常にアクティブなもので たような繊細な十三の物語。それぞれの ミシェル レ = リ ス、 画 家 の セ ザ ン ヌ な どさまざまだ。しかし、保坂がさまざま も運転することになった彼に事件が降り ロード&ゴー 短篇に、タイトルにあるオリーヴ・キタ な人の言葉を借りて、語ろうとしている かかる。前代未聞の救急車ジャックであ 取り上げられるのは、小説家だけでな あるということも再認識させられる。 リッジという女性が様々な形で、時には ことは同じことのような気がする。それ る。時間との闘い、発生するアクシデン これはアメリカのとある小さな港町の エリザベス・ストラウト著 カメオ出演的に登場する。 はおそらく、言葉によって言葉の外側に トに立ち向かう生田がカッコイイ ! 消 防隊の仲間たちもプロフェッショナルで 双葉文庫 七三〇円 − 21 − の 消 防 士 シ リ ー ズ の ス ピ ン ア ウ ト 小 説。 このオリーヴ、とにかく体が大きくて、 いこうとしているのだと思う。 一一〇〇円 無愛想で、なんだか感じが悪くて、人々 中公文庫 に強烈な印象を与える。当然、町の人に も﹁ああいう女房︵オリーヴのこと︶で よく我慢できるもんだ﹂なんて言われた しかしながら一番カッコイイのは途中 でちらりと登場する彼の妻、冴子である。 カッコイイ ! 男性ならこんな女性と結婚したいと思う 神去なあなあ日常 三浦しをん著 ﹃舟を編む﹄︵光文社・ 一五七五円︶で本屋大賞を受賞した三浦 だろうし、女性ならこんな風になりたい、 り し て い る の だ。 こ ん な オ リ ー ヴ だ が、 が、この人も町の人と変わらない悲しみ しをんさん。彼女のもう一つのお仕事小 と思うのではないだろうか。魅力的な登 チラチラ登場するうちに見えてくるの なんかを抱えている人だっていうことで 説はなんと林業だ。正直、普段なじみが まれた主人公の勇気と共にのぞかせても 場人物たちの活躍を楽しんでほしい。 あるかと言えばないこの世界を、横浜の ぜひ、順番に最後まで読んでオリーヴ 九八七円 高校を卒業してなぜかこの現場に放り込 ある。 ハヤカワep i文庫 を知って下さい。 文庫・新書 芸 術 モンチコンのインディー・ ロック・グラフィティ 清水祐也+佐藤一道著 近年、ポピュラー音楽をとりまく状況 は、めまぐるしく変化し続けている。イ ンターネットの普及をその原因とすると ころの、業界・メディア再編が続いてい るのが現状だ。出版に関わるレヴェルで は、音楽雑誌の休刊・廃刊が続いてしまっ ているのがその最も直接的な反映である と言えるだろう。インターネット上で手 軽に音楽に関する情報を入手できるよう になったことが、その原因の一つである ことは否定のしようが無い。 本書は、インターネット上で音楽サイ ションも、くすっと笑ってしまうような 物 に は 構 造 的・ 出 自 的 な ね じ れ が あ る。 ユーモアを孕んでいる。だが、そのよう 西洋画の手法で日本画的な絵画を描くこ め る。 装 丁 も ハ ン デ ィ で か わ い ら し く、 普段はインターネット上でこまめに情 と、古い時代のビジョンで現代や未来の ポケットに入れて持ち歩きたくなるよう 報配信し、モノとして楽しめる&じっく 世界をも描くこと、馬とバイクの接合物 な表面的なおかしみと同時に、彼の創造 りと読める書籍も併せて刊行するとい を 描 く こ と ⋮⋮ と 枚 挙 に い と ま が 無 い。 なモノとしての魅力がある。 う、 こ れ か ら の ポ ピ ュ ラ ー 音 楽 紹 介 メ しまうのだ。本書の大きな図版で是非じっ のねじれた異形さに引き込まれていって 観る者は、観れば観る程、その作品世界 一五〇〇円 ディアの在り方の一つの形が提示されて DU BOOKS いるようにも思う。 三九九〇円 くりと、その世界を味わって頂きたい。 青幻舎 ジョナス・メカス ノート、対話、映画 アメリカの映画作家・批評家として知 ジョナス・メカス著 られる、ジョナス・メカス。本書は彼が 書いた様々なテキストを集めた一冊であ 画のパイオニアとして知られるメカス る。アメリカにおける実験映画・日記映 山口 晃著 大和絵の様な画風の上に、 過去・未来・現実・空想とあらゆる想像 の、 思 想 や 世 界 観 を 知 る こ と が で き る。 山口晃大画面作品集 による、︵主に海外の︶インディー・ロッ 詩人でもある彼の言葉はとても繊細かつ ト﹁ モ ン チ コ ン ! ﹂ を 運 営 す る 著 者 ら 力が錯綜する作風で知られる画家、山口 せりか書房 四九三五円 豊かで、読む者を強く惹きつける。 晃。本書は彼の二冊目の作品集となる。 彼の作品は、一見するととてもユーモ クについてのインタビューや評論をまと か 目 に す る こ と の 少 な い、 ユ ニ ー ク な ラスに見える。絵画作品もインスタレー めた一冊。一般的な音楽雑誌ではなかな ミュージシャン達についての文章が楽し − 22 − 芸術 イブルが文庫化復刊された。﹃遊歩大全﹄ 登る時期に応じて章分けされ、写真・ から山好きの面がうかがえる。 エッセイを交えて南北アルプスを中心に である。一九七四年にアメリカで出版さ 心情を織り込んだ登山記録やエッセイは 冬 の 雪 山 を 案 内。 天 候 や 同 行 者 の 様 子、 著者の人柄と雪山行の様子が垣間見えて れ、四年後には日本語訳が出て、多くの 基本的な登山靴の選び方や歩き方だけ 興味深い。また、掲載されている数々の 人をウィルダネスへと旅立たせた。 でなく、火や水の使い方、衣装について 写真は雪山の美しさと楽しさ、厳しさを 実 用 書 地図・旅行書 料理の科学 ① も言及している。原本の文章に忠実に復 伝えてくれる。雪山登山は中上級者向け 刻されているため、当時のアウトドアの 私事で恐縮だが、料理のレシピに対し だが、コースガイドとアドバイスも載っ ロバート・ウォルク著 概念やバックパッキングの風潮を知るた ウィルダネスという沈黙と孤独の聖域 登 る 理 由 の 一 端 が 見 え て く る。 清 々 し めの貴重な文献でもある。 に身を置くことで﹁新鮮でエキサイトす い 気 持 ち に し て く れ る、 新 年 に ふ さ わ 長年一つの不安を持ち続けている。一体 ても問題はないが、どうも気になってし るくらい緻密な感性を取り戻すことがで なぜ理由まで記載しないのか。知らなく まう。なぜ白砂糖が体に悪いのか。なぜ きる﹂とフレッチャー氏は言う。 二三一〇円 読 み 終 え て 表 紙 を 見 直 す と、 雪 山 に 無塩バターなのか。なぜ塩を入れてゆで 山と渓谷社 世界の名自転車100 世界の自転車のデザインと技術を網羅 ザヒド・サルダール著 − 23 − ているのでぜひ参考にして欲しい。 るのか。 しい一冊。 乗れ ! 快楽が言った 歩け ! 歓喜が答えた﹂ 山と渓谷社 雪山放浪記 した資料集の登場。ツーリストからBM ものまで。個性豊かで美しい数々の車体 X、MTB、折りたたみ式やユニークな 星野秀樹著 なぜ人は山に登るのか。ましてや雪の を楽しめる本著は、サイクリストだけで 二三一〇円 の答えをくれる。著者は山岳・アウトド グラフィック社 なく、デザイン好きにもお勧めである。 ニストになりたかったようで、文の端々 ア雑誌で活動する写真家。元々はアルピ 山に登る理由とは。この書籍はその一つ 二三一〇円 ﹁さて、歩くべきか乗るべきか 約十年続いたワシントン・ポスト誌の ﹂は数々の疑問をあっ コラム﹁ Food101 さりと解説し、読者や専門家から高評価 を得た。このコラム担当者ウォルク氏は 一六八〇円 多くのバックパッカーやハイヤーのバ コリン・フレッチャー著 遊歩大全 楽工社 足掛かりに料理をさらに知ろう。 まさに料理の科学的な入門書だ。本著を ピ ッ ツ パ ー グ 大 学 名 誉 化 学 教 授 で あ る。 実用書/地図・旅行書 語学・辞典 分野の本が増えていってほしい。 が高まる一方で、このように多種多様な 一八九〇円 地の中国語に慣れ、ネイティブの耳に近 アルク が収録されている。中国の街なかに立っ 本書のCDには聞き取りにくい中国語 いだろう。 してくれるネイティブはなかなかいな てくれるが、実際には分かりやすく発音 なら学習者に聞きとりやすい発音をし こんな経験があるのではないか。教科書 分からない。外国語を学んでいる人なら ざネイティブの発音を聞いたら一言も 孟 国主編 井田 綾訳 教科書の発音なら聞き取れるのに、い から、当時こんな教材がもしもあったな 語のモチベーションを上げてくれた。だ 英語を身に付けたいという想いが私の英 行き、彼にインタビューできるくらいの ル・ギャラガーに会うためにイギリスへ にのめりこみ、いつかヴォーカルのノエ には高校生の頃ロックバンドのオアシス なっているロックスターも多い。個人的 ニー・クラヴィッツなど、もはや伝説と ル・ マ ッ カ ー ト ニ ー や ス テ ィ ン グ、 レ ビューの中から厳選・追加したもの。ポー に掲載されたロックスターのインタ けに、第一章の〝研究とは何か〟から始 る。執筆経験のない学生が参考にするだ にあたっての心構えを説いた項目であ それよりも注目したいのが、論文を書く 参 考 書 で も あ る 程 度 学 ぶ こ と が で き る。 意点についてだが、しかしこれらは他の は、句読法や引用など実際の表記上の注 だ。日本人がすぐにでも参考にしたいの 生に読まれ続けるこの本は非常に有用 それを知る上で、原著が何百万という学 も と よ り、 記 法 を 熟 知 す る こ と だ ろ う。 らなくてはならないのは、語彙や文法は シカゴ・スタイル 研究論文執筆マニュアル ているつもりで、雑音や早口ことば、不 ら、と思う。インタビューには英文スク まるこれらの項目は、アメリカにおける 三一五〇円 づこう。 東方書店 ロックスターの英語 明瞭な中国語の聞き取りに挑戦してみよ リプトと日本語訳がついており、さらに 研 究 姿 勢、 あ る い は 思 考 手 順 の ス タ ン アルク英語出版編集部編 う。スキットでは自転車の修理や速達を 一人一人の経歴や話し方、発音分析、単 ダードと言っても良い。英語論文を書く 街なかの中国語 出すなど、生活に密着した内容が多いの 語の解説がなされている。単に左から右 ケイト・L・トゥラビアン著 で、現地にいるような感覚でリスニング へと流れていってしまう聴き方をさせな 月刊誌﹃イングリッシュ・ジャーナル﹄ ができる。また、各課に練習問題がある ならば、誰でも一度は参考にして欲しい。 慶應義塾大学出版会 八四〇〇円 日本人が英語で論文を執筆するのに知 沼口 隆・沼口好雄訳 ので聞いた音声を理解しているかすぐに い語学教材としての工夫である。近年映 画の英語や物語を題材とした教材の人気 確認ができる。 リスニングに自信のない人は本書で現 − 24 − 語学・辞典 児 童 書 偕成社 一二六〇円 おかしなゆき ふしぎなこおり 獣医ヘリオット先生。人と動物が共に寄 り添い生きる日々の暮らし、絆の深さが 彼の温かな目線で丁寧に描かれていま 一七八五円 す。動物を愛する気持ちで包まれる一冊。 集英社 ました。まるで大きな真っ白いぼうしを シリーズ完結の第六巻です。現代日本 片平 孝写真・文 屋根の上にこんもりと雪が降り積もり まいごのワンちゃんあずかってます す。ページをめくるたびに、雪や氷が色 の学園を舞台としたファンタジーは新鮮 荻原規子著 天気と季節の観察図鑑 一七八五円 不思議な感覚を与えてくれます。 と 超 自 然 的 な 世 界 の 薄 皮 一 枚 の 近 さ が、 けられました。普段耳にする身近な地名 星降る夜に願うこと アダム・ストーワー作 ふしみみさを訳 ある日、リリーは素敵なものを見つけ んな表情を見せ、その美しさや不思議さ で、一巻目の発売当時からとても惹きつ RDG6 ます。欲しくてたまらなかったもの⋮⋮ に引きこまれます。ふしぎでおもしろい 一二六〇円 お家がすっぽりかぶっているみたいで ワンちゃん ! リリーはお世話をします 冬の世界へ誘われる写真絵本です。 ポプラ社 ジェイムズ・ヘリオット作 展望台﹂を探すことから観察は始まると 著者は述べます。空や雲の様子を写真に 一五七五円 収めたくなってくる一冊です。 山川出版社 − 25 − が、飼い主が連れていってしまい、寂し くなったところに今度はニャンちゃんが やってきます。ワンちゃんもニャンちゃ ん も、 実 は も っ と 大 き な 動 物 な ん で す。 角川書店 雲ごよみ 高橋健司写真・文 ふだん何気なく見 ている空と雲ですが、天気や季節によっ てその姿はさまざまに変わります。本書 一五七五円 スケールの大きなかわいい絵本です。 小学館 わたしのゆたんぽ わたしのだいすきなゆたんぽが、わた きたむらさとし作 で、どこにいるのかわからなくなり、やっ 分 類 し、 解 説 し ま す。﹁ 自 分 だ け の 雲 の は、そのような空の様子をわかりやすく ヘリオット先生と動物たちの 8つの物語 し の 冷 た い 足 を 嫌 っ て 逃 げ だ し ま し た。 わ た し の 足 は 長 く な っ て 追 い か け ま す。 小さな惑星に逃げたゆたんぽは大人気 と 見 つ け た 時 は 冷 た く な っ て い ま し た。 ゆたんぽのように温かくなる絵本です。 杉田比呂美絵 村上由見子訳 イ ギ リ ス 北 東 部 の 片 田 舎 で 活 躍 す る、 児童書 いことがあり、見逃して後悔することも 日本ガイド〟というシリーズで、当時指 の究極の寺廻りバイブルはJ TBの〝新 者の琴線に触れるような外観も重要だと て大事ですね。タイトルロゴも含め、読 の で、〝 愛 着 〟 と い う 感 情 も 含 め 装 丁 っ すときには所持本の装丁込みで思い出す あくまで私見ですが、その本を思い出 す、古色蒼然とした風合いの本です。 定の国宝と重要文化財が︵仏像・調度品 ままありました。そこで探した当時の僕 も含め︶地域別にほぼすべて表記されて 思います。 高さの目線で瓦や木組みを目にする機 築に興味はあっても、覆屋に入って同じ 寺三重塔の見学に行ってきました。古建 先日抽選に当たり、解体修理中の薬師 いですが、なぜか時々、パラパラ見たく 本です。離島めぐりが趣味でも何でもな の島がすべて載っているというこだわり ﹃ SHIMADAS ﹄︵ 日 本 離 島 セ ン タ ー・ 絶 版︶というのもありました。これは全国 〝網羅した〟ものといえば以前 す。国宝・重文ってそうそう増えないし。 けば僕には最良のもので、今も必需品で う ね え ︶。 地 図 が ほ と ん ど な い こ と を 除 でに絶版、手間がかかりすぎたのでしょ 級貴族の事を書いた本です。面白いです。 世の貴族の中で、その先例を伝世した下 弘 文 館・ 松 薗 斉 著 ︶。 先 例 を 重 ん じ る 中 ハ ー ド な 専 門 書 で は﹃ 日 記 の 家 ﹄ ︵吉川 ん ︶。 著 者 は 草 双 紙 の 研 究 者 で す。 所 謂 が あ ー ! ﹂ の フ レ ー ズ に は﹁ お っ﹂ と 落語をちょっとかじっていれば﹁ももん 入 道 ﹄︵ 講 談 社・ ア ダ ム・ カ バ ッ ト 著 ︶。 を挙げれば、まずは﹃ももんがあ対見越 ですが、個人的にスマッシュヒットなの 私の本棚は表紙が地味なものが多いの おり、しかも改訂の度に新指定が増補さ 会 は な か っ た の で、 興 味 深 か っ た で す。 でも日本中世史の棚に置くとタイトルだ れるというマニアックなガイドです︵す 今度は薬師寺の歴史に興味が湧きまし なります。古くても大丈夫、島も大きさ ますが、個人的には昔からある﹃古建築 古建築の解説本は最近たくさん出てい すか? に言えば︶ギャップ萌え の本はありま 伊藤さんの本棚で、そういった︵今風 ます︶。 けは浮きますよ︵内容はしっかりしてい 思 う は ず︵ で も 落 語 の 本 で は あ り ま せ た︵でも通史的に詳しい書籍は無いよう そうそう変わらないし。 実 は 昔 か ら 神 社 仏 閣 め ぐ り が 趣 味 で、 です︶。 な か で も 古 建 築 好 き で す︵ と い っ て も、 入 門 講 話 ﹄︵ 河 原 書 店・ 川 勝 政 太 郎 著 ︶ があり、軽くて持ち易いだけでなく、本 ぼ ー っ と 見 る だ け で す が ︶。 近 年 は 寺 社 自体が古建築のような雰囲気を醸し出 がピカイチです。簡にして便を得た解説 を得やすいですが昔はそうでもなく、神 巡りのガイドもいろいろ出たりして情報 社仏閣は信仰の場なので表示も満足に無 !? − 26 − 第5回 もっと売れるようになるはずですし、﹃歴 織 に な る こ と で、 既 刊 書 を 含 む 書 籍 は は社内にはありません。より効率的な組 た時の存在感と上品さは、ギャップ萌え 日新聞社︶です。書棚に置いた時、開い んだ﹃宮本常一 写真・日記集成﹄と﹃宮 本 常 一 が 撮 っ た 昭 和 の 情 景 ﹄︵ と も に 毎 に﹃別冊歴史読本﹄の制作に加わり、以 単には割り切れません。大学五年生の時 ⋮⋮とはいえ、個人的な思いはそう簡 み合った一冊を送り出すことこそ、編集 適のテーマ、そして一流のデザインがか きな財産です。かけがえのない著者に最 ザイナーとお仕事をできたことは私の大 ロシ氏、鈴木成一氏はじめ多くの一流デ だけですので、合併による戸惑いや混乱 この往復書簡は当初、田川さんのご提 の対象だと思います。私はまだ、このレ のメールのやりとりで、田川さんは﹁虫 来十年、二十代の青春のすべてを新人物 者の喜びであり、全てです。その喜びが ◀復・伊 藤 ◀◀ 案で、数回分﹁書き溜め﹂をして始まり 史読本﹄や﹁新人物文庫﹂などのレーベ ベルの人文書を編集できていません。 の知らせ﹂があったのかもしれない、と 往来社に投入してきました。その新人物 ある限り、私は編集者であり続けます。 ましたね。その後、田川さんが千日前店 ルも残ります。著者の方々はじめ関係者 おっしゃっておられました。田川さんは 往来社が歴史に幕を閉じます⋮⋮。そし ▶▶往・田川▶ から三宮店に異動されてご多忙を極めら 一同、プラス要因ばかりの合併です。 比喩的表現でおっしゃっていたのでしょ て私は、図らずも、新人物往来社の最後 その鈴木一誌氏、ナルティスの新上ヒ れたこともあり、書き溜め分は消費され うが、私は、ああ、たしかに田川さんは 年度も黒字で今年度も前年比増で推移し が角川グループ入りしました。弊社は昨 版の子会社となり、その翌年に中経出版 もともと、弊社は平成二十年に中経出 社でカメラマン出身の名編集者だった平 ました。目標としてきたのは、毎日新聞 しつつ、モダンなデザインを心がけてき 文書を造るときは、人文書らしさを維持 方向を向くべきだと考えます。だから人 とタイトルは本の内容と渾然一体、同じ − 27 − ていきました。そのことについて、先日 ﹁虫の知らせ﹂を感じ取る能力をお持ち その私に、この﹁往復書簡﹂という場 の書籍部編集長となってしまいました。 をご用意いただいたのが、田川さんでし 弊社が今年度いっぱいをもって中経出 なのだろうなぁ、と思ったのでした。 版と合併することが正式に決定し、発表 た。本当に、ありがとうございました。 ており、純粋に経営効率向上のための合 嶋彰彦氏がデザイナーの鈴木一誌氏と組 さて、装丁についてですが、私は装丁 されたのはその二日後のことでした。存 併です。既に営業や総務・経理は中経出 続会社は中経出版です。 版と共通であり、編集部を一体化させる 『宮本常一 写真・日記集成』 (毎日新聞社・宮本常一著・60,000 円) 既 に 死 語 と な っ て い る と 思 い ま す が、 い て い き ま す。 ま ず 最 初 に、 実 は も う 今 回 は、 洋 書 の 業 界 用 語 に つ い て 書 三十年前は、各大学の図書館や研究室も ジ ネ ス か も し れ ま せ ん。 し か し 二 十 ∼ 書になります。今では結構リスキーなビ ものではなく、多くは研究者対象の専門 などがこれらの大学出版局から Deleuze 英訳され棚に数多く陳列されていまし を利かせている ズムが主流で、特に今でも人文の棚で幅 洋書の話 パート8 あまりにかつての良き業界を彷彿とさ 豊富な予算を持ち、先生方も結構店で研 本でお客様が希望される洋書を数日の 陳 列 販 売 す る 店 側 か ら す れ ば、 電 話 一 る 会 社 の こ と を こ う 呼 び ま す。 洋 書 を が 見 込 め る 商 品 を 輸 入 し、 在 庫 し て い 意 味 で、 海 外 の 出 版 社 か ら 日 本 で 販 売 で stock ︵在庫︶と ︵ ist人︶の造語です。 ﹁商品をストックしている会社﹂の様な ていました。特に カの大学出版局の商品をあまねく在庫し 特 徴 的 な ビ ジ ネ ス と し て は、 ア メ リ ︶ 社 で す。 あ の 国 際 的 運 送 会 社 Service ではありません。念のため。 会 社 が U P S︵ 功 し て い た と 言 え ま す。 こ の 代 表 的 な 要 と 供 給 が 一 致 し、 ビ ジ ネ ス と し て 成 究対象の書籍を購入されていました。需 年 程 前 に Autobiography が出版されて い て 秀 逸 な 全 集 と い え ま し ょ う。 他 に ︵ た。 ま た ア メ リ カ 文 学 で は M L A ・ Gilles Lacan う ち に 入 手 で き る わ け で、 非 常 に 便 利 も Melville の全集もどこかで出版され て い た と 思 い ま す が、 正 に バ ブ リ ー な ・ Derrida また当時の現代思想ではポストモダニ して出版され好評です。 せますので敢えてご紹介します。 な 存 在 と 言 え ま す。 本 来 な ら ば、 店 が 他合計八校︶の商品は好 Princeton,Yale 評 で し た。 ま た 当 時 の 売 れ 筋 ジ ャ ン ル ︵ ス ト ッ キ ス ト ︶。 和 製 英 語 Stockist 独 自 に 海 外 か ら 仕 入 れ な け れ ば な ら ず、 と 言 え ば、 ︵ Harvard, Ivy League という言語学専門雑誌は研究者 Inquiry の 間 で は 必 須 の 材 料 と 言 え ま す。 こ の に代表される言語 Chomsky 雑誌のタイトルのシリーズも現在継続 ︶は二 Mark Twain Papers 話 が 横 道 に そ れ て し ま い ま し た が、 幅に減少しているようです。 て い ま す。 先 の U P S も、 在 庫 量 が 大 このビジネスも厳しい状況となってき 研 究 費 も 図 書 に か け る 金 額 は 減 少 し、 業 界 で し た。 し か し 昨 今 で は 大 学 で の イ ン 全 集︵ ニ ア 大 学 で 出 版 さ れ た マ ー ク・ ト ウ ェ 個 人 全 集 が 大 流 行 で、 特 に カ リ フ ォ ル 米国現 Modern Language Association 代語学文学協会︶のロゴ入り︵お墨付き︶ そのためには輸入手続業務を実行する United Publishers 人 材 が 必 要 で す。 現 在 の 取 次・ 卸 業 者 学 で、 MIT Press では言語学書の出版 は非常に盛んでした。今でも Linguistic も 同 じ よ う に 海 外 か ら 商 品 を 仕 入 れ、 え て は い ま す が、 こ の 会 社 は 商 品 内 容 ストックを持ち店からの電話需要に応 が 違 い ま す。 買 い 回 り 商 品 の 一 般 的 な − 28 − 決して映画 Mission : Impossible や007 に 登 場 す る ス パ イ︵ こ れ も も う 死 語 に 次の用語は 最 後 に Rep ︵ Representative レップ︶ と 言 う ビ ジ ネ ス が あ り ま す。 海 外 の 出 次 か ら 入 手 で き て し ま う わ け で す。 嶋 田 洋 書 を 通 さ ず と も、 ア メ リ カ の 取 食 が 大 好 き で、 特 に い つ も﹁ ビ ー ル は 何 回 か 会 食 を さ せ て 頂 き ま し た。 日 本 方が来日されていました。 Don Trainer さ ん と 言 う 方 で、 日 本 に 来 ら れ た 時 に スプロモーションが業務となりますの が冷え込んできてからは減少している の ビ ジ ネ ス も ア メ リ カ、 日 本 共 に 業 界 こ と が 非 常 に 印 象 に 残 っ て い ま す。 こ が、 年 に 二 回 程 は ア ジ ア の 代 表 で あ る に Rep は当然日本代表がいらっしゃいました な り つ つ あ る の で し ょ う か ︶ で は な く、 版 社 の 日 本 代 表 と も い う 存 在 で、 そ の キリンに限る﹂を日本語で話していた き 合 い と な っ て い ま し た。 こ の 海外の出版社との契約で日本での販売 出版社の日本での販売促進を手掛けて で、 書 店 を 訪 れ 担 当 者 へ の 商 品 説 明 を ように感じます。 ︵エージェント︶です。 Agent 権 を 一 手 に 引 き 受 け る こ と を い い ま す。 い き ま す。 直 接 の 販 売 は せ ず、 セ ー ル 代表的大学出版局である 行 っ た り し ま す。 色 々 な 契 約 条 件 が 出 は少しずつ衰退していきます。 Agent 例 え ば 先 ほ ど の U P S は、 イ ギ リ ス の ︵ C U P ︶ の Agent University Press で す。 日 本 の 書 店 は、 こ の C U P の 商 版 社 と は あ る よ う で す が、 な か で も 全 Cambridge 品 はU P S を 通 し て で な け れ ば 買 う こ 海外の出版社の統廃合の歴史が垣間見 の協会のメンバーの変遷を見ていくと 協 会 と い う 洋 書 を 取 り 扱 う 協 会 と、 こ 今 書 い て き ま し た 状 況 は、 日 本 洋 書 米で十指に数えられる 社や Wiley と が で き ま せ ん。 Agent を出版社から 取 得 す る こ と で、 日 本 で の ビ ジ ネ ス は 大 き く 広 が り ま す。 ま た そ の 出 版 社 の え て き ま す。 洋 書 に 携 わ る 身 と し て 協 Life こ の 協 会 の こ と が 気 に な り ま す。 ご 興 会 メ ン バ ー の 中 に 知 人 も 多 く、 や は り ︵洋書の髭︶ 今回は洋書の髭の回顧録でした。 のサ の デ ィ レ ク ト リ ー が www.jaip.jp イトで見ることが出来ます。 味 を お 持 ち に な り ま し た ら、 こ の 協 会 以前勤務していた書店では扱い商品 意でした。かつて は 文 系 が 主 で、 言 語 学 や 英 米 文 学 が 得 色 々 な こ と が 判 っ て く る と 思 い ま す。 社 は William Faulkner の作品集 House を 出 版 し て い て、 当 時 良 く 売 れ た も の 社は良く知られていま Random House す。 ま た 古 い 話 で す が、 こ の Random ︵タイトル・エージェント︶契約 Agent も 可 能 で す。 販 売 チ ャ ン ス の 大 き な 商 です。 全 出 版 物 の 契 約 で な く、 単 一 の 商 品 の 品 を、 あ る シ リ ー ズ だ け も し く は 一 点 という出版社の Potter ビ ジ ュ ア ル 書 で 有 名 な 嶋 田 洋 書 は、 だけ代理店として取得するわけです。 アメリカの の作品を出版して評 Bernard Mallamud 判 と な っ た 出 版 社 等、 全 米 の 多 く の 文 と Feffer and Simons という Farrar Straus 学 系 出 版 社 を 抱 え て い ま し た。 得 意 分 があり、 Rep りバブルのころは飛ぶように売れてい 野 の 商 品 が 多 い の で、 自 然 と 深 い お 付 いう ま し た。 し か し、 こ の シ ス テ ム も 並 行 の 販 売 代 理 店 で し た。 平 均 Style Series 単 価 八 千 円 も す る 商 材 で し た が、 や は 輸 入 と い う 仕 入 に 敗 れ て し ま い ま し た。 − 29 − 世紀の城と館﹄ 蝦名 萬智子 ている。秋田県では、日本海沿岸道進延工事のための発掘が行われ、 ﹃ 前九年・後三年合戦 平 泉 が 世 界 遺 産 に 登 録 さ れ、 平 泉 に 至 る 歴 史 の 検 証 が 続 け ら れ これまで分からなかった古代の道や駅家などの機能とその特徴が 伊東 哲雄 し で は 語 れ な い。 戦 闘 が 中 断 し た ひ と と き、 塹 壕 の 上 に チ ョ ウ が ﹃ シネマで生物学 いきものと映画の素晴らしい世界﹄ レ マ ル ク 原 作﹁ 西 部 戦 線 異 常 な し ﹂ は 最 後 に 出 て く る チ ョ ウ 無 ひ ら ひ ら と 飛 ん で き て と ま り、 若 い 兵 士 が そ れ を 採 ろ う と し て 身 出土品などによって分かりはじめている。 本書は、これまで得られている知見や今次の発掘調査をまとめたもの を乗り出した瞬間に弾丸が彼の頭を打ち抜いたシーン。 ﹁第三の男﹂ であり、巻頭言・対談・つわものたちの城と館で構成され、﹁合戦関連地 の オ ー ソ ン・ ウ ェ ル ズ 扮 す る ハ リ ー・ ラ イ ム が 夜 の ウ イ ー ン 市 街 を 逃 げ 回 る と き、 陰 影 の 濃 い 画 面 の 中 で す り 寄 る 黒 猫 も 映 画 史 上 図﹂ 、﹁安倍・清原氏略系図﹂ 、﹁合戦略年表﹂と執筆者一覧が付されている。 安倍・清原・藤原、鎌倉幕府へと続くこの時代が、律令制度の崩壊、 対談では、古代史・中世史の研究者が、えみしに新しい光を当て、 に 残 る 動 物 だ ろ う。 こ の 様 に、 動 物 が 映 画 の 心 象 を 伝 え る 重 要 な 役割を持つことがままある。 荘 園 の 成 立、 竃 と 土 器 の 変 化 に よ る 人 々 の 意 識 の 変 革 期 だ っ た こ こ の 本 の 著 者 は 生 物 学 者、 幼 少 か ら 映 画 が 好 き で、 大 学 を 定 年 退 職 後 は 映 画 館、 ビ デ オ、DV D な ど で 年 間 三 百 本 に 近 い 映 画 を とを指摘し、考古学が社会変動を踏まえなければと提案している。 の被災を乗り越えようとしている。 勅使饗応役を度々務めている。三春町は滝桜や祭で観光を復活し、 江戸期の国替で三春藩主となった秋田氏は安倍氏の末裔であり、 発掘調査を行えば効率的で効果的な調査ができるとしている。 か ら 述 べ、 事 前 に 昭 和 二 十 二 年 ま で の 地 積 図 を 基 に、 現 地 調 査 と 城と館では機能的な違いを大鳥井山遺跡と台処館跡などの発掘 見 る こ と が 出 来 る よ う に な り、 そ の う ち 映 画 に 登 場 す る 動 物 に 目 こ の 本 で は、 生 物 を 主 題 と し な い 普 通 の ド ラ マ の 中 で 小 道 具 的 を向けるようになったようだ。 に使われている動物を丹念に拾い集め、ほ乳類、その他の脊椎動物、 無脊椎動物、果てはミミズまで取り上げられている。 こ の 本 を 読 む こ と に よ り、 映 画 の 新 し い 見 方 を 知 り、 こ れ ま で 大 き な 志 を 持 ち 奥 州 を 仏 国 土 へ と 願 っ た 平 泉、 大 震 災 を 乗 り 越 3・ ︵六十七歳・無職︶ *﹃前九年・後三年合戦 世紀の城と館﹄︵高志書院・入間田宣夫、 坂井秀弥編・横手市監修・二六二五円︶ する人々の願いが叶いますように。 し か も 先 端 的 な 生 物 学 の 解 説 を つ け て、 現 代 生 物 学 の エ ッ セ ン 見過ごされていた観点で映画を一層楽しむことが出来よう。 ︵七十九歳・無職︶ え よ う と す る 三 春。 奥 州 の 歴 史 の 再 評 価 と 安 倍 氏・ 清 原 氏 を 祖 と 養を兼ね備えた本として推薦致します。 *﹃シネマで生物学 ︵インター いきものと映画の素晴らしい世界﹄ ナショナル・ラグジュア・若原正己著・一二六〇円︶ 11 − 30 − 11 ス を 一 緒 に 知 る こ と が 出 来 る、 と い っ た 他 に 類 を 見 な い 娯 楽 と 教 11 II N N FF O O RR M MA A TT II O ON N 旭 川 店 大宮ロフト店 ☎(0166)26 1120 京 都 店 三宮駅前店 ☎(075)252 0101 ☎(078) 252 0777 〔営業時間〕10時∼ 19時半 〔営業時間〕10時半∼ 21時 〔営業時間〕10時∼ 21時 〔営業時間〕10時∼ 21時 MARUZEN &ジュンク堂書店 札 幌 店 ☎(048)640 3111 池袋本店 京都 BAL 店 三 宮 店 ☎(075)253 6460 ☎(03)5956 6111 ☎(078) 392 1001 ☎(011)223 1911 〔営業時間〕月∼土10時∼ 〔営業時間〕11時∼ 20時 〔営業時間〕10時∼ 21時 〔営業時間〕10時∼ 21時 弘前中三店 ☎(0172)34 3131 〔営業時間〕午前10時∼ 午後7時 秋 田 店 ☎(018)884 1370 〔営業時間〕10時∼ 20時 23時、 日 祝10 時∼ 22時 プレスセンター店 〔営業時間〕10時∼ 21時 〔営業時間〕10時∼ 21時 ☎(03)3502 2600 MARUZEN &ジュンク堂書店 〔営業時間〕10時∼ 20時 梅 田 店 盛 岡 店 〔営業時間〕10時∼ 21時 仙台 TR 店 〔営業時間〕10時∼ 22時 ☎(03)5456 2111 梅田ヒルトンプラザ店 吉祥寺店 ☎(06)6343 8444 〔営業時間〕10時∼ 20時 ☎(0422)28 5333 〔営業時間〕10時∼ 21時 仙台ロフト店 COMICS JUNKUDO 津田沼店 上本町店 仙台本店 ☎(022)716 4511 〔営業時間〕10時∼ 20時 天満橋店 ☎(025)374 4411 〔営業時間〕10時∼ 21時 ☎(024)927 0440 〔営業時間〕10時∼ 19時 高 崎 店 ☎(06)6920 3730 〔営業時間〕10時∼ 21時 広島駅前店 ☎(082) 568 3000 〔営業時間〕10時∼ 21時 松 山 店 難 波 店 ☎(06)4396 4771 ☎(089) 915 0075 〔営業時間〕10時∼ 21時 MARUZEN &ジュンク堂書店 〔営業時間〕10時∼ 21時 新静岡店 ☎(06)6635 5330 〔営業時間〕10時∼ 21時 岡島甲府店 西 宮 店 ☎(055)231 0606 〔営業時間〕10時∼ 19時 大 分 店 千日前店 ☎(054)275 2777 〔営業時間〕10時∼ 21時 新 潟 店 岡 山 店 ☎(086) 236 1877 ☎(06)6771 1005 〔営業時間〕10時∼ 21時 ☎(047)403 1911 ☎(022)726 5660 〔営業時間〕10時∼ 20時 〔営業時間〕10時∼ 21時 藤 沢 店 〔営業時間〕月∼土10時半∼ 20 時半、日祝 ☎ (0466)52 1211 10時∼ 20時半 〔営業時間〕10時∼ 21時 姫 路 店 ☎(079) 221 8280 〔営業時間〕11時∼ 22時 〔営業時間〕10時∼ 21時 ☎(022)265 5656 明 石 店 ☎(078) 913 8201 ☎(06)6292 7383 〔営業時間〕10時∼ 21時 MARUZEN &ジュンク堂書店 渋 谷 店 舞 子 店 ☎(078) 787 1250 〔営業時間〕10時∼ 21時 ☎(019)601 6161 郡 山 店 大阪本店 ☎(06)4799 1090 ☎(0798)68 6300 〔営業時間〕10時∼ 21時 ロフト名古屋店 芦 屋 店 ☎(052)249 5592 ☎(0797)31 7440 〔営業時間〕10時半∼ 20時 〔営業時間〕10時∼ 20時 ☎(027)330 6611 名古屋店 〔営業時間〕平日11時∼ (052)589 6321 20時、土日祝 ☎ 10時∼ 20時 〔営業時間〕10時∼ 21時 神戸住吉店 ☎(097) 536 8181 〔営業時間〕10時∼ 20時 福 岡 店 ☎(092) 738 3322 〔営業時間〕10時∼ 21時 鹿児島店 ☎(099) 216 8838 〔営業時間〕10時∼ 20時 那 覇 店 ☎(078)854 5551 ☎(098) 860 7175 〔営業時間〕10時∼ 21時 〔営業時間〕10時∼ 22時 年末年始の営業時間は、ほとんどの店舗で変更があります。 定休日がある店舗もありますので、お手数をおかけしますが各店舗まで直接お問い合わせいただくか、HP にてご確認お願いいたします。 − 31 − 本にまつわるエッセイ、など本に関するもの。最近読んでおも ☆読者の皆様の投稿を募集しています。最近読まれた本の感想文、 しろかった本、感動した本、考えさせられた本を教えて下さい。 四〇〇字∼六〇〇字程度で、おすすめの本のタイトル、出版社、 掲載分には二千円の図書カードを差し上げます。なお、原稿はお い つ も﹁ 書 標 ﹂ を ご 愛 読 い た だ き ま し て ありがとうございます。本誌定期購読料は 以下の通りです。 定期購読料 年間一二〇〇円︵送料込︶ 現金書留もしくは八十円切手十五枚で お申し込み先 │ ジュンク堂書店ジュンク特急便係 東京都豊島区南池袋二 一五 五 五九五六 六一〇〇 五九五六 六一二〇 〇三 │ http://www.junkudo.co.jp/ パソコンから http://www.junkudo.co.jp/ mobile/ 携帯・MOBILE から mobile QR コード ︵茉︶ 命の神秘は解明されるほど深 つ い て の 書 籍 を 紹 介 す る。 生 いるかもしれない生物などに ヘ ン な 生 き 物、 不 思 議 な 植 物、 超 え る 奇 妙 な 生 命 ﹂ に つ い て。 今 年 最 初 の 特 集 は、﹁ 想 像 を ます。 標﹂をよろしくお願いいたし 本年もジュンク堂書店と﹁書 います。 明けましておめでとうござ 編集後記 │ 住所、氏名、年齢、職業を明記の上、お送り下さい。 〒 │ 〇三 FAX TEL 返しいたしませんのでご了承下さい。 │ ジュンク堂書店﹁書標﹂編集室係 東京都豊島区南池袋二 一五 五 │ │ │ まるように感じる。 − 32 − ☆尚、本誌掲載と同時に、ホームページにも掲載させていただきます。 〒 1710022 ᛩ Ⓜ 㓸 1710022 ろ略称だけ知っておられる人の方が多い かもしれません。 では最後の問題です。 コミックスは特に公式使用の略称が多 有名な作品だけでも﹁テニプリ︵ ﹃テニス く、アニメやドラマになったことのある 気コミックス、略称﹁アオエク﹂の正式 の仮面﹄ ︶ ﹂ ﹁神のみ︵ ﹃神のみぞ知るセカ 男︵ ﹃花より男子﹄ ︶ ﹂ ﹁ガラかめ︵ ﹃ガラス ﹁それ町︵ ﹃それでも町は廻っている﹄ ︶ ﹂﹁花 の王子様﹄ ︶ ﹂ ﹁るろ剣︵ ﹃るろうに剣心﹄ ︶ ﹂ タイトルは? お分かりになりますか? イ﹄ ︶ ﹂ ﹁絶チル︵ ﹃絶対可憐チルドレン﹄ ︶ ﹂ ﹁略称あれこれ﹂ 突然ですが問題です。 前二問は分かるけれど、この問題は分か アニメ化され、映画も公開された大人 ベストセラーになった書籍﹃もし高校 らないという方も多いと思います。 スの正式タイトルは? ﹁こち亀﹂の略称で知られるコミック では次の問題です。 おられる方は多いと思います。 ラマ・映画化もされましたので、知って 答えは﹁もしドラ﹂です。アニメやド ばれることが多いです。この略称とは? タイトルが長いため一般的には略称で呼 エ ク ﹂ っ て 読 め な い け ど、 こ れ で い い しすると、お客様は﹁どうみても﹁アオ せを受けて店員が﹃青の祓魔師﹄をお渡 ミックスありますか?﹂という問い合わ 頼 ま れ た ん で す が、﹁ ア オ エ ク ﹂ っ て コ でいます。そのため書店店頭では﹁娘に め、読者は当たり前のように略称で呼ん が多く、略称は公式でも使われているた 大ヒット作品で、中学生・高校生の読者 です。累計発行部数八〇〇万部を超える 答えは﹃青の祓魔師︵エクソシスト︶﹄ らしいニックネームです。 省略ではなく親近感を高めてくれる素晴 決まることもあり驚かされます。略称は 売一週間も経たずに読者間で統一略称が 最近はブログやツイッターがあるため発 間 に 定 着 み た い な 流 れ が あ る の で す が、 けて有力な一つが決まる↓公式が使い世 が自然発生↓雑誌等を通して何ヶ月もか 称は全国の読者たちの間で数種類の略称 きく振りかぶって﹄ ︶ ﹂等があります。略 イ キ リ︵ ﹃ GIANT KILLING ﹄ ︶ ﹂ ﹁ハガレ ン︵ ﹃鋼の錬金術師﹄ ︶ ﹂ ﹁おおぶり︵ ﹃おお ﹁ベルばら︵ ﹃ベルサイユのばら﹄ ︶ ﹂ ﹁ジャ 野球の女子マネージャーがドラッカーの 答えは﹃こちら葛飾区亀有公園前派出 の?﹂と不安気に買われるという光景が │ │ ﹃ マ ネ ジ メ ン ト ﹄ を 読 ん だ ら ﹄ で す が、 所 ﹄。 公 式 で も 略 称 で 呼 ば れ る こ と が 多 よく見られます。 653- 6500013 0021 ︵小︶ い た め、 略 称 が 正 式 タ イ ト ル の よ う に 一〇〇一 五二一二 なっているコミックスです。なのでむし TEL TEL 二〇一三年一月五日発行 ﹁書 ﹂ 第 号 ほんのしるべ 頒価五十円︵本体四十八円︶ 標 編集・発行人 工 藤 恭 孝 神戸市中央区三宮町一の六の十八 ︵〇七八︶三九二 発 行 所 ㈱ジュンク堂書店 〒 印 刷 所 ︵〇七八︶五七五 ㈱七 旺 社 〒 神戸市長田区一番町二丁目一 410 ほんのしるべ﹂ 昭和 年7月 日第三種郵便物認可 2013年1月5日 毎月1回 5日発行 通巻第 号 ﹁書標 61 15 410 頒 価 五十円︵本体 四十八円︶ http://www.junkudo.co.jp/ e-mail:info @ junkudo.co.jp 携帯からは 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