来待砂岩の強度のひずみ速度依存性は封圧とともに小さくなる

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来待砂岩の強度のひずみ速度依存性は封圧とともに小さくなる
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来待砂岩の強度のひずみ速度依存性は封圧とともに小さ
くなる
天羽, 啓太; 藤井, 義明; 児玉, 淳一; 福田, 大祐
資源・素材学会北海道支部春季講演会講演要旨集, 2015:
7-8
2015-06-13
DOI
Doc URL
http://hdl.handle.net/2115/59297
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MMIJ-H,2015,7-8.pdf
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Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP
来待砂岩の強度のひずみ速度依存性は封圧とともに小さくなる
北大工 天羽啓太・藤井義明・児玉淳一・福田大祐
1. はじめに
軸 ひずみ(ひずみゲージによる)の 50%接 線 の傾 きから
岩 石 破 壊 時 のひずみ速 度 は、プレート運 動 に対 応 する
算 出 し た ヤン グ 率 と 封 圧 と の 相 関 は 判 然 と し な いが 、 封
もの(10 - 14 ~10 -16 s - 1 程 度 )から発 破 に対 応 するもの(10 3
圧 2 MPa を除 いて、ひずみ速 度 とともにやや増 加 してい
s
-1
程 度 )まで様 々であり、また応 力 状 態 も岩 盤 表 面 の一
軸 状 態 からプレート地 震 における GPa オーダーの三 軸
応 力 まで様 々である。本 研 究 は、系 統 的 な研 究 が少 ない
三 軸 圧 縮 下 での実 験 を通 し、封 圧 がひずみ速 度 依 存 性
に与 える影 響 を明 らかにすることを目 的 とする。
このために、島 根 県 で採 取 された、ゼオライトを多 く含 む
る。
ポアソン比 は、封 圧 の増 加 により低 下 し、ひずみ速 度 と
ともにやや増 加 している。
限 界 圧 縮 ひずみ は、 封 圧 とともに 顕 著 に 増 加 して いる
が、 限 界 伸 び ひ ず み の 変 化 量 は 小 さ い。 限 界 ひ ず み に
対 するひずみ速 度 の影 響 は判 然 としない。
ことが特 徴 の新 第 三 紀 の凝 灰 質 砂 岩 である来 待 砂 岩 を
み・限 界 伸 びひずみの載 荷 速 度 依 存 性 と、それに対 する
封 圧 の影 響 について検 討 した。
なおここで、残 留 強 度 とは試 験 終 了 時 の軸 応 力 、限 界
102
Residual strength (MPa)
ク強 度 ・残 留 強 度 ・ヤング率 ・ポアソン比 ・限 界 圧 縮 ひず
102
Peak strength (MPa)
用 い、いくつかの封 圧 、ひずみ速 度 で三 軸 圧 縮 し、ピー
101
0
5
10
15
Confining pressure (MPa)
圧 縮 /伸 びひずみとは、大 気 圧 下 を基 準 とした最 大 荷 重
101
0
5
10
15
Confining pressure (MPa)
点 における、軸 /横 ひずみの値 である。
(a) ピーク強 度
(b) 残 留 強 度
垂 直 にボーリングし、直 径 30 mm、長 さ 60 mm に整 形 し
た。気 中 で表 面 を軽 く乾 かした後 に、クロス型 ひずみゲー
ジ(共 和 電 業 、有 効 長 10 mm)を常 温 硬 化 型 エポキシ系
接 着 剤 (共 和 電 業 、EP-34B)にて貼 付 後 、ビニールテー
0.5
14
Poisson's ratio
密 度 2030 kg/m 3 の来 待 砂 岩 ブロックの堆 積 面 に対 し、
Tangent modulus (GPa)
2. 試 験 結 果
12
10
8
0.3
0.2
0.1
6
0
プで加 圧 し、24 時 間 硬 化 、その後 、24 時 間 以 上 真 空 脱
0.4
5
10
15
Confining pressure (MPa)
0
0
5
10
15
Confining pressure (MPa)
気 して含 水 飽 和 させた。最 後 にエンドピースを取 り付 け、
間 隙 水 が漏 れないようにシリコンシーラント塗 布 、熱 収 縮
(c) ヤング率
(d) ポアソン比
チ ュ ー ブ ( 潤 工 社 製 、 NF 300 ) を ヒ ー ト ガ ン に て 収 縮 さ
1.5
封 圧 は 2、 5、 10、 15 MPa、 ひずみ速 度 は 10 - 6 、
-5
-4
10 、 10 、 10
-3
s
-1
とし、16 通 りの実 験 を行 った。全
ての実 験 は、間 隙 水 圧 1 MPa、 温 度 295 K で行 い、
軸 ひずみ 3%まで圧 縮 した。
ピーク・残 留 強 度 はともに、封 圧 とともに、やや上 に凸 な
Critical strain (%)
せ、被 覆 した。
1
0.5
Compressive
0
Extensile
-0.5
0
5
10
15
Confining pressure (MPa)
曲 線 を描 き増 加 し(図 1)、 低 封 圧 下 でぜい性 的 な応 力
低 下 挙 動 、高 封 圧 下 では、完 全 塑 性 的 な挙 動 が見 られ
た。
ひずみ速 度 を横 軸 にしてみると、ピーク強 度 ・残 留 強 度
ともにひずみ速 度 と両 対 数 グラフ上 でほぼ直 線 的 な正 の
相 関 が認 められる(図 2)。また、封 圧 の増 加 とともにひず
み速 度 依 存 性 は小 さくなっているようにみえる。
(e) 限 界 ひずみ
図 1 各 物 性 値 に 対 す る封 圧 の 影 響 (▼:10 - 6 s - 1 、■:
10 -5 s - 1 、▲:10 -4 s - 1 、●:10 -3 s - 1 )
上 記 方 法 で求 めた応 力 腐 食 指 数 は、封 圧 とともに増 加
102
102
Residual strength (MPa)
Peak strength (MPa)
101
し(図 3)、その値 はピーク応 力 について、相 関 係 数 0.99
で、
n  7.6  5.2PC
残 留 強 度 について、相 関 係 数 0.97 で、
101
10-7 10-6 10-5 10-4 10-3 10-2
Strain rate (s-1)
(3)
n  7.47  8.4PC
10-7 10-6 10-5 10-4 10-3 10-2
Strain rate (s-1)
(4)
と表 すことができた。ここで、P C は封 圧 (MPa)である。
(a) ピーク強 度
(b) 残 留 強 度
高 封 圧 下 でひずみ速 度 依 存 性 が小 さくなる原 因 は、高
Poisson's ratio
Tangent modulus (GPa)
封 圧 下 では、ひずみ速 度 が大 きい場 合 の急 激 なダイラタ
14
12
10
8
0.5
ンシーに伴 う間 隙 水 圧 の低 下 による強 度 増 加 がみられな
0.4
くなるためと考 えられる。
0.3
0.2
0.1
6
10-7 10-6 10-5 10-4 10-3 10-2
Strain rate (s-1)
150
0 -7
10 10-6 10-5 10-4 10-3 10-2
Strain rate (s-1)
Residual
100
(d) ポアソン比
n
(c) ヤング率
Critical strain (%)
1.5
Peak
50
1
0.5
Compressive
0
0
Extensile
-0.5 -7 -6
10 10 10-5 10-4 10-3 10-2
Strain rate (s-1)
0
5
10
15
Confining pressure (MPa)
(e) 限 界 ひずみ
図 2 各 物 性 値 に対 するひずみ速 度 の影 響 (●:2 MPa、
図 3 応 力 腐 食 指 数 に対 する封 圧 の影 響
▲:5 MPa、■:10 MPa、▼:15 MPa)
4. 結 言
3. 考 察
来 待 砂 岩 をいくつかの封 圧 、ひずみ速 度 で三 軸 圧 縮 し
亀 裂 長 さがある一 定 値 に達 した時 に最 大 荷 重 点 が現
れると仮 定 すれば、材 料 の強 度  max はひずみ速 度  と
以 下 のような関 係 で表 される(Sano, 1981)。ここで、n は
たところ、封 圧 の増 加 に伴 い、ピーク・残 留 強 度 のひずみ
速 度 依 存 性 が小 さくなることがわかった。
上 記 知 見 は、岩 盤 構 造 物 の合 理 的 な設 計 に資 するこ
応 力 腐 食 指 数 であり、応 力 腐 食 指 数 が小 さいほど、強 度
とが期 待 される。本 研 究 をさらに発 展 させるためにはさら
のひずみ速 度 依 存 性 が大 きいことを示 す。
に広 い範 囲 のひずみ速 度 における試 験 の実 施 や、稲 田
1
花 崗 岩 等 、他 の岩 石 についても同 様 の実 験 を行 うことが
 max  A n 1
(1)
望 まれる。
図 1a, b から求 めた回 帰 直 線 の傾 きを B とすれば
n
1
1
B
(2)
参考文献
Sano, O. (1981), Influence of Strain Rate on Dilatancy
から応 力 腐 食 指 数 を求 めることができる。なお、強 度 の載
and Strength of Oshima Granite Under Uniaxial
荷 依 存 性 の原 因 は、粘 土 鉱 物 の 粘 性 、間 隙 水 の粘 性 、
Compression, Journal of Geophysical Research, Vol.
亀 裂 速 度 の有 限 性 、急 激 なダイラタンシーに伴 う間 隙 水
86, pp. 9299-9311
圧 の低 下 等 もあり、n は応 力 腐 食 だけではなく、全 ての影
響 を含 んだ値 である。
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