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検証・評価シート

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検証・評価シート
資料4
検証・評価シート
*** 平成21年度取り組み状況等 ***
(神戸2010ビジョン)
ページ
1
協働と参画による地域力強化プラン
1
2
ユニバーサル社会実現プラン
7
3
文化創生都市推進プラン
13
4
減災・防犯から始まる安全都市推進プラン
23
5
子どもが健やかに生まれ,育つまちプラン
31
6
高齢者・障害者の地域安心プラン
41
7
健康まちづくりプラン
47
8
価値を創造する元気な産業のまちプラン
55
9
観光交流都市推進プラン
63
10
新たな地域情報化プラン
71
11
環境共生都市推進プラン
79
12
神戸を先導する都心ゾーン形成プラン
87
用語解説
93
検証・評価シート
アクションプラン
1.協働と参画による地域力強化プラン -平成21年度の取り組み状況-
取りまとめ課
市民参画推進局参画推進部地域力強化推進課
担当課
市民参画推進局広報課・広聴課・区政振興課・市民情報サービス課、
危機管理室、 都市計画総局地域支援室、 企画調整局総合計画課、
行財政局税制課、 各局区
目 市民と市がお互いの役割を尊重し、ともに課題解決に協力して取り組む関係を築き、市民と市
による協働と参画のまちづくりに基づいて、市民の知恵と力が生きる個性豊かで魅力と活力にあ
標 ふれた地域社会を実現する。
評価
(1)まちづくり活動の推進
B
地域の発展段階を概念上、3つのステップに分け、「第1ステップ」として地域自らが地域課題
の抽出ができるよう、「第2ステップ」として地域組織が「ゆるやかに連携」できるよう、「第3
ステップ」として地域が自律的な地域運営を行うことができるよう、それぞれの地域の実情に応
じて支援事業を展開するとともに、新たな地域力強化のための仕組みづくりに取り組んでいる。
目
標
達
成
状
況
チャレンジ指標については、平成21年度は、前年度順調に推移していた「あいさつをする近所
の人が10人以上いる人」、「自治会活動など地域活動に参加している人」及び「ボランティア・
NPO活動などに参加している人」の割合など、市民1万人アンケートの結果が総じて悪化した。こ
の要因を特定することは困難であるが、アンケートを実施した昨年9月頃の厳しい経済環境による
家計への影響が一因と想定される。この時期の家計を取り巻く環境としては、世界的経済環境の
悪化に伴い、完全失業率の上昇、1世帯当たりの可処分所得の減少などが挙げられる。こうした
中、共働き世帯の増加や人員削減等による長時間残業など労働環境の悪化などにより、仕事に追
われる住民が増加したため、近隣住民同士が顔を合わせる機会が減少し、地域活動やボランティ
ア活動に参加する余裕や時間が無くなった住民が増えたことが、アンケート結果を悪化させた要
因の一つと推察される。
アンケート指標の結果がその時々の社会経済情勢に大きく左右されることは、かねてより検証
委員会からも指摘されており、「指標の数値至上主義に陥ることなく、指標結果の推移・変遷に
注意を傾ける必要がある」との検証委員会の意見も踏まえ、本プランでは、他のアンケート結果
や犯罪件数など各種行政データの経年変化、さらには様々な地域力強化に向けた事業実績など
を、トータル的に勘案しながら多面的な視点で検証・評価を実施することに努めている。
①「新たな地域力強化の仕組みづくり」として、平成21年度は、平成19年度から検討を重ねてき
た、地域ニーズに応じて弾力的な活用を認める新たな支援制度である、「地域活動統合助成金」
のモデル事業を北須磨団地地区で開始した。
この制度は、既存の個別補助金のうち8つ(北須磨団地地区は5つを選択)を、地域の選択により
統合して一括交付するもので、助成金の使途など地域ニーズに応じた活動内容を各地域団体が話
し合うことで、従来の縦割りと言われている地域団体のゆるやかな連携を進め、地域の総合性・
自律性を高めながら地域力の向上を図ることを目的としている。
北須磨団地地区では、助成金の使途を決める「地域活動プラン」を作成するにあたって、市が
派遣したコンサルタントのコーディネートにより、地域団体の役員が集ってワークショップを重
ねた結果、各団体間の活動状況について情報の共有が図られた。もともと地域活動が活発な地域
であったが、各団体の活動については意外に知らないものだ、という気づきがあったという意見
が多く聞かれ、各団体間の連携が一歩前進したと考えられる。
また、「地域活動プラン」の内容については、例えば、ふれあいのまちづくり助成で交付を受
けていた金額の中から、その一部を、福祉、環境、青少年など複数の分野にまたがる活動に充て
るなど、既存の制度の枠を超えた弾力的な運用も行われた。さらに、ふれあいのまちづくり助成
の中でも、地域の重点テーマである、子育てのしやすいまちづくりや世代間交流を促進するた
め、子育てサークルやふれあい喫茶の実施について、既存制度の上限を大きく超えた回数とする
など、個別補助金の枠内においても活動のメリハリをつけることができた。
さらに、今まで5つの個別補助金ごとに、各局や区役所に提出する必要があった申請書や報告書
を一本化したことにより事務が簡素化され、地域の負担も軽減された。
一方、平成21年度が初めての取り組みということもあり、既存制度の枠を超えた各団体間の柔
軟な運用という点では、まだ工夫の余地があると考えられるので、今後、具体的な連携活動事例
を提案していくなど、これまでの各団体個別の活動から連携した活動が増加し、より一層各団体
間の連携が進むよう工夫をしていきたい。
1
目
標
達
成
状
況
②「パートナーシップ活動助成」は、市民による地域活動の自主性・自律性を尊重しつつ、行政
だけでは気づかない・解決できない地域課題を、市民のアイデアを活かして、市民とともに解決
していく「協働の取り組み」を支援するものである。平成21年度は一般募集で3件、テーマ型(こ
うべ元気アップ作戦)募集で4件を新たに採択した。一例としては、元町高架下商店街において、
助成を受けたNPOが空き店舗を活用して、芸術文化を通してアーティストだけでなく、地域住民、
地域商業者、学生・市民が集い、交流する場を創出し、美術展・ワークショップ・講演会の開
催、地域の魅力向上、活性化を図るなど様々な取り組みを通じて地域力の強化を図った。
③「まち育てサポーター」は、区が民間人材を地域に派遣し、地域自らが実践する地域づくり・
まちづくりを支援しようとするものである。
平成21年度は、西区において、R175神出バイパス沿いの乱開発による景観や環境の悪化を
防ぐため、地域の将来像を策定し景観保全や地域全体の活性化を図ろうとする取り組みを進めた
ほか、長田区においては学生の力を活かし、新長田駅の南北交流を盛んにする仕掛けづくり、ま
ちの魅力資源の掘り起こしや発信を図るなどなど、計7区において18名のサポーターにより、地域
の特性に応じた様々な取り組みを支援した。
平成21年度の施策評価としては、北須磨団地地区で新たな助成金制度である「地域活動統合助
成金」のモデル実施が開始されたこと(①)、「パートナーシップ活動助成」により、市民主体の
積極的な課題解決のための取り組みを支援することにより、地域力の強化が図られたこと(②)、
「まち育てサポーター」の活動において、民間人材がコーディネーターとして介在することで地
域と行政の協働がスムーズに進み、地域の自律的な取り組みが促進されたこと(③)、など成果
が上がったが、地域組織がゆるやかに連携し自律的な地域運営ができる地域をより一層増やして
いく必要があるため、全体としては、目標達成に向けて概ね順調(B評価)とする。
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
地域団体がゆるやかに連携し自律した地域運営を行うことができるようバックアップするために
は、地域内の連携・協力を進めるための新たな仕掛け・仕組みや、地域課題を効果的・効率的に
解決するための、様々な手法やノウハウの継続的な研究が必要である。そこで、今後「地域活動
統合助成金」の一般施策化に向けて検討を進めるため、平成23年度には、小学校区をエリアとす
る地域や地域特性の異なる地域においてモデル実施をできるように、北須磨団地地区における取
り組みの効果や課題について充分検証するとともに、これまでの地域力アップ推進事業など、地
域の課題に向けた取り組みを総括、検証し、効果的・効率的な支援策を導き出す必要がある。
平成22年度は、「地域活動統合助成金」では、既存の助成金制度の枠を超えて地域団体同士が
連携した活動の増加につながるよう、連携できる活動事例を具体的に例示するなど工夫し、より
一層地域団体間の連携を促進していきたい。
一方、地域活動への市民参加を支援し、地域活性化を担う人材育成を図っていくため、「地域
人材支援センター」(旧二葉小学校)を創設する。
また、最終年度を迎えるプランの検証・評価を補完するため、より多面的な視点から各種デー
タを分析して、地域力の源と言われるソーシャルキャピタル(人と人とのつながり)を通じた地域
力の現状の把握・分析、及びこれまでの地域力の強化に向けた取り組みの総括・検証を行い報告
書にまとめていく。あわせて分析・検証から得られた知見やノウハウを活用して、ソーシャル
キャピタル(人と人とのつながり)を切り口に、なぜ地域活動を活発に行う必要があるのかを、
市民にわかりやすく説明した啓発パンフレットも作成する。
このようにまちづくり活動を推進する新たな支援のしくみとして、人づくり支援である「地域
人材支援センター」の開設、財政的支援の仕組みである「地域活動統合助成金」の取り組みの進
展、地域力の強化を図るための基礎資料となる報告書や地域活動の啓発パンフレットができるた
め、当該施策については、概ね目標達成できる見込みである。
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
平成23年度以降も、自治会、NPOなどの各活動主体が、それぞれの強みや個性・特性を活か
してゆるやかに連携し、自律的な地域運営ができるよう、「地域活動統合助成金」など包括的な
財政支援や、地域活動を担う人材の育成、弾力的できめ細かい地域支援策の提供など地域活動支
援制度の充実を図り、協働と参画によるまちづくりをさらに発展的に進めていく必要がある。
2
評価
A
地域と市とが対等の立場でお互いの役割を理解して尊重し、パートナーシップ関係を構築して
協働と参画のまちづくりを進めるための仕組みの充実・強化に取り組んでいる。
(2)パートナーシップ関係の構築
目
標
達
成
状
況
①「パートナーシップ協定」については、平成22年3月に、「住み続けたいまち」の実現を目指
し、また「子ども・高齢者」「安全・安心」「地域コミュニティ」「環境・生活マナー」等に関
する地域活動を進めることで地域課題の解決を図るため、新たに中央区の二宮地区(協定主体:二
宮ふれあいのまちづくり協議会)と締結した。
この二宮地区では、これまで美しいまちづくりとして、ごみ問題や不法投棄対策に、区と本庁
(環境局・市民参画推進局)と地域が一緒になって、チラシの配布や立ち番、モモタロウ作戦等の
不法投棄キャンペーンなどの取り組みを進めてきた。その結果、ごみ出しマナーの改善が図ら
れ、ルール違反のごみの量が大幅に減少するといった成果があがるとともに、地域自らが主体的
に地域課題の解決を図ろうとする機運が生まれた。
そこで、これらの成果を踏まえ、二宮地区と神戸市がともに地域課題の解決に協力して取り組
む関係を一層深め、「住み続けたいまち」の実現に向けて、地域人材の発掘・育成や地域内の各
団体間の連携を促進するため、中央区が主体となってまち育てサポーターの派遣などの支援を行
い、5回のワークショップやアンケート、地域パブリックコメントなどのプロセスを経て、パート
ナーシップ協定の締結につなげた。
②「協働と参画のプラットホーム」の取り組みとしては、平成19年度に全国に先駆けて地域組織
とNPOが共に地域課題解決の担い手として、お互いの理解を深め、協働についての議論の場として
立ち上げた「神戸市民円卓会議」において、地域団体とNPOが協働で「まちの課題解決」に取り組
んでいる事例や協働を進めるためのノウハウを盛り込んだ「地域協働ちえぶくろ」を発行して、
市内の地域団体やNPOなどに配布し、協働についての相互理解を深めてもらうよう努めた。
また、平成22年2月には、より身近な地域で具体的に地域団体とNPOの連携を促進しようと、北
区の大原・桂木地区及び隣接地域において、高齢者の生きがいづくりや介護支援、環境美化、子
育て支援など共通した地域課題について、解決策や住みよい「くらし」を実現するため地域団体
や近隣で活躍するNPOやボランティア団体に呼びかけ、地域版の円卓会議を開催した。
③「大学との連携の促進」については、観光マップのモデルルート作成、デザインの提案など学
生ならではの視点を活かした連携や、地域における子育て支援活動など大学・地域双方にとって
もメリットのある連携が、幅広い分野においてなされている。こうした連携事例は、継続的に実
施されている例が多く、今後も大学・地域とのつながりの強化が期待される。
④市内で活動するNPOの情報を団体名やキーワードなどから検索できるホームページ「こうべNPO
データマップ」については、パートナーシップ活動助成を申請したNPOには、積極的に登録を働き
かけるとともに、データマップ運営委員会が登録団体に情報更新を要請するなど、より利用価値
を高める取り組みを進めた結果、21年度末で新しく更新した目標である325団体となった。
平成21年度の施策評価としては、新たに「住み続けたいまち」を実現するため、「パートナー
シップ協定」を中央区の二宮地区と締結したこと(①)、「神戸市民円卓会議」において「地域協
働ちえぶくろ」を発行し、また北区にて地域版円卓会議を開催するなど、地域とNPOとの協働を促
進したこと(②)、幅広い分野において大学と連携した取り組みが継続的になされていること
(③)、「こうべNPOデータマップ」の利用価値を高める取り組みを進めた結果登録団体数が順調に
増加し新たに設定したともに目指そう値を達成したこと(④)などの成果が上ったため、目標達成
に向けて順調(A評価)とする。
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
市民と市が、お互いの役割を尊重し、共に課題解決に協力して取り組むパートナーシップ関係
を築くには、より地域と密着した区役所が主体となった取り組みが必要であり、市民と市が同じ
テーブルについて、様々な地域課題について情報を共有して話し合い、課題解決に向けての方法
を一緒になって考えるというプロセスが大切である。平成21年度以降も「パートナーシップ協
定」などの仕組みや「神戸市民円卓会議」などの取り組みなどを活用しながら、市民とパート
ナーシップ関係を構築して、協働と参画のまちづくりを進めていく必要がある。
3
目
標
達
成
状
況
平成22年度は、「パートナーシップ協定」については、これまでの3地区における協定締結まで
のプロセスを踏まえ、地域内や関係行政機関との合意形成の図り方や協定締結による地域や行政
のメリットを明らかにしながら、各区にパートナーシップ協定の手法を浸透させて、パートナー
シップ協定締結に向けた取り組みをより一層進めていきたい。
また、少子高齢化の進展などにより、顕在化している様々な社会的課題を「ソーシャルビジネ
ス」として事業性を確保しつつ解決できるよう、NPO・事業者などと行政が一体となり、新た
に「神戸ソーシャルビジネス円卓会議」を立ち上げる。具体的には対象分野を設定し、神戸特有
の地域課題や社会的課題及び神戸のNPOが有する特徴を活かした「神戸版ソーシャルビジネス」を
検討し、事業性の確保に必要な仕組みづくりを行う。
これら地域課題など様々な社会的課題をビジネスの手法を活用して解決しようとする「ソー
シャルビジネス」の仕組みづくりの取り組みや、各区において「パートナーシップ協定」の締結
に向けての取り組みの進展により、当該施策については、目標達成できる見込みである。
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
平成23年度以降も、区及び地域ごとの特性を踏まえ、協定を通じて得たノウハウを活かしなが
ら、全区においてパートナーシップ協定の締結を目指すとともに、地域コミュニティを支え、新
たな地域づくりの担い手として期待されるNPOなど社会的企業の育成を図り、行政とのパート
ナーシップ関係を構築しながら、地域の実情に応じてきめ細かく地域課題の解決や地域の活性化
に取り組めるような環境づくりを進める必要がある。
(3)市民の参画しやすい環境の整備
評価
A
地域自らが地域の課題について考え、その解決に向けて行動することができるように市政に関
する情報の公開・提供を図り、地域と市との情報共有に努め、政策案を形成する過程において市
民への説明を行うとともに、区の個性と状況に応じた体制づくりに努めるなど、市民の知恵と力
を活かしていけるような市民が参画しやすい環境の整備に取り組んでいる。
①「地域担当制」については、地域からは「窓口が一元化されて便利になった」など高評価をい
ただいており、また区役所では、今まで色々なセクションに個別に入ってきた防災・防犯、福
祉、環境など様々な地域情報や本庁各局の行政情報が地域担当職員に集約されるため、連絡調整
が円滑になるとともに、トータル的な視点から地域を捉えることが可能となり、効率的・効果的
な事務処理、地域力の強化に向けた土壌づくりにつながっている。
平成21年度には中央区・北区が導入して、全区において各区の特性に応じた形で実施してい
る。平成15年度から先行実施している東灘区では、既に5年半が経過して住民・職員双方とも「地
域担当制」のしくみが定着してきており、また20年度、21年度実施した区は、そのしくみが軌道
に乗りつつあり、各区自ら検証・評価を行いながら必要に応じて制度の改善を図るなど、区とし
て目指すべき地域担当制を模索しているところである。
また、地域担当職員をはじめまちづくりに関わる職員を対象として、昨年度創設した「まちづ
くり関係職員研修」では、これまで以上に地域担当職員のバックアップを図り、地域活動を円滑
かつ効果的にサポートするため、より実践的なカリキュラムとするなど研修内容の充実・強化を
図った。
②「神戸市ホームページ」については、平成21年度は迅速な情報提供に向けて、ホームページコ
ンテンツ管理システムの運用を開始するとともに、視覚的にもわかりやすい情報発信の手段とし
て、動画による情報発信の充実に努めた。その一つの成果として、ホームページの1日平均アク
セス件数が平成17年度の約20万件から平成21年度は40万件と倍増した。
③「出前トーク」については、家庭系ごみの指定袋制度の導入や敬老パスなどの制度改正が一段
落したことから、利用件数が441件(対前年比-40%)と大きく減少した。この動きは見方を変え
れば、行政が一番広く市民に対して説明責任が求められる制度改正のタイミングで、出前トーク
がそれを果たすためのツールとして有効に活用された結果と考える。
例えば新たな敬老パス制度の導入時には、制度改正のタイミングで「みんなで考えよう敬老パ
ス」という身近なテーマを出前トークのメニューにタイムリーにラインナップしたことや、家庭
系ごみの指定袋制導入時には各広報媒体を通じて出前トークをご案内するなど、積極的な広報に
努めたことが一定の成果につながったと考えられる。
一方、平成21年度は、市長への手紙のeメール版や、メールによる問い合わせが大幅に増加す
るなど、出前トークのみならずICTの進展によっても、市民が市政に参画しやすい環境が着実
に進展した。
平成21年度の施策評価としては、新たな地域力強化の仕組みの一つとして、平成21年度から全
区で各区の特性に応じた形で「地域担当制」を導入し、「まちづくり関係職員研修」の充実・強
化を図ったこと(①)、迅速に情報を提供するため、ホームページコンテンツ管理運営システム
の運用を開始したこと(②)、出前トークの有効性が確認され、ICTの進展によりメールを媒
体とした問い合わせなどが大幅に増加したこと(③)、などの成果が上がったため、目標達成に
向けて順調(A評価)とする。
4
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
市民が参画しやすい環境の整備を図るには、市民ニーズを的確に把握しながら、市民の誰もが
市政に関するあらゆる情報を容易に得られるようユニバーサルデザインの考え方に基づいて、き
目 め細やかな情報発信を行なっていく必要がある、また、市民に一番身近な区役所では、各区の特
標 性に応じた体制づくりに努め、本庁の各局は「協働と参画」の視点を常に意識して事業に取り組
達 み、区及び本庁が密接に連携して協働と参画のまちづくりを進める必要がある。
成
平成22年度は、新たに導入したホームページコンテンツ管理システムの円滑な運用など、特に
状 ホームページを活用した情報発信について一層の充実を図る必要がある。また、「地域担当制」
況 については、各区自ら実施した「地域担当制」の検証・評価を踏まえ、神戸版「地域担当制」の
制度構築を図っていく一方、トータル的に区主体の協働と参画のまちづくりをバックアップでき
るよう、全庁的なまちづくり支援体制のあり方を検討する必要がある。
さらに、全区で導入した「地域担当制」については、各区自らによる検証・評価で出てきた課
題について、その解決策を検討し改善を図っていくとともに、様々な地域情報を集約したファイ
ルづくりの推進、区役所と各局をつなぐプラットホーム的役割やまちづくり関係職員研修の充
実・強化を図る。また、ホームページについては、今後さらに利用者にとってわかりやすく必要
な情報を的確に探すことができるよう情報分類の見直しや双方向性のある機能を取り入れ、より
使いやすいホームページを構築していく。これらの進捗により、当該施策については、目標達成
できる見込みである。
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
平成23年度以降も、庁内のまちづくり関係部署の横断的な連携や、全庁的なまちづくり支援体
制の整備を推進するとともに、地域担当職員をトータル的にバックアップするため、各区の個性
に応じた地域担当制の充実・強化を図ることにより、市民の参画しやすい環境の整備を図ってい
く必要がある。
また、ホームページについては、今後さらに利用者にとってわかりやすく必要な情報が的確に
探すことができるよう情報の品質向上に努め、より使いやすいホームページを構築していく必要
がある。
※ 評価(目標の達成状況)について
A:目標達成に向けて順調 B:目標達成に向けて概ね順調
C:目標達成に向けてあまり順調に推移していない D:目標達成に向けて不調
指 標 項 目
策定値
20年度評価
21年度評価
数値
数値
数値増減
「あいさつをする近所の人」が10人以上
いる人の割合
53.7%
(平成16年度)
まちに「地域の行事(祭り、運動会な
ど)がある」と答える人の割合
58.4%
(平成16年度)
「自治会活動などの地域活動に参加し
ている」人の割合
33.8%
(平成16年度)
「ボランティア・NPO活動などに参加し
ている」人の割合
13.0%
(平成16年度)
ャ
チ
レ
ン
ジ
指
標
の
状
況
NPOデータマップ登録団体数
出前トーク件数
達成度評価
45.4%
(平成21年度)
5
1
74.0%
(平成20年度)
74.3%
(平成21年度)
5
5
32.2%
(平成20年度)
28.7%
(平成21年度)
1
1
13.6%
(平成20年度)
10.2%
(平成21年度)
1
1
5
743件
(平成20年度末)
578件
(平成16年度)
5
※ 評価(数値増減)について
:前回評価時の値を上回っている。
:前回評価時の値とほぼ同等
:前回評価時の値を下回っている。
5
達成度評価
57.0%
(平成20年度)
311団体
(平成20年度末)
202団体
(平成16年
11月)
数値増減
ともに
目指そう値
325団体
(平成21年度末)
5
441件
(平成21年度末)
1
55%
60%
35%
16%
300団体
計画当初
325団体
700件
※ 評価(達成度評価)について
5:目標値達成 4:達成率75%以上 3:達成率50%以上
2:達成率25%以上 1:達成率25%未満
※ 達成度評価とは
2010年のともに目指そう値に対する策定値からの達成度
計算式:(現状値ー策定値)÷(ともに目指そう値ー策定値)
神戸2010ビジョン検証委員会の意見
【平成21年度の取り組みに対する内部評価について】
・ 目標達成状況に対する評価は妥当である。
・ 「(1)まちづくり活動の推進」は、パートナーシップ協定締結地区が増えていることから、A評価
に近いB評価と言える。
【最終年度における目標達成状況について】
・ 最終年度における目標達成見込みは妥当である。
【総仕上げに向けた助言】
① 21年度より全区で導入された地域担当制は、今後はその質が問われることになる。
【平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題への意見】
① 「(3)市民の参画しやすい環境の整備」は、21年度より全区で地域担当制が導入されたことから、
新たな評価項目が必要ではないか。
② 「協働と参画による地域力強化プラン」は、コミュニティ施策だけでなくNPO施策も含むの
で、NPOに関する指標をもう少し取り入れるべきではないか。
③ 1万人アンケート以外の指標は、住民に関係するもっと良い指標を考えることができないか。協
働と参画では、アウトプットを見るべきものとアウトカムを見るべきものがあるのではないか。
④ 地域力を考える時に、地域の設定エリアの大きさやどのような地域を対象とするのかによって、
行政のかかわり方が変わってくることに留意が必要である。
⑤ 地域担当職員の専門性をどのように確保するのかが課題である。
6
検証・評価シート
アクションプラン
2.ユニバーサル社会実現プラン -平成21年度の取り組み状況-
取りまとめ課
保健福祉局総務部計画調整課
担当課
市長室国際交流推進部、 企画調整局デザイン都市推進室、
市民参画推進局広報課・男女共同参画課、 保健福祉局人権推進担当
産業振興局観光コンベンション推進室・工業課、 建設局工務課・緑地課、
都市計画総局まちのデザイン室・計画課、 みなと総局空港事業室推進課、
長田区まちづくり課、 兵庫区まちづくり課、 須磨区まちづくり課、
交通局経営企画調整課・施設管理課・市バス車両課・地下鉄運輸サービス課、
教育委員会事務局指導課・人権教育課・教育企画課
市のすべての事業にユニバーサルデザイン(以下、「UD」)の視点を取り入れるとともに、
目 市民や事業者の取り組みを推進・支援しながら、UD先進都市として全国に発信することによ
標 り、年齢、性別、文化、身体の状況など人々がもつ様々な違いを越えて、互いに人権を尊重しあ
い、すべての人が持てる力を発揮し支えあうユニバーサル社会の実現を図る。
(1)互いに人権を尊重し、一人ひとりを大切にする意識づくりを推進
評価
B
互いに人権を尊重しあい、一人ひとりを大切にする意識づくりを推進している。
①神戸のユニバーサル社会実現に向けての取り組みは、震災復興の中で再認識した、「人と人と
の絆」、「地域とのつながり」、「違いを越えた支えあい」を大切にする心を持ちながら、こう
べUD広場、長田区UD研究会、各区ふれあいのまちづくり協議会等の市民が主体となって多方
面から、継続して行っている。
目
標
達
成
状
況
②UDの意識づくり推進の取り組みとして、UDに取り組む約50の地域団体が協力参加した「こ
うべUDフェア2009」をはじめ、各区においては、長田区「長田発第9回こうべUDフェア」、
須磨区「人にやさしいまち学習会」等を実施し、多くの来場者・参加者に普及啓発を行った。
また「こうべUD大学」では、「多文化」「地域活動」「ファッション」等、身近なテーマで、
実習や見学、ワークショップ等体験型講座を中心にUDの普及啓発と人材育成を行った(50人×
年15回)。さらに、こうべUD大学を修了したUDサポーターが、市と協働でUD授業教材を作
成し、小中学校(18校)や地域団体(3団体)等、約2,700名にUD出前授業を実施した。長田区
では、長田区UD研究会により小・中学生を対象としたUD授業を実施し、目標としていた通算
150回を達成した。
さらに、平成20年度に作成した「ユニバーサルサービス始めます宣言」冊子を活用して、市民
が自らのUD度を点検できる「ユニバーサルサービスチェック」をイベントや集会等で実施し、
市民ひとりひとりへの働きかけを継続した。
③学校教育の中では(ア)ほぼすべての小中学校に、UD教員用テキストを配布し、人権教育の
推進をはかるとともに、福祉施設との交流を深めながら福祉体験学習を実施したほか、(イ)児
童の興味・関心に基づく課題について、16ヶ国・地域34名の外国人を講師として全小学校で国際
理解を図る「こうべ地球っ子プログラム」の推進、(ウ)震災体験者からの「子どもたちへの
メッセージ運動」等、広く若い世代へ向けての普及啓発を行った。
④地域国際化の観点からは、本プランと補完・連携関係にある、神戸市国際化推進大綱(平成18
年3月策定)にもとづき、「多文化交流と融合が進むまち」を目標として外国人市民の方々が活動
しやすく、安全で安心して暮らせるまちづくりを進めている。21年度は区役所窓口の国際化推進
のため、従来からの電話通訳システムに加え、同行通訳者の派遣を外国人市民の多い中央区でモ
デル実施した。また、外国人市民の生活相談を行っている外国人コミュニティ等の相談機能・支
援機能を高めるため、こうした団体の相談員を対象に、行政制度や関係法令などの研修を実施
し、延べ約180人が受講した。さらに、多言語によるコミュニティラジオFMわぃわぃの総合プロ
デューサーを講師に迎え、こうべUD大学で「多文化のUD」を学ぶなどの取り組みを行った。
⑤DV対策の観点からは、神戸市配偶者暴力相談支援センターを運営するとともに、高校生を中
心とした若者に対するDV予防啓発事業を実施した。また、神戸市配偶者暴力対策基本計画に基
づき、DV対策を総合的、体系的に推進した。
7
平成21年度の施策評価としては、チャレンジ指標の「UDの言葉も考え方も知っている市民の
割合」は微減となったものの、①各地域でより多くの市民・事業者が主体となり、UDの意識づ
くりに向け地域特性を活かした幅広い活動を展開したこと、②「UDサポーター登録数」につい
ては、平成21年12月に3,000名に上方修正した目標値も達成したこと、③平成20年度から始めたユ
ニバーサルサービスチェックについても、累計約5,600名の方がUDの取り組みを始める旨を宣言
する等、着実にUDへの理解が広がっていることなどから、全体としては、目標達成に向けて概
ね順調(B評価)とする。
目
標
達
成
状
況
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
UDが市民生活の中に浸透していくには、地域団体を通して組織的にUDの意識づくりを推進
する必要があり、地域での取り組みの中にUDを意識して実践していくことが、暮らしやすく魅
力的な地域づくりを行うために必要である。最終年度(平成22年度)は、ふれあいのまちづくり
協議会との連携・協力を一層推進する。またノーマライゼーションの理念に基づいた市民運動で
ある「ふれあいのまちKOBE・愛の輪運動」とも連携し、より広く啓発を進める。
また、引き続き(ア)「こうべUD大学」でのUDの普及啓発と人材育成、(イ)UDサポー
ターと協働で、小中学校や地域での「UD出前授業・講座」等の実施、(ウ)市民が自らのUD
度を点検する「ユニバーサルサービスチェック」によるUDの意識啓発を継続しながら、(エ)
「こうべUDフェア」をより多くの集客実績をもつ「こうべ健康福祉フェア」とあわせて開催す
るなど効果的な普及啓発を進めていく。
更に(オ)地域国際化の推進のために、区役所窓口における同行通訳の拡大などに取り組んで
いく。(カ)DV対策については、神戸市配偶者暴力対策基本計画に基づき、神戸市配偶者暴力相
談支援センターの相談体制の充実、DV予防啓発事業の推進、DV被害者支援を担う関係者の人
材育成及び関係機関の連携・協力の強化など、より一層の充実を図っていく。これらの進捗によ
り、当該施策については、概ね目標達成できる見込みである。
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
平成23年度以降、UDの意識づくりにおいては、「愛の輪運動」、ふれまち協議会など同じよ
うな理念に基づいて取り組まれている事業や団体を支援し、UDの視点を加えて取り組んでいた
だくことにより、さらにUDの意識を広めていくことが重要である。
(2)誰もが参画できる仕組みづくりを推進
評価
A
誰もが自由に社会参画できることを目指して、ユニバーサル社会実現のための活動を幅広く進
めるための仕組みづくりに重点的に取り組んでいる。
①市の事業をUDの視点で横断的に見直し、改善していくための「UDチェックマニュアル」の
「イベント」編をこうべUD広場の意見も取り入れて策定し、これに基づき全庁的にチェックを
行っている。その結果、平成21年度のチャレンジ指標「市の開催するイベントのUD度評価Aラ
ンクの割合」については上昇した。イベントの実施にあたり、参加者に配慮した情報提供がなさ
れるなど、UDの意識の浸透がはかられていると判断する。
②市のホームページについては、利用者の立場では、全面リニューアルにより、共通デザインに
よる操作性の向上やほぼ全ページでの音声読上げ対応となるなどアクセシビリティに配慮した取
り組みが進められている。また、作成者の立場では、ホームページコンテンツ管理システムの運
営を開始するとともに、情報の利用におけるバリアフリー化に向け、職員の意識改革への取り組
みとして、ホームページ作成者向けにウェブアクセシビリティ研修を実施した。
③高齢者・障害者等が安心して観光を楽しむことができるよう、必要なサービスをワンストップ
で提供するユニバーサル観光への取り組みの一環として、観光客などに無料で車椅子の貸し出し
を行う「KOBEどこでも車いす」の運営を全国で初めて開始するとともに、さらなる利便性の
向上のため貸出拠点の増設に取り組んだ。また、「KOBEどこでも車いす」を活用し、観光や
福祉を学ぶ大学との協力のもと、観光ツアーを考える大学連携プロジェクトを発動した。そのほ
か、平成18年度から行っている「神戸ユニバーサル観光ガイド」の作成支援に引き続き取り組ん
だ。
④地域国際化においては、案内板や公共印刷物の多言語化、ワンストップサービス相談窓口の充
実、災害時における外国人支援等を進めてきた。中でも、歩行者系案内サインについては、平成
20年度に作成した案内サイン共通仕様書に基づき、4ヶ国語表記を標準仕様にするとともにデザ
インに配慮してだれもが利用しやすいものとなるような仕組みを構築し、取り組んできた。
平成21年度の施策評価としては、チャレンジ指標「市の開催するイベントのUD度評価Aラン
クの割合」についても上昇し、目標達成まであと一歩のところまできている。市のホームページ
のアクセシビリティも従来に比べ向上している。さらに、地域国際化における情報提供手段の充
実や案内サインの共通仕様書に基づく対応などの仕組みづくりもできており、目標達成に向けて
順調(A評価)とする。
8
目
標
達
成
状
況
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
平成22年度も引き続きUD研修の充実、UD情報の共有化を進めるとともに、新たに作成する
UD業務チェックマニュアルを活用し、市の各部局が事業を実施する際にUDの視点を持つこと
ができているかどうかを継続して点検する。また市の事業のUD化に取り組むことはもとより、
市民や民間事業者の取り組みについても積極的支援し、働きかけていく。
地域国際化の仕組みとして、外国人市民に対する効果的な広報や緊急時の多言語情報発信に取
り組む。また、市有建築物や公共空間で使用するピクトグラムについて、JIS規格を踏まえた神戸
市推奨のピクトグラム事例集を作成することなどにより、誰もが分かりやすい案内表示作成の仕
組みづくりに取り組む。
さらに、UDに取り組んでいる学生の情報をさらに集め、新たな連携を検討することで、新た
な取り組みを打ち出していく。これらの進捗により、当該施策については、目標達成できる見込
みである。
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
平成23年度以降、仕組みづくりをさらに推し進めるためには、イベントだけでなく、市の事業
全般がUDの視点で実施されていくための取り組みが必要である。
また、ユニバーサルデザインの推進を中核的に担っている団体や組織の自立的な活動を通し
て、様々な団体、個人が新たにUDに参画する機会を提供するために、市内で行われている優れ
たUDへの取り組みを評価・表彰する機会を設け、個々の取り組みを支援していくことが必要で
ある。
評価
(3)安全・安心で快適なまちづくりを推進
A
生活の拠点となるすまいをはじめ、多くの市民が利用する建物、交通施設、道路、公園等につ
いて、誰もが安全・快適に利用できるよう整備を進めている。
①(ア)「市有建築物の新増改築におけるUDの取り組み」については、現時点で目標を達成して
おり、引き続き取り組みを進めている。(イ)また、夢野の丘小学校においては、学校統合及び
新校舎の建設にあわせて、学校や長田区UD研究会、兵庫区福祉団体連合会など各種団体と連携
を図りながら平成21年度からUD授業を実施し、児童からのUD提案を工事に反映するなど「U
D授業プロジェクト」を行った。(ウ)民間建築物等については、「こうべ・だれでもトイレ」
の整備を働きかけ、公共・民間あわせて13施設で整備していただいた(累計106施設)。また、事
業者、各種団体等を対象とした「こうべUD都市づくり交流会・講座」を計4回(累計10回)実施
し、事業者等でのUDへの取り組み推進や相互ネットワークの強化を図った。
②歩行者系案内サインについては、平成20年度に作成した案内サイン共通仕様書に基づき、4ヶ
国語表記を標準仕様にするとともにデザインに配慮してだれもが利用しやすいものへと改修を進
めている。
③神戸空港では、施設面・設備面での継続的なUDチェックと改善を行うとともに、ターミナル
職員へのUD意識の浸透と行動への結びつけのための研修やホームページでUD関連情報の発
信、どこでも車いすのスペース提供を行うなど、継続してUD化に取り組んだ。
④交通「バリアフリー」(以下、「BF」)については、公共交通事業者への駅舎のBF化補助・
融資、ノンステップバスの導入補助を引き続き行っている。平成21年度はJR兵庫駅、阪神元町
駅、阪急王子公園駅・六甲駅、神鉄山の街駅、高速新開地駅において、エレベーター設置など駅
舎のBF化補助を行った。平成22年度中には阪神御影駅、阪急御影駅においてもBF化補助の実
施が決定している。また、市営地下鉄のBF化を推進するとともに、市バス車両の交通BF法基
準適合車導入率80%を目指して取り組んでおり、平成22年3月末では431両、79%となっている。
更に、三宮駅周辺においては2階レベルで施設間をつなぐ歩行者デッキや、地下、地上、デッキを
つなぐエレベーター設置などの3層ネットワークの整備を阪神三宮駅の駅改良工事に合わせて進め
ている。
⑤また、すべての人にやさしいまちづくりを目指してUDの考え方を取り入れた歩道整備を進め
ていくため、重点整備地区以外の生活に密着した歩道についても、障害者や地域の方の参画のも
と、みちの点検を行い、段差や歩道が波打っている状態等を計画的・効果的に解消する事業を推
進している。平成21年度は、乗降客数5,000人以上の駅の14駅周辺において歩道の段差解消を行う
とともに、歩道の波打ち解消を、延べ8.2kmにわたって行った。平成22年度も引き続き事業を進め
ていく。
⑥公園整備については、神戸市都市公園BF整備基本方針に基づき、誰もが使いやすい公園づく
りを目指し、計画的に「園路及び広場」を中心に、東遊園地、森林植物園を含む市内54公園のB
F工事を実施した。
⑦その他、交通結節点である三宮駅周辺に広く点在するバス乗り場等の交通案内に関する情報提
供を実施し、鉄道からバス、バスからバス等への乗り継ぎ円滑化を図ることで公共交通機関の利
用促進に取り組んでいる。
9
目
標
達
成
状
況
平成21年度の施策評価としては、チャレンジ指標の「市有建築物等(新増改築)のUDへの取
り組み割合」が目標値を達成していること、「市内駅舎のエレベーター等整備率」が上昇し22年
度中には、目標の90%を達成する見込みであるなど着実に進捗していると言えること、全体(①~
⑦)の取り組みなどを踏まえ、目標達成に向けて順調(A評価)とする。
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
平成22年度は、UDのまちづくりを進めていく中で(ア)市有建築物における取り組みでは、
須磨区役所新庁舎など新増改築の機会をとらえ、引き続き施設のUD化に取り組む。兵庫区夢野
の丘小学校においては、児童による室名板のピクトグラムづくりなどに取り組むとともに、他の
新校舎建設を予定している小学校においても、「UD授業プロジェクト」実施を検討する。な
お、夢野の丘小学校の「UD授業プロジェクト」は今後平成23年度まで継続し、平成23年度には
児童自らが完成した新校舎をUD探検し、その工夫や魅力をまとめた“学校紹介冊子づくり”を
行う予定である。(イ)民間建築物等における取り組みでは、「こうべ・だれでもトイレ」の整
備を引き続き働きかけるとともに、だれもが外出しやすい、来訪しやすい環境づくりを行うため
「(仮称)こうべ・だれでもトイレマップ」を作成するなど、情報発信の強化を図る。また、主
要施設におけるUDの取り組み促進や事業者、各種団体等のネットワークづくりを目的とした
「こうべUD都市づくり交流会・講座」を継続・発展させながら、施設単体だけでなく”まちづ
くり”としての「こうべUD都市づくり」に向けて、着実に事業を実施していく。
(ウ)歩行者系案内サインのUD化や重点整備地区以外のユニバーサル歩道整備を着実に推進
する。(エ)神戸空港においては、誰でも利用しやすいユニバーサル空港を推進するため、引き
続き、案内サイン表示のチェック、改善を行うとともに、ターミナル職員へのUD意識の浸透と
行動への結びつけのための研修を実施するなど、ソフト面を含めたUD化に取り組む予定であ
る。(オ)「交通BF」については、「神戸市交通BF基本構想」が最終年度を迎えるため、目
標の達成に向けて事業者や地元代表者と協議を重ねるとともにチャレンジ指標目標達成に向け
て、公共交通事業者への駅舎のBF化補助・融資、ノンステップバスの導入補助を着実に行う。
(カ)誰もが利用しやすい公園を目指して、既存の公園のBF化を積極的に推進する。これらの
進捗により、当該施策については、目標達成できる見込みである。
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
「神戸市交通BF基本構想」は平成22年度で最終年度を迎えるが、平成23年度以降について
は、平成18年に施行された「BF新法」に基づき、今後国が示す整備基準に従って引き続き計画
的に進める必要がある。
現計画において目標を達成している市有建築物の取り組みについては、UDの視点での整備に
引き続き取り組むことが必要であるが、その取り組みレベルを上げていくしくみづくりが課題と
なっている。民間事業者のUDへの取り組み意識については、まだ十分とは言えず、引き続き普
及啓発や情報提供を行う必要がある。また、自発的・積極的な取り組みを促進するようなしくみ
づくりが必要である。
(4)誰もが使えるものづくりを推進
評価
B
誰もが利用できるUD商品に関する情報発信などを通じて、UDに関する理解とUD商品の利
用促進に取り組んでいる。
「UD商品の普及促進」については、①UD出前授業、出前トークにてUD商品のPRに取り組
んでおり、②神戸UD商品開発研究会や神戸ユニバーサル研究会等では、神戸の企業が中心とな
りUD商品の開発研究に取り組んでいる。また、③こうべUDフェア2009や長田発UDフェア、
神戸まつり等において、神戸の企業をはじめ多くの企業に参画してもらい、UD商品のPRや販
売を行った。さらに④UDものづくりに取り組む企業が、国・県の実施するユニバーサルデザイ
ンに関する表彰を受け、広く評価されるための支援を行った。
このように平成21年度の施策評価としては、さまざまな機会を捉え、UD商品のPRを行うと
ともに、神戸の事業者がひょうごユニバーサル社会づくり賞を受賞するなど、ものづくり促進へ
の支援を行っているが、事業者のUDへの働きかけや市民のUD商品の活用の機会をさらに増や
していく等の課題があるため、全体としては、目標達成に向けて概ね順調(B評価)とする。
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
平成22年度も企業と情報交換を図りながら、あらゆる機会を通じてUD商品の普及に努めてい
く。更にUDに配慮した製品等を教材として提供可能な企業等を広く公募し、UD出前授業、U
D関連イベント、市のホームページでの紹介やUD広場での定期的な展示等を行い、UD教材と
して広く活用していく。また、UDものづくりに取り組む企業の発掘を行い、広く評価されるた
めの支援を組織的に行っていく。さらに、ユニバーサルデザインは「デザイン都市・神戸」の一
翼を担うものであり、デザイン・ルネッサンス神戸PROJECTの例では、ユニバーサル商品をさらに
デザイン性の優れたものとし新たな魅力を創りだそうと取り組む企業も出てきている。こうした
取り組みを支援していくことで、当該施策については、概ね目標達成できる見込みである。
10
目
標
達
成
状
況
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
平成23年度以降については、UDに取り組む民間事業者の情報を関係各局の様々な切り口から
収集し、UDものづくりに携わる事業者・団体に積極的に関わって行くことで、今後神戸市のU
Dに取り組む事業者や団体が広く評価されるための支援を強化していくことで、UDのものづく
りを推進する。
※ 評価(目標の達成状況)について
A:目標達成に向けて順調 B:目標達成に向けて概ね順調
C:目標達成に向けてあまり順調に推移していない D:目標達成に向けて不調
指 標 項 目
策定値
20年度評価
21年度評価
数値
数値
数値増減
UDの言葉も考え方も知っている市民
ャ
チ の割合
23.4%
(平成16年度)
レ
85人
ン UDサポーター登録数
(平成17年5月)
ジ
指
標 市が開催するイベントのUD度評価Aラ
22%
(平成16年度)
の ンクの割合
状
況
市内駅舎のエレベーター等整備率(乗
降客5,000人以上の駅)
72%
(平成17年3月)
市有建築物等(新増改築)のUDへの
取り組み割合
81%
(平成16年度)
達成度評価
数値増減
達成度評価
28.8%
(平成20年度)
28.1%
(平成21年度)
1
1
1,121人
(平成21年5月)
3,138人
(平成22年3月)
5
5
88%
(平成20年度)
93%
(平成21年度)
4
4
83%
(平成21年3月)
88%
(平成22年3月)
3
4
100 %
(平成20年度)
100 %
(平成21年度)
5
5
※ 評価(数値増減)について
:前回評価時の値を上回っている。
:前回評価時の値とほぼ同等
:前回評価時の値を下回っている。
※ 評価(達成度評価)について
5:目標値達成 4:達成率75%以上 3:達成率50%以上
2:達成率25%以上 1:達成率25%未満
※ 達成度評価とは
2010年のともに目指そう値に対する策定値からの達成度
計算式:(現状値ー策定値)÷(ともに目指そう値ー策定値)
11
ともに
目指そう値
60%
1,000人
計画当初
3,000人
100%
90%
100%
「神戸2010ビジョン」検証委員会の意見
【平成21年度の取り組みに対する内部評価について】
・ 概念的なプランであり評価が難しいが、少なくとも狭い意味でのUDの分野では、施策を積み上
げ、ここまで成果をあげたという達成宣言があってよい。次の展開を考えるにあたっても必要な
ことであり、目標達成状況に対する評価は妥当である。
【最終年度における目標達成状況について】
・ チャレンジ指標の「UDの言葉も考え方も知っている市民の割合」は目標値に届いていないが、
言葉そのものの周知度よりも、その精神や取り組みの普及が重要なので、最終年度における目標
達成見込みは妥当と思われる。
【総仕上げに向けた助言】
① これまでの取り組みの成果について、例えば公共の場のUD化が進んだことで、市民の皆さんは
すでにUDを身近に利用されているのですよ、というような情報発信も重要ではないか。
【平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題への意見】
① 「UD(ユニバーサルデザイン)」や「ユニバーサル社会」、現在策定中のマスタープランで打
ち出そうとしている「ダイバシティ」など、広い意味に解釈して用いているさまざまな概念の整
理が必要であるとともに、市民に分かりやすく発信するべきである。
② ユニバーサル社会の新たな段階として、社会保障を含めた社会制度へのアクセシビリティの向上
や、そのための条件整備が必要ではないか。
12
検証・評価シート
アクションプラン
3.文化創生都市推進プラン
-平成21年度の取り組み状況-
取りまとめ課
市民参画推進局文化交流部
担当課
市長室国際交流推進部、
企画調整局企画調整部総合計画課・デザイン都市推進室・情報化推進部、
市民参画推進局市民生活部勤労市民課、 産業振興局工業課・商業課
・観光コンベンション推進室、 建設局道路部工務課・公園砂防部緑地課、
都市計画総局計画部計画課・まちのデザイン室、 みなと総局みなと振興部振興課、
東灘区まちづくり推進部まちづくり課、 灘区まちづくり推進部まちづくり課
中央区まちづくり推進部まちづくり推進課・ まちづくり支援課、
西区まちづくり推進部まちづくり推進課、 水道局総務部庶務課、
教育委員会事務局総務部教育企画課・指導部指導課・社会教育部生涯学習課・
文化財課・スポーツ体育課・博物館・小磯記念美術館・中央図書館
震災復興の過程で生命の尊さを実感した市民が、個性ある生活スタイル(ライフスタイル)を
目
主体的に創出するとともに、地域の魅力(文化力)をつなぎながら、生き生きとしたまちの賑わ
標
いや活力を次々と生み出していく、人間主体の「文化創生都市」をめざす。
(1)市民の文化活動の支援
目
標
達
成
状
況
評価
B
市民一人ひとりの主体的な文化活動や地域の個性を生かしたまちづくりに対して、様々な側面
的支援を行い、市民と行政がパートナーシップを構築できる仕組みづくりに努めている。
①文化団体の活動支援については、芸術文化団体等に対して、後援名義の使用許諾(426件)や活
動経費の助成(258件)により、主体的な活動の支援を行った。また、アートプラットホームにつ
いては、ニーズの高い芸術・文化活動に関する助成制度や会場に関する相談に対応し、情報提供
や市の助成制度の利用案内等を行う(383件)とともに、市のホームページで活動助成の対象と
なった芸術文化事業の内容や問い合わせ先等の紹介を行うなど、引き続き、芸術文化団体等に関
する情報集約・発信・交流に努めた。
なお、市民が自ら行う創作等の文化活動の指標である「日常的に文化活動を行っている」人の
割合は31.2%で、前年度と比べ0.7%増加している。年代別では、60歳以上で昨年同様35%を超え
たほか、20歳代で初めて30%を超えるなど、多くの年代で文化活動への関わりが高まっている。
男女別では依然として男性の割合が低いが、女性は38%を超えかなり順調である。文化活動の例
として、区民センターの講座受講者数は、対前年度比1.6%増と堅調に推移しており、前年度と同
様、男女とも特に60歳以上で受講者が増加しているが、特に60歳以上の女性受講者が対前年度比
10%増とかなり増加している状況である。
②優れた舞台芸術の鑑賞機会を広く提供するため、文化ホールでは、自主事業として、文化性が
高いが民間では実現しにくいオペラや歌舞伎等の公演、夜間外出しにくい主婦や高齢者を対象と
した昼間のアフタヌーン公演(クラシック、タンゴ、狂言・落語)、普段コンサート等に参加す
ることが難しい未就学児の家族も参加しやすいコンサートなど、様々なジャンルや幅広い層を対
象にした鑑賞型事業を39演目実施した。また、区民センターでは、「ガーデンライブ」など市民
が身近な場所で芸術鑑賞できる文化イベントや、地域住民の参加による演奏会や作品展示会など
の様々な地域文化振興事業を実施した。そのほか、一般公募により文化イベント企画を募集し、
あじさいホールを中心とした市内ホールで実施しているアートベンチャー事業も、平成21年度は6
回実施した。
なお、市民の鑑賞機会の指標である「文化的・歴史的イベントの数」は約2,200件で、前年度と
比べ約10件増加し、チャレンジ指標「ともに目指そう値」を達成した。
また、文化施設の効果的な運営については、引き続き、休館日や開館時間の柔軟な運用(文化
ホールにおける年中無休化や利用時間の拡大、博物館における毎週金曜日と特別展期間中の金・
土曜日及びルミナリエ期間中の開館時間の延長、全地域図書館における祝日開館や利用時間延
長、灘図書館での最寄のコンビニエンスストアとタイアップした24時間図書返却の実現など)や
インターネットによる利用情報の提供、市民ニーズを踏まえた講座の拡大のほか、来館者や受講
者に対するアンケートによりニーズを把握するなど、利用者サービスの向上に努めた。さらに北
神地域の文化活動の拠点となる(仮称)北神区民センターについて基本計画策定及び設計を実施
し、建築工事に着手したほか、東灘図書館の再整備のため事業者と協定を締結し設計等を進めて
いる。
③歴史・景観など地域の個性を生かしたまちづくりについては、阪神間モダニズムを象徴し、住
吉山手の歴史を色濃く反映する旧乾邸を取得することを決定し(平成22年4月取得)、貴重な文化
遺産として将来の世代に引き継ぎ、新たな文化振興の資源として発信することで、「デザイン都
市・神戸」を推進していくこととしている。
13
目
標
達
成
状
況
また、「神戸建築物語」として、近代建築や茅葺民家など、市民に親しまれている優れた建築
物やそれを取りまく地域についてそのテーマ性や物語性を市民や観光客に紹介するとともに、こ
のイベントで蓄積された情報をもとに「神戸建築物語デザインラリーマップ~歩いて楽しむ神戸
建築めぐり~」を作成し、それを使ったクイズラリーを平成21年10月から12月にかけて実施し
て、神戸の魅力発信を行った。さらに、異人館として著名な風見鶏の館・ラインの館の運営を継
続するほか、「旧ハッサム邸」(国指定重要文化財)や「旧ハンター邸」(国指定重要文化
財)、「旧内田家住宅」(県指定文化財)の公開、「和田岬砲台」(国指定史跡)本格修理工事
の着手などを行った。
また、春節祭をはじめ、移民祭等南米諸国をテーマとした交流イベントの開催を支援するなど
国際的特色を生かしたまちの活性化にも努めた。
平成21年度の施策評価としては、行事後援制度、活動助成制度が有効に利用されており、1万人
アンケート結果も順調であること(①)、文化的・歴史的イベントの数が「ともにめざそう値」を
達成したほか、市民ニーズに応じた文化施設の運営に引き続き努めるとともに、北神区民セン
ターの整備に着手したこと(②)、旧乾邸の取得と保存・活用の方向性を決定するとともに、「神
戸建築物語」「神戸建築物語デザインラリー」の実施や「旧ハッサム邸」等の公開、「和田岬砲
台」修復工事の着手を行ったこと(③)などが評価できる一方で、市民の文化活動の裾野を広げ
ていくには、文化芸術に触れる機会や参加の場のさらなる充実が必要とされるほか、より市民
ニーズを踏まえた文化施設のあり方や運営方法などを検討していく必要があるなどの課題もある
が、全体としては、目標達成に向けて概ね順調(B評価)とする。
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
ビジョンの総仕上げに向けて、さらに継続的に、文化芸術活動への参加の場や機会の拡充を図
るとともに、文化施設においては、利用者へのアンケート等を通じてニーズの把握に努め、市民
ニーズに応じた効果的な運営と利用者サービスの向上に努めていく必要がある。
最終年度(平成22年度)においては、引き続き、芸術・文化活動助成や行事後援制度を実施
し、様々な相談に対応できるよう情報収集・提供に努めるとともに、区民センターをはじめとし
た文化施設では、開館日の拡大などの利用者サービスの向上策の実施のほか、市民のニーズに応
じた特色ある講座の新設や増設など、幅広く市民の文化活動の側面的支援を行っていく。また、
(仮称)北神区民センターについて平成22年度末を目途に整備し、併せて効果的な運営を行うた
めの準備を進めていく。さらに、旧乾邸については、先行取得した土地開発公社から買い戻しを
行うとともに、保存・活用に向けて調査・設計などを実施していく。これらの進捗により、当該
施策については、目標達成できる見込みである。
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
平成23年度以降についても、市民の主体的な文化芸術活動へのさらなる支援、鑑賞・体験や発
表の機会の提供、文化芸術に関する情報発信や交流機会の充実、市民ニーズ等も踏まえた文化施
設のあり方や効果的な運営方法等のさらなる検討などに、引き続き取り組んでいく必要がある。
評価
(2)文化に学び、芸術に磨かれるまちづくり
A
子どもの時から芸術等を身近に体験できるなど、市民が文化の魅力に気付き、出会う機会を確
保するとともに、芸術家や芸術家を支える人が育つまちづくりを進めている。
①子どもの時から芸術を身近に体験できる機会の確保という点からは、市内各小学校を巡回して
実施しているプロの神戸市混声合唱団によるオペレッタの鑑賞事業を平成21年度は24校を対象に
実施したほか、団員5人の合唱チームで学校に出向いて音楽の授業を行う「こんにちは皆さん~歌
うって楽しいね~」を小学校10校、中学校1校で実施した。また、世界的指揮者・小澤征爾氏が指
導する「小澤征爾音楽塾」の神戸での公開練習を平成21年4月2日に行い、約3,000人の小・中・高
校生が見学したほか、神戸文化ホールによるアウトリーチ事業として、ホール事業で出演する海
外のカルテットが中学校(1校)に出向き演奏を行うなど、本格的な質の高い音楽に触れる機会を
提供した。
さらに、市内の小中学校では、ゲストティーチャー制度により各学校で特色のある体験学習等
の取り組みを実施(平成21年度は小学校166校、中学校83校に対し、延4,732名の派遣)している
が、その中では、和楽器の演奏や華道・茶道などといった芸術文化に触れることができる機会も
創出している。また、学校外でも、夏休みなどに多様な分野のプロや「その道の達人」を招き、
能・狂言体験講座、サマーミュージックステーションなど82講座を開催し、子どもたちが芸術等
に触れる機会の提供を行った。
②博物館では、「トリノ・エジプト展」など海外博物館の館蔵品等による特別展を4回、企画展を
4回開催する(入館者合計約15万6千人)とともに、小磯記念美術館では、「宮本三郎展」などの
特別展を2回開催した(入館者数合計約3万人)。両館では、各種講座、講演会、ギャラリーツ
アーなどを実施したほか、学校等との連携事業(土器づくり教室など)や学校への出張授業など
館職員が出向いて行うアウトリーチについても引き続き行った。
14
目
標
達
成
状
況
神戸ゆかりの美術館(平成21年度入館者数26,432人)では、「町景色・水辺の色どり 風景画
コレクション」などの展覧会を4回開催するとともに、学芸員によるギャラリートークや、小中学
生向けの絵画鑑賞会・親子ミュージアムなどの関連事業を実施した。なお、近隣のファッション
美術館、小磯記念美術館との連携を進めるため、相互入館者割引や展覧会情報の相互広報などを
引き続き実施している。
神戸文学館(21年度入館者数19,491人)では、「空襲と文学」や「賀川豊彦の文学」など神戸
にゆかりの深い企画展示を4回行ったほか、大学の研究者等による文学講座やゴスペルのコンサー
トなど文学や文学館にちなんだイベントといった、特色ある自主事業を展開した。
③文化財保護と伝統文化の継承としては、伝統的・歴史的建造物等に関して助成制度等による保
存修理の支援を行うとともに、風見鶏の館・ラインの館の運営、「和田岬砲台」(国指定史跡)
本格修理工事の着手などを行ったほか、地域や地元保存会等と連携し、民俗芸能や伝統行事等を
学習する場として「地域子ども文化塾」を引き続き実施し、その学習成果として東垂水小学校三
味線塾など6つのステージや学習内容のパネル展示による「地域子ども文化塾交流発表会」を平成
22年1月に開催した。
④芸術家を育てるコンクールなどの各種競技会の開催としては、日本アマチュアシャンソンコン
クール、神戸ジャズヴォーカルクイーンコンテストなどを引き続き実施するとともに、平成21年3
月から4月にかけて第7回神戸国際フルートコンクールを実施(35か国・1地域から232人の応募、
19カ国・1地域の56人が出場)し、世界の有望な若きフルーティストたちの登竜門としての役割を
果たすとともに、「音楽のまち神戸」の国内外への発信に努めた。
また、平成21年6月3日に開館した海外移住と文化の交流センターでは、芸術と計画会議
(C.A.P.)が、「アート林間学校」「SHOWCASE」などのアーティストによる様々な事業を展開し
たほか、アトリエやギャラリーで多くのアーティストが創作・交流・活動を展開している。国産
1・2号上屋を活用した「波止場町TEN×TEN」においては、アーティスト・クリエーターなど
による常設展示や各種企画展、ミニコンサートなどが実施された。(なお、平成22年4月にはプロ
の芸術家養成や研究活動を行う「美術研究所」が開設されている。)
⑤芸術文化事業に見識を深める機会を提供するため、文化ホールでは、ホールの中で普段見るこ
とのできない舞台裏を紹介するバックステージツアーや、オペラや室内楽、歌舞伎、狂言の解説
セミナーなど、公演への理解を深める学習・体験型事業を実施した。
また、博物館では、平成20年度から導入している「博物館学習支援交流員(博物館ボランティ
ア)」が、ワークショップの運営補助などの活動を行った。そのほか、市内に点在する野外彫刻
を大切に守っていくという観点から彫刻に関心を持つグループが定期的にボランティアで彫刻み
がきを行ったり、第7回神戸国際フルートコンクールでは、ボランティアがプログラム販売や会場
整理などのコンクール運営の補助業務に従事するなど、文化芸術に関してさまざまなボランティ
ア活動が行われている。
さらに、神戸ビエンナーレ2007をきっかけに、アーティストやボランティア、地元の芸術関係
者等を中心に発足した「神戸ARTサポーターズ」については、今回の神戸ビエンナーレ2009に
おいても延べ2,111人が参加して、運営のサポート等が行われた。具体的には、作品制作補助、会
場運営補助、作品撤去補助等の運営ボランティアのほか、自主的な取り組みとして、乙仲通での
アートイベントの開催やギャラリーマップの制作、横浜トリエンナーレ等の各地で活動するボラ
ンティアとの情報交換の実施など、積極的な活動を行い、人的ネットワークの構築と幅広い市民
レベルでの協働による文化の振興に努めた。
なお、地域の身近なホールで質の高い室内楽コンサートを開催する「神戸国際芸術祭」が、神
戸大学大学院異文化研究交流センターを主体とする実行委員会と神戸市民文化振興財団との共催
で実施されているが、そのコンサート運営には多くの学生や市民ボランティアが携わるほか、コ
ンサートを支えるための「コンサート・ボランティア・セミナー」も行われるなど、文化芸術を
支えるボランティアやアートマネージャーの育成に向けての取り組みが進められている。
⑥2回目の開催となる「~港で出合う芸術祭~神戸ビエンナーレ2009」は、「わ」をテーマに、平
成21年10月3日から11月23日までの52日間にわたって、メリケンパーク、県立美術館、神戸港、三
宮・元町商店街などを主会場として開催した。コンテナを展示空間として「アート イン コンテ
ナ国際展」、「グリーンアート展」などの現代アートのコンペティションや伝統的芸術であるい
けばな、書などの企画展示のほか、音楽や大道芸などの多彩なイベントを繰り広げた。また、県
立美術館での神戸・兵庫ゆかりのアーティストによる現代アート展「LINK展」や、神戸港内に設
置した現代アート作品を船に乗って鑑賞する「海上アート展」、三宮・元町商店街と大学等が連
携したアートプロジェクトなども実施した。これらの主催事業には約16万4千人が来場し、多くの
方に芸術文化に触れていただく機会を提供した。
15
目
標
達
成
状
況
平成21年度の施策評価としては、小中高校生などを対象としたアウトリーチや体験講座等が引
き続き数多く展開されたこと(①)、博物館、小磯記念美術館、神戸文学館、神戸ゆかりの美術館
などの文化施設において様々な事業展開を行ってきたこと(②)、第7回神戸国際フルートコン
クールの開催など芸術家の登竜門となるコンクール等が実施されたこと(④)、「神戸ARTサ
ポーターズ」が積極的に活動するとともにさまざまな場に文化芸術に関するボランティアが関
わったこと(⑤)、多くの方々に芸術文化に触れる機会を提供するとともに、コンペティションに
よりアーティストの発掘・育成のため取り組みを進める「神戸ビエンナーレ2009」が開催された
こと(⑥)などにより、目標達成に向けて順調(A評価)とする。
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
引き続き、学校や文化施設など様々な場で、子どもたちが芸術や文化に触れ、その魅力に気づ
くことができるような機会のさらなる提供を図るとともに、アーティストやアーティストを支え
るボランティア等の育成など、芸術文化にかかる人材やネットワークづくりなどの取り組みにも
努めていく必要がある。
最終年度(平成22年度)においては、さらなるアートを生かしたまちづくりにつなげていく
「神戸ビエンナーレ2011」の開催準備を行い、アーティストの育成につながるコンペティション
等の検討を行っていく。また、「神戸ARTサポーターズ」の継続的な活動などを通じて、アー
ティストやボランティアのネットワークを継続・拡充を行っていく。さらに、「その道の達人」
に学ぶ体験講座や博物館等の文化施設職員などによるアウトリーチ活動の継続的な実施のほか、
歌唱指導を行う「こんにちは皆さん」事業を弦楽奏にも広げるなど、新たな取り組みも行ってい
く。また、小澤征爾音楽塾の演奏会を神戸で初めて開催するとともに、小・中・高校生を対象と
した公開リハーサルなども実施し、子どもたちをはじめ多くの市民が世界レベルの芸術に触れる
機会を提供する。これらの進捗により、当該施策については、目標達成できる見込みである。
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
平成23年度以降についても、神戸ビエンナーレなどを通じて、文化芸術を担う創造的な人材の
育成、交流機会の充実、活躍する場の提供や支援による人材の定着のほか、NPOやボランティ
アなどとの連携を通じて、芸術家や市民の文化芸術活動を支える仕組みづくりを推進していく必
要がある。また、子どもの時から芸術等を身近に体験できるなど、市民が文化の魅力に気付き、
出会う機会の確保にも、引き続き取り組んでいく必要がある。
評価
(3)文化芸術を活かした産業や賑わいの創出
A
文化芸術活動の場の充実を図るため既存施設の転活用に取り組むとともに、文化芸術を活かし
た街の賑わいや活性化に向けて、映像文化産業の支援、芸術文化コンペティションの誘致、魅力
ある文化イベントの企画運営に取り組んでいる。
①芸術文化コンペティションについては、神戸国際フルートコンクールやアマチュアシャンソン
コンクールなどの各種コンペティションを継続して開催した。
また、「神戸ビエンナーレ2009」においては、主要事業の「アート イン コンテナ国際展」を
はじめとして、「現代陶芸展」「大道芸」などのほか、新たに「グリーンアート展」「市民園芸
アート展」といった、合計7つのコンペティションを実施し、競い、集い、交流する場の確立を
図った。
なお、平成21年度は、「神戸ビエンナーレ2009」において2件のコンペティションが新たに開催
され、平成17年度からの4年間の累計でコンペティションの新規開催件数は16件となり、チャレン
ジ指標「ともに目指そう値」を達成した。
②映像関連では、14回を数える「アニメーション神戸」を開催し、アワードの授与のほか、子ど
もアニメ教室等の関連イベントや実践型ワークショップ、アニメーターOJTなどを実施した。さら
に、アニメーション神戸の取り組みの成果として、人的ネットワークの構築などを足がかりに、
平成22年3月に新長田において民間の新会社によるアニメーション制作スタジオ「アニタス神戸」
が旗揚げし、コンテンツ関連産業の振興・集積と人材の育成・発掘に寄与するものと期待されて
いる。
このほか、映像関連企業を含むICT関連企業同士を引き合わせて地域における業務提携や新たな
ビジネスチャンスの創出を目指す「ビジネスマッチング」や、企業に学生を一定期間受け入れて
もらい学生に将来目指す世界での就業体験をさせる「インターンシップ」などの取り組みを継続
している。
また、「神戸フィルムオフィス」事業として、21年度は135件の撮影支援(映画、TVドラマ、
CMなど)を行っており、撮影支援を行い公開された例としては映画「新宿インシデント」など
があった。
16
目
標
達
成
状
況
③既存施設の転活用による文化拠点の確保については、平成18年2月に国産1・2号上屋を改修し
オープンした「波止場町TEN×TEN」では、絵画や写真、工芸等の各種展覧会や音楽クリ
エーターによるミニコンサートなど、文化交流活動を通じ神戸港のウォーターフロント活性化を
図るための様々なイベントを継続して開催している。平成18年12月に王子市民ギャラリーを転活
用して開設した神戸文学館では、神戸にゆかりの深い企画展示や文学イベントなどを実施すると
ともに、平成19年3月に神戸ファッション美術館多目的室を改修し開設した神戸ゆかりの美術館で
は、神戸ゆかりの作品の展覧会やギャラリートークなどの関連事業を実施し、引き続き、地域文
化発信拠点としての機能を発揮した。
また、旧神戸移住センターを再整備して、平成21年6月に新たに「海外移住と文化の交流セン
ター」を開設し、海外移住に関する知識の普及(移住ミュージアム)、地域に在住する外国人の
支援のほか、海外アーティストによる滞在制作展など国際芸術交流活動を実施するとともに、子
どもたちのためのアート教室や芸術家による公開アトリエなどの事業を展開した(平成21年度入
館者数26,773人)。
さらに、みなとまち神戸の近代化の歴史を物語る貴重な歴史的資源である旧神戸生糸検査所を
平成21年7月に取得し、「デザイン都市・神戸」のシンボルとなる“創造と交流”の拠点である
「(仮称)デザイン・クリエイティブセンターKOBE」として活用していくこととしており、その活
用方針及び必要な機能について、学識経験者などからなる検討委員会において議論を進めた(平
成22年4月に報告書提出)。
④民間施設を利用した文化拠点としては、平成20年12月に現代美術を中心に活動するNPO法人が元
町高架下商店街の空き店舗においてオープンした「プラネットEartH」では、アートの展示やワー
クショップ、交流の場としてのカフェやサロンなど、多様なアートを活かした空間の創出を行っ
ている。また、平成21年4月には、コンテンポラリーダンスを中心に活動するNPO法人が新長
田の再開発ビル「アスタくにづか」において「ArtTheater dB 神戸」をオープンさせ、ダンス公
演やダンスワークショップのほか、10月には劇場付き市民劇団の旗揚げなど、様々な事業を展開
している。これらの活動に対して、市としては、活動助成などの支援を行ったほか、神戸ビエン
ナーレ2009では、神戸港会場における鑑賞船「ファンタジー号」の船内でダンスパフォーマンス
を展開するなど、連携も図っている。
⑤市内で行われる各種イベントについては、「神戸まつり」、「インフィオラータこうべ」、
「神戸ルミナリエ」など魅力あるイベントを市街地エリアなどで引き続き実施するとともに、平
成21年度は、神戸を代表する芸術祭として定着すべく「神戸ビエンナーレ2009」を開催し、多彩
なイベント情報を雑誌やホームページ等で効果的に発信するなど、街の賑わいや活性化に努め
た。また、「神戸ジャズストリート」をはじめとして「Motomachi East Jazz Picnic」「ジャズ
ウォーク」など、ジャズに関する全国規模のイベントや魅力あるイベントを「ジャズのまち神
戸」として情報発信しているほか、新開地を舞台とした「ジャズヴォーカルクイーンコンテス
ト」や音楽ライブやアートなどが楽しめる「新開地音楽祭」など、様々な取り組みを「新開地
ミュージックストリート」として集中的なPRや事業展開を行った。
なお、芸術文化イベントの情報発信については、神戸市民文化振興財団が、市や民間の文化施
設等が実施するさまざまなイベントなどの情報を集約する文化情報誌「KOBE C情報」を毎
月5万部発行しているほか、その内容は同財団のホームページでも掲載し、広く発信している。
また、神戸の秋の芸術シーズンを盛り上げるため、「神戸アートウォーク」事業も引き続き展
開している。具体的には、9月から12月にかけて開催される様々な文化イベントの主催者と連携・
協力し、それらの文化イベント情報を束ねて「KOBE C情報臨時号」を発行し、共同広報を
行うとともに、各会場をめぐるスタンプラリーを開催している。
さらに、各区や地域においても、「東灘アートマンス」「灘文化軸秋の大芸術祭」などのよう
に、地域、施設、学校等が連携・協力しながら、多彩な文化イベント等を結びつけ実施されてい
るほか、新長田地域では、鉄人28号モニュメント(平成21年10月完成)や、三国志など横山光輝
氏の作品を生かした地域の活性化にむけ、地元商店街などの連携・協力による様々なイベント等
が効果的に展開されている。
⑥街のオープンスペースを利用してフルートやジャズ演奏を繰り広げる「まちのアートステー
ジ」を定期的に開催しており(平成21年度は26回、参加者数約440人、観客数約9,200人)、若手
アーティストの育成とともに街の賑わいづくりに取り組んだ。フルートについては概ね月1回、旧
居留地や神戸空港又はNHK放送局でステージを開催し、ジャズについては、NHK神戸放送局
で3ヶ月に1回程度開催するとともに、「東灘アートマンス」と連携してジャズライブを実施した。
また、平成21年度は、「神戸ビエンナーレ2009」とも連携し、会場内でのジャズやフルート演奏
のほか、プレイベントでのパフォーマンスとして演奏も行った。
17
目
標
達
成
状
況
平成21年度の施策評価としては、芸術文化コンペティションの新規誘致・開催件数が「ともに
めざそう値」を達成したこと(①)、アニメーション神戸などの映像関連事業が継続的に行われ
ており、特にその成果として「アニタス神戸」が開設されたこと(②)、海外移住と文化の交流
センターがオープンし、様々な事業が展開されるとともに、「(仮称)デザイン・クリエイティ
ブセンターKOBE」活用に関する検討が進んだこと(③)、地域の取り組みにより、全国規模や集
客性のあるイベントの継続的・集中的な情報発信に成果を上げていること(⑤)、まちのアート
ステージの定期的な実施により、街の賑わいの創出に努めていること(⑥)などにより、目標達
成に向けて順調(A評価)とする。
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
文化芸術のもつ創造性を活かしたまちの賑わい等の創出には、引き続き、神戸ビエンナーレな
どでの魅力あるイベントの開催や映像関連産業への支援、各種ジャズイベントやまちのアートス
テージの定期的・継続的な開催のほか、多様な機会をとらえ既存施設の活動拠点確保などを通じ
て、芸術文化のさらなる振興と来街者の増加に努め、まちの賑わいや活性化につなげていくこと
が必要である。
最終年度(平成22年度)においては、芸術文化の振興とまちの賑わい、活性化につなげていく
ため「神戸ビエンナーレ2011」の開催について検討を進めていくとともに、引き続き「神戸ジャ
ズストリート」等のジャズイベントや「まちのアートステージ」などジャズや音楽のまちにつな
がるイベントを効果的に実施するほか、「海外移住と文化の交流センター」の運営や「(仮称)
デザイン・クリエイティブセンターKOBE」の整備を進めるなど、既存施設の活用にも努めてい
く。また、「アニタス神戸」、鉄人28号モニュメント等の連携により、アニメーション神戸関連
イベントを実施するとともに、神戸フィルムオフィスが設立10周年を迎えることから、展示会・
トークショーの開催やロケ地ガイドの作成等の記念事業を実施し、映像による神戸の魅力発信や
映像関連産業の振興を図っていく。これらの進捗により、当該施策については、目標達成できる
見込みである。
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
平成23年度以降についても、引き続き、コンペティションや様々な文化イベント等を活かし観
光とも連携した賑わいの創出、文化芸術関連施設や既存ストックの活用などにより文化芸術の創
造性を感じるコアエリアづくりの検討、アニメーションなどのコンテンツを創り出す新たなクリ
エイティブな人材の育成や産業の振興などに引き続き取り組んでいく必要がある。
評価
(4)神戸らしい都市ブランドの創造・強化
A
神戸らしい文化を継承し、創造していくため、神戸らしさを活かしておしゃれな街のイメージ
を発信・定着させるとともに、「デザイン都市・神戸」を推進することにより、神戸らしい都市
ブランドの確立を図る。
①都心ゾーンの回遊性のあるまちづくりについては、震災の経験と教訓を継承し、市民と協働で
つくり続ける公園として、神戸震災復興記念公園(みなとのもり公園)を平成22年1月に開園し、
ウォーターフロント東西の回遊性の向上が進んだほか、まちかど案内サインについて、主要交差
点等における不足箇所への増設やユニバーサルデザインに配慮した構造への改修などを引き続き
行った。また、ウォーターフロントを含む都心のあり方・将来像については、平成21年11月に学
識経験者や各界有識者からなる「都心・ウォーターフロント研究会」から提言(「港都 神戸」
の創生)を受け、平成22年2月には都心部のまちづくり団体や臨海部の事業者、関係官庁と意見交
換会を行うなど、都心・ウォーターフロントのグランドデザインに関する検討を進めている。
②神戸ジャズストリートなどのジャズをテーマとする様々なイベントを開催し、ジャズに出会え
る「ジャズのまち神戸」の演出に取り組むとともに、「まちのアートステージ」の開催を通じて
街角で定期的にジャズやフルートの音が流れるおしゃれな音の文化の演出に取り組んだ。また、
平成21年3月から4月にかけて第7回神戸国際フルートコンクールを開催し、関連イベントの実施な
ども通じて、「音楽のまち神戸」の国内外への発信に努めた。なお、市役所では、本庁舎1号館の
玄関ロビー及び展望ロビーでクラシックやジャズの音楽を常時流しているほか、玄関ロビーでは
月1回「シティホールコンサート」を職員有志による実行委員会主催で実施しており、音楽による
魅力ある空間の演出に寄与している。
③「神戸まつり」については、新型インフルエンザの拡大を防ぐため、平成21年5月17日のメイ
ンフェスティバルを一旦中止したが、神戸のまち全体を盛り上げるとともに、元気な神戸を全国
に発信するため、7月19日に日を改めて実施した。引き続き、東京ディズニーリゾートをゲストに
迎え観光集客につなげるとともに、魅力ある市民提案型イベント等も実施するなど、街の賑わい
の創出に努めた。
18
目
標
達
成
状
況
④神戸にはアジアを中心として数多くの外国人が居住していることから、多文化共生の取り組み
として、神戸国際協力交流センターの国際協力・交流事業を対象とした助成制度や、神戸アジア
交流プラザでのアジア諸国からの留学生によるセミナー開催などを通じて、民間の国際交流活動
の支援を進めてきた。また、国際協力・交流活動を行う49団体が一堂に会し交流を深めるととも
に、市民にアジアをはじめ諸外国の文化を知ってもらうため、14回目となる「神戸国際交流フェ
ア2010」を平成22年3月に開催した。
また、海外移住の拠点であった旧神戸移住センターを再整備して、平成21年6月に新たに「海外
移住と文化の交流センター」を開設し、移住資料展示等(移住ミュージアム)を通じて海外移住
の歴史・意義を伝えるとともに、母語教室や生活相談、料理教室、フェスタといった南米日系人
を中心とする在住外国人の支援事業のほか、外国人のための就職支援講座や多文化共生を考える
研修会の開催など、特色ある様々な事業を展開した。
国際的イベントとしては、「第7回神戸国際フルートコンクール」の開催などのほか、民間の取
り組みの例としては、ArtTheater dB 神戸において「神戸-アジア・コンテンポラリーダンス・
フェスティバル #01」が平成21年12月から平成22年1月にかけて開催され、アジアや日本で活躍
するダンス・アーティストによる上質な身体表現に出会えるプログラムなどを提供し、コンテン
ポラリーダンスを通じて神戸の魅力の発信にも寄与した。
また、ハリケーン災害からの復興に取り組むニューオリンズ市と神戸市の間に平成20年度に設
置されたジャズを通じた民間交流組織により、引き続き、ジャズコンペティションへの特別ゲス
ト出演や食文化交流などの交流行事が行われた。
⑤神戸を発祥とするジャズのイメージを活かし、「ジャズのまち神戸」といった都市ブランドの
構築のため、神戸ジャズストリートなどの数多くのジャズイベントを開催するとともに、「まち
のアートステージ」の開催により、定期的にジャズの音が流れるおしゃれな街の演出に取り組ん
だ。
映画の分野では新開地を中心として、新開地出身の映画評論家である故・淀川長治氏を偲び、
映画上映等の催しを行う「新開地 淀川長治メモリアル」、まちの歴史文化財産である映画を魅
力として発信しまちづくりにつなげることを目的として映画上映やトークショー等の催しを行う
「新開地映画祭」などの映画イベントを引き続き実施した。
また、ファッションの分野でも、「神戸ファッションウィーク2009秋/冬」・「2010春/夏」
を実施し、1万人超の集客を誇る「神戸コレクション」や神戸空港での「ターミナルコレクショ
ン」など、様々なイベントが集中して開催されたほか、平成18年度から開催されている「神戸コ
レクション」の上海公演についても、平成21年度も引き続き開催されるなど、ファッション都
市・神戸を効果的に発信した。
⑥神戸がさらに魅力的で個性あふれるまちとなることをめざして、創造都市戦略「デザイン都
市・神戸」を推進しており、平成21年度は、市民に広く様々なデザインに触れてもらうため10月
16日を「KOBEデザインの日」とし、記念イベントとして「デザイン・クルージング コウベ2009」
を開催したほか、「デザイン経営者フォーラムin KOBE」の開催、「“神戸洋菓子”デザインア
ワード」などのデザインコンペティションの実施、「感性価値創造ミュージアムin KOBE」の開催
など、様々な啓発・発信事業を展開した。また、ユネスコ・創造都市ネットワークのデザイン分
野での認定都市6都市による「ユネスコ・デザイン都市フォーラム」やモントリオール市との連携
事業である国際ワークショップ「WAT_Kobe Japan 2009」を開催するなど、他都市とのパートナー
シップの構築とともに、「デザイン都市・神戸」の国内外への発信に努めた。さらに、「デザイ
ン都市・神戸」のシンボルとなる“創造と交流”の拠点である「(仮称)デザイン・クリエイ
ティブセンターKOBE」として活用するため、学識経験者等からなる検討委員会において議論を進
めた。
平成21年度の施策評価としては、都心ゾーンにおける回遊性の向上に向けた検討や取り組みが
着実に進んでいること(①)、第7回神戸国際フルートコンクールの開催などを通じて「音楽のまち
神戸」の国内外への発信を行ったこと(②)、神戸アジア交流プラザでの交流事業や神戸国際交
流フェアが引き続き実施されるとともに、海外移住と文化の交流センターがオープンし、多文化
共生に関する様々な事業が展開されていること(④)、『デザイン都市・神戸』推進のための様々
な事業が実施されるとともに、ユネスコ・創造都市ネットワークの「デザイン都市」認定に伴う
連携・交流事業も行われ、パートナーシップの構築と国内外への発信に努めるとともに、『デザ
イン都市・神戸』のシンボルとなる「(仮称)デザイン・クリエイティブセンターKOBE」整備に
向けた検討を進めたこと(⑥)などから、目標達成に向けて順調(A評価)とする。
19
目
標
達
成
状
況
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
都市ブランドの創造・強化のため、引き続き、音楽のまちの推進やおしゃれなまちの演出のほ
か、回遊性のあるまちづくりといった取り組みに加え、創造都市戦略『デザイン都市・神戸』の
啓発・発信とまちの魅力に磨きをかけていくとともに、ユネスコの認定を契機にした交流と連携
をさらに進め、神戸の魅力と『デザイン都市・神戸』の取り組みを国内外に発信していく必要が
ある。また、神戸のもつ多文化共生の文化風土を活かし、さらなる多文化の交流・発信事業や国
際芸術文化の交流に資する事業を進めていく必要がある。
最終年度(平成22年度)においては、『デザイン都市・神戸』を推進していくため、創造と交
流の拠点となる「(仮称)デザイン・クリエイティブセンターKOBE」の整備を進めるとともに、
創造的な人材の育成とさらなる集積・ネットワークを構築していくため「KOBEデザイン・ハブ事
業」を実施していくほか、「アジア創造都市ネットワーク会議」の開催などユネスコ・デザイン
都市ネットワークを活用した連携・交流事業、「KOBEデザインの日」記念イベント、「デザイ
ン・ルネッサンス神戸PROJECT」などの事業を展開する。また、21年6月に開設した国際芸術文化
の交流の場としての「海外移住と文化の交流センター」において、様々な事業を通じて多文化共
生の推進と集客を通じた地域の活性化を図っていく。さらに、神戸国際フルートコンクール記念
演奏会の開催などを通じて、国内外に「音楽のまち・神戸」の発信に取り組んでいく。これらの
進捗により、当該施策については、目標達成できる見込みである。
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
平成23年度以降についても、ジャズ、映画などの神戸が発祥の地となる文化資源、フルートと
いった「音楽のまち神戸」のイメージ、歴史的な多文化共生の文化風土など様々な地域資源を活
用のほか、神戸ビエンナーレのような先駆的・多様性の文化風土を生かした神戸ならではの芸術
文化の取り組み、さらに創造都市戦略『デザイン都市・神戸』の推進など、神戸らしい都市ブラン
ドの創造・発信に資する事業に引き続き取り組んでいく必要がある。
※ 評価(目標の達成状況)について
A:目標達成に向けて順調 B:目標達成に向けて概ね順調
C:目標達成に向けてあまり順調に推移していない D:目標達成に向けて不調
20年度評価
21年度評価
数値
数値
策定値
指 標 項 目
数値増減
ャ
チ
「日常的に文化活動を行っている人」の
割合
レ
ン 文化的・歴史的イベントの数
ジ
指
標
の アートプラットホームの利用件数
状
況
*2
創造的産業従事者
芸術文化コンペティションの新規誘致
件数
(21年3月ともに目指そう値変更)
26.8%
(平成16年度)
約2,000件
(平成16年度)
255人
(平成16年度)
達成度評価
数値増減
達成度評価
30.5%
(平成20年度)
31.2%
(平成21年度)
5
5
約2,190件
(平成20年度)
約2,200件
(平成21年度)
4
5
365人
(平成20年度)
383人
(平成21年度)
4
4
―
*1 16,926人
(平成13年)
ともに
目指そう値
30%
2,200件
400人
―
18,000人
―
0件
(平成16年度)
―
―
―
14件
(平成20年度)
16件
(平成21年度)
4
5
10件
計画当初
15件
*1 創造的産業従事者の統計分類が平成16年の調査から変更されたことに伴い、平成13年の数値を新しい分類に基づいて修
正した。
*2 「事業所・企業統計調査」(平成21年度から「経済センサス」に変更)は、2~3年に1回実施
※ 評価(数値増減)について
:前回評価時の値を上回っている。
:前回評価時の値とほぼ同等
:前回評価時の値を下回っている。
20
※ 評価(達成度評価)について
5:目標値達成 4:達成率75%以上 3:達成率50%以上
2:達成率25%以上 1:達成率25%未満
※ 達成度評価とは
2010年のともに目指そう値に対する策定値からの達成度
計算式:(現状値ー策定値)÷(ともに目指そう値ー策定値)
「神戸2010ビジョン」検証委員会の意見
【平成21年度の取り組みに対する内部評価について】
・ 目標達成状況に対する評価は妥当である。
・ 多文化共生の風土を活かすとあるが、具体的にどう活かすのかが求められている。
【最終年度における目標達成状況について】
・ 事業の進捗から総合的に見て、最終年度における目標達成見込みは妥当である。
【総仕上げに向けた助言】
① 外国では、博物館などの文化施設において、使命感や生きがいを持ったボランティアが数多く活
躍している。神戸でも、ボランティアとの関わりを深め、様々な経験を積んだ人たちが、生きが
いをもって取り組む場としていくことが必要ではないか。施設でのおもてなしという面からも、
神戸の特色になるのではないか。
② 多文化共生の風土を活かすためにも、全体としての参加者数だけではなく、多様な市民が文化芸
術に参加できるよう世代など様々な属性別に市民のアクセス状況を把握した事業展開が必要に
なってくる。今後そういった考え方に対応できるよう整理しておいてはどうか。
【平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題への意見】
① 協働と参画を文化政策にどう具体化していくかが求められている。博物館や美術館でも、市民が
企画、決定、実施、評価し、共同経営責任を負っていくような仕組みをつくることで、文化政策
はもっと発展するのではないか。
② ウォーターフロントの活性化の取組みは、横浜などと比べると、さらに進めるべきと感じる。
③ 多様性を活かすため、在住外国人コミュニティとの連携の視点も重要である。
21
検証・評価シート
アクションプラン
4.減災・防犯から始まる安全都市推進プラン -平成21年度の取り組み状況-
取りまとめ課
危機管理室
担当課
市長室国際交流推進部、 企画調整局総合計画課、
市民参画推進局地域力強化推進課・区政振興課・広報課・消費生活課・青少年課、
保健福祉局計画調整課・地域保健課・予防衛生課、
環境局庶務課・環境保全指導課・業務課・地球環境課、
産業振興局庶務課・農林土木課
建設局庶務課・道路部管理課・道路部計画課・道路部工務課・下水道河川部河川課・
下水道河川部計画課・下水道河川部工務課・公園砂防部計画課・公園砂防部緑地課、
都市計画総局計画課・まちのデザイン室・耐震化促進室・住宅整備課・住宅管理課・
建築安全課・安全対策課・技術管理課・建築課・設備課、
みなと総局総務課・計画課・経営課、
教育委員会教育企画課・学校整備課・指導課・健康教育課、
消防局庶務課・施設課・司令課・予防課・査察課・建築危険物課・警防課・救急課、
水道局計画課
市民のくらしや産業などの都市活動においては、安全が確保されていることが前提となる。過
目 去の大水害や阪神・淡路大震災をはじめ、国内外で発生する災害や犯罪などの危機を教訓とし
標 て、あらゆる危機から、生命など絶対に守らなければならないものはしっかり守りながら、被害
を最小限に抑えるまちを実現する。
(1)長期的な視点に立った危機管理・防災戦略
目
標
達
成
状
況
評価
A
長期的な視点に立った危機管理・防災戦略として地域防災計画の改正や新たなマニュアルの作
成、及び実効性を確保するため、様々な形態での訓練を実施している。
①平成21年度は、地域防災計画及び危機管理マニュアルの実効性を確保するため、各区において
地域の実状にあった防災訓練を実施した。
②高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)由来の新型インフルエンザを想定し、平成20年2月に「神戸市
新型インフルエンザ対策実施計画」を策定した。平成20年11月には「新型インフルエンザ発生初
期対策訓練」を実施した。
平成21年度は、5月に発生した新型インフルエンザ(A/H1N1)への対応について検証を行い、感染
防止対策を迅速に決断したことなど対応の総括を行うとともに、新型インフルエンザ発生時に、
市民・企業の対応の判断根拠となる具体的な情報提供を継続的かつ効果的に行う必要があるな
ど、今後の対応に向けた提言が示された。
③東南海・南海地震対策では、市内11箇所の浸水予想地域を対象に住民避難や浸水防止対策をま
とめる「地域津波防災計画」の作成支援を進めている。平成18年度末で7つのコミュニティで策定
が済み、3つのコミュニティで策定に準じた対応が済んでいる。平成21年度は海岸保全施設(防潮
胸壁等)の整備を新港地区で行った。
④平成18年度に「神戸市国民保護協議会」を設置し作成した神戸市国民保護計画に基づき、平成
19年度は神戸市国民保護実施マニュアル「爆破テロ対策編」、平成20年度は神戸市国民保護実施
マニュアル「化学剤テロ対策編」を策定した。平成21年度は神戸市国民保護実施マニュアル「生
物剤テロ対策編」を策定した。
平成21年度の施策評価としては、平成21年5月に発生した新型インフルエンザ(A/H1N1)の対応に
ついて検証(②)を行い、対応の総括や今後に向けた提言が示された。また、防災訓練(①)や
国民保護実施マニュアルの策定(④)を行った。より実効性を高めていくための訓練、研修等も
行っていることから、目標達成に向けて順調(A評価)とする。
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
危機管理・防災戦略として、対応マニュアルの作成及び実効性を確保するために、様々な形態
での訓練の実施が重要である。今後も、防災力の向上を図るため、訓練や研修等の継続及び結果
の検証を計画やマニュアルに反映していくことが必要である。
平成22年度は、東南海・南海地震を想定した市総合防災訓練を実施する。また、新型インフル
エンザ対応の検証結果を踏まえ、「新型インフルエンザ対策実施計画」に反映させていく。これ
らの進捗により、当該施策については、目標達成できる見込みである。
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
平成23年度以降についても、あらゆる危機に対応するために社会環境の変化、新たな危機に対
応したマニュアルを必要に応じて作成するとともに、常に最新の状態に更新していく。また、発
生した災害等に即応できるよう、職員研修や地域と連携した防災訓練等を通じて、周知、習熟、
検証し、地域及び職員の危機対応力の向上を図る。
23
(2)地域の防災・防犯力の強化
目
標
達
成
状
況
評価
A
地域の防災・防犯力を強化するために、地域による見守り活動の支援、防災福祉コミュニティ
活動の活発化の支援に取り組んでいる。
①小学校の通学路の安全対策として全小学校(166校)で「子ども見守り活動隊」が結成されてい
る。平成21年度末には登録者数が約3万5千人(結成当初:2万7千人)を超え、登下校時の通学路
において子どもたちの見守り活動を行った。さらに、防犯の専門家によるパトロール活動の指導
を受け、活動体制の強化を図っている。
②夜間における交通の安全と防犯を目的として、防犯灯の設置(約71,000灯)を行ってきたが、
より明るく住みよいまちづくりを推進するため、平成17年度に防犯灯の基準を従来の20wから32w
にランクアップした。住民と一緒に暗がりパトロールなどを行いながら、平成22年度までに防犯
灯の約半数にあたる35,000灯の照度アップを目標にしており、平成21年度末で目標の約123%を完
了し、目標を達成した。
様々な防犯活動の取り組みにより、犯罪認知件数が平成14年をピーク(50,895件)に減少傾向
にある。平成21年は26,989件(平成20年は28,657件)まで減少している。
③阪神・淡路大震災の教訓から、自分たちのまちは自分たちでまもることの大切さが認識された
ため、日頃から市民・事業者が福祉活動と防災活動に取り組み、いざという時に一丸となって地
域を守る活動ができるように、概ね小学校区単位で「防災福祉コミュニティ」の結成支援に取り
組んだ。平成22年度までに市内全域191地区での結成を目標としており、平成20年度末で市域全域
191地区で結成した。平成21年度は、引き続き消防職員の地区担当制によりきめ細かい対応と、地
域の人が手軽に参加できる活動メニューを提示し、小規模な訓練も含め775回/年の訓練が実施さ
れた。昨年度と比べ訓練回数が減っているが、主な要因としては、新型インフルエンザが流行し
たため、一部では訓練・イベントが中止されたことや、感染への懸念から参加を控えるといった
ことが影響したと考えられる。
市民1万人アンケートを利用したチャレンジ指標の「防災・防犯など安全・安心に関する地域
活動に参加している市民の割合」は大幅に減少した。この要因を特定することは困難であるが、
上記新型インフルエンザによる訓練・イベントの減少のほか、急激な経済環境の悪化等により、
市民が自身の暮らし・経済の立て直しなどを優先せざるを得ない状況が増した結果、地域活動へ
の参加率が低下したものと推察される。
④平成18年度に「交通事故のない神戸」を目指して、第8次神戸市交通安全計画(平成18年度~22
年度)を策定した。計画の中では、今後5年間で年間の事故後24時間以内の死亡者数を40人以下、
死傷者については12,000人以下にすることを目標としている。平成21年は、死傷者数は11,223
人、24時間以内の死亡者数は36人と目標を達成した。また、社会問題となっている飲酒運転の撲
滅については、平成21年中の飲酒運転による事故件数は58件(前年比-20%)、死傷者数87名(3%)と減少した。
⑤災害に強いまちづくりには企業との連携が必要である。企業、行政、研究機関が協働して危機
管理に関する調査・研究・連携体制づくり及び危機管理能力の向上のため、神戸市内に拠点のあ
る企業や神戸大学、京都大学、神戸学院大学など76の会員で構成する「神戸安全ネット会議」の
運営支援を行っている。平成21年度は、新型インフルエンザへの対応に関するワークショップ、
マスコミ対応についての講演会を開催した。
⑥平成18年3月に策定した「消費者基本計画」を踏まえ、消費者、事業者、行政の協働により安
全・安心ネットワークを構築する。平成21年度は、悪質商法対策として、悪質商法追放モデル地
区の拡大、消費者あんしんメールの配信など消費者被害の未然・拡大防止のための消費者への情
報提供・啓発をすすめた。また、消費者問題の解決において、神戸が基本としている消費者・事
業者・行政による「三者合意システム」の理念に基づき、神戸コンシューマー・スクールを開校
し、消費者と企業の両者の立場から消費者問題の解決策を探る専門家(消費生活マスター)の育
成等を行った。
平成21年度の施策評価としては、防犯ではこども見守り隊(①)の参加人数も増え、街灯の照
度アップ(②)も順調に進んでおり、平成14年をピークに刑法犯認知件数が年々減少している。
交通安全対策(④)では飲酒運転の撲滅について啓発運動の効果により事故件数、死傷者数とも
前年に比べ減少し、24時間以内の死亡者数も減少した。防災では、防災福祉コミュニティが市内
全域で結成され、目標を上回る回数(③)の訓練が実施された。1万人アンケートでは地域活動
に参加する市民の割合は減少しているものの、地域の防災、防犯活動が着実に進められているた
め、目標達成に向けて順調(評価A)とする。
24
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
防犯では、小学校の通学路の安全対策として子ども見守り隊への支援を継続していく必要があ
る。また、神戸市交通安全計画の目標を達成するため、計画による諸施策を講じていく。防災で
は、防災福祉コミュニティの活動を支援し、地域防災力の向上と参加者増加を図っていくととも
目 に、地域と企業との連携協力を図ることが重要である。消費者の安全安心では、消費者基本計画
標 を踏まえた取り組みを進めていく。
達
成 平成22年度は、神戸市交通安全計画による諸施策を講じ24時間以内の死亡者数減少を図るとと
状 もに、引き続き地域組織や警察などの関係団体と連携しながら、交通安全市民運動や子ども、高
況 齢者を中心とした交通安全教室を実施し、交通事故のない神戸を目指して取り組んで行く。ま
た、防災福祉コミュニティの訓練参加率の向上のため活動メニューの提示や活動のための具体的
方策をマニュアルとして配布し、参加者の増加を図っていく。これらの進捗により、当該施策に
ついては、目標達成できる見込みである。
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
平成23年度以降についても、地域の防災防犯力の強化には、自分たちのまちは自分たちで守る
という意識が大事である。より多くの市民の参加と継続した活動を図るための取り組みを進めて
いく必要がある。
(3)危機管理・災害対応力の強化
評価
A
危機管理・災害対応力強化にむけて「市民とともに築く安全・安心都市神戸の拠点」をテーマ
に「神戸市危機管理センター」の整備を具体的に進めている。
①設備の老朽化解消や国からのデジタル化要請を踏まえ、「新危機管理情報システムの構築」
「防災行政無線のデジタル化」「消防救急無線のデジタル化」「消防新管制システムの構築」及
び「危機管理センターの整備」について、平成24年度を目標に作業を進めている。平成21年度
は、危機管理センターの建設に着手した。
②近年の災害では高齢者などの犠牲者が相次いでおり、自力避難困難な寝たきりの高齢者や重度
の身体障害者など、いわゆる「災害時要援護者」の避難支援の仕組みづくりについて、平成19年
度は地域での取り組みに際して参考となるよう、平成18年度に実施した東灘区魚崎地区での「地
域みんなで助け隊」の取り組み内容を「手引書」として作成した。平成20年度から「災害時要援
護者」の情報を地域と行政が共有化することにより災害時要援護者避難支援の体制づくりへとつ
なげる、「災害時要援護者支援モデル事業」を実施している。平成21年度は、モデル事業のほ
か、地域での自主的な取り組みも含めて、5区7箇所で取り組みの支援を実施した。
③救急医療体制が医師不足等を背景に維持が深刻な問題となっていることから、小児科医療救急
体制の充実が必要である。平成21年度は小児科初期救急拠点である「神戸こども初期急病セン
ター」をHAT神戸で開設するための取り組みを進めた。
④感染症等健康危機管理体制の充実・強化として、平成21年5月に発生した新型インフルエンザ
(A/H1N1)対応から「感染症早期探知地域連携システム(神戸モデル)」や「新型インフルエンザ
対応神戸協働のしくみ」等の枠組みを構築するとともに、新型インフルエンザ対応の検証を踏ま
えた「インテリジェントシステム」の構築を進めた。
平成21年度の施策評価としては、危機管理センターの建設工事に着手し(①)、平成24年度運
用開始に向け予定どおり進めている。また、平成22年度開設に向け、小児科初期救急拠点の整備
を進めている(③)など、危機管理・災害対応力の強化が着実に進んでいることなどから、目標
達成に向けて順調(評価A)とする。
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
危機管理・災害対応力の強化を図るため、危機管理センターの建設や消防救急無線のデジタル
化などの整備、小児科救急医療体制の充実を進めていく。
平成22年度は危機管理センターの建設や消防救急無線のデジタル化などの整備を行う。地域の
要援護者対策の取り組み支援については、地域での啓発や働きかけなどを通じて、取り組みを広
めていく。また、小児科救急医療拠点の整備を行う。これらの進捗により、当該施策について
は、目標達成できる見込みである。
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
平成23年度以降についても、危機管理・災害対応力の強化を図るうえで情報の発信や収集の
ツールの整備、救急救助体制の整備などを進めることが大切であり、これらの取り組みを市民に
周知することにより地域の防災防犯力の強化につなげていくことが必要である。危機管理・災害
対応力の強化のために整備を進めている「危機管理センター」の役割や効果等を市民に十分周知
するとともに検証を行っていく必要がある。さらに、災害時要援護者支援の取り組みを広めてい
くことや小児科救急医療体制の充実などを進めていく必要がある。
25
評価
(4)災害に強い安全都市基盤の構築
目
標
達
成
状
況
B
災害に強い安全都市基盤の構築に向けて計画目標値を定め整備を進めている。
①近い将来にかなり高い確率で発生する東南海・南海地震や直下型地震に備えて「自分のすまい
を知る」「すまいを丈夫にする」「すまい方を工夫する」を3原則に「すまいの耐震化」を促進し
ている。阪神・淡路大震災により古い住宅の多くが被災し、相当数が建て替わっていることか
ら、現在のすまいの耐震化率は政令市の中で一番高い84%(平成15年推計)となっている。平成
19年度に策定した「神戸市耐震改修促進計画」では、これを平成27年度末には95%にすることを
目標としており、古い耐震基準で建てられた住宅を出来る限り多く耐震診断・改修等する必要が
ある。
そのためには、耐震診断・改修等を進めるための補助制度等の支援策を進めるだけでなく、市
民に耐震化の必要性を啓発していくことが必要である。支援策として、平成17年度に耐震診断の
無料化とともに耐震改修や家具固定に対する補助制度を創設した。また、啓発の活動として、平
成18年度から、9~10月を「すまいの耐震キャンペーン」期間とし、市民団体や専門家団体、報道
機関等と連携し集中的な啓発を行っている。これらの取り組みの効果として、平成21年度は、耐
震診断、耐震改修工事の件数がいずれも前年度よりも増加した。(診断:1,563戸→1,754戸、改
修工事:153戸→269戸)
②災害発生時に避難所となる「小中学校の校舎の耐震化」については、旧耐震基準の校舎を対象
に耐震診断(平成17年度末100%)を行い、緊急性のあるものから順次、耐震補強・改築などを計
画的に進めている。平成21年度末までに耐震化率80%、平成26年度末までに100%を目指して取り
組んでいく。平成21年度末で耐震化率が85.7%となり、目標を達成した。
③三宮南地区浸水対策として、新港地区高潮対策事業による海岸保全施設(防潮胸壁等)の整備
を進めるとともに、新港地区や国道2号を中心とした低地盤地区において雨水ポンプ場および雨水
管渠の整備を行っている。しかし恒久対策としてはまだ長期間を要する。平成19年度に緊急対策
が完了し、平成16年浸水時の気象条件には対応できることとなった。また、恒久対策の核となる
京橋ポンプ場の建設を平成19年度より引き続き行っている。
④津波浸水予想地域を中心に「津波・高潮危機管理対策緊急事業」として平成22年度までに鉄扉
のアルミ化・電動化、水門改良、堤防階段・スロープの設置、護岸破堤防止対策などを行う。平
成21年度は、鉄扉のアルミ化を2基完成させ、また遠矢浜地区で破堤防止対策を行った。
⑤飲料水の緊急貯留システムは、全市で47箇所、平成22年度までに38箇所を目標として事業を実
施してきたが、平成22年度の目標を新たに43箇所として事業を実施し、平成21年度末で42基の整
備が完了した。
⑥「橋梁の耐震対策」について、緊急輸送路に架かる橋梁及び鉄道や道路を跨ぐ橋梁のうち耐震
化の必要な約190橋を優先して進めていく計画である。耐震基準の特に古い24橋については平成22
年度までに完成させる予定であり、平成21年度末で23橋が完了した。
⑦アスベストが原因とみられる死亡・疾病例が全国的に多数報告される中で、神戸市では市民の
不安を解消し、安全と安心を確保していくため、兵庫県等関係行政機関と連携しながら「アスベ
スト対策」を行っている。
平成17年度から神戸市アスベスト問題連絡調整会議を開催して情報の共有化や関係機関との連
絡体制の確保などを図ってきた。一方、平成17年8月よりアスベストの環境大気濃度の測定を各区
1地点計9地点とした。
市有施設で基準を超えていた施設については、92施設について除去工事等の必要な措置を進め
ている。平成21年度末は5施設で除去等の措置が完了し、未処置は1施設となった。民間建築物に
ついては調査、対策指導や飛散防止の注意喚起を行うとともに、平成18年4月に創設した、民間住
宅のアスベスト分析費用の一部助成制度に加え、多数の方が利用する既存建築物にあるアスベス
トの含有調査や、除去等工事に要する費用の一部を補助する制度を平成18年7月に創設した。平成
21年度は、民間施設への助成制度について調査費の補助率引き上げや工事費の限度額引き上げ等
の拡充を図るとともに、所有者等に対して調査や改善に向けた啓発等を行った。
平成21年度の施策評価としては、「すまいの耐震化」の普及を様々な機会を捉えて広報、啓発
を行ってきた結果、耐震診断・耐震改修工事とも件数は前年度より増加し(①)、学校の耐震化
(②)については平成21年度までに80%とする目標を達成した。三宮南地区浸水対策も暫定ポン
プ施設が完成して当面の目標は達成した(③)。しかし、「すまいの耐震化」の耐震改修の増加
をさらに進めていく必要があることから、全体としては目標達成に向けて概ね順調(評価B)と
する。
26
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
すまいの耐震化については、耐震診断・改修を進めるだけでなく、家具固定や家具の配置によ
る住まい方の工夫など、安全性の確保に向けた市民への普及・啓発に継続して取り組むことが重
目 要である。
標
達 平成22年度は、「広く知らせる」「深く伝える」「直接伝える」との方針のもと、引き続き普
成 及啓発活動に取り組むとともに、新たに創設した「耐震おまかせパック」を含めた支援策によ
状 り、耐震診断・改修の促進に努める。アスベスト対策では関係機関の連絡体制を引き続き確保
況 し、残りの市有施設の除去等の措置を進めるとともに、補助制度等の活用により、民間建築物の
アスベスト対策を促進する。三宮南地区浸水対策は、引き続き京橋ポンプ場を建設し、残る2つ
のポンプ場についても建設工事に着手する。これらの進捗により、当該施策については、概ね目
標達成できる見込みである。
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
平成23年度以降についても、安全都市基盤の整備は計画目標に向け計画的に投資を行っていく
必要がある。すまいの耐震化については引き続き市民の意識付けを行っていくことが重要であ
る。また、建設後50年を経過する橋梁が、今後大幅に増加するため、従来の対症療法的修繕から
予防的な修繕に転換し、点検・計画・修繕という橋梁補修マネジメントの導入による効率的・効
果的な管理補修を行っていくことが必要である。
(5)被災による教訓の継承・発信
評価
A
阪神・淡路大震災の教訓を継承・発信していくことは、震災からの復興に際して国内外から多
大な温かい支援を受けた本市の使命である。「1.17のつどい」の開催、子どもの防災教育等に取
り組んでいる。
①毎年1月17日に、東遊園地において、亡くなられた方々への慰霊と鎮魂の教訓を語り継いでいく
ことを目的として、ご遺族、市民、企業、ボランティア、行政の協働で「1.17のつどい」を開催
している。
平成21年度は約760人のボランティアの方々の協力を得て、当日は6万6千人の来場があった。今
後も市民等との協働で、継続して開催していく。
②震災の経験と教訓を継承し、市民との協働でつくり続ける公園として、市民やNPO等で構成する
「みなとのもり公園検討会」などにより検討を行い整備を進めてきた「神戸震災復興記念公園」
(愛称:みなとのもり公園)が完成し、阪神・淡路大震災から15年を迎えた平成22年1月17日に
オープンした。また、今後の管理運営を話し合う、「みなとのもり公園運営会議」が平成22年3月
に発足した。
③市内の小中学校では阪神・淡路大震災の中から得た教訓や体験を教材化した小中学校用副読本
「しあわせはこぼう」(中学校は「幸せ運ぼう」)やビジュアル版教材のDVD版を活用して、
道徳や総合的な学習の時間等に防災学習を行うほか、避難訓練や1月17日前後の時期に合わせた
授業を行っている。
平成19年度に学校、消防、地域の協働で防災学習や防災訓練を学校の場を使って子どもたちに
教えていく「防災教育支援プロジェクト」を立ち上げた。平成21年度は防災教育支援ガイドブッ
ク「BOKOMIスクールガイド」を防災福祉コミュニティに配布し、防災教育研修会を開催し、学校
と連携した活動ができるよう支援した。市内9箇所のモデル地域で学校と連携した活動を実施する
ことができた。
④平成13年3月に神戸市職員震災バンクとして震災当時、災害対応業務・震災復興業務の担当職員
を登録、同バンクを活用し、国内外への被災地支援活動等を行うなど、震災経験・教訓の発信に
努めて来た。平成21年度は、平成21年8月に水害が発生した佐用町及び宍粟市に職員を派遣し、支
援を行った。
⑤震災の記憶を風化させることなく次世代に引き継いでいくとともに、地域の防災力向上と防災
対策の推進に寄与することを目的として、毎年1月17日前後に「地域防災シンポジウム」を開催し
ている。
平成21年度は、平成22年1月19日に「減災の知恵の共有」をテーマに講演等を実施し、約650名
の参加を得た。併せて、大学や防災関係機関等によるシンポジウムやセミナーを開催し、学生等
の参加を得た。
平成21年度の施策評価としては、「1.17のつどい」の開催(①)や学校での防災教育の実施
(③)、他被災地の復興支援(④)など被災地としての発信を確実に行った。また、震災復興記
念公園の整備(②)も進んだ。さらには、地域シンポジウムにおいて学生等の参加(⑤)に向け
た取り組みも進めたため、目標達成に向けて順調(評価A)とする。
27
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
被災地として震災の教訓や経験を市民等の参画のもと多様な取り組みを通じて継承・発信して
いく。また、職員の震災経験者が減少していく中、職員の間においても震災の教訓や経験を継承
目
していく必要がある。
標
達 平成22年度は「1.17のつどい」を継続して開催していく。また、防災教育支援プログラムの取
成 り組みにおいて、新たなプログラム冊子を活用し、より多くの小学校で防災教育支援を行うほ
状 か、神戸大学の助言を受けて神戸市の震災資料の整理・保存・活用に取り組むなど、震災の経験
況 や教訓の継承や発信に取り組む。さらに、今後の減災・防災へ向けた取り組みにつなげていくた
めの震災障害者実態調査を実施する。これらの進捗により、当該施策については、目標達成でき
る見込みである。
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
震災を知らない市民が約3分の1を超えており、震災の経験や教訓の風化が懸念される。平成23
年度以降も、震災の経験や教訓の継承・発信に継続して取り組んでいくことが必要である。ま
た、他都市で発生した災害に対して、引き続き人的支援や物的支援を行っていく。
※ 評価(目標の達成状況)について
A:目標達成に向けて順調 B:目標達成に向けて概ね順調
C:目標達成に向けてあまり順調に推移していない D:目標達成に向けて不調
28
指 標 項 目
策定値
20年度評価
21年度評価
数値
数値
数値増減
防災福祉コミュニティ結成数
ャ
チ
185地区
(平成16年度)
防災福祉コミュニティの訓練等の実施
回数 (※19年3月設定)
339回
(平成17年度)
防災・防犯など安全・安心に関する地
域活動に参加している市民の割合
11.1%
(平成16年度)
レ
ン 建築完了検査済証交付率
ジ
指
標
小中学校の耐震化率
の
状
況
橋梁の耐震対策
水道の緊急貯留システムの整備箇所
数
(21年3月ともに目指そう値変更)
92%
(平成16年度)
44.9%
(平成16年度)
6橋 橋脚49基
(平成16年度)
70.4%
(平成16年度)
高潮対策事業の進捗率
80%
(平成16年度)
数値増減
191地区
(平成21年度)
5
5
838回
(平成20年度)
775回
(平成21年度)
5
5
23.1%
(平成20年度)
17.0%
(平成21年度)
3
2
98%
(平成20年度)
99%
(平成21年度)
4
4
78.7%
(平成20年度)
85.7%
(平成21年度)
4
5
23橋 橋脚 103基
(平成21年度)
4
4
39箇所
(平成20年度)
42箇所
(平成21年度)
3
4
72.8%
(平成20年度)
73.4%
(平成21年度)
2
3
88%
(平成20年度)
91%
(平成21年度)
4
5
※ 評価(数値増減)について
:前回評価時の値を上回っている。
:前回評価時の値とほぼ同等
:前回評価時の値を下回っている。
※ 評価(達成度評価)について
5:目標値達成 4:達成率75%以上 3:達成率50%以上
2:達成率25%以上 1:達成率25%未満
※ 達成度評価とは
2010年のともに目指そう値に対する策定値からの達成度
計算式:(現状値ー策定値)÷(ともに目指そう値ー策定値)
29
達成度評価
191地区
(平成20年度)
23橋 橋脚 103基
(平成20年度)
35箇所
(平成16年度)
都市浸水対策事業(雨水幹線整備)の
進捗率
達成度評価
ともに
目指そう値
191地区
573回/年
30%
完全実施
80%
24橋
橋脚105基
38箇所
計画当初
43箇所
76%
90%
「神戸2010ビジョン」検証委員会の意見
【平成21年度の取り組みに対する内部評価について】
・ 目標達成状況に対する評価は妥当である。
【最終年度における目標達成状況について】
・ 最終年度における目標達成見込みは妥当である。
【総仕上げに向けた助言】
① 地域活動について、企業との連携協力を重要視していく必要がある。
② 被災による教訓の継承・発信について、文書館での取り組みを明記するべきである。
【平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題への意見】
① ビジョン期間終了後(平成23年度以降)の取り組みについて、検討が必要である。
② 新型インフルエンザや口蹄疫など、発生を予測することは難しいが、市が今後も実効性を高める
ための訓練を実施することが必要である。
③ 訓練参加者が「次もまた行こう」と関心を高める訓練にしていく必要がある。
④ 地域活動の定着の度合いを示す指標を設けてはどうか。
⑤ 危機管理センターの完成後、どのような効果があったのかについての検証が必要である。
⑥ すまいの耐震化において、密集市街地再生の観点から、老朽化した建物の除却による空地化につ
いて検討していくべきである。
⑦ 協働と参画の観点から、地域力強化プランと連携していく必要がある。
30
検証・評価シート
アクションプラン 5.子どもが健やかに生まれ、育つまちプラン -平成21年度の取り組み状況取りまとめ課
保健福祉局子育て支援部(子育て政策担当)
担当課
企画調整局総合計画課、
市民参画推進局地域力強化推進課・男女共同参画課・青少年課、
保健福祉局総務部計画調整課・健康部地域保健課・障害福祉部障害福祉課・
子育て支援部(こども家庭支援担当)・(保育振興担当)、 垂水区子育て担当
建設局総務部庶務課・道路部計画課・道路部工務課・公園砂防部緑地課、
都市計画総局住宅部住宅政策課、 交通局総務課、
教育委員会事務局総務部教育企画課、 指導部主幹(特色ある神戸の教育推進・大学連携
担当)、指導部健康教育課
子どもの利益が最大限尊重され、子どもが健やかに育まれるとともに、すべての人が安心し
目
て、ゆとりを持って子どもを産み育てることができるよう、子育て、子育ちを社会全体で支える
標
まち神戸をめざす。
(1)しごとと子育ての両立支援
目
標
達
成
状
況
評価
B
しごとと子育ての両立支援に関しては、待機児童の解消にむけた保育所の整備を進めるほか、
学童保育の充実、育児をしながら働きやすい環境づくりのための企業への働きかけなどに重点的
に取り組んでいる。
①待機児童の解消については、保育の受入枠の拡大のため保育所の整備を進めてきた結果、平成
17年10月に2万人保育枠を確保した。待機児童数については、計画策定時の平成17年度からは5ヵ
年で35%(652人→423人)減少するなど着実に成果はあがっているが、年齢別・地域別ミスマッ
チ等の解消を図るなど、更なる努力が必要となっている。
②一時保育については、平成17年度は19箇所で実施していたが、ニーズが高く、さらなる拡充が
必要となっていたため、平成18年度の国の制度改正に伴い、施設側の協力を得ながら実施可能な
保育園で実施することとし、平成21年度は125箇所(全保育所・園191箇所の65%)に拡充して実施
した。
③病児・病後児保育については、平成21年度までに7箇所で実施するなど充実に努めており、概ね
順調に整備が進んでいる。今後は各区に1箇所の整備を進めていく必要があるが、受託者となる小
児科医等の確保が課題となっている。
④学童保育の充実のため、時間延長については平成20年度から全館で終了時間を午後6時まで延長
することとあわせ、土曜日を除く学校休業日の開始時間を午前8時30分に繰り上げている。また、
過密解消については、平成21年度は3箇所新設し188箇所とした。
⑤子育てをしながら働きやすい環境づくりのために、301人以上の従業員を抱える事業所に対し、
行動計画策定が義務付けられており、平成18年度よりこれらの企業に対し事業の取り組み状況に
ついてのアンケート調査を実施している。平成21年度は集計結果の分析中であるが、平成20年度
の結果を見ると、育児休業の制度があるものの、取得者が一人もいない割合が2割程度あり、男性
の育児休業取得人数についても非常に少ない状況となっており、企業への啓発方法が課題であ
る。21年度の啓発事業として、「こうべ男女いきいき事業所表彰」を実施したほか、事業所の意
識・実態調査において調査票配布時にワーク・ライフ・バランスに関するちらしを配布するなど
の啓発に努めた。また、ワーク・ライフ・バランス推進のモデル地域である六甲アイランドにお
いて、企業、地域住民などの参加を得て、ワーク・ライフ・バランス連携会議を実施した。
平成21年度の施策評価としては、待機児童については解消するには至っていないが減少傾向に
あること(①)、一時保育について拡充を図っていること(②)、学童保育についても過密解消
を図ったこと(④)などから、しごとと子育ての両立に向けた取り組みについてさらなる企業へ
の啓発方法など課題は残っている(⑤)ものの、全体としては目標達成に向けて概ね順調(B評
価)とする。
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
神戸市では、待機児童の解消が喫緊の課題となっているが、国全体を見てみると少子化の進行
が大きな課題となっている。これらの課題の解決に向け、当面は保育所などの受け皿整備を引き
続き進めるとともに、少子化の流れを変えるため、仕事と子育ての両立支援策の推進や働き方の
見直しについて、企業等におけるなお一層の取り組みの推進を促し、目標年次には、待機児童の
大幅な解消及び子育てをしながら働きやすい環境づくりを目指していくことが必要である。
31
目
標
達
成
状
況
平成22年度は、国において議論されている保育制度改革の動向を見ながら、喫緊の課題である
待機児童対策について、「安心こども基金」を積極的に活用し、これまでどおり保育所の整備を
進めるほか、既存の保育所の分園整備や定員増などにより受け入れ枠の拡大を図り待機解消を
図っていく。学童保育については、大規模クラブの適正規模化や過密解消に取り組むとともに、
近年増加している発達障害児等に対応するため、臨床心理士による巡回を実施する。また、放課
後こども教室推進事業との一体的及び連携強化を図るため、「放課後こどもプラン」モデル事業
を実施する。さらに、ワーク・ライフ・バランス推進のモデル地域である六甲アイランドにおい
て、NPO法人が地域団体や企業とともに、仕事と子育ての両立支援に取り組む活動拠点を開設
することを支援する。これらの進捗により、当該施策については、概ね目標達成できる見込みで
ある。
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
少子化が進む一方で働く女性の増加により、保育所の需要は今後ともますます増加する見込み
であり、平成23年度以降においても、待機児童の解消をはじめ、学童保育における過密解消や男
女共同参画社会への意識啓発、ワーク・ライフ・バランスの推進などに取り組む必要がある。
(2)子ども・子育て家庭に対する見守りの充実
評価
A
子ども・子育て家庭に対する見守りの充実に関しては、新生児全世帯訪問指導や産後ホームヘ
ルプサービスの実施、発達障害支援体制の検討などを重点的に取り組んでいる。
①新生児訪問指導に関しては、従来第1子のみ全世帯訪問を実施していたが、平成17年度から全
新生児世帯にまで広げ、平成19年度には神戸市の取組がモデルとなり全国展開された。平成20年
度から訪問対象月齢の拡大(出生後2ヶ月まで→出生後4ヶ月を迎えるまで)を図ったこともあり、
訪問率は平成17年度64%から平成21年度は82.1%と大幅に上がった。また、産後のうつ対策とし
て平成17年11月より産後ホームヘルプサービス事業を実施しており、さらに平成21年7月からは児
童の養育に特に支援が必要と認められる家庭を対象とした養育支援ヘルパー派遣事業を実施して
いる。
②チャレンジ指標においては「子育てについて相談相手のいる親の割合(4か月児、1歳6か月児、
3歳児)」が計画策定時から平均して高い数字で推移している。神戸市の乳幼児の健康診査は他都
市に比べても受診率が高く、その中で調査を行った数字であり、かなり高い割合であると考えて
いる。この中で子育ての相談相手が誰もいないと回答した方に対する対策が重要であると考えて
おり、育児相談の場面で地域の子育てサークルを紹介したり、了解を取った上で、こどもサポー
ターに連絡を取って、訪問につなげるなどしている。今後は、相談相手ができるような仲間づく
りの機会を確立するとともに、行政など公的な育児相談の充実を図る必要がある。
③発達障害支援体制については、乳幼児健診において早期発見に努めており、発見後の支援とし
ては要フォロー児子育て教室を拡充しており、平成17年度開催162回を平成21年度は207回まで拡
充した。また、平成20年度からすべての区において実施している専門家による個別専門相談を引
き続き実施している。また、平成21年度は引き続き「発達障害ネットワーク推進室」を核とし
て、関係機関等とのネットワークの構築を進め、子どもに直接関わる区・保育所などの職員を対
象にした研修会を実施し人材の育成に努めたほか、子どもから大人までライフステージに対応す
る一環した支援ができるように、小・中・高等学校から就労までの「進路のつなぎ」をテーマに
した「サポートブックⅡ」の普及を図るなどの支援策を展開した。
平成21年度の施策評価としては、新生児訪問指導や産後ホームヘルプサービスにおいて充実を
図ったこと(①)、発達障害支援については、専門教室の拡充や関係職員の質を高めたこと
(③)などから、目標達成に向けて順調(A評価)とする。
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
発達障害については、早期発見とともに発見後の支援体制の充実に努める。また、児童虐待問
題に関しても、今後とも高い危機管理意識を持ち、区子育て支援室をはじめとして、関係機関と
の連携によるケア体制の強化、こども家庭センターの機能充実に努め、児童虐待の未然防止・早
期発見・早期対応・再発防止に努める。
平成22年度は、母子保健情報システムを活用し、育児不安や悩みを解消するための効果のある
支援策を検証するとともに、今後の施策充実を図る。また、近年児童養護施設等においては被虐
待児や障害児が増えており、その処遇に高度な専門性が必要となることから、施設職員の資質向
上を図るため、研修会や施設間の情報交換を行う。また、全小中学校において、発達障害支援の
ために特別支援教育支援員を配置する。これらの進捗により、当該施策については、目標達成で
きる見込みである。
32
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
目 平成23年以降においても、生まれるまで、また生まれてからの母子保健の充実は不可欠であ
標 り、妊娠・出産に関する不安の解消や産後うつ、児童虐待、発達障害などの早期発見や支援体制
達 の充実などに取り組んでいく必要がある。
成
評価
B
状 (3)家庭での子育て力の向上
況 家庭での子育て力の向上に関しては、既存施設を活用した在宅育児支援の実施や家庭教育支
援、子育てバリアフリーの推進などに重点的に取り組んでいる。
①既存施設を活用した在宅育児支援としては、つどいの広場を実施しており、在宅で子育てをし
ている母親が立ち寄ることのできる施設が比較的多くなっている。特に児童館では、保護者同士
が交代でお互いの子どもの世話を行う「児童館キッズクラブ」を平成17年度より10館でモデル実
施しており、平成21年度は93館で実施(全児童館121館の77%)した。
②乳幼児医療費助成については、平成19年度には、外来医療費助成の対象を6歳児(小学校就学
前)から9歳児(小学3年生まで)に拡充するとともに、平成21年度には、特に必要性の高い入院
助成について市独自でこれまで12歳児(小学6年生)までとしていたものを15歳児(中学3年生ま
で)に拡充した。
③また、妊娠中の保健指導や親としての自覚を促すため、これまでの母親教室に加え、平成17年
度より父親の参加を促すために父親が参加しやすい土・日曜日又は祝日に両親教室を開催し、平成
21年度からは、教室の開催を土曜日または休日のみに変更し、妊娠疑似体験や沐浴指導など実習
を中心とした体験プログラムを重視し開催している。
④家庭教育を支援するため、学習機会の提供や研修、シンポジウム等の啓発や「読み聞かせびと
講座」など、地域で家庭教育を支援する人材の育成、子育てに関する親の交流の場づくりへの支
援を行った。また、平成19年度から家庭教育に焦点をあて、家族を見つめなおす機会となるよう
なキャンペーン(「家族が熱い一週間」)を夏休み期間と「家族の週間」に重点的に実施した。
今後は趣旨に賛同する団体をさらに増やすとともに、より多くの家庭に趣旨への理解と参加の輪
を広げていくことが必要である。
⑤チャレンジ指標では「基本的なしつけが今の子どもに不足していると思う人の割合」が策定時
の59.6%から平成17年度から19年度は84.1%、82.8%、82.7%と80%を超えていたが、20年度は
79.4%、21年度は74.8%とやや改善された。しかしながら依然として高位で推移しており、現状
では効果的な事業を実施できていない。
⑥子育てバリアフリーの推進として、子育て応援マンションとして2件認定しており、2件目につ
いても入居が開始され、今後は居住者の子育てサークル活動等のソフト面への支援を行う。ま
た、交通バリアフリーの推進として、小学校の"総合的な学習"の時間を利用し、「バリアフ
リー」などの実地体験・勉強を行う「みちの学校」などの事業の推進を図った。
平成21年度の施策評価としては、児童館などの既存施設を活用した在宅育児支援が充実してき
ており(①)、乳幼児医療費助成の拡充(②)、父親の育児参加を促すための両親教室の充実
(③)や、家族を見つめなおす機会として「家族が熱い一週間」運動を実施していること(④)
などから、家庭教育の効果的な啓発という課題が残るものの、全体として目標達成に向けて概ね
順調(B評価)とする。
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
今後は、チャレンジ指標で子どもへのしつけが不足していると思う人の割合が高くなっている
ことに対し家庭・地域・行政(学校)がそれぞれの役割を担っていけるような意識づくりや仕組み
づくりを行い、家庭の子育て力・教育力の向上を図ることが必要である。
平成22年度は、在宅育児支援策として児童館キッズクラブを全児童館で実施するとともに、児
童館においてのひろば事業を実施する。また、「家族が熱い一週間」キャンペーン事業につい
て、引き続き市域全体に発信するとともに、認知度の低い父親層への働きかけを強めていく。さ
らに、子どもたちを健全に育てるための子育ての方法や家庭のあり方について関係部署等と検討
し、実践につなげていく。これらの進捗により、当該施策については、概ね目標達成できる見込
みである。
33
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
平成23年度以降においても、家庭・地域・学校の連携により、しつけや生活習慣の改善など家
庭の子育て力・教育力の向上を図るため、つどいの広場事業を充実させるとともに、家庭教育の
目 効果的な啓発活動などに取り組む必要がある。さらに、平成22年度の検討を踏まえて、新たな施
標 策にも取り組んでいく。
達
成
評価
B
状 (4)次世代の親育ち支援・子どもの自立と社会参画促進
況 次世代の親育ち支援・子どもの自立と社会参画促進については、青少年の居場所づくりや社会
参画の促進、将来の社会参画に向けた勤労観や職業観を育成する機会の設置などを重点的に取り
組んでいる。
①「青少年の自主的活動の場の提供」として中高生活動拠点整備事業に取り組み、平成21年度は
新たに兵庫区で開設し灘区・北区を除く7区での整備が整った。引き続き各区1か所の整備を目
指す。また、一部の活動拠点については、従来の参加型事業に加え、中高生が中心となり企画運
営する自主的な事業も活発になってきた。今後も地域・学校・区役所と連携しながらソフト事業
の充実に努める。
②チャレンジ指標では「子どもの地域行事・活動への参加率」、「子どものボランティアへの参
加率」は小学校、中学校とも前年度を下回った。特に「子どものボランティアへの参加率」は、
小中とも策定時より下回っており、現状では効果的な事業は実施できていない。
③「命の感動体験学習の全市的展開」として、小学校高学年等の児童と乳幼児とのふれあい体験
学習事業が実施されているが、平成21年度はインフルエンザの関係で開催回数は減ったものの、
全区において実施され、着実に広がりをみせてきている。
④小中高におけるキャリア教育の推進、芸術・スポーツなどの「その道の達人」を講師に招いた
体験講座、家庭・地域、企業等と連携して行う「大人・親の働く姿を見せる運動(子ども参観日
等)」を3つの柱としてキャリア教育に取り組んだ。学校でのこれまでの実践研究の成果をまとめ
た手引きの活用により、各校での取組みが充実したほか、「子ども参観日」実施企業も新規2社を
含む15社となった。
⑤大学・大学生と連携したまちづくりでは、平成17年9月に神戸大学が旧灘区役所庁舎を利用して
「のびやかスペースあーち」を設置し、子育て支援を核とした共生のコミュニティづくりを実施
している。平成19年度より大学と連携した新たな子育て支援の補助事業を創設し、平成20年度か
ら神戸大学を含む4校を指定し、事業を実施している。
平成21年度の施策評価としては、中高生活動拠点を1箇所整備し(①)、命の感動体験学習を全
区で実施する(③)とともに、キャリア教育について学校内外において充実を図る(④)など、
事業が順調に進んだことから、次代を担う子どもたちの健全な育成に向けての支援には課題があ
るものの、全体としては目標達成に向けて概ね順調(B評価)とする。
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
子どもたちが自尊心や主体性をもって生きていけるよう、子どもたちに命の尊さや、他人を認
めることなどを学ぶ機会を充実させる必要がある。そのため、22年度以降も引き続き、青少年の
居場所づくりや社会参画を進めるとともに、人と自分を大切にする教育や命の尊さを学ぶ機会、
将来の社会参画に向けた勤労観や職業観を育成するといった機会を設ける必要がある。
平成22年度は、中高生活動拠点を灘区において整備するとともに、命の感動体験学習事業を引
き続き各区で実施する。また、大学と連携した子育て支援事業については、長田区の常盤大学が
二葉小学校跡を活用して事業を開始する。さらに、命の大切さ、規範意識、倫理観、思いやり、
助け合いの心などを子どもたちに伝えていくための方法について検討し実践につなげていくた
め、有識者や教育関係者、企業などを含めた「次世代のこどもを育む市民会議」を設置する。こ
れらの進捗により、当該施策については、概ね目標達成できる見込みである。
34
目
標
達
成
状
況
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
平成23年度以降においても、次代の親となる人づくりを進めるため、命の尊さに対する意識を
高めることや青少年の社会参画の促進などに取り組む必要がある。また、家庭・地域、企業・事
業者、学校・行政が一体となって取り組むキャリア教育の定着を図る必要がある。さらに、平成
22年度の検討を踏まえて、新たな施策にも取り組んでいく。
(5)子どもが安全かつ健全に育つ地域・地域環境づくり
評価
A
子どもが安全かつ健全に育つ地域・地域環境づくりに関しては、子どもたちの安全な活動場所
づくり、学校園での安全対策の強化などを重点的に取り組んでいる。
①こども110番「青少年を守る店・家」及び「守る車」については、青少年育成協議会、警察、市
等が連携して民家や商店・事業者等の協力を得て拡充を図っており、地域に差はあるものの全体
としては浸透してきた。今後は子どもが巻き込まれる事件が多発している中、従来の「抑止効
果」に加え、緊急時に果たしていただく役割について協力者の方々の意識啓発を図っていく必要
がある。あわせて、子どもたちへの制度の周知や子どもたちによる「守る店・家」の所在確認を
継続的に実施していくことが重要であると考えている。
②チャレンジ指標に掲げている「地域で子どもの見守りや青少年の健全育成の手助けをしている
市民の割合」は、策定時の19.3%から平成17年度は12.3%と大きく低下した。ここ3年は、平成18
年度13.4%、平成19年度14.0%、平成20年度15.7%とわずかながら上昇しているものの、平成21
年度は再び13.5%と低下しており、地域で青少年の健全育成に携わっていただける人材が不足し
ている様子がうかがえる。人材の確保と育成を図るため、団塊世代の方々をはじめとして、青少
年の健全育成活動に携わる機会を提供していくとともに、ワーク・ライフ・バランスを推進する
ことにより、市民一人ひとりが地域活動に取り組みやすい社会の実現を目指していくことが必要
であると考えている。
③学校園では、防犯の専門家(スクールガードリーダー等)による実践的な防犯教室を全小中学
校で実施するとともに、全小学生への防犯ブザーの貸与と使用法の指導、通学路の遵守や複数登
校指導、児童生徒に緊急時の危険予測・危険回避能力向上にむけた安全教育を行った。平成18年
度に全小学校で結成された「子ども見守り活動隊」により地域の意識が高まり、登下校時の保護
者や地域の見守りも増えた。平成21年度の登録者数は3万5千人を超え、地域ぐるみの見守り体
制が整備されたが、こうした活動を今後も発展、定着させていく必要がある。また、教育環境を
充実するために、学校支援地域本部を設置し、家庭・地域・学校の連携を推進した。
④小学校施設を活用し子どもたちに放課後や週末等の安心・安全な居場所を提供する「放課後子
ども教室(神戸っ子のびのびひろば)」について19年度から取組んでいるが、21年度は118校に拡
大して実施した。今後は地域の状況に応じた弾力的な対応を図りながら設置校の数を増やしてい
くことが必要である。
⑤地域の子育て支援では、関係機関や関係団体との連携を深め、地域で実施している既存の子育
て活動を支援するとともに、神戸市内の児童館活動を支援する目的に19年度に全区に配置した
「子育てコーディネーター」や20年度に全区に配置した「地域子育て支援センター」なども協力
し、21年度は地域での子育て支援事業をより充実した。
平成21年度の施策評価としては、こども110番「青少年を守る店・家」の拡充と浸透(①)、
「子ども見守り活動隊」を核とした地域・保護者の子どもたちの見守り体制の充実及び学校支援
地域本部の実施(③)、地域の参画による子どもの居場所づくり「放課後子ども教室」の拡充
(④)などが進んだことから、目標達成に向けて順調(A評価)とする。
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
今後は子どもたちの安全な活動場所づくりを進めるとともに、家庭と地域及び地域相互の結び
つきを強化し、地域の子育て力を高めるようきめ細やかな支援策を展開し、子どもが安全かつ健
全に育つ地域・地域環境づくりの実現を目指していくことが必要である。
平成22年度は、こども110番「青少年を守る店・家」及び「守る車」を拡充するとともに、地域
で不審者情報を共有することにより子どもたちの見守り活動をさらに充実させるため、イエロー
フラッグを利用した「地域みはり番」をモデル実施する。また、学校安全ボランティアの育成
や、地域ぐるみで登下校をはじめとした通学路などにおける子どもの見守り活動を行う「子ども
見守り活動隊」の連携強化・拡充に取り組むとともに、教育・地域連携センターや学校支援地域
本部の拡充を行い、家庭・地域・学校の連携・強化・拡充に取り組む。これらの進捗により、当
該施策については、目標達成できる見込みである。
35
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
平成23年度以降においても、犯罪や交通事故などの危険から子供を守るため、こども110番「青
少年を守る店・家」及び「守る車」や「子ども見守り活動隊」による「抑止効果」の充実などを
目 図るとともに、子育てに配慮した地域環境づくりとして、地域子育て支援センターや子育てコー
ディネーターなどが連携して地域での子育て支援事業の充実などに取り組む必要がある。
標
達
成 (6)特色ある教育の推進
評価
B
状 特色ある教育の推進に関しては、平成21年度も引き続き①「確かな学力」、「豊かな心」、
況 「健康・体力」の3つの面での子どもたちの基礎・基本の力の育成、②目標をもつ子どもたちの育
成、③学校からの情報発信の充実と学校運営において外部からの意見を聞くシステムの整備を目
標とし、「分かる授業・楽しい学校」「家庭・地域・学校の連携」「情報発信する学校」を推進
した。
①神戸の学習指導標準「神戸スタンダード」を策定した。小中一貫カリキュラムを含む小学校教
育課程基準、中学校教育課程基準、神戸ミニマム、活用力アップ授業実践事例集を作成し、22年
度各校に配布し、周知、活用を図る。
②「分かる授業推進プラン」では、「授業の改善」「教えるプロの育成」「新しい教材の開発」
「家庭学習の支援・地域力の活用」を柱として様々な施策が展開され、全小中学校において、学
力・学習意識等の実態把握を行うとともに、PDCAサイクルに基づく実践活動が進められた。
「分かる授業」のチャレンジ指標では、平成20年度との比較において小学校では若干低下し、中
学校では上昇している。今後、神戸市独自開発教材の一段の活用や、少人数指導等指導方法の工
夫を進めることにより、目標年次に向けてさらに指導の充実を図る必要がある。
③その他、各学校においてそれぞれの地域に応じた特色ある教育の取り組みが実践され、その中
には家庭・地域との連携によるものも数多くあった。
④小学校では外国人英語講師を配置し、3年生以上で国際理解教育の一環として英語活動を実施す
るとともに、全小学校で国際理解のための「こうべ地球っ子プログラム」を実施した。中学校で
は外国人英語指導助手の配置を拡充し英語教育の充実を図った。
⑤「しあわせはこぼう(中学生用の「幸せ運ぼう」)」と副教材小中用DVD版を活用し、心の教育と
あわせた防災教育を行った。また、増水事故の教訓を踏まえ、平成20年度に作成した風水害の対
処法等についての緊急教材を各小中学校で活用した。また、平成21年度に副読本の部分改訂を行
い、緊急教材も資料として掲載した。
⑥不登校について、適応指導教室については新たにほくしん分室を加え、学校復帰支援や相談業
務を充実させた。また、学生ボランティアを活用した支援も行った。研究指定校による不登校生
の心の居場所となる別室指導についての取組が進められた。
また、いじめについて、「いじめ問題への組織的な対応に関する調査」を実施、各学校の取組
の進捗状況と成果を確認した。学校の機能を高めたり生徒指導体制の構築に資する教員向け指導
資料を作成した。携帯電話については全中学校の新入学説明会において、持ち込み禁止を原則と
するが、やむを得ない事情がある場合には保護者からの申請により弾力的に対応するという内容
で保護者への啓発の通知を行った。学校支援アドバイザーやスクールカウンセラーの配置、24時
間電話相談等も引き続き実施した。
⑦「情報発信する学校」では、学校自己評価の実施は100%、児童・生徒、保護者への外部アン
ケートの実施・公表や学校関係者による外部評価の実施も90%以上の実施率だった。一方で、自
己評価や外部評価の公表については実施率が90%を下回った。今後とも、平成20年度発行の「神
戸市学校評価ガイドライン」や21年度配布の「神戸市学校評価実践事例集」などを活用した、各
学校園における学校評価システムの構築を推進する。
平成21年度の施策評価としては、「分かる授業」の推進(②)、不登校、いじめ対策の充実
(⑥)、神戸市学校評価実践事例集の発行(⑦)等があるが、「分かる授業」をはじめとする教
育内容の更なる充実が必要であること、保護者、地域にわかりやすい学校評価システムの必要性
を踏まえて、全体としては目標達成に向けて概ね順調(B評価)とする。
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
神戸市では、児童生徒の学力向上に向けて、平成18年度から「分かる授業推進プラン」に基づ
き、授業における指導法の改善や新たな教材の開発・活用、若手を中心に教員の指導力向上など
に取り組んできた。今後は、基礎的・基本的な知識・技能の確実な習得に引き続き努めるととも
に、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等の育成にこれまで
以上に取り組む必要がある。
36
平成22年度は、新学習指導要領でも求められている「読んで考えてまとめながら書く力」を育
成する「神戸まとめの達人推進事業」に新たに取り組む。具体的には、小学校では「ことばひろ
がる よみときブック」、中学校では「(仮称)神戸まとめの達人資料集」といった独自教材の活
用を中心に、校長の講話や学校行事等の感想などをまとめる学習を反復することで、思考力・判
目 断力・表現力などの育成を図る。これらの進捗により、当該施策については、概ね目標達成でき
標 る見込みである。
達
成 《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
状 平成23年度から小中学校で新学習指導要領が順次全面実施される中で、新たに加わる学習内容
況 等について確実に対応し、神戸らしい特色ある教育を進めるために、学習指導の標準である「神
戸スタンダード」を策定した。ビジョン計画期間終了後も引き続き、学習上のつまずきを防ぐこ
とによる知識・技能の着実な定着、学んだ知識・技能を幅広く活用することによる思考力・判断
力・表現力等の育成など、児童生徒の学力の向上に向け、積極的な取り組みを行う。
※ 評価(目標の達成状況)について
A:目標達成に向けて順調 B:目標達成に向けて概ね順調
C:目標達成に向けてあまり順調に推移していない D:目標達成に向けて不調
37
指 標 項 目
策定値
20年度評価
21年度評価
数値
数値
数値増減
4ヶ月児
子育てについて相談
1歳6か月児
相手のいる親の割合
3歳児
基本的なしつけが今の子どもに不足し
ていると思う人の割合
小学生
99.3%
(平成16年度)
1
99.2%
(平成20年)
99.2%
(平成16年度)
1
99.4%
(平成20年)
99.3%
(平成16年度)
59.6%
(平成16年度)
81.1%
(平成15年度)
子どもの地域行事・活
動への参加率
ャ
チ
中学生
レ
ン
小学生
ジ
子どものボランティア
指 への参加率
標
中学生
の
状
況
65.5%
(平成15年度)
37.6%
(平成15年度)
36.0%
(平成15年度)
地域で子どもの見守りや青少年の健全
育成の手助けをしている市民の割合
19.3%
(平成16年度)
小学生・科目全般
88.2%
(平成16年度)
学校の授業がわかる
という児童生徒の割 小学生・国語
合
81.0%
(平成16年度)
小学生・算数
76.6%
(平成16年度)
中学生・科目全般
76.2%
(平成16年度)
学校の授業がわかる
という児童生徒の割 中学生・国語
合
64.3%
(平成16年度)
中学生・算数
55.4%
(平成16年度)
達成度評価
99.4%
(平成20年)
※ 評価(数値増減)について
:前回評価時の値を上回っている。
:前回評価時の値とほぼ同等
:前回評価時の値を下回っている。
38
数値増減
ともに
目指そう値
達成度評価
99.1%
(平成21年)
100%
1
99.2%
(平成21年)
100%
1
99.1%
(平成21年)
1
1
79.4%
(平成20年度)
74.8%
(平成21年度)
1
1
85.9%
(平成20年度)
83.6%
(平成21年度)
5
3
69.4%
(平成20年度)
65.9%
(平成21年度)
2
1
35.9%
(平成20年度)
34.2%
(平成21年度)
1
1
33.3%
(平成20年度)
32.1%
(平成21年度)
1
1
15.7%
(平成20年度)
13.5%
(平成21年度)
1
1
92.0%
(平成20年度)
91.4%
(平成21年度)
5
5
85.7%
(平成20年度)
83.6%
(平成21年度)
4
3
77.4%
(平成20年度)
76.9%
(平成21年度)
1
1
71.9%
(平成20年度)
75.8%
(平成21年度)
1
1
66.4%
(平成20年度)
63.1%
(平成21年度)
2
1
54.6%
(平成20年度)
59.8%
(平成21年度)
1
4
100%
50%
85%
75%
40%
40%
30%
90%以上
5ポイント上昇
5ポイント上昇
80%以上
5ポイント上昇
5ポイント上昇
※ 評価(達成度評価)について
5:目標値達成 4:達成率75%以上 3:達成率50%以上
2:達成率25%以上 1:達成率25%未満
※ 達成度評価とは
2010年のともに目指そう値に対する策定値からの達成度
計算式:(現状値ー策定値)÷(ともに目指そう値ー策定値)
「神戸2010ビジョン」検証委員会の意見
【平成21年度の取り組みに対する内部評価について】
・ 事業は努力しているので、もっと高く評価してもいいのではないかとも考えられるが、課題とし
て残された部分もあるため、目標達成状況に対する評価は概ね妥当である。
【最終年度における目標達成状況について】
・ 事業の進捗から総合的に見て、最終年度における目標達成状況見込みは概ね妥当である。
【総仕上げに向けた助言】
① 子どもの成長過程に合わせて相談できるような機関を増やしていくことが必要である。子どもの
成長段階に合わせて一貫した連動(なめらかな連動)についても、施策に取り入れてはどうか。
【平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題への意見】
① 1万人アンケートなどで重要な施策が評価されると、抽象的な評価となる可能性があるので、深
刻な問題に対しては具体的にどうしていくか答えが出せるような指標にすべきである。
② チャレンジ指標の目標がかなり高く設定されているのではないか。子育てや教育に関する取り組
みは非常に重要であるので、評価における指標の設定は慎重に検討すべきである。
39
検証・評価シート
アクションプラン
6.高齢者・障害者の地域安心プラン -平成21年度の取り組み状況-
取りまとめ課
保健福祉局総務部計画調整課
担当課
保健福祉局地域保健課・高齢福祉課・介護保険課・障害福祉課・自立支援課・
こころの健康センター、
教育委員会事務局教育企画課・生涯学習課
これからの高齢社会を活力あるものにしていくために、高齢者・障害者が、元気に生きがいを
目 持って暮らすとともに、自己の能力を発揮することのできる社会を築いていく。また、高齢者・
標 障害者の地域での生活を支援し、住み慣れた地域で、安全に、安心してくらしていけるまちづく
りを推進する。
(1)元気に生きがいを持って暮らせるまちづくり
評価
A
目
高齢者の介護予防等への取組み、団塊の世代や高齢者の社会活動支援や障害者の自己実現・生
標
達 きがいづくりのための社会活動支援、就労支援を行うことによって、高齢者、障害者が元気に生
成 きがいを持って暮らせるまちづくりに取り組んでいる。
状
況 〔総合的な介護予防システムの確立〕
①地域の身近な高齢者の総合的な窓口として、市内に74か所設置している「あんしんすこやかセ
ンター(地域包括支援センター)」では、要支援者及び要介護・要支援状態になるおそれの高い
方(特定高齢者)に対する介護予防に取り組んでいる。
また、ケアプラン作成者に対しても、指導・助言等を行い、質の向上と適正化に努めるほか、あ
んしんすこやかセンターを中心とした民生委員など地域の関係機関を交えたネットワークの強化
に向けた取組みを引続き行った。
②要支援・要介護認定を受けていない65歳以上の方(約27万人)を対象に、生活機能評価を実施
し、把握した特定高齢者及び要支援1・2の方に対して、運動器の機能向上など早期の取組みを進
めている。
平成21年度は、引き続き、地域での介護予防リーダーの活動や自主的な介護予防活動を支援して
おり、介護予防リーダー370人を新たに育成したほか、介護予防や認知症予防のための教室を拡充
実施するなど積極的に取り組んだ(20年度:23回参加501人→21年度:88回参加 1,620人)。
また、特定高齢者のうち、介護予防サービスを利用した約800人の方に対して、サービス提供前後
の主観的健康感を調査したところ、約6割の方が健康感を維持し、さらに約2割の方がサービス提
供後により高い健康感を得ているなど、実際の評価も得られている。
〔高齢者・障害者の社会活動支援〕
③老人クラブ(509クラブ・会員41,637人)の活動支援、シルバーカレッジの運営、生涯学習市民
講師登録制度、生涯学習支援センターの運営などに取り組んでおり、老人クラブによる小学生の
登下校時の見守りや、シルバーカレッジ卒業生で組織するNPO法人グループ「わ」による環境教育
啓発や児童の学習支援活動など、様々な地域活動への高齢者の主体的参画が実現している。
チャレンジ指標の「地域活動やボランティア・NPO活動に参加している高齢者の割合」につい
て、21年度の指標は下降したものの、「わ」の新規登録者数(20年度:97人→21年度:109人)は
増加しており、その主体的な活動が拡大するとともに、周知度も拡がっている。
④障害者が社会参加を進め、生きがいをもって暮らしていくための取組みとして、障害者地域活
動支援センターにおいて、創作的活動や生産活動の機会の提供、地域との交流の促進などを目的
とした日中活動支援を行っている。
⑤自立支援法施行当初(平成18年9月末)市内134ヵ所あった小規模作業所については、障害者自
立支援法に基づく自立支援給付や地域活動支援センターなどの新体系への移行が、平成21年度は
18か所で進んだ。平成22年度は、残る28ヵ所の移行に向け、きめ細かな個別相談を行いながら、
支援策を順次実施していく。
⑥障害者スポーツの振興・新たな文化活動事業の展開のため、障害者スポーツ文化福祉事業助成
制度(神戸市社会福祉協議会)を活用し、「こうべ障害者音楽フェア」(参加者530人)の開催を
支援した。
41
⑦チャレンジ指標の「入所施設から地域生活へ移行した人の数」は、平成19年度から22年度まで
の4年間で106人(第2期神戸市障害福祉計画の平成23年度の数値目標である平成17年10月時点の施
設入所者の10%(133人)を年度換算したもの)の地域移行を目指すものだが、平成22年3月末で
延べ104人の移行があり、策定当初からの達成率97%を達成した。
目
標
達
成
状
況
〔障害者の就労支援〕
⑧障害者の一般就労については、兵庫県下の一般民間企業の障害者雇用率は1.76%(H21.6.1現
在)と全国の1.63%を上回っているが、景気の低迷が続く中、厳しい状況が続いている。
市では、企業やハローワーク等関係機関と連携しながら、市内3箇所の障害者就労推進センター
で就労相談、職業訓練、職場開拓など一般就労を総合的に支援する取組みを行っている。
全市的な就労支援拠点としての市障害者就労推進センター(兵庫区)に加え、地域ブランチとし
て平成18年に開設した北部地域障害者就労推進センター(北区)、平成20年に開設した西部地域
障害者就労推進センター(垂水区)の3センターでは、多くの方の相談に対応している(平成18
年度:4,021件→平成21年度10,584件)。
チャレンジ指標の「ハローワーク(神戸・灘・明石・西神)を通じて企業へ就職した障害者数」
は、平成19年度720人から平成20年度728人に増加している。さらに、市の3センターを通じた就
職者数も、企業とのネットワーク構築や職場開拓、ジョブコーチによる職場定着支援など就労支
援を積極的に進めたことで、順調に推移している(平成20年度:100人→平成21年度:101人)。
⑨福祉的就労への支援としては、企業や大学などとの連携により、企業・大学内における障害者
の授産活動の場の確保などの取組みを進めている。平成21年度は、障害者の工賃アップの取組み
として、『「ものづくり」メッセ』を開催し、神戸芸術工科大学の助言・指導のもと、売れる商
品づくりの取組みなどを広く市民にPRした。
⑩企業の障害者雇用を進めるための取組みとして、市では、法定雇用率を達成している事業者が
工事登録を行う場合には、格付け時に加点する優遇制度を設けている。今後も、障害者雇用率算
定にあたり、一定の要件を満たせば親会社と一体としてあつかわれる特例子会社の誘致に努める
とともに、市発注契約の入札における優遇制度の活用を進める。
平成21年度は、高齢者の介護予防の取り組みを引き続き進め、市民の健康感の維持向上に努め
たこと(②)とともに高齢者・障害者の主体的取り組みや社会参加がさらに進んだ(③・④)。
地域移行の進捗(⑦)、障害者就労推進センターが労働・福祉・教育などの関係機関と連携し
て障害者の就労支援を行ったこと(⑧)により就労者数は増加したことにより、目標達成に向け
て順調(A評価)とする。
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
平成22年度は、高齢者の介護予防事業の取組みをさらに進め、利用者・対象者の介護予防及び
健康増進を図るとともに、高齢者の社会活動支援として、老人クラブについては、支援基準の緩
和や啓発活動により新規結成・加入促進を図る。
また、新たな学びの場やボランティア活動実践の場の提供などによる新たな担い手の育成な
ど、今後の地域福祉活動への参加の仕組みづくりについて検討していく。
障害者の地域移行の達成に向けた取り組み、社会参加・社会活動支援を進めるとともに、障害
者就労支援について、「東部地域障害者就労推進センター」の開設(22年10月予定)を進め、今
後の雇用情勢を見極めながら関係機関と連携して円滑・柔軟な施策を行っていくことにより、当
該施策については、目標達成できる見込みである。
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
平成23年度以降も、市民・事業者と協働した介護予防などの取り組み、高齢者・障害者の社会
参加の促進、区ごとの障害者就労支援ネットワークの構築、障害者にかかる地域移行のさらなる
促進を図るなど、地域に密着した取組みを進める必要がある。
42
(2)地域で安全に安心して暮らせるまちづくり
目
標
達
成
状
況
評価
A
ひとり暮らし高齢者等の地域見守り体制の充実や、障害者の地域生活を支援するための365日の
相談体制の確立を進めるとともに、地域での市民の助け合い、支え合いが進むような仕組みづく
りや支援を行うことによって、高齢者・障害者が地域で安全に安心して暮らせるまちづくりに取
り組んでいる。
〔地域福祉の推進〕
①災害時要援護者支援体制づくりについて、平成21年度までに、5区7地域で体制づくりを進
め、要援護者支援計画の策定や避難訓練の実施など各地区の自主的な地域福祉活動を推進した。
②「市民福祉大学」では、民生委員・児童委員、ボランティアなど地域活動者を対象に、更なる
知識向上やサービス向上を目的として地域活動者研修を行っている。毎年、受講者アンケートの
結果やカリキュラム検討委員会の審議により、参加しやすい研修内容に改善してきており、21年
度は4,596人が受講した。チャレンジ指標の「市民福祉大学の地域活動者研修の受講者数」は順調
に推移しており、22年度には目標値を達成する見込みであるとともに、更なる進捗を目指して取
り組んでいく。
③ふれあいのまちづくり事業では、平成21年度に「藍那小河ふれあいのまちづくり協議会」が結
成され、この結果、全166小学校区でふれあいのまちづくり協議会が結成された。
平成22年度は、藍那及び深江南において、既存の老人いこいの家を地域福祉センターとして整備
し、活用するなど、ふれあいまちづくり協議会の活動を支援していくとともに、すでにセンター
が設置されている協議会の活動の充実に向けた課題に取り組む。
④「こうべあんしんサポートセンター」では、高齢者・障害者等の権利擁護相談(20年度:延
2,896件→21年度:延2,930件)や、「福祉サービス利用援助事業」(20年度末:343件→21年度末
410件)など増加するニーズに対応したことに加え、市民の成年後見制度に対する関心の高まりを
受け、成年後見制度の利用実態調査、セミナーやシンポジウムの開催による普及啓発を行った。
〔高齢者に対して〕
⑤あんしんすこやかセンターや災害復興住宅等に「見守り推進員」を配置し、民生委員などと連
携して定期的な訪問活動を行っているが、平成18年度からは、高齢化率の高い公営住宅の空き住
戸等を活用して、あんしんすこやかセンターのブランチ的な機能を有した高齢者の自立支援拠点
である「あんしんすこやかルーム」を整備している。
平成21年度には、13か所のあんしんすこやかルームを設置(計市内28か所)し、ルームを拠点と
して、住民と支援者との繋がりによる地域の自主的な取組みが始まるなど、コミュニティ支援効
果が現れている。
⑥チャレンジ指標の「地域で高齢者や障害者の見守りや生活の手助けをしている人の割合」は、
20年度に比べて下降したものの、民生委員、友愛訪問ボランティア、ふれあい給食ボランティア
による地域見守り活動とともに、平成16年度から結成の支援を始めたコミュニティサポートグ
ループは登録数も順調に増加しており(20年度:187グループ→21年度:246グループ)、本市で
の市民・事業者との協働による全市的な地域見守り活動は着実に進んでいる。
⑦認知症高齢者への対応については、地域で認知症高齢者等と家族の生活を支えるため「認知症
地域資源ネットワーク構築事業」を進めており、平成21年度には東灘区に続き長田区で地域支援
体制の構築を行ったところである。
また、「神戸市認知症高齢者総合相談窓口」を運営し、ケアマネジャーの支援など相談体制の充
実に努めるとともに、平成21年11月には、相談体制強化のため、認知症の鑑別診断や医療と介護
のつなぎ等を担う「認知症疾患医療センター」、あんしんすこやかセンターに対して専門的助言
や認知症専門医療へのつなぎ等を行う「認知症対応強化型地域包括支援センター」を設置し、双
方の連携により、認知症高齢者にかかる医療と介護の切れ目のないサービス提供に努めている。
⑧高齢者虐待防止対策として、虐待対応事例集を活用して、あんしんすこやかセンター(社会福
祉士)を対象とした研修を実施したことに加え、区あんしんすこやか係職員に法的・福祉的・医
療的に専門的な助言を行うワーキングチーム(弁護士・社会福祉士・保健師)を設置し、具体的
な対応策について協議を行っている。
43
目
標
達
成
状
況
〔障害者に対して〕
⑨平成19年2月に策定した「神戸市障害者保健福祉計画2010後期計画」の重点的な施策のひとつで
ある、障害者の地域生活移行支援のため、移行後間もない障害者に対して、日常生活における
様々な支援やトラブルに対応する「地域生活支援員」の配置(平成21年度 3施設)を行うととも
に、移行の受け皿となるグループホームやケアホームについて、施設改修(16施設)や家賃補助
(20年度:205名→21年度:257名)を実施した。
⑩精神障害者については、県とともに精神科救急医療システムを整備し、その機能の拡充を図っ
ており、地域生活をおくる上で不可欠なセーフティネットの一部を担っている。
また、精神障害者の社会的自立を促進するための訓練を一般の事業所(職親)に委託する社会適
応訓練事業の実施や通所訓練施設等への助成を行うとともに、精神障害に対する正しい理解を深
め、精神障害者の社会復帰及び社会参加に係る市民啓発を目的に、精神保健福祉ボランティア講
座や各種講演会等を実施している。今後とも、精神障害者が地域生活へ移行しやすい社会環境の
醸成を推進していく。
⑪平成21年度から、障害者が住み慣れた地域で生活が継続できるよう、「親なき後」の家庭環境
の変化を見据えた宿泊訓練として、在宅知的障害者自立推進事業を実施し、11名の障害者が体験
した。
⑫障害者の身近な地域での相談・支援体制充実のため、平成21年度は、新たに須磨区内に「障害
者地域生活支援センター」を1か所設置し、計14箇所と目標を達成するとともに、職種別の連絡
会や専門家を交えた勉強会、センター職員による課題別ワーキングチームによる検討を踏まえ、
知的障害者、身体障害者相談員の活用や障害者自身のピアカウンセリングの実施など、相談・支
援体制の充実および重層化を図った。
⑬平成19年10月に発達障害ネットワーク推進室を設置し、障害の早期発見・早期支援の観点から
子どもを中心に体制整備を行ってきた。平成21年度は、大人の発達障害者への体制整備に着手
し、市内を東部・中部・西部・北部地域の4地域に分け、それぞれの地域ごとに相談窓口や社会
生活への適応訓練を行う居場所事業を実施し、神戸市障害者就労推進センター等の就労支援に係
る連携による社会的自立を支援した。平成22年度は発達障害児の支援に係る具体的事例や手法な
どを紹介する「チャレンジブック」を作成・配布するなど啓発活動を強化し、関係機関との協働
により子どもから大人までライフステージに応じた支援体制を構築していく。
平成21年度の施策評価として、ふれあいのまちづくり事業の進捗(③)、見守り支援体制の拡
充(⑤)や、認知症高齢者の支援として地域資源ネットワークの構築(⑦)、障害者の相談・支
援体制の充実(⑫)などが図られたことにより、目標達成に向けて順調(A評価)とする。
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
平成22年度は、地域で災害時要援護者支援事業の取り組みを普及させることや、認知症地域資
源ネットワーク構築の平成23年度からの全市展開を目指した市民・事業者・各区と協働の取り組
みを進めることに加え、高齢者・障害者等の権利擁護の必要性・多様化に対応するために、成年
後見支援センターの開設(23年1月予定)に向け準備を進めている。同センターでは、成年後見制
度に関する専門相談や、「市民後見人」の養成など市民が主体となる活動も支援していくことと
している。
「認知症疾患医療センター」と「認知症対応強化型地域包括支援センター」の更なる連携強化
による、認知症の早期発見から対応までの支援体制の確立や成年後見制度の更なるPRを進め、
これらの進捗により、当該施策については、目標達成できる見込みである。
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
高齢者・障害者の増加を踏まえた、市民・事業者との協働による高齢者等の生活ニーズに応じ
た身近なサービス提供の充実のため、平成23年度以降は、インフォーマルサービスを提供する地
域活動や人材の発掘方策構築のための検討を進める必要がある。さらには、体系的・総合的な権
利擁護制度の構築に向け取り組んでいく必要がある。
※ 評価(目標の達成状況)について
A:目標達成に向けて順調 B:目標達成に向けて概ね順調
C:目標達成に向けてあまり順調に推移していない D:目標達成に向けて不調
44
策定値
指 標 項 目
20年度評価
21年度評価
数値
数値
数値増減
地域活動やボランティア・NPO活動に
ャ
チ 参加している高齢者の割合
レ
ン
ジ
指
標
の
状
況
42.6%
(平成16年度)
ハローワーク(神戸・灘・明石・西神)を
通じて企業へ就職した障害者数(年
間)
471人
(平成15年度)
地域で高齢者や障害者の見守りや生
活の手助けをしている人の割合
18%
(平成16年度)
市民福祉大学の地域活動者研修の受
講者(累計)
42,296人
(平成16年度)
障害者入所施設から地域生活へ移行
した人の人数(※平成20年11月追加)
47人
(平成19年4月)
達成度評価
数値増減
達成度評価
44.3%
(平成20年度)
40.0%
(平成21年度)
1
1
720人
(平成19年度)
728人
(平成20年度)
5
5
14.6%
(平成20年度)
11.1%
(平成21年度)
1
1
62,934人
(平成20年度)
67,530人
(平成21年度)
4
4
70人
(平成20年9月末)
104人
(平成22年3月末)
2
※ 評価(数値増減)について
:前回評価時の値を上回っている。
:前回評価時の値とほぼ同等
:前回評価時の値を下回っている。
※ 評価(達成度評価)について
5:目標値達成 4:達成率75%以上 3:達成率50%以上
2:達成率25%以上 1:達成率25%未満
※ 達成度評価とは
2010年のともに目指そう値に対する策定値からの達成度
計算式:(現状値ー策定値)÷(ともに目指そう値ー策定値)
45
ともに
目指そう値
4
50%
500人
25%
68,000人
106人
「神戸2010ビジョン」検証委員会の意見
【平成21年度の取り組みに対する内部評価について】
・ 目標達成状況に対する評価は妥当である。
【最終年度における目標達成状況について】
・ 最終年度における目標達成見込みは妥当である。
【総仕上げに向けた助言】
① この分野では部門別計画も整備されており、その中で目標値も設定されているので評価しやすい
が、一方で、計画に載っていることのみを達成すればよいという考えに陥ることには気を付ける
べきである。現場の話は日々変わっていくため、部門別計画に柔軟に新たなニーズを吸収しなが
ら、効果的な施策を進め、それらを評価の対象とすることも重要である。
【平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題への意見】
① 高齢者・障害者についても、これまではサービスを受ける側として捉えられてきたが、クオリ
ティ・オブ・ライフや彼らの社会参加の視点で考えていく必要がある。次の段階では、神戸なら
ではの新たなものを見つけるべきである。
② 高齢・障害分野については、ある程度システムが整理されているが、それを超えていくために何
が必要かという視点にたって、新たな挑戦をしていくべきである。
③ 軽度の精神障害者について、地域での受け皿が少ないので、次のステップとして対応の検討が必
要である。また、うつ症状を改善するための体制を早急に構築していくことが大きな課題であ
る。
④ 子育て施策と高齢者施策、障害者施策には共通項がたくさんあるので、現状のような対象者別の
施策展開ではなく、区別の地域福祉計画のようなものが必要となってくるのではないか。
⑤ 障害者の就労について、新たな商品開発や企業への働きかけなどの新たな取り組みにより、社会
経済情勢が悪化する中でも支援できるようにすべきではないか。
⑥ 権利擁護については、これからますます高齢・単身世帯が増加する状況も踏まえ、残余財産から
権利擁護事業による応分の負担を求める新たな仕組みづくりを市として行う必要があるのではな
いか。
46
検証・評価シート
アクションプラン
取りまとめ課
7.健康まちづくりプラン -平成21年度の取り組み状況-
保健福祉局健康部地域保健課
企画調整局企画調整部調整課・医療産業都市構想推進室
担当課
東灘区保健福祉部健康福祉課
教育委員会事務局総務部教育企画課・指導部健康教育課・社会教育部スポーツ体育課
すべての市民が健康で心豊かに生活できる活力ある社会とするため、早世の減少、健康寿命の
延伸及び生活の質の向上を実現する。このため、保健事業のみならず、市政全般において健康を
目
視点においた事業展開をするとともに、神戸医療産業都市構想での最先端の研究成果や神戸の都
標
市としての魅力を生かし、市民や来訪者が「健康」を実感し、楽しむことのできるまちづくりを
めざす。
(1)市民の健康づくりの促進とその基盤づくり
評価
A
「クオリティ・オブ・ライフ(市民生活の豊かさ)」の視点に立った“神戸らしい豊かさ”を実
現するため、市民の主体的な健康づくりを支援・推進している。
目
標
達
成
状
況
①平成20年3月に策定した『新・健康こうべ21』(神戸市健康増進計画)の重点分野を中心に市民
の健康づくりを推進した。
まず、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)対策では、医療保険者(神戸市国民健康
保険)として平成20年5月から特定健診・特定保健指導を開始した。受診券発行による個別案内、
身近な医療機関での個別健診の導入、自己負担金の減額など受診しやすい制度とした結果、受診
者は73,004人(20年度 70,201人)、受診率は26.6%(速報値)となった。これは目標値には達
していないものの、政令指定都市の平均受診率と概ね同程度である。
また、市内の健康保険組合等との情報共有・連携強化を図る「神戸市地域・職域保健ネット
ワーク会議」を通じて市域全体での実施状況や課題の把握、受診率改善策の検討に努めたほか、
30歳・35歳~39歳の若年層、40歳から74歳で医療保険未加入者及び75歳以上の高齢者を対象に神
戸市健康診査を実施した。
②神戸市が実施しているがん検診(子宮・乳・胃・肺・大腸)の受診者は年々増加(20 年度
106,207人→21年度 149,446人)しており、特に女性特有のがん検診(子宮・乳)無料クーポン券
の配布や、ピンクリボン運動により、乳がん検診の受診者は平成20年度に比べて約1.6倍(20年度
18,031人→21年度 29,336人)になっている。
③受動喫煙防止対策では、受動喫煙防止の啓発に努めてきた結果、市内公共施設の禁煙実施率は
(H20.4:68%→)73.5%、分煙実施率は(H20.4:31%→)26.0%となった。併せて、5~6月
の禁煙週間及び9月の健康増進普及月間に、庁舎内禁煙を引き続き試行実施した。
④こころの健康づくり対策(うつ・自殺対策)では、市医師会等関係機関とともにかかりつけ医
と精神科医との連携体制の構築を目指す「神戸G-Pネットワーク」の設立、「かかりつけ医うつ
病対応力向上研修会」の開催、区職員向け自殺対策研修会の開催、自殺対策に関わる民間団体の
活動支援などを実施した。
⑤食育の推進では、「神戸市食育推進計画」に基づき、⒜食を楽しみ、⒝食と健康に関心をもつ
ことを目的に、「こうべ朝食メニューコンテスト」「プレパパママ食育講座」「こうべ食育フェ
ア」のほか、保育所等における「食育ひろば」や学校授業、給食時間を活用した食教育などを実
施した。
また、⒞食を大切に、をキーワードに、引き続き、省エネクッキング、食べ残しや食品廃棄の
減少、地産地消の拡大など環境・産業面にも配慮した取り組みを推進した。
さらに、「食育」の取り組みを広くPRするために、「食育ロゴマーク」の普及を図った。
⑥地域医療の確保・充実では、特に体制整備が喫緊の課題である小児救急について、「神戸市小
児救急医療体制検討会議」から提言された「持続可能な小児救急医療体制の確立に向けて(平成
21年4月)」の報告書を踏まえ、小児初期救急機能の強化のため、神戸こども初期急病センター
について、平成22年12月のHAT神戸における開設に向けた準備を進めているところである。
47
⑦21年度新たに発生した新型インフルエンザ対策では、関係機関・団体や地域とのネットワーク
を構築し、早期に感染を探知し拡大防止を図る「地域連携システム(神戸モデル)」を整備する
目 など迅速適切な対応を図った。
標 平成21年度の施策評価としては、特定検診・特定保健指導の受診者が増加したこと(①)、がん
達 検診受診者が増加したこと(②)、うつ・自殺対策として神戸G-Pネットワーク等新たな手法を
成 取り入れたこと(④)、小児救急医療拠点となる神戸こども初期急病センターの整備に着手した
状 こと(⑥)、新型インフルエンザ対策として神戸モデルによる拡大防止対策をとったこと(⑦)
況 のほか、「日常的に運動やスポーツを行っている」人の割合(チャレンジ指標)が、3年連続で
ともに目指そう値の50%を超えたことを考慮して、目標達成に向けて順調(A評価)とする。
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
地域と職域が連携して、「新・健康こうべ21」の重点分野である「メタボリックシンドロー
ム」「がん」「受動喫煙防止」「こころの健康づくり(うつ・自殺対策)」などを推進し、医療
費などの社会的コストの低減を図るとともに、いつまでも元気で心豊かに暮らし続けられる健康
づくりを拡充していくことで、市民が健康で生活の豊かさを実感できる“豊かさ創造都市こう
べ”を目指す。
平成22年度は、①特定健診及びがん検診の受診率の向上、②うつの早期発見・早期治療のほ
か、その背景に様々な社会的要因を抱える自殺対策の総合的な推進、③受動喫煙防止対策の更な
る推進、④小児救急医療体制強化のための、HAT神戸における神戸こども初期急病センターの
整備等、市民の健康づくりとその基盤整備の促進に努める。また、新型インフルエンザを含め感
染症全般についての対策では、地域の医療機関をはじめ学校や社会福祉施設等における感染症発
生の早期探知を行うことにより、迅速な感染拡大防止対策をとるための、地域ネットワーク(神
戸モデル)の充実強化を図る。
これらの進捗により、当該施策については、目標達成できる見込みである。
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
平成23年度以降においても、上記の①メタボリックシンドローム対策、②がん対策、③受動喫
煙防止対策、④こころの健康づくり対策、⑤食育の推進について引き続き取り組んでいく。な
お、平成23年7月に開院予定の新中央市民病院については、引き続き3次救急をはじめとする救
急・高度・急性期医療を担うとともに、神戸こども初期急病センターについては、整備終了後も
小児救急医療の充実に向けて取り組んでいく。
評価
(2)スポーツクラブを軸としたスポーツの振興
B
身近にスポーツに親しめる機会・場を提供することにより「する」スポーツを振興することに
加え、「見る」スポーツや、「ささえる」スポーツの充実にも取り組むことにより、市民がいつ
でも誰でもスポーツに参加でき、健康づくりができるまちの実現を目指している。
①身近にスポーツに親しめる拠点として、市内全小学校区に設立した総合型地域スポーツクラブ
のさらなる発展に向けて、自立・育成のための取り組みを進めた。
活動内容の充実を図るため、引き続きクラブハウスの整備を進めるとともに、クラブ員の交流
を進める事業を実施した。
また、全市や各区の連絡会議や交流事業等を通じて、クラブ間の交流を進めるとともに、クラ
ブの自立化に向けた取り組みを進めた。
これらにより、内容の充実・発展に積極的に取り組んだところであるが、会員数を増加させる
までには至らなかった。
②全ての体育施設において、公募により指定管理者の選定を行い、西体育館については新たな指
定管理者を指定した。また、ポートアイランドスポーツセンター及びポートアイランドホールに
ついては新たに利用料金制を導入するなど、各施設ともさらなる施設管理の効率化と市民サービ
スの向上に取り組んだ。
利用者数については、新型インフルエンザの影響により前年度と比較すると減少した施設もあ
るものの、全体としては概ね順調に推移した。
48
目
標
達
成
状
況
③市民がスポーツに親しむきかっけづくりとなるよう各種イベントを開催した。各種のスポーツ
体験などスポーツの楽しさを気軽に味わうことができる「スポーツフェスティバル」や、オリン
ピック出場選手との交流を行う「オリンピックデーラン」等により、多くの市民がスポーツに親
しめる場を提供した。
また、神戸全日本女子ハーフマラソン大会では過去最高であった昨年をさらに上回る2,404人の
ランナーに参加いただくとともに、沿道整理、給水、選手誘導等にボランティア約1,300名の協力
を得た。さらに沿道ではジャズバンドによる応援演奏や走り方教室の実施、地域スポーツクラブ
による応援や美容学校によるネイルケア・ヘアメイクが展開されるなど、神戸ならではの特色の
ある大会としてスポーツを「する」「みる」「ささえる」すべての観点から充実した大会を開催
することができた。
さらにハーフマラソン大会を発展させた形でのフルマラソン大会の実現に向けた検討を県市共
同で進めた。
④平成21年度は、オリンピックが開催された20年度と比較すると大規模な大会を誘致することは
できなかったものの、22年度以降に開催される大規模な国際大会の誘致を実現することができ
た。さらに集客力・注目度の高い2022年サッカーワールドカップの開催地に立候補を行った。
平成21年度の施策評価としては、スポーツクラブの会員数は減少したものの(①)、クラブ間
の連携や支援体制の充実(①)、体育施設における市民サービスの向上(②)、また、各種スポー
ツイベントの充実(③)、さらには国際スポーツイベントの誘致成功(④)により、全体としては
目標達成に向けて概ね順調(B評価)とする。
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
平成22年度は、スポーツに親しむ機会・場の提供として、全ての体育施設で更なる市民サービ
スの向上と利用者数の維持向上を目指す。また、子供や親子、さらには中高年が参加できるよう
なスポーツイベントの開催により、市民が身近にスポーツに親しみ、健康づくりのきっかけとな
るような機会を提供していく。
スポーツクラブにおいては身近にスポーツに親しめる拠点として、引き続きクラブの魅力発信
を進めることにより会員の増加に努める。また、クラブ間の交流・連携を強化し、交流大会の開
催支援等に努める。クラブハウスの整備については、16校が未整備であり、空き教室の状況等を
勘案しながら、順次、整備していく。
さらに神戸のイメージアップにつながる大会や21世紀を担うジュニアの育成につながる大会
等、国際都市神戸にふさわしいスポーツイベントの誘致に努めていく。
また、平成23年度に予定している「ひょうご・神戸マラソン(仮称)」の開催に向けて、プレ
イベントなどの情報発信やボランティアの募集、養成などの準備を同じく23年度に開催される
「アジア陸上競技選手権大会」と連携しながら進め、市民への周知、機運の醸成を図る。
これらの進捗により、当該施策については、概ね目標達成できる見込みである。
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
平成23年度以降においても、①スポーツクラブの充実等、多くの市民が身近で気軽にスポーツ
に親しめる環境づくりを進め、全ての市民にとって必要不可欠な体力づくりや健康づくりへの支
援を充実していく。②また、アジア陸上競技選手権で醸成した陸上競技の盛り上がりと、ボラン
ティアの育成・活用実績をマラソンにスムーズに引き継いでいくことによりマラソンの成功に繋
げていくとともに、市民全体でスポーツをささえていくことができるようボランティアを幅広く
養成し、組織化していく。③さらに、トップアスリートとの様々な交流の機会を提供し、市民へ
のスポーツへの関心を高めていく。これら、「する」スポーツ、「みる」スポーツ、「ささえ
る」スポーツの全ての観点において、さらなる充実を図っていく。
49
(3)医療・健康関連産業の活性化
評価
A
神戸医療産業都市構想は、ポートアイランドを中心に、神戸空港も活用しながら、医療関連産
業の集積と新産業の創出をはかり、既存産業の高度化と雇用の確保による神戸経済の活性化、先
端医療技術の提供による市民の健康・福祉の向上、国際社会への貢献をめざしている。
目
標
達
成
状
況
①平成21年で構想の着手から11年を迎え、先端医療センターや理化学研究所を始めとする11の中
核施設が整備されている。(財)先端医療振興財団では、文部科学省の「知的クラスター創成事業
(第Ⅱ期)」や「橋渡し研究支援推進プログラム」等の公的研究費を活用し、基礎研究の成果を
臨床に応用するための「橋渡し研究」を推進しており、医療機器の開発や再生医療の臨床応用な
どの研究成果については、先端医療技術の提供として市民に還元されている。
また、高度専門医療機関等の集積により国内外の患者に高度医療サービスを提供する「メディ
カルクラスター」の形成に向け、その第1号となる「神戸国際フロンティアメディカルセンター
構想」の具体化に向けた調整・支援を行った。
○先端医療センターの診療等実績(21年度)
・PETを用いた検査 5,241件
・CTリニアック、高精度放射線治療装置を用いた放射線治療 6,654件
・血管造影装置を用いた脳血管内治療 169件
・造血幹細胞移植 29件
また先端的な医療技術や治療法等に関する情報を市民に提供することや医療産業都市構想にお
ける研究の内容・成果、次世代スーパーコンピュータの意義等を市民にわかりやすく説明し、構
想等への理解を深めていただくことを目的として、
・研究者・医師等を講師とするセミナー「先端医療の夕べ」(第11回「実用段階に入った
再生医療」184人参加、第12回「認知症の今とこれから」287名参加)
・理化学研究所と連携した先端医療センター等の一般公開(約2,100人参加)
・医療関連学会との併催による市民公開講座(約100人参加)
・理研の研究者等を講師とした子供にもわかる次世代スパコン市民県民セミナー
(定員200人に対し約500人参加)
等を開催している(21年度実績)。
②先端的な医療の実現化、産業化や国民へのより迅速な提供に向け、研究開発の推進を図ること
を目的とする「先端医療開発特区(スーパー特区)」について、先端医療振興財団の研究者を代
表とする提案2件が採択(20年11月)されており、引き続き、再生医療の実現化、内視鏡先端医
療機器の開発等、先端医療技術の実用化に向けた研究を推進している。
③平成19年3月に「神戸健康科学(ライフサイエンス)振興会議」から、クラスターにおけるイノ
ベーション創出を加速する「メディカルイノベーションシステム」の構築に向けて、高度専門医
療機関や優秀な臨床医を集積させる「メディカルクラスター」の形成や、研究の成果を市民の健
康維持に役立て、市民の科学的な健康づくりを支援する「健康を楽しむまちづくり」の具体化が
提言された。また、クラスター形成による経済効果は平成17年度末時点で年間409億円、税収効果
は12~13億円と推計された。
構想の推進により、医療関連の進出企業数は174社(22年5月末現在)、雇用者数は3,300人(21
年12月末現在)に達しており、医療関連産業の集積と雇用の創出が進んでいる。
④平成19年3月に立地が決定した国家プロジェクト「次世代スーパーコンピュータ」は、平成20年
3月から理化学研究所によりポートアイランド(第2期)で建設が進められており、平成24年の完
成を予定している。平成20年1月に設立された(財)計算科学振興財団において、次世代スパコン
の研究開発や産業利用の促進及び普及啓発に取り組んでいるところであり、医薬品・医療機器の
開発などライフサイエンス分野に関するシミュレーション研究等での活用が期待されている。
平成21年度の施策評価としては、「知的クラスター創成事業(第Ⅱ期)」等、公的研究費を活
用した橋渡し研究の実施と先端医療技術の提供による研究成果の市民への還元及び「メディカル
クラスターの形成に向けた調整・支援(①)、「先端医療開発特区」を活用した研究開発環境の
整備(②)、医療関連産業の集積や雇用の確保(③)、「次世代スーパーコンピュータ」の利活
用支援事業の推進(④)等、神戸健康科学(ライフサイエンス)振興ビジョンにおける提言の具体
化に向けた取り組みが順調に進捗していることから、目標達成に向けて順調(A評価)とする。
50
目
標
達
成
状
況
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
平成22年度は、
・難治性疾患に対する再生医療(下肢血管、角膜、骨等)を活用した治療法の研究開発など、
先端医療技術の実用化に向けた取り組みの推進
・神戸国際フロンティアメディカルセンター(KIFMEC)病院や神戸低侵襲がん医療センターの
保健医療計画への位置づけに向けた調整、国際医療開発センターの着工(23年3月末竣工予定)
など、メディカルクラスターの形成に向けた取り組みの推進
・生活習慣病予防等に関する市民参画による都市型コホート研究の開始
・より充実した情報発信に向け、新たに市民向け構想説明会の毎月開催(第1回説明会は定員
30名に対し57名が参加)
など、ライフサイエンス振興ビジョンの具体化に向けた取り組みを推進する。
さらに、次世代スーパーコンピュータについては、22年5月に建屋が完成するなど順調に整備が
進められており、引き続き、(財)計算科学振興財団等とともに、次世代スパコンを活用した研究
開発や産業利用を促進し、地域経済の活性化を図る。
高度専門医療機関における診療の開始など市民の健康・福祉の向上につながる具体的な成果に
は至っていないものの、これらライフサイエンス振興ビジョンの具体化に向けた取り組みの進捗
により、当該施策については目標達成できる見込みである。
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
平成23年度以降は、新中央市民病院の開院(平成23年7月予定)や次世代スーパーコンピュータ
の供用開始(平成24年11月予定)等が予定されており、これらと連携しながら、引き続き、①再
生医療など先端医療技術の実用化に向けた取り組み、②KIFMEC構想をはじめとするメディカルク
ラスターの形成促進、③健康を楽しむまちづくりの推進、④市民へのより充実した情報発信な
ど、ライフサイエンス振興ビジョンの具体化に向けた取り組みを推進する。これにより、医療産
業都市構想の目的である、既存産業の高度化や雇用の確保による神戸経済の活性化、先端医療技
術の提供による市民の健康・福祉の向上をめざす。
評価
(4)「健康を楽しむまちづくり」の推進
B
神戸医療産業都市構想の対象を「先端医療」分野から「健康・福祉」に拡げ、産学官の連携に
より、個人の健康づくりの支援、健康関連産業の活性化等に取り組み、市民や来訪者等が健康を
実感し、楽しむことのできる「健康を楽しむまちづくり」に取り組んでいる。
①平成17年7月に「健康を楽しむまちづくり懇話会」(16年4月設置)から「運動・栄養・休
養」に関する8つのプログラム提案がなされ、これに基づく地域再生計画が18年7月に国に認定
されたことにより、国の支援メニューも活用しながらプログラム提案の実現に取り組むことと
なった。
②これまで糖尿病予防を中心とした健康情報サイト「はつらつ神戸健康クラブ」の立ち上げ(18
年9月)や、ウォーキングイベント「こうべ健康ウォーク」の開催(17年度から各区で実施)を
通じ、市民の健康意識の向上に取り組んだ。
また、国の支援メニューを活用し、平成18、19年度には「歩行支援プログラム」の介護予防効
果の科学性検証(18年度 須磨区友が丘地区住民約100名、19年度 「生きがいディサービス」利
用者約300名)や「栄養指導システム」の構築(18,19年度)を実施したほか、20、21年度には
「ICTツールを活用した認知症予防プログラムの調査研究」の実施(「生きがいデイサービス
利用者約100名)を実施し、市民の科学的な健康づくりを支援するシステムの基盤構築に取り組ん
だ。
さらに、平成19、20年度に実施した「ウォーキングマイレージ実証事業」において、コンビニ
等の地域拠点から歩数データを送信してもらい、定期的に歩数レポートとして郵送する仕組みが
歩行習慣の形成・継続に有効であることが実証されたことから、この仕組みを「神戸ウォーキン
グサポートシステム実証事業」として再構築し、21年度から生活習慣病予防推進のための実証事
業を実施しているところである。
平成21年度の施策評価としては、「こうべ健康ウォーク」の各区での開催、「生きがいディ
サービス」利用者(8施設・約100人)を対象とした「ICTツールを活用した認知症予防プログラ
ムの調査研究」の実施、「ウォーキングマイレージ実証事業」の基盤を活用した「ウォーキング
サポートシステム実証事業」の実施といった取り組み(②)は順調に進んでいるが、現在、「健康
を楽しむまちづくり懇話会」から提言されたプログラムの実現に向け取り組んでいる状況であ
り、全体としては目標達成に向けて概ね順調(B評価)とする。
51
目
標
達
成
状
況
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
平成22年度以降は、引き続き「健康を楽しむまちづくり懇話会」から提言されたプログラムの
具体化とともに、「神戸健康科学(ライフサイエンス)振興ビジョン(19年3月提言)」で提言
された、ICTを活用して市民の健康情報等を収集し、かかりつけ医の協力を得て、5年後、10
年後の要介護率の軽減等を評価する「健康長寿プログラム」の具体化に取り組む。
具体的には、「ウォーキングマイレージ実証事業」を通じて構築した市民との協力関係を基礎
として、地域イノベーションクラスタープログラム等を活用し、市民参画による「生活習慣病予
防コホート(集団)」の基盤構築・維持を行うとともに、20、21年度に引き続いて「ICTツー
ルを活用した認知症予防プログラムの調査研究」を実施し、市民が地域で自立して継続的に取り
組むことのできる認知症予防プログラムの開発を行うなど、市民参画による運動や栄養などに関
する実証事業を通じて、生活習慣病予防や介護予防に向けた市民の科学的な健康づくりの支援に
取り組む。
これらの進捗により、当該施策については概ね目標達成できる見込みである。
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
平成23年度以降は引き続き、市民参画による都市型コホートを活用した生活習慣病予防研究や
ICTを利活用した新たな介護予防の取り組みなど、産学やWHO神戸センターとの連携によ
り、「健康を楽しむまちづくり懇話会」から提言されたプログラムの具体化に向けた取り組みを
推進していく。
※ 評価(目標の達成状況)について
A:目標達成に向けて順調 B:目標達成に向けて概ね順調
C:目標達成に向けてあまり順調に推移していない D:目標達成に向けて不調
20年度評価
21年度評価
数値
数値
策定値
指 標 項 目
数値増減
特定健康診査の受診率(神戸市国保)
(21年3月設定)
(平成20年度見込)
「日常的に運動やスポーツを行ってい
る」人の割合
46.3%
(平成16年度)
25.0%
ャ
36,889人
(平成16年度末)
85.8%
(平成16年度)
禁煙又は分煙を実施している公共施設
90.5%
の割合
(平成16年3月)
*市内の医療、保健衛生、スポーツ・
健康維持増進サービス業の従業員数
(19年3月設定)
数値増減
1
55.0%
(平成20年度)
55.2%
(平成21年度)
5
5
44,031人
(平成20年度)
43,004人
(平成21年度)
3
2
82.7%
(平成20年度)
81.6%
(平成21年度)
1
1
99.4%
(平成20年度)
99.5%
(平成21年度)
4
4
-
5,700人
(平成16年)
達成度評価
26.6%<速報値>
(平成21年度)
-
-
チ
レ
ン
ジ
指 総合型地域スポーツクラブ会員数
標
の
状 「栄養や食生活に気をつけている」人
況 の割合
達成度評価
26.3%
(平成20年度)
ともに
目指そう値
50 %
50 %以上
50,000人
90 %以上
100 %
-
7,000人
-
-
-
* 「事業所・企業統計調査」(平成21年度から「経済センサス」に変更)は、2~3年に1回実施
※ 評価(数値増減)について
:前回評価時の値を上回っている。
:前回評価時の値とほぼ同等
:前回評価時の値を下回っている。
※ 評価(達成度評価)について
5:目標値達成 4:達成率75%以上 3:達成率50%以上
2:達成率25%以上 1:達成率25%未満
※ 達成度評価とは
2010年のともに目指そう値に対する策定値からの達成度
計算式:(現状値-策定値)÷(ともに目指そう値-策定値)
52
-
神戸2010ビジョン検証委員会の意見
【平成21年度の取り組みに対する内部評価について】
・ チャレンジ指標では目標に達していないものもあるが、評価については、定量評価だけでなく、
ロードマップ上のどこまで出来ているかで評価すればよいと思うので、目標達成状況に対する評
価は妥当である。
・ 新型インフルエンザのように、ビジョン策定時に想定していなかったものに対して大きな成果を
あげられたことについても、評価すべきではないか。
【最終年度における目標達成状況について】
・ 最終年度における目標達成見込みは妥当である。
【総仕上げに向けた助言】
① 特定健診の受診率の向上について、個人の意識や価値観に関係してくる部分なので難しいとは思
うが、引き続き努力してもらいたい。
② 「禁煙又は分煙を実施している公共施設の割合」が99.5%にとどまっているが、公共施設でやっ
ていないところは強く指導するなど対応を促すべきである。
【平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題への意見】
① 医療産業都市構想については、産業面だけでなく、健康づくりやスポーツなど、市民により分か
りやすい、市民に効果が感じられるところをより強化してもらいたい。
② スポーツの振興では、クラブハウスの整備等ハードの部分だけでなく、ソフトウェアやヒューマ
ンウェアの充実にウェイトを置いていってはどうか。
53
検証・評価シート
アクションプラン
8.価値を創造する元気な産業のまちプラン -平成21年度の取り組み状況-
取りまとめ課
産業振興局庶務課
担当課
市長室国際交流推進部、
企画調整局調整課・医療産業都市構想推進室・情報化推進部、
行財政局財政部財務課・経理課、市民参画推進局男女共同参画課・青少年課、
産業振興局庶務課・工業課・商業課・国際経済課・企業誘致推進室企業立地課・観光コ
ンベンション推進室・中小企業振興センター、
建設局道路部計画課、 都市計画総局計画部計画課、
みなと総局経営企画部総務課・企業誘致課・みなと振興部振興課・空港事業室推進課・
誘致課・技術部計画課
市民生活の基盤となるしごと(雇用)創出のためには、神戸経済の活性化が欠かせない。神戸
目 の強みを生かしながら、個々の力を最大化するとともに、積極的な連携を進め、そのエネルギー
標 を結集することにより、新たな価値を創造する都市イノベーション・システムを構築し、激しく
変化する環境に対応できる元気な産業のまちの実現を目指す。
(1)挑戦する「人・企業」の新事業創出・経営革新支援
評価
B
平成21年度、神戸経済は米国発の金融危機をきっかけとした不況により、企業収益や雇用情勢
が低迷する極めて厳しい環境下にあった。このような中でも変化する経済に対応するには、新分
目 野進出や新製品開発、日々の地道な経営改善など幅広い「挑戦」が重要であり、それを支援する
標 施策を継続して重点的に取り組んでいる。
達 ①中小・ベンチャー企業等の有望な事業計画の支援を行う「KOBEドリームキャッチプロジェク
成 ト」(産業振興財団)では、21年度にはX-KOBE=9件、N-KOBE=26件の計35件を認定した。17年度
状 から5ヵ年の認定事業数が212件(2010年までのチャレンジ目標300件に対して進捗率70.7%)と
況 なっている。
また、医療、ロボットテクノロジー、ファッション等の分野における新たな取組みを支援する
「神戸挑戦企業等支援補助制度」(補助率:1/2)では、21年度採択件数が21件(内訳:医療・健
康・福祉分野=9件、ファッション産業ブレークスルー=6件、ロボットテクノロジー分野=2件、
挑戦企業等支援=4件)(提案:82件)となっている。
②ファッション産業について、日本最大級のファッションイベントとして人気を博している「神
戸コレクション」を核に関連イベントを集中的に開催する「神戸ファッションウィーク」を支援
するとともに、神戸ファッション協会と連携した「神戸ファッションフェスティバル」など、さ
まざまなファッション産業振興イベントを実施することで「ファッション都市・神戸」の効果的
な発信を図った。
また、洋菓子のデザインをプロダクトデザイナーなど異分野のデザイナーが行なう「“神戸洋
菓子”デザインアワード」では、「感性価値創造ミュージアムin Kobe」と連動させた「感性カ
フェ(旧居留地15番館)」において優秀作品のデザインを取り入れたケーキ販売を実施すること
で、メディアを通じた効果的な情報発信を行った。
③神戸ものづくりクラスター支援センターでは、新規事業・新技術開発を進めようとする中小企
業等が年々増加しているニーズを踏まえ、「NIROものづくり試作開発支援センター」のスペース
拡張や「3次元樹脂造形装置」の増設、さらに技術・デザイン等に関する相談体制を強化したとこ
ろ、多くの相談・利用実績につながっている(H21:1,435件)。また、NIROにおける大学・大企
業等の保有特許・技術の中小企業等への移転件数が532件(2010年までのチャレンジ目標値740件
に対して策定時点(284件)からの進捗率54.4%)となっている。
④商店街・小売市場の振興について、市民に地元での消費を訴え、商店街・小売市場を活性化す
るためのキャンペーン事業「地元こうべで買いましょう」運動を実施した。その一環として、プ
レミアム付商品券「こうべ買っ得商品券」の発行を支援した。総額11億円、10万セットを21年3月
20日より発売開始したところ6月1日に完売となり、多くの市民に地元の商店街・小売市場の良さ
を再認識してもらうきっかけになったと考えている。
⑤社会的事業の発掘・支援に関しては、地域の課題解決のために行う経済的に自立した取り組み
を発掘・顕彰する「神戸ソーシャル・ベンチャー・アワード」を継続的に実施しており、これま
でに20団体(うち21年度で4団体)が受賞した。
55
目
標
達
成
状
況
平成21年度の施策評価としては、KOBEドリームキャッチプロジェクト認定企業について、厳し
い経済環境下にあっても、売上高を増やした企業が66%(104件:有効回答156件)に上っており、神
戸経済を支える新たな事業が着実に育ちつつあること(①)、ファッション産業において、神戸
ファッション協会との連携や神戸コレクションを核とした取り組みなど、多彩な手法で「ファッ
ション都市・神戸」の効果的な発信が図られたこと(②)、神戸ものづくりクラスター支援セン
ターでの多くの利用実績が上がったこと(③)、商店街・小売市場を活性化するため「地元こうべ
で買いましょう」運動が展開されたこと(④)などが挙げられることから、KOBEドリームキャッ
チプロジェクト認定件数自体の伸び悩みという課題はあるものの(①)、全体としては、目標達
成に向けて概ね順調(B評価)とする。
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
変化する時代に対応するためには新たな事業に挑戦しやすい環境づくりが重要であるが、景気
の影響を受けやすい領域でもある。チャレンジ目標指数であるKOBEドリームキャッチプロジェク
ト認定件数やNIROにおける大学・大企業等の保有特許・技術の中小企業等への移転件数が平成20
年度以降やや伸び悩んでいることにも表れている。平成22年度は、KOBEドリームキャッチプロ
ジェクトについては、未認定となった企業(n-KOBEなど)への支援強化や広報手段の見直しを行
うことで応募企業を発掘し、市内で挑戦しようとしている事業者を1社でも多く支援していく。
これらの進捗により、当該施策については、概ね目標達成できる見込みである。
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
平成23年度以降についても、経済環境の目まぐるしい変化の中で一つのビジネスモデルが対応
できる期間が短くなっており、新規創業・第二創業や経営革新を支援することで経済全体の動き
を活発化する重要性は高まってくる。ドリームキャッチプロジェクトのような挑戦を支援する制
度は引き続き重要であり、支援メニュー拡充など効果的な支援制度を検討・準備する必要があ
る。
(2)新たな活力を生み出す「人・企業」の誘致
評価
A
平成21年度は、ほとんど全ての産業分野で投資意欲が冷え込む厳しい環境下での誘致活動と
なった。既存産業の集積や空・海・陸のアクセスの良さなど神戸の強みを生かし、将来において
成長が見込まれる産業分野や企業をターゲットとして企業誘致に取り組んでいく。
①企業誘致については、トップセールスの推進、ワンストップサービス機能の拡充、企業ニーズ
への迅速な対応により積極的に推進してきたが、全国的に企業の投資意欲が冷え込んだ21年度
は、土地分譲の実績が5件2.3haとなった。なお、「17年度から10年間で100haの産業用地の売却」
の目標の達成率は69.1%に達している。
②医療・福祉・健康関連企業の誘致については、21年度末までの実績が170社(2010年までのチャ
レンジ目標200社に対して策定時点(73社)からの進捗率は76.4%)となっている。さらなる集積
を加速させるために、研究開発型企業が入居するウェットラボへのニーズが高いことから、平成
21年度には新たに「(仮称)ハイブリッドビジネスセンター」の整備を進めた(竣工予定:平成23
年3月)。
③外国・外資系企業の誘致については、21年度末までの実績が121社(2010年までのチャレンジ目
標100社に対して策定時点(72社)からの進捗率は175%)となっており、日中ビジネス関連につ
いては、同じく60社(チャレンジ指標の目標値55社に対して策定時点(37社)からの進捗率は
127.8%)となっている。このうち38社が留学生・留学経験者による起業によるものであり、留学
生・留学経験者への起業支援の成果があらわれている。
平成21年度の施策評価としては景気後退の逆風の中で土地分譲の実績が5件2.3haであったが
(①)、医療・福祉・健康関連企業の誘致実績が170社と目標の200社にむけ着実に増加している
(②)こと、外国・外資系企業本社数と日中ビジネス関連企業数が着実に増加している(③)こと
から目標達成に向けて順調(A評価)とする。
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
景気の波による企業の投資意欲の変化は企業誘致の成否に大きく影響する。市民生活の基盤と
なるしごと(仕事)の創出には、外部からの人や企業の流入による産業の活性化が不可欠である
ことから、平成22年度は、特に医療関連産業や次世代スーパーコンピュータなど知的プロジェク
トに対応した誘致活動を強化していく。
これらの進捗により、当該施策については、目標達成できる見込みである。
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
平成23年度以降は、医療関連産業や次世代スーパーコンピュータなど知的プロジェクトに対応
した誘致活動を強化、太陽光パネルや燃料電池といった新エネ・省エネ分野の成長、神戸の強み
である鉄道車両や原子力発電プラント、高効率のタービン発電機など低炭素化社会に貢献できる
産業分野のさらなる集積に取り組んでいく。
56
(3)都市イノベーション・システム構築に向けた先導的事業の推進
評価
A
元気な産業のまちを実現するには、新たな活力を生み出すための先導的事業の推進が重要であ
り、本市では「神戸医療産業都市構想」をはじめ各種プロジェクトを推進している。
目
標
達
成
状
況
①神戸医療産業都市構想では、医療関連産業の集積と新産業の創出を図り、既存産業の高度化と
雇用の確保による神戸経済の活性化、市民福祉の向上、国際社会への貢献を目指している。
平成19年3月に「神戸健康科学(ライフサイエンス)振興会議」より提言を受けた将来ビジョン
の具体化にむけて、クラスターにおけるイノベーション創出を加速する「メディカルイノベー
ションシステム」の構築を目指し、高度専門医療機関等の集積を図る「メディカルクラスター」
の形成や、市民の科学的な健康づくりを支援する「健康を楽しむまちづくり」の具体化等に取り
組んでいるところである。
平成21年度で構想の着手から11周年を迎え、先端医療センターや理化学研究所をはじめとする
11の中核施設が整備されている。(財)先端医療振興財団では、文部科学省の「知的クラスター創
成事業(第Ⅱ期)」や「橋渡し研究支援推進プログラム」等の公的研究費を活用し、新しい医療
技術の研究開発等に取り組んでいる。平成21年6月に、大阪、兵庫地域の産学官が共同で提案した
「産学官連携拠点」について、文部科学省・経済産業省より採択を受けており、「医薬品」「医
療機器」「健康分野」をメインターゲットに、研究開発を一層促進し、バイオメディカル産業の
活性化を図っており、これらの事業の成果が新たな産業の創出につながることが期待される。ま
た、市民や事業者に医療産業都市構想への理解を深めていただくことを目的として、理化学研究
所と連携した先端医療センター等の施設一般公開を実施(約2,100名参加)するとともに、「先端
医療の夕べ」などのセミナーを実施し、定員を上回る参加(第12回「認知症の今とこれから」定
員200名に対し287名参加)をいただいた。
②次世代スーパーコンピュータについては、企業や大学等による研究開発や産業利用を促進する
オールジャパンの共用施設として、平成24年の完成・供用を目指して、理化学研究所により整備
が進められている。
平成21年度は、(財)計算科学振興財団の活動を通じて、普及啓発のため、次世代スパコン市民
県民セミナー(約500人参加)などの各種セミナーを開催したほか、企業が高度なシミュレーショ
ンを活用した研究・開発を行うために必要な技術的・専門的なサポートを実施する「コーディ
ネーター」等の配置、社会人向け実践スクールや企業におけるニーズ把握等の産業利用促進、さ
らには、次世代スーパーコンピュータの利用支援施設として「高度計算科学研究支援センター
(仮称)」の整備に着手した。また、甲南大学、県立大学に引き続き、産学連携や学学連携を効
果的に推進する神戸大学の統合研究拠点施設の整備が進められている(平成23年度供用開始予
定)。
③神戸RT(ロボットテクノロジー)構想については、市内中小企業の支援や人材育成に取り組
むための拠点として「(仮称)神戸ロボット工房」を地域人材支援センターに整備することとした
(平成22年11月開設予定)。また、産業化の実現に向けてロボット工学だけでなく、マーケティ
ングの専門家などから意見を聴取するために「こうべRT構想産業化推進検討会議」を設置し、
検討を進めている。
平成21年度の施策評価としては、景気が後退している中で、医療産業都市構想に関して、医
療・福祉・健康関連企業の誘致実績が170社に達し、市内中小企業において100件を超える医療機
器等の開発が行われうち20件以上が販売される(神戸市把握分)といった医療分野への進出促進
及び連携強化(①)、次世代スーパーコンピュータの着実な推進(②)、神戸RT構想におけるロボッ
ト開発・産業化の取組み強化(③)が挙げられることから、目標達成に向けて順調(A評価)とす
る。
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
医療産業都市構想については、研究開発の成果を事業化に結び付けていくことが課題であり、
進出企業と市内医療関連企業との交流会を、平成22年度は商工会議所やメドコラボ神戸などと協
力し、月1回定例的に開催することで、出会い・マッチングの場の提供をはかる。また、より多く
の市民・事業者への医療産業都市構想等の情報提供と理解を深めていただく取り組みをより一層
充実させるため、従来より実施している「先端医療の夕べ」や施設一般公開などに加え、平成22
年6月より月1回定例的に医療産業都市構想説明会を実施することとし、6月開催時には定員を
上回る参加(定員30名に対し57名が参加)をいただき好評であった。次世代スーパーコンピュー
タは、地元企業の活性化や高度化につなげていくことが課題であり、引き続き、(財)計算科学振
興財団を中心に、各種セミナーの開催など普及啓発に努めるとともに、平成23年4月の供用を目指
して、高度計算科学研究支援センター(仮称)の整備及び産業界が利活用する小型スパコンの導
入などを進めていく。
これらの進捗により、当該施策については、目標達成できる見込みである。
57
目
標
達
成
状
況
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
平成23年度以降については、医療産業都市構想は、国際的な高度専門医療機関が集積する神戸
国際フロンティアメディカルセンター構想をはじめとするメディカルクラスター形成にむけた取
り組みを進めるとともに、「健康を楽しむまちづくり」を推進し、関西圏全体でのスーパークラ
スターの形成をはかる。次世代スーパーコンピュータは、世界最高水準のスーパーコンピュー
ティング研究開発拠点(CEO)の形成と地元企業のメリットにつながる利活用を推進していく。また
神戸RT構想は、専門家の意見を踏まえながら、市内中小企業の高度化を促す取り組みを進めてい
くが、今後は介護分野や農業分野での開発や事業化が鍵になってくると考えている。
(4)産業活動を支える制度や仕掛けづくり
評価
A
神戸2010ビジョンの部門別計画として「神戸市中小企業活性化プログラム」(計画期間:平成
19年度~平成22年度)を着実に推進していくとともに、米国発の金融危機をきっかけとした不況
と平成20年5月の新型インフルエンザによる経済的なダメージの中で、市民のくらしを守るという
方針のもと、(1)セーフティネットとしての中小企業への資金繰り対策、(2)国の取り組みと有機
的に連携した緊急的な雇用対策、(3)低迷した売上を回復させる販路拡大支援など重点的・緊急的
な取り組みを行った。
①中小企業への資金繰り対策については、国の緊急保証制度の対象であり一定の売上の落ち込み
があれば利用可能な経済変動対策資金(セーフティネット資金)の制度拡充として、融資予定額
の増額(当初予算:50億円増、6月補正予算:50億円増)、融資限度額の増額(8,000万円 →1億
円)、融資期間の延長(7年以内→10年以内)、据置期間の延長(1年以内→2年以内)を実施し、
積極的な利用を促進している。また小規模事業者向けの借入負担の軽減を図るために、小規模事
業おうえん融資等の融資額300万円以下にかかる信用保証料について、市が一定の補助(1.05%以
下の全額とそれを上回る部分の1/3)をおこなってきたが、平成21年4月より、融資額400万円以下
に対し信用保証料の全額を市が負担する。また、新型インフルエンザの影響により売上が減少し
た事業者の相談に対応するため、5月27日より特別金融相談窓口を設置した。
②緊急的な雇用対策については、国の緊急雇用創出事業とふるさと雇用再生事業を、当初予算に
加え6月と11月に補正予算を編成することで、可能な限り前倒し実施を行った(92事業で延べ約
1,500人の就業機会を創出)。また、新規学卒者の厳しい就職状況を踏まえ、例年実施している就
職面接会を拡充(4回→5回)し、そのうちの1回を新卒者を対象として実施した。さらに、就労
を目指す若年者や中高齢者を対象に相談員(キャリアカウンセラー)による就労相談を神戸市青
少年会館で週2回実施した(相談実績:281件)。
③商店街・小売市場の集客・交流イベントを支援している地域商業サポート事業を補助率等の拡
充を図り、新型インフルエンザの影響によりダメージを受けた商店街等の賑わい回復のための積
極的な取り組みを支援した(実績:107団体(うち追加分34団体))。
④売上が低迷する市内製造業については、市内中小製造業の展示会への出展や業界紙等への広告
掲載等の一部を補助する制度を平成21年6月に新設し、販路開拓活動を支援した(実績:19件)。
さらにファッション産業分野では、業界団体等が行う消費者向けの販売催事等の販売促進事業を
支援する制度を同じく6月に新設し、地場産業製品の消費喚起と神戸ブランドのさらなる認知度向
上を図った(実績:8件)。
⑤市民の地元消費を喚起する仕組みとして、神戸市商店街連合会と神戸市小売市場連合会が共通
で取り扱う1割のプレミアム付商品券「こうべ買っ得商品券」の発行を支援した【再掲】。
平成21年度の施策評価としては、有効求人倍率は依然として低迷しているものの、米国発の金
融危機をきっかけとした不況と新型インフルエンザによる経済的なダメージの中で、中小企業へ
の資金繰り対策や雇用対策、さらに賑わい回復の対策などを迅速に実施してきたこと(①②③④
⑤)から、目標達成に向けて順調(A評価)とする。
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
日本経済全体を取り巻く環境は、政策効果に支えられた民間消費と新興国需要といった一部明
るい材料はあるが、雇用情勢などまだまだ厳しい部分は多い。そこで平成22年度は、国の経済対
策などを注視しつつ、市民経済を支える中小企業者の視点に立ったきめ細やかな施策を積極的に
展開し、中小企業の経営の安定化に努めていくこと、さらに「神戸市中小企業活性化プログラ
ム」を着実に推進していくことで、景気の下支えを着実に行うという意味でも当該施策について
は、目標達成できる見込みである。
58
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
平成23年度以降においても、神戸経済の成長の鍵が中小企業の活性化であることには変わりは
なく、現行の中小企業活性化プログラムの検証を踏まえ、平成22年度中に次期プログラムの策定
を行う。次期プログラムの検討の中では、少子高齢化の進展による国内需要に限界のある中での
マーケット戦略(域内需要の活性化と海外需要の取り込み)、産業面での低炭素化社会への対応
などにどのように取り組んでいくかが特に重要な課題だと認識している。
目
標
達
成
状 (5)産業活動を支える海・空・陸・情報の「みなと」づくり
評価
B
況
神戸の経済発展を支えてきた神戸港の港勢を回復させ、また神戸の新たな玄関口である神戸空
港も積極的に活用し、海・空・陸の総合的な交通・物流拠点としてさらなる発展を図っていく。
①神戸港のコンテナ取扱個数については、平成20年に256万TEUとチャレンジ指標を達成したが、
平成21年には225万TEUと前年比12%の減少となった。五大港全体でも対前年比で14%減となり、
米国発の金融危機をきっかけとした世界的な不況により、国内企業の輸出環境が悪化したことが
主因と考えられる。このような中でも、外貿貨物は177万TEUと前年比13%減であるのに対して、
内貿貨物は48万TEUと前年比8%減であり、内航フィーダー貨物は26万TEUと前年比5%増であるこ
とから、これまで取り組んできた瀬戸内などの船社・荷主等への働きかけや各コンテナターミナ
ルにおける内航フィーダーの直着けの推進や、国による内航フィーダー輸送網強化モデル事業や
モーダルシフト補助制度等を活用した瀬戸内・九州からの集荷促進策が効果を発揮したものと考
えている。
また、中古車や建設機械などの在来型貨物についても、中古車・中古建機のオークション企業
の立地を促進したことが奏功し、平成20年は中古車輸出台数で年間14万5千台と平成16年の約2.7
倍と西日本随一の取扱台数であった。平成21年は、世界的な不況により9万1千台と前年比約37%
減となった(全国的には前年比約50%減)が、平成16年比で約1.7倍の規模を確保している。
国際コンテナ戦略港湾の実現に向けた取り組みとしては、ハブ機能強化に向けてPC18東面にお
いて水深-16mの大水深岸壁を平成22年4月に供用開始し、あわせて、航路・泊地の浚渫を進めて
おり、平成22年内の水深16m化を目標に取り組んでいる。
また、ポートアイランド第2期のPC14~17の岸壁増深・耐震化の整備を進めるとともに、既存コ
ンテナバースの再編を通じたメガターミナルの形成を進めるため、PC14~17を3連続大水深バース
として平成22年度末を目標に再整備し、国内初となる4バース一体運用の推進を図る。
②神戸空港は、開港から4年3ヶ月が経過し、旅客数が累計で約1,100万人を超え、関西圏の新たな
空の玄関口として定着してきた。平成21年度は、一部路線の運休、世界的な不況や、新型インフ
ルエンザの影響もあり、旅客数は前年度比で約10%減の234万人であった。
③神戸空港と関西国際空港を最短で結ぶ利便性の高い公共交通機関である神戸-関空ベイ・シャ
トルについては、旅行会社との一層の連携強化、淡路・中国・四国地方への重点的なPR活動の
展開、外国人旅行客の誘致、日帰り観光客の利用促進などにより、新型インフルエンザの影響が
あったものの、平成21年度の乗船客数は、約37万2千人となり、当初目標の37万人を達成した。
平成21年度の施策評価としては、世界経済の急激な景気後退に伴う取扱貨物量の減少(①)とい
う課題はあるものの、神戸港の強みである内航フィーダー貨物については集荷促進策が奏功し、
明るい兆しも見られることから、全体としては、目標達成に向けて概ね順調(B評価)とする。
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
平成22年度は、引き続き、各種インセンティブ制度などを通じて、これまでの瀬戸内・九州方
面に加え、内陸部及び日本海側など、より広域からの貨物集荷を戦略的に推進していく。また、
上海事務所と連携するとともにインセンティブ制度なども活用して中国貨物の誘致に積極的に取
り組む。さらに、貨物量の増加につながる企業誘致にも努める。また、コンテナ貨物に限らず、
高度な荷役・梱包技術、充実した港湾施設などの神戸港の強みを最大限活用しながら、得意分野
である在来貨物の集積にも努め、民間事業者とも連携して、国内ハブ港としての機能強化を図
る。
神戸空港については、新型インフルエンザの影響や世界的な景気後退に伴う航空需要の落ち込
みにより、航空会社の経営環境が悪化し、神戸空港においても厳しい状況となっている。このよ
うな中、H22年5月末で日本航空が神戸空港から撤退したが、一方、スカイマーク社は神戸空港を
関西の拠点と位置づけ、国内の各方面への路線を展開していく旨、発表している。既に那覇線2便
(H21.12月~)、茨城便1便(H22.4月~)の就航に加え、新千歳線・旭川線(経由便)2便(同7
月~)、鹿児島線3便(同9月~)、熊本線3便(同10月~)、長崎線2便(同12月~)を就航する
計画であり、これにより神戸空港は7都市と結ばれ、利便性は大きく向上すると期待している。ま
た、全日空は、就航している3路線(新千歳、羽田、那覇)の全ての路線において4月より機材を
一部大型化している。引き続き、航空会社に対して路線・便数の充実に向けて協議を進め、利便
性の高い空港となるよう努めていく。
59
目
標
達
成
状
況
神戸-関空ベイ・シャトルについては、引き続き、淡路・中国・四国地方を販売促進の重点地
域としたシェアの拡大、外国人旅行客獲得の取り組み強化、日帰り観光客の一層の利用促進、イ
ンターネット予約やコンビニエンスストアでのチケット販売等のサービス向上に努め、年間38万
人の乗船客数を目標とする。このような乗船客増対策や一層の経費削減、付帯事業の拡充など、
さらなる経営改善に努め、単年度黒字を目標とするとともに、恒常的な黒字経営による累積債務
の圧縮に向け、経営基盤の強化を進めていく。
これらの進捗より、当該施策については、概ね目標達成できる見込みである。
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
平成23年度以降も引き続き、開港150周年にあたる平成30年(2018年)のコンテナ取扱個数300万
TEUの目標の早期実現に向けて取り組む。
神戸空港は、利用者の利便性の向上のため、さらなる増便・新規路線の就航等ネットワークの
充実を図っていく必要がある。併せて、運用時間の延長及び発着枠の拡大等の機能充実や規制緩
和を国に対して求めていく。
※ 評価(目標の達成状況)について
A:目標達成に向けて順調 B:目標達成に向けて概ね順調
C:目標達成に向けてあまり順調に推移していない D:目標達成に向けて不調
20年度評価
21年度評価
数値
数値
策定値
指 標 項 目
数値増減
*事業所の開業率
ャ
チ 製造品出荷額等の国内シェア
レ
ン
ジ
指
標
の
状
況
(財)新産業創造研究機構における大
学などの保有特許の中小企業などへ
の移転数(累計)
外国・外資系企業本社数
神戸医療産業都市構想誘致企業数
(新規創業含む)
(19年3月ともに目指そう値変更)
日中ビジネス関連企業数
コンテナ取扱貨物量
有効求人倍率
-
数値増減
-
9.3%
(平成11~13年)
KOBEドリームキャッチプロジェクト認定
企業数(累計)
達成度評価
10%
-
-
177件
(平成20年度末)
0.86%
(平成19年)
0.87%
(平成15年)
72社
(平成15年度)
73社
(平成16年度末)
37社
(平成16年度末)
達成度評価
-
-
0.92%
(平成20年)
532件
(平成21年度末)
121社
(平成21年度末)
170社
(平成21年度末)
4
60社
(平成21年度末)
4
256万TEU
(平成20年)
217万TEU
(平成16年)
0.77倍
(平成20年)
225万TEU
(平成21年)
0.52倍
(平成21年)
* 「事業所・企業統計調査」(平成21年度から「経済センサス」に変更)は、2~3年に1回実施
:前回評価時の値を上回っている。
:前回評価時の値とほぼ同等
:前回評価時の値を下回っている。
60
200社
55社
250万TEU以上
1
2
※ 評価(数値増減)について
190社
計画当初
5
5
0.66倍
(平成16年)
100社
5
3
54社
(平成20年度末)
740件
3
5
150社
(平成20年度末)
1%
2
2
117社
(平成20年度末)
300件
3
1
490件
(平成20年度末)
-
212件
(平成21年度末)
3
284件
(平成16年度末)
ともに
目指そう値
1
1倍
※ 評価(達成度評価)について
5:目標値達成 4:達成率75%以上 3:達成率50%以上
2:達成率25%以上 1:達成率25%未満
※ 達成度評価とは
2010年のともに目指そう値に対する策定値からの達成度
計算式:(現状値ー策定値)÷(ともに目指そう値ー策定値)
神戸2010ビジョン検証委員会の意見
【平成21年度の取り組みに対する内部評価について】
・ 景気後退の中、社会経済情勢を反映する指標が悪化していたが、医療関連・外資系企業誘致件数
などが増加しており、目標達成状況に対する評価は妥当である。
【最終年度における目標達成状況について】
・ 企業進出が他都市より進んだ一方、挑戦企業や国際コンテナ戦略港湾など新規取り組みが途上で
あるため、最終年度は概ね目標達成見込みとされている。その見込みは妥当と考える。
【総仕上げに向けた助言】
① 医療産業都市構想を進めていくにあたり、研究機関や高度医療機関が集積していることで、先端
の治療が受けられることや市民の健康福祉の増進につながる取り組みを、市民に対して、これま
で以上に情報発信していくべきである。
② ポートアイランドには最初から大学があった訳ではなく、研究者や大学などアカデミックな施設
や人材を企業誘致などにつなげていることが、神戸クラスターの強みになっていると思われるの
で、推進していくべきである。
③ 進出企業と医療関連の研究機関等とのマッチングや交流会など、現在開始しはじめた企業の定着
戦略も引き続き推進していくべきである。
④ プラン目標の達成のため、改めて各施策の全体整合性や連関性などに留意しながら、総仕上げに
向け、着実に施策展開を実施していくべきである。
【平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題への意見】
① 産業施策全般として、知識集約型にしていくのは良い方向で、この面での厚みを持たせていくべ
きである。公共投資に誘発される民間投資を増加させ、クラスターのビジネス性をより顕在化し
ていただきたい。
② 神戸空港は、最終的に国際便が就航できると、産業・観光などの新たな展開への突破口になりう
るため、実績を積み上げながら、規制緩和や機能拡充について国への要望を継続していくことが
必要である。
③ 商店街・小売市場の活性化に向けてインパクトのある施策が必要であるとともに、人材育成が不
可欠である。商業者自らの意識を高めること、商店街の周りの団体を巻き込めるようにするこ
と、あるいは、インターネット関連企業とのコラボレーションができるようにすることなど、商
業者自身に意識づけを図るとともに、まちづくりコーディネーターと組んだ人材育成支援策が必
要ではないか。
61
検証・評価シート
アクションプラン
9.観光交流都市推進プラン -平成21年度の取り組み状況-
取りまとめ課
産業振興局観光コンベンション推進室
担当課
市長室秘書課、 危機管理室、 企画調整局企画調整部調整課、
市民参画推進局参画推進部地域力強化推進課、 保健福祉局総務部計画調整課、
環境局環境創造部地球環境課、 産業振興局庶務課・農水産課、
建設局道路部管理課・公園砂防部管理課、
都市計画総局計画部計画課・まちのデザイン室、
みなと総局みなと振興部振興課・空港事業室推進課・誘致課、 交通局営業推進課、
教育委員会事務局総務部教育企画課、 各区まちづくり推進課・まちづくり課
観光振興の持つ地域創造力を活かし、経済や雇用への波及効果を狙うとともに、まちの美化、
目
市民のわがまちを愛する心の醸成など、観光を通じた総合的なまちづくりを推進し、魅力ある観
標
光交流都市を創造する。
(1)オンリーワンを目指した展開
評価
A
他都市にはない神戸らしい魅力のある観光資源の創造のため、ウォーターフロント、六甲摩耶
地区、震災経験の発信に重点的に取り組んでいる。
①観光入込客数は、前年に比べて154万人増加の3,015万人となり、ともに目指そう値3,000万人を
超えた。平成20年から続く景気低迷や新型インフルエンザの影響があったものの、市内主要施設
の無料開放やイベントの実施など「行こう!神戸」キャンペーンの実施や鉄人28号モニュメント
の完成、アウトレットショップのリニューアルオープンに伴う誘発効果などにより、神戸ポート
アイランド博覧会(ポートピア’81)が開催された昭和56年以来、28年ぶりに3,000万人を超え
た。過去2番目の入込客数であるとともに、長期的にも増加傾向にあり、順調に推移している。
②ウォーターフロントでは、24年度末を目途として波止場町1丁目にある神戸水上警察署を移転す
ることについて、兵庫県と基本合意した。また、客船誘致を進めた結果、2年ぶりに客船の入港が
100隻に達するとともに、瀬戸内海クルーズの魅力を体験していただくため、市民向けの体験ク
ルーズが行われた。このほか、ジャズのリズムに合わせてさまざまな光の束が舞い踊る神戸ス
ウィング・オブライツを実施したほか、例年の倍の1万発を打ち上げたみなと海上花火大会、サン
バフェスタ、みなとまつりなど各種事業を実施し、ウォータフロントの賑わいを創出した。
目
標
達
成
状
況
③六甲摩耶地区では、六甲山上にある4か所の近代化産業遺産を気軽に散策できるコースとして新
たに六甲山アートプロムナードを整備した。また、夜景ナビゲーターによる夜景鑑賞ツアー、ま
やビューラインの営業時間の延長・光の演出、夜景オプショナルツアーの商品化などを引き続き
実施した。あわせて、神戸夜景回遊として、市内の山・街・海の17か所の夜景スポットを巡るス
タンプラリーなどのキャンペーンを行い、日本三大夜景を含めた全市の夜景の魅力アップに取り
組んだ。このほか、山上事業者とともに魅力あるエコツアーや体験プログラムの開発を進めるエ
コツアーガイドの育成を支援するとともに地元事業者による野外活動プログラムの発表の場であ
るエコツーリズム体験フェスタを有馬地区と連携して行うなどエコツーリズムを推進した。さら
に有馬地区では、泉源の改修工事を実施し、日本三古泉、三名泉である温泉の安定供給に努め
た。
④震災経験の発信では、神戸震災復興記念公園(愛称:みなとのもり公園)が完成し、震災の経
験と教訓を後世の人々に継承していくための拠点ができた。また、教育旅行の情報の一元化を図
るため神戸国際観光コンベンション協会に配置した教育旅行の担当者がNPOや地域団体と連携しな
がら、語り部や体験などを引き続き教育旅行の学習テーマとして提供した。
⑤そのほか魅力ある観光資源の創造として、鉄人28号モニュメントが完成し、各種メディアを通
じた情報発信に加え、グッズの販売やツアーの造成など大きな効果が出ている。また鉄人とあわ
せ、三国志を活用したまちづくりも進めており、商店街と連携したスタンプラリーや武将石像の
設置などを行うとともに鉄人三国志ギャラリーを設置した。また、神戸らしい眺望景観形成のた
めの誘導基準を2つのモデル地区で策定した。
平成21年度の施策評価としては、多様化する旅行者のニーズに的確に対応していくという課題
もあるものの、観光入込客数の増(①)、ウォーターフロントでの賑わいづくり(②)、神戸震
災復興記念公園の完成(④)、鉄人28号モニュメントを核としたまちづくりの取り組み(⑤)も
あり、目標達成に向けて順調(A評価)とする。
63
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
神戸ならではの観光資源を増やしていく必要があり、デザイン都市にふさわしい神戸らしい
ウォーターフロントの景観形成、六甲摩耶有馬地区での自然と眺望を活かした魅力の向上など、
民間事業者との密接な連携のもと、観光振興、コンベンション誘致を一層推進していくために今
年度立ち上げた観光コンベンションビューローの中で、地球温暖化防止や自然との共生にも配慮
しつつオンリーワンをめざした展開を図っていきたい。
平成22年度は、ウォーターフロントのグランドデザインを検討するとともに、賑わいづくりの
ため新たなイベントである神戸プラージュを開催する。六甲摩耶有馬地区においては、六甲山に
新しい展望台を整備するなど山上の魅力づくりに取り組むとともに、有馬温泉の安定供給に向け
た泉源の改修を行う。新長田エリアでは、三国志を活かしたまちづくりの拠点集客施設として神
戸三国志館を整備し、観光拠点としての形成を図る。
これらの進捗により、当該施策については、目標達成できる見込みである。
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
神戸を訪問先として選んでいただくためには、その動機となる魅力ある観光資源がなければな
らない。このため、平成23年度以降も、地域や民間事業者と連携し、国内外の来訪者の多様な
ニーズを踏まえながら、既存観光資源に磨きをかけていくことや新たな観光資源を創り出してい
くことが必要である。
(2)神戸の魅力の発信
評価
A
神戸の様々な魅力を映像、メディア、ホームページ、口コミ等を活用し、積極的に発信してい
る。
①新型インフルエンザにより激減した来訪者を呼び戻すため、主要観光施設の無料開放や元気で
明るい神戸のまちを盛り上げる集客イベントの実施など「行こう!神戸」キャンペーンを展開し
た。あわせて、これらの取り組みを発信するため、トップセールスによる首都圏での神戸の安心
宣言をはじめ、全国でPR活動を展開した。
目
標
達
成
状
況
②新たに取材費助成や撮影助成制度を創設し、在京マスメディアをはじめとした各種メディア向
けのプロモーション時のインセンティブとして活用し、神戸ブランドや観光・文化などの神戸に
関する情報を発信した。また、デザイン都市と連携した観光プロモーション映像を制作した。さ
らに、神戸フィルムオフィスでは、支援件数は減少したが、話題性の高い映画の誘致や他都市で
は撮影困難な作品のロケ支援活動により、映画やテレビでの映像を通じて情報発信を引き続き行
うなど、映像やメディアを活用した情報発信に努めた。
③ICTを活用した情報発信については、リアルタイムでの迅速な情報発信に向けて、神戸公式観光
サイト「Feel KOBE」のCMS(コンテンツ・マネージメント・システム)導入に向けたリニューア
ルに着手した。また、昨年、市町村としては初めて楽天市場内に開設した「まち楽・神戸」で話
題のスポットやイベント情報を提供するとともに、動画共有サービスのYouTube(ユーチューブ)
に開設した神戸市専用のページ「KOBE CITY CHANNEL」を通じて、4言語で観光プロモーション映
像等を引き続き配信した。さらに日本三大夜景である六甲摩耶からの市街地映像のリアルタイム
での配信、音声ファイルによる施設の観光情報の提供を引き続き実施した。
④全国レベルでの口コミによる神戸観光PRを行い神戸ファンの拡大を図るため、神戸に愛着を持
ち神戸をPRしていただくKOBE観光特使を認定しているが(426人)、新型インフルエンザの影響か
ら立ち直った元気な神戸を自身のブログ等で発信していただくため、観光特使とその友人を神戸
に招待し神戸元気の集いを開催した。また、神戸に深い愛着がある神戸にゆかりの深い著名人等
を「神戸大使」に委嘱し、国の内外において様々な機会を通じて神戸のまちのPRをしていただい
ている。口コミによる地道な活動が主であるが、KOBE観光特使おすすめレストラン・ショップを
観光情報誌「神戸物語」やインターネットで紹介したり、神戸大使にYouTube上の「KOBE CITY
CHANNEL」においてメッセージ動画を配信していただいたり、各種イベントに参加していただきマ
スコミを通じて神戸の露出を高めることなども引き続き行っていただいた。
⑤2年に1度開催する総合芸術祭「神戸ビエンナーレ2009」を開催し、芸術文化面から神戸の魅力
を発信した。神戸ルミナリエ、インフィオラータこうべなどを引き続き実施し、大規模イベント
を通じた魅力発信に努めた。また、日本最大級のファッションイベントとして人気を博している
神戸コレクションを核に神戸空港でのファッションショーや飲食店での特典提供など関連イベン
トを集中的に開催する神戸ファッションウィークを開催し、ファッション都市・神戸の発信に努
めた。加えて、神戸がさらに魅力的で個性あふれるまちとなることをめざして、創造都市戦略と
しての「デザイン都市・神戸」を推進しているが、デザインの日記念イベントや感性価値創造
ミュージアムin KOBEなどの各種イベント・シンポジウムを開催し、デザイン都市・神戸の発信に
努めた。
64
⑥このほか、県や県下の市町とJRグループがタイアップして兵庫県大型観光交流キャンペーン
(デスティネーションキャンペーン)を実施するとともに、首都圏での情報発信のため、東京事
務所内にPRスペースを整備したほか、神戸にゆかりのある首都圏在住・在勤の方を対象にメー
ルマガジンの配信を始めた。
平成21年度の施策評価としては、旅行会社や観光客から神戸のイメージがわかりにくいという
指摘もあるため、観光客のニーズに対応した形でより魅力が伝わるよう効果的な情報発信をする
という課題はあるものの、「行こう!神戸」キャンぺーンにあわせた首都圏や全国でのPR活動の
実施(①)、取材費助成や撮影助成などを通じた発信(②)、神戸スウィング・オブ・ライツ、
神戸ビエンナーレ、神戸ルミナリエ、デスティネーションキャンペーンなどを開催し、大規模イ
ベントやキャンペーンを通じた魅力発信が図られたこと(⑤⑥)などから考慮すると、目標達成
に向けて順調(A評価)とする。
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
神戸の魅力をより多くの人に効果的に伝えるため、正確な情報を迅速に発信できるよう、取り
組んでいく。
平成22年度は、神戸フィルムオフィス設立10周年を記念し、活動そのもののPRも兼ねてロケ地
ツアーや記念イベントを行う。また、神戸公式観光サイト「Feel KOBE」について、国別の趣向
に応じて項目を取り上げるなど内容面に加えて、必要な情報を迅速に発信できるようにCMS導入に
向けたシステム面も含めた全面リニューアルを実施し、観光客にきめ細かく発信していく。ま
た、取材費助成や撮影助成などメディアを通じた情報発信や神戸ルミナリエなど大規模イベント
を通じた発信などに引き続き取り組む。
これらの進捗により、当該施策については、目標達成できる見込みである。
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
平成23年度以降においても、多様な観光資源を持つ神戸は、その魅力を広く発信していく必要
がある。また、多様化している観光客のニーズに沿った情報発信が必要であり、的確なマーケ
ティングに基づき、ターゲットを絞った情報発信にも取り組む必要がある。
目
標
達
成
状
況
評価
(3)滞在型観光の振興
B
利便性が高い神戸空港を活用した観光キャンペーンやコンベンションの振興、教育旅行の誘致
などに取り組んでいる。
①景気低迷や新型インフルエンザ、高速道路の休日特別割引制度などの影響により日帰り客が増
加した結果、宿泊率がチャレンジ指標のともに目指そう値である30%を4年ぶりに下回り、29.2%
となった。また、日本銀行神戸支店の調査では、市内大手6社のホテル客室稼働率も66.1%と昨年
比で9ポイント減少した。
②デザイン都市づくりと生活文化体験型観光の推進をテーマに全国商工会議所観光振興大会2009
in 神戸が開催された。市内大手ホテルが中心となって設立している神戸コンベンション誘致協議
会で神戸でのコンベンション情報の共有を進めるとともに、首都圏誘致キャラバンを引き続き実
施し、観光庁や大手旅行会社へのPRを実施した。コンベンションの開催件数は216件となり、チャ
レンジ指標のともに目指そう値である200件を2年続けて超えた。
③新型インフルエンザによりキャンセルされた一般団体旅行客の誘致のため、旅行助成制度を創
設し、観光客呼び戻しのためのツールとして活用した。また、就航都市でのイベントへの参加な
ど観光キャンペーンを展開するとともに、冬のイルミネーションなどをテーマに神戸ロマンチッ
クフェアを開催し、旅行会社や航空会社に神戸向け旅行商品の造成働きかけを行うなど、神戸空
港を活用した取り組みを引き続き実施した。
④新型インフルエンザによりキャンセルされた教育旅行客を呼び戻すため、旅行助成制度を創設
し、再び神戸に来ていただくよう誘致活動を展開した。また、神戸教育旅行ホームページの運営
や、ガイドブック「発見!体験!まるごと神戸」、児童や生徒が市内の観光施設を無料または割
引で利用できる「神戸学遊パスポート」を引き続き発行した。
⑤市内の観光施設約60か所で入館料等として利用できるクーポンと電車・バスの1日乗り放題券が
セットになった神戸観光1dayクーポンを発売している。また、市街地の主要観光スポットを循環
するシティー・ループバスを引き続き運行し、毎年50万人前後の堅調な利用がある。さらに、各
エリアでの期間限定の取り組みとして、都心エリアでは、ポートライナーや市バスなどが連続し
た2日間乗り降り自由となる「こうべ都心(まち)めぐり2dayパス」や地下鉄海岸線の三宮・花時
計駅とハーバーランド駅間を100円で乗車できる「都心回遊切符」を発売した。酒蔵地区では、主
要駅と資料館などを巡る「酒蔵ループバス」を運行した。六甲摩耶地区では、阪急阪神等電鉄沿
線から六甲摩耶地区を1日周遊できるお得な企画券「六甲・まやエンジョイパス」を発行するほ
か、日本一のあじさい散策に加え世界の高山植物もガイド付きで鑑賞できる周遊券を発売した。
65
⑥鉄人28号モニュメントを含めたモデルコースを設定し、地域の新たな回遊を促した。また、エ
リアやテーマを絞ったスタンプラリー、案内看板の整備などにより回遊性の向上に努めた。
平成21年度の施策評価としては、激減した観光客の呼び戻しのため実施した新型インフルエン
ザ対策により、観光客数としては回復したが、日帰り客の割合が増えているため、彼らの滞在時
間をのばして宿泊につなげるという課題はあるものの、コンベンションの指標達成(②)、旅行
客誘致のためのインセンティブの創設(③④)、回遊性向上への取り組み(⑤⑥)などから考慮
して、全体としては目標達成に向けて概ね順調(B評価)とする。
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
平成22年度は、コンベンションやエキシビションだけでなくインセンティブツアーなどMICE全
般への取り組みを開始するとともに、過去最大級の国際会議(国際免疫学会議)の開催を支援す
る。あわせて、シティー・ループバスなど観光施設を効率的に周遊できるしくみの継続、広域連
携の推進など回遊性の向上に努める。あわせて、就航都市などでの観光キャンペーン、教育旅行
の振興などを通じ、滞在型観光の振興につなげていく。
これらの進捗により、当該施策については目標達成できる見込みである。
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
平成23年度以降、MICE誘致を推進することで、コンベンションを通じて滞在型の観光客を増や
す必要がある。また、地域経済への波及効果が高い宿泊客の増加に向けた取り組みや、宿泊客の7
割が1泊の滞在であるため、1泊から連泊へつながる取り組みを検討する必要がある。
(4)東アジアに重点をおいた国際観光への取り組み
評価
B
経済発展が続き国民の所得が高まる東アジアの外国人旅行者の積極的誘致や神戸での受入体制
の整備に取り組んでいる。
①世界的な景気後退や円高の継続に加え、新型インフルエンザの影響等により訪日外国人旅行者
が減少する中、神戸への海外からの外国人旅行者数(推計)は44.1万人となり、昨年比で約
19%、10.2万人減少した。神戸は国内で新型インフルエンザ感染者の最初の発生地ではあった
目
が、訪日外国人旅行者数の減少率(835万人⇒679万人:約19%減)と同程度にとどまった。
標
達 ②誘致宣伝活動では、新型インフルエンザの風評被害を払拭するため、京阪神の各都市と連携し
成 ながら6月から7月にかけて集中的に現地旅行会社やメディアの招聘を行い、記事掲載や番組放映
状 により元気な神戸を発信した。また、関西国際空港から直接神戸へ来ていただくよう、神戸-関
況 空ベイ・シャトルを活用した旅行商品の造成を促すとともに、中国では富裕層を対象としたセミ
ナーを開催し、美容をテーマとした新たな旅行商品の造成につなげた。このほか、台湾・タイ・
シンガポールなどでのプロモーション、旅行会社やメディアの招聘を通じた神戸の魅力の発信事
業を引き続き展開した。
③外国人旅行者の受入体制の整備では、クルーズ・グルメ・ショッピングなど魅力的な要素を持
つ神戸ハーバーランドにおいて、市街地のホテルとハーバーランドを結ぶナイトショッピングバ
スの運行、多言語エリアガイドの発行、案内板の整備を行い、利用者の利便性を図った。このほ
か、多言語対応の観光ガイドブックやガイドマップ、施設の特典が受けられる神戸ウェルカム
クーポンを引き続き作成した。また、教育旅行時に学校園と協力し交流事業を実施したほか、4言
語対応の神戸学遊パスポートの発行なども引き続き行った。
平成21年度の施策評価としては、日本のゴールデンルート(大阪⇔東京)から、神戸に立ち
寄っていただくためのプロモーションを強化するという課題がある中で、外国人旅行者数が減少
したものの(①)、受入体制の推進もあり(③)、全体として概ね順調(B評価)とする。
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
平成22年度は、中国では上海万博の日本館イベントにあわせて、観光セミナーやマスメディ
ア・旅行社へのプロモーション活動を行うとともに、他都市とも連携しながらビザ発給要件の緩
和にあわせたプロモーション活動に取り組み、神戸への誘客につなげていく。また、新たに姉妹
都市提携を締結する仁川市で神戸紹介展を開催し、観光PRを行う。あわせて、多言語対応の受
入ツールを引き続き作成する。
これらの進捗により、当該施策については目標達成できる見込みである。
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
平成23年度以降も、ゴールデンルート(大阪⇔東京)から神戸に立ち寄っていただくための魅
力づくりと情報発信、受入体制の整備が必要である。そのためには、外国人にとって住みやすい
といった神戸の優位性を最大限活かしたPRを行うとともに、神戸だけでなく京阪神を中心とした
関西全体で連携したプロモーションを行っていく必要がある。
66
(5)Welcome to KOBE 「神戸観光おもてなし戦略」
評価
A
市民や事業者が観光客を温かく迎える風土を形成するため、美しいまちづくりに取り組むとと
もに観光関連業界と連携して検定を行うなど地域におけるおもてなしリーダーとなる人材育成を
行っている。また、観光案内板やガイドブックなど受入ツールを作成するほか、AEDの設置など安
心面の提供を行っている。
①ボランティアの案内数は約16.3万人となり、昨年比で約10%、1.9万人減少したが、新型インフ
ルエンザにより来訪者が激減した期間があることからすれば順調であると考える。
②「行こう!神戸」キャンペーンにあわせて来神される観光客のみなさまに心地よい時間・空間
を楽しんでいただき神戸のイメージアップを図るため、市民・事業者と連携し、神戸の玄関口で
ある三宮でおもてなしクリーン作戦を展開するとともに有馬などでも実施した。また、放置自転
車、落書きなどまちの美観を損ねる様々な課題に対し、落書き消去活動の支援や自転車マナー啓
発活動を新たに実施した。このほか、地域住民・NPO・事業者・学校・行政が連携して、花壇やプ
ランターによる飾花、街路などでのクリーン作戦・キャンペーン、緑化などを行うとともに路上
喫煙禁止地区を中心に指導や街頭啓発活動を引き続き実施し、美しいまちづくりを推進した。
③観光ガイドボランティア団体の連携を深めるための会議の開催や研修などを通じて地域の観光
ボランティアの育成に努めてきたところ、デスティネーションキャンペーンをきっかけとして、
市街地エリアでガイド付まち歩きツアーがはじまるとともに須磨ランタン夕涼みなど地域イベン
トと連携した活動につながった。このような団体の活動を広く知っていただくため、リーフレッ
トの作成とあわせ、神戸公式観光サイトFeel KOBE内では、活動地域の明示などボランティア団体
のページの充実を図った。また、タクシーマナー向上のため、モニター調査や啓発活動、観光タ
クシー乗務員研修や街頭指導などを引き続き行った。さらに市民一人ひとりが神戸の魅力を再発
目 見・再認識し、おもてなしの心を高める機会として実施している神戸学検定では(中級:201人、
標 初級:495人受験)、ガイドボランティアやタクシードライバーなどに合格者が現れてきている。
達
成 ④総合インフォメーションセンターをはじめとした観光案内所の運営を行うとともに観光客の利
状 便性の向上や回遊性を高めるために、携帯電話を活用し、観光施設への経路案内や観光施設の情
況 報などを提供するKOBE・ケイなびを引き続き運用した。また、観光案内板の情報の更新やまちか
ど観光ステーションの設置数を増加(326か所)するなど案内機能の充実に努めた。
⑤高齢者・障害者等が安心して観光を楽しむことができるよう、必要なサービスをワンストップ
で提供するユニバーサル観光への取り組みの一環として、観光客などに無料で車椅子の貸し出し
を行う「KOBEどこでも車いす」の運営を全国で初めて開始するとともに、さらなる利便性の向上
のため貸出拠点の増設に取り組んだ。また、「KOBEどこでも車いす」を活用し、観光や福祉を学
ぶ大学との協力のもと、観光ツアーを考える大学連携プロジェクトを実施した。このほか、AED
(自動体外式除細動器)の設置と講習を並行して進め、まちかど救急ステーションが増加する
(1,204か所)など観光客への安心・安全の提供を市民・事業者の協力を得ながら行った。
平成21年度の施策評価としては、観光客にとって最初の窓口となる案内所への誘導も含めた利
便性向上という課題はあるものの、ボランティアガイドの活動の広がり(③)、ユニバーサル観
光の進捗(⑤)などから考慮して、目標達成に向けて順調(A評価)とする。
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
平成22年度は、路上喫煙防止対策の推進など安全で美しく環境にやさしいまちづくり、ガイド
ボランティアを活用した受入体制の整備、観光案内所などでの案内機能の充実に取り組んでい
く。また、「KOBEどこでも車いす」の充実を図るなどユニバーサル観光を推進する。
これらの進捗により、当該施策については、目標達成できる見込みである。
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
平成23年度以降においても、観光客を温かく迎えるためには、観光関連事業者はもとより市民
一人ひとりがおもてなしの気持ちを持って接することが大事であり、そのための意識醸成が必要
である。また、それとあわせ、受入のための施設や設備、ツールなどの整備が必要である。
※ 評価(目標の達成状況)について
A:目標達成に向けて順調 B:目標達成に向けて概ね順調
C:目標達成に向けてあまり順調に推移していない D:目標達成に向けて不調
67
指 標 項 目
策定値
20年度評価
21年度評価
数値
数値
数値増減
ャ
チ 観光入込客数
レ
ン 海外から神戸への外国人旅行者
ジ
指
標
の 宿泊率
状
況
コンベンション開催件数
ボランティアガイドの案内数
(21年3月ともに目指そう値変更)
達成度評価
数値増減
2,861万人
(平成20年)
2,812万人
(平成16年)
44.1万人
(平成21年)
5
3
33.3%
(平成20年度)
29.2%
(平成21年度)
5
4
232件
(平成19年)
168件
(平成15年)
5
182,022人
(平成20年)
86,113人
(平成16年)
4
※ 評価(数値増減)について
:前回評価時の値を上回っている。
:前回評価時の値とほぼ同等
:前回評価時の値を下回っている。
※ 評価(達成度評価)について
5:目標値達成 4:達成率75%以上 3:達成率50%以上
2:達成率25%以上 1:達成率25%未満
※ 達成度評価とは
2010年のともに目指そう値に対する策定値からの達成度
計算式:(現状値ー策定値)÷(ともに目指そう値ー策定値)
68
3,000万人
5
54.3万人
(平成20年)
24%
(平成16年度)
達成度評価
3,015万人
(平成21年)
2
36万人
(平成16年)
ともに
目指そう値
216件
(平成20年)
50万人
30%
200件
5
162,756人
(平成21年)
3
130,000人
計画当初
200,000人
神戸2010ビジョン検証委員会の意見
【平成21年度の取り組みに対する内部評価について】
・ 新型インフルエンザによる影響の中で、新たなイベントなどの取り組みを多く実施し、その結果
近隣の旅行者が増えたことや魅力の発信について工夫がみられたことなどからすれば、目標達成
状況に対する評価は妥当である。
【最終年度における目標達成状況について】
・ 最終年度には、新型インフルエンザや不況の影響がおさまる見込みであることや、中国人観光客
の査証取得要件の緩和を機に外国人観光客の増加が見込まれることから、引き続き国際観光の取
り組みが進められれば、目標の達成ができるという見込みは妥当である。
【総仕上げに向けた助言】
① 神戸の魅力発信として、中国や韓国のドラマなどの撮影地としての魅力も観光につながるので、
神戸フィルムオフィスのホームページを通じてなど海外メディアへのPR活動にも取り組んでは
どうか。また、神戸フィルムオフィスについては、市民向けの情報発信も積極的に実施すべきで
ある。
② ホームページの多言語化については、国別の趣向に応じた取り組みを始めているとのことだが、
現地の人たちの価値観でPRすることは効果があると思われるので積極的に実施すべきである。
【平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題への意見】
① オンリーワンを目指した展開等により、観光入込客数が3,000万人を超えたが、国内や近隣の旅行
者の増が主たる要因と考えられることから、例えば、「神戸ビーフ」などの魅力的な神戸産品の発
信や健康医療に係る「国際医療交流」に戦略的に取り組むなど、外国人が神戸に来ていただける「国
際観光としてのオンリーワン」についても検討する必要がある。
② 神戸の歴史を見れば、居留外国人向けに医療を行う病院があったり、阪神・淡路大震災を経験し
たことなどを例として、今日まで継承されている神戸ならではのものがある。これらについても
神戸独自のものとして、分かりやすく発信していくべきである。
③ 新型インフルエンザ発生後のさまざまな取り組みにより、日帰り客を中心とした観光客数は元に
戻ったが、今後、地元経済への波及効果につながる工夫や施策を実施すべきである。
④ 観光客に対するおもてなしの取り組みについては、外国人コミュニティなどとの協働を視野に入
れて取り組んではどうか。
69
検証・評価シート
アクションプラン
10.新たな地域情報化プラン -平成21年度の取り組み状況-
取りまとめ課
企画調整局情報化推進部
担当課
危機管理室、 企画調整局調整課・医療産業都市構想推進室・情報化推進部、
行財政局行政経営課・経理課・税制課、
市民参画推進局広聴課・広報課・区政振興課・青少年課、
保健福祉局計画調整課・地域保健課、
産業振興局企業立地課・工業課・観光コンベンション推進室、 みなと総局振興課、
交通局経営企画調整課、 教育委員会教育企画課
「いつでも、どこでも、何でも、誰でも」ネットワークにつながることにより、さまざまなサー
目 ビスが提供され、人々の生活をより豊かにする「ユビキタスネット社会」の実現に向けて、飛躍
標 的な進歩を見せるICTを利活用し、利便性の高い市民サービスを提供することによって、より豊か
で快適な市民生活の実現とともに、活力ある神戸経済と効率的な行政運営をめざす。
(1)ICTを生かした豊かで快適な市民生活の実現
評価
A
ICTを生かした豊かで快適な市民生活の実現を目指して、市民がインターネットなどを利用し、
必要な時に、市政情報を入手できるようにしていく。また、ICカードなどを活用して地域の利便
性を向上させる取り組みを進めていく。
目
標
達
成
状
況
市民の安全や安心を守るための取り組みとして、
①平成21年の新型インフルエンザの爆発的な流行に対して、日々変化する状況などを記者会見に
よる直接的な広報活動のほか、市のホームページに新型インフルエンザ項目を設定し、流行時に
はトップページに掲載するとともに、外国人の市民などには新型インフルエンザの相談窓口を案
内するチラシやインフルエンザの予防対策のチラシを6か国語で作成し、ホームページから入手で
きるようにした。また、9月からは医療機関向けホームページを開設し、空床情報、患者発生状況
や臨床情報、厚生労働省等からの通知を掲載するなどインターネットを利用した情報提供を積極
的に行った。併せて、ひょうご防災ネットによるメール配信も行った。
このように市民などに対するいち早い情報開示に努めるとともに、発熱相談センターに聴覚障
害者への情報提供のためFAXを設置したり、外国人への情報提供のため三者多言語電話通訳システ
ムを導入するなど要援護者対策も行った。
今回の新型インフルエンザの流行を受け、今後の危機への対応をより効果的にするための検証
を京都大学防災研究所と(財)都市問題研究所が主催し、市職員が参加して行った。検証報告の
提言を踏まえ、事態を先取りして対応していくために、流行状況の変化を迅速に把握して、早期
に対処方針を打ち出すための基本情報の収集・分析機能を持つ「新型インフルエンザ インテリ
ジェントシステム」を平成22年1月に構築した。
「新型インフルエンザ インテリジェントシステム」では、学校園での欠席状況、保育所・高齢
者施設・障害者施設等での発症者情報などを職員が共有するとともに、インフルエンザ対応のた
めのシナリオ適用の先行指標として活用している。また、「早期探知地域連携システム(神戸モ
デル)」とも連携して、各区の専任保健師が学校、保育所などを巡回などして入手したアナログ
情報についても把握し対策に結びつけている。さらに、市のホームページ上に流行状況を図や表
で分かりやすく表示することで、市民に行動指針の目安を提供できるようにした。
②悪質商法を未然に防止するため、これまでも広報紙やホームページなど多岐の媒体で啓発を
行ってきたが、実際に被害が生じてから、広報紙などを発行するまでのタイムラグが避けられ
ず、本当に情報を知りたい人に適時適切に伝わっているか不明であるなどの課題があった。この
点、メール登録している消費者に対し、消費者生活情報を携帯電話へメール配信を行える「消費
者あんしんメール」を平成21年度に本格運用したことにより、緊急性のある情報を迅速かつ一斉
大量に提供できるようになった。平成22年3月末現在で、登録者は336名である。今後は、ユー
ザー登録者を増やすため、広報紙などの記事掲載、ポスターやチラシを作成し、自治会・関連機
関などに配布し広報活動を行っていく。
③地方公共団体、ライフライン事業者からの防災情報や日常的に地域住民に必要な情報を、マス
メディアや公共施設へ配信するほか、インターネットや携帯電話メールなどにより地域住民へ情
報提供する情報基盤「安心・安全公共コモンズ」の実証実験を県と連携して行った。上記①の新
型インフルエンザ対応の検証の中でも、市民の情報源としては、テレビ、新聞が重視されてお
り、マスメディアを通じた広報は、市民への情報提供に最も有効である。「安心・安全公共コモ
ンズ」により、多様なメディアに対して効率的に情報を提供でき、より多くの地域住民への情報
伝達が可能になる。
71
④住宅の耐震化率を引き上げることを目指し、無料の耐震診断の申し込みについて、従来の申請
書の郵送もしくは持参に加えて、電話のほかインターネットでの申し込みもできるようにし、市
民が無料耐震診断を受けやすくした。
また、市民への積極的な情報提供にも取り組んだ。
⑤市民の市政への理解を深めてもらうため、市のホームページに「矢田市長の動き」を設け、写
真つきで行事や式典に参加した市長の動きや発言内容を紹介するとともに、予算編成状況につい
て、各局の事業別要求額と行財政局による査定状況及び当初予算(案)の作成までの予算編成状
況をホームページで公開した。さらに、市民の関心が高い災害情報についても、火災や列車事故
などの大規模災害が発生した場合、発生時間・場所、鎮火・事故の処置完了時間などの情報を
ホームページで知らせるようにした。
そのほか、
⑥西神中央駅を発着するバス路線は、市営バスと民間バスが乗り入れ、路線網の複雑さに加え、
情報提供も事業者ごとに行われているなど利用者には分かりにくかった。歩行者移動支援のため
に、西神中央駅改札前に設置した大型画面表示で市バス、民間バスの一元化した運行情報を提供
するとともに、バス停に設置したQRコードにより、バス運行に関する詳細情報や周辺施設情報を
携帯電話で取得できるサービスの実証実験を行った。アンケートでは、約7割の人から利用効果が
あるとの評価を得た。
⑦市民・観光客の回遊支援のために平成19年度に構築した携帯電話の観光情報提供システム
「KOBE・ケイなび」は、日本語・英語・中国語(繁体・簡体)・ハングル語の多言語機能や神戸
でロケを行った映画のロケ地を紹介するロケ地ガイド機能の追加など機能を充実したほか、
「KOBE・ケイなび」を使った「観光ウォークラリー」を有馬地区で実施するなど回遊性向上に取
り組んできた。その結果、平成21年度には、多い月では月7万件以上、年度の後半では月約5万件
のアクセスと、目標である月1万件を大きく超えるようになった。また、他都市のモデルとなる回
遊性向上の取り組みを評価され、総務省より「情報通信月間」局長賞(近畿総合通信局)を平成
目 22年度に受賞することとなった。
標
達 ⑧これまでの市民生活に関する取り組みにおいても、携帯電話による市民への防災情報の提供
成 (ひょうご防災ネット)は、平成21年度末における市民の登録者数は、31,087人となり、神戸
状 2010ビジョンのはじまった平成17年度と比べると約7倍となっている。図書のインターネット貸出
況 予約も、平成21年度には、120万件弱の利用があり全貸出予約件数の7割を超えており、運用開始
より市民の高い利用が続いている。また、諸証明の自動交付機の導入により、平日における閉庁
時間帯や土、日・祝日など閉庁日でも証明書の発行をスピーディーに行えるようになり、平成21
年度の利用実績は運用開始時(平成19年度)の約3.6倍の5,494件/月である。さらに、戸籍の全
区電子データ化により戸籍抄本等の取得も1件あたり約10分から3~4分に短縮されたほか、引越し
時に水道・電気・ガス等の手続が一緒にできたり、バスの「PiTaPa」導入により市内の鉄道と市
バスをシームレスで利用できるようになるなど着実な成果がでている。
平成21年度の施策評価としては、新型インフルエンザへの対応の検証を踏まえ、危機管理体制
の一環として、新型インフルエンザの影響を最小限にし迅速な対応を可能とするシステムを整備
した(①)ほか、ICTを使った市民の安全や安心を守る取り組みが進んだ(②③④)。
ICTを利活用した快適な市民生活の実現についても、これまで様々取り組んできた、その積み重
ねの成果も出てきており(⑧)、神戸2010ビジョンの開始時と比較すれば、市民サービスレベル
は着実に向上してきている。特に、市民・観光客の回遊性の向上の取り組みでは、他都市のモデ
ルとなる点を評価され表彰された(⑦)。また、市政に関してホームページを活用したきめ細や
かな情報提供(⑤)を行いオープンガバメントにも努めた。これらの取り組みの総合的な成果を
反映する1つのものさしとして、市のホームぺージの年間アクセス数(携帯電話を含む)が、平
成21年度では約1億4200万件で、神戸2010ビジョンの初年度である平成17年度の約2倍となってお
り、対前年度比で10%以上の伸びであることから、目標達成に向けて順調(A評価)とする。
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
ビジョンの総仕上げに向けては、市民にとって使いやすい、利便性を感じられるICTを活用した
サービスの展開を一層進めていく。具体的には、平成22年度は市民の支払い手段の一層の多様化
を図るために、水道料金のクレジット収納に取り組むほか、市民からの問い合わせに対してたら
い回しを防ぎ一元的に対応する窓口として総合コールセンターを設置するのに伴い、応対履歴の
データベース化や苦情・要望などを一元的に集約するシステムを構築していく。
これらの進捗により、当該施策については、目標達成できる見込みである。
72
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
ICTの進歩は、今まで障壁となっていた時間や距離などの壁を打ち壊し、人・モノ・情報を交
流・融合させることから、ICTは市民サービス向上のために不可欠な基盤であるとともに原動力で
あり、課題を解決する「ツール」として利活用していくべきものである。この認識に立ち、平成
23年度以降は、「テレワーク」の導入により、育児や介護中の人々、通勤が難しい障害者や高齢
者にとっても働きやすい環境を整え、「ワークライフバランス」の実現や障害者などの社会参画
を促していくほか、スマートグリッドの導入などエネルギー利用効率の改善や人・モノの移動の
削減により低炭素社会の実現に努める。
評価
(2)ICTを生かした神戸経済の活性化
A
ICTを生かした神戸経済の活性化を目指し、デジタル映像などに関連する人材の育成に努めると
ともに、ICT関連企業の振興や集積に向けた支援などに重点的に取り組んでいる。
平成21年度の取り組みとして、
①デジタル映像を中心とするICT関連産業の振興・集積と人材育成・発掘および神戸への集客を目
指して、全国的なデジタルコンテンツ振興の動きに先駆け、平成8年度から「アニメーション神
戸」に取り組んできた。
その継続的取り組みの中で培われた人的ネットワークなどを活用し、産・学と行政で神戸にお
けるアニメーションの産業化を検討して来た結果、平成22年3月、民間の新会社・(株)神戸デザイ
ンクリエイティブによる本格的なアニメーション制作スタジオ「アニタス神戸」が新長田地域に
立ち上がった。現在、33名のアニメーター等が働いており、うち約半数は神戸出身者となってい
る。将来的には100名程度まで拡充が予定されている。
「アニタス神戸」は、(a)継続性・発展性のある新産業を創造して雇用の増加につなげる、(b)
コンテンツの新たな発信地となることで観光客などを呼び込み地域を活性化する、(c)関連人材の
就職先となり地域からの(主に東京への)人材流出を防止するなど、地域・教育機関・人材・業
界・行政それぞれにとってメリットが期待でき、同じ新長田地域で「鉄人28号」や「三国志」な
目 ど横山光輝氏のコンテンツを活用して地域活性化に取り組んでいる「KOBE鉄人プロジェクト」と
標 の連携も見込まれている。
達 ②「アニメーション神戸」の人材発掘・育成の一環として、声優を志望する学生などに対し第一
成 線で活躍するプロの指導による「実践型ワークショップ」を平成10年から実施している。今まで
状 の受講者は計548名(平成21年度は44名)に上り、うち90名以上が関連業界に従事するほか、5名
況 (4社)が市内で起業している。
また、平成21年度には、実際のアニメーション制作現場により近い方法を導入してアニメー
ター志望者を育成する「アニメーターOJT関西」を、関連教育機関・アニメーション制作会社・業
界団体と連携して実施した。具体的には、テレビなどで実際に使用されたアニメーションの動画
などを素材に、1日8時間、1週間にわたって第一線で活躍するプロから指導を受けながら動画作
業に従事するカリキュラムで、プロのアニメーターを目指す学生などが29名参加し、受講者の一
部は「アニタス神戸」で活躍中である。
③また、「アニメーション神戸」では広く一般にオリジナル・アニメーションを公募し、優れた
作品を表彰することで、将来有望な若手クリエーターを発掘する事業(デジタル・クリエータ
ズ・コンテスト)を行っている。従前は表彰のみにとどまっていたが、受賞者に活躍の機会を与
えるとともに、神戸発のコンテンツを発信する新たな試みとして、最優秀賞受賞者に「神戸をPR
するショート・アニメーション」の制作を依頼し、現在、インターネットで公開している。同作
品は、上海万博会場内「日本館」において平成22年6月5日・6日の「神戸ステージ」でも上映さ
れ、14,126人の来場があった。
④「アニメーション神戸」のほかにも、地域の情報通信関連団体と連携し、学生(大学4年生)
が企業に対して自分に関するプレゼンテーションを行い、その後、企業が学生のブースを訪ねる
という企業説明会の逆転版である「就『喝!』マッチングin KOBE 2009」を平成21年12月に初め
て実施した。参加企業は12社、参加学生は9名で、うち1名が採用された。
⑤ICT関連産業の振興・集積においては、「ICTビジネスマッチングin KOBE」を平成18年度から継
続して実施しており、ICT企業相互の業務連携や新たなビジネスチャンスの創出・拡大を図ってい
る。平成21年度は6月に実施し、参加企業・団体数は79社、マッチング件数は149件と、参加企業
数・マッチング件数とも過去最高となった。
マッチングは、イベント後すぐに効果が出るケースは多くないものの、約1か月後に実施した
アンケートでは、契約に至った案件が4件、商談中の案件は6件であり、企業間のネットワークを
構築するとともに、実際の商談にも結びついている状況が見て取れる。
73
平成21年度の市内の情報関連産業に関する指標の動向については、
⑥最新の経済産業省の「特定サービス産業実態調査(情報サービス業)」によると、神戸市のソ
フトウェア業の売上高は、平成19年に引き続き平成20年も対前年度比25%増となっており、2年
連続して売上高が増加したのは、東京都を含めた政令指定都市中、神戸市のほかは札幌市のみで
あった。また、ソフトウェアの従業者数で見ると、平成18年が4,190人であったのに対し平成19年
は4,450人、平成20年は6,038人と大きく伸び(対19年度比で1,588名・35.7%増)、増加率では政
令指定都市中2位となっている。
平成21年度の施策評価としては、14年間継続的して取り組んできた「アニメーション神戸」の
成果として、西日本最大級のアニメーション制作スタジオが設立され、若年就業者の増加ととも
に神戸がアニメーション産業の拠点になり得る素地が整備されたこと(①)、人材育成やICT関連
産業の振興・集積の取り組みも一定の成果を出していること(②④⑤)、経済指標上も神戸のソ
フトウェア業の売上高や従業者数も伸びてきていること(⑥)から、新たに育ってきている人材
が神戸において能力を発揮できる環境が整いつつあることから、目標達成に向けて順調(A評
価)とする。
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
ビジョンの総仕上げに向けて、情報関連産業の振興・集積と人材育成・発掘に向けた取り組み
は、継続的に行っていく必要があり、平成22年度は、「アニメーション神戸」「ビジネスマッチ
ング」などを継続実施しつつ人材育成を図り、情報関連分野のビジネスを誘致していく。
また、平成21年度に設立された「アニタス神戸」を地域化活性化の起爆剤としていくため、
「アニタス神戸」と協議の上、アニメーションの制作工程の一部を見学できるようにして、全世
界にいる日本のアニメーションのファンを初め観光客の誘致に繋げていく。併せて、「KOBE鉄人
プロジェクト」など地域の取り組みとも連携して地域の活性化にも取り組んでいく。
これらの進捗により、当該施策については、目標達成できる見込みである。
目
標
達
成
状
況
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
「アニメーション神戸」の成果として設立された「アニタス神戸」を核として、神戸発のアニ
メーション制作を行い発信していくことで、アニメーション及びその関連産業を呼び込み、神戸
がアニメーションのメッカとなることを目指していく。そのためにも、産業の振興・集積と人材
育成には長い時間を要するものであることから、平成23年度以降においても、「アニメーション
神戸」などこれまでの取り組みを着実に継続して取り組んで行く必要がある。
併せて、地域経済の活性化のためにも、ICTは不可欠な基盤・原動力として位置づけ利活用を
図っていくべきである。ASP・SaaS・クラウドコンピューティングなどの利用による事業の効率化
など地域内の中小・地場企業やベンチャー企業のICT利活用を促進することにより、生産性向上や
全国・海外への販路拡大を促進していくとともにICTと様々な分野の製品、サービス、コンテンツ
との連携による新しい産業の創出に繋げていく必要がある。
(3)電子市役所の実現
評価
B
電子市役所の実現を目指して、市民や事業者がインターネットを利用して申請などが行えるシ
ステムを整備していく。また、庁内各部門の情報共有や迅速な意思形成を図るとともに、業務・
情報システム全体の最適化に向けた改善を推進していく。
市役所において稼働している情報システムは全体で約400システムあるが、業務の多様化に伴い
システムも複雑化してきており、(a)システムのブラックボックス化(b)コスト・リスク・効果の
客観的評価の困難化(c)全体最適化ができていない(d)情報セキュリティレベルの維持が困難と
いったICTにおける経営リスクが高まってきていた。
①これに対応するため、専門的知見を有する外部専門家の活用と併せて情報化推進部を再編し全
体最適化推進ラインを設け、ICT利用を組織的に統制し、情報資産を一元的に把握する仕組みであ
る「ICTガバナンス」を導入し、情報セキュリティの確保、システムの全体最適化及び調達・開
発・運営の管理を行うこととした。
平成21年度の主な取り組みとしては、システムの企画から予算要求、開発、運用、見直しまで
の原則的な手順を記した「システム調達ガイドライン」を策定した。現在再構築中の財務会計シ
ステムにおいて、「システム調達ガイドライン」に基づいて調達を行った結果、経費が5.2億円か
ら4.5億円へ軽減され約7千万円の効果があった。また、新規導入を考えているシステムを中心に
36システムに対して、競争性促進手法の導入、適正な運用保守体制、システムの過剰構成是正な
どのシステム調達支援を行った。
平成22年度からは、各局がシステムの新規導入や大規模改修の予算を要求する際には、事前に
情報化推進部の意見書が必要としており、ICTガバナンスが一層機能するようになる。
74
各種申請など行政手続きの電子化の状況については、
②平成21年度に障害者の神戸市職員採用試験申込など10手続が増え合計で61手続となった。国
は、電子申請の利用率を50%以上にすることを目指し、費用対効果等も勘案しつつ、国民・事業者
の利便性の向上や業務の効率化において高い効果が期待できる21手続を、重点的に利用促進を図
るオンライン利用促進対象手続と決めているが、全国平均の利用率が平成20年度では27.6%で
あったのに対し、神戸市では、平成20年度が57.8%と全国平均の2倍以上の利用があり、平成21年
度は60%とさらに伸びている。
そのほか、
③市民の料金支払の多様化の取り組みとして、クレジットカード決済が平成19年から市民病院で
導入されていたが、平成21年度からは先端医療センター病院でも利用できるようになった。な
お、平成22年度からは水道料金の支払いにも利用できる予定である。
④また、災害時に行政サービスが停止した場合、住民生活などに大きな影響を及ぼすが、業務の
実施・継続には、その業務を支える情報システムやネットワークの稼働が必要不可欠である。そ
こで、総務省は、災害・事故時にも重要システムをなるべく中断させず、中断してもできるだけ
早急に復旧させるための計画(ICT部門の業務継続計画)を普及させるために、平成21年度に全国
の自治体からモデル自治体を5団体選定し、アドバイザーを派遣しICT部門の業務継続計画の策定
を支援した。神戸市は、モデル自治体として選定され、市のICT部門として情報化推進部は、情報
化推進部が関わる重要システムについて、地震時における業務継続のための基礎対策マニュアル
を策定した。今後も、PDCAサイクルで持続的改善を行っていく。
目
標
達
成
状
況
平成21年度の施策評価としては、ICTガバナンスにより、財務会計システムの経費削減という具
体的成果があがっており、システム予算要求前のICTガバナンス部門によるチェックがルール化さ
れるなど内部事務システムの効率化が図られる環境が整備された(①)。また、電子申請につい
ては、市民・事業者が繰り返し利用する手続きを中心に電子申請化及びその利用を促進していくべ
きものであり、国も国民の利用が多い手続きをオンライン利用促進対象手続として定めている
が、神戸市の利用率は全国に比べて高くなっている(②)。さらに、市民生活に関わる事務処理
のために必要な情報システムに関する業務継続のための計画を策定した(④)。
しかし、ICTガバナンスによる情報システム全体の最適化をさらに進めていく必要があるほか、
電子申請可能手続数が61手続きであり、年間利用件数が1,000件以上ある160の手続の電子申請化
というチャレンジ指標の目標値よりもかなり低く、市民・事業者が電子申請できる手続きを増やし
ていくという課題もあることから、全体としては、目標達成に向けて概ね順調(B評価)とす
る。
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
ビジョンの総仕上げに向けては、引き続き市民・事業者の利便性の向上に繋がる手続きの電子
申請化に取り組んでいくとともに、庁内にICTガバナンスの取り組みを定着させるため、各所管課
のシステム調達支援、予算要求支援、改善提案などを行っていく。また、財務会計システムの再
構築、総務事務センターや総合コールセンターの設置など全体最適の観点から共通基盤システム
の拡充やICTを活用した事務処理の集中化を行っていく。
これらの進捗により、当該施策については、概ね目標達成できる見込みである。
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
平成23年度以降は、証明書の電子的な交付やインターネットを通じて手数料・使用料などを電
子的に納付できるようにすることで、市民が市役所に足を運ぶことなく一連の手続きを完了でき
るようにするなどICTを利活用することにより、これまで以上の業務・サービスの提供に取り組ん
ていくほか、ICTガバナンスを確立し、情報セキュリティ対策の強化やホストコンピュータで運用
されている業務をオープン系システムへ移行することでコストの削減を図るなど簡素で効率的な
行政の実現・推進を進めていく必要がある。
(4)地域情報化推進のための環境整備
評価
A
地域情報化推進のための環境整備を目指して、個人情報保護・情報セキュリティ対策を充実さ
せていく。また、市民の誰もがICTの恩恵を受けられる環境を整えていく。
情報セキュリティ・情報資産管理に関する取り組みとしては、
①全職員を対象とした階層別の研修(所属長研修・基礎研修など)や全職員が情報セキュリティ
ポリシーの実施状況などについて自己点検するとともに、全所属を対象として他の所属と相互に
監査を行う内部監査(相互型)及び業務システムを所管する部署などに対して情報化推進部の情
報監理担当職員等が行う内部監査(独立型)を平成20年度に引き続き行った。
②「PC統合管理システム」による庁内事務処理用パソコンの適正な管理及び全所属においてソフ
トウェア資産に関する台帳の整備や棚卸などを継続して行った。
75
③その結果、情報セキュリティに対する脅威に対し的確な対応ができるようになるとともに、情
報資産管理ではこれまでの適切なソフトウェア資産管理が評価され、平成21年8月にビジネスソフ
トウェア団体より全国初の「SAM(ソフトウェア・アセット・マネジメント)モデル自治体」に認
定された。
有害サイトを通じて青少年が犯罪に巻き込まれる一方、学校裏サイトでのネットいじめなど青
少年が加害者になる新たな問題が発生している。これらに対応するため、情報リテラシー・情報
モラル教育として、
④学校園では、授業などで携帯電話やコンピュータを扱う上での情報モラルのほか、その危険性
について教え、児童・生徒が加害者にならにようにするとともに被害にあわないよう指導してい
る。携帯電話の学校への持ち込みについても、従前は学校長の判断で全ての小中学校が原則持ち
込み禁止としていたが、平成21年1月の文部科学省からの通知を受け、教育委員会として小中学校
においては原則持ち込み禁止とした。
⑤また、平成21年7月に教育委員会が行った調査によれば、携帯電話の取り扱いなどについての教
職員への研修、児童・生徒に対するインターネットやメールにおけるネット上のいじめ防止など
情報モラルについての指導及び保護者に対する子どもが持つ携帯電話のフィルタリング・サービ
ス利用促進などの啓発について、市立小学校166校、中学校83校全てで実施している。
⑥学校園のほかにも、平成17年度から地域の団体が主体となって行う携帯電話やパソコンなどに
よるインターネットの使い方についての講演会や青少年も参加するワークショップなどに対して
助成している。平成21年度は9件助成した。また、市のホームページで、パソコンや携帯電話の正
しい使い方やインターネットや携帯電話の安全な使い方を掲載している。
情報格差の解消の環境整備として、
⑦市のホームページを利用する人が、心身の条件や利用する環境に関係なく、ホームページで提
供されている情報や機能に支障なくアクセスし、利用できるように、従来よりページの音声読み
上げやよく利用される情報についてライフイベント別の情報提供に改めるなど行ってきたほか、
目
平成20年度に引き続き職員にウェブアクセシビリティについての正しい知識を取得するための研
標
修を実施した。
達
成 ⑧その他、学校施設開放委員会(まなびぃ広場事業)でのパソコン教室の開催及び障害者に対す
状 る点字ディスプレイの給付や音声ソフトなどの購入補助などパソコン利活用支援を継続して行っ
況 た。
平成21年度の施策評価としては、ソフトウェアについて適切な管理を行ってきた(②)結果、
全国の自治体の中でも先駆的かつ積極的なものとして評価された(③)。また、ネットいじめな
ど最近の状況を踏まえ、情報モラル・情報リテラシー教育として、全ての市立小中学校で児童・
生徒及び保護者に対する携帯電話の使い方の指導・啓発などを引き続いて行った(④⑤)。さら
に、誰もが使いやすい市ホームページづくりに取り組んだこと(⑦)により、市のホームページ
は、民間団体によるアクセシビリティ対応状況の評価で高い評価を得たことから、目標達成に向
けて順調(A評価)とする。
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
ビジョンの総仕上げに向けては、新型のウイルスの出現など情報セキュリティに関する脅威が
増しており、PC統合管理・監査の実施など継続して情報セキュリティ対策の充実を図っていく必
要がある。また、インターネットから提供されるサービス・情報が増えてきているなか、情報へ
のアクセスのバリアフリー化を進めていく必要がある。そのために、魅力的でわかり易い質の高
い市のホームページの実現に向けて、専門家によるページの編集や市民に読まれるページ作成の
方法や効果的なレイアウトについて実務担当者向けに研修を行うなど市のホームページの充実に
努めていく。
これらの進捗により、当該施策については、目標達成できる見込みである。
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
平成23年度以降に取り組むべき課題としては、ICTにより利便性が飛躍的に向上した反面、
次々と現れる新型ウイルスなど情報セキュリティへの脅威の増加のほか、知的財産であるコンテ
ンツの違法コピーやインターネットの匿名性を利用したサイバーテロや誹謗中傷(いじめ)など
新たな社会問題も表れてきている。自治体、市民、NPO、教育機関、事業者が連携してこれらの
ICTの影の部分へ対応していかなければならない。特に、今後の情報化社会を生きていく青少年の
情報リテラシー・情報モラル育成にも取り組んでいく必要がある。
※ 評価(目標の達成状況)について
A:目標達成に向けて順調 B:目標達成に向けて概ね順調
C:目標達成に向けてあまり順調に推移していない D:目標達成に向けて不調
76
21年度評価
数値
数値
策定値
指 標 項 目
数値増減
ャ
チ
レ
ン
ジ
指
標
の
状
況
20年度評価
インターネットの市民普及率
*2情報関連産業の事業所数
*2情報関連産業の従業者数
市役所への電子申請可能な手続数
51.8%
(平成16年度)
達成度評価
数値増減
達成度評価
66.7%
(平成20年度)
65.8%
(平成21年度)
2
2
90.0%
-
-
*1 718所
(平成13年)
ともに
目指そう値
1,000所
-
-
-
-
*1 14,438人
(平成13年)
-
-
17,000人
ー
-
51手続
(平成20年度末)
13手続
(平成16年度末)
ー
-
61手続
(平成21年度末)
2
160手続
2
*1 情報関連産業の事業所数・従業者数の統計分類が平成16年の調査から変更されたことに伴い、平成13年の数値を新しい
分類に基づいて修正した。
*2 「事業所・企業統計調査」(平成21年度から「経済センサス」に変更)は、2~3年に1回実施
※ 評価(数値増減)について
:前回評価時の値を上回っている。
:前回評価時の値とほぼ同等
:前回評価時の値を下回っている。
※ 評価(達成度評価)について
5:目標値達成 4:達成率75%以上 3:達成率50%以上
2:達成率25%以上 1:達成率25%未満
※ 達成度評価とは
2010年のともに目指そう値に対する策定値からの達成度
計算式:(現状値-策定値)÷(ともに目指そう値-策定値)
77
「神戸2010ビジョン」検証委員会の意見
【平成21年度の取り組みに対する内部評価について】
・ 目標達成状況に対する評価は妥当である。
【最終年度における目標達成状況について】
・ 最終年度における目標達成見込みは妥当である。
・ 個別指標を見る限りでは改善の余地を残すものもある。しかし、各指標が最終的に意味する情報
化の進展による市民生活の向上という目的から考え、情報化の状況を多面的かつ総合的にみて、
目標は達成されるものと判断できる。
【総仕上げに向けた助言】
① サービス提供者である行政として、そしてサービス利用者である市民にとっての「電子市役所」
のイメージをきっちりと持っておく必要があるのではないか。
【平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題への意見】
① 情報化に関わって市民生活が変わってくる中で、「テレワーク」の導入、「ワークライフバラン
ス」、「スマートグリッド」の導入など、神戸市として、積極的に新しい仕組みや仕掛けを導入
していくという思いを表すことも必要である。
② 電子市役所を実現することで、どれだけ効率化が図れたかという視点が必要ではないか。ライフ
スタイルの変化に伴う先進的な実験をしたなど、ICTの使い方で働き方を変える実験場として
の意味での電子市役所という視点も必要ではないか。
78
検証・評価シート
アクションプラン
11.環境共生都市推進プラン -平成21年度の取り組み状況-
取りまとめ課
環境局資源循環部環境政策課
担当課
企画調整局総合計画課・調整課・デザイン都市推進室、
市民参画推進局地域力強化推進課、
環境局資源循環部環境政策課・減量リサイクル推進課・業務課・事業系廃棄物対策室・
環境創造部地球環境課・環境保全指導課・環境評価共生推進室、
産業振興局観光コンベンション推進室・商業課・農政計画課・農水産課、
建設局道路部管理課・工務課・下水道河川部計画課・工務課・河川課・公園砂防部計画
課・緑地課・森林整備事務所、
都市計画総局地域支援室・工務課・市街地整備課・住宅政策課・建築安全課、
みなと総局振興課、 各区、 交通局経営企画調整課・営業推進課
恵まれた環境を将来に継承していくために、地球温暖化防止や廃棄物の発生抑制などに取り組
目 むとともに、緑地、農地、市街地で構成される空間を市民との協働と参画により総合的にマネジ
標 メントすることによって、自然と共生し、環境への負荷の少ない持続可能な「環境共生都市」を
めざす。
(1)循環型社会に向けた仕組みづくり
目
標
達
成
状
況
評価
A
平成20年5月に本市で開催されたG8環境大臣会合や、平成20年11月から開始した「家庭系ごみ
の指定袋制度」など新たなごみの減量・資源化施策による効果が現れたこと等により、市民の環
境問題への関心が高まっている。この機運を活かし、平成21年度は持続可能な「環境共生都市」
の基盤となる「低炭素社会」、「循環型社会」、「自然共生社会」の実現に向けて各種施策を推
進した。
① 「低炭素社会」の実現に向けた取り組みとして、温室効果ガスの排出抑制については、「地球
温暖化防止地域推進計画」に基づき各種施策を進めており、また、平成22年度までの限られた期
間内に目標を着実に達成するため、「温室効果ガス削減目標達成のためのアクションプログラ
ム」に基づき目標達成のための重点事業等を実施している。
(ア) 国が平成21年度の補正予算で計上した「地域グリーンニューディール基金」を活用し、公共
施設の省エネ・グリーン化を推進していく。平成21年度は、市役所本庁舎及びこうべ環境未来館
の2箇所に電気自動車用の急速充電設備を設置したほか、公共施設の省エネ・グリーン化(太陽光
発電システム、LED照明の設置等)について、東クリーンセンター等4施設の基本設計を行い平成
22年度に実施する予定である。
(イ) 家庭部門の新たな取り組みとして、住宅用太陽光発電システムの導入を加速するため、平成
21年度から「住宅用太陽光発電システム設置補助事業」を開始した。本事業は、国の補助制度に
あわせて市独自に補助することにより、環境にやさしい住宅の普及と家庭部門のCO2削減を図るも
ので、平成21年度は473件に対し補助を行った。
(ウ) 交通部門の取り組みとして、モビリティ・マネジメント(アンケートや情報提供等を通じ、
自発的に環境にやさしい交通行動に転換してもらう一連の取り組み)を平成19年度より継続して
実施している。平成21年度は新たに流通業務団地・複合産業団地の従業員や西神住宅団地の住民
を対象に実施した結果、従業員の7割、住民の9割にマイカー利用を控える方向への意識変化が見
られた。この他、西神中央駅から神戸テクノ・ロジスティックパーク等へのバス試験運行やレン
タサイクル等、様々な社会実験を実施した。これらの継続した取り組みとともに、エコファミ
リー制度(平成21年度:約103万人が利用)を全国で初めて本格的に実施したこと等が、第1回EST
交通環境大賞に選ばれ、先進的な事例として評価された。
(エ) 平成20年度に公用車の導入基準を改正し、今後導入する乗用車タイプの公用車を全て「次世
代自動車」とすること等を定めた。平成21年度には県下の自治体では初めて電気自動車を1台導入
するとともに、ハイブリッド車を35台、天然ガス車を3台導入(買い替えたパッカー車26台すべ
てに次世代自動車を導入)した。また、併せて「次世代自動車」に対する助成事業を拡大し、民
間への普及促進にも努めており、平成21年度は自家用自動車1件、営業用自動車14件、市バス2
件に対し、助成を行った。
(オ) 神戸市独自の環境マネジメントシステムであるKEMS審査登録制度については、民間事業者を
はじめ、市の出先機関等においても登録を進めており、平成21年度は新たに82団体が登録し、累
計540団体の登録を得るなど、環境活動の裾野の拡大が図られた。そのうち、市の出先機関、外郭
団体、学校については、新たに2事業場、1外郭団体、59校が登録し、累計265団体となっており、
学校については、平成23年度までに全ての市立学校で登録を行なう予定である。
79
目
標
達
成
状
況
(カ) 保護者・地域の協力を得ながら環境学習や温室効果ガス排出抑制に資する取り組みとして、
輻射熱を軽減する「校庭の芝生化」や校舎への日差しを和らげる「緑のカーテン」などを平成21
年度より開始した。「校庭の芝生化」については12校園、「緑のカーテン」については20校園で
実施しており、今後更なる推進を図っていく。また、長田区では、学校における取り組みのほ
か、区内の一般家庭や区役所などの公共施設において、「ながた・緑のカーテン」プロジェクト
を展開している。
(キ) 下水の処理過程で発生するガスを精製した「こうべバイオガス」の供給事業は、平成20年度
より市バス等の公用車のほか、民間の貨物配送車両などにも本格的に供給を開始し、他に例を見
ない取り組みとして国内外からの関心を集めている。平成21年度は、「こうべバイオガス」を約
40万N㎥/年、延べ12,500台に供給した。さらに、バイオガスの活用を図るため、都市ガスと同等
レベルまで高度精製し、都市ガスの導管へ注入する実証事業に取り組んでおり、平成22年度夏か
らの事業開始を予定している。
(ク) 平成18年度より「神戸市建築物総合環境評価制度(CASBEE神戸)」を開始し、建築物にかか
る環境評価結果を公開して、建築主の環境配慮の促進と、ユーザー側への情報提供に努めてい
る。平成21年度は67件を受理し、順次、評価結果を公表しており、Sランク0件、Aランク13件、B
+ランク47件、B-ランク7件と、標準値以上(ランクB+以上)が約9割となった。
(ケ) アクションプログラム推進事業として、家庭版エコマニュアルの更なる普及促進のほか、環
境保全協定の改定・新規締結、事業者向けエコマニュアルの作成・配布、省エネセミナーの開催
など、市民・事業者の自主的取り組みを推進している。平成21年度は、キャラバン隊による地域
説明会を22箇所で開催し、500人が参加した。また、延べ27ヵ所のイベント(参加者26.9万人)に
ブースを出展し啓発活動を行った。これらの活動の結果「わが家のもったいないやん!宣言」に
約14,500件の登録があった。
これらの施策を推進した結果、チャレンジ指標である「市民一人あたりの二酸化炭素排出量」
は、平成18年度は3.77t-CO2/人、平成19年度は3.74t-CO2/人であったが、平成20年度は3.60t
-CO2/人(速報値)となっている。平成20年度の結果を昨年度の評価に用いた平成18年度の結果と
比較すると4.4%減少している。特にこれまで継続した取り組みを行なってきた家庭部門について
は6.5%、新たな減量・資源化策を実施した廃棄物部門については15.7%とそれぞれ大きく減少し
ており、市民との協働による取り組みの成果が現れる結果となった。
② 「循環型社会」の実現に向けた取り組みとして、市民や事業者の協力のもと、更なる分別の徹
底とごみの減量・資源化を進めるための新たな施策の展開を図っている。
家庭系ごみについては、更なる分別の徹底とごみの減量・資源化を進めるため、平成20年11月
から全市で「家庭系ごみの指定袋制度」、「大型ごみの申告有料収集」を実施し、北区では「容
器包装プラスチックの分別収集」を先行実施するなど、新たな減量・資源化施策を導入し、地域
説明会の開催や分別徹底キャラクター「ワケトン」を活用した啓発活動、地域の排出実態に応じ
たチラシ・看板の作成、クリーンステーションでの啓発活動など、地域団体との協働による排出
ルール徹底の取り組みを継続的に行っている。
その結果、新制度の効果があらわれている平成21年度のごみ排出量は、約33.0万t(平成20年
度:約41.4万t)となり、新制度導入前年度の平成19年度の排出量約43.2万tに比べて23.7%(約
▲10.2万t)減少した。また、北区で先行実施している「容器包装プラスチックの分別収集」で
は、平成21年度の収集量が1,728t(平成20年度:694t)であり、これは約4,781tのCO2の削減に相
当し、同時に温室効果ガス排出抑制にもつながることを示している。また、(財)日本容器包装
リサイクル協会による品質評価では、2年連続して最高ランクである「A」判定を得た。
このように市民の分別収集への協力が大きな成果として現れる結果となった。
事業系ごみについては、平成19年4月からの有料指定袋制度の導入を契機として、事業者におい
てごみの減量・資源化の取り組みが進み、平成19年度のごみ排出量は約20.8万tと平成18年度
(約28.8万t)と比較し、約28%減少した。その後も制度のさらなる定着に向け、排出ルールチラ
シの送付や、家庭系ごみのクリーンステーションでの開封調査、処理施設での展開調査、大規模
事業所におけるごみの減量・資源化指導、排出事業者への排出実態調査の実施など、継続的な啓
発・指導を行っており、平成21年度は約20.1万t(平成20年度約20.6万t)と制度導入後のごみ
の減量効果を維持している。
これらの施策を推進した結果、チャレンジ指標である「市民一人1日あたりのごみ処理量」につ
いては、新制度導入前年度の平成19年度は1,107g、年度途中で新制度を導入した平成20年度は
1,061gであったが、新制度の効果があらわれている平成21年度は900gとなっており大幅に目標値
(1,169g)を達成した。「リサイクル率」についても、平成19年度の20.6%から平成20年度は
21.5%に向上しており、ごみの減量・資源化の取り組みが着実に進んでいることを示す値となっ
ている。
80
目
標
達
成
状
況
③ 「自然共生社会」の実現に向けた取り組みとして、生物多様性保全に関しては、平成21年度に
開発事業に係る環境影響評価等の指導に活用するため「神戸版レッドデータ2010」を作成したほ
か、環境省の「生物多様性保全推進支援事業」の対象事業として、神戸市と地元住民等が協働で
取り組む「神戸カワバタモロコ保全推進事業」が採択され、平成21年度より保全活動や啓発活動
を展開している。
また、環境教育を通じた取り組みとして、市民等との協働と参画による各種事業を継続的に
行っている。平成21年度は、地域・NPO団体による水辺教室の開催(5回開催)、神戸空港島の人
工海浜を活用したウミガメ保護活動、兵庫運河における地元住民が中心となったアコヤ貝育成活
動を通じた環境学習など、市内各地で水辺を中心とした環境保全活動が実施されたほか、「里山
生きもの探検隊」を始め、野外での自然保護啓発プログラムが中心の「親子ふれあい環境教室」
(10回開催)を開催するなど、環境教育を通じた「自然共生社会」の実現に向けた取り組みを積
極的に進めている。
④ その他の環境保全に係る取り組みとしては、下水の高度処理の導入を進めており、既に3処理
場において実施している。更に垂水処理場において高度処理施設の整備を進めており、平成23年
度に供用を開始する予定である。また、下水道資源の有効活用として、神戸空港島やポートアイ
ランドなどのせせらぎ用水やトイレ用水などに高度処理水を供給するなど、水環境の保全・創造
に関する取り組みを着実に進めている。
平成21年度の施策評価としては、チャレンジ指標である「市民一人当たりの温室効果ガス排出
量」は減少し、目標には達していないものの達成度評価は1から3に向上しており、特に、家庭
部門及び廃棄物部門が大きく減少するなど市民と協働した取り組みの成果がみられ、また、「温
室効果ガス削減目標達成のためのアクションプログラム」に基づく重点事業などの温室効果ガス
排出量削減に向けた取り組みを着実に進めていること(①)、ごみの減量・資源化に関しては、
平成20年11月から実施している家庭系ごみの新制度導入における市民の分別収集への協力によ
り、チャレンジ目標である「市民一人あたりのごみ処理量」の導入後のごみ処理量が、導入前に
比べ大幅に削減され、目標値を達成しており、また、「リサイクル率」も向上していること
(②)、その他の取り組みとして、「カワバタモロコ保全推進事業」、水辺教室、アコヤ貝育成
活動など市民と協働した環境保全対策を積極的に推進していること(③)など、「低炭素社会」
等の3社会の実現に向けた取り組みを着実に進めていることから、目標達成に向けて順調(A評
価)とする。
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
今後は、全ての環境施策を網羅する大綱である「環境基本計画」を改定し、「低炭素社会」等
の3社会を総合的・機能的に推進していくとともに、それぞれの社会を具体的に推進するための
計画である「地球温暖化防止実行計画」、「一般廃棄物処理基本計画」、「生物多様性神戸戦
略」を策定・改定し、これまで以上に環境に関する取り組みを強化していく。この他、国の「グ
リーンニューディール基金」を活用した取り組みや、「容器包装プラスチック分別収集」の全市
展開に向けた取り組みなど、具体的な対策に取り組むとともに、市民に役立つ環境情報(太陽光
発電や次世代自動車の助成、家電エコポイント制度等)を引き続き積極的に提供することなどに
より、市民のエコライフへの転換を推進していく。
これらの進捗により、当該施策については、目標達成できる見込みである。
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
「低炭素社会」等の3社会については、本市が中長期的な視点に立ち取り組むべきテーマであ
り、神戸2010ビジョンにおいてはその実現に向けた基礎的な成果が得られたと認識している。神
戸の美しい環境を未来に継承していくため、ごみの減量・資源化を更に進め、ごみ処理量をピー
ク時(平成12年度)の約半分とすることを目指すなど、平成23年度以降も市民・事業者等との協
働を進め、3社会に係る施策を更に発展させていく必要がある。
評価
(2)魅力ある緑地、農地を生かした展開
B
快適な都市環境の創出に大きな役割を果たしている緑地・農地において、市民との協働と参画
による緑をつくり、育て、まもる仕組みづくりを継続・発展させるとともに、農業振興や農村環
境の保全・創造・活性化を図るため、多様な担い手による農村資源の活用や安心できる産地づく
りを進めている。
① 農村地域では、「人と自然との共生ゾーンの指定等に関する条例」に基づき、農村用途区域の
指定等による秩序ある土地利用の推進、農村らしい景観の保全・形成、里づくり協議会による里
づくり計画の作成を行っている。また、西区櫨谷町栃木西地区において新たに「景観保全形成基
準」の策定を行うなど農村デザインの推進を図っている。さらに、農村資源の保全・向上や都市
住民との交流を進めるため、直売所「六甲のめぐみ」の5周年事業やアイガモ米交流会、田んぼ
探検隊などの農業体験や農村イベントなどの取り組みを推進している。
81
目
標
達
成
状
況
観光農園や市民農園の利用実績について、平成21年度は、里づくり事業や地産地消等の農村と
都市住民との交流では、イベントの多様化や定着化が図られたが、利用者数は昨年度に比べやや
減少した。今後もイベントなどの交流活動のPRに努めるとともに、地元主体による施設や運営組
織の整備を図るとともに農協直売所等の集客施設との連携を強化し交流人口の増加に努めてい
く。
また、農業生産面からは、農薬や化学肥料の使用を控えた「環境保全型農業」を推進し、安
全・安心な農産物の生産と農村環境の保全に努め、「自然共生社会」にも貢献している。
その他、農業生産性の向上による供給量の拡大や、地産地消の推進によるフードマイレージ軽
減に伴うCO2削減の取り組みのほか、食育を通じた食べ残しや手付かず廃棄食品の削減等の啓発、
堆肥等による土づくりなどを行い、「低炭素社会」や「循環型社会」に貢献しているとともに、
今後も生産者と消費者、地域や年代を越えた交流を進め、協働のまちづくりを進めていく。
さらに、「農地・水・環境保全向上対策事業」や「農業環境規範(こうべ版GAP)」の取り組み
を進めるとともに、「こうべ給食畑」をはじめとする地産地消や食育の取り組みを推進すること
により、生産者、流通業界、消費者が連携して環境への負荷軽減に取り組み、農村環境の保全・
向上を進めていく。
② 緑地に関しては、緑に恵まれた神戸の自然をまもり育てるために、「緑地の保全、育成及び市
民利用に関する条例」に基づき緑地の保存区域等での行為制限を行うとともに、緑地の保全・育
成事業等を進めている。
平成21年度は、20年度に策定した「市街地における緑地の保全方針」を受けて、市街地やその
周辺にある樹林等において、市民団体が行う里山活動により緑地の保全育成を図る「ふれあい市
民緑地」の制度化に向けた検討を行い、平成22年度より実施する予定である。
六甲山においては、市民参加による森林管理の取り組みとして、こうべ森の学校や摩耶の森ク
ラブなどの「こうべの森づくり」を継続して実施するとともに、「こうべ森の文化祭2009」を開
催した。引き続き、六甲山系グリーンベルト事業などで国や県とも連携し、各種制度等により一
定の緑地量を確保しながら、市民・企業との協働により自然環境をまもり育てていく。
平成21年度の施策評価としては、チャレンジ指標である「観光農園など農村資源の利用者数」
については、やや減少する結果となったが、都市住民との交流やイベントの多様化、定着化が図
られたことや、環境に配慮した農業生産や農村景観の保全の推進についても着実に前進している
こと(①)、市民と緑とのふれあいも順調に展開するとともに、市街地における緑地保全への取
り組みも着実に進められていること(②)、しかしながら、今後、農業従事者の減少や高齢化が
進み、不耕作地の増加が懸念されるため、一層の地産地消や食育の推進により、生産者と消費者
とが一体となった農村資源の保全活用が求められることから、全体としては目標達成に向け概ね
順調(B評価)とする。
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
今後は、緑地や農地といった自然環境を保全することの重要性について、市民の理解を促す取
り組みや、食育、地産地消の一層の推進により、生産者と消費者が一体となって地域環境を守る
しくみづくりを進め、担い手の確保を図る。また、「緑の基本計画」、「農漁業ビジョン」を改
定し、各種施策を総合的に推進していく大枠づくりを進めていく。
課題となっている不耕作地対策については、平成21年度に地権者への意向調査に基づき、緊急
雇用対策事業による復元を行ったが、今後は、保全管理田を含めた遊休農地において農用地の利
用集積(「農業経営基盤強化促進法」に基づく農地の有効利用を図るための貸し借り)を進め、
地域農業の担い手等が、学校給食へ供給する野菜や、米粉・飼料用稲等を栽培することなどによ
り、その利活用を推進していく。
これらの進捗により、当該施策については、概ね目標達成できる見込みである。
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
平成23年度以降も、高齢化、人口減少等により更に不耕作地の増加が懸念されるため、農用地
の利活用を含めた農村環境の向上と地域農業の活性化に引き続き取り組んでいく必要がある。ま
た、六甲山等の神戸の緑の骨格となる森林においては、市民と協働した適切な管理を更に進めて
いく必要がある。
(3)地域マネジメントのさらなる推進
評価
A
地域マネジメントのさらなる推進をめざして、震災復興まちづくり事業地区をはじめ、さまざ
まな地域において、地域の課題への対応や地域特性を生かした魅力づくりについて、市民との協
働と参画による取り組みを進めている。
82
目
標
達
成
状
況
① 震災以降取り組んできた土地区画整理事業および市街地再開発事業においては、公園や身近な
生活道路等のあり方について「まちづくり協議会」方式を採用し、協働と参画によりまちづくり
を進めてきた。区画整理では11地区のうち10地区が完了し、新長田駅北地区についても平成22年
度の換地処分を目指し進めている。また、再開発では2地区のうち六甲道駅南地区が完了し、残る
新長田駅南地区についても、「特定建築者制度」を積極的に活用するなど、民間のノウハウを活
かして更なる魅力ある副都心を目指し、事業を推進している。
これらの復興のまちづくりによって整備された、公園、ポケットパーク、せせらぎ等について、
事業完了後も地元主体で日常管理を行うことを通じて、コミュニティの活性化へつなげている。
森南1丁目まちづくり協定を守る会など4地区へのまちそだて助成事業では、事業が完了した平
成20年度以降も、自立に向けた活動に取り組んでいる。
② 「今後の神戸の都市づくり」等、協働と参画のまちづくりの推進については、まちづくり活動
助成やアドバイザー・コンサルタント派遣等の支援制度など、地域に密着したまちの「ルールづ
くり」や「ものづくり」に向けた取り組みを進めている。また、地域におけるまちづくり活動の
担い手を育成するため、「こうべまちづくり学校」等で人材育成を行っている。平成21年度は、
自らが住むまちの良好な住環境をまもるために地域が取り組んだ、西区桜が丘地区や長田区新長
田駅北・中地区において、まちづくり協定の締結などルールづくりが行われた。
③ 緑豊かな環境づくりを市民との協働により進めるため、地域住民主体による公園の管理運営を
推進しており、ボランティア団体数は毎年着実に増加し、現在、743団体が994公園で管理運営を
実施している。
④ ごみやたばこのぽい捨てのない美しいまち神戸を実現するため、「神戸市ぽい捨て及び路上喫
煙の防止に関する条例(歩きたばこ禁止条例)」を制定し、三宮・元町地区を路上喫煙禁止地区に
指定し、違反者に対して過料を徴収している。平成21年12月に実施した、路上喫煙率等調査結果
では、禁止地区における路上喫煙率(歩行者数に占める歩行喫煙者数の割合)が0.10%と禁止地区
指定前(1.03%)に比べ大きな効果が現れており、また、禁止地区外でも一定の効果が現れてい
る。この他、市民主体の自主的な取り組みを積極的に支援するとともに広報啓発等を実施してお
り、平成21年度は、465の地域団体が美化活動を行い、まち美化エンジェルも3団体が継続的にま
ちの美化の取り組みを行った。
⑤ 平成13年度から、地域が主体となって環境にやさしい実践的な取り組みを行なう「エコタウン
まちづくり」の全市展開を進めており、平成21年度末現在、93地区において、広報紙の発行、まち
のマナーアップ、クリーン作戦、資源の集団回収等の実践活動が積極的に実施されている。
また、エコタウンなど地域団体や事業者、大学等に協力いただき、ヒートアイランド対策の取
り組みのひとつとして、冷房等に頼らない涼しい夏のすごし方について考えるイベントである
「こうべ打ち水大作戦」を、平成21年度は地域の祭りやイベント等8箇所において実施した。
⑥ 河川においては、地域にとってより身近な存在となるよう、自然環境、親水性に配慮した改修
を進めるとともに、地域住民と一体で河川愛護活動に取り組んでおり、河川愛護団体の登録数
は、平成21年度末で54団体、活動河川数も58河川となった。また、都賀川での増水事故をうけ、
河川愛護団体による河川利用者への注意喚起の声かけや啓発活動などを行っている。平成21年5月
には啓発用DVD「楽しい川、あぶない川」を作成し、学校や市民団体等に無償で配布するなど、安
全な河川の利用について地域と一体となった取り組みを進めている。
平成21年度の施策評価としては、チャレンジ指標である「まちづくりに係るルールを決めてい
る地区数」が目標を達成したことや、地域コミュニティの自立した継続に向けた取り組み、今後
の神戸の都市づくりの推進をめざした地域主体でのルールづくりの取り組みなどが順調に進んで
いること(①)、また、これまでの課題であった、地域におけるまちづくり活動の担い手不足を
解消するための取り組みも進めていること(②)から、目標達成に向け順調(A評価)とする。
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
今後は、既存のさまざまな地域団体や世代がまちづくり活動に参加しやすい環境づくりや、震
災復興まちづくり事業の完了地区において地域活動を継続していくための取り組みなどの課題へ
の対応を行うとともに、地域特性を生かした魅力づくりについて、市民との協働と参画による取
り組みをさらに進めるための指針づくりを行うなど、地域マネジメントを引き続き推進してい
く。
これらの進捗により、当該施策については、目標達成できる見込みである。
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
平成23年度以降も、市民との協働と参画による取り組みをさらに進めるための指針づくりを行
うとともに、多様化する地域課題に対応していくため、NPO等の様々な主体による地域活動と連携
しながら、地域マネジメントを引き続き推進していく必要がある。
83
※ 評価(目標の達成状況)について
A:目標達成に向けて順調 B:目標達成に向けて概ね順調
C:目標達成に向けてあまり順調に推移していない D:目標達成に向けて不調
指 標 項 目
策定値
20年度評価
21年度評価
数値
数値
数値増減
*1
市民一人あたりの
二酸化炭素年間排出量
3.83t
(平成14年度)
市民一人1日あたりごみ処理量
(19年11月追加)
チ
ャ
レ ごみのリサイクル率
ン
ジ
指 観光農園など農村資源の利用者数
標
の
状 永続性のある緑地量
況
市民一人あたりの公園面積
1,294g
(平成18年度)
13%
(平成15年度)
104,000人
(平成15年度)
35,000ha
(平成16年度)
16.46㎡
(平成16年度)
市民主体で維持管理する身近な公園
の割合
69%
(平成16年度)
まちづくりに係るルールを決めている地
区数
195地区
(平成16年度)
数値増減
3.60t
(平成20年度)
1
3
1,107g
(平成19年度)
900g
(平成21年度)
5
5
20.6%
(平成19年度)
21.5%
(平成20年度)
3
3
135,805人
(平成20年度)
123,854人
(平成21年度)
4
3
35,000ha
(平成 20年度)
35,000ha
(平成 21年度)
5
5
16.92㎡
(平成20年度)
16.97m2
(平成21年度)
1
1
75%
(平成20年度)
76%
(平成21年度)
5
5
229地区
(平成20年度)
233地区
(平成21年度)
4
5
*1 家庭系・業務系・廃棄物系・運輸系排出量合計値を人口で割った値をさす。
*2 家庭系・事業系ごみ処理量合計値を人口で割った値をさす。
※ 評価(数値増減)について
:前回評価時の値を上回っている。
:前回評価時の値とほぼ同等
:前回評価時の値を下回っている。
※ 評価(達成度評価)について
5:目標値達成 4:達成率75%以上 3:達成率50%以上
2:達成率25%以上 1:達成率25%未満
※ 達成度評価とは
2010年のともに目指そう値に対する策定値からの達成度
計算式:(現状値-策定値)÷(ともに目指そう値-策定値)
84
達成度評価
3.77t
(平成18年度)
(20年3月追加,策定値・目指そう値修正)
*2
達成度評価
ともに
目指そう値
3.42t
1,169g
25%
140,000人
35,000ha
20㎡
75%
230地区
「神戸2010ビジョン」検証委員会の意見
【平成21年度の取り組みに対する内部評価について】
・ 目標達成状況に対する評価は概ね妥当である。施策に市民が十分こたえてくれたことが評価の向
上につながったことを意識し、大切にすべきである。
【最終年度における目標達成状況について】
・ 最終年度における目標達成見込みは妥当である。
【総仕上げに向けた助言】
① 市民や事業者が施策に協力した成果について、市全体でどのくらいの効果につながっているの
か、分かりやすく情報を発信していくことが重要である。
【平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題への意見】
① 低炭素、循環型、自然共生の3社会はどれも次につながる大きな柱であり、引き続き新たな目標
を設定してのぞんでいくべきである。
② 低炭素社会の実現と、環境産業の振興とは密接に連動しているので、今後、分野横断的な課題と
して取り組むべきである。
③ 農地の問題については、人口減少や高齢化など社会構造の変化が基本的な課題としてあることと
その深刻さを捉えた上で、里づくりなどに取り組むべきである。
④ 農地・緑地の保全のために、私有林を含めた森林の適切な管理を引き続き取りくんでいく必要が
ある。
⑤ 地域マネジメントでは、今後のテーマの多様化に対応するために、地域力強化プランとの垣根を
越えた連携が必要になるのではないか。
85
検証・評価シート
アクションプラン
12.神戸を先導する都心ゾーン形成プラン -平成21年度の取り組み状況-
取りまとめ課
企画調整局企画調整部総合計画課
担当課
企画調整局調整課・デザイン都市推進室・医療産業都市構想推進室、
市民参画推進局地域力強化推進課・文化交流部、
保健福祉局計画調整課、 環境局地球環境課、
産業振興局庶務課・企業立地課・工業課・商業課・観光コンベンション推進室、
建設局道路部管理課・道路部計画課・道路部工務課・下水道河川部計画課・
公園砂防部計画課・公園砂防部緑地課、
都市計画総局計画課・まちのデザイン室・工務課・市街地整備課、
みなと総局総務課・企業誘致課・振興課・空港事業室誘致課・計画課、
中央区まちづくり推進課・まちづくり支援課、 交通局経営企画調整課・
営業推進課・施設管理課・市バス運輸サービス課・市バス車両課・
電気システム課、 教育委員会事務局教育企画課・文化財課・博物館学芸課
「ウォーターフロントを含む都心」「海上都市」「神戸空港」からなる地域において、海・空・
目 陸の広域交流拠点としての中核的ゲート機能や、海辺の生活スタイルを体感できる「みなと」を
標 活かしながら、働き、学び、楽しみ、さらには住む人々を増やすことにより、人・物・情報が交
流・融合する都心ゾーンを形成し、神戸全体の発展を先導する。
(1)みなとを活かした展開
目
標
達
成
状
況
評価
B
市民や来街者で賑わう“みなと神戸”を満喫する空間を形成することを目標として、ウォー
ターフロントの利用転換や都心からウォーターフロントへの誘導、都心・ウォーターフロントの
将来構想の検討などに重点的に取り組んでいる。
①神戸震災復興記念公園(愛称:みなとのもり公園)が完成し、都心・ウォーターフロントにお
ける新たな拠点が形成された。みなと神戸のシンボルとして、多くの市民・観光客に親しまれて
きたポートタワーのシンボル性や機能の向上を図る全面的な改修工事が完成し、リニューアル
オープンした。
②神戸港の平成21年の客船の年間入港隻数は、昨年(97隻)より増加して100隻となった。また、
瀬戸内海クルーズの魅力を体験いただくため、民間事業者との協働により、市民向けの体験ク
ルーズを実施した。
③海に向かって歩きやすくなるよう、明石町筋において、引き続き歩道拡幅工事を進めるととも
に、海と山の方向が分かる「神戸らしい方位表示板」を設置した。JR貨物臨港線の跡地を活用
した歩行者専用道路である市道臨港線(JR灘駅前~HAT神戸)の整備が完成した。歩行者系案内サ
インについて、引き続き増設や改修等を行った。
④波止場町1番地に立地する神戸水上警察署が、平成24年度末を目途にポートアイランド北公園
へ移転することで、兵庫県と基本的に合意した。
⑤都心・ウォーターフロントの将来構想(グランドデザイン)に向けて、有識者からなる研究会
から平成21年11月に提言「港都 神戸の創生」が出された。
⑥「デザイン都市・神戸」のシンボルとなる“創造と交流”の拠点である「(仮称)デザイン・
クリエイティブセンターKOBE」について、学識経験者や専門家などからなる検討委員会から今後
の活用の方向性についての提言が出された。
平成21年度の施策評価としては、ウォーターフロントにおける民間活力を活かした親水空間の
整備に向けた課題はあるものの、神戸震災復興記念公園が完成するとともに(①)、歩道拡幅な
どのウォーターフロントへの誘導に関する整備(③)や、都心・ウォーターフロントの将来構想
の検討(⑤)などが進んでいることから、みなとを活かした展開は全体としては目標達成に向け
て概ね順調(B評価)とする。
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
魅力的で活力のある都心・ウォーターフロントの実現のためには、着実かつ継続的に各事業や
取り組みを進めるとともに、長期的な視点での将来構想が必要である。
87
目
標
達
成
状
況
平成22年度は引き続き、民間活力による親水空間の整備に向け神戸プラージュをきっかけとし
た事業者の誘致を図るとともに、客船誘致などにも努め、都心・ウォーターフロントの賑わいを
創出していく。また、歩行者系案内サインの増設や改修、明石町筋の歩道拡幅などを進め、海に
向かって歩きやすくしていく。あわせて、波止場町1番地のオープンスペースの確保に向けた関
係機関との協議を進めるとともに、旧神戸生糸検査所の活用に向けた改修工事に着手する。これ
らの各事業を推進するとともに、都心・ウォーターフロントの将来構想として、グランドデザイ
ンの策定を行う。
これらの進捗により、当該施策については、目標達成できる見込みである。
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
新港突堤西地区やJR貨物神戸港駅跡地などウォーターフロントでの土地利用転換、旧居留地
をはじめとする都心からの誘導、客船誘致などに取り組んできており、平成23年以降も取り組み
を継続して進めていくことが重要である。
特に、今年度策定予定の都心・ウォーターフロントのグランドデザインを視野において、可能
な取り組みから着実かつ継続的に進めていくことが重要であり、新港第1突堤などでの民間活力
の導入、「デザイン都市・神戸」のシンボルとなる創造と交流の拠点として旧神戸生糸検査所の
活用を図ること、神戸水上警察署や合同庁舎別館の跡地を対象に波止場町1番地での開放的な親
水空間づくりなど当面の取り組みを進めていく。
(2)誘(いざな)う仕掛けづくり
評価
A
都心ゾーンの魅力を効果的に高め、来街者の増加を促進することを目標に、三宮駅前のターミ
ナル機能の強化や文化によるおしゃれな街の演出に重点的に取り組んでいる。
①阪神三宮駅では、厳しい施工条件の中で東改札口の設置などの改良工事を鋭意進めている。こ
れにあわせ、地下・地上・デッキレベルの歩行者動線の3層ネットワークとして、中央幹線を横
断する地下通路とデッキの整備を進めている。
②神戸らしい眺望景観を保全・育成するため、平成19年度に公募により選定した「神戸らしい眺
望景観50選、10選」のうち、都心部の2つのモデル地区において、建築物の高さなどに対する誘
導基準を策定した。
③光と音楽のイベントである神戸スウィング・オブ・ライツや、みなと海上花火大会、神戸ビエ
ンナーレ2009などを開催し、ウォーターフロントの賑わいを創出した。その他、神戸まつり、ル
ミナリエ、インフィオラータこうべ、まちのアートステージ(ジャズやフルートの生演奏)など
市民・事業者との協働による神戸らしいイベントの実施、市立博物館での特別展の開催などによ
り、おしゃれな街の演出に取り組んだ。
④「KOBEデザインの日」の記念イベントである「デザイン・クルージング コウベ2009」や「感性
価値創造ミュージアム in KOBE」、「ユネスコ・デザイン都市フォーラム in KOBE」などの各種
イベントやシンポジウムを旧居留地やメリケンパークなどにおいて開催し、「デザイン都市・神
戸」の取り組みの発信を行った。
⑤歩いて楽しいまちづくりや公共交通の利用を促進するため、都心の公共交通機関が2日間乗り
降り自由となる乗車券などの発行を社会実験として実施し、あわせて沿線の観光・商業施設など
との連携に取り組んだ。
⑥「観光入込客数(市街地+神戸港観光群)」は、平成20年から続く景気低迷や新型インフルエ
ンザの影響があったものの、神戸スウィング・オブ・ライツや神戸ビエンナーレ2009、兵庫県立
美術館などで来場者数が増加したことによる結果として平成20年よりも増加し、「ともに目指そ
う値」を達成した。また、「都心各駅の利用者数(各鉄道会社計)」(平成20年度)は、平成19
年度に比べ増加しているが、「広域交通機関(新神戸駅・神戸港・神戸空港)の利用者数」(平
成20年度)は、平成19年度に比べ減少している。一方、市民意識としては「『都心に魅力があ
る』と感じる人の割合」が73.8%と平成20年度に比べ1.9ポイント増加している。
平成21年度の施策評価としては、歩行者動線の3層ネットワークの整備(①)、神戸らしい眺
望景観を保全・育成するための誘導基準の策定(②)、各種イベント(③)や「デザイン都市・
神戸」の取り組みの発信(④)などによる神戸の魅力の向上などが進んでいることから、目標達
成に向け順調(A評価)とする。
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
来街者の更なる増加のためには、三宮駅前のターミナル機能の強化、都心における回遊性を向
上させる交通体系の検討、及び様々なイベントや取り組みにより都心の魅力を高めていくことな
どが必要である。
88
平成22年度は引き続き、三宮駅周辺において、ターミナル機能の強化や、3層ネットワークの
整備等により歩行者動線の拡充を図るとともに、電動自転車によるレンタサイクルの社会実験に
より、回遊性を向上させる交通体系の検討を実施する。あわせて、市民・事業者との協働による
神戸らしいイベントの実施や、「デザイン都市・神戸」の発信などにより、文化の薫り高い都心
づくりに努めていく。
目 これらの進捗により、当該施策については、目標達成できる見込みである。
標
達
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
成
回遊性向上のための持続可能な交通体系の確立のための施策、眺望景観の形成、街のおしゃれ
状
な演出のための様々なイベントの開催などに取り組んできており、平成23年度以降も取り組みを
況
強化していくことが重要である。
特に、神戸震災復興記念公園・旧神戸生糸検査所・新港第1突堤などウォーターフロントでの
新たな土地利用転換にも対応した公共交通の導入など、回遊性向上施策の実施、陸の玄関口・三
宮駅の大改造による機能性・シンボル性の向上、ウォーターフロントや旧居留地を活用した一層
のイベントの拡充などが当面の取り組みとなる。
(3)都心・ウォーターフロント、海上都市、神戸空港の相乗効果を生かした取り組みの促進
評価
A
都心・海上都市・神戸空港が近接した立地を活かして、企業やコンベンションの誘致活動や新
産業の創出を目標として取り組みを進めている。
①平成21年度末までに、医療関係企業170社がポートアイランドに進出した。平成21年8月には日
本麻酔科学会や日本精神神経学会の学術集会が開催されるなど、引き続き、コンベンションの誘
致を進めている。
②ポートアイランド2期地区において、平成24年度の完成を目途に「次世代スーパーコンピュー
タ(世界最先端・最高性能の超高速計算機システム)」の整備が進められている。また、次世代
スーパーコンピュータを活用した研究開発や産業利用を促進していくため、引き続き、兵庫県及
び産業界と連携し、技術相談や研究室の提供などの支援や、セミナーの開催などの普及啓発を
行った。次世代スーパーコンピュータの隣接地では、甲南大学の新キャンパスが平成21年4月に
オープンするとともに、今後、神戸大学が先端融合研究を行う拠点を整備することとなり、平成
23年度に供用開始し、スーパーコンピューターを活用した研究開発が行われる予定である。
③神戸空港島に、平成21年7月に航空専門学校が開校した。神戸フィルムオフィスでは、引き続
き、映画やテレビの撮影の誘致・支援により、映像を通じて神戸の魅力を発信している。
平成21年度の施策評価としては、医療関係企業やコンベンションの誘致(①)、次世代スー
パーコンピュータの施設整備、及び周辺での新たな大学の進出の決定(②)など、他の重点事業
も含め、都心・海上都市・神戸空港の相乗効果を生かした取り組みが進んでいることから、目標
達成に向け順調(A評価)とする。
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
都心・海上都市・神戸空港の相乗効果を生かすためには、医療産業都市構想とコンベンション
などの集客産業のさらなる連携が必要である。
平成22年度は、引き続き医療関係企業の誘致を推進するとともに、医療産業都市構想とも連携
しながら、引き続きコンベンション誘致に取り組んでいく。また、次世代スーパーコンピュータ
の活用をPRしながら、都心や神戸空港との近接性を生かした施設のさらなる立地を促進してい
く。あわせて、ロケ地「神戸」としての魅力を発信するとともに、引き続き映像プロジェクトの
誘致に努め、映像を通した神戸の魅力発信と、集客強化を図っていく。
これらの進捗により、当該施策については、目標達成できる見込みである。
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
立地特性を生かし、企業・コンベンション誘致、次世代スーパーコンピューター活用の普及啓
発、映像産業等の創造産業の涵養などに取り組んできており、平成23年度以降も取り組みを継
続・強化していくことが重要である。
特に、医療関連産業や次世代スーパーコンピューターなど知的プロジェクトに対応した企業誘
致、低炭素社会に貢献する分野など成長著しい新産業における企業誘致、コンベンションだけで
なくMICE全般の誘致、神戸空港を活用した国際医療交流の推進などが当面の取り組みとな
る。
89
(4)協働と参画による都心活性化
評価
A
都心内に位置するそれぞれのまちの個性を生かすとともに、まち相互の連携を強化し、協働と
参画による都心の活性化を進めることを目標として、様々な取り組みを進めている。
①個性を生かしたまちづくりへの支援として、地域住民が行うまちづくりに関するルールの検討
などに対して、専門家の派遣・助成などに引き続き取り組んでおり、協働と参画により活発なま
ちづくり活動が継続的に行われている。平成21年度は、フラワーロード沿道やトアロード地区な
どの景観に関するルールの検討や旧居留地での放置自転車対策のほか、各地域での回遊マップづ
くりなど、地域の課題解決や活性化のための取り組みが実施された。
目
標
達
成
状
②「ソウコラヘン」と題して、NPO法人などとともに、旧神戸生糸検査所の見学会、新港地区
況
の近代建築についての講演、及び倉庫群の散策などを実施し、ウォーターフロントの魅力を広く
情報発信した。
③ポートターミナルにおいて客船フェスタを開催し、引き続き、元町商店街など客船歓迎サポー
ター団体との協働により、船内見学会や、歓迎ステージ、客船模型・クルーズパネルの展示な
ど、様々な催しを行った。
④神戸建築物語と題し、海外移住などに関する講演会や「海外移住と文化の交流センター」の見
学会などを開催するとともに、近代建築・まちなみ・史跡等を楽しんでいただくまち歩きとして
「デザインラリー」を実施し、神戸のまちの歴史や文化を広く情報発信した。
⑤美しいまちづくりを進めるため、引き続き、主体的に取り組む美化活動団体・企業などの活動
への支援を行った。一方、三宮・元町地区を路上喫煙禁止地区に指定し、違反者に対して過料を
徴収しており、禁止地区では、指定前に比べ路上喫煙者の割合が大きく減少した。
⑥神戸震災復興記念公園(愛称:みなとのもり公園)の完成に伴い、市民・NPO法人などで構
成され、公園の整備内容について協働で検討を行ってきた「みなとのもり公園検討会」を発展さ
せた「みなとのもり公園運営会議」を立ち上げ、管理運営に関して検討を進めていく。
平成21年度の施策評価については、都心ならではの各種イベントや取り組み(①~⑥)が継続
されていることから、目標達成に向け順調(A評価)とする。
《総仕上げに向けた課題と対応・達成見込み》
平成22年度は、三宮駅前の屋外広告物について地域主体のルールづくりに取り組むなど、引き
続き、市民・事業者が進める地域の個性を生かしたまちづくりの取り組みや、各種イベントを通
じて、協働と参画による都心の活性化を進めていく。
これらの進捗により、当該施策については、目標達成できる見込みである。
《平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題》
地区計画など住民主体の地域のルールづくり、市民・NPOによる都心ならではの各種イベン
ト、飾花緑化・まちの美化活動・放置自転車対策・路上喫煙防止・屋外広告物ルールづくりなど
協働と参画による都心の魅力づくりに取り組んできており、平成23年度以降も地道に取り組みを
継続していくことが重要である。
特に、今年度策定予定の都心・ウォーターフロントのグランドデザインの実現をめざし、市
民・事業者等を巻き込んだ推進組織を立ち上げ、気運や関心の一層の喚起、協働による継続的な
様々な取り組みを進めていくことが必要と考える。
※ 評価(目標の達成状況)について
A:目標達成に向けて順調 B:目標達成に向けて概ね順調
C:目標達成に向けてあまり順調に推移していない D:目標達成に向けて不調
90
指 標 項 目
20年度評価
21年度評価
数値
数値
策定値
数値増減
「都心に魅力がある」と感じる人の割合
73.4%
(平成16年度)
1
1
ャ
広域交通機関(新神戸駅・神戸港・神
戸空港)の利用者数
676万人
(平成15年度)
都心においてまちづくりに係るルールを
決めている地区数
13地区
(平成16年度)
達成度評価
73.8%
(平成21年度)
1,362万人
(平成20年)
1,215万人
(平成16年)
レ
ン
ジ
11.7%
指 *事業所の開業率(中央区)
(平成11~13年)
標
の
37,007万人
状 都心各駅の利用者数(各鉄道会社計)
(平成15年度)
況
数値増減
71.9%
(平成20年度)
チ
観光入込客数(市街地+神戸港観光
群)
達成度評価
ともに
目指そう値
1,439万人
(平成21年)
5
80%
1,300万人
5
-
-
13%
-
-
-
-
38,648万人
(平成19年度)
39,153万人
(平成20年度)
3
3
1,052万人
(平成19年度)
1,008万人
(平成20年度)
4
4
15地区
(平成20年度)
15地区
(平成21年度)
5
5
* 「事業所・企業統計調査」(平成21年度から「経済センサス」に変更)は、2~3年に1回実施
※ 評価(数値増減)について
:前回評価時の値を上回っている。
:前回評価時の値とほぼ同等
:前回評価時の値を下回っている。
※ 評価(達成度評価)について
5:目標値達成 4:達成率75%以上 3:達成率50%以上
2:達成率25%以上 1:達成率25%未満
※ 達成度評価とは
2010年のともに目指そう値に対する策定値からの達成度
計算式:(現状値ー策定値)÷(ともに目指そう値ー策定値)
91
40,000万人
1,100万人
15地区
「神戸2010ビジョン」検証委員会の意見
【平成21年度の取り組みに対する内部評価について】
・ 目標達成状況に対する評価は概ね妥当である。
【最終年度における目標達成状況について】
・ 最終年度における目標達成見込は概ね妥当である。
【総仕上げに向けた助言】
① 施策の実施に際しては、部局間の横のつながりを保ち、より相乗効果が発揮されるようにしてい
くことが必要である。
② 魅力的な都心にしていくためには、商業・業務機能だけでなく、多様な都心の機能に着目する必
要があるのではないか。
【平成23年度以降も引き続き取り組むべき課題への意見】
① 2010ビジョンは、将来に向けた1つのステップであり、特に都心は、対外的に明確なアイデン
ティティを打ち出すとともに、市民が夢や誇りを感じられるようにするため、将来に向けて高い
目標を設定する必要がある。
② 「デザイン都市・神戸」については、各部局が様々な機会でPRしていく必要がある。
③ 自転車の活用など、徒歩を支援する交通機関は次期計画のテーマであり、行政が主導的な役割を
担っていく必要がある。
④ 次期基本計画に引き継ぐ際には、なぜ都心に力を入れるのかが問われるので、企業の進出数やコ
ンベンションの開催件数以外に、商業や雇用関係のデータを把握しておく必要がある。
⑤ 次期基本計画では、都心でガイドを実施している団体やパートナーシップ活動助成を活用してい
る商店街のように、都心の活性化や顔づくりを目的として活動している組織の数にもっと着目す
べきである。
92
用語解説(神戸 2010 ビジョン)
【あ行】
て、どの程度利用しやすいかを表すことが多い。
アート イン コンテナ国際展
神戸ビエンナーレ 2009 のメインコンペティシ
ョン。神戸のまちとつながりの深い国内外を回
遊する輸送用コンテナの内部を展示空間とし
て、アーティストの自由な発想で、コンテナと
いう限られた空間内に凝縮されたアートの力
と可能性を表現した作品を公募し、展示を行う。
1万人アンケート
アートプラットホーム
文化芸術に関する情報の集約やデータ整理を
行うとともに、文化芸術に関する相談を受けて、
情報を提供することで、市民が主体的に文化・
芸術事業へ参画する交流環境づくりを行って
いく事業のこと。
市民の意識や要望などを把握し、具体的な施策
等に反映していくため、市民1万人を対象とし
た意識調査。
イノベーション
これまでのモノ、仕組みなどに対して、全く新
しい技術や考え方を取り入れて新たな価値を
生み出し、社会的に大きな変化を起こすこと。
また、第3期科学技術基本計画では「科学的発
見や技術的発明を洞察力と融合して発展させ、
新たな社会的価値や経済的価値を生み出す革
新」と定義している。
インセンティブ
生産性向上のための奨励金や刺激、動機。本計
画では、投資を誘発し新たな賑わいを創出する
ための、行政による様々な奨励策を指す。
I C T ( 情 報 通 信 技 術 ) Information
&Communications Technology の略。
インターネットや携帯電話等の「情報通信技
術」を表す英語としては、IT と ICT があり、
ユビキタス社会に合致した表現であることか
ら国際的には ICT が広く定着している。
インターンシップ
学生・生徒が在学中に企業などで自らの専攻や
将来のキャリアに関連した就業体験を行うこ
と。
ICTガバナンス
プロセス等の可視化及び資産管理を通じて、
ICT 利用を組織的に統制することにより、シス
テムの調達・開発・運用の管理、システムの全
体最適化を図っていくこと。
インフィオラータこうべ
イタリア語で「花を敷きつめる」という意味で、
道路や広場に花びらで絵を描くイベント。イタ
リアのローマ・ジェンツァーノ市で 200 年以上
続く祭りで、神戸では、震災で傷ついた被災者
の心とまちの復興を願って、平成 9 年に始まり、
以来、三宮東、北野坂、元町など市内各地で毎
年開催されている。
アウトリーチ
英語で「手を伸ばす」という意味で、劇場、ホ
ール、美術館といった文化施設や芸術家・芸術
団体などが、普段芸術文化に触れる機会の少な
い市民に対して、その生活の場に出向いていっ
て働きかけを行うこと。文化施設の職員や芸術
家が、学校や地域などに出向いて行う出張授業、 インフォーマルサービス
公的機関などにより介護保険制度などの公的
出張コンサートなどをいう。
制度に基づいて行われる福祉サービスに対し
て、家族や友人、近隣、ボランティア等によっ
アクセシビリティ
て行われる自発的なサービス(援助活動)のこ
主に、情報やサービス、ソフトウェアなどが、
と。
どの程度広汎な人に利用可能であるか、特に高
齢者や障害者などのハンディを持つ人にとっ
93
ウェットラボ
実験や研究に適した給排水設備を持つ研究実
験スペース。
プリケーションソフトの機能を顧客の必要に
応じて提供する仕組み。
ウェブ、ウェブサイト(Web、Website)
ホームページのこと。ウェブは単独のページ、
ウェブサイトは各運営者によるウェブページ
の集まりを指す。
なお、本来ホームページとは、閲覧者のPCで
最初に指すよう設定したページや、各ウェブサ
イトの入口であるトップページを指す言葉で
あるが、日本においては、ウェブ、ウェブサイ
トと同義語で使用されることが多い。
AED(Automated External Defibrillators
の略:自動体外式除細動器)
呼吸や脈が停止した傷病者の心電図を自動解
析し、除細動(電気ショック)が必要な場合に
音声等の指示により除細動を実施する安全性
の高い機器。機器が操作要領を音声で案内する
ため、たまたま現場に居合わせた方でも使用が
可能。
SAM(Software Asset Management)
OS、アプリケーションプログラム等のソフト
ウェア資産のライフサイクル全般(計画、購買、
導入・展開、利用、廃棄)にわたってソフトウ
ェアの使用・保有状況などを管理する仕組み。
NPO(Non-Profit Organization の略)
一般には①組織性②民間性③利益の不配分④
自律性⑤自発性という特徴を持つ民間非営利
組織。平成 10 年 12 月、特定非営利活動を行う
団体への法人格付与等により、市民の社会貢献
活動の発展を目指す特定非営利活動促進法が
施行された。本計画では、法人格の有無に関ら
ず特定の社会的な課題に自主的に取り組む社
会貢献性のある団体をいう。
大型ごみの申告有料制度
45 リットルのゴミ袋に入らない大きさのごみ、
および単品で 5 ㎏を超える重さのごみについ
て、受付センターへ事前に申込みをして有料で
処理する制度で、平成 20 年 11 月より実施。
ASP (Application Service Provider の
略)
各種業務用ソフト等のアプリケーションソフ
トをインターネットを通じて顧客に提供する
事業者。
温室効果ガス
大気を構成する気体の中で、地表からの赤外線
を吸収し再放出する性質を持つ気体。京都議定
書では、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、
ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカー
ボン、六ふっ化硫黄の6物質が温室効果ガスと
して削減対象になっている。
エコツーリズム
自然環境や歴史文化を対象とし、それらを体験
し学ぶとともに、対象となる地域の自然環境や
歴史文化の保全に責任を持つ観光。
エコファミリー制度
土日祝日に大人が同伴する小学生以下 2 人ま
で、市バス・地下鉄の料金を無料にする制度。
環境負荷の高いマイカーから公共交通への利
用転換を促進する方策を検討する社会実験「エ
コモーション神戸」の結果、継続実施中。
SaaS (Software as a Service の略)
インターネット等のネットワークを通じて、ア
94
温室効果ガス削減のためのアクションプロ
グラム
「神戸市地球温暖化防止地域推進計画」(2000
年 3 月策定)に定める市域の温室効果ガス排出
量の目標(2010 年度に 1990 年度比 6%削減)を
着実に達成するための実行計画。2008 年度~
2010 年度の 3 年間で目標を達成するため、温
室効果ガスのうち、特に排出量の多い二酸化炭
素の削減に向けた具体的方策を示しており、市
民・事業者の自主的な取り組みを発展させ、市
家庭系ごみの指定袋制度
家庭系ごみについて、市が指定した区分ごとの
袋によってごみや資源を排出してもらう制度。
事業系一般廃棄物の有料指定袋制度と異なり
処理手数料を袋の販売価格に含まない単純指
定袋制度で、平成 20 年 11 月より実施。
民運動へとつなげていくことをねらいとして
いる。
【か行】
可処分所得
家計の収入から、税金や年金などの非消費支出
を差し引いた残額。実際に財やサービスの購入
(消費活動)に使用できる額。
家族が熱い一週間
平成 19 年度より、教育の原点である家庭教育
に焦点をあて、PTAを中心に地域団体、学校、
事業者、行政、マスコミ等の協働で家族を見つ
め直すキャンペーン「家族が熱い一週間」を行
っている。8 月の第 1 週を中心とした夏休み期
間と、11 月の国の「家族の週間」を重点期間
として設定するとともに、年間を通じて家族が
家庭の役割について見つめなおす運動として
展開する。
学校支援地域本部
地域全体で学校教育を支援する体制づくりを
目指し、文部科学省が平成 20 年度より全国で
展開している事業。神戸市では 6 中学校区の小
中学校 12 校でモデル実施を進めている。地
域・PTA・学校が連携して、地域コーディネ
ーターの配置などの支援体制を整え、学習や学
校行事、部活動、環境整備、安全パトロール等
の学校支援ボランティアの活動を推進する。
家庭版エコマニュアル、事業者向けエコマニ
ュアル
「温室効果ガス削減のためのアクションプロ
グラム」に定める家庭部門及び業務部門の二酸
化炭素の削減対策である市民や事業者の自主
的かつ積極的な取り組みを実施していくため、
省エネ行動の目安となる取組目標や効果的な
取組メニューを提示したもの。
GAP(Good Agricultural Practice の略:
農業環境規範)
農業生産現場において、食品の安全確保などへ
向けた適切な農業生産を実施するための管理
のポイントを整理し、それを実践・記録する取
組。
QRコード
バーコードが一方向だけに情報を持っている
のに対し、縦、横二方向に情報を持つことで、
記録できる情報量を飛躍的に増加させた 2 次
元コードの一つ。カメラ付き携帯電話等で情報
を読み取ることができる。
学校評価
各学校が学校としての目標や取組等の達成状
況を明らかにして、学校自らが点検評価を行い、
その結果をもとに学校運営の改善を図ること。
保護者、地域住民からの理解と参画を得て、信
頼される開かれた学校づくりの推進をめざす。
神戸市では「神戸市学校評価実践事例集」を配
布するなどして、評価活動の促進を図り、各学
校園においては年度末に、学校ホームページや
学校だより等で、公表している。
95
教育・地域連携センター
家庭・地域・学校の連携等による学校支援を進
めることを目的として、21 年度に設置した。
平成 22 年 11 月に長田区に開所予定の「神戸市
立地域人材センター」(旧二葉小学校)に移転
する。引き続き、教員OB・大学生を中心とし
た人材バンクを充実し、学校のニーズに応じた
人材の発掘・登録・育成や、関係機関との連携
を図ることにより、学校に人材紹介等を行う。
クラウドコンピューティング
データ等がネットワーク上にあるサーバー群
(クラウド(雲))にあり、利用者は自分のコ
ンピュータでデータを加工・保存することなく、
必要な時に必要な機能だけ利用することがで
きる新しいコンピュータ・ネットワークの利用
形態。
クラスター
クラスターとは、本来ぶどうの房を意味するが、
転じて群や集団を意味する言葉として用いら
れている。神戸医療産業都市構想の推進により、
ポートアイランドにおいて、先端医療技術の研
究開発拠点が整備され、産学官の連携により、
医療関連産業の集積が進捗している。
グリーンニューディール基金
政府の「経済危機対策」を踏まえ、環境省関係
の平成 21 年度補正予算案として、地域におけ
る地球温暖化対策等の取組を支援するための
仕組みとして創設された基金。
権利擁護相談
判断能力に不安があるため、適切な福祉サービ
スを受けることのできない人のために、福祉サ
ービスの利用手続きや日常的な金銭管理の援
助や地域で自立した生活が送れるよう支援す
るもの。
高病原性鳥インフルエンザ
家畜伝染病予防法で定められているA型イン
フルエンザの一種で、鶏、あひる、うずら、七
面鳥がウイルスに感染した病気をいう。強毒型
の感染の場合、鶏の大半が死亡するという大き
な被害がでる。鳥から人への感染が確認されて
おり、人から人へ感染した場合の爆発的な大流
行が危惧されている。
行動計画
(一般事業主行動計画)
それぞれの企業等が、その実情に応じ、労働者
のニーズを踏まえ、労働者の仕事と子育ての両
立を図るための雇用環境の整備や、子育てをし
ていない労働者をも含めた多様な労働条件の
整備などに取り組むに当たって、計画期間・目
標・その達成のための対策と実施時期を定める
もの。
「次世代育成支援対策推進法」において、301
人以上の労働者を雇用する事業主は策定及び、
策定した旨の届出が義務付けられている。
グループホーム
(障害者自立支援法によるもの)
夜間や休日、共同生活を行いながら、相談や日
常生活の援助と住居の提供を行うサービス。障
害者自立支援法による訓練等給付の一つ。
ケアホーム
夜間や休日、共同生活を行いながら、入浴、排
せつ、食事の介護等のサービスと住居を提供す
るサービス。障害者自立支援法による介護給付
の一つ。
ゲストティーチャー制度
地域の方々に講師などで授業等の小中学校の
教育活動を支援していただく制度。
神戸ARTサポーターズ
神戸ビエンナーレ 2007 を機に発足したボラン
ティア組織。神戸のアート活動をサポートする
とともに、独自企画のイベントやアートを活か
したまちづくりに継続的に取り組んでいる。
KEMS (Kobe Environmental Management
System の略)
環境マネジメントシステムの国際規格として
は ISO14001 が代表だが、より具体的で、費用
や労力の面で取り組みやすくした神戸版のシ
ステム。
こうべNPOデータマップ
神戸市内の NPO 団体と神戸市との協働により
開設した NPO 情報ポータルサイトで NPO が運営。
神戸市内を活動拠点とする、NPO・ボランティ
ア団体の情報が活動の分野・対象・エリアやキ
ーワードなどにより、検索することができる。
神戸学検定
神戸に関する自然環境、歴史・史跡、産業・経
96
済、くらし・文化、観光・グルメなど全般につ
いてのご当地検定試験(平成 19 年 10 月に第 1
回開催)
ジェクトにより開発された『建築物総合環境性
能評価システム(Comprehensive Assessment
System for Building Environmental Efficie
ncy)』の略語。
市内で大規模な建築物を建てる際に、その建築
主が CASBEE 神戸の指針に基づいた環境に対す
る配慮を自己評価し採点する。採点結果、計画
概要が市に届出され、市はそれをホームページ
等で公表。
KOBE・ケイなび
市街地、港、北野、有馬地区において、案内板
や観光ガイドマップに記載した 2 次元コード
を携帯電話のカメラ機能を利用して読み込む
ことで、観光施設等の詳細情報や地図情報、目
的地までのルート案内を見ることができるシ
ステム。
神戸市危機管理センター
市民の生命・身体・財産を守るため、危機管理
室、消防局管制室など危機管理の中枢機能を集
約するとともに、新危機管理情報システムや消
防新管制システムなどを備えた堅固で電源対
応等に優れたセンター。平成 24 年度春の運用
開始を目指している。
神戸健康科学(ライフサイエンス)振興ビジ
ョン
神戸医療産業都市構想の取り組みを検証する
とともに、健康科学(ライフサイエンス)の振
興(クラスター形成の加速)による神戸経済の
活性化を図る将来計画。平成 19 年 3 月に、神
戸健康科学(ライフサイエンス)振興会議(座
長;先端医療振興財団 井村裕夫理事長)から
神戸市長に提出された。
神戸市国民保護計画
緊急対処保護措置(大規模テロ)、武力攻撃事
態等における国民の保護のための措置に関す
る市の責務を明らかにするとともに、基本的な
考え方、目的、対象等を定めた計画(平成 19
年 4 月制定)。
神戸コンシューマー・スクール
安全・安心なくらしを確保するために、多様
化・複雑化する消費者問題に対応でき、市民へ
の消費者教育や啓発、現場の相談員への指導を
行う専門家の養成を目的として設立されたス
クール(学長:神戸市長)。受講生は、法律、
経営・経済、環境、食料、心理学などの消費生
活に関連する幅広い分野について学習する。受
講要件:消費生活専門相談員、消費生活アドバ
イザー、消費生活コンサルタントの資格を取得
している者、または、消費生活相談員、企業の
お客様相談窓口で概ね 3 年の実務経験がある
者。
神戸スタンダード
充実した教育課程を編成するために、神戸市が
独自に策定する小中学校の学習指導標準で、具
体的な指導内容を示し、
「神戸市教育課程基準」、
児童生徒のつまずきを防ぎ、理解の定着を図る
ための「神戸ミニマム」
、児童生徒が学習によ
り習得した知識・技能を、幅広く学習や生活の
場面で活用するための「活用力アップ授業実践
事例集」から成っている。各学校は、神戸スタ
ンダードをもとに、児童生徒や地域の実態に即
した教育活動を実施する。
神戸G-Pネットワーク
神戸市内において一般医療機関(かかりつけ
医)を受診したうつ病疑いの患者に対し、適切
かつ確実な精神科専門医療機関受療の機会を
与えるための仕組み。かかりつけ医からの受電
に基づき、当該患者の状態を把握した上で精神
科専門医の受診応諾を確認し、当該かかりつけ
医へ返答する。
KOBEドリームキャッチプロジェクト
神戸を拠点に起業・新分野進出(第二創業)、
新事業に挑戦するベンチャー・中小企業や起業
家を総合的にサポートするため、平成 17 年度
(2005 年度)から(財)神戸市産業振興財団にお
いてスタートしたプロジェクト。ビジネスプラ
神戸市建築物総合環境評価制度
(CASBEE 神戸)
CASBEE(キャスビー)は、産・官・学共同プロ
97
平成 15 年 5 月、UDの輪を一層広げ、神戸を
世界一ユニバーサルなまちにしていくために
摂南大学教授の田中直人氏ら市民がよびかけ、
市民等の参画により結成した。市と連携して、
ユニバーサルプロジェクトに取り組んでいる。
ンを認定し、国や県などを含めた各種支援施策
を機関横断的に提供する。
こうべバイオガス
下水汚泥の処理過程で発生する消化ガスから
二酸化炭素等の不純物を除去し、メタン濃度を
約 98%まで高めたバイオ天然ガス。天然ガス
自動車の燃料等としての活用が可能。こうべバ
イオガスは一般募集により決定した愛称。ガス
性状は都市ガスと遜色なく、二酸化炭素増加に
カウントされないバイオマスエネルギー。
神戸ロマンチックフェア
「神戸ルミナリエ」、ハーバーランドのイルミ
ネーション、中国堤灯や夜光龍の南京町、北野
異人館街や旧居留地のライトアップ、六甲山氷
の祭典など、市内各所で光の都・神戸がロマン
チックに輝くイベントを開催。(毎年 12 月 1
日から 3 月 31 日まで)
神戸ビエンナーレ
神戸に芸術文化の力を結集して内外に発信す
る機会を設け、神戸の芸術文化の更なる振興を
図るとともに、まちのにぎわい、活性化につな
げる試みとして、2 年に 1 度開催する芸術文化
の祭典。「神戸ビエンナーレ 2007」は、2007
年 10 月 6 日~11 月 25 日、神戸メリケンパー
クで開催。
「神戸ビエンナーレ 2009」は、2009
年 10 月 3 日~11 月 23 日、神戸メリケンパー
ク会場、兵庫県立美術館会場、神戸港会場、三
宮・元町商店街他中心市街地各所で開催。
コホート
共通した因子をもち観察対象となる集団のこ
とで、疫学調査において用いられる集団を示す。
コホート研究とは、特定の因子に暴露した集団
と暴露していない集団について、研究対象とな
る疾患への罹患率を調査し比較することで因
子と疾患の関連性を検討する研究手法。
コンテンツ
インターネット・DVD・デジタル放送などのデ
ジタル-メディアによって提供可能な文字・画
像・動画・音声・ゲーム等の情報全般、又はそ
の情報内容のこと。
神戸フィルムオフィス
映像制作プロジェクトを神戸に誘致すること
を目的として、平成 12 年 9 月に開設された団
体。関係機関の協力を得ながら、誘致活動のほ
か、撮影時の道路使用許可に係る手続き等のワ
ンストップサービスを提供。
コンテンポラリーダンス
1980 年代から広く使われるようになった語で、
一般的に、バレエ、フラメンコ、ジャズダンス
といった既成のジャンルに属さない非古典
的・前衛的なダンスを指す。
神戸プラージュ
「プラージュ」はフランス語で「砂浜」を意味
する。神戸港の新港第1突堤に約 3,000 平方
メートルの人工の砂浜を整備し、マリンスポー
ツ等を中心としたイベントにより賑わいをつ
くりだすとともに、都心部で市民や観光客がく
つろげるような憩いの場を創出する。開催期間
は、2010 年 7 月 17 日(土)~8 月 31 日(火)。
コンペティション
競争、競技、コンクール。
【さ行】
サポートブック
子どもに関するさまざまな情報(特徴・接し
方・支援方法など)を保護者が手作りでまとめ
ていく冊子であり、保護者が「書き(記録)」、
支援者に「伝え(伝達)
」、子どもの情報を「た
める(保存)
」機能を有する。
こうべUD広場
正式名はこうべユニバーサルデザイン推進会
議。
98
G8環境大臣会合
主要 8 カ国首脳会議(G8)の開催に先立ち、
各国の環境大臣が議論を行う会合。平成 20 年
5 月には神戸で開催され、G8と欧州委員会の
環境問題担当閣僚等が一同に会し、「神戸イニ
シアティブ」「神戸3R 行動計画」「神戸・生
物多様性のための行動呼びかけ」について支
持・合意がなされた。
次世代のこどもを育む市民会議
次代を担う子どもたちを健やかに育むための
基本となる考え方を検討するとともに、その推
進方策等についてもあわせて検討していくた
め、平成 22 年 6 月に設置された、学識経験者・
教育関係者・福祉関係者・市民・企業関係者等
からなる市民会議。
市民後見人
裁判所が選任した専門職以外の第三者後見人
のこと。成年後見制度において、家庭裁判所に
よって選任される第三者後見人として弁護士
などの専門職が後見業務を受任している場合
が多く、申し立て件数の急増に伴い、受任者が
不足している。そこで、市民が後見人として家
庭裁判所に認められるよう、必要な知識を身に
つける講座等を実施し、第三者後見人として確
保しようという取り組みが始まっている。
CMS(コンテンツ・マネジメント・システ
ム)
インターネット上のホームページの更新を迅
速、簡単な作業で行えるシステムのことで、即
時に情報発信を可能とする。
データベースでコンテンツ(文章や写真など)
を管理することにより、従来の更新作業にかか
る時間や手間を大幅に削減できる。
CTリニアック
CT(人体に様々な角度からエックス線をあて、
水平方向に輪切りにした断面画像をコンピュ
ータ上に展開する診断装置)とリニアック(放
射線を体の外から体内の病巣部に照射して治
療する装置)とを一体化した装置。CTで患部
の位置を確認しながら、リニアックによる高精
度な放射線照射を行うことで、できるだけ正常
細胞に影響を与えずに放射線治療を行うこと
ができる。
シームレス
複数のサービスを統合して利用できること。
次世代スーパーコンピュータ
世界最先端・最高性能の計算機システムの開
発・整備を目指した国家プロジェクト。2007
年 3 月神戸ポートアイランド第 2 期に立地が決
定し、2012 年の完成を目指して、(独)理化学
研究所によって整備が進められている。稼働後
は、国内外の産学官の研究者等に幅広く開かれ
た共用施設として、ライフサイエンス、ナノテ
クノロジー、ものづくり、地球環境・防災、航
空・宇宙など幅広い分野での利活用による技術
革新、産業の発展が期待されている。
市民福祉大学
福祉に関心を持っている方、ボランティア活動、
地域福祉活動を行っている方や社会福祉施設
等で働く方々を対象に、福祉への関心や仕事の
専門性を高めるため、多様な研修・講座を開催
するもので、神戸市社会福祉協議会が運営して
いる。
小規模作業所
障害者の就労、日中活動、社会参加の場として
障害者やその親などの関係者により、共同で運
営されている作業所。法定外の施設であり、市
町村が独自に指定している。共同作業所、福祉
作業所、小規模通所訓練事業所などと同義語。
食育
様々な経験を通じて食に関する知識と食を選
択する力を習得し、健全な食生活を実践するこ
とができる人間を育てること。
情報格差(デジタル・ディバイド)
パソコンやインターネットなどの情報技術を
使いこなせる者と使いこなせない者の間に生
じる格差。
99
代の送配電網。
情報セキュリティ
パソコンや記録媒体、ソフトウェアなどの情報
資産の機密性、完全性及び可用性を維持するこ
と。
生活機能評価
運動や栄養・口腔機能など日常生活で必要とな
る機能(生活機能)の低下を早期に発見するた
め、65 歳以上の高齢者(要支援・要介護認定
を受けている方を除く)を対象として、介護保
険法にもとづき実施するもので、基本チェック
リスト、問診や各種検査等を行う。
情報リテラシー
インターネット等の情報通信やパソコン等の
情報通信機器を利用して、情報やデータを活用
するための能力・知識のこと。インターネット
上での情報収集・発信能力やマナー、機器やソ
フトの活用能力、各種情報の分析・整理能力等
のこと。
シルバーカレッジ
「再び学んで他のために」の建学の精神のもと、
豊富な経験を活かし、こころ豊かな共生社会の
創造のために社会に貢献することを目指して
学び合う生涯学習の場で、神戸市北区のしあわ
せの村内にある。
新型インフルエンザ
新たに人から人に伝染する能力を有すること
となったウイルスを病原体とするインフルエ
ンザであって、一般に国民が免疫を獲得してい
ないことから、全国的かつ急速なまん延により
国民の生命および健康に重大な影響を与える
おそれがあると認められるもの。
成年後見制度
民法に規定された判断能力の不十分な認知症
高齢者や知的障害、精神障害のある成年者の財
産管理や身上監護を支援する制度。
生物多様性
森や草地、水田、河川、海辺などの多様な自然
の中で、数多くの種類の生きものが互いにつな
がりを持ちながら生息・生育することをいい、
「種の多様性」「生態系の多様性」「遺伝子の
多様性」という 3 つの多様性が密接につながっ
て成り立っている。
ソーシャルビジネス
子育て、介護、環境対策、地域活性化等の社会
的課題をビジネスの手法を活用して解決して
いく持続的な事業活動。
スクールガード・スクールガードリーダー
児童生徒が犯罪に巻き込まれないよう、学校内
や周辺地域(通学路など)で子どもたちを見守
る学校安全ボランティアを「スクールガード」
と呼んでいる。
また、子どもの安全確保に向けた体制整備を進
めるために、防犯の専門家や警察OBを「スクー
ルガードリーダー」として委嘱し、学校におけ
創造的産業従事者
英国政府が、平成 10 年に定義した 13 の創造的
産業群(①広告、②建築、③美術・骨董品市場、
④工芸、⑤デザイン、⑥デザイナーズ・ファッ
ション、⑦映画・ビデオ、⑧TV・コンピュータ
ーゲームソフト、⑨音楽、⑩舞台芸術、⑪出版、
⑫コンピューターソフトウェア・コンピュータ
ーサービス、⑬テレビ・ラジオ)の従事者数。
神戸 2010 ビジョンでは、同定義を参考に、日
本の統計分類により従事者数を算出している。
る警備上のポイント等の点検評価、スクールガ
【た行】
ードを対象とした研修会等の巡回指導を行っ
ている。
だれでもトイレ
車いす使用の方だけでなく、様々な方へ配慮さ
れた「多目的・多機能トイレ」。平成 15 年度よ
スマートグリッド
ICT を利活用して電力の需給を制御する次世
100
り、三宮・元町・北野・ハーバーランドなどの
都心エリアのモデル地区を中心に「こうべ・だ
れでもトイレ」の整備を進めている。
い商品の開発を支援することで、神戸のものづ
くり産業の活性化をめざすプロジェクト。「デ
ザイン都市・神戸」の取り組みの一環として、
平成 20 年度より開始。
地域活動統合助成金
地域の自立を促すため、これまでの使途を限定
した個別の補助金をまとめ、地域のニーズに対
して機動的で柔軟な運用ができるようにする
制度。
テレワーク
パソコン等を利用して、事業所などから離れた
場所で仕事をする労働形態。
地域担当制
地域の窓口となる職員を定め、市や区のさまざ
まな事業のパイプ役となるとともに、地域主体
のまちづくりをサポートし、地域力の強化を促
進する制度。
特定健診制度
平成 20 年 4 月から、医療制度改革の一環とし
て医療保険者に義務付けられた 40 歳から 74
歳までの被保険者・被扶養者が対象となるメタ
ボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の概
念を導入した新しい健診制度
朝食メニューコンテスト
朝食の重要性や家族で食べる楽しさを学んで
もらおうと小学生を対象に「家族に作ってあげ
たい朝食」「家族といっしょに食べたい朝食」
をテーマに作品を募集、優秀賞の選定を行って
いる。
特例子会社
事業者が障害者雇用に特別の配慮をした子会
社を設立し、一定の要件を満たし厚生労働大臣
の認定を受けた場合、子会社に雇用される障害
者を親会社に雇用されているとみなし、障害者
雇用率に計上できる子会社。
TEU(Twenty-feet Equivalent Unit の略)
コンテナ貨物の単位のひとつ。20 フィート・
コンテナに換算したときの個数。
(1TEU:20 フィ
ートコンテナ 1 個分。20 フィートは約 6m)
都市イノベーション・システム構築
知識・知恵が集中し、交流・融合することによ
って新たな創造価値が生まれることを目指し
た先進的な事業のこと。
DV
ド メ ス テ ィ ッ ク ・ バ イ オ レ ン ス ( Domestic
Veiolence)の略。配偶者・内縁関係や両親・
子・兄弟・親戚などの家族から受ける家庭内暴
力。
【な行】
内航フィーダー
国際コンテナ航路を有する主要港と国内各地
を結ぶ輸出入コンテナの国内海上輸送。
デザイン都市・神戸
住み続けたくなるまち、訪れたくなるまち、そ
して、持続的に発展するまちをめざして、すべ
ての市民が、神戸の持つ強みを活かし、デザイ
ンによって新たな魅力を‶協働と参画″で創造
する都市戦略。
NIRO
財団法人新産業創造研究機構。震災復興を目的
に官民の出資により平成 9 年に設立。地域の活
性化と産業発展のため、国内外の大学や企業、
研究機関等との連携を図りながら、技術相談、
技術移転、研究コーディネート、事業化支援な
どの各種事業を実施。
デザイン・ルネッサンス神戸PROJECT
神戸のものづくり企業とデザイナーとの出会
いの場を提供し、国内や世界市場に向けた新し
101
日本三大夜景
函館の函館山、神戸の摩耶山(掬星台)、長崎
の稲佐山の夜景。
う意味。カウンセラーとカウンセリングを受け
る人が、対等な立場で、同じ仲間として行われ
るカウンセリングのこと。
日本麻酔科学会
麻酔科学の研究や麻酔科医の育成、他の医療と
の融合、国際的活動を通じて、安全で快適な医
療を提供することを目的に 1954 年に設立。
PET
陽電子検出を利用した人体の断層撮影装置。正
常組織の 3~8 倍のブドウ糖を摂取するがん細
胞の性質を利用し、ブドウ糖によく似た物質に
放射線物質を付着させて体内に入れ、PETで
撮影することにより、がんの早期発見や、転
移・進行状態の評価などに威力を発揮する。
ネットいじめ
インターネット上の非公式サイトや他人にな
りすました携帯電話のメールを利用して、特定
の子どもに対する誹謗中傷を不特定多数に発
信するなどの新しい形のいじめ。
東灘アートマンス
毎年 10 月から 11 月までの約1か月間に、東灘
区で開催される芸術月間。期間中は区内の7つ
の美術館・記念館においてスタンプラリーが開
催されるほか、コンサートやフォトコンテスト
などのイベントが行なわれる。
ノーマライゼーション
障害を持つ人への対応が、従来保護主義や隔離
主義など、必ずしも一人の人間として十分に人
間性を尊重されたのではない状態に陥りがち
であったことを反省し、国際障害者年のテーマ
「完全参加と平等」実現に向けて、社会参加の
機会を拡大し、平等の権利と義務を担って生き
ようとする生活原理。
ピクトグラム
「絵文字」などと呼ばれ、何らかの情報や注意
を示すために表示される視覚記号(サイン)の
ひとつ。
・ピクトグラムの例
【は行】
パートナーシップ協定
「神戸市民による地域活動の推進に関する条
例」第 9 条に基づく協定。地域の課題解決のた
め、地域と市がお互いの役割分担を定め、その
課題解決への取り組みを通じて、自律的な地域
運営ができるよう、地域内のさまざまな組織の
ゆるやかな連携によるまちづくりを目指し、地
域力の向上を図るもの。
(エレベーター)
(トイレ)
(病院)
ビジネスマッチング
商品やサービス、技術力、人材などを必要とし
ている事業者に対し、それを提供する事業者を
紹介すること。銀行が融資先などに取引先を紹
介するほか、公的機関による中小企業・起業支
援として行われるものなど、多岐にわたってい
る。
発達障害ネットワーク推進室
平成 19 年 10 月に設置した発達障害支援事業推
進の中核的な拠点であり、主に、発達障害に関
わる機関・団体とのネットワーク作りや人材育
成・啓発等を担う組織。
PⅰTaPa(カード)
神戸市域に本拠を置く交通事業者と市で構成
する KOBE カード協議会で発行する、多機能 IC
カードの名称。交通乗車機能に加え、クレジッ
トカード機能、優待サービス機能を持っている。
ピアカウンセリング
ピア(peer)とは「仲間」「対等な立場」とい
102
ピンクリボン運動
「ピンクリボン」は乳がんの早期発見・早期診
断・早期治療の大切さを伝えるシンボルマーク
であり、このマークを挙げてのシンポジウムや
メッセージウォークなどの啓発活動
提供による介護予防効果の科学性検証を実施
した。
歩行者動線の3層ネットワーク
三宮駅周辺において、交通機関の乗り換え利便
性の向上、都心部における歩行者の快適な回遊
を目的とする地下・地上・デッキレベルの 3
層にわたる歩行者動線の構想。新たな公共空間
の整備や民間ビルの再開発等にあわせて順次、
地下通路や歩行者デッキの整備を推進してい
る。
フィルタリング
有害ホームページへのアクセス制限のため、イ
ンターネット上のホームページなどを一定の
基準で評価判別し、選択的に排除すること。
ブレークスルー
本質的な課題を打ち破る革新的な解決策のこ
と。経営あるいは技術面での画期的な革新の意
味で使われる。
母子保健情報システム
平成 16 年 4 月から導入。妊娠届出~出産・出
生~3 歳児健診の情報をデータベース化して
おり、神戸市の母子保健の現状を的確に捉える
とともに、市民サービスの充実に役立てている。
ふれあい給食
65 歳以上のひとりぐらし、またはこれに準じ
る高齢者世帯を対象に、地域福祉センターや地
域の集会所などで地域の福祉活動団体や地域
のボランティアグループが行う給食サービス
活動。
【ま行】
MICE(マイス)
企業などの会議(Meeting)、企業等の行う報
奨・研修旅行(インセンティブ旅行,Incentive
ふれあいのまちづくり協議会
おおむね小学校区毎に設置している地域福祉
センターを管理運営し、地域福祉活動を自主的
に推進する地域住民組織。
Travel)、国際機関・団体、学会等が行う国
際会議(Convention)、イベント、展示会・見
本市(Event/Exhibition)の頭文字をとったも
ので、多くの集客交流が見込まれるビジネスイ
プロダクトデザイナー
家電製品や業務用機器、車や飛行機など工業製
品等のデザインを行う専門家。
ベントなどの総称をいう。
まちづくり協議会
道路わきや街区内の空き地などわずかの土地
を利用した小さな公園。
地区の住み良いまちづくりを推進することを
目的として、地区内の居住者、事業者及び土地
又は建物の所有者が設置した協議会で、行政と
協働でまちづくりを行うための組織。
歩行支援プログラム
厚生労働省の補助金を受け、神戸大学、神戸市
看護大学と共同で平成 18、19 年度に実施した
実証事業。須磨区友が丘地区住民約 100 名、N
PO法人輝グループの生きがいデイサービス
利用者約 300 名を対象に、足に適合した靴の提
供や健康体操・歩行指導といったプログラムの
まち美化エンジェル
学生を中心とした若者による美化ボランティ
ア団体。平成15年5月の神戸まつりでの活動を
皮切りに、毎月、三宮センター街等の人通りの
多い場所で、ポイ捨てごみの収集、啓発グッズ
の配布等を行っており、多くの人々に「まちを
ポケットパーク
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美しくしたい」という気持ちを広げている。
デザインのほか、文学、映画、音楽、クラフト
&フォークアート、メディアアート、食文化の
7 つのテーマが設定されている。
モーダルシフト
国内貨物輸送をトラックから船舶や鉄道に転
換すること。
容器包装プラスチックの分別収集
商品を入れたり包んだりしているプラスチッ
ク製の容器包装を分別収集する制度。平成 20
年 11 月より北区で先行実施し、平成 23 年度か
ら全市実施を予定。収集したプラスチックはパ
レット、杭、車止めなどのプラスチック製品や
鉄をつくる際の材料などにリサイクルする。
【や行】
夜景ナビゲーター
日本夜景遺産事務局の認定資格。魅力ある観光
資源としての夜景についての基本的な知識と
その素晴らしさを的確に伝えるための方法な
ど夜景の専門知識を持つ人。
【わ行】
友愛訪問
65 歳以上のひとりぐらし、またはこれに準じ
る高齢者世帯を対象に、週1回程度ボランティ
アが訪問して、安否確認、話し相手となるなど
の活動。
ワークショップ
参加者が主体的に議論・活動しながら問題意識
を高め、多くの人々と積極的に交流することに
よって、自分自身のなかに新しい「気づき」を
得、さらなる実践につなげていくための場。
UD出前授業
ユニバーサルデザインの普及啓発のため、学
校・地域等へ行政やUDサポーターなど市民の
方が講師として出向いて行う授業。
ワーク・ライフ・バランス
国民一人ひとりがやりがいや充実感を持ちな
がら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家
庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高
年期といった人生の各段階に応じて多様な生
き方が選択・実現できることを指す。
有料指定袋制度
事業系一般廃棄物について、処理手数料を袋の
販売価格に含んだ指定袋で排出してもらう制
度。平成 19 年 4 月より実施。
ユニバーサルサービス
一人ひとりを大切にするユニバーサルデザイ
ンの視点で、あらゆる方の立場に立って公平な
情報とサービスを提供すること。
例えば、あいさつをする、困っている人がいた
ら声をかける、ゆっくり話し、最後まで聞く、
など。
ユネスコ・創造都市ネットワーク
ユネスコ(国連教育科学文化機関)が、文化的
な産業の強化により都市の活性化をめざす世
界の“創造都市”の連携による相互交流を援助
するため、2004 年に創設したネットワーク。
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ワンストップサービス
一度の手続きで、必要とする関連作業をすべて
完了させられるように設計されたサービス。特
に企業誘致においては、進出の際に必要な情報
提供や、各種許認可等の手続支援を 1 か所で行
うところ。
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