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IMT-2000サービス特集(3) ―モバイル新世紀の先駆け

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IMT-2000サービス特集(3) ―モバイル新世紀の先駆け
NTT DoCoMo テクニカルジャーナル Vol. 9 No.4
IMT − 2000 サービス特集
(3)
−モバイル新世紀の先駆け「FOMA」誕生−
次世代 i モードサービス
FOMA では,IMT − 2000 ネットワークサービスの特徴で
ある大容量,高速通信を活かした,従来の i モードより魅力
的なマルチメディアコンテンツを提供する.
本稿では,FOMA における i モードサービスについて紹介
する.
やまぐち
と も お
山口 朋郎
1. まえがき
FOMA(Freedom Of Mobile multimedia Access)サービス
における i モード(以下,FOMA i モード)では,ディジタ
ル自動車電話方式(PDC :Personal Digital Cellular)におけ
る i モード(以下,i モード)の利便性を継承するとともに,
第 3 世代移動通信(IMT − 2000 : International Mobile
Telecommunications−2000)の大容量・高速通信の特徴を活
かし,iモードより魅力的なサービスを提供する.
そのサービスとしては,FOMA i モードメール,サイト
接続をはじめ,スポーツのハイライトシーンや映画のプロ
モーションビデオなど,10 ∼ 15 秒程度の動画配信を行う i
モーションサービスなどの新たな付加価値を追加し,より
魅力的なマルチメディアコンテンツを提供する.
以下に,FOMA i モードのサービスについて解説する.
2. FOMA i モードの主な特徴
FOMA i モードサービスの特徴を以下に示す.
∏ 高速パケット通信への対応
FOMA i モードでは,i モードの簡易な操作性を保ちなが
ら,上り最大 64kbit/s(現状の約 7 倍)
,下り最大 384kbit/s
(現状の 40 倍)の高速パケット通信を利用し,より一層デ
ータ量の大きなコンテンツ配信が可能である.
π 端末機能の拡張
FOMA i モードの端末機能として,i モード端末機能の
*
HTML(HyperText Markup Language)
,Mail,Java ,SSL
(Secure Sockets Layer)
,着メロなどの機能拡張をするとと
もに,新たにi モーション機能を追加した(表 1)
.
∫ マルチアクセス
FOMA では,マルチアクセス機能により音声通話とパケ
* Java :米 Sun Microsystems 社が提唱している,ネットワークに特化したオブジェクト指
向型開発環境である.
11
表1
FOMA 端末の機能仕様概要
サイト読込量
サイト接続
i アプリ
i モードメール
メッセージ
i モーション
閲覧可能ファイル
PDC
FOMA
10kB/ページ
100kB/ページ
HTML静止画(GIF)
メロディ(MFi)
HTML静止画(GIF,JPEG)
メロディ(SMF,MFi)
プログラムサイズ
10kB
30kB
送受信可能文字数
全角250文字
全角5,000文字
添付可能ファイル
メロディ(MFi)
静止画(GIF,JPEG)
メロディ(SMF,MFi)
メッセージR
全角250文字
全角5,000文字
メッセージF
全角250文字
全角5,000文字
動画サイズ
−
100kB
符号化方式
−
MPEG−4
FOMA:Freedom Of Mobile multimedia Access
GIF:Graphic Interchange Format
HTML:HyperText Markup Language
JPEG:Joint Photographic Experts Group
MFi:Melody Format for i−mode(iモード対応メロディフォーマット)
MPEG:Moving Picture Experts Group
PDC:Personal Digital Cellular(ディジタル自動車電話方式)
SMF:Standard MIDI File
パシャッ
ット通信を同時に利用することが可能で
・本文
・JPEG画像
・♪MIDIファイル
あるため,音声通話をしながら FOMA i
モード(Web アクセスなど)を利用する
ことが可能である.
ジングルベル!!
3. FOMA i モードメール
FOMA i モードメールは,i モードメー
ルと同様に絵文字を利用したメールの送
iモード
メールサーバ
受信やワンタッチ操作で簡単に次のアク
Merry Christmas!!
ションを行うことができる,Phone to,
Web to,Mail to 機能および音楽ファイル
メール本文にJPEG画像+
MIDIファイルを添付
の添付などの機能を継承している.
FOMA i モードメールでは,より多彩
JPEG:Joint Photographic Experts Group
MIDI:Musical Instrument Data Interface
なマルチメディアメッセージの送受信が
図1
グリーティングカードのサービスイメージ図
できるように,送受信文字数を最大
5,000 文字に拡張し,テキストベースのコミュニケーション
12
ドレスに変更することができる(図 2)
.
のみならず,例えばグリーティングカードのようにメール
また,FOMA i モードメールでは,ユーザのさらなるサ
に画像(GIF(Graphic Interchange Format)
,JPEG(Joint
ービスの利便性向上を図るために,新たに以下のサービス
Photographic Experts Group))や,音楽ファイル(SMF
を提供する.
(Standard MIDI File))を添付することが可能である
∏ メール再送機能
(図 1).
FOMA 端末が圏外,電源断および端末内に未読または保
また,メールアドレスは,i モードメールで利用していた
護メールを最大保存件数分保存しているときなどで,メー
メールアドレスを変更することなく,FOMA 端末同士での i
ルを受信することができない場合,一定時間をおいて最大
モードメールやインターネットのメールアドレスでメール
3回まで再送する.
の送受信が可能である.新規に FOMA i モードを契約した
π メール選択受信
場合には,初期設定でランダムな英数字がメールアドレス
i モードセンタに保管されているメールの題名などを確認
として設定され,@マークより前の部分を好きなメールア
し,受信するメールを選択したり,受信前に iモードセンタ
NTT DoCoMo テクニカルジャーナル Vol. 9 No.4
でメールを削除することができる(図 3)
.
PDCサービス
FOMAサービス
[email protected]
[email protected]
∫ メールサイズ制限
メール本文を,指定したメールサイズ(全角 1,000 文字,
2,000 文字,3,000 文字,4,000 文字,5,000 文字)で受信する
︻
契
約
変
更
時
︼
ことができる.
ª 受信添付ファイル選択
受信する添付ファイルの種類を「なし」
,
「静止画ファイ
ル」
,
「メロディファイル」
,
「全ファイル」から選択してメ
ールを受信することができる.
【初期設定アドレス】
abc123∼[email protected]
︻
F
O
M
A
新
規
契
約
時
︼
【任意アドレスに変更】
4. サイト接続
サイト接続においては,コンテンツプロバイダが提供す
るコンテンツの 1 ページ当りの情報量が 100kB まで提供す
ることが可能になったことから,コンテンツプロバイダは
[email protected]
今まで以上に高精彩な画像(JPEG)を取り込んだコンテン
ツを提供することができるとともに,ユーザは FOMA i モ
ードを利用して,より多くのコンテンツ情報を閲覧するこ
とができる.
また,FOMA 端末上でゲームなどのアプリケーションを
楽しむことができる i アプリのプログラムサイズは 30kB に
FOMA:Freedom Of Mobile multimedia Access
PDC:Personal Digital Cellular(ディジタル自動車電話方式)
2 週刊 i ガイド
3 メニューリスト
4 とくするメニュー
5 オプション設定
6 お知らせ&ヘルプ
English
ケーションの利用が可能になる.
音楽コンテンツ(着メロなど)においては,インターネ
図 2 メールアドレス利用のイメージ図
1 マイメニュー
拡張し,FOMA 端末上で今まで以上に表現力豊かなアプリ
1 天気/ニュース/情報
2 モバイルバンキング
3 証券/カード/保険
4 交通/地図/旅行
5 ショッピング
6 グルメ/生活情報
7 着信メロディ/カラオケ
8 待受画面
9 ゲーム
占い
スポーツ/趣味
受信/削除 選択
※初めての方は,こち
らをご確認ください
。
受信/削除及び表示方
法を選択して下さい。
▼選択受信
◎タイトルのみ表示
○詳細表示
▼選択削除
○タイトルのみ表示
○詳細表示
メール選択受信
□業務連絡
□お知らせ
□経営会議議題
□明日の予定
□お得な情報
□お電話ください
□ありがとう
受信
決定
音楽/TV/FM
選択受信
受付けました。
雑誌/芸能
タウン情報/行政
i Menuへ
辞書/便利ツール
メール
●メール自動受信が
始まります.
メール選択受信
アプリメニュー
i タウンページ
図3
メール選択受信のイメージ
13
コンテンツ提供者サイト
SSL通信を
開始します.
(認証中)
FOMA
ネットワーク
商品を画像(JPEG)で確認し,SSL通信を利用することで,
よりセキュアにショッピングが可能
○商品名:×××××
○価格:¥○○○○円
○その他:イチオシ商品
SSL
FOMA:Freedom Of Mobile multimedia Access
JPEG:Joint Photographic Experts Group
SSL:Secure Sockets Layer
図4
・社内データの検索
・スケジュールの確認
・社内メールの確認
ショッピングイメージ
高速でかつSSL通信を利用することで
セキュアな通信が可能
イントラネット
PC
FOMA
ネットワーク
インターネット
社内
データベース
PC
スケジュール管理
データベース
SSL
FOMA:Freedom Of Mobile multimedia Access
SSL:Secure Sockets Layer
図5
イントラネットへのアクセス
ットなどで汎用的に利用されている MIDI(Musical
Instrument Data Interface)ファイル(SMF:Standard MIDI
File)をサポートすることから,インターネット上で提供
されている最新の音楽(MIDI ファイル)を FOMA 端末の
着メロとして利用することができる.
5. マルチアクセス
FOMA では,マルチアクセス機能により,待ち合わせす
る相手と通話をしながら待ち受け場所の検索を行ったり,
サイト接続においては FOMA i モードになり,コンテン
お客さまと通話をしながら FOMA i モード経由で自社のイ
ツプロバイダが提供するコンテンツの情報量が増えるが,
ントラネットにアクセスし,商品の在庫状況などを確認す
高速パケット通信を利用することにより,高速で大容量デ
ることができる.この機能により,音声通話をしながら i モ
ータをダウンロードすることが可能なので,快適なサイト
ードサービスを利用するといった新しいコミュニケーショ
接続ができる.
ン形態が実現できる(図 6)
.
FOMA i モードでは,多彩なコンテンツを提供すること
が可能になることから,FOMA i モードを利用した電子商
14
イントラネットなどへのアクセスが可能である(図 4,5)
.
6. i モーション
取引(EC : Electronic Commerce)などがますます普及す
これまで説明をした FOMA i モードサービスは,PDC で
ることが想定され,セキュリティが重要視されてくるが,
提供している機能の拡張であったが,i モーションは,
End − End(FOMA 端末−コンテンツ提供サーバ間)での
FOMA i モードにおける代表的な新たなサービスである.i
SSL 通信をサポートしていることから,FOMA i モードを利
モーションでは,映画や音楽のプロモーションビデオなど
用してセキュリティに優れた銀行振込,クレジット決済,
の動画クリップやスポーツのハイライトシーン,天気予報
NTT DoCoMo テクニカルジャーナル Vol. 9 No.4
もしもし......
FOMA
ネットワーク
CPサイト
i モード
音声通話
もしもし......
1 マイメニュー
iモードをしながら音声通話
2 週刊 i ガイド
3 メニューリスト
4 とくするメニュー
5 オプション設定
CP:Contents Provider
FOMA:Freedom Of Mobile multimedia Access
図6
マルチアクセス
コンテンツ提供者サイトサーバ
画像ファイルのダウンロード
i モード
サーバ
インターネット
画
像
︵
G
I
F
︶
音
楽
︵
M
I
D
I
︶
i
ア
プ
リ
i
モ
ー
シ
ョ
ン
HTML
テキストベースの情報
GIF:Graphic Interchange Format
HTML:HyperText Markup Language
MIDI:Musical Instrument Data Interface
図7
i モーションダウンロード
などのコンテンツを配信することができる.従来のコンテ
とは違い,コンテンツの見たいシーンを見たいときに端末
ンツは,文字コンテンツ(501)
,カラーコンテンツおよび
上で繰り返し見ることができる.また,ダウンロードした
着信メロディ(502),i アプリおよび SSL(503)であった
コンテンツを端末に保存することもできる(図 7,8)
.
が,FOMA では,i モーションおよびマルチアクセスを提供
コンテンツを再生する端末の仕様としては,コンテンツ
することが可能になり,コンテンツプロバイダが新たな領
サイズは最大 100kB(画像の再生時間は 10 ∼ 30 秒)まで対
域のサービスを提供できるため,今までより魅力的なコン
応可能であり,画面表示としては Sub−QCIF(Quarter CIF)
テンツの閲覧が可能となる.
をサポートしている(表 2)
.
i モーションのコンテンツは,一度,端末にコンテンツを
今後は,EC などでの商品紹介は単なる静止画ではなく,
ダウンロードして端末上で再生するダウンロード形のコン
商品全体を端末上に映像として映し出すことができる.し
テンツであるため,ストリーミング形のリアルタイム画像
たがって,よりリアルな情報を FOMA 端末ユーザに提供す
15
・ドコモ ニュース・
スポーツ・芸能
ゴルフオープン
○×プロが9アンダー
で首位.キャディー役
を買って出た△□さん
が大活躍・・・・・・
・ゴルフオープン
・世界野球開催決まる
音声処理
ドコモニュース
PAUSE
・戻る
図8
画像処理
動画像
・マーカー選択
・・モーション削除
・戻る
表2
ドコモニュース
・・モーション再生
・・モーション登録
・ニュースを見る
・○○○二冠
モーション
ダウンロード完了
i モーションサービスイメージ
移動機の端末仕様
はなく,海外でも i モード対応端末をそのまま利用するこ
符号化方式
MPEG−4 Simple Profile Level0
とが可能となる.すなわち,国内で利用しているときと同
画面サイズ
Sub−QCIF
様に,海外でもいつものコンテンツにアクセスしたり,現
フレームレート
最大15fps
地で知りたい情報へ容易にアクセスできるようになり,今
ビットレート
40kbit/s
後の i モードサービスの利用の場がさらに広がることが期
符号化方式
3G−AMR
待される.
符号レート
4.75∼12.2kbit/s
AMR:Adaptive Multi Rate(適応マルチレート)
MPEG:Moving Picture Experts Group
QCIF:Quarter CIF
8. あとがき
本稿では,FOMA における i モードの特徴およびサービ
ス概要について説明した.今後は,FOMA の特徴を活かし
ることができるため,i モーションは,EC の普及を加速さ
た新サービスおよびグローバル展開について,さらなる検
せるサービスになっていくことが期待できる.
討を進めていく.
7. 今後の展開
∏ 端末の小型化
サービス開始当初の FOMA 端末は,PDC と比較してひと
回り大きく,かつ高価であるが,2003 年頃には今の 503 シ
リーズと変わらない小型の端末が登場すると考えられる.
π サービスの展開
従来の i モードのコンテンツは,静止画像(待受画面)や
音楽(着メロ)などの情報閲覧型のコンテンツが主流であ
った.今後は,C−mode をはじめとする i モードを利用した
自動販売機で飲料水の購入ができたり,また端末内の UIM
(User Identity Module)に個人情報を登録しておくことによ
り,FOMA i モードでその情報を表示したりすることで身
分証明書の代わりになるなど,ECがより簡単になり,生活
に密着したサービスを FOMA i モードで自由に利用するこ
とができるようになる.
∫ グローバルローミング
ドコモが採用した 3GPP(3rd Generation Partnership
Project)標準化仕様の IMT−2000 が今後欧州各国で普及し
ていくに従い,FOMA i モードサービスも日本国内だけで
16
用 語 一 覧
3GPP : 3rd Generation Partnership Project
AMR : Adaptive Multi Rate(適応マルチレート)
CP : Contents Provider
EC : Electronic Commerce(電子商取引)
FOMA : Freedom Of Mobile multimedia Access
GIF : Graphic Interchange Format
HTML : HyperText Markup Language
IMT−2000 : International Mobile Telecommunications−2000
(第 3 世代移動通信)
JPEG : Joint Photographic Experts Group
MFi : Melody Format for i−mode(モード対応メロディフォーマット)
MIDI : Musical Instrument Data Interface
MPEG : Moving Picture Experts Group
PDC : Personal Digital Cellular(ディジタル自動車電話方式)
QCIF : Quarter CIF
SMF : Standard MIDI File
SSL : Secure Sockets Layer
UIM : User Identity Module
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