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弁護士法人 淀屋橋・山上合同
弁護士法人 淀屋橋・山上合同 犯罪行為が行われている店舗に,業務サービスを提供すると,それだけで,刑事責任を問われる可 能性があると聞きましたが,どのような場合なのでしょうか。 【答】「情を知って,犯罪収益等を収受した」場合には,三年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処され,又はこ れを併科されてしまいます(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律11条)。 物品販売やサービス を提供している取引先が犯罪行為によって収益を上げており,当該収益から,当該サービスの対価を受領すると,同法 11条違反に該当する場合がありえますので,十分に注意する必要があります。 【解説】 (1)組織的犯罪処罰法11条の規定及び趣旨 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律11条(以下,「組織的犯罪処罰法」といいます。)には, 「情を知って,犯罪収益等を収受した者は,三年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し,又はこれを併科する。 」と規定されています(以下,同条に基づく犯罪を「犯罪収益等収受罪」といいます。)。 犯罪収益等収受罪が処罰 される趣旨は,犯罪行為により得られた収益を受領することを禁止することで,犯罪行為を助長することを抑制する点 にあります。 例えば,暴力団関係者が経営するノミ行為が行われている店舗に対して,清掃業務や食材を納品する等 のサービスを提供し,同店舗から,当該サービスに対する対価を受領していると,犯罪収益等収受罪に該当する可能性 があります。 (2)犯罪収益等収受罪の構成要件 犯罪収益等収受罪の構成要件は,`情を知って,犯罪収益等を収受することですが,a法令上の義務の履行として提供 された場合又は契約締結時に当該契約に係る債務の履行が犯罪収益等によって行われることを知らない場合は除くとさ れています。 このうち,`「情を知って」とは,収受に係る財産が犯罪収益等であることを知って,つまり,犯罪収 益等であることを認識してという意味であるとされています。そして,この認識は,単に犯罪収益等であるかもしれな いという一般的,抽象的な危惧,懸念,不安,想像といった心理状態では足りないものの,必ずしも確定的認識でなく てもよく,未必的認識でも足りるとされており,その範囲は広く解釈されています(大阪地判平成19年2月7日判タ 1266号331頁。)。 (3)実務上の注意点 このように,犯罪収益等収受罪の「情を知って」要件は,未必的認識でも足りるとされているため,取引先が犯罪行 為により収益を上げていると確定的な情報を得ていなくても,犯罪収益等であるとの蓋然性が存在する具体的な状況を 認識しているだけで,同要件に該当します。 新規取引先と契約を締結する際には,取引先が犯罪行為により収益を得 ていないか確認し,仮に,事後的にも取引先が犯罪行為により収益を得ているのではないかと疑いを持った場合には, 直ちに,弁護士又は警察に相談をした上で,対応方法を協議する必要があります。 ☆この印刷物は以下のURLから出力されました。 http://www.yglpc.com/contents/qa/topics/exclusion/exclusion010/index.html (C)2007 YODOYABASHI & YAMAGAMI LPC All rights Reserved. P.1