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実施概要 - 一般財団法人日本花普及センター(JFPC)

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実施概要 - 一般財団法人日本花普及センター(JFPC)
平成21年度農業競争力
強化対策民間団体事業
(花きを暮らしに取り込む活動等推進事業)
平成21年度花き生販連携モデル促進会議
の実施成果報告書
平成22年3月
財団法人日本花普及センター
に
は
じ
め
に
近年の花きの需要の低迷、輸入品の増加に対応し、国産花きの需要の拡大、輸入品との
競争力強化のためには、輸入品との差別化・国産品のブランド化に向けた生産・販売への
取組が重要である。それには、生産・出荷者(生産サイド)と卸・仲卸・小売店等(小売
等サイド)がこれまで以上に連携し、取り組むことが必要となってきている。
財団法人日本花普及センターは、平成17年度に農林水産省が提唱した、生産者・出荷
団体と卸売業者、仲卸業者、小売店等との生と販の連携を促進するための花き生販連携促
進交流大会を実施し、これまでに13回開催して参りました。本年度は、生産者等と卸売
業者等との交流の場から、より具体的なテーマを定め、それに向けた具体的な取り組みを
実施することとし、農林水産省の補助事業(平成21年度農業競争力強化対策民間団体事
業(花きを暮らしに取り込む活動等推進事業))を受け、生と販との連携に向けた様々な
取組をより推進することとした。具体的には、花きの地産地消の促進、地域産品のブラン
ド化、産地表示の促進等の特定テーマで、地域関係者で構成する促進会議の開催、広報資
材の作成、アンケート調査の実施等に取り組むモデル組織を公募して支援し、今後、各地
で同様な取り組みが行われるようポイントを取りまとめることとした。
このため、財団法人日本普及センターでは、平成21年7月31日~8月31日まで、
生産サイドと小売等サイドが連携し、上記取組を実施する団体を公募し、平成21年9月
6日に開催した花き生販連携促進協議会で、次の4実施団体を採択した。
・ はなかなぐみ(神奈川県中央部地域の花き関係者グループによる販売促進活動)
・ 山形県花き生産者連絡協議会(山形県生花商組合連合会との協同による県産花き表示)
・ 長崎県花き振興協議会(福岡県、大分県のと連携のよる九州フラワートレードフェア)
・ i879セレクション生販合同企画グループ(鉢物商品の企画・販売活動)
本報告書は、これら4実施団体の実施成果に基づき、花き生販連携の進め方について取
りまとめたものであり、今後、各地域における多様な花き生販連携の促進にご活用いただ
ければ幸甚です。
おわりに、本事業の実施に当たってご指導いただいた農林水産省生産局及び花き生販連
携促進協議会の委員の方々をはじめ事業の推進に当たりご協力・ご支援いただいた関係各
位に対し厚くお礼申し上げます。
平成22年3月
財団法人日本普及センター
会 長 佐 藤 安 弘
花き生販連携促進協議会委員名簿
所 属 ・ 職 名
氏 名
(社)日本花き生産協会 常務理事
吉野茂美
(社)日本花き卸売市場協会 常務理事
横田一利
(社)日本生花商協会 副会長
金子彰五
(社)日本生花通信配達協会理事・事務局長
水谷一男
(社)日本インドア・グリーン協会 専務理事
國松盛一
全国新品種育成者の会 理事(花部会長)
高橋 昇
(社)日本プロモーショナル・マーケティング協会
木全時彦
クリエイティブ委員会委員長
備 考
<はなかなぐみ(神奈川県中央地域の花き関係者グループ)によるライブイベント>
<山形県花き生産連絡協議会と山形県生花商組合連合会による産地表示の取り組み>
<長崎県花き振興協議会等による九州フラワートレードフェア in TOKYO 2009>
<i879 セレクション生販合同企画グループ による産直鉢物の取り組み>
目
次
Ⅰ 平成21年度花き生販連携モデル促進会議の実施概要 ・・・・・・・・・
1
1 花き生販連携モデル促進会議の目的及び内容・・・・・・・・・・・・・
1
2 花き生販連携促進交流大会の実施成果と今後の展開 ・・・・・・・・・
1
(1) 地域の生産及び小売関係者等の連携による地域密着型の販売促進活動の取り組み
~はなかなぐみ(神奈川県中央地域の花き関係者グループ)の事例より~ 2
(2)都道府県段階の生産及び小売関係団体の協同による産地表示と地産地消の取り組み
~山形県花き生産連絡協議会と山形県生花商組合連合会等の事例より~
3
(3)都道府県を越えた花き関係団体の合同によるトレードフェアの取り組み
~九州フラワートレードフェア in TOKYO 2009 実行委員会の事例より~
4
(4)全国的な小売関係団体と生産者等との連携による販売促進活動の取り組み
~i879 セレクション生販合同企画グループの事例より~・・・・・・・
6
Ⅱ はなかなぐみ(神奈川県中央部地域の花き関係者グループ)の活動事例・・
9
1 事業実績の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
9
2 「相模原フラワーフェスティバル~LIFE~」の取り組み・・・・・・ 11
(参考資料1)相模原フラワーフェスティバル「LIFE」のお客様アンケート
用紙と集計結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
(参考資料2)はなかなぐみイベント「LIFE」の実施スケジュール一覧・・・・ 18
Ⅲ 山形県花き生産者連絡協議会の活動事例 ・・・・・・・・・・・・・・・
1 事業実績の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2 「山形育ち花」の試験販売とアンケート調査の取り組み・・・・・・・・
(参考資料1)産地表示カード、クリップ、卓上旗のデザイン・・・・・・・・・
(参考資料2)山形産花きの購入消費者のアンケート集計結果・・・・・・・・・
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23
Ⅳ 長崎県花き振興協議会の活動事例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1 事業実績の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2 九州フラワートレードフェアの取り組み・・・・・・・・・・・・・・・
(参考資料1)九州フラワートレードフェアの関係3県の意見・・・・・・・・
(参考資料2)九州フラワートレードフェアinTOKYOU2009アンケート結果表・・
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Ⅴ i879セレクション生販合同企画グループの活動事例 ・・・・・・・・
1 事業実績の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2 産直鉢物販売の新たな取り組み・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(参考資料1)WEB産直鉢物 販売のホームページ・・・・・・・・・・・・
(参考資料2)店頭産直鉢物 販売の実験協力店への要請・・・・・・・・・・
(参考資料3)産直鉢物卸 販売のPRチラシ・・・・・・・・・・・・・・・
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Ⅵ 花き生販連携の取り組みの経緯と発展・・・・・・・・・・・・・・・・・
1 花き生販連携交流大会のねらいと発足経緯・・・・・・・・・・・・・・
2 公募方式による花き生販連携モデル交流大会の実施・・・・・・・・・・
3 公募方式による花き生販連携の多様な取り組みの展開・・・・・・・・・
(参考資料1)平成17年策定の「花き産業振興方針」の抜粋・・・・・・・・
(参考資料2)これまでの花き生販連携の取り組みの実施状況・・・・・・・・
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(別添資料1)平成21年度花き生販連携モデル促進会議の実施団体募集要領・ 67
(別添資料2)平成21年度花き生販連携モデル促進会議の実施団体の事業概要
一覧・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・75
Ⅰ 平成21年度花き生販連携モデル促進会議の実施概要
1 花き生販連携モデル促進会議の目的及び内容
国産花きの競争力強化のためには、産地の差別化・ブランド化に向けた生産・販売が重
要である。それには、生産・出荷者(生産サイド)と卸・仲卸・小売店等(小売等サイド)
がこれまで以上に連携することが必要となってきている。
財団法人日本花普及センター(以下、「普及センター」という。)は、農林水産省の補
助事業を受け、生と販との連携した様々な取組をより推進していくために、例えば、花き
の地産地消の促進、地域産品のブランド化、産地表示の促進等の特定テーマで、地域関係
者で構成する促進会議の開催、広報資材の作成、アンケート調査の実施等に取り組むモデ
ル組織を公募して支援するとともに、今後、各地で同様な取り組みが行われるよう実施手
順のポイントを取りまとめることとした。
このため、普及センターは、平成21年7月31日~8月31日まで、生産サイドと小
売等サイドが連携し、上記取組を実施する団体を公募し、平成21年9月6日に開催した
花き生販連携促進協議会で、4実施団体を採択した。(別添実施一覧参照)
また、公募に当たっては、花きの生産サイドと小売等サイドが連携して産地の差別化・
ブランド化を推進するため、例えば、花きの地産地消の促進、地域産品のブランド化、産
地表示の促進等のテーマで、関係者が連携してこれらテーマについて協議する花き生販連
携モデル促進会議(以下、「促進会議」という。)を設け、関係者が連携するための様々
な活動を実施することとした。
なお、促進会議は、以下の条件を満たしていることとした。
① 促進会議は、花きの生産サイドと小売等サイドの関係団体等が構成メンバーとして
複数ふくまれること。
② 促進会議は、産地の差別化・ブランド化に資する特定テーマを有し、今後とも数年
間継続的に活動することが見込まれるものであること。
③ 促進会議は、新たに設けるものだけでなく、既存の組織の活用や一部組換拡充(特
別プロジェクトチーム等)によるものでもよいものとする。
④ 促進会議の構成メンバーには、必要に応じて実施団体の所在する都道府県以外の花
き関係団体等や異業種関連団体等を含めることができるものとすること。
⑤ 促進会議の構成メンバーや活動内容については、普及センターと協議の上、選定後
に変更があり得ることを受け入れることが可能であること。
2 花き生販連携モデル促進交流大会の実施成果と今後の展開
今回実施された促進会議の4事例は、次のとおり大きく4つのタイプに区分され、各促
進会議では、各種創意工夫された取り組みが実施され、今後の生販連携のモデルとして大
きな役割を果たした。
1
(1)地域の生産及び小売関係者等の連携による地域密着型の販売促進活動の取り組み
~はなかなぐみ(神奈川県中央部地域の花き関係者グループ)の事例より~
はなかなぐみは、神奈川県中央部地域の生産者、仲卸、生花店、ブライダルデザイナー、
フラワーデザイナーで構成されている。神奈川の生産地の規模は一般的に小さいが、生産
者はより良い花きを生産するためにきめ細かな生産への配慮を行い、高品質な花き生産に
務めている。しかし、大生産地に比べ、安定的な供給という観点から市場内での劣勢感が
感じられるとの生産者の思いもあり、地元神奈川県産の花の付加価値を再確認し、一般消
費者へPRすることでその普及拡大を図るための活動をしている。
この特色として、主要なメンバーは10名程度と小規模であるが、毎月2~3回の定期
的な会議を開催し、生産者と小売との意見交換等学習を行い、取組の課題とその具体的な
対象方法を模索しながら、創意工夫をした多様な活動を実施している。
平成21年度は当該事業の実施に当たり、生産者と小売りの意見交換なる販売フェアー
や産地見学、生産者と小売りが連携し地元消費者への需要拡大のためのライブイベント、
店頭での花の配置や装飾の方法、水あげの方法や花の切り前など技術向上のための交流会
などを実施した。
具体的には、以下のとおり。
① 対面販売フェア
毎年季節ごとに行う。(年3~4回程度)生産者が仲卸店に訪問し、生花店に直接対
面販売するフェア。生花店が直接生産者の想いを聞き、それぞれの生産者の花への愛
着や個性、特性等を理解した上で消費者に販売していくきっかけづくり。
② 産地見学ツアー
生花店が生産者のもとを訪れ、普段電話1本で仕入れている花がどのようにつくら
れているのか見る。構成メンバーの生花店だけでなく地域の生花店対象のツアー、一
般消費者対象のツアーも行う。
③ 生産者・仲卸・生花店連携のライブイベント
花が育ってから消費者の手に届くまでの花の流通過程を生産者、中卸、生花店が実
演を交えながら、日常の仕事風景を公開する。一般消費者に神奈川県産の花に親しみ
を感じてもらうイベント。
④ 生花店の全体的な知識の向上
他業種を招いた勉強会(カラーコーディネート等)、生産者・花屋交流会行事、体感
カラーセラピー、花屋の店頭配置方法等の講習会。
⑤ 地域産品のブランド化
高品質・低農薬等の一定基準を満たした花を認定し、ブランド化する。
また、従来このような花き業界関係者のグループ組織では、花き業界内の生産技術や花
き商品の取引情報等花き業界内部の意見交換や調査研究が中心となるものが多いのである
が、はなかなぐみは、地元の仲卸業者が生産者と小売店とのパイプ役となり、神奈川県産
の高品質花きの良さを最大限に打ち出し、地元消費者にPRして地元産の花きの需要拡大
等地産地消と言う明確な目的を持って取り組み、消費者から好評を得たり、生産意欲が向
上などの成果を上げているところである。
2
特に、生産者・仲卸・生花店連携の消費者向けのライブイベントでは、花がどのように
育てられているか、消費者に高品質な花きを提供するための具体的な取り組みを紹介し、
消費者に地元生産の花きの良さを理解してもらうとともに、需要拡大のために例えば食べ
られるバラを利用した食卓フラワーアレンジの紹介など新たな花きとのふれあう生活の提
案を実施した。この取組のために、具体的な企画を検討、打ち合わせ、リハーサル、見直
しなどを何回も行い、簡潔で判りやすいものにするとともに、日頃から消費者と接点があ
る生花店は、来客者にチケット(1000円)を販売をする等イベントのための集客を担
っている。
はなかなぐみの地域に密着した多様な取り組みは、他の農産物に比較して都市近郊の産
地の多い花き産業の特色を活かした生販連携の先駆的なモデルの1つとなるものであり、
また、その活動内容についても、今後、各地域の特色を活かしてより多様な取り組みの可
能性がある分野であり、今後の更なる発展的な活動が期待できる。
その一方で、具体的な取組は始められたばかりであり、これまでの取組においての反省
の中でイベント等におけるプログラムの修正、会場の広さや照明機器の配置、来場者の視
覚の確保などの運営面での問題点、改善点などの反省点が出されており、今後経験を積み
重ねていくことが重要と考えられる。
(2)都道府県段階の生産及び小売関係団体の協同による産地表示と地産地消の取り組み
~山形県花き生産連絡協議会と山形県生花商組合連合会等の事例より~
山形県花き生産連絡協議会と山形県生花商組合連合会は、従来から山形県内における花
の緑の普及イベント等を通じて、連携し活動している。新たな連携活動として、平成21
年度からは、全県的に生産サイドと小売等販売流通サイドが連携して産地表示の実施によ
る県産花きPRと地産地消の促進をテーマに取り組みこととした。
このため、それぞれの役員を中心メンバーとした事務局を設置して事業の実施の円滑化
を図るとともに、促進会議を開催して具体的な実施の方法について検討した。
平成22年1月中旬からは、モニター生産者(17名)が採花日や前処理の有無を裏面に
記載した「産地表示カード」を添付して県内花き市場に出荷するとともに、山形県内生花
店(107店)では、「山形育ちの花 いい花やまがた」のクリップや卓上旗を設置して
「山形育ちの花」という名称で地元商品をPRし、その販売が試行された。
なお、この取り組みついては、県産花きを購入した消費者に対して郵便アンケートはが
きを手渡す形式(回収率を上げるために、懸賞付き後納郵便とした。)でアンケート調査
を実施するとともに、モニター生産者と県内生花店へのアンケート調査も実施することし
ている。
この取り組みのほか、山形県花き生産連絡協議会と山形県生花商組合連合会の連携活動
としては、以下のような取り組みも実施した、
また、山形県農林水産部は、この花き分野における地産地産の取り組み「山形育ちの花」
を、先行して実施されていた全県的な地産地消の取り組み「おいしい山形」(おいしい山
形推進機構事務局 山形県農林水産部内)の一環として位置づけるとともに、合同セミナー
の内容や講師の選定、産地表示の表示内容やPOPデザイン、消費者アンケートの項目等
の具体的な事項について全面的に支援指導を行った。
3
① 県産花き等のPRイベントの合同開催
山形県花き生産連絡協議会等が開催する県産花きのPRイベント「やまがたフラワ
ーフェスティバル2009」、及び山形県生花商組合連合会青年部等が開催する県産
花き等のフラワーアレンジメントのコンテスト「第4回みちのくカップ」を合同で開
催し、県内消費者に向けて高品質な県産花きをPRした。
② 県内花き関係者向けセミナーの開催
山形県花き生産連絡協議会と山形県生花商組合連合会が主催して「第11回やまが
たフラワーセミナー」を合同実施し、マーケティングの専門家等を講師として招聘し
て花き産業における生販連携活動のPOP広告の具体的な事例等の消費拡大や地産地
消等について学習、意見交換等を実施し、出席者が交流を深めることによる連携のき
っかけづくりを実施した。
山形県花き生産連絡協議会と山形県生花商組合連合会の連携による地産地消の取り組み
は、花と緑の普及等に関するこれまでの両者の連携活動を通じて培われてきた信頼感がベ
ースとなっているとともに、
花きの消費低迷傾が続く中で、
まず地元山形県の消費者の方々
対して、長期的に県産花きを強くアピールすることにより、新たな需要開発を図ることと
したものである。
農水産物やこれらを使って作られている加工食品については、全国の都道府県で地産地
消の取り組みが多種多様な方式で取り組まれているが、花きはこれらの取り組みに組み込
まれていない状況にある中で、今回のの取り組みは、先駆的なモデル実験となるものであ
りる。
今回の産地表示の取り組みは、県内の多くの生産者や生花店等が参加・協力して山形県
産花きの良さをPRすることにより、地元の消費者に信頼され、消費拡大を強くアピール
できる花きの産地表示の取り組みを全県的に展開できる可能性を示した。
今後は、今回の実施の反省点等を踏まえて、産地表示カードの記載内容の工夫や日持ち
保証販売の検討等更に発展的に取り組むことが期待される。
(3)都道府県を越えた花き関係団体の合同によるトレードフェアの取り組み
~九州フラワートレードフェア in TOKYO 2009実行委員会の事例より~
九州各県は、不況に負けない元気な花き産地であることを国内外にPRするために、東京
国際フラワーEXPO(IFEX)における九州パビリオン設置等、互いに連携しながら各県花き
振興を推進してきた。
これらの経験を踏まえ、九州各県が持つオリジナル花き等を共同で効果的にPRするなど
の相乗効果を図り、各県花きのブランド力を高めて花き生産者の所得向上につなげるため
の諸対策について検討し、九州各県(福岡県・長崎県・大分県)の生産者、市場関係者、
行政機関の連携のもと、全国の市場関係者・花き実需者を対象とした「九州フラワートレ
ードフェア」を東京で開催し、九州で生産されたオリジナル花きの紹介や商談会、商品性
についての検討、意見交換等を行い、各産地で生産される花きの差別化・ブランド化の育
成を図った。
4
その実施に当たっては、実行委員会方式で対応することとし、平成21年7月に第1回
九州フラワートレードフェア in TOKYO 2009実行委員会を開催し、トレードファ内容に
(日時、会場、名称、役割分担等)ついて決定するとともに、状況に応じて福岡県、長崎県、
大分県の3県で運営活動を分担して取り組み、11月4日に東京都墨田区錦糸町のホテル
九州フラワートレードフェア in TOKYOを開催した。
九州フラワートレードフェア in TOKYO 2009実行委員会の構成メンバーと実施体制
<福岡県>
花あふれるふくおか推進協議会(会長 小寺均、構成:福岡県、福岡県花き園芸連合会
(生産者団体)
、福岡県花き市場協議会、全国農業協同
組合連合会福岡県本部、福岡県花商団体連合会)
<大分県>
大分県花き生産者協議会(会長 井上隆敬、花き生産者により組織)
大分県農林水産部園芸振興室(花き特用班)
<長崎県>
長崎県花き振興協議会(会長 本田敏秀、花き生産者・花き市場等により組織)
長崎県農林部農産園芸課(技術普及班、花き特産・市場班)
このような都道府県を越えた実行委員会方式では、広範囲の生産者、市場関係者、花き
関係団体及び各県の行政組織との連絡調整が必要となるが、随時、会議を行うことは不可
能なので、実際の運営活動に当たっては、各県の行政組織が短期間に集中して指導支援を
行うとともに、各県の役割分担を明確にして効率的に実施することが必要である。
また、九州フラワートレードフェア in TOKYO 2009 の実施内容では、3県共催による
商談会として1日間に集中して実施し、招待客を花き市場関係者や実儒者に絞り込み、九
州で生産されたオリジナル花きの紹介や商談会、商品性についての検討、意見交換等の行
ったことが、IFEX 等といった大規模な商談会とことなり,より具体的な商談の場として効
果的であった。
ただし、展示方法や商談については、東京周辺の生花店に参加協力による九州産花きを
使用した九州の花のフラワーアレンジメントコンテストや各県のオリジナル品種の展示紹
介等創意工夫された面もあったが、出展者側から明確な価格設定や時期別出荷計画量等を
来場者に提示できなかったこと、生花店の来場者が少なかったこと等商談会に対する出展
者側の準備、経験不足も見られた。
また、九州トレードファアとしては、九州からの出荷量が多い関西圏への開催、マスコ
ミへの事前PR、今回参加できなかった九州他県への呼びかけ等が今後の課題としてある
が、大都市圏から遠隔地にある産地では、産地ブランドのPRや効果的な商談会の方法と
して新しい生販連携のモデルとなることが期待される。
5
(4)全国的な小売関係団体と生産者等との連携による販売促進活動の取り組み
~i879セレクション生販合同企画グループの事例より~
株式会社i879では、全国の花キューピット組合員が入手可能な鉢物についてインターネ
ットによる販売を行ってきたが、
ホームセンター等との価格面での競争が厳しく、
生産者、
小売ともに利益確保が難しく、また、価格重視に偏重するあまり品質面でのこだわりは軽
視されて鉢物に対する消費者信頼を損ねるような場合も見られた。
このため、花き小売組織の専門サイトおよび小売店が取り扱うに相応しい鉢物のアイテ
ム導入を確立することが㈱i879のみならず花キューピットグループとしての喫緊の課題で
あるとの認識で具体的な取り組みの検討を行い、平成21年12月より優良生産者(産地)
と連携し、WEB注文受付による産地直送による鉢物の販売(サービス名:i879セレクショ
ン)
(WEB注文受付⇒産地より宅配便でお届け先へ直送)を試行した。
更に、平成22年5月9日の母の日に向けては、次のような観点から、組合員の店頭産
直鉢物の販売モデル(平成21年11月に一部の店舗で実証実験を行い、母の日に向けては4
7店舗で鉢物の商品見本を店頭に展示して販売促進)や組合員へ卸す産直鉢物卸の販売モ
デルにも取り組んだ。
① 優良生産者との連携、限りのある高品質(or希少価値の高い)鉢物を花キューピッ
トグループ内に提供する。
② 店頭における鉢物の商品の在庫リスクをなくし、コスト削減に寄与する。
③ WEBとの連動により、実店舗への来店促進につなげる。
また、生産者、商品の選定基準に当たっては、以下のような考え方で取り組み、順次、
提携した生産者とi879セレクション生販合同企画グループを形成して、生産者との直接協
議を重ねることにより更に内容の充実を図った。また、複数の生産者が一同に介すること
により品目の垣根を越えた生産者同士の情報交換の場も設け、各生産者・育種会社・小売
でひとつのチームとなりマーケティング活動を模索した。
① i879セレクション商品選定基準
・インターネット花キューピットでしか買えない希少価値の高い商品
・i879が自信をもって消費者へ推奨できる商品
・こだわりのある生産者によって、育成された商品
② i879セレクション生産者選択基準 (視点)
・実績において、市場評価の高い生産者
・価格と品質のバランスに優れる
・生産者自身の方向性、考え方
・今後、可能性のある生産者の育成
・方向性(目指すところ)の一致
今後、WEB産直鉢物ギフト(サービス名:i879セレクション)の取り組みは、花キュー
ピット協同組合の組合員(花店)店頭受注モデルを導入し、全国の花店が在庫を持たずに
顧客が遠隔地へ優良な鉢物をギフトとして贈ることが出来る環境をつくり、平成22年の
6
母の日に実施することとなった。このために花キューピット協同組合の組合員(花店)47
店へサンプルを提供し、商品となる鉢物を評価してもらい、この評価を産地へフィードバ
ックする予定である。
併せて、平成22年7月に、社団法人日本生花通信配達協会(JFTD)が主催する第
2回フラワードリームにおいて、i879セレクション参加産地と共同ブースを設営すること
とし、WEBという仮想空間にとどまらず、消費者と生産者が直接コミュニケーシを図る
場の提供へとつなげるため、各生産者と出展に関する打合せを開始した。
このような全国な組織である花キューピットの組合員(生花店)と優れた鉢物商品を生
産・集荷する生産者や種苗会社等が提携して、消費者に対しWEBのカタログ、店頭での
商品見本等により販売する高品質で付加価値のある鉢物商品を協同して開発を行うことは、
近年 鉢物の価格低迷が続く中で、付加価値の高いの鉢物の生産・流通・販売ができる鉢
物商品の開発の可能性が期待できる。
また、全国に点在する生産者と生花店をインターネットと宅配による物流を活用して、
新たな花き商品の生産・流通・販売ルートが確立されることが期待できる。
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平成21年度農業競争力強化対策民間団体事業
(花きを暮らしに取り込む活動等推進事業)
平成21年度花き生販連携モデル促進会議
の実施成果報告書
平成成22年3月発行
編集・発行 財団法人日本花普及センター
〒103-0004 東京都中央区東日本橋3-6-17 山一ビル4階
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