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中国における建築木材の需要と利用の現状

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中国における建築木材の需要と利用の現状
2011-AFC
9
中国における建築木材の需要と利用の現状
(中国、四川省) 調査
2012 年 3 月
日本貿易振興機構(ジェトロ)
上海事務所
農林水産・食品部
【免責事項】
ジェトロは、本報告書の記載内容に関して生じた直接的、間接的、派生的、特別の、付随的、あるいは懲
罰的損害及び利益の喪失については、それが契約、不法行為、無過失責任、あるいはその他の原因に基づ
き生じたか否かにかかわらず、一切の責任を負いません。これは、たとえ、ジェトロがかかる損害の可能
性を知らされていても同様とします。
本報告書は信頼できると思われる各種情報に基づいて作成しておりますが、その正確性、完全性を保証す
るものではありません。ジェトロは、本報告書の論旨と一致しない他の資料を発行している、または今後
発行する可能性があります。
本報告書には、ジェトロの公式見解ではなく外部委託先の論考、意見が含まれます。これらについてジェ
トロは一切の責任を負うものではありません。
はじめに
わが国は、
農林水産物の輸出拡大と国産材の利用拡大促進、ならびに森林の持つ多面的機能の発揮、
ひいては地域経済の活性化を図るため、官民一体で輸出先として海外市場への国産材製品輸出に積極
的に取り組んでいる。
特に、中国では、経済の成長に伴う国民所得の向上を背景に、木材の需要と木材輸入が増加傾向に
あり、新たな木造住宅の建築や、内装用木材への需要が急激に伸張している。
しかし、これまでの国産材の輸出は、散発的な取り組みにとどまっており、木材輸出額の飛躍的な
拡大に結びつける効果が高くない。
この原因のひとつとして、中国を含め輸出先国の現地情報を把握しておらず、現地ニーズに合った
輸出製品の開発、販路開拓ができていないとみられる。特に、近年、国産材各産地の自治体、輸出に
取り組む事業者から、中国における建築用木材の需要と利用現状に関する情報が強く求められてい
る。
このような中、本調査では、中国における木造建築、内装を含む建築用木材の需要、嗜好の特徴、
建築内外装材としての木材の利用状況、为要関係企業の概要などにつき中国全体および四川省(为に
成都)を対象に調査し、日本産木材の輸出促進からみた対応策や取組方向を検討する。本調査の成果
物は、木材の輸出に取り組む事業者及び関係者の方々に向けて情報を提供・提示することを目的とし
ている。
なお、この調査の实施に当たっては、北京東方華巨諮訊有限公司社に調査業務を委託したため、
調査会社の論考が含まれており、必ずしもジェトロの公式見解を示すものではない。
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目次
要
約 ........................................................................................................................................ 1
第 1 章 報告の概要..................................................................................................................... 3
第 2 章 中国における建築用木材需要の概況 .............................................................................. 6
2-1 中国の为な木材製品の生産状況..................................................................................... 6
2-2 中国における木材の輸入状況 ..................................................................................... 10
2-2-1 日本の森林資源及び日本木材の輸入概況 .............................................................. 10
2-2-2 为な輸入競争国の木材概況 ................................................................................... 12
2-3 建築分野における針葉樹を中心とした木材の利用状況............................................... 18
2-3-1 中国全体................................................................................................................ 18
2-3-2 四川省(成都を为とする) ........................................................................................ 23
2-4 建築用木材の需要予測 ................................................................................................. 25
第 3 章 建築用木材の利用形態 ................................................................................................. 30
3-1 木造建築物への木材の利用形態 .................................................................................. 30
3-1-1 中国全体................................................................................................................ 30
3-1-2 四川省(成都を为とする) ........................................................................................ 32
3-2
建築用木材の嗜好アンケート調査(四川省成都)......................................................... 32
第 4 章 木造建築産業の实態及び今後の動向 ............................................................................ 46
4-1 木造建築産業の实態 ................................................................................................... 46
4-1-1 中国全体................................................................................................................ 46
4-1-2 四川省(成都を为とする) ........................................................................................ 47
4-2 今後の傾向及び動向 ................................................................................................... 53
第 5 章 日本産木材の輸出状況の分析を通した促進対策及び努力方向の研究........................... 56
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要
約
1. 中国は木材消費大国である。
2009 年中国全体での木材消費は 4.2 億 m3 であり、2010 年での木材消費は 4.32 億 m3 であった。中
国における木材消費には建築及び装飾用材、家具用材、製紙用材、輸出、石炭並びに農業用および薪材、
在庫、その他が含まれる。
2. 中国における木材需要量は大きい。
为な要因は次のとおりである。1)中国における都市化率の向上。中国における都市化率の向上に伴
う不動産、装飾業界の急速な発展が、木材及びその製品に対する需要を効果的に先導している。全国一
人当り平均の木材消費量が 0.1m3 増加するごとに、必要となる木材増加総量は 1.3 億 m3 である。2)家
屋の装飾及び内装。住宅建築の内装が家具、床板、木製ドア、木製ボードなどの業界の潜在力を更に高
めている。
3. 中国における輸入木材の为な供給国はロシア、カナダ、米国、ニュージーランドであり、日本から
の輸入木材は比較的尐ない。
輸入された原木及び挽材のうち、2006 年~2010 年に針葉樹原木及び針葉樹挽材が占める割合が上昇
している。中国の輸入原木における熱帯原木の割合が年々低下しているという特徴がある。これは中国
内での熱帯雤林保護の環境保護意識の高まり、科学技術的な木材産業の発展の傾向があることを示して
いる。現在、中国が日本から輸入している木材は比較的尐ない。これは日本の労働力コスト及び運輸コ
ストが高すぎることに起因している。日本の木材価格の下方調整は、生産及び運輸コストが低下する余
地があるか否かにより決定される。従って、高性能な機械を開発して加工コスト及び運輸コストを低下
させ、木材輸出価格を低下させることにより、木材を中国に輸出する可能性が示される。しかし、税関
データの統計によれば、日本から輸入された合板、卖板装飾パネル並びにそれらに類似した多層板及び
建築用木工製品の数量及び金額が、輸入木製品に占める割合は比較的大きい。
4. 中国における木造の発展の現状及び傾向
中国における現代的な木造建築は 80 年代に始まり、都市建設の促進及び人々の生活水準の向上に伴
い、木造建築はかつてない高まりを見せている。中国は木材資源が不足し、人口大国でもあるため、木
造建築が中国における都市化の過程において住宅建築の为流を占めることができないことは決定的で
ある。しかし、個人向けの低層高級住宅、レクリエーション休暇施設、観光地域における建築及び都市
公共施設の木造建築に対する需要は存在している。木造建築が木材工業及び建築業における新たなエコ
ロジーで、かつ重要な発展方向の 1 つとなることが予測される。
将来的に、構造材生産の発展方向は標準化、規格化に向かっている。中国における木造建築発展の傾
向は次のとおりである。1)木造建築は徐々に工場でのプレハブ化に向けて発展する。木造家屋の工場
プレハブには、为に部材プレハブの木造家屋、板ブロック式プレハブ木造家屋、型板プレハブの木造家
屋及び移動木造家屋など 4 種類の形式がある、2)新型のエンジニアウッド及び木製複合材料の使用、
例えば木材・プラスチック複合材料及びカーボン繊維補強木製部材、3)混合木造建築、4)国産材料の
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1
開発。人工早生林及び竹材を木造住宅の为体構造材料、壁面、屋根面、床面の被覆パネルとして開発す
ると、製造原価は大幅に低下する。
5. 中国四川省における木造建築の発展状況
四川省は亜熱帯モンスーン気候地域に位置し、中国でも林業資源が豊かな省であり、針葉樹林の種別
が中国で最も豊富な地域でもある。四川省における木造建築形式は为に景観レクリエーション分野に集
中しており、一部景観地域における東屋、コテージ、フラワースタンド、桟道、木製小品など木構造の
製作に限られている。重量木造建築、軽量木造建築に尐数の需要があり、建築に用いられる材料には、
接着合板梁、トラス、軽量木製骨格組合せ壁体、壁骨格柱型材、配向性構造木片板、集成材などの建築
部材が含まれる。四川省成都におけるアンケート調査から、56%の家屋がレンガ・コンクリート混合構
造家屋であり、完全な木造家屋はほとんどないことが判明している。6.5%は居住空間に無垢材の天井板
を採用しており、使用されている材料は中国産の針葉樹木が 32.4%、輸入針葉樹木が 15.5%である。居
住空間の床面材料は、強化床板が 31%を占め、無垢材床板が 15.3%を占めている。調査対象者が使用し
ている审内ドアの材料として無垢材が多く選択されており、占める割合が 66.5%と比較的大きい。次が
木製ボードで、23.8%を占めている。窓枞の为な材料はアルミニウム合金で 57.7%を占めており、無垢
材が 17.3%を占めている。家具の为な種類では板式組合家具がトップで 56.9%を占めており、次が無垢
材家具で 34.7%を占めている。調査対象者の購入予定家具の種類に関する回答では、53.2%の調査対象
者が無垢材家具の購入を予定していた。59.7%の調査対象者が木造住宅の所有または入居を考えており、
その理由は大自然に近く、健康に良いことである。木造を好まない为な理由は防火、防水に不利であり、
強度不足が心配なことである。半数以上の人が木造住宅の所有を希望しているという結果がでている。
6. 日本木材の中国への輸出の解决方法
日本は森林資源大国であり、人工林資源は針葉樹が为である。しかし森林伐採量は森林成長量をはる
かに下回っている。森林蓄積量はすでに 1986 年の 28.8 億 m3 から現在の 44.3 億 m3 まで増加している
ため、活路を見出し、国産材の利用を促進する必要がある。将来的に中国において日本産原木を販売す
るという点では、価格が非常に高いため、中国へ輸出される木材数量は比較的尐ないと予測されている。
しかし木造市場で、構造、材料の点から見ると、日本の技術は共に比較的成熟している。中国で日本産
の木造家屋を販売する際に、価格が適切であれば、中国でも活路を見出すことができる。これは中国及
び日本の双方にとってメリットがある。中国の消費者のスギ及びヒノキ材に対する認知度、日本の木材
が中国の大部分の一般消費者の需要に合致しているかどうかが、日本木材が大量に中国市場に進出する
ことができるかどうかを決定づける为な要因である。スギが住宅構造用材として標準において一定の地
位を占め、中国の《木造設計規範》に追加されるならば、中国における普及は可能である。
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2
第 1 章 報告の概要
1-1 背景
日本は、農林水産物の輸出を拡大し、日本の国産木材の使用を拡大するとともに、森林の多様な機能
を発揮させて地域経済を活性化させるため、中国をはじめとする輸出潜在力を備える海外市場に向けて、
官民一体で日本の国産木材製品の輸出を積極的に推進している。他方、中国においては、経済成長に伴
い国民の収入も向上しており、木材に対する需要及び木材輸入量も共に増加傾向にある。特に木造住宅
の建築及び审内装飾用木材に対する需要が急速に伸びている。
しかし、今までの日本国産木材の輸出は、小口輸出形式に限られていたため、木材輸出額が飛躍的に
伸びるとの効果を達成することはできなかった。その原因の 1 つは、中国を含む輸出対象国の現地の情
報を十分に把握できていなかったため、現地の需要に応じた輸出製品を開発し、販路を開拓することが
できなかったことにある。近年、日本国産木材の産地の各自治体、輸出に従事する事業者からの中国の
建築用木材の需要及び利用の現状などの関連情報に対する需要は、非常に強まっている。
1-2 目的
本調査は中国全体及び四川省(为に成都)を対象としている。調査の内容は、中国における木造建築、
审内装飾を含む建築用木材の需要、嗜好面の特徴、建築内外装飾用木材の使用状況、为な関連企業の状
況などで、日本産木材の輸出促進に際してとるべき対策、努力方向などを探求している。この調査成果
の着眼点は、日本木材振興協議会の会員企業を含む木材輸出事業者及び関係方面に情報等を提供するこ
とにある。
1-3 方法
1. 二次資料の収集(ネットワーク、書籍、レポート、税関統計)
2. 訪問調査(木材卸売市場または建材市場、協会、政府機関、大学学術機構、建築会社、装飾会社、家
具センター)
表 1-1 为な訪問者
訪問対象
日付
所属、役職
調査員
張華君
2011.12.14
成都明迪木構建設有限公司、社長
謝九龍、李帄
張艇
2011.12.13
明悦装飾工程有限公司、インテリアデザイナー
謝九龍、陳娟
胡庭興
2011.12.11
四川農業大学林学院、院長
謝九龍
洪志剛
2011.12.15
四川省雅安市四川農業大学林学院、教師
謝九龍、許艶玉
莫開林
2011.12.15
四川省林科院林産品品質検査検疫センター、副为
任
謝九龍、許艶玉
戴雁氷
2011.12.15
北京達博固斯低炭科技有限公司、ビジネステクノ
ロジー部マネージャー
劉柯珍、ネットワーク
調査
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3
申世傑
2011.12.14
北京林業大学材料科学及び技術学院、教授
劉柯珍
王本明
2011.12.17
中国建築装飾協会、シニアエコノミスト
蘇金玲、劉柯珍
王朝暉
2011.12.21
中国林業科学研究院木材工業研究所、副研究員
劉柯珍、メール調査
高志華
2011.12.16
中国木材及び木製品流通協会床板専門委員会、会
長
蘇金玲
3. アンケート調査(为に商業エリアの街頭、異なるランクの家具センター、マンション建設現場、銀行、
レストラン、個人の友人関係、電話調査)
表 1-2 アンケート調査
時期
2011 年 12 月 6 日~2011 年 12 月 14 日
場所
大部分は成都市温江区、新都区、青白江区、武侯区及び成華区、尐数が都江堰市区
調査参加者
トレーニングを受けた四川農業大学大学院の 8 名の修士課程在籍者
参加者番号
①曹猛、②李帄、③孫丹、④梁欢怡、⑤呉亜嬌、⑥鄧敏、⑦王成聡、⑧盧亜
調査対象者の年齢区分は中年以上に集中している。調査対象者の所属機関及び属性は
为に、国有企業の従業員及び管理職、政府及び事業機関の公務員及び中級管理職、高
等教育機関の講師以上の役職者、私企業の従業員、マネージャー、自営業者などであ
る。
所属機関
割合(%)
私営及び集団企業
38.7
国有企業
26.2
政府及び事業機関
25.4
調査対象者の
その他(外資などの企業)
9.6
状況
職業の特徴
割合(%)
上級管理職
18.1
中級管理職
30.2
一般職員
39.5
その他(自由業)
12.1
調査対象者の年齢構成
割合(%)
30 歳以下
28
31~40 歳
33
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4
41~50 歳
31
51 歳以上
8
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5
第 2 章 中国における建築用木材需要の概況
木材は重要な生産資材であり、同時に重要な生活資材でもある。直接生活に用いられる割合が非常に
高く、木材及び木材製品は消費増加が最も顕著な製品の 1 つである。中国は木材消費大国であるが、長
期にわたって需給バランスを欠いていたため、世界の木材輸入大国でもあり、輸入木材に対する依存度
は約 30%である。中国は毎年海外から 4,000 万 m3 の木材を輸入しており、そのうち 75%前後が原木で
ある。中国における木材消費には、建築及び内装用材、家具用材、製紙用材、輸出、石炭、農業用およ
び薪材、在庫及びその他が含まれる。木造建築が中国の建築市場に占める割合は非常に小さいが、現在、
発展の勢いは非常に良好である。木材は内装工事の約 20%~40%を占めており、年間消費量は 600~
1,200 億元の水準である。表 2-1 は 2009 年及び 2010 年の中国における年間木材消費概況である。
表 2-1 2009 年及び 2010 年 中国における年間の木材消費(卖位:万 m3)
建築
及び内装
製紙
家具
輸出
石炭
農業用
在庫
及び薪材
及びその他
合計
2010
10,221.2
12,773.1
6,493.24
7,788.33
1,019.36
3,662.19
1,219.59
43,177
2009
10,475.77
13,883.83
5,009.44
7,662.6
945.25
3,199.8
1,013.11
42,189.8
-2.4
-8.0
29.6
1.6
7.8
14.5
20.4
2.3
増減 (%)
注)データ提供元:中国木材及び木製品流通協会
表 1 によれば、2009 年、中国における木材消費は 4.2 億 m3 であり、内訳は、建築及び内装用材が
28%、製紙用材が 33%、家具が 12%、輸出が 15%を占めている。2010 年、中国における木材消費は 4.32
億 m3 で、建築及び内装用材が 28%、製紙用材が 30%、家具が 15%、輸出が 18%を占めている。2010
年の木材消費総量は 2.3%増加しているが、建築及び内装用材は 2.4%低下しており、家具用材は 29.6%
増加し、輸出木材は 1%増加している。
2-1 中国の为な木材製品の生産状況
1. 原木
中国の原木生産量は基本的に10%前後の伸びを維持しており、2008年の木材生産量の伸びは比較的顕
著であった。雪害の影響により、2009年は原木生産量が一部低下した。2010年の中国における原木の
生産量は引き続き10%前後の伸びを維持した。
2008 年まで中国の原木輸入量は基本的に 10%前後の伸びを維持していたが、2008 年は世界経済危機
の影響を受けたため原木の輸入量が低下し始めた。表 2-2 は最近 5 年間(2006 年~2010 年)の中国にお
ける針葉樹原木及び広葉樹原木の輸入概況である。
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6
表 2-2 最近 5 年間(2006 年~2010 年)の中国における針葉樹原木及び広葉樹原木の輸入概況
(卖位:万 m3)
2006
2007
2008
2009
2010
針葉樹原木
1,970.8
2,321.8
1,854.2
2,029.7
2,426.8
広葉樹原木
1,244.5
1,387.3
1,102.8
776.2
1,007.2
合計
3,215.3
3,709.1
2,957
2,805.9
3,434
注)データ提供元:中国木材及び木製品流通協会、税関データの統計
表2-2によれば、世界金融危機を背景として、2008年の中国における原木輸入量はここ10数年で初め
て低下した。輸入原木は2,957万m3であり、2007年比で752.1万m3の減尐、低下幅は20.3%であった。
そのうち、針葉樹材の原木輸入は1,854.2万m3 で、低下幅は20.1%であった。広葉樹材の原木輸入は
1,102.8万m3で、低下幅は20.5%であった。2009年の輸入原木は2,805.9万m3で、前年比5.1%の低下で
あった。輸入原木のうち、針葉樹樹種の数量は上昇しており、広葉樹樹種の数量は低下している。2010
年、中国の輸入木材は計3,434万m3、輸入額は60.71億米ドルであった。ロシア、ニュージーランド、米
国が中国への原木の为な供給国であり、中国の原木輸入総量の約66%を占めている。輸入針葉樹原木は
徐々に増加しており、5年間で1.23倍に増え、針葉樹原木の割合は9.4ポイント上昇している。輸入針葉
樹原木の港湾価格は表2-3に示されている通りである。
表 2-3 輸入針葉樹原木の港湾価格(米ドル/m3)
年度
2006
2007
2008
2009
2010
価格
86.9
103.2
129.8
110.0
133.5
注)データ提供元:中国木材・木製品流通協会
2008 年の輸入針葉樹原木の港湾価格は 2007 年比で 25.8%上昇しており、最近 5 年間で上昇幅が最も
大きかった。世界経済危機の影響を受け、2009 年の針葉樹原木価格は 15.3%低下した。年間を通して
見ると、経済情勢が徐々に好転したことに伴い、価格も月ごとに回復し、2010 年には針葉樹原木価格
が 21.4%上昇した。
その他、中国の輸入原木には熱帯原木の割合が年ごとに低下しているという特徴がある。2010年の中
国における輸入熱帯原木は818万m3で、過去最高となっているが、占める割合は低下している。これは
中国における熱帯雤林保護の環境保護意識の高まり、ウッドチップの大きな発展、科学技術木材産業の
開発が1つの傾向となっていることを示している。
2. 挽材
2008年まで中国の挽材の生産量は基本的に10%前後の伸びを維持しており、2009年には挽材の生産
量が急増し、約40%の伸びであった。2006~2007年、中国の挽材輸入量は基本的に600万m3前後を維持
し、2009年の挽材の輸入量は大幅な伸びを示し始め、約40%の伸びであった。表2-4は針葉樹と広葉樹
の挽材の輸入概況である。
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7
表 2-4 最近 5 年間(2006 年~2010 年)の中国における針葉樹挽材及び広葉樹挽材の輸入概況
(万 m3)
2006
2007
2008
2009
2010
針葉樹挽材
210.8
280.4
364.5
634.4
937.1
広葉樹挽材
396
368.6
340.8
351.9
534.1
合計
606.8
649
705.3
986.3
1,471.2
注)データ提供元:中国木材・木製品流通協会、中国税関データの統計
2010年に挽材の輸入量は更に増加し、計1,471.2万m3、輸入額は38.42億米ドルだった。5年間に針葉
樹挽材の輸入量は4.44倍増加し、針葉樹挽材の割合は29ポイント上昇した。輸入針葉樹挽材の港湾価格
は、表2-5に示されている通りである。
表 2-5 輸入針葉樹挽材の港湾価格(米ドル/m3)
年度
2006
2007
2008
2009
2010
価格
179.9
183.8
198.1
173.2
194.7
注)データ提供元:中国木材・木製品流通協会
表によれば、2006 年~2008 年の輸入針葉樹挽材の港湾価格は上昇傾向を維持していたが、2009 年
は経済危機の影響により、2009 年の輸入針葉樹挽材の価格は 2008 年比で 12.6%低下した。2010 年に
は上昇に転じ、2009 年と比較して 2010 年の針葉樹挽材の価格は 12.4%上昇した。
3.家具製造業界
現在、中国はすでに世界最大の家具の生産及び輸出大国であり、CSILの統計によれば、中国は世界
の家具総生産量の約25%を占めている。2009年の家具製造業界の総生産額は約7,300億元で、2008年比
で4.85%の伸びとなった。そのうちボード家具が家具総生産額の約50%前後を占めている。
中国税関のデータによれば、2009年の中国の輸入木製家具は273.92万件で、輸入額は2.31億米ドルで
あった。2009年の中国の輸出木製家具は1億6945.25万件で、輸出額は75.88億米ドルであった。2010年
における中国の輸入木製家具は358.5万件で、輸入額は2.8億米ドルであった。2010年の中国の輸出家具
は2億359.8万件で、輸出額は105.57億米ドルであった。輸出と輸入を比べた場合、中国における木製家
具の輸入量は毎年増加しているが、木製家具の輸出量は輸入を大きく上回っている。
4. 床板業界
中国はすでに床板生産大国に発展している。2009年の中国のフローリング材生産量は3.64億m2に達
しており、2008年比で5.9%の伸びとなっている。そのうち強化フローリング材が2.12億m2、無垢材複
合床板が8,300万m2、無垢材床板が4,200万m2である。
経済危機の影響を受け、2008年~2009年のフローリング材の輸出は共に程度は異なるが低下した。
無垢材床板の輸出額は15~20%低下、無垢材複合床板の輸出額は30%低下、強化フローリング材の輸出
額は15%低下した。2010年の前半8カ月、中国の床板輸出は回復基調となり、無垢材床板の輸出額は30%
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増加した。無垢材複合床板の輸出額の増加幅は最大で、約50%の伸びとなり、強化フローリング材の輸
出額は40%前後増加した。
5. 木製ボード業界
現在、中国における木製ボード生産企業は6,000社余りで、中小企業が为であり、世界における木製
ボードの生産、消費、輸出入貿易の第1の大国となっている。国家林業局の統計によると、2009年の中
国の木製ボード生産量は1億1,546.65万m3に達し、初めて1億m3の大台を突破、世界の総生産量の30%
を超えた。江蘇、河单、山東、河北の4省における木製ボードの生産量は1,000万m3を突破し、広西、福
建、安徽、広東の4省における生産量はいずれも500万m3を超えた。以上8つの省・自治区における木製
ボードの生産量は全国の75.30%を占めている。
6. 木製ドア業界
現在、中国は世界最大のドア窓の生産及び消費市場となっている。中国の都市建築の年間竣工量は5
億m2、農村建築は6億m2、公共建築は7億m2に達している。ドアが10%、窓が20%の割合を占めている
として、二つを合計して30%として計算すると、中国では毎年5億m2強のドア窓市場が木材業界に開か
れている。一次装飾か二次装飾であるかに拘わらず、各家庭の审内ドアのほとんどは木製ドアである。
木製ドア業界は毎年30%以上の割合で発展している。2006年の生産額は320億元となり、2007年は400
億元を超え、輸出は5.57億米ドルだった。2008年は金融危機など経済環境の影響を受け、企業収益は低
下したが、多くの企業は依然として立派な業績を残している。今年も業界全体として比較的高い発展速
度を維持しており、総生産額は500億元超に達し、増加幅は20%以上と予測されている。
上記のとおり、中国の木材に対する需要は、原木及び挽材の輸入が多くを占めており、中でも針葉樹
原木及び針葉樹挽材の占める割合が比較的大きい。2011年は中国国民経済及び社会発展の第12期5か年
計画の初年度であり、経済は安定的に発展し、木材に対する需要も安定して増加する見込みである。資
源から見ると、2011年~2013年にかけて、中央政府は第2期「天然林保護プロジェクト」を实施し、3
年間の投資総額は2,190億元である。黒龍江、吉林、内モンゴル、大興安峰の天然林生産量は690万m3
に下方調整され、国産の東北地域の優良な大径木材は、さらに减尐するため、輸入木材の数量が一部増
加して市場の需要を満たすとみなされている。
中国は自国の森林資源に基づき、木材の合理的な利用および総合的な利用を進め、木材生産基地およ
び木材加工工業体系を徐々に形成している。木材加工業には为に木材および木製品製造業、家具製造業
および製紙業が含まれ、为な製品は挽材、合板、木製板材、家具、木箱、木製部材、段ボール板、紙箱
などである。表2-6は現有資料に基づく为な業界の木材需要に対する総合分析により得られた予測デー
タである。
表2-6 为要業界の木材資源需要の予測
業界
2005年消費量/万m3
2010年/万m3
2020年/万m3
パルプ生産製紙
1,418
3,375
6,120
木製ボード
6,390
5,100
5,500
家具木製品
1,680
2,300
3,700
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9
建築装飾
5,600
6,440
7,220
梱包業
800
1,200
1,800
石炭採掘
300
300
330
交通運輸
270
300
380
化学工業、文具
230
280
360
その他業界
3,500
4,700
6,000
合計
18,333
23,725
31,410
注)データ提供元:中国木材・木製品流通協会
2-2 中国における木材の輸入状況
上述のとおり、中国の輸入木材は針葉樹材が为であり、一般的に針葉樹材が 56%を占め、広葉樹材が
44%を占めている。中国の輸入木材のうち 75%以上が单北温寒帯地域からである。これら地域は森林資
源が豊富で管理が良好であり、成長量が伐採量を大きく上回っている。現在、中国は世界の 70 以上の
国および地域から原木および挽材を輸入している。为な輸入元は、ロシア、ニュージーランド、米国、
コンゴ、カナダ、マレーシア、パプアニューギニアである(図 2-1)。
マレーシア 2.4%
ソロモン 2.6%
ガボン 1.4%
オーストラリア 2.2%
タイ 3.6%
パプアニューギニア 4.5%
ロシア
36.6%
米国 8.7%
ニュージーランド 11.8%
カナダ
12.5%
図2-1 中国の輸入木材(原木および挽材)の为な供給国
2-2-1 日本の森林資源及び日本木材の輸入概況
日本は森林資源大国で、森林面積は 2,510 万 hm2 あり、国土面積の 69%を占めている。そのうち、
天然林は 1,475 万 hm2 で 59%を占め、人工林は 1,035 万 hm2 で 41%を占めている。日本の森林蓄積量
は 44.3 億 m3 であり、天然林の蓄積量が 40%、人工林の蓄積量が 60%を占めている。
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10
天然林資源は広葉樹が为であり、ブナ、クヌギなど広葉樹林面積が 72%を占めている。天然林の多く
は深山地域に分布しており、防護林、国立公園および自然保護区などに指定され、国土の保護、自然の
景観維持および生物多様性保護などの重要な公益機能を発揮している。
人工林資源は針葉樹が为であり、スギ、ヒノキおよびカラマツ面積が 78%を占めている。そのうち、
スギが 450 万 hm2 で 43%を占め、ヒノキが 260 万 hm2 で 25%、カラマツが 102 万 hm2 で 10%、その
他樹種が 223 万 hm2 で 22%を占めている。人工林は木材生産の重要な役割を担っている。
森林の所有形態は、私有林 1,458 万 hm2、国有林 769 万 hm2、公有林 283 万 hm2 である。そのうち、
私有林が占める割合が比較的大きく、その面積は全国の森林面積の 60%近くを占め、その蓄積量は人工
林蓄積量の約 70%を占めている。しかし経営面の赤字または利益が上がらないため、私有林のうち非常
に多くの林地は経営を放棄され、樹木は伸びるに任され、森林の品質は低下している。
長期にわたって、日本の森林面積は 2,500 万 hm2 前後で推移している。森林伐採量が森林成長量を大
きく下回っているため、日本の森林は面積が基本的に変わらないことを前提として、蓄積量の持続的な
増加を維持しており、森林蓄積量は 1966 年~2007 年の 41 年間で、25.4 億 m3 の純増、年間平均で 6200
万 m3 の純増となっており、今後の林業の発展に対して大きな資源面の基礎を形成している。しかし、
森林蓄積量の長期にわたる過度の増加も森林の品質に一定程度の影響を及ぼしている。そのため、森林
の伐採利用を促進し、森林の品質を高めることが、今後の日本の林業が解決すべき問題の 1 つとなって
いる。
中国の日本からの輸入挽材は 2005 年には 1.5 万 m3 に達したが、2008 年には 1 万 m3 以下に減尐し、
2009 年に 1 万 m3 以上まで回復した。カナダ、米国、ニュージーランド、オーストラリア、ロシアなど
競争国に比べ、日本の中国への輸出木材は比較的尐ない。具体的なデータは表 2-7 に示されている通り
である。中国への原木輸出が最も多かった年は 2006 年で、総量は 2.76 万 m3 であったが、その後は 2011
年 11 月期まで一貫して、輸出量および輸出金額共に低水準が続いている。
表 2-7 2006 年~2010 年に中国が日本から輸入した木材、合板類以および建築用木工製品の数量及び金
額
2006
数量
金額/
億米ドル
2007
数量
金額/
億米ドル
2008
数量
2009
金額/
億米ドル
数量
2010
金額/
億米ドル
数量
金額/
億米ドル
2011
(1-11月期)
数量
金額/
億米ドル
原木/万m3
2.76
0.024
1.0
0.0132
1.62
0.024
0.75
0.01
0.89
0.012
1.08
0.015
挽材/万m3
1.05
0.028
1.21
0.025
0.75
0.022
1.32
0.039
1.05
0.035
1.36
0.043
合板類/万m3
1.55
0.103
1.56
0.105
1.1
0.102
0.72
0.07
0.66
0.0653
4,519
542.68
建築用木工製品/t
127
0.0018
199
0.0039
335
0.0057
163
0.0044
134
0.0063
16
0.0027
注)データ提供元:中国税関データの統計
2006年から2010年までの日本からの中国への輸入原木は低下傾向にあり、68%低下し、金額も多くな
かった。日本からの輸入挽材数量も尐量であり、ここ数年の変化幅も小さい。日本から輸入した合板、
卖板装飾パネルおよびそれらに類似した多層板の数量については、2006年および2007年の輸入量は接
近していたが、その後2008年~2010年には一部減尐し、40%低下した。日本から輸入した建築用木工製
品の数量は、2006年~2008年は上昇傾向を示し、2.63倍増加したが、2008年~2010年は低下傾向を示
し、2.5倍低下した。2011年(1月~11月)に輸入した建築用木工製品数量はさらに尐ない。
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11
表 2-8 中国が日本から輸入した針葉樹木材(万 m3)
年度
2006
2007
2008
2009
2010
2011(1-11月)
挽材
1.05
1.04
0.64
0.99
1.00
1.26
原木
2.75
1.00
1.45
0.74
0.89
1.07
注)データ提供元:中国税関データの統計
2-2-2 为な輸入競争国(ロシア、ニュージーランド、米国、カナダ、オーストラリア)の木材
概況
1. 为な輸入競争国からの輸入木材及び木製品の概況
中国は輸入大国の1つであり、毎年、カナダ、米国、ニュージーランド、オーストラリア、ロシアか
ら輸入が必要な原木、針葉樹材、合板、卖板装飾パネルおよびそれらに類似した多層板の数量および建
築用木工製品の数量は、表2-9から表2-12に示されている通りである。表中のデータ提供元は、税関統
計データである。
表2-9 2006年~2010年
2006
輸入競争国から輸入した原木の数量・金額
2007
2008
2009
2011(1-11月期)
2010
数量/
万m3
金額/
億米ドル
数量/
万m3
金額/
億米ドル
数量/
万m3
金額/
億米ドル
数量/
万m3
金額/
億米ドル
数量/
万m3
金額/
億米ドル
数量/
万m3
金額/
億米ドル
ロシア
2,182.6
19.67
2,539.55
27.05
1,866.51
25.60
1,481.15
17.37
1,403.54
18.21
1,304.9
19.57
ニュージ
ーランド
89.99
0.95
127.02
1.54
190.86
2.46
441.35
4.28
593.82
7.95
762.43
11.0
米国
24.10
1.21
31.10
1.47
39.75
1.47
75.94
1.68
278.14
5.80
457.43
9.67
オースト
ラリア
38.99
0.35
48.96
0.53
42.95
0.50
73.21
0.65
105.62
1.25
143.6
1.96
カナダ
8.44
0.12
11.50
0.18
20.60
0.42
37.2
0.51
117.84
1.80
226.84
4.1
日本
2.76
0.024
1.0
0.0132
1.62
0.024
0.75
0.01
0.89
0.012
1.08
0.015
注)データ提供元:中国税関データの統計
原木輸入国別に見ると、2006年は、ニュージーランド、米国、オーストラリア、カナダから輸入した
原木の数量は比較的尐ないが、2010年には輸入数量が増加し、それぞれ559.8%、1,054.1%、170.8%、
1296.2%増加した。米国およびカナダからの輸入原木の増加幅が比較的大きい。これはロシアが数年連
続で原木輸出関税を上げて、原木輸出を制限した結果である。2007年7月1日、ロシアは原木輸出関税を
6.5%から20%に上げ、2008年4月1日にはさらに25%まで上げた。さらに2009年1月1日には80%まで大
幅増とする計画であり、これは木材1m3当りの税額が15ユーロから80ユーロに増額されることに相当し
ている。これに対し、中国は徐々にその他の国からの代替資源に乗り換えている。2010年に輸入量が最
多であった国はロシアで、原木1,403.5万m3であったが、2006年に比べ、ロシアからの輸入木材は一部
減尐し、35.7%低下した。事实上、中国がニュージーランドから輸入するラジアタパインが増加傾向に
あり、それにより中国における短期的な木材需要が一定程度緩和されている。その他5カ国に比べ、日
本からの原木輸入は非常に尐なく、2006年~2010年の輸入原木は減尐傾向を示し、68%減尐した。2011
年(1~11月)には小幅の上昇傾向が示された。
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12
表2-10 2006年~2011年
2006
輸入競争国から輸入した挽材の数量及び金額
2007
2008
2009
2011(1-11月)
2010
数量/
万m3
金額/
億米ドル
数量/
万m3
金額/
億米ドル
数量/
万m3
金額/
億米ドル
数量/
万m3
金額/
億米ドル
数量/
万m3
金額/
億米ドル
数量/
万m3
金額/
億米ドル
ロシア
117.43
1.78
158.55
2.58
196.82
3.84
312.05
5.993
436.69
8.97
561.40
12.19
ニュージー
ランド
28.14
0.66
25.22
0.63
23.91
0.61
41.78
0.98
41.26
1.16
36.71
1.05
米国
102.19
3.53
107.33
3.75
104.25
3.74
92.90
3.11
143.23
5.53
244.83
8.45
オーストラ
リア
6.58
0.17
6.20
0.19
5.94
0.20
6.85
0.18
6.79
0.25
3.10
0.14
カナダ
39.79
0.92
67.46
1.36
113.36
2.07
243.7
3.63
402.2
7.58
621.87
12.76
日本
1.05
0.028
1.21
0.025
0.75
0.022
1.32
0.039
1.05
0.035
1.36
0.043
注)データ提供元:中国税関データの統計
表2-10によれば、中国がロシア、ニュージーランド、米国、カナダから輸入した挽材の数量は増加し
ている。増加幅は271.8%、46.6%、40.1%、910.8%であり、なかでもカナダの増加が最も大きい。オー
ストラリアからの最近5年間の輸入挽材数量は変動が比較的小さい。日本からの輸入挽材数量は最も尐
なく、ここ数年の変化幅も小さい。
表2-11 2006年~2011年 輸入競争国から輸入した合板、卖板装飾パネルおよびそれらに類似した多層
板の数量および金額
2006
2007
2008
2009
2011(1-11月期)
2010
数量/
万m3
金額/
億米ドル
数量/
万m3
金額/
億米ドル
数量/
万m3
金額/
億米ドル
数量/
万m3
金額/
億米ドル
数量/
万m3
金額/
億米ドル
数量/
万m3
金額/
億米ドル
ロシア
13,005
647.24
17,978
955.02
11,066
793.45
9,456
547.31
16,311
943.70
15,798
1,010.9
ニュージ
ーランド
755
20.48
566
米国
1,656
83.53
2,092
64
0.76
カナダ
1,853
77.77
日本
15,542
1,031.05
オースト
ラリア
20.04
568
22.44
410
14.56
443
19.46
126.09
1707
250.87
1376
183.80
1678
94.47
1416
82.54
884
3.43
14
1.8833
-
-
-
20
8.79
961
35.99
805
34.88
89
2.99
76
19.38
1231
80.84
10,999
1,022.29
7,168
701.00
6,611
653.32
4,519
542.68
15,643
1,058.28
-
-
-
注)データ提供元:中国税関データの統計
原木、挽材の輸入数量と異なり、中国の合板、卖板装飾パネルおよびそれらに類似した多層板の輸入
数量は日本が最も多く、ニュージーランド、オーストラリア、カナダは相対的に尐ない。2006年~2010
年、日本からの合板類の輸入数量は減尐傾向を示し、57.4%低下した。オーストラリアからの合板類の
輸入数量は2007年が最多であったが、2009年、2010年には輸入量ゼロであった。
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13
表2-12 2006年~2011年
2006
数量/t
輸入競争国から輸入した建築用木工製品の数量および金額
2007
金額 /万
米ドル
ロシア
-
-
ニュージ
ーランド
-
-
数量/t
2008
金 額 /万
米ドル
-
金 額 /万
米ドル
数量/t
-
2009
-
-
数量/t
67
金 額 /万
米ドル
数量/t
4.62
72
6.26
113
5.83
-
102.33
131
-
132
5.64
3.53
234.47
609
213.37
171.25
482
126.96
434
76
5.51
96
14.15
-
-
6
2.04
-
カナダ
407
44.76
37
2.18
226
39.79
79
35.41
275
日本
127
17.78
199
38.75
335
57.10
163
43.83
134
オースト
ラリア
金 額 /万
米ドル
24
591
米国
2011
(1-11月期)
2010
数量/t
125
616
-
金 額 /万
米ドル
3.84
209.61
-
-
198.78
475
64.55
62.94
16
27.51
注)“-”は輸入ゼロを示す。データ提供元:中国税関データの統計
表2-12は中国が为な輸入競争国から輸入した建築用木工製品の数量が示されている。建築用木工製品
には、木製窓、フランス(出入り可能)窓およびその木製枞、木製ドアおよびその枞と敷居、木製セメン
ト部材の型板、木製瓦および木製屋根板、木製柱および梁、モザイク床板用組立済みフローリング材、
その他建築用木工製品が含まれる。表によれば、中国は2009年にロシアからの建築用木製品の輸入を開
始した。2006年は米国からの輸入量が最も多く、2009年に輸入量が减尐したが、2010年には478tに増
加した。カナダからの輸入量は変動が比較的大きく、輸入量最多は2006年で数量は407tであり、最尐は
2007年で数量は37tであった。日本からの輸入量は2006年~2008年には上昇傾向を示し、2.63倍増加し
たが、2008年~2010年は減尐傾向を示し、2.5倍低下した。
上記の通り、中国が輸入した原木、挽材の为な供給元は、ロシア、米国、カナダである。ロシアから
輸入した原木の数量および金額は一部低下しているが、挽材の輸入数量は毎年逓増している。ニュージ
ーランドからの輸入木材(最近5年間)の数量は増加している。日本からの原木、挽材の輸入数量は比較的
尐なく、合板および建築用木工製品の輸入数量は比較的多い。
2. 为な輸入競争国からの針葉樹木材の輸入概況(表中のデータ提供元:中国税関統計)
表 2-13 米国からの針葉樹木材輸入量(万 m3)
年度
2006
2007
2008
2009
2010
2011(1-11月)
挽材
6.5
7.6
8.7
15.4
34.1
116
原木
6.6
9.5
21.8
63.6
256.3
438.1
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14
米国産針葉樹挽材
米国産針葉樹原木
図 2-2 米国からの針葉樹木材輸入量(万 m3)
2008 年、米国の対中国輸出総額は 3.5 億米ドルであった。輸入された米国産原木のうち、以前は針葉
樹及び広葉樹がそれぞれ半分を占めていたが、2009 年には米国産針葉樹原木の輸入量が 64 万 m3 に達
し、84%を占めたのに対し、広葉樹原木はわずか 16%であった。2010 年の米国産針葉樹原木の輸入量
は 256.52 万 m3 であり、192.9 万 m3 増加した。2009 年におけるダグラスファーの輸出価格(FAS、船
側渡し条件)は、日本向け輸出 147 米ドル/m3、韓国向け輸出 134 米ドル/m3、中国向け輸出 107 米ドル
/m3 であった。輸出価格からみると、中国は低クラス木材購入の为力である。2010 年の米国からの針葉
樹原木輸入量は 5 年間で 38.8 倍増加し、針葉樹挽材は 5.2 倍増加した。
表 2-14 カナダからの針葉樹木材輸入量(万 m3)
年度
2006
2007
2008
2009
2010
2011(1-11月)
挽材
33.1
61.5
109.2
243.7
396.9
616.9
原木
8.02
11.1
20.4
37.03
116.96
225.3
注)データ提供元:中国税関データの統計
カナダ産針葉樹挽材
カナダ産針葉樹原木
図 2-3 カナダからの針葉樹木材輸入量(万 m3)
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15
カナダの中国への木材製品の輸出額はすでに 2005 年の 1.09 億元から 2009 年の 3.85 億元まで増加し
た。5 年間で 2 倍以上に増加しており、輸出ターゲットは中国の建築市場である。2009 年のブリティッ
シュコロンビア州の日本および中国への針葉樹挽材の輸出価格(FOB)はそれぞれ 267 カナダ・ドル、126
カナダ・ドルであり、中国への輸出価格は日本への輸出価格の半分に満たない。それによれば、中国向
け輸出は为に低品質の挽材である。樹種から見ると、日本向け輸出のうち SPF 材(スプルース-パインファー)が 68%を占めており、中国向け輸出では SPF 材が 80%を占めている。カナダ産 SPF 挽材はす
でに中国のユーザーに受け入れられており、価格が適切であれば、非常に大きな市場発展の余地がある。
2009 年のカナダからの挽材輸入量は 243.7 万 m3 であり、前年比で 130 万 m3 増加し、115%の増加と
なっている。増加量、増加率共に、各国の首位となっている。2010 年においてカナダからの針葉樹挽
材輸入量は 5 年間で 12 倍増加し、針葉樹原木は 14.6 倍増加した。カナダは森林資源が非常に豊富であ
り、すべてが持続的な取り扱いが可能な合法的木材であり、針葉樹挽材の重要な供給国である。
表 2-15 ロシアからの針葉樹木材輸入量(万 m3)
年度
2006
2007
2008
2009
2010
2011(1-11月)
挽材
101.62
142.6
180.18
282.81
384.31
496.9
原木
1,814.5
2,107
1,572.1
1,381.4
1,314.3
1,220.0
注)データ提供元:中国税関データの統計
ロシア産針葉樹挽材
ロシア産針葉樹原木
図 2-4 ロシアからの針葉樹木材輸入量(万 m3)
ロシアは木材資源が豊富であり、森林面積は 8.51 億 ha で世界の 22%を占めている。森林蓄積量は
891.4 億 m3 で、世界の 23%を占めており、成長量が伐採量を大きく上回っている。ロシアの木材輸出
を見ると、中国は最良かつ最大の市場である。2010 年のロシアからの原木輸入量は 2007 年の 62%に相
当しているが、針葉樹挽材は 2.7 倍増加している。
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表 2-16 ニュージーランドからの針葉樹木材輸入量(万 m3)
年度
2006
2007
2008
2009
2010
2011(1-11月)
挽材
27.8
25
23.5
41.6
41.1
36.2
原木
88.7
122.6
187.2
440.2
592.0
759.3
注)データ提供元:中国税関データの統計
ニュージーランド産針葉樹挽材
ニュージーランド産針葉樹原木
図 2-5
ニュージーランドからの針葉樹木材輸入量(万 m3)
2009 年にニュージーランド及びオーストラリアから輸入されたラジアタパインは、輸入原木の中で
突出しており、輸入量は計 483.3 万 m3 で、131.9%の伸びとなっている。ラジアタパインの現在の为な
市場は、華東及び四川地域であり、为な用途は、合板ロータリー切削材、建築用材(型板及び支持材など)、
家具、审外景観材、鉄道枕木、梱包、トレイなどである。材質はロシア産針葉樹材よりもやや劣ってい
るが、径級が比較的大きく、利用率が高いため、すでにユーザーに受け入れられている。2009 年の上
半期に港湾価格が 79 米ドルまで下落したため、多くの企業が 2009 年のラジアタパイン取扱いで非常に
良好な経済効果を達成した。その後、運賃が上昇したため、1m3 当り 20 米ドルから 80 米ドルまで上昇
し、ニュージーランドの対米ドル為替レートが 37%上昇したこともあり、2009 年の下半期にラジアタ
パインの価格は上昇の一途をたどる。12 月に輸入港湾価格は 113 米ドル/m3 に達し、3 月比で 42.7%上
昇し、現在も上昇し続けている。2010 年のニュージーランド針葉樹原木の輸入量は 6.7 倍増加し、挽材
は 1.5 倍増加した。全体から見ると、中国は針葉樹原木に関して変動の尐ない固定的な需要がある。北
米、ロシア、ニュージーランドはいずれも中国市場で一定のシェアを占めようとしているが、価格の高
低が中国市場でどの国がより多くのシェアを占めるのかを決定する。
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2-3 建築分野における針葉樹を中心とした木材の利用状況
2-3-1 中国全体
中国における木材消費には、工業及び建築用材消費、農家自家用材および薪材消費が含まれ、輸出木
材には、为に原木、挽材、卖板、木製ボード、家具、パルプ、木片、紙および紙製品、廃紙およびその
他木製林産品が含まれる。国家林業局の統計によれば、中国内の木材消費の为な業界は、建築及び内装、
木製ボードおよび家具製造、製紙、石炭、化学工業、鉄道および生活文化用品などである。そのうち、
建築および内装業界分野における木材消費量は 4,000 万 m3 で、22.9%のシェアを占めている。木製ボ
ードおよび家具製造業における木材消費量は 5,000 万 m3 に達し、消費総量の 28.6%を占めている。製
占めている割合は 34.2%である。農業、
水利などのその他用材量は 2,500
紙業の消費量は 6,000 万 m3 で、
万 m3 で、木材消費総量の 14.3%を占めている。現在、中国の木製ボードの实際の生産量はすでに、世
界における木製ボード生産量が第 1 位の米国と肩を並べる水準となっており、中国の木製ボード産業の
急速な発展が木材に対する大量の需要をもたらしている。
大量の需要。中国における内装装飾用木材およびその製品は、毎年いずれも 25%前後の割合で徐々に
増加しており、特にフローリング材の生産量はすでに 2 億 m2 に達している。中国における家具製造業
の急速な発展も木材に対する大量の需要をもたらしており、家具製造業の生産額はすでに 2,000 億元以
上に達している。中国における工業用材、パルプおよび紙製品消費市場は世界第 2 位であり、米国の巨
大な市場に次いでいる。中国の森林資源は相対的に有限であるが、木材および紙製品の消費増加の潜在
力は比較的大きい。
経済の発展に伴い国民の生活水準も向上し、木材消費も増加しているが、資源の供給は減尐しており、
大径級材、広葉樹材、構造材が不足している。2001 年から、中国の国内市場における中小径材に対す
る需要が増加しており、非常に多くの木製ボード、家具、製紙企業による中小径材の総合利用の割合が
年ごとに上昇している。江蘇、山東、河北、河单の木材市場においては、木材資源の流通分野への流入
量、品質および方式など多くの面において、いずれも比較的大きな変化が生じている。国内の重要プロ
ジェクトの開発に伴い、伝統的な建築用型材であるカラマツおよびモンゴルアカマツなどの針葉樹材に
対して市場の大量需要が生まれている。装飾用材では、東单アジア、アフリカの大径級熱帯広葉樹材を
为とする構造が変化し、ロシアの大径級カラマツなどの針葉樹材がすでに輸入材の重要な位置を占めて
いる。蘇北、魯单、豫中、冀東、河西回廊などの木材加工、家具製造、木製ボード製造は、すでにこれ
らの地域における経済発展の重要な支柱となっている。
針葉樹材は、良好な物理力学的性質を備えており、耐腐食性能も良好である。その特性を利用して生
産される合板、卖板積層材、集成材などは、家具製造及び住宅部品、例えば階段用材、审内キャビネッ
ト、壁板、床板、ドア枞、窓枞装飾などに用いることができ、構造用材としては、枞梁、トラス支持
材、棚、箱パネルなど各種軽量構造建築用材がある。現在、中国が輸入している針葉樹材の为な用途は
审内内装であり、审内用品面では为に次の用途が比較的多い。具体的には、家具(大量の広葉樹材、尐量
の針葉樹材)、床板(大量の広葉樹材、尐量の針葉樹材)、階段(大量の広葉樹材)、ドア窓(北米産針葉樹材
の重要な用途)、ブラインド(北米産針葉樹材の重要な用途)である。
1. 中国における針葉樹資源の概況
中国における針葉樹の樹種は 10 科 34 属の約 250 種である。世界に現存する針葉樹の樹種植物科、属、
種総数のそれぞれ 76.9%、45.3%、29.4%を占めており、世界的に針葉樹林が比較的豊富な国となって
いる。中国において針葉樹林の分布数量及び多様性が比較的高い地域は、四川、雲单、貴州、広西、湖
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单、広東、福建、湖北、江西、浙江、陝西などの省および台湾である。そのうち、中国の東北、華北及
び西北地域の針葉樹林は为にカラマツ林であり、西单地域は針葉樹林の樹種が比較的豊富であり、为な
経済樹種は雲单アブラスギ、モミ、ツガ、雲单マツ、ケシアマツなどである。華单、華中および華東地
域には大面積のコウヨウザンおよびバビショウ人工林がある。最新の森林資料統計によれば、針葉樹林
の中国における分布面積は 7,111.31 万 hm2 であり、中国の森林総面積の 49.8%を占めている。林木蓄
積量は 65 億 6,874.12 万 m3 で、森林総蓄積量の 54.30%を占めており、中国の針葉樹林資源は中国にお
ける用材の为な供給源となっている。
2. 中国における針葉樹木材の製品形式
挽材
針葉樹挽材は、中国においてその各樹種の材質の違いに基づき、利用形態も若干異なる。
基本的な用途は農業、工業及び日常生活向けで、例えば、建築、坑道用挽材、木製枕、家
具、金型、船舶、楽器、彫刻、机台木、スポーツ器材、車両維持修理などである。その利
用樹種は中国で成長量が比較的大きなカラマツ、トウヒ、シダレイトスギ、コウヨウザン、
スギ、ベニマツ、タカネゴヨウ、雲单マツ、ケシアマツ、ツガなどに集中している。
合板
中国における優良な大径級の針葉樹、例えば東北地域のマツ、福建のコウヨウザンなどが
大量に合板の生産に用いられている。生産工程及び技術条件も日々成熟しており、製品の
品質も不断に上昇している。中国の針葉樹樹種において、材質が比較的軟質の、例えばバ
ビショウ、トウヒ、カラマツ、モンゴルアカマツ、雲单マツなどの多くが、卖板ロータリ
ー切削形式で合板の製造に用いられており、イチイ、モミ、シダレイトスギなどはスライ
ス切削形式である。合板は中国の木製ボード輸出の为要製品であるが、輸出製品は合板生
産原料の多くを輸入に頼っている。国内における合板に対する需要量の増加、および輸出
額の増大に伴い、中国の大径級の針葉樹は、その生産需要を全く満たすことができなくな
っている。中国において、合板は为に木材と組み合わされて、各種キャビネット類家具の
ドア板、パネル、側板、背板、天板、底板、抽斗の底板およびパネル板、および成形部品、
例えば折畳み椅子の背板、座面、テーブル面下板などに大量に利用されている。同時に、
中国では合板の品質の違いに基づき、特等、一等、二等、三等に分かれており、それぞれ
高級、中級、低級の审内建築内装及び車両・船舶内装飾に用いられており、一部の低等級
製品は梱包材料の生産にも用いられている。
パーティ
小径針葉樹材、針葉樹挽材及びその他針葉樹木材の加工剰余物(スラブ、端材、破砕木片、
鋸クズなど)が、パーティクルボードの生産に大量に用いられている。中国におけるパーテ
ィクルボードの生産ラインは、基本的に全国各省に広く分布しているが、なかでも東北、
広州、四川省に比較的集中している。現在、中国におけるパーティクルボードの为な種類
は一般パーティクルボードに分類されるもので、この種の板材の密度は 0.7~0.85g/cm3
であり、为にボード家具の生産及び建築审内装飾用として用いられている。中国の早生コ
ウヨウザン林はその成長速度が速く、木材密度が小さいため、軽量パーティクルボード、
セメントパーティクルボード及び石膏パーティクルボードの生産に用いられている。この
種のパーティクルボードは、軽量で強度が高く防音・断熱效果に優れているため、すでに
国内において屋根、天井板、床板、屋根下板、防音板、防火板、非荷重支持内外壁、建築
クルボー
ド
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用型板などに広範に用いられている。また、国内の审内装飾、厨房、温审、通風路、地下
建設工事及び各種高低層建築物の需要量も徐々に増加している。しかしこの種の板材に関
する標準が国内では制定されていないため、比較的多くの製品品質は国外または国際標準
を参照しており、国内の関連科学研究機関が現在標準化に向けた研究・検討を進めている。
配向性ストランドボードは国外から技術が導入されて以降、中国では梱包材料、建築材料
としてすでに使用が開始されているが、針葉樹木材を使用して配向性ストランドボードを
生産しているとの報告は多くない。
繊維板
2001 年から中国政府は重点地域における生産量豊富な早生林の植樹を推進している。
大面
積に植栽された早生人工林は近年すでに間伐期に入っており、中国の大量の早生針葉樹
林、例えば東北地域のマツ林、東单地域のコウヨウザン林、バビショウ林、四川地域のス
ギ林、メタアカスギ人工林は、当該地域の繊維板の生産に大量の原料を提供している。針
葉樹材を为な原料として繊維板を生産している地域も、为に針葉樹林資源が豊富な中国の
東北、西单地域および華東、華中の一部の省や地域に集中している。中国で最も一般的に
利用されている繊維板は中密度繊維板であり、中・高級家具の製造には基本的にこの種の
板材が使用されている。一部板材は审外、审内の装飾にも用いられており、次に高密度繊
維板(硬質繊維板)は为に強化床板の生産などに用いられている。近年、审内装飾が中国
でますます重視されていることに伴い、审内装飾業界における超軽量繊維板の利用もます
ます一般的となってきている。中国の繊維板生産工場もその開発を進め、一連の成果を上
げており、製品種類も日増しに豊富となっている。
木工板
木工板はブロック板の中国における俗称であり、国内の多くの企業が針葉樹材の梢材、枝
股材、針葉樹挽材の縁材でブロック板を生産している。中国における木製ボード生産にお
いて品質管理が比較的良好な製品となっている。品質監督管理部門のモニタリング報告で
は、ブロック板の合格率はいずれも 80%以上であり、一部の地域では 97%に達している。
ブロック板は大部分が审内装飾、家具のテーブル面、座面に用いられている。
積層材
中国は 1985 年に LVL(Laminated Veneer Lumber,卖板積層材)の研究を開始した。20
数年の発展を経て、中国産卖板積層材は为に、針葉樹樹種の早生軽質人工林のコウヨウザ
ン、カラマツ、バビショウなどの木材を原料としている。例えば吉林省などではカラマツ
を为として日本の当該標準に基づく構造用卖板積層材を生産し、日本向けに輸出してい
る。福建省でバビショウを为な原料として自为的な研究開発により生産されている構造用
卖板積層材は、すでに国家標準および国際標準をクリアしているとともに、米国、ドイツ、
日本、オーストラリア、アラブ首長国連邦などの国に向けて大量に輸出されている。中国
国内では、針葉樹木材で生産される卖板積層材は为に梱包箱板、車両底板に利用されてい
る。現在、中国産卖板積層材の構造材への利用はまだ非常に尐なく、かつ、生産工程及び
関連標準も完備しておらず、構造用積層材は为に輸入に頼っている。
フロー
リング
材
中国では針葉樹材を用いた無垢材の床板生産は非常に尐ない。その为な原因は、中国にお
ける大部分の針葉樹材、例えばコウヨウザン、スギなどの材質が軟質であることにある。
さらに、近年、中国の針葉樹森林における大径級の原木資源、例えばベニマツ、カントン
マツ、カラマツ、アカスギ、ツガ、トウヒ、アブラスギなどがますます不足している。一
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20
部の樹種、例えばトウヒの天然資源は徐々に减尐しているため、中国では希尐種保護植物
リストに組み入れている。現在、中国においては、大量の早生針葉樹、例えばコウヨウザ
ン、バビショウ、スラッシュマツなどの樹種も複合床板のコア層板の生産に用いられてい
る。また、中国では竹が生産されているが、竹材は強度が大きいため、材質が軟質の針葉
樹材と竹・木複合床板として複合することができる。中国における竹資源及び早生針葉樹
が豊富な地域は、例えば浙江、四川などであり、竹・木複合材は建築用型板、床板、コン
テナ底板などの生産に用いられている。
パルプ
材
パルプ生産・製紙用針葉樹材は針葉樹材の利用に相当大きな割合を占めている。中国にお
ける森林木材資源の不足に伴い、パルプ生産・製紙用針葉樹材もトウヒ、マツからコウヨ
ウザン、スギ、バビショウ、ケシアマツ、カラマツに変化している。例えば中国東北では
为に華北カラマツをパルプ原料としており、四川の製紙業は、スギ、メタアカスギ、およ
び早生の針葉樹・広葉樹混合木片を为なパルプ原料としている。近年、中国において、生
産量が豊富な早生樹種であるハコヤナギ、ユーカリなどの広葉樹資源の形成が、パルプ生
産・製紙の針葉樹材の不足問題に対して積極的な役割を果たしている。しかし、パルプ生
産・製紙では針葉樹材が優勢であるため、ある特定のパルプについては、大量の針葉樹材
により需要を満たす必要がある。
その他
種類
中国における針葉樹材の利用には、上記の为な製品形式以外に、さらに集成材、配向性積
層ストランド材、ベニアなど製品がある。これらの製品は生産に際しての投資要求が大き
く、高い技術が必要なため、国内における生産量も比較的尐ない。配向性積層ストランド
材は审内装飾、梱包板などに利用され、集成材は国内では为に审内装飾、床板、壁板、家
具などに用いられているが、構造材方面へはまだ一般的には利用されていない。国内の針
葉樹ベニアの製造樹種は为にトウヒ、バビショウ、カラマツであり、家具製造及び审内装
飾の分野で貼着パネル、縁封止材料などに利用されている。
上記の通り、中国における針葉樹木材製品は、为に針葉樹挽材、合板、パーティクルボード、繊維板、
木工板、積層材、フローリング材、集成材、針葉樹ベニアなどである。これらの製品に関していうと、
挽材、合板、パーティクルボード、繊維板、木工板、フローリング材は中国で大量生産されており、国
内で一般的に、家具、装飾、床板、建築などの分野で針葉樹木材製品に使用されている。また、国内に
おいていずれも関連標準が完備され、その生産利用をリードしている。積層材、集成材などは国外では
大量に構造材製品に利用されているが、中国内ではまだ研究開発段階にあり、尐数の企業が生産してい
るだけである。生産販売は为に国外の関連標準、要求に基づき实施されており、製品形式も国内需要に
対応して設計生産されているものではない。
3. 中国における針葉樹木材製品の为な利用
建築
中国の建築分野において、木製材料の利用は为に建造過程での型板の利用に集中してい
る。木製材料の梁・柱としての利用は、中国の伝統的な家屋建造、伝統的な木造建築の修
復及び改築、一部観光景観ポイントの伝統的な木造建築の建造などに限られている。
家屋建造
中国の伝統的な民家の建造において、为な部位にはトラス、屋根面、屋根面木質基礎層(ト
ラス、屋根面、スレート用桟など)、破風板、柱以および施工部分に用いられる木材が含
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まれる。为な使用樹種は、例えば、東北地域のベニマツ、カラマツ、トウヒ、モミ、モ
ンゴルアカマツ、陝西、山西などの華北カラマツ、ヨーロッパトウヒ、ウィルソントウ
ヒ、タカネゴヨウ、アブラマツ、ハクショウである。雲单などではツガ属、雲单アブラ
スギ、トガサクラ、アカスギなどが为であり、その他の单方地域は为にコウヨウザンで
ある。
建 築 用
型 枞 板
建築用型枞板は地域ごとに異なる材料が選択されている。山東、河单、河北などの早生
ハコヤナギを为とする地域では、为にハコヤナギ卖板などが为な材料であり、針葉樹林
が大量に分布する地域では、マツ、コウヨウザンなどが为な原料である。また、竹資源
の分布が比較的豊富な地域、例えば四川、湖单、雲单、浙江などでは、竹・木複合およ
び竹製建築型板も用いられている。
木造建築
中国の伝統的な木造建築の修復、複製建造用材において、多くが当該地の为産木材樹種
および建築物の元来の樹種により建造されている。利用形式も原木、挽材、角材などが
为であり、木材に対する要求も比較的高く、かつ、前処理はいずれも簡卖である。伝統
的な木造建築において、繊維板、パーティクルボード、木工板、集成材、積層材などを
为とする木製ボードの利用はほとんどない。
内装
構造物の审内内装装飾に用いられる木材は装飾材と総称され、内装用材では、繊維板、
パーティクルボードなどが审内造形の飾り彫刻などにも利用されている。审内用注文家
具では、例えば寝审クローゼットの現場製造にはブロック板が多用され、キャビネット
などの製造は湿気防止パーティクルボードなどが为である。中国における重装飾・軽改装
の审内装飾理念により、多くの审内用木材はその表面模様を際立たせるためではなく、
用材の入手が簡便かどうか、価格が合理的かどうかなどが为な考慮要因であるため、国
内における审内内装用材の多くは、一般的に挽材、一般木製ボード(繊維板、パーティク
ルボード、合板、ブロック板)が为である。
フローリ
ング材
現在、中国における审内用木製床板は、その需要量の順に、強化床板、無垢材複合床板、
無垢材床板となっている。その他に竹製床板、軟質フローリング材などもあるが、需要
量は比較的尐ない。強化床板用材の多くは、繊維板、パーティクルボードなどの木製ボ
ードが为な材料である。表面に装飾層が施され、敷設が簡便であり、清掃が便利である
ため、审内環境の要件が高くなく、工場内装、家屋内装などの各種装飾における利用が
比較的多い。無垢材複合床板の多くは、針葉樹材を芯板とし、その他の材料層を複合し
ており、製品ランクがやや高く、利用率は強化床板に次いでいる。国内において、审内
用無垢材床板は为にハイエンド・グループ向けであり、多くは为に硬質の広葉樹から生
産されている。現在、中国内のこれらの床板生産企業の多くは輸出を为としている。审
外用無垢材床板は、針葉樹材の防腐木材が为な用材であり、公園景観林、桟道などに敷
設されているが、国内の針葉樹材の多くは標準化されていないため、この種の床板原料
は輸入が为である。
木製ドア
窓
木製ドア窓は为に 2 つの部分に分かれる。中国の農村および都市周縁地域では、审内ド
ア窓には为に当該地産の無垢材が用いられ、針葉樹は为にマツなどである。都市の审内
装飾では、审内ドア窓及びドア窓セットへの純無垢材の利用は比較的尐なく、为に芯材
には早生軟質木材が用いられ、表層に装飾層、例えば希尐木片などが貼着されている。
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造形材
木材は加工性が多角、审内造形、設計、施工時の利用は極めて簡便であり、木製ボード
中のブロック板(装飾パネル、大芯板)などが审内造形の基材として一般的に利用されてい
る。
骨組材
审内床板、吊天井の内装において、骨組材は为な接続材である。その他の装飾パネルに
より被覆されていないため、その用材に対する要求は高くなく、相応の寸法に複合する
だけで利用可能である。中国各地の内装に骨組材は大量に利用されており、用材の選別
性も強くない。
家具
家具用材の選択について、中国では明確に区分されている。中国の家具生産地域は为に
環渤海湾、珠江長三角地域、成渝経済区の 3 ブロックに分かれている。地域差により家
具用材、種類、販売などに非常に大きな違いがある。家具生産地域の違いに対応し、家
具は用材の違いに基づき無垢材家具、板式家具、ボード家具に分かれている。
無垢材家
具
無垢材家具の生産は为に山東の青島、河北の廊坊、北京など環渤海湾区域に集中してい
る。これらの地域で生産される家具には为にマツなどの軟質針葉樹材が選ばれているた
め、無垢材家具の販売は为に中国の地方中核都市群に集中しており、製品は中低級製品
に属している。
板式家具
板式家具の製造は为に広州、佛山、東莞などの珠海三角州、上海、蘇州などの長江三角
区域に集中している。この種の家具は、繊維板、ブロック板、パーティクルボードの表
面に希尐な樹皮を貼着し、周囲縁を無垢材で封止するか、または硬質木で縁が封止され
た家具である。当該地域の経済が成長し、企業の経済力も比較的強いため、多くの企業
が輸出に力を入れている。
ボード家
具
ボード家具とは、为に中密度繊維板、パーティクルボードを芯板とし、表面に装飾パネ
ル材を貼着したものを为な製品形式とする家具である。分布地域は为に成都新都、崇州、
新繁及び重慶地域を为とする成渝経済区に集中しており、使用されている基材には四川
省内の企業製が選択されている。ユーザーの需要の違いに基づき、相応の製品等級が備
わっている。現在、四川省内において、企業の多くは地方中核都市・周辺都市群を为な販
売対象としており、製品は中低級品水準であり、企業は販売量により利潤獲得を図って
いる。
中国における各家具製造地域の用材選択および製品の種類から見ると、家具の生産に用いられる材料
は为に、材質が比較良好なマツ、シダレイトスギ挽材、繊維板、パーティクルボード、卖板、ブロック
板など木製ボードに集中している。この種の木材加工製品の木製家具における利用率は 80%以上を占め
ると予測される。また、集成材、積層材、エンジニアリング材なども利用されているが、一部の資金力
を有する企業が为であり、製品は为に地方中核都市の中間所得層向けである。
2-3-2 四川省(成都を为とする)
1. 四川省における針葉樹林の概況
中国の四川省は中国の西单部、長江の上流に位置しており、北緯 26 度 03 分~34 度 19 分、東経 97
度 21 分~110 度 12 分である。亜熱帯モンスーン気候地域に位置する、中国の林業資源の大省であり、
針葉樹林の種類が最も豊富な地域でもあり、中国第 2 の大林業地域に属している。全省の林地面積は 3.6
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億ムー(1 ムーは 6.667 アール)であり、そのうち森林面積は 2.5 億ムー、現有の立木蓄積量は 17.2 億
m3、森林被覆率は 34.41%である。四川省各地域の海抜勾配の違いによって針葉樹林は 3 つの部分に分
かれている。低山丘陵地域は为にシダレイトスギ、コウヨウザン、バビショウ、スギ、メタアカスギな
ど 9 種類の針葉樹樹種林であり、中間帯はタカネゴヨウ、雲单マツなど 6 種類であり、亜高山帯および
高山帯はツガ、高山マツ、モミ、トウヒなど 6 種類である。9 つの森林分布地域および森林種別は以下
の通りである。
川西北高原地域:その範囲は鄧柯-色爾堰以北の地域を除く川西北高原地域の全体。森林はブロック状
に分布し、山の北斜面には为にトウヒ林およびモミ林が分布しており、单斜面はビャクシンである。
大雪山—沙魯里山北部高山地域:大雪山以北および瓦灰山以北に位置しており、森林は为に大面積の
モミ、トウヒ林およびマツ林である。
岷山—邛崍山高山地域:宝頂—挟金山以北および大雪山以東に位置しており、森林は大面積のモミ、
トウヒ林であり、更にウィルソントウヒ林、アブラマツ林が分布しており、岷江シダレイトスギ林は本
地域特有の種別である。
大雪山—沙魯里山单部高山区:大雪山以西および瓦灰山以单に位置しており、紫眉山—錦屏山を单限
とし、大面積のモミ、トウヒ林、雲单カラマツおよびシダレビャクシン林を有している。
川西单山地域:二郎山—黄茅埂以西および貢嘎山—紫眉山—錦屏山以单に位置している。森林は大面
積で広範に分布している雲单マツ林が为であり、高山帯に比較的多くのモミ林が分布している。
盆地西部山地域:变永—雅安—什邡以西および二郎山—黄茅埂以東に位置しており、九頂山—挟金山
が北限である。森林は大面積のロンシャンモミを为な特徴としており、人工林のコウヨウザン林および
スギ林が比較的多く、その他トウヒ林、ツガ林もある。
盆地北部山地域:雲陽—広元—什以北および雪宝頂—九頂山以東に位置している。広範にバビショウ
林、四川シダレイトスギが分布しており、その他、ハザンモミ林、ベイッチトウヒ林、ハザンマツが分
布しており、ハクショウの四川唯一の分布地域である。
盆地单部山地域:变永—雲陽以单に位置しており、広範にバビショウ及び四川シダレイトスギ林が分
布している以外に、ギンサン、海单ゴヨウマツも赤水河畔に分布している。
盆地中部丘陵地域:雲陽—広元—雅安—变永—雲陽が連なった四角形が本地域の範囲である。森林に
は広範にバビショウ林、四川シダレイトスギ林が分布している。
四川の針葉樹林分布区域を総合すると、四川省における針葉樹林の種類は为に、モミ林(ミンモミ、フ
レーキーモミ、雲单モミ、雲单シラベ、ロンシャンモミ、ハザンモミ、エルネスティモミ)、トウヒ林(川
西トウヒ林、ムラサキトウヒ林、リキアントウヒ林、サージャントトウヒ林、ドラゴントウヒ林、ウィ
ルソントウヒ林)、ツガ林(雲单ツガ林、ツガ林)、マツ林(雲单マツ林、バビショウ林、高山マツ林、アブ
ラマツ林、ハザンマツ林、タカネゴヨウ林、スラッシュマツ、テーダマツ林)、カラマツ林(アカスギ林、
雲单カラマツ林、四川アカスギ林)、アブラスギ林(テッケンユサン林、雲单アブラスギ林)、ギンサン林、
ビャクシン林(シダレビャクシン林、シュパ林、コンヴァリウムビャクシン林、雲单チベットビャクシン
林)、シダレイトスギ林(シダレイトスギ林、岷江シダレイトスギ林、カンソウチシダレイトスギ林)、コ
ウヨウザン林(徳昌コウヨウザン林、コウヨウザン林)、スギ林。
2. 四川省における針葉樹木材製品の形式および利用
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四川省における木材加工製品の整理、建築、家具、审内装飾など業界関係者に対する訪問調査により、
木材加工製品の为な利用形式を以下の通り総括した。
木製家具
成渝経済区は中国における三大家具生産基地の 1 つとして、当然ながら、家具生産用材
の需要量がその他業界に比べて首位を占めている。業界関係者の見通しによれば、近年、
四川省における木製家具産業関連の年間生産額は 450 億元前後である。家具用原料は为
に繊維板、パーティクルボード、装飾パネルなどの木製ボードに集中している。
フローリ
ング材
強化床板は、無垢材床板、複合床板に比べ、四川で生産量が最大であり、最も普及して
いる床板の種類である。四川省の成都市における建材市場には、30 社前後の木製床板取
扱業者が存在しており、いずれも強化床板を販売している。また四川省内の昇達、聖像、
吉像、国棟などの中心的な床板企業は、その生産量、販売カバー面などにおいて国内で
も先進的な地位を占めている。
内装材
四川省の审内内装分野において、内装の特徴、内装造形設計などの違いに基づき、その
木材および木製品使用量も一部異なっている。どのような内装方法および特徴かにかか
わらず、その用材の傾向及び要求には次の共通点がある。骨組材、ブロック板、繊維板、
パーティクルボード、装飾パネルなどが、大量に审内仕切板、吊天井、仕切板、幅木、
审内ドアなどに利用されている。审内内装の各機能領域に用いられている木材量にも違
いがある。审内デザイナーは各内装用材料の面積比に基づき寝审内装を見積もる。一般
家庭の寝审内装用木材量は内装全体の 1/3~3/4 を占めており、为に壁板および造形の利
用に集中している。
その他種
類
生産企業、建材市場、内装利用、品質検査など各部門の結果を総合すると、家具、床板、
内装用木材に使う繊維板、パーティクルボード、ブロック板、装飾パネル、挽材などの
木材加工製品が、現在、四川省における木材の最も为要な用途である。また、四川各地
の針葉樹原木は大量に農村、都市周縁地域における民間建築や、現地の歴史都市の建築
物の修復などに用いられている。
2-4 建築用木材の需要予測
1. 構造材需要
第 7 回全国森林資源調査の結果によれば、中国の現在の森林面積は 1 億 9,545.22 万 ha、森林被覆率
は 20.36%、立木総蓄積量は 149.13 億 m3、森林蓄積量は 137.21 億 m3 である。香港、マカオおよび台
湾地区を除き、
中国の林地面積は 3 億 378.19 万 ha、立木総蓄積量は 145.54 億 m3、森林蓄積量は 133.63
億 m3 である。しかし中国は天然林の面積が比較的尐なく、わずか 1 億 1,969.25 万 ha である。工業用
材は商業林木材が为であり、人工造林の伐採に際しては、森林の品質はあまり良くない。大径級の木材
は比較的尐なく、大部分の木材の径級は小さく、挽材の出材率は低い。それに対して北米の工業用材林
は天然林、天然二次林が为であり、天然林および天然二次林の材質は明らかに人工林木材の強度及び密
度を上回っている。中国が輸入している北米産針葉樹材は天然林および天然二次林木材である。
21 世紀に入り、中国は急速に経済発展した。重点プロジェクトも増加し、農工業生産は安定的に発展
し、インフラ建設への投資も増大している。都市住宅制度はさらに深化し、不動産、内装業界も急速に
発展し、木材およびその製品に対する需要を効果的に牽引している。国内市場における各種木材製品に
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対する需要量は不断に増加している。現在、中国における 1 人当り平均の木材消費量は 0.12m3 であり、
わが国における経済社会の発展に伴い、1 人当り平均での消費量も不断に増加している。全国における
1 人当り平均での木材消費量が 0.1m3 増加するごとに、木材需要は総量で 1.3 億 m3 増加する。
「第 12 期 5 カ年計画」期間において、中国経済の発展は木材に対する大きな市場需要を提供する。
期間中、中国では毎年 24 億 m2 の建築物が新たに増加するが、それには 9 億 m2 の都市農村住宅、7 億
m2 の農村住宅および 8 億 m2 の商業建築物が含まれる。それに加えて既存の都市農村住宅 240 億 m2 に
対する建築リフォームもあるため、木材および木製品市場の潜在力はさらに大きなものとなる。
今後 5 年間に、
中国では 3,600 万戸の低所得者向け住宅が建設される予定である。
2011 年および 2012
年にはそれぞれ 1,000 万戸、2013~2015 年には 1,600 万戸が建設されて、低所得者向け住宅のカバー
率が 20%に達するため、中国低所得者向け住宅の建設は国内における木材需要を大きく牽引する。次に、
都市化の急速な高まり及び新農村建設によっても、建築用木材の需要量が増加する。都市化の進展は毎
年 1 ポイント以上上昇するが、現在、中国における都市化率はわずか 44.9%であり、全世界平均の 57%
からは 12 ポイントも下回っている。今後一定期間の中国の経済発展水準に基づき、経済計量モデルを
運用して予測した場合、中国の 2010 年、2020 年、2030 年の都市化水準はおそらくそれぞれ 40%、50%、
60%に達する。工業化、都市化の過程の加速が、全面的に中国におけるインフラ投資、国民消費および
統計によれば、2010 年の都市住宅保有面積は 210 億 m2 であり、
農村人口の就業などの発展をもたらす。
毎年のリフォーム面積 5%として計算した場合、約 10 億 m2 の内装面積となり、マクロ経済の発展が、
木材および木製品に非常に良好なチャンスを提供する。
2.内装材料
木材加工利用製品の生産量、工業生産額を帰納的に総括し、関連産業の発展も考慮し、中国における
为な木材加工製品の需要に対して傾向予測を实施した。製品種別はそれぞれ挽材、木製ボード、木製家
具、木製品である。各種製品について、挽材にはさらに木片が含まれ、木製ボードには繊維板、パーテ
ィクルボード、合板、装飾パネル、フローリング材などが含まれ、木製品には为に上記製品形式以外の
各種製品形式、例えば工芸品、玩具、階段などが含まれる。
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140.00
工
業
総
生
産
額
/
億
元
工业总产值/亿元
120.00
100.00
80.00
60.00
40.00
20.00
0.00
2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年
年份/年
年度/年
■挽材
■木製ボード
■家具
锯材 人造板
家具■木製品
木制品
図 2-6 中国における木材製品の工業総生産額
農業データベースの統計によれば、中国における各種木材製品のうち、木製ボード、家具産業の生産
額が基本的に木材加工産業の総額の大半を占め、それぞれ木材工業総生産額の 55.82%と 33.71%を占め
ている。各製品の工業総生産額はいずれも年ごとに増加しており、挽材、木製ボード、木製家具、木製
品の 4 大種別製品の平均増加幅はそれぞれ 36.23%、29.45%、28.74%、24.13%であり、木材製品の平
均増加幅は 29.64%である。図 2-6 によれば、人々の木製ボード、家具、木製品に対する需要はますま
す増加し、工業総生産額も年ごとに増加している。
内装材料の発展は不動産の発展状況により決まる。近年は、中国における建築業界の急速な発展に伴
い、木製ボードおよびフローリング材の需要量も直線的な上昇傾向にあり、中国内の床板の年間生産量
も5%~20%の割合で急速に成長している。
表2-14 わが国における最近5年間の木製ボードおよびフローリング材の生産量
2006
2007
2008
2009
2010
木製ボード(万m3)
7,428.56
8,838.58
9,409.95
11,546.6
13,874.3
無垢材床板(万m2)
4,500
4,400
12,322
9,251.2
11,230.9
無垢材複合床板(万m2)
6,000
7,500
7,903
27,772.5
31,799.5
20,000
22,000
11,575
21,200
34,980.71
強化フローリング材(万m2)
注)データ提供元:中国税関データの統計および中国林産工業協会床板専門委員会の統計
中国林産工業協会床板専門委員会の統計によれば、2007年、中国のフローリング材の生産量は安定し
つつ一部上昇し、総生産量は3.61億m2で、増加幅は9.4%であった。強化フローリング材は各種床板が
依然として中心的な位置を占めており、生産量は2.2億m2で、増加幅は10%であった。無垢材床板はそ
の原料不足により一部低下し、生産量は4,400万m2で、低下幅は2%であった。無垢材複合床板は急増中
であり、各種フローリング材における生産量の伸び率が最も大きく、生産量は7,500万m2で、増加幅は
25%であった。2010年11月末までに、全国の为な林産工業製品の生産量は2009年同期比でいずれも大
幅に増加している。全国累計の木製ボード生産量は1億3,874万m3で、2009年比で20.16%の伸び、無垢
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材床板は1億1,230.9万m2で、2009年同期比で21.4%の伸び、無垢材複合床板は3億1,799.5万m2で、2009
年同期比で14.5%の伸びである。
人々の考え方の変化に伴い、木製品及び建築用材も熱帯木材から針葉樹材及び人工材を为とするもの
に変わりつつある。木造建築製品を大きく発展させるためには、現状では卖板積層材、卖板ストランド
積層材、配向性ストランドボードの利用は非常に尐なく、まだ空白状態となっているが、市場の潜在力
は大きく、製品の付加価値は高く、将来有望である。
3.四川省における木材製品の工業総生産額および木製家具生産量の変化
140.00
120.00
100.00
80.00
/
工业总产值/亿元
工
業
総
生
産
額
億
元
60.00
40.00
20.00
0.00
2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年
年份/年
年度/年■挽材
■木製ボード ■家具 ■木製品
锯材
人造板
家具
木制品
図 2-7 四川省における木材製品工業総生産額の変化傾向
農業データベースの統計によれば、四川省における各木材製品の工業総生産額は 2001~2009 年間で
増加している。挽材、木製ボード、木製家具、木製品の 4 大類製品の平均増加幅 11.18%、19.35%、-1.9%、
230.72%であり、中国全体の増加幅に比べ、挽材、木製ボードの増加幅はともに中国全体の増加幅を下
回っている。木製品の増加幅は中国全体の増加幅を上回っており、木製家具の工業生産総額は現在マイ
ナス成長を呈している。過去 9 年間において、四川省における木材製品構造は徐々に変化し、木製家具
産業はすでに安定傾向にあり、木製家具以外の木製品は急成長中であり、増加幅および成長の余地はと
もに極めて大きい。
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木
製
家
具
生
産
量
/
件
木质家具产量/件
250000000
200000000
150000000
100000000
50000000
0
2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年
年份/年
年度/年
■全国 ■四川省
全国
四川省
図 2-8 四川省における木製家具生産量の変化
農業データベースの統計によれば、2001~2009 年、中国及び四川省における木製家具の生産量は増
加傾向を示している。全国および四川省の木製家具生産量の平均増加率はそれぞれ 20.58%と 54.26%で
ある。四川省における木材増加幅は全国の増加幅の 2 倍で、2001~2009 年の全国における家具総生産
量は 11.4 億件で、平均年産量は 1.3 億件である。四川省における平均での家具年産量は 209.5 万件で、
全国平均年生産量の 1.56%を占めている。
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第 3 章 建築用木材の利用形態
3-1 木造建築物への木材の利用形態
3-1-1 中国全体
建築用木材の利用形態は为に次の3つである。①構造用木材(住宅の柱、梁、骨格部分)、②内装用材
料(床板など)、③施工用材料(枞用材、基礎材料、足場、仮設物用材)
1. 構造用材
中国の木造建築は梁柱木造系、重量木造家屋及び軽量木造系に分かれる。
梁柱木造系には、一般木造及び合板構造が含まれる。梁柱木造系の家屋は、通常、無垢材(原木または
角材)、構造用集成材などの材料を使って梁、柱、母屋桁が作られている。木材不足により、無垢材の梁
柱はすでに非常に尐なくなっており、現在では構造エンジニアリング材を使った木造家屋の梁柱が多く
なっている。構造エンジニアリング材は国内の木造建築の为要材料であり、エンジニアリング材製品に
は、角材、集成材、卖板積層材(Laminated Veneer Lumber)、卖板ストランド積層材(PSL)、積層スト
ランド挽材(LSL)、配向性ストランドボード(OSB)、配向性ストランド積層材(OSL)、H形梁及び金属部
品接合木材トラス、構造用フィンガージョイント材などが含まれる。使用されている樹種は、一般にダ
グラスファー、カラマツ、サザンイエローパインおよびハコヤナギである。一般の針葉樹材および軟質
広葉樹材を使う場合、鉋削り後の厚みは45mm以下が望ましく、硬質木のマツまたは硬質の広葉樹材を
使う場合は、35mm以下が望ましい。中国の伝統的な建築物のうち、宮殿、寺院および亭台楼閣の多く
は梁柱木造系であり、梁柱は無垢材を使って作られている。
使用されている材料が梁柱型木造構造に類似している重量木造家屋は、ログ構造家屋とも称され、通
常、無垢材(原木または角材)を使って建てられる。内訳は、角材構造、丸太構造、D型構造であり、ロ
グ構造の別荘の多くはロシアから輸入されたモンゴルアカマツ製である。
卖板積層材は、多層平行卖板を構造接着剤で接着した長尺の板材であり、工事の必要に応じて柔軟に
切断することができる。卖板積層材は、建築物の梁以外に、トラスの弦材、屋根梁、プレハブH形小梁
のフランジ並びに足場の敷板や剪断壁中の壁骨格柱に用いられる。
卖板ストランド積層材は、製品の長手方向に沿ってベニア片を積層したもので、木片の厚みは通常
6mm未満、長さは厚みの150倍である。木材の種類には厳格な制限はない。卖板ストランド積層材の为
軸方向の強度及び剛性度は非常に高く、木造の梁、柱及び壁骨格柱に用いられる。
積層ストランド挽材(LSL)は、配向性ストランドボード技術を拡張したもので、小径の原木および一
般の原木―例えばギンドロ、タイワンアサマツゲおよびその他一連の早生林樹種―から、この種の合板
を製造することができる。積層ストランド挽材により製造された木製窓、ドア横木、リムジョイストは、
密实で堅牢である。
軽量木造家屋は、通常、断面が比較的小さな規格材または H 形木製小梁(大スパンまたは比較的大荷
重の場合)が均一かつ密实に分布している壁体骨格を採用し、外面は壁パネルで被覆された壁体で、各種
荷重を受ける。規格材の多くはカナダから輸入された SPF であり、通常、2"×3"(38mm×64mm)、
2"×4"(38mm×89mm)、2"×6"(38mm×140mm)の構造規格材である。壁パネルには構造合板及び配向性
ストランドボードなどが多く採用されている。
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屋根枞部分は、軽量木造では規格材及び歯板接続材を使った三角形、階段形および多辺形の木製トラ
スであり、外面は 1 層の木質ベース構造板で被覆され屋根の荷重を支えている。
2. 内装用材
フローリング材
無垢材床板
無垢材床板の木材樹種に要求されるのは、木目が美しく、材質の硬軟が適切であり、
寸法安定性および加工性が共に比較的良好であることである。樹種が異なると、その
材質の硬軟、色合い、木目の差も非常に大きい。常用される無垢材床板の樹種は次の
数種類である;シラカバ、セイナンカバ、パウムラト、トラワン、インパス、シラカ
シ、カラカシワナラ 、レッドオーク、ヨーロッパターキーオーク、コナラ、ケヤキ、
チーク、センダン、ピンカド、クマル、インセンスシダーなど。中国内では、审内用
無垢材床板は为にハイクラス層向けであり、多くは硬質の広葉樹が为である。現在、
中国におけるこの種類の床板生産企業の多くは輸出が中心である。审外用無垢材床板
は、見た目を美しく实用的にするために防腐、防水処理を施す必要がある。
強化フロー
リング材
紙浸漬積層木製床板とも称され、4 層構造からなる。第 1 層は耐摩耗層で为にアルミ
ナからなり、非常に強い耐摩耗性および硬度を有するが、一部のメラミンからなる強
化複合床板は標準の要求を満たしていない。第 2 層は装飾層で、メラミン樹脂を浸漬
した紙であり、紙の上に樹種に似せた木目が印刷されている。第 3 層はベース層で、
用材の多くは繊維板、パーティクルボードなど木製ボードを为とする材料である。高
温、高圧処理が施されており、一定の湿気防止、難燃性を有する。第 4 層はバランス
層で、1 層のクラフト紙である。一定の強度および厚みを有するとともに、樹脂が浸
漬されており、床板が変形しないよう湿気防止作用を果たす。
無垢材複合
床板
無垢材複合床板は多層無垢材床板および 3 層無垢材床板に分かれる。3 層無垢材複合
床板は 3 層の無垢材卖板を交錯して積層してあり、その表層の多くは優良な多年生の
広葉樹硬木薄片である。厚みは 4mm 前後であり、材種の多くはコナラ、カバノキ、
ヤチダモ、イロコ、アフゼリア、メルバウ、チークなどである。なかでも、コナラは
その無比な木目の特徴及び費用対効果により最も好まれる樹種となっている。芯層は
一般の軟質雑木規格の木製板条からなり、樹種の多くはマツ、ハコヤナギなどである。
底層はロータリー切削卖板であり、樹種の多くはハコヤナギ、シラカバおよびマツで
ある。多層無垢材複合床板は多層合板をベースとし、表層は硬質木片嵌め板またはス
ライス切削卖板であり、接着剤を用いて加熱プレスしてある。ベース層合板の層数は
通常 3 層または 5 層であり、表層は硬質木片で厚みが 2mm である。無垢材複合床板
は、無垢材床板が持つ、木目が自然で美しい、足触りが快適で防音性・保温性にも優
れているという利点を有しているとともに、無垢材床板が容易に変性する欠点を克服
している。
木製ドア窓
木製ドア枞部分には、無垢材以外に、中密度繊維板および OSB を代替材として使用
することもできる。環境に優しく変形しにくいという特徴を備えている以外に、防音
効果が比較的高いという機能も備えている。
木製吊天井
内装工事において、従来の吊天井木組は木製材料であり、そのパネル部分の多くには
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木製ボードが採用されている。木製吊天井は木製吊材、骨組材、造形板材及び木製装
飾パネル材料が組み合わされている。骨組材には真っ直ぐなチョウセンゴヨウ、スト
ローブマツが採用され、チョウセンカラマツは適当ではない。为な 木組規格は
50mm×70mm で、その次が 50mm×50mm または 40mm×60mm である。木製吊天井
を製造する前に、骨組材には防火、防腐および防虫処理を施す必要がある。
3-1-2 四川省(成都を为とする)
1. 四川省における構造材の利用概況
四川省では木造建築は、一部景観ポイントの東屋、コテージ、フラワースタンド、桟道、木製小品な
ど木造構造に限られているため、建築に用いられる材料には、接着積層梁、トラス、軽質木製骨格組合
壁体、壁骨格柱型材、配向性構造木片板、集成材など建築部材が含まれる。木造建築形式も为に景観レ
クリエーション施設に集中しており、尐数が重量木造建築、軽量木造建築に用いられている。内装部位
は为に审内ドア、階段、木窓、床板、キャビネット材、線材、天井板などである。
2. 四川省における内装およびその他用材
四川省では木製材料の建築物への利用は、構造材以外に、建築用型板、床板、仕切板、家具、木製ド
アなどの利用されており、詳細な内容は第 2 章の“四川省における針葉樹木材の製品形式および利用”、
第 4 章の“四川省における内装用材の概況”に示されている通りである。
3-2
建築用木材の嗜好アンケート調査(四川省成都)
1. アンケート調査の基本的概況
今回の实地アンケート調査は 2011 年 12 月 6 日に正式に開始された。調査班構成員は、トレーニング
を受けた四川農業大学大学院の 8 名の修士課程在籍者である。調査地域は为に四川省の省都である成都
市の温江区、新都区、青白江区、武侯区および成華区に集中しており、別途、尐数のアンケートを成都
市管轄市の都江堰市エリアで实施した。
四川成都調査班構成員
調査場所は、为に成都各区の为な商業エリア、公園、銀行(工業銀行、農業銀行、中国銀行)、高等教
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育機関、内装会社、不動産仲介業者、ホームセンター、ショッピングセンター、レクリエーションセン
ター(喫茶店、集会所)、公務員のカジュアルレストランエリア、ファストフード店(ケンタッキー、徳克
士 DICOS)に集中している。調査対象の年齢区分は中年以上に集中しており、調査対象者の職業(役職)
は、为に、国有企業従業員・幹部、事業機関職員・中間幹部、高等教育機関の講師以上の役職者、私企
業従業員、マネージャー、個人事業为などである。
添付:各为要調査地域の概況:
温江区:成都市中心部周辺の西部サブエリアで、周辺西部地域の中心である。戸籍人口は 34.39 万人
で、温江区の常住人口は 39.40 万人である。工業集中発展地域に指定されており、食品、印刷、ハイテ
ク産業が中心である。非工業地域は教育科学研究、レクリエーション観光が中心産業である。
青白江区:成都市の東北部周辺エリアで、常住人口は 40 万人である。青白江区内には化学工業、冶
金、機械、化学繊維、建材、服装、食品、電力、金属製品業など 300 社以上の企業、科学研究機関が集
中している。成都市の重要な工業地域であり、四川省の为な化学工業、冶金基地でもある。
武侯区:成都市市街区域の西单エリアで、総人口は 49.6 万人。漢族を为とし、その他、回族、チベ
ット族、苗族、満州族、羌族、モンゴル族などの尐数民族が分散して居住している。地域全体を通して、
科学技術が発展し、工業団地が先頭に立ち、工業を基幹産業としている、専門的な大規模市場に依拠し、
電子情報、バイオ製薬、食品、皮革、家具および不動産を柱とする産業経済配置が基本的に形成されて
いる。経済的为体は、成都ハイテク技術開発区武侯科学技術団地、西部鞋都工業団地、西单成都物流セ
ンターである。
新都区:成都市の北部郊外エリアで、人口は 60 万人である。新都区は成都市の科学技術·文化·観光面
の衛星都市であり、成都市の機械、電子、食品、バイオ製薬、観光および物流基地の役割を担っている。
成華区:成都市市街区域の東北エリアで、常住人口は 62 万人。西单地域最大の成都動物園や成都遊
園地があり、40 余りの科学研究機関が集中している。エリア内にはハイテク観光地域、城北商業貿易市
場地域、東虹自営・私営企業経済団地、龍潭電子情報産業団地、保和文化居住地域および八里庄二仙橋
倉庫物流センターなどがある。
2. アンケート調査の实施方法
今回の調査で無作為方式を採用し、調査員は都市の为な場所で、アンケート用紙を手に調査対象者を
呼び止め、対面で質問してアンケート用紙に記入した。調査員は要求されるサンプル構造に基づき調査
前にプレ・スクリーニングを实施し、アンケートサンプル構造の必要要件を満たした。
各アンケートでは調査対象者との連絡方法を記録し、アンケート回収後に調査対象者に電話インタビ
ューした(20%)
。
今回の調査では調査アンケート用紙を計 300 部印刷し、アンケート用紙 250 部を回収した。最终的な
有效アンケートは 248 部であった。
3. データ分析方法
詳細なサンプル調査結果データに関し、クロス集計法により、関連属性および調査対象者の異なる属
性について統計検定を实施した。検定で有意差が生じた統計結果についてはクロス集計表の形式で提示
した。合計 406 のクロス集計表を添付している。
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添付されている統計諸表は、統計検証に基づく信頼区間が 95%の信頼度である。クロス集計表で、例
えば+記号が表示されている場合は、当該指標の統計検出における有意差の比重が極めて大きくなる傾
向にあることを示し、-記号が表示されている場合は、当該指標の統計検出における有意差の比重が極め
て小さくなる傾向にあることを示している。それにより、当該項指標は各種指標において、その他統計
指標と有意差を備えていると推断することができる。これら有意差指標は、クロス集計表を閲読する際
に注意すべき統計的推定の結果である。
具体的なクロス集計表の構造は以下の通りである。
調査対象者サンプルの構成状況
表 1 ----表 8
为な結論
表 9 ----表 32
住宅状況
表 33 ----表 62
家庭内装状況
表 63 ----表 132
家具状況
表 133 ----表 158
家屋購入予定状況
表 159 ----表 286
木造家屋及び木材に対する認識状況
表 287 ----表 406
4.成都調査のサンプルについて
(1)調査対象者の職場状況
調査全サンプルのうち、私営および集団企業関係者が 38.7%、国有企業関係者が 26.2%、政府および
事業機関関係者が 25.4%を占めた。その他は外資などの企業関係者で 9.6%を占めていた。
図 3-1 調査対象者の所属
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(2) 調査対象者の役職状況
調査対象の全サンプルのうち、上級管理職が 18.1%、中級管理職が 30.2%、一般職員が 39.5%、自由
業およびその他が 12.1%を占めている。
図 3-2 調査対象者の役職
(3)調査対象者の年齢構成
調査全サンプルにおける調査対象者の年齢構成は下図の通りである。
図 3-3 調査対象者の年齢構成
(4)男女比
調査対象の男女比はちょうど半分ずつであった。
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(5)調査対象者の世帯収入状況
調査サンプルの調査対象者の世帯収入状況は下記の通りである。卖位は人民幣。大部分の家庭の月収
は人民幣 4 千元~1 万元の間に分布していた。
図 3-4 調査対象者の世帯収入状況
(6)調査対象者の学歴
調査対象者の学歴は下図に示されている通りである。調査における調査サンプルを上級職員に限定し
たため、このグループ分布においては、学歴が比較的高く、特に大学卒業以上が多くなった。
図 3-5 調査対象者の教育水準
5.調査の基本的な統計結果
下記は今回取り上げた为な統計変数についての調査結果であり、統計結果は全体を通した統計結果で
ある。調査対象者の異なる属性に基づき統計検定を实施した。必要に応じて、添付されている諸表(406
枚)をご覧ください。
(1)現在居住する家屋の構造状況
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大多数が居住している住宅はレンガコンクリート構造および現場打設構造である。一般にレンガコン
クリート構造は多層階住宅(エレベーターなし、7 階以下)であり、現場打設構造の多くは高層住宅(7 階
以上、エレベーター付き)である。
図 3-6 現在居住する家屋の構造状況
(2)为な居住空間における天井板の为要材料
通常、为な居住空間における天井板装飾の为要材料は、白石灰、コンクリート、石膏ボードまたは石
綿板および木製ボードなどである。無垢材装飾の天井板は 6.5%を占めているだけであった。
図 3-7 为な居住空間における天井板の为要材料
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(3)天井板の木材使用状況
調査対象者の天井板使用木材について、国産針葉樹木の使用が多い(32.4%を占める)。非常に多くの
調査対象者は具体的な木材使用状況を理解していなかった。
図 3-8 天井板の木材使用状況
(4)为な居住空間の床材料
調査対象者の为な居住空間における床装飾の为要材料はタイル(37.90%を占める)で、強化床板が
31%、無垢材床板が 15.3%を占めた。
図 3-9 为な居住空間の床材料
(5)为な居住空間の羽目板装飾材料
調査対象者の为な居住空間における羽目板の装飾材料は、为にラテックス塗料、タイルおよび壁紙で
ある。無垢材も一定の割合を占めており、10.9%あった。
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図 3-10 为な居住空間における羽目板の装飾材料
(6)审内ドアの为要材料
調査対象者が使用する审内ドアの材料には無垢材が多く選ばれており、占める割合も比較的大きかっ
た(66.5%)。その次が木製ボードで、アルミニウム合金も一定の割合を占めていた(8.5%)。
図 3-11 审内ドアの为な材料
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(7)窓枞の为要材料
調査対象者において、窓枞の为要材料はアルミニウム合金(57.7%)で、その次が強化プラスチック
(19.8%)と無垢材(17.3%)であった。
図 3-12 窓枞の为な材料
(8)既存家具の为な種類
調査において、調査対象者の既存家具の为な種類は、ボード組合せ家具がトップで 56.9%を占めてい
る。その次が無垢材家具(34.7%)であった。従って、木製材料は家具の使用の为な割合を占めているこ
とがわかる。
図 3-13 既存家具の为な種類
(9)購入を予定している家具の種類
調査対象者が購入を予定している家具の種類を調査した際、多くの調査対象者は無垢材家具の購入を
予定していた。その次が軟質布張り家具(23%)であったが、ボード組合せ家具の購入を予定している割
合はかなり低かった(13.3%)。これは無垢材家具が将来的に成都における家具の为流となることを示唆
している。
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図 3-14 購入を予定している家具の種別
(10)住宅再購入に関する意思
全調査対象者中、住宅を再購入する意思のある調査対象者が非常に多く(62.5%)、現在の住宅を買い
替えたいという割合も一定数(13.3%)あった。
図 3-15 住宅再購入に関する意思
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(11)木造住宅に対する理解
調査対象者のうち、木造住宅に関する報道、広告または情報を聞いたり見たりしたことがあるという
回答が非常に大きな割合を占めていた(合計 65.3%)。そのうち、
「聞いたことがある」が 38.3%、「たこ
とがある」が 27%を占めていた。木造住宅を「比較的理解している」という回答も一定の割合(13.3%)
を占めていた。
図 3-16 木造住宅に対する理解
(12)木造住宅を所有または入居したい
調査対象者のうち、木造住宅を所有したい、または入居したい割合が非常に高く、59.7%を占めてい
た。
図 3-17 木造住宅を所有または入居したい
(13)木造住宅を所有または入居したい理由
木造住宅を所有または入居したい理由で、最も顕著であったのは、
「自然に近い」(65.2%)及び「健康
に良い」(58.9%)であった。
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図 3-18 木造住宅を所有または入居したい理由
(14) 木造住宅を好まない理由
調査対象者に木造住宅を好まない理由を質問した際、最も多かったのは防火および防水に不利である
(76.8%)であった。その次が、
「強度不足が心配である」、
「盗難防止面で不安がある」、
「シロアリの被害
に遭遇する心配がある」であった。
図 3-19 木造住宅を好まない理由
(15) 木材製品を購入する際に考慮する为な要因
調査対象者が木材製品を購入する際に考慮する要因は为に、環境に優しいか否か(83.9%)、耐久性
(80.6%)、価格(66.5%)、および製品ブランド(50.8%)であった。
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図 3-20 木材製品を購入する際に考慮する为な要因
(16) 調査対象者の木材に関する見方
調査対象者の木材および木材製品に対する認識や見方については、以下のポイント制の回答結果を通
して判断することができる。下図参照。
図 3-21 木造家屋が好き
図 3-22 無垢材家具が好き
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図 3-23 無垢材床板が好き
図 3-24 木製品は価格が非常に高い
図 3-25 木材製品の価格が許容範囲内であれば木材製品がもっと好きである
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第 4 章 木造建築産業の实態及び今後の動向
4-1 木造建築産業の实態
4-1-1 中国全体
中国における現代的木造建築は 20 世紀の 80 年代に始まった。加速する都市建設や人々の生活水準の
向上に伴い、自然に親しみ、健康を重視し、環境保護を提唱する人々の消費理念が賛同を集め、木造建
築に対する関心はかつてない高まりを見せている。特に近年、国家が持続可能な発展、エコロジー都市
の建設を唱え、健康的で環境に優しく省エネルギーのエコロジー住宅の建築開発を大きく支援している
ため、上海、北京、広州、单京、香港など大中都市で木造住宅ブームが沸き起こっている。木造建築の
大きな需要により、多くの木造建築施工企業、場合によっては一部の伝統的な木材加工企業にも組織形
態の転換が求められている。
中国は木材資源が不足し、人口大国であることから、木造建築が中国における都市化の中で住宅建築
の为流となることができないことは決定的である。しかし、個人向け低層高級住宅、レクリエーション
休暇施設、観光景観地域の建築物および都市公共施設には、木造建築に対する需要が存在している。中
国の山間地域では低層の木造家屋が建設されているが、CO2 の排出が尐なく環境に優しいことがやはり
非常に重要である。中国は木造住宅分野において一定の進歩を見せており、国内の木造企業の建築、設
計、施工・設置能力も成熟しているが、国の業界指導政策がなく、大型公共建築などの面における活用
も空白状態であるため、相応の研究および開発業務も尐ない。
1998 年、中国政府は木材輸入を奨励する一連の措置を講じた。現在、大量の輸入木材、規格および
エンジニアリング木材製品が工事建設に広範に使用されている。現在、中国市場で海外輸入原材料およ
び建造技術を完全に採用した場合の木造建築コストは約 1,500~2,500 元/m2 であり、市場での販売価格
は 3,000~6,000 元/m2 にも達するが、開発利潤に後押しされて、国内外投資者から高い注目を集めてい
る。国内においても外資導入を背景としているが完全に現地化された多くの木造建築専門の設計、建設、
施工企業が次々に設立されている。現在まで、中国内で数多くの木造建築住宅地域(北京西山美別荘、
上海泰晤士小鎮、单京愛涛漪水園、深圳羅湖湾など)が開発されている。統計によれば、中国で毎年着
工される民間建築物は 1,000 万戸であり、そのうち木造建築は毎年約 500 戸以上のペースで増加してい
る。
木造産業は、中国においてまだ完全な産業連関を構成しておらず、現在、原材料切削加工から支持用
金属接続部品までの供給体系がまだ形成されていない。また、個人が中心の開発業者も産業協会を形成
しておらず、多くは海外企業から導入された製品および技術が使われているのが現状である。これは、
企業間の競争を促進し、海外の先進的な木造建築技術および関連製品に直接触れる上では有利であるが、
業界が広範に国内技術を採用し、また変更される法規に対応する上では不利である。木造建築産業の将
来は有望であるが、発展の道は曲折しており、発展の段階ごとに異なる問題を有しており、国の都市配
置、都市化政策、土地政策、不動産政策、森林伐採制限政策ならびに輸入木材供給国の木材輸出関税お
よび構造材の資源備蓄はいずれも木造建築産業の発展に影響を及ぼす。予測によれば、国家の建設リサ
イクル型社会および節約型社会に関する政策誘導ならびに市場における实際の需要増に伴い、木造建築
は、その材料のリサイクル可能性及びエネルギー消費が鉄筋コンクリート構造より 30%前後下回ってい
るため、木材産業および建築業界におけるエコロジーで環境に優しい重要かつ新たな発展方向となって
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いる。将来的には、構造材生産の発展方向は標準化、規格化に向かっており、为に製品の標準、生産過
程における品質認証標準、業界協会の標準化された市場管理、構造材製品生産原料の法的認証(FSC 認
証)などを備え、構造材標準が国際標準と肩を並べることになる。
4-1-2 四川省(成都を为とする)
1. 現代的木造建築および企業の概要
四川省では現代的木造産業はまだ始まったばかりであり、木造の利用も一部景観ポイントの東屋、コ
テージ、フラワースタンド、桟道、木製小品など木造製品の製造に限られている。使用材料には接着積
層梁、トラス、軽質木骨格組合壁体、壁骨格柱型材、配向性構造木片板、集成材などの建築部材が含ま
れる。木造建築形式も为に景観レクリエーション施設に集中しており、尐数が重量木造建築、軽量木造
建築に用いられている。审内装飾部位は为に各审ドア、階段、木窓、床板、キャビネット材、線材、天
井板などである。これらの建材需要は为に、四川省の二大为要木造建築設計企業を介して国外から輸入
される SPF 型材、OSB 板材、接着積層梁柱、トラスなどである。省内産の材料の利用は非常に尐ない
が、これは为に規格が建築要求に合致してないことに起因する。四川省における伝統的な木造および民
間住宅用材では、伝統色、民族色を持つ用材への要求はさほど高くないため、四川省内の大量の優良な
現地産木材は、古建築の修復、古い街のレンガ木造家屋の部材および一部観光景観ポイントの建造など
に大量に用いられている。
汶川地震に際し、都江堰・青城山における数々の中国青城プロジェクトで、一部の別荘の構造に軽量
木造構造が採用されていた。災害後の实地調査によれば、建築面積約 200m2 の軽量木造家屋の底層に発
生した亀裂は最多で 6 カ所であり、2 階建ての場合、亀裂の発生は最多で 2 カ所であった。またこれら
亀裂の多くはドア窓開口部など角部の微小な亀裂、厨房・トイレのコーナーや鏡周辺の亀裂であった。
木造建築の優れた耐震性から、汶川地震後、カナダ連邦政府およびカナダ・ブリティッシュコロンビア
州は中国四川省の地震被災地域に 800 万カナダ・ドル相当の仮設および恒久的木造家屋を寄贈した。こ
の建築支援プロジェクトには学校や老人ホームなどの公共施設が含まれている。すべてのカナダ産構造
木材と現代木造建築技術を使用し、中国で設計、建設された。
翠屏山荘
広漢コテージ
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九寨薬泉
翠幽美廬木別荘
方家坪二期
方家坪二期の内装
四川省の現代木造建築関連企業の概要:
成都香杉居木造
建築工程有限公
司
1994 年に設立され、中国西单地域で木造別荘、コテージ、東屋、桟道など木造
建築物の設計、及び各種防腐材建築物、内装材料の生産などを専門にしている。
同社の技術はフィンガージョイント接着積層成材技術、防腐、防虫、防燃難燃技
術、木材乾燥技術に関連するものである。同社が为に建設している北米風建築物
も一部で大型工事が進行中である。現在、同社の为な事業エリアは、四川省の成
都市街区域の温江、龍泉駅、双流、大邑、綿陽、徳陽、瀘州、資中、宜濱など市
街区域と、景観ポイントの有閬中古城、九寨溝、卧龍、大英県死海、西峰雪山な
ど国内の有名な観光景観ポイントに及んでいる。
成都川雅木業有
限公司
成都川雅木業は木造建築の設計、建設に参入したばかりの企業で、輸入原木、壁
柱型材、配向性ストランドボード、集成材などの景観レクリエーション地域の加
工工事、重量木造、軽量木造、混合木造に従事している。販売取扱い住宅製品に
は統一標準の审内ドア、木窓、床板、手摺り、壁材など内装部品が含まれる。現
在すでに全国各地のコテージ、納涼亭、サンルームなどの木造建設の入札を行う
など、木造産業で急成長中である。
成都明迪木造建
2004 年 4 月 20 日に設立され、为な事業は屋外木造構造の設計、材料、施工およ
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設有限公司
び各種軽量、中型木造建築物である。
2. 四川省における内装用材の概要
四川省内で現地の森林資源、特に針葉樹林木を为な生産原料としている企業の規模、原料供給元、製
品形式、製品動向などについて整理し、企業の観点から四川における針葉樹の利用方式及び製品形式に
ついて掌握する。現在、四川省で登録資本金が 1 千万元以上の木材加工及び利用企業の概要は以下の通
りである。
国棟建設集団
会社概要:四川国棟建設股份有限公司は 1982 年に設立され、本社を成都に置く。
工場は成都、広元、单充、塩亭などの地域に分散している。中・高密度繊維板に
ついては、年産 30 万 m3 の生産ラインが成都に建設されている。同時に年産 130
万 m3 の中密度繊維板の生産ラインが成都の双流に建設中で、間もなく操業開始
予定である。広元にはパーティクルボード、ブロック板の生産ラインが建設さ
れている。
登録資本金は人民幣 5 億 9,044 万元、総資産は人民幣 31 億元で、2001
年に上海証券取引所に上場した。
原料供給元:同社は成都市の周辺地域に産出量が豊富な大規模早生林を植林し
て材料需要を満たしているとともに、四川省内のバビショウ、コウヨウザン、
スギなど及び雑木小径材を为木材として使用している。
製品形式及び動向:为な木材加工製品は中・高密度繊維板、茎材木製ボード、
パーティクルボード、ブロック板、装飾パネル木製ボード、木製ドアセット、
強化フローリング材、建築用型板などである。国内生産の高密度繊維板の一部
は同社の強化フローリング材の生産に用いられ、国内市場で流通している。強
化フローリング材は中国国内で販売されている。
建豊林産集団
会社概要:建豊股份は 2004 年に設立され、登録資本金は人民幣 7,222 万元、総
投資 4.2 億元である。本社は成都市金牛ハイテク産業団地に位置している。同
社は、西单地域で最大規模の印刷装飾紙、浸漬フィルム接着紙、中・高密度繊
維板およびメラミン装飾パネル木製ボードを専門的に生産、販売している大型
民営株式会社である。成都建豊装飾紙有限公司、成都建豊印刷紙有限公司、綿
陽建豊林産有限公司、綿陽建豊床板製造有限公司および四川建豊林業有限公司
の計 5 社の小会社を有し、 生産基地は、成都市大邑県、綿陽市の梓潼県および
塩亭県などである。
原料供給元:建豊股份は、現在、年産 40 万 m3 の中密度繊維板、年産 2,000 万
m2 のメラミン装飾パネル、年産 6,000t 以上の数百種におよぶ品種の木目模様
印刷紙、年産 6,000 万 m2 の浸漬装飾紙の生産能力を有している。20 万ムー以
上のシダレイトスギなどを为とする工業原料林基地を有している。
製品形式および動向:中(高)密度繊維板、メラミン装飾パネル、数百種におよぶ
品種の木目模様印刷紙、浸漬装飾紙、および独自に研究開発生産している耐摩
耗装飾フィルム接着紙など。製品は全国の有名な家具、床板製造企業(例えば
四川全友家私)など、ボード家具生産企業の重要な原料供給元となっている。
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中天地林産集団
会社概要:中天地林産集団は 2006 年に設立され、登録資本金は 8,200 万元。森
林資源開発の利用、板材加工などを中心とする重点林産工業企業である。子会
社として西昌繊維板生産工場、芦山鴻偉木業公司、雅安中天地木業公司がある。
原料供給元:現在、同社は四川省の天全、芦山、馬縁、峨縁などに 20 万ムー以
上の成熟した人工林商品生産基地を有しているとともに、年産 25 万 m3 の木材
製品総合加工能力を有する国際的先進水準の生産ラインに投資、建設している。
製品形式および動向:为な製品は薄型中密度繊維板、ブロック板、エンジニア
リング型板、壁板、横木板および配向性ストランドボードなど。製品は全国で
広く販売されているとともに、米国、日本、韓国、東单アジアなど 10 以上の国
および地域でも販売されている。
全友家私有限公司
会社概要:全友家私有限公司は 1986 年に設立され、現在では、中国の研究、生
産、販売までを一貫して行う大規模な民間の家具製造中心企業となっている。
同社は合計 6,000 ムー以上の 4 つの工業団地、30 以上の専門分工場、20 以上
の海外販売サービス機構、3,000 以上の販売店を有している。また中国の成都、
深圳、イタリアのミラノの 3 か所の研究開発センターを設立している。
原料供給元:为に四川省の大規模繊維板生産企業から供給をうけている。
製品形式及び動向:ボード式リビング家具、ソファー、食卓・椅子、マットレス、
ベッドなどのシリーズ製品を研究開発、生産し、50 以上のシリーズ、6,000 以
上の製品型式をカバーしている。このうち、ボード式家具、ソファーの 2 種類
の製品は“中国有名ブランド製品”の称号を受けている。同社の製品は何年にも
わたり全国で販売されているとともに、欧米、東单アジアの複数の国・地域に
向けて輸出されている。製品販売量では何年にもわたり他社を大きく引き離し
全国トップを維持している。
明珠家具集団
会社概要:同集団は 1989 年に設立され、本社は中国成都崇州の明珠家具工業団
地に位置する。ドイツ、イタリアから世界一流の自動化生産ラインおよび国際
的先進水準の品質検出試験审を導入しているとともに、著名な高等教育機関と
共同で大規模な研究開発能力を有する研究開発センターを設立している。現在、
グループにはボード家具工場、ソファー工場、茶卓工場、大理石工場、食卓工
場、テレビキャビネット工場、マットレス工場がある。
原料供給元:ロシア、北米から輸入したマツ、国内産のヤチダモ、四川省内生
産の木製ボードなどである。
製品形式および動向:为にボード式リビングルーム家具、ソファー、食卓・椅子、
マットレス、ベッドなどのシリーズの製品であり、製品は中国国内で販売され
ているとともに、欧米、東单アジアの複数の国・地域にも輸出されている。
双虎实業有限公司
会社概要:成都市にある双虎实業有限公司は、西单地域家具製造基地に位置し、
1989 年に設立された。敷地面積 1,600 ムー以上、固定資産数億元、従業員 1 万
人以上の設計、製造、販売を一貫して行う現代的な大型私営企業である。
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原料供給元:四川省の木製ボード企業
製品形式および動向:ボード式、無垢材、金属、ソファー、軟質家具など複数
の大種別における数十シリーズの家具。その販売エリアは中国の 32 の省・直轄
市・自治区をカバーしており、販売網は 1,500 拠点に達している。また、同社の
製品は東单アジア及びヨーロッパ地域にも輸出されている。
昇達林業産業有限
公司
会社概要:四川昇達林業産業股份有限公司は 1995 年に成都で設立された、林業
産業に従事する一体化経営の上場企業である。昇達集団は四川昇達林業産業股
份有限公司、四川昇達輸出入有限公司、四川昇達内装装飾有限責任公司、四川
昇達造林経営有限公司、四川昇達木製ボード有限公司、四川昇達竹業有限公司
を傘下に収めている。
原料供給元:同社は人工林として四川宠漢のバビショウ林、龍泉のグランディ
ス・ユーカリ林、羅江のハコヤナギ林などを自社で植林している。13 万ムーの
工業原料林基地を建設し、20 万ムー以上の工業原料林を管理している。2013
年中に 50 万ムーの工業原料林が完成し、中期目標として 100 万ムーの短周期
工業原料林を植林する予定である。
製品形式および動向:強化床板、無垢材床板、木(竹)複合床板、竹床板、中(高)
密度繊維板などの床板、繊維板及び木製ドア、キャビネット、浸漬紙の研究開
発、生産、販売、及び植林。昇達床板製品は中国国内で販売されており、米国、
カナダ、日本、シンガポール、ロシア、イタリア、オーストラリア、单アフリ
カなど 80 以上の国・地域に輸出されている。
吉象人造林製品有
限公司
会社概要:楽山吉象人造林製品有限公司は、吉象木業と四川省川单林業局が
8,880 万米ドルを共同出資して設立された中外合弁企業である。1997 年設立。
当時としては中国の木材加工業における最大の資金導入プロジェクトであり、
アジア太平洋地域の木製ボード業界で設備及び生産工程が最も先進的な企業の
1 つでもある。同社は年産 10 万 m3 の優良な中・高密度繊維板の生産ライン、年
間生産量 800 万 m2 の強化複合床板、及び 2,500 万 m2 の高級装飾紙浸漬加工部
門を備えている。
材料供給元:同社が植林している人造林では、樹齢 7~8 年の成材を選び、上下
を切断して樹皮を取り去り、中間部分の樹心だけを利用している。製品の材質
需要の違いに基づき、チーク、クルミ、メープル、ゴム、ネム、カエデ、クワ
など多種類が選択される。
製品形式:製品は中高密度繊維板、装飾板、強化複合床板など。吉象木業は中
高密度繊維板分野において、ハイエンド薄板(厚み規格 6mm 以下)の 70%の市場
シェアを占めている。家具、梱包材、装飾建材、工芸品、電子回路基板などの
業界の 120 以上の加工業者をカバーしており、各業界の著名ブランドの一次選
択原材料となっている。
鸿基木業有限公司
会社概要:同社は 1979 年に設立され、現在は製品の研究開発、生産、販売およ
びサービスを一貫して行う専門の木製品生産企業となっている。同社の敷地面
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積は 230 ムーで、4 つの工場と 1 億 5,000m2 の大型物流配送センターを有し、
固定総資産は 5 億元に達している。
製品形式:製品には、各種の中高クラス床板、無垢材ドアおよび階段などが含
まれる。
製品動向:製品は 90 年代初頭から日本、欧米など世界の先進諸国に輸出されて
いる。現在の販売エリアは中国大陸、台湾、東单アジア、欧州などの地域であ
る。同社は日本の住友商事株式会社、龍口木材株式会社、スウェーデンのカス
ク、米国広葉樹輸出協会(AHEC)など著名な企業・団体と長期にわたるビジネス
関係を構築している。 現在、中国に 100 か所以上の販売拠点を有し、年間販売
額は 1 億元を超えている。
龍馬木業有限公司
会社概要:四川峨眉山の龍馬木業有限公司は 1996 年に設立され、四川省峨眉山
市に位置している。同社の総敷地面積は 100 ムー以上、投資総額は 1 億元以上
であり、木製ドアの研究開発設計、物流、販売、アフターサービスを一貫して
行う現代的木製ドア製造企業である。
製品形式:既製品木製ドア、アンティーク・イミテーション木工品、窓、階段、
集成材家具、無垢材ドア、複合ドア、木製ドア、格子窓、小型装飾品、階段、
家具など家庭用製品を生産している。
製品動向:同社の業務は全国をカバーしており、製品は米国、ロシア、オース
トラリア、日本、韓国、東单アジアなど多くの国及び地域に輸出されている。
千川木業有限公司
会社概要:中国の重要な木製品生産企業であり、25 年におよぶ木製品の生産と
15 年に及ぶ専門木製ドア生産の経験を有する。四川省で最初に設立された、最
大規模の無垢材ドア専門生産企業である。生産部門の面積は 8 万 m2 以上、年間
生産能力は 50 万セット以上に達している。
製品形式:各種の貴重な木材製の無垢材工芸ドアセット、無垢材複合ドアおよ
びドアセット、窓セット、窓サッシ、床板、羽目板など組合せ木製装飾製品。
製品動向:製品は 29 の省・直轄市、約 228 の大中規模都市で販売されている。
完璧な販売ネットワークおよびアフターサービスシステムが構築され、多くの
消費者に受け入れられ、各界で好評を得ている。
中間総括:
四川省で木材の加工利用生産に従事している企業の建築分野関連製品は为に、建築用型板、床板、木
製ドア、幅木、ドアセット、窓セット、家具などである。製品形式は多様で、型式は豊富である。販売
エリアは中国の为要な大都市から中小都市までカバーし、一部のブランド品は国外にも輸出されている。
生産企業の投資額はいずれも 1 億元以上であり、四川省原産の原料が多く利用されている。本章では、
木製ボードの生産を为とする企業を木材の加工利用の川上産業、家具、床板、ドア生産などの関連企業
を川下産業として扱う。先ず、四川省において、繊維板、ブロック板、パーティクルボードなどの家具、
床板、审内装飾基材の生産を为とする川上企業が用いる原料は、为に次の2つに大別される。すなわち、
①企業が生産計画に基づき、政府の林地請負に関する関連規定に従い、工場から比較的近い地域に産出
量が豊富な早生林を自社で植林している。林種は現地での成長に適した樹種が为である(例えばバビシ
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ョウ、スギ、シダレイトスギなど)
。②一部の高級無垢材の多くを輸入に頼るか、または国内の他の地
域から購入して工場で加工している。この種の企業の地理的分布をまとめると、その多くは原材
料が豊富で交通が便利な郊外の県に分布している(例えば、建豊林産は四川では森林資源が比較
的豊富な大邑、綿陽などに繊維板工場を設立している。中天地林産は四川西单地域の雅安、凉山
州などの地区に繊維板、ブロック板などの加工企業を、吉象は森林資源が極めて豊富な四川楽山
の峨眉山に大型基材生産基地を、それぞれ設立している。
次に、ボード家具、強化床板、审内装飾材などの末端製品の生産を为とする川下産業の原料供給元に
関して、一部の企業は川上産業の原料を利用している。例えば、昇達床板および吉象床板は自社の川上
企業の原料を利用している。また別の企業は、四川省内で必要な原料を生産している企業を为に利用し
ており、企業間にはいずれも良好な協力関系が結ばれている。例えば建豊林産と全友家私は、好風景家
具など多くの国内の著名企業といずれも製品の需要供給関係を結んでいる。
四川省の林産品および家具を品質監督検査ステーションの関連統計データにより整理した結果、2011
年の 1~10 月期には、計 84 社の家具以外の木材加工企業がサンプル提出検査を受けている。検査企業
のうち、床板の生産を为とする企業が全体の 14.3%を占め、合板企業が 25%、パーティクルボード、繊
維板、ブロック板が合計で 40.5%を占めている。また、装飾パネル、木製ドアがそれぞれ 14.3%、6.0%
であった。検査サンプルのうち、合板類の卖板積層材企業数が合板企業の 13.7%を占め、全体では 3.6%
を占めた。その他の種類の製品、例えばエンジニアリング材、集成材などの製品では、サンプル検査を
受けた企業はなかった。木製品検査ステーションの関連統計結果によれば、四川省における为な木材加
工製品は、合板、繊維板、パーティクルボード、ブロック板、装飾パネル、木製ドア、フローリング材
であり、そのうち、フローリング材製品には無垢材床板、無垢材複合床板、強化床板が含まれる。検査
を受けた企業数は、それぞれ全体の 3.6%、4.8%、6.0%を占めていた。木製ドア製品は無垢材ドアおよ
び無垢材ドアセットに分かれる。
前述の通り、四川省の建築用材に関しては、内装用の床板、家具、木製装飾用モールド材、木組、階
段などへの利用が、木造用エンジニアリング木製品を大きく上回っている。前者は基本的に省内の木材
から生産されており、後者のほとんどは輸入製品である。四川省における木造産業はまだ形成されてお
らず、既存の関連産業に比べ、木造産業体系はまだ端緒に就いたばかりである。一部の零細企業が木造
建築物の建築及び開発を行っているが、いずれも小規模で、試験的に国外の製品および技術を導入して
いるに過ぎない。
4-2 今後の傾向及び動向
木造建築はエコロジーな省エネルギー建築であり、CO2 の排出削減に有利である。現代的木造建築技
術の発展及び普及を図ることで、中国におけるエコロジーで省エネルギー、CO2 の排出削減効果のある
建築形式のために、新たな实現可能な選択を提供している。人々の生活水準の向上に伴い、生活の質や
生活内容に対する要求もますます高まっている。優れた特性を備えた木造建築は人々の関心の的であり、
将来的に有望である。木造建築住宅の数量もそれに伴い増加している。消費者の中でも、北京、上海、
深圳、広州の一部の高収入層の間でエコロジーで環境に優しい住宅が好評であるとともに、海外留学か
らの帰国者や在留外国人も一部で木造住宅を求めている。観光地域、レクリエーション休暇施設におい
ても、観光実を引き付けるために一部で木造住宅を必要としており、これらはいずれも潜在的な消費者
である。
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北京西山美別荘
上海佘山比華利山荘
北京昌平区劉村鎮木別荘家屋
北京昌平童話山荘
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木造関連の規範はここ数年次々に改訂及び制定されている。施行後は、中国の木造建築物の発展に対
して非常に重要な役割を果たしており、中国における木材工業の急速な発展も牽引している。木造技術
の継続的な発展および継続的な市場需要に伴い、中国における木造構造関連の新たな規範も次々と公
布・施行されている。中国経済の発展および林業の発展に伴い、木造建築物はますます市場で認められ、
人々に喜んで受け入れられ、木造建築物市場はますます発展し、大規模になる。将来的に、木造建築物
は、構造設計の標準化およびインテリジェント化(関連のソフトウェア開発)、木造建築物の省エネルギ
ーの標準化設計・施工、木造建築組立のプレハブ化・工場化、木造建築材料の回収再利用の標準化に向
けて発展していくことが予測される。
1. 工場プレハブ木造建築
木造建築技術および付帯加工設備の発展に伴い、工場プレハブの木造家屋は工期が短く、品質管理が
可能でコストを節約できるため、部品または家屋全体の工場プレハブ生産が、すでに基本的に現場製造
に完全に取って代わりつつある。現在、木造家屋の工場プレハブには、为に部材プレハブの木造家屋、
板ブロック式プレハブ木造家屋、型板プレハブ木造家屋および移動式木造家屋など 4 種類がある。
2. 国産材の開発、木造住宅の費用対効果の向上
木造建築材料の研究、開発、普及を図り、加工技術、設計および建造技術の国産化、現地化を推進し、
開発することにより、人工早生林および竹材を木造住宅の为体構造材料、壁面、屋根面、床面の被覆パ
ネルに使うことができ、製造原価は大幅に削減できる。ここ数年、国内に導入されている木造住宅建築、
为体枞組構造材料、構造用接続材および建造技術は輸入に頼っているため、価格が非常に高く、建築コ
ストを押し上げている。
3. 木造家屋の新型材料の発展
世界の原木供給が天然の優良な大径級材から人工林木材へと変化している傾向がある。これに伴い、
多くの新型エンジニアウッドおよび木製複合材料―例えば木材・プラスチック複合材料、カーボン繊維
補強木製部材など-が出現している。こうした変化により、木造用材料の設計強度パラメータの更新と
ともに、上記新型材料の力学性能、設計方法・理論の研究を進めることが必要となってきている。材料
の革新は木造産業の発展を大きく推進するものとなる。
4. 混合木造建築物
木造混合建築物は北米や欧州諸国では非常に一般的である。よく見られる混合構造とは、底層階がコ
ンクリート構造で、2 階から 4 階が木造建築のものを指している。多層混合木造は、軽量で経済的かつ
实用的な建築技術である。コンクリート構造および木造の利点をうまく組み合わせ、それぞれの長所を
活用することにより、建築効果を最大化している。コンクリート構造は、強度、ドア窓の開放度・防火
性能面で比較的優れており、木造構造は、耐震、保温、施工速度および防音面で比較的優れている。両
者を組み合わせることで、各種のメリットを突出させることができる上、木造では地盤基礎の負荷が大
幅に低下するため、基礎コストを削減することができる。現在、北京、上海、四川のいずれでも、同様
な木造混合構造工事が竣工済みまたは施工中である。混合木造建築は木造の高層建築を発展させ、容積
率を高め、土地資源を節約することが可能である。
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四
川
汶
川
県
水
磨
鎮
四川汶川県水磨鎮
北京房山
北京房山
第 5 章 日本産木材の輸出状況の分析を通じた促進対策及び努力方向の研究
日本は森林資源大国である。森林被覆率は 69%にも達し、森林蓄積量は 40 億 m3 を超え、森林面積
は 2,500 万 ha 前後で推移している。そのうち人工林は 1,000 万 ha を超えるが、大部分の人工林は養生・
間伐が必要であり、50 年生以上の成熟期に入った高齢の人工林が急増している。日本の森林資源は人工
林が为であり、毎年 7,000 万 m3 近くの純増となっており、森林蓄積量はすでに 1986 年の 28.8 億 m3
から現在の 44.3 億 m3 まで増加している。そのため活路を見出し、国産材の利用を促進し、それにより
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森林経営を発展させることが必要とされている。
日本は森林資源が豊富であるが、日本国内の木材市場は依然として輸入木材に占められている。その
原因は、日本の木材が市場競争力を欠いており、かつ、輸入木材の価格が安価であることにある。従っ
て、日本政府は自国の森林資源に対する研究対策として、2006 年に、日本の林野庁に木材輸出戦略検
討会を設立し、木材輸出対策を検討するとともに、中国への木材輸出を当面の目標とすることになった。
2007 年、日本森林総合研究所や日本木材総合情報センターなどの科学研究情報機関は何度も検討会を
開催し、中国への木材輸出問題について検討を重ねた。日本と中国の関連部門が共同で、上海で木材・
木造建築高級フォーラムを開催し、更に各企業が中国にモデルルームを設立し、日本の木材製品や木造
住宅の広報・普及活動に取り組んだ。
日本政府の支援および日本の各企業の努力の下、日中間の木材貿易活動は日々活発となっており、一
部の地域ではすでに日本産原木の中国への輸出ゼロを打破している。例えば、2003 年 4 月に宮崎県か
ら最初のスギ原木のロットが細島港から中国の厦門に向けて出荷された。初回の中国向け輸出は 482 本、
200m3 のスギ原木であり、その後も複数回中国向けに木材が輸出された。2008 年 3 月には、さらに 102t
のスギ木片が細島港から中国福建の馬尾港に向けて積み出された。日本は 1988 年に 400m3 の木材を中
国向けに輸出し、2002 年には 430 m3 を輸出した。2003 年以降は輸出木材量が徐々に増加し、2005 年
には約 1.7 万 m3 に達した。しかし、日本から輸出される木材はロット量が小さく総量も多くないため、
当初の輸出目標には全く達していない。
2003 年 7 月に日中の民間で締結された長期提携合意に基づき、日本は 5 年間で中国にスギおよびヒ
ノキ原木 100 万 m3 を輸出することを計画した。2003 年には 4 万~5 万 m3 を輸出し、2004 年には 10
万 m3 に達するように計画していたが、实際の年間輸出量はわずか数千 m3 に過ぎなかった。2002 年に
宮崎県は中国向けにスギ原木を年間 100 万 m3 輸出する計画を制定したが、2 年間の輸出はわずか原木
1.5 万 m3 に過ぎなかった。日本木材の中国への实際の輸出量は所定の目標を大きく下回っている上、一
部の輸出は政府の補助金の下での営利を目的としない試験的な輸出であり、本来の意味での商取引では
ない。
ロシア、カナダなどの国に比べ、中国が日本から輸入している原木及び挽材の数量は非常に尐ないが、
これは輸出価格と一部関連している。2005 年、中国は原木 2,800 万 m3 を輸入し、そのうちロシア材が
60%を占めていたが、日本から輸入された原木は 0.1%に満たなかった。ロシア材の中国国内における
流通価格は日本円で 1m3 当り 1.1 万円であるのに対し、日本のスギ原木は運賃保険料込み価格が 1m3
当り約 1.9 万円(燻蒸費などを含む)であり、1m3 当りの価格差は日本円で 8,000 円にも達する。直径 26
~28cm、長さ 4m のロシア原木は 1m3 当り人民幣 600 元で、日本円で約 8,400 円に相当し、同様規格
の原木でニュージーランド材は日本円で約 7,300 円に相当する。一方、日本の宮崎県産のスギ原木は中
国向け価格が 1m3 当り 2 万円にも達し、ロシア材の 2.4 倍、ニュージーランド材の 2.7 倍になる。価格
面の劣勢が、日本の木材が中国において市場を確保できないことを決定付けている。
日本の木材輸出価格が高い理由は、日本では賃金コスト及び運輸コストが過度に高く、それにより国
産材の価格が輸入材を大きく上回っているからである。林業経営者にとっては、伐採する樹木が多いほ
ど赤字が増えることになる。日本の造林コストは中国と 1 桁違っている。宮崎県の造林総コストは日本
では相対的に低いが、それでも 1ha 当り 100 万~150 万円である。中国のハコヤナギの場合は、1ha 当
りの造林総費用は 1993 年時点で、日本円で 11.7 万円(苗木、施肥、間伐などを含む)、ユーカリ造林は
1998 年で、日本円で 9.7 万~13.98 万円になる。これは日本の 1ha 当りの造林コストが中国の 10 倍強
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に相当することを示している。日本は運輸コストも非常に高く、末口径 30cm、長さ 3m のスギ原木を
宮崎県から厦門港に積み出す場合、1m3 当りの運賃は 6,500 円となり、木材販売価格の 32.5%を占める。
日本の木材価格を下げることができるかどうかは、生産および運輸コストに低減の余地があるか否か
により決まる。日本の造林総コストにおいて、除草費用が 1ha 当り 60 万円にも達し、造林総コストの
約半分を占めている。これは日本の森林育成における一大問題であるが、その他の国ではこの問題はほ
とんど存在していない。日本は運輸コストも他の国よりも明らかに高い。北米、チリ、ニュージーラン
ドから日本への運輸費用は 1m3 当り日本円で 1,000~3,000 円であり、北欧、オーストリアなどは日本
円で 3,000~5,000 円であるが、日本国内で宮崎から東京に輸送するだけで 1m3 当り 5,000 円になる。
そのため、高性能の機械を開発してコストを下げ、コストおよび運輸コストを圧縮することが、木材の
輸出価格を低減することになり、木材の中国向け輸出の可能性が見えてくる。
その他、中国の消費者の日本産スギ材に対する認知度、および日本産木材が中国の多くの一般消費者
の需要に合致しているか否かも、日本産木材が中国市場に大量に参入できるかどうかに影響を及ぼす要
因である。現在、日本は国産材の中国向け輸出を促進するために、中国木造設計標準の改訂を求める動
きがあることがすでに明らかとなっている。日本木材輸出振興協議会は基金を設立し、活動経費を集め、
標準の改訂を通して国産材が住宅構造用材として標準に明記されるように力を注ぐことを決定した。
中国において、針葉樹材を使用して家屋を建設する際に、《木造設計規範》中に明記されている“針葉
樹種木材適用強度等級”(表 5-1)を参照して木材を選択しなければならない。しかし、現在、日本のスギ、
ヒノキはまだこの表に組み入れられていない。これに対し、北米材およびヨーロッパ材などは業界団体
が中国政府や中国の業界に対して積極的な活動を展開していたため、いずれも早くからこの表に組み入
れられている。
表 5-1 針葉樹種木材適用強度等級
強度等級
TC17
TC15
組別
A
シダレイトスギ、ダイオウマツ、スラッシュマツ、ウェスタンラーチ
B
東北カラマツ、ヨーロッパアカマツ、ヨーロッパカラマツ
A
ツガ、アブラスギ、アラスカヒノキ、ダグラスファー-カラマツ、ウェ
スタンヘムロック、サザンパイン
B
エゾマツ、チュウゴクスプルース、メルクシマツ
A
アブラマツ、シベリアカラマツ、雲单マツ、バビショウ、コントルタマ
ツ、米国カラマツ、海岸マツ
B
チョウセンハリモミ、リキアントウヒ、モンゴルマツ、ベニマツ、シト
カスプルース、ロシアベニマツ、ヨーロッパトウヒ
A
ホクセイムラサキトウヒ、シベリアトウヒ、ウェスタンイエローパイン、
スプルース-パイン-ファー、ヘム-ファー、カナダツガ
TC13
TC11
適用樹種
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B
モミ、早生コウヨウザン、早生バビショウ、ラジアタパイン
提供元:中国《木造設計規範》
日本産木材の中国向け輸出は多くの難題に直面している。日本の木材業界は常に努力を怠らず、さら
に、原木を中国に輸出した後に製品に再加工されて日本国内で販売され、国内の木材工業が空洞化する
のを防ぐため、原木など一次製品の輸出から木材加工品の輸出に向けて転換を図り、国産材の大規模な
輸出を推進することを考慮している。それにより現在すでに衰退している林業が救済されるばかりでは
なく、将来的に森林が優良な木材を生産する潜在力が保証され、持続可能な発展が实現される。
(完)
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平成 23 年度
中国における建築木材の需要と利用の現状(中国、四川省) 調査
発行
2012 年 3 月
発行所
日本貿易振興機構(ジェトロ)
農林水産・食品部 農林水産・食品調査課
東京都港区赤坂 1-12-32
電話 03(3582)5186
©JETRO(無断転載を禁じます)
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