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約1MB - 日本科学教育学会

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約1MB - 日本科学教育学会
地域連携を基盤とする教育的催事の実践例
Practice Examples of Educational Functions Based on Regional Alliances
田村 健治
TAMURA, Kenji
公立大学法人首都大学東京 東京都立産業技術高等専門学校
ものづくり工学科 高専品川キャンパス 化学研究室
Tokyo Metropolitan College of Industrial Technology
[要 約] 高等教育機関である高等専門学校では、地域と密接に連携した教育機関として、在
校学生に対する教科教育を実践するだけでなく、公開講座(オープンカレッジ)・サイエンスス
クエア・体験入学(オープンキャンパス)・出前授業など各種の体験型講義あるいは実験形式の
教育的催事を企画・運営・実践することで、社会人から子供に至るまで幅広い世代に対する生
涯教育・社会教育・導入教育などについても推進しなければならない。本報では、著者がこれ
までに遂行してきた各教育分野における教育的催事の実践例について概要を報告する。
[キーワード] 教科教育・生涯教育・社会教育・導入教育・教育的催事・教育実践例
1.はじめに
大学と比較すると、地域との関係が非常に
密接である高等専門学校では、従来型の在校
学生に対する教科教育[1]のみではなく、地
域・社会に対する教育についても推進する必
要に迫られている(特に、都市部においては、
この傾向が強く、地域住民・小中学校・自治
体などからの要望が非常に大きい)。今日、地
域・社会から求められている教育分野とは、
すなわち社会人を対象とする生涯教育、児
童・生徒に対する導入教育、地域あるいは子
供と保護者などに対する社会教育である。
著者は、これらの各教育分野における実践
的科学教育を遂行するため、様々な教育的催
事[2]を企画・運営・実践し、より高い教育効
果を得てきたので報告する(表1.)。
また著者は、産学あるいは産官学連携事業
の一環として、地域企業をはじめとする企業
などと「環境負荷低減技術」に関する共同研
究あるいは受託研究を推進し、得られた研究
成果の一部をこれらの教育的催事に反映させ、
「活きた環境化学教材」として導入すること
も併せて遂行してきた[3]。学生・地域住民・
15
社会などに対する還元の一環として、これら
の推進を図っている。
2.各教育分野における教育的催事の実践例
2−1 生涯教育分野における教育的催事
教育対象者が社会人となる生涯教育分野に
おいては、公開講座(オープンカレッジ)な
どの教育的催事を行ってきている。これらの
公開講座は、主に教育対象者を来校させて、
本学に設置されている実験室や講義室で開催
する受入型の教育的催事である。
著者がこれまでに実践してきた公開講座で
は、
「化学の知識で暮らしを豊かに」、
「やさし
い環境化学」などの講座名で生涯教育を遂行
してきた。前者の講座においては、
「家庭でも
実践できる暮らしに役立つ化学実験」を基盤
として、草木染め・香りの化学・水の化学・
石けんと化粧品・七宝焼きなどをテーマとし
て取り上げ、これらに関する知識について講
義し、関連深い実験を体験させている。実験
を含めて1テーマにつき1回90分程度で実
施している。後者の講座においては、初学者
を主な対象として、環境問題について化学者
の見地から解説するやさしい内容の講義を実
施してきた。しかしながら、応募者の多くは、
環境コーディネーターなどのいわゆる専門職
的業種従事者をはじめ、環境問題についてか
なりの知識を有する社会人が多く、こちらも
1回90分で行ってきた。
教育対象者となる受講者は、本学の HP だ
けでなく、自治体の広報誌や HP などでも応
募の呼びかけを行っている。高校生以上の社
会人を対象とするこれらの公開講座について
は、応募者の大半が、自治体の広報誌を唯一
の情報源として応募してくる現状がある。
2−2 社会教育分野における教育的催事
社会教育分野においては、地域あるいはそ
の地域に在住する保護者と子供などが教育の
対象となる。地域、自治体、場合によっては
教育委員会などが開催する各種イベントなど
に併せて、協力依頼が寄せられる。
財団法人神奈川科学技術アカデミーが行っ
ている「科学者・技術者学校派遣事業」もそ
の一環である。本事業は、神奈川県内の小中
学校に対して、登録している科学者あるいは
技術者などを派遣し、出張講義型、すなわち
対象者のもとへ出向いて実施する形式の体験
実験教室を開催するものである。著者は、本
事業に登録しているボランティア講師であり、
この事業を通して、社会教育を行ってきた。
その一例を挙げると、県内の公立小学校にお
ける授業参観日にこの出張型体験教室を行っ
た。教育対象者は、該当小学校の児童と保護
者および教員となる。第6学年の学年全3学
級を3テーマ3会場でローテーションし、親
子で実験を体験させ、学年規模で実施した。
1テーマ約60分ずつ実施し、のべ3テーマ
を学級ごとに交代して体験させた。財団より
各教育委員会・小中学校に対して資料の配付
や HP を用いた広報活動を行い、本事業に関
する派遣希望校を募っている。
国立科学博物館が行っている「夏休みサイ
エンススクエア」にもブース出展して、社会
16
教育を行ってきた。こちらは、開催時期が夏
期休業中であり、参加者(主に子供達と引率
する保護者)の地域性がやや広域となる特徴
がある。夏期休業における理科の自由研究課
題としても活用することが可能となるよう、
成果物が得られる実験テーマを設定し、毎年
2テーマでブースを開いてきた。原則として
小学校第3学年以上(なるべく子供達を優先
するが、一部高校生以上の参加者も含まれる)
を対象に1テーマ1回5名ずつ30分間で実
施し、2テーマを交互に行うため、数名の補
助学生を必要とする。各テーマとも1日5−
6回ずつ行い、例年3日間のみブース出展を
行っている。ブース出展期間中は、参加整理
券を得るために連日早朝より多くの希望者が
列を作り、配布とほぼ同時に1日分の整理券
がすべて配布完了となってしまう状況である。
こちらは、博物館などにおいて、資料の配付・
掲示、関係する HP などを中心にイベント開
催の広報を行うとともに、テレビニュースな
どでも取り上げられており、来場者は年々増
加傾向にある。
文部科学省が行っている「科学技術週間行
事」においても同様に中学生の親子を対象と
して体験型実験教室を実施してきた。これは、
受入型の催事として本学の実験室で行ってい
る。主に文部科学省の科学技術週間 HP を中
心に広報活動を行い、全国で開催される各催
事の一環として募集を行っている。科学技術
週間のみでなく1年間を通して、随時要望が
あれば、柔軟に対応してきた。
2−3 導入教育分野における教育的催事
科学者あるいは技術者を目指して本学に入
学し、本格的な科学・技術教育を受ける学生
となる中学生および小学生を獲得するため、
本学の学校広報活動の一環として、小中学生
とその保護者、引率する小中学校教員を対象
に科学・技術教育を指向した導入教育を様々
な教育的催事を通して行ってきている。
社団法人日本化学会後援により「一日体験
表1.これまでに実践してきた各教育分野における教育的催事の具体例
教育的催事
対象者
教育
実施
実施
共催・後援
の名称
(講座定員)
分野
形態
期間
予算措置など
都立学校公開講座
2004年−2006年 東京都教育
および
高校生以上
生涯教育
受入
2009年−継続中 委員会主催
オープンカレッジ
の社会人
(都側の開講
および
講義
時数の制限で 公立大学法人
「化学の知識で
(各20名程度)
実験
2007年−2008年 首都大学東京
暮らしを豊かに」
実施不可)
主催
オープンカレッジ
高校生以上
受入
公立大学法人
の社会人
生涯教育
2009年−継続中 首都大学東京
「やさしい環境化学」 (各40名程度)
講義
主催
神奈川科学技術
開催希望の
財団法人
アカデミー
小中学校側の 社会教育
出張
2007年−継続中
神奈川
要望により
科学技術
「研究者・技術者
定員などを
(導入
実験
アカデミー
学校派遣事業」
設定
教育) 講義
主催
国立科学博物館
小学校
社会教育
国立
「夏休みサイエンス
第3学年
出張
2008年−継続中 科学博物館
スクエア」
(導入
主催
以上
(2テーマ実施)
教育) 実験
(各1回5名)
文部科学省
中学生
文部科学省
科学技術週間行事
および
社会教育
受入
2004年−継続中
主催
保護者
日本化学会
「親子化学体験教室」
(導入
実験
後援
(8テーマより選択) (各20名程度)
教育)
予算措置無
産業技術高専
日本化学会
体験入学
中学生
導入教育
受入
1999年−継続中
後援
および
および
化学工学会
オープンカレッジ
引率の保護者 (社会
実験
共催
中学校教員
教育) 講義
2005年まで
「化学一日体験講座」
化学工学会の
(例年のべ4テーマ (各20名程度)
予算措置有
程度実施)
(広報活動)
産業技術高専
中学生
学校説明会
および
導入教育
受入
2008年−継続中
引率の保護者
「模擬授業」
講義
実験
(広報活動)
産業技術高専
開催希望の
出張
小中学校側の 導入教育
受入
2006年−継続中
「出前授業・
要望により
受入授業」
定員などを
(社会
実験
(8テーマを担当)
設定
教育) 講義
(広報活動)
17
入学」を開催している。これは本学が行って
いる中学生対象の「オープンキャンパス」の
一環として実施している催事である。中学
生・保護者・中学校教員を対象として受入型
体験実験教室として継続的に実践している。
日本化学会の会告などと、本学の HP で希望
者の募集を行っている。原則的に事前予約制
としているが、本学に興味がある中学生の他、
理科が好きな中学生など多数の希望者が応募
している。また、中学校教員の指示で理科の
自由研究課題の一環として本催事に参加する
ことを指示されて応募してくる参加者もあり、
中学校側と明確な連携はしていないものの、
地域と密接に関連付いた催事になりつつある
ものと考えている。例年、2日間のべ4テー
マずつ実施している。この教育的催事への参
加が本学への入学の動機付けとなった学生も
見受けられるようになった。
同様に、本学の広報活動の一環として、
「学
校見学会」における「模擬授業」などでも同
様に受入型の講義や実験教室を実施してきた。
対象は中学生とその保護者である。本学の HP
などで開催を周知し、当日の整理券制で希望
者を確定している。実施時期が志望校決定の
時期でもあり、その場限りの「模擬授業」で
はあるが、非常に大きな教育効果が得られる。
本学では「出前授業・受入授業」も積極的
に行っている。これは、各中学校が行ってい
る上級学校などの教員・技術者を中学校に招
致し、主に学年単位で実施している教育的催
事の多くに活用される「出前授業」と、中学
生が本学に上級学校訪問などで訪れた際に実
施する「受入授業」が中心となっている。著
者はこのうち8テーマを担当している。本学
の学校広報活動の一環として実施しており、
本学の HP の他、パンフレットなどでも実施
テーマなどを周知している。この教育的催事
は、要望している小中学校側の希望、すなわ
ち実施形態(時間・定員など)
・実施テーマ・
その他に対応し、可能な限り柔軟に開催して
18
いる。継続して同じ小学校あるいは中学校よ
り同一テーマの「出前授業」の依頼があり、
定着しつつある催事の一つである。
3.おわりに
幅広い世代の教育対象者に対して実施して
きた上述の様々な教育的催事の企画・運営・
実践などについては、参加者に対するアンケ
ート結果をフィードバックして改善している。
概ね高い評価が得られており、コメント欄か
らもこれらの教育的催事による大きな教育効
果が得られていることが推測される。また、
参加者、すなわち教育対象者のアンケートよ
り新たな教育的催事における実験テーマなど
の開発にも寄与するため、これらのアンケー
ト結果については非常に重要視している。今
後も継続的に scrap and build を繰り返して発
展的に遂行していきたいと考えている。
参考文献
[1] (a) Tamura, K. Chem. Edu., 46, 518, 1998.
(b) Tamura, K. Chem. Edu., 46, 744, 1998. (c)
Tamura, K. Chem. Edu., 51, 320, 2002. (d)
Tamura, K. 52nd. Ann. Soc. Jpn. Sci. Teach.,
Yokohama, K-06, 2001.
[2] (a) Tamura, K. 57th. Ann. Soc. Jpn. Sci.
Teach., Kariya, P2, 2007. (b) Tamura, K. 58th.
Ann. Soc. Jpn. Sci. Teach., Fukui, P-20, 2008.
(c) Tamura, K. 59th. Ann. Soc. Jpn. Sci. Teach.,
Sendai, P-13, 2009. (d) Tamura, K. 60th. Ann.
Soc. Jpn. Sci. Teach., Yamanashi, P-36, 2010.
(e) Tamura, K. 78th Ann. Meet. Electrochem. Soc.
Jpn., Yokohama, 1P20, 2011.
[3] (a) Tamura, K. 76th Ann. Meet. Electrochem.
Soc. Jpn., Kyoto, 1C18, 2009. (b) Tamura, K.
77th Ann. Meet. Electrochem. Soc. Jpn., Toyama,
2A05 and 2A06, 2010. (c) Tamura, K. 2010
Autumn Meet. Electrochem. Soc. Jpn., Atsugi,
2L19, 2010. (d) Tamura, K. 78th Ann. Meet.
Electrochem. Soc. Jpn., Yokohama, 1P21, 2011.
調理科学実習を活用した親子向け講座「北区食育体験教室」
Extension course of science and practice of cooking for parent and child
in “KITAKU SYOKUIKU TAIKEN KYOUSITU”
○佐藤典子
SATO , Noriko
, 千葉和義
, CHIBA , Kazuyoshi
お茶の水女子大学 サイエンス&エデュケーションセンター
Ochanomizu University Science & Education Center
[要約]
お茶の水女子大学と東京都北区健康いきがい課が連携した北区食育体験教室は,平成 20 年度より
実施され 3 年目を迎えた。この体験教室では,小学生の親子を対象に,理科実験や調理科学実習を体験
するカリキュラムを実施した。身近な食品を科学的な視点から取り上げた「小麦の変身~ふっくらホッ
トケーキ~」は,理科と家庭科を融合させたコンテンツであり,ふだんの食生活になじみの深い小麦粉
を材料に,2 回シリーズでじっくりと取り組んだ。ホットケーキのふくらむ秘密を実験しながら探って
いくことに加えて,小麦粉がどのような食品に変身しているかを考えさせ,参加した親子が日本の食の
問題を考えるきっかけになることを目指した。アンケート調査では,1 日目 2 日目とも児童,保護者に
高い評価を得ることができた。「理科で食育シリーズ」は,「理科と家庭科との関連性」や「生活と科学
との結びつき」を参加者が実感を伴って楽しみ,理解させるために有効であると考えられた。
[キーワード]
親子向け地域連携講座,
北区食育体験教室,
1.はじめに
理科で食育,
調理科学実習
食育の推進を支援するために必要な施策を講じるも
1)
2005(平成 17)年6月に食育基本法が制定された。
のとする。」と謳われている。
その前文には,「子どもたちが豊かな人間性をはぐ
2006(平成 18)年には食育推進会議の審議を経て
くみ,生きる力を身に付けていくためには,何より『食』
より具体的な施策の方向性が食育推進基本計画(1)と
が重要である。」「食育はあらゆる世代の国民に必要
して示された。計画によると食育を国民運動として広
なものであるが,子どもたちに対する食育は,心身の
く展開していくために毎年 6 月を食育月間に定め国
成長および人格の形成に大きな影響を及ぼし,生涯
レベルの催事を実施すると共に都道府県および区市
にわたって健全な心と身体を培い豊かな人間性を
町村などにおいても地域の各機関が連携して食に
はぐくんでいく基礎となるものである。」と明記されて
関する理解を深める体験活動を実践することが記さ
いる。
れている。
東京都北区健康福祉部健康いきがい課は,健康増
また,第三章基本施策(家庭における食育の推進)
第十九条には,「国及び地方公共団体は,父母その
進係,健康いきがい係,健康増進センター,健康相
他の保護者及び子どもの食に対する関心及び理解
談係から構成され,高齢者のいきがいづくりや区民の
を深め,健全な食習慣の確立に資するよう,親子で
健康づくりに関する各種事業を行ってきた。
参加する料理教室その他の食事についての望ましい
すでに高齢者や妊産婦,地域住民に対する実践講
習慣を学びながら食を楽しむ機会の提供,健康美に
座を展開しているが,親子向け体験講座の充実を図
関する知識の啓発その他の適切な栄養管理に関す
る目的で,お茶の水女子大学サイエンス&エデュケ
る知識の普及及び情報の提供,妊産婦に対する栄
ーションセンターと連携協力して理科の視点からの食
養指導又は乳幼児をはじめとする子どもを対象とする
育体験教室を実施することになった。なお、お茶の水
発達段階に応じた栄養指導その他の家庭における
女子大学サイエンス&エデュケーションセンターは,
19
北区教育委員会と連携した取り組み「新教育システ
不可欠である。様々な「食」の情報が氾濫する中で,
ム~デリバリー実験教室~」や「サイエンス・ラボ」事
日々の消費行動を自らの力で意思決定していくため
業など,すでに理科教育・科学教育の分野で効果的
には「食」や「情報」のリテラシーが重要である。
な実績を上げている。
そこで 2010 年度(平成 21 年度)は,日常生活でよ
佐藤は 10 年以上前から各地の社会教育施設にお
く食べる「フルーツ」「小麦」「大豆」を取り上げ食の問
いて「消費生活講座」や「食育実験実習講座」を実践
題を考えるきっかけとなるような体験教室を展開した。
してきた。その結果を活かし,北区食育体験教室で
3.研究の目的
理科と調理科学実習を融合させた授業を展開した。
本報告では,「小麦の変身 ~ふっくらホットケーキ
2.問題の所在
~」をメインに紹介することとする。
食の問題を世界規模でみた場合,2009 年 10 月
1) 第1日目の目的
に国際連合食糧農業機関(FAO)から発表された
ホットケーキのふくらむ秘密を調理科学実験し
栄養不足人口は 10 億人以上と推計されている。2)
て確かめる。受講者になぜふくらむのかを知る機
また,「The State of Food Insecurity in the
会を提供する。また,ホットケーキの主材料である
World」によると,地域別にみた場合,先進国の
小麦について学ぶ。
1500 万人に対してアジア・環太平洋は 6 億 4200
2) 第 2 日目の目的
万人,サハラ砂漠以南のアフリカは 2 億 6500 万
ホットケーキをさらにおいしく食べるために「バ
人が栄養不足に陥っている。特に開発途上国での
ター」や「シロップ」を手作りしその科学変化を楽
栄養不足は深刻である。
しむ。全2回の構成にすることにより,1 日回の実
一方,栄養過剰による肥満が増えている問題も
験で得られた知識と 2 日目の体験で得られた知
ある。世界保健機構(WHO)において公表され
識の統合をはかった。
た「2010 年肥満率の高い国ランキング」には,ト
3.研究の方法
「北区食育体験教室 3 回目・4 回目」は,東京
ップのナウルをはじめ西太平洋の島国が名を連ね
た。アメリカやイギリスも 12 位以内にランクイ
都北区在住の親子を対象に 2011 年 2 月に北区赤
ンした。アメリカでは生活習慣の変化から,子ど
羽文化センターで実施した。テーマの選択は,北
もの肥満率は過去 30 年に5%から17%へと 3
区の食育講座担当職員と打ち合わせ決定した。受
倍に上昇した。そこでミッシェル・オバマ氏は
講者の募集は,区民向け広報紙「北区ニュース」
2010 年に子どもの肥満に取り組む食育運動「レッ
等でおこなった。
ツムーブ」をスタートさせた。(2)
1) 1日目のプログラム
さて,日本に目を向けてみると社会経済情勢がめ
2011 年 2 月 13 日(土)午後 2 時~4 時に開催
まぐるしく変化する中で,食生活においては,脂肪の
し,児童 9 名(幼児 1 名含む),大人 7 名の参加が
過剰摂取など栄養の偏り,朝食の欠食や不規則な食
あった。児童の学年は,小学 1 年生が 4 名,3 年生
事,肥満や生活習慣病の増加,過度の痩身志向など
が 1 名,4 年生が 1 名,5 年生が 2 名であった。男
の問題に加え,新たな「食」の安心・安全性の問題や
女の内訳は,男児 5 名,女児 4 名であった。受講者
「食」の海外への依存の問題が生じている。(3)
16 名は,調理台ごとに 4 名で班を構成し実験・実
多くの国民は,こうした諸問題について,テレビや
習を行った。
新聞等のメデイアを通してたくさんの情報を得ている
2) 2 日目のプログラム
はずであるが,例えば「食料自給率」という言葉は知
2011 年 2 月 20 日(土)午後 2 時~4 時に開催
っていても個々の農産物の自給率など具体的な現状
し,児童 8 名,大人 7 名の参加があった。
を正しく理解しているかどうかは疑問である。
3) 実験器材
私たちが生命活動を維持するために食ベることは
赤羽文化センターに設置されている調理器具
20
を活用するとともに,お茶の水女子大学サイエン
実 施
お茶の水
赤羽文化
赤羽文化
滝野川文
滝野川文化
ス&エデュケーションセンター内の食育講座専用
場 所
女子大学
センター
センター
化センター
センター
器材をコンテナ BOX にセットして会場に運搬搬入
「小麦の変身~ふっくらホットケーキ~」の流れは,
して使用した。
各日とも 3 部構成とした。(5)
4) アンケート調査
表
表 2 体験教室の流れ
アンケート調査は,1日目 2 日目とも終了後に実
( 2010 年度 2 月 13 日・20 日実施)
施した。児童には,「楽しかったか」をとてもそう思う
構成
~そう思う~どちらとも言えない~そう思わない~
導
全くそう思わない~の 5 段階で評価してもらったほ
入
か,「不思議」「発見」「感動」したことを自分の言葉
内
・
容
クイズ
ホットケーキの材料は?
≪調理科学実験1≫(理科的なねらい)
で自由記述後回収した。保護者には,「有益だっ
1
展
・
たか」を 5 段階で評価してもらったほか,子どもと同
日
開
≪調理科学実験2≫
様「不思議」「発見」「感動」したことを自由記述して
目
・
もらった。さらに今後の講座運営に活かす目的で,
ふくらし粉の種類(重そうの熱分解)
焼く時の温度(温度計の使用)
≪調理実習≫ふくらむコツを実践
参加しやすい時期や曜日,時間帯等についてもコ
ま
実験のまとめ
メントをしてもらい改善策の参考にした。
と
小麦粉の加工食品は?
め
小麦の品目別自給率について
4.結果と考察
食育体験教室の 2010 年度の実施結果はつぎのと
食の現状と諸問題
おりである。
導
表1
各回の実施結果
入
(4)(5)
( 2010 年度実施の 5 回について)
・前日のふりかえり
ふっくらさせるコツは?
≪調理科学実習≫
授業
1 回目
2 回目
3 回目
4 回目
5 回目
2
展
・
形式
単発
シリーズ
シリーズ
シリーズ
シリーズ
日
開
≪調理科学実験≫
実験
①実験
②実習
①実験
②実習
目
テーマ
フ ル ー 小麦の 小麦の 大豆の
大豆の
ツ探検
変身
変身
変身
変身
・
バターを手作りしよう(分離・ろ過など)
砂糖の加熱による変化(加熱変化)
<調理実習>ふくらむコツを実践
ま
2 日間の実験・実習のまとめ
実
果物の ホ ッ ト
ホットケ
豆 乳 と おからを
と
レシピのおさらい
験
糖度調 ケ ー キ
ーキをお
お か ら 活用した
め
食品の加工に関するお話
実
べ
のふく
いしく食
作り
クッキン
習
(糖度計)
らむ秘
べるため
豆乳の
グ
の
密を探
にバター
濃度調
食料廃棄の
内
る
等を
べ
問題(お話)
手作り
(豆乳計)
2 月 20 日
3月6日
容
実
8 月 21 日
施
(夏休み)
2 月 13 日
月
2 日間
あけて
連続で
開 催
開 催
実施
平日の
土曜日 土曜日 土曜日
日曜日
時間帯
午前中
の午後
の午後
の午後
に示すとおりである。評価は,5 段階とした。
3月7日
1週間
の午後
質問紙法による事後アンケート結果は,図1~図4
図 1:児童アンケート 1 日目
「楽しかったか」
(回答 9)
21
図 2:保護者アンケート 1 日目
「有益だったか」
(回答 7)
大 電子天秤がすごかっ 生クリームがバター
人 た
とバターミルクに分
かれた時(瞬間)
児童は,「ふくらむ」や「色の変化」など科学現象そ
のものの原理に興味・関心を示したが,大人は体験
の結果得られた知識を自分の食生活と結び付けて比
図 3:児童向けアンケート 2 日目 「楽しかったか」
(回答 8)
較してどう感じたかをコメントをしていた。
5.おわりに
お茶の水女子大学と東京都北区健康いきがい課
が連携協力して実施した理科の視点からの北区食
育体験教室「小麦の変身~ふっくらホットケーキ~」
は,事後アンケートや受講者のコメントから,受講者
が生活と食科学の結びつき理解するために有効で
図 4:保護者向けアンケート 2 日目「有益だったか」
(回答 7)
あると示唆された。
1日目の事後アンケートの結果は,児童に対する
今後の課題は,食育推進基本計画にある食育月
「楽しかったか」の問いに対し全員が「とてもそう思
間の 6 月に合わせて講座を開催できるように大学内
う」と回答した。保護者も「有益か」の問いに「とても
の会場を調整すること,および,毎月 19 日を食育の
そう思う」「そう思う」の合計が 100%であった。
日としているので,2011年度(2012 年 2 月)の体験教
2 日目の事後アンケートの結果は,児童に対する
室は,19 日(土)に実施することとし,区民に「食育の
「楽しかったか」の問いに「とてもそう思う」「そう思う」の
日」の周知を図りたいと考える。
合計が 100%であった。保護者は 100%が大変有益
[引用文献]
であったと回答した。「不思議」「発見」「感動」のコメン
1) 内閣府(2005)食育基本法
トについては,一部を表 3 にまとめた。
2) 農林水産省(2010)世界の栄養不足人口
表 3 「不思議」「発見」「体験」したこと
1 日目
平成 22 年版 食料・農業農村白書
2 日目
[参考文献]
不
児
なんで「ふくらしこ」で さいしょは白だった
(1)内閣府(2006)食育推進基本計画
思
童
ふくらむのかな?
(2)毎日新聞(2011) 夕刊 1 面 知りたい!
議
クリームが黄色のバ
ミシェル夫人「レッツムーブ」
ターになること
大
ベーキングパウダー バターの色が着色し
人
と重曹のちがい
発 児
童
見
(3)内閣府(2010)食育白書平成 22 年版.
日経印刷株式会社
たものではなかった
(4)佐藤典子(2007)N.SATO の生活科学実験講座
(焼く時の)おんどが シロップはさとうと水
①食と健康.教育図書株式会社.
ちがうとふくらみかた だけで作れること
(5)佐藤典子(2008)N.SATO の生活科学実験講座
がちがう
大
コーンスターチを
人
入れるとなめらかで バターと味も香りも
おいしくなること
②食生活と食文化.教育図書株式会社.
ふだん食べている
[謝 辞]
本研究をすすめるにあたり,北区食育体験教室に
かなりちがう
感
児 ベーキングパウダー 小むぎこからいっぱ
ご参加され,アンケート調査にご協力いただきました
動
童 にお湯を入れたら
いできるものがあっ
市民の皆様に感謝申し上げます。また,北区健康い
てびっくりした
きがい課の皆様には多大なご支援を賜りましたことを
しゅわしゅわしたこと
厚くお礼申し上げます。
22
東京都日野市における環境学習サポートグループ「ひの どんぐりクラブ」の活動
Activities of Hino DONGURI CLUB, an environmental education support group in Hino City
中西 史
本地由佳
NAKANISHI, Fumi
他ひのどんぐりクラブ会員
the members of Hino DONGURI CLUB
HONJI, Yuka
東京学芸大学
ひのどんぐりクラブ
Tokyo Gakugei Univ.
Hino DONGURI CLUB
[要約] ひの どんぐりクラブは,東京都日野市を中心に,授業内外での環境や自然をテーマにした体
験学習などをサポートするボランティア団体である。現在 17 種類の環境学習支援メニューを公開し,
日野市やその周辺の小中学校,高等学校,日野市教育委員会,日野市環境情報センターと連携し,多
摩川中流域の河川や用水,公園等のフィールドでの体験的活動(魚類や水棲昆虫,河原の陸棲昆虫,
植物の調査等)や,そこで採取した自然素材を利用した工作等の支援を行う他,教員・企業向けの環
境講座等を行っている。昨年度の学校支援回数は 71 回,対象児童数は延べ 5,843 名であり,日野市の環
境教育における貢献度は非常に高い。本研究では,同団体の活動を紹介するとともに,今後の課題につい
て検討を行う。
[キーワード]
野外活動
1
環境教育,自然体験,生活科,総合的な学習,地域連携,出前授業,ボランティア,
2
はじめに
「ひの どんぐりクラブ」について
自然と直接触れることによって,その多様性や仕
日野市は,都心から約 35 km 西に位置し,市の北
組み・働きを知り,自然と人との関係について理解
東の境界線に多摩川が,ほぼ中央に浅川が流れ,河
を深めることは,子どもたちの自然観・環境観の形
川に沿った低地をはさんで多摩丘陵と日野台地が存
成に大切なことである。また,情報機器の普及によ
在するという,変化に富んだ地形を有する。また,
り五感のうちの視覚と聴覚が肥大化する生活の中
「日野の自然を守る会」をはじめとする多くの環境
で,触覚や嗅覚,味覚を使った体験が不足しており,
市民団体が精力的に活動する,環境分野での先進地
それらの感覚を活用した自然体験がますます重視さ
域として知られている。「ひの どんぐりクラブ」は,
れている。しかし,自然体験活動に取り組む際には,
2006 年に開かれた日野市環境学習リーダー養成講座
指導者は常に安全性の確保や,自然生態系の保全に
の修了生と日野市環境情報センターの関係者,自然
対する配慮が必要であり,「引率のための人員確保
保護団体の会員が中心となり,子どもたちが環境に
の困難さ」,「指導者の知識・経験不足」等の理由
ついてより体験的・実践的に学び,理解を深められ
からハードルが高くなっているケースが多い。その
るよう,市民の立場から支援することを目的として
点に関し,環境教育指導資料[小学校編](2007)
2007 年に会として発足した。その後,日野市民や近
では,指導上の留意点として,家庭や地域社会等と
隣大学の学生・教員などが入会し,現在の会員数は,
の連携をあげ,「学校と家庭,地域社会とが一体と
約 20 名である。
なった活動を行うことが大切である」と述べている。
本発表では,東京都日野市において,昨年度延べ
5,843 名の児童を対象に 71 回の学校支援を行った環
境学習サポートグループ「ひの どんぐりクラブ」の
活動(末尾参考資料)を紹介し,その成果と今後の
課題について検討を行う。
同団体は日野市環境情報センター(行政と市民,
事業所,学校教育関係者との協働により運営され,
環境に関わる情報の収集・整理・分析・発信,環境
講座の開催,児童の環境学習支援,環境問題の相談,
市民環境団体の活動支援,施設の提供,大学や諸団
体との連携,公共事業の環境への影響評価などを行
う
23
http://www1.hinocatv.ne.jp/kankyo/)や日野
市やその周辺の小中学校,高等学校,日野市教育委
6. 葉っぱのスタンプ
員会と連携して活動を行っている(図1)。支援の
7. バッタ捕り
要請は環境情報センターを通じて行われるが,メー
8. クモの観察
リングリスト, FAX を活用するなど連絡調整は非常
9. ヤジロベエの工作
にスムースに行われている。
10.落ち葉を使って工作
11.まつぼっくりツリー
12.冬芽の観察
13.葉っぱ・花のビンゴ
14.春のビンゴ
15.木や枝の工作
16.アイスバーの竹とんぼ
17.日野の生きものの上映
②ガサガサ「水生生物の観察」のメニュー内容を図
2に示した。
図1 ひの どんぐりクラブと他の組織との関係
3
活動内容
1)地域の子どもたちへの環境学習や野外授業の支
援
市内の小中学校の総合学習,生活科における出張
授業や子ども会,保護者団体,科学クラブの活動支
援を行い,現在は年間延べ数千人の児童を対象とし
ている(表1)。2009 年度の具体的な活動を末尾に
参考資料として添付した。支援内容は,先方からの
要望に添って柔軟に応じているが,団体として支援
メニューをまとめた小冊子を市内 17 の各小学校に配
布,また,団体の Web サイト(後述)で公開し,依
頼しやすい環境を整えている。現在公開しているメ
ニューは次の 17 個である。
1. たんぽぽのふしぎ
2. ガサガサ「水生生物の観察」
3. 虫とともだちになろう
4. 帰化植物
5. 野鳥の観察
図2
表1
年 度
2007
2008
2009
2010
活動実績
会の発足。学校支援 25 回(対象児童延べ 1,650 名)
学校支援 52 回(対象児童延べ 4,214 名)。会則への制定。
学校支援 71 回(対象児童延べ 5,843 名)、日野市教員向け講
演会「たのしい環境学習のすすめ」他
同上(11 月 29 日時点での支援回数 50 回,対象児童延べ
3,288 名)
支援メニュー ガサガサ「水生生物の観察」
各メニューには,①子どもたちに伝えたいこと,
②実施時期,③実施場所,④対象学年,⑤関連教科,
⑥時間数,⑦事前準備,⑧当日の準備(材料・道具
等),⑨当日の流れ,⑩備考,の項目が用意され,
24
支援を受ける側の準備や,事前・事後指導を行い易
ならびに「日野の自然映像」を制作した。これは,
い内容となっている。今後,草木染め,天気図作り,
教員・指導者に対する研修,自然体験活動の際の事
立体地図作り,立体凧作り,リース作り,などのメ
前・事後学習,ならびに野外での活動の支援とする
ニューを順次公開する予定である。団体では,これ
ことを目的としたものである。また,ガサガサ体験
らのメニューを団体の支援活動のためだけでなく,
(河川における水生生物の観察)を中心に服装や持
広く日野市内外での自然体験学習の参考になること
ち物など,野外活動における安全面の注意や,活動
を希望している。支援活動では,依頼者との事前の
の方法を新たに整理し「準備と注意」として公開し
打ち合わせ,フィールドの下見,材料・器具の確保,
た。さらに,質問コーナーも設け,親子で行う自然
学校からフィールドまでの移動時・活動時の子ども
体験活動へのアドバイスなども行っている。
の安全確保,児童への講話・作業の補助等を,メニ
ューの特性,会員の得意分野にあわせて行っている。
3
活動の成果と今後の課題
同団体は,単独で支援を行うだけでなく,中央大学,
本団体の活動は年々知名度を増し,授業支援では
東京学芸大学,明星大学などの近隣の大学や専門家,
公開授業や研究授業として行われることもあり,支
東京都市町村会,他の環境市民団体と合同での活動
援を行ったクラスだけでなく,参観した他の学校の
も行っている(図1)。
教員や,保護者への啓蒙活動としての機能も果たし
ており,日野市の環境教育における貢献度は非常に
大きいと考えられる。今年度本団体の支援を受けた
2)教員,保育士を対象とした研修
日野市環境共生部環境保全課からの要請を受け,
教員にアンケート調査を行い,34 の支援活動につい
日野市の小中学校教員,幼稚園教諭・保育士を対象
て回答を得た。以下,アンケートの回答結果を中心
とした研修を年に 1〜2 回行っている。昨年度は「ネ
に,本団体の活動の成果と今後の課題を検討する。
イチャーゲームの紹介と体験」のタイトルで,日本
アンケートでは,支援内容,支援を受けるに当た
ネイチャーゲーム協会インストラクター・相模原市
って取り組んだ準備・事前指導,事後指導・後始末,
立二本松小学校長 井上
良かった点,困った点・要望,Web サイト「ひのど
満氏を講師とした研修と,
んぐりクラブ」の活用,について質問した。
「日本電子株式会社の理科支援活動の紹介」のタイ
トルで,日本電子株式会社
アンケートは好意的なものがほとんどであり,良
技術顧問 近藤俊三氏を
講師として,電子顕微鏡を使った理科授業の紹介,
かった点に関しては
授業外での活用法についての研修を行った。研修の
・ 今まで児童が関心の無かった,もしくは嫌悪感を
示していた生き物(クモや昆虫)に親しみを持て
広報は日野市教育委員会を通じて行っている。
るようになった。
・ 生き物の名前や生態について詳しい指導があっ
3)Web サイト「日野市環境学習サポートクラブ
た。
ひのどんぐりクラブ」の運営
・ 支援者の人数が多く,安全に活動できた,きめ細
(http://www.hino-donguri.com/)
やかな指導を受けられた。
本団体は本年度,財団法人とうきゅう環境浄化財
団より「2010 年度
・ 準備や材料集めを負担してもらえて,助かった。
多摩川およびその流域の環境浄
等の回答が複数みられた。
化に関する調査・試験研究助成金」の交付金を「多
摩川中流域の自然を活用した自然体験学習の支援な
困った点・要望に関しては,
らびにその教材づくり」のテーマで受けてWebサ
・ 支援者の数がもっと欲しい。
イトを立ち上げ,環境学習支援メニューや活動の成
・ 生き物が期待したほど見られなかった。
果を広報するとともに,本団体の会員が長年撮り貯
・ 時間調整が難しく,活動の時間が十分とれなかっ
めてきた多摩川中流域に生息する生き物の高品質な
た。
映像を活用したデジタル生き物図鑑「生きもの図鑑」
25
・ 学校ごとにどのような活動が出来るか示して欲
なる」「連絡を取るのに便利」等の有効性を示す回
しい。
等があった。今後,学校側にも野外活動に対する理
答が得られた。今後さらに内容を充実し,より有効
解を求め,協議を深めるとともに,会員の増員,支
性の高い Web サイトを目指す予定である。
援メニューの検討を行ってゆく必要がある。
団体の Web サイトに関しては,「まだ見ていませ
参考文献・資料
ん」という回答もあったものの,「生き物の映像を
国立教育政策研究所教育課程研究センター「環境教育指導資
支援活動の事前・事後指導,またはその他の授業で
料【小学校編】」2007,東洋館出版社
活用した」「動画があるのが良い」「生き物の生態
法政大学エコ地域デザイン研究所「水の郷 日野
まで調べられるのが良かった」「指導者の心得も分
農のある風
景の価値とその継承」2010,鹿島出版社
かって参考になる」「支援メニューを参考に自分で
日野市環境情報センター「日野市環境情報センター年報 2005
授業を行いたい」「活動紹介が次の活動のヒントに
〜2009」2006〜2010.
26
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