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気仙沼市導入事例
防 災 情 報 伝 達 制 御 シス テム お客さまの声 あらゆる情報伝達手段を統合、システムの“ 普段使い ”で、住民の安全を守りたい ̶ 東日本大震災当時の状況やシステ ム導入の経緯について、お聞かせくだ さい。 東日本大震災においては、地震の 発生直後から市全域が停電したことも あり、 もともと情報伝達手段として想定 していたメディアを有効に機能させる ことはできませんでした。そうした一方、 自治体に対して、災害情報の提供を 求める市民からの要望は高まってお り、災害情報を迅速かつ確実に届ける ことが急務とされました。ワンオペレー ションで多種多様な情報配信が実現 する 「防災情報伝達制御システム」は、 まさに被災当時の私たちが求めてい たシステムでした。 ̶ 消防庁と連携した実証実験につい ての評価はいかがですか。 今回、総務省消防庁の 「住民への 災害情報伝達手段の多様化実証実 験」への参 画ということで、2013 年 2 月に行った実証実験では、通信障害 の発生など災害時のさまざまなケース を想定した上で、システムが問題なく 稼働し、デジタルサイネージや緊急速 報メールなどのメディアに災害情報が 届くことを確認しました。ほんの数秒で 情報配信される様子に参加者も感心 し、高く評価するなど、成果を収めるこ とができました。防災行政無線を補完 するシステムとして、いくつもの 「想定 外」を真剣に想定した配信テストを行 い、有効性をさらに高めていきたいで すね。被災経験がある沿岸地域の自 治体の事例として、今回の実証実験を 通じてさまざまな知見が得られ、全国 の防災対策に活かされることを願って います。 ̶「防災情報伝達制御システム」の 使い勝手や感想はいかがですか。 震災当時はすべての職員が多忙を 極める中で、ホームページや Twitter などさまざまなツールへの情報配信は とても困難でした。本システムであれ ば、そうした状況でも複数のメディアに 手軽に情報配信することができ、災害 時の被害を最小限に抑え、住民への 有効な情報伝達手段になると思いま す。今回の実証実験では、システムに 不慣れな職員も簡単な説明だけで操 作できることが確認でき、システムの操 作性は高く評価しています。一方、体 制も含めて、どうすれば災害発生時に 役に立つシステムになるのか、今後の システム運用については課題があると 考えています。例えば、魚市場や市立 病院に設置したデジタルサイネージは 防災以外の情報配信で普段から市民 に慣れ親しんでもらうことが不可欠で すし、情報配信する側も日ごろから活 気仙沼市 導入事例 気仙沼市総務部 危機管理課 主査 三浦 稔氏 用するといった、システムの“ 普段使 い ”が大事だと考えています。そうし た運用面についてもNTT 東日本ととも に改善していきたいと考えています。 ̶ 今後の展開や展望について、お聞 かせください。 システムを導入したら終わりではな く、これがスタートだと考えています。市 では、車での移動中に被災したり、車 中で夜を明かしたりした住民も多かっ たので、今後はカーナビへの情報配信 や、現在フィールド実験などが行われ ている新たな通信メディアとの連携も 検討しています。住民の目や耳に触れ るあらゆるメディアに対して、ワンオペ レーションで情報配信できる環境を整 備 することで、Twitter や Facebook など積極的に情報収集を図る住民の ニーズに応えるとともに、情報弱者と呼 ばれる高齢者にも確実に情報を届ける 仕組みを整備したいと考えています。 導入の背景 東日本大震災の経験を踏まえ、市役所職員に 負担をかけることなく、災害発生直後から多種 多様なメディアを介して住民に確実に災害情 報を届ける環境を整備したいと考えた。 気仙沼市の概要 宮城県北東部の太平洋岸に位置しており、造船や水産加工業で発展する気 仙沼港を有する一方、市の大半はリアス式海岸特有の地形であり、沿岸部の わずかな平地に住民が寄り添うように暮らしている。水産業と観光が主な産業 であり、防災教育等のソフト事業を中心に津波防災に重点を置いて対策を講 じてきたものの、東日本大震災では甚大な被害を受けた。2011 年 10月に 「気 仙沼市震災復興計画」 を策定、 「津波死ゼロ」のまちづくりを目標に掲げ、居 住エリアを高い場所に定め、職場がある市場・産業エリアでは仕事中に津波が 来た時の対策として、避難ビルの設置などを計画している。 選定のポイント ● 多種多様な情報伝達手段にワンオペレー ションで情報配信できる利便性 ● 新たな情報伝達手段にも的確な対応が図れ るシステムの柔軟性 ● NTT 東日本グループの技術力や営業・運用 支援体制に対する信頼 期待効果 お問合せ先 東日本電信電話株式会社 ビジネス&オフィス営業推進本部 公共営業部 T E L:03-6803-9056 E-mail:[email protected] U R L:http://www.ntt-east.co.jp/business/industry/gov/ ※文中記載の会社名および製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。 ※文中記載のお客さまの組織名・所属・肩書き取材内容などはすべて2013年2月時点のものです。 K16-0506【1606-1706】 ● 災害時における、住民への情報伝達手段の確保 ● 災害情報の適切な提供を通じた災害被害の軽減 ● 東日本大震災での教訓を盛り込んだ機能の拡充 選定ソリューション ● 防災情報伝達制御システム 多様なメディアと連動し ワンオペレーションで配信 災害時の住民への 情報伝達手段の確立を目指す 実証実験模様 多忙を極める状況下、 災害情報を届けることの重要性を痛感 置したIP 告知端末や街角のデジタルサイネージには音声 施設や各世帯に設置したIP 告知端末に対しても、本シス 漁協、仮設住宅、市内学校でアンケートを行うなど検証作 や文字情報が配信されます。さらに、インターネット技術と テムを用いて手軽に情報配信できる環境を構築。さらに、 業を進めつつ、システム改善や他の情報伝達手段の統合 なども図っていく考えです。 の親和性も高く、TwitterやFacebookなどの新たに登 市の災害 FM 局からの全面協力を得て、放送中でも緊急 太平洋に面し、全国有数の水揚高を誇る港町として 場するSNSメディアや、 「Lアラート*1」にも柔軟に対応。 時に災害情報を流せるようにしました。 古くから栄えてきた、宮城県気仙沼市。1960 年のチリ地 NTT 研究所のネットワーク制御技術を応用して開発され 震による津波をはじめとする過去の災害の教訓から、地 たシステムであり、現在では複数の自治体に導入されて実 域の防災意識も高く、被災状況や避難場所への誘導な 際に活用されています。 ど住民が必要とする災害情報の伝達手段として、市では 東日本大震災の発生以前から、防災行政無線や電子 ホームページや Twitterなど情報がほしいときに 「能動 具体的な災害想定に基づいた高い可用性・ 信頼性をもったシステムの実現 メールなどの住民が 「受動的に情報を得られる手段」 と、 気仙沼市では、今後もシステムの“ 普段使い”を通じ て、運用面も含めたシステムの普及・浸透を目指していま す。例えば、導入したデジタルサイネージについて、震災 大規模な実証実験を通じて、 情報伝達手段の統合に確かな手応え で大きく地盤沈下した沿岸部の住民に必要な測位情報 や、防災以外の観光情報などの発信といった用途への利 気仙沼市の 「防災情報伝達制御システム」は、 「住民 用促進を図っています。 への災害情報伝達手段の多様化実証実験」 (総務省消 NTT 東日本では、気仙沼市で行った 【郊外型】 × 【沿 防庁)の一環として実現したシステム。そして、災害情報 岸部型】情報伝達モデルの実証実験を機に、内陸部や 的に情報を得る手段」の両方を整備していました。しか 気仙沼市では、東日本大震災時の経験から、停電、浸 伝達訓練という位置付けのもと、システムの有効性を検証 近隣自治体と補完し合うような、災害時の情報伝達手段 し、実際に震災が発生すると、直後からさまざまな対応に 水、通信環境の停止といった不測の事態にも耐えうる高 する実証実験「気仙沼市災害情報システム配信実験」が の連携・確立を検討しています。 追われてすべての職員が多忙を極め、さらに市全域で い可用性・信頼性をもったシステム化を構想しました。市 2013 年 2月に行われました。 停電するといった状況の中、定期的な情報更新や複数 役所が停電や浸水による機能停止になる事態に備えた 実証実験では東日本大震災と同等の災害を想定、通 手段での配信を行うことは、 とても困難だったといいます。 「システムサーバー類のデータセンターへのハウジング」、 ま 信障害の発生など複数のケースを設定して、無線経由で そうした経験を踏まえて、停電などの状況下における通 た市庁舎周辺の通信環境が途絶える事態に備えた 「遠 の情報配信や市外からの災害情報伝達訓練を実施しま 信手段の確保も含め、住民への迅速かつ確実な情報伝 隔地からのリモートアクセスでの情報配信」を計画の中核 した。システムのデモ環境を構築した市役所内の実験会 達手段を早急に構築したいと、市では考えました。 としています。リモートアクセスでの情報配信については、 場では、市の担当者が端末からワンオペレーションで情報 2012 年 5月、気仙沼市が「住民への災害情報伝達手 不正に配信されることのないよう、セキュリティ対策を二重 配信の操作を行うと、ほんの数秒で通信ネットワークを介し 段の多様化実証実験」 (総務省消防庁)の対象自治体 三重に行っています。 てデモ機に情報が表示されました。また、音楽を流してい に採択されたことから、NTT 東日本では、 「防災情報伝 さらに、東日本大震災で実際の避難場所となった気仙 たFMラジオから訓練の試験放送が流れたり、会場に居 合わせた参加者の携帯電話やスマートフォンも一斉に鳴り 達制御システム」を中核としたソリューションを提案。そ 沼市の魚市場や、大勢の被災者が集まることの想定され の内容が市の要望する仕様と合致したため、市とNTT る市立病院に対し、災害情報を配信するデジタルサイ 出し、緊急速報メールを受信したりと、システムの有効性を 東日本は災害時における住民への情報伝達手段の確 ネージを設置。通信経路についても、高所に設置した無 じかに体験する機会となりました。今後も、市内事業所や 立を目指すこととなりました。 線基地局を経由して、市役所からデジタルサイネージに情 報を直接配信する方式を採用し、通信キャリアのサービス ワンオペレーションで情報配信が可能な 「防災情報伝達制御システム」 サイネージには 高所アンテナ経由で無線配信 太陽光発電パネルを設置して最低でも2日間は情報配信 NTT 東日本の 「防災情報伝達制御システム」は、既存 災害情報を提供する環境を確保しました。 の防災行政無線、一部の自治体で導入が進むIP 告知端 また、市役所から離れた場所に位置する本吉地域の 末やデジタルサイネージ、携帯電話やスマートフォン、さら 防災情報提供システムとして、旧本吉町が 2008 年に公共 気仙沼市役所 (災害対策本部) 防災行政無線 インターネット 1つの端末操作で 複数網・端末へ 情報送信 瞬時警報システム 「J-ALERT」 とも連携が図れ、自動配 信による情報提供も可能です。 そうした多種多様なメディアに対応している上、システ J-ALERT 自動起動に 対応 ムの使い方は極めて簡単。自治体の防災情報センターな どに設置したパソコンから、定型文の音声ファイルを選択 したり、文章を打ち込んだりするだけで、防災行政無線の 屋外スピーカーからは災害情報の音声が流れ、家庭に設 IP 網 防災情報 伝達制御システム 治体独自の情報伝達手段や公共メディアに対して、1 つ 魚市場のデジタルサイネージ *1 L アラート:一般財団法人マルチメディア振興センターの運営する、災害などの住民の安心・安全に関わる情報を迅速かつ効率的に伝達 することを目的とした新たな情報流通のための基盤 魚市場と市立病院に配信 ・デジタルサイネージ 魚市場 NTT東日本 データセンター にはラジオや地上デジタル放送のデータ放送といった、自 の端末操作で情報配信を可能にするシステムです。全国 緊急速報メール ■「気仙沼市災害情報伝達制御システム」イメージ図 に依存しない、市独自の無線通信環境を構築しました。 できるなど、携帯電話やスマートフォンを持たない住民にも Twitterへの配信 街にも配信 ・防災行政無線 家庭内にも配信 ・ホームページ ・IP告知端末 ・FMラジオ 携帯電話網 FM 放送波 リモートアクセス 市役所外からも 情報送信可能 移動中にも配信 ・登録制メール ・緊急速報メール ・Twitter ・Facebook 気仙沼市導入事例 多様なメディアと連動しワンオペレーションで配信 災害時の住民への情報伝達手段の確立を目指す