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東京国際空港ターミナル株式会社 様(PDF)
東京国際空港ターミナル株式会社 羽田空港・新国際線旅客ターミナル全域を無線 LAN でカバー HP E-Series Access Point により複数サービスの一体運用を実現 2010 年10 月、羽田空港にオープンした新国際線旅客ターミナル。訪れ る旅客やターミナル利用者に対する利便性の向上と各種空港業務の高度 化に向けて、東京国際空港ターミナル株式会社(略称:TIAT)が注力した のがネットワーク環境の充実だ。 HP E-Series Access Pointを全面採用し、 ターミナル内のほぼ全域をカバーする無線 LAN を構築した。 目 的 ● ターミナル内のラウンジや出国エリアにおける公衆無線 LAN サービスの提供 ● 約 120 台の無線 LAN アクセスポイントを配置し 広大な空港ターミナル内をくまなくカバー アジアをはじめとする外国人旅行者の増加や新たな国際線就 搭乗者の荷物管理に用いるハンディターミナルのワイヤ 航を期待する声に応え、2010 年10 月 21日、羽田空港に新国 レス化など、空港業務の効率化 際線旅客ターミナルがオープンした。 地上 5 階建、延床面積約 159,000㎡の広さを誇る同ターミナ アプローチ ● キャリアの認証を受け、公衆無線 LAN サービスで多く実 績を持つ HP E-Series Access Point を全面採用 ● 新国際線旅客ターミナルの1 ∼ 5 階の一般旅客が利用す るエリアを中心にきめ細かく無線 LAN アクセスポイント を配置 ルは、東京の新たな “玄関口”として、常に時代の先端を行くター ミナル施設とサービスを提供することをコンセプトとしている。 その 一 環として 東 京 国 際 空 港ターミナル 株 式 会 社(略称: TIAT)が整備したのが、ターミナル内のほぼ全域をカバーする 無線 LAN 環境である。 主に出国エリアにおいて、NTTドコモの「Mzone」、NTT 東日 システムの効果 ● 自律モードでの運用により、シンプルかつ高機能な無線 LAN 環境を実現 ● VSC(仮想アクセスポイント)機能を活用し、1 台の無 線 LAN アクセスポイント上で公衆無線 LAN サービスと、 空港業務用途の混在運用を行い、IEEE802.11b のチャ ンネル数不足に対応 本の「フレッツ・スポット」、NTTコミュニケーションズ の「ホッ トスポット」、ソフトバンクテレコムの「BB モバイルポイント」、 NTT コミュニケーションズの「1DAY PASSPORT」の 各商用 サービスをサポートする他、無料の無線 LAN サービス(SSID: TIAT)も提供。さらに、各航空会社によるラウンジ利用者専用 の無線 LAN サービスにも対応している。 もちろん、幅広い空港業務でも無線 LAN が活用されている。 ビジネスへの効果 ● 来訪客に対する利便性を高め、空港利用満足度を向上 ● 航空輸送におけるグランドハンドリング(地上業務)の高 度化への基礎を築いた 例えば、TIAT では搭乗者の受託手荷物をバーコードで管理し ており、それを読み取るハンディターミナルをすべて無線 LAN 上で運用している。また、レストランやショップなどのテナン トが、独自のサービスやイベントを展開したいといった場合に も、そのインフラとして無線 LAN を利用できるよう体制を整 えている。 そして、この無線 LAN 環境を構築するにあたり、TIAT が全面 的に採用したのが、IEEE 802.11n に対応した HP の無線 LAN アクセスポイント HP E-Series Access Point である。 HP E-MSM422 Access Point を 主 機 として、 屋 外 型 の HP E-MSM320-R Access Point を一部加えた合計約 120 台の HP E-Series Access Point を同ターミナル内にくまなく配置するこ とになったのである。設置場所は1 ∼ 5 階の各フロアや駐車 場にも及んだ。 この決定に至った最大の理由は、HP E-Series Access Point が持つ実績である。 数ある公衆無線 LAN スポットの中でも空港ロビーは極めて利 用率が高いだけに、サービスが不安定であってはならない場 所だ。その点 HP E-Series Access Point は、実際に全国各地 の公衆無線 LAN スポットにおいて 7,000 台以上が導入されて いる。また、長年にわたって同じアーキテクチャーを守ってお り、 “枯れた技術”をベースにしている点も大きな安心と受け止 められた。 率の高い大きなガラス窓などがたくさんあり、無線 LAN 環境 自律モードでの運用により の設計は非常に難しい条件にある。これらのアクセスポイント ネットワーク構成をシンプル化 をコントローラで管理するとなると、ネットワーク構築の自由 運用面においても HP E-Series Access Point には大きな優位 度が損なわれる場合がある。しかし、自律モードと制御モー 性があった。 ドの両方に対応している HP E-Series Access Point は、現在 無線 LAN アクセスポイントの運用形態には、大きく自律モー は自律モードで動作させるが、将来は機能が拡充されたコン ドと制御モードの 2 つがある。簡単に言えば、自律モードはア トローラを採用し、既存の無線アクセスポイントを利用して統 クセスポイントを単体で運用する方式、一方の制御モードは複 合管理する制御モードへの移行が可能になる、といった柔軟 数のアクセスポイントを中央の制御装置(コントローラ)によ 性を持っている。 り集中管理を行う方式である。 制御モードを採用するケー 一般に企業内の無線LAN環境では、 PoE 機能を活用した自由な配置で スが多い。ほとんどのメーカーが制御モードを中心とした製 レイアウト変更にも柔軟に対応 品開発を行っており、無線管理機能や MAC レイヤーの機能、 実際、無線 LAN 環境の構築に際しては、さまざまな場面で臨 セキュリティ機能がコントローラ側に実装されている製品が主 機応変な対応が求められた。 力を占めているからだ。 TIAT が HP E-Series Access Point の導入を正式決定したのは このためアクセスポイントの持つ機能が簡略化され、自律モー 2009 年末のことである。10 月 21日の新国際線旅客ターミナ ドをサポートできないか、仮にサポートできても制御モードに ルのオープンに備えて、7 月末までには無線 LAN 環境を含め 比べて使用できる機能そのものが大幅に制限されてしまうと たネットワークインフラ全体を完成させておく必要があった。 いうデメリットがあった。また、制御モードで運用する場合でも、 すでに完成した建物内に無線 LAN 環境を構築するのであれば コントローラの機能に依存するため、ユーザートラフィックが それほど苦労はないが、新築現場の場合、建物そのものの工 常にコントローラを経由しなくてはならないという制約が生じ 事と並行し、現場で細かな調整を図りながらネットワーク構築 てしまう。 にあたらなければならない。 これに対して HP E-Series Access Point は、自律モードと制 どのテナントがどの場所に入居し、どんな設備を設置するのか、 御モードの両方に対応しているのはもちろん、そのどちらの まず各フロアのレイアウトが固まらないことには、アクセスポ モードにおいてもほぼ同等の機能が実装されており、同じ水 イントの位置決めにも着手できない。雰囲気を損なわないよ 準で活用することが可能なのである。 うアクセスポイントを目立たない場所に隠すことが求められる 今回の無線 LAN 環境の構築を担当した株式会社 JAL インフォ エリアもある。実際、新東京国際ターミナルでは、4 階のレス テックによると、空港ターミナルには、吹き抜けや電波の反射 トラン/ショッピング街(通称:江戸小路)では無線アクセスポ イントは目立たないように設置されている。 先 の 自 律 モ ード に 加 え、HP E-Series Access Point で は イーサネットケーブルを介して給電を行う PoE(Power over Ethernet)機能を活用し、レイアウト変更にあわせてアクセス ポイントを自由に移動できることから、臨機応変な対応が可 能となっている。 仮想アクセスポイント機能により 独立した VLAN 上で各サービスや業務を運用 新国際線旅客ターミナルがオープンしてから約 4 カ月が過ぎた 現在にいたるまで、HP E-Series Access Point は安定した稼働 を続けており、空港利用満足度の向上に少なからず貢献して いる。 例えば、同製品に備わっている VSC(仮想アクセスポイント) の機能だ。 港 業 務 でも 無 線 LAN を 活 用して い る。TIAT は、VSC 機 能 VSC は、単一の物理アクセスポイントを複数の独立したアク を 活 用 することで、 こうした複 数の インスタンスを 1 台 の セスポイントとして見せるために、アクセスポイントの機能を HP E-Series Access Point に同 居さ せ て運 用してい る ので 多重化する。本来の 802.11 規格上では、物理的なアクセス ある。 ポイント当たりに一つしかない BSSID(基本サービスセット識 具体的には、VSC ごとに異なる SSID をブロードキャストし、 別子)ならびに SSID(サービスセット識別子)の組み合わせを、 それと紐づけられた完全に独 立した VLAN で個々のサービ 単一 の物理アクセスポイントの中に複 数共存させるのであ スや空 港 業 務を 運 用している。なお、HP E-Series Access る。これにより、同じ物理アクセスポイントの同じ無線周波数 Point は、VSC ごとに異なるユーザーアクセスやセキュリティを (チャンネル)内で、無線クライアントから見ればあたかも異 設定して制御できるため、安全対策上もまったく問題はない。 なるアクセスポイントが複数存在するように見え、複数の無線 LAN サービスを独立した LAN セグメント(VLAN)として提供 ローカルメッシュ機能をはじめ することが可能となる。 無線 LAN のさらなる高度利用を模索 先 述したように、 新 国 際 線 旅 客ターミナル 内 で は 複 数 の こうした HP E-Series Access Point の運用実績を踏まえると、 公 衆 無 線 LAN サー ビ スを サ ポートする 他、 さまざま な 空 現時点では利用していないさまざまな機能についても、有益 アクセスポイント設置エリア 導入ハードウェア ・ HP E-MSM422 Access Point ・ HP E-MSM320-R Access Point な活用方法が考えられるだろう。ローカルメッシュ機能がその 機能は正常なアクセスポイントを探し出し、自動的に経路の 一つの候補である。 復旧を図る。ネットワークのダウンタイムを最小化し、空港内 一般的な無線 LAN アクセスポイントでも、アクセスポイント のサービスや業務の可用性を高める意味でも、ローカルメッ 間をイーサネットの替わりに無線リンクで接続できる WDS と シュ機能は有益に活用できるのである。 呼ばれる機能を持つものがある。ただ、同機能を利用する場合、 近年、航空輸送における旅客サービスやランプサービス、貨 無線リンクを手作業で設定する必要があった。 物サービス、機体整備、車両・施設整備、オペレーション管 これに対して HP E-Series Access Point が持つローカルメッ 理、セキュリティなど、グランドハンドリング(地上業務)の高 シュ機能を利用すれば、無線リンクの設定が自動的に行われ 度化や効率化が強く求められている。それはまさに、羽田空港・ る。また無線リンクは1 対1 に限られず、しかも無線リンクは1 新国際線旅客ターミナルがコンセプトとする「より便利に、よ ホップだけでなく、マルチホップが可能で無線リンクのみでネッ り優しく、快適都市空港にふさわしいおもてなし」の具現化に トワークの拡張が可能である。各アクセスポイントがお互いの 他ならない。 電波圏内に配置されているだけで、同じグループ ID を持つア こうした多方面の空港業務において、今後さらに無線 LAN の クセスポイント同士が通信しあって、最適な経路を自動的に確 活用が進んでいくと予想される。HP としても SI ベンダーと歩 立するのである。 調をあわせながら、より有益かつ最適なソリューションを積極 例えば、テナントが何かのイベントを実施したいといった際に 的に提案していく考えだ。 も、ローカルメッシュ機能を使えば対象となる VLAN を一時 無線 LAN を高度利用した新時代の国際空港のスタイルが、羽 的に空港ターミナル内の任意の場所に、無線 LAN 経由で容易 田空港・新国際線旅客ターミナルから発信されようとしている に展開することが可能だ。また、万一いずれかの無線 LAN ア のである。 クセスポイントに故障が発生した場合でも、ローカルメッシュ