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今月号の詳細をみる(4.8MB)

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今月号の詳細をみる(4.8MB)
昭和52年9月6日
昭和52年9月6日
第三種郵便物認可
第三種郵便物認可
第62回熊本県酪連通常総会開く
一方、乳業界においては、原材料価格が円安や
国際相場の上昇の影響を受けて高騰するなか、包
装資材および物流費ならびにエネルギーコストも
上昇したことから、コストアップを抑制する更な
る企業努力に取り組まざるを得ない状況となりま
した。また、消費税率の改定や少子高齢化が進み
飲用需要が伸び悩んだものの、生乳生産が減少し
たことから昨年末にはバターの供給不足が起こる
など、生乳の需給調整に翻弄されることとなりま
挨拶する 吉田孝壽 会長
した。
6月26日(金)
、本会3階大会議室で、熊本県
この様な経営環境のもと、本会においては創立
酪農業協同組合連合会の第62回通常総会が開かれ
60周年を迎えたことから、昨年12月に行政始め関
ました。
係諸団体ならびに会員・役職員の出席を得て記念
冒頭、吉田孝壽会長の挨拶、来賓の挨拶に続き、
の祝賀会を開催しました。
倉岡繁組合長(大阿蘇酪農協)を議長に選任し、
・
生産本部においては、酪農生産基盤強化のため
平成26年度事業報告、貸借対照表、損益計算書、
に新規就農者支援および酪農後継者を対象に「酪
注記表、付属明細書及び剰余金処分案承認の件・
農後継者等育成講座」を開講するとともに、搾乳
平成27年度事業計画承認の件・平成27年度経費の
素牛確保のために各種補助事業の活用による搾乳
賦課及び徴収方法決定の件・平成27年度における
後継牛の導入とマザーズ家畜市場の活性化に取り
理事及び監事の報酬の件、
以上4議案が上程され、
組みました。また、輸入飼料の高止まりのなか、
いずれも原案通り承認されました。
生産コスト低減を目的に良質輸入粗飼料の季節
キャンペーンの実施と低価格TMR飼料の開発に
【平成26年度事業概況】
努めました。
我が国経済は、
アベノミクスの経済政策のもと、
乳業本部においては、
「らくのう牛乳」発売40
為替市場における円安の影響により輸出企業を中
周年の節目にあたり「ハートふるふるキャンペー
心に企業収益が改善していると報じられているも
ン」を行うとともに、環境保全をコンセプトとし
のの、国内向け産業や地方の中小企業では、4月
た「大阿蘇草原牛乳」の発売や期間限定品の販売
からの消費税率の改定に伴う買い控えとその後の
など、
積極的な消費拡大に取り組みました。また、
消費回復に苦しむなど、内需と外需、都市と地方
製造現場においては、安全・安心な製品造りのた
などでの景気判断において二極化が際立つ状況と
め、製造技術力の向上と品質保証体制の充実に努
なりました。
めるとともに、製造施設の安定稼働と省エネ推進
また、酪農界においては輸入飼料価格の高止ま
に取り組みました。
りや燃料動力費の上昇により酪農経営の厳しさが
管理部門においては、職員の能力開発を図るた
増すなか、生産者の高齢化や後継者不足により酪
め各種研修の受講を推進するとともに、職場の活
農の廃業に歯止めがかからず、乳牛頭数ならびに
性化に取り組みました。また、事業計画に基づく
生乳生産の減少が続くなど、生乳生産基盤の弱体
経費の執行管理と内部留保を推進し財務の健全化
化が懸念される事態となりました。
を図るとともに、乳業工場近代化預り金の全額返
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昭和52年9月6日
昭和52年9月6日
第三種郵便物認可
第三種郵便物認可
この様な厳しい経営環境のもと、本会では以下
の事業に取り組みます。
生産本部においては、生産者の経営基盤維持の
ため、高品質な生乳生産を推進するとともに巡回
指導や検診事業の充実を図ります。また、乳牛頭
数の減少が危惧されるなか、マザーズ市場での広
域集畜等さらなる市場活性化に取り組むととも
に、補助事業を活用した搾乳素牛の確保に努めま
す。さらに、酪農後継者や新規就農者への飼養管
議長:倉岡繁 組合長(大阿蘇酪農協)
理技術や酪農経営指導に取り組みます。
還を実施しました。
乳業本部においては、生乳取引価格の改定に
特別会計(阿蘇ミルク牧場)においては、消費
伴う製造コストの負担増が余儀なくされるなか、
税率の改定や阿蘇山の噴火活動の影響など厳しい
スーパー・生協・流通問屋などへの価格転嫁を図
経営環境のなか、牧場の環境美化に努めるととも
るとともに、牛乳・乳製品市場での価格改定に伴
に熊本市近郊の大型ショッピングモールに出店
う需要の後退が懸念されることから、生産者の直
し、外部販売と広告活動を推進し牧場の知名度と
営メーカーとしての特徴を活かした営業展開を推
認知度の向上に取り組みました。
進し、本会の経営安定に取り組みます。また、安
全・安心な製品を消費者へ供給するため、原材料
【平成27年度事業方針】
の調達から製造、流通および販売に至る品質管理
我が国経済は震災からの復興を加速させるとと
に努めます。
もに、デフレからの早期脱却と持続的経済成長の
管理部門においては、役職員の資質および実務
実現に取り組む政策、いわゆる「アベノミクス」
能力の向上ならびに開発のため、各種研修の受講
効果により、緩やかながら景気は回復していると
や参加を積極的に推進し、職場の活性化に取り組
報じられているものの、昨年の消費税率引き上げ
みます。また、事業計画に基づく本会運営の進捗
に伴う駆け込み需要の反動もあり、国内での個人
管理と自己資本の充実に向けた財務の健全化に努
消費や企業における設備投資が鈍化するととも
めます。
に、中小企業や地方での経済回復の実感はとぼし
阿蘇ミルク牧場においては、酪農・乳業への理
く、今後の景気動向に目が離せない状況です。
解醸成や食農・食育に関する施策の充実を図り、
一方、酪農界においては、円安の進行により輸
地域の観光施設との連携やマス・メディアでの情
入飼料の高止まりや乳用牛の減少による素牛価格
報発信による集客増に努めるとともに、外部販売
の高騰など、厳しい経営環境が続いていることか
を推進し売上拡大に取り組みます。
ら、酪農家の廃業に歯止めがかからず生乳生産
基盤の弱体化が危惧されています。また、日豪
EPA発効後の影響やTPP交渉の進展如何によっ
ては、さらに厳しい経営環境が予測されることか
ら酪農関係者が連携して対処することが求められ
ています。
さらに、乳業界においては、酪農経営基盤の維
持のため、本年4月から実施の乳価改定や円安に
伴う製造資材・包材およびエネルギーコストなど
の負担増がしいられることから、販売価格への転
嫁ならびに消費者への継続的な理解醸成を図る必
要があります。
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総会風景
昭和52年9月6日
昭和52年9月6日
第三種郵便物認可
第三種郵便物認可
平成27年度
「ちちの日に牛乳(ちち)を贈ろう!
キャンペーン」開催
今年のちちの日は6月21日(日)でしたが、み
なさんは、日ごろの感謝の気持ちを伝えることが
光の森
出来ましたか?さて、熊本県酪農青壮年部協議会
と熊本県酪農女性部協議会では、ちちの日に先が
け、熊本県から始まり、全国的な活動へと普及し
ている 「ちちの日に牛乳(ちち)を贈ろう!キャ
ンペーン」 を実施しました。
6月16日(火)には女性部役員らがよく冷えた
牛乳と、手作りの牛乳料理(牛乳豆腐、生キャラ
メル)、そして、消費拡大への熱い思いを持って、
農政局・県庁に出向き、井上農政局長、蒲島県知
事をはじめとした関係各者へ、ちちの日牛乳贈呈
式を行いました。
また、6月20日(土)には当キャンペーンのP
Rを目的として、ゆめタウン光の森店内において
両協議会役員により、牛乳の試飲会が行われまし
どを潤しながら、キャンペーンの説明や消費拡大
た。多くの買い物客で賑わう店内では、約600杯
への訴えに耳を傾けていました。
の試飲用牛乳が2時間足らずでなくなってしまう
なお、県内各地でも本キャンペーンに関する活
盛況ぶりでした。通りかかった買い物客は、参加
動が行われ、今年も、更なる牛乳消費拡大へと繋
した役員の呼びかけに足を止め、冷たい牛乳での
がったのではないでしょうか。
県庁
九州
農政局
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第28回熊本県乳牛改良同志会ベビーショウ開催
去 る 平 成27年 6 月
5日(金)
、益城町平
田のJA熊本市畜産
セ ン タ ー で 第28回 熊
本県乳牛改良同志会
ベビーショウが開催
されました。
審査員:松島喜一 氏
育成牛における資
質の改良向上を目指すとともに、西南暖地におけ
る搾乳素牛供給基地としての確立をはかり、会員
が一同に参集し、飼養管理技術等の意識高揚を高
めることを目的として行われており、当日は31頭
が出品されました。
審査員は松島喜一氏(合志市酪農家)で、第1
部から第7部の序列付けが行われ、各部の上位2
頭によりグランドチャンピオン、リザーブチャン
ピオンが決定されました。
厳正な審査の結果、グランドチャンピオンには
菊池農業高校(泗水支部)所有のKAHS シン
デレラ ブラクストン ミソラ ET号、リザー
ブチャンピオンには松島太一氏(合志支部)所有
のキー ジヤスト DO IT スパークリング
ミニー号が選ばれました。
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昭和52年9月6日
第三種郵便物認可
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暑熱対策セミナー 2015
~繁殖と経営からの暑熱対策~
らくのうマザーズ 生産本部 指導部 営農推進課 精液層と希釈液層との間に空気層を作る二層式のス
トローを開発しました。(図2)
二層式ストローにすることにより希釈液層に凍害保
護物質の添加不要や精子に有効な塩類や糖類の添加量
の見直し、新たな希釈液の開発など応用の幅が広がる
ことになりました。
3)新しい希釈液の開発
二層式ストローを利用した新希釈液を開発(表1)、
新希釈液と対照区(グリセリン加希釈液層)では5.9
ポイント高くその差は優位でありました。
表1 去る6月2日に「暑熱対策セミナー 2015」が2名
の講師を招いて開催されましたので内容の一部をご紹
介します。
「受胎率低下の現状を踏まえた種雄牛からの取り組み」
(一社)家畜改良事業団 家畜改良技術研究所
繁殖技術部 次長 内山 京子 氏
乳牛の受胎率について(図1)で示すように平成元
年には62.4%でありましたが平成24年では44.7%と下
降しています。
図1 二層式ストロー(FCMax)は性判別精液(Sort90)
に適用されています。
図3 これは雌牛側の管理要求レベルの上昇と雄牛側の問
題があり、改善するためには双方からの改善が必要に
なります。
1)種雄牛側の改善、二層式ストローの開発
受胎率を向上させるために精子活力向上物質の利用
を検討したところカフェイン等添加すると活力が向上
することが分かりました。そのため希釈液中に精子活
性向上物質を添加し効果を検証したところ、添加直後
は活力の向上を確認できたのですが凍結・融解後には
効果が見られませんでした。このため精子活力向上物
質は融解後に添加することで効果が現れることが確認
されました。
2)二層式ストローの構造
図2 (図3)が示すとおり従来型ストローと二層式ストロー
との受胎成績について経産牛・未経産牛でも6.0%以
上受胎率が向上することに成功しています。
さて、人工授精には様々な要因が受胎率に影響を与
えることが考えられます、牛の状態や季節変動など自
然的な要因の影響も大きいですが、受胎に不利な人為
的な要因を取り除くことが重要になります。
4)受胎率を向上させるための4つのキーワード
①正確な発情の確認
(表2)に示すように発情の徴候・発見の重要性は3+
と2+では受胎率に約50%の差が出ているため発情の
徴候を見逃さないことが重要です。
②適期の受精
過去の繁殖履歴、粘液汚濁が無いことや子宮の収縮
があることを参考に受精の時期を考えます。発情開始
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第三種郵便物認可
第三種郵便物認可
表2 後概ね16 ~ 20時間が受精の目安とされていますが、
個体差があるため過去の繁殖経歴を参考に受精時期を
推定して下さい。適期以外の受精は受胎率を低下させ
ますのでご注意下さい。
③凍結精液の融解条件
図4 た。精子の活力は融解温度と経過時間による影響が大
きいことがわかります。
④凍結精液の取り扱い
凍結精液、液体窒素ボンベの取り扱いには注意が必
要です、キャニスターを持ちあげることは凍結スト
ロー内の温度を上昇させます。
(図6)では外気の暴露回数と精子活力の関係を示し
ています、外気への暴露が多ければ多いほど精子の活
力は低下しています。特に夏場外気温30℃では注意が
必要です。その対策として(図7)の様なキャニスター
の底網部分は埋めて使用して下さい。
以上4点を実施することで少しでも受精率が向上でき
れば幸いです。
図6 外気への暴露回数及び時間と精力活力
図7 (図4)で示すように牛の準備も重要ですが精液の準
備も融解温度は38℃で15秒間を厳守して下さい、自分
の感覚では不正確ですので必ず温度計とタイマーをご
用意下さい。
図5 「経営管理からみた暑熱対策の重要性」
全国酪農業協同組合連合会 購買部
酪農生産指導室 課長代理 丹戸 靖 氏
(図5)
で示しているグラフは、38℃以下の温度では3、
6時間後の活力が低下しています。また38℃以上の温
度では活力が高くなりすぎ生存率の低下が見られまし
(1)儲けの種類
儲けには大まかに3つの種類があります(表3)
1)利益は経営の成績であり売上高から費用を引いた
もののことを指します、用途としては課税の対象や融
資の判断に使用します。
2)フリーキャッシュ(以下FCと表記)は、経営が
生み出した現金のことです。利益+減価償却から育成
費等を引いたものを指します、償還余力状態の確認が
できます。
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第三種郵便物認可
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3)家計で使えるお金は可処分所得、経営の備えと呼
ばれる現金のことです。先ほどのFCから償還と税金
を引いたお金のことを指します。牧場から最終的に出
てくる現金です。
表3 (2)儲かっている牧場の経営パターン
儲かっている牧場の経営パターンとして次の2つの戦
略があります。
1)販売の多角化
子牛市場や搾乳素牛市場が好調なため販売する方法
は前提条件があり牛群の動態に大きく影響します。つ
まり死廃率が限りなくゼロに近いことと、更新率が低
く計画性があることが条件になります。
ではどうすれば死廃率が低下するか死廃頭数が高い
ポイントを見てみましょう。
ポイント1ですが生後1ヶ月以内が乳牛にとっての最
大の山になります。まずはここを乗り切ることが重要
になります。次にポイント2は初産牛の分娩時に第2
の山になります。その後は経産牛の廃用ピークのポイ
ント3の山になります。(図8)
図8 手元に現金が残らない状態として大きな4つのパ
ターンがあります。(表4)
Aパターンは、利益とFCは残っているため牧場自体
はうまく回っているように見えますが家計が残ってい
ない状態です。家計=FC−(償還+税金)なので償
還が多すぎるために家計のお金が残らなくなっていま
す。
Bパターンは、利益は残っているがFC、家計は残っ
ていない状態です。FC=利益+減価償却−育成費な
ので育成牛が多すぎるため育成費用過多、家計も残っ
てないため償還過多となっています。
Cパターンは利益は、残っていないがFC、家計は残っ
ている状態です。利益=売上金−費用のため費用の過
多、機械への投資過多や新築牛舎の償還金の据置期間
のときに発生します。
Dパターンは利益、FC、家計共に問題ありません。
現金が残らない場合は家計への支出が多すぎるために
発生します。
以上の状況を確認しどこでお金が逃げているのか見極
めることから始めましょう。
表4 ポイント1の最初の山である子牛管理は大切です。
熊本では分娩後1ヶ月以内の死廃は全国に比べると低
いのですが、スターターや育成飼料への切替時に死廃
率が上がっているため注意して下さい。(図9)
図9 ポイント2、3の分娩時に廃用が増えることについ
てですが、(図10)で示すとおり平成20年と比べると
夏場の分娩が増えます。初産牛分娩や乾乳期中の十分
な暑熱対策が必要になります。
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昭和52年9月6日
昭和52年9月6日
第三種郵便物認可
第三種郵便物認可
図10 2)低コスト型
投資や導入、修繕費などの固定費が低いことや自給
飼料やエコフィードの利用など飼料費を低く抑えるこ
とが条件になります。
(図11)では平成24年と25年の飼料費を表していま
す。比較全体として飼料費は上がっていますが下がっ
ているところではWCSの利用や暑熱対策、自給飼料
の品質・収量アップなどの対策を行っています。
以上、死廃率を低減させることで牧場から儲けが逃
げないよう実践してみて下さい。
図11 (3)経営戦略のヒント
【見える化】の実施
牧場の状態を判断するためには、記録を取ることが大
切です。見えない情報を【見える化】しましょう。具
体的には乳量を計る・乳成分を計る・飼料給与量を測
る・体重を量る・育成牛の体高を測る・BCSを測る・
経営状態を計るを実践することにより牧場全体を【見
える化】にします。
(図12)では事務所の壁に分娩日、分娩後の状態、廃
用牛の原因など情報を【見える化】することにより具
体的にどこで問題が発生しているかを検証できます。
図13 (図13)で示すように蹄病は多かったのですが2013年
では改善されています。逆に乳房炎と消化器病は増加
しているため対策が必要です。このように毎年記録を
取ることにより牛群の状態と今後の管理目標が示しや
すくなります。
セミナーの様子
図12 まとめ
今回のセミナーは、夏場の受胎率向上のために種雄
牛側からの取り組みの話がありました。雌側である酪
農家の皆様には、受胎率を向上させるためにはまず、
発情の発見が重要です。そしてマニュアルに記載して
あります凍結精液の融解では必ず温度計とタイマーを
用意し正確に計りましょう。またキャニスターの上げ
下げで外気への暴露度合いが受胎率を低下させますの
で、凍結精液の取り扱いには十分注意して下さい。
経営管理では、牧場がどの経営パターンにあてはま
るかご確認をお願いします。儲かっている牧場のパ
ターンでは死廃率の減少が大きく影響しますので、3
つのポイントで死廃牛を出さないように気をつけて下
さい。また牧場のどの部分に問題があるか把握できる
ように【見える化】を実践してみて下さい。
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第三種郵便物認可
― コラム ―
受胎率を上げるためのアプローチ
一般社団法人家畜改良事業団
家畜改良技術研究所 繁殖技術部
内山京子
家畜改良事業団では、 昭
保護物質 (グリセリン) を加える必要がなくなり、
和50年から牛凍結精液によ
さらに、 精子に有効な塩の添加や糖の種類を見直
る人工授精の受胎率調査を
すことが可能となりました。 その結果、 これまで
続けています。 それによる
一般的に使われている希釈液とは異なる新たな希
と、 乳用牛の初回受胎率は、
釈液を開発することができました。
平成5年までは60%以上を
人工授精試験を772頭規模で行ったところ、
維持していましたが、 平成
FCMaxの受胎率は52.2% (200/383) でした。 一
6年を境にして年々下がり続け、 現在では44.3%
方、 従来の凍結精液による受胎率は46.3% (180/
と平成5年から17ポイント以上も低下しているの
389)であり、 受胎率が5.9ポイント向上する結果が
が現状です。
得られました。 産次別に受胎率を比較したところ、
その原因については、 遺伝的改良により泌乳量
従来の凍結精液に比べてFCMaxの受胎率は初産
が多くなったとか、 飼養環境が温暖化の影響を受
次で5.6ポイント、 2産次で7.9ポイント、 さらに、
けているとか色々な話がありますが、 その原因究
3産次では9.2ポイント高いことが確認できてい
明と対策は我々研究者に対する大きな課題である
ます。
と受け止めています。 受胎率の低下は多くの要因
現在、 当団では、 FCMaxを通常精液の一部と
が複雑に絡み合っているとも考えられ、 単純に原
すべての性選別精液 (Sort90) の生産に適用して
因を特定することは困難だと感じています。
います。
このような状況の中で、 私たちが受胎率を向上
販売後の受胎率を追跡調査していますが、 これ
させるために様々なチャレンジを繰り広げてきま
までに確認されたSort90の受胎率は、 未経産牛で
し た が 、 実 用 化に 結 び つ い た 2 層 式 ス トロー
52.7% (従来型ストローでは46.7%)、 経産牛では
「FCMax (エフシーマックス)」 について紹介い
38.9% (従来型ストローで32.5%) であり、 いず
たします。
れも6ポイント以上高くなっています。 また、 通
これまでの人工授精用の精液ストローは精液層
のみの1層でしたが、 FCMaxは、 精子を入れてい
常精液のFCMaxにおいても 「FCMaxってとまる
よね!」 との声も寄せられています。
る精液層と精子を入れていない希釈液層の2層構
成としたものです。
FCMaxの取扱につきましては、 当団が推奨す
る方法を遵守してください。
ストロー構成を2層式にすることにより、 色々
この新しい技術により生産された凍結精液の人
と応用の幅が広がりました。 希釈液層には精子が
工授精により、 子牛の生産効率が向上することを
入っていないため、 精液の凍結保存に必須の凍害
期待しています。
―9―
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第三種郵便物認可
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今年も開催することが決まりました!
開 催 日:平成27年8月22日(土)、 23日(日)
開催場所:阿蘇ミルク牧場 他
お問い合わせは指導課 (担当:児島) まで
TEL:
― 19 ―
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第三種郵便物認可
乳業だより
6月13日(土) 15:00∼鶴屋東館テトリアビルにある 「くまモンスクエア」 で、 「くまモン」 と
「ミルモ」 のコラボステージが行われました。 当日はたくさんのお客様で大盛況。 子供たちも大喜
びでした。
さて、 みなさま、 らくのうマザーズの商品以外でもらくのうマザーズの牛乳が使われている食べ
物・飲み物がたくさんあるのをご存じですか?今回のイベントが行われた 「くまもんスクエア」 の
軽食コーナーには、 らくのうマザーズのロングライフ商品 いちご と 抹茶オ・レ を使用した
「タピオカ入りいちごミルク」 と 「タピオカ入り抹茶ミルク」 が期間限定で発売中です。 また、 某
コンビニのカフェラテやパンメーカーのパンやお菓子の原料としても使われています。 店頭で見か
けたときは、 ぜひ、 ご賞味ください。
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昭和52年9月6日
第三種郵便物認可
∼お 詫 び∼
●第25回熊本県酪農ヘルパー利用組合通常総会
6月号に掲載した記事 (1ページ) の中で、 新役員体制について、 理事 村田
輝幸氏 (球磨酪農協) が名簿から漏れておりました。 お詫びして、 再度、 第9期
熊本県酪農ヘルパー利用組合新役員名簿を掲載いたします。
第9期熊本県酪農ヘルパー利用組合新役員名簿
大
熊
荒
熊
菊
菊
熊
球
所属組合名
阿
蘇
酪
農
本 宇 城 農 協 ・ 松
尾
酪
農
本 酪 農 協 ・ 合
池 地 域 農 協 ・ 旭
池 地 域 農 協 ・ 泗
本
乳
牛
農
磨
酪
農
協
橋
協
志
志
水
協
協
役職
組 合 長
副 組 合 長
理
事
理
事
理
事
代 表 監 事
監
事
理
事
井
別
黒
後
坂
古
赤
村
氏名
上 栄
城 国
石 哲
藤
本 勝
川 健
星
田 輝
一
弘
博
勝
彦
二
護
幸
●第53回熊本県酪農青壮年部協議会・第44回熊本県酪農女性部協議会通常総会
6月号に掲載した記事 (2ページ) の中で、 役員補欠選任の結果を掲載しておりませんでしたの
で、 お詫びして掲載いたします。
熊本県酪農青壮年部協議会補欠選任名簿
地 区
熊
本
組 合 名
火の国酪農協
氏
名
浦 島 寿 幸
役 員
委
員
熊本県酪農女性部協議会補欠選任名簿
地 区
阿
蘇
組 合 名
西阿蘇酪農協
氏
名
山 田 清 美
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役 員
委
員
昭和52年9月6日
第三種郵便物認可
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昭和52年9月6日
第三種郵便物認可
プロフィール
東部の森林原野地帯、 北部の畑地帯、 南部の水田
地帯と豊かな自然に恵まれ、 歴史や文化など数多く
の魅力があり、 農工商の連携が進む菊池郡大津町の
古庄牧場。
古庄牧場の歴史は、 昭和34年、 祖父が庭先で生後
8ヶ月の子牛を1頭飼養したことから始まる。 父・
寿治さんが経営を継承し、 昭和52年3月、 現在の場
所に38頭繋ぎの牛舎を新築、 平成元年に育成牛舎を
建て、 増頭を図った。 平成17年に寿一さんが就農す
る。 現在は経産牛45頭、 育成牛50頭の計95頭を飼養
し、 自給飼料はトウモロコシを12ha、 イタリアン
ライグラスを5ha、 ヒエを4ha作っている。
寿一さんは独立行政法人農業者大学校を卒業後、
古庄牧場の後継者となる。 「地元の大津高校に通っ
ていたので酪農を継ぐことは考えていませんでした
が、 高校3年で進路を決める際に酪農をしたいと思
うようになりました。 元々、 酪農家の息子だったこ
ともそういう考えを持つようになったきっかけの一
つですね。」 と寿一さん。
作業分担は、 寿一さんが育成牛管理を除く全般的
な作業に携わり、 志磨さんは育児の傍ら、 搾乳・哺
乳・成牛管理を担当。 寿治さんと母・美智子さんが
搾乳と育成牛管理を担当し、 寿治さんは畑の管理も
担当する。 日頃から牛の体調管理と繁殖には特に気
を配っており、 家族との時間を大切にすることと牛
へストレスをかけないようにすることから、 毎日決
まった時間 (4 : 30∼7 : 30、 9 : 00∼11 : 00、 14 : 00
∼17 : 30) に作業している。 このスケジュールは年
中変わらないとのこと。 生乳品質共励会では2年続
けて優秀な成績を収めており、 26年度は400トン以
上の部で最優秀賞に輝く。
一頭一頭の管理を徹底し個体の能力を高めること、
購入飼料になるべく頼らないよう自給飼料の面積を
増やすこと。 休みが取れるゆとりのある経営をする
ことが当面の目標である。 牛群管理の徹底を優先し、
今のところ規模拡大は計画していないとのこと。 地
区の集まりには積極的に顔を出すようにし、 周囲の
農家と情報交換はしっかりと行う。 今年の雨の多さ
と収穫直前の台風発生によるトウモロコシの状況は
心配事の一つだそう。
奏翔 (そう) くん (9才)、 悠寿 (はると) くん
(1才)、 慶大 (けいた) くん (2ヶ月) の3人の子ど
もにも恵まれ、 牧場の手伝いもしてくれるとのこと。
「子どもたちが酪農を継いでくれたらいいなという
思いはあります。 大きな牛を恐れることなく、 牛に
興味を持ってくれていますから。」 と寿一さん。 今
後も楽しみな古庄家である。
(写真左より寿一さん、 悠寿くん、 志磨さん、
美智子さん、 寿治さん)
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発行所/熊本県酪農業協同組合連合会 〒861-8041 熊本市東区戸島5-10-15
発行人/吉田孝壽
編集人/坂西秀敏
印刷所/コロニー印刷
定価/一部200円 (会員は賦課金に含まれる)
平成27年7月15日発行 (毎月1回末日発行)
問い合わせ:らくのうマザーズ指導課(担当:田北) TEL
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