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米国の省エネルギープログラムの運営普及方策 に関する調査

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米国の省エネルギープログラムの運営普及方策 に関する調査
電力中央研究所報告
電 気 利 用
米国の省エネルギープログラムの運営普及方策
に関する調査
−カリフォルニアの事例を中心に−
キーワード:省エネルギー,カリフォルニア,電力会社,
マーケティング,情報提供
背
報告書番号:Y10029
景
米国カリフォルニア州の省エネルギープログラム(省エネプログラム)は 20 年以上の
歴史を有し,最近の需要家データベースの整備・活用や顧客対応体制の合理化,マーケ
ティングの工夫などは,わが国の政策にとっても参考となる。
目
的
省エネプログラムの運営面で重要な 3 つの課題,
(1)消費者への情報提供のあり方,
(2)省エネ技術の市場普及過程を加味した対応,
(3)費用対効果評価の実施および方法
開発,について,米国カリフォルニア州の新たな取り組みを中心に紹介する。
主な成果
1. 米国大の省エネプログラム動向
米国の需要家負担省エネプログラムは,電力・ガスの両方に関して実施されている。
90 年代の電力自由化時期に一旦その規模を縮小させているものの,近年では再び拡大し
ている。Consortium for Energy Efficiency(CEE)によれば,2010 年のプログラム予算額
は電力・ガスの合計で約 66 億ドルに達する(図 1)。
2. カリフォルニア州(CA 州)の省エネプログラム
(A)運営の概要
CA 州においては,省エネプログラムは全米最大規模で実施されて
いる。原資の一部には,需要家の電気料金と併せて徴収されるパブリック・グッズ・チ
ャージの一部が充当され,2010∼12 年の 3 年間では充当額は約 30 億ドルとなる見込み
である。CA 州公益事業委員会が州内プログラムの計画や審査を行い,電力会社やガス
会社はコンサルティング会社等と協力して実施運営する(図 2)。
(B)運営上の工夫 運営面の 3 つの課題(1)∼(3)への対応として,運営体制やマ
ーケティングにおける工夫がなされている(図 3)。
(a) 需要家から見たわかりやすさや運営効率を追求した「実施主体間のプログラム連
携と協調」
,費用対効果や省エネ量の見積もりに不可欠な「電気機器保有実態デー
タベース等の整備構築」といった,運営体制における工夫
(b) 需要家から見て利用しやすいための「プログラムメニュー拡充,顧客対応体制の
合理化による利便性の向上」
,省エネ技術の市場浸透度に応じた「市場の変化に適
応したプログラム提供」,教育訓練などさまざまな情報提供の可能性を引き出す
「多様な情報提供手段の活用」といった,マーケティングにおける工夫
今後の展開
省エネ効果の測定や評価・検証など,プログラムの実効性に関する検討を行う。
図 1 全米の需要家負担電力・ガス省エネプログラムの予算規模
出所:
Consortium for Energy Efficiency
各年統計から作成。データラベルは総計値。
米国の電力,ガスの需要家負担省エネプログラム予算の合計。負荷管理(load management)は電力にのみ該当。
上記総額のうち,電力とガスの内訳は,年によって異なるが,おおむね電力が 8 割強,ガスが残りの 2 割弱。
P GCに基づ く省エ ネ
プ ロ グラ ム の認可
カリフォルニア州
公益事業委員会(CPUC)
電力・ ガス会社
によ る 直接実施
電力・ガス会社
Pacific Gas & Electric
Southern California Edison
San Diego Gas & Electric
全州の省エ ネプ ロ グラ
ム の計画・ 審査等
需要家
個々の省エ ネプ ロ グ
ラ ム の実施・ 報告
Southern California Gas
省エ ネプ ロ グラ ム 実
施結果の報告
省エネ
コンサル会社
他の電力・ガス会社
P GCとして省エ ネプ
ロ グラ ム 財源の徴収
各供給エ リアで の省エ ネ
プ ロ グラ ム の計画・ 運営
図 2 カリフォルニア州における省エネプログラム運営の概要
注:PGC=パブリック・グッズ・チャージ。需要家の電気料金等と併せて徴収される公的料金。本文 3.2.2 節で詳述。
省エネプログラム運営上の工夫
課 題
( a) 運 営 体 制 に お け る 工 夫
(1)消費者への情報提供の
あり方
(2)省エネ技術の
市場普及過程を加味した
対応
(3)費用対効果評価の実施
および方法開発
に対応
プログラムが実施主体によってばら
つきがあると,需要家から見てわか
りにくく,運営上も非効率
○実施主体間のプログラム連携と協調
費用対効果の評価や省エネ量の見
積もりに,データベースが不可欠
○電気機器保有実態データベース等の
整備構築
対応窓口がバラバラだと,需要家か
ら見て利用しにくく,プログラムメ
ニューも全体像がわかりにくい
(b) マ ー ケ テ ィ ン グ に お け る 工 夫
○プログラムメニュー拡充,
対応体制合理化による顧客利便の向上
省エネ技術の市場浸透度を見極
め,それに応じて適切な支援内容
に随時見直していく必要がある
○市場の時間的変化を加味した
プログラム提供
教育訓練や,草の根的な情報伝搬
の効用についても過小評価すべき
でない
○多様な情報提供手段の活用
図 3 省エネプログラム運営上の課題と,それに対する工夫
研究担当者
問い合わせ先
後藤 美香(社会経済研究所
エネルギー事業政策領域)
(財)電力中央研究所 社会経済研究所 研究管理担当スタッフ
Tel. 03-3201-6601(代) E-mail : [email protected]
報告書の本冊(PDF 版)は電中研ホームページ http://criepi.denken.or.jp/よりダウンロード可能です。
[非売品・無断転載を禁じる] ©財団法人電力中央研究所 平成23年5月発行
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