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婦人科領域 に於ける膣内容塗抹細胞学的研究
618. 15-008. 854 婦 人 科 領 域 に於 け る膣 内 容 塗 抹 細 胞 学 的 研 究 岡 山 大 学 医 学部 産 科 婦 人科 学教 室(主 任:橋 本 大 家 繁 清 教授) 夫 〔昭 和34年3月28日 受 稿〕 し,又Grunberger11)は 論 緒 膣 内 容 塗 抹 細 胞 学 的 研 究 は 既 に 古 くか ら 幾 多 の 学 癌 の 早 期 診 断 に は膣 内 容 塗 抹 法 も必 要 な る こ と を 知 つ た と 云 い,本 邦 におい て も安 藤12),石 の追 試 発 川13),水 野14),中 村15),等 者 に よ り研 究 追 試 が な さ れ そ れ ら の 優 れ た 業 績 に 多 表 も行 な わ れ,適 々 接 す る.然 な 補 助 診 断 法 で あ る こ とが 立 証 さ れ て い る.又 し近 代 的 そ の 研 究 の 元 祖 はStockard 及 びPapanicolaou1)に して 更 にPapanicolaou2)の 中 率 も可 な り の 高 率 を 示 し,有 力 子宮 癌 以外 の性 器 炎症 につ い て そ の膣 内容 塗 抹 細 胞 学 的 新 た な 染 色 法 の 発 表 は 急 速 の 進 歩 を も た ら し,又 研 究 をPapanicolaou2), Smolka16), Papanicolaou Graham5)等 が 発 表 し,又 本 邦 に て も 石 川13),牧 野18) 19)20,等 が 記 載 して い る. Stoll21)等 u. Traut3)が 断 法 を 発 表 して 以 来Ayre4), 本 法 に よ る子 宮 癌 の 診 Graham5)等 の追 試 が Cramer17), は あ る婦 盛 ん と な る に 及 び膣 内 容 塗 抹 法 の 一 般 的 概 念 が 再 認 人 科 良 性 疾 患 の 各 々 に 夫 々 の 所 見 が あ り,之 識 さ れ,現 を も と に し て 唯1回 在 各 方 面 に お い て 一 大 進 歩 を と げ,悪 腫 瘍 の 重 要 な 診 断 法 と な つ て い る.特 性 に婦 人 科領 域 に お い て は 本 法 に よ る子 宮 癌 の 検 索 は,臨 で,非 床 的不 可 常 に鑑 別 診断 が可 能 で 治 療 を行 な う為 の 指 針 を 決 定 す る こ と が 出 来 る と 発 表 して い る.以 視 癌 の 早 期 発 見 と云 う見 地 よ り 見 てHedberg6)は の所 見 の膣 内 容塗 抹細 胞 学 的 所 見 の み 上の見 地 よ り著 者 は 本 法 が 子 宮 癌 に お け る 癌 細 胞 の 如 く, 6,000名 の 婦 人 に つ い て 検 索 を 行 い,本 法 は 癌 発 見 に そ の 他 の 良 性 疾 患 に つ い て も膣 内 容 塗 抹 細 胞 学 的 に 対 して 非 常 に 有 効 で あ る と 云 いGerli7)は146例 攻 究 し よ う と し て 子 宮 癌 節 別 検 査 と共 に 本 研 究 に 着 つ い て, Cuyler6)等 は15,267例 は5,619例 に, Martin10)等 は137.800の 第1編 第1章 緒 に に つ い て,又Stoll9) 手 した. 膣 内 容 を検 査 子 宮 癌 節 別 検 第2章 言 子 宮癌 に対 しその 治 療 的 効果 を得 さ しめ ん とす る 被検 者 は1957年9月 査 実 験 方 法 始 め よ り1958年12月 末 ま で に 為 にはその早 期 発 見,即 ち早 期 診断 は 極 め て重 要 に し 当 岡 山 大学 産 科 婦 人 科 外来 を 訪 れ た患 者 の 全 員 よ り て 正確 且 慎 重 を期 さね ば な らな い.現 在 は 以 前 と異 無 差別 に腟 内 容 を採 取 した. な り何 等 自覚 徴 候 の 発 現 しな い時 期 の癌,即 ち臨 床 前 癌 一 不 可 視 癌 を対 象 とす る もの でPapanicolaou3) 第1節 腟 内 容採 取 法 採 取 方 法 は 擦 過 法,捺 印法,吸 引法等 あ り,擦 過 に よ り創 始 され た 塗 抹 細胞 診 は特 に婦 人科 領 域 にお 法 はAyreの いて は悪 性 腫 瘍 の 重 要 な 診断 法 とな り幾 多 の報 告 が れ るが 著 者 は 予 め 消 毒乾 燥 した クス コー氏 腟 鏡 を以 見 られ るが,何 れ も之 の優 秀 性 を示 して い る.当 岡 て 子 宮 腟 部 を露 出 し後 腟 円 蓋 に あ る内容 物 を乾 燥 し 山 大 学 産 科 婦 人科 学 教室 にて も之 の 方法 を採 用 して た小 綿 球 にて 軽 く圧 しつ け るか,或 は転 がす 如 く薄 悪 性 腫 瘍 診 断 上良 好 な成 績 を あ げ て い る.著 者 は く内 診前 に 払 拭 し1枚 の載 物 硝 子 に塗 抹 す る方 法 を 5,456名 に つ い て本 法 に よ る子 宮癌 節 別 検 査 を実 施 採 用 した. した. 擦 過 器4),安 藤 の 擦 過 器22)等 も見 ら 第2節 固 定 及 び染 色 法 固定 は エ ー テル, 95%ア ル コール 等 量 液 を 用 い 2770 大 て15分 以 上 行 い, Papanicolaouの 原 法 に よ るEa 家 繁 夫 36 第 1 表 染 色23)を 全 例 に実 施 した. 第3節 塗 抹 標 本 の 観 察 につ いて 腟 内 容 塗 抹標 本 の鏡 検 は150倍 及 び600倍 の 光学 顕 微 鏡 を用 い て悪 性 細 胞 を検 索 した.悪 性 細 胞 判定 基 準 は各 報告 に5)13)16)22)23)33)極 め て 詳 細 に記 載 され て い るが,先 づ原 形 質 よ り核 に 重点 を お き,そ の大 き さ,即 ち異常 増 大,大 小 不 同,奇 形 を呈 す る もの, 染 色 性 の 変 化,む しろ濃 染 の傾 向 あ る もの,又 核 小 体 の異 常 或 は群 集 性 等 につ い て,又 原 形 質 につ い て も之 等 の 事 を確 認 して 判 定 を 下 した. 第3章 判 定 結 果 の 表現 法 判 定 結 果 の表 現 はCaterのI∼ りI,Ⅱ,ⅡA,Ⅱ+型 は 陰性,皿 V型 分 類24)に よ 認 あな い もの は435例 で あつ た.而 型 は疑 陽 性,Ⅳ, 終 診断 と して腟 内容 塗 抹 法 の 的 中率 を算 出 して 見 る V型 は 陽 性 と した.判 定 不 能 は0型 と し爾 後 の取 扱 い は次 に示 す 様 に し た.尚I,Ⅱ,ⅡA,Ⅱ+型 し て 組 織 診を最 と第2表 の如 くで あ る.即 ち組 織 生 体 診 にて扁 平 上 は 第 2 表 臨 床 的 に異 常 あ らば再 検 し,Ⅲ 型 は 再検 を反 覆 す る か他 の 補 助 診 断 法 を併 用 しⅣ,V 型 は組 織 診 を行 い 0型 は再検 した.(写 真1∼7) I型 絶 対正 常 の上 皮 成 分 Ⅱ型 非 正 常 な れ ど良 性 細 胞 変化 Ⅱ 感 染 の 原 因:肥 大,化 生 等 ⅡAⅡ と同 型 で軽 度 の 異 型核 異 常 を伴 う もの 皮 癌,上 皮 内癌,円 柱 上皮 癌 と診 断 され た も の206 Ⅱ+軽 度 の 細 胞学 的 異 型 の 加 わ つ た ⅡAと 典 例 中塗 抹 細 胞診 陽 性 又 は 疑 陽 性 と判 定 され た もの は 184例,組 型 的 な 皿型 を含 む もの Ⅲ型 非 侵 襲 性癌 と比 較 して の 異 型性 織 診 にて 癌 な しと診 断 され た もの は466例, 之 の 中塗 抹 細 胞診 陰 性 であ つ た もの は457例 であつ Ⅲ 疑 わ しい上 皮 内 癌 た.故 に陽 性率89.3%,陰 Ⅲ 上皮内癌 %で あ つ た.尚 塗 抹 細 胞 診 に よ り確認 さ れた 子 宮 癌 Ⅲ 初 期 の 侵襲 が あ るか も知 れ な い 上皮 内癌 は206例,全 Ⅲ 疑 わ しい悪 性 V型 悪 性 腫 瘍 細 胞 を思 わ せ る要 素(多 量) 体 の3.7%で あ つ た. 扁 平 上 皮癌,頸 部 上 皮 内 癌 に過 な い か も知 本 節 別 検 査 にて確 認 さ れ た癌 患 者 総 数206例 抹 細 胞診 陰 性 は 22例 で あつ た.即 ち適 中率90.2%で あつ た. 第2節 悪性 中塗 抹 細胞 診 陽 性 又 は 疑陽 性184例,塗 れ ない V 中率93.7 第1節 癌 患 者 に対 す る成績 Ⅳ型 悪 性 腫 瘍細 胞 を思 わ せ る要 素(軽 度) V 性 率98.1%,的 非癌 患者 に対 す る成績 非 癌 患者 総 数4,957例 中塗 抹 細 胞診 陰 性 は4,948例 0型 判 定 不 能 で あつ た.即 ち適 中率99.8%で 誤 診 率 は0.2%で あ つ た. 第4章 総 計5,456例 検 査 成 績 第3節 中塗 抹細 胞 診陽 性 又 は 疑 陽性 と判 定 され た もの は第1表 の 如 く472例(8.6%)あ り,之 の 中 215例 に組 織生 体 診 を行 い, 184例 に癌 性 変化 を認 め 癌 性変 化 を 認 め な い もの は31例 で あ つ た.塗 抹細 胞 診 陰性 な る もの は4,948例(90.7%)で 組 織 生 体 診 との比 較 成 績 本 節 別検 査 にて は第2表 の 如 く適 中率93.7%に て 偽陽 性10.7%,偽 第4節 陰性 は1.9%を し 示 した 。 早 期 癌 に 対 す る成 績 癌 の早 期 診断 は早 期 癌,即 ち組 織 学 的の 所 謂侵 入 之 の 中組 織 生 前 癌 の 発見 に あ るの は論 を俟 た な いが 本 節 別検 査 に 体 診 を457例 につ い て行 い22例 に癌 性 変 化 を認 め た. て は第3表 の如 く臨 床 上 診 断 不 可 能 な癌=不 可 視癌 婦 人科 領 域 に 於 け る腟 内 容 塗抹 細 胞 学 的 研究 第 が 総 計5,459例 中32例 発 見 され全 体 の0.5%に 当 る. 尚 之 の32例 を年 令別 に分 類 して見 る と第4表 の如 く 56∼60才 に最 も多 く見 られ た.之 の 中上 皮 内癌 は6 例 含 まれ全 体 の0.1%に 発 見 され た. 第5節 塗 抹 細 胞 診 と組 織 診 との 関係 組 織 診 を行 なつ た544例 につ い て 顕微 鏡 的 に扁 平 上 皮 及 び円柱 上 皮 の 変化 を分 類 し塗 抹 細胞 診I∼ V 型 との 関係 を追 求 して見 ると第5表 の如 くで あつ た. 組 織分 類 はMuller25)の 分 類 に依 つ たが 異 型 上皮 と は 層別 が不 明 瞭 で あつ て 核 の 異 型性,多 型性 を示 し 乍 ら尚表 層 の 細 胞 は 規則 正 しい 配 列 を 保 ち 時 に 角 化,錯 角 化 を 見 る 様 な もの と した.又Glandular Involvementに 止 る もの は上 皮 内癌 と した . 3 表 第 4 表 2771 2772 大 家 第 繁 5 夫 表 万 人 以 上 に及 ぶ報 告 さえ 見 られ るに至 つ て い る.即 第5章 総 括 並 に 考 按 ち何 等 自覚 症 状 の な い 一 見 癌症 状 を欠 いた 所 謂不 可 塗 抹 細 胞 診 に よ る子宮 癌 の 診 断 につ い て の報 告 は 視 癌 一 早 期 子 宮 癌 の 発 見 を 目 的 と し て1,000例 以 上 内 外共 実 に多 数 にの ぼ り殊 に米 国 にお い て は以 前 よ の被 検 者 に施 行 した 節 別検 査 成 績 は第6表 の如 くで り相 当大 規 模 な節 別 検 査 が実 施 され て お り被 検 者10 Martin, 第 容 を検 査 し566例 Erickson26)等 の 未 侵 襲 癌 を 発 見 し(0.4%), は10,800人 に つ い て393例(0.36%) 6 Higgins10)等 の 如 きは137,800名 の腟 内 表 %)に 認 め,早 期 発 見 上 非 常 に 貴 重 で あ る と 発 表 して い る.本 邦 に お い て も 川 中 子29),和 田30),池 田31), の 上 皮 内 癌 を 発 見 して い る.又Hedberg6)は6,000 中 村15)等 数 多 くの 発 表 も 見 られ る が 和 田,髭32)等 例 に つ い て23例(0.38%), は5,000例 に つ い て20例(0.4%)の に つ い て7例(0.38%)の はOklahoma大 Wachtel27)等 は1853例 臨 床 前 癌 を 認 めHartford28) 学 に て7,382例 に つ い て29例(0.39 し 水 野33)は3,000例 不 可視 癌 を 発見 に つ い て13例(0.43%)の 前 癌 を 発 見 し て い る,著 者 は5,456例 臨床 中32例 の 不 可 視 婦人科領域に於 ける腟内容塗抹細 胞学 的研究 癌 が 発 見 さ れ 全 体 の0.6%に の0.9%6に 0.5%よ して,こ れ はGrahams) は 及 ば な い がZinser34)に り は 良 好 な 結 果 を 得 た.尚 成 績 と し て 著 者 は90.2%の よ る平 均 頻 度 癌 患 者 に対 す る 結 果 を 得,第7表 諸 家 と 比 較 略 々 一 致 す る.次 の 第8表 の如 き 非 癌 患者 に対 2773 す る成 績 は99.8%に して非 癌 を癌 とす る重 大 な る誤 りは僅 か に0.2%で あつ た.更 に組 織診 との比 較 に よ る癌,非 癌 を 合 した総 合成績 即 ち適 中 率 は93.7% に して偽 陽 性 即 ち癌 を見 落 す 率 が10.7%に 之 れ はCaterの 見 られ た. 分類24)は 最 初 の施 行 であ り Ⅱ+型 とⅢ型 との 判定 に 困迷 せ し為 で あ るが 爾 後 の再 検, 第 7 表 組 織 生 体 診 等 によ り之 の率 の 低 下 した事 は 勿 論 で あ る.然 し偽 陰性 即 ち癌 を非 癌 とす る重大 な る誤 りは 僅 か に1.9%に は第8表 して癌 を見 落 す 率 よ り も常 に少 い事 にて も明 らか な如 く又 第6表 の 如 き早 期 癌 も組 織 生 体 診 にて は全 く偶 然 癌 組 織 に採 取 部 位 が 適 中 す る か,可 な り頻 回 に反 覆 して 採 取,鏡 検 せ ね ば 判 定 不 可能 に して 先 づ そ れ は之 の 対 象 とは な り難 く塗 抹 細 胞診 に よ り発 見 され る もの で あ る.僅 か に0.6 %の 発 見率 では あ るが塗 抹 細 胞 診 は 1) 他 の 方 法 で は 発見 し難 い.か か る早 期 癌 を 発 見 し得 る こ と. 2) 又 被 検 者 に何 等 苦 痛 もあ たへ ず 反覆 採 取 が 容 易 第 8 表 で あ る こ と. 3) 他 の 種 々の方 法 で は致 底 実 施 不 可 能 な 多 くの 被検 者 に対 して も操 作が 簡 単 な るた め 検 査 し得 るこ と. 4) 悪 性 腫 瘍 細 胞 に対 す る細 胞 学 的 判 定 基準 も明 確 な こ と.従 つ て 5) 細 胞 の 判 定 は 徴 妙 で 細心 の 注 意 を要 す るが 何 人 も多 くの 経 験 に よ り塗 抹細 胞 診 を会 得 し熟 練 す る こ とが 出来 る,等 の 点 よ り して子 宮 癌 の節 別検 査 は子 宮 癌早 期 発 見 に お いて 組 織生 体 診 に先 ん じた最 も価値 あ る もの と思 考 す. 第2編 婦 人 科 疾 患 の腟 塗 抹 細 胞 学 的 観 察 の発 表 が 見 られ る事 は 当然 で あ る.然 し本法 は単 に 第1章 緒 言 悪 性 腫 瘍 の 発 見 診断 に止 ま る もので は な く,更 に進 腟 内 容塗 抹細 胞 学 的癌 診 断法 がPapanicolaou及 びTraut3)に ん で浸 潤,転 移,再 発 の 発 見 診断,即 ち子 宮 癌根 治 よ り1943年 発 表 せ られて 以 来 その 方 手 術 後 の 再 発 の早 期 診 断 や 悪性 腫 瘍 放 射 線 療法 の予 法 の 簡 便 な るこ と,診断 率 の 高 い こと,又 癌 の 早 期 発 後 判定 等 に応 用 され る に至 つ た.一 方 腟 塗 抹 細 胞学 見 に好 適 な る こ と等 の 為 に諸 家 の注 目す る所 とな り, は腟 内容 に週 期 的変 化 の 存 す る と云 うこ と に始 り爾 現 在 広 く各 国 に おい て追 試 さ れ各 方面 に お いて 悪性 来 数 々 の研究 追試 が見 られ 腟 壁 と卵 巣 との 密 接 な る 腫 瘍 の 診 断 的価 値 が 確認 せ られて い る,殊 に婦 人科 関 係 の存 在 よ り してHormon関 領 域 に お い て は子 宮 癌 の早 期 発 見 と云 う見 地 よ り し 科 領域 に お け る臨床 内分 泌 学 の 上 に も大 な る役 割 を て 最 も有力 な補 助 診 断法 で あ る こ とは既 に立 証 せ ら 演 ず るに至 つ た の で あ る.本 法 は 上 記二 大分 野,即 れ て お る所 で,本 法 が婦 人 科 疾患 の約5%を ち子 宮癌 の 早 期 診 断法 の 一つ と して 利 用 せ られ る外, 人性 器 癌,殊 に婦 人 癌 の約50%を 占む る婦 占む る と云 わ れ る 更 に卵 巣機 能 乃至Hormonの 係,即 ち現 在 婦 人 研 究 に 利 用せ られ る 子 宮癌 対 策 の その早 期発 見,早 期 診 断 に沿 い得 る こ ば か りでな く,そ の 他 に も利 用せ られ新 知 見 を加 え とよ り して 最 も重 要 視 され,数 々の優 れ た研 究 業 績 つ つ あ る現 在,著 者 は本 法 に よ る婦人 科 疾 患 の腟 内 2774 大 家 繁 夫 容 塗 抹 細 胞 学 的 観 察 を試 見 た. 第3章 第2章 実 験 方 法 塗抹標 本の 分類 塗 抹 標本 は之 れ を外 来 診断 名 別 に10分 類 し更 に年 子 宮 癌節 別検 査 の 目的 に て1957年9月 初め よ り 令 別 に40才 以 下. 41才 よ り55才 迄, 56才 以 上 と3段 1958年12月 末 ま で に 当岡 山 大学 産 科 婦 人 科 外 来 を訪 階 に分 け唯1回 の無 差 別採 取 な る為 週 期 的変 化 と云 れ た患 者 全 員 よ り採 取 した標 本 を 用 い た.従 つ て採 うこ とを考 慮 に入 れ て 同一 条件(週 期 的 に)の もの 取 法,固 定 染 色 法 は全 て 第1編 を選 択 した.即 と同様 で あ る. 第 宮 体 癌5例,腟 腟 炎82例,子 部 ビ ラ ン382例,腟 宮 筋 腫111例,子 巣 機 能 不 全81例,機 腫8例,其 能 性 出 血149例,悪 の 他333例 第4章 炎92例,老 人性 宮 発 育 不 全97例,卵 9 ち第9表 の如 く子 宮 頸 癌171例,子 表 第2節 上皮 外 成 分 腟 脱 落 上皮 以 外 の 細 胞 そ の他 の もの と して は頸 管 性 絨 毛 上皮 細 胞,内 膜 細胞,組 織球,ト リコモナ ス,白 血球, 赤 血球 につ いて 観 察 した.尚 白血 球,赤 血球 は其 の に つ い て 観 察 し た. 存 在 の 多少 に よ り(+++)(++)(+)(-)の 塗 抹 標本 の 観 察 に つ い て 符 号で 記 載 した. 塗 抹 標本 の観 察 に 当つ て は通 常 見 られ る腟 上皮 脱 落 細 胞 の 種 類 並 び に上 皮 外成 分 と して 白血球,赤 球,頸 管 細 胞,内 膜細 胞,組 織球,ト 第5章 検 査 成 績 血 リコ モナ ス に 各疾 患共 最 も多 く出現 す るの は表 層 細 胞 で副 基底 つ い て観 察 し,又 同 時 に 角化 傾 向 を示 す各 細 胞 の 和 細 胞,基 底 細胞,中 層 細 胞,角 化 細 胞 その他 上皮 外 を 以て 角 化 係 数 と し酸 好 性 細 胞 の和 を以 て 酸 好 係 数 成 分 は種 々 の程 度 に出現 した.(第10, と して 求 め た,鏡 検 に際 して は150倍 及 び600倍 の 光 学 顕 微 鏡 を用 い 標本 の異 つ た 場所 数箇 所 にわ た り細 11, 12表) 第1節 子 宮 頸癌 子 宮頸 癌171例 中40才 以 下15例,41∼55才86例, 胞 群 集 の個 所 を避 け細 胞100個 を計 算 し,そ の 百 分 56才 以 上70例 に して 基 底 細 胞,中 層 細 胞,表 層 細 胞 率 を求 めて 記 載 した. は各 年 令 別 共 に略 々同 一 の 出現 率 を示 し,副 基 底 細 第1節 上皮 細 胞 分 類 塗 抹 標 本 に現 わ れ る陸 脱 落 上皮 細 胞 分 類 は Papanicolaou23)を 始 あ と して 数 多 く見 られ る 胞 は56才 以 上 に20.1%と 最 も多 く角 化 細 胞 は56才 以 上 にの み僅 か に0.2%認 めた.角 化 係 数,酸 好 係数 は各 々略 々同値 を示 した.赤 血球,白 血球 は全例 に が13)16)35)36),著 者 はSmolka16)とPapanicolaou23) 認 め た.頸 管細 胞 は41∼55才 に最 も多 く内 膜 細 胞 は の分 類 を参 考 に して次 の 如 く分類 した.即 ち腟 上 皮 各 々同 程度 に認 め組 織 球 は56才 以 上 に のみ 認 め な か の組 織 学 的構 造 よ り自 ら明 らか で あ るが,深 層 に 由 つ た.ト 来 す る もの よ り基 底 細 胞,副 基底 細胞,中 層 細 胞, 表 層 細 胞,角 化 細胞 の5種 類 で あ る. リコモ ナ ス は11.1%に 認 め た. 第2節 子 宮 体 癌 本 症 は術 後確 認 せ し ものの み を撰 択 し41∼55才3 例, 56才 以上2例 で基 底 細 胞 は全 例 に認 め な く副 基 婦人科 領域 に於 ける腟 内容塗抹細胞学的研究 底,表 2775 層 細 胞 は 各 々大 体 同 程 度 に 中 層 細 胞 は41∼55 才 に1.0%で 角 化 細 胞 は41∼55才 み で あ つ た.角 に僅 か に認 め た の 化 係 数 は58.0%, 44.0%と 共 に高 値 を 示 し白 血 球 は 全 例 に 認 め 赤 血 球 は 大 多 数 に 認 め た. 頸 管 細 胞 は41∼55才 に33.0%,内 膜 細 胞 は41∼55才 で 全 例 に 認 め, 56才 以 上 で は 約 半 数 に 認 め た. 第3節 腟 部 ビラ ン 計382例 中40才 以 下234例, 41∼55才128例, 56才 以 上20例 で 基 底 細 胞 は 各 年 令 別 共,同 程 度 に,副 基 底 細 胞 は56才 以 上 に 最 も多 く中 層,表 層細 胞 は各 々 に 大 体 同 程 度 で 角 化 細 胞 は56才 以 上 で は 認 め な く其 の 他 で は 僅 か に 認 め た.角 化 係 数 は40才 以 下 で 最 も 高 く42.2%を 示 し 白 血 球 は 全 例 に,赤 に 認 め た.頸 管 細 胞,内 血球 も大 多数 膜 細 胞 は 共 に56才 以 上 に 最 も 多 く組 織 球 は56才 以 上 で は 認 め ず,其 か に 認 め,ト リ コ モ ナ ス は19.6%に 第4節 計92例 の 他 で は僅 認 め た. 腟炎 中40才 以 下45例, 41∼55才37例, 56才 以 上 10例 で 基 底 細 胞 は40才 以 下 で は 認 め ず,其 は 僅 か に 認 め 副 基 底 細 胞 は 各 々6.0%, %と 認 め 中 層 細 胞 は40才 胞 は 各 々 同 程 度,角 た.角 の他 で 14.6%, 以 下 に0.1%の み で表 層 細 化 細 胞 は各 々僅 か に 同程 度 認 め 化 係 数 は40才 以 下 に 最 も高 く42.8%を 血 球 は全 例 に 認 め,赤 示 し白 血 球 は 大 多 数 に 認 め な い .頸 管 細 胞 は56才 以 上 で は 認 め ず,内 才 の み に0.5%認 14.9 め た.ト 膜 細 胞 は41∼55 リ コ モ ナ ス は25.0%認 め た. 第5節 老 人 性腟 炎 計82例 中41∼55才20例, は56才 以 上 に0.94%認 17.6%で,中 56才 以 上62例 で 基 底 細 胞 め,副 基 底 細 胞 は 各 々14.8%, 層,表 層 細 胞 は 各 々 同 程 度 に ,角 は41∼55才 に0.3%認 め た.角 化 係 数,酸 各 々 同 値 を 示 し 白 血 球 は 全 例 に 認 め,赤 数 に 認 め な か つ た.頸 み,内 血球 は大 多 管 細 胞 は56才 以 上 は19.2%の 膜 細 胞 は 各 々僅 か に認 め組 織球 は全 例 に認 め な か つ た.ト リ コ モ ナ ス は13.5%認 第6節 副 基 底,中 めた. 子宮筋腫 計111例 中40才 以 下37例, 41∼55才74例 0.25%に 55.8%と 認 め た.角 化 係 数 は各 々 高 値 を 示 し白 血 球 は 全 例 に 認 め た が 赤 血 球 は 大 多 数 に 認 め な か つ た.頸 に 認 め ず,内 2.7%認 で 基 底, 層 の各 細 胞 は 僅 か に認 め るの み で 角化 細 胞 は 各 々0.3, 41.1%, 化細胞 好係数 は め,ト 膜 細 胞,組 管 細 胞 は 全例 織 球 は41∼55才 リコ モ ナ ス は8.2%認 に 各 々8.3, め た. 2776 大 家 第11表 第12表 第7節 子 宮発 育 不 全 繁 41才 夫 ∼55才 56才 以 上 第9節 機 能 性 出 血 計97例 は 全例40才 以 下 で 基 底,中 層 細 胞 は全 例 に 計149例 中40才 以下89例, 41∼55才57例, 56才 以 認 め ず副 基 底,角 化 細 胞 は各 々僅 か に認 め,表 層細 上3例 で 基底 細 胞 は 全例 に認 めず,副 胞 は 大 多 数 を 占 め 角化 係 数 は36.4%を 僅 か に認 め 中層,角 化細 胞 は41∼55才 に僅 か に認 め 示 し白 血球 は 基底細胞 は 大 多 数 に認 め たが 赤 血球 は大 多 数 に認 めな かつ た. た.角 化係 数 は40才 以下 最 も高 く51.0%を 示 し白 血 其 の 他 の 細 胞 は全 例 に認 め ず ト リコモ ナ ス は15.6% 球 は 全 例 に認 め,赤 血球 も大 多 数 に認 め た.頸 管 細 認 め た. 胞,組 織 球 は各 々同 程度 に認 め,内 膜 細胞 は41∼55 才 に 最 も多 く22.8%認 第8節 卵 巣 機 能 不 全 計81例 中40才 以 下68例, 41∼55才13例 で 基底,中 層 の 各 細胞 は全 例 に 認 め ず 副基 底 細 胞 は 各 々1.46, 3.0%,角 化 細胞 は41∼55才 に2.0%認 数 は41∼55才 に37.5%を め た.角 化 係 示 し白血 球 は全 例 に認 め, めた.ト リコモ ナ スは9.9% 認 め た. 第10節 悪 性 絨 毛 上 皮腫 本 症 も子 宮 体 癌 同様 術 後 確 認 せ る もの を選 択 し計 8例 中40才 以下6例, 41∼55才2例 で 基 底,中 層 の 赤 血球 は 大 多数 に認 め な かつ た.頸 管 細胞,内 膜 細 両 細 胞 は全 例 に 認 め ず 副 基 底 細 胞 は40才 以 下 に 胞 は共 に40才 以 下 の み で 各 々3.4%認 3.8%認 め,角 化 細 胞 は 各 々僅 か に同 程度 認 め た. は全 例 に認 めず,ト めた.組 織球 リコモ ナ ス は11.4%認 め た. 角 化,酸 好 両 係 数 は 各 々同程 度 を示 し,白 血球 は全 例 に認 め,赤 血球 は約 半 数 に種 々 の程 度 に認 め た. 婦人科領域に於 ける腟内容塗抹細 胞学的研究 2777 頸 管 細 胞,内 膜 細 胞 は全 例 に認 め ず 組 織球 は約 半 数 別 に月 経 週 期 と対 照 して週 期 的 変 化 の検 索 を行 な つ に認 め た. て お り,又 最 上 鋤 も 各 種 疾患 に お け る卵 巣機 能 の 第11節 其他の疾患 推 移 及 び腫 瘍 のHormon分 子 宮附 属器 炎,子 宮 後屈 症,卵 巣 腫 瘍 の計333例 Hormon剤 泌 如 何 程度 の推 定 及 び 効果 の判 定 等 を行 い 診 断 の一 助 とす る こ 56才 以上16例 で とが 出 来 る と発 表 し て い る. stoll9)も 無 月 経 とか 基底 細 胞 は41∼55才 に,角 化 細 胞 は56才 に のみ 認 め 無 月経 後 の出 血 及 び附 属器 腫 瘍 と外 妊 との 鑑 別 、 或 ず 其 の 他 で は 僅 か に認 め,副 基底 細 胞 は56才 以上 は 更年 期 に 出血 を来 した場 合 等 に お い て鑑 別 的 診断 で 最 も多 く中 層 細 胞 は各 々僅 か に認 め表 層 細 胞 は各 が 可能 で あ る と記 載 して い る.著 者 の場 合 子 宮 頸 癌 々最 も多 く出現 し角化,酸 好 係 数 は各 々同 程度 を示 で は癌 細 胞 以外 に下 層 の 細 胞 即 ち基 底 細 胞,副 基底 し白 血球 は 大 多数 に認 め た が赤 血球 は大 多数 に認 め 細 胞 が 高 率 に見 られ,白 血球,赤 な かつ た.頸 管 細胞,内 膜 細胞 は各 々僅 か に認 め た た.腟 部 ビ ラ ンにお い て も下 層 の 細 胞 が高 率 に見 ら が,組 織球 は56才 以 上 にの み認 めず,ト れ,白 血球 は全 例 に 認 め赤 血 球 は 大 多数 に認 め た. 中40才 以下239例, は12.2%認 41∼55才78例, リコモ ナ ス め た. 第12節 血球 は全 例 に認 め 石 川19), Stoll21)も 同様 で,殊 に 田村39)等 は む しろ 角化 係 数 図表 腟 粘膜 上 皮 はEstrogenに よ りその 角化 を促 進 さ 膣 部 ビ ラ ンの 場 合 に子 宮 癌 よ り多 数 下 層 の 細 胞 を認 め る,そ して癌 性 帯 下 と炎性 帯 下 とは極 めて 近 似 し れ,そ の 角 化傾 向 を示 す 細 胞 の比 を もつ て算 出 した 確 実 な る癌 細胞 その もの の発 見 以 外 に は 区別 は困 難, 本 係 数 が 卵 胞Hormon判 定 の 指 標 とな る こ とは 諸 換 言 す れば 癌 細 胞 を 含有 す る帯 下性 状 は全 く特 異 的 家 の 実 験 に よ り明 らかで あ る.こ れ は個 人 的 に も又 で な い と述 べ て い る.膣 炎,老 人 性 腟 炎 も共 に下 層 同 一 人 に て も週 期 に よつ て変 動 が あつ て明 確 な る分 の 細胞 が 高 率 に見 られ,両 者 共 に 白 血球 は全 例 に 認 類 は 不 可能 で あ り,殊 に 著者 の 例 で は 尚一 層 不 可 能 め るが 赤 血球 は 大 多 数 に認 め な い,老 人 性 腟 炎 の 副 で あ るが,第13表 基底 細 胞 の核 拡 大 を有 す る もの 多数 認 め,又 一般 に の如 く本 係 数 を図 表 にて 示 す と各 疾 患 共 大 体 年 令 に逆 行 した値 を示 した が 子 宮 癌,子 好 塩 基 性 細 胞が 大 多 数 を 占 む.子 宮 筋腫 の場 合 は角 宮 筋腫,機 能性 出 血 では 閉経 期 後 に お いて も上昇 し 化 細 胞 が比 較 的 多 く酸 好性 の濃 縮核 を有 す る上 皮 細 た値 を示 した. 胞 の 多 数 出現 を認 め た.子 宮 発 育不 全 で は大 多数 に 第13表 角 化 係 数 図 表 大 した変 化 は な い が,少 数 の もの に副 基 底 細 胞 の増 加 が 見 られ た.石 川40)も 子 宮 発 育 不 全 例 を 調査 し 過 半数 に正 常 の 像 を示 し少 数例 に軽 い卵 巣機 能 不 全 の像 が 見 られ た と発 表 して い る.卵 巣機 能 不 全 例 で は下 層 の細 胞殊 に副 基底 細 胞 が 多数 見 られ,一 般 に 好 塩 基 性 細 胞 が大 部 分 を 占 め核 の拡 大傾 向 を有 す る もの も認 め た.機 能性 出 血 は 下 層 の細 胞 は少 く表 層 の 酸 好性 の扁平 な大 きな 細 胞 を 大多 数 認 め た ,又 反 対 に塩 基 好 性 細 胞が 大 多 数 を 占 め る場 合 もあ り之 れ はBesserer41)も Hormonの 云 う 如 く本 症 が 必 ず し も 卵 胞 過 剰 の み に よ る もの で は な く所 謂失 血 性 腺 性 嚢腫 性増 殖 症 或 は 神経 性,局 所性 原 因 に依 つ て も起 り得 る為 な ち ん と思 わ れ る.悪 性 絨 毛 上 皮 腫 で は大 した変 化 は認 め な い.之 れ につ いてTotmra42) はPapanicolaou法 第6章 総括並 びに考按 に よ り剔 出標 本,掻 爬 物 ,自 然 排 泄 物,腟 頸 管 或 は 子 宮 内 容等 よ り採 取 し二 つ の型 腟 内 容 塗 抹 細胞 学 的 研究 は子 宮癌 早 期 診 断法 の一 の細 胞 を認 め る,即 ち一 つ は原 形 質 内 に核 が 散 在 し つ と して 一 般 に確 認 せ られ る外,本 法 が卵 巣 機 能 乃 ヂ ンチ チ ウ ム に非 常 に似 た もの で あ り,他 は異 常 に 至 性Hormonの 研 究 に も利 用 し得 る こと は衆 知 の 大 きな核 を持 ち孤 立 的或 は 群 をな して い る不 規 則 な 事 であ るが,更 に本 法 が その 他種 々 の方 面 に も利 用 多 角形 の細 胞 であ ると記 載 して い る.著 者 も別 出 標 せ られ,新 知 見 を加 え つ ゝあ り,下 村37)は 各 疾 患群 本 よ り採 取 し,異 常 に大 な る核 を有 す る細 胞 と多 数 2778 大 の 内 膜 細 胞 を認 め た(写 真8, 9).其 家 の 他 の 子宮 附 繁 夫 は 水野46)に よ る と外来 患者 につ いて 無 選 択 的 に腟 属 器 炎,子 宮 後 屈症,卵 巣腫 瘍等 にお い て は 大 した 内 容 を鏡 検 すれ ば15.0∼20.0%に 発 見 す る と云 わ れ 変 化 は な い が下 層の 細 胞 殊 に 副基 底 細 胞 を比 較 的 多 て い るが本 法 にて は全 例平 均13.8%に トリコモ ナ ス を 認 め た. く認 め た. 以上 年 令 別 に3段 階 に分類 観察 した が,大 体 各疾 結 論 患 共 同 一傾 向 を有 し表 層細 胞 が 最 も多 く出現 す るが 1957年9月 56才 以 上 にお い て唯 僅 か に下 層の 細 胞 増 加 を認 め た. 初 め よ り1958年12月 末 ま で に 当 岡山 大 角 化 係 数 図 表 は 各疾 患 共 大体 年 令 に逆 行 し階 段 状 に 学 産 科 婦人 科 外 来 を 訪 れ た患 者 全 員5,456名 に無 差 下 降 した 数値 を示 した が 子宮 癌,子 宮 筋 腫,機 能 性 別 に腟 内容 塗 抹 標本 を作 成 し,子 宮 癌 節 別検 査 並 び 出 血 にお い て は 閉経 期 後 に お いて も上 昇 した値 を認 に 婦人 科 疾 患 の腟 内 容塗 抹 細 胞学 的観 察 を 施 行 した. め た.最 上43)は 婦 人 科 疾 患 の腟 脂 膏 細 胞 出 現率 を 子 宮癌 節 別 検 査 に お いて5,456例 中塗 抹 細 胞 診 に よ 正 常 性 週 期 を 基 準 と し て 追 求 し,腟 上 皮 に対 す る り 診 断 さ れ 組 織生 体 診 に よ り確 認 され た子 宮癌 は Estrogen作 206例,全 体 の3.7%で あ る.尚32例 の 不 可 視癌 が 全 体 用 程 度 を0∼4の5段 階 に分 け腟 脂膏 曲 線 と して 表現 して い る.そ れ に よ る と子 宮頸 癌 で の0.6%に は 未だ 性 週 期 の存 在 す る もの では 軽度 の過Estrogen て 有 力 な る補 助 診断 法 で あ る こ とを 再確 認 した.其 作 用 を示 し閉経 後 で は低Estrogen作 の他 の婦 人 科 疾 患 につ いて は 本 法 が 未 だ そ の診 断 的 宮 筋 腫 では軽 度 の過Eetrogea作 用 を示 し,子 用 を示 し機 能 性 出 血 にて も軽 度 の過Estrogen作 発 見 され,本 法 が 子 宮 癌 早 期 発見 につ い 価 値 を有 す る段 階 で はな い が,子 宮癌,子 宮 筋腫, 機 能 性 出血 等 の疾 患 にお い て は 角化 係数 よ りその原 用 を示 して い る.更 に最 上 鋤 は 子 宮 頸 癌 につ い て詳 細 に癌 進 行 期 との 因 究 明 と云 う点 にお い て何 等 か の意 義 が 存 す る事 を 関 係 につ い て も記 載 して い る.又 江 川46)は 子 宮 筋 示 唆 す る. 腫 患 者 の 角 化係 数は 低 く9.0∼22.0%を 示 し特 異 的 で あ つ た と発 表 して い る が,著 者 の 例 で は41.1∼ 55.8%と 角 化係 数 は 示 した.機 能 性 出 血 も異 つ た 原 因 に も依 るが高 値 を示 した.之 れ は そ れ等 疾 患 の 発 稿 を終 るに臨 み 終 始 御 懇 篤 な 御指 導 と御 校 閲 を賜 つ た恩 師 八木 前教 授 並 び に 橋 本 教授 に 深謝 す ると共 に研 究 室関 係各 位に 感 謝 す る. 生 原 因 に何 等 か の関 係 が 存 す る事 を暗示 す る もの で は な か ろ うか.尚 腟 帯 下 の一 因 を な す ト リコモナ ス 参 1) C. R. J. Stockerd Anat., & 22, 2) G. N. Papanicolaou: 3) G. N. Papanicolaou Obst. & J. E. Ayre: 5) J. B. Graham & Gynec., 6) G. T. 7) •` 8) M. W. P. 64, P. Am. H. 95, F. J. 908 V. 438 Traut: (1942) Am. of Meigs: Ut. J. (1951) Am. J. Obst Med., 52, 42, Ostete Cuyler, 95, L. 1, L. A. 115 Ginec, Louise, 57, 3, 5, 223•`231 (1955) Gynecologia, 138, 5, 511 (1954) 安 藤:産 婦 の 世 界, 13) 石 川:日 産 婦 誌, 14) 水 野:産 婦 の 世 界, 15) 中 村:臨 産 婦, Smolka, Atlas 17) H. 236 et al.: Obst. (1953) Riebrn, 39•`50 Martin, 63, d. 2.4, 2, 40 4, 2, 6, 8, 9, (1950) 683 348 u. H. J. Gynak. (1950) 167 (1950) (1952) Soost,: Grundriss Cytodiagnostik, u. Printed. (1956) Arch, Stoll. Grunberger,: 12) 1939•` (1952) K. Surg. V. 16) H. (1952) Nordisk. J. •` 518 (1441) Cytology & 献 11) 193 Cancer Gerli: 139, 10) Papanicolaou: 文 (1954) Gynec., 9) & 42, Hedberg: 244 N. (1917) Science., Gynec., 4) 1441 G. 225 考 (本 論 文 の要 旨は 第68回 岡 山医 学 会 総 会 に おい て 発 表 した) H. G. Bach: Gynecologia; & W. Higgins et al.: Western Arch Gynak. 牧 野:産 婦 の 世 界, 19) 牧 野:日 産 婦 誌, 20) 牧 野:産 と 婦, 21) P. Stoll 12, 5, (1955) L. Cramer: 18) 22) 安 藤:産 u. H. 424•`435 6, 6, 22, 179, 6, 12, 594 8, Muth: 635 (1951) (1954) 1, 604 687 (1954) (1955) Geburt u. Frauenklinik. (1952) 婦 の 世 界, 2, 9, 592 (1950) 婦人科領域に於 ける腟内容塗抹細胞学 的研究 23) G. N. Papanicolaou: Cancer 24) B. by of the Carter: the Diagnosis Vaginal J. H. Miller: Zbl. 26) C. C. Erickson, B. 162, 3, E. 28) W. K. (Stage O) E. 20, Evert 8, et al.: J. Obat. 801 (1939) J. A. M. A. Plastel: 59, 3, Hartford: 323 Obst. & A. Gynec. (1952) & Gynec. 5, 1, Gustav Murray: Fischer, Arch. f. Jena. (1951) Gynak., 165, 635 (1938) Cancer (1956) J. Emp. •` 16 35) E. G. (1943) Gynak. 167•`173 Wachtel, Brit. akologie; Uterine (1956) 25) 27) Smear. Intraepithelial Cervixut. of 2779 13 36) 中 島:日 産 婦 誌, 5, 11, 37) 下 村:日 産 婦 誌, 4, 8, 597 38) 最 上:弘 前 医 学, 3, 3, 89 39) 田 村,西 島:臨 産 婦, 40) 石 川:臨 産 婦, 6, 55∼90 5, 12, (1953) (1952) (1952) 6, 217∼221 570∼573 (1951) (1952) 41) G. Besserer: Arch. Gynak. 180 (1951) 42) M. Tortora: Oatet. e Ginec. Arch. 60, 1 (1955) (1955) 29) 川 中 子:臨 30) 和 田:臨 産 婦, 産 婦, 6, 31) 池 田 32) 和 田,髭 他:臨 33) 水 野:日 産 婦 誌, 34) H. K, 8, 2, 日 産 婦 誌, Zinser: 2, 4, 10, 83 1, 産 婦, 52 43) (1952) (1954) 50 (1952) 8, 9, 314∼319 8, 1043∼1048 Zytodiagnostik Cytologic 産 婦, 44) 最 上:弘 前 医 学, 45) 江 川:広 島 医学 Ⅶ . (1954) 著 号, 46) (1958) in 最 上:臨 der 2, 水 野:産 6, 11, 3, 4, 503∼506 338 (1952) (1952) (1954)第1, 2,月 号 附 録 原 1. と 婦, 7, 12, 813 (1950) Gyn Studies on the Vaginal Smears By Shigeo Department Cytologic studies Oya, M. D. of Obstetrics and Gynecology Okayama University (Director: Prof. Kiyoshi Hashimoto, M. D.) on vaginal smears have been carried Medical School on by many investigators for a quite long time and there are already numerous excellent results available. However, ever since the report on the diagnostic method for uterine cancers by Papeniceaou in collaboration with Traut in 1953 recomfirmatiom and re-investigation with vaginal smears have gained a new impetus in various fields as an important diagnostic method for malignant tumors. Especially in the field of gynecology it has been verified that this method is an important supplemen tary method for the diagnosis of uterine cancers, offering as it does a fairly accurate diag nosis in viewpoint of a possibility of detecting clinically obscure cancers at an early stage. Likewise we have been endeavoring to detect uterine cancers at an early stage by giving screening tests of vaginal smears obtained at the first examination of all the patients visit ing our clinic since August, 1957. Besides uterine cancers, there are also many studies on the vaginal smears in inflammation of sexual organs as well as in the field of the endocri nology. The author also carried out cytologic study on the vaginal smears in benign cases just as in malignant. our clinic from the copic examinations The results of and V according to logic patients Namely, the vaginal smears were taken from all the patients visiting beginning of August, 1957 to the end of December, 1958 and micros were conducted after Papanicolaou's original method of staining. the examiations were represented by types I, II, IIA, II+, III, IV, Carter's classification. Furthermore, the specimens obtained from gyneco for the purpose of the screening test were divided into 10 classes according to 2780 大 家 繁 夫 the diagnosis given at the outpatient clinic, and these were further divided into three grades of those under 40 years, thosa between 41 to 55 years, and those over 56 years. Taking into consideration the possible cyclic changes because of the smears being taken only once at random, observations were carried out by selecting the samples under the same cyclic condi tion. By dividing the cells exfoliated in the vagina into five classes of deep cells, sub-basal, intermediate layer cells, superficial. layer cells, and cornified cells and as the components other than those of epithelium, into leucocytes, erythrocytes, cervical canal cells, endometnial cells, and histiocytes. The cornification and acidophilic indices were determined. Of the total of 5,456 cases 472 were diagnosed as positive or possibly-positive by vagnial smears, and 215 cases of the latter were biopsized and 184 of them were revealed to be car cinoma. Those proved to be negative by the vagnial smear test amounted to 4,948 cases, 457 cases 22 revealed the carcinomatous changes in their biopsy specimens. When the percent age of accuracy by the vaginal smears is calculated, taking the biosy examination as the final criteria, the following results are obtained. Namely, 206 cases were diagnosed as squamous cell carcinoma intraepithelial carcinoma or adenocarcinoma by biopsy. Of them 184 cases were diagnosed as positive or possibly-positive by vaginal smears, and 466 cases were revealed to have no cancer by biopsy, and of the latter 457 were negative to the vaginal smear tests. Therefore, the positive percentage is 89.3 per cent, while the negative percentage is 98.1 par cent, bringing the rate of accuracy to 93.7 per cent. Those diagnosed as uterine cancer by vaginal smears and confirmed by biopsy amounted to 206 cases, 3.7 per cent of the total. In addition, 32 cases of blinically obscure cancers amounting 3.7 per cent of the total were discovered, proving that this technique is a useful supplementary method of diagnosis for dircovering uterine cancers in an early stage. Furthe more, in the cervical cancer of the uterus both basal and para basal cells can be observed numerously apart from cancer cells, and also leucocytes and erythroeytes can be observed in all cases. Cervical canal cells, endometrial cells and histiocytes are recognized in the majority of them. In the cases with vaginal erosion likewise deep layer cells, especially, para-besal cells can be recognized in a high percentage, and leucocytes as well as erythrocytes are observed in all cases. In vaginitis and senile vaginitis basal layer cells can be seen in a high percentage, and in the senile vaginitis there is a strong Leucocytes can be observed in all cases of the two groups, while erythrocytes can be seen in most of them. In uterine myoma relatively many cornified cells and numerons epithelial cells possessing eosinophilic dense nuclei can be observed. In the case of ovarian dysfunction deep layer cells, especially para basel cells can be seen numerously, and in some cornified cells as well. In the functional bleeding, deep layer cells being scarce, superficial layer cells occupy a greater proportion, showing a high percent of the cornification index. When the cornification index is represen ted graphically, uteine cancer, uterine myoma, and functional bleeding show a rising ten dency of the index even after the menopause, suggesting that the cornification index may play some significant roole in the elucidation of the cause of these diseases. 婦人科領域 に於け る腟 内容塗抹細胞学 的研究 大 家 論 文 附 2781 図 写 真1 I型 写 真2 Ⅱ 写 真3 ⅡA型 写 Ⅱ+型 写 真5 Ⅲ 型 真4 写 真6 Ⅳ 型 型 2782 大 大 家 家 繁 論 文 写 真7 写 真8 写 真9 V型 夫 附 図