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[1/2](PDF文書)
資料2
次期計画期間におけるその他の重要な
論点等について
1 介護人材の確保について
2 支援が必要な高齢者向け住まいの確保等に
ついて
1 介護人材の確保について
はじめに
次期計画における今後の介護人材の確保に向けた取組の方向性を検討するに当たり、介
護人材の確保に係る現状を整理した上で、国・県・市・事業者の取組等を確認し、介護人
材の確保に向けた来年度以降の市の取組の方向性を示した。
1 検討に当たっての現状の整理
⑴ 関係データの整理
ア 介護職員の確保の状況
① 介護職員の推移と見通し【図1】
厚生労働省が実施した「介護サービス施設・事業所調査」及び「医療・介護に
係る長期推計(平成 24 年 3 月)
」の結果では、団塊の世代が 75 歳以上となる 2025
年度には、全国で約 250 万人の介護人材が必要になると推計されており、高齢者
の増加に伴う介護ニーズの増大に対応するためには、新たに約 100 万人の介護人
材を確保していく必要がある。
②
介護分野における有効求人倍率等について【図2】
厚生労働省が実施した「職業安定業務統計(平成 26 年 6 月)」では、介護分野
の有効求人倍率は全産業より高い水準にある。広島県においても介護分野の有効
求人倍率は全国平均並みとなっており、人材を確保できていない。
③
訪問介護員、介護職員の離職率について
厚生労働省の「雇用動向調査」及び㈶介護労働安定センターの「平成 24 年度
介護労働実態調査」の結果では、介護職員の離職率は低下傾向にあるが、産業計
と比較してやや高い水準となっている。なお、採用率は離職率よりも高い水準と
なっている。【図3】
一方、㈶介護労働安定センターが実施した「平成 25 年度介護労働実態調査」
の結果では、離職率の全体平均は 16.6%であるが、離職率が 30%以上という事
業所が 20.9%となっている一方で、離職率が 10%未満という事業所が 46.6%を
占めており、離職率の高い事業所と低い事業所の二極化が進んでいる。【図4】
【図1】
1
【図2】
【図3】
2
離職率別の事業所の割合
【図4】
【出典】㈶介護労働安定センター「平成 25 年度介護労働実態調査」
イ
介護職員の確保についての事業者の意識
① 介護職員の人数・質に対する評価【図5】
㈶介護労働安定センターが実施した「平成 24 年度介護職員の賃金・雇用管理
の実態調査」の結果では、介護職員正規職員の人数・質に対する評価は、「人数
は確保されている」の計が 59.2%、
「人数は確保できていない」の計が 27.3%と
なっている。一方、
「質に満足している」の計が 42.4%、
「質に満足していない」
の計が 44.1%となっており、介護職員の人数よりも質に対する不満感が強い。
【図5】
【出典】㈶介護労働安定センター「平成 24 年度介護職員の賃金・雇用管理の実態調査」
3
②
介護サービスを運営する上での問題点【図6】
㈶介護労働安定センターが実施した「介護労働実態調査」の結果では、「良質
な人材の確保が難しい」
「今の介護報酬では人材の確保・定着のために十分な賃金
を払えない」「書類作成が煩雑で時間に追われてしまう」等の回答が毎年度多数
を占めている。
良質な人材の確保が難しい
【図6】
今の介護報酬では人材確保・定着のために十分な賃金を支払えない
指定介護サービス提供に関する書類作成が煩雑で時間に追われてしまう
教育・研修の時間が十分に取れない
経営(収支)が苦しく、労働条件や労働環境の改善をしたくても出来ない
新規利用者の確保が難しい
介護従事者の介護業務に関する知識や技術が不足している
介護従事者の介護業務に挑む意欲や姿勢に問題がある
管理者の指導・管理能力が不足している
平成23年度
介護保険等の改正等についての的確な情報や説明が得られない
平成24年度
利用者や利用者の家族の介護サービスに対する理解が不足している
平成25年度
経営者・管理者と職員間のコミュニケーションが不足している
介護従事者間のコミュニケーションが不足している
雇用管理等についての情報や指導が不足している
0
10
20
30
40
50
60
(%)
【出典】㈶介護労働安定センター「介護労働実態査」
③
従業員の不足感について【図7】
㈶介護労働安定センターが実施した「介護労働実態調査」の結果では、特に、
訪問介護職員の不足感が強く、「採用が困難である」ことが、その大きな要因と
なっている。
【図7】
【出典】㈶介護労働安定センター「介護労働実態調査」
4
ウ 介護に対するイメージ
① 正規職員の仕事を選んだ理由について【図8】
㈶介護労働安定センターが実施した「介護労働実態調査」の結果では、「働き
がいのある仕事だと思ったから」「今後もニーズが高まる仕事だから」等の回答
が多数を占め、「給与等の収入が多いから」と回答した人が選択項目の中で最も
少ないという結果になっている。
働きがいがある仕事だと思ったから
【図8】
今後もニーズが高まる仕事だから
資格・技能が活かせるから
人や社会の役に立ちたいから
お年寄りが好きだから
介護の知識や技能が身に付くから
身近な人の介護の経験から
生きがい・社会参加のため
平成23年度
平成24年度
平成25年度
他によい仕事がないため
自分や家族の都合の良い時間・日に働けるから
その他
給与等の収入が多いから
特に理由はない
0
10
20
30
40
50
60 (%)
【出典】㈶介護労働安定センター「介護労働実態調査」
②
正規職員の仕事の満足度について【図9】
㈶介護労働安定センターが実施した「介護労働実態調査」の結果では、「仕事
の内容・やりがい」「職場の人間関係、コミュニケーション」という回答が多く、
「賃金」「教育訓練・能力開発の在り方」「人事評価・処遇の在り方」は少ない。
【図9】
仕事の内容・やりがい
職場の人間関係、コミュニケーション
職場の環境
雇用の安定性
労働時間・休日等の労働条件
平成23年度
福利厚生
平成24年度
キャリアアップの機会
平成25年度
勤務体制
職業生活全体
教育訓練・能力開発の在り方
人事評価・処遇の在り方
賃金
0
10
20
【出典】㈶介護労働安定センター「介護労働実態調査」
5
30
40
50
60 (%)
③
介護に対するイメージについて【図 10】
内閣府が実施した「介護保険制度に関する世論調査(平成 22 年)
」の結果では、
介護職には肯定的なイメージがある一方で、「きつい仕事」
「給与水準が低い」
などマイナスのイメージが流布され、人材参入の阻害要因となっている。
【図 10】
【出典】内閣府「介護保険制度に関する世論調査」
(平成 22 年)
⑵ 関係者の意見等
ア 福祉系大学等からのヒアリング
本市が実施した福祉関係大学等へのヒアリングの結果では、介護人材を輩出する
側においては、市に対する役割として、介護職のイメージ向上対策や、福祉分野合
同の就職説明会の開催、とりわけ事業者と学生のニーズを踏まえた効果的なマッチン
グの場の提供を求めている。
イ 広島市福祉施設連絡協議会からの陳情書
市に対し、老人・障害・児童の合同就職説明会の開催を要請する陳情書が提出された
(平成 25 年9月)。
2 介護人材の確保に向けた取組等
⑴ 国・県・市の役割
福祉人材の確保については、現行の「社会福祉事業に従事する者の確保を図るため
の措置に関する基本的な指針」(以下「福祉人材確保指針」という。)に基づき、国、
県及び市の役割分担として、国が介護報酬の設定などを、県が介護従事者の確保促進
などを行っており、市においては、介護サービスの意義や重要性についての啓発や介
護人材に対する研修などを行っている。
6
⑵ 国の取組について
国では、介護従事者の人材確保・処遇改善等を図るため、平成 21 年度の介護報酬改
定をはじめ、介護職員処遇改善交付金や介護職員処遇改善加算の創設等の措置を講じ
てきている。
平成 27 年度の介護報酬改定においても処遇改善に向けた検討を行うことが必要との
認識の下、現在、
「福祉人材確保対策検討会」において、多様な人材の参入促進、資質
の向上、労働環境改善等の観点から、介護人材の確保対策の在り方が検討されている
とともに、
「社会保障審議会介護給付費分科会」において、これまでの処遇改善策の成
果等を検証しながら、介護報酬改定の中でどのような方策が考えられるか議論が進め
られている。
また、次期介護報酬改定においては、広島市の地域区分(地域ごとに設定される人件
費の上乗せ割合)が、現行の 6%から国家公務員の地域手当と同率の 10%に引き上げら
れる見込みである。
⑶ 県の取組について
広島県では、行政や職能団体、事業者団体等で構成する広島県福祉・介護人材確保等
総合支援協議会を設置・運営し、
「情報提供・啓発」
「人材確保・育成」
「就業環境改善」
に係る事業者や関係団体等の自主的な取組を促進・支援している。
〔主な取組(平成 26 年度)
〕
情報提供、啓発
「介護の日」フェスタ in 広島の開催
小中学校での介護プチ講習会の実施
高校での生徒・教員・保護者への理解促進説明会の開催
人材確保・育成
県内大学理解促進就職セミナーの開催
福祉の就職総合フェアの開催(2箇所)
就職相談会の開催(13 会場)
福祉・介護合同求人説明会の開催(11 箇所)
介護基礎技術ハンドブック活用研修の実施
就業環境改善
「魅力ある職場づくりのための自己点検ツール」提供
経営層向けセミナー、管理職向け研修等の開催
⑷ 市の取組について
本市では、介護サービスについて市民の理解が深まるよう介護に関するシンポジウム
の開催等に取り組むとともに、介護人材の資質の向上を図るため、居宅介護支援専門員
に対する研修や施設職員の資格取得のための講座への参加、
広島市老人福祉施設連盟が
実施する機能回復訓練の専門的技術を習得するための実践研修に対する支援等を行っ
ている。
〔主な取組(平成 26 年度)
〕
情報提供、啓発
介護に関するシンポジウムの開催
介護人材の資質の向上のための研修等
居宅介護支援事業者研修会、ケアプラン作成基本演習、介護予防ケアマネジメ
ント研修の実施
民間老人福祉施設職員のリハビリテーションに関する処遇技術の向上を図る
ための研修等に要する理学療法士等の雇用等に係る経費の一部を補助
広島市老人福祉施設連盟が実施する機能回復訓練研修及び研修で身に付けた
介護技術を発表し専門性等を競う「介護技術競技会」の開催経費の一部を補助
7
⑸ 事業者の取組について
○ 介護職員処遇改善加算の届出をした施設・事業所の取組
厚生労働省の「介護従事者処遇状況等調査」の結果では、平成 25 年度に介護職
員処遇改善加算※の届出をした施設・事業所は、全体の 87.2%を占めており、当該
施設等における介護職員(月給・常勤)の平均給与額(基本給(月額)・手当・一
時金)は、1年間で 2.7%改善されている。
区 分
25 年度 ②
24 年度 ①
差引 ②-①
改善率
全
276,940 円
269,760 円
7,180 円
2.7%
体
【出典】厚生労働省「介護従事者処遇状況等調査」
(※)介護職員処遇改善加算
平成 23 年度まで実施していた「介護職員処遇改善交付金」の相当分を介護報酬に円滑に移行する
ため、経過的な取扱いとして平成24年度介護報酬改定時に創設。(平成 27 年 3 月 31 日まで)
また、㈶介護労働安定センター「平成 25 年度介護労働実態調査」の結果では、介
護職員処遇改善加算について、
「基本給の引き上げ」
「諸手当の導入・引き上げ」に反
映する事業所の割合が徐々に増加しており、介護職員処遇改善交付金から介護職員処
遇改善加算となったことで、より恒久的な給与改善の取組を行う事業者の割合が増加
している。
(単位:%)
加算を算定した事業所の対応
一時金の支給
平成 25 年度
諸手当の導入・引き上げ
基本給の引き上げ
平成 24 年度
平成 23 年度
60.9
55.6
67.0
48.6
44.1
40.2
29.4
26.5
22.2
【出典】㈶介護労働安定センター「介護労働実態調査」
3 次期計画における市の取組の方向性について
離職率が高いことや給与水準が相対的に低いことに加え、人手不足感が広がっており、
昨今の景気好転による他産業への人材流出も懸念されているが、介護人材の確保・定着
は、地域包括ケアシステムの構築していく上で必要不可欠であり、喫緊の課題である。
介護人材を雇用する側(事業者)は「介護職員の質の向上」を重要な課題として認識し
ており、一方、介護人材を輩出する側(福祉関係大学等)は、介護職のイメージ向上や、
事業者と介護人材のニーズを的確に捉えたマッチングの機会の提供を求めている。
国は、平成 27 年度の介護報酬改定に向けて、人材確保対策の議論を行っており(更に
広島市独自のものとして地域区分の引き上げがある)、県は、広域的な視点から、事業者
と求職者のマッチングなど介護人材確保のための取組を行っている。
本市としては、国・県・市の役割分担や各種データ、関係者の意見を踏まえ、事業者に
よる質の高い介護人材の確保に向けた意欲的な取組・介護職員個々の技術が評価される仕
組みを構築して介護人材の資質の向上を促進するとともに、
介護業界の社会的評価を向上
させることで介護業界で働く強い意欲を持った人材の参入を促進し、ひいてはこれらの取組
が介護人材の定着に繋がるよう、次のような施策を展開してはどうか。
○ 中核的介護人材の育成・定着
政令指定都市としてふさわしい介護サービスが提供できるよう、質の高い中核的人材
の育成・定着等を支援する。
○ 意欲の高い人材の介護業界への参入促進
介護職員の専門性に対する社会的評価を高めるとともに、福祉人材と事業者双方のニーズ
を踏まえた効果的なマッチングの機会を提供するなど、介護業界で働く強い意欲を持った人
材の参入を促進するための施策を実施する。
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